(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】面位置検出装置、露光装置、基板処理システム、およびデバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20221122BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20221122BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
G01B11/02 Z
G03F7/20 521
H01L21/66 P
(21)【出願番号】P 2021501222
(86)(22)【出願日】2019-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2019006506
(87)【国際公開番号】W WO2020170382
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 聡
(72)【発明者】
【氏名】大橋 道雄
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-236074(JP,A)
【文献】特開平10-038513(JP,A)
【文献】特開2013-110398(JP,A)
【文献】国際公開第2017/153069(WO,A1)
【文献】特開平11-026359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G03F 7/20
G03F 9/00
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検面と交差する軸に沿った前記被検面の位置情報を求める面位置検出装置において、
前記被検面において前記被検面内の第1方向に滑らかに強度変調される複数の検出光を、前記第1方向に方向成分を有する方向から斜入射で前記被検面に重畳して照射して前記被検面上に照射領域を形成する送光部と、
受光面が前記被検面と光学的に共役な位置に配置された光検出部を有し、前記照射領域のうち前記第1方向の幅が所定値である検出領域で反射された前記複数の検出光を、前記受光面のそれぞれ異なる位置で受光し、前記複数の検出光の光電変換信号をそれぞれ出力する受光部と、
前記受光部から出力された前記複数の検出光の光電変換信号に基づいて、前記被検面の位置情報を算出する演算部と、
を備える、面位置検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の面位置検出装置において、
前記複数の検出光のそれぞれは、前記照射領域において前記第1方向と交差する第2方向での光強度が一定である、面位置検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の面位置検出装置において、
前記送光部は、前記複数の検出光を、前記被検面の法線に対してそれぞれ等しい角度で前記被検面に照射する、面位置検出装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の面位置検出装置において、
前記被検面上の前記検出領域における、前記複数の検出光の光量の和は、前記第1方向に沿って一定である、面位置検出装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の面位置検出装置において、
前記被検面において、前記複数の検出光はそれぞれ同一の周期、かつ同一の振幅の正弦波関数で前記第1方向に強度変調されており、前記正弦波関数の前記第1方向における位相が相互に異なる、面位置検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の面位置検出装置において、
前記複数の検出光は、前記正弦波関数の前記位相が相互に前記周期の半分だけ異なっている第1検出光と第2検出光とを含む、面位置検出装置。
【請求項7】
請求項5に記載の面位置検出装置において、
前記複数の検出光は、前記正弦波関数の前記位相が相互に前記周期の1/3ずつ異なっている第1検出光、第2検出光、および第3検出光とを含む、面位置検出装置。
【請求項8】
請求項5から請求項7までのいずれかに記載の面位置検出装置において、
前記検出領域の前記第1方向の前記幅は、前記正弦波関数の前記周期の半分よりも短い、面位置検出装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の面位置検出装置において、
前記受光部は、前記被検面と光学的に共役な第1共役面を形成する第1受光光学系と、前記第1共役面と光学的に共役な第2共役面を前記共役な位置に形成する第2受光光学系と、前記第1共役面に配置され、前記第1方向と結像関係にある第3方向と交差する第4方向に長手方向を有し、前記検出領域と結像関係にある開口部を備えた開口部材とを備える、面位置検出装置。
【請求項10】
請求項9に記載の面位置検出装置において、
前記第2受光光学系は、前記検出領域を介して前記受光部に入射する前記複数の検出光を、前記受光面上のそれぞれ異なる位置に入射させる光分離部材を有する、面位置検出装置。
【請求項11】
請求項10に記載の面位置検出装置において、
前記光分離部材は、前記第2受光光学系の瞳面に配置されている、面位置検出装置。
【請求項12】
請求項9から請求項11までのいずれか一項に記載の面位置検出装置において、
前記受光面上における前記複数の検出光の前記第1方向と結像関係にある第5方向の幅は、前記受光面において前記第5方向と交差する第6方向の幅よりも狭い、面位置検出装置。
【請求項13】
請求項9から請求項12までのいずれか一項に記載の面位置検出装置において、
前記第2受光光学系は、前記第2受光光学系の光軸に対して傾斜している前記第1共役面に対して、前記第2共役面を前記第2受光光学系の前記光軸に対して垂直にする像面傾斜補正部材を有する、面位置検出装置。
【請求項14】
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の面位置検出装置において、
前記演算部は、前記受光面上における前記複数の検出光の、前記第1方向と結像関係にある第5方向の幅が前記第5方向と交差する第6方向の幅よりも狭い領域の光電変換信号用いて、前記被検面の位置情報を算出する、面位置検出装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14までのいずれか一項に記載の面位置検出装置において、
前記演算部は、前記被検面上での前記検出光の強度分布と、前記複数の検出光の光電変換信号とに基づいて、前記被検面上の前記検出領域における反射率を算出する反射率算出部を備え、
前記演算部は、算出された前記反射率に基づいて、前記被検面の位置情報を算出する、面位置検出装置。
【請求項16】
請求項1から請求項15までのいずれか一項に記載の面位置検出装置において、
前記送光部が前記被検面に照射する前記複数の検出光は、それぞれ複数の異なる波長を含み、
前記受光部は、前記複数の検出光のそれぞれを波長に応じて分光して前記受光面上の異なる位置に導く分光部材を備え、
前記光検出部は、前記複数の検出光のそれぞれについて、前記それぞれ異なる位置に入射した前記複数の異なる波長毎の光電変換信号を出力し、
前記演算部は、前記複数の異なる波長毎の前記複数の検出光の光電変換信号に基づいて、前記被検面の位置情報を算出する、面位置検出装置。
【請求項17】
請求項16に記載の面位置検出装置において、
前記演算部は、前記複数の異なる波長毎の前記複数の検出光の光電変換信号に基づいて前記複数の異なる波長毎に前記被検面の位置情報要素を算出し、算出された前記複数の異なる波長毎の前記位置情報要素を統計処理して前記被検面の位置情報を算出する、面位置検出装置。
【請求項18】
請求項16または請求項17に記載の面位置検出装置において、
前記分光部材による分光方向は前記受光面上において前記第1方向と結像関係にある第5方向である、面位置検出装置。
【請求項19】
請求項16から請求項18までのいずれか一項に記載の面位置検出装置において、
前記分光部材は、波長に応じて屈折力が異なるプリズムを含む、面位置検出装置。
【請求項20】
請求項19に記載の面位置検出装置において、
前記分光部材は、分散が互いに異なる複数のプリズムを含む、面位置検出装置。
【請求項21】
請求項1から請求項20までのいずれか一項に記載の面位置検出装置において、
前記受光部は、前記受光した検出光のうち第1偏光成分の光と前記第1偏光成分と異なる第2偏光成分との光に分離する偏光分離部材を備える、面位置検出装置。
【請求項22】
請求項21に記載の面位置検出装置において、
前記光検出部は、前記受光面として、前記第1偏光成分の前記光を受光する第1受光面と、前記第2偏光成分の前記光を受光する第2受光面とを備える、面位置検出装置。
【請求項23】
請求項21または請求項22に記載の面位置検出装置において、
前記受光部は、前記光電変換信号として、前記第1偏光成分の前記光に対応する第1光電変換信号と、前記第2偏光成分の前記光に対応する第2光電変換信号とを出力し、
前記演算部は、前記受光部からの前記第1光電変換信号および第2光電変換信号を用いて前記被検面の位置情報を算出する、面位置検出装置。
【請求項24】
請求項1から23までのいずれか一項に記載の面位置検出装置において、
前記送光部は、前記複数の検出光の光路に配置される回折格子を備え、
前記複数の検出光においてそれぞれ、前記回折格子からの複数の回折光による干渉縞が、前記被検面上に前記第1方向の前記強度変調を形成する、面位置検出装置。
【請求項25】
請求項24に記載の面位置検出装置において、
前記複数の検出光は、前記回折格子の表面からそれぞれ異なる方向に進行する、面位置検出装置。
【請求項26】
請求項1から請求項25までのいずれか一項に記載の面位置検出装置において、
前記送光部は、入射する光を分割して、前記複数の検出光を生成する検出光分割部材を備える、面位置検出装置。
【請求項27】
請求項26に記載の面位置検出装置において、
前記送光部は瞳面を有し、 前記検出光分割部材は、前記瞳面に配置され、前記複数の検出光のうちの少なくとも一方を偏向する、面位置検出装置。
【請求項28】
被検面と交差する軸に沿った前記被検面の位置情報を求める面位置検出装置において、
前記被検面において前記被検面内の第1方向に強度変調される複数の検出光を、前記第1方向に方向成分を有する方向から斜入射で前記被検面に重畳して照射して前記被検面上に照射領域を形成する送光部と、
受光面が前記被検面と光学的に共役な位置に配置された光検出部を有し、前記照射領域のうち前記第1方向の幅が所定値である検出領域で反射された前記複数の検出光を、前記受光面のそれぞれ異なる位置で受光し、前記複数の検出光の光電変換信号をそれぞれ出力する受光部と、
