(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】レンズ鏡筒及びカメラ
(51)【国際特許分類】
G02B 7/14 20210101AFI20221122BHJP
G03B 17/12 20210101ALI20221122BHJP
G03B 17/14 20210101ALI20221122BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20221122BHJP
【FI】
G02B7/14
G03B17/12 A
G03B17/14
G02B7/02 Z
(21)【出願番号】P 2019562980
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(86)【国際出願番号】 JP2018045948
(87)【国際公開番号】W WO2019131186
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2017251502
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100142147
【氏名又は名称】本木 久美子
(72)【発明者】
【氏名】今榮 一郎
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-098812(JP,A)
【文献】特開昭55-153911(JP,A)
【文献】特開昭63-019639(JP,A)
【文献】特開2005-351926(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0133035(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02 - 7/16
G03B 17/04 - 17/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラボディに装着可能なレンズ鏡筒であって、
光軸に沿って配置された撮影光学系と、
前記撮影光学系の一部であるレンズであって、前記カメラボディが横位置の状態で、前記光軸上の装着位置における前記レンズの中心と前記光軸から退避した退避位置における前記レンズの中心とを結ぶ直線が、前記カメラボディが備える矩形状の撮像素子の長辺と略平行であるレンズを含み、前記装着位置と前記退避位置との間で回動する可動部と、
ユーザにより前記可動部の回動を操作する操作部と、を備え、
前記レンズ鏡筒が前記カメラボディに装着され、かつ、前記カメラボディが横位置の状態で、前記可動部の回動軌跡は上側に向かって凸形状であり、
前記操作部の少なくとも一部は、前記回動の中心より上側に配置され、
前記可動部を付勢し、一端が、前記レンズの外周よりも外側に位置する前記可動部の少なくとも一部に固定された弾性部材を備え、
前記可動部が前記装着位置と前記退避位置との間を移動する際、
前記可動部が、前記装着位置と前記退避位置との間の所定位置よりも前記装着位置側になると、前記可動部を前記装着位置に向けて付勢し、
前記可動部が前記所定位置よりも前記退避位置側になると、前記可動部を前記退避位置に向けて付勢するレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記可動部の移動軌跡は、前記可動部を前記退避位置から前記装着位置に移動させる際の前記操作部の移動方向とは反対の方向に向けて凸形状である、
請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記可動部は、前記装着位置と前記退避位置との間で回動し、
前記可動部の移動軌跡は、前記回動の中心から離れる方向に向けて凸形状である、
請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
カメラボディに装着可能なレンズ鏡筒であって、
光軸に沿って配置された撮影光学系と、
前記撮影光学系の一部であるレンズであって、前記カメラボディが横位置の状態で、前記光軸上の装着位置における前記レンズの中心と前記光軸から退避した退避位置における前記レンズの中心とを結ぶ直線が、前記カメラボディが備える矩形状の撮像素子の長辺と略平行であるレンズを含み、前記装着位置と前記退避位置との間で回動する可動部と、
ユーザにより前記可動部の回動を操作する操作部と、を備え、
前記レンズ鏡筒が前記カメラボディに装着され、かつ、前記カメラボディが横位置又は縦位置の状態で、前記可動部が前記退避位置から前記装着位置まで移動する際に、前記可動部の中心は下側に回動し、
前記操作部の少なくとも一部は前記回動の中心より上側に配置され、
前記可動部を付勢し、一端が、前記レンズの外周よりも外側に位置する前記可動部の少なくとも一部に固定された弾性部材を備え、
前記可動部が前記装着位置と前記退避位置との間を移動する際、
前記可動部が、前記装着位置と前記退避位置との間の所定位置よりも前記装着位置側になると、前記可動部を前記装着位置に向けて付勢し、
