(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】Web品質推定装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/00 20220101AFI20221122BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20221122BHJP
【FI】
H04L67/00
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2019037642
(22)【出願日】2019-03-01
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124844
【氏名又は名称】石原 隆治
(72)【発明者】
【氏名】小川 秀貴
(72)【発明者】
【氏名】河野 太一
(72)【発明者】
【氏名】池上 大介
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-536100(JP,A)
【文献】特開2002-268922(JP,A)
【文献】特開2015-012361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Webコンテンツのコンテンツ識別子と1つ以上のネットワーク品質とを入力とし、Webコンテンツの処理時間であるWeb品質の推定を行うWeb品質推定装置であって、
複数のWebコンテンツについて、Webコンテンツを識別するコンテンツ識別子と1つ以上のコンテンツ特性との対応情報を格納するコンテンツ特性記憶部と、
コンテンツ識別子と1つ以上のネットワーク品質とを入力とし、前記対応情報を参照して、入力されたコンテンツ識別子に対応する1つ以上のコンテンツ特性を取得し、前記1つ以上のコンテンツ特性と前記入力された1つ以上のネットワーク品質とから
前記Web品質を推定するWeb品質推定部と、
を備えることを特徴とするWeb品質推定装置。
【請求項2】
前記ネットワーク品質は、ネットワークの遅延、スループット、ジッタ又はロスを含む、請求項1記載のWeb品質推定装置。
【請求項3】
Webコンテンツのコンテンツ特徴量と1つ以上のネットワーク品質とを入力とし、Webコンテンツの処理時間であるWeb品質の推定を行うWeb品質推定装置であって、
1つ以上のコンテンツ特徴量から1つ以上のコンテンツ特性を推定するコンテンツ特性推定部と、
1つ以上のコンテンツ特性と1つ以上のネットワーク品質とから
前記Web品質を推定するWeb品質推定部と、
を備えることを特徴とするWeb品質推定装置。
【請求項4】
前記ネットワーク品質は、ネットワークの遅延、スループット、ジッタ又はロスを含み、
前記コンテンツ特徴量は,javascript数、css数、image数、リクエスト数、ドメイン数又は合計サイズを含む、請求項3記載のWeb品質推定装置。
【請求項5】
Webコンテンツのコンテンツ特徴量と1つ以上のネットワーク品質とを入力とし、Webコンテンツの処理時間であるWeb品質及び類似Webコンテンツの推定を行うWeb品質推定装置であって、
1つ以上のコンテンツ特徴量から1つ以上のコンテンツ特性を推定するコンテンツ特性推定部と、
1つ以上のコンテンツ特性と1つ以上のネットワーク品質とから
前記Web品質を推定するWeb品質推定部と、
複数のWebコンテンツについて、Webコンテンツを識別するコンテンツ識別子と1つ以上のコンテンツ特性との対応情報を格納するコンテンツ特性記憶部と、
1つ以上のコンテンツ特性を入力として取得し、前記コンテンツ特性記憶部に格納された各Webコンテンツの1つ以上のコンテンツ特性と前記取得したコンテンツ特性との間の類似度を計算し、前記類似度がしきい値以上であったWebコンテンツのコンテンツ識別子群を出力する類似Webコンテンツ推定部と、
を備えることを特徴とするWeb品質推定装置。
【請求項6】
前記ネットワーク品質は、ネットワークの遅延、スループット、ジッタ又はロスを含み、
前記コンテンツ特徴量は,javascript数、css数、image数、リクエスト数、ドメイン数又は合計サイズを含む、請求項5記載のWeb品質推定装置。
【請求項7】
請求項1乃至6何れか一項記載のWeb品質推定装置の各部としてプロセッサを機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Web品質推定装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークの進化やデバイスの高度化により、インターネットを介した様々なサービスやコンテンツが数多く提供されている。その中でも、Webコンテンツはエンターテイメント要素のあるものだけでなく、業務系のコンテンツも登場しており、我々の生活に欠かせないものとなっている。
【0003】
