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特許7180961カルボシロキサンデンドリマー構造と酸性基を有する共重合体、並びにこれを含有する組成物及び化粧料
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  • 特許-カルボシロキサンデンドリマー構造と酸性基を有する共重合体、並びにこれを含有する組成物及び化粧料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】カルボシロキサンデンドリマー構造と酸性基を有する共重合体、並びにこれを含有する組成物及び化粧料
(51)【国際特許分類】
   C08F 230/08 20060101AFI20221122BHJP
   C08F 8/04 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
C08F230/08
C08F8/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019526773
(86)(22)【出願日】2018-06-12
(86)【国際出願番号】 JP2018022412
(87)【国際公開番号】W WO2019003897
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2017126795
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】719000328
【氏名又は名称】ダウ・東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】早田 達央
(72)【発明者】
【氏名】菊永 さゆり
(72)【発明者】
【氏名】堀 誠司
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-174541(JP,A)
【文献】特開2006-282578(JP,A)
【文献】特開2011-126808(JP,A)
【文献】特開2000-63225(JP,A)
【文献】特開2003-226611(JP,A)
【文献】特表2013-525452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F230、290、299
C08L、A61K8/891
A61Q1、C08G77
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)(A)一般式(1)
【化1】
(1)
{式中、Yはラジカル重合可能な有機基であり、R は炭素原子数1~10のアルキル基もしくはアリール基である。X はi=1とした場合の次式で示されるシリルアルキル基である。
【化2】
(式中、R は前記と同じであり、R は炭素原子数2~10のアルキレン基であり、R は炭素原子数1~10のアルキル基であり、X i+1 は水素原子,炭素原子数1~10のアルキル基,アリール基および上記シリルアルキル基からなる群から選択される基である。iは該シリルアルキル基の階層を示している1~10の整数であり、a は0~3の整数である。)}で表わされるラジカル重合可能な有機基を有するカルボシロキサンデンドリマー単量体および
(B)分子内に少なくとも一つの酸性基またはその塩を有する不飽和単量体
を含有するモノマー組成物であって、モノマー組成物中の単量体(A)の重量がモノマー組成物重量に対して30重量%以上、かつ単量体(B)の重量に対する単量体(A)の重量の比(A/B)が1.0~20.0である組成物に重合開始剤を添加して重合反応を行う工程、および
(ii)得られた重合反応物をパラジウム触媒と接触させる工程を有する、共重合体の製造方法
【請求項2】
単量体(A)と単量体(B)の合計重量がモノマー組成物重量に対して40重量%以上である、請求項1に記載の共重合体の製造方法
【請求項3】
単量体(B)の酸性基またはその塩が、カルボン酸またはその塩である、請求項1に記載の共重合体の製造方法
【請求項4】
モノマー組成物が、さらに(C)分子内に少なくとも1つのカルボン酸エステルを有する単量体を含有する、請求項1に記載の共重合体の製造方法
【請求項5】
請求項に記載の製造方法であって、パラジウム触媒が活性炭にパラジウムを担持させた触媒であることを特徴とする、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロキサン系共重合体、並びにこれを含有する組成物及び化粧料に関するものであり、より詳細には、耐水性および耐皮脂性を有しながら、洗浄性にも優れる化粧料を提供する、特定のカルボシロキサン構造と酸性基を有する共重合体を含有する組成物及び化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料、特にメーキャップ化粧料の化粧持ちを良くするために、化粧料の耐水性、耐皮脂性を向上する試みがなされている。化粧料の耐水性等の向上を目的として、オルガノポリシロキサンを含有する重合体を化粧料に使用することは、従来から知られている(例えば、特許文献1)。しかし、耐水性、耐皮脂性を高めた化粧料は、化粧持ちは良い半面、化粧を落とす際には容易に洗い流すことができないという問題があった。このため、特殊なクレンジング料を用いたり、油性の洗い落とし用製剤と水性の洗浄剤を用いて複数回洗浄を行うなどの必要があり、使用者にとって負担の大きいものであった。
【0003】
化粧料の洗い流し性の改善を目的として、疎水化処理剤と、親水性基を有するポリマーを粉体表面上に被覆した表面処理粉体を化粧料に用いることが知られている(特許文献2)。しかしこの方法では、いったん酸化チタンなどの粉体に表面処理を行った後に化粧料に配合する必要があり、製造の観点からは煩雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-63225号公報
【文献】特開2007-277167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の目的は、優れた耐水性、耐皮脂性を有しながら、高い洗浄性をも有する共重合体、並びにこれを含有する組成物及び化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定のカルボシロキサン構造を有する単量体と酸性基を有する単量体を有するモノマー組成物を重合して得られる共重合体を用いることによって、高い耐水性と良好な洗浄性との相反する性能を併せ持つことを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明の第一の態様は、(A)一般式(1)
【化1】
(1)
{式中、Yはラジカル重合可能な有機基であり、Rは炭素原子数1~10のアルキル基もしくはアリール基である。Xはi=1とした場合の次式で示されるシリルアルキル基である。
【化2】
(式中、Rは前記と同じであり、Rは炭素原子数2~10のアルキレン基であり、Rは炭素原子数1~10のアルキル基であり、Xi+1は水素原子,炭素原子数1~10のアルキル基,アリール基および上記シリルアルキル基からなる群から選択される基である。iは該シリルアルキル基の階層を示している1~10の整数であり、aは0~3の整数である。)}で表わされるラジカル重合可能な有機基を有するカルボシロキサンデンドリマー単量体および(B)分子内に少なくとも一つの酸性基またはその塩を有する不飽和単量体を含有するモノマー組成物から重合された共重合体であって、モノマー組成物中の単量体(A)の重量がモノマー組成物重量に対して30重量%以上、かつ単量体(B)の重量に対する単量体(A)の重量の比(A/B)が1.0~20.0である、共重合体に関する。
【0008】
本発明の第二の態様は、上記共重合体を製造する方法であって、(A)前記一般式(1)で表わされるラジカル重合可能な有機基を有するカルボシロキサンデンドリマー単量体および(B)分子内に少なくとも一つの酸性基またはその塩を有する不飽和単量体を含有するモノマー組成物であって、モノマー組成物中の単量体(A)の重量がモノマー組成物重量に対して30重量%以上、かつ単量体(B)の重量に対する単量体(A)の重量の比(A/B)が1.0~20.0である組成物に重合開始剤を添加して重合反応を行う工程を有する、製造方法に関する。
本発明の第三の態様は、上記共重合体並びに(D)油剤および(E)アルコールからなる群から選択される少なくとも一種を含有する組成物であり、さらに、(F)界面活性剤を含有する組成物であり、その他の化粧料原料成分から選ばれる1種以上をさらに含有する組成物である。。
本発明の第四の態様は、上記共重合体または組成物を含有する化粧料である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れた耐水性、耐皮脂性を有しながら、高い洗浄性をも有する組成物および化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、洗浄性試験2による試験結果を示す写真であり、ガラスプレート下方部が洗浄されていることを示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸の双方を含むことを示す。同様に、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロキシ」、「(メタ)アクリルアミド」もそれぞれ、アクリレート及びメタアクリレート、アクリロキシ及びメタアクリロキシ、アクリルアミド及びメタアクリルアミドの双方を含むことを示す。
本明細書において、「化粧料」および「化粧品」は互いに交換可能に用いられる。
【0012】
カルボシロキサンデンドリマー単量体((A)成分):
本発明の(A)成分のカルボシロキサンデンドリマーは、一般式(1):
【化3】
で示される。上式中、Yはラジカル重合可能な有機基であり、ラジカル反応可能な有機基であればよいが、具体的には、下記一般式で表されるで示される(メタ)アクリロキシ基含有有機基、(メタ)アクリルアミド基含有有機基、スチリル基含有有機基または炭素原子数2~10のアルケニル基が挙げられる。
【0013】
【化4】
【化5】
【化6】
(上式中、RおよびRは水素原子もしくはメチル基であり、RおよびRは炭素原子数1~10のアルキレン基であり、Rは炭素原子数1~10のアルキル基である。bは0~4の整数であり、cは0または1である。)。このようなラジカル重合可能な有機基としては、例えば、アクリロキシメチル基、3-アクリロキシプロピル基、メタクリロキシメチル基、3-メタクリロキシプロピル基、4-ビニルフェニル基、3-ビニルフェニル基、4-(2-プロペニル)フェニル基、3-(2-プロペニル)フェニル基、2-(4-ビニルフェニル)エチル基、2-(3-ビニルフェニル)エチル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、5-ヘセニル基が挙げられる。Rは炭素原子数1~10のアルキル基もしくはアリール基であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が例示される。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が例示される。これらの中でもメチル基、フェニル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。Xはi=1とした場合の次式で示されるシリルアルキル基である。
【0014】
【化7】
上式中、Rは炭素原子数2~10のアルキレン基であり、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基などの直鎖状アルキレン基;メチルメチレン基、メチルエチレン基、1-メチルペンチレン基、1,4-ジメチルブチレン基等の分岐状アルキレン基が例示される。これらの中でも、エチレン基、メチルエチレン基、ヘキシレン基、1-メチルペンチレン基、1,4-ジメチルブチレン基が好ましい。Rは炭素原子数1~10のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基が例示される。Rは前記と同じである。Xi+1は水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、アリール基および上記シリルアルキル基からなる群から選択される基である。aは0~3の整数である。iは1~10の整数であり、これは該シリルアルキル基の階層数、即ち、該シリルアルキル基の繰り返し数を示している。従って、階層数が1である場合には、本成分のカルボシロキサンデンドリマーは、一般式:
【0015】
【化8】
(式中、Y、R、RおよびRは前記と同じであり、R12は水素原子または前記Rと同じである。aは前記aと同じであるが、1分子中のaの平均合計数は0~7である。)で示さる。階層数が2である場合には、本成分のカルボシロキサンデンドリマーは、一般式:
【0016】
【化9】
(式中、Y、R、R、RおよびR12は前記と同じである。aおよびaは前記aと同じであるが、1分子中のaとaの平均合計数は0~25である。)で示される。階層数が3である場合には、カルボキシデンドリマーは、一般式:
【0017】
【化10】
(式中、Y、R、R、RおよびR12は前記と同じである。a、aおよびaは前記aと同じであるが、1分子中のaとaとaの平均合計数は0~79である。)で示される。
【0018】
本成分のラジカル重合可能な有機基を含有するカルボキシデンドリマーとしては、下記平均組成式で示されるカルボシロキサンデンドリマーが例示される。
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【0019】
このようなカルボシロキサンデンドリマーは、特開平11―1530号公報(特願平9-171154号)に記載された分岐状シロキサン・シルアルキレン共重合体の製造方法に従って製造できる。例えば、一般式(2):
【化25】
