(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】ポリ(アミド-イミド)コポリマー、ポリ(アミド-イミド)コポリマー製造用組成物、ポリ(アミド-イミド)コポリマーを含む成形品および表示装置
(51)【国際特許分類】
C08G 73/14 20060101AFI20221122BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
C08G73/14
C08J5/18 CFG
(21)【出願番号】P 2018150774
(22)【出願日】2018-08-09
【審査請求日】2021-07-07
(31)【優先権主張番号】10-2017-0101224
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】蔡 貞 廈
(72)【発明者】
【氏名】朱 京 植
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-119867(JP,A)
【文献】特開2017-133012(JP,A)
【文献】特開2017-132845(JP,A)
【文献】特開2007-119503(JP,A)
【文献】特表2015-521687(JP,A)
【文献】特表2017-503887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/10
C08J 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるジアミン、下記化学式2で表されるジアミン、下記化学式3で表されるジカルボニル化合物、および下記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物の反応生成物である、ポリ(アミド-イミド)コポリマー
であって、
下記化学式1で表されるジアミンは、下記化学式1で表されるジアミンと下記化学式2で表されるジアミンの総モル数を基準に50モル%未満含まれている、ポリ(アミド-イミド)コポリマー:
【化1】
上記化学式1中、
R
1およびR
2は、それぞれ独立してハロゲン原子であり、
L
1は、
メチレン基であり、
aおよびbは、それぞれ
1であり、
cおよびdは、それぞれ
0である;
【化2】
上記化学式2中、
Aは、2以上の炭素数6~30の芳香族環が
単結合によって連結されたものであって、前記2以上の芳香族環は、それぞれ独立して、電子吸引基(electron withdrawing group)によって置換されるかまたは非置換されたものである;
【化3】
上記化学式3中、
R
3は、置換または非置換のフェニレン基または置換または非置換のビフェニレン基であり、Xは、それぞれ同一であるかまたは異なるハロゲン原子である;
【化4】
上記化学式4中、
R
10は、
単結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-C(=O)NH-、-S(=O)
2-、-Si(CH
3)
2-、-(CH
2)
p-、-(CF
2)
q-、-C(C
nH
2n+1)
2-、-C(C
nF
2n+1)
2-、-(CH
2)
p-C(C
nH
2n+1)
2-(CH
2)
q-、または-(CH
2)
p-C(C
nF
2n+1)
2-(CH
2)
q-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)基であり、
R
12およびR
13は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~10の脂肪族有機基、置換または非置換の炭素数6~20の芳香族有機基、-OR
201基(ここで、R
201は、炭素数1~10の脂肪族有機基)、または-SiR
210R
211R
212(ここで、R
210、R
211、およびR
212は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1~10の脂肪族有機基)基であり、
n7およびn8は、それぞれ独立して、0~3の整数のうちの一つである。
【請求項2】
前記化学式2で表されるジアミンは、2つの炭素数6~12の芳香族環が
単結合によって連結されたものであって、前記2つの炭素数6~12の芳香族環は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1~2のハロアルキル基、炭素数2~6のアルカノイル基、および炭素数1~6のエステル基からなる群より選択される電子吸引基(electron withdrawing group)で置換されたものである、請求項
1に記載のポリ(アミド-イミド)コポリマー。
【請求項3】
前記化学式2で表されるジアミンは、下記の化学式で表したジアミンから選択される一つ以上を含むものである、請求項
1または2に記載のポリ(アミド-イミド)コポリマー:
【化5】
【請求項4】
前記化学式2で表されるジアミンは、下記化学式Aで表されるジアミンを含むものである、請求項1~
3のいずれか1項に記載のポリ(アミド-イミド)コポリマー:
【化6】
【請求項5】
前記化学式3のR
3は、フェニレン基であり、Xは、それぞれ独立してClまたはBrである、請求項1~
4のいずれか1項に記載のポリ(アミド-イミド)コポリマー。
【請求項6】
前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物は、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’-biphenyl tetracarboxylic dianhydride、BPDA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’-diphenylsulfone tetracarboxylic dianhydride、DSDA)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(4,4’-(hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride、6FDA)、および4,4’-オキシジフタル酸無水物(4,4’-oxydiphthalic anhydride、ODPA)からなる群より選択される一つ以上を含むものである、請求項1~
5のいずれか1項に記載のポリ(アミド-イミド)コポリマー。
【請求項7】
前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物は、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’-biphenyl tetracarboxylic dianhydride、BPDA)と4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(4,4’-(hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride、6FDA)の組み合わせを含むものである、請求項1~
6のいずれか1項に記載のポリ(アミド-イミド)コポリマー。
【請求項8】
前記化学式3で表されるジカルボニル化合物と前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物は、30~70:70~30のモル比で含まれている、請求項1~
7のいずれか1項に記載のポリ(アミド-イミド)コポリマー。
【請求項9】
前記化学式2で表されるジアミンと前記化学式3で表されるジカルボニル化合物の合計量は、前記化学式1~化学式4で表される化合物の総量を基準に50モル%以上である、請求項1~
8のいずれか1項に記載のポリ(アミド-イミド)コポリマー。
【請求項10】
下記化学式5で表されるジアミン、下記化学式1で表されるジアミン、および下記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物を含む、
請求項1~9のいずれか1項に記載のポリ(アミド-イミド)コポリマー
を製造するための組成物:
【化7】
上記化学式5中、
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基、または置換または非置換の炭素数1~10のアルコキシ基であり、
上記n0は、0以上の数であり、
上記n1およびn2は、それぞれ独立して0~4の整数であり、n1+n2は、0~4の数であり、
上記Ar
1およびAr
2は、それぞれ独立して下記化学式6で表される:
【化8】
上記化学式6中、
R
6およびR
7は、それぞれ独立して、-CF
3、-CCl
3、-CBr
3、-CI
3、-NO
2、-CN、-COCH
3または-CO
2C
2H
5から選択される電子吸引基(electron withdrawing group)であり、
R
8およびR
9は、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基(-OR
204、ここで、R
204は、炭素数1~10の脂肪族有機基である)、シリル基(-SiR
205R
206R
207、ここで、R
205、R
206およびR
207は、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して、水素原子、または炭素数1~10の脂肪族有機基である)、置換または非置換の炭素数1~10の脂肪族有機基、または置換または非置換の炭素数6~20の芳香族有機基であり、
n3は、1~4の整数であり、n5は、0~3の整数であり、n3+n5は、1~4の整数であり、
n4は、1~4の整数であり、n6は、0~3の整数であり、n4+n6は、1~4の整数である;
【化9】
上記化学式1中、
R
1およびR
2は、それぞれ独立してハロゲン原子であり、
L
1は、
メチレン基であり、
aおよびbは、それぞれ
1であり、
cおよびdは、それぞれ
0である;
【化10】
上記化学式4中、
R
10は、
単結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-C(=O)NH-、-S(=O)
2-、-Si(CH
3)
2-、-(CH
2)
p-、-(CF
2)
q-、-C(C
nH
2n+1)
2-、-C(C
nF
2n+1)
2-、-(CH
2)
p-C(C
nH
2n+1)
2-(CH
2)
q-、または-(CH
2)
p-C(C
nF
2n+1)
2-(CH
2)
q-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)基であり、
R
12およびR
13は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~10の脂肪族有機基、置換または非置換の炭素数6~20の芳香族有機基、-OR
201基(ここで、R
201は、炭素数1~10の脂肪族有機基)、または-SiR
210R
211R
212(ここで、R
210、R
211、およびR
212は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~10の脂肪族有機基)基であり、
n7およびn8は、それぞれ独立して、0~3の整数のうちの一つである。
【請求項11】
下記化学式2で表されるジアミンをさらに含む、請求項