前記可動部が前記所定位置よりも前記退避位置側になると、前記可動部を前記退避位置に向けて付勢するレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記横位置とは、
前記カメラボディが備える矩形状の撮像素子の長辺が水平方向に延びるとき、
前記カメラボディが備える持ち手部が前記撮像素子の右横方向にあるとき、
前記カメラボディが備えるファインダが前記撮像素子の上方向にあるとき、又は
前記カメラボディが備える三脚穴が前記撮像素子の下方向にあるとき、
の少なくとも一つを満たしたときである、
請求項1から4のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
前記操作部に含まれ、前記ユーザが操作する延在部と、
前記延在部からの駆動力を前記回動の中心に伝達するギア部と、を備え、
前記延在部は前記回動の中心よりも上側に位置する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
前記ギア部の少なくとも一部は前記回動の中心よりも上側に位置する、
請求項6に記載のレンズ鏡筒。
【請求項8】
前記可動部の中心は、前記可動部が前記装着位置にある際に、前記光軸上に位置する、
請求項1から7のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項9】
前記可動部の、前記装着位置を超えた前記退避位置と逆側への移動を制限する第1制限部と、
前記可動部の、前記退避位置を超えた前記装着位置と逆側への移動を制限する第2制限部と、
の少なくとも一方を備える請求項1から
8のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項10】
前記可動部が前記装着位置又は前記退避位置に位置する際、前記第1制限部又は前記第2制限部の少なくとも一方に当接する円筒部を備え、
前記第1制限部、前記第2制限部、又は前記円筒部のいずれか一つは弾性部材又は柔軟性部材であり、
前記円筒部は、前記可動部に対して回転可能に固定され、外周面が前記第1制限部又は前記第2制限部に当接する、
請求項
9に記載のレンズ鏡筒。
【請求項11】
前記可動部の移動方向が上側から下側に切り替わる際に信号を発生する信号発生部を備える、
請求項1から1
0のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項12】
前記可動部の、前記装着位置と前記退避位置との間の移動中における、前記装着位置又は前記退避位置への到達前に、前記可動部の装着状態の変化を検知する信号発生部と、
を備える、
請求項1から1
1のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項13】
前記可動部は、テレコンバータレンズを備える、
請求項1から1
2のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項14】
請求項1から1
3のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒と前記カメラボディとを備えるカメラ。
【請求項15】
前記レンズ鏡筒は、前記カメラボディに対して着脱可能である、
請求項1から1
3のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒及びカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズ鏡筒のレンズ群のうちの一部が、可動部として光軸に対して挿脱可能なレンズ鏡筒がある(例えば特許文献1参照)。
本発明は、所定位置から挿脱可能な可動部を備えたレンズ鏡筒において、可動部の操作性がより向上したレンズ鏡筒及びカメラを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
第1の態様のレンズ鏡筒は、カメラボディに装着可能なレンズ鏡筒であって、光軸に沿って配置された撮影光学系と、前記撮影光学系の一部であるレンズであって、前記カメラボディが横位置の状態で、前記光軸上の装着位置における前記レンズの中心と前記光軸から退避した退避位置における前記レンズの中心とを結ぶ直線が、前記カメラボディが備える矩形状の撮像素子の長辺と略平行であるレンズを含み、前記装着位置と前記退避位置との間で回動する可動部と、ユーザにより前記可動部の回動を操作する操作部と、を備え、前記レンズ鏡筒が前記カメラボディに装着され、かつ、前記カメラボディが横位置の状態で、前記可動部の回動軌跡は上側に向かって凸形状であり、前記操作部の少なくとも一部は、前記回動の中心より上側に配置され、前記可動部を付勢し、一端が、前記レンズの外周よりも外側に位置する前記可動部の少なくとも一部に固定された弾性部材を備え、前記可動部が前記装着位置と前記退避位置との間を移動する際、前記可動部が、前記装着位置と前記退避位置との間の所定位置よりも前記装着位置側になると、前記可動部を前記装着位置に向けて付勢し、前記可動部が前記所定位置よりも前記退避位置側になると、前記可動部を前記退避位置に向けて付勢する構成とした。
【0005】