(式中、RおよびYは前記と同じである。)で示されるケイ素原子結合水素原子含有ケイ素化合物と、アルケニル基含有有機ケイ素化合物とをヒドロシリル化反応させることにより製造することができる。上式で示されるケイ素化合物としては、例えば、3-メタクリロキシプロピルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、3-アクリロキシプロピルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、4-ビニルフェニルトリス(ジメチルシロキシ)シランが用いられる。アルケニル基含有有機ケイ素化合物としては、ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニルトリス(ジメチルフェニルシロキシ)シラン、5-ヘキセニルトリス(トリメチルシロキシ)シランが用いられる。尚、このヒドロシリル化反応は、塩化白金酸や白金ビニルシロキサン錯体などの遷移金属触媒の存在下に行うのが好ましい。
【0020】
単量体(A)の含有量は、モノマー組成物中に重量換算で30%以上、好ましくは40%以上である。単量体(A)を一定重量以上含有することによって、得られた共重合体の撥水性、撥油性が高くなり、これを用いた化粧料の耐水性、耐皮脂性が向上する。同時に、単量体(A)の含有量は、モノマー組成物中に重量換算で70%以下であることが好ましく、60%以下であることがさらに好ましい。
【0021】
分子内に少なくとも一つの酸性基またはその塩を有する不飽和単量体((B)成分):
本発明の(B)成分の分子内に少なくとも一つの酸性基またはその塩を有する不飽和単量体は、分子内にラジカル重合性のビニル基と、少なくとも一つの酸性基またはその塩を有する化合物である。酸性基の例としては、カルボン酸、スルホン酸およびホスホン酸が挙げられる。これらの塩の例としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、塩基性アミノ酸塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、アルカノールアミン塩が挙げられ、具体的にはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、L-アルギニン塩,L-ヒスチジン塩,L-リジン塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、アミノメチルプロパンジオール塩及びこれらの複合塩が挙げられる。これらの酸性基を有する化合物は水溶液中において、それぞれ特定のpHでプロトン(H)を遊離し、または液中のカチオン成分と結合して塩を形成することによって、化合物の親水性-疎水性が変化する。酸性基の塩を有する化合物も同様に、特定のpHで塩の解離が生じ、化合物の親水性-疎水性変化を示す。よって、これらの酸性基またはその塩を有する化合物を化粧料中に適切に配合することによって、化粧持ちが良いにもかかわらず、洗浄時には容易に洗い流せるという効果を奏する。
【0022】
分子内に少なくとも一つの酸性基またはその塩を有する不飽和単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、2-カルボキシエチルアクリレートオリゴマー、スチレンスルホン酸、リン酸モノー[(2ーヒドロキシエチル)メタクリル酸]エステル、リン酸モノー[(2ーヒドロキシエチル)アクリル酸]エステル、リン酸ジー[(2ーヒドロキシエチル)メタクリル酸]エステル、及びリン酸ジー[(2ーヒドロキシエチル)アクリル酸]エステル並びにこれらの塩が挙げられる。得られた共重合体の耐水性を損なわずに洗浄性を発揮するためには単量体(B)の含有量(重量)に対する単量体(A)の含有量(重量)が1以上であることが必要である。具体的には、単量体(B)の重量に対する単量体(A)の重量の比(A/B)が1.0~20.0の範囲であり、好適には、2~15の範囲であり、2~12の範囲であることがより好ましい。さらに、本発明の技術的効果の観点から、上記の(B)成分の例示のうち、(メタ)アクリル酸およびその塩が好適であり、特に、アクリル酸及びその塩が、耐水性と洗浄性との両立という点から好ましい。これら不飽和単量体は市販されており、市販品をそのまま、または精製するなどして使用することができる。
【0023】
その他の単量体((C)成分):
本発明では、上記(A)成分、(B)成分の他に、その他の単量体として(C)成分を含むことができる。(C)成分としては、上記(A)成分、(B)成分と共重合できるものであればよく、例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピルなどの低級アルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸グリシジル;(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の高級(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの低級脂肪酸ビニルエステル;酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の高級脂肪酸エステル;スチレン、ビニルトルエン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン等の芳香族ビニル型単量体;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有ビニル型単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルアルコール等の水酸基含有ビニル型単量体;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2ーエチルヘキシルビニルエーテル等のエーテル結合含有ビニル型単量体;(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、片末端、両末端及び/または側鎖に(メタ)アクリル基を含有したポリジメチルシロキサン、片末端にスチリル基を含有するポリジメチルシロキサンなどの不飽和基含有シリコ-ン化合物;ブタジエン;塩化ビニル;塩化ビニリデン;(メタ)アクリロニトリル;フマル酸ジブチル;無水マレイン酸;ドデシル無水コハク酸;(メタ)アクリルグリシジルエーテル:2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドのような(メタ)アクリル酸から誘導される4級アンモニウム塩、メタクリル酸ジエチルアミンエステルのような3級アミン基を有するアルコールのメタクリル酸エステル、およびそれらの4級アンモニウム塩が例示される。
【0024】
また多官能ビニル系単量体も使用可能であり、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、スチリル基封鎖ポリジメチルシロキサンなどの不飽和基含有シリコ-ン化合物等が例示される。
【0025】
上記のとおり、モノマー組成物中の単量体(B)に対する単量体(A)の重量比率(A/B)は、1.0~20.0であり、好ましくは2.0~15.0の範囲であり、2.0~12.0の範囲であることがより好ましい。この重量比で単量体(A)と単量体(B)を共重合することにより、得られる共重合体の疎水性-親水性バランスが好ましいものとなる。なお、化粧料原料として、A/B比が2未満のものを用いる場合、組成によっては、形成される皮膜の洗浄性が十分に改善されない場合がある。
【0026】
また、モノマー組成物に対する単量体(A)と単量体(B)の合計の含有量([(A)+(B)]/[(A)+(B)+(C)])は、好ましくは40重量%以上であり、さらに好ましくは50重量%以上、さらにより好ましくは55重量%以上である。モノマー組成物に対する単量体(A)と単量体(B)の合計の含有量が上記範囲であると、得られた共重合体中に十分な量の疎水性基及び親水性基が導入されることになり、高い耐水性および耐皮脂性、並びに高い洗浄性を有する化粧料を得ることができる。
【0027】
本発明の共重合体は、中和前の形態に関してJIS1557-5に準じて測定した酸価が5~300mgKOH/g、好ましくは35~100mgKOH/gである。また共重合体の数平均分子量は、化粧料への配合のしやすさから、好ましくは2,000~200,000、さらに好ましくは3,000~80,000である。またその性状は、液状,ガム状,ペースト状,固体状,粉体状が例示される。
【0028】
本発明の第二の態様は、前記(A)成分及び(B)成分、並びに任意に(C)成分を含有するモノマー組成物を重合して得られる、共重合体の製造方法である。この製造方法は、前記モノマー組成物に重合開始剤を添加して重合反応を行う工程(第一の工程)を有する。その後、任意に得られた重合反応物をパラジウム触媒と接触させる工程(第二の工程)を有してもよい。
【0029】
第一の工程
第一の工程で行われる重合反応で用いられる重合方法としては、ラジカル重合法やイオン重合法が使用されるが、ラジカル重合法が好ましい。このラジカル重合法においては、溶液重合法が好適に使用される。この溶液重合は、溶媒中で、前記(A)成分及び(B)成分、並びに任意に(C)成分を含有するモノマー組成物をラジカル開始剤の存在下、50~150℃の温度条件下で3~20時間反応させることにより行われる。重合反応の際に用いる溶媒としては、ヘキサン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;オクタメチルテシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン等のオルガノシロキサンオリゴマーが例示される。
【0030】
ラジカル開始剤としては、一般にラジカル重合法に使用される従来公知の化合物が用いられ、具体的には、2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾビス系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等の有機過酸化物が例示される。このラジカル開始剤は1種を単独で使用してもよく、また2種類以上を混合して使用してもよい。ラジカル開始剤の使用量は、上記モノマー組成物の合計100重量部に対して0.1~5重量部の範囲であることが好ましい。
【0031】
また、重合に際しては連鎖移動剤を添加することができる。この連鎖移動剤として具体的には、2-メルカプトエタノール、ブチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピル基を有するポリジメチルシロキサン等のメルカプト化合物;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化ブチル、3-クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン化物が挙げられる。
【0032】
第二の工程
第一の工程にて得られた重合反応物は、パラジウム触媒と接触され得る。パラジウム触媒と接触されることにより、重合反応物中に残存する未反応単量体のビニル基が飽和され、化粧料に加えた際の刺激性や臭いを低減することができる。パラジウム触媒の例としては、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)のようなパラジウム化合物、炭素担持のパラジウム、炭素担持のパラジウムハイドロオキサイドおよびプラチナオキサイドなどが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。好ましい触媒は炭素担持のパラジウムである。触媒としてはニッケルなどの他の金属も考えられるが、重合反応物には酸性基が含まれていることから、ニッケルを触媒として用いると酸性下で少しずつニッケルが反応系へ溶出するため、好ましくない。一方で貴金属であるパラジウム、特に不均一触媒として炭素担持されたパラジウム触媒はこのような問題がほとんど生じず、本発明の触媒として好適に用いることができる。
【0033】
重合反応物がパラジウム触媒と接触される際の温度は、50~200℃、好ましくは70~130℃である。圧力は、1~1,000kg/cm(絶対圧)、好ましくは2~100kg/cmである。接触時間は1~15時間、好ましくは3~10時間である。反応は溶媒の中で行うことができ、前記重合の際に用いた溶媒をそのまま用いてもよいし、溶媒置換を行ってもよい。使用できる溶媒は、前記重合反応の際に説明したものと同一である。
【0034】
第一の工程と第二の工程の間には、ストリッピング、再沈、ろ過などの他の工程を有してもよい。また、第二の工程の後に、ストリッピング、再沈、ろ過、粉砕、分級、などの工程を行うこともできる。
【0035】
上記のようにして得られた共重合体中の未反応単量体の有無は、H-NMRによってエチレン性不飽和基のピーク積分値(5.5~6.5ppm)で確認することができ、エチレン性不飽和基に由来するピークの消失ないし低減により反応の終点を確認することができる。具体的には、カルボシロキサンデンドリマーモノマー由来のメチル基の積分値(0-0.3ppm)とカルボシロキサンデンドリマーモノマーA-1の仕込み時の重量%の積に対する、エチレン性不飽和基のピーク積分値の比(残存不飽和量比)で比較することができる。共重合体中の残存不飽和量比は0.1以下、好ましくは0.02以下である。
【0036】
本発明の共重合体は、そのまま、もしくは溶媒に溶解または分散媒に分散されるなどした組成物の形態で化粧料に配合することができる。
【0037】
共重合体組成物
本発明の第三の態様は、上記共重合体並びに(D)油剤および(E)アルコールからなる群から選択される少なくとも一種を含有する組成物である。本発明の第一の発明である共重合体を化粧料に配合する際には、溶媒に溶解した溶液や分散媒に分散した分散液、或いは粉体状、顆粒状、ブロック状などの固体の形態とすることができる。特に、本発明に係る共重合体は、1種類以上の油剤またはアルコールに溶解あるいは分散して、前記共重合体と油剤またはアルコールを含有する共重合体組成物の形態で化粧料に配合することが好適である。
【0038】
