(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物
(51)【国際特許分類】
H01L 51/46 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
H01L31/04 168
H01L31/04 152G
(21)【出願番号】P 2018556572
(86)(22)【出願日】2017-12-01
(86)【国際出願番号】 JP2017043253
(87)【国際公開番号】W WO2018110317
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2016244291
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016244337
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 寿郎
(72)【発明者】
【氏名】菅原 峻
(72)【発明者】
【氏名】吉本 卓司
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/148184(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/186688(WO,A1)
【文献】特許第4569740(JP,B2)
【文献】国際公開第2015/087797(WO,A1)
【文献】特開2015-129265(JP,A)
【文献】特開2014-200926(JP,A)
【文献】特開2006-148134(JP,A)
【文献】特表2003-509816(JP,A)
【文献】特開2011-138813(JP,A)
【文献】国際公開第2012/078517(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/20
H01L 51/42-51/48
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるポリアニリン誘導体からなる電荷輸送性物質と、フッ素系界面活性剤と、水を含む溶媒とを含むことを特徴とする有機半導体を用いて光エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスである有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物。
【化1】
{式中、R
1は、スルホン酸基を表し、R
4は、炭素数1~20のアルコキシ基を表し、R
2、R
3、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スルホン酸基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のチオアルコキシ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数1~20のハロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基、または炭素数1~20のアシル基を表し、
mおよびnは、それぞれ、0≦m≦1、0≦n≦1、かつ、m+n=1を満たす数である。}
【請求項2】
アルコキシシランを含む請求項1記載の有機光電変換素子の正孔補集層用組成物。
【請求項3】
前記フッ素系界面活性剤が、フッ素系ノニオン性界面活性剤である請求項1または2記載の有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物。
【請求項4】
前記フッ素系ノニオン性界面活性剤が、下記式(A2)および(B2)から選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物。
【化2】
(式中、R
fは、それぞれ独立して、炭素数1~40のパーフルオロアルキル基を表し、nは、それぞれ独立して、1~20の整数を表す。)
【請求項5】
前記水が、前記溶媒全体に対して5~100質量%含まれる請求項1~4のいずれか1項記載の有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物。
【請求項6】
前記式(1)で表されるポリアニリン誘導体とは異なる電子受容性ドーパント物質を含む請求項1~5のいずれか1項記載の有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物。
【請求項7】
前記電子受容性ドーパント物質が、ブレンステッド酸である請求項6記載の有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物。
【請求項8】
前記電子受容性ドーパント物質が、式(2)で表されるアリールスルホン酸化合物である請求項7記載の有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物。
【化3】
(式中、Xは、Oを表し、Aは、ナフタレン環またはアントラセン環を表し、Bは、2~4価のパーフルオロビフェニル基を表し、lは、Aに結合するスルホン酸基数を表し、1≦l≦4を満たす整数であり、qは、BとXとの結合数を示し、2~4を満たす整数である。)
【請求項9】
前記溶媒が、アルコール系溶媒および水から選ばれる1種または2種以上の溶媒を含む請求項1~8のいずれか1項記載の有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物。
【請求項10】
前記有機光電変換素子が、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池または光センサーである請求項1~9のいずれか1項記載の有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項記載の有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物を用いてなる正孔捕集層。
【請求項12】
請求項11の正孔捕集層を有する有機光電変換素子。
【請求項13】
請求項11の正孔捕集層と、それに接するように設けられた活性層とを有する有機光電変換素子。
【請求項14】
前記活性層が、フラーレン誘導体を含む請求項
13記載の有機光電変換素子。
【請求項15】
前記活性層が、主鎖にチオフェン骨格を含むポリマーを含む請求項
13記載の有機光電変換素子。
【請求項16】
前記活性層が、フラーレン誘導体および主鎖にチオフェン骨格を含むポリマーを含む請求項
13記載の有機光電変換素子。
【請求項17】
逆積層型である請求項12~16のいずれか1項記載の有機光電変換素子。
【請求項18】
前記有機光電変換素子が、有機薄膜太陽電池または光センサーである請求項12~17のいずれか1項記載の有機光電変換素子。
【請求項19】
トップ陽極構造を有する請求項12~18のいずれか1項記載の有機光電変換素子。
【請求項20】
式(1)で表されるポリアニリン誘導体からなる電荷輸送性物質と、この式(1)で表されるポリアニリン誘導体とは異なる電子受容性ドーパント物質と、フッ素系界面活性剤と、水を含む溶媒とを含むことを特徴とする電荷輸送性組成物。
【化4】
{式中、R
1は、スルホン酸基を表し、R
4は、炭素数1~20のアルコキシ基を表し、R
2、R
3、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スルホン酸基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のチオアルコキシ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数1~20のハロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基、または炭素数1~20のアシル基を表し、mおよびnは、それぞれ、0≦m≦1、0≦n≦1、かつ、m+n=1を満たす数である。}
【請求項21】
アルコキシシランを含む請求項20記載の電荷輸送性組成物。
【請求項22】
前記電子受容性ドーパント物質が、式(2)で表されるアリールスルホン酸化合物である請求項20または21記載の電荷輸送性組成物。
【化5】
(式中、Xは、Oを表し、Aは、ナフタレン環またはアントラセン環を表し、Bは、2~4価のパーフルオロビフェニル基を表し、lは、Aに結合するスルホン酸基数を表し、1≦l≦4を満たす整数であり、qは、BとXとの結合数を示し、2~4を満たす整数である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
有機光電変換素子は、有機半導体を用いて光エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスであり、例えば有機太陽電池が挙げられる。
有機太陽電池は、活性層や電荷輸送物質に有機物を使用した太陽電池素子であり、M.グレッツェルによって開発された色素増感太陽電池と、C.W.タンによって開発された有機薄膜太陽電池とがよく知られている(非特許文献1,2)。
いずれも軽量・薄膜で、フレキシブル化可能である点、ロール・トゥ・ロールでの生産が可能である点など、現在主流の無機系太陽電池とは異なる特長を持っていることから、新たな市場形成が期待されている。
中でも、有機薄膜太陽電池は、電解質フリー、重金属化合物フリー等の特長を持つうえに、最近、UCLAらのグループによって光電変換効率(以下PCEと略す)10.6%の報告がなされたことなどの理由から、大きな注目を集めている(非特許文献3)。