前記受光部から出力された前記複数の検出光の光電変換信号に基づいて、前記被検面の位置情報を算出する演算部と、
を備え、
前記受光面における前記検出領域の像の前記第1方向と結像関係にある第3方向の幅は、前記受光面において前記第3方向と交差する第4方向の幅よりも狭い、面位置検出装置。
【請求項29】
請求項28に記載の面位置検出装置において、
前記受光部は受光光学系を備え、
前記受光光学系は、受光光学系の光軸に垂直な面に対して傾斜している前記被検面の像を、光軸に対して垂直な面上に形成する像面傾斜補正部材を備え、
前記受光面は、前記受光光学系の前記光軸に対して垂直に配置される、面位置検出装置。
【請求項30】
被検面と交差する軸に沿った前記被検面の位置情報を求める面位置検出装置において、
複数の異なる波長を含み前記被検面において前記被検面内の第1方向に強度変調される複数の検出光を、前記第1方向に方向成分を有する方向から斜入射で前記被検面に重畳して照射して前記被検面上に照射領域を形成する送光部と、
受光面が前記被検面と光学的に共役な位置に配置された光検出部、前記照射領域のうち前記第1方向の幅が所定値である検出領域で反射された前記複数の検出光を前記受光面のそれぞれ異なる位置に導く光分離部材、および前記検出光をさらに波長に応じて分光して前記受光面上の異なる位置に導く分光部材、とを有する受光部と、
を備え、
前記受光面上での分光方向は前記第1方向と結像関係にある第3方向である、面位置検出装置。
【請求項31】
投影光学系と、
基板を載置し移動せしめる基板ステージと、
前記被検面として前記基板の表面の位置を検出する請求項1から請求項28までのいずれか一項に記載の面位置検出装置と、
を備える、露光装置。
【請求項32】
請求項31に記載の露光装置において、
前記基板ステージに載置された基板が前記面位置検出装置と対向する位置において、前記基板ステージの少なくとも一部の、前記投影光学系の光軸方向の位置を計測する第1位置計測部と、
前記基板ステージに載置された基板が前記投影光学系と対向する位置において、前記基板ステージの少なくとも一部の前記光軸方向の位置を計測する第2位置計測部と、
を備える、露光装置。
【請求項33】
基板の表面上にレジストを形成すること、
請求項31または請求項32に記載の露光装置を用いて、前記基板の表面に形成された前記レジストの表面の位置を検出し、前記レジストの前記表面を前記投影光学系の光軸方向の所定の位置に設定して、露光パターンを露光すること、
前記レジストを現像すること、
前記現像により形成されたレジストパターンに基づいて、前記基板の表面を加工すること、
を含む、デバイス製造方法。
【請求項34】
基板を処理対象とする基板処理システムであって、
前記基板を載置する第1ステージ、および前記基板の表面における複数箇所の、前記表面と交差する方向における位置を計測する請求項1から請求項28までのいずれか一項に記載の面位置検出装置を有する計測装置と、
前記計測装置による前記計測が終了した前記基板を載置する第2ステージを備え、前記第2ステージに載置された前記基板を露光する露光装置と
を備え、
前記露光装置は、前記計測装置による計測結果を少なくとも用いて、前記基板の前記交差する方向における位置を変更しつつ前記露光を行う、基板処理システム。
【請求項35】
基板の表面上にレジストを形成すること、
請求項34に記載の基板処理システムを用いて、前記基板の表面に形成された前記レジストの表面における複数箇所の、前記表面と交差する方向の位置を検出し、検出した前記複数箇所の位置に基づいて、前記レジストの前記表面の前記表面と交差する方向の位置を変更しつつ露光パターンを露光すること、
前記露光パターンに基づいて、回路パターンを形成すること、
を含む、デバイス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面位置検出装置、露光装置、基板処理システム、およびデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マスク上に形成されたパターンを、投影光学系を介して感光性基板上に投影露光する露光装置においては、投影光学系の焦点深度が比較的浅く、感光性基板の被露光面(表面:転写面)が平坦でない場合もある。このため、露光装置では、投影光学系の像面(結像面)に対する感光性基板の表面の位置合わせを正確に行う必要がある。
投影光学系の光軸方向に沿った感光性基板の面位置(被露光面の面位置)を検出する装置として、例えば斜入射型の面位置検出装置が知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2010/0231881号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様の面位置検出装置は、被検面と交差する軸に沿った前記被検面の位置情報を求める面位置検出装置において、前記被検面において前記被検面内の第1方向に滑らかに強度変調される複数の検出光を、前記第1方向に方向成分を有する方向から斜入射で前記被検面に重畳して照射して前記被検面上に照射領域を形成する送光部と、受光面が前記被検面と光学的に共役な位置に配置された光検出部を有し、前記照射領域のうち前記第1方向の幅が所定値である検出領域で反射された前記複数の検出光を、前記受光面のそれぞれ異なる位置で受光し、前記複数の検出光の光電変換信号をそれぞれ出力する受光部と、前記受光部から出力された前記複数の検出光の光電変換信号に基づいて、前記被検面の位置情報を算出する演算部と、を備える。
本発明の第2の態様の面位置検出装置は、被検面と交差する軸に沿った前記被検面の位置情報を求める面位置検出装置において、前記被検面において前記被検面内の第1方向に強度変調される複数の検出光を、前記第1方向に方向成分を有する方向から斜入射で前記被検面に重畳して照射して前記被検面上に照射領域を形成する送光部と、受光面が前記被検面と光学的に共役な位置に配置された光検出部を有し、前記照射領域のうち前記第1方向の幅が所定値である検出領域で反射された前記複数の検出光を、前記受光面のそれぞれ異なる位置で受光し、前記複数の検出光の光電変換信号をそれぞれ出力する受光部と、前記受光部から出力された前記複数の検出光の光電変換信号に基づいて、前記被検面の位置情報を算出する演算部と、を備え、前記受光面における前記検出領域の像の前記第1方向と結像関係にある第3方向の幅は、前記受光面において前記第3方向と交差する第4方向の幅よりも狭い。
本発明の第3の態様の露光装置は、投影光学系と、基板を載置し移動せしめる基板ステージと、前記被検面として前記基板の表面の位置を検出する第1の態様または第2の態様の面位置検出装置と、を備える。
本発明の第4の態様のデバイス製造方法は、基板の表面上にレジストを形成すること、第3の態様の露光装置を用いて、前記基板の表面に形成された前記レジストの表面の位置を検出し、前記レジストの前記表面を前記投影光学系の光軸方向の所定の位置に設定して露光パターンを露光すること、前記レジストを現像すること、前記現像により形成されたレジストパターンに基づいて、前記基板の表面を加工すること、を含む。
本発明の第5の態様の基板処理システムは、基板を処理対象とする基板処理システムであって、前記基板を載置する第1ステージ、および前記基板の表面における複数箇所の、前記表面と交差する方向における位置を計測する第1の態様または第2の態様の面位置検出装置を有する計測装置と、前記計測装置による前記計測が終了した前記基板を載置する第2ステージを備え、前記第2ステージに載置された前記基板を露光する露光装置とを備え、前記露光装置は、前記計測装置による計測結果を少なくとも用いて、前記基板の前記交差する方向における位置を変更しつつ前記露光を行う。
本発明の第6の態様のデバイス製造方法は、基板の表面上にレジストを形成すること、第5の態様の基板処理システムを用いて、前記基板の表面に形成された前記レジストの表面における複数箇所の、前記表面と交差する方向の位置を検出し、検出した前記複数箇所の位置に基づいて、前記レジストの前記表面の前記表面と交差する方向の位置を変更しつつ露光パターンを露光すること、前記露光パターンに基づいて、回路パターンを形成すること、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】第1実施形態の面位置検出装置100の構成を概略的に示す図。
【
図2】面位置検出装置100の一部の構成を、-Y方向から見た側面図。
【
図3】面位置検出装置100の一部の構成を、+Z方向から見た上面図。
【
図5】
図5(a)は、被検面WA上の照射領域IAを示す図。
図5(b)は、照射領域IAのX軸方向の光量分布を示す図。
【
図6】受光プリズム23の入射面23aを、入射面23aに対する法線の方向から見た図。
【
図8】受光面29aに形成される開口部SLのP偏光成分の像を示す図。
【
図9】被検面WAのZ軸方向の位置(横軸)と、光電変換信号S1bおよび光電変換信号S2bとの関係の一例を示す図。
【
図10】
図10(a)は別の例の検出光分割部材を示す斜視図。
図10(b)は別の例の検出光分割部材を送光側第1レンズ17側から見た図。
【
図11】
図11(a)は、第2実施形態の面位置検出装置における、被検面WA上の第1検出光、第2検出光、および第3検出光の光量分布を表す図。
図11(b)は、被検面WAのZ軸方向の位置(横軸)と、光電変換信号との関係を示す図。
【
図12】第3実施形態の露光装置200の概略を示す図。
【
図13】第4実施形態の基板処理システム300を含む、基板処理ラインの概略を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書において、「光学的に共役」とは、1つの面と他の1つの面とが光学系を介して結像関係になっていることをいう。
本明細書において、「結像関係」とは、1つの領域内の任意の1点を発した光が、光学系を介して他の1つの領域内の1点を中心とする光学系の解像度程度の範囲内に集光する関係をいう。
本明細書において、「正弦波関数」とは、正弦関数(sin)または余弦関数(cos)に対して所定の定数が加わり、値がすべて非負となっている関数をいう。
【0007】
(第1実施形態の面位置検出装置)
図1は、第1実施形態の面位置検出装置100の構成を概略的に示す図である。
図1では、面位置検出装置100に載置される被計測物Wの表面(以下、「被検面」ともいう)WAに垂直な方向(法線方向)にZ軸を、Z軸に垂直な面内、すなわち被検面WAに平行な面内において
図1の紙面に平行にX軸を、
図1の紙面に垂直にY軸を設定している。
【0008】