本発明の共重合体は、特に各種の油剤またはアルコールとの相溶性・分散性に優れ、長期間に亘って均一な重合体組成物を得ることができる。かかる組成物は、そのまま化粧料に配合することができ、その取り扱い性、保存安定性の点から、化粧料の原料として極めて有用である。具体的には、本発明の共重合体100質量部に対し、油剤およびアルコールからなる群から選択される少なくとも一種を5~1000質量部、好ましくは50~500質量部、より好ましくは100~400質量部含有する共重合体組成物が好適に使用できる。なお、共重合体と油剤またはアルコールからなる共重合体組成物を得る場合、重合反応後に溶媒と未反応の単量体を除去した共重合体を機械力を用いて油剤またはアルコール中に均一分散させてもよく、重合反応時の揮発性溶媒を上記油剤またはアルコールにより置換しても良い。また、化粧料に配合する場合には、その配合量は特に限定されるものではないが、本発明の共重合体を、化粧料全体の0.1~50質量% の範囲内で配合することができ、好ましくは1~10重量%とすることができる。特に、当該範囲で配合した場合、化粧料に皮膜形成性を付与することができ、かつ、当該皮膜の洗浄性に優れるという本発明の共重合体の利点を活用することができる。
【0039】
(D)油剤
前記の油剤としては、化粧料一般に使用される動物油、植物油、合成油等が挙げられる。前記油剤は固体、半固形、液体のいずれでもよく、不揮発性、半揮発性、揮発性のいずれでもよい。油剤は、肌や毛髪に潤滑性を付与し、肌を柔軟にし、しっとり感を付与するために用いられる。また、油剤は、本発明の共重合体を希釈して共重合体組成物を得る目的でも使用することができ、特に、5~100℃で液状であり、(D1)シリコーン系油剤および(D2)有機系油剤から選択される少なくとも1種であることが好ましく、これらの油剤の種類、粘度等は化粧料の種類、用途に応じて、適宜選択することができる。これらの油剤は、上記共重合体組成物と同時に、本発明の化粧料に配合されるものである。
【0040】
(D1)シリコーン系油剤
シリコーン系油剤は一般には疎水性であり、その分子構造は、直鎖状、環状、分岐状のいずれであってもよい。シリコーンオイル類の25℃における粘度は、通常、0.65~100,000mm/sの範囲であり、0.65~10,000mm/sの範囲が好ましい。また、当該シリコーン系油剤は揮発性を有しても良く、かつ、好ましい。
【0041】
前記シリコーンオイル類としては、具体的には、環状オルガノポリシロキサン、直鎖状オルガノポリシロキサン及び分岐状オルガノポリシロキサンが挙げられる。これらの中でも、揮発性の、直鎖状オルガノポリシロキサン、分岐状オルガノポリシロキサン及び環状オルガノポリシロキサンが好ましい。
【0042】
前記シリコーンオイル類としては、例えば、下記一般式(3)、(4)又は、(5):
【化26】
(式中、Rは、水素原子、水酸基、或いは、炭素原子数1~30の、一価の非置換若しくはフッ素若しくはアミノ置換アルキル基、アリール基、アルコキシ基及び(CH3)3SiO{(CH3)2SiO}lSi(CH3)2CH2CH2-(lは0~1000の整数)で示される基から選択される基であり、a’は、0~3の整数であり、bは、0~1000の整数であり、cは、0~1000の整数であり、但し、1≦b+c≦2000である)
【化27】
(式中、Rは、上記と同様であり、dは、0~8の整数であり、eは、0~8の整数であり、但し、3≦d+e≦8である)
【化28】
(式中、Rは、上記と同様であり、fは1~4の整数であり、gは0~500の整数である)で表されるオルガノポリシロキサンを使用することができる。
【0043】
炭素原子数1~30の、一価の非置換若しくはフッ素若しくはアミノ置換アルキル基、アリール基、及び、アルコキシ基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の炭素原子数1~30の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素原子数3~30のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素原子数6~30のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素原子数1~30のアルコキシ基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素又はアミノ基で置換された基が挙げられる。非置換のアルキル基又はアリール基であることが好ましく、非置換の炭素原子数1~6のアルキル基又はアリール基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、又は、フェニル基が特に好ましい。
【0044】
これらの構造を有するシリコーンオイルとして具体的には、より具体的には、環状オルガノポリシロキサンとしてヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、1,1-ジエチルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1、1-ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラシクロヘキシルテトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(3,3,3-トリフルオロプロピル)トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7-テトラ(3-メタクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラ(3-アクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラ(3-カルボキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラ(3-ビニロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラ(p-ビニルフェニル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラ[3-(p-ビニルフェニル)プロピル]テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラ(N-アクリロイル-N-メチル-3-アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラ(N,N-ビス(ラウロイル)-3-アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例示される。
【0045】
直鎖状オルガノポリシロキサンとしては、直鎖状オルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(粘度が2mPa・sや6mPa・s等低粘度~100万mPa・s等高粘度のジメチルシリコーン)、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体,トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、フェニル(トリメチルシロキシ)シロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルアルキルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルアルキルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、α,ω-ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω-ジエトキシポリジメチルシロキサン、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-オクチルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ドデシルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ヘキサデシルトリシロキサン、トリストリメチルシロキシメチルシラン、トリストリメチルシロキシアルキルシラン、テトラキストリメチルシロキシシラン、テトラメチル-1,3-ジヒドロキシジシロキサン、オクタメチル-1,7-ジヒドロキシテトラシロキサン、ヘキサメチル-1,5-ジエトキシトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン等が例示される。
【0046】
分岐状オルガノポリシロキサンとしては、メチルトリストリメチルシロキシシラン、エチルトリストリメチルシロキシシラン、プロピルトリストリメチルシロキシシラン、テトラキストリメチルシロキシシラン、フェニルトリストリメチルシロキシシラン等が挙げられる。
【0047】
本発明の化粧料または本組成物を化粧料原料として使用する場合に、これらのシリコーン系油剤の少なくとも一種を含有せしめると、その経日安定性を改善でき、シリコーンオイル特有のさっぱりとした感触を実現することができる。特に好適には、上記のシリコーン系油剤のうち、デカメチルシクロペンタシロキサン、直鎖状オルガノポリシロキサンであって、その粘度が2~6mPa・sの低粘度範囲にあるもの、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-オクチルトリシロキサン(「カプリリルメチコン」ともいう)、トリストリメチルシロキシメチルシラン(「M3T」ともいう)などが用いられる。
【0048】
(D2)有機系油剤
有機系油剤は、(D2-1)炭化水素油、(D2-2)脂肪酸エステル油、高級アルコール、高級脂肪酸、油脂、フッ素系油剤が代表的であり、本発明においては特に限定されるものではないが、有機系油剤は5~100℃で液状であることが好ましい。さらには、炭化水素油及び/又は脂肪酸エステル油が好ましい。これらは単独でも併用でもよく、前記シリコーン系油剤とも併用することができる。適切な油剤を組み合わせることにより、組成物および/または化粧料の経日安定性を高めるとともに、化粧料毎に求められる感触を付与することができる。前記シリコーン系油剤を配合することによりシリコーンオイル特有のさっぱりとした感触を付与することができ、さらに、揮発性の高い油剤を用いることで肌上にさっぱりした感触を付与することができ、またさらには炭化水素油及び/又は脂肪酸エステル油を前記シリコーン系油剤と併用することにより、肌や毛髪が潤うような保湿感(「しっとりした感触」ともいう)や滑らかな感触を付与することができる。
【0049】
(D2-1)炭化水素油としては、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ワセリン、n-パラフィン、イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン、ポリイソブチレン、水素化ポリイソブチレン、ポリブテン、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン・ポリピロピレンワックス、スクワラン、スクワレン、プリスタン、ポリイソプレン等が例示される。特に、本発明にかかる組成物において、揮発性に優れ、他の化粧料原料との相溶性と親和性(配合安定性)に優れ、肌上にさっぱりした感触を付与できることから、イソドデカンの使用が好ましい。
【0050】
(D2-2)脂肪酸エステル油としては、オクタン酸ヘキシルデシル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸ラノリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジオイレイン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパン、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸水添ヒマシ油、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソセチル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸エチル、オレイン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジオクチル、ステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチルオクチル、パリミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、N - ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル) 、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイルサルコシンイソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ネオデカン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸2-ブチル-2-エチル-1、3-プロパンジオール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル-10 、デカ( エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル-8、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)、ダイマージリノール酸ジイソプロピル、ダイマージリノール酸ジイソステアリル、ダイマージリール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ダイマージリノール酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシアルキルダイマージリノレイルエーテル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸) グリセリル、水添ロジントリグリセリド(水素添加エステルガム)、ロジントリグリセリド(エステルガム)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、酢酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、長鎖α-ヒドロキシ脂肪酸コレステリル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、アボカド油脂肪酸エチル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、等が例示される。ラノリン及びラノリン誘導体も脂肪酸エステル油として使用できる。