また、第2の態様のレンズ鏡筒は、カメラボディに装着可能なレンズ鏡筒であって、光軸に沿って配置された撮影光学系と、前記撮影光学系の一部であるレンズであって、前記カメラボディが横位置の状態で、前記光軸上の装着位置における前記レンズの中心と前記光軸から退避した退避位置における前記レンズの中心とを結ぶ直線が、前記カメラボディが備える矩形状の撮像素子の長辺と略平行であるレンズを含み、前記装着位置と前記退避位置との間で回動する可動部と、ユーザにより前記可動部の回動を操作する操作部と、を備え、前記レンズ鏡筒が前記カメラボディに装着され、かつ、前記カメラボディが横位置又は縦位置の状態で、前記可動部が前記退避位置から前記装着位置まで移動する際に、前記可動部の中心は下側に回動し、前記操作部の少なくとも一部は前記回動の中心より上側に配置され、前記可動部を付勢し、一端が、前記レンズの外周よりも外側に位置する前記可動部の少なくとも一部に固定された弾性部材を備え、前記可動部が前記装着位置と前記退避位置との間を移動する際、前記可動部が、前記装着位置と前記退避位置との間の所定位置よりも前記装着位置側になると、前記可動部を前記装着位置に向けて付勢し、前記可動部が前記所定位置よりも前記退避位置側になると、前記可動部を前記退避位置に向けて付勢する構成とした。
【0007】
また、第3の態様のカメラは、上記レンズ鏡筒とカメラボディとを備える構成とした。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態のレンズ鏡筒2と、そのレンズ鏡筒2が装着されたカメラボディ3とを備えるカメラ1の斜視図である。
【
図2】レンズ鏡筒2の内部構造を説明する図で、(a)は可動部300が装着位置、(b)は可動部300が退避位置にある状態を示す。
【
図3】
図2と異なる角度から見た図であり、(a)は可動部300が装着位置、(b)は可動部300が退避位置にある状態を示す。
【
図4】
図4(a),(b),(c)は、可動部300の装着位置と退避位置との間の移動状態を説明する図である。
【
図6】可動部300の装着状態を検知するエンコーダを説明する図である。
【
図7】カメラ1が縦位置の場合に、可動部300に加わる重力の方向を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態のレンズ鏡筒2と、そのレンズ鏡筒2が装着されたカメラボディ3とを備えるカメラ1の斜視図である。なお、本実施形態ではレンズ鏡筒2がカメラボディ3に対して着脱可能であるが、カメラ1は、レンズ鏡筒2とカメラボディ3とが一体であってもよい。
【0010】
なお、以下の説明において、カメラ1が横位置の状態で撮影者側から見たときの、上下、左右、前後方向を、明細書中においても上下、左右、前後という。前後方向は光軸OA方向と一致する。
ここで、横位置とは、
・カメラボディ3が備える矩形状の撮像素子4(図中点線で示す)の長辺が水平方向に延びるとき、
・カメラボディ3が備える持ち手部5(横位置用持ち手部5a)が撮影者から見て撮像素子4の右横方向にあるとき、
・カメラボディ3を操作する撮影者が撮影動作を操作するレリーズボタン7aが撮影者から見て撮像素子4の右上方向にあるとき、
・カメラボディ3が備えるファインダ6やフラッシュ発光部8が撮像素子4の上方向にあるとき、
・カメラボディ3が備える三脚穴(図示せず)が撮像素子4の下方向にあるとき、
の少なくとも一つを満たしたときである。
また、縦位置とは、カメラ1を、横位置の状態から光軸OAの周りに撮影者側から見て反時計回りに90度回転させた状態であり、横位置用持ち手部5aが上側にある。
【0011】
(カメラボディ3)
カメラボディ3は、撮像素子4に入射した被写体光を、画像処理して図示しない記録部に記録するいわゆるデジタル一眼レフカメラである。ただし、カメラボディは、デジタル一眼レフカメラに限定されるものではない。ミラーレスカメラでもよいし、コンパクトデジタルカメラでもよい。また、二眼のカメラであってもよい。スマートフォンやタブレットに内蔵されたカメラでもよい。さらに、デジタルカメラに限定されず、フィルムカメラであってもよい。
【0012】
カメラボディ3には、横位置の状態で使用者がカメラ1を安定して握り易いようにカメラボディ3の右側前方に突出した横位置用持ち手部5aが設けられている。また、カメラボディ3の下側には、縦位置撮影時に使用者がカメラ1を安定して握り易いように前方に突出した縦位置用持ち手部5bが設けられている。なお、縦位置用持ち手部5bは、カメラボディ3に対して着脱可能であってもよい。
【0013】
横位置用持ち手部5の上側と下側には、それぞれレリーズボタン7a、7bが設けられている。レリーズボタン7a、7bは、半押しされるとオートフォーカス機能を作動させ、全押しされると予め設定されたシャッタ速度で被写体像の撮像を行わせる。
上側に設けられているレリーズボタン7aは、カメラボディ3が横位置のときに用いられる横位置レリーズボタン7aである。下側に設けられているレリーズボタン7bは、カメラボディ3が縦位置のときに用いられる縦位置レリーズボタン7bである。
【0014】
カメラボディ3の後面における撮像素子4よりも上側には、ファインダ6が設けられている。ファインダ6は光学ファインダ方式に限らず、電子ビューファインダ方式でもよく、被写体や構図の確認、フォーカス位置の確認、各種の設定等を確認できる。
