(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】ポジ作動型感光性材料
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20221122BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20221122BHJP
G03F 7/32 20060101ALI20221122BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/004 503A
G03F7/039 601
G03F7/32
G03F7/20 521
G03F7/20 501
(21)【出願番号】P 2018554691
(86)(22)【出願日】2017-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2017059128
(87)【国際公開番号】W WO2017182441
(87)【国際公開日】2017-10-26
【審査請求日】2020-02-18
(32)【優先日】2016-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】リュウ・ウェイホン
(72)【発明者】
【氏名】ルー・ピンフン
(72)【発明者】
【氏名】チェン・チュンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ライ・ソクメー
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 祥晴
(72)【発明者】
【氏名】菱田 有高
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-502142(JP,A)
【文献】特開2008-158281(JP,A)
【文献】特開2013-127518(JP,A)
【文献】特開2014-199276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも一種の光酸発生剤;
b)少なくとも一種のノボラックポリマー;
c)一つ以上の(メタ)アクリレート繰り返し単位を含み、及び更に少なくとも一つの酸解裂性基を有する一つ以上の繰り返し単位を含む、少なくとも一種のポリマー;及び
d)次のd1)及びd3)からなる群から選択される溶剤混合物;
d1)95重量%のPGMEA及び5重量%の3MBAから61重量%のPGMEA及び39重量%の3MBAの範囲の、PGMEAと3MBAとの組成物からなる溶剤混合物;及び
d3)95重量%のPGMEA及び5重量%のPGDAから20重量%のPGMEA及び80重量%のPGDAの範囲の、PGMEAとPGDAとの組成物からなる溶剤混合物、を含
み、及び
一つ以上の(メタ)アクリレート繰り返し単位を含み、及び更に、少なくとも一つの酸解裂性基を有する一つ以上の繰り返し単位を含む前記少なくとも一種のポリマーが、次式の構造を含む、ポジ作動型感光性組成物。
【化1】
[式中、R
8
~R
12
は、独立して、-H、Fまたは-CH
3
であり、Aは、線状または分枝状C
1
~C
10
アルキレン基であり、Bは、C
1
~C
12
アルキルもしくは脂環式基であり、Dは連結基であり、この連結基は、化学結合、カルボキレート基(ここでそのカルボニル炭素はポリマー主鎖に結合する)または-COOCH
2
-基(ここでそのカルボニル炭素はポリマー主鎖に結合する)であることができ、Arは、置換されたもしくは置換されていない芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、Eは、線状もしくは分枝状C
2
~C
10
アルキレン基であり、Gは、酸解裂性基であり、vは0モル%~10モル%、wは0モル%~20モル%、xは14モル%~80モル%、yは0モル%~40モル%であり、そしてzは20モル%~50モル%であり、但し、v+w+x+y+zは100%である。]
【請求項2】
前記溶剤混合物d)が、95重量%のPGMEA及び5重量%の3MBAから61重量%のPGMEA及び39重量%の3MBAの範囲の、PGMEAと3MBAとの組成物からなる溶剤混合物d1)である、請求項1に記載のポジ作動型感光性組成物。
【請求項3】
前記溶剤混合物d)が、95重量%のPGMEA及び5重量%のPGDAから20重量%のPGMEA及び80重量%のPGDAの範囲の、PGMEAとPGDAとの組成物からなる溶剤混合物d3)である、請求項1に記載のポジ作動型感光性組成物。
【請求項4】
前記少なくとも一種の光酸発生剤が、オニウム塩、ジカルボキシイミジルスルホネートエステル、オキシムスルホネートエステル、ジアゾ(スルホニルメチル)化合物、ジスルホニルメチレンヒドラジン化合物、ニトロベンジルスルホネートエステル、ビイミダゾール化合物、ジアゾメタン誘導体、グリオキシム誘導体、β-ケトスルホン誘導体、ジスルホン誘導体、スルホン酸エステル誘導体、イミドイルスルホネート誘導体、及びハロゲン化トリアジン化合物からなる群から選択される、請求項1
~3のいずれか一つに記載のポジ作動型感光性組成物。
【請求項5】
前記少なくとも一種のノボラックポリマーが、o-クレゾール、p-クレゾール及びm-クレゾールからなる群から選択される一種以上のクレゾール系繰り返し単位を含む、請求項1
~4のいずれか一つに記載のポジ作動型感光性組成物。
【請求項6】
前記少なくとも一種のノボラックポリマーが、少なくとも80モル%のm-クレゾールを含むクレゾール系ノボラックである、請求項
5に記載のポジ作動型感光性組成物。
【請求項7】
Aが、メチレン基、エチレン基または1,2-プロピレン基であり、そしてBがメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基である、請求項
1~6のいずれか一つに記載のポジ作動型感光性組成物。
【請求項8】
Gが、アシドリシスのプロセスを介して解裂可能な酸解裂性基である、請求項
1~7のいずれか一つに記載のポジ作動型感光性組成物。
【請求項9】
Gが、t-ブチル基、テトラヒドロピラン-2-イル基、テトラヒドロフラン-2-イル基、4-メトキシテトラヒドロピラン-4-イル基、1-エトキシエチル基、1-ブトキシエチル基、1-プロポキシエチル基、3-オキソシクロヘキシル基、2-メチル-2-アダマンチル基、2-エチル-2-アダマンチル基、8-メチル-8-トリシクロ[5.2.1.0 2,6]デシル基、1,2,7,7-テトラメチル-2-ノルボニル基、2-アセトキシメンチル基、2-ヒドロキシメチル基、1-メチル-1-シクロヘキシルエチル基、4-メチル-2-オキソテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル基、2,3-ジメチルブタン-2-イル基、2,3,3-トリメチルブタン-2-イル基、1-メチルシクロペンチル基、1-エチルシクロペンチル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-エチルシクロヘキシル基、1,2,3,3-テトラメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、2-エチル-1,3,3-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-イル基、2,3-ジメチルペンタン-3-イル基、及び3-エチル-2-メチルペンタン-3-イル基からなる群から選択される酸解裂性基である、請求項
8に記載のポジ作動型感光性組成物。
【請求項10】
Aが、メチレン基、エチレン基または1,2-プロピレン基であり、Dが、-COOCH
2-または-COO-基であり、そしてArが、フェニルまたはヒドロキシフェニル基であり、及び/またはEが1,2-プロピレン基である、請求項
1~9のいずれか一つに記載のポジ作動型感光性組成物。
【請求項11】
次の一般式から選択される環構造またはそれの互変異性体を含む少なくとも一種のヘテロ環状チオール化合物を更に含む、請求項1~
10のいずれか一つに記載のポジ作動型感光性組成物。
【化2】
[式中、前記環構造は、原子数4~8の単環構造、または原子数5~20の多環構造であり、この単環構造または多環構造は、芳香族、非芳香族またはヘテロ芳香族環を含み、Xは、単結合によって環中に結合しておりそしてCR
1R
2、O、S、Se、Te及びNR
3からなる群から選択されるか、あるいはXは二重結合によって環中に結合しておりそしてCR
1及びNからなる群から選択され、YはCR
1及びNからなる群から選択され、そしてR
1、R
2及びR
3は、独立して、H、炭素原子数1~8の置換されたアルキル基、炭素原子数1~8の置換されていないアルキル基、炭素原子数1~8の置換されたアルケニル基、炭素原子数1~8の置換されていないアルケニル基、炭素原子数1~8の置換されたアルキニル基、炭素原子数1~8の置換されていないアルキニル基、炭素原子数1~20の置換された芳香族基、炭素原子数1~20の置換されたヘテロ芳香族基、炭素原子数1~20の置換されていない芳香族基、及び炭素原子数1~20の置換されていないヘテロ芳香族基からなる群から選択される。]
【請求項12】
前記ヘテロ環状チオールが、置換されていないトリアゾールチオール、置換されたトリアゾールチオール、置換されていないイミダゾールチオール、置換されたイミダゾールチオール、置換されたトリアジンチオール、置換されていないトリアジンチオール、置換されたメルカプトピリミジン、置換されていないメルカプトピリミジン、置換されたチアジアゾール-チオール、置換されていないチアジアゾール-チオール、置換されたインダゾールチオール、置換されていないインダゾールチオール、これらの互変異性体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項
11に記載のポジ作動型感光性組成物。
【請求項13】