【0051】
上記以外にも、油脂類、高級アルコール、高級脂肪酸、フッ素系油等を油剤として使用してもよく、また、これら2種類以上を併用してもよい。例えば、下記に表される油剤の2種以上を併用してもよい。以下、本発明に用いることができるその他の油剤をより具体的に例示する。具体的には、油脂、高級アルコール、高級脂肪酸およびフッ素系油剤から選ばれる1種類以上の使用が例示される。
【0052】
油脂としては、天然動植物油脂類及び半合成油脂として、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、オリーブスクワラン、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、水添ホホバエステル、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。但し、POE はポリオキシエチレンを意味する。
【0053】
高級アルコールは、例えば、炭素原子数10~30の高級アルコールが挙げられる。前記高級アルコールは、飽和又は不飽和の一価脂肪族アルコールであって、その炭化水素基の部分は直鎖状、分岐状のいずれであっても構わないが、直鎖状であることがより好ましい。炭素原子数10~30の高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2-デシルテトラデシノール、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール) 、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等が挙げられる。なお、本発明においては、単独で融点40~80℃の高級アルコールを用いるか、或いは、融点が40~70℃になるように複数の高級アルコールの組み合わせることが好ましい。かかる高級アルコール類は、界面活性剤とともに、αゲルと呼ばれる会合体を形成し、製剤の粘度を増粘させ、エマルジョンを安定化する働きを有するため、エマルジョン形態の化粧料の基剤として、特に有用である。
【0054】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0055】
フッ素系油としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。
【0056】
(E)アルコール
本発明にかかる共重合体はアルコールに分散ないし溶解して使用してもよく、また、本発明の共重合体は化粧料の汎用成分であるアルコール類と親和性に優れるため、化粧料の配合処方として共存させることもできる。アルコールとしては、1種又は2種以上の多価アルコール及び/又は低級一価アルコールを用いることができる。低級アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、t-ブタノール、sec-ブタノール等が例示され、エタノールが好ましい。多価アルコールとしては、1,3-プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ジブチレングリコール、ペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、キシリトール等の4価以上の多価アルコール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、マルトトリオース、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解物、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等の糖アルコールが挙げられる。更に、これら低分子多価アルコールのほかに、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール重合体等が例示される。中でも、エタノール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールが特に好ましい。
【0057】
本発明の第四の態様は、上記共重合体を含有する化粧料に関する。本発明の化粧料は、上記共重合体の他に、各種の化粧料用原料を含むことができる。化粧料は、本発明の第三の態様として説明した共重合体組成物の形態としてから化粧料に配合する場合と、共重合体と他の化粧料用原料とを別々に化粧料に配合する場合の双方を含む。本発明の共重合体組成物の項において説明した上記(D)~(E)成分は、他の化粧料用原料としても用いることができる。そのような他の化粧料原料としては、例えば、前記の(D)~(E)成分、(F)界面活性剤、(G)粉体または着色剤、(H)ゲル化剤または増粘剤、(I)有機変性粘土鉱物、(J)シリコーン樹脂、(K)シリコーンガム、(L)シリコーンエラストマー、(M)有機変性シリコーン、(N)紫外線防御成分、および(O)水溶性高分子、水等が挙げられる。
【0058】
本発明の共重合体組成物または共重合体を含む化粧料は、任意成分として(F)界面活性剤を含有することができる。係る(F)界面活性剤は、その目的に応じて、(F1)シリコーン系界面活性剤、(F2)アニオン性界面活性剤、(F3)カチオン性界面活性剤、(F4)ノニオン性界面活性剤、(F5)両性界面活性剤、(F6)半極性界面活性剤からなる群より選ばれる1種又は2種類以上の界面活性剤を併用することができる。
【0059】
(F1)シリコーン系界面活性剤としては、ポリグリセリル変性シリコーン,ジグリセル変性シリコーン、グリセリル変性シリコーン,糖変性シリコーン、フッ素ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン,直鎖状シリコーン・ポリエーテルブロック共重合体(ポリシリコーン-13等)、長鎖アルキル・ポリエーテル共変性シリコーン、ポリグリセリル変性シリコーンエラストマー、ジグリセリル編成エラストマー、グリセリル変性エラストマー、ポリエーテル変性エラストマー等が例示される。さらに、前出のシリコーン類やエラストマー類には、アルキル分岐、直鎖シリコーン分岐、シロキサンデンドリマー分岐等が親水基と同時に必要に応じ施されていているものも好適に用いることができる。市販品としては、SH 3771 M,SH 3772 M、SH 3773 M、SH 3775 M、BY 22-008M、BY 11-030、ES-5373 FORMULATION AID、ES-5612 FORMULATION AID、ES-5300 FORMULATION AID、ES-5600 SILICONE GLYCEROL EMULSIFIER(いずれも東レ・ダウコーニング社製)が挙げられる。
【0060】
(F2)アニオン性界面活性剤として、飽和又は不飽和脂肪酸塩(例えば、ラウリン酸ナトリウム,ステアリン酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,リノレン酸ナトリウム等),アルキル硫酸塩,アルキルベンゼンスルホン酸(例えば、ヘキシルベンゼンスルホン酸,トクチルベンゼンスルホン酸,ドデシルベンゼンスルホン酸等)及びその塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩,ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩,ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩,スルホコハク酸アルキルエステル塩,ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩,ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩,アルカンスルホン酸塩,オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド,ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド,アルキルスルホネート,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩,アルキルリン酸塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩,アシルグルタミン酸塩,α―アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、α―オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキル又はアルケニルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミノ酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、α―スルホ脂肪酸エステル塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体が例示される。塩としてはナトリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩、更にはアンモニウム塩が挙げられる。
【0061】
(F3)カチオン性界面活性剤として、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化牛脂アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化ジ(POE)オレイルメチルアンモニウム(2EO)、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルベンザルコニウム,塩化アルキルジメチルベンザルコニウム,塩化ベンゼトニウム,塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ラノリン誘導四級アンモニウム塩、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、塩化ステアロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化トール油アルキルベンジルヒドロキシエチルイミダゾリニウム、ベンジルアンモニウム塩が例示される。
【0062】
(F4)ノニオン性界面活性剤として、ジイソステアリン酸ポリグリセリルやポリヒドロキシステアリン酸ジグリセリル、イソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンエーテル類,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類,ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレン脂肪酸ジエステル類,ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル類,ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類,ポリオキシアルキレンアルキルフェノール類,ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類,ポリオキシアルキレンフェニルフェニルエーテル類,ポリオキシアルキレンアルキルエステル類,ポリオキシアルキレンアルキルエステル類,ソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル類,ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類,ポリグリセリンアルキルエーテル類,ポリグリセリン脂肪酸エステル類,ショ糖脂肪酸エステル類,脂肪酸アルカノールアミド,アルキルグルコシド類,ポリオキシアルキレン脂肪酸ビスフェニルエーテル類,ポリプロピレングリコール,ジエチレングリコール,ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー,アルキルポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー,アルキルポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、フッ素系界面活性剤等が例示される。
【0063】
