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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】ワイヤハーネスの製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/012 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
H01B13/012 D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019089965
(22)【出願日】2019-05-10
(65)【公開番号】P2020187856
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 賢司
(72)【発明者】
【氏名】石川 優
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特許第6357700(JP,B1)
【文献】特開2012-159716(JP,A)
【文献】特開2012-014010(JP,A)
【文献】特開2010-201550(JP,A)
【文献】特開2015-166777(JP,A)
【文献】再公表特許第2015/151312(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 13/012
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と当該表示部の周囲に配置されたベゼル部とを有する複数のディスプレイを並べて配置し、前記複数のディスプレイに長さ方向の大きさが実寸大の布線図を表示させ、前記布線図に沿って電線を布線しワイヤハーネスを製造するワイヤハーネスの製造方法であって、
前記表示部及び前記ベゼル部の大きさに合わせて、予め作成した前記ワイヤハーネス全体の二次元画像を、前記表示部に表示する表示領域と、前記ベゼル部に相当する非表示領域とに区画する区画工程と、
前記二次元画像をトリミングして前記表示領域のみとした前記布線図の画像データである布線画像データを作成する布線画像データ作成工程と、
前記布線画像データを基に、前記複数のディスプレイに前記布線図を表示する表示工程と、を備え、
前記ディスプレイが一列に並べて配置されており、
一列に並べられた前記ディスプレイの配列方向における一端部が、布線時に基準となる基準端部に設定されており、
最も基準端部側に配置された前記ディスプレイには、製造する前記ワイヤハーネスの情報を含む製造情報が表示され、前記ワイヤハーネスの画像は表示されない、
ワイヤハーネスの製造方法。
【請求項2】
前記二次元画像中における前記電線の端部が、前記非表示領域に含まれないように、前記二次元画像を作成する工程を備えた、
請求項1に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【請求項3】
前記二次元画像中における前記電線の分岐部が、前記非表示領域に含まれないように、前記二次元画像を作成する工程を備えた、
請求項1または2に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【請求項4】
前記表示工程では、前記布線図が表示されない前記ディスプレイは、スリープモード又は省電力モードとされるか、電源をオフされる、
請求項1乃至3の何れか1項に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【請求項5】
前記表示工程では、並べられた複数の前記ディスプレイに、布線を行う前記ワイヤハーネスの長さに応じて、複数の前記ワイヤハーネスを表示可能とされる、
請求項1乃至4の何れか1項に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【請求項6】
前記表示工程では、1つ以上のグラフィックカードと、前記グラフィックカードと接続された複数のセパレータを用い、前記グラフィックカードの出力を、前記複数のセパレータを介して複数の前記ディスプレイに出力する、
請求項1乃至の何れか1項に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【請求項7】
前記グラフィックカードと前記セパレータとを接続するケーブルの長さは、前記セパレータと前記ディスプレイとを接続するケーブルよりも長い、
請求項に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【請求項8】
前記複数のディスプレイ上に、前記表示部と前記ベゼル部間の段差を覆うように、前記表示部を保護する板状の透明保護カバーが設けられており、
前記透明保護カバー上で前記電線を布線する、
請求項1乃至の何れか1項に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【請求項9】
前記透明保護カバーは、各ディスプレイ毎に個別に設けられている、
請求項に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【請求項10】
前記透明保護カバー同士の接続部には、布線する前記電線が前記透明保護カバーの端部に干渉することを抑制するための保護テープが設けられている、
請求項またはに記載のワイヤハーネスの製造方法。
【請求項11】
前記透明保護カバーは、ブルーライト光を減衰あるいは遮断するブルーライトカット層を有する、
請求項乃至10の何れか1項に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【請求項12】
表示部と当該表示部の周囲に配置されたベゼル部とを有する複数のディスプレイを並べて配置し、前記複数のディスプレイに実寸大の布線図を表示させ、前記布線図に沿って電線を布線しワイヤハーネスを製造するワイヤハーネスの製造装置であって、
前記表示部及び前記ベゼル部の大きさに合わせて、予め作成した前記ワイヤハーネス全体の二次元画像を、前記表示部に表示する表示領域と、前記ベゼル部に相当する非表示領域とに区画する区画部と、
前記二次元画像をトリミングして前記表示領域のみとした前記布線図の画像データである布線画像データを作成する布線画像データ作成部と、
前記布線画像データを基に、前記複数のディスプレイに前記布線図を表示する表示制御部と、を備え、
前記ディスプレイが一列に並べて配置されており、
一列に並べられた前記ディスプレイの配列方向における一端部が、布線時に基準となる基準端部に設定されており、
最も基準端部側に配置された前記ディスプレイには、製造する前記ワイヤハーネスの情報を含む製造情報が表示され、前記ワイヤハーネスの画像は表示されない、
ワイヤハーネスの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電車等の鉄道車両に用いられるワイヤハーネスは、複数の電線を束ねて構成されている。ワイヤハーネスを製造する際には、予め設定した電線長となるように各電線を切断し、各電線を実寸大の布線図に沿って布線し、布線した電線や電線束の所定位置に付属部品を取り付けてワイヤハーネスの組立てを行う(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、ディスプレイに実寸大の布線図(布線画像)を表示し、布線画像に沿って電線を布線する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2016/0064121A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようにディスプレイに布線画像を表示する場合、ディスプレイを効率的に活用することが望まれる。特に、電車等の鉄道車両に用いられるワイヤハーネスは、全長が数十mと非常に長くなる場合があるため、効率的なディスプレイの活用が求められる。
【0006】