【0003】
一方で有機薄膜太陽電池は、既存のシリコン系材料を使用した光電変換素子と比較して、低照度においても高い光電変換効率を示すこと、素子の薄化および画素微細化が可能であること、カラーフィルターの性質を兼ね備えることが可能であること等の特長から、太陽電池用途だけでなく、イメージセンサーをはじめとする光センサー用途としても注目されている(特許文献1,2、非特許文献4)。以下、有機太陽電池(色素増感太陽電池および有機薄膜太陽電池)に加えて、光センサー等の用途を含んで有機光電変換素子(以下OPVと略す場合もある)と総称する。
有機光電変換素子は、活性層(光電変換層)、電荷(正孔、電子)捕集層、および電極(陽極、陰極)等を備えて構成される。
これらの中でも活性層および電荷捕集層は、一般に真空蒸着法によって形成されているが、真空蒸着法には、量産プロセスによる複雑性、装置の高コスト化、材料の利用効率等の点で問題がある。
【0004】
これらの点から、正孔捕集層用の塗布型材料として、PEDOT/PSS等のような水分散性高分子有機導電材料が用いられる場合もあるが、水分散液であるため、水分の完全な除去や再吸湿の制御が難しく、素子の劣化を加速させ易いという問題がある。
しかもPEDOT/PSS水分散液は、固形分が凝集し易いという性質を有しているため、塗布膜の欠陥が生じやすい、塗布装置の目詰まりや腐食を発生させやすいという問題があるうえ、耐熱性という点でも不十分であり、量産化する上で種々の課題が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-234460号公報
【文献】特開2008-258474号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】Nature, vol.353, 737-740(1991)
【文献】Appl. Phys. Lett., Vol.48, 183-185 (1986)
【文献】Nature Photonics Vol.6, 153-161 (2012)
【文献】Scientific Reports, Vol.5:7708, 1-7 (2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、有機光電変換素子の正孔捕集層に適した薄膜を与え、特に、逆積層型有機光電変換素子の作製に適した有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、アルコキシ基等の所定の電子供与性置換基で置換されたアニリンスルホン酸またはその誘導体を繰り返し単位として含有するポリマーが、高い正孔輸送性を示すとともに、活性層に対する腐食性の低い、アルコールや水等のプロトン性極性溶媒に対して高溶解性を示して均一溶液を形成し、これを用いて塗布工程により薄膜とし、OPV素子の正孔捕集層とした場合に、高い歩留りで良好なPCEを示すOPV素子が得られること、上記溶液作製時に、主に酸化力の高いブレンステッド酸からなる電子受容性ドーパント物質を添加することで、得られる薄膜のHOMOレベルの制御が可能となるため、正孔の効率的な捕集および輸送が可能となる結果、より高いPCEを示し、高耐久性を発現するOPV素子が得られること、適切な種類および量のアルコキシシラン系材料を上記溶液に添加することで、得られる薄膜に電子ブロック性を付与し得ること、およびフッ素系界面活性剤を上記溶液に添加することで、活性層上への成膜性に優れ、逆積層型有機光電変換素子の作製に適した正孔捕集層用組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、
1. 式(1)で表されるポリアニリン誘導体からなる電荷輸送性物質と、フッ素系界面活性剤と、溶媒とを含むことを特徴とする有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物、
【化1】
{式中、R
1~R
6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スルホン酸基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のチオアルコキシ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数1~20のハロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基、または炭素数1~20のアシル基を表すが、R
1~R
4のうちの一つはスルホン酸基であり、残るR
1~R
4のうちの一つ以上は、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のチオアルコキシ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数1~20のハロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、または炭素数7~20のアラルキル基であり、
mおよびnは、それぞれ、0≦m≦1、0≦n≦1、かつ、m+n=1を満たす数である。}
2. アルコキシシランを含む1の正孔補集層用組成物、
3. 前記フッ素系界面活性剤が、フッ素系ノニオン性界面活性剤である1または2の有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物、
4. 前記フッ素系ノニオン性界面活性剤が、下記式(A2)および(B2)から選ばれる少なくとも1種である3の有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物、
【化2】
(式中、R
fは、それぞれ独立して、炭素数1~40のパーフルオロアルキル基を表し、nは、それぞれ独立して、1~20の整数を表す。)
5. 前記R
1が、スルホン酸基であり、前記R
4が、炭素数1~20のアルコキシ基である1~4のいずれかの有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物、
6. 前記式(1)で表されるポリアニリン誘導体とは異なる電子受容性ドーパント物質を含む1~5のいずれかの有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物、
7. 前記電子受容性ドーパント物質が、ブレンステッド酸である6の有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物、
8. 前記電子受容性ドーパント物質が、式(2)で表されるアリールスルホン酸化合物である7の有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物、
【化3】
(式中、Xは、Oを表し、Aは、ナフタレン環またはアントラセン環を表し、Bは、2~4価のパーフルオロビフェニル基を表し、lは、Aに結合するスルホン酸基数を表し、1≦l≦4を満たす整数であり、qは、BとXとの結合数を示し、2~4を満たす整数である。)
9. 前記溶媒が、アルコール系溶媒および水から選ばれる1種または2種以上の溶媒を含む1~8のいずれかの有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物、
10. 前記有機光電変換素子が、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池または光センサーである1~9のいずれかの有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物、
11. 1~10のいずれかの有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物を用いてなる正孔捕集層、
12. 11の正孔捕集層を有する有機光電変換素子、
13. 11の正孔捕集層と、それに接するように設けられた活性層とを有する有機光電変換素子、
14. 前記活性層が、フラーレン誘導体を含む12または13の有機光電変換素子、
15. 前記活性層が、主鎖にチオフェン骨格を含むポリマーを含む12または13の有機光電変換素子、
16. 前記活性層が、フラーレン誘導体および主鎖にチオフェン骨格を含むポリマーを含む12または13の有機光電変換素子、
17. 逆積層型である12~16のいずれかの有機光電変換素子、
18. 前記有機光電変換素子が、有機薄膜太陽電池または光センサーである12~17のいずれかの有機光電変換素子、
19. トップ陽極構造を有する12~18のいずれかの有機光電変換素子、
20. 式(1)で表されるポリアニリン誘導体からなる電荷輸送性物質と、この式(1)で表されるポリアニリン誘導体とは異なる電子受容性ドーパント物質と、フッ素系界面活性剤と、溶媒とを含むことを特徴とする電荷輸送性組成物、
【化4】
{式中、R
1~R
6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スルホン酸基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のチオアルコキシ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数1~20のハロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基、または炭素数1~20のアシル基を表すが、R