第1実施形態の面位置検出装置100における検出光の経路の概要を説明する。光導入部12に、例えば光源10からライトガイド11を介して検出光が供給される。光源10からの検出光の波長帯域は、一例として400nmから800nmであるが、これには限定されない。例えば、400nm以下、一例として200nm近傍であってもよいし、800nm以上の赤外域、一例として1200nm~1700nmであってもよい。光導入部12を発した検出光は、コンデンサーレンズ群13、回折格子板14、送光側第2レンズ群15、送光側第1レンズ群17、およびミラー18等を介して被検面WAに照射される。被検面WAで反射した検出光は、ミラー19、受光側第1レンズ群20、受光側第2レンズ群22等を介して、受光プリズム23に至る。受光プリズム23により屈折した検出光は、前側レンズ群24と後側レンズ群26とからなるリレー光学系を介して、偏光分離プリズム27に入射する。そして、検出光は偏光分離プリズム27で2つの異なる偏光成分に分離され、分離されたそれぞれの検出光は、光検出部28aの受光面29a、および光検出部28bの受光面29bに入射する。
尚、
図1乃至
図3では、各レンズ群のレンズは1枚のみ図示しているが、各レンズ群は1枚以上のレンズから構成されてもよい。
被計測物WはステージSTに載置されており、ステージSTのXYZ位置は、不図示の干渉計またはエンコーダーにより計測されている。
【0009】
本明細書では、光導入部12、コンデンサーレンズ群13、回折格子板14、送光側第2レンズ群15、検出光分割部材16、送光側第1レンズ群17、およびミラー18の全て、または一部を、総称して送光部TSとも呼ぶ。
本明細書では、ミラー19、受光側第1レンズ群20、シリンドリカルレンズ21、受光側第2レンズ群22、受光プリズム23、リレー光学系(24,26)、複合分離部材25、偏光分離プリズム27、および光検出部28a,28bの全て、または一部を、総称して受光部RSとも呼ぶ。
【0010】
図2および
図3は、
図1に示した面位置検出装置100の一部の構成を概略的に示す図である。
図2は、コンデンサーレンズ群13から光検出部28aまでの構成を-Y方向から見た側面図である。
図2では、回折格子板14から被検面WAまでの光路、および被検面WAから受光プリズム23までの光路を直線状に展開している。
図3は、コンデンサーレンズ群13から光検出部28aまでの構成を+Z方向から見た上面図である。
図2および
図3では、ミラー18、19、偏光分離プリズム27、および光検出部28bの図示を省略している。また、
図2および
図3では、光軸AX2を光軸AX3と一致させ、光軸AX4を光軸AX5と一致させているとともに、光軸AX6をX軸方向に一致させている。
【0011】
光導入部12を発した光は、コンデンサーレンズ群13に入射し、概ねコンデンサーレンズ群13の光軸AX1に沿って、回折格子板14に入射する。回折格子板14には、その表面に誘電体膜または金属膜からなる回折格子14aが形成されている。回折格子14aは一例として1次元格子であり、長手方向が図中のY方向と一致する略矩形のパターンが、Y方向と直交する回折格子板14の面内の方向に所定の周期で配列されている。本例では、回折格子14aは+1次回折光DPおよび-1次回折光DMを選択的に発生させるものである。
【0012】
回折格子板14により反射および回折された±1次回折光DP、DMは、送光側第2レンズ15を介して、検出光分割部材16に入射する。検出光分割部材16は、送光側第2レンズ群15と送光側第1レンズ群17とからなる送光光学系の瞳面TPに配置されている。ここで瞳面TPとは、被検面WA上の異なる位置に同一の方向から入射する複数の光線がほぼ1点に集まる面である。逆に言えば、瞳面TP上の1点からそれぞれ異なる方向に進む光は、被検面WA上のそれぞれ異なる位置に、同一の方向から入射する。光軸AX2は、送光側第2レンズ群15と送光側第1レンズ群17との光軸であり、回折格子板14で反射(鏡映)されたコンデンサーレンズ13の光軸AX1と一致している。
【0013】
図4は、検出光分割部材16の一例を示す図である。
図4(a)は検出光分割部材16を示す斜視図であり、
図4(b)は検出光分割部材16を送光側第1レンズ群17側から見た図である。
図4の光軸AX2およびY軸は、
図1~
図3に示した光軸AX2およびY軸と同一方向を示している。
図4のz1軸は、光軸AX2およびY軸と直交する方向を示している。検出光分割部材16は、一例として4つのプリズム16a~16dを含んでいる。プリズム16aとプリズム16bは、光軸AX2方向の略同一位置に相互にY方向に接して配置されている。プリズム16cとプリズム16dは、プリズム16aとプリズム16bから光軸AX2方向に光路の下流側に離れた位置に、相互にY方向に接して配置されている。プリズム16aとプリズム16bの境界、およびプリズム16cとプリズム16dの境界は、光軸AX2を通りz1軸と平行な面上にある。
【0014】
4つのプリズム16a~16dのうちのいずれか1つは、光軸AX2方向の厚さがz1方向の位置に応じて変化しており、これを透過する光に対してz1方向の位置に応じて変化する位相差を与え、これを透過する光の進行方向を、z1方向に微小角だけ偏向させる。
なお、プリズム16aとプリズム16b、およびプリズム16cとプリズム16dは、それぞれ分離された2つのプリズムではなく、一体的なプリズムの入射面または射出面の形状が、光軸AX2の+Y側と-Y側とで異なるものであっても良い。
【0015】
検出光分割部材16に入射した+1次回折光DPおよび-1次回折光DMは、それぞれ、瞳面TPにおいて光軸AX2より+Y側に配置されたプリズム16cを射出する第1検出光DL1と、光軸AX2より-Y側に配置されたプリズム16dを射出する第2検出光DL2とに分割される。そして、第1検出光DL1と第2検出光DL2とは、z1方向に相互に微小角だけ偏向される。
【0016】
なお、第1検出光DL1と第2検出光DL2とには、共に+1次回折光DPと-1次回折光DMとが含まれていることに留意されたい。
また、検出光分割部材16の光軸AX2方向の一方の側または他方の側に、+1次回折光DPおよび-1次回折光DMのみを選択的に透過する回折光選択フィルタを設けても良い。この場合には、回折格子14aとして、+1次回折光DPおよび-1次回折光DM以外の回折光を発生する回折格子を使用してもよい。
【0017】
第1検出光DL1と第2検出光DL2とは、送光側第1レンズ群17により集光された後、ミラー18により反射されて被検面WAに照射され、被検面WA上に照射領域IAを形成する。第1検出光DL1と第2検出光DL2とは、瞳面TPにおいて、相互にY方向にずれた位置を通る光である。従って、
図3に示すとおり、第1検出光DL1と第2検出光DL2の被検面WAへの入射方向は、概ね+X方向に平行な方向ではあるが、相互にY方向にずれている。
被検面WAへの検出光の入射角θ(被検面WAの法線NVに対する入射光の角度)は、例えば80度以上90度未満の大きな角度に設定されている。光軸AX3は、光軸AX2がミラー18により反射(鏡映)されたものである。尚、入射角θは80度未満であっても90度以上であってもよい。
【0018】
図5(a)は、被検面WA上の照射領域IAを示す図であり、
図5(b)は、照射領域IAのX軸方向の光量分布を示す図である。実線は第1検出光DL1の光量分布IDL1を示し、破線は第2検出光DL2の光量分布IDL2を示している。
図5に示した検出領域DAについては後述する。
【0019】
第1検出光DL1および第2検出光DL2は、それぞれ+1次回折光DPおよび-1次回折光DMの2つの回折光より成るので、光量分布IDL1と光量分布IDL2とは、いずれも2つの回折光が形成する干渉縞となる。従って、
図5(b)に示したとおり、光量分布IDL1および光量分布IDL2は、いずれもX方向に所定の周期FXと振幅を有する正弦波関数(sin関数)で強度変調された分布となる。本例においては、光量分布IDL1および光量分布IDL2を変調するそれぞれの正弦波関数の振幅とX方向の周期FXは等しい。
【0020】
第1検出光DL1および第2検出光DL2は、前述のとおり検出光分割部材16により微小角だけ偏向される。この偏向により、光量分布IDL1と光量分布IDの正弦波関数の位相は、それぞれの強度変調の正弦波関数の周期FXの半分だけずれたものとなっている。ただし、その偏向量は小さいため、第1検出光DL1と第2検出光DL2は、重畳して、すなわちほとんど重なって被検面WA上の照射領域IAに照射される。
換言すれば、第1検出光DL1と第2検出光DL2とは、+X方向に方向成分を有する方向から斜入射で被検面WAに重畳して照射され、被検面WA上に照射領域IAを形成する。
【0021】
従って、照射領域IAにおいて、X軸方向の任意の位置において、第1検出光DL1の光量と第2検出光DL2の光量との和は、一定となる。換言すれば、光量分布IDL1と光量分布IDL2とは、X方向について相補的である。
また、光量分布IDL1と光量分布IDL2とは、共にY方向の所定の範囲内で一定である。
被検面WAの面内におけるX方向を、第1方向と解釈してもよい。また、被検面WAの面内におけるY方向を、第2方向と解釈してもよい。
【0022】
なお、検出光分割部材16を瞳面TPに配置するのは、±1次回折光DP、DMを被検面WAへの入射位置に係わらず、被検面WAへの入射方向に応じて、第1検出光DL1と第2検出光DL2に分割するためである。従って、検出光分割部材16が配置される瞳面TPの位置は、必ずしも被検面WA上の異なる位置に同一の方向から入射する複数の光線が正確に1点に集まる面でなくても良い。すなわち、被検面WAへの入射方向に応じて、第1検出光DL1と第2検出光DL2に分割することができる位置であれば、光軸AX2に沿って多少前後した位置であっても良い。これは、後述する他の瞳面についても同様である。
【0023】
被計測物Wの被検面WAによって反射された光は、ミラー19、受光側第1レンズ群20、シリンドリカルレンズ21、および受光側第2レンズ群22を介した後、受光プリズム23の入射面23aに入射する。光軸AX5は、受光側第1レンズ20、および受光側第2レンズ22の光軸である。光軸AX4は、光軸AX5がミラー19により反射(鏡映)されたものである。
【0024】
ミラー19、受光側第1レンズ群20、および受光側第2レンズ群22は、照射領域IAの中心を含むYZ平面に関して、それぞれミラー18、送光側第1レンズ群17、および送光側第2レンズ群15と対称な位置に配置され、対称的な構成を有する。
受光プリズム23の入射面23aは、照射領域IAの中心を含むYZ平面に関して回折格子板14上の回折格子14aと対称な位置に配置される。
【0025】
図6は、受光プリズム23の入射面23aを、入射面23aに対する法線の方向から見た図である。入射面23a上の光軸AX2との交点またはその近傍には、Y方向に長手方向を有する光透過部である開口部(スリット)SLが形成されている。入射面23aの開口部SL以外の部分は、遮光膜で覆われた遮光部OFが形成されている。
【0026】