なお、カメラボディ3の下面には三脚穴(図示せず)が設けられている。またカメラボディ3の前側中央には、ボディマウントBMが設けられている。
【0015】
(レンズ鏡筒2)
レンズ鏡筒2は、後側にレンズマウントLMが設けられ、カメラボディ3のボディマウントBMと係合することで、カメラボディ3に着脱可能に装着される。
【0016】
レンズ鏡筒2は、内部に複数のレンズ群からなる撮影光学系が配置されている。
図1においては、最前列のレンズLのみ図示する。
レンズ鏡筒2の外側には、後端から光軸OAに沿った前側に向って、操作部21と、収容部22と、ストラップ装着部23とが設けられている。ストラップ装着部23よりもさらに前方には、フォーカスリング24及びズームリング25が配置されている。
【0017】
ストラップ装着部23は、レンズ鏡筒2の外装筒26bの左右の側に取り付けられ、左右のストラップ装着部23にはレンズ用ストラップ27の装着が可能である。
【0018】
(収容部22)
収容部22は、退避位置のときの、後述のテレコンバータレンズ30を含む可動部300を覆う、外装筒26aから凸状に突出した部分である。
【0019】
図2は、レンズ鏡筒2の後部斜視図で、
図1の状態からレンズ鏡筒2の外周を覆う外装筒26aと26bを取り除いたレンズ鏡筒2の内部構造を説明する図である。
図3は
図2と異なる角度から見た図である。
図2、
図3において、(a)は、可動部300(テレコンバータレンズ30)が装着位置にある状態、(b)は可動部300(テレコンバータレンズ30)が退避位置にある状態を示す。
図4(a),(b),(c)は、可動部300(テレコンバータレンズ30)の装着位置と退避位置との間の移動状態を説明する図である。外装筒26aの内径側には、可動部300を移動可能に支持する内筒29が配置されている。
【0020】
(可動部300)
可動部300は、テレコンバータレンズ30と、テレコンバータレンズ30の外周を覆う枠体31とを備える。
【0021】
(テレコンバータレンズ30)
テレコンバータレンズ30は、焦点距離を延長するレンズ群である。装着位置とは、テレコンバータレンズ30の中心(光軸)が、他の撮影光学系の光軸OA上に配置されたときのテレコンバータレンズ30の位置で、合成焦点距離が大きくなり、被写体をさらに拡大した写真を撮影可能となる。退避位置とは、他の撮影光学系の光路を妨げないように撮影光学系の光路から外れたテレコンバータレンズ30の位置である。
【0022】
(枠体31)
枠体31は、テレコンバータレンズ30の外周を囲む円環枠32と、円環枠32より外側に突出しているアーム部33と、同様に円環枠32より外側に突出しているローラ保持部34とを有している。
【0023】
(アーム部33)
アーム部33は、円環枠32から径方向外側に延びる第1部分33aと、その第1部分33aから、さらに外側に、径方向に対して傾いて延びる第2部分33bとを有する。アーム部33における第1部分33aと第2部分33bとの形状や配置は適宜変更可能である。本実施形態では、第1部分33aと第2部分33bとが、可動部300が退避位置にある際にレンズ鏡筒2の外周面に沿って配置されて、レンズ鏡筒2の大径化を防止するので好ましい。
第2部分33bの先端は、後述するギア部50のテレコン回転ギア54の回転軸A4に取り付けられている。テレコン回転ギア54の回転に伴って、第2部分33bおよび第1部分33aが回転(揺動)すると、可動部300は回転軸A4を中心として回転(揺動)する。
なお、実施形態において、枠体31の重量はテレコンバータレンズ30の重量より軽いため、
図4において可動部300の重心は、テレコンバータレンズ30の中心と略一致するように図示している。また、テレコンバータレンズ30および円環枠32はテレコンバータレンズ30の光軸を軸中心とする円筒部材であるため、光軸方向と直交する面内における可動部300の重心はテレコンバータレンズ30の中心と略一致する。
【0024】
(バネ部材36)
アーム部33の第1部分33aにおける、円環枠32に近い箇所に、第1取付部33cが設けられている。また、内筒29に固定された固定部29aには、第2取付部33dが設けられている。第1取付部33cと第2取付部33dとの間には、バネ部材36が取り付けられている。
なお、本実施形態ではバネ部材36を取り付けたが、これに限らず、第1取付部33cと第2取付部33dとを互いに引き合うように付勢しかつ変形可能なものであれば、ゴム等の他の弾性部材であってもよい。
そして、上述のようにアーム部33がテレコン回転ギア54の回転軸A4を中心として回転すると、バネ部材36は、第2取付部33dに取り付けられた一端を中心として、第1取付部33cに固定された他端が回転する。なお、バネ部材36は、アーム部33が回転できるように、一端および他端の少なくとも一方が回転可能であればよい。
【0025】
(ローラ保持部34)
ローラ保持部34は、枠体31の円環枠32における、アーム部33とは異なる位置より外側に突出している。ローラ保持部34の先端には、弾性部材でできた円筒部35が、光軸OA方向に延びる軸に対して回転可能に取り付けられている。なお、円筒部35は、弾性部材に限らず、他の柔軟性部材でもよい。また、円筒部35は弾性部材でなく、次に述べる当接壁部40側が弾性部材や柔軟性部材であってもよい。