前記ヘテロ環状チオールが、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリチオール、2-メルカプト-6-メチルピリミジン-4-オール、3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5-オール、2-メルカプトピリミジン-4,6-ジオール、1H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、1H-1,2,4-トリアゾール-5-チオール、1H-イミダゾール-2-チオール、1H-イミダゾール-5-チオール、1H-イミダゾール-4-チオール、2-アザビシクロ[3.2.1]オクタ-2-エン-3-チオール、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン-3-チオール、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-チオール、2-メルカプト-6-メチルピリミジン-4-オール、2-メルカプトピリミジン-4-オール、1-メチル-1H-イミダゾール-2-チオール、1,3,4-チアジアゾール-2,5-ジチオール、1H-インダゾール-3-チオール、これらの互変異性体及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項
12に記載のポジ作動型感光性組成物。
【請求項14】
ポジ型レリーフ画像を形成する方法であって、
a)請求項1~
13のいずれか一つに記載のポジ作動型感光性組成物を基材上に施与することによって感光性層を形成し;
b)前記感光性層を化学線で像様露光して潜像を形成し、ここで前記化学線の波長が240nm~450nmであり;及び
c)前記潜像を現像剤中で現像する、
ことを含む、前記方法。
【請求項15】
追加のステップd):
d)前記の像様露光された感光性層を熱処理するステップ、
を含む、請求項
14に記載のポジ型レリーフ画像を形成する方法。
【請求項16】
現像剤が、テトラ(C
1~C
4アルキル)アンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含む、請求項
14または15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、非常に良好なフィルム均一性を与え及びこれらのフィルムに画像形成及び現像した時に生成されるパターンにおいて図形パターン崩壊に対する良好なプロセス許容度を援助する組成物を用いて、特に厚手のフィルムに画像形成するのに有用な、感光性ポジ型フォトレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト組成物は、集積回路デバイスの製造など、微細化された電子部品の製造のためのマイクロリソグラフィプロセスに使用されている。これらのプロセスでは、一般的に、フォトレジスト組成物のコーティングされたフィルムを、集積回路、回路基板及びフラットパネルディスプレー基板の製造に使用されるケイ素ウェハなどの基材に施す。次いで、コーティングされた基材をベークして、フォトレジスト組成物中の溶媒を蒸発させ、基材上にコーティングを定着させる。基材のコーティング及びベークされた表面は次に化学線による像様露光に付される。
【0003】
この化学線暴露は、コーティングされた表面の露光された領域において化学的な変化を引き起こす。可視光線、紫外線(UV)、極端紫外線(EUV)、電子ビーム、及びX線放射エネルギーが、現在マイクロリソグラフィプロセスにおいて常用されている放射線種である。この像様露光の後、コーティングされた基材を現像剤溶液で処理して、基材のコーティングされた表面の放射線露光された領域(ポジタイプフォトレジストの場合)または未露光の領域(ネガタイプフォトレジストの場合)のいずれかを溶解、除去する。
【0004】
この現像操作の後、今や部分的に非保護の基材を、基材エッチング溶液、プラズマガスまたは反応性イオンで処理することができ、または現像の間にフォトレジストコーティングが除去された基材の空間中に金属または金属複合体を堆積させてもよい。フォトレジストコーティングがなおも残る基材の領域は保護される。その後、フォトレジストコーティングの残った領域は剥離操作の間に除去してよく、そうしてパターン化された基材表面が残る。場合により、現像ステップの後でかつエッチングステップの前に、残ったフォトレジスト層を熱処理して、下にある基材に対するそれの接着を向上させることが望ましい。
【0005】
パターン化された構造の製造、例えばウェハレベルパッケージング、ディスプレー、発光ダイオードアプリケーションまたは微細電気機械システムの製造では、インターコネクトの密度が増すにつれ、電気インターコネクトの電気化学的堆積が使用されてきた。例えば、Solomon、Electrochemically Deposited Solder Bumps for Wafer-Level Packaging、Packaging/Assembly、Solid State Technology、pages 84-88、April 2001(非特許文献1)を参照されたい。ウェハレベルパッケージングにおける再配置のための金バンプ、銅もしくは他の金属のポスト、及び銅トレースは、先端配線技術において最終の金属構造体を形成するために後で電気メッキできるレジストの型(mold)を必要とする。そのフォトレジスト層は、クリティカル層(critical layers)のIC製造に使用されるフォトレジストと比べて非常に厚い。図形(feature)サイズ及びフォトレジスト厚のどちらも典型的には2μm~100μm(マイクロメータ)の範囲であり、そのため、高いアスペクト比(ラインサイズに対するフォトレジストの厚さ)をフォトレジスト中にパターン化する必要がある。
【0006】
PGMEAまたはPGMEなどの慣用のスピンキャスト溶剤中に溶解したノボラックポリマー及び光活性化合物としてのキノン-ジアジド化合物を含むポジ型作用フォトレジストが当技術分野において周知である。ノボラックポリマーは、キノンジアジドと反応させて、ポリマーと組み合わせてもよい。ノボラック/ジアジドのみをベースとするフォトレジストは、特に非常に厚いフィルムのための或るタイプのプロセスに必要な感光性または側壁の傾斜を持たないことが分かった。更に、現像剤中での高い未露光部膜減りがしばしば観察され、そしてこのようなコーティングはコーティング均一性に劣ることがある。
【0007】
慣用のスピンキャスト溶剤、例えばPGMEAまたはPGME中に溶解した、既知の化学増幅型フォトレジスト、例えばブロックドポリ-4-ヒドロキシスチレン(PHOST)、ヒドロキシスチレンとブロックド(メタ)アクリル酸繰り返し単位、例えばtert-ブチル(メタ)アクリレートとを含むブロックドコポリマー、または脂環式基、酸解裂性基及び溶解改良基、例えば酸無水物またはラクトン類を含む(メタ)アクリル系材料をベースとするフォトレジストは、必要な感光性及び厚さの要件を示し得るが、続くユニット操作、例えばメッキまたはエッチングの間に接着不良も示し得る。更に、これらの材料は、不良のコーティング均一性を示す場合もあり、またユニットの間のパターン崩壊に対する低いプロセス許容度を有する虞もある。このような不良は、粗いかまたはアンダーカットがあるかまたは金属図形中のどこかに突出部を持つ図形側壁を招き、そしてパターン崩壊に対するプロセス許容度の欠如及び及び低いコーティング均一性の故に高欠陥数の図形を生じることがある。更に、これらのフォトレジストは、法外に高額である場合がある。
【0008】
慣用のスピンキャスト溶剤、例えばPGMEAまたはPGME中に溶解した、ノボラックポリマーと、ブロックドポリ-4-ヒドロキシスチレン(PHOST)をベースとするポリマー、ヒドロキシスチレンとブロックド(メタ)アクリル酸繰り返し単位、例えばtert-ブチル(メタ)アクリレートとを含むブロックドコポリマー、または脂環式基、酸解裂性基及び溶解改良基、例えば酸無水物またはラクトン類を含む(メタ)アクリル系材料との混合物を含む化学増幅型レジストは、必要な感光性及び厚さの要件を示し得るが、続くユニット操作、例えばメッキまたはエッチングの間に接着不良も示し得る。更に、これらの材料は、不良のコーティング均一性を示す場合もあり、またユニットの間のパターン崩壊に対する低いプロセス許容度を有する虞もある。このような不良は、粗いかまたはアンダーカットがあるかまたは金属図形中のどこかに突出部を持つ図形側壁を招き、そしてパターン崩壊に対するプロセス許容度の欠如及び及び低いコーティング均一性の故に高欠陥数の図形を生じることがある。
【0009】
それ故、良好な厚手のフィルムコーティング均一性を与え、厚いフィルムの用途においてもパターン崩壊に対して良好なプロセス許容度を持って高い感光性を示し、プロセスに適した現像時間を必要とし、現像剤及び塩基性メッキ液中で少ない未露光部膜減りを示し、及び滑らかな側壁を有する図形を形成するための湿式メッキ及びエッチング操作に耐える、ポジ型フォトレジスト材料に対する要望がなおも存在する。本願明細書及び添付の特許請求の範囲は、これらの要望に取り組むものである。
【0010】
これらの新規組成物は、高い解像度で低欠陥画像を生成する反射性の親銅基材上での画像形成にも適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【非特許文献】
【0012】
【文献】Solomon、Electrochemically Deposited Solder Bumps for Wafer-Level Packaging、Packaging/Assembly、Solid State Technology、pages 84-88、April 2001
【発明の概要】
【0013】
本明細書に開示されるものは、ポジ作動型感光性組成物であって、
a)少なくとも一種の光酸発生剤;
b)少なくとも一種のノボラックポリマー;