入射面23aは、ミラー19、受光側第1レンズ群20、および受光側第2レンズ群22を介して、被計測物Wの被検面WAと光学的に共役になっている。すなわち、被検面WA内の1点を発した第1検出光DL1および第2検出光DL2は、ともに入射面23a上の1点に集光する。入射面23aの面内方向であるx2軸は、被検面WA内のX軸と結像関係にある。すなわち、被検面WA内のX方向に沿った任意の領域は、入射面23a内でx2方向に沿った領域に結像される。z2軸は、Y軸およびx2軸と直交する方向の軸である。
【0027】
開口部SLは、第1検出光DL1および第2検出光DL2のうち、入射面23a上に形成された被検面WA上の照射領域IAにおいて、開口部SLと結像関係にある部分で反射した光のみを選択的に透過する。そこで、被検面WA上の照射領域IAのうち、受光側第1レンズ20および受光側第2レンズ22等を介して入射面23a上の開口部SLと結像関係にある部分を、
図5(a)および
図5(b)に示したように検出領域DAと解釈してもよい。すなわち、第1検出光DL1および第2検出光DL2のうち、被検面WA上の検出領域DAで反射した光のみが、開口部SLを透過する。
【0028】
開口部SLのx2方向の幅は幅Swxであり、Y方向の幅は幅Swyであり、
図5(a)に示すように、被検面WA上の検出領域DAのX方向の幅は幅Dwxであり、Y方向の幅は幅Dwyである。受光側第1レンズ20、および受光側第2レンズ22による被検面WAから入射面23aまでの結像倍率は、幅Swxと幅Dwxの比、および幅Swyと幅Dwyの比と一致する。
なお、幅Dwxの大きな検出領域DAからの反射光を、狭い幅Swxの開口部SLに集光させるために、受光側第1レンズ群20および受光側第2レンズ群22が構成する光学系の瞳面RP1またはその近傍に、シリンドリカルレンズ21を設けてもよい。ここで瞳面RP1とは、被検面WA上の異なる位置から同一の方向に射出する複数の光線がほぼ1点に集まる面である。
【0029】
受光側第1レンズ群20、および受光側第2レンズ群22を第1受光光学系と解釈してもよい。
入射面23a内におけるx2方向を、第3方向と解釈してもよい。また、入射面23a内におけるY方向を、第4方向と解釈してもよい。
瞳面RP1を第1瞳面と解釈してもよい。
【0030】
開口部SLを透過した第1検出光DL1および第2検出光DL2は、受光プリズム23による屈折作用により所定の角度だけ偏向された後、受光プリズム23から射出され、リレー光学系(24、26)の前側レンズ群24に入射する。光軸AX6は、リレー光学系の前側レンズ群24および後側レンズ群26の光軸である。
【0031】
なお、第1検出光DL1および第2検出光DL2は、X2方向に比較的狭い幅Swxの開口部SLを透過する際に回折され、進行方向がZ方向に広がるため、+1次回折光DPと-1次回折光DMとを峻別できなくなる。そこで、
図2では、開口部SLを透過した後の光を第1検出光DL1として示している。また、-Y方向から見た
図2においては、第2検出光DL2は第1検出光DL1と重なって表示されるため、図示を省略している。
【0032】
前側レンズ群24による入射面23aに対する瞳面RP2には、複合分離部材25が配置されている。ここで瞳面RP2とは、入射面23a上の異なる位置から同一の方向に射出する複数の光線がほぼ1点に集まる面である。複合分離部材25の詳細については後述する。
【0033】
複合分離部材25から射出された第1検出光DL1および第2検出光DL2は、リレー光学系の後側レンズ群26を介して、偏光分離プリズム27に入射する。第1検出光DL1および第2検出光DL2のうち、P偏光成分は偏光分離プリズム27を直進し、光検出部28a上の受光面29aに、開口部SLのP偏光成分の像を形成する。一方、第1検出光DL1および第2検出光DL2のうち、S偏光成分は偏光分離プリズム27により反射され、光検出部28b上の受光面29bに、開口部SLのS偏光成分像を形成する。
【0034】
なお、開口部SLは、光軸AX6に対して垂直な面から大きく傾斜した受光プリズム23の入射面23a上に形成されている。しかし、
図2に示すように、受光プリズム23の内部の光路長がZ方向に対して変化していることにより、この像面の傾斜が補正される。その結果、開口部SLの像は、光軸AX6に対して垂直に配置された受光面29aに合致して形成される。すなわち、受光プリズム23は、像面傾斜補正部材とも解釈してもよい。
なお、偏光分離プリズム27の光軸AX6を中心とする回転方向は、偏光分離プリズム27の偏光分離面27aに対するP偏光およびS偏光が、被検面WAに対するP偏光およびS偏光と一致するように設定する。
【0035】
光検出部28a、28bの受光面29a,29bに受光され、光電変換された検出光の光電変換信号は、光検出部28a、28bから出力され、演算部PUに入力される。演算部PUは、CPUやメモリーを備えるコンピュータ装置であっても良い。
光検出部28a、28b、およびその受光面29a,29bに形成される開口部SLの像の詳細については、後述する。
【0036】
図7は、複合分離部材25の一例を示す図である。なお、
図7では、理解を容易にするために、
図2及び
図3に示したのと同様に、光軸AX6をX軸と平行に表している。
図7(a)は、複合分離部材25の光軸AX6を通るXY平面における断面図を示し、
図7(b)は、複合分離部材25の光軸AX6を通るXZ平面における断面図を示す。
複合分離部材25は、機能的には光軸AX6に沿って入射側の光分離部材25aと、射出側の分光部材25bとに分かれる。
【0037】
光分離部材25aの入射側には、光軸AX6の+Y側に配置された第1ブロック251と光軸AX6の-Y側に配置された第2ブロック252が配置されている。第1ブロック251および第2ブロック252の入射面は、光軸AX6と直交する面に対してZ軸と平行な回転軸を中心としてそれぞれ異なる方向に回転した面である。第1ブロック251および第2ブロック252の射出面も同様である。第3ブロック253の入射面の形状は、第1ブロック251および第2ブロック252の射出面の形状と一致している。第3ブロック253の射出面は、光軸AX6に垂直な平面である。
【0038】
この結果、光分離部材25aは、光軸AX6より+Y側に入射する光と、光軸AXより-Y側に入射する光とを、それぞれ異なる方向に屈折(偏向)させる。第1ブロック251および第2ブロック252と、第3ブロック253とは、相互に屈折率の異なる材料で形成することが好ましい。
【0039】
複合分離部材25は瞳面RP2に配置されているので、
図3に示すとおり、光軸AX6より+Y側に入射する光は第1検出光DL1であり、光軸AX6より-Y側に入射する光は第2検出光DL2である。そして、瞳面RP2において相互にY方向に微小角度偏向された光は、受光面29a、29b上で相互にY方向にシフトした位置に形成される。
【0040】
射出側の分光部材25bは、2つの三角プリズムである第4ブロック254と第5ブロック255とを、その斜辺を対向させて配置したプリズムである。第4ブロック254の入射面は、第3ブロック253の射出面と一致し、第5ブロック255の射出面は光軸AX6に垂直な面と一致している。第4ブロック254と第5ブロック255の境界面は、Y軸方向を含む面である。第4ブロック254と第5ブロック255とは、分散の異なる材質で形成されている。
【0041】
このため、第4ブロック254と第5ブロック255との境界面において、第1検出光DL1および第2検出光DL2に含まれる相互に異なる波長の光は、波長に応じて異なる角度で屈折する。その結果、分光部材25bにより、第1検出光DL1および第2検出光DL2は分光され、各波長ごとに相互にZ方向に微小角度偏向された検出光DL1a~DL1cとなって、分光部材25bから射出される。
なお、分光部材25bは、波長に応じて屈折力が異なる1つのプリズムで形成されていてもよい。
【0042】
複合分離部材25は瞳面RP2に配置されているので、複合分離部材25により相互にZ方向に微小角度偏向された光は、受光面29a、29b上で相互にZ方向にシフトした位置に形成される。
なお、
図7では、煩雑さを避けるために、第2検出光DL2、および第2検出光DL2が分光された検出光DL2a~DL2cの図示を省略している。
【0043】
図8は、受光面29aに形成される開口部SLのP偏光成分の像を示す図である。
図8において、受光面29aの面内方向のx3軸は、上述の入射面23a内のx2軸と結像関係にある。すなわち、入射面23aのx2方向に沿った任意の領域は、受光面29a内でx3方向に沿った領域に結像される。
なお、上述のとおり、入射面23aの面内方向であるx2軸は、被検面WA内のX軸と結像関係にある。従って、受光面29aの面内方向のx3軸は、被検面WA内のX軸とも結像関係にある。z3軸は、Y軸およびx3軸と直交する方向の軸である。
光路を直線上に展開して示している
図2においては、受光面29aの面内方向のx3軸が、便宜的にZ軸と一致するように記載されている点に留意されたい。
【0044】
前側レンズ群24および後側レンズ群26からなるリレー光学系は、第2受光光学系と解釈してもよい。
入射面23a内におけるx2方向を、第3方向と解釈してもよい。また、入射面23a内におけるY方向を、第4方向と解釈してもよい。
瞳面RP2を第2瞳面と解釈してもよい。
受光面29a内におけるx3方向を、第5方向と解釈してもよい。また、受光面29a内におけるY方向を、第6方向と解釈してもよい。
【0045】
複合分離部材25による検出光の分離および偏向により、第1検出光DL1と第2検出光DL2のそれぞれの異なる波長成分は受光面29a上の異なる位置に導かれるため、受光面29a上には、開口部SLの複数の像(IM1a~IM1cおよびIM2a~IM2c)が形成される。
受光面29a上で、Y方向に離れて形成される像IM1a~IM1cと像IM2a~IM2cとは、それぞれ、複合分離部材25の光分離部材25aにより相互にY方向に微小角度だけ偏向された第1検出光DL1と第2検出光DL2とにより形成された像である。第1検出光DL1および第2検出光DL2は、分光部材25bにより、各波長ごとに相互にY方向と直交する方向に微小角度偏向された検出光DL1a~DL1c、および検出光DL2a~DL2cに分光されている。従って、受光面29a上に形成される開口部SLの像も、波長に応じてx3方向に異なる位置に形成される。
【0046】
像IM1aは、第1検出光DL1のうちの第1波長の光による像であり、像IM1bは、第1検出光DL1のうちの第2波長の光による像であり、像IM1cは、第1検出光DL1のうちの第3波長の光による像である。
一方の、像IM2aは、第2検出光DL2のうちの第1波長の光による像であり、像IM2bは、第2検出光DL2のうちの第2波長の光による像であり、像IM2cは、第2検出光DL2のうちの第3波長の光による像である。
【0047】
なお、
図8では、理解を容易にするために、第1検出光DL1および第2検出光DL2は異なる3波長の光を含み、従って、第1検出光DL1による像IM1a~IM1c、および第2検出光DL2による像IMIM2a~IM2cは、それぞれ3つとしている。
