(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】加工装置のメンテナンス方法および加工装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/30 20060101AFI20221122BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20221122BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20221122BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20221122BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20221122BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
G01B11/30 101
B23Q17/00 A
B23Q17/24 Z
B23Q17/00 D
B24B41/06 L
B24B49/12
H01L21/78 A
(21)【出願番号】P 2018164513
(22)【出願日】2018-09-03
【審査請求日】2021-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平沼 千紘
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-37140(JP,A)
【文献】特開2002-48527(JP,A)
【文献】特開2015-20240(JP,A)
【文献】特開2017-157748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01B 21/00-21/32
B23Q 17/00
B23Q 17/24
B24B 41/06
B24B 49/12
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持面を含む保持テーブルと、該保持テーブルで保持された被加工物に加工を施す加工手段と、該保持テーブルで保持された被加工物を撮像する撮像カメラを有した撮像手段と、を備えた加工装置のメンテナンス方法であって、
該保持テーブルの該保持面の第1の箇所に対して該撮像カメラを近接方向に相対移動させつつ該保持面の該第1の箇所を撮像して複数の撮像画像を形成し、形成した複数の該撮像画像をもとに該撮像カメラの第1フォーカス位置を検出する第1フォーカス位置検出ステップと、
該保持テーブルの該保持面の該第1の箇所とは異なる第2の箇所に対して該撮像カメラを近接方向に相対移動させつつ該保持面の該第2の箇所を撮像して複数の撮像画像を形成し、形成した複数の該撮像画像をもとに該撮像カメラの第2フォーカス位置を検出する第2フォーカス位置検出ステップと、
該第1フォーカス位置と該第2フォーカス位置との差から該保持面の平坦度を検出する平坦度検出ステップと、を備えたメンテナンス方法。
【請求項2】
該平坦度検出ステップで検出された該平坦度が、あらかじめ設定された平坦度の許容値から外れていた場合に、該保持テーブルを含む該加工装置を修理するか、または、該保持テーブルを交換する、
請求項1に記載のメンテナンス方法。
【請求項3】
被加工物を保持する保持面を含む保持テーブルと、該保持テーブルで保持された被加工物に加工を施す加工手段と、該保持テーブルで保持された被加工物を撮像する撮像カメラを有した撮像手段と、を備えた加工装置であって、
該撮像手段は、該撮像カメラを該保持テーブルに対して移動させる移動手段を有し、
該加工装置は、少なくとも該撮像手段を制御するコントローラを備え、
該コントローラは、
あらかじめ設定された所定のタイミングで、該保持テーブルの該保持面の複数の箇所を、各箇所に対して該撮像カメラを近接方向に相対移動させつつ複数回撮像することによって、該保持面の該複数の箇所ごとに複数の撮像画像を形成するように該撮像手段を制御する撮像手段制御部と、
形成された複数の該撮像画像を保存する撮像画像保存部と、
該撮像画像保存部に保存された複数の該撮像画像をもとに、該撮像カメラのフォーカス位置を、該複数の箇所ごとに検出するフォーカス位置検出部と、
該複数の箇所ごとに検出した複数のフォーカス位置から、該保持面の平坦度を検出する平坦度検出部と、
あらかじめ設定された平坦度許容値を記憶する平坦度許容値記憶部と、
該平坦度検出部で検出された該保持面の平坦度と該平坦度許容値とを比較して合否判定を実施する合否判定部と、を有し、
該加工装置は、該合否判定部が否と判定した場合に警告を発する警告発信部を更に備えた、加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置のメンテナンス方法および加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
切削装置の切り込み深さが安定しない場合、保持テーブルの保持面の平坦度が悪化していることが疑われる。
【0003】