【0026】
(当接壁部40(第1制限部))
可動部300(テレコンバータレンズ30)が装着位置のとき、上述のバネ部材36によるバネ力と後述する可動部300に加わる重力とによって、可動部300(テレコンバータレンズ30)には、反時計回り(退避位置へ向かう方向と逆方向への移動、図中矢印Rの左側への移動)方向の力が加わっている。
このため、可動部300(テレコンバータレンズ30)の装着位置を超えた、反時計回りの移動を制限するために、内筒29に固定された当接壁部40(第1制限部)が設けられている。当接壁部40は、可動部300(テレコンバータレンズ30)が装着位置に到達すると円筒部35と当接し、可動部300(テレコンバータレンズ30)の、装着位置以上の反時計回りの回転を防止する。
【0027】
(当接部材41(第2制限部))
可動部300(テレコンバータレンズ30)が退避位置のとき、上述のバネ部材36によるバネ力と後述する可動部300に加わる重力とによって、可動部300(テレコンバータレンズ30)には、時計回り(装着位置へ向かう方向と逆方向への移動、図中矢印Rの右側への移動)方向の力が加わっている。
このため、可動部300(テレコンバータレンズ30)の退避位置を超えた、時計回りの移動を制限するために、内筒29に固定された当接部材41(第2制限部)が設けられている。当接部材41は、L字型の金具で、可動部300(テレコンバータレンズ30)が退避位置に到達すると円筒部35と当接し、可動部300(テレコンバータレンズ30)の退避位置以上の時計回りの回転を防止する。
【0028】
なお、第1制限部は内筒29に固定された当接壁部40とし、第2制限部はL字型の金具である当接部材41としたが、制限部としての材質や形状はこの限りではない。また、第1制限部および第2制限部を別部材と兼用しても良い。また、本実施形態では当接部材41が第1制限部および第2制限部に当接することとしたが、2つの当接部材を設けて第1制限部と第2制限部とにそれぞれ当接させることとしてもよい。
【0029】
ローラ保持部34が設けられる個所は、バネ部材36により、当接壁部40及び当接部材41に円筒部35が押し付けられる力が小さくすむように、回転軸A4からの距離が大きいほうが好ましい。
【0030】
図4(a)の可動部300(テレコンバータレンズ30)が装着位置の状態で、可動部300の中心は、レンズ鏡筒2の光軸OA上に位置する。ここで、本実施形態における可動部300の中心は、円環枠32の中心軸およびテレコンバータレンズ30の光軸と略一致するが、可動部300に含まれる部材によってはこの限りではない。本実施形態では可動部300のテレコンバータレンズ30が含まれるので、装着位置において可動部300の中心がレンズ鏡筒2に含まれる他のレンズの光軸OAと略一致するのが光学性能上好ましい。可動部300に含まれる部材によっては、装着位置において可動部300の中心が光軸OA上に位置しなくてもよい。
また、本実施形態における可動部300の重心は、テレコンバータレンズ30の重心と略一致し、円環枠32とテレコンバータレンズ30とを合わせた部材の重心とも略一致するが、この限りではない。
【0031】
さらに、
図4(c)の可動部300(テレコンバータレンズ30)が退避位置の状態で、レンズ鏡筒2内の光線を遮らない位置にあればよく、収容部22を拡大する必要のない位置であることが好ましい。すなわち、可動部300(テレコンバータレンズ30)が退避位置の状態にある際の位置精度は、可動部300(テレコンバータレンズ30)が装着位置の状態にある際の位置精度より低くてもよい。また、テレコンバータレンズ30が退避位置のときに、枠体31の外周上における光軸OA側の半円側にあることが好ましい。
【0032】
円筒部35はローラ保持部34に対して回転可能である。したがって、円筒部35が当接壁部40や当接部材41と当接する際、常時同じ箇所が当接することがなく、円筒部35の回転によって当接箇所が移動する。したがって、摩耗が一部に集中せず、円筒部35の耐久性がよい。
また、円筒部35は弾性部材であるので、当接壁部40や当接部材41との当接時に、衝突音が発生せず、静音性に優れる。本実施形態では円筒部35を弾性部材としたが、衝突音を減少させることができれば適宜変更可能である。弾性部材は、柔軟性部材、衝撃吸収部材、音吸収部材のいずれかでもよい。また、弾性部材は、当接壁部40(第1制限部)、当接部材41(第2制限部)および制限部に当接する部材(本実施形態では円筒部35)の少なくとも一つに設ければよい。
【0033】
(ギア部50)
図5は、ギア部50を示す図であり、
図2、
図3に示すギア部カバー56を取り外した状態である。ギア部50は、操作部21が操作されたときに、可動部300へ駆動力を伝達するもので、操作部連結ギア51と、中間ギア52と、ブラシ回転ギア53と、テレコン回転ギア54と、ダンパーギア55とを備える。
これらのギアは光軸OAを中心とした周方向に沿って列状に配置されているが、これに限らず、駆動力が伝達できれば、光軸OAを中心とした周方向に沿って列状でなくてもよい。