しかし、第1検出光DL1および第2検出光DL2に含まれる光の波長は、離散的な3波長に限られるわけではなく、離散的な4以上の異なる波長を含んでいてもよい。この場合には、第1検出光DL1による像IM1a~IM1c、および第2検出光DL2による像IMIM2a~IM2cの数は4以上になる。
また、第1検出光DL1および第2検出光DL2に含まれる光の波長は、離散的な複数の波長に限られるわけではなく、離散的或いは連続的な複数の波長帯域であってもよい。
【0048】
受光面29aは、これらの像IM1a~IM1cおよびIMIM2a~IM2cの光量を、それぞれ光電変換して出力する。一例として、受光面29aには、複数の分離した光電変換部であって、それぞれが各像IM1a~IM1c、IMIM2a~IM2cのそれぞれを包含する光電変換部が設けられている。各光電変換部は、それぞれ像IM1a~IM1c、IMIM2a~IM2cを受光し、その光量を光電変換して出力する。
【0049】
光検出部28aとして、受光面29aに、微小な受光ピクセルが2次元的に配列された2次元撮像センサを使用してもよい。この場合には、例えば1つの像IM1aは、複数の受光ピクセルにより受光される。この場合は、光検出部28aは、複数の受光ピクセルが受光した検出光の光量をそれぞれ光電変換した信号を、光電変換信号として出力する。
【0050】
光検出部28aとして2次元撮像センサを使用すると、受光面29aのx3方向の分解能が向上するため、第1検出光DL1および第2検出光DL2を、より高精度に分光して受光することができる。これにより、第1検出光DL1および第2検出光DL2として、連続スペクトルを有する光を使用することができる。
受光面29a、29bにおける複数の像IM1a~IM1c、IMIM2a~IM2cのそれぞれのx3方向の幅を、Y方向の幅よりも狭くすることにより、第1検出光DL1および第2検出光DL2を、さらに高精度に分光して受光することができる。
【0051】
なお、光検出部28bについても、上記の光検出部28aと同様の構成であるため、説明を省略する。
また、受光面29bに形成される開口部SLのS偏光成分の像についても、上述の受光面29aに形成される開口部SLのP偏光成分の像と同様であるので、説明を省略する。
【0052】
以下、第1実施形態の面位置検出装置100における計測原理について、説明する。上述のとおり、第1検出光DL1および第2検出光DL2の照射により、被検面WA上には、
図5(b)に示した光量分布IDL1および光量分布IDL2が形成される。第1検出光DL1および第2検出光DL2は、いずれも被検面WAの法線NVに対して-X方向に入射角θだけ傾いた方向から入射している。従って、被検面WAが
図1のZ方向に上下すると、光量分布IDL1および光量分布IDL2は、その分布形状を保ったまま、全体としてX方向にシフトする。被検面WAが+Z方向に移動すれば、光量分布IDL1および光量分布IDL2は-X方向にシフトする。
【0053】
一方、
図5(b)に示した検出領域DAは、検出領域DAで反射した第1検出光DL1および第2検出光DL2が受光プリズム23の入射面23a上の開口部SLを透過することを示す領域である。すなわち、検出領域DAは、受光側第1レンズ20および受光側第2レンズ22等を介して開口部SLと結像関係にある。しかし、受光側第1レンズ20の光軸AX5が、被検面WAの法線NVに対して+X方向に傾いていることから、被検面WAが
図1のZ方向に上下すると、検出領域DAの位置も被検面WA上でX方向にシフトする。被検面WAが+Z方向に移動すれば、検出領域DAは+X方向にシフトする。すなわち、被検面WAのZ方向への移動に伴い、
図5(b)に示す光量分布IDL1および光量分布IDL2と、検出領域DAとのX方向の位置関係が変化する。
【0054】
受光面29aにおける第1検出光DL1による開口部SLの各像IM1a~IM1cの光量は、検出領域DA内の第1検出光DL1の光量の和に比例する。また、受光面29aにおける第2検出光DL2による開口部SLの各像IM2a~IM2cの光量は、検出領域DA内の第2検出光DL2の光量の和に比例する。従って、各像IM1a~IM1cおよびIM2a~IM2cの光量は、被検面WAのZ方向の位置の変動に伴って変動する。
なお、従来の多くの面位置検出装置と異なり、被検面WAのZ方向の位置が変動しても、受光面29aにおける各像IM1a~IM1cおよびIM2a~IM2cの位置は変動しないことに留意されたい。
【0055】
図9は、一例として、被検面WAのZ軸方向の位置(横軸)と、第1検出光DL1の第2波長成分による像IM1bの光電変換信号S1bおよび第2検出光DL2の第2波長成分による像IM2bの光電変換信号S2bとの関係を示す図である。上述のように、第1検出光DL1および第2検出光DL2が、被検面WAにおいて周期FXと振幅が等しく位相が周期FXの半分だけずれた正弦波関数の光量分布IDL1およびIDL2を有している。このため、光電変換信号S1bと光電変換信号S2bとは、共に被検面WAのZ軸方向の位置に対して周期FZと振幅A1が等しく、位相が周期FZの半分だけずれた以下の式(1)および式(2)で表される信号となる。
【0056】
S1b = A1+A1×cos{2π(Z-Za)/FZ)}
・・・(1)
S2b = A1-A1×cos{2π(Z-Za)/FZ)}
・・・(2)
Zaは、光電変換信号S1bを最大とし光電変換信号S2bを最小とする被検面WAのZ位置である。
図9に示したZbは、Zaの+Z側のZaに近接した位置にあって、光電変換信号S1bを最小とし光電変換信号S2bを最大とする被検面WAのZ位置である。
【0057】
演算部PUは、ZaからZbの間の任意の位置にある被検面WAのZ位置Ztを、光電変換信号S1bの値S1tと光電変換信号S2bの値S2tとから、式(3)および式(4)に基づく演算により算出する。
Zt = Za+FZ×cos-1{(S2t-S1t)/(2×A1)}/2π ・・・(3)
A1 = (S2t+S1t)/2 ・・・(4)
cos-1は、逆余弦関数である。
【0058】
なお、検出領域DAのX方向の幅Dwxを、光量分布IDL1および光量分布IDL2のX方向の周期FXの半分よりも短くすると、被検面WAがZ方向に変動した際の光電変換信号S1bおよび光電変換信号S2bの変動を大きくすることができる。この結果、検出精度を一層向上させることができる。
【0059】
従来の面位置検出装置では、被検面に検出光を斜入射で照射してX方向に所定の幅を有する照射領域を形成し、照射領域のX方向の光量重心の位置を検出することで被検面のZ位置を検出していた。従って、被検面の照射領域の内部にX方向の反射率の変化があると、その反射率変化によって照射領域の光量重心の位置が変化するため、検出誤差が生じていた。
【0060】
例えば、集積回路の形成工程における半導体ウエハの場合、内部構造などに応じてその表面の位置に依存して反射率が異なる。従って、従来の面位置検出装置では、半導体ウエハ表面の面位置を正確に検出することが困難であった。
【0061】
一方、第1実施形態の面位置検出装置では、検出される被検面WAのZ位置Ztは、検出領域DA反射率の変化にほとんど影響されない。検出領域DAの反射率が変化すると、光電変換信号S1bと光電変換信号S2bは検出領域DAの反射率の変化に対してともに等しい比例係数で増減する。検出領域DA反射率の変化により、式(3)の中の(S2t-S1t)がα倍になっても、式(3)の中のA1、すなわち、式(4)の(S2t+S1t)/2もα倍となるため、式(3)から求まるZtは変わらないためである。
すなわち、第1実施形態の面位置検出装置100では、被検面WAの反射率の変動を受けにくい、高精度な面位置検出装置を実現することができる。
【0062】
なお、上記においては、被検面WA上に照射する第1検出光DL1の光量分布IDL1および第2検出光DL2の光量分布IDL2がXに対する正弦波関数であるため、演算部PUは逆余弦関数を含む式(3)に基づいて検出位置Ztを算出した。
【0063】
しかし、光量分布IDL1および光量分布IDL2が正弦波関数でない別の関数である場合には、演算部PUは、その別の関数の逆関数に基づいて、検出位置Ztを算出してもよい。従って、被検面WA上に照射する第1検出光DL1の光量分布IDL1および第2検出光DL2の光量分布IDL2は、Xに対する正弦波関数には限定されず、他の関数であってもよい。
【0064】
ただし、少なくとも検出領域DAに対応する部分においては、光量分布IDL1および光量分布IDL2は、滑らかであることが必要である。光量分布IDL1および光量分布IDL2が滑らかでないと、すなわち任意の位置で光量分布がX方向に微分可能でなく変化していると、光電変換信号S1bの値S1tと光電変換信号S2bの値S2tとから高精度に検出位置Ztを算出することが困難となるためである。尚、滑らかとは、その関数がある区間内で連続する微分係数(導関数)をもつこと(すなわち、折れ曲がっていない)と定義してもよい。検出領域DAに対応する部分において光量分布IDL1および光量分布IDL2が滑らかであるとは、光量分布IDL1および光量分布IDL2をある関数でフィッティングしたとき、フィッティングした関数が検出領域DAに対応する部分において連続する微分係数を持つとしてもよい。
【0065】
なお、上記のように光量分布IDL1および光量分布IDL2が正弦波関数であると、演算部PUは、一般的な逆余弦関数または逆正弦関数を用いて検出位置Ztを算出することができるため、演算部PUの構成を簡略化することができる。
【0066】
なお、演算部PUは、上述のように被検面WAの面位置自体を算出するのではなく、被検面WAの面位置を面位置検出装置100内の内部座標等で表記した換算面位置を算出してもよい。以下では、被検面WAの面位置および換算面位置を、合わせてまたは個々に被検面WAの面位置情報とも呼ぶ。
【0067】
演算部PUは、式(4)に基づいて、光電変換信号S1bの値S1tと光電変換信号S2bの値S2tとの和から、振幅A1を算出してもよい。この場合、さらに、被計測物Wの計測を行う前に、被検面WAの反射率が既知である参照計測物に対する振幅A1(以降、振幅A0と呼ぶ)を算出しておくことが望ましい。これにより、演算部PUは、振幅A1と振幅A0との比から、被計測物Wの被検面WAの反射率を算出することができる。
【0068】
以上では、第1検出光DL1および第2検出光DL2の中の第2波長成分により形成される像IM1bおよびIM2bの光電変換信号S1b、S2bに基づいて説明を行った。ただし、もちろん各波長成分における第1検出光DL1および第2検出光DL2が形成する像のペア(像IM1aと像IM2aのペア、像IM1bと像IM2bのペア、像IM1cと像IM2cのペア)のいずれを用いても、上述の方法で被検面WAの位置情報の算出を行うことができる。また、各波長成分における第1検出光DL1および第2検出光DL2が形成する像のペアのそれぞれ用いて、被検面WAの位置情報をそれぞれ算出してもよい。
【0069】