切削装置では、テーブルベース上に保持テーブル(チャックテーブル)が載置されている。この保持テーブルは、被加工物のサイズに応じて交換される。このため、交換時に保持テーブルとテーブルベースとが接触して、保持テーブルやテーブルベースに傷が付く場合がある。
【0004】
また、保持テーブルの交換を頻繁に行わない場合には、保持テーブルおよびテーブルベースが、これらの間に進入した切削水によって錆びるおそれもあり、これらの傷や錆びによって、保持テーブルの保持面の平坦度が悪化することがある。
【0005】
保持テーブルの保持面の平坦度を確認するには、通常、スピンドルシャフトに、例えば特許文献1に記載のような固定用の治具を用いてダイヤルゲージを固定する。そして、ダイヤルゲージを用いて、テーブルベース上に載置された保持テーブルの保持面の高さ位置を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ダイヤルゲージが手元に無い場合もある。そのような時でも保持テーブルの保持面の平坦度を検出したいという要望がある。
本発明の目的は、ダイヤルゲージのような計測器がない場合でも、保持テーブルの保持面の平坦度を検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のメンテナンス方法(本メンテナンス方法)は、被加工物を保持する保持面を含む保持テーブルと、該保持テーブルで保持された被加工物に加工を施す加工手段と、該保持テーブルで保持された被加工物を撮像する撮像カメラを有した撮像手段と、を備えた加工装置のメンテナンス方法であって、該保持テーブルの該保持面の第1の箇所に対して該撮像カメラを近接方向に相対移動させつつ該保持面の該第1の箇所を撮像して複数の撮像画像を形成し、形成した複数の該撮像画像をもとに該撮像カメラの第1フォーカス位置を検出する第1フォーカス位置検出ステップと、該保持テーブルの該保持面の該第1の箇所とは異なる第2の箇所に対して該撮像カメラを近接方向に相対移動させつつ該保持面の該第2の箇所を撮像して複数の撮像画像を形成し、形成した複数の該撮像画像をもとに該撮像カメラの第2フォーカス位置を検出する第2フォーカス位置検出ステップと、該第1フォーカス位置と該第2フォーカス位置との差から該保持面の平坦度を検出する平坦度検出ステップと、を備えている。
【0009】
また、本メンテナンス方法では、該平坦度検出ステップで検出された該平坦度が、あらかじめ設定された平坦度の許容値から外れていた場合に、該保持テーブルを含む該加工装置を修理するか、または、該保持テーブルを交換してもよい。
【0010】
本発明の加工装置(本加工装置)は、被加工物を保持する保持面を含む保持テーブルと、該保持テーブルで保持された被加工物に加工を施す加工手段と、該保持テーブルで保持された被加工物を撮像する撮像カメラを有した撮像手段と、を備えた加工装置であって、該撮像手段は、該撮像カメラを該保持テーブルに対して移動させる移動手段を有し、該加工装置は、少なくとも該撮像手段を制御するコントローラを備え、該コントローラは、あらかじめ設定された所定のタイミングで、該保持テーブルの該保持面の複数の箇所を、各箇所に対して該撮像カメラを近接方向に相対移動させつつ複数回撮像することによって、該保持面の該複数の箇所ごとに複数の撮像画像を形成するように該撮像手段を制御する撮像手段制御部と、形成された複数の該撮像画像を保存する撮像画像保存部と、該撮像画像保存部に保存された複数の該撮像画像をもとに、該撮像カメラのフォーカス位置を、該複数の箇所ごとに検出するフォーカス位置検出部と、該複数の箇所ごとに検出した複数のフォーカス位置から、該保持面の平坦度を検出する平坦度検出部と、あらかじめ設定された平坦度許容値を記憶する平坦度許容値記憶部と、該平坦度検出部で検出された該保持面の平坦度と該平坦度許容値とを比較して合否判定を実施する合否判定部と、を有し、該合否判定部が否と判定した場合に警告を発する警告発信部を更に備えている。
【発明の効果】
【0011】
本メンテナンス方法では、撮像カメラによって保持面の第1の箇所を撮像したときの撮像カメラのフォーカス位置と、撮像カメラによって保持面の第2の箇所を撮像したときの撮像カメラのフォーカス位置との差から、保持面の平坦度を検出するため、計測器がない場合でも保持面の平坦度を検出することができる。
【0012】
上記メンテナンス方法において検出された平坦度が、あらかじめ設定された平坦度の許容値から外れていた場合には、保持テーブルを含む加工装置を修理するか、または、保持テーブルを交換することにより、加工装置を用いた加工処理を好適に実施することができる。
【0013】
また、本加工装置では、コントローラが、保持面の複数箇所の撮像、撮像画像の保存、複数箇所におけるフォーカス位置の検出、平坦度の合否判定、および、合否判定の結果が否である場合の警告の発信を行うため、ユーザは、保持面の平坦度が悪化していることを容易に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】保持テーブルの構成を示す分解斜視図である。
【
図4】加工装置のコントローラの構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5(a)(b)は、保持面に設定される撮像箇所を示す説明図である。