(F5)両性界面活性剤としてイミダゾリン型、アミドベタイン型、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アルキルスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、カルボベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸型、アミドアミノ酸型両性界面活性剤が例示される。具体的には、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミタゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルベタイン等のアルキルベタイン型両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、硬化牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミドベタイン型両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタイン等のアルキルスルホベタイン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン等のアルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシホスホベタイン等のホスホベタイン型両性界面活性剤;N-ラウロイル-N’-ヒドロキシエチル- N’-カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N-オレオイル-N’-ヒドロキシエチル- N’-カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N-ココイル-N’-ヒドロキシエチル-N’-カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N-ラウロイル-N’-ヒドロキシエチル- N’-カルボキシメチルエチレンジアミンカリウム、N-オレオイル-N’-ヒドロキシエチル- N’-カルボキシメチルエチレンジアミンカリウム、N-ラウロイル-N-ヒドロキシエチル- N’-カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N-オレオイル-N-ヒドロキシエチル- N’-カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N-ココイル-N-ヒドロキシエチル- N’-カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N-ラウロイル-N-ヒドロキシエチル- N’, N’-ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N-オレオイル-N-ヒドロキシエチル- N’, N’-ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N-ココイル-N-ヒドロキシエチル-N’, N’-ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N-ラウロイル-N-ヒドロキシエチル- N’, N’-ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム、N-オレオイル-N-ヒドロキシエチル- N’, N’-ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム、N-ココイル-N-ヒドロキシエチル- N’, N’-ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム等ののアミドアミノ酸型両性界面活性剤が例示される。
【0064】
(F6)半極性界面活性剤としては、アルキルアミンオキサイド型界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド、アルキルヒドロキシアミンオキサイド等が例示され、炭素数10~18のアルキルジメチルアミンオキサイド、炭素数8~18のアルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキサイド等が好ましく用いられる。具体的には、ドデシルジメチルアミンオキサイド、ジメチルオクチルアミンオキサイド、ジエチルデシルアミンオキサイド、ビス-(2-ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキサイド、ジプロピルテトラデシルアミンオキサイド、メチルエチルへキサデシルアミンオキサイド、ドデシルアミドプロピルジメチルアミンオキサイド、セチルジメチルアミンオキサイド、ステアリルジメチルアミンオキサイド、タロウジメチルアミンオキサイド、ジメチル-2-ヒドロキシオクタデシルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、イソステアリルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アルキルジメチルアミンオキシド、カプリル酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、カプリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、リシノレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、12-ヒドロキシステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヒマシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、及びヤシ脂肪酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドが例示される。
【0065】
本発明の乳化組成物中の(F)界面活性剤の配合量は特に限定されるものではないが、乳化物や分散体を安定化させるため、例えば、乳化組成物中または分散体組成物中の0.05~90重量%の範囲内で配合することができ、好ましくは組成物の重量あたり0.1~50重量%、さらに好ましくは0.5~25重量%である。
【0066】
(G)粉体または着色剤
本発明の共重合体または共重合体組成物を含有する化粧料は、さらに、粉体または着色剤、特に化粧品に用いられる任意の粉体(着色剤として用いられる粉体・顔料を含む)を配合することができる。粉体または着色剤は通常の化粧料に使用されるものであれば、その形状(球状、棒状、針状、板状、シート状、不定形状、紡錘状、お椀状、ラズベリー状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質、二次凝集等)を問わず、いずれのものも使用することができるが、これらの粉体及び/または着色剤を顔料として配合する場合、平均粒子径が1nm~20μmの範囲にある無機顔料粉体、有機顔料粉体、樹脂粉体から選択される1種類又は2種類以上を配合することが好ましい。
【0067】
粉体または着色剤は、具体的には、無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料、シリコーンエラストマー粉体等が挙げられ、更に、これらを複合化したものも使用することができる。なお、これらの粉体または着色剤は、紫外線防御成分として機能するものを含む。
【0068】
具体的には、無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン等;有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、シリコーンパウダー、シリコーンゴムパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンで表面を被覆したシリコーンエラストマー球状粉体、ポリメチルシルセスキオキサン球状粉体、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、ラウロイルリジン等;界面活性剤金属塩粉体 としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等;有色顔料としては、ベンガラ、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γー酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等のタール系色素をレーキ化したもの、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等の天然色素をレーキ化したもの等;パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、雲母チタン、酸化鉄処理雲母チタン、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末顔料 としては、アルミニウム、金、銀、銅、白金、ステンレス等の金属粉末が挙げられる。
【0069】
シリコーンエラストマー粉体は後述する(L)シリコーンエラストマーのうち、粉体状の成分である。これらは、主としてジオルガノシロキシ単位(D単位)からなる直鎖状ジオルガノポリシロキサンの架橋物であり、側鎖若しくは末端に珪素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと側鎖若しくは末端にアルケニル基等の不飽和炭化水素基を有するジオルガノポリシロキサンを、ヒドロシリル化反応触媒下で架橋反応させることによって好適に得ることができる。シリコーンエラストマー粉体は、T単位及びQ単位からなるシリコーン樹脂粉体に比して、柔らかく、弾力があり、また、吸油性に優れるため、肌上の油脂を吸収し、化粧崩れを防ぐことができる。
【0070】
シリコーンエラストマー粉体は、球状、扁平状、不定形状等種々の形状を取りうる。シリコーンエラストマー粉体は油分散体の形態であってもよい。本発明の化粧料には、粒子形状を有するシリコーンエラストマー粉体であり、電子顕微鏡を用いた観察による一次粒子径及び/又はレーザー回析/散乱法で測定された平均一次粒子径が0.1~50μmの範囲に入り、且つ、一次粒子の形状が球状のシリコーンエラストマー粉体を好適に配合することができる。シリコーンエラストマー粉体を構成するシリコーンエラストマーは、JIS K 6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」のタイプAデュロメータによる硬さが80以下のものが好ましく、65以下のものがより好ましい。
【0071】
なお、シリコーンエラストマー粉体は水分散液の形態として本発明の化粧料で使用することもできる。このような水分散液の市販品としては、例えば東レ・ダウコーニング社製のBY 29-129、PF-2001 PIF Emulsion等が挙げられる。
【0072】
シリコーンエラストマー粉体はシリコーンレジン、シリカ等による表面処理が任意に施されていていてもよい。前記表面処理としては、例えば、特開平2-243612号公報、特開平8-12545号公報、特開平8-12546号公報、特開平8-12524号公報、特開平9-241511号公報、特開平10-36219号公報、特開平11-193331号公報、特開2000-281523号公報等に記載されているものが挙げられる。なお、シリコーンエラストマー粉体としては、「化粧料種別配合成分規格」収載の架橋型シリコーン末が該当する。シリコーンエラストマー粉体の市販品としては、例えば東レ・ダウコーニング社製のトレフィルE-506S、トレフィルE-508、9701 Cosmetic Powder、9702 Powder等が挙げられる。
【0073】
さらに、これらの粉体または着色剤には、その一部または全部が撥水化処理がされていることが特に好ましい。これにより、油相に安定に配合することができる。また、これらの粉体または着色剤同士を複合化したり、一般油剤や、本発明に係るオルガノポリシロキサン共重合体以外のシリコーン化合物、又はフッ素化合物、界面活性剤等で表面処理が行われたものも使用することができる。
【0074】
その他の撥水化処理の例としては、前記の粉体または着色剤を各種の撥水化表面処理剤で処理したものが挙げられ、例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン処理、シリコーンレジン処理、シリコーンガム処理、アクリルシリコーン処理、フッ素化シリコーン処理等のオルガノシロキサン処理、ステアリン酸亜鉛処理等の金属石鹸処理、シランカップリング剤処理、アルキルシラン処理等のシラン処理、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩、パーフルオロポリエーテル処理等のフッ素化合物処理、N-ラウロイル-L-リジン処理等のアミノ酸処理、スクワラン処理等の油剤処理、アクリル酸アルキル処理等のアクリル処理等が挙げられ、これらの1種以上を組み合わせて使用することが可能である。
【0075】
上記の粉体または着色剤は、その他の粉体分散剤または表面処理剤を用いて処理されていることが好ましく、特に、本願発明者らが、国際公開公報WO2009/022621号公報、特開2011-148784号公報、特開2011-149017号公報、特開2011-246704号公報、特開2011-246705号公報、特開2011-246706号公報、国際公開公報WO2009/022621号公報、国際公開公報WO2011/049246号公報、国際公開公報WO2011/049248号公報、日本国特許出願2011-286973号等において提案した新規粉体処理剤および処理方法により分散あるいは表面処理がなされ、あるいは、これらの新規粉体処理剤と前記油剤とを用いて処理することで、スラリー化されていてもよい。これらの新規処理剤は、固有の感触の改善効果、分散安定性等の性能に一段と優れるため、本発明の新規化粧料原料と併用することにより、さらなる化粧料の機能、感触、保存安定性等の改善効果が期待される。
【0076】
またさらに、これらの粉体または着色剤には、その一部または全部が親水化処理をすることができる。これにより、水相に係る粉体または着色剤を配合することができる。
【0077】
またさらに、これらの粉体または着色剤には、その一部または全部が疎水化および親水化処理をすることができる。これにより、粉体自体に乳化特性を付与することができる。市販品としては、例えばテイカ社製のMZY-500SHE等が挙げられる。
【0078】
本発明の共重合体組成物中または化粧料中の(G)粉体または着色剤は必要に応じて一種、又は二種以上用いることができ、その配合量は特に限定されるものではないが、組成物中または化粧料全体の0.1~99.5質量% の範囲内で配合することができ、好ましくは1~99重量%である。特に、粉末固形化粧料の場合の配合量としては、化粧料全体の80~99 質量%の範囲が好適である。