Webコンテンツの処理時間(以降、Web品質と呼ぶ)は、ユーザ体感品質と強い相関を持つことがわかっている。また、Web品質においては、ネットワークでの転送時間の占める割合が多いため、ネットワーク品質の改善は重要である。そのため、ユーザが快適にWebコンテンツを利用できるWeb品質を満たすためには、Web品質とネットワーク品質の関係性を明らかにすることが求められる。したがって、ネットワーク品質の変化によるWeb品質変化を把握可能なWeb品質推定が重要となる。
【0004】
従来、Webページを構成するオブジェクト間での依存関係と、ページを動作させたときの動作ログ情報を取得し、ネットワーク品質の一つである遅延を用いたWeb品質推定が行われてきた(非特許文献1)。
【0005】
また、あらかじめ計測された動作ログをもとに、同時に処理されるオブジェクト群を推定し、オブジェクト群ごとに遅延とスループットの2つのネットワーク品質が変化した際の処理時間を算出することで、Web品質推定が行われてきた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Zhi chun Li, Ming Zhang, Zhao sheng Zhu, Yan Chen, Albert Greenberg, and Yi-Min Wang. WebProphet: Automating Performance Prediction for Web Services. In Proceedings of the 7th USENIX Conference on Networked Systems Design and Implementation, pp. 10-10, 2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
実ネットワークでは異なるスループット環境が混在しており、スループットがWeb品質へ与える影響度が大きいが、非特許文献1では、スループットは考慮されていない。そのため、実環境への適用におけるWeb品質推定の精度には課題があった。
【0009】
また、特許文献1では、ネットワーク品質として、遅延とスループットを考慮しているが、非特許文献1と同様に、あらかじめ計測された動作ログ情報をもとに、ネットワーク品質のシミュレーションによってWeb品質を推定している。Webページを構成するオブジェクト単位もしくはオブジェクト群単位で転送時間のシミュレーションすることでWeb品質を算出している手法のため、計算コストが高い。さらに、昨今のWebコンテンツは日々変化することが多いため、コンテンツの変化のたびに動作ログを計測する必要があり、測定コストが高いという課題も存在する。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ネットワーク品質の組み合わせごとのシミュレーションや事前の動作ログ情報の取得をすることなくネットワーク品質が変化した際のWeb品質推定を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、Webコンテンツのコンテンツ識別子と1つ以上のネットワーク品質とを入力とし、Webコンテンツの処理時間であるWeb品質の推定を行うWeb品質推定装置であって、
複数のWebコンテンツについて、Webコンテンツを識別するコンテンツ識別子と1つ以上のコンテンツ特性との対応情報を格納するコンテンツ特性記憶部と、
コンテンツ識別子と1つ以上のネットワーク品質とを入力とし、前記対応情報を参照して、入力されたコンテンツ識別子に対応する1つ以上のコンテンツ特性を取得し、前記1つ以上のコンテンツ特性と前記入力された1つ以上のネットワーク品質とからWeb品質を推定するWeb品質推定部と、
を備えることを特徴とするWeb品質推定装置に関する。
【0012】
本発明の他の態様は、Webコンテンツのコンテンツ特徴量と1つ以上のネットワーク品質とを入力とし、Webコンテンツの処理時間であるWeb品質の推定を行うWeb品質推定装置であって、
1つ以上のコンテンツ特徴量から1つ以上のコンテンツ特性を推定するコンテンツ特性推定部と、
1つ以上のコンテンツ特性と1つ以上のネットワーク品質とからWeb品質を推定するWeb品質推定部と、
を備えることを特徴とするWeb品質推定装置に関する。
【0013】
本発明の更なる他の態様は、Webコンテンツのコンテンツ特徴量と1つ以上のネットワーク品質とを入力とし、Webコンテンツの処理時間であるWeb品質及び類似Webコンテンツの推定を行うWeb品質推定装置であって、
1つ以上のコンテンツ特徴量から1つ以上のコンテンツ特性を推定するコンテンツ特性推定部と、
1つ以上のコンテンツ特性と1つ以上のネットワーク品質とからWeb品質を推定するWeb品質推定部と、
複数のWebコンテンツについて、Webコンテンツを識別するコンテンツ識別子と1つ以上のコンテンツ特性との対応情報を格納するコンテンツ特性記憶部と、
1つ以上のコンテンツ特性を入力として取得し、前記コンテンツ特性記憶部に格納された各Webコンテンツの1つ以上のコンテンツ特性と前記取得したコンテンツ特性との間の類似度を計算し、前記類似度がしきい値以上であったWebコンテンツのコンテンツ識別子群を出力する類似Webコンテンツ推定部と、