【
図6】保持面の撮像箇所を、撮像カメラの高さを変えながら撮像する様子を示す説明図である。
【
図7】加工装置における他のコントローラの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態にかかるメンテナンス方法(本メンテナンス方法)は、
図1に示すような加工装置1に対するメンテナンスを実施する。まず、加工装置1の構成について説明する。
図1に示すように、加工装置1は、保持テーブル部30に保持された被加工物に対して、切削部6が備える切削ブレードを回転させ切り込ませて、切削加工を施す装置である。
【0016】
加工装置1は、筐体3を有しており、筐体3の内部に、基台10、および、基台10に立設された門型コラム14を備えている。また、加工装置1は、筐体の側面および上面に、ユーザインタフェースとしての入出力部材9を備えている。さらに、加工装置1は、加工装置1の各部材を制御するコントローラ7を備えている。
【0017】
基台10上の上面中央は、X軸方向に延在するように矩形状に開口されている。この開口を覆うように、蛇腹状の防水カバー5が設けられている。防水カバー5の+Y軸側には、切削後の被加工物を洗浄するために用いられる洗浄用テーブル40が設けられている。さらに、防水カバー5上には、Z軸周りに回転可能な保持テーブル部30が設けられている。保持テーブル部30は、被加工物を吸着保持する。
【0018】
防水カバー5の-Y軸側には、切削前の被加工物が収納されているカセット53が配置されている。
図1では、他の部材を明確に示すために、カセット53は、枠のみによって示されている。カセット53内の被加工物は、切削される際には、図示しない被加工物搬送部材により、防水カバー5上に載置される。
【0019】
また、防水カバー5には、一対のL字型の位置決め部材51が設けられている。位置決め部材51は、防水カバー5上に載置された被加工物を、+X軸方向および-X軸方向から挟みこんで、所定の初期位置に配置する。
【0020】
防水カバー5の下方には、保持テーブル部30をX軸方向に沿って移動させる切削送り機構(図示せず)が配設されている。たとえば、切削送り機構は、初期位置に配置された被加工物の下に、保持テーブル部30を移動させる。また、切削送り機構は、被加工物を吸着保持した保持テーブル部30を、所定の切削位置に移動させる。さらに、切削送り機構は、被加工物に対する切削加工の際に、被加工物を、保持テーブル部30を介して、切削送り方向(X軸方向)に沿って移動させる。
【0021】
基台10上の後方側(-X軸方向側)には、門型コラム14が、防水カバー5を跨ぐように立設されている。門型コラム14の前面(+X軸方向側の面)には、切削部6を移動させる切削部移動機構13が設けられている。切削部移動機構13は、切削部6を、Y軸方向にインデックス送りするとともに、Z軸方向に切込み送りする。切削部移動機構13は、切削部6をインデックス送りに移動するインデックス送り機構12、および、切削部6を切込み送り方向に移動する切込み送り機構16を備えている。
【0022】
インデックス送り機構12は、門型コラム14の前面に配設されている。インデックス送り機構12は、Y軸方向に、切込み送り機構16および切削部6を往復移動させる。
インデックス送り機構12は、Y軸方向に延びる一対のガイドレール121、ガイドレール121に載置されたY軸テーブル123、ガイドレール121と平行に延びるボールネジ120、および、ボールネジ120を回転させるモータ122を含んでいる。
【0023】
一対のガイドレール121は、Y軸方向に平行に、門型コラム14の前面に配置されている。Y軸テーブル123は、一対のガイドレール121上に、これらのガイドレール121に沿ってスライド可能に設置されている。Y軸テーブル123上には、切込み送り機構16および切削部6が載置されている。
【0024】
ボールネジ120は、Y軸テーブル123の背面側に設けられたナット部(図示せず)に螺合されている。モータ122は、ボールネジ120の一端部に連結されており、ボールネジ120を回転駆動する。ボールネジ120が回転駆動されることで、Y軸テーブル123、切込み送り機構16および切削部6が、ガイドレール121に沿って、インデックス送り方向であるY軸方向に移動する。
【0025】
切込み送り機構16は、切削部6をZ軸方向(鉛直方向)に往復移動させる。切込み送り機構16は、Z軸方向に延びる一対のガイドレール161、ガイドレール161に載置された支持部材163、ガイドレール161と平行に延びるボールネジ160、および、ボールネジ160を回転させるモータ162を含んでいる。
【0026】
一対のガイドレール161は、Z軸方向に平行に、Y軸テーブル123に配置されている。支持部材163は、一対のガイドレール161上に、これらのガイドレール161に沿ってスライド可能に設置されている。支持部材163の下端部には、切削部6が取り付けられている。
【0027】
ボールネジ120は、支持部材163の背面側に設けられたナット部(図示せず)に螺合されている。モータ162は、ボールネジ160の一端部に連結されており、ボールネジ160を回転駆動する。ボールネジ160が回転駆動されることで、支持部材163および切削部6が、ガイドレール161に沿って、切込み送り方向であるZ軸方向に移動する。