10に記載の組成物:
【化11】
上記化学式2中、
Aは、2以上の炭素数6~30の芳香族環が
単結合によって連結されたものであって、前記2以上の芳香族環は、それぞれ独立して、電子吸引基(electron withdrawing group)によって置換されるかまたは非置換されたものである。
【請求項12】
前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物は、下記化学式4-1で表される化合物と下記化学式4-2で表される化合物の組み合わせを含むものである、請求項
10または11に記載の組成物:
【化12】
【請求項13】
前記化学式5のn1およびn2は、全て0であり、前記化学式6のR
6およびR
7は、全て-CF
3であり、n3とn4は、全て1であり、n5とn6は、全て0である、請求項
10~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1~
9のいずれか1項に
記載のポリ(アミド-イミド)コポリマーを含む成形品。
【請求項15】
前記成形品は、フィルムであり、前記フィルムの厚さが35μm~100μmである時、前記フィルムの屈曲特性は1,000Joule・m
-3・10
4以上であり、屈折率は1.68以下である、請求項
14に記載の成形品。
【請求項16】
請求項
14または15に
記載の成形品を含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ(アミド-イミド)コポリマー、ポリ(アミド-イミド)コポリマー製造用組成物、ポリ(アミド-イミド)コポリマーを含む成形品、および前記成形品を含む表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報化の深化および大衆化により、多様な情報を視覚化して人間に伝達するディスプレイとして、場所、時間にこだわらず、超軽量であり低電力の薄くて、紙のように軽くて、柔軟なフレキシブル(flexible)ディスプレイに対する必要性が増大している。フレキシブルディスプレイを実現するためにはフレキシブル基板、低温工程用有機および無機素材、フレキシブルエレクトロニクス、封止、およびパッケージング技術が複合的に要求される。
【0003】
フレキシブルディスプレイに適用するための従来のウィンドウカバーガラス(Window Cover Glass)を代替できる透明プラスチックフィルムは、高い屈曲特性(toughness)と光学的特性を充足しなければならない。
【0004】
要求される光学的特性としては、高い光透過率、低いヘイズ(Haze)、低い黄色指数(Yellowness Index:YI)、および耐UV変色度などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態は、高い光学的特性および機械的特性を有するポリ(アミド-イミド)コポリマーを提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の一実施形態は、前記ポリ(アミド-イミド)コポリマーを製造するための組成物を提供することを目的とする。
【0008】
本発明のまた他の一実施形態は、前記ポリ(アミド-イミド)コポリマーを含む成形品を提供することを目的とする。
【0009】
本発明のさらに他の一実施形態は、前記ポリ(アミド-イミド)コポリマー含み成形品を含む表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、下記化学式1で表されるジアミン、下記化学式2で表されるジアミン、下記化学式3で表されるジカルボニル化合物、および下記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物の反応生成物である、ポリ(アミド-イミド)コポリマーを提供する:
【0011】
【0012】
上記化学式1中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子であり、
L1は、置換または非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換または非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)2-、-Si(CH3)2-、-(CF2)q-(ここで、1≦q≦10)、-C(CH3)2-、-C(CF3)2-、-C(=O)NH-、またはこれらの組み合わせから選択され、
aおよびbは、それぞれ独立して0~2の整数であり、1≦(a+b)≦4であり、
cおよびdは、それぞれ独立して0~2の整数である;
【0013】
【0014】
上記化学式2中、
Aは、2以上の炭素数6~30の芳香族環が単一結合によって連結されたものであって、前記2以上の芳香族環は、それぞれ独立して、電子吸引基(electron-withdrawing group)によって置換されるかまたは非置換されたものである;
【0015】
【0016】
上記化学式3中、
R3は、置換または非置換のフェニレン基または置換または非置換のビフェニレン基であり、Xは、それぞれ同一であるかまたは異なるハロゲン原子である;
【0017】
【0018】
上記化学式4中、
R10は、単一結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-C(=O)NH-、-S(=O)2-、-Si(CH3)2-、-(CH2)p-、-(CF2)q-、-C(CnH2n+1)2-、-C(CnF2n+1)2-、-(CH2)p-C(CnH2n+1)2-(CH2)q-、または-(CH2)p-C(CnF2n+1)2-(CH2)q-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)基であり、
R12およびR13は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~10の脂肪族有機基、置換または非置換の炭素数6~20の芳香族有機基、-OR201基(ここで、R201は、炭素数1~10の脂肪族有機基)、または-SiR210R211R212(ここで、R210、R211、およびR212は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1~10の脂肪族有機基)基であり、
n7およびn8は、それぞれ独立して、0~3の整数のうちの一つである。
【0019】
前記化学式1のL1は、炭素数1~20のアルキレン基であり、R1およびR2は、それぞれ独立してFまたはClであり、aおよびbは、それぞれ1であり、cおよびdは、それぞれ独立して0~2の整数であってもよい。
【0020】
前記化学式1のL1は、メチレン基であり、aおよびbは、それぞれ1であり、cおよびdは、それぞれ0であってもよい。
【0021】
前記化学式2で表されるジアミンは、2つの炭素数6~12の芳香族環が単一結合によって連結されたものであって、前記2つの炭素数6~12の芳香族環は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1~2のハロアルキル基、炭素数2~6のアルカノイル基、および炭素数1~6のエステル基からなる群より選択される電子吸引基(electron withdrawing group)で置換されたものであってもよい。
【0022】
前記化学式2で表されるジアミンは、下記の化学式で表したジアミンから選択される一つ以上を含んでもよい:
【0023】
【0024】
前記化学式2で表されるジアミンは、下記化学式Aで表されるジアミンを含んでもよい。
【0025】
【0026】
前記化学式3のR3は、フェニレン基であり、Xは、それぞれ独立してClまたはBrであってもよい。
【0027】
前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物は、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’-biphenyl tetracarboxylic dianhydride、BPDA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’-diphenylsulfone tetracarboxylic dianhydride、DSDA)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(4,4’-(hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride、6FDA)、および4,4’-オキシジフタル酸無水物(4,4’-oxydiphthalic anhydride、ODPA)からなる群より選択される一つ以上を含んでもよい。
【0028】
前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物は、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’-biphenyl tetracarboxylic dianhydride、BPDA)と4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(4,4’-(hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride、6FDA)の組み合わせを含むものであってもよい。
【0029】
前記化学式1で表されるジアミンは、前記化学式1で表されるジアミンと前記化学式2で表されるジアミンの総モル数を基準に50モル%未満含まれ得る。
【0030】
前記化学式3で表されるジカルボニル化合物と前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物は、30~70:70~30のモル比で含まれ得る。
【0031】
前記化学式2で表されるジアミンと前記化学式3で表されるジカルボニル化合物の合計量は、前記化学式1~化学式4で表される化合物の総量を基準に50モル%以上であってもよい。
【0032】
本発明の他の一実施形態は、下記化学式5で表されるジアミン、下記化学式1で表されるジアミン、および下記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物を含むポリ(アミド-イミド)コポリマー製造用組成物を提供する:
【0033】
【0034】
上記化学式5中、
R4およびR5は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基、または置換または非置換の炭素数1~10のアルコキシ基であり、
上記n0は、0以上の数であり、
上記n1およびn2は、それぞれ独立して0~4の整数であり、n1+n2は、0~4の数であり、
上記Ar1およびAr2は、それぞれ独立して下記化学式6で表される:
【0035】
【0036】
上記化学式6中、
R6およびR7は、それぞれ独立して、-CF3、-CCl3、-CBr3、-CI3、-NO2、-CN、-COCH3または-CO2C2H5から選択される電子吸引基(electron withdrawing group)であり、