1~R
4のうちの一つはスルホン酸基であり、残るR
1~R
4のうちの一つ以上は、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のチオアルコキシ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数1~20のハロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、または炭素数7~20のアラルキル基であり、mおよびnは、それぞれ、0≦m≦1、0≦n≦1、かつ、m+n=1を満たす数である。}
21. アルコキシシランを含む20の電荷輸送性組成物、
22. 前記電子受容性ドーパント物質が、式(2)で表されるアリールスルホン酸化合物である20または21の電荷輸送性組成物
【化5】
(式中、Xは、Oを表し、Aは、ナフタレン環またはアントラセン環を表し、Bは、2~4価のパーフルオロビフェニル基を表し、lは、Aに結合するスルホン酸基数を表し、1≦l≦4を満たす整数であり、qは、BとXとの結合数を示し、2~4を満たす整数である。)
を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物は、市場で安価に入手可能な、あるいは公知の方法で簡便に合成できるポリアニリン誘導体からなる電荷輸送性物質を用いて製造可能なだけでなく、それから得られる薄膜を正孔捕集層として用いた場合にPCEに優れた有機薄膜太陽電池を得ることができる。また、本発明の正孔捕集層用組成物を用いることで高均一薄膜が形成可能であるため、この高均一薄膜を正孔捕集層とすることで電流リークを抑制し、逆バイアス暗電流を低く抑えることができる。したがって、本発明の正孔捕集層用組成物からなる薄膜を、有機薄膜太陽電池と同様の素子構造に適用し、わずかな光子を電子に変換して検知することが可能であるため、当該組成物から得られる正孔捕集層は、高性能なイメージセンサー用途等の光センサー用途への応用も可能である。
また、本発明で用いるポリアニリン誘導体からなる電荷輸送性物質は、アルコールや水等のプロトン性極性溶媒に対する溶解性に優れ、これらの活性層に悪影響を与えにくい溶媒を用いて組成物を調製でき、しかも、フッ素系界面活性剤を含んでいるため活性層上に容易に成膜できるため、逆積層型有機薄膜太陽電池の作製にも適している。
さらに、ブレンステッド酸からなる電子受容性ドーパント物質を添加することで、より高いPCEを示し、高耐久性を発現するOPV素子が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明の有機光電変換素子の正孔捕集層用組成物は、式(1)で表されるポリアニリン誘導体からなる電荷輸送性物質と、フッ素系界面活性剤と、溶媒とを含む。
【0012】
【0013】
式(1)中、R1~R6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スルホン酸基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のチオアルコキシ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数1~20のハロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基、または炭素数1~20のアシル基を表すが、R1~R4のうちの一つはスルホン酸基であり、残るR1~R4のうちの一つ以上は、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のチオアルコキシ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数1~20のハロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、または炭素数7~20のアラルキル基である。
【0014】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
炭素数1~20のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等の炭素数1~20の鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ビシクロブチル基、ビシクロペンチル基、ビシクロヘキシル基、ビシクロヘプチル基、ビシクロオクチル基、ビシクロノニル基、ビシクロデシル基等の炭素数3~20の環状アルキル基等が挙げられる。
【0015】
炭素数2~20のアルケニル基の具体例としては、エテニル基、n-1-プロペニル基、n-2-プロペニル基、1-メチルエテニル基、n-1-ブテニル基、n-2-ブテニル基、n-3-ブテニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-エチルエテニル基、1-メチル-1-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、n-1-ペンテニル基、n-1-デセニル基、n-1-エイコセニル基等が挙げられる。
【0016】
炭素数2~20のアルキニル基の具体例としては、エチニル基、n-1-プロピニル基、n-2-プロピニル基、n-1-ブチニル基、n-2-ブチニル基、n-3-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、n-1-ペンチニル基、n-2-ペンチニル基、n-3-ペンチニル基、n-4-ペンチニル基、1-メチル-n-ブチニル基、2-メチル-n-ブチニル基、3-メチル-n-ブチニル基、1,1-ジメチル-n-プロピニル基、n-1-ヘキシニル基、n-1-デシニル基、n-1-ペンタデシニル基、n-1-エイコシニル基等が挙げられる。
【0017】
炭素数1~20のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、c-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペントキシ基、n-ヘキソキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、n-トリデシルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基、n-ペンタデシルオキシ基、n-ヘキサデシルオキシ基、n-ヘプタデシルオキシ基、n-オクタデシルオキシ基、n-ノナデシルオキシ基、n-エイコサニルオキシ基等が挙げられる。
【0018】
炭素数1~20のチオアルコキシ基の具体例としては、上記アルコキシ基の酸素原子を硫黄原子で置換した基等が挙げられる。
炭素数1~20のチオアルコキシ(アルキルチオ)基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、s-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、n-ヘプチルチオ基、n-オクチルチオ基、n-ノニルチオ基、n-デシルチオ基、n-ウンデシルチオ基、n-ドデシルチオ基、n-トリデシルチオ基、n-テトラデシルチオ基、n-ペンタデシルチオ基、n-ヘキサデシルチオ基、n-ヘプタデシルチオ基、n-オクタデシルチオ基、n-ノナデシルチオ基、n-エイコサニルチオ基等が挙げられる。
【0019】
炭素数1~20のハロアルキル基としては、上記アルキル基中の水素原子の少なくとも1つをハロゲン原子で置換した基等が挙げられる。なお、ハロゲン原子は、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素原子のいずれでもよい。中でも、フルオロアルキル基が好ましく、パーフルオロアルキル基がより好ましい。
その具体例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、ノナフルオロブチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチル基、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6-ウンデカフルオロヘキシル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロヘキシル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル基等が挙げられる。
【0020】
炭素数6~20のアリール基の具体例としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、9-フェナントリル基等が挙げられる。
【0021】
炭素数7~20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、p-メチルフェニルメチル基、m-メチルフェニルメチル基、o-エチルフェニルメチル基、m-エチルフェニルメチル基、p-エチルフェニルメチル基、2-プロピルフェニルメチル基、4-イソプロピルフェニルメチル基、4-イソブチルフェニルメチル基、α-ナフチルメチル基等が挙げられる。
炭素数1~20のアシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0022】