【0079】
(H)ゲル化剤または増粘剤
ゲル化剤としては油溶性のものが好ましく、具体的にはアルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン、N-ラウロイル-L-グルタミン酸、α、γ-ジ-n-ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2-エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体等が挙げられる。これらは必要に応じて一種、又は二種以上用いることができる。
【0080】
(I)有機変性粘土鉱物
有機変性粘土鉱物としては、例えば、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウム等が挙げられる。これらの市販品としては、ベントン27(ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト: ナショナルレッド社製)、ベントン38(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト: ナショナルレッド社製)等がある。
【0081】
(J)シリコーン樹脂
シリコーン樹脂は、高度の分岐状構造、網状構造又は籠状構造を有するオルガノポリシロキサンであり、常温で液状又は固形状であり、本発明の目的に反しない限り、通常化粧料に用いられるシリコーン樹脂であればいずれのものでもよい。固形状のシリコーン樹脂には、例えば、トリオルガノシロキシ単位(M単位)(オルガノ基はメチル基のみ、メチル基とビニル基若しくはフェニル基である)、ジオルガノシロキシ単位(D単位)(オルガノ基はメチル基のみ、メチル基とビニル基若しくはフェニル基である)、モノオルガノシロキシ単位(T単位)(オルガノ基はメチル基、ビニル基、又はフェニル基である)及びシロキシ単位(Q単位)の任意の組み合わせからなるMQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、TD樹脂、TQ樹脂、TDQ樹脂がある。さらには、トリメチルシロキシケイ酸、ポリアルキルシロキシケイ酸、ジメチルシロキシ単位含有トリメチルシロキシケイ酸、アルキル(パーフルオロアルキル)シロキシケイ酸が例示される。これらのシリコーン樹脂は油溶性であり、D4やD5に溶解しうるものが特に好ましい。

シリコーン樹脂は、皮膚、髪等に塗布した場合に均一な皮膜を形成し、乾燥及び低温に対する保護効果を与える。更に、これらの分岐単位を有するシリコーン樹脂は、皮膚、髪等にしっかりと密着し、皮膚、髪等に艶と透明感を与えることができる。
【0082】
(K)シリコーンガム
本発明においては、1,000,000mm/s以上の、シリコーンガムと称される、超高粘度のオルガノポリシロキサンもシリコーン油として使用することができる。シリコーンガムは、超高重合度の直鎖状ジオルガノポリシロキサンであり、シリコーン生ゴムやオルガノポリシロキサンガムとも称されている。シリコーンガムは、その重合度が高いため、測定可能な程度の可塑度を有する点で、前記の油状シリコーン類と区別される。このようなシリコーン生ゴムとしては、ジアルキルシロキシ単位(D単位)を有する置換又は非置換のオルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノポリシロキサン、メチルフロロアルキルポリシロキサン等、または、それらの微架橋構造を有したもの等が挙げられ、代表例として、一般式:R10(CHSiO{(CHSiO}{(CH)R11SiO}Si(CH10(式中、R11はビニル基、フェニル基、炭素数が6~20のアルキル基、炭素数3~15のアミノアルキル基、炭素数3~15のパーフロロアルキル基、炭素数3~15の4級アンモニウム塩基含有アルキル基から選択される基であり、末端基R10は、炭素数1~8のアルキル基、フェニル基、ビニル基、炭素数3~15のアミノアルキル基、水酸基及び炭素数1~8のアルコキシ基から選択される基である。また、s=2,000~6,000、t=0~1,000、s+t=2,000~6,000)で示されるものがある。中でも、重合度3000~20000のジメチルポリシロキサン生ゴムが好ましい。これらのシリコーンガムは、そのまま、或いは油状シリコーンに分散させた液状のガムディスパージョン(シリコーンガムのオイル分散物)として、本発明にかかる化粧料に配合することができる。
【0083】
このようなシリコーン生ゴムとしては、ジアルキルシロキシ単位(D単位)を有する置換又は非置換のオルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノポリシロキサン、メチルフロロアルキルポリシロキサン等、又は、それらの微架橋構造を有したもの等が挙げられ、代表例として、一般式:R10(CHSiO{(CHSiO}s{(CH)R12SiO}tSi(CH10(式中、R12はビニル基、フェニル基、炭素数が6~20のアルキル基、炭素数3~15のアミノアルキル基、炭素数3~15のパーフロロアルキル基、炭素数3~15の4級アンモニウム塩基含有アルキル基から選択される基であり、末端基R10は、炭素数1~8のアルキル基、フェニル基、ビニル基、炭素数3~15のアミノアルキル基、水酸基及び炭素数1~8のアルコキシ基から選択される基である。また、s=2,000~6,000、t=0~1,000、s+t=2,000~6,000)で示されるものがある。中でも、重合度3000~20000のジメチルポリシロキサン生ゴムが好ましい。また、分子の側鎖又は末端に3-アミノプロピル基、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピル基等を有するアミノ変性メチルポリシロキサン生ゴムが好ましい。また、本発明において、シリコーンガムは必要に応じて1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0084】
シリコーンガムは、超高重合度であるため、皮膚及び毛髪に対する残留性に優れ、通気性に優れた保護膜を形成する。このため、特に皮膚及び毛髪に艶と光沢を与え、使用中及び使用後に皮膚及び髪全体に張りとコシのある質感を付与することができる成分である。
【0085】
シリコーンガムの配合量は、例えば、化粧料全体の0.05~30重量(質量)%の範囲であり、好適には1~15重量(質量)%の範囲である。なお、シリコーンガムは予め乳化工程(乳化重合も含む)を経て調製された乳化組成物として使用すれば配合がしやすく、本発明の化粧料に安定に配合することができる。シリコーンガムの配合量が前記下限未満では皮膚及び毛髪に対する光沢付与効果が不十分となるおそれがある。
【0086】
(L)シリコーンエラストマー
シリコーンエラストマーは、その目的に応じて任意の形態で化粧料に配合することが可能であるが、特に、前記の「(G)粉体」にて説明したシリコーンエラストマー粉体のほか、架橋性オルガノポリシロキサンとして配合することが好ましい。シリコーンエラストマー粉体は水分散液の形態としても、本発明の化粧料で使用することができる。このような水分散液の市販品としては、例えば東レ・ダウコーニング社製のBY 29-129,PF-2001 PIF Emulsion等が挙げられる。これらのシリコーンエラストマー粉末の水系分散体(=サスペンジョン)を配合することにより、本発明の化粧料の使用感をさらに改善することができる点で極めて有用である。
【0087】
架橋性オルガノポリシロキサンとしては、オルガノポリシロキサン鎖が架橋性成分等との反応により3次元架橋した構造のものであってポリオキシアルキレン単位等の親水部を有しない、非乳化性のものが好ましい。このような架橋性オルガノポリシロキサンであれば、希釈・性状等の物理的形態や製法等によらず制限なく使用できるが、特に好ましいものとしては米国特許第5654362号中に記載されているα,ω-ジエン架橋シリコーンエラストマー(市販品としては、DC 9040 Silicone Elastomer Blend, DC 9041 Silicone Elastomer Blend, DC 9045 Silicone Elastomer Blend, DC 9046 Silicone Elastomer Blend、米国ダウコーニング社製)が例示される。また、架橋性オルガノポリシロキサンであって、室温で流動性を有するものも好適に用いることができ、3901 LIQUID SATIN BLEND (米国ダウコーニング社製)などが例示される。
【0088】
(M)有機変性シリコーン
有機変性シリコーンは、親油性であるものが好ましい。具体的には、前記の他、アミノ変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、アミノ酸変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、アミドアルキル変性シリコーン、アミノグリコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーンを挙げることができる。該有機変性シリコーン類は、主鎖としてポリシロキサン結合の他に、アルキレン鎖、アミノアルキレン鎖又は化合物が親水性を有さない程度のポリエーテル鎖を有するものであってもよく、有機変性基は、ポリシロキサン鎖の側鎖又は末端の一方又は両方に有するものであってよい。本発明の化粧料を毛髪化粧料として使用する場合、アミノ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーン又はアミノグリコール変性シリコーンを好適に用いることができ、3-アミノプロピル基、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピル基等を有するアミノ変性シリコーンが一般的なものとして例示できる。
【0089】
以下、有機変性シリコーンとして特に好ましい高級アルキル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン樹脂、及び、ポリアミド変性シリコーン樹脂について説明する。高級アルキル変性シリコーンは室温でワックス状であり、化粧料用原料として有用な成分である。したがって、本発明の化粧料において好適に使用することができる。このような高級アルキル変性シリコーンワックスとしては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチル長鎖アルキルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチル長鎖アルキルシロキサン共重合体,分子鎖両末端長鎖アルキル変性ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらの市販品としては、AMS-C30 Cosmetic Wax、2503 Cosmetic Wax等(米国ダウコーニング社製)が挙げられる。
【0090】
本発明の化粧料においては、高級アルキル変性シリコーンワックスは、化粧持ち効果及び高温安定性の点から、融点が60℃以上であることが好ましい。
【0091】
アルキル変性シリコーン樹脂は、化粧料に皮脂耐久性、保湿性、肌理細やかな感触を付与する成分であり、室温でワックス状のものを好適に使用することができる。例えば、特表2007-532754号公報に記載されているシルセスキオキサン樹脂ワックスが好ましく挙げられる。これらの市販品としては、SW-8005 C30 RESIN WAX等(米国ダウコーニング社製)が挙げられる。
【0092】
ポリアミド変性シリコーンとしては、例えば、米国特許5981680号(特開2000-038450号公報)や特表2001-512164号公報中に記載されているシロキサンベースのポリアミド化合物が例示され、市販品としては2-8178 Gellant、2-8179 Gellant等(米国ダウコーニング社製)が挙げられる。かかるポリアミド変性シリコーンは、油性原料、特にシリコーン油の増粘/ゲル化剤としても機能する。
【0093】
(N)紫外線防御成分
紫外線防御成分には、無機系の紫外線防御成分と有機系の紫外線防御成分がある。本発明の化粧料が日焼け止め化粧料であれば、少なくとも1種の無機系又は有機系、特に有機系の紫外線防御成分を含有することが好ましい。本願発明の共重合体は、一般に難溶性の有機系の紫外線防御成分、例えば、「ユビナールA」として知られるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、「チノソーブS」として知られるビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、「オクトクリレン」として知られる2-シアノ-3、3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル、その他桂皮酸系紫外線吸収剤などとの相溶性に優れ、本願発明の共重合体との配合安定性を改善することができる。
【0094】