R8およびR9は、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基(-OR204、ここで、R204は、炭素数1~10の脂肪族有機基である)、シリル基(-SiR205R206R207、ここで、R205、R206およびR207は、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して、水素原子、または炭素数1~10の脂肪族有機基である)、置換または非置換の炭素数1~10の脂肪族有機基、または置換または非置換の炭素数6~20の芳香族有機基であり、
n3は、1~4の整数であり、n5は、0~3の整数であり、n3+n5は、1~4の整数であり、
n4は、1~4の整数であり、n6は、0~3の整数であり、n4+n6は、1~4の整数である;
【0037】
【0038】
上記化学式1中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子であり、
L1は、置換または非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換または非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)2-、-Si(CH3)2-、-(CF2)q-(ここで、1≦q≦10)、-C(CH3)2-、-C(CF3)2-、-C(=O)NH-、またはこれらの組み合わせから選択され、
aおよびbは、それぞれ独立して0~2の整数であり、1≦(a+b)≦4であり、
cおよびdは、それぞれ独立して0~2の整数である;
【0039】
【0040】
上記化学式4中、
R10は、単一結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-C(=O)NH-、-S(=O)2-、-Si(CH3)2-、-(CH2)p-、-(CF2)q-、-C(CnH2n+1)2-、-C(CnF2n+1)2-、-(CH2)p-C(CnH2n+1)2-(CH2)q-、または-(CH2)p-C(CnF2n+1)2-(CH2)q-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)基であり、
R12およびR13は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~10の脂肪族有機基、置換または非置換の炭素数6~20の芳香族有機基、-OR201基(ここで、R201は、炭素数1~10の脂肪族有機基)、または-SiR210R211R212(ここで、R210、R211、およびR212は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~10の脂肪族有機基)基であり、
n7およびn8は、それぞれ独立して、0~3の整数のうちの一つである。
【0041】
前記組成物は、下記化学式2で表されるジアミンをさらに含んでもよい:
【0042】
【0043】
上記化学式2中、
Aは、2以上の炭素数6~30の芳香族環が単一結合によって連結されたものであって、前記2以上の芳香族環は、それぞれ独立して、電子吸引基(electron withdrawing group)によって置換されるかまたは非置換されたものである。
【0044】
前記化学式1のL1は、炭素数1~20のアルキレン基であり、R1およびR2は、それぞれ独立して、FまたはClであり、aおよびbは、それぞれ1であり、cおよびdは、それぞれ独立して、0~2の整数であってもよい。
【0045】
前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物は、下記化学式4-1で表される化合物と下記化学式4-2で表される化合物の組み合わせを含んでもよい:
【0046】
【0047】
前記化学式5のn1およびn2は、全て0であり、前記化学式6のR6およびR7は、全て-CF3であり、n3とn4は、全て1であり、n5とn6は、全て0であり得る。
【0048】
本発明のまた他の一実施形態は、前記実施形態によるポリ(アミド-イミド)コポリマーを含む成形品を提供する。
【0049】
前記成形品は、フィルムであり得、前記フィルムの厚さが35μm~100μmである時、前記フィルムの屈曲特性は1,000Joule・m-3・104以上であり、屈折率は1.68以下であり得る。
【0050】
本発明のさらに他の一実施形態は、前記実施形態による成形品を含む表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0051】
本発明の一実施形態による組成物から製造されるポリ(アミド-イミド)コポリマーは、優れた光学特性を維持しながらも屈曲特性および透過率がさらに改善され、表示装置、特にフレキシブル表示装置のウィンドウフィルムなどとして有用に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0053】
本明細書で特別な言及がない限り、“置換”乃至“置換された”とは、特定化学式内の官能基中の一つ以上の水素原子がハロゲン原子(F、Br、ClまたはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基{NH2、NH(R100)またはN(R101)(R102)であり、ここで、R100、R101およびR102は同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基である}、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、オキソ基、炭素数1~30のアシル基、炭素数1~30のアルキル基、一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換された炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~30のシクロアルケニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数1~30のアルコキシ基、および炭素数2~30のヘテロ環基からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されたことを意味し、前記置換基は互いに連結されて環を形成することもできる。
【0054】
本明細書で特別な言及がない限り、以下のとおりである。“アルキル基”とは炭素数1~30のアルキル基を意味し、好ましくは炭素数1~15のアルキル基を意味する。また、“シクロアルキル基”とは炭素数3~30のシクロアルキル基を意味し、好ましくは炭素数3~18のシクロアルキル基を意味する。さらに“アルコキシ基”とは炭素数1~30のアルコキシ基を意味し、好ましくは炭素数1~18のアルコキシ基を意味する。また、“アリール基”とは炭素数6~30のアリール基を意味し、好ましくは炭素数6~18のアリール基を意味する。また、“アルケニル基”とは一つ以上の二重結合を含む炭素数2~30のアルケニル基を意味し、好ましくは炭素数2~18のアルケニル基を意味する。さらに、“アルキニル基”とは、一つ以上の三重結合を含む炭素数2~30のアルキニル基を意味し、好ましくは炭素数2~18のアルキニル基を意味する。また、“アルキレン基”とは炭素数1~30のアルキレン基を意味し、好ましくは炭素数1~18のアルキレン基を意味する。さらに“アリーレン基”とは炭素数6~30のアリーレン基を意味し、好ましくは炭素数6~16のアリーレン基を意味する。
【0055】
また、本明細書で特別な言及がない限り、以下とおりである。“脂肪族有機基”とは置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換または非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換または非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキレン基、置換または非置換の炭素数2~30のアルケニレン基、または置換または非置換の炭素数2~30のアルキニレン基を意味し、好ましくは置換または非置換の炭素数1~15のアルキル基、置換または非置換の炭素数2~15のアルケニル基、置換または非置換の炭素数2~15のアルキニル基、置換または非置換の炭素数1~15のアルキレン基、置換または非置換の炭素数2~15のアルケニレン基、または置換または非置換の炭素数2~15のアルキニレン基を意味する。また、“脂環式有機基(脂環式基)”とは置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルケニル基、置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキニル基、置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン基、置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルケニレン基、または置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキニレン基を意味し、好ましくは置換または非置換の炭素数3~15のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数3~15のシクロアルケニル基、置換または非置換の炭素数3~15のシクロアルキニル基、置換または非置換の炭素数3~15のシクロアルキレン基、置換または非置換の炭素数3~15のシクロアルケニレン基、または置換または非置換の炭素数3~15のシクロアルキニレン基を意味する。さらに、“芳香族有機基”とは、一つの芳香族環、2以上の芳香族環が共に縮合環をなすもの、または2以上の芳香族環が単一結合、または、フルオレニレン基、-O-、-S-、C-(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)2-、-Si(CH3)2-、-(CH2)p-(ここで、pの範囲は1≦p≦10である)、-(CF2)q-(ここで、qの範囲は1≦q≦10である)、-C(CH3)2-、-C(CF3)2-、および-C(=O)NH-から選択される官能基で連結されたものを含む、炭素数6~30の基、例えば、置換または非置換の炭素数6~30のアリール基、または置換または非置換の炭素数6~30のアリーレン基を意味し、好ましくは置換または非置換の炭素数6~16のアリール基、または置換または非置換のフェニレン基のような炭素数6~16のアリーレン基を意味する。また、“ヘテロ環基”とはO、S、N、P、Siおよびこれらの組み合わせからなる群より選択されるヘテロ原子を一つの環内に1~3個含む、置換または非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキレン基、置換または非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルケニル基、置換または非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルケニレン基、置換または非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキニル基、置換または非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキニレン基、置換または非置換の炭素数2~30のヘテロアリール基、または置換または非置換の炭素数2~30のヘテロアリーレン基を意味し、好ましくはO、S、N、P、Siおよびこれらの組み合わせからなる群より選択されるヘテロ原子を一つの環内に1~3個含む、置換または非置換の炭素数2~15のヘテロシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数2~15のヘテロシクロアルキレン基、置換または非置換の炭素数2~15のヘテロシクロアルケニル基、置換または非置換の炭素数2~15のヘテロシクロアルケニレン基、置換または非置換の炭素数2~15のヘテロシクロアルキニル基、置換または非置換の炭素数2~15のヘテロシクロアルキニレン基、置換または非置換の炭素数2~15のヘテロアリール基、または置換または非置換の炭素数2~15のヘテロアリーレン基を意味する。