上述のとおり、本発明で用いる式(1)のポリアニリン誘導体において、R1~R4のうちの一つはスルホン酸基であり、残るR1~R4のうちの一つ以上、好ましくは残るR1~R4のうちいずれか一つは、電子供与性基である、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のチオアルコキシ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数1~20のハロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、または炭素数7~20のアラルキル基であるが、特に、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のチオアルコキシ基、炭素数1~20のアルキル基が好ましく、炭素数1~20のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1~10のアルコキシ基がより一層好ましい。
置換位置は特に限定されるものではないが、本発明では、R1がスルホン酸基であることが好ましく、また、R4が炭素数1~20のアルコキシであることが好ましい。
さらに、R2、R3、R5およびR6は、いずれも水素原子であることが好ましい。
【0023】
式(1)中、mおよびnは、それぞれ、0≦m≦1、0≦n≦1、かつ、m+n=1を満たす数であるが、得られる正孔捕集層の導電性をより高めることを考慮すると、0<n<1が好ましく、0.1≦n≦0.9がより好ましい。
【0024】
式(1)で表されるポリアニリン誘導体の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、導電性という点を考慮すると、下限として通常200以上、好ましくは1,000以上であり、溶媒に対する溶解性向上という点を考慮すると、上限として通常5,000,000以下、好ましくは500,000以下である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値である。
【0025】
なお、本発明の組成物において、式(1)で表されるポリアニリン誘導体は、単独で用いてもよく、2種以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
また、式(1)で表されるポリアニリン誘導体は、市販品を用いても、アニリン誘導体などを出発原料とした公知の方法によって重合したものを用いてもよいが、いずれの場合も再沈殿やイオン交換等の方法により精製されたものを用いることが好ましい。精製したものを用いることで、当該化合物を含む組成物から得られた薄膜を備えたOPV素子の特性をより高めることができる。
【0026】
有機薄膜太陽電池において、正孔捕集層のイオン化ポテンシャルは、活性層中におけるp型半導体材料のイオン化ポテンシャルに近接した値であることが好ましい。その差の絶対値は、0~1eVが好ましく、0~0.5eVがより好ましく、0~0.2eVがより一層好ましい。
したがって、本発明の正孔捕集層用組成物には、これを用いて得られる電荷輸送性薄膜のイオン化ポテンシャルを調節することを目的として、電子受容性ドーパント物質を含んでいてもよい。
電子受容性ドーパント物質としては、使用する少なくとも1種の溶媒に溶解するものであれば、特に限定されない。
【0027】
電子受容性ドーパント物質の具体例としては、塩化水素、硫酸、硝酸、リン酸等の無機強酸;塩化アルミニウム(III)(AlCl3)、四塩化チタン(IV)(TiCl4)、三臭化ホウ素(BBr3)、三フッ化ホウ素エーテル錯体(BF3・OEt2)、塩化鉄(III)(FeCl3)、塩化銅(II)(CuCl2)、五塩化アンチモン(V)(SbCl5)、五フッ化砒素(V)(AsF5)、五フッ化リン(PF5)、トリス(4-ブロモフェニル)アルミニウムヘキサクロロアンチモナート(TBPAH)等のルイス酸;ベンゼンスルホン酸、トシル酸、カンファスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、5-スルホサリチル酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、国際公開第2005/000832号に記載されている1,4-ベンゾジオキサンジスルホン酸化合物、国際公開第2006/025342号に記載されているアリールスルホン酸化合物、特開2005-108828号公報に記載されているジノニルナフタレンスルホン酸、1,3,6-ナフタレントリスルホン酸等の有機強酸;7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)、ヨウ素等の有機酸化剤、国際公開第2010/058777号に記載されているリンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンタングストモリブデン酸等のヘテロポリ酸化合物等の無機酸化剤が挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
上記各種電子受容性ドーパント物質の中でも、本発明では、特に、H+を供与するブレンステッド酸が好ましく、アリールスルホン酸化合物がより好ましく、特に式(2)で表されるアリールスルホン酸化合物が好適である。
【0029】
【化7】
(式中、Xは、Oを表し、Aは、ナフタレン環またはアントラセン環を表し、Bは、2~4価のパーフルオロビフェニル基を表し、lは、Aに結合するスルホン酸基数を表し、1≦l≦4を満たす整数であり、qは、BとXとの結合数を示し、2~4を満たす整数である。)
【0030】
本発明において、好適に用いることができるアリールスルホン酸化合物の例としては、以下の化合物(式(2-1))が挙げられる。
【0031】
【0032】
さらに、本発明の組成物は、フッ素系界面活性剤を含む。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を含有している限り特に限定されるものではなく、カチオン性、アニオン性、ノニオン性のいずれでもよいが、フッ素系ノニオン性界面活性剤が好適であり、特に、下記式(A1)および(B1)から選ばれる少なくとも1種のフッ素系ノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0033】
【0034】
上記式中、Rは、フッ素原子を含有する1価の有機基を表し、nは、1~20の整数を表す。
有機基の具体例としては、炭素数1~40のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基、炭素数2~20のヘテロアリール基等が挙げられる。
ヘテロアリール基の具体例としては、2-チエニル基、3-チエニル基、2-フラニル基、3-フラニル基、2-オキサゾリル基、4-オキサゾリル基、5-オキサゾリル基、3-イソオキサゾリル基、4-イソオキサゾリル基、5-イソオキサゾリル基、2-チアゾリル基、4-チアゾリル基、5-チアゾリル基、3-イソチアゾリル基、4-イソチアゾリル基、5-イソチアゾリル基、2-イミダゾリル基、4-イミダゾリル基、2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-ピリジル基、2-ピラジル基、3-ピラジル基、5-ピラジル基、6-ピラジル基、2-ピリミジル基、4-ピリミジル基、5-ピリミジル基、6-ピリミジル基、3-ピリダジル基、4-ピリダジル基、5-ピリダジル基、6-ピリダジル基、1,2,3-トリアジン-4-イル基、1,2,3-トリアジン-5-イル基、1,2,4-トリアジン-3-イル基、1,2,4-トリアジン-5-イル基、1,2,4-トリアジン-6-イル基、1,3,5-トリアジン-2-イル基等が挙げられる。
その他、アルキル基、アリール基、アラルキル基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。
上記nは、1~20の整数であれば、特に限定されるものではないが、1~10の整数がより好ましい。
【0035】
これらの中でも、炭素数1~40のパーフルオロアルキル基Rfを有する下記(A2)で示されるパーフルオロアルキルポリオキシエチレンエステルおよび(B2)で示されるパーフルオロアルキルポリオキシエチレンエーテルまたはフッ素テロマーアルコールから選ばれる少なくとも1種のフッ素系ノニオン性界面活性剤がより好ましい。
【0036】
【化10】
(式中、nは、上記と同じ意味を表す。)
【0037】
本発明で用いるフッ素系界面活性剤は、市販品として入手可能である。
そのような市販品としては、デュポン製キャップストーン(Capstone,登録商標)FS-10、FS-22、FS-30、FS-31、FS-34、FS-35、FS-50、FS-51、FS-60、FS-61、FS-63、FS-64、FS-65、FS-66、FS-81、FS-83、FS-3100;第一工業製薬(株)製ノイゲンFN-1287等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
特に、ノニオン性界面活性剤である、キャップストーンFS-30、31、34、35、3100、ノイゲンFN-1287が好適である。
【0038】
本発明の組成物において、フッ素系界面活性剤の含有量は特に限定されるものではないが、活性層上での成膜性の向上と、添加による光電変換効率の低下とのバランスを考慮すると、組成物全体に対し、0.05~10質量%が好ましく、0.05~5.0質量%がより好ましく、0.07~2.0質量%がより一層好ましく、0.10~1.0質量%がさらに好ましい。
【0039】