【0034】
操作部連結ギア51の回転軸A1には、後述する操作部21の回転部21aの一端が取り付けられている。ブラシ回転ギア53の回転軸A3には、後述するブラシ部61が取り付けられている。テレコン回転ギア54の回転軸A4には、上述のようにアーム部33の第2部分33bの先端部が取り付けられている。ダンパーギア55は、例えば粘性油によって回転速度が制限されているギアであり、テレコン回転ギア54の回転速度を減速する。
【0035】
(操作部21)
図1,2,3に戻り、操作部21は、収容部22の後側に取り付けられている。操作部21はL字型で、光軸OAに対して直交する方向に延びる回転部21aと、光軸OA方向に延びる延在部21bとを備える。
回転部21aの一端は、上述のギア部50の操作部連結ギア51の回転軸A1に取り付けられ、回転軸A1を中心に回転(揺動)可能である。
延在部21bは、回転部21aの他端側から、外装筒26aの外側を光軸OA方向前側に延びている。外装筒26aには、周方向の所定範囲に開口したスリットが設けられ、延在部21bはそのスリットを通って外装筒26aの外側に延びている。
【0036】
撮影者が、操作部21の延在部21bを、外装筒26aの外側から、スリットに沿って外装筒26aの周方向に動かすと、回転部21aは回転軸A1を中心に回転する。
そうすると、操作部連結ギア51が回転し、その回転は中間ギア52、ブラシ回転ギア53を介して、歯数の多いテレコン回転ギア54を回転する。テレコン回転ギア54が回転すると、アーム部33も回転する。アーム部33の回転によって、可動部300(テレコンバータレンズ30)は装着位置と、退避位置との間を移動する。このとき、可動部300の中心は、
図4の矢印Rの方向に回転する。
【0037】
このように操作部21は、操作部連結ギア51、中間ギア52、ブラシ回転ギア53を介して、歯数の多いテレコン回転ギア54に連結されている。したがって、操作部21を駆動する力が小さくても、これらのギア部を介することによって、駆動に大きな力が必要な可動部300(テレコンバータレンズ30)を回転させることができる。
【0038】
装着位置のときの延在部21bと、退避位置のときの延在部21bとの間には、ストッパ28が設けられている。ストッパ28は外装筒26aに対してスライド移動可能で、光軸OA方向前側にスライドすると、延在部21bが装着位置と退避位置との間で移動可能となり、光軸OA方向後ろ側にスライドすると、延在部21bの装着位置と退避位置との間での移動が防止される。
【0039】
(エンコーダ)
図6は、可動部300(テレコンバータレンズ30)の装着状態を検知するエンコーダ(信号発生部)を説明する図である。エンコーダはFPC(フレキシブルプリント基板)60と、ブラシ部61とを備える。
FPC60は、ギア部50を収納するギア部カバー56の外面に取り付けられている。ブラシ部61は、ブラシ回転ギア53の回転軸A3に取り付けられ、回転軸A3とともに回転する。
【0040】
図6(c)に示す可動部300(テレコンバータレンズ30)が退避位置にあるとき、ブラシ部61は、FPC60の可動部着脱信号用の配線と非接触である。
図6(a)に示す可動部300(テレコンバータレンズ30)が装着位置にあるとき、ブラシ部61は、FPC60の可動部着脱信号用の配線と接触している。
【0041】
ブラシ部61における、FPC60の可動部着脱信号用の配線との接触状態が切り替わるのは
図6(b)の位置である。
すなわち、可動部300(テレコンバータレンズ30)が装着位置と退避位置との間の移動中における、装着位置又は退避位置への到達前であり、可動部300の中心の移動方向が上側から下側に切り替わる際に、FPC60の可動部着脱信号用の配線とブラシ部61との接触状態が切り替わる。そして、FPC60を介して装着状態の変化を示す信号がレンズ鏡筒2及びカメラボディ3内に設けられた制御部(図示せず)に送られる。
【0042】
レンズ鏡筒2またはカメラボディ3内の少なくとも一方に設けられた制御部では、オートフォーカス時のレンズ位置、シャッタスピード、絞り、露出を演算する処理が行われる。これらの演算時において、可動部300(テレコンバータレンズ30)が装着位置にある場合と退避位置にある場合とで、テレコンバータ機能の有無が異なるので、異なる演算が行われる。
【0043】
これに対して、例えば可動部300(テレコンバータレンズ30)が装着位置または退避位置に到達したときに、装着信号が制御部に送られる構造であると、撮影のための演算に時間がかかりテレコンバータ機能の有無を切り替えてから撮影可能になるまでにタイムラグが生じてしまう。
しかし、本実施形態によると、可動部300(テレコンバータレンズ30)が退避位置から移動を開始して装着位置に到達する前に、または、可動部300(テレコンバータレンズ30)が装着位置から移動を開始して退避位置に到達する前に、FPC60を介して装着状態の変化を示す信号が制御部に送られる。したがって、可動部300(テレコンバータレンズ30)の位置切替終了前のタイミングで演算処理を開始することができ、可動部300(テレコンバータレンズ30)が装着位置または退避位置に到達した際には演算処理が終了しており、すぐ撮影を開始することができる。