を備えることを特徴とするWeb品質推定装置に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、日々Webコンテンツが変化した場合にも通信ログやWebコンテンツを構成するオブジェクト間での依存関係の取得などを必要とすることなく、ネットワーク品質からWeb品質の推定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態1によるWeb品質推定装置の機能構成例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態1によるWeb品質推定処理を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態2によるWeb品質推定装置の機能構成例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態2によるWeb品質推定処理を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態3によるWeb品質推定装置の機能構成例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態3によるWeb品質推定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の実施例において、本発明の各種実施形態について説明する。
【0017】
まず、
図1及び2を参照して、本発明の実施形態1によるWeb品質推定装置を説明する。
図1は、本発明の実施形態1によるWeb品質推定装置の機能構成例を示す図である。
【0018】
図1に示されるように、Web品質推定装置100は、Web品質推定部110及びコンテンツ特性記憶部120を有する。
【0019】
コンテンツ特性記憶部120は、各コンテンツを識別するコンテンツ識別子と、コンテンツ識別子に対応する1つ以上のコンテンツ特性のセットとを示す対応情報(例えば、テーブル形式などによる)をコンテンツ毎にあらかじめ格納し、コンテンツ識別子を入力として取得すると、対応情報を参照して、取得したコンテンツ識別子に対応するコンテンツ特性を出力する。コンテンツ識別子の識別単位は、Webサイトであればサイトを構成する1ページ等であり、WebページのURI(Uniform Resource Identifier)(例: https://www.xxx.co.jp/)などに相当するが、これらに限定されない。また、コンテンツ特性は1つ以上の数値からなり、遅延、スループットや端末処理の変化から受ける影響度合い等を示す数値であるが、これらに限定されない。
【0020】
Web品質推定部110は、1つ以上のネットワーク品質と1つ以上のコンテンツ特性とを入力として取得し、Web品質(y)を推定する。例えば、ネットワーク品質は、ネットワークの遅延、スループット、ジッタ又はロスであってもよい。ここでは、例えば、以下の数式のように、ネットワーク品質としてのEnd-to-Endでの往復遅延(x1)とEnd-to-Endの単位時間あたりの転送量であるスループット(x2)の逆数とが、Web品質(y)とそれぞれ線形な関係であるという特性に基づいた推定を行う。
【0021】
【数1】
ここで、c
1, c
2, c
3はコンテンツ特性記憶部120にコンテンツ識別子を入力することで得られたコンテンツ特性である。また、ここで示される数式は一例であるため、前記のネットワーク品質とWeb品質との関係性を加味した数式であればよく、上記数式に限定するものではない。その場合に、コンテンツ特性を表すパラメータの数は増減してもよい。
【0022】
次に、本発明の実施形態1によるWeb品質推定装置100が実行するWeb品質処理手順について説明する。
図2は、Web品質推定装置100が実行するWeb品質処理手順を説明するフローチャートである。
【0023】
図2に示されるように、ステップS101において、コンテンツ特性記憶部120は、推定対象となるWebコンテンツのコンテンツ識別子を入力として取得し、予め保持する対応情報に基づき取得したコンテンツ識別子に対応する1つ以上のコンテンツ特性を出力する。
【0024】
ステップS102において、Web品質推定部110は、コンテンツ特性記憶部120から出力された1つ以上のコンテンツ特性と1つ以上のネットワーク品質とを入力として取得すると、例えば、上述した数式などを用いてWeb品質を推定する。
【0025】
次に、
図3及び4を参照して、本発明の実施形態2によるWeb品質推定装置を説明する。
図3は、本発明の実施形態2によるWeb品質推定装置の機能構成例を示す図である。
【0026】
図3に示されるように、Web品質推定装置200は、Web品質推定部210及びコンテンツ特性推定部220を有する。
【0027】