【0028】
切削部6は、保持テーブル部30に保持された被加工物に、切削加工を施すように構成されている。切削部6は、支持部材163の下端に設けられたハウジング61を備えている。さらに、切削部6は、Y軸方向に延びる回転軸、回転軸に装着される切削ブレード、および、回転軸を駆動するモータ(全て図示せず)を備えている。切削部6は、加工手段の一例に相当する。また、切削部6におけるハウジング61の側面に、撮像カメラ65が備えられている。
【0029】
撮像カメラ65は、切削部6とともに移動するように、ハウジング61の+X軸方向側の側面に取り付けられており、たとえば顕微鏡を含んでいる。撮像カメラ65は、撮像カメラ65の下方に位置する箇所を撮像するように構成されている。撮像カメラ65は、たとえば、保持テーブル部30における保持面311(
図2参照)、あるいは、保持面311に載置された被加工物を撮像することが可能である。通常、撮像カメラ65は、加工処理の際に被加工物を観察するために用いられる。
【0030】
次に、保持テーブル部30の構成について説明する。
図2に示すように、保持テーブル部30は、被加工物を保持する保持テーブル31、および、保持テーブル31の下方に配されるテーブルベース32を含んでいる。
【0031】
保持テーブル31は、円盤状の保持部310、および、保持部310を収容する枠体312を備えている。保持部310は、たとえばポーラスセラッミックスで形成されている。保持部310の上面は、被加工物を下方から吸引保持する保持面311である。
【0032】
図3に示すように、枠体312の下面は、テーブルベース32に載置される底部313である。底部313の中央部分には、位置合わせリング33に係合される凹部314が形成されている。凹部314には、底部313を鉛直方向に貫通し保持部310に連通される吸引路315が形成されている。また、底部313には、凸部材を係合する係合凹部316が形成されている。このように構成される枠体312に、保持面311が上向きに露出されるように、保持部310が収容される。これによって、保持部310と枠体312とが一体となった保持テーブル31が形成される。
【0033】
テーブルベース32は、保持テーブル31に対向する表面32a、保持テーブル31を位置決めする位置決め部320、および、テーブルベース32を貫通する被加工物吸着用吸引孔325および保持テーブル吸着用吸引孔326を備えている。
【0034】
テーブルベース32の表面32aは、枠体312の底部313を、下方から支持する。被加工物吸着用吸引孔325は、保持テーブル31の保持面311に被加工物を吸着するための吸引孔である。保持テーブル吸着用吸引孔326は、テーブルベース32の表面32aに保持テーブル31を吸着するための吸引孔である。
【0035】
位置決め部320は、枠体312における底部313の係合凹部316に係合されて、保持テーブル31を、テーブルベース32の所定の位置に位置決めする。
図3の拡大図に示すように、位置決め部320は、凸部材である位置決めピン321、位置決めピン321の内部に配設された圧縮コイルバネ323、および、テーブルベース32の表面32aに開口された収容凹部324を備えている。収容凹部324は、位置決めピン321および圧縮コイルバネ323を収容する。
【0036】
位置決めピン321は、下方が開口された略円筒形状に形成されており、内部に空洞部321aを有する。空洞部321aには、圧縮コイルバネ323が収容されている。空洞部321aの天井面には、空洞部321aよりも小径の引っ掛け穴322が形成されている。
【0037】
圧縮コイルバネ323の下端は、収容凹部324の底面に固定されている。圧縮コイルバネ323の上端は、空洞部321aの天井面における引っ掛け穴322の周囲に当接している。これにより、位置決めピン321は、圧縮コイルバネ323によって上方に付勢される。したがって、位置決めピン321は、テーブルベース32の表面32aから突出して、枠体312の係合凹部316に係合可能となっている。そして、係合凹部316に位置決めピン321が係合されることにより、保持テーブル31がテーブルベース32に位置決めされて固定される。
【0038】
保持テーブル31がテーブルベース32に位置決めされて固定されると、枠体312の吸引路315と被加工物吸着用吸引孔325とが互いに連通する。この被加工物吸着用吸引孔325および保持テーブル吸着用吸引孔326には、電磁バルブ327を介して、吸引源34が接続されている。
【0039】
吸引源34は、保持テーブル吸着用吸引孔326を介して、保持テーブル31の底部313を吸引する。これにより、テーブルベース32の表面32aが、保持テーブル31を吸引保持する。このようにして、保持テーブル31がテーブルベース32に装着される。また、収容凹部324は、被加工物吸着用吸引孔325を介して、保持テーブル31の保持面311に載置された被加工物を吸引する。これにより、保持面311が、被加工物を吸引保持する。
【0040】