そこで、本発明は、ディスプレイを効率的に活用できるワイヤハーネスの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、表示部と当該表示部の周囲に配置されたベゼル部とを有する複数のディスプレイを並べて配置し、前記複数のディスプレイに実寸大の布線図を表示させ、前記布線図に沿って電線を布線しワイヤハーネスを製造するワイヤハーネスの製造方法であって、前記表示部及び前記ベゼル部の大きさに合わせて、予め作成した前記ワイヤハーネス全体の二次元画像を、前記表示部に表示する表示領域と、前記ベゼル部に相当する非表示領域とに区画する区画工程と、前記二次元画像をトリミングして前記表示領域のみとした前記布線図の画像データである布線画像データを作成する布線画像データ作成工程と、前記布線画像データを基に、前記複数のディスプレイに前記布線図を表示する表示工程と、を備えた、ワイヤハーネスの製造方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、表示部と当該表示部の周囲に配置されたベゼル部とを有する複数のディスプレイを並べて配置し、前記複数のディスプレイに長さ方向の大きさが実寸大の布線図を表示させ、前記布線図に沿って電線を布線しワイヤハーネスを製造するワイヤハーネスの製造装置であって、前記表示部及び前記ベゼル部の大きさに合わせて、予め作成した前記ワイヤハーネス全体の二次元画像を、前記表示部に表示する表示領域と、前記ベゼル部に相当する非表示領域とに区画する区画部と、前記二次元画像をトリミングして前記表示領域のみとした前記布線図の画像データを作成する布線画像データ作成部と、前記布線図の画像データを前記複数のディスプレイに表示する表示制御部と、を備えた、ワイヤハーネスの製造装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ディスプレイを効率的に活用できるワイヤハーネスの製造方法及び製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係るワイヤハーネスの製造装置の概略構成図である。
図2】作業台を示す図であり、(a)は分解斜視図、(b)は斜視図である。
図3】透明保護カバーの配置を説明する図であり、(a)はディスプレイと透明保護カバーの配置を示す模式図、(b)は透明保護カバー同士の接続部を示す側面図、(c),(d)は(b)の変形例を示す側面図、(e)は透明保護カバー同士の接続部に保護テープを設けた際の斜視図である。
図4】作業レシピ情報の一例を示す図である。
図5】(a)はディスプレイの表示例を示す図であり、(b)はその要部拡大図である。
図6】リングマークとマークテープを付した電線の端部を示す図である。
図7】(a)はワイヤハーネスの二次元画像の一例、(b)は(a)に区画線を付加した図の一例、(c)は布線画像データの作成手順と布線画像データの一例を示す図である。
図8】各ディスプレイへ布線図を表示する仕組みを説明する図である。
図9】ディスプレイをスリープモード等にすることによる効果を説明する図である。
図10】作業台に2つのワイヤハーネスを表示した場合の表示例である。
図11】進捗状況表示画面の一例である。
図12】(a)は布線画像データを作成する際のフロー図、(b)は作成した布線画像データを用いてワイヤハーネスを製造する際のフロー図である。
図13】布線工程の手順を示すフロー図である。
図14】布線工程の手順を示すフロー図である。
図15】布線工程の手順を示すフロー図である。
図16】作業履歴情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係るワイヤハーネスの製造装置の概略構成図である。本実施の形態で製造するワイヤハーネスは、例えば、電車の機器間配線に用いられるものである。
【0013】
図1に示すように、ワイヤハーネスの製造装置10は、表示部141と当該表示部141の周囲に配置されたベゼル部142とを有する複数のディスプレイ14を並べて配置し、複数のディスプレイ14に実寸大の布線図(布線画像)143を表示させ、布線図143に沿って電線を布線しワイヤハーネスを製造する装置である。
【0014】
ワイヤハーネスの製造装置10は、布線する電線11を供給する電線供給装置12と、電線供給装置12から供給された電線11を切断する電線切断機13と、複数のディスプレイ14を並べて構成される作業台15と、電線供給装置12や電線切断機13の制御、及びディスプレイ14の表示制御等を行う制御装置16と、を備えている。
【0015】
電線11は、線状の導体の外周に絶縁体を被覆したものであるが、電線11は、例えば、LANケーブルのように、複数本の線状の導体の外周にそれぞれ絶縁体を被覆し、それらを外部シースで一括被覆し一体化したものであってもよい。ここで、絶縁体は、絶縁性の樹脂からなり、1層もしくは複数層であってもよい。外部シースは、絶縁体の間を埋めるように充実式押出しにより形成されてもよいし、チューブ状であってもよい。
【0016】
電線供給装置12は、例えば、電線11が巻き付けられたリール121と、リール121を回転可能に支持する支持部材122と、リール121から供給された電線11を保持してレール123上を走行し電線を搬送する(引き出す)搬送ロボット124と、を有している。リール121には、巻き付けられている電線11の品種を識別するための電線識別コード(不図示)が付されている。レール123は、作業台15の上方に設けられており、作業台15に固定されている。
【0017】
電線切断機13は、内蔵された切断刃(不図示)を用い、搬送ロボット124により引き出された電線11を切断する。支持部材122に支持されるリール121を変更することにより、布線する電線11の種類を変更できる。図示していないが、リール121の後段にはフィーダが設けられており、このフィーダによって引き出される電線11の長さを測長している。なお、搬送ロボット124を備えておらず、フィーダから送り出された電線11を人の手で引出してもよい。また、フィーダも備えておらず、リール121から人の手で電線11を引出してもよい。
【0018】
作業台15は、電線11の布線作業を行うための台であり、その上面に、実寸大の布線図143を表示するディスプレイ14が設けられている。鉄道車両用のワイヤハーネスは例えば30mと非常に長いため、作業台15は、複数のディスプレイ14を一列に並べて構成されている。ここでは、24台のディスプレイ14を一列に並べて作業台15を構成した。なお、作業台15に並べるディスプレイ14の数はこれに限定されない。また、ディスプレイ14の配置についても、図示のものに限定されず、製造するワイヤハーネスの形状に応じて適宜変更可能である。例えば、ディスプレイ14を縦横にマトリクス状に配置してもよい。
【0019】
ディスプレイ14は、例えば液晶ディスプレイ等からなる。図2(a),(b)に示すように、作業台15は、ディスプレイ14を載置するための凹状の収容部151aを有するフレーム151を有し、フレーム151の上方からディスプレイ14を収容部151aに収容して構成される。ディスプレイ14上には、ディスプレイ14の表示部141を保護するための板状の透明保護カバー144が設けられている。透明保護カバー144は、アクリル等の透明な部材からなる。電線切断機13で切断された電線11を、透明保護カバー144上で、ディスプレイ14に表示された布線図143に沿わせるように布線し、テープ巻き、保護材の装着等を適宜行うことで、ワイヤハーネスの製造が行われる。
【0020】
透明保護カバー144は、ディスプレイ14上に、表示部141とベゼル部142間の段差を覆うように設けられている。透明保護カバー144は、ディスプレイ14の表示部141に傷がつかないように保護する役割と、布線する電線11が表示部141とベゼル部142間の段差に干渉して電線11に傷がつくことを抑制する役割とを果たしている。
【0021】
複数のディスプレイ14に1枚の透明保護カバー144を設けてもよいが、この場合、傷ついた透明保護カバー144を交換する際に無駄が多くなり、また故障したディスプレイ14を交換する際にも手間がかかってしまう。そこで、本実施の形態では、ディスプレイ14毎に個別に透明保護カバー144を設けている。透明保護カバー144は、上方に取り外すことができる。透明保護カバー144を取り外すことで、ディスプレイ14も、フレーム151から上方に取り外すことができる。よって、作業スペースが狭い場合であっても、透明保護カバー144やディスプレイ14の交換が容易である。なお、ディスプレイ14がマトリクス状に配置されている場合であっても、透明保護カバー144を適用できる。