c)一つ以上の(メタ)アクリレート繰り返し単位を含み、更に少なくとも一つの酸解裂性基を有する一つ以上の繰り返し単位を含む、少なくとも一種のポリマー;及び
d)次のd1)、d2)及びd3)、すなわち
d1)95重量%のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)及び5重量%の3-メトキシブチルアセテート(3MBA)から61重量%のPGMEA及び39重量%の3MBAの範囲の、PGMEAと3MBAとの組成物から本質的になる溶剤混合物;
d2)95重量%のPGMEA及び5重量%のガンマ-ブチロラクトン(GBL)から20重量%のPGMEA及び80重量%のGBLの範囲の、PGMEAとGBLとの組成物から本質的になる溶剤混合物;及び
d3)95重量%のPGMEA及び5重量%のプロピレングリコールジアセテート(PGDA)から20重量%のPGMEA及び80重量%のPGDAの範囲の、PGMEAとPGDAとの組成物から本質的になる溶剤混合物、
からなる群から選択される溶剤混合物、
を含むポジ作動型感光性組成物である。本発明は、ポジ型レリーフ画像を形成する方法であって、
a)本発明によるポジ作動型感光性組成物を基材上に施与することによって感光性層を形成し、
b)感光性層を化学線で像様露光して潜像を形成し;及び
c)前記潜像を現像剤中で現像し、そして任意選択的に、この像様露光された感光性層を熱処理する、
ことを含む前記方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用する場合、「または」という接続詞は、他に指示がなければまたは文脈上要求されなければ、排他的であることを意図していない。例えば、「またはその代わりに」というフレーズは、排他的であることを意図している。更なる例として、「または」は、特定の箇所での化学置換を記載する場合には排他的の場合もある。
【0015】
本明細書で使用する場合、「親銅元素」という用語は、カルコゲン元素である硫黄、セレン及びテルルに対し親和性を持つ元素のことである。カルコゲン自体の他に、これらの元素は、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、銀、カドニウム、ランタン、スズ、アンチモン、金、水銀、タリウム、鉛及びビスマスも包含し得る。限定はされないが、これらの元素は、カルコゲン元素の一つまたは二つ以上と、主として共有性の結合を形成し得る。親銅性基材は、上記の親銅元素の一つまたは二つ以上を含む。
【0016】
ここで使用する場合、「モノマー繰り返し単位」とは、モノマーから誘導されたポリマー繰り返し単位のことを指す。
【0017】
本明細書で使用する場合、ポリマー内の繰り返し単位とは、それの相当するモノマーによっても指し得ると理解されたい。例えば、アクリレートモノマー(1)は、そのポリマー繰り返し単位(2)に相当する。
【0018】
【化1】
本明細書で使用する場合、「(メタ)アクリレート繰り返し単位」という表記は、アクリレート繰り返し単位、またはその代わりにメタクリレート繰り返し単位を指し得る。それ故、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」は、ひとまとめにして「(メタ)アクリル酸」と称され、「アクリル酸誘導体」及び「メタクリル酸誘導体」はひとまとめにして「(メタ)アクリル酸誘導体」と称され、そして「アクリレート」及び「メタクリレート」はひとまとめにして「(メタ)アクリレート」と称される。
【0019】
ここで使用する場合、「酸解裂性基」という用語は、触媒量の酸によってアシドリシスプロセスを介して、またはケタールもしくはアセタール保護部分のヒドロキシシスを介して解裂可能な保護基を具体化するものである。アシドリシスプロセスは、第三級カルボカチオンまたは安定化された第二級カルボカチオン(例えば、第二級ベンジルカチオン、アリルカチオン及び類似のカチオン)が仲介したアシドリシスにより解裂可能な適当な保護基にプロトンが触媒作用すると進行し、この際、酸解裂性基の解裂によって形成した中間体のカルボカチオンは、いずれも、カルボカチオン炭素に直接結合した炭素に結合した利用可能な少なくとも一つの水素を有する。このようにして、形成されたこのようなカルボカチオンは、いずれも、オレフィンを形成すると同時に、最初にカルボカチオンを形成したプロトン酸触媒部分(H+)をも再生する脱離反応に関与することができる。ヒドロリシスプロセスを介した保護基の解裂も使用し得るが、これらが、水と有利に反応して酸触媒を効果的に再生することができる安定なカチオンを仲介して解裂する場合に限られる。このような保護基はケタール、アセタール及びシリル保護基である。第一級カルボカチオン、未活性化第二級カルボカチオンまたは利用可能なベータ-水素を持たない第三級カルボカチオンを放出する部分は、これらの本発明によるポジ作用型感光性組成物にとっては効果的な酸解裂性保護基ではない、というのもこれらは、酸触媒を再生する能力が弱く、その結果、酸解裂効率が低く、そして効果的に化学増幅をもたらさず、リソグラフィ感度が弱いかまたはリソグラフィ感度の無いレジスト組成物を与えるからである。
【0020】
本明細書に開示されるものは、
a)少なくとも一種の光酸発生剤;
b)少なくとも一種のノボラックポリマー;
c)一つ以上の(メタ)アクリレート繰り返し単位を含み、更に少なくとも一つの酸解裂性基を有する一つ以上の繰り返し単位を含む、少なくとも一種のポリマー;及び
d)次のd1)、d2)及びd3)、すなわち
d1)95重量%のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)及び5重量%の3-メトキシブチルアセテート(3MBA)から61重量%のPGMEA及び39重量%の3MBAの範囲の、PGMEAと3MBAとの組成物から本質的になる溶剤混合物;
d2)95重量%のPGMEA及び5重量%のガンマ-ブチロラクトン(GBL)から20重量%のPGMEA及び80重量%のGBLの範囲の、PGMEAとGBLとの組成物から本質的になる溶剤混合物;及び
d3)95重量%のPGMEA及び5重量%のプロピレングリコールジアセテート(PGDA)から20重量%のPGMEA及び80重量%のPGDAの範囲の、PGMEAとPGDAとの組成物から本質的になる溶剤混合物、
からなる群から選択される溶剤混合物、
を含むポジ作動型感光性組成物である。
【0021】
この新規ポジ作動型感光性組成物の他の態様の一つでは、項目d)における溶剤混合物d1、d2及びd3は更に次のように選択される:
d1)95重量%のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)及び5重量%の3-メトキシブチルアセテート(3MBA)から61重量%のPGMEA及び33重量%の3MBAの範囲の、PGMEAと3MBAとの組成物から本質的になる溶剤混合物;
d2)95重量%のPGMEA及び5重量%のガンマ-ブチロラクトン(GBL)から20重量%のPGMEA及び40重量%のGBLの範囲の、PGMEAとGBLとの組成物から本質的になる溶剤混合物;及び
d3)95重量%のPGMEA及び5重量%のプロピレングリコールジアセテート(PGDA)から20重量%のPGMEA及び80重量%のPGDAの範囲の、PGMEAとPGDAとの組成物から本質的になる溶剤混合物。
【0022】
この新規ポジ作動型感光性組成物の他の態様の一つでは、溶剤混合物はd1である。
【0023】
この新規ポジ作動型感光性組成物の他の態様の一つでは、溶剤混合物はd2である。
【0024】
この新規ポジ作動型感光性組成物の他の態様の一つでは、溶剤混合物はd3である。
【0025】
本明細書に開示されるポジ作動型感光性組成物は、様々な光酸発生剤を含むことができ、例えばオニウム塩、ジカルボキシイミジルスルホネートエステル、オキシムスルホネートエステル、ジアゾ(スルホニルメチル)化合物、ジスルホニルメチレンヒドラジン化合物、ニトロベンジルスルホネートエステル、ビイミダゾール化合物、ジアゾメタン誘導体、グリオキシム誘導体、β-ケトスルホン誘導体、ジスルホン誘導体、スルホン酸エステル誘導体、イミドイルスルホネート誘導体、ハロゲン化されたトリアジン化合物、ジアゾナフトキノンスルホネートエステル、またはこれらの組み合わせなどがある。
【0026】
本明細書に開示されるポジ作動型感光性組成物の他の一つの観点では、光酸発生剤は、限定はされないが、アルキルスルホネートアニオン、置換された及び置換されていないアリールスルホネートアニオン、フルオロアルキルスルホネートアニオン、フルオロアリールアルキルスルホネートアニオン、フッ素化アリールアルキルスルホネートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、ヘキサフルオロアルセネートアニオン、ヘキサフルオロアンチモネートアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、これらの等価物またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0027】