なお、保持テーブル部30は、テーブルベース32側に、図示しないθテーブルを有している。θテーブルは、テーブルベース32を介して保持テーブル31を支持する。さらに、θテーブルは、XY平面内で回転可能に構成されている。したがって、θテーブルは、保持テーブル31をXY平面内で回転駆動することができる。
【0041】
図1に示すコントローラ7は、加工装置1の制御部である。
図4に示すように、コントローラ7は、加工装置1の動作を制御する汎用制御部70、および、種々のデータおよびプログラムを記憶するメモリ73を備えている。
【0042】
汎用制御部70は、各種の処理を実行し、加工装置1の各構成要素を統括制御する。たとえば、汎用制御部70は、ユーザの指示に基づいて、切削送り機構、切削部移動機構13(モータ122およびモータ162)および保持テーブル部30のθテーブルを制御して、切削部6によって切削される被加工物の位置を決定する。また、汎用制御部70は、切削部6のモータを制御して、被加工物に対する切削加工を実施する。さらに、汎用制御部70は、撮像カメラ65を制御して、保持テーブル部30の保持面311、あるいは、保持面311に保持された被加工物を撮像する。
【0043】
ユーザインタフェースとしての入出力部材9は、
図1に示すように、筐体3の上面に備えられた表示灯91、および、筐体3の側面に備えられたタッチパネル93およびスピーカ95を備えている。表示灯91は、ユーザに対して光による警告を発する。タッチパネル93は、ユーザに対して画像を表示するとともに、ユーザの入力を受け付ける。スピーカ95は、ユーザに対する音声表示を実施する。
本実施形態では、加工装置1は、タッチパネル93を介して受け付けたユーザの指示にしたがって、本メンテナンス方法の各ステップを実施するように構成されている。
【0044】
以下に、本メンテナンス方法のステップについて説明する。本メンテナンス方法では、保持テーブル部30における保持テーブル31の保持面311の平坦度を検出し、検出結果に基づいて所定の動作を実行する。本実施形態では、保持面311における平坦度の検出を、撮像カメラ65によって撮像された画像に基づいて実施する。
【0045】
(1)フォーカス位置検出ステップ
このステップでは、ユーザは、撮像手段を制御して、保持テーブル31における保持面311を撮像させる。たとえば、保持面311における複数の箇所を、Z軸方向に沿って撮影位置を変えながら、複数回にわたって撮像する。これによって、保持面311の複数の箇所ごとに、複数の撮像画像を形成する。
【0046】
なお、本実施形態では、撮像手段は、撮像カメラ65、および、撮像カメラ65によって撮像される保持面311の箇所(撮像箇所)を変更する構成を含む。撮像箇所は、撮像カメラ65と保持面311との相対的な位置関係、および、保持面311の回転角度によって決定される。撮像手段は、さらに、撮像箇所におけるZ軸方向に沿う撮像カメラ65の位置を変更する構成を含む。
【0047】
以下では、撮像カメラ65と保持面311との相対的な位置関係を変更する構成、保持面311の回転角度を変更する構成、および、撮像箇所におけるZ軸方向に沿う撮像カメラ65の位置を変更する構成を、移動手段とも称する。
【0048】
ここで、本実施形態では、防水カバー5の下にある切削送り機構(図示せず)によって、保持テーブル31のX軸方向の位置が決定される。また、保持テーブル31のθテーブル(図示せず)によって、保持面311におけるXY平面内での回転位置が決定される。
一方、切削部移動機構13のインデックス送り機構12によって、撮像カメラ65におけるY軸方向の位置が決定される。さらに、切込み送り機構16によって、Z軸方向に沿う撮像カメラ65の位置が決定される。
【0049】
このように、本実施形態では、切削送り機構、θテーブル、インデックス送り機構12および切込み送り機構16が、上記の移動手段の一例に相当する。これに撮像カメラ65を加えた構成は、撮像手段の一例に相当する。
【0050】
したがって、より詳細には、本実施形態では、ユーザは、切削送り機構、θテーブル、およびインデックス送り機構12を制御して、保持面311のある1つの箇所を、撮像カメラ65の撮像箇所として設定する。この撮像箇所に関して、ユーザは、切込み送り機構16を制御してZ軸方向に沿う撮像カメラ65の位置を変えながら、複数の画像を撮像する。
【0051】
ここで、Z軸方向(接離方向)は、撮像カメラ65が、保持面311の撮像箇所に対して、近づくあるいは遠ざかる方向である。以下では、接離方向に沿った、加工装置1の基準面から撮像カメラ65までの距離を、撮像カメラ65の高さ位置と表現する。加工装置1の基準面は、たとえば、保持テーブル31における理想的な保持面(たとえば、極めて平坦な保持面)311を含む、仮想的な平面である。そして、ユーザは、保持面311における撮像箇所を変えながら、撮像箇所ごとに、撮像カメラ65の異なる高さ位置に応じた複数の画像を撮像する。
【0052】
たとえば、ユーザは、
図5(a)に示した保持面311上のa点を、撮像箇所として設定する。そして、
図6に示すように、撮像カメラ65の高さ位置Hを変えながら、複数の画像を撮像する。その後、ユーザは、
図5(a)に示したb,c,dおよびe点を撮像箇所として、同様に撮像カメラ65の高さ位置Hを変えながら、複数の画像を撮像する。撮像された画像は、たとえばメモリ73に保存される。