【0022】
ディスプレイ14の配列方向における透明保護カバー144の長さは、ディスプレイ14と略同等とされる。また、ディスプレイ14の配列方向と垂直な幅方向における透明保護カバー144の幅は、ディスプレイ14よりも若干大きくされる。幅方向においてディスプレイ14から突出した透明保護カバー144の両端部をフレーム151の縁部151bにねじ等により固定することで、透明保護カバー144がフレーム151に固定されている。なお、透明保護カバー144は、ディスプレイ14のベゼル部142に当接していてもよいし、当接していなくともよい。
【0023】
図3(a),(b)に示すように、本実施の形態では、隣り合う透明保護カバー144の端面同士を突き合わせて配置している。ここでは、透明保護カバー144の端面が、透明保護カバー144の表面に対して垂直な面である場合を示しているが、図3(c)に示すように、透明保護カバー144の端面が、透明保護カバー144の表面に対して傾斜していてもよい。また、図3(d)に示すように、透明保護カバー144の端部を階段状として、隣り合う透明保護カバー144の位置ずれを抑制できるようにしてもよい。また、図示していないが、透明保護カバー144の端部に係止構造を設け、隣り合う透明保護カバー144を互いに係止するようにしてもよい。
【0024】
さらに、図3(e)に示すように、隣り合う透明保護カバー144同士の接続部には、透明な保護テープ145が設けられていてもよい。保護テープ145は、透明保護カバー144同士の接続部に、製造公差等により段差が発生したり、あるいは何らかの理由で透明保護カバー144の端部同士が離間してしまった場合に、布線する電線11が透明保護カバー144の端部に干渉して電線11に傷がついてしまうことを抑制するためのものである。
【0025】
透明保護カバー144同士の接続部は、ベゼル部142上に位置することが望ましい。これは、透明保護カバー144同士の接続部が表示部141上にあると、後述するコードリーダ19によるコード読込みが困難となる場合があるためである。
【0026】
作業者の目の疲労を抑制するために、透明保護カバー144は、波長380nm以上500nm以下のブルーライト光を減衰あるいは遮断するブルーライトカット層を有していてもよい。また、透明保護カバー144は、その表面に、外部照明等の照り返しを抑制するための反射抑制層を有していてもよい。
【0027】
制御装置16は、電線供給装置12や電線切断機13の制御、ディスプレイ14の表示制御等を行うものであり、演算素子、メモリ、インターフェイス、ハードディスク、ソフトウェア等を適宜組み合わせて実現されている。本実施の形態では、制御装置16はパーソナルコンピュータを用いて構成されている。
【0028】
制御装置16は、布線画像データ171、作業レシピ情報172等を記憶する記憶部17を有している。布線画像データ171は、ディスプレイ14に表示する布線図143の画像データである。作業レシピ情報172は、電線11の布線順序を時系列で並べたデータベースである。すなわち、作業レシピ情報172は、布線する全ての電線11の各種情報を、電線11の布線順にソートしたデータベースである。なお、これに限らず、電線11毎に布線順番が記憶してあればよく、データベース内において布線順にソートされていることは必須ではない。
【0029】
図4に示すように、作業レシピ情報172は、例えば、電線11の名称(Cable name)、電線11の電線長の設計値(Cut Length)、電線11の品種を表す製造番号(Cable P/N No.)が設定されている。また、作業レシピ情報172では、各電線11の両端部それぞれについて(From及びTo)、後述するリングマークの番号(Ring mark)、端部の位置を示し接続先のエリア(接続先の機器等)を表すサイド(Side)等が設定されている。さらに、本実施の形態では、作業レシピ情報172は、後述する識別コード(バーコード)の表示位置を示す座標情報を含んでいる。作業レシピ情報172は、布線する電線11の両端部近傍の2つの座標情報を含んでいる。図3におけるX-From及びY-Fromは、布線する電線11の一端部における識別コードの表示位置を示すX座標及びY座標である。図3におけるX-To及びY-Toは、布線する電線11の他端部における識別コードの表示位置を示すX座標及びY座標である。また、作業レシピ情報172には、電線11の分岐位置の座標情報や、電線11の両端部の座標情報が含まれていてもよい。なお、作業レシピ情報172の具体的な内容については、これに限定されるものではなく、適宜設定可能である。
【0030】
制御装置16は、作業台15のディスプレイ14の表示制御を行う表示制御部161と、電線11の切断制御を行う電線切断制御部162と、電線11の端部に取り付ける識別票をプリンタ18に印刷する印刷制御部163と、各電線11の導通チェック処理を行う導通チェック部164と、を有している。制御装置16には、作業台15のディスプレイ14、コードリーダ19、搬送ロボット124、電線切断機13、プリンタ18、及び導通チェック用のテスタ20が接続されている。
【0031】
表示制御部161は、記憶部17に記憶された布線画像データ171を基に、複数のディスプレイ14のそれぞれに実寸大の布線図143を表示する。布線図143の表示の詳細については、後述する。
【0032】
また、本実施の形態では、表示制御部161は、作業レシピ情報172を参照して、ディスプレイ14に、電線11の布線順にしたがって識別コードを順次表示させるように構成されている。また、表示制御部161は、布線が終わった電線11に関する識別コードの表示を消去する。すなわち、表示制御部161は、現在、布線されている電線11に関する識別コードのみを表示する。
【0033】
図5(a),(b)に示すように、本実施の形態では、表示制御部161は、布線を行う電線11を特定可能なバーコード(ポップアップバーコード)を生成し、生成したバーコード146を、布線図143における作業レシピ情報172の座標情報で指定された座標に表示する。バーコード146は、作業レシピ情報172の文字情報、例えばリングマークの番号の情報から生成される。また、バーコード146は、作業レシピ情報172に含まれる他の情報から生成されてもよく、複数の情報を含んでいてもよい。バーコード146は、布線図143上に重なるように表示される。布線図143には、布線された状態の複数の電線11の電線画像11aが含まれる。電線11には端部が2つ存在するため、布線図143における電線11の両端部の付近にそれぞれバーコード146が表示される。なお、作業レシピ情報172に予めバーコード146の画像情報を記憶させておき、その画像情報を取得して指定座標にバーコード146を表示するよう表示制御部161を構成してもよい。なお、表示制御部161が表示する識別コードは、バーコード146に限らず、例えば二次元コード(QRコード(登録商標))であってもよい。
【0034】
布線図143は、電線11の長さ(電線画像11aの長さ)が実寸大となるようにディスプレイ14に表示されている。なお、電線画像11aの太さについては、実寸より太くても、細くともよい。電線画像11aを実寸よりも太く表示することで、電線11を布線する際に電線画像11aが電線11により隠れてしまうことが抑制され、布線作業を行いやすくなる。
【0035】
電線切断制御部162は、電線供給装置12及び電線切断機13を制御し、電線11を指定の長さに切断する制御を行う。電線切断制御部162は、作業レシピ情報172から、電線長の設計値を取得し、電線11を搬送ロボット124によって所定長さ引き出し、フィーダで測長した電線11の長さが、作業レシピ情報172の電線長の設計値と等しくなったときに、電線切断機13により引き出した電線11を切断することで、電線長の設計値で指定された長さの電線11を得る。
【0036】
印刷制御部163は、電線11の端部に取り付ける識別票をプリンタ18に印刷する。本実施の形態では、電線11の両端に識別票を取り付けるため、作業台15の両端部にそれぞれプリンタ18を配置している。また、本実施の形態では、プリンタ18を用いて、識別票としてのリングマーク、及び、電線11を特定可能な二次元コード(QRコード(登録商標))が付されたマークテープを印刷する。なお、コードリーダ19とテスタ20についても、電線11の両端で作業ができるように、2つずつ備えられている。