さらに、本発明の組成物は、アルコキシシランを含むことが好ましい。アルコキシシランを含むことで、得られる薄膜の耐溶剤性および耐水性の向上、電子ブロック性向上、並びにHOMOレベルおよびLUMOレベルを活性層に対して最適な値とすることができる。なお、アルコキシシランは、シロキサン系材料であってもよい。
アルコキシシランとしては、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、ジアルコキシシランの中から任意の1種以上のアルコキシシランを用いることができるが、特にテトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシランが好ましく、テトラエトキシシランがより好ましい。
シロキサン系材料としては、上記アルコキシシランに対して加水分解等の反応により得られる、ポリ(テトラエトキシシラン)、ポリ(フェニルエトキシシラン)等のポリシロキサンが挙げられる。
アルコキシシランの添加量としては、上記の効果が発揮される量であれば特に限定されないが、本発明で用いるポリアニリン誘導体に対し、質量比で0.0001~100倍が好ましく、0.01~50倍がより好ましく、0.05~10倍がより一層好ましい。
【0040】
なお、本発明の組成物には、本発明の目的を達成し得る限り、その他の添加剤を配合してもよい。
添加剤の種類としては、所望の効果に応じて公知のものから適宜選択して用いることができる。
【0041】
正孔捕集層用組成物の調製に用いる溶媒としては、ポリアニリン誘導体および電子受容性ドーパント物質を良好に溶解し得る高溶解性溶媒を用いることができる。高溶解性溶媒は1種単独で、または2種以上混合して用いることができ、その使用量は、組成物に使用する溶媒全体に対して5~100質量%とすることができる。
【0042】
このような高溶解性溶媒としては、例えば、水;エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、s-ブタノール、t-ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール等のアルコール系溶媒、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等のアミド系溶媒などの有機溶媒が挙げられる。
これらの中でも、水およびアルコール系溶媒から選ばれる少なくとも1種が好ましく、水、エタノール、2-プロパノールがより好ましい。
特に、逆積層型のOPVの正孔捕集層の形成に用いる場合には、活性層に悪影響を与えない、アルコール系溶媒および水から選ばれる1種または2種以上の溶媒のみからなる溶媒を用いることが好ましい。
【0043】
電荷輸送性物質および電子受容性ドーパント物質は、いずれも上記溶媒に完全に溶解しているか、均一に分散している状態となっていることが好ましく、高変換効率の有機薄膜太陽電池を与える正孔捕集層を再現性よく得ることを考慮すると、これらの物質は上記溶媒に完全に溶解していることがより好ましい。
【0044】
また、本発明の正孔捕集層用組成物は、成膜性および塗布装置からの吐出性向上のために、25℃で10~200mPa・s、特に35~150mPa・sの粘度を有し、常圧で沸点50~300℃、特に150~250℃の高粘度有機溶媒を、少なくとも1種類含有してもよい。
高粘度有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、例えば、シクロヘキサノール、エチレングリコール、1,3-オクチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、へキシレングリコール等が挙げられる。
【0045】
本発明の組成物に使用される溶媒全体に対する高粘度有機溶媒の添加割合は、固体が析出しない範囲内であることが好ましく、固体が析出しない限りにおいて、添加割合は、5~80質量%であることが好ましい。
【0046】
さらに、塗布面に対する濡れ性の向上、溶媒の表面張力の調整、極性の調整、沸点の調整等の目的で、熱処理時に膜の平坦性を付与し得るその他の溶媒を、組成物に使用する溶媒全体に対して1~90質量%、好ましくは1~50質量%の割合で混合することもできる。
このような溶媒としては、例えば、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルカルビトール、ジアセトンアルコール、γ-ブチロラクトン、エチルラクテート、n-ヘキシルアセテート等が挙げられる。
【0047】
本発明の組成物の固形分濃度は、組成物の粘度および表面張力等や、作製する薄膜の厚み等を勘案して適宜設定されるものではあるが、通常、0.1~10.0質量%程度であり、好ましくは0.5~5.0質量%、より好ましくは1.0~3.0質量%である。
また、電荷輸送性物質と電子受容性ドーパント物質の質量比も、発現する電荷輸送性、電荷輸送性物質等の種類を考慮して適宜設定されるものではあるが、通常、電荷輸送性物質1に対し、電子受容性ドーパント物質0~10、好ましくは0.1~3.0、より好ましくは0.2~2.0である。
そして、本発明において用いる正孔捕集層用組成物の粘度は、作製する薄膜の厚み等や固形分濃度を考慮し、塗布方法に応じて適宜調節されるものではあるが、通常25℃で0.1mPa・s~50mPa・s程度である。
【0048】
本発明の組成物を調製する際、固形分が溶媒に均一に溶解または分散する限り、電荷輸送性物質、電子受容性ドーパント物質、溶媒等を任意の順序で混合することができる。すなわち、例えば、溶媒にポリアニリン誘導体を溶解させた後、その溶液に電子受容性ドーパント物質を溶解させる方法、溶媒に電子受容性ドーパント物質を溶解させた後、その溶液にポリアニリン誘導体を溶解させる方法、ポリアニリン誘導体と電子受容性ドーパント物質とを混合した後、その混合物を溶媒に投入して溶解させる方法のいずれも、固形分が溶媒に均一に溶解または分散する限り、採用することができる。
なお、フッ素系界面活性剤、アルコキシシランの添加順序も任意である。
【0049】
また、通常、組成物の調製は、常温、常圧の不活性ガス雰囲気下で行われるが、組成物中の化合物が分解したり、組成が大きく変化したりしない限り、大気雰囲気下(酸素存在下)で行ってもよく、加熱しながら行ってもよい。
【0050】
以上説明した組成物を、順積層型有機薄膜太陽電池の場合は陽極上に、逆積層型有機薄膜太陽電池の場合は活性層上に塗布して焼成することで、本発明の正孔捕集層を形成できる。
塗布にあたっては、組成物の粘度と表面張力、所望する薄膜の厚さ等を考慮し、ドロップキャスト法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法、印刷法(凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等)等といった各種ウェットプロセス法の中から最適なものを採用すればよい。
また、通常、塗布は、常温、常圧の不活性ガス雰囲気下で行われるが、組成物中の化合物が分解したり、組成が大きく変化したりしない限り、大気雰囲気下(酸素存在下)で行ってもよく、加熱しながら行ってもよい。
【0051】
膜厚は、特に限定されないが、いずれの場合も0.1~500nm程度が好ましく、さらには1~100nm程度が好ましい。膜厚を変化させる方法としては、組成物中の固形分濃度を変化させたり、塗布時の溶液量を変化させたりする等の方法がある。
【0052】
以下、本発明の正孔捕集層形成用組成物を用いた有機薄膜太陽電池の製造方法について説明するが、これらに限定されるものではない。
(1)順積層型有機薄膜太陽電池
[陽極層の形成]:透明基板の表面に陽極材料の層を形成し、透明電極を製造する工程
陽極材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)等の無機酸化物や、金、銀、アルミニウム等の金属、ポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体等の高電荷輸送性有機化合物を用いることができる。これらの中ではITOが最も好ましい。また、透明基板としては、ガラスあるいは透明樹脂からなる基板を用いることができる。
陽極材料の層(陽極層)の形成方法は、陽極材料の性質に応じて適宜選択される。通常、難溶性、難分散性昇華性材料の場合には真空蒸着法やスパッタ法等のドライプロセスが選択され、溶液材料あるいは分散液材料の場合には、組成物の粘度と表面張力、所望する薄膜の厚さ等を考慮し、上述した各種ウェットプロセス法の中から最適なものが採用される。
【0053】
また、市販の透明陽極基板を用いることもでき、この場合、素子の歩留を向上させる観点からは、平滑化処理がされている基板を用いることが好ましい。市販の透明陽極基板を用いる場合、本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法は、陽極層を形成する工程を含まない。
ITO等の無機酸化物を陽極材料として用いて透明陽極基板を形成する場合、上層を積層する前に、洗剤、アルコール、純水等で洗浄してから使用することが好ましい。さらに、使用直前にUVオゾン処理、酸素-プラズマ処理等の表面処理を施すことが好ましい。陽極材料が有機物を主成分とする場合、表面処理を行わなくともよい。
【0054】
[正孔捕集層の形成]:形成された陽極材料の層上に正孔捕集層を形成する工程
上記方法に従い、陽極材料の層上に、本発明の組成物を用いて正孔捕集層を形成する。
【0055】
[活性層の形成]:形成された正孔捕集層上に活性層を形成する工程