【0053】
次に、ユーザは、撮像された画像に基づいて、撮像箇所ごとに、撮像カメラ65のフォーカス位置を検出する。すなわち、ユーザは、複数の撮像箇所に応じた、撮像カメラ65の複数のフォーカス位置を検出する。
【0054】
この際、ユーザは、たとえば、汎用制御部70により、
図5(a)に示した撮像箇所aに関する複数の撮像画像から、それらのシャープネス値を求める。そして、ユーザは、最も高いシャープネス値を有する撮像画像を特定し、この撮像画像に関する高さ位置H(
図6参照)を、撮像箇所aにおける撮像カメラ65のフォーカス位置として検出する。ユーザは、同様に、撮像箇所b,c,dおよびeにおける撮像カメラ65のフォーカス位置を検出する。
【0055】
(2)平坦度検出ステップ
このステップでは、ユーザは、複数の撮像箇所ごとに検出した複数のフォーカス位置から、保持面311の平坦度を検出する。たとえば、ユーザは、複数のフォーカス位置の差を算出し、差の最大値を平坦度として検出する。
【0056】
たとえば、
図5(a)に示した撮像箇所aのフォーカス位置と他の撮像箇所b~eのフォーカス位置との差が、
b:-2(μm)、c:+2(μm)、d:+1(μm)、e:0(μm)
である場合、差の最大値は4μmである。この場合、ユーザは、保持面311の撮像箇所a~eに関する平坦度を、±4μmであると検出する。
【0057】
(3)平坦度の合否判定ステップ
次に、ユーザは、検出された保持面311の平坦度が、あらかじめ設定されている平坦度の許容値内であるか否かを判定する。たとえば、
図5(a)に示した例では、保持面311の平坦度は±4μmである。これに関し、平坦度許容値が±3μmである場合、ユーザは、保持面311の平坦度が平坦度許容値から外れていると判定する。
保持面311の平坦度が平坦度許容値から外れていた場合、ユーザは、たとえば、保持テーブル31を含む加工装置1を修理するか、または、保持テーブル31を交換する。
【0058】
なお、合否判定ステップの後、ユーザは、再び保持面311の平坦度検出を実施してもよい。ユーザは、保持面311における1回目の撮像とは異なる箇所を撮像箇所とする。たとえば、1回目の検出において
図5(a)に示したa~e点を撮像箇所とした場合、ユーザは、保持テーブル部30のθテーブルを制御して、保持テーブル31を時計回りに90度だけ回転させる。そして、
図5(b)に示すf~j点を撮像箇所として、撮像カメラ65の高さ位置Hを変えながら、複数の画像を撮像する。
その後、上記と同様に、撮像箇所f~jおける撮像カメラ65のフォーカス位置を検出し、撮像箇所f~jにおけるフォーカス位置の差の最大値を、平坦度として検出する。
【0059】
ここで、
図5(b)に示した撮像箇所fのフォーカス位置と他の撮像箇所g~jのフォーカス位置との差が、
g:+1(μm)、h:0(μm)、i:+2(μm)、j:-2(μm)
である場合、差の最大値は4μmである。この場合、ユーザは、保持面311の撮像箇所f~jに関する平坦度を、±4μmであると検出する。
この場合も、平坦度許容値が±3μmであるので、保持面311の平坦度は平坦度許容値から外れていると判定する。
【0060】
なお、この例では、保持テーブル31を時計回りに90度回転させても、保持面311の平坦度は、実質的に同じ値である。このため、保持テーブル31の回転軸の傾きは小さいと考えられる。したがって、平坦度が許容値から外れている原因の1つは、保持テーブル31あるいはテーブルベース32に、微小な傷(バリ)あるいは錆び等が生じていることにあると考えられる。
【0061】
保持テーブル31とテーブルベース32との間、すなわち、保持テーブル31およびテーブルベース32の互いに対向する面に、微小な傷あるいは錆びが生じている場合、保持面311の平坦度を高めるためには、これらの面をオイルストーン等で平坦化することが有効である。オイルストーン等による平坦化では不十分な場合には、保持テーブル31および/またはテーブルベース32を交換することも有効である。
【0062】
また、保持テーブル31の回転軸が傾いている場合には、回転軸の修理、すなわち、回転軸を組み付け直すこと、あるいは、回転軸の部品を適宜に交換することが有効である。
【0063】
また、
図5(a)に示した例では、ユーザは、フォーカス位置検出ステップにおいて、5箇所の撮像箇所a~eのフォーカス位置を検出している。そして、撮像箇所a~eに関する5つのフォーカス位置に基づいて、保持面311の平坦度を検出している。しかしながら、フォーカス位置を検出するための撮像箇所は、2箇所以上であればよい。したがって、本メンテナンス方法は、以下のように実施されてもよい。
【0064】
(1a)第1フォーカス位置検出ステップ
ユーザは、保持面311の第1の箇所を、撮像カメラ65をZ軸方向(接離方向)における第1の箇所に対して近接する方向に相対移動させながら、複数回にわたって撮像する。これによって、第1の箇所に関し、複数の撮像画像を形成する。ユーザは、これら複数の撮像画像に基づいて、第1の箇所における撮像カメラ65のフォーカス位置である第1フォーカス位置を検出する。
【0065】
(2a)第2フォーカス位置検出ステップ