【0037】
図6に示すように、プリンタ18で印刷されたリングマーク181及びマークテープ182は、各電線11の両端部にそれぞれ付される。本実施の形態では、マークテープ182に二次元コード182aを印刷しているが、マークテープ182にバーコードを印刷してもよい。また、電線11の分岐部分の近傍には、当該分岐部分から延出された電線11の接続先のエリア(作業レシピ情報172におけるエリアラベル)を示すエリアラベルテープ183が取り付けられる。エリアラベルテープ183には、マークテープ182と同様に、エリアラベル接続先のエリアを特定可能な二次元コード183aが印刷されている。マークテープ182及びエリアラベルテープ183は、二次元コード182a,183aが印刷された粘着シールであり、その一部を電線11に巻き付けるようにして電線11に取り付けられる。マークテープ182の二次元コード182aは、作業レシピ情報172の文字情報から生成される。また、二次元コード182aは、作業レシピ情報172に含まれる複数の情報も含んでいてもよい。
【0038】
リングマーク181は、リング状の部材であり、内周に電線11を挿入することで電線11に取り付けられる。本実施の形態では、リングマーク181の内径は電線11の外径よりも大きく形成され、電線11の長手方向に移動可能に取り付けられている。リングマーク181よりも電線11の端部側にマークテープ182が位置することにより、電線11の長手方向に移動可能なリングマーク181が電線11の端部より抜けてしまうことが抑制されている。
【0039】
なお、本実施の形態では、識別票としてリングマーク181及びマークテープ182を用いたが、例えばリングマーク181を省略してマークテープ182のみとしてもよい。また、識別票として、ICタグ、RFIDタグ等を用いることも当然に可能である。さらに、マークテープ182、リングマーク181、及びエリアラベルテープ183に印刷される情報は、電線11の外周上(外部シースの外周上)に印刷されていてもよい。
【0040】
導通チェック部164は、電線11の布線後に各電線11の導通をチェックするものであり、電線11の両端部において、電線11の導体にテスタ20のプローブを接触させた際の導体抵抗を求め、導体抵抗が所定の正常範囲内にあるかを判定することで、導通チェックを行うものである。本実施の形態では、導通チェック部164は、電線11の布線後に、表示制御部161を介してディスプレイ14に導通チェックの指示を表示し、導通チェック後に表示を消去するように構成されている。
【0041】
また、制御装置16は、コードリーダ19によりバーコード146が読まれた時刻を進捗管理情報173として記憶部17に記憶させる時刻記録部165を有している。進捗管理情報173は、後述する管理用サーバ21に送信され、進捗情報の管理に用いられる。
【0042】
また、制御装置16は、コードリーダ19により読み込まれた識別票(マークテープ182の二次元コード182a)のコード情報と、ディスプレイ14に表示された識別コード(バーコード146)のコード情報とが対応しているかを判定する対応判定部166を備えている。本実施の形態では、マークテープ182の二次元コード182aのコード情報と、ディスプレイ14に表示されたバーコード146のコード情報とを一致させるようにしており、対応判定部166は、コードリーダ19により読み込んだ二次元コード182aのコード情報と、バーコード146のコード情報とが一致しているかを判定するように構成されている。
【0043】
対応判定部166は、判定の結果、二次元コード182aとバーコード146のコード情報が一致しなかった場合には、表示制御部161を介して、ディスプレイ14にアラート情報を表示するように構成されている。なお、例えば作業台15の近傍に音や光等により警報を発する警報装置を備え、二次元コード182aとバーコード146のコード情報が一致しなかった場合に警報装置を作動させるように対応判定部166を構成してもよい。
【0044】
時刻記録部165は、時計機能を内蔵しており、電線11を布線する毎に、電線11を布線した後の時刻を記憶部17に記憶させる。本実施の形態では、時刻記録部165は、コードリーダ19により識別コード(バーコード146が読まれた時刻を記憶部17に記憶させる。時刻記録部165は、対応判定部166の判定の結果、二次元コード182aのコード情報と、バーコード146のコード情報とが一致していると判定されたときに、バーコード146が読まれた時刻を記憶部17に進捗管理情報173として記憶する。
【0045】
なお、これに限らず、対応判定部166によって、二次元コード182aのコード情報とバーコード146のコード情報とが一致していると判定された時刻を、識別コードが読まれた時刻として記憶するようにしてもよい。つまり、「識別コードが読まれた時刻」とは、厳密に識別コードが読み込まれた時刻である必要はなく、識別コードが読まれたことにより発生する所定の判定処理等(本実施の形態においては、二次元コード182aのコード情報とバーコード146のコード情報とが一致していると判定する処理)が終了した時刻を、「識別コードが読まれた時刻」として記憶してもよい。
【0046】
また、ワイヤハーネスの製造装置10は、制御装置16と相互に通信可能に設けられた管理用サーバ21を備えている。図1では、制御装置16を1つのみ示しているが、実際には、制御装置16は、製造ライン毎(作業台15毎)に設けられており、管理用サーバ21は、各製造ラインの制御装置16と相互に通信可能に設けられている。
【0047】
管理用サーバ21は、布線画像データの作成、及び進捗情報の管理を行うものであり、演算素子、メモリ、インターフェイス、ハードディスク、ソフトウェア等を適宜組み合わせて実現されている。管理用サーバ21は、二次元画像作成部211と、区画部212と、布線画像データ作成部213と、進捗状況管理部214と、を備えている。
【0048】
二次元画像作成部211は、記憶部22に記憶されたワイヤハーネスの三次元データ(CADデータ)221を基に、ワイヤハーネス全体の二次元画像を作成するものである。三次元データ221から二次元画像を作成する手順については特に限定するものではないが、例えば、三次元データ221における各点の座標位置を、二次元平面に投影した際の座標に変換する処理を行うことで、三次元データ221から二次元画像を作成することができる。図7(a)に、二次元画像作成部211で作成される二次元画像30の一例を示す。
【0049】
なお、二次元画像作成部211はこれに限らず、三次元データ221から二次元データを経て二次元画像30を作成するものであってもよい。また、二次元画像作成部211は、例えば、設計図面等の二次元データを用い、サイズ調整やトリミングを行うことで、二次元画像30を作成するものであってもよい。また、二次元画像作成部211は、作業レシピ情報172に含まれる電線11の分岐位置の座標情報と電線の端部の座標情報を基に、二次元画像を作成するものであってもよい。また、外部装置等により予め二次元画像30を作成しておき、二次元画像30を外部装置等から管理用サーバ21にインポートするようにしてもよい。この場合、二次元画像作成部211は省略可能である。
【0050】
区画部212は、予め設定されたディスプレイ14における表示部141及びベゼル部142の大きさに合わせて、二次元画像30を、表示部141に表示する表示領域と、ベゼル部142に相当する非表示領域とに区画する。図7(b)に示すように、区画部212は、二次元画像30に、表示領域31と非表示領域32とを区画する区画線33を付加する。なお、区画部212は、区画線33を付加した二次元画像30を現実に作成せずともよく、区画線33は仮想的なものであってもよい(つまり、区画線33の座標等を決定する処理を行うのみであってもよい)。
【0051】
区画部212は、布線時に作業者が布線の目印とする部分、具体的は、二次元画像30中における電線11(電線画像11a)の端部(端部から所定長さの範囲)、及び、電線11(電線画像11a)の分岐部が、非表示領域32に含まれないように、表示領域31と非表示領域32の区画を行う。例えば、電線11の端部や分岐部の座標を抽出し、当該座標が非表示領域に含まれないように、区画線33の設定を行う。なお、例えば、区画部212で作成した区画線33を付加した二次元画像30を作業者が確認し、電線11の端部や分岐部が非表示領域32に含まれる場合には、作業者が手作業で区画線33の位置を微調整できるようにしてもよい。このように、二次元画像30における電線11の端部、及び分岐部は、被表示領域32に含まれないように配置される。