無機系の紫外線防御成分は、前記の無機系の顔料粉体、金属粉末顔料等を紫外線分散剤として配合するものであっても良く、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、低次酸化チタン、鉄ドープ酸化チタン等の金属酸化物、水酸化鉄等の金属水酸化物、板状酸化鉄、アルミニウムフレーク等の金属フレーク類、炭化珪素等のセラミック類が挙げられる。このうち、平均粒子径が1~100nmの範囲にある、粒状、板状、針状又は繊維状の微粒子金属酸化物及び微粒子金属水酸化物から選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。これらの粉末は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理(パーフルオロアルキルリン酸エステル処理やパーフルオロアルキルシラン処理、パーフルオロポリエーテル処理、フルオロシリコーン処理、フッ素化シリコーン樹脂処理が好ましい)、シリコーン処理(メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理、気相法テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン処理が好ましい)、シリコーン樹脂処理(トリメチルシロキシケイ酸処理が好ましい)、ペンダント処理(気相法シリコーン処理後にアルキル鎖等を付加する方法)、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、シラン処理(アルキルシランやアルキルシラザン処理が好ましい)、油剤処理、N-アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理(ステアリン酸やミリスチン酸塩が好ましい)、アクリル樹脂処理、金属酸化物処理等がされていることが好ましく、これらの処理の複数で処理されていることが好ましい。例えば、微粒子酸化チタン表面を酸化ケイ素やアルミナ等の金属酸化物で被覆した後、アルキルシランで表面処理すること等が挙げられる。表面処理量は、粉体に対して総計で0.1~50質量%の範囲にあることが好ましい。
【0095】
有機系の紫外線防御成分は親油性の紫外線防御成分であり、例えば、パラアミノ安息香酸(以下PABAと略す),PABAモノグリセリンエステル,N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル,N,N-ジエトキシPABAエチルエステル,N,N-ジメチルPABAエチルエステル,N,N-ジメチルPABAブチルエステル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等の安息香酸系紫外線吸収剤、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、アミルサリシレート,メンチルサリシレート,ホモメンチルサリシレート,オクチルサリシレート,フェニルサリシレート,ベンジルサリシレート,p-イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、オクチルシンナメート,エチル-4-イソプロピルシンナメート,メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート,エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート,メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート,プロピル-p-メトキシシンナメート,イソプロピル-p-メトキシシンナメート,イソアミル-p-メトキシシンナメート,オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート),2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート,シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート,エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート,2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート,グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート,3,4,5-トリメトキシ桂皮酸3-メチル-4-[メチルビス(トリメチルシロキシ)シリル]ブチル等の桂皮酸系紫外線吸収剤、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン,2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン,2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン,2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン,2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン,2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン,2-ヒドロキシ-4メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩,4-フェニルベンゾフェノン,2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート,ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン,4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン等が例示される。
【0096】
また、前記の有機系紫外線防御成分を疎水性のポリマー粉末中に含有したものを用いることも可能である。ポリマー粉末は中空であってもなくてもよく、平均一次粒子径は0.1~50μmの範囲にあればよく、粒度分布はブロードであってもシャープであっても構わない。ポリマーの種類としてはアクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、シリコーン樹脂、ナイロン、アクリルアミド樹脂、シリル化ポリペプチド樹脂が例示される。有機系紫外線防御成分を0.1~30質量%の範囲で含有するポリマー粉末が好ましく、特にUV-A吸収剤である4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンを含有するポリマー粉末が好ましい。
【0097】
また、前記の有機系紫外線防御成分を水中に分散したものを用いることも可能である。市販品としては、Tinosorb A2B(BASF社製)が挙げられる。
【0098】
本発明の化粧料において、好適に使用できる紫外線防御成分は、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、2―シアノ―3,3―ジフェニルプロパ―2―エン酸2―エチルヘキシルエステル及び、その他ベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である。これらの紫外線防御成分は、汎用されており、入手が容易で、かつ紫外線防御効果が高いため好適に使用することができる。特に、無機系と有機系の紫外線防御成分を併用することが好ましく、UV-Aに対応した紫外線防御成分とUV-Bに対応した紫外線防御成分を併用することがさらに好ましい。
【0099】
(O)水溶性高分子
一方、本発明の化粧料は、水溶性の成分を多く含む水性またはエマルジョン型の化粧料であってもよく、その剤形に応じて(O)水溶性高分子を配合することもでき、かつ好ましい。水溶性高分子としては、1種又は2種以上の水溶性高分子を用いることができる。天然の水溶性高分子としては、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子が挙げられる。また、半合成の水溶性高分子としては、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子が挙げられる。合成の水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル系高分子、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(CARBOPOL 940, 941; BF Goodrich社)等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、ポリエチレングリコール6,000、ポリエチレングリコール4,000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、PEG/PPGメチルエーテル等の共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が例示される。その他のカチオン性水溶性高分子としては、特に、毛髪化粧料に好適に配合できる成分として、第4級窒素変性ポリサッカライド(例えば、カチオン変性セルロース、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性グアーガム、カチオン変性ローカストビーンガム、カチオン変性デンプン等)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等)、ビニルピロリドン誘導体(例えば、ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン・塩化メチルビニルイミダゾリウム共重合体等)が例示できる。
【0100】
本発明の化粧料には、本発明の効果を妨げない範囲で通常の化粧料に使用されるその他の成分:有機樹脂、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等を添加することができる。これらの具体例は、特開2011-149017号公報の段落0100~0113等に具体的に開示されているものと共通であるが、これに限定されない。
【0101】
本発明の化粧料には、その目的に応じて天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分を配合することができる。これらの成分を2種以上配合してもよい。これらの具体例は、特開2011-149017号公報の段落0115等に具体的に開示されているものと共通であるが、これに限定されない。
【0102】
本発明の化粧料には、その目的に応じて、例えば、精製水、ミネラルウォーター等の水以外に、軽質イソパラフィン、エーテル類、LPG、N-メチルピロリドン、次世代フロン等の溶媒を配合してもよい。
【0103】
また、本発明の化粧料には、本発明の共重合体に加えて、アクリルシリコーンデンドリマーコポリマー、アルキル変性シリコーンレジンワックスからなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。これらは、本発明の共重合体同様に皮膜形成性の成分であるが、本発明の共重合体と異なり、洗浄性を併有する成分ではないので、本発明の技術的効果を損なわない範囲で配合することが好ましい。
【0104】
アクリルシリコーンデンドリマーコポリマーとしては、例えば、特許第4009382号公報(特開2000-063225号公報)中に記載されている、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体が、特に好ましく例示される。市販品としては、東レ・ダウコーニング社製のFA 4001 CM Silicone Acrylate, FA 4002 ID Silicone Acrylate等が挙げられる。
【0105】
アルキル変性シリコーンレジンワックスとしては、例えば、特表2007-532754号公報に記載されているシルセスキオキサン樹脂ワックスが好ましく挙げられる。
【0106】
本発明の化粧料は、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状、スプレー状のいずれの形態であってもよい。
【0107】
本発明に係る共重合体は耐水性および耐皮脂性を有しながら、洗浄性にも優れる皮膜を肌または髪上に形成可能であり、これらの機能性皮膜を与える化粧料を設計可能である。
【0108】
本発明の化粧料は、具体的な製品として、皮膚洗浄剤製品、スキンケア製品、メイクアップ製品、制汗剤製品、紫外線防御製品などの皮膚用化粧品;毛髪用洗浄剤製品、整髪料製品、毛髪用着色料製品、養毛料製品、ヘアリンス製品、ヘアコンディショナー製品、ヘアトリートメント製品等の頭髪用化粧品;浴用化粧品;発毛剤、育毛剤、鎮痛剤、殺菌剤、抗炎症剤、清涼剤、皮膚老化防止剤が例示されるが、これらに限定されない。
【0109】
前記の皮膚用化粧品は、頭皮、顔面(口唇、眉毛、頬を含む)、手指、爪、全身のいずれの部位についても用いることができる。具体的には、クレンジングジェル、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、洗顔クリーム、アイメークアップリムーバー、洗顔フォーム、液体石鹸(ボディソープ)、ハンドソープ、ゲル状石鹸、シェービングクリーム、除光液、アクネ対策化粧料等の皮膚洗浄剤製品;肌用クリーム、頭皮用トリートメント、スキンミルク、ミルクローション、乳液、フェイシャルパック、ボディパウダー、エッセンス、シェービングローション、マッサージ料、等のスキンケア製品;ファンデーション、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、メイクアップベース、白粉、フェースパウダー、頬紅、リップクリーム、練紅、リップグロス、アイクリーム、マスカラ、眉墨、まつげ化粧品等のメイクアップ製品;デオドラント等の制汗剤;サンスクリーン剤、日焼け用薬剤(サンタン剤)等の紫外線防御製品が例示される。
【0110】
前記の頭髪用化粧品は、シャンプー、リンスインシャプー等の毛髪用洗浄剤;ヘアワックス、髪用カール保持剤、セット剤、ヘアクリーム、へアスプレー、ヘアリキッド等の整髪料製品;染毛料、ヘアカラースプレー、ヘアカラーリンス、ヘアカラースティック等の毛髪用着色料製品;ヘアトニック、ヘアトリートメントエッセンス、ヘアパック等の養毛料製品;オイルリンス、クリームリンス、トリートメントリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等のヘアリンス又はヘアコンディショニング製品が例示される。また、前記の浴用化粧品は、フォームバスが例示される。
【0111】
本発明に係る共重合体は、その他の用途、各種外用剤、塗料、コーティング剤、消泡剤、消臭剤等であって、化粧料以外の製品にも配合することができる。
【実施例
【0112】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0113】