なお、本実施形態において接触状態が切り替わるタイミングは可動部300の中心の移動方向が上側から下側に切り替わる際としたが、この限りではない。接触状態が切り替わるタイミングは、可動部300(テレコンバータレンズ30)が装着位置または退避位置に到達する前であればよく、制御部に送信するために要する時間や制御部での演算処理によって適宜変更可能である。
【0044】
(横位置の場合)
図4に戻り、図中矢印Gは、カメラ1が横位置の場合に、可動部300の中心に加わる重力方向を示す。
矢印Rは、可動部300の中心の移動軌跡である。可動部300(テレコンバータレンズ30)が装着位置と退避位置との間を移動する際、可動部300の中心の上下方向(鉛直方向)の位置は、矢印Rに示すように、一旦上側に移動し、
図4(b)に示す最高点を超えた後、下側に移動する。矢印Rは、回転軸A4を中心とした円周方向に沿って伸びている。
すなわち、可動部300の中心の移動軌跡は上下方向に、Uターン形状である。したがって、カメラ1が横位置において、可動部300(テレコンバータレンズ30)は、切り替え途中で止まることを防止して、可動部300(テレコンバータレンズ30)は装着位置か退避位置のいずれか一方に移動する。
【0045】
図4(b)に示す状態は、可動部300の中心の上下方向の位置が最高の位置ある。この状態において、バネ部材36の第1取付部33c、回転軸A4と、第2取付部33dとは一直線上に並び、バネ部材36は退避位置から装着位置の間で最も延びた状態となる。
【0046】
この状態から、テレコンバータレンズ30が(b)から(a)の装着位置側に移動すると、バネ部材36は、回転軸A4よりも内径側となる。そうすると、バネ部材36には縮む方向に付勢力が加わっているので、バネ部材36は可動部300(テレコンバータレンズ30)を装着位置に向けて付勢する。
すなわち、上述の重力に加えて、バネ部材36のバネ力も、可動部300(テレコンバータレンズ30)を装着位置に向けて付勢する。
【0047】
また、可動部300(テレコンバータレンズ30)が(b)から(c)の退避位置側に移動すると、バネ部材36は、回転軸A4よりも外径側となる。そうすると、バネ部材36には縮む方向に付勢力が加わっているので、バネ部材36は可動部300(テレコンバータレンズ30)を退避位置に向けて付勢する。
すなわち、上述の重力に加えて、バネ部材36のバネ力も可動部300(テレコンバータレンズ30)を退避位置に向けて付勢する。
【0048】
このように、横位置においては、可動部300(テレコンバータレンズ30)を装着位置にする場合も、退避位置にする場合も、可動部300(テレコンバータレンズ30)には、最も高い状態から、重力に従って、下方に落ちる方向に力が加わるとともに、バネ力によっても同じ方向に引っ張り力が加わる。ゆえに、撮影者が操作部21を動かす力は、移動の後半においてほとんど不要であるため、操作が容易である。特に、可動部300(テレコンバータレンズ30)が重い場合の操作性が向上する。
【0049】
さらに、
図4(a)に示す装着位置及び
図4(c)に示す退避位置において、可動部300(テレコンバータレンズ30)にはバネ力と重力とが略同じ方向に加わる。したがって、可動部300(テレコンバータレンズ30)は装着位置又は退避位置から移動しにくくなり、より安定して保持される。
【0050】
(縦位置の場合)
図7は、カメラ1が
図4で示す横位置から90度傾いた縦位置の場合に、可動部300に加わる重力の方向を示す。
縦位置の場合であっても、可動部300(テレコンバータレンズ30)が(b)から(a)の装着位置側に移動すると、バネ部材36のバネ力によって可動部300(テレコンバータレンズ30)は装着位置に移動するように付勢される。
そして、重力によっても可動部300の中心には、装着位置側に移動するように力が加わる。
したがって、カメラ1が縦位置の場合も、バネ力の最大値を超えた後、可動部300(テレコンバータレンズ30)は、装着位置側に移動する。
そして、装着位置において、可動部300にはバネ力と重力とが略同じ方向に加わる。したがって、可動部300(テレコンバータレンズ30)が装着位置から移動しにくくなり、より安定して装着位置に保持される。
【0051】
縦位置の場合も、可動部300(テレコンバータレンズ30)が(b)から(c)の退避位置側に移動する際、バネ部材36のバネ力によって可動部300(テレコンバータレンズ30)が退避位置に移動するように付勢される。
このとき、バネ部材36のバネ力は重力には反する方向となるが、バネ力が重力よりも強い力になるように選択することでテレコンバータレンズ30は退避位置に移動される。
したがって、カメラ1が縦位置の場合も、バネ力の最大値を超えた後、可動部300(テレコンバータレンズ30)、退避位置側に移動する。
そして、退避位置において、可動部300(テレコンバータレンズ30)に加わるバネ力と重力とは逆側になるので、装着位置に比べて安定性は悪いが、可動部300(テレコンバータレンズ30)が退避位置の場合、撮影に影響しないので、悪影響は少ない。
【0052】
また、実施形態によると、操作部21の少なくとも一部とギア部50の少なくとも一部と、退避状態のテレコンバータレンズ30の少なくとも一部とが光軸OAに沿って、同一直線上に配置されている。