【0052】
布線画像データ作成部213は、区画線33の位置で二次元画像30をトリミングして、表示領域31のみとした布線図143の画像データ、すなわち布線画像データ171を作成する。具体的には、図7(c)に示すように、布線画像データ作成部213は、二次元画像30のうち区画線33に囲まれた表示領域31の部分のみを抽出した画像データ34を複数作成し、作成した複数の表示領域31の画像データ34を連結することで、非表示領域32を除いた画像データ、すなわち布線画像データ171を作成する。布線画像データ作成部213は、作成した布線画像データ171を記憶部22に記憶する。なお、目の負担を抑えるために、布線画像データ作成部213で作成する布線画像データ171の背景は、白でなくてもよい。ただし、背景の色が電線11の色(最外層の色)と同色であると、布線作業が行いにくくなる場合があるため、背景の色は、電線11の色と異なる色とすることが望ましい。
【0053】
記憶部22には、工場内で製造する全ての種類のワイヤハーネスの布線画像データ171及び作業レシピ情報172が記憶されている。各製造ラインの制御装置16には、当該製造ラインに割り振られたワイヤハーネスの布線画像データ171及び作業レシピ情報172が、管理用サーバ21より送信される。
【0054】
各製造ラインの制御装置16には、グラフィックカード167が搭載されており、表示制御部161は、グラフィックカード167を介して各ディスプレイ14に布線画像データ171を送信する。ここでは、6チャンネルのグラフィックカード167を2つ用いた。さらに、両グラフィックカード167の出力を、セパレータ168を介して2つのディスプレイ14に出力するようにした。これにより、2つのグラフィックカード167の12本の出力がそれぞれ2分岐され、24台のディスプレイ14にそれぞれ接続されている。通常のパーソナルコンピュータでは、搭載できるグラフィックカード167の数、すなわち出力できるチャンネル数には限りがあるが、セパレータ168を用いることで、より多くのディスプレイ14を使用することが可能になる。本実施の形態では、グラフィックカード167とセパレータ168とを接続するケーブル、及びセパレータ168とディスプレイ14を接続するケーブルとして、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)ケーブルを用いたが、DVI(Digital Visual Interface)ケーブルやディスプレイポート(DisplayPort)ケーブル等の他のディスプレイケーブルを用いてもよい。
【0055】
使用するケーブルの長さを短くするために、セパレータ168はなるべくディスプレイ14の近くに配置されることが望ましい。本実施の形態では、グラフックカード167とセパレータ168とを接続するケーブルの長さは、セパレータ168とディスプレイ14とを接続するケーブルよりも長くされる。
【0056】
グラフィックカード167とセパレータ168により複数段で分岐接続することにより、グラフックカード167とセパレータ168間のケーブルを1本にまとめることができるため、ケーブルの総使用量を抑えて低コスト化を図ることができ、またケーブルの配線スペースを削減することが可能になる。本実施の形態のように、グラフックカード167とセパレータ168とを接続するケーブルの長さを、セパレータ168とディスプレイ14とを接続するケーブルよりも長くすることで、ケーブルの総使用量をより抑えることができ、またケーブルの配線スペースをより削減することが可能になる。
【0057】
図8に示すように、表示制御部161から出力された布線画像データ171は、グラフィックカード167にて、2台のディスプレイ14毎(上述の画像データ34の2枚分ずつ)に分割され、さらに、セパレータ168にて2分割されて、各ディスプレイ14の表示部141に表示される。これにより、表示部141やベゼル部142の大きさを考慮した実寸大の布線図143が複数のディスプレイ14に表示されることになる。
【0058】
本実施の形態では、ディスプレイ14を一列に並べて作業台15を構成しているが、この一列に並べられたディスプレイの配列方向における一端部が、布線時に基準となる基準端部に設定されている。図示の例では、電線供給装置12や電線切断機13が配置される図示左側が、基準端部に設定されている。図1では、図示の簡略化のため制御装置16を作業台15の略中央部に示しているが、実際には、制御装置16も、基準端部の近傍に配置されている。
【0059】
図1及び図5(a)に示されるように、最も基準端部側に配置されたディスプレイ14には、製造するワイヤハーネスの情報や、作業者の情報、製造手順等を含む製造情報が表示される製造情報画面143aが表示され、ワイヤハーネスの画像は表示されないようになっている。この製造情報画面143aは、布線画像データ171の一部であってもよいし、布線画像データ171とは別に作成されたものであってもよい。本実施の形態では、製造情報画面143aは、画像データとされ、布線画像データ171の一部としている。なお、製造情報画面143aは、二次元画像30に予め付加されていてもよいし、二次元画像30とは別に作成しておき、布線画像データ作成部213により布線画像データ171を作成する際に付加されてもよい。
【0060】
さらに、表示制御部161は、布線図143が表示されないディスプレイ14を、スリープモード又は省電力モードとするか、電源をオフしてもよい。なお、スリープモードとは、ディスプレイ14の表示のみをオフしスタンバイ状態とするモードをいい、省電力モードとは、ディスプレイ14の表示の輝度を低下させること等により消費電力の低減を図るモードである。なお、ディスプレイ14を、スリープモード又は省電力モードとする機能は、ディスプレイ14側に搭載されていてもよい。この場合、各ディスプレイ14は、例えば、表示データが所定時間入力されないとき、あるいは背景のみの画像データが入力されたときに、スリープモード又は省電力モードに移行するよう構成されるとよい。背景のみの画像データであるか否か、すなわち受信した画像データにワイヤハーネスの画像が含まれるか否かは、例えば、受信した画像データの容量等により判定することができる。
【0061】
このように構成することで、布線に使用していないディスプレイ14で消費される電力が抑制され、システム全体の消費電力を低減できる。また、図9に示すように、工場における監視カメラ等の撮像装置24で作業台15を撮像することで、各作業台15で現在どのような長さのワイヤハーネスが製造されているかを容易に確認できるようになり、工場の管理作業の効率化に寄与する。なお、図9では、スリープモード又は省電力モードとされるか、電源をオフされているディスプレイ14をハッチングにて表している。
【0062】
また、表示制御部161は、一列に並べられた複数のディスプレイ14に、布線を行うワイヤハーネスの長さに応じて、複数のワイヤハーネスを表示可能とされてもよい。例えば、図10に示すように、1つの作業台15に2つのワイヤハーネスを表示してもよい。なお、1つの作業台15に3つ以上のワイヤハーネスを表示することも当然に可能である。これにより、工場の製造スペースを効率的に使用することが可能になる。
【0063】
また、1つの作業台15に複数のワイヤハーネスを表示する場合、各ワイヤハーネスを表示するディスプレイ14のうちの最も基準端部側に配置されたディスプレイ14には、それぞれの製造情報画面143aが表示される。これにより、各ワイヤハーネスの画像の間に製造情報画面143aが存在することになり、各ワイヤハーネスを布線作業する作業スペースが製造情報画面143aにより区画され、各ワイヤハーネスを布線作業する作業者が作業時に衝突する等の不具合を抑制できる。なお、例えば、1つの作業台15に2つのワイヤハーネスを表示する場合に、一方を基準端部側によせて表示し、他方を基準端部と反対側によせて表示するようにしてもよい。これにより、両ワイヤハーネスの作業領域がより離れるので、作業者がより作業しやすくなる。
【0064】