コンテンツ特性推定部220は、1つ以上のコンテンツ特徴量を入力として取得し、コンテンツ特徴量から1つ以上のコンテンツ特性を導出する何れかの推定手法に基づき、取得したコンテンツ特徴量からコンテンツ特性を推定する。ここでの推定手法は、重回帰式や、指数関数やSVR(Support Vector Regression)などの非線形な回帰手法に相当するが、コンテンツ特徴量とコンテンツ特性との関係性を利用した手法であればよく、上記の推定手法に限定するものではない。また、コンテンツ特徴量は、javascript数、css(Cascading Style Sheet)数、image数、ドメイン数、リクエスト総数、合計受信サイズ等であるが、これらに限定されない。これらのコンテンツ特徴量は、ブラウザ標準API(Application Programming Interface)やパケットキャプチャデータ等から取得されうる。また、コンテンツ特性は、1つ以上の数値からなり、遅延、スループットや端末処理の変化から受ける影響度合い等を示す数値であるが、これらに限定されない。
【0028】
Web品質推定部210は、1つ以上のネットワーク品質と1つ以上のコンテンツ特性とを入力として取得し、Web品質(y)を推定する。例えば、ネットワーク品質は、ネットワークの遅延、スループット、ジッタ又はロスであってもよい。ここでは、例えば、以下の数式のように、ネットワーク品質としてのEnd-to-Endでの往復遅延(x1)とEnd-to-Endの単位時間あたりの転送量であるスループット(x2)の逆数とが、Web品質(y)とそれぞれ線形な関係であるという特性に基づいた推定を行う。
【0029】
【数2】
ここで、c
1, c
2, c
3はコンテンツ特性推定部220に1つ以上のコンテンツ特徴量を入力することで得られたコンテンツ特性である。また、ここで示される数式は一例であるため、前記のネットワーク品質とWeb品質との関係性を加味した数式であればよく、上記数式に限定するものではない。その場合に、コンテンツ特性を表すパラメータの数は増減してもよい。
【0030】
次に、本発明の実施形態2によるWeb品質推定装置200が実行するWeb品質処理手順について説明する。
図4は、Web品質推定装置200が実行するWeb品質処理手順を説明するフローチャートである。
【0031】
図4に示されるように、ステップS201において、コンテンツ特性推定部220は、推定対象となるWebコンテンツのコンテンツ特徴量を入力として取得し、予め保持する関数に基づき、取得したコンテンツ特徴量から1つ以上のコンテンツ特性を推定する。
【0032】
ステップS202において、Web品質推定部210は、コンテンツ特性推定部220から出力された1つ以上のコンテンツ特性と1つ以上のネットワーク品質とを入力として取得すると、例えば、上述した数式などを用いてWeb品質を推定する。
【0033】
次に、
図5及び6を参照して、本発明の実施形態3によるWeb品質推定装置を説明する。
図5は、本発明の実施形態3によるWeb品質推定装置の機能構成例を示す図である。
【0034】
図5に示されるように、Web品質推定装置300は、Web品質推定部310、コンテンツ特性推定部320、コンテンツ特性記憶部330及び類似Webコンテンツ推定部340を有する。
【0035】
コンテンツ特性推定部320は、1つ以上のコンテンツ特徴量を入力として取得し、コンテンツ特徴量から1つ以上のコンテンツ特性を導出する何れかの推定手法に基づき、取得したコンテンツ特徴量からコンテンツ特性を推定する。ここでの推定手法は、重回帰式や、指数関数やSVR(Support Vector Regression)などの非線形な回帰手法に相当するが、コンテンツ特徴量とコンテンツ特性との関係性を利用した手法であればよく、上記の推定手法に限定するものではない。また、コンテンツ特徴量は、javascript数、css(Cascading Style Sheet)数、image数、ドメイン数、リクエスト総数、合計受信サイズ等であるが、これらに限定されない。これらのコンテンツ特徴量は、ブラウザ標準API(Application Programming Interface)やパケットキャプチャデータ等から取得されうる。また、コンテンツ特性は、1つ以上の数値からなり、遅延、スループットや端末処理の変化から受ける影響度合い等を示す数値であるが、これらに限定されない。
【0036】
Web品質推定部310は、1つ以上のネットワーク品質と1つ以上のコンテンツ特性とを入力として取得し、Web品質(y)を推定する。例えば、ネットワーク品質は、ネットワークの遅延、スループット、ジッタ又はロスであってもよい。ここでは、例えば、以下の数式のように、ネットワーク品質としてのEnd-to-Endでの往復遅延(x1)とEnd-to-Endの単位時間あたりの転送量であるスループット(x2)の逆数とが、Web品質(y)とそれぞれ線形な関係であるという特性に基づいた推定を行う。
【0037】
【数3】
ここで、c
1, c
2, c
3はコンテンツ特性推定部220に1つ以上のコンテンツ特徴量を入力することで得られたコンテンツ特性である。また、ここで示される数式は一例であるため、前記のネットワーク品質とWeb品質との関係性を加味した数式であればよく、上記数式に限定するものではない。その場合に、コンテンツ特性を表すパラメータの数は増減してもよい。