活性層は、n型半導体材料からなる薄膜であるn層と、p型半導体材料からなる薄膜であるp層とを積層したものであっても、これら材料の混合物からなる非積層薄膜であってもよい。
【0056】
n型半導体材料としては、フラーレン、[6,6]-フェニル-C61-酪酸メチルエステル(PC61BM)、[6,6]-フェニル-C71-酪酸メチルエステル(PC71BM)等が挙げられる。一方、p型半導体材料としては、レジオレギュラーポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)、下記式(4)で示されるPTB7、特開2009-158921号公報および国際公開第2010/008672号に記載されているようなチエノチオフェンユニット含有ポリマー類等の、主鎖にチオフェン骨格を含むポリマー、CuPC,ZnPC等のフタロシアニン類、テトラベンゾポルフィリン等のポルフィリン類などが挙げられる。
【0057】
【0058】
これらの中でも、n型材料としては、PC61BM、PC71BMが、p型材料としては、PTB7等の主鎖にチオフェン骨格を含むポリマー類が好ましい。
なお、ここでいう「主鎖にチオフェン骨格」とはチオフェンのみからなる2価の芳香環、またはチエノチオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾジチオフェン、ナフトチオフェン、ナフトジチオフェン、アントラチオフェン、アントラジチオフェン等のような1以上のチオフェンを含む2価の縮合芳香環を表し、これらは上記R1~R6で示される置換基で置換されていてもよい。
【0059】
活性層の形成方法も、上記と同様、活性層材料が難溶性昇華性材料の場合には上述した各種ドライプロセスが選択され、溶液材料あるいは分散液材料の場合には、組成物の粘度と表面張力、所望する薄膜の厚さ等を考慮し、上述した各種ウェットプロセス法の中から最適なものが採用される。
【0060】
[電子捕集層の形成]:形成された活性層上に電子捕集層を形成する工程
必要に応じて、電荷の移動を効率化すること等を目的として、活性層と陰極層の間に電子捕集層を形成してもよい。
電子捕集層を形成する材料としては、酸化リチウム(Li2O)、酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al2O3)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化ストロンチウム(SrF2)、炭酸セシウム(Cs2CO3)、8-キノリノールリチウム塩(Liq)、8-キノリノールナトリウム塩(Naq)、バソクプロイン(BCP)、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BPhen)、ポリエチレンイミン(PEI)、エトキシ化ポリエチレンイミン(PEIE)等が挙げられる。
【0061】
電子捕集層の形成方法も、上記と同様、電子捕集材料が難溶性昇華性材料の場合には上述した各種ドライプロセスが選択され、溶液材料あるいは分散液材料の場合には、組成物の粘度と表面張力、所望する薄膜の厚さ等を考慮し、上述した各種ウェットプロセス法の中から最適なものが採用される。
【0062】
[陰極層の形成]:形成された電子捕集層の上に陰極層を形成する工程
陰極材料としては、アルミニウム、マグネシウム-銀合金、アルミニウム-リチウム合金、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、バリウム、銀、金等の金属や、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)等の無機酸化物や、ポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体等の高電荷輸送性有機化合物が挙げられ、複数の陰極材料を積層したり、混合したりして使用することができる。
陰極層の形成方法も、上記と同様、陰極層材料が難溶性、難分散性昇華性材料の場合には上述した各種ドライプロセスが選択され、溶液材料あるいは分散液材料の場合には、組成物の粘度と表面張力、所望する薄膜の厚さ等を考慮し、上述した各種ウェットプロセス法の中から最適なものが採用される。
【0063】
[キャリアブロック層の形成]
必要に応じて、光電流の整流性をコントロールすること等を目的として、任意の層間にキャリアブロック層を設けてもよい。キャリアブロック層を設ける場合、通常、活性層と、正孔捕集層または陽極との間に電子ブロック層を、活性層と、電子捕集層または陰極との間に正孔ブロック層を挿入する場合が多いが、この限りではない。
正孔ブロック層を形成する材料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、バソクプロイン(BCP)、4,7-ジフェニル1,10-フェナントロリン(BPhen)等が挙げられる。
電子ブロック層を形成する材料としては、N,N′-ジ(1-ナフチル)-N,N′-ジフェニルベンジジン(α-NPD)、ポリ(トリアリールアミン)(PTAA)等のトリアリールアミン系材料等が挙げられる。
【0064】
キャリアブロック層の形成方法も、上記と同様、キャリアブロック層材料が難溶性、難分散性昇華性材料の場合には上述した各種ドライプロセスが選択され、溶液材料あるいは分散液材料の場合には、組成物の粘度と表面張力、所望する薄膜の厚さ等を考慮し、上述した各種ウェットプロセス法の中から最適なものが採用される。
【0065】
(2)逆積層型有機薄膜太陽電池
[陰極層の形成]:透明基板の表面に陰極材料の層を形成し、透明陰極基板を製造する工程
陰極材料としては、上記順積層型の陽極材料で例示したものに加え、フッ素ドープ酸化錫(FTO)が挙げられ、透明基板としては、上記順積層型の陽極材料で例示したものが挙げられる。
陰極材料の層(陰極層)の形成方法も、難溶性、難分散性昇華性材料の場合には上述したドライプロセスが選択され、溶液材料あるいは分散液材料の場合には、組成物の粘度と表面張力、所望する薄膜の厚さ等を考慮し、上述した各種ウェットプロセス法の中から最適なものが採用される。
また、この場合も市販の透明陰極基板を好適に用いることができ、素子の歩留を向上させる観点からは、平滑化処理がされている基板を用いることが好ましい。市販の透明陰極基板を用いる場合、本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法は、陰極層を形成する工程を含まない。
無機酸化物を陰極材料として使用して透明陰極基板を形成する場合、順積層型の陽極材料と同様の洗浄処理や、表面処理を施してもよい。
【0066】
[電子捕集層の形成]:形成された陰極上に電子捕集層を形成する工程
必要に応じて、電荷の移動を効率化すること等を目的として、活性層と陰極層の間に電子捕集層を形成してもよい。
電子捕集層を形成する材料としては、上記順積層型の材料で例示したものに加え、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)、酸化スズ(SnO)等が挙げられる。
電子捕集層の形成方法も、難溶性、難分散性昇華性材料の場合には上述したドライプロセスが選択され、溶液材料あるいは分散液材料の場合には、組成物の粘度と表面張力、所望する薄膜の厚さ等を考慮し、上述した各種ウェットプロセス法の中から最適なものが採用される。また、無機酸化物の前駆体層をウェットプロセス(特にスピンコート法かスリットコート法)を用いて陰極上に形成し、焼成して無機酸化物の層を形成する方法を採用することもできる。
【0067】
[活性層の形成]:形成された電子捕集層上に活性層を形成する工程
活性層は、n型半導体材料からなる薄膜であるn層と、p型半導体材料からなる薄膜であるp層とを積層したものであっても、これら材料の混合物からなる非積層薄膜であってもよい。
n型およびp型半導体材料としては、上記順積層型の半導体材料で例示したものと同様のものが挙げられるが、n型材料としては、PC61BM、PC71BMが、p型材料としては、PTB7等の主鎖にチオフェン骨格を含むポリマー類が好ましい。
活性層の形成方法も、上記順積層型の活性層で説明した方法と同様である。
【0068】
[正孔捕集層の形成]:形成された活性層材料の層上に正孔捕集層を形成する工程
上記方法に従い、活性層材料の層上に、本発明の組成物を用いて正孔捕集層を形成する。
【0069】
[陽極層の形成]:形成された正孔捕集層の上に陽極層を形成する工程
陽極材料としては、上記順積層型の陽極材料と同様のものが挙げられ、陽極層の形成方法としても、順積層型の陰極層と同様である。
【0070】
[キャリアブロック層の形成]
順積層型の素子と同様、必要に応じて、光電流の整流性をコントロールすること等を目的として、任意の層間にキャリアブロック層を設けてもよい。
正孔ブロック層を形成する材料および電子ブロック層を形成する材料としては、上記と同様のものが挙げられ、キャリアブロック層の形成方法も上記と同様である。
【0071】
上記で例示した方法によって作製されたOPV素子は、大気による素子劣化を防ぐために、再度グローブボックス内に導入して窒素等の不活性ガス雰囲気下で封止操作を行い、封止された状態で太陽電池としての機能を発揮させたり、太陽電池特性の測定を行ったりすることができる。
封止法としては、端部にUV硬化樹脂を付着させた凹型ガラス基板を、不活性ガス雰囲気下、有機薄膜太陽電池素子の成膜面側に付着させ、UV照射によって樹脂を硬化させる方法や、真空下、スパッタリング等の手法によって膜封止タイプの封止を行う方法などが挙げられる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、使用した装置は以下のとおりである。