進捗状況管理部214は、制御装置16の記憶部17に記憶された時刻、すなわち進捗管理情報173を取得し、取得した進捗管理情報173を管理用サーバ21の記憶部22に記憶すると共に、進捗管理情報173を基にワイヤハーネスの製造の進捗状況を求め、求めた進捗状況を管理用表示器23に表示する。本実施の形態では、管理用表示器23として、管理用サーバ21に取り付けられたモニタを用いたが、管理用サーバ21とは別体に設けられたモニタ、例えば工場等に設けられた大画面のモニタを、管理用表示器23として用いてもよい。
【0065】
より具体的には、進捗状況管理部214は、進捗管理情報を基に、各製造ラインにおける布線済みの電線11の本数、未布線の電線11の本数、布線する電線11の総本数に対する布線済みの電線11の本数の割合、予め設定された標準作業時間(目標作業時間)、作業開始からの経過時間等を求め、進捗状況表示画面として管理用表示器23に表示する。
【0066】
図11は、進捗状況表示画面の一例である。図11に示すように、進捗状況表示画面51では、例えば、工場の製造ラインごとに、進捗状況を表示するように構成されている。ここでは、一例として、ラインA,Bの2つの製造ラインの個別進捗状況表示部52を表示する場合を示しているが、表示する製造ライン数はこれに限定されない。また、各個別進捗状況表示部52の表示形態についても、例えば棒グラフや円グラフを用いて進捗状況を表示する等、様々な表示形態を採用することができる。各個別進捗状況表示部52の表示内容についても、図示のものに限定されず、例えば、標準作業時間(目標作業時間)に対する経過時間の割合を表示する等、適宜設定可能である。
【0067】
(ワイヤハーネスの製造方法)
本実施の形態に係るワイヤハーネスの製造方法では、まず、管理用サーバ21にて、製造する全てのワイヤハーネスの布線画像データ171を作成する。図12(a)は、布線画像データ171を作成する際の手順を示すフロー図である。
【0068】
図12(a)に示すように、まず、ステップS1にて、二次元画像作成工程を行う。二次元画像作成工程では、二次元画像作成部211が、予め記憶部22に記憶された三次元データ221を用いて、ワイヤハーネス全体の二次元画像30を作成する。なお、上述のように、二次元画像作成部211は、三次元データ221から二次元データを経て二次元画像30を作成してもよいし、設計図面等の二次元データから二次元画像30を作成してもよい。
【0069】
その後、ステップS2にて、区画工程を行う。区画工程では、区画部212が、ディスプレイ14の表示部141及びベゼル部142の大きさに合わせて、二次元画像30を表示部141に表示する表示領域31と、ベゼル部142に相当する非表示領域32とに区画する。なお、区画工程では、二次元画像30中における電線11の端部及び分岐部が、非表示領域32に含まれないように、表示領域31と非表示領域32の区画を行う。
【0070】
その後、ステップS3にて、布線画像データ作成工程を行う。布線画像データ作成工程では、布線画像データ作成部213が、二次元画像30をトリミングして表示領域31のみとした布線図の画像データである布線画像データ171を作成し、記憶部22に記憶する。なお、図12(a)では図示していないが、この際、布線画像データ171と対応するように作業レシピ情報172を記憶させる。
【0071】
その後、ステップS4にて、布線画像データ171を作成したワイヤハーネスが、製造するワイヤハーネスのうち最後のワイヤハーネスであるかを判定する。ステップS4にてNOと判定された場合、ステップS1に戻り、次のワイヤハーネスの布線画像データ171の作成を引き続き行う。
【0072】
ステップS4にてYESと判定された場合、ステップS5にて、予め設定された振り分けに応じて、各製造ラインの制御装置16に、当該製造ラインで製造するワイヤハーネスの布線画像データ171、及び作業レシピ情報172を送信する。その後、処理を終了する。なお、ステップS5は、ステップS4の判定の前に行ってもよい。また、図12では、複数のワイヤハーネスの布線画像データ171を作成する場合を示しているが、1つの布線画像データ171のみを作成してもよく、この場合にはステップS4を省略可能である。
【0073】
布線画像データを作成した後、各製造ラインの制御装置16にて、作成した布線画像データ171を用いてワイヤハーネスを製造する。この際の手順を示すフロー図を図12(b)に示す。図12(b)に示すように、まず、ステップS6にて、表示工程を行う。表示工程では、表示制御部161が、最初に製造するワイヤハーネスについて、管理用サーバ21より受信し記憶部17に記憶されている布線画像データ171を基に、複数のディスプレイ14のそれぞれに布線図143を表示する。この際、布線図143が表示されないディスプレイ14は、スリープモード又は省電力モードとされるか、電源をオフされる。また、最も基準端部側のディスプレイ14には、製造情報画面143aを表示する。
【0074】
その後、ステップS7の布線工程を行う。布線工程については後述する。布線工程が終わると、ステップS8にて、その製造ラインで製造する最後のワイヤハーネスであるかを判定する。ステップS8でNOと判定された場合、ステップS6に戻り、次のワイヤハーネスの製造を行う。ステップS8にてYESと判定された場合、ワイヤハーネスの製造を終了する。
【0075】
図13~15は、ステップS7の布線工程の手順を示すフロー図である。図13~15に示すように、布線工程では、まず、ステップS10にて、コードリーダ19で作業者IDをスキャンする。作業者IDとは、作業者毎に割り当てられた作業者を特定するためのコードであり、例えば名札等にバーコードとして表示されている。スキャンした作業者IDの情報は、記憶部17に記憶される。この際、表示制御部161が、ディスプレイ14に、作業者IDを読み込む指示を表示するようにしてもよい。作業者IDがスキャンされると、表示制御部161が、最初に布線する電線11のバーコード146をディスプレイ14に表示する。バーコード146は、布線する電線11の両端部それぞれに表示される。
【0076】
その後、ステップS11にて、作業者は、ディスプレイ14に表示された最初のバーコード146をスキャンする。その後、ステップS12にて、最初に布線する電線11の製造番号の二次元コードをスキャンする。具体的には、リール121に付された電線識別コードをコードリーダ19で読み込む。この際、電線識別コードの情報に含まれる電線11の製造番号が、作業レシピ情報172における電線11の製造番号と一致していない場合、表示制御部161が、ディスプレイ14に、リール交換指示を表示する等してもよい。
【0077】
その後、ステップS13にて、ディスプレイ14に表示された最初のバーコード146を再度スキャンすると、ステップS14にて、電線切断制御部162が、電線供給装置12及び電線切断機13を制御して、第n電線11を作業レシピ情報172に設定された電線長に切断する。また、ステップS14と並行して、ステップS15a,15bにて、電線11の一端側と他端側の両方のプリンタ18にて、リングマーク181とマークテープ182が印刷される。作業者は、切断された電線11を、ディスプレイ14に表示された布線画像データ171、及びバーコード146を目印にして配置すると共に、電線11の両端部にリングマーク181とマークテープ182を取り付ける。
【0078】
その後、ステップS16にて、導通チェックを行う。作業者は、電線11の両端において、テスタ20のプローブを電線11の導体に接触させる。導通チェック部164は、テスタ20の出力を基に、電線11の導電率を演算し、演算した導電率が所定の正常値範囲に含まれる場合に、導通チェックが合格であると判定する。導通チェックが不合格であった場合、導通チェック部164が、表示制御部161を介して、ディスプレイ14にアラート情報を表示してもよい。導通チェックで不合格となった場合、再度ステップS16に戻り導通チェックを行う。また、ステップS16の導通チェックにて所定回数不合格を繰り返した場合には、ステップS13に戻り、電線11の布線をやり直すように構成してもよい。この場合、導通チェックに不合格となった電線11は破棄される。
【0079】