次に、ユーザは、保持面311における第1の箇所とは異なる第2の箇所を、撮像カメラ65をZ軸方向における第2の箇所に対して近接するに相対移動させながら、複数回にわたって撮像する。これによって、第2の箇所に関し、複数の撮像画像を形成する。ユーザは、これら複数の撮像画像に基づいて、第2の箇所における撮像カメラ65のフォーカス位置である第2フォーカス位置を検出する。
【0066】
(3a)平坦度検出ステップおよび合否判定ステップ
そして、ユーザは、第1フォーカス位置と第2フォーカス位置との差から、保持面311の平坦度を検出する。そして、ユーザは、検出された保持面311の平坦度が、あらかじめ設定されている平坦度の許容値内であるか否かを判定する。
保持面311の平坦度が平坦度許容値から外れていた場合、ユーザは、たとえば、保持テーブル31を含む加工装置1を修理するか、または、保持テーブル31を交換する。
【0067】
以上のように、本メンテナンス方法では、被加工物を撮像するために加工装置1に備えられている撮像カメラ65を用いて、被加工物を保持する保持面311の平坦度を検出する。このために、保持面311に、たとえば第1の箇所および第2の箇所を含む、複数の撮像箇所を設定する。そして、各撮像箇所に対して近接する方向に撮像カメラ65を相対移動させつつ、各撮像箇所を撮像する。これにより、撮像箇所ごとに、複数の撮像画像を形成する。
【0068】
さらに、撮像箇所ごとに形成された複数の撮像画像に基づいて、各撮像箇所に関する撮像カメラ65のフォーカス位置、たとえば第1フォーカス位置および第2フォーカス位置を検出する。その後、複数のフォーカス位置どうしの差を求め、この差に基づいて、保持面311の平坦度を検出する。
【0069】
これに関し、たとえば、保持面311の平坦度が極めて良好であれば、同じ高さ位置にある撮像カメラ65と、保持面311における複数の撮像箇所との接離方向での距離は、互いに極めて類似する。このため、複数の撮像箇所における撮像カメラ65のフォーカス位置も、極めて類似する。
【0070】
一方、保持面311の平坦度が悪ければ、同じ高さ位置にある撮像カメラ65と、保持面311における各撮像箇所との間における接離方向の距離は、撮像箇所に応じてばらつく。このため、各撮像箇所における撮像カメラ65のフォーカス位置も、撮像箇所に応じてばらつく。したがって、複数の撮像箇所に関する撮像カメラ65のフォーカス位置を用いることにより、保持面311の平坦度を好適に検出することが可能である。
【0071】
このように、本メンテナンス方法では、加工装置1に備えられている被加工物を観察するための撮像カメラ65を用いて、保持テーブル31の保持面311の平坦度を検出することができる。したがって、本メンテナンス方法によれば、保持面311の平坦度を検出するために、ダイヤルゲージのような計測器を必要とすることがない。このため、保持面311の平坦度を、容易に検出することができる。
【0072】
なお、上記の実施形態では、ユーザが、各撮像箇所におけるフォーカス位置を、複数の撮像画像に基づいて検出し、さらに、複数のフォーカス位置に基づいて保持面311の平坦度を検出している。これに代えて、ユーザの指示により、汎用制御部70が、各撮像箇所におけるフォーカス位置、および、保持面311の平坦度を検出してもよい。
【0073】
また、上記の実施形態では、ユーザが、自身の判断で、任意の時期に、保持面311の平坦度を検出することとなる。これに代えて、加工装置1は、あらかじめ設定された所定のタイミング、たとえば、加工装置1の電源投入時に、保持面311の平坦度が検出されるように構成されていてもよい。この場合、加工装置1は、ユーザの指示によらずに、保持面311の平坦度の検出処理が実施されるように構成されていることが好ましい。
【0074】
この場合、加工装置1は、たとえば、
図4に示したコントローラ7に代えて、
図7に示すコントローラ17を備えている。
コントローラ17は、たとえば、切削加工に関する制御を実施する切削加工制御部71、上述したメモリ73、および、メンテナンス制御部75を備えている。
【0075】
切削加工制御部71は、上記した汎用制御部70と同様に、ユーザの指示に基づいて、切削送り機構、切削部移動機構13、保持テーブル部30および切削部6を制御して、被加工物に対する切削加工を実施する。
【0076】
メンテナンス制御部75は、保持テーブル31の保持面311の平坦度を検出し、検出結果に基づいて所定の動作を実行する。本実施形態では、メンテナンス制御部75は、保持面311における平坦度の検出を、撮像カメラ65によって撮像された画像に基づいて実施する。
【0077】
図7に示すように、メンテナンス制御部75は、撮像を制御する撮像手段制御部171、撮像画像を保存する撮像画像保存部173、撮像カメラ65のフォーカス位置を検出するフォーカス位置検出部175、保持面311の平坦度を検出する平坦度検出部177、平坦度許容値を記憶している平坦度許容値記憶部179、検出された平坦度の合否を判定する合否判定部181、および、ユーザに警告を発信する警告発信部183を備えている。
【0078】