(1)NMR
装置:日本電子(株)製 ECX-300
測定溶媒:純正化学(株)製 ジメチルスルホキシド-d6
(2)グローブボックス:山八物産(株)製、VACグローブボックスシステム
(3)蒸着装置:アオヤマエンジニアリング(株)製、真空蒸着装置
(4)ソーラーシミュレータ:分光計器(株)製、OTENTOSUN-III、AM1.5Gフィルター、放射強度:100mW/cm2
(5)ソースメジャーユニット:ケースレーインスツルメンツ(株)製、2612A
(6)GPC
装置:東ソー(株)製 HLC-8320GPC Eco SEC
カラム:東ソー(株)製 TSKgel G3000PWXL
カラム温度:40℃
溶離液:100mM 硝酸ナトリウム水溶液
送液速度:0.5mL/min
検出器:UV(254nm)
検量線:標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(アルドリッチ製)
(7)膜厚測定装置:(株)小坂研究所製、サーフコーダ ET-4000
(8)イオン化ポテンシャル測定装置:理研計器(株)製、AC-3
【0073】
[1]活性層組成物の調製1
[調製例1]
PTB7(1-Material社製)20mgおよびPC61BM(フロンティアカーボン社製、製品名:nanom spectra E100)30mgが入ったサンプル瓶の中にクロロベンゼン2.0mLを加え、80℃のホットプレート上で15時間撹拌した。この溶液を室温まで放冷した後、1,8-ジヨードオクタン(東京化成工業(株)製)60μLを加えて撹拌し、溶液A1(活性層組成物)を得た。
【0074】
[2]ポリメトキシアニリンスルホン酸の合成
[合成例1]
o-アニシジン-5-スルホン酸20mmolと、トリエチルアミン20mmolとを、室温で蒸留水4.5mLおよびアセトニトリル4.5mLを含む混合溶媒9mLに溶解し、溶液1を得た。続いて、蒸留水9mLとアセトニトリル9mLを含む混合溶媒18mLにペルオキソ二硫酸アンモニウム20mmolと98%濃硫酸1.1gとを溶解した溶液2を0℃に冷却し、その中に溶液1を30分かけて滴下した。
滴下終了後、反応溶液を25℃で1時間さらに撹拌した後、反応生成物を吸引ろ過で濾別した。ろ取した固体をメチルアルコール200mLで洗浄した後、真空乾燥してポリメトキシアニリンスルホン酸の緑色粉末2.78gを得た。
得られたポリマーの重量平均分子量をGPCによって測定したところ、1,366であった。
【0075】
[3]正孔捕集層用組成物の製造1
[実施例1-1]
合成例1で得られたポリメトキシアニリンスルホン酸750mgを蒸留水24.3gに溶解し、濃度3.0質量%の褐色溶液を調製した。得られた褐色溶液に、フッ素系ノニオン性界面活性剤(FS-30,デュポン製)を、褐色溶液全体に対して0.1質量%添加し、孔径0.45μmのシリンジフィルターでろ過して、正孔捕集層用組成物B1を得た。
【0076】
[実施例1-2]
合成例1で得られたポリメトキシアニリンスルホン酸375mgを蒸留水24.6gに溶解し、濃度1.5質量%の褐色溶液を調製した。得られた褐色溶液に、フッ素系ノニオン性界面活性剤(FS-30,デュポン製)を、褐色溶液全体に対して0.1質量%添加し、孔径0.45μmのシリンジフィルターでろ過して、正孔捕集層用組成物B2を得た。
【0077】
[実施例1-3]
合成例1で得られたポリメトキシアニリンスルホン酸250mgと国際公開第2006/025342号の記載に基づいて合成した上記式(2-1)で示されるアリールスルホン酸化合物A125mgを、蒸留水24.6gとに溶解し、濃度1.5質量%の褐色溶液を調製した。得られた褐色溶液に、フッ素系ノニオン性界面活性剤(FS-30,デュポン製)を、褐色溶液全体に対して0.1質量%添加し、孔径0.45μmのシリンジフィルターでろ過して、正孔捕集層用組成物B3を得た。
【0078】
[実施例1-4]
フッ素系ノニオン性界面活性剤(FS-30,デュポン製)を、フッ素系ノニオン性界面活性剤(FS-34,デュポン製)に変更した以外は、実施例1-1と同様にして、正孔捕集層用組成物B4を得た。
【0079】
[実施例1-5]
フッ素系ノニオン性界面活性剤(FS-30,デュポン製)を、フッ素系ノニオン性界面活性剤(FS-34,デュポン製)に変更した以外は、実施例1-2と同様にして、正孔捕集層用組成物B5を得た。
【0080】
[実施例1-6]
フッ素系ノニオン性界面活性剤(FS-30,デュポン製)を、フッ素系ノニオン性界面活性剤(FS-34,デュポン製)に変更した以外は、実施例1-3と同様にして、正孔捕集層用組成物B6を得た。
【0081】
[実施例1-7]
フッ素系ノニオン性界面活性剤(FS-30,デュポン製)を、フッ素系ノニオン性界面活性剤(FN-1287,第一工業製薬(株)製)に変更した以外は、実施例1-1と同様にして、正孔捕集層用組成物B7を得た。
【0082】
[実施例1-8]
フッ素系ノニオン性界面活性剤(FS-30,デュポン製)をフッ素系ノニオン性界面活性剤(FN-1287,第一工業製薬(株)製)に変更した以外は、実施例1-2と同様にして、正孔捕集層用組成物B8を得た。
【0083】
[実施例1-9]
フッ素系ノニオン性界面活性剤(FS-30,デュポン製)を、フッ素系ノニオン性界面活性剤(FN-1287,第一工業製薬(株)製)に変更した以外は、実施例1-3と同様にして、正孔捕集層用組成物B9を得た。
【0084】
[実施例1-10]
合成例1で得られたポリメトキシアニリンスルホン酸250mgと国際公開第2006/025342号の記載に基づいて合成した上記式(2-1)で示されるアリールスルホン酸化合物A125mgを、蒸留水12.1gに溶解し、濃度3.0質量%の褐色溶液を調製した。得られた褐色溶液に、フッ素系ノニオン性界面活性剤(FN-1287,第一工業製薬(株)製)を、褐色溶液全体に対して0.1質量%添加し、孔径0.45μmのシリンジフィルターでろ過して、正孔捕集層用組成物B10を得た。
【0085】
[実施例1-11]
フッ素系ノニオン性界面活性剤(FN-1287,第一工業製薬(株)製)の添加量を、0.5質量%に変更した以外は、実施例1-9と同様にして、正孔捕集層用組成物B11を得た。
【0086】
[実施例1-12]
aquaPASS-01X(三菱ケミカル(株)製,5.1質量%水溶液)4.41gに、蒸留水3.20gとエタノール7.39gを加えて、濃度1.5質量%の褐色溶液を調製した。得られた褐色溶液に、フッ素系ノニオン性界面活性剤(FN-1287,第一工業製薬(株)製)を、褐色溶液全体に対して0.5質量%添加し、孔径0.45μmのシリンジフィルターでろ過して、正孔捕集層用組成物B12を得た。
【0087】
[実施例1-13]
国際公開第2006/025342号の記載に基づいて合成した上記式(2-1)で示されるアリールスルホン酸化合物A100mgを蒸留水6.13gに溶解し、aquaPASS-01X(三菱ケミカル(株)製,5.1質量%水溶液)3.92gとエタノール9.85gを加えて、濃度1.5質量%の褐色溶液を調製した。得られた褐色溶液に、フッ素系ノニオン性界面活性剤(FN-1287,第一工業製薬(株)製)を、褐色溶液全体に対して0.7質量%添加し、孔径0.45μmのシリンジフィルターでろ過して、正孔捕集層用組成物B13を得た。
【0088】
[実施例1-14]
国際公開第2006/025342号の記載に基づいて合成した上記式(2-1)で示されるアリールスルホン酸化合物A200mgを蒸留水7.99gに溶解し、aquaPASS-01X(三菱ケミカル(株)製,5.1質量%水溶液)1.96gとエタノール9.85gを加えて、濃度1.5質量%の褐色溶液を調製した。得られた褐色溶液に、フッ素系ノニオン性界面活性剤(FS-35,デュポン製,25質量%水溶液)を、褐色溶液全体に対して4.0質量%添加し、孔径0.45μmのシリンジフィルターでろ過して、正孔捕集層用組成物B14を得た。
【0089】
[実施例1-15]
1,3,6-ナフタレントリスルホン酸20質量%水溶液(富山薬品工業(株)製,FUNCHEM-NTSH(20))200mgを蒸留水7.99gに溶解し、aquaPASS-01X(三菱ケミカル(株)製,5.1質量%水溶液)1.96gとエタノール9.85gを加えて、濃度1.5質量%の褐色溶液を調製した。得られた褐色溶液に、フッ素系ノニオン性界面活性剤(FN-1287,第一工業製薬(株)製)を、褐色溶液全体に対して1.0質量%添加し、孔径0.45μmのシリンジフィルターでろ過して、正孔捕集層用組成物B15を得た。
【0090】
[実施例1-16]
ポリスチレンスルホン酸20質量%水溶液(富山薬品工業(株)製,FUNCHEM-PSSH(20),分子量14,000)200mgを蒸留水7.99gに溶解し、aquaPASS-01X(三菱ケミカル(株)製,5.1質量%水溶液)1.96gとエタノール9.85gを加えて、濃度1.5質量%の褐色溶液を調製した。得られた褐色溶液に、フッ素系ノニオン性界面活性剤(FN-1287,第一工業製薬(株)製)を、褐色溶液全体に対して0.5質量%添加し、孔径0.45μmのシリンジフィルターでろ過して、正孔捕集層用組成物B16を得た。
【0091】
[4]有機薄膜太陽電池の作製1
[実施例2-1]