ステップS16で導通チェックに合格した後、電線11の両端部のそれぞれにおいて、マークテープ182の二次元コード182aのスキャン(ステップS17a,S17b)、及び、ディスプレイ14に表示されたエリアラベルのバーコード146のスキャンを行う(ステップS18a,S18b)。すると、プリンタ18によりエリアラベルテープ183の印刷が行われる(ステップS19a,S19b)ので、作業者は、エリアラベルテープ183を電線11の所定箇所に取り付けた後、エリアラベル183の二次元コード183aをスキャンする(ステップS20a,S20b)。以上により、最初の電線11の布線作業が完了する。
【0080】
その後、ステップS21にて、次に布線する電線11の切断が行われると共に、ステップS22a,22bにて、当該電線11のリングマーク181とマークテープ182の印刷が行われる。また、この際、布線する電線11の両端部の近傍にバーコード146が表示される。作業者は、切断された電線11を、ディスプレイ14に表示された布線画像データ171、及びバーコード146を目印にして配置すると共に、電線11の両端部にリングマーク181とマークテープ182を取り付ける。その後、ステップS23にて、導通チェックを行う。導通チェックで不合格となった場合、再度ステップS23に戻り導通チェックを行う。
【0081】
ステップS23で導通チェックに合格した後、ステップS24にて、制御装置16は、作業レシピ情報172を参照し、導通チェックを行った電線11が布線する最後の電線11であるかを判定する。ステップS24でYESと判定された場合、ステップS29に進む。
【0082】
ステップS24でNOと判定された場合、ステップS25にて、制御装置16は、作業レシピ情報172を参照し、次に布線する電線11が、現在布線している電線11、すなわちステップS23で導通チェックを行った電線11と同じエリアであるか(エリアラベルが同じであるか)を判定する。ステップS25でYESと判定された場合、ステップS21,S22a,及びS22bへと戻り、次の電線11の布線作業を行う。
【0083】
ステップS25でNOと判定された場合、表示制御部161は、ディスプレイ14における電線11の両端部の近傍に、それぞれエリアラベルのバーコード146を表示する。作業者は、電線11の両端部のそれぞれにおいて、ディスプレイ14に表示されたエリアラベルのバーコード146のスキャンを行う(ステップS26a,S26b)。すると、プリンタ18によりエリアラベルテープ183の印刷が行われる(ステップS27a,S27b)ので、作業者は、エリアラベルテープ183を電線11の所定箇所に取り付けた後、エリアラベル183の二次元コード183aをスキャンする(ステップS28a,S28b)。その後、ステップS21,S22a,及びS22bへと戻り、次の電線11の布線作業を行う。
【0084】
全ての電線11の布線を終えた後、ステップS29にて、作業者は、ディスプレイに表示されたP/Nラベルのバーコードをスキャンする。なお、ステップS29に先立ち、表示制御部161は、ディスプレイ14にP/Nラベルのバーコードを表示する。作業者がP/Nラベルのバーコードをスキャンすると、ステップS30にて、プリンタ18によりP/Nラベルが印刷される。なお、P/Nラベルとは、ワイヤハーネスの製造番号(part number)を表すラベルであり、作業レシピ情報172に含まれる製造番号、製品名、図面番号等が文字情報及び二次元コードとして印刷されたものである。P/Nラベルは、ワイヤハーネス全体を識別するために用いられるものであるから、ワイヤハーネスの幹部に取り付けられる。作業者は、P/Nラベルをワイヤハーネスの所定箇所に取り付けた後、ステップS31にて、P/Nラベルの二次元コードをスキャンする。
【0085】
その後、表示制御部161が、ディスプレイ14に、テープ巻き作業開始のバーコードを表示する。作業者は、ステップS32にて、ディスプレイ14に表示されたテープ巻き作業開始のバーコードをスキャンする。このとき、テープを巻く位置がディスプレイ14に表示される。テープを巻く位置は、例えば、色または枠等で表示される。また、表示制御部161が、ディスプレイ14に、テープ巻き作業終了のバーコードを表示する。作業者は、テープ巻き作業を行った後、ステップS33にて、テープ巻き作業終了のバーコードをスキャンする。
【0086】
作業者がテープ巻き作業終了のバーコードをスキャンすると、ステップS34にて、誤った電線の発見プログラム(Incorrect wire detection program)が開始される。誤った電線の発見プログラムとは、作業履歴情報(進捗管理情報173)を基に、予め設定した標準作業時間に対して作業時間が極端に早い、または遅いことがないかをチェックし、作業順の誤りや作業の抜けをチェックするプログラムである。
【0087】
その後、表示制御部161が、ディスプレイ14に、保護材装着作業開始のバーコードを表示する。作業者は、ステップS35にて、ディスプレイ14に表示された保護材装着作業開始のバーコードをスキャンする。このとき、保護材を装着する位置がディスプレイ14に表示される。保護材を装着する位置は、例えば、色または枠等で表示される。また、表示制御部161が、ディスプレイ14に、保護材装着作業終了のバーコードを表示する。作業者は、保護材装着作業を行った後、ステップS36にて、保護材装着作業終了のバーコードをスキャンする。
【0088】
その後、表示制御部161が、ディスプレイ14に、検査作業開始のバーコードを表示する。作業者は、ステップS37にて、ディスプレイ14に表示された検査作業開始のバーコードをスキャンする。作業者は、所定の検査作業を行った後、ステップS38にて、検査作業終了のバーコードをスキャンする。以上により、ワイヤハーネスが製造され、布線工程が終了する。
【0089】
上記各ステップにおいてバーコード146や二次元コード等をスキャンした時刻は、時刻記録部165により、進捗管理情報173として記憶部17に記憶される。進捗状況管理部214は、進捗管理情報173を基に、進捗状況表示画面51の進捗情報を適宜更新する。例えば、進捗状況管理部214は、バーコード146や二次元コード等がスキャンされる度に進捗情報を更新してもよいし、適宜な時間間隔で進捗情報を更新してもよい。
【0090】
また、記憶部17あるいは記憶部22に記憶された進捗管理情報173を基に、作業履歴情報を作成し記憶するようにしてもよい。作業履歴情報は、作業の履歴や作業にかかった時間をまとめたデータログである。例えば図16に示すように、作業履歴情報174は、端部の位置を示し接続先のエリア(接続先の機器等)を表すSide、電線11や作業内容を表すItem/Operation、時刻を表すDate、作業内容の詳細等を示すAdditional Info、電線長を表すlength、開始・終了・確認等のスキャン内容、あるいは導通チェック時の導電率の測定結果等を表すScanned、作業時間を表すTime、その他付加情報を表すMore Info等の情報を含んでいる。図16において、Part Numberはワイヤハーネスの製造番号、Startはワイヤハーネスの製造開始時刻、Finishはワイヤハーネスの製造終了時刻、Operatorsは作業者ID、Totalはワイヤハーネスの製造にかかった時間を表している。なお、作業履歴情報174が含む情報については、適宜変更可能である。
【0091】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係るワイヤハーネスの製造方法では、ディスプレイ14の表示部141及びベゼル部142の大きさに合わせて、ワイヤハーネス全体の二次元画像30を、表示部141に表示する表示領域31と、ベゼル部142に相当する非表示領域32とに区画する区画工程と、二次元画像30をトリミングして表示領域31のみとした布線図の画像データである布線画像データ171を作成する布線画像データ作成工程と、布線画像データ171を基に、複数のディスプレイ14のそれぞれに布線図143を表示する表示工程と、を備えている。
【0092】
これにより、使用するディスプレイ14のサイズに合わせた布線画像データ171を作成することができ、ディスプレイ14を効率的に活用し、ワイヤハーネスを効率的に製造することが可能になる。例えば、通常のマルチディスプレイ技術では、ベゼル部142に相当する非表示領域32をカットするといったことは通常行われないが、ワイヤハーネスの製造装置10においては、複数のディスプレイ14にまたがるように布線図143が表示されるため、ベゼル部142の大きさも考慮して、全体として実寸大となるように布線図143を表示する必要がある。本実施の形態のように、区画工程と布線画像データ作成工程とを備えることで、全体として実寸大となるように布線図143を表示できる。