撮像手段制御部171は、撮像手段を制御して、保持テーブル31における保持面311を撮像する。たとえば、本実施形態では、撮像手段制御部171は、撮像手段を制御して、あらかじめ設定された所定のタイミングで、保持面311における複数の箇所を、各箇所に対して撮像カメラ65をZ軸方向(接離方向)に相対移動させながら、複数回にわたって撮像する。これによって、撮像手段制御部171は、保持面311の複数の撮像箇所ごとに、複数の撮像画像を形成する。
【0079】
上記のように、本実施形態では、切削送り機構、θテーブル、インデックス送り機構12および切込み送り機構16が、上記の移動手段の一例に相当し、これに撮像カメラ65を加えた構成が、撮像手段の一例に相当する。
【0080】
したがって、より詳細には、本実施形態では、撮像手段制御部171は、切削送り機構、θテーブル、インデックス送り機構12および切込み送り機構16を制御して、保持面311のある1つの箇所を、撮像カメラ65の撮像箇所として設定する。この撮像箇所に関して、撮像カメラ65の高さ位置を変えながら、複数の画像を撮像する。さらに、撮像手段制御部171は、保持面311における撮像箇所を変えながら、撮像箇所ごとに、異なる高さ位置に応じた複数の画像を撮像する。
【0081】
撮像画像保存部173は、撮像手段制御部171によって撮像された画像を保存する。
フォーカス位置検出部175は、撮像画像保存部173に保存された撮像画像に基づいて、撮像箇所ごとに、撮像カメラ65のフォーカス位置を検出する。すなわち、撮像画像保存部173は、複数の撮像箇所に応じた、撮像カメラ65の複数のフォーカス位置を検出する。
【0082】
この際、フォーカス位置検出部175は、各撮像箇所に関する複数の撮像画像から、それらのシャープネス値を求める。そして、フォーカス位置検出部175は、最も高いシャープネス値を有する撮像画像を特定し、この撮像画像に関する高さ位置H(
図6参照)を、各撮像箇所における撮像カメラ65のフォーカス位置として検出する。
【0083】
平坦度検出部177は、複数の撮像箇所ごとに検出した複数のフォーカス位置から、保持面311の平坦度を検出する。たとえば、平坦度検出部177は、複数のフォーカス位置の差を求め、差の最大値を平坦度として検出する。平坦度検出部177は、検出した保持面311の平坦度を、
図1に示した入出力部材9のタッチパネル93に表示してもよい。
【0084】
平坦度許容値記憶部179は、保持面311の平坦度の許容値を記憶している。この平坦度の許容値は、あらかじめ設定され、平坦度許容値記憶部179に記憶されている。
合否判定部181は、平坦度検出部177によって検出された保持面311の平坦度と、平坦度許容値記憶部179に記憶されている平坦度許容値とを比較し、保持面311の合否を判定する。たとえば、合否判定部181は、比較結果が所定値以下である場合に、保持面311の平坦度が十分に良好であり、合格であると判定する。一方、合否判定部181は、比較結果が所定値よりも大きい場合に、保持面311の平坦度が不良であるため、不合格(否)であると判定する。合否判定部181は、判定結果を、タッチパネル93に表示してもよい。
【0085】
警告発信部183は、合否判定部181が否と判定した場合に、ユーザに対して警告を発する。この場合、警告発信部183は、たとえば、
図1に示した表示灯91を駆動して、ユーザに対して、光による警告を発してもよい。また、警告発信部183は、スピーカ95を介して、ユーザに対して、音声によって警告を発してもよい。さらに、警告発信部183は、保持面311の平坦度が不良である悪い旨を、タッチパネル93に表示してもよい。
【0086】
この構成では、ユーザは、保持面311の平坦度の検出タイミングを、任意に設定することができる。したがって、ユーザは、保持面311の平坦度の検出(検診)を、定期的に実施することが容易となる。また、ユーザは、警告発信部183の発する警告により、保持面311の平坦度が悪化していることを、容易に知ることができる。
【0087】
また、本実施形態では、加工装置1を、被加工物を切削する切削装置としている。しかしながら、これに限らず、加工装置1は、レーザ加工装置であってもよい。レーザ加工装置は、たとえば、保持テーブル31の保持面311に載置された被加工物に、レーザー光線を照射することにより改質層を形成し、その後、改質層に沿って被加工物を分断するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1:加工装置、3:筐体、10:基台、14:門型コラム、5:防水カバー、
13:切削部移動機構、
30:保持テーブル部、31:保持テーブル、32:テーブルベース、311:保持面
12:インデックス送り機構、120:ボールネジ、121:ガイドレール、
122:モータ、123:Y軸テーブル、
16:切込み送り機構、160:ボールネジ、161:ガイドレール、162:モータ、
163:支持部材、
6:切削部、61:ハウジング、65:撮像カメラ
7:コントローラ、70:汎用制御部、73:メモリ、
17:コントローラ、71:切削加工制御部、75:メンテナンス制御部、
171:撮像手段制御部、173:撮像画像保存部、175:フォーカス位置検出部、
177:平坦度検出部、179:平坦度許容値記憶部、181:合否判定部、
183:警告発信部、
9:入出力部材、91:表示灯、93:タッチパネル、95:スピーカ、