具体的には、限定はされないが、適当な光酸発生剤には、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、及びトリフェニルスルホニウム2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、及び4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウム2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウム2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、1-(6-n-ブトキシナフタレン-2-イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-(6-n-ブトキシナフタレン-2-イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、1-(6-n-ブトキシナフタレン-2-イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、1-(6-n-ブトキシナフタレン-2-イル)テトラヒドロチオフェニウム2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネートN-(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(ノナフルオロ-n-ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(パーフルオロ-n-オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-[2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホニルオキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、1,3-ジオキソ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2(3H)-イルトリフルオロメタンスルホネート(ナフタレンジカルボキシイミジルトリフレート)、N-[2-(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン-3-イル)-1,1-ジフルオロエタンスルホニルオキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、1,3-ジオキソイソインドリン-2-イルトリフルオロメタンスルホネート、1,3-ジオキソイソインドリン-2-イルノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、1,3-ジオキソイソインドリン-2-イルパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、3-ジオキソイソインドリン-2-イル2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、3-ジオキソイソインドリン-2-イルN-[2-(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン-3-イル)-1,1-ジフルオロエタンスルホネート、1,3-ジオキソ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2(3H)-イルトリフルオロメタンスルホネート、1,3-ジオキソ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2(3H)-イルノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、1,3-ジオキソ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2(3H)-イルパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、1,3-ジオキソ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2(3H)-イル2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、または1,3-ジオキソ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2(3H)-イルN-[2-(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン-3-イル)-1,1-ジフルオロエタンスルホネート、(E)-2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(メトキシフェニル)-4,6-ビス-(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、これらの等価物またはこれらの組み合わせなどが挙げ得る。適当な光酸発生剤は、アニオン及びカチオンを上述していない組み合わせで含むオニウム塩を含んでもよい。
【0028】
本明細書に開示されるポジ作動型感光性組成物は、有効波長及び/またはエネルギー範囲を延長する感光剤を含んでいてもよい。このような感光剤は、限定はされないが、置換された及び置換されていないアントラセン類、置換された及び置換されていないフェノチアジン類、置換された及び置換されていないペリレン類、置換された及び置換されていないピレン類、及び芳香族カルボニル化合物、例えばベンゾフェノン及びチオキサントン、フルオレン、カルバゾール、インドール、ベンゾカルバゾール、アクリドンクロルプロマジン、これらの等価物、または上記の任意のものの組み合わせであってよい。該新規組成物で使用されるノボラックポリマーは、ブリッジ及びフェノール化合物を有する繰り返し単位を含む。適当なフェノール化合物には、限定はされないが、フェノール類、クレゾール類、置換された及び置換されていないレゾルシノール類、キシレノール類、置換された及び置換されていないベンゼントリオール類、置換された及び置換されていないナフタレン類、及びこれらの組み合わせなどが含まれる。より具体的な例では、有効波長及び/またはエネルギー範囲を延長する上記の感光剤は、置換された及び置換されていないナフタレン類及びこれらの組み合わせから選択される。更により具体的な例では、感光剤は1,5-ジヒドロキシナフタレンである。
【0029】
本明細書に開示されるポジ作動型感光性組成物では、ノボラックポリマーは、通常は、酸触媒を用いて、フェノール化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドまたは置換されたもしくは置換されていないベンズアルデヒド類などのアルデヒドとの縮合重合、またはフェノール化合物と置換されたもしくは置換されていないメチロール化合物との縮合重合によって製造し得る。上記のブリッジは、メチレン基またはメチン基を含むことができる。ノボラックポリマーは、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン及び類似物などのケトン類の縮合生成物としても製造することができる。触媒としては、ルイス酸、ブレンステッド酸、ジカチオン及びトリカチオン金属イオン、及び類似物などが挙げられ得る。例えば、限定はされないが、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、シュウ酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、またはこれらの任意のものを含む組み合わせを使用してよい。
【0030】
本明細書に開示されるポジ作動型感光性組成物では、適当なノボラックポリマーの例には、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,5-キシレノール及び類似物などのフェノール化合物と、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド化合物との、酸または多価金属イオン触媒の存在下での縮合反応によって得られるものなどが挙げられる。アルカリ可溶性ノボラックポリマーの例示的な重量平均分子量は、1,000~30,000ダルトンの範囲であることができる。他の例示的な重量平均分子量は、1,000~20,000ダルトンであり得る。更に他の例示的な重量平均分子量は、1,500~10,000ダルトンであり得る。2.38%水性テトラメチルアンモニウムヒドロキシド中でのノボラックポリマーの例示的なバルク溶解速度は、10Å/秒(1秒あたりのオングストローム単位)~15,000Å/秒である。他の例示的なバルク溶解速度は100Å/秒~10,000Å/秒である。更に他の例示的なバルク溶解速度は200Å/秒~5,000Å/秒である。1,000Å/秒のなお更に他の例示的な溶解速度は、それぞれm-クレゾール繰り返し単位を含む、単一のノボラックポリマーまたは複数のノボラックポリマーのブレンドから得ることができる。
【0031】
本発明に開示されるポジ作動型感光性組成物の他の一つの観点では、例示的なクレゾール系ノボラックポリマーは、クレゾールモル百分率として、0%~60%のp-クレゾール、0%~20%のo-クレゾール、及び0%~80%のm-クレゾールを含み得る。他の例示的なクレゾール系ノボラックポリマーは、0%~50%のp-クレゾール、0%~20%のo-クレゾール、及び50%~100%のm-クレゾールを含み得る。ノボラックポリマー中の繰り返し単位は、ポリマーの組成によって定義され、そのため、例えば、p-クレゾールは、アルデヒドとの重合によってまたはジメチロール-p-クレゾールによって導入され得る。更に、クレゾール系ノボラックポリマーは、他のフェノール化合物、例えばフェノール、キシレノール類、レゾルシノール類、ベンゼントリオール類及び類似物などを含んでよい。更に、ノボラックポリマーは分枝状または線状であることができ、そして選択された繰り返し単離モル百分率または溶解速度を達成するためにブレンドしてよい。バルク溶解速度は、以下の手順によって測定し得る:(1)ノボラック樹脂の1~3μm(マイクロメータ)のフィルムを溶液からケイ素ウェハ上にスピンコートし、そしてコンタクトホットプレート上で110℃で120秒間ソフトベークする。(2)フィルム厚を、インターフェロメトリーもしくはエリプソメトリーなどの光学的方法または機械的プロフィロメーターを用いて測定する。(3)コーティングされたウェハを、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)現像剤の溶液中に浸け、そしてノボラックフィルムを完全に溶解するまでの時間(tc)を目視でまたは光学的なインターフェロメトリー(例えば、溶解速度モニター)を用いて検出する。バルク溶解速度は、フィルム厚をtcで除することによって計算される。