陰極となるITO透明導電層を2mm×20mmのストライプ状にパターニングした20mm×20mmのガラス基板を15分間UV/オゾン処理した。この基板に、電子捕集層となる酸化亜鉛の溶液(Genes’ Ink製)を滴下し、スピンコート法により成膜した。電子捕集層の膜厚は約20nmであった。その後、不活性ガスにより置換されたグローブボックス中で、形成した電子捕集層上に調製例1で得られた溶液A1を滴下してスピンコート法により成膜し、活性層を形成した。
次に、この活性層上に実施例1-1で調製した正孔捕集層用組成物B1をスピンコート法により塗布した後、ホットプレートを用いて、120℃で10分間加熱して正孔捕集層を形成した。正孔捕集層の膜厚は約30nmであった。
最後に、積層した基板を真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が1×10-3Pa以下になるまで排気し、抵抗加熱法によって、陽極となる銀層を80nmの厚さに蒸着することで、ストライプ状のITO層と銀層とが交差する部分の面積が2mm×2mmである逆積層型OPV素子を作製した。
【0092】
[実施例2-2~2-11]
正孔捕集層用組成物B1の代わりに、正孔捕集層用組成物B2~B11を用いた以外は、実施例2-1と同様の方法で、逆積層型OPV素子を作製した。
【0093】
[実施例2-12]
陰極となるITO透明導電層を2mm×20mmのストライプ状にパターニングした20mm×20mmのガラス基板を15分間UV/オゾン処理した。この基板に、電子捕集層となる酸化亜鉛の溶液(Genes’ Ink製)を滴下し、スピンコート法により成膜した。電子捕集層の膜厚は約20nmであった。その後、不活性ガスにより置換されたグローブボックス中で、形成した電子捕集層上に調製例1で得られた溶液A1を滴下してスピンコート法により成膜し、活性層を形成した。
次に、この活性層上に実施例1-12で調製した正孔捕集層用組成物B12をスピンコート法により塗布した後、室温で乾燥させることで正孔捕集層を形成した。正孔捕集層の膜厚は約50nmであった。
最後に、積層した基板を真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が1×10-3Pa以下になるまで排気し、抵抗加熱法によって、陽極となる銀層を80nmの厚さに蒸着することで、ストライプ状のITO層と銀層とが交差する部分の面積が2mm×2mmである逆積層型OPV素子を作製した。さらに、ホットプレートを用いて、60℃で30分間加熱してアニール処理を行った。
【0094】
[実施例2-13~2-16]
正孔捕集層用組成物B12の代わりに、正孔捕集層用組成物B13~B16を用いた以外は、実施例2-12と同様の方法で、逆積層型OPV素子を作製した。
【0095】
[比較例2-1]
正孔捕集層用組成物B1を用いない以外は、実施例2-1と同様の方法で、逆積層型OPV素子を作製した。
【0096】
[5]特性評価
上記実施例2-1~2-16および比較例2-1で作製した各OPV素子について、短絡電流密度(Jsc〔mA/cm2〕)、開放電圧(Voc〔V〕)、曲線因子(FF)、およびPCE〔%〕の評価を行った。結果を表1に示す。
なおPCE〔%〕は、下式により算出した。
PCE〔%〕=Jsc〔mA/cm2〕×Voc〔V〕×FF÷入射光強度(100〔mW/cm2〕)×100
【0097】
【0098】
表1に示されるとおり、本発明の正孔捕集層用組成物を用いることで、特性の良好な逆積層型のOPV素子が得られることがわかる。
【0099】
[6]正孔捕集層用組成物の製造2
[実施例1-17]
合成例1で得られたポリメトキシアニリンスルホン酸179mgと国際公開第2006/025342号の記載に基づいて合成した上記式(2-1)で示されるアリールスルホン酸化合物A89.3mgを、蒸留水13.0gとエタノール13.0gに溶解し、テトラエトキシシラン536mgを添加して、濃度3.0質量%の褐色溶液を調製した。得られた褐色溶液に、フッ素系ノニオン性界面活性剤(FS-35,デュポン製)を、褐色溶液全体に対して0.5質量%添加し、孔径0.45μmのシリンジフィルターでろ過して、正孔捕集層用組成物B17を得た。
【0100】
[実施例1-18]
合成例1で得られたポリメトキシアニリンスルホン酸124mgと国際公開第2006/025342号の記載に基づいて合成した上記式(2-1)で示されるアリールスルホン酸化合物A61.9mgを、蒸留水13.0gとエタノール13.0gに溶解し、テトラエトキシシラン619mgを添加して、濃度3.0質量%の褐色溶液を調製した。得られた褐色溶液に、フッ素系ノニオン性界面活性剤(FS-35,デュポン製)を、褐色溶液全体に対して0.5質量%添加し、孔径0.45μmのシリンジフィルターでろ過して、正孔捕集層用組成物B18を得た。
【0101】
[実施例1-19]
フッ素系ノニオン性界面活性剤をFN-1287(第一工業製薬(株))製に変更し、褐色溶液全体に対して0.3質量%添加した以外は、実施例1-17と同様にして、正孔捕集層用組成物B19を得た。
【0102】
[実施例1-20]
フッ素系ノニオン性界面活性剤をFN-1287(第一工業製薬(株))製に変更し、褐色溶液全体に対して0.3質量%添加した以外は、実施例1-18と同様にして、正孔捕集層用組成物B20を得た。
【0103】
[実施例1-21]
フッ素系ノニオン性界面活性剤(FN-1287,第一工業製薬(株)製)の添加量を、0.5質量%に変更した以外は、実施例1-19と同様にして、正孔捕集層用組成物B21を得た。
【0104】
[実施例1-22]
フッ素系ノニオン性界面活性剤(FN-1287,第一工業製薬(株)製)の添加量を、0.5質量%に変更した以外は、実施例1-20と同様にして、正孔捕集層用組成物B22を得た。
【0105】
[7]有機薄膜太陽電池の作製2
[実施例2-17~2-22]
正孔捕集層用組成物B1の代わりに、正孔捕集層用組成物B17~B22を用いた以外は、実施例2-1と同様の方法で、逆積層型OPV素子を作製した。
【0106】
[8]特性評価
上記実施例2-17~2-22で作製した各OPV素子について、短絡電流密度(Jsc〔mA/cm2〕)、開放電圧(Voc〔V〕)、曲線因子(FF)、およびPCE〔%〕の評価を行った。結果を表2に示す。なお、上記比較例2-1の結果も併せて示す。
なおPCE〔%〕は、下式により算出した。
PCE〔%〕=Jsc〔mA/cm2〕×Voc〔V〕×FF÷入射光強度(100〔mW/cm2〕)×100
【0107】
【0108】
表2に示されるとおり、本発明の正孔捕集層用組成物を用いることで、特性の良好な逆積層型のOPV素子が得られることがわかる。
【0109】
[9]正孔捕集層の作製と耐水性評価
[実施例3-1]
ITO基板上に、実施例1-12で調製した正孔捕集層用組成物B12をスピンコート法により塗布した。この基板を、ホットプレートを用いて、120℃で10分間加熱して正孔捕集層を形成した。
【0110】
[実施例3-2~3-6]
正孔捕集層用組成物B12の代わりに、正孔捕集層用組成物B13~B17を用いた以外は、実施例3-1と同様の方法で、正孔捕集層を形成した。
【0111】
上記で得られた各正孔捕集層に対して水を5滴滴下し、スピンコートを行い、120℃で10分間乾燥した。耐水性試験前後の正孔捕集層の膜厚およびIp値を測定し、膜厚変化については残膜率を算出した。結果を表3に示す。
【0112】
【0113】
表3に示されるとおり、本発明の組成物から作製した薄膜は、耐水試験後でも半分以上の膜が残存し、また、Ipは耐水試験前後でほぼ一定であることがわかる。
【0114】
[10]耐光性試験評価
[実施例4-1~4-5]
上記実施例2-12~2-16で作製した各OPV素子について、初期特性評価を行った後、2000Wメタルハライドランプを用いた太陽電池耐久試験システム(セリック(株)製、SML-2K1AV4)にて疑似太陽光を100mW/cm2の照度で24時間照射後の変換効率測定を行い、下記計算式を用いて変換効率保持率を算出した。初期特性および変換効率保持率を表4に示す。
変換効率保持率(%)=耐光性試験後の変換効率÷初期変換効率×100
【0115】
【0116】
表4に示されるとおり、本発明の組成物から作製したOPV素子は、耐光性試験後でもHTL特性を維持しており、高い耐光性を示すことが分かる。
【0117】
[11]活性層組成物の調製2
[調製例1]
P3HT(メルク社製)40mgおよびPC61BM(フロンティアカーボン社製、製品名:nanom spectra E100)36mgが入ったサンプル瓶の中にクロロベンゼン2.0mLを加え、80℃のホットプレート上で15時間撹拌した。この溶液を室温まで放冷し、溶液B1(活性層組成物)を得た。
【0118】
[12]有機薄膜太陽電池の作製3
[実施例5-1]
活性層組成物A1の代わりに、活性層組成物B1を用いた以外は、実施例2-12と同様の方法で、逆積層型OPV素子を作製した。
【0119】
[実施例5-2]
正孔捕集層用組成物B12の代わりに、正孔捕集層用組成物B13を用いた以外は、実施例5-1と同様の方法で、逆積層型OPV素子を作製した。
【0120】
[13]特性評価
上記実施例5-1~5-2で作製した各OPV素子について、短絡電流密度(Jsc〔mA/cm2〕)、開放電圧(Voc〔V〕)、曲線因子(FF)、およびPCE〔%〕の評価を行った。結果を表5に示す。
なおPCE〔%〕は、下式により算出した。
PCE〔%〕=Jsc〔mA/cm2〕×Voc〔V〕×FF÷入射光強度(100〔mW/cm2〕)×100
【0121】
【0122】
表5に示されるとおり、本発明の正孔捕集層用組成物を用いることで、一般的な活性層であるP3HTを用いても逆型OPV素子でのHTL特性を示すことがわかる。