【0056】
本明細書で特別な言及がない限り、“組み合わせ”とは混合または共重合を意味する。
【0057】
本明細書(化学式)で“*”は、他の原子(隣接した原子)と連結される部分を意味する。
【0058】
スマートホンやタブレットPCのようなモバイル機器を軽くて、撓むか、曲げられるモバイル機器に転換する研究が行われている。これにより、モバイル機器の最上段のかたいガラスを代替できる、曲げられ、高硬度の、透明なディスプレイ用ウィンドウフィルムが必要である。
【0059】
ウィンドウフィルムとして使用するためには高い光学的特性および機械的特性を充足しなければならない。要求される光学的特性としては高い透過率、低い黄色指数(YI)、低い耐UV変色度、低いヘイズ(haze)、および低い屈折率(低反射率)などがある。硬度のような機械的特性はハードコーティング層を導入することによって補完することができるが、ベースフィルム自体の屈曲特性(toughness)が高ければ最終フィルムの機械的物性を増加させるのに役立つ。
【0060】
ポリイミドまたはポリ(アミド-イミド)は、優れた機械的特性、熱的特性、および光学的特性を有していて、有機発光ダイオード(OLED)、液晶ディスプレイ(LCD)などディスプレイ装置用基板として広く使用されている。このようなポリイミドまたはポリ(アミド-イミド)フィルムをフレキシブルディスプレイ用ウィンドウフィルムとして使用するためにはさらに高い硬度、屈曲特性、および透過率と、より低い黄色指数(YI)および屈折率などの機械的および光学的特性の改善がさらに必要である。しかしながら、ポリイミドまたはポリ(アミド-イミド)フィルムの機械的特性と光学特性、特に弾性率と黄色指数は互いにトレードオフ関係を有するので、この両物性を同時に改善することは難しい。
【0061】
一方、ポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムの機械的特性を高める方法としてアミド構造単位の含量を高める方法および/またはより強直な構造のジアンヒドリドを含んで共重合する方法があるが、この場合、弾性率の改善が不十分であり黄色度(YI)のような光学的特性が悪化する問題が発生することがある。また、フィルムの屈折率が高くて反射率が高かったり、屈曲特性が低いという問題がある。
【0062】
よって、本発明者らは、ポリ(アミド-イミド)コポリマーの優れた光学特性を維持しながらも、より低い屈折率を有し、同時により高い屈曲特性を実現できる新たなポリ(アミド-イミド)コポリマー、およびこれを製造できる組成物を開発しようと努力した。その結果、芳香族二無水物と芳香族ジアミン、および芳香族ジカルボニル化合物を含むポリ(アミド-イミド)コポリマー製造用組成物であって、前記芳香族ジアミンが多フッ素官能基を含んで低屈折率を誘導することができ、また二つの芳香族環の間を柔軟な連結基で連結することによって、それから製造されるポリ(アミド-イミド)コポリマーの屈曲特性向上を助ける第1ジアミン、および2以上の芳香族環を含み、これら芳香族環を単一結合で連結して、それから製造されるポリ(アミド-イミド)コポリマーの機械的特性を維持する第2ジアミンを含む新たなポリ(アミド-イミド)コポリマー製造用組成物が、優れた光学特性を維持しながらも、優れた機械的物性、および屈曲特性を顕著に向上させることができるのを確認して本発明を完成した。例えば、前記組成物から製造されるポリ(アミド-イミド)コポリマーは50μm厚さのフィルムとして製造される場合、1,000Joule・m-3・104以上の屈曲特性を有し、350nm~750nm波長範囲で89%以上の透過率を示し、黄色指数(YI)は2.1以下であり、72時間紫外線B(UVB)に露出させた後のYIの増加量が1.0未満であり、屈折率は1.68以下であって顕著に改善され得る。
【0063】
したがって、本発明の一実施形態は、下記化学式1で表されるジアミン、下記化学式2で表されるジアミン、下記化学式3で表されるジカルボニル化合物、および下記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物の反応生成物であるポリ(アミド-イミド)コポリマーを提供する:
【0064】
【0065】
上記化学式1中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子であり、
L1は、置換または非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換または非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)2-、-Si(CH3)2-、-(CF2)q-(ここで、1≦q≦10)、-C(CH3)2-、-C(CF3)2-、-C(=O)NH-、またはこれらの組み合わせから選択され、
aおよびbは、それぞれ独立して0~2の整数であり、1≦(a+b)≦4であり、
cおよびdは、それぞれ独立して0~2の整数である;
【0066】
【0067】
上記化学式2中、
Aは、2以上の炭素数6~30の芳香族環が単一結合によって連結されたものであって、前記2以上の芳香族環は、それぞれ独立して、電子吸引基(electron withdrawing group)によって置換されるかまたは非置換されたものである;
【0068】
【0069】
上記化学式3中、
R3は、置換または非置換のフェニレン基または置換または非置換のビフェニレン基であり、Xは、それぞれ同一であるかまたは異なるハロゲン原子である;
【0070】
【0071】
上記化学式4中、
R10は、単一結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-C(=O)NH-、-S(=O)2-、-Si(CH3)2-、-(CH2)p-、-(CF2)q-、-C(CnH2n+1)2-、-C(CnF2n+1)2-、-(CH2)p-C(CnH2n+1)2-(CH2)q-、または-(CH2)p-C(CnF2n+1)2-(CH2)q-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)基であり、
R12およびR13は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~10の脂肪族有機基、置換または非置換の炭素数6~20の芳香族有機基、-OR201基(ここで、R201は、炭素数1~10の脂肪族有機基)、または-SiR210R211R212(ここで、R210、R211、およびR212は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1~10の脂肪族有機基)基であり、
n7およびn8は、それぞれ独立して、0~3の整数のうちの一つである。
【0072】
前記化学式1のL1は炭素数1~20のアルキレン基、好ましくは炭素数1~10のアルキレン基、より好ましくは炭素数1~5のアルキレン基、さらに好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、またはペンチレン基であり得、特に好ましくは前記化学式1のL1は、メチレン基である。
【0073】
前記化学式1のR1およびR2は、それぞれ独立して、FまたはClであるのが好ましく、一実施形態で、R1およびR2は、それぞれ独立して、Fであるのがより好ましい。
【0074】
前記化学式1で、aおよびbは、全て1であり、cおよびdは、それぞれ独立して、0~2の整数であるのが好ましい。
【0075】
一実施形態で、aとbは、全て1であり、cとdは、全て0であるのがより好ましい。
【0076】
一実施形態で、前記化学式1で表されるジアミンは、3,3’-ビス(1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロエチル)-4,4’-メチレンジアニリン(3,3’-Bis(1-hydroxy-1-trifluoromethyl-2,2,2-trifluoroethyl)-4,4’-methylenedianiline:HFA-MDA)であるのが好ましい。
【0077】
前記化学式2で表されるジアミンは、2つの炭素数6~12の芳香族環が単一結合によって連結されたものであって、前記2つの炭素数6~12の芳香族環は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1~2のハロアルキル基、炭素数2~6のアルカノイル基、および炭素数1~6のエステル基からなる群より選択される電子吸引基(electron withdrawing group)で置換されたものであるのが好ましい。
【0078】
一実施形態で、前記化学式2で表されるジアミンの各芳香族環に置換される電子吸引基は、ハロゲン原子、-CF3、-CCl3、-CBr3、および-CI3から選択されるのがより好ましい。
【0079】
前記化学式2で表されるジアミンは、下記の化学式で表わしたジアミンから選択される一つ以上を含むことができる:
【0080】
【0081】
一実施形態で、前記化学式2で表されるジアミンは、下記化学式Aで表される化合物、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-bis(trifluoromethyl)benzidine、TFDB)を含むことができる:
【0082】
【0083】
前記化学式3のR3は、フェニレン基であり、Xは、それぞれ独立して、ClまたはBrであるのが好ましい。
【0084】
一実施形態で、前記化学式3の化合物は、テレフタル酸ジクロリド(terephthaloyl dichloride:TPCl)であるのが好ましい。
【0085】
前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物は、例えば、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’-biphenyl tetracarboxylic dianhydride、BPDA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’-diphenylsulfone tetracarboxylic dianhydride、DSDA)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(4,4’-(hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride、6FDA)、および4,4’-オキシジフタル酸無水物(4,4’-oxydiphthalic anhydride、ODPA)からなる群より選択される一つ以上を含むことができるが、これらに制限されない。