【0093】
また、ディスプレイ14の大きさに合わせて布線画像データ171を形成することで、様々なディスプレイ14の配置形態に容易に対応可能となり、ディスプレイのより効率的な活用が可能になる。さらに、本実施の形態によれば、比較的ベゼル部142が大きい安価なディスプレイ14も使用可能となり、ベゼル部142の非常に小さい高価なディスプレイを使用せずとも、正確なサイズの布線図143を複数のディスプレイ14に表示させることが可能になる。
【0094】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0095】
[1]表示部(141)と当該表示部(141)の周囲に配置されたベゼル部(142)とを有する複数のディスプレイ(14)を並べて配置し、前記複数のディスプレイ(14)に長さ方向の大きさが実寸大の布線図(143)を表示させ、前記布線図(143)に沿って電線(11)を布線しワイヤハーネスを製造するワイヤハーネスの製造方法であって、前記表示部(141)及び前記ベゼル部(142)の大きさに合わせて、予め作成した前記ワイヤハーネス全体の二次元画像(30)を、前記表示部(141)に表示する表示領域(31)と、前記ベゼル部(142)に相当する非表示領域(32)とに区画する区画工程と、前記二次元画像(30)をトリミングして前記表示領域(31)のみとした前記布線図(143)の画像データである布線画像データ(171)を作成する布線画像データ作成工程と、前記布線画像データ(171)を基に、前記複数のディスプレイ(14)に前記布線図(143)を表示する表示工程と、を備えた、ワイヤハーネスの製造方法。
【0096】
[2]前記二次元画像(30)中における前記電線(11)の端部が、前記非表示領域(32)に含まれないように、前記二次元画像(30)を作成する工程を備えた、[1]に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【0097】
[3]前記二次元画像(30)中における前記電線(11)の分岐部が、前記非表示領域(32)に含まれないように、前記二次元画像(30)を作成する工程を備えた、[1]または[2]に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【0098】
[4]前記表示工程では、前記布線図(143)が表示されない前記ディスプレイ(14)は、スリープモード又は省電力モードとされるか、電源をオフされる、[1]乃至[3]の何れか1項に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【0099】
[5]前記表示工程では、並べられた複数の前記ディスプレイ(14)に、布線を行う前記ワイヤハーネスの長さに応じて、複数の前記ワイヤハーネスを表示可能とされる、[1]乃至[4]の何れか1項に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【0100】
[6]前記ディスプレイ(14)が一列に並べて配置されており、一列に並べられた前記ディスプレイ(14)の配列方向における一端部が、布線時に基準となる基準端部に設定されており、最も基準端部側に配置された前記ディスプレイ(14)には、製造する前記ワイヤハーネスの情報を含む製造情報が表示され、前記ワイヤハーネスの画像は表示されない、[1]乃至[5]の何れか1項に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【0101】
[7]前記ディスプレイ(14)が、縦横にマトリクス状に配置されている、[1]乃至[5]の何れか1項に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【0102】
[8]前記表示工程では、1つ以上のグラフィックカード(167)と、前記グラフィックカード(167)と接続された複数のセパレータ(168)を用い、前記グラフィックカード(167)の出力を、前記複数のセパレータ(168)を介して複数の前記ディスプレイ(14)に出力する、[1]乃至[7]の何れか1項に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【0103】
[9]前記グラフックカード(167)と前記セパレータ(168)とを接続するケーブルの長さは、前記セパレータ(168)と前記ディスプレイ(14)とを接続するケーブルよりも長い、[8]に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【0104】
[10]前記複数のディスプレイ(14)上に、前記表示部(141)と前記ベゼル部(142)間の段差を覆うように、前記表示部(141)を保護する板状の透明保護カバー(144)が設けられており、前記透明保護カバー(144)上で前記電線(11)を布線する、[1]乃至[9]の何れか1項に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【0105】
[11]前記透明保護カバー(144)は、各ディスプレイ(14)毎に個別に設けられている、[10]に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【0106】
[12]前記透明保護カバー(14)同士の接続部には、布線する前記電線(11)が前記透明保護カバー(14)の端部に干渉することを抑制するための保護テープ(145)が設けられている、[10]または[11]に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【0107】
[13]前記透明保護カバー(144)は、ブルーライト光を減衰あるいは遮断するブルーライトカット層を有する、[10]乃至[12]の何れか1項に記載のワイヤハーネスの製造方法。
【0108】
[14]表示部(141)と当該表示部(141)の周囲に配置されたベゼル部(142)とを有する複数のディスプレイ(14)を並べて配置し、前記複数のディスプレイ(14)に実寸大の布線図(143)を表示させ、前記布線図(143)に沿って電線(11)を布線しワイヤハーネスを製造するワイヤハーネスの製造装置(10)であって、前記表示部(141)及び前記ベゼル部(142)の大きさに合わせて、予め作成した前記ワイヤハーネス全体の二次元画像(30)を、前記表示部(141)に表示する表示領域(31)と、前記ベゼル部(142)に相当する非表示領域(32)とに区画する区画部(212)と、前記二次元画像(30)をトリミングして前記表示領域(31)のみとした前記布線図(143)の画像データである布線画像データ(171)を作成する布線画像データ作成部(213)と、前記布線画像データ(171)を基に、前記複数のディスプレイ(14)に前記布線図(143)を表示する表示制御部(161)と、を備えた、ワイヤハーネスの製造装置(10)。
【0109】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0110】
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、鉄道車両用のワイヤハーネスを製造する場合について説明したが、これに限らず、鉄道車両以外の用途のワイヤハーネスも製造可能である。
【符号の説明】
【0111】
10…ワイヤハーネスの製造装置
11…電線
14…ディスプレイ
141…表示部
142…ベゼル部
143…布線図
143a…製造情報画面
144…透明保護カバー
145…保護テープ
161…表示制御部
30…二次元画像
31…表示領域
32…非表示領域
33…区画線
161…表示制御部
167…グラフィックカード
168…セパレータ
171…布線画像データ
211…二次元画像作成部
212…区画部
213…布線画像データ作成部
214…進捗状況管理部
221…三次元データ
図1
図2
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図16