1.共重合体およびその液状組成物の調製
実施例1
攪拌装置,温度計,還流管を取り付けた500ミリリットル4つ口フラスコに、イソプロピルアルコール(IPA)を115.0g仕込み、窒素ガスでバブリングを行い十分に脱気し、80℃に加熱した。滴下ロートにアクリル酸4.0g(5重量%)メタクリル酸メチル26.4g(33重量%)、アクリル酸n-ブチル9.6g(12重量%)、下記式(A-1):
【化29】
で示されるカルボシロキサンデンドリマーモノマー40.0g(50重量%)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(大塚化学製)0.8gを仕込み、溶解させた。窒素雰囲気下、滴下ロートよりモノマー混合物を80℃に保ったまま、3時間かけて滴下した。滴下終了後、窒素雰囲気下3時間加熱攪拌した。攪拌後の反応生成物をガスクロマトグラフィーにより重合添加率を分析したところ、重合の転化率は95%であり、ビニル系重合体が得られたことが判明した。また、GPCで分析したところ、数平均分子量19,500のポリマーであることがわかった。このビニル系重合体のイソプロピルアルコール溶液をロータリーエバポレーターに仕込み、10mmHg以下、160℃でストリッピングして固体を得た。得られた固体にカプリリルメチコン(FZ―3196)を加えて不揮発分濃度39.4%の液状組成物(共重合体組成物)を得た。
【0114】
<分析>
数平均分子量Mn:溶出溶媒にテトラヒドロフランを、標準ポリスチレンによる検量線を用いて分析した。
粘度測定:東京計器(株)製のE型粘度計:VISCOMIC EMDを用いて、25℃での組成物の粘度を測定した。
不揮発分濃度:直径6cmのアルミ皿に試料を1g秤量し、150℃、1時間で加熱した後に残った試料から求めた。
【0115】
<評価>
皮膜硬さ:直径6cmのアルミ皿に試料を1g秤量し、150℃、1時間で加熱して皮膜を形成した。得られた皮膜をアルミ皿を曲げて皮膜に亀裂が入るかどうかで判別した。
皮膜べたつき:前記と同様にしてアルミ皿上に作成した皮膜に指で触れたとき、皮膜と一体化したアルミ皿が持ち上がるかどうかで判別した。
接触角(水):ビニル系共重合体のIPA溶液をガラスプレート上に塗布後、室温にて溶媒を乾燥除去してビニル系重合体の塗膜を得た。この塗膜表面に水滴5μLを載せて、水に対する接触角を測定した。測定装置は、Drop shape analysis system (KRUSS DSA10 Mk-2)を用い、n=5以上の平均値を求めた。
接触角(人工皮脂):ビニル系共重合体のIPA溶液をガラスプレート上に塗布後、室温にて溶媒を乾燥除去してビニル系重合体の塗膜を得た。この塗膜表面に人工皮脂(トリオレイン:オレイン酸:スクワラン=3:1:1の混合物)の液滴5μLを載せて、人工皮脂に対する接触角を測定した。測定装置は、Drop shape analysis system (KRUSS DSA10 Mk-2)を用い、n=5以上の平均値を求めた。
【0116】
洗浄性試験1:ビニル系共重合体のFZ-3196溶液1gに、Sudan Red III (CAS# 85-86-9)の0.5wt%トルエン溶液0.2gを添加・混合した溶液をガラスプレート上に塗布後、80℃、1時間で溶媒を乾燥除去して着色されたビニル系重合体の塗膜を得た。マグネットスターラーを備えたビーカーに0.05mol/L水酸化カリウム水溶液を仕込み、ここに塗膜をガラスプレートとともに半分浸し、3分間撹拌した。3分後にガラスプレートを取り出して、洗瓶にてイオン交換水で洗浄して風乾した。前記水酸化カリウム水溶液に浸っていた塗膜部分が洗浄により除去されたものを「無」、洗浄により除去されずに塗膜が残っていたものを「有」とした。
【0117】
比較例1
市販のDow Corning(R) FA 4002 ID SILICONE ACRYLATE(酸価0 mgKOH/g、酸性基を有していないカルボシロキサンデンドリマー)の溶媒をロータリーエバポレーターに仕込み、10mmHg以下、160℃でストリッピングして固体を得た。得られた固体にカプリリルメチコン(FZ―3196)を加えて固形分濃度42.5%のゲル状組成物を得た。
【0118】
比較例2
比較例1と同様にして、市販のDow Corning(R) FA 4004 ID SILICONE ACRYLATE(酸価0 mgKOH/g、酸性基を有していない)の溶媒をロータリーエバポレーターに仕込み、10mmHg以下、160℃でストリッピングして固体を得た。得られた固体にカプリリルメチコンを加えて固形分濃度40.5%の液状組成物を得た。
【0119】
実施例2~18、比較例3~6
実施例1のモノマー原料および重量%を下記表1-5のように変更した以外は同様にして調製した。なおなお、表中の略称は以下の通りである。
(B)成分:
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
(C)成分:
MMA:メタクリル酸メチル
n-Bu-A:アクリル酸n-ブチル
2EHMA:メタクリル酸2-エチルヘキシル
ISA:アクリル酸イソステアリル
SA:アクリル酸ステアリル
SMA:メタクリル酸ステアリル
BMA:メタクリル酸ベンジル
【0120】
A-1:
【化30】
【0121】
【表1】
【0122】
【表2】

【0123】
【表3】

【0124】
【表4】


*(B)成分を原料に含まない。
【0125】
【表5】


*(B)成分を原料に含まない。
【0126】
以上の結果に加え、全ての皮膜でシリコーン特有のすべり感およびなめらかさが感じられた。本発明の共重合体は、適度な皮膜硬さをもつことで、耐久性にみならず、折れ曲がりに対する追従性を備えており、さらには、べたつきの無さ、耐水性、耐皮脂性を有しながら、イオン性水溶液に対する洗浄性を示した。
【0127】
洗浄性試験2
さらに、汎用性を確認するため、実施例4の組成物を用い、洗浄性試験1の0.05mol/L水酸化カリウム水溶液の代わりに、市販の洗浄剤を「無添加せっけん泡のボディソープ(ミヨシ石鹸社製)」又は「ダヴビューティーモイスチャークリーミー泡洗顔料(ユニ・リーバー社製)」を用いて同様に試験を実施したところ、図1に示すように浸漬部が洗浄されることがわかった。写真左側が無添加せっけん泡のボディソープを用いたもの、右側がダウビューティーモイスチャークリーミー泡洗顔料を用いたものである。よって、本発明の共重合体組成物は、単純なイオン性水溶液だけではなく、さらに市販されている汎用洗浄剤に対する洗浄性も示すことがわかる。
【0128】
2.粉体組成物の調製
実施例19~26、比較例7~11
酸化チタン(製品名Si-TiO2-CR50、三好化成社製)70.8重量部、ベンガラ(製品名SA-rouge、三好化成社製)14.2重量部、シリコーン系界面活性剤(製品名ES-5600 SILICONE GLYCEROL EMULSIFIER 、Dow Corning(R)製) 5.0重量部、実施例1~11、比較例1~5で調製したFZ-3196溶液10.0重量部、FZ―3196 7.0重量部を混合した後、3ロールミル(EXAKT M-50I)を用いてペースト状顔料組成物を得た。
【0129】
[平均粒径]
前記粉体組成物をデカメチルシクロペンタシロキサン(SH245)で500倍に希釈した後、ELSZ-2000ZS(大塚電子製)にてCUMULANT法により平均粒径を測定した。
【0130】
洗浄性試験3:前記粉体組成物をガラスプレート上に塗布後、50℃、2時間で乾燥させ、粉体塗膜を得た。この塗膜表面にビオレU泡ハンドソープ(花王社製)の液体1滴を粉体塗膜上に滴下した後、指で小さく10回転させて馴染ませた。その後JKワイパー(日本製紙クレシア社製)を塗布部に押し当て、JKワイパーに粉体が付着したかで判別した。
【0131】
耐水性:前記粉体組成物をガラスプレート上に塗布後、50℃、2時間で乾燥させ、粉体塗膜を得た。この塗膜表面にイオン交換水1滴を粉体塗膜上に滴下した後、指で小さく10回転させて馴染ませた。その後JKワイパーを塗布部に押し当て、JKワイパーに粉体が付着したかで判別した。
【0132】
【表6】

【0133】
【表7】


以上のように、単純な皮膜での耐水性、洗浄性だけではなく、化粧料で使用される顔料を含有する塗膜での耐水性、洗浄性も示した。またさらに、平均粒径はカルボン酸を持たない皮膜形成剤よりも小さく、分散性に優れることがわかった。
【0134】
3.微粒子粉体組成物の調製
実施例27~32、比較例12~17
[共重合体の調製]
実施例27及び28
実施例1のモノマー原料および重量%を下記表8のように変更した以外は実施例1と同様に操作を進め、エバポレーターでのストリッピングで操作を終え、共重合体を得た。
【0135】
比較例12及び13
比較例1と同様に操作を進めてエバポレーターでのストリッピングを終え、共重合体を得た。FA 4002 ID SILICONA ACRYLATEから比較例12を、FA 4004 ID SILICONE ACRYLATEから比較例13を得た。
【0136】
【表8】

【0137】
粉体分散能評価
実施例27及び28、並びに比較例12及び13で得られた共重合体を用いて、表9に示す組成の油中粉体分散物を下記のとおり調製し、以下の評価基準により、分散物の粘度安定性を評価した。結果を表9に併せて示す。なお、表中、部は重量(質量)l部を示す。
表9に示す組成(処方)を以下の手順に従って混合・分散することにより、油中粉体分散物を調製した。なお、以下の表9に記載した処方において、数字の単位は全てgである。
(調製手順)
1.200mlガラス瓶に、デカメチルシクロペンタシロキサンと共重合体を仕込み、加熱・混合して溶解させた。
2.粉体と粉体の10倍の質量のジルコニアボール(YTZボール、直径0.8mm)を上のガラス瓶に仕込み 、ヘラでよく混ぜた。ここで、粉体は以下のものを用いた。
酸化チタン:MTY-02(テイカ株式会社製)
酸化亜鉛 :FINEX-30S-LP2(堺化学工業株式会社製)
3.ガラス瓶をペイントシェーカーにセットして、15時間振とうを行った。
4.得られた混合物を篩にとおしてジルコニアボールを取り除くことにより、油中粉体分散物を得た。
【0138】
【表9】

※表中の粘度は、コーンの回転数を10rpmとしたときの、前述の粘度測定法に従って得た測定値である。
以上のように、本発明の共重合体自体が粉体との親和性が高く、分散性をも有していることが示された。よって、本発明の共重合体は、粉体を有する化粧品用途に使用できることがわかる。
【0139】
実施例33~35
[乳化能評価]
実施例3、8及び17で得られた共重合組成物を用いて、表10に示す組成の油中水型エマルション組成物を下記のとおり調製し、乳化組成物が得られることを確認した。粘度と顕微鏡観察の測定結果を表10に併せて示す。なお、表中、部は重量(質量)部を示す。
【0140】
[油中水型エマルション組成物の調製方法]
1.200ml容器に、油剤(製品名SH200 2cst 、Dow Corning(R)製)及びシリコーン系界面活性剤(製品名ES-5300 FORMULATION AID 、Dow Corning(R)製)を仕込んだ。
2.撹拌を行い、界面活性剤を油剤中に均一分散又は溶解させた(油相A)。
3.別の容器に食塩とイオン交換水とを仕込み、スパチュラで混合して溶解させた。更に、1,3-ブチレングリコールを混合して溶解させた(水相B)。
4.ホモディスパーの鋸歯を油相Aに浸し、1000rpmで攪拌しながら、水相Bをほぼ定速で約45秒かけて油相A中に注ぎ込んだ。
5.ホモディスパーの回転数を3500rpmまで上げ、2分間撹拌を行い内容物を均質に乳化した。
6.一旦止め、容器の内壁に付着した油分をへらで掻き落とし、生成しているエマルションと混合した。
7.ホモディスパーの回転数3500rpmで3分間の攪拌を行い内容物を均質に乳化した。
【0141】
[粘度測定]
東京計器(株)製のE型粘度計:VISCOMIC EMDを用いて、25℃でのエマルション組成物の粘度を測定した。
【0142】
【表10】

*OMC:パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル

以上のように、本発明の共重合体を含んだ油中水型エマルションを調製し、室温での3ヶ月の経時変化を確認した。粘度変化がほとんどなかったことから、乳化系に対しても問題なく使用できることが示された。よって、本発明の共重合体は乳化系化粧品にも使用できることがわかった。
【0143】
実施例36
実施例1で得られた共重合体のイソプロパノール溶液453.2gをステンレススチール製オートクレーブに仕込み、活性炭に10重量%パラジウムを担持させた水添触媒(10%Pd/C (NX type) N.E.Chemcat社製)1.8gを添加して反応温度90℃、水素圧9kg/cm2(絶対圧)で水素添加反応を行った。5時間反応後、触媒を濾別し、10mmHg以下、160℃でストリッピングして固体の共重合体を得た。シリコーングラフト共重合体と共存する(メタ)アクリル基の残存を1 H-NMRスペクトルによって調べたが、(メタ)アクリル基のエチレン性不飽和基の1Hシグナル(6.1ppm)は検知されず、カルボシロキサンデンドリマーモノマーA-1上のメチル基の積分値(0-0.3ppm)に対する(メタ)アクリル基の末端ビニルの積分値(5.5-6.5ppm)の割合(残存不飽和量比)は0であった。また、ICP-MSで金属イオン分析を行ったところ、パラジウム金属は検出限界以下であった。
なお、同様の条件で実施例1の共重合体のアクリル基の残存を1 H-NMRスペクトルを測定したところ、残存不飽和量比は1.09/(100×50%)=0.0218 (エチレン性不飽和基の積分値=1.09、カルボシロキサンデンドリマーモノマーA-1上のメチル基の積分値=100、カルボシロキサンデンドリマーモノマーA-1の仕込み重量%=50%)であった。
【0144】
比較例18
実施例36のパラジウムを担持させた水添触媒の代わりに、安定化ニッケル触媒SN-750(堺化学工業社製)を3.23g使用した他は、実施例36と同様の操作を行った。アクリル基の末端ビニル基のシグナルは検出されなかった。ICP-MSで金属イオン分析を行ったところ、120ppmのニッケル金属が検出された。
図1