【0086】
一実施形態で、前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物は、化学式4のR10が単一結合であり、n7およびn8が0である化合物、即ち、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3’,4,4’-biphenyl tetracarboxylic dianhydride、BPDA)と、化学式4のR10が-C(CnF2n+1)2-(ここで、1≦n≦10)であり、n7およびn8が0である化合物、例えば、R10が-C(CF3)2-であり、n7およびn8が0である化合物、即ち、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(4,4’-(hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride、6FDA)の組み合わせを含むことができる。
【0087】
前記化学式1で表されるジアミンと前記化学式2で表されるジアミンのうちの一つ以上は、前記化学式3で表されるジカルボニル化合物と反応してポリ(アミド-イミド)コポリマー内のアミド構造単位を形成することができ、また前記化学式1で表されるジアミンと前記化学式2で表されるジアミンのうちの一つ以上は、前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物と反応してポリ(アミド-イミド)コポリマー内のイミド構造単位を形成することができる。
【0088】
ポリ(アミド-イミド)コポリマーを製造する一般的な方法では、ジカルボン酸クロリドのようなジカルボニル化合物、例えば、前記化学式3の化合物を、ジアミン、例えば、前記化学式1および/または化学式2で表されるジアミンと反応させてアミド構造単位を形成し、ここに追加のジアミン、例えば、前記化学式1および/または化学式2で表されるジアミンと二無水物、例えば、前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物を添加して反応させることによって、ジアミンと二無水物によるアミド酸構造単位を生成すると同時に、前記形成されたアミド構造単位とアミド酸構造単位が連結されることによってポリ(アミド-アミド酸)コポリマーが形成される。このように形成されたポリ(アミド-アミド酸)コポリマーは、熱的または化学的方法によって部分的または全体的にイミド化してポリ(アミド-イミド)コポリマーを形成する。このようなポリ(アミド-イミド)コポリマーの製造方法は、当該技術分野における通常の知識を有する技術者によく知られている。
【0089】
前記化学式1で表されるジアミンと前記化学式3で表されるジカルボニル化合物を反応させて製造されるアミド構造単位は、下記化学式7で表すことができ、前記化学式2で表されるジアミンと前記化学式3で表されるジカルボニル化合物を反応させて製造されるアミド構造単位は、下記化学式8で表すことができる:
【0090】
【0091】
上記化学式7中、
R3は、前記化学式3で定義したとおりであり、
R1およびR2、L1、そしてa~dは、それぞれ、前記化学式1で定義したとおりである。
【0092】
【0093】
上記化学式8中、
R3は、前記化学式3で定義したとおりであり、Aは、前記化学式2で定義したとおりである。
【0094】
また、前記化学式1で表されるジアミンと前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物を反応させて製造されるイミド構造単位は、下記化学式9で表すことができ、前記化学式2で表されるジアミンと前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物を反応させて製造されるイミド構造単位は、下記化学式10で表すことができる:
【0095】
【0096】
上記化学式9中、
R1およびR2、L1、そしてa~dは、それぞれ、前記化学式1で定義したとおりであり、
R10、R12、R13、n7およびn8は、前記化学式4で定義したとおりである。
【0097】
【0098】
上記化学式10中、
Aは、前記化学式2で定義したとおりであり、
R10、R12、R13、n7およびn8は、前記化学式4で定義したとおりである。
【0099】
したがって、一実施形態によるポリ(アミド-イミド)コポリマーは、前記化学式7および化学式8から選択される一つ以上で表されるアミド構造単位と、前記化学式9および化学式10から選択される一つ以上で表されるイミド構造単位を含むことができるが、化学式7で表されるアミド構造単位と化学式9で表されるイミド構造単位のみからなるか、または化学式8で表されるアミド構造単位と化学式10で表されるイミド構造単位のみからなるのではない。
【0100】
一実施形態で、前記化学式1で表されるジアミンは、前記化学式1で表されるジアミンと前記化学式2で表されるジアミンの総モル数を基準に50モル%未満、好ましくは1モル%以上49モル%以下、より好ましくは5モル%以上45モル%以下、さらに好ましくは5モル%以上40モル%以下の範囲で含まれる。
【0101】
化学式1で表されるジアミンと化学式2で表されるジアミンを前記範囲で含んで前記化学式3で表されるジカルボニル化合物および前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物と反応させることによって、それから製造されるポリ(アミド-イミド)コポリマーは、優れた光学的特性を維持しながらも、低い屈折率、好ましくは1.68以下の屈折率を有しながら、高い機械的物性、好ましくは1,000Joule・m-3・104以上の高い屈曲特性(toughness)を有する。
【0102】
化学式1で表されるジアミンを化学式1で表されるジアミンおよび化学式2で表されるジアミンの総モル数を基準に50モル%以上含む場合、それから製造されるポリ(アミド-イミド)コポリマーは、屈曲特性が1,000Joule・m-3・104未満であってむしろ減少することがある。
【0103】
前記化学式3で表されるジカルボニル化合物と前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物は、30~70:70~30のモル比、好ましくは35~65:65~35のモル比、より好ましくは40~60:60~40のモル比、さらに好ましくは50:50のモル比の範囲で含まれる。
【0104】
前記のように、前記化学式3で表されるジカルボニル化合物は、前記化学式1で表されるジアミンおよび/または前記化学式2で表されるジアミンと反応してポリ(アミド-イミド)コポリマー内のアミド構造単位を形成し、前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物は、前記化学式1で表されるジアミンおよび/または前記化学式2で表されるジアミンと反応してポリ(アミド-イミド)コポリマー内のイミド構造単位を形成する。ここで、前記化学式3で表されるジカルボニル化合物と前記化学式1および/または化学式2で表されるジアミンを反応させて製造されるアミド構造単位は、ポリ(アミド-イミド)コポリマーの機械的物性を増加させる効果を有すると知られており、したがって、従来ポリ(アミド-イミド)コポリマーの機械的物性を増加させるためにアミド構造単位の含量を増加させようとする試みがあった。しかしながら、本発明の実施形態によれば、前記化学式3で表される化合物と前記化学式4で表される化合物を前記モル比の範囲で含んで反応させることによって、それから製造されるポリ(アミド-イミド)コポリマーの機械的特性、例えば、屈曲特性を増加させながらも、ポリ(アミド-イミド)コポリマーの優れた光学的特性、例えば、高い透過率と低い黄色指数(YI)、低い耐UV変色度、および低いヘイズを維持することができ、またより低い屈折率を有するポリ(アミド-イミド)コポリマーを製造することができるのを確認した。例えば、一実施形態によるポリ(アミド-イミド)コポリマーは、350nm~750nmの波長範囲で89%以上の透過率を有し、2.1以下のYIを有し、72時間UVBに露出させた後のYI増加量が1.0未満であり、屈折率は1.68以下であり、屈曲特性は1,000Joule・m-3・104以上で高く示される。
【0105】
一方、前記化学式2で表されるジアミンと前記化学式3で表されるジカルボニル化合物の合計量は、前記化学式1~化学式4で表される化合物の総量を基準に50モル%以上であるのが好ましい。詳しくは、前記化学式2で表されるジアミンと前記化学式3で表されるジカルボニル化合物の合計量は、前記化学式1~化学式4で表される化合物の総量を基準に好ましくは50モル%以上、より好ましくは55モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上、さらにより好ましくは65モル%以上、特に好ましくは70モル%以上、中でも好ましくは75モル%以上、とりわけ好ましくは80モル%以上である。
【0106】
化学式2で表される芳香族ジアミンは、2以上の芳香族環の間が単一結合で連結されることによって、二つの芳香族環が単一結合でない連結基で連結された化学式1で表されるジアミンに比べて剛直(強直)な(rigid)構造を有する。また、化学式3で表されるジカルボニル化合物も剛直(強直)な構造を有し、したがって、これら剛直(強直)な構造を有する化学式2で表されるジアミンと化学式3で表されるジカルボニル化合物を、一実施形態によるポリ(アミド-イミド)コポリマーを形成するための化学式1~化学式4で表される化合物の総量を基準に50モル%以上含んで反応させることによって、それから製造されるポリ(アミド-イミド)コポリマーは、高い機械的特性、特に高い屈曲特性を有し得る。例えば、後述の実施例および比較例から分かるように、比較例3によって製造されるポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムは、化学式2で表されるジアミンのTFDBと化学式3で表されるジカルボニル化合物のTPClの合計量が化学式1~4で表される化合物の総量を基準に40モル%含まれた反応物から製造されたものであって、これは前記TFDBとTPClの合計量が全体反応物含量基準50モル%未満であって、屈曲特性が1,000Joule・m-3・104未満に低下することが分かる。
【0107】
即ち、二つの芳香族環が単一結合でない連結基で連結された化学式1で表されるジアミンは、化学式1で表されるジアミンと化学式2で表されるジアミンの総量を基準に50モル%未満、例えば、49モル%まで含まれ得るが、この場合、化学式2で表されるジアミンと化学式3で表されるジカルボニル化合物の合計量が全体反応物含量を基準に50モル%以上含まれるように調整することによって、優れた光学特性と共に優れた屈曲特性を有するポリ(アミド-イミド)コポリマーを得ることができる。
【0108】