上述の、集積回路の形成工程における半導体ウエハの場合などでは、内部構造などに応じて被検面WAの反射率が検出光の波長により異なる場合がある。そこで、演算部PUは、第1検出光DL1および第2検出光DL2の中の複数の波長成分による像のペアから、それぞれ被検面WAの位置情報を算出して、算出された複数の位置情報を統計処理して、最終的な被検面WAの位置情報を算出してもよい。なお、複数の波長成分による像のペアからそれぞれ算出した被検面WAの複数の位置情報は、最終的な被検面WAの位置情報と区別するために、位置情報要素と解釈してもよい。
【0070】
また、光検出部28aで受光されるP偏光成分の像だけでなく、光検出部28bで受光されるS偏光成分の開口部SLの像についても、上記と同様の検出および演算を行うことにより、被検面WAの複数の位置情報要素をそれぞれ算出することができる。
【0071】
演算部PUは、上記の統計処理として、複数の位置情報要素の平均値を算出してもよい。また、演算部PUは、P偏光成分およびS偏光成分毎に、複数の波長成分による像のペアからその波長における被計測物Wの被検面WAの反射率を算出し、偏光および波長ごとの位置情報要素と反射率とに基づいて、最終的な位置情報を算出してもよい。
【0072】
演算部PUは、算出した被検面WAのZ方向に関する位置情報を、不図示の干渉計またはエンコーダーにより計測されているステージSTのZ位置の情報で補正しても良い。
また、不図示の制御部がステージSTを制御してX方向およびY方向に走査させつつ、被検面WAのZ方向の位置を検出することにより、Z方向に関する位置情報を被検面WAの全面に渡って取得してもよい。
【0073】
(変形例1)
以上の第1実施形態においては、面位置検出装置100は、被計測物Wの被検面WAに垂直なZ方向の位置を検出するものとしている。しかし、被検面WAに垂直な方向の位置に限られるわけではなく、被検面WAと交差する方向の位置を検出してもよい。
【0074】
(変形例2)
第1実施形態においては、
図6に示した、受光プリズム23の入射面23a上の開口部SLの長手方向は、Y方向と一致している。しかし、開口部SLの長手方向は必ずしもY方向と一致している必要はなく、入射面23aの面内でY方向から所定角度ずれていても良く、
図6においてx2方向、すなわち被検面WA上のX方向と結像関係にある方向と交差する方向であれば良い。この場合、被検面WA上の検出領域DA、受光面29a、29b上に形成される開口部SLの各像(IM1a~IM1cおよびIM2a~IM2c等)も、その長手方向がY方向から所定角度ずれたものとなる。これに対応するためには、受光面29a、29b内の各光電変換部の形状を、各像(IM1a~IM1cおよびIM2a~IM2c等)を包含する形状とするとともに、回折格子14aを構成する上述の略矩形のパターンの長手方向をY方向から所定角度ずらすと良い。
【0075】
第1実施形態の面位置検出装置100においては、被検面WA上の第1検出光DL1の光量分布IDL1および第2検出光DL2の光量分布IDL2は、共にY方向の所定の範囲内で一定であるとした。しかし、上述のように、検出領域DAの長手方向がY方向から所定角度ずれている場合には、光量分布IDL1および光量分布IDL2は、共にY方向から所定角度ずれた方向の所定の範囲内で一定であることが好ましい。
【0076】
なお、上記の検出原理から理解されるように、光量分布IDL1および光量分布IDL2は、必ずしもY方向またはY方向から所定角度回転した方向で一定である必要はない。すなわち、検出領域DAのY方向またはY方向から所定角度回転した方向の幅Dwyの光量分布の和が、X方向の各位置において一定であれば良い。
ただし、光量分布IDL1および光量分布IDL2を、共にY方向またはY方向から所定角度回転した方向の所定の範囲内で一定とすることにより、被検面WAの反射率がY方向に大きく変動する場合であっても反射率の変動の影響を受けにくくなる。この結果、さらに高精度な面位置の検出を行うことができる。
【0077】
(変形例3)
第1検出光DL1と第2検出光DL2とは、必ずしも等しい入射角θで被検面WAに入射しなくてもよい。例えば、第1検出光DL1と第2検出光DL2の入射角が多少異なっていても良い。この場合には、それぞれに含まれる+1次回折光DPと-1次回折光DMの入射角の差を調整するプリズム等の光学部材を追加することにより、被検面WA上の第1検出光DL1と第2検出光DL2の光量分布のX方向の周期FXを一致させることができる。
ただし、第1検出光DL1と第2検出光DL2の入射角を等しくすることで、そのような光学部材の追加が不要になり、光学系を簡素化できるというメリットがある。
【0078】
(変形例4)
被検面WAの照射領域IAにおける、第1検出光DL1と第2検出光DL2との光量の和は、必ずしもX方向に沿って一定でなくても良い。上述のとおり、第1検出光DL1と第2検出光DL2とは、光検出部28a、28bの受光面29a、29bの異なる位置で受光される。このため、光検出部28a、28bにおいて、容易に第1検出光DL1と第2検出光DL2とに対する光電変換の感度を別々に設定してもよい。
【0079】
従って、例えば、第1検出光DL1による光量分布IDL1と第2検出光DL2による光量分布IDL2が異なっていても、光検出部28a、28bの光電変換の感度を調整することで、等しい振幅の光電変換信号S1aおよびS1bを得ることができるためである。
ただし、被検面WAの照射領域IAにおける、第1検出光DL1と第2検出光DL2との光量の和を一定とすることで、光検出部28a、28bや演算部PUによる感度の調整を省略することができ、面位置検出装置100の構成を簡素化できる。
【0080】
(変形例5)
第1実施形態の面位置検出装置100においては、受光プリズム23の入射面23aに遮光部OFと開口部SLが形成され、開口部SLが被検面WA上の検出領域DAを規定するものとしている。しかし、被検面WAと開口部SLと受光面29a、29bは結像関係(共役)にあるので、遮光部OFを設ける代わりに受光面29a、29b内の受光領域(光電変換を行う領域)を限定してもよい。すなわち、各受光領域のx3方向の幅を、Y方向の幅よりも狭く設定してもよい。あるいは、光検出部28aとして2次元撮像センサを使用する場合には、遮光部OFを設ける代わりに、演算部PUが開口部SLに相当する受光ピクセルからの光電変換信号のみを用いて被検面WAの面位置の算出を行えばよい。すなわち、演算部PUは、2次元撮像センサのうち、x3方向の幅がY方向の幅よりも狭い範囲内の受光ピクセルからの光電変換信号を用いて、被検面WAの面位置を算出してもよい。尚、このときには、複合分離部材25を省略してもよい。或いは、光源10からの検出光を単色光としてもよい。
【0081】
(変形例6)
第1実施形態の面位置検出装置100においては、送光部に検出光分割部材16を配置したが、第1検出光DL1と第2検出光DL2を分割する部材は、送光部の瞳面TPに配置される検出光分割部材16に限られるわけではない。
例えば、検出光分割部材16を用いることなく、被検面WA上において第1検出光DL1と第2検出光DL2とが重畳して形成されるように、光学系を構成しても良い。
また、検出光分割部材16は、上述の複数のプリズムにより構成されるものに限らず、例えば、平行でない複数の反射面から成る分割ミラーを用いてもよい。
【0082】
(第2実施形態の面位置検出装置)
次に、第2実施形態の面位置検出装置100aについて説明する。ただし、第2実施形態の面位置検出装置100aは、その大部分が上述の第1実施形態の面位置検出装置100と共通するので、以下、相違点のみを説明し、共通点については説明を省略する。
第2実施形態の面位置検出装置100aでは、
図4(a)に示した第1実施形態での検出光分割部材16に代えて、
図10(a)に示す検出光分割部材161を使用する。
【0083】
図10(a)は検出光分割部材161を示す斜視図であり、
図10(b)は検出光分割部材161を送光側第1レンズ17側から見た図である。
図10の光軸AX2およびY軸は、
図4の光軸AX2およびY軸と同一である。検出光分割部材161は、光軸AX2方向の厚さがz1の位置により変化するプリズム16eと、プリズム16eからから光軸AX2方向に光路の下流側に離れた位置に、相互にY方向に接して配置されている3つのプリズム16f~16hを有している。
【0084】
3つのプリズム16f~16hは、相互にY方向に接して配置されているとともに、それらの境界はz1方向に平行であり、それらの光軸AX2方向の厚さはz1の位置に応じてそれぞれ異なって変化している。
その結果、検出光分割部材161は、瞳面TPにおいて検出光をY方向に第1検出光DL10、第2検出光DL20、第3検出光DL30の3つの検出光に分割する。そして、検出光分割部材161は、第1検出光DL10、第2検出光DL20、および第3検出光DL30の進行方向をz1方向に微小角だけ偏向させる。
【0085】
図11(a)は、第2実施形態の面位置検出装置100aにおける、被検面WA上の第1検出光DL10、第2検出光DL20、および第3検出光DL30の光量分布IDL10、IDL20、IDL30を表す図である。
検出光分割部材161による第1検出光DL10、第2検出光DL20、および第3検出光DL30の偏向量を適切に設定することにより、光量分布IDL10、IDL20、およびIDL30は、相互にそれらの強度変調の周期FX2の1/3ずつずれた光量分布となっている。
【0086】
検出光分割部材161が、送光部の瞳面TPにおいて検出光をY方向に第1検出光DL10、第2検出光DL20、第3検出光DL30の3つの検出光に分割している。従って、第2実施形態の面位置検出装置100aにおいては、受光部の瞳面RP2に配置する複合分離部材25の光分離部材25aにおいても、検出光を瞳面RP2のY方向に3分割する。具体的には、
図7(b)に示した光分離部材25aの第1ブロック251と第2ブロック252の間に、入射面および射出面の双方が光軸AX6に垂直である新たなブロックを追加すればよい。そして、第3ブロック253の入射側の面の形状を、第1ブロック251、第2ブロック252、および新たなブロックの射出側の面の形状と一致させればよい。
【0087】
この結果、受光面29a、29b上には、開口部SLの第1検出光DL10、第2検出光DL20、および第3検出光DL30による像が、Y方向に分離してそれぞれ形成される。
図11(b)は、一例として、被検面WAのZ軸方向の位置(横軸)と、第1検出光DL10の第2波長成分による像IM10bの光電変換信号S10b、第2検出光DL20の第2波長成分による像IM20bの光電変換信号S20b、および第3検出光DL30の第2波長成分による像IM30bの光電変換信号S30bとの関係を示す図である。
光電変換信号S10b、光電変換信号S20b、および光電変換信号S30bは、共に被検面WAのZ軸方向の位置に対して周期FZと振幅A2が等しく、位相が周期FZの1/3だけずれた以下の式(5)から式(7)で表される信号となる。