【0032】
本明細書に記載のポジ作動型感光性組成物の他の一つの観点では、該ポジ作動型感光性組成物は、前記少なくとも一種のノボラックコポリマーが、o-クレゾール、p-クレゾール及びm-クレゾールからなる群から選択される一種以上のクレゾール系繰り返し単位を含む組成物である。
【0033】
本明細書に記載のポジ作動型感光性組成物の他の一つの観点では、該ポジ作動型感光性組成物は、前記少なくとも一種のノボラックコポリマーが、m-クレゾールを少なくとも80モル%含むクレゾール系ノボラックである組成物である。
【0034】
本発明の開示によれば、該新規ポジ作動型感光性組成物は、一つ以上の(メタ)アクリレート繰り返し単位を含み、及び更には少なくとも一つの酸解裂性基を有する一つ以上の繰り返し単を含む一種以上のポリマーを含み;これらのポリマーは、更に、一つ以上の繰り返し単位を含んでよい。特に、ポリマーは、スチレン系繰り返し単位、(メタ)アクリレート繰り返し単位またはこれらの組み合わせから選択される繰り返し単位を含んでよい。
【0035】
当該ポジ作動型感光性組成物は、更に、二種以上のポリマーの組み合わせ、例えばノボラックポリマー、及びアクリレート及び/またはスチレン系コポリマーの組み合わせを含んでよい。このような追加のポリマー成分は、2012年6月15日に出願され、2015年4月21日に特許掲載公報が発行されたUS9,012,126(特許文献1)に開示されている。この文献の内容は本明細書に掲載されたものとする。
【0036】
より具体的には、スチレン系繰り返し単位は次の構造を有するものであってよい。
【0037】
【化2】
式中、R
4は、H、ClまたはCH
3から選択され、そしてR
5及びR
6は、同一かまたは異なることができ、そしてH、OH、OCOOR
7またはOCOCOOR
7から選択され、そしてR
7は酸解裂性基である。本発明のポリマーは、(メタ)アクリレート単位のみを含んでよいか、または(メタ)アクリレート単位とスチレン系単位との混合物を含んでよい。酸不安定性基がポリマー中に存在してよい。該ポリマーは、カルボキレート基を介して(メタ)アクリレート繰り返し単位にエステル化し得る酸解裂性基、またはカーボネートもしくはオキシレート基にエステル化し得る酸解裂性基を含んでよく、ここで前記のカーボネートまたはオキシレート基は他方でフェノール類またはアルコール類にエステル化される。例えば、当技術分野で既知のモノマー繰り返し単位の一つは、tert-ブチル4-ビニルフェニルカーボネートであり、この場合、tert-ブチルカーボネートは4-ヒドロキシスチレンにエステル化される。酸解裂性基には、限定はされないが、t-ブチル基、テトラヒドロピラン-2-イル基、テトラヒドロフラン-2-イル基、4-メトキシテトラヒドロピラン-4-イル基、1-エトキシエチル基、1-ブトキシエチル基、1-プロポキシエチル基、3-オキソシクロヘキシル基、2-メチル-2-アダマンチル基、2-エチル-2-アダマンチル基、8-メチル-8-トリシクロ[5.2.1.0 2,6]デシル基、1,2,7,7-テトラメチル-2-ノルボニル基、2-アセトキシメンチル基、2-ヒドロキシメチル基、1-メチル-1-シクロヘキシルエチル基、4-メチル-2-オキソテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル基、2,3-ジメチルブタン-2-イル基、2,3,3-トリメチルブタン-2-イル基、1-メチルシクロペンチル基、1-エチルシクロペンチル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-エチルシクロヘキシル基、1,2,3,3-テトラメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、2-エチル-1,3,3-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-イル基、2,3-ジメチルペンタン-3-イル基、または3-エチル-2-メチルペンタン-3-イル基などを挙げることができる。酸解裂性基を有するモノマー繰り返し単位は保護されると言われている。ポリマーは完全に保護してもよいし、部分的に保護してもよいし、部分的に解保護してもまたは完全に解保護してもよい。解保護は、例えば、光の作用により発生した酸が存在する時にポジ作動型感光性組成物の露光中または露光後に起こり得る。
【0038】
本発明の開示によれば、該新規ポジ作動型感光性組成物は、一つ以上の(メタ)アクリレート繰り返し単位を含み及び更に、少なくとも一つの酸解裂性基を有する一つ以上の繰り返し単位を含む一種以上のポリマーを含み;酸解裂性基を有するモノマー繰り返し単位の他に、これらのポリマーは、更に、エッチング耐性を与えるモノマー繰り返し単位、保護された形態、部分的に保護された形態、部分的に解保護された形態もしくは完全に解保護された形態のポリマーの溶解特性を改良するモノマー繰り返し単位、感光性を改良するモノマー繰り返し単位、接着性を改良するモノマー繰り返し単位、結合型光酸発生剤を供するモノマー繰り返し単位、または他の有用な特性を与えるモノマー繰り返し単位を含んでよい。モノマー繰り返し単位は、限定はされないが、ある種の化学的官能基、例えばラクトン、酸無水物、アルコール、カルボン酸、置換された及び置換されていないベンジル基、エーテル、脂環式エステル、エステルアルコール、エステルエーテル、脂肪族エーテル、芳香族エステル及び類似物などを含んでよい。
【0039】
モノマー繰り返し単位が誘導されるモノマーには、限定はされないが、(メタ)アクリル酸、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレート、2-イソボルニルメタクリレート、3-イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、スチレン、4-ヒドロキシスチレン、tert-ブチル4-ビニルフェニルカーボネート、メバロノラクトンメタクリレート、2-オキソテトラヒドロフラン-3-イル(メタ)アクリレート、2-オキソテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル(メタ)アクリレート、または2-オキソオキセパン-3-イル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0040】
本発明の開示によれば、該新規ポジ作動型感光性組成物は、一つ以上の(メタ)アクリレート繰り返し単位を含み、及び更には少なくとも一つの酸解裂性基を有する一つ以上の繰り返し単を含む一種以上のポリマーを含み;該アクリレートポリマーは、(3)を含んでよい:
【0041】
【化3】
式中、R
8~R
12は、独立して、-H、Fまたは-CH
3であり、Aは、線状または分枝状C
1~C
10アルキレン基であり、Bは、C
1~C
12アルキルもしくは脂環式基であり、Dは連結基であり、この連結基は、化学結合、カルボキレート基(ここでそのカルボニル炭素はポリマー主鎖に結合する)または-COOCH
2-基(ここでそのカルボニル炭素はポリマー主鎖に結合する)であることができ、Arは、置換されたもしくは置換されていない芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、Eは、線状もしくは分枝状C
2~C
10アルキレン基であり、Gは、酸解裂性基であり、vは0~10モル%、wは0モル%~20モル%、xは14モル%~80モル%、yは0モル%~40モル%であり、そしてzは20モル%~50モル%であり、但し、v+w+x+y+zは100%である。置換されたArは、ヒドロキシル基で置換された芳香族基も含み得る。Arはフェニルまたはヒドロキシフェニルであってよい。上記の一般式は、ポリマーの構成部品の正確な位置づけを示すことを意味するものではなく、それ故、構成部品が一緒にランダムに存在してもよいし、2つ以上の同じ構成部品がポリマー中に並んで存在してもよい。
【0042】
上記の態様では、(3)は、記載のモノマーの一つ以上の供給を用いて合成することができる。モノマーのうちの少なくとも一部は、全てまたは部分的に重合反応の開始時に導入してよい。更に、モノマー供給は、異なるモノマー共反応性を調整するためまたは分子量もしくは溶解性などの他のポリマー性質を制御するために、反応の間に、選択された供給速度で遂行してよい。重合は、遊離基開始剤、カチオン性重合開始剤、アニオン性重合開始剤またはキレート化触媒によって開始してよい。
【0043】
一般組成(3)を有するポリマーは、(メタ)アクリル酸繰り返し単位並びに置換されたもしくは置換されていないスチレン単位を含み得る。応じて、R8~R12は、独立して、-Hまたは-CH3のいずれかであり得る。
【0044】