また、前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物は、前記化学式4のR10が単一結合であり、n7およびn8が0である化合物と、化学式4のR10が-C(CnF2n+1)2-(ここで、1≦n≦10)であり、n7およびn8が0である化合物を1:1.5~6のモル比で組み合わせたものであり得る。一実施形態で、前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物は、BPDAと6FDAの組み合わせであり得、BPDAと6FDAを前記モル比で組み合わせて使用することによって、それから製造されるポリ(アミド-イミド)コポリマーは、高い光学特性を維持しながらも、優れた機械的物性を実現することができるのを確認した。
【0109】
前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物中のR10が単一結合である場合、R10が単一結合でない他の連結基を有する場合に比べてより剛直(強直)な(rigid)構造を有し、このように剛直(強直)な構造を有するテトラカルボン酸二無水物の含量が高いほど、それから製造されるポリ(アミド-イミド)コポリマーの機械的物性を増加させることができると知られてきた。しかしながら、本発明の一実施形態によるポリ(アミド-イミド)コポリマーは、前記のようにR10が単一結合でないテトラカルボン酸二無水物の含量がR10が単一結合であるテトラカルボン酸二無水物の含量より高く含まれた反応物から製造されるにもかかわらず、優れた機械的物性、例えば、1,000Joule・m-3・104以上の高い屈曲特性を有しながらも、高い透過率、例えば、350nm~750nm波長範囲で89%以上の透過率を有し、2.1以下の低い黄色指数を有し、屈折率も1.68以下で低くて、優れた光学特性を維持するのを確認した。
【0110】
したがって、前記のような光学的特性および機械的物性を有する本発明の一実施形態によるポリ(アミド-イミド)コポリマーは、表示装置、例えば、フレキシブル表示装置のウィンドウフィルムなどとして有用に使用され得る。
【0111】
本発明の他の一実施形態は、下記化学式5で表されるジアミン、下記化学式1で表されるジアミン、および下記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物を含むポリ(アミド-イミド)コポリマー製造用組成物を提供する:
【0112】
【0113】
上記化学式5中、
R4およびR5は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基、または置換または非置換の炭素数1~10のアルコキシ基であり、
上記n0は、0以上の数であり、
上記n1およびn2は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、n1+n2は、0~4の数であり、
上記Ar1およびAr2は、それぞれ独立して、下記化学式6で表される:
【0114】
【0115】
上記化学式6中、
R6およびR7は、それぞれ独立して、-CF3、-CCl3、-CBr3、-CI3、-NO2、-CN、-COCH3または-CO2C2H5から選択される電子吸引基(electron withdrawing group)であり、
R8およびR9は、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基(-OR204、ここでR204は、炭素数1~10の脂肪族有機基である)、シリル基(-SiR205R206R207、ここでR205、R206およびR207は、同一であるかまたは互いにことなり、それぞれ独立して、水素原子、または炭素数1~10の脂肪族有機基である)、置換または非置換の炭素数1~10の脂肪族有機基、または置換または非置換の炭素数6~20の芳香族有機基であり、
n3は、1~4の整数であり、n5は、0~3の整数であり、n3+n5は、1~4の整数であり、
n4は、1~4の整数であり、n6は、0~3の整数であり、n4+n6は、1~4の整数である;
【0116】
【0117】
上記化学式1中、
R1およびR2は、それぞれ独立してハロゲン原子であり、
L1は、置換または非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換または非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)2-、-Si(CH3)2-、-(CF2)q-(ここで、1≦q≦10)、-C(CH3)2-、-C(CF3)2-、-C(=O)NH-、またはこれらの組み合わせから選択され、
aおよびbは、それぞれ独立して0~2の整数であり、1≦(a+b)≦4であり、
cおよびdは、それぞれ独立して0~2の整数である;
【0118】
【0119】
上記化学式4中、
R10は、単一結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-C(=O)NH-、-S(=O)2-、-Si(CH3)2-、-(CH2)p-、-(CF2)q-、-C(CnH2n+1)2-、-C(CnF2n+1)2-、-(CH2)p-C(CnH2n+1)2-(CH2)q-、または-(CH2)p-C(CnF2n+1)2-(CH2)q-(ここで、1≦n≦10、1≦p≦10、および1≦q≦10)基であり、
R12およびR13は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~10の脂肪族有機基、置換または非置換の炭素数6~20の芳香族有機基、-OR201基(ここで、R201は、炭素数1~10の脂肪族有機基)、または-SiR210R211R212(ここで、R210、R211、およびR212は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~10の脂肪族有機基)基であり、
n7およびn8は、それぞれ独立して、0~3の整数のうちの一つである。
【0120】
前記化学式5のn1およびn2は、全て0であり、前記化学式6のR6およびR7は、全て-CF3であり、n3とn4は、全て1であり、n5とn6は、全て0であるのが好ましい。
【0121】
前述のように、ポリ(アミド-イミド)コポリマーを製造する一般的な方法では、ジカルボニル化合物をジアミンと反応させてアミド構造単位を形成し、ここに追加のジアミンと二無水物を添加して反応させることによって、ジアミンと二無水物によるアミド酸構造単位の生成と同時に、前記形成されたアミド構造単位とアミド酸構造単位が連結されることによってポリ(アミド-アミド酸)コポリマーが形成されるようにする。しかしながら、前記アミド構造単位の生成過程では、HClのようなハロゲン化水素(HX:Xはハロゲン原子)副反応物が生成されることがあり、このように生成されたハロゲン化水素副反応物は、装備の腐食を招くので除去しなければならず、このために第三級アミンのようなHXスカベンジャー(scavenger)を添加するとHX塩が形成される(下記反応式1参照)。この時、前記形成されたHX塩を追加的に除去せずにそれからフィルムなどを除膜すれば、製造されたフィルムにおいて深刻な光特性低下が発生することがあり、したがって、既存のポリ(アミド-イミド)コポリマーの製造方法ではHX塩を除去するための追加の沈殿工程が必要であり、これは全体工程時間および費用を増加させ、またそれから製造される最終ポリ(アミド-イミド)コポリマーの収率を減少させる結果をもたらす。
【0122】
【0123】
しかしながら、前記のような沈殿工程を含むポリ(アミド-イミド)コポリマーの製造方法と異なり、ジアミンとジカルボニル化合物を反応させて、アミド基を含み両末端がアミノ基であるオリゴマー(以下、‘アミド基含有オリゴマー’と称する)を先ず製造した後、これをジアミン単量体にしてテトラカルボン酸二無水物と反応させることによってポリ(アミド-イミド)コポリマーを製造する方法によっても、本発明の一実施形態によるポリ(アミド-イミド)コポリマーを製造することができる。前記後者のポリ(アミド-イミド)コポリマーの製造方法によれば、既存のポリ(アミド-イミド)コポリマー製造方法で含まれたHX塩除去のための沈殿工程を省略できるため、全体工程時間および費用が減少するだけでなく、製造されるポリ(アミド-イミド)コポリマーの最終収率を増加させることができる。それだけでなく、既存のポリ(アミド-イミド)コポリマーの製造方法では、溶解度問題のためにアミド構造単位の含量を一定範囲以上増加させることが難しく、またそれから製造されるコポリマーフィルムの光特性も低下するのに反し、前記新たな製造方法では、HX塩が生成されず、したがって、アミド構造単位の含量を増加させてもイミド化過程でそれによる溶解度減少問題が発生しない。したがって、このような方法で製造されたポリ(アミド-イミド)コポリマーを含む成形品は、光特性低下がなく、機械的特性をさらに改善する効果を有し得る。
【0124】
よって、本発明の一実施形態では、ジアミンとジカルボニル化合物を反応させて製造できるアミド構造単位含有オリゴマーとして前記化学式5で表されるオリゴマーをジアミン単量体として含み、ここに前記オリゴマー形態のジアミンと反応してイミド構造単位を形成する化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物、および前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物と反応してイミド構造単位を形成する追加のジアミンの前記化学式1で表されるジアミンを含むポリ(アミド-イミド)コポリマー製造用組成物を提供する。
【0125】
前記化学式5で表されるジアミンは、前記化学式3で表されるジカルボニル化合物中、R3が置換または非置換のフェニレン基であるジカルボニル化合物と、前記化学式2中、Aが前記化学式6で表されるジアミンを反応させて製造でき、この時、前記化学式2で表されるジアミンを前記化学式3で表されるジカルボニル化合物より多量添加することによって、両末端がアミノ基であるオリゴマーとして製造することができる。この時、前記ジカルボニル化合物と反応せず残っている未反応のジアミンが存在することがあり、この未反応のジアミン、即ち、前記化学式5中、n0が0である場合のジアミンも前記オリゴマー形態に製造されるジアミン、即ち、前記化学式5中、n0が1以上である場合のジアミンと共に前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物と反応することによってイミド構造単位を形成することができる。
【0126】
一実施形態で、前記組成物は、下記化学式2で表されるジアミンをさらに含むことができる:
【0127】
【0128】
上記化学式2中、
Aは、2以上の炭素数6~30の芳香族環が単一結合によって連結されたものであって、前記2以上の芳香族環は、それぞれ独立して、電子吸引基(electron withdrawing group)によって置換されるかまたは非置換されたものである。
【0129】
一実施形態で、前記化学式2で表されるジアミンは2つの炭素数6~12の芳香族環が単一結合によって連結されたものであって、前記2つの炭素数6~12の芳香族環は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1~2のハロアルキル基、炭素数2~6のアルカノイル基、および炭素数1~6のエステル基からなる群より選択される電子吸引基(electron withdrawing group)で置換されたものであり得る。
【0130】
一実施形態で、前記化学式2で表されるジアミンは、下記化学式で表わしたジアミンから選択される一つ以上を含むことができる:
【0131】
【0132】
前記化学式2で表されるジアミンは、下記化学式Aで表されるTFDBを含むことができる:
【0133】
【0134】
前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物は、下記化学式4-1で表される化合物と下記化学式4-2で表される化合物の組み合わせを含むものであり得るが、これらに制限されない:
【0135】
【0136】
上記化学式4-1で表わした化合物は、6FDAであり得、前記化学式4-2で表わした化合物は、s-BPDA、a-BPDA、i-BPDAのうちの一つ以上であり得、一実施形態で、化学式4-2で表される化合物は、s-BPDAであり得る。
【0137】
その他、前記化学式1~化学式4で表される化合物については、前述のものと同一なので具体的な記載は省略する。
【0138】
前記組成物からポリ(アミド-イミド)コポリマーを製造した後、これを公知の乾湿式法、乾式法、湿式法などを用いてフィルムとして製造することができる。例えば、乾湿式法によってフィルムを製造する場合、前記組成物を含む溶液を口金からドラム、エンドレスベルトなどの支持体上に押し出して膜として形成し、次いでかかる膜から溶媒を蒸発させ膜が自己保持性を有するまで乾燥する。前記乾燥は、常温、例えば、約25℃から150℃までの温度で前記膜を1時間以内に昇温処理して行うことができる。その後、前記乾燥された膜を約10℃/minの速度で昇温させながら250℃~300℃で5分~30分間加熱することによってポリイミド系フィルムを得ることができる。
【0139】
前記乾燥工程で用いられるドラムおよびエンドレスベルトの表面が平滑であれば表面が平滑な膜が得られる。前記乾燥工程を終えた膜は支持体から剥離され、湿式工程に導入されて、脱塩、脱溶媒などが行われ、また延伸、乾燥、および熱処理などを行って最終のフィルムとして形成され得る。
【0140】
前記熱処理は、好ましくは200℃~500℃、より好ましくは250℃~400℃の温度で数秒~数分間行うことができる。
【0141】
前記熱処理後の膜は、徐々に冷却することがよく、例えば、50℃/秒以下の速度で冷却することがよい。
【0142】
前記膜は、単層で形成することもでき、複数層で形成することもできる。
【0143】
前記フィルムとして製造時、約35μm~約100μm厚さでASTM D1925で測定した黄色指数(YI)が2.1以下であり得、350nm~750nm波長範囲での光透過率が89%以上であり得る。また、UVB波長領域の紫外線ランプに72時間露出した(200mJ/cm2以上)前後の黄色指数の差(UV照射後-UV照射前)ΔYIが1.0未満、好ましくは0.95未満であり、屈折率は1.68以下で低くて、優れた結果を示す。また、前記フィルムの屈曲特性は、1,000Joule・m-3・104以上であって、優れた機械的特性を有する。
【0144】
即ち、前記成形品は、ポリ(アミド-イミド)コポリマーが有する優れた光学的特性、特に低い黄色指数(YI)と高い透過率を維持しながらも、より低い屈折率、および高い屈曲特性を示すことによって、フレキシブルディスプレイのような表示装置のウィンドウフィルムとして有用に使用され得る。
【実施例】
【0145】
以下、実施例および比較例を通じて前記実施形態をより詳細に説明する。下記の実施例および比較例は、説明の目的のためのものであり、本発明の範囲がこれによって制限されるわけではない。
【0146】
(合成例:アミド構造単位70モル%含有オリゴマー形態のジアミン製造)
下記反応式2により、TPCl(テレフタル酸ジクロリド)の両末端にTFDB(2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-bis(trifluoromethyl)benzidine))が結合してアラミド構造を形成するアミド構造単位含有オリゴマー形態のジアミンを製造した:
【0147】
【0148】
即ち、丸底フラスコに、溶媒としてN,N-ジメチルアセトアミド(N,N-dimethylacetamide、DMAc)700g内に、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-bis(trifluoromethyl)benzidine、TFDB)1モル当量(0.122mol、39.2g)とピリジン2.8モル当量(0.343mol、27.11g)を入れて溶解した後、50mlのDMAcを追加的に添加して、残っているTFDBを完全に溶解した。前記TFDB溶液に、TPCl(terephthaloic dichloride)0.7モル当量(0.086mol、17.4g)を4回に分けて混合し、15分間激しく攪拌した。
【0149】
上記により得られた溶液を窒素雰囲気で2時間攪拌した後、350gのNaClを含む7LのNaCl溶液に入れて10分間攪拌した。固形物をろ過し、5Lの脱イオン水で二回にわたって再懸濁および再ろ過した。濾過器上の最終ろ過物を適切に加圧して残存する水を最大限除去し、90℃、真空雰囲気で48時間乾燥して、前記反応式2に記載された生成物としてアミド構造単位を70モル%含有するオリゴマー形態のジアミンを得た。製造されたアミド構造単位含有オリゴマーの数平均分子量は、約1,400である。
【0150】
(実施例および比較例:ポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルム製造)
(実施例1)
機械的攪拌機および窒素流入口を備えた250mlの四ネック二重壁反応器(4-neck double-walled reactor)に117gのジメチルアセトアミド(DMAc)を添加し温度を25℃に合わせた後、前記合成例で製造したアミド構造単位70モル%含有オリゴマー形態のジアミン20.25g(0.014mol)と、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’-bis(trifluoromethyl)benzidine、TFDB)0.76g(0.0023mol)、および3,3’-ビス(1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロエチル)-4,4’-メチレンジアニリン(3,3’-Bis(1-hydroxy-1-trifluoromethyl-2,2,2-trifluoroethyl)-4,4’-methylenedianiline:HFA-MDA)2.94g(0.0055mol)を溶解し、この溶液を25℃で維持した。その後、BPDA1.63g(0.0055mol)、および6FDA7.4g(0.016mol)を添加して48時間攪拌した後、ピリジン1.69g、および酢酸無水物6.81gを添加して24時間攪拌し、固形分濃度が21重量%であるポリアミド酸溶液を得た。
【0151】
反応が終了した後、上記により得られた溶液をガラス板に塗布してキャスティングし、100℃のホットプレートで40分乾燥した。その後、フィルムをガラス板から分離してファーネスに入れ、室温から277℃まで10℃/minの昇温速度で加熱して25分間維持した後、徐々に冷却してポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0152】
(実施例2)
機械的攪拌機および窒素流入口を備えた250mlの四ネック二重壁反応器に117gのジメチルアセトアミド(DMAc)を添加し温度を25℃に合わせた後、前記合成例で製造したアミド構造単位70モル%含有オリゴマー形態のジアミン15.56g(0.01mol)と、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFDB)1.4g(0.004mol)、および3,3’-ビス(1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロエチル)-4,4’-メチレンジアニリン(3,3’-Bis(1-hydroxy-1-trifluoromethyl-2,2,2-trifluoroethyl)-4,4’-methylenedianiline:HFA-MDA)2.94g(0.0055mol)を溶解し、この溶液を25℃で維持した。その後、BPDA1.5g(0.005mol)、および6FDA9.09g(0.02mol)を添加して48時間攪拌した後、ピリジン2.0g、および酢酸無水物7.84gを添加して24時間攪拌し、固形分濃度が21重量%であるポリアミド酸溶液を得た。
【0153】
反応が終了した後、上記により得られた溶液をガラス板に塗布してキャスティングし、100℃のホットプレートで40分乾燥した。その後、フィルムをガラス板から分離してファーネスに入れ、室温から277℃まで10℃/minの昇温速度で加熱して25分間維持した後、徐々に冷却してポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0154】
(実施例3)
機械的攪拌機および窒素流入口を備えた250mlの四ネック二重壁反応器に117gのジメチルアセトアミド(DMAc)を添加し温度を25℃に合わせた後、前記合成例で製造したアミド構造単位70モル%含有オリゴマー形態のジアミン11.55g(0.008mol)と、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFDB)1.95g(0.006mol)、および3,3’-ビス(1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロエチル)-4,4’-メチレンジアニリン(3,3’-Bis(1-hydroxy-1-trifluoromethyl-2,2,2-trifluoroethyl)-4,4’-methylenedianiline:HFA-MDA)7.55g(0.014mol)を溶解し、この溶液を25℃で維持した。その後、BPDA1.4g(0.0047mol)、および6FDA10.54g(0.023mol)を添加して48時間攪拌した後、ピリジン2.25g、および酢酸無水物8.73gを添加して24時間攪拌し、固形分濃度が21重量%であるポリアミド酸溶液を得た。
【0155】
反応が終了した後、上記により得られた溶液をガラス板に塗布してキャスティングし、100℃のホットプレートで40分乾燥した。その後、フィルムをガラス板から分離してファーネスに入れ、室温から277℃まで10℃/minの昇温速度で加熱して約25分間維持した後、徐々に冷却してポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0156】
(実施例4)
機械的攪拌機および窒素流入口を備えた250mlの四ネック二重壁反応器に123gのジメチルアセトアミド(DMAc)を添加し温度を25℃に合わせた後、前記合成例で製造したアミド構造単位70モル%含有オリゴマー形態のジアミン9.26g(0.0064mol)と、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFDB)0.34g(0.001mol)、および3,3’-ビス(1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロエチル)-4,4’-メチレンジアニリン(3,3’-Bis(1-hydroxy-1-trifluoromethyl-2,2,2-trifluoroethyl)-4,4’-methylenedianiline:HFA-MDA)7.95g(0.015mol)を溶解し、この溶液を25℃で維持した。その後、BPDA1.1g(0.003mol)、および6FDA8.32g(0.018mol)を添加して48時間攪拌した後、ピリジン1.78g、および酢酸無水物6.89gを添加して24時間攪拌し、固形分濃度が17重量%であるポリアミド酸溶液を得た。