【0088】
S10b = A2+A2×cos{2π(Z-Zc)/FZ2)}
・・・(5)
S20b = A2+A2×cos{2π(Z-Zc)/FZ2)-2π/3} ・・・(6)
S30b = A2+A2×cos{2π(Z-Zc)/FZ2)-4π/3} ・・・(7)
Zcは、光電変換信号S10bを最大とする被検面WAのZ位置である。
図11(b)に示したZdは、Zcの+Z側に周期FZ2だけ離れた位置である。
【0089】
演算部PUは、ZaからZbの間の任意の位置にある被検面WAのZ位置Zuの候補(Zu1~Zu3)を、光電変換信号S10bの値S10uと光電変換信号S20bの値S20uと光電変換信号S30bの値S20uから、式(8)~式(11)に基づく演算により算出する。
Zu1 = FZ2×[cos-1{(S10u-A2)/A2}]/2π + Zc ・・・(8)
Zu2 = FZ2×[cos-1{(S20u-A2)/A2}+2π/3]/2π+ Zc ・・・(9)
Zu3 = FZ2×[cos-1{(S20u-A2)/A2}+4π/3]/2π+ Zc ・・・(10)
A2 = (S10u+S20u+S30u)/3 ・・・(11)
【0090】
逆余弦関数の性質から、Z位置Zuの候補Zu1~Zu3は、ZcからZdの範囲でそれぞれ2値ずつ求まるが、演算部PUは、それらのうち値が概ね一致する値を採用し、かつ式(12)の平均処理を行うことで、被検面WAのZ位置Zuを算出する。
Zu = (Zu1+Zu2+Zu3)/3 ・・・(12)
第2実施形態においても、検出領域DAのX方向の幅Dwxを、光量分布IDL10から光量分布IDL30のX方向の周期FX2の半分よりも短くすると、被検面WAがZ方向に変動した際の光電変換信号S10bから光電変換信号S30bの変動を大きくすることができる。この結果、検出精度を一層向上させることができる。
【0091】
第2実施形態においては、被検面WA上に強度変調の周期FX2の1/3ずつ位相の異なる光量分布IDL10、IDL20、およびIDL30を形成しているため、光電変換信号S10b~S30bも、被検面WAのZ位置に対して、いわゆる3相の信号として変化する。このため、第1実施形態に比べて広いZの範囲(ZcからZd)において、被検面WAの位置を検出することができる。
【0092】
以上では、第1検出光DL10から第3検出光DL0の中の第2波長成分の光電変換信号S10b、S20b、S30bを用いて説明を行ったが、第1実施形態と同様に各検出光DL10~DL30の各波長成分の光電変換信号を用いて、被検面WAの位置を算出することができる。
【0093】
また、光検出部28aで受光されるP偏光成分の像だけでなく、光検出部28bで受光されるS偏光成分の開口部SLの像についても、上記と同様の検出および演算を行うことにより、被検面WAの複数の位置情報要素をそれぞれ算出することができる。算出された複数の位置情報要素から最終的な被検面WAの位置情報を算出する方法は、上述の第1実施形態での方法と同様である。
なお、上述の第1実施形態の各変形例において説明した構成性は、適宜必要な変更を加えた上で第2実施形態の面位置検出装置にも適用してもよい。
【0094】
(第1実施形態、第2実施形態および各変形例の効果)
(1)以上の第1実施形態、第2実施形態および各変形例の面位置検出装置100、100aは、被検面WAと交差する軸(Z軸)に沿った被検面WAの位置情報を求める面位置検出装置100において、被検面WAにおいて被検面WA内の第1方向(X方向)に滑らかに強度変調される複数の検出光(DL1、DL2等)を、第1方向に方向成分を有する方向から斜入射で被検面WAに重畳して照射して被検面WA上に照射領域IAを形成する送光部TSと、受光面29a、29bが被検面WAと光学的に共役な位置に配置された光検出部28a、28bを有し、照射領域IAのうち第1方向の幅Dwxが所定値である検出領域DAで反射された複数の検出光(DL1、DL2等)を、受光面29a、29bのそれぞれ異なる位置で受光し、複数の検出光(DL1、DL2等)の光電変換信号をそれぞれ出力する受光部RSと、受光部RSから出力された複数の検出光の光電変換信号に基づいて、被検面WAの位置情報を算出する演算部PUと、を備える。
この構成により、被検面WAの反射率の変動を受けにくい、高精度な面位置検出装置100を実現することができる。
【0095】
(2)複数の検出光(DL1、DL2等)のそれぞれについて、照射領域IAにおいて第1方向(X方向)と交差する第2方向での光強度を一定とすることにより、被検面WAの反射率が第1方向と交差する方向に大きく変動する場合であっても反射率の変動の影響を受けにくくなる。この結果、さらに高精度な面位置の検出を行うことができる。
(3)被検面WA上の検出領域DAにおける、複数の検出光(DL1、DL2等)の光量の和を、第1方向(X方向)に沿って一定とすることで、光検出部28a、28bにより受光され光電変換された複数の検出光の光電変換信号(S1b、S2b等)の和から、容易に検出領域DAの反射率を算出することができる。そして、算出された反射率を検出領域DAの面位置の算出に反映させることで、一層高精度な面位置の検出を行うことができる。
【0096】
(4)被検面WAにおいて、複数の検出光(DL1、DL2等)を、それぞれ同一の周期FX、かつ同一の振幅の正弦波関数で第1方向(X方向)に強度変調されており、正弦波関数の第1方向における位相が相互に異なるものとすることで、演算部PUの構成を簡略化することができる。
(5)複数の検出光は、正弦波関数の位相が相互に周期FX2の1/3ずつ異なっている第1検出光DL10、第2検出光DL20、および第3検出光DL30とを含む構成とすることで、計測方向(Z方向)のより広範な範囲に渡って、被検面WA上の位置を検出することができる。
【0097】
(6)検出領域DAの第1方向(X方向)の幅Dwxを、正弦波関数の周期FXの半分よりも短くすることで、被検面WAがZ方向に変動した際の光電変換信号S1b、S2b等の変動を大きくすることができる。この結果、検出精度を一層向上させることができる。
(7)送光部TSが被検面WAに照射する複数の検出光(DL1、DL2等)は、それぞれ複数の異なる波長を含み、受光部RSは複数の検出光のそれぞれを波長に応じて分光して受光面29a、29b上の異なる位置に導く分光部材25bを備える構成とすることができる。さらに、光検出部28a、28bは、複数の検出光(DL1、DL2等)のそれぞれについて、それぞれ異なる位置に入射した複数の異なる波長毎の光電変換信号(S1b、S2b等)を出力し、演算部PUは、複数の異なる波長毎の複数の検出光の光電変換信号(S1b、S2b等)に基づいて、被検面WAの位置情報を算出する構成とすることもできる。この場合、複数の異なる波長の検出光により被検面WAの位置を検出するため、さらに高精度に被検面WAの位置を検出できる。
尚、第1及び第2実施形態の面位置検出装置において、被検面WAの位置情報を求めなくてもよい。一例として、第1及び第2実施形態の面位置検出装置は、被検面WAの位置情報を求めずに被検面WAの分光反射率分布を計測してもよい。
【0098】
(第3実施形態の露光装置)
図12は、第3実施形態の露光装置200の概略を示す図である。第3実施形態の露光装置200は、半導体ウエハまたは表示デバイス用の基板(以下、合わせて「基板」と呼ぶ)WFの表面上に形成されたフォトレジスト(レジスト)PRに、露光パターンを露光転写するための露光装置である。露光装置200は、上述の第1実施形態または第2実施形態の面位置検出装置100、100aを備えている。面位置検出装置100、100aは、基板WFを上述の被計測物Wとして扱い、基板WFの表面に形成されたフォトレジストの表面を上述の被検面WAとして扱う。
図12のXYZ軸の方向は、投影光学系57の光軸AXPと平行な方向をZ軸方向としている。
【0099】
露光装置200に搬入された基板WFは、定盤61上で可動な基板ステージ59上に載置され、基板ステージ59の移動により面位置検出装置100の下方に配置される。制御装置70は、制御信号S5を送り基板ステージ59をXY面内で移動させつつ、面位置検出装置100に基板WFの表面の複数箇所のZ方向の位置情報を検出させる。このとき、基板WFを載置する基板ステージ59のZ方向の位置情報は、基準ミラー60a、60bの位置を介して、面位置検出装置100と一体的に保持されている干渉計63a、64bにより計測されている。また、基板ステージ59のXY方向の位置は、基準ミラー60bの位置を介して、干渉計62により計測されている。干渉計63a、64bは、第1計測部と解釈してもよい。
【0100】
面位置検出装置100により検出された基板WFの表面のZ方向位置に関する情報、および基板ステージ59のZ方向の位置情報は、信号S2として制御装置70に伝達される。基板ステージ59のXY方向の位置情報は、信号S3として制御装置70に伝達される。信号S2および信号S3に基づいて、制御装置70内には、基板WFの表面のXY位置に対するZ方向の位置情報を表すマップデータが作成される。
【0101】
続いて、制御装置70は、基板WFが投影光学系57の下に配置されるように、基板ステージ59をXY面内で移動させ、基板WFの表面に形成されているレジストPRへの露光を行う。露光は、いわゆるステップ露光であっても良く、スキャン露光であっても良い。露光に際し、制御装置70は基板WFの表面のXY位置に対するZ方向の位置情報を表すマップデータに基づいて、基板ステージ59を制御する。すなわち、制御装置70は基板ステージ59に制御信号S4を送り、基板ステージ59をXY方向へ移動させるとともに、投影光学系57の露光視野内の基板WFの表面が投影光学系57の像面に一致するように、基板ステージ59をZ方向に駆動する。必要に応じて、制御装置70は基板ステージ59を、Y軸方向およびX軸方向を回転中心として微小回転(レベリング)させる。
【0102】
露光中の基板ステージ59のZ方向の位置は、基準ミラー60a、60bの位置を介して、投影光学系57と一体的に保持されている干渉計58a、58bにより計測され、信号S1として制御装置70に伝達される。露光中の基板ステージ59のXY方向の位置は、基準ミラー60bの位置を介して、干渉計62により計測され、信号S3として制御装置70に伝達される。干渉計58a、58bは、第2計測部と解釈してもよい。
【0103】
制御装置70は、上述の基板WFの表面のXY位置に対するZ方向の位置情報を表すマップデータ、信号S1、および信号S3に基づいて、露光中の基板ステージ59を制御する。
上述の露光動作においては、マスク52上に描画されている原版(マスクパターン)に露光光源50からの照明光が、照明光学系51を介して照射される。その結果、原版の像が投影光学系57を介して基板WF上のレジストPRに投影され、レジストPRに露光パターンが露光される。
【0104】