そして、退避状態の可動部300(テレコンバータレンズ30)を収納する収容部22の後側に、外装筒26aの外側を延びる操作部21の延在部21bが配置されている。すなわち、収容部22は、操作部21より被写体側に配置されている。
そして、延在部21bは、収容部22よりも光軸OAの径方向内側に位置している。したがって、レンズ鏡筒2に、外側から何かが接触した場合であっても、収容部22が延在部21bよりも先に接触するので、操作部21が誤作動する可能性が小さい。
【0053】
前述したように、収容部22の前側のストラップ装着部23にレンズ用ストラップ27が装着されているが、収容部22が設けられているので、レンズ用ストラップ27が誤って延在部21bに引っ掛かって、操作部21を誤作動させることがない。
【0054】
本実施形態によると、操作部21及び収容部22は、レンズ鏡筒2の右側に設けられている。すなわち、操作部21は、光軸OAより横位置用持ち手部5aに近い位置に配置されている。
図8は、カメラ1の操作状態を示す図である。撮影者は、カメラ1を横位置に構える際、一般的に右手RHで横位置用持ち手部5aを把持する。そして、人差し指の先を横位置レリーズボタン7a上に置く。このとき、左手LHでレンズ鏡筒2の先の部分を支えつつ、フォーカスリング24やズームリング25の操作を行う。
実施形態によると、操作部21は、横位置用持ち手部5aを把持している右手RH側に配置されている。
さらに、操作部21は、レンズ鏡筒2がカメラボディ3に装着されている際に、光軸OAより、横位置撮影の際に撮影者が保持するための横位置用持ち手部5aに近い位置に配置される。すなわち、右手RHで横位置用持ち手部5aを把持した状態で、中指や薬指が届く範囲に配置されている。
したがって、撮影者は撮影時において、テレコンバータレンズ30の機能の有無を、ファインダ6を覗いてレリーズボタン7aを押さえながら切り替えることができる。すなわち、通常の撮影状態から姿勢を変えることなく、テレコンバータレンズ30の機能の有無を切り替えることができるので、操作性がよい。
【0055】
特にレンズ鏡筒2が重い場合、左手LHは、レンズ鏡筒2の先端を支えつつ、フォーカスリング24やズームリング25を操作している場合が多い。仮に、操作部21が左手LH側に配置されていたとすると、レンズ鏡筒2から左手LHを離して、又は支持位置を操作部21位置までずらして、操作部21を操作することが必要となる。そうすると、左手LHでのレンズ鏡筒2を保持ができず、又は安定しないので、操作性が悪い。
【0056】
(変形形態)
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態によって限定されることはない。例えば以下のような変形も可能である。
(1)本実施形態では、テレコンバータレンズ30の着脱をL字レバー状の操作部21により行ったが、例えば押しボタンのようなものでもよい。
(2)また、実施形態では、操作部21と可動部300(テレコンバータレンズ30)との間の動力伝達にギア部50を用いたが、ギア部50に限らず、切り替えの伝達の途中でモータを配置してもよい。
(3)実施形態では可動部としてテレコンバータレンズ30を含む部材について説明したが、これに限らず、可動部は、例えば、レンズ鏡筒の鏡筒長が縮小する際に移動する撮影光学系の一部のレンズを含む部材であってもよく、二焦点式のレンズにおける焦点距離の切り替えに用いるレンズを含む部材であってもよく、さらには可動部にレンズが含まれなくてもよい。
(4)実施形態では、切り替え検出はエンコーダとしてのFPC60とブラシ部61シとで行ったが、これに限らず、例えば一方にボタンが設けられ、他方にはそこに当接すると切り替えを検出するような他の構造でもよい。また、実施形態でブラシは操作部21の根本に、エンコーダはギア部の側面にあるが、この限りでない。
(5)実施形態で操作部21は、手動で駆動する構造であったが、これに限らず、スイッチを入れると電動で移動するような構造であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
A1:回転軸、A3:回転軸、A4:回転軸、BM:ボディマウント、L:レンズ、LM:レンズマウント、OA:光軸、1:カメラ、2:レンズ鏡筒、3:カメラボディ、4:撮像素子、5a:横位置用持ち手部、5b:縦位置用持ち手部、6:ファインダ、7:レリーズボタン、7a:横位置レリーズボタン、7b:縦位置レリーズボタン、21:操作部、21a:回転部、21b:延在部、22:収容部、23:ストラップ装着部、24:フォーカスリング、25:ズームリング、26a,26b:外装筒、27:ストラップ、28:ストッパ、29:内筒、29a:固定部、30:テレコンバータレンズ、31:枠体、32:円環枠、33:アーム部、33a:第1部分、33b:第2部分、33c:第1取付部、33d:第2取付部、34:ローラ保持部、35:円筒部、36:バネ部材、40:当接壁部、41:当接部材、50:ギア部、51:操作部連結ギア、52:第2ギア、53:第3ギア、54:テレコン回転ギア、55:ダンパーギア、56:ギア部カバー、61:ブラシ部、300:可動部