【0157】
反応が終了した後、上記により得られた溶液をガラス板に塗布してキャスティングし、100℃のホットプレートで40分乾燥した。その後、フィルムをガラス板から分離してファーネスに入れ、室温から277℃まで10℃/minの昇温速度で加熱して25分間維持した後、徐々に冷却してポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0158】
(実施例5)
機械的攪拌機および窒素流入口を備えた250mlの四ネック二重壁反応器に120gのジメチルアセトアミド(DMAc)を添加し温度を25℃に合わせた後、前記合成例で製造したアミド構造単位70モル%含有オリゴマー形態のジアミン10.97g(0.0077mol)と、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFDB)1.85g(0.005mol)、および3,3’-ビス(1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロエチル)-4,4’-メチレンジアニリン(3,3’-Bis(1-hydroxy-1-trifluoromethyl-2,2,2-trifluoroethyl)-4,4’-methylenedianiline:HFA-MDA)7.17g(0.013mol)を溶解し、この溶液を25℃で維持した。その後、BPDA3.98g(0.013mol)、および6FDA6.01g(0.013mol)を添加して48時間攪拌した後、ピリジン2.14g、および酢酸無水物8.29gを添加して24時間攪拌し、固形分濃度が19重量%であるポリアミド酸溶液を得た。
【0159】
反応が終了した後、上記により得られた溶液をガラス板に塗布してキャスティングし、100℃のホットプレートで40分乾燥した。その後、フィルムをガラス板から分離してファーネスに入れ、室温から277℃まで10℃/minの昇温速度で加熱し25分間維持した後、徐々に冷却してポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0160】
(比較例1)
機械的攪拌機および窒素流入口を備えた250mlの四ネック二重壁反応器に123gのジメチルアセトアミド(DMAc)を添加し温度を25℃に合わせた後、前記合成例で製造したアミド構造単位70モル%含有オリゴマー形態のジアミン21.38g(0.015mol)を溶解し、この溶液を25℃で維持した。その後、BPDA2.06g(0.007mol)、および6FDA3.55g(0.008mol)を添加して48時間攪拌した後、ピリジン1.19g、および酢酸無水物4.6gを添加して24時間攪拌し、固形分濃度が18重量%であるポリアミド酸溶液を得た。
【0161】
反応が終了した後、上記により得られた溶液をガラス板に塗布してキャスティングし、100℃のホットプレートで40分乾燥した。その後、フィルムをガラス板から分離してファーネスに入れ、室温から277℃まで10℃/minの昇温速度で加熱して25分間維持した後、徐々に冷却してポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0162】
(比較例2)
機械的攪拌機および窒素流入口を備えた250mlの四ネック二重壁反応器に123gのジメチルアセトアミド(DMAc)を添加し温度を25℃に合わせた後、前記合成例で製造したアミド構造単位70モル%含有オリゴマー形態のジアミン13.62g(0.0096mol)、および2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFDB)4.09g(0.012mol)を溶解し、この溶液を25℃で維持した。その後、BPDA1.31g(0.0044mol)、および6FDA7.96g(0.017mol)を添加して48時間攪拌した後、ピリジン1.77g、および酢酸無水物6.86gを添加して24時間攪拌し、固形分濃度が17重量%であるポリアミド酸溶液を得た。
【0163】
反応が終了した後、上記により得られた溶液をガラス板に塗布してキャスティングし、100℃のホットプレートで40分乾燥した。その後、フィルムをガラス板から分離してファーネスに入れ、室温から277℃まで10℃/minの昇温速度で加熱して25分間維持した後、徐々に冷却してポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0164】
(比較例3)
機械的攪拌機および窒素流入口を備えた250mlの四ネック二重壁反応器に114gのジメチルアセトアミド(DMAc)を添加し温度を25℃に合わせた後、前記合成例で製造したアミド構造単位70モル%含有オリゴマー形態のジアミン8.57g(0.006mol)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFDB)1.07g(0.003mol)、および3,3’-ビス(1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロエチル)-4,4’-メチレンジアニリン(3,3’-Bis(1-hydroxy-1-trifluoromethyl-2,2,2-trifluoroethyl)-4,4’-methylenedianiline:HFA-MDA)12.44g(0.023mol)を溶解し、この溶液を25℃で維持した。その後、BPDA1.38g(0.004mol)、および6FDA12.51g(0.028mol)を添加して48時間攪拌した後、ピリジン2.6g、および酢酸無水物10.0gを添加して24時間攪拌し、固形分濃度が22重量%であるポリアミド酸溶液を得た。
【0165】
反応が終了した後、上記により得られた溶液をガラス板に塗布してキャスティングし、100℃のホットプレートで40分乾燥した。その後、フィルムをガラス板から分離してファーネスに入れ、室温から277℃まで10℃/minの昇温速度で加熱して25分間維持した後、徐々に冷却してポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0166】
(評価:フィルムの機械的特性および光学的特性評価)
前記実施例1~実施例5および比較例1~比較例3によって製造されたポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムの機械的特性および光学的特性を評価して下記表1に示す。具体的に、フィルムの透過率、黄色指数(YI)、耐UV変色度(ΔYI)、ヘイズ(haze)、屈曲特性および屈折率を測定した。
【0167】
黄色指数(YI)と透過率(350nm~750nm範囲での透過率)、およびヘイズ(haze)はそれぞれ、厚さ50μmフィルムを基準に、ミノルタ社製の分光測色計CM-3600dを用いて測定し、ASTM D1925で値を取る。耐UV変色度(ΔYI)は、紫外線B(UVB)照射72時間後、UVB照射前YIとの差(Δ)を測定する。
【0168】
屈曲特性は、ASTM D882を用いて測定し、ストレイン(Strain(X軸))とストレス(Stress(Y軸))の総面積を計算して屈曲特性として表わす。
【0169】
屈折率は、Ellipsometer(M-2000、J.A.Woollam社製)で可視光線領域でGen-Oscモデルに設定して、550nm波長での値を測定する。
【0170】
【0171】
表1から、実施例1~5によって製造されたフィルムは全て透過率が89%以上であり、黄色指数(YI)が2.1以下であり、耐UV変色度(ΔYI:UVB照射72時間後のYI増加量)が1.0未満であり、ヘイズが、1未満であり、屈曲特性が1,000Joule・m-3・104以上であり、屈折率は1.68以下であって、優れた光学特性を有すると共に屈曲特性が顕著に改善されることが分かる。
【0172】
なお、ヘイズは1未満であれば良好であり、実施例及び比較例によるフィルムは、全てヘイズが1未満である。
【0173】
反面、比較例1の場合、ジアミン成分として3,3’-ビス(1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロエチル)-4,4’-メチレンジアニリン(3,3’-Bis(1-hydroxy-1-trifluoromethyl-2,2,2-trifluoroethyl)-4,4’-methylenedianiline:HFA-MDA)を含まずにTFDBのみを含み、機械的物性を増加させるために、ジカルボニル化合物のTPClをTFDB含量対比70%まで高濃度で含んでフィルムを製造した。しかしながら、比較例1によるフィルムは、屈曲特性が実施例によるフィルムに比べて顕著に低下し、YIが2を超過し、透過率も実施例によるフィルムより低下することにより、光学特性もまた実施例によるフィルムに比べて顕著に低下することが分かる。つまり、ジアミン成分としてHFA-MDAを含まない反応物から製造されるポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムは、機械的物性及び光学特性が全て低下することが分かる。
【0174】
また、ジアミン成分として3,3’-ビス(1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロエチル)-4,4’-メチレンジアニリン(3,3’-Bis(1-hydroxy-1-trifluoromethyl-2,2,2-trifluoroethyl)-4,4’-methylenedianiline:HFA-MDA)を含まない比較例2の場合、残りのポリ(アミド-イミド)コポリマーを形成する成分の組成が実施例2と同一であるにもかかわらず、透過率、黄色指数(YI)、および屈折率のような光学特性が実施例2に比べて全て低下することが分かる。また、比較例2は実施例2に比べて屈曲特性も低下した。
【0175】
比較例3の場合、HFA-MDAを含むが、全体ジアミン成分を基準に50モル%含み、TPClとTFDBの合計量が全体モノマーの総モル数を基準に50モル%に及ばない40モル%に過ぎず、この場合、屈曲特性が1,000Joule・m-3・104未満であって顕著に低くなることが分かる。
【0176】
以上のように、芳香族ジアミンと芳香族二無水物、および芳香族ジカルボニル化合物からポリ(アミド-イミド)コポリマーを製造することにおいて、芳香族ジアミンとして二つ以上の芳香族環が単一結合で連結され機械的物性に優れたTFDBなどのジアミンを含むと同時に、多フッ素含有官能基を含み二つの芳香族環の間に連結基を含んで、より低い屈折率を誘導することができ、また、より柔軟な構造のジアミンをさらに含むことによって、ポリ(アミド-イミド)コポリマーの優れた光学的特性および機械的物性を維持しながらも、より低い屈折率およびそれに基づいて改善された光学特性およびより高い屈曲特性を得ることができるのが分かる。
【0177】
以上、本発明の具体的な実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。