【0038】
コンテンツ特性記憶部330は、各コンテンツを識別するコンテンツ識別子と、コンテンツ識別子に対応する1つ以上のコンテンツ特性のセットとを示す対応情報(例えば、テーブル形式などによる)をコンテンツ毎にあらかじめ格納し、コンテンツ識別子を入力として取得すると、対応情報を参照して、取得したコンテンツ識別子に対応するコンテンツ特性を出力する。Webコンテンツの識別単位は、Webサイトであればサイトを構成する1ページ等であり、WebページのURI(例: https://www.xxx.co.jp/)などに相当するが、これらに限定されない。
【0039】
類似Webコンテンツ推定部340は、コンテンツ特性推定部320によって推定されたコンテンツ特性を入力として取得すると、コンテンツ特性記憶部330に格納されている各Webコンテンツのコンテンツ特性と取得したコンテンツ特性との間の類似度をユークリッド距離で計算し、しきい値以下のWebコンテンツのコンテンツ識別子群を類似Webコンテンツ群として推定する。このようにして、類似したコンテンツ識別子群を推定可能になることで、コンテンツごとの制御から、類似するコンテンツ群に対する一括制御が可能となる。一括制御する例として、類似Webコンテンツ群に対する、CDN(Content Delivery Network)による制御が考えられる。あるWebコンテンツ群は遅延から受ける影響が大きいため、CDNを利用することにより、End-to-Endの遅延を抑えて、類似Webコンテンツ群のWeb品質向上が可能となる。
【0040】
ここで、コンテンツ特性の類似度計算に用いる距離計算方法は、ユークリッド距離に限定するものではなく、他の距離計算方法を用いてもよい。
【0041】
次に、本発明の実施形態3によるWeb品質推定装置300が実行するWeb品質処理手順について説明する。
図6は、Web品質推定装置300が実行するWeb品質処理手順を説明するフローチャートである。
【0042】
図6に示されるように、ステップS301において、コンテンツ特性推定部320は、推定対象となるWebコンテンツのコンテンツ特徴量を入力として取得し、予め保持する関数に基づき、取得したコンテンツ特徴量から1つ以上のコンテンツ特性を推定する。
【0043】
ステップS302において、Web品質推定部310は、コンテンツ特性推定部320から出力された1つ以上のコンテンツ特性と1つ以上のネットワーク品質とを入力として取得すると、例えば、上述した数式などを用いてWeb品質を推定する。
【0044】
ステップS303において、類似Webコンテンツ推定部340は、コンテンツ特性推定部320によって推定されたコンテンツ特性を入力として取得すると、コンテンツ特性記憶部330に格納されている各Webコンテンツのコンテンツ特性と取得したコンテンツ特性との間の類似度をユークリッド距離で計算し、しきい値以下のWebコンテンツのコンテンツ識別子群を類似Webコンテンツ群として推定する。
【0045】
ここで、Web品質推定装置100, 200, 300は、典型的には、計算装置により実現されてもよく、例えば、補助記憶装置、メモリ装置、プロセッサ、インタフェース装置及び通信装置から構成されてもよい。Web品質推定装置100, 200, 300における上述した各種機能及び処理を実現するプログラムを含む各種コンピュータプログラムは、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、フラッシュメモリなどの記録媒体によって提供されてもよい。プログラムは、補助記憶装置にインストール又はダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータなどを格納する。メモリ装置は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置からプログラムやデータを読み出して格納する。プロセッサは、メモリ装置に格納されたプログラムやプログラムを実行するのに必要なパラメータなどの各種データに従って、上述したWeb品質推定装置100, 200, 300の各種機能及び処理を実行する。インタフェース装置は、ネットワーク又は外部装置に接続するための通信インタフェースとして用いられる。通信装置は、インターネットなどのネットワークと通信するための各種通信処理を実行する。
【0046】
しかしながら、Web品質推定装置100, 200, 300は、上述したハードウェア構成に限定されるものでなく、他の何れか適切なハードウェア構成により実現されてもよい。
【0047】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
100, 200, 300 Web品質推定装置
110, 210, 310 Web品質推定部
120, 330 コンテンツ特定記憶部
220, 320 コンテンツ特性推定部
340 類似Webコンテンツ推定部