露光動作がスキャン露光の場合には、露光動作中に、マスク52と基板WFは同期して投影光学系57に対して相対走査する。この走査のために、マスク52はマスクステージ53上に載置され、マスクステージ53はマスク定盤54上をX方向に移動可能となっている。マスクステージ53の位置は、マスク基準ミラー55の位置を介して、マスク干渉計56により計測される。
露光動作がステップ露光の場合には、1ショットの露光中には基板ステージ59は静止され、各ショットの間に基板ステージ59はX方向またはY方向に所定距離だけ移動する。
【0105】
投影光学系57は、投影光学系57と基板WFの間に液体が配置される、いわゆる液浸用の光学系であっても良い。または、露光装置200は、光または紫外線により露光を行う装置に限らず、電子線またはX線により露光を行う装置であっても良い。
干渉計58a、58b、63a、63b、62は、いずれも干渉計に限らず、位置計測用のエンコーダーであってもよい。
【0106】
(第3実施形態の露光装置の効果)
(8)第3実施形態の露光装置200は、レジストPRが形成された基板WFの表面のZ方向の位置を検出する装置として、第1実施形態または第2実施形態の面位置検出装置100を備えている。この構成により、基板WFの表面での反射率分布に起因する計測誤差を小さく抑えて、基板WFの表面の面位置を高精度に計測することができる。その結果、第3実施形態の露光装置では、投影光学系57に対してレジストPRが形成された基板WFの表面を高精度に位置合わせすることができ、ひいては良好は投影露光を行うことができる。
【0107】
(第4実施形態の基板処理システム)
図13は、第4実施形態の基板処理システム300を含む、基板処理ラインの概略を示す図である。基板処理システム300は、上述の第1実施形態、第2実施形態または各変形例の面位置検出装置100、100aと、上述の第2実施形態の露光装置200と、データ保持装置110とを備えている。
【0108】
基板処理システム300においては、コーターデベロッパ(トラックシステム)104により表面にレジストPRが形成された基板WFが、搬送機構101により面位置検出装置100に搬送される。面位置検出装置100は内部に基板WFを載置するステージSTを有しており、ステージSTが基板WFをその表面内の方向に移動することにより、基板WFの前面に渡って基板WFの表面の位置情報を検出する。面位置検出装置100は、さらに基板WFの表面の反射率を計測しても良い。また、面位置検出装置100は、基板WFの表面の位置情報や反射率を、検出波長ごとに複数計測しても良い。
面位置検出装置100が計測した基板WFの表面の位置情報、あるいはさらに反射率の情報は、データ保持装置110に送信され、一時的に保管される。
【0109】
面位置検出装置100により表面位置の検出された基板WFは、搬送機構102により露光装置200に搬送される。データ保持装置110に保管されていた基板WFの表面の位置情報あるいはさらに反射率の情報も、露光装置200に送信される。露光装置200においては、面位置検出装置100が計測した基板WFの表面の位置情報あるいはさらに反射率の情報を用いて基板WFの表面の位置を検出する。そして、露光装置200は、基板ステージ59を動作して、基板WFの表面を投影光学系57の像面に一致させて、基板WFの表面のレジストPRに露光パターンを露光する。
【0110】
なお、第4実施形態の基板処理システム300においては、基板WFの表面の位置情報あるいはさらに反射率の正確な情報は、面位置検出装置100において既に計測されている。従って、露光装置200内の面位置検出装置100を省略し、これに代えて従来の面位置検出装置を用いても良い。
【0111】
露光装置200により露光された基板WFは、搬送機構103によりコーターデベロッパ104に搬送され、コーターデベロッパ104により基板WF上のレジストPRが現像される。その後、基板WFは、搬送機構105により加工装置106に搬送される。現像されたレジストPRをマスクとして、すなわちレジストPRに形成されたレジストパターンPRに基づいて、基板WFの表面、または基板WFの表面に形成されている膜が、加工装置106により加工(エッチング、イオン注入等)される。従って、基板処理システム300は、基板WF上のレジストPRに露光した露光パターンに基づいて回路パターンを形成し、デバイスを製造することができる。
【0112】
以上の第4実施形態の基板処理システム300においては、面位置検出装置100が計測した基板WFの表面の位置情報あるいはさらに反射率の情報を一時的に保管するデータ保持装置110を備えるものとしたが、これに限るものではない。データ保持装置110は、面位置検出装置100に内蔵されていても良く、露光装置200に内蔵されていても良い。あるいは、データ保持装置110は、面位置検出装置100および露光装置200が設置される半導体工場等のデバイス工場を管理し、ネットワークにより面位置検出装置100および露光装置200に接続されているコンピュータや記憶装置に含まれていても良い。
【0113】
(第4実施形態の基板処理システムの効果)
(9)第4実施形態の基板処理システムは、基板WFを処理対象とする基板処理システム300であって、基板WFを載置する第1ステージST、および基板WFの表面における複数箇所の、表面と交差する方向(Z方向)における位置を計測する、上述の第1実施形態、第2実施形態または変形例の面位置検出装置100、100aを有する計測装置と、計測装置による計測が終了した基板WFを載置する第2ステージ59を備え、前記第2ステージ59に載置された基板WFを露光する露光装置200とを備えている。そして、露光装置200は、計測装置100、100aによる計測結果を少なくとも用いて、基板WFの表面と交差する方向における位置を変更しつつ露光を行う。
この構成により、基板WFの表面での反射率分布に起因する計測誤差を小さく抑えて、投影光学系57に対して基板WFのレジストPRが形成された表面を高精度に位置合わせすることができる。これにより、基板WF上に良好な露光パターンを形成することができる。
【0114】
(第5実施形態のデバイス製造方法)
第5実施形態のデバイス製造方法について、
図14を用いて説明する。第5実施形態のデバイス製造方法は、上述の第3実施形態の露光装置200、または第4実施形態の基板処理システム300を用いて、デバイスを製造する方法である。従って、第3実施形態の露光装置200、および第4実施形態の基板処理システム300の動作の詳細については、上述の記載を参照されたい。
【0115】
ステップS100において、基板WF(半導体ウエハまたは表示デバイス用の基板)の表面に、誘電体、金属、または半導体から成る膜を形成する。次に、ステップS101において、ステップS100で形成した膜の上に、フォトレジスト(レジスト)PRを形成する。そして、ステップS102において、上述の第3実施形態の露光装置200、または第4実施形態の基板処理システム300の中に含まれる面位置検出装置100を使用して、基板WFの表面に形成されたレジストPRの表面の位置を検出する。
【0116】
次に、ステップS103において、露光装置200により、ステップS102で面位置検出装置100が検出したレジストPRの表面の位置を使用して、基板WF上のレジストPRに露光パターンを露光する。そして、ステップS104において、露光パターンが露光されたレジストPRを現像し、レジストパターンを形成する。その後、ステップS105において、レジストパターンをマスクとして、基板WF上に形成されている膜または基板WFの表面に対して、エッチングまたはイオン注入等の加工を行う。
【0117】
以上のステップS100からステップS105により、基板WF上に、デバイスを構成する1層の回路パターンが形成される。
従って、ステップS105の終了後に、次工程に移行し、再びステップS100からステップS105を繰り返して実行することにより、多数の層からなるデバイス(半導体集積回路、表示デバイス等)を製造することができる。
【0118】
(第5実施形態のデバイス製造方法の効果)
(10)上述のデバイス製造方法は、1つの観点からは、基板WFの表面上にレジストPRを形成すること、上述の第3実施形態の露光装置200を用いて、基板WFの表面に形成されたレジストPRの表面の位置を検出し、レジストPRの表面を投影光学系57の光軸(AXP)方向の所定の位置に設定して露光パターンを露光すること、レジストPRを現像すること、現像により形成されたレジストパターンPRに基づいて、基板WFの表面を加工すること、とを含む。
この構成により、基板WFの表面での反射率分布に起因する計測誤差を小さく抑えて、投影光学系57に対して基板WFのレジストPRが形成された表面を高精度に位置合わせすることができる。これにより、基板WF上に良好な露光パターンを形成することができ、ひいては、高性能なデバイスを製造することができる。
【0119】
(11)上述のデバイス製造方法は、別の1つの観点からは、基板WFの表面上にレジストPRを形成すること、第4実施形態の基板処理システム300を用いて、基板WFの表面に形成されたレジストPRの表面における複数箇所の、表面と交差する方向の位置を検出することを含む。そして、検出した複数箇所の位置に基づいてレジストPRの表面の、表面と交差する方向の位置を変更しつつ露光パターンを露光すること、露光パターンに基づいて、回路パターンを形成すること、とを含む。
この構成により、基板WFの表面での反射率分布に起因する計測誤差を小さく抑えて、投影光学系57に対して基板WFのレジストPRが形成された表面を高精度に位置合わせすることができる。これにより、基板WF上に良好な露光パターンを形成することができ、ひいては、高性能なデバイスを製造することができる。
【0120】
本発明は以上の内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。本実施形態は、上記した態様の全て又は一部を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0121】
100,100a:面位置検出装置、200:露光装置、300:基板処理システム、TS:送光部、RS:受光部、PU:演算部、W:被計測物、WA:被検面、14:回折格子板、17:送光側第1レンズ、15:送光側第2レンズ、18,19:ミラー、TP:瞳面、RP1:瞳面、RP2:瞳面、AX1~AX6:光軸、20:受光側第1レンズ、22:受光側第2レンズ、23:受光プリズム、24:前側レンズ群、26:後側レンズ群、27:偏光分離プリズム、28a,28b:光検出部、29a,29b:受光面、ST:ステージST、12:光導入部12、13:コンデンサーレンズ、16:検出光分割部材、25:複合分離部材、25a:光分離部材25a、25b分光部材、IA:照射領域、DA:検出領域、DP:+1次回折光、DM:-1次回折光、DL1,DL10:第1検出光、DL2,DL20:第2検出光、SL:開口部、IM1a~IM1c,IM2a~IM2c:像、S1a,S1b:光電変換信号