上記(3)において、Aの例示的な基は、限定はされないが、メチレン、メチルメチレン、エチレン、1,2-プロピレン、2,1-プロピレンまたは類似物などであってよい。Bの例示的な基は、限定はされないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルまたは類似物などであってよい。Eの例示的な基は、限定はされないが、メチレン、メチルメチレン、エチレン、1,2-プロピレン、2,1-プロピレンまたは類似物などであってよい。Dの例示的な基は、-COOCH2-(そのカルボニル炭素はポリマー主鎖に結合する)、化学結合、または-COO-基(そのカルボニル炭素はポリマー主鎖に結合する)であってよい。-Arの例示的な基は、限定はされないが、フェニル、2-、3-もしくは4-メチルフェニル、2-、3-もしくは4-ヒドロキシフェニル、1-、2-もしくは3-ナフチル、または類似物などであってよい。上記(I)において、Gの例示的な酸解裂性基は、限定はされないが、t-ブチル基、テトラヒドロピラン-2-イル基、テトラヒドロフラン-2-イル基、4-メトキシテトラヒドロピラン-4-イル基、1-エトキシエチル基、1-ブトキシエチル基、1-プロポキシエチル基、3-オキソシクロヘキシル基、2-メチル-2-アダマンチル基、2-エチル-2-アダマンチル基、8-メチル-8-トリシクロ[5.2.1.0 2,6]デシル基、1,2,7,7-テトラメチル-2-ノルボニル基、2-アセトキシメンチル基、2-ヒドロキシメチル基、1-メチル-1-シクロヘキシルエチル基、4-メチル-2-オキソテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル基、2,3-ジメチルブタン-2-イル基、2,3,3-トリメチルブタン-2-イル基、1-メチルシクロペンチル基、1-エチルシクロペンチル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-エチルシクロヘキシル基、1,2,3,3-テトラメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、2-エチル-1,3,3-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-イル基、2,3-ジメチルペンタン-3-イル基、または3-エチル-2-メチルペンタン-3-イル基などであってよい。
【0045】
上記の態様では、(3)に関して、vの例示的なモル百分率範囲は0~10%であり得る。vの他の例示的なモル百分率範囲は3~8%であり得る。vの更に他の例示的なモル百分率範囲は4~6%であり得る。wの例示的なモル百分率範囲は0~20%であり得る。wの他の例示的なモル百分率範囲は7~15%であり得る。wの更に他の例示的なモル百分率範囲は9~12%であり得る。xの例示的なモル百分率範囲は14~80%であり得る。xの他の例示的なモル百分率範囲は15~30%であり得る。xの更に他の例示的なモル百分率範囲は16~20%であり得る。yの例示的なモル百分率範囲は0~40%であり得る。yの他の例示的なモル百分率範囲は25~35%であり得る。yの更に他の例示的なモル百分率範囲は28~33%であり得る。zの例示的なモル百分率範囲は20~50%であり得る。zの他の例示的なモル百分率範囲は25~40%であり得る。zの更に他の例示的なモル百分率範囲は29~36%であり得る。各モル百分率は、合計して100%となる必要があるため独立的ではない。
【0046】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、一つの態様では、Aは、メチレン基、エチレン基または1,2-プロピレン基であり、そしてBは、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基である。
【0047】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、一つの態様では、Aは、メチレン基、エチレン基または1,2-プロピレン基である。
【0048】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、一つの態様では、Aは、エチレン基または1,2-プロピレン基である。
【0049】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、一つの態様では、Aはメチレン基である。
【0050】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、一つの態様では、Aはエチレン基である。
【0051】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、一つの態様では、Aは1,2-プロピレン基であってよい。
【0052】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、Bは、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基である。
【0053】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、一つの態様では、Bは、エチル基、プロピル基またはブチル基である。
【0054】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、一つの態様では、Bはメチル基である。
【0055】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、一つの態様では、Bはエチル基である。
【0056】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、一つの態様では、Bはプロピル基である。
【0057】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、一つの態様では、Bはブチル基である。
【0058】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、一つの態様では、Aは、メチレン基、エチレン基または1,2-プロピレン基であり、Dは、-COOCH2-または-COO-基であり、そしてArは、フェニルまたはヒドロキシフェニル基である。この態様の他の一つの観点では、Eは1,2-プロピレン基である。
【0059】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、一つの態様では、Dは、-COOCH2-または-COO-基であり、そしてArは、フェニルまたはヒドロキシフェニル基である。この態様の他の一つの観点では、Eは1,2-プロピレン基である。
【0060】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、一つの態様では、Dは-COOCH2-または-COO-基である。
【0061】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、一つの態様では、Dは-COOCH2-基である。
【0062】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、一つの態様では、Dは-COO-基である。
【0063】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、Arはフェニルまたはヒドロキシフェニル基である。
【0064】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、Arはフェニルである。
【0065】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明のいずれの観点においても、Arはヒドロキシフェニル基である。
【0066】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含む上記の本発明の他の一つの観点では、Gは、アシドリシスのプロセスを通して解裂可能な酸解裂性基である。この観点の他の一つの態様では、アシドリシスによって解裂可能なこの基は、第三級アルキルエステル部分である。他の態様の一つでは、前記の第三級アルキルエステル部分はtert-ブチルである。
【0067】
少なくとも一種のポリマーが構造(3)を含むこの発明の他の観点の一つでは、Gは、t-ブチル基、テトラヒドロピラン-2-イル基、テトラヒドロフラン-2-イル基、4-メトキシテトラヒドロピラン-4-イル基、1-エトキシエチル基、1-ブトキシエチル基、1-プロポキシエチル基、3-オキソシクロヘキシル基、2-メチル-2-アダマンチル基、2-エチル-2-アダマンチル基、8-メチル-8-トリシクロ[5.2.1.0 2,6]デシル基、1,2,7,7-テトラメチル-2-ノルボニル基、2-アセトキシメンチル基、2-ヒドロキシメチル基、1-メチル-1-シクロヘキシルエチル基、4-メチル-2-オキソテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル基、2,3-ジメチルブタン-2-イル基、2,3,3-トリメチルブタン-2-イル基、1-メチルシクロペンチル基、1-エチルシクロペンチル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-エチルシクロヘキシル基、1,2,3,3-テトラメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、2-エチル-1,3,3-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-イル基、2,3-ジメチルペンタン-3-イル基、及び3-エチル-2-メチルペンタン-3-イル基からなる群から選択される酸解裂性基である。
【0068】
該新規ポジ作動型感光性組成物が、一つ以上の(メタ)アクリレート繰り返し単位を含み、及び更に少なくとも一つの酸解裂性基を有する一つ以上の繰り返し単を含む一種以上のポリマーを含む態様では、これらのポリマーの例示的な重量平均分子量は、限定はされないが、800ダルトンから30,000ダルトンの範囲であってよい。該構造の他の例示的な重量平均分子量は、限定はされないが、1,500ダルトンから20,000ダルトンの範囲であってよい。該構造の更に別の例示的な重量平均分子量は、限定はされないが、2,500ダルトンから20,000ダルトンの範囲であってよい。
【0069】
構造(3)の例示的な重量平均分子量は、限定はされないが、800ダルトンから30,000ダルトンの範囲であってよい。構造(3)の他の例示的な重量平均分子量は、限定はされないが、1,500ダルトンから20,000ダルトンの範囲であってよい。構造(3)の更に別の例示的な重量平均分子量は、限定はされないが、2,500ダルトンから20,000ダルトンの範囲であってよい。
【0070】
ここに開示及び特許請求される調合物は、一つの態様において、ノボラックポリマーと、(例えば一般式(3)を有する)(メタ)アクリレートポリマーの両方を含む。一例としてかつ限定されることなく、ノボラックポリマーは、全ポリマー負荷量の20%~80%w/wを占めてよい。更なる一例としてかつ限定されることなく、ノボラックポリマーは、全ポリマー負荷量の30%~75%w/wを占めてよい。他の更なる一例としてかつ限定されることなく、ノボラックポリマーは、全ポリマー負荷量の40%~65%w/wを占めてよい。該新規ポジ作動型感光性組成物は、30~65重量%の範囲の全固形物含有率を有してよく、そして5~200ミクロンのコーティングの形成に使用し得る。
【0071】
ここに開示及び特許請求されるポジ作動型感光性組成物のいずれとも適合性がありそして必要に応じてそれに添加できる他の任意選択の添加剤としては、レジスト層の性質を改善するためのヘテロ環状チオール化合物、補助樹脂、可塑剤、表面レベリング剤及び安定剤、現像によって形成されたパターン化されたレジスト層の可視性を高めるための着色剤; アンチハレーション染料、テトラアルキルアンモニウム塩、例えばテトラブチルアンモニウムオキサレート、及び類似物などが挙げられる。
【0072】
「ヘテロ環状チオール化合物」という用語は、次の一般式から選択される環構造またはそれらの互変異性体を含むヘテロ環状チオール化合物を指す:
【0073】
【化4】
前記環構造は、原子数4~8の単環構造、または原子数5~20の多環構造であり、この単環構造または多環構造は、芳香族、非芳香族またはヘテロ芳香族環を含み、Xは、単結合によって環中に結合しておりそしてCR
1R
2、O、S、Se、TeまたはNR
3から選択されるか、あるいはXは二重結合によって環中に結合しておりそしてCR
1またはNから選択され、YはCR
1またはNから選択され、そしてR
1、R
2及びR
3は、同一かまたは異なり、H、炭素原子数1~8の置換されたまたは置換されていないアルキル基、炭素原子数1~8の置換されたまたは置換されていないアルケニル基、炭素原子数1~8の置換されたまたは置換されていないアルキニル基、あるいは炭素原子数1~20の置換されたまたは置換されていない芳香族またはヘテロ芳香族基を表す。上記の及び本明細書中の他の箇所で使用する「Xは・・・環中に結合しており」という表現は、「X」に対して反時計回りの結合を指すものであり、SH部分を有する炭素への結合は指さない。
【0074】
ヘテロ環状チオール4及び5は、潜在的に複数の互変異性形態のうちの一つを表すものと理解されたい。例えば、限定はされないが、4は、平衡または不平衡かを問わず、プロトトロピー互変異性体として生じ得る。
【0075】
【化5】
例えば、限定はされないが、5は、平衡または不平衡かを問わず、プロトトロピー互変異性体として生じ得る。
【0076】
【化6】
更に、親銅性表面などの表面や他の成分との溶液での相互作用は、環構造3及び4並びにそれらのそれぞれの互変異性体の相対濃度に影響を及ぼし得る。応じて、プロトトロピー互変異性体(アニュラー互変異性体も含む)と原子価互変異性体は、それらの互変異性形態のいずれかを挙げることによって相互間的に言及され得るものと理解される。
【0077】
本明細書に開示されるポジ作動型感光性組成物中に任意選択的に使用されるヘテロ環状チオール類には、限定はされないが、置換されたまたは置換されていないトリアゾールチオール類、置換されたまたは置換されていないイミダゾールチオール類、置換されたまたは置換されていないトリアジンチオール類、置換されたまたは置換されていないメルカプトピリミジン類、置換されたまたは置換されていないチアジアゾールチオール類、置換されたまたは置換されていないインダゾールチオール類、これらの互変異性体またはこれらの組み合わせなどが挙げられ得る。置換基には、限定はされないが、飽和もしくは不飽和炭化水素基、置換されたもしくは置換されていない芳香族環、脂肪族、芳香族もしくはヘテロ芳香族アルコール、アミン、アミド、イミド、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド及び類似物などが挙げられ得る。このような置換基は、溶解性の向上、基材との相互作用の改良、露光の増強またはハレーション防止染料としての機能のために、ヘテロ環状チオールと協調して使用し得る。
【0078】
このようなヘテロ環状チオールには、限定はされないが、置換されていないもしくは置換された形態の以下の化合物などが挙げら得る:
【0079】
【化7】
2-チオウラシルなどのチオウラシル誘導体は更なる例である。これらには、限定はされないが、5-メチル-2-チオウラシル、5,6-ジメチル-2-チオウラシル、6-エチル-5-メチル-2-チオウラシル、6-メチル-5-n-プロピル-2-チオウラシル、5-エチル-2-チオラシル、5-n-プロピル-2-チオウラシル、5-n-ブチル-2-チオウラシル、5-n-ヘキシル-2-チオウラシル、5-n-ブチル-6-エチル-2-チオウラシル、5-ヒドロキシ-2-チオウラシル、5,6-ジヒドロキシ-2-チオウラシル、5-ヒドロキシ-6-n-プロピル-2-チオウラシル、5-メトキシ-2-チオウラシル、5-n-ブトキシ-2-チオウラシル、5-メトキシ-6-n-プロピル-2-チオウラシル、5-ブロモ-2-チオウラシル、5-クロロ-2-チオウラシル、5-フルオロ-2-チオウラシル、5-アミノ-2-チオウラシル、5-アミノ-6-メチル-2-チオウラシル、5-アミノ-6-フェニル-2-チオウラシル、5,6-ジアミノ-2-チオウラシル、5-アリル-2-チオウラシル、5-アリル-3-エチル-2-チオウラシル、5-アリル-6-フェニル-2-チオウラシル、5-ベンジル-2-チオウラシル、5-ベンジル-6-メチル-2-チオウラシル、5-アセトアミド-2-チオウラシル、6-メチル-5-ニトロ-2-チオウラシル、6-アミノ-2-チオウラシル、6-アミノ-5-メチル-2-チオウラシル、6-アミノ-5-n-プロピル-2-チオウラシル、6-ブロモ-2-チオウラシル、6-クロロ-2-チオウラシル、6-フルオロ-2-チオウラシル、6-ブロモ-5-メチル-2-チオウラシル、6-ヒドロキシ-2-チオウラシル、6-アセトアミド-2-チオウラシル、6-n-オクチル-2-チオウラシル、6-ドデシル-2-チオウラシル、6-テトラドデシル-2-チオウラシル、6-ヘキサデシル-2-チオウラシル、6-(2-ヒドロキシエチル)-2-チオウラシル、6-(3-イソプロピルオクチル)-5-メチル-2-チオウラシル、6-(m-ニトロフェニル)-2-チオウラシル、6-(m-ニトロフェニル)-5-n-プロピル-2-チオウラシル、6-α-ナフチル-2-チオウラシル、6-α-ナフチル-5-t-ブチル-2-チオウラシル、6-(p-クロロフェニル)-2-チオウラシル、6-(p-クロロフェニル)-2-エチル-2-チオウラシル、5-エチル-6-エイコシル-2-チオウラシル、6-アセトアミド-5-エチル-2-チオウラシル、6-エイコシル-5-アリル-2-チオウラシル、5-アミノ-6-フェニル-2-チオウラシル、5-アミノ-6-(p-クロロフェニル)-2-チオウラシル、5-メトキシ-6-フェニル-2-チオウラシル、5-エチル-6-(3,3-ジメチルオクチル)-2-チオウラシル、6-(2-ブロモエチル)-2-チオウラシルなどが挙げられる。
【0080】
この新規ポジ作動型感光性組成物の一つの態様では、これは、上述したような少なくとも一種のヘテロ環状チオール化合物を更に含む。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、該ポリマーは、構造(3)を含む少なくとも一種のポリマーから構成さる。これらの態様のいずれでも、ヘテロ環状チオールは、置換されたトリアゾールチオール、置換されたトリアゾールチオール、置換されていないイミダゾールチオール、置換されたイミダゾールチオール、置換されたトリアジンチオール、置換されていないトリアジンチオール、置換されたメルカプトピリミジン、置換されたメルカプトピリミジン、置換されたチアジアゾール-チオール、置換されたチアジアゾール-チオール、置換されたインダゾールチオール、置換されていないインダゾールチオール、これらの互変異性体及びこれらの組み合わせからなる群から選択し得る。本発明のこの観点の更に別の態様の一つでは、該ポジ作動型感光性組成物は、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリチオール、2-メルカプト-6-メチルピリミジン-4-オール、3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5-オール、2-メルカプトピリミジン-4,6-ジオール、1H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、1H-1,2,4-トリアゾール-5-チオール、1H-イミダゾール-2-チオール、1H-イミダゾール-5-チオール、1H-イミダゾール-4-チオール、2-アザビシクロ[3.2.1]オクタ-2-エン-3-チオール、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン-3-チオール、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-チオール、2-メルカプト-6-メチルピリミジン-4-オール、2-メルカプトピリミジン-4-オール、1-メチル-1H-イミダゾール-2-チオール、1,3,4-チアジアゾ-ル-2,5-ジチオール、1H-インダゾール-3-チオール、これらの互変異性体及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるヘテロ環状チオールを含む。
【0081】
この新規ポジ作動型組成物の一つの態様では、これは、次の一般式から選択される環構造またはそれの互変異性体を含む少なくとも一種のヘテロ環状チオール化合物を更に含む:
【0082】
【化8】
前記環構造は、原子数4~8の単環構造、または原子数5~20の多環構造であり、この単環構造または多環構造は、芳香族、非芳香族またはヘテロ芳香族環を含み、Xは、単結合によって環中に結合しておりそしてCR
1R
2、O、S、Se、TeまたはNR
3から選択されるか、あるいはXは二重結合によって環中に結合しておりそしてCR
1またはNから選択され、YはCR
1またはNから選択され、そしてR
1、R
2及びR
3は、独立して、H、炭素原子数1~8の置換されたアルキル基、炭素原子数1~8の置換されていないアルキル基、炭素原子数1~8の置換されたアルケニル基、炭素原子数1~8の置換されていないアルケニル基、炭素原子数1~8の置換されたアルキニル基、炭素原子数1~8の置換されていないアルキニル基、炭素原子数1~20の置換された芳香族基、炭素原子数1~20の置換されたヘテロ芳香族基、炭素原子数1~20の置換されていない芳香族基、及び炭素原子数1~20の置換されていないヘテロ芳香族基からなる群から選択される。この発明の他の一つの観点では、これは、構造(3)を含む少なくとも一種のポリマーから構成される。この態様の他の一つの観点では、ヘテロ環状チオールは、置換されていないトリアゾールチオール、置換されたトリアゾールチオール、置換されていないイミダゾールチオール、置換されたイミダゾールチオール、置換されたトリアジンチオール、置換されていないトリアジンチオール、置換されたメルカプトピリミジン、置換されていないメルカプトピリミジン、置換されたチアジアゾール-チオール、置換されていないチアジアゾール-チオール、置換されたインダゾールチオール、置換されていないインダゾールチオール、これらの互変異性体及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。この態様の他の一つの観点では、ヘテロ環状チオールは、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリチオール、2-メルカプト-6-メチルピリミジン-4-オール、3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5-オール、2-メルカプトピリミジン-4,6-ジオール、1H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、1H-1,2,4-トリアゾール-5-チオール、1H-イミダゾール-2-チオール、1H-イミダゾール-5-チオール、1H-イミダゾール-4-チオール、2-アザビシクロ[3.2.1]オクタ-2-エン-3-チオール、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン-3-チオール、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-チオール、2-メルカプト-6-メチルピリミジン-4-オール、2-メルカプトピリミジン-4-オール、1-メチル-1H-イミダゾール-2-チオール、1,3,4-チアジアゾ-ル-2,5-ジチオール、1H-インダゾール-3-チオール、これらの互変異性体及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0083】
表面レベリング剤を含むこの発明の観点では、これは、界面活性剤を含んでよい。界面活性剤には特に制限はなく、そしてそれの例には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、及びポリオキシエチレンオレインエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、例えばポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ソルビタン脂肪酸エステル、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノバルミテート、及びソルビタンモノステアレート;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン界面活性剤、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレンソルビタントリオレエート、及びポリオキシエチレンソルビタントリステアレート;フッ素化界面活性剤、例えばF-Top EF301、EF303及びEF352(Jemco Inc.製)、Megafac F171、F172、F173、R08、R30、R90及びR94(Dainippon Ink & Chemicals,Inc.製)、Florad FC-430、FC-431、FC-4430及びFC-4432(Sumitomo 3M Ltd.製)、Asahi Guard AG710、Surflon S-381、S-382、S-386、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106、Surfinol E1004、KH-10、KH-20、KH-30及びKH-40(Asahi Glass Co.,Ltd.製);有機シロキサンポリマー、例えばKP-341、X-70-092及びX-70-093(Shin-Etsu Chemical Co.,Ltd.製);及びアクリル酸もしくはメタクリル酸ポリマー、例えばPolyflow No.75及びNo.95(Kyoeisha Yushikagaku Kogyo K.K.製)などが挙げられる。
【0084】
本明細書に開示される該新規ポジ作動型感光性組成物を用いることによるパターン化されたフォトレジスト層の製造のための手順は、慣用のものであることができる。例えば、半導体ケイ素ウェハなどの基材または上述したような金属コーティングを備えた基材に、スピンコーターなどの適当なコーティング機を用いることにより溶液の形態の感光性組成物を均一にコーティングし、その後、熱対流炉またはホットプレートでベークしてフォトレジスト層を形成し、次いでこのフォトレジスト層を、露光装置でフォトマスクを通してまたは所望のパターンを有する反射性マスクから、低圧、高圧及び超高圧水銀ランプ、アークランプ、キセノンランプ、ArF、KrF及びF2エキシマレーザー、電子ビーム、X線、極端UV源及び類似物から放射された深紫外線、近紫外線または可視光線などの化学放射線に像様に暴露、及び所望のパターンに応じて電子ビーム走査して、レジスト層中にパターンの潜像を形成する。化学放射線は250nm~436nmの範囲であってよい。その後、フォトレジスト層中の潜像を、任意選択的に、熱対流炉またはホットプレートでベークし、テトラ(C1~C4アルキル)アンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの1~10%w/w濃度の水溶液などのアルカリ性現像液を用いて現像して、フォトマスクのパターンに対し忠実度の高いパターン化されたフォトレジスト層を形成することができる。
【0085】
厚さは、2ミクロンから100ミクロンの範囲であり得る。これらの厚さを達成するためには、様々なスピン速度及び全固形物濃度の組み合わせを使用し得る。基材の大きさに依存して、500rpm~10,000rpmのスピン速度を使用してよい。濃度は、ポジ作動型感光性組成物中の全固形物の百分率w/wとして表すことができる。限定はされないが、例示的な全固形分率w/wは0.05%~65%である。限定はされないが、他の例示的な全固形分率w/wは20%~60%である。限定はされないが、更に他の例示的な全固形分率w/wは40%~55%である。
【0086】
該ポジ作動型感光性組成物は、一種以上のポリマー、一種以上の光酸発生剤、一種以上の溶剤及び先に示した一種以上のヘテロ環状チオール添加剤を含む。該感光性組成物は、更に、上述したように溶剤を含んでもよい。全固形物のw/w%として表して、例えば、ポリマーは、全固形物の30%~80%で、光酸発生剤は全固形物の0.1%~10%で、ヘテロ環状チオール添加剤は全固形物の0.01%~5%で存在してよい。またその代わりに、ポリマーは、全固形物の40%~60%で、光酸発生剤は全固形物の0.2%~5%で、ヘテロ環状チオール添加剤は全固形物の0.01%~2%で存在してよい。
【0087】
本明細書に更に開示のものは、ポジ型レリーフ画像の形成方法であり、この方法は、本明細書に記載のポジ作動型感光性組成物を基材に塗布して感光層を形成し;この感光性層を化学線に像様露光して潜像を形成し;及びこの潜像を現像剤で現像することを含む。任意選択的に、像様露光された感光性層は、解保護のケミストリーに依存して、熱処理してよい。
【0088】
ポジ型レリーフ画像を形成するこの方法の一つの態様では、これは次のステップ:
a)本発明によるポジ作動型感光性組成物を基材上に施与することによって感光性層を形成するステップ;
b)感光性層を化学線で像様露光して潜像を形成するステップ;及び
c)潜像を現像剤中で現像するステップ、及び
d)任意選択的に、前記像様露光された感光性層を熱処理するステップ、
を含む。
【0089】
この本発明の方法の他の一つの観点では、現像剤は、テトラ(C1~C4アルキル)アンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含む。
【0090】
この本発明の方法の他の一つの態様では、該ポジ作動型感光性組成物は、次の一般式から選択される環構造またはそれの互変異性体を含む少なくとも一種のヘテロ環状チオール化合物を更に含む:
【0091】
【化9】
前記環構造は、原子数4~8の単環構造、または原子数5~20の多環構造であり、この単環構造または多環構造は、芳香族、非芳香族またはヘテロ芳香族環を含み、Xは、単結合によって環中に結合しておりそしてCR
1R
2、O、S、Se、TeまたはNR
3から選択されるか、あるいはXは二重結合によって環中に結合しておりそしてCR
1またはNから選択され、YはCR
1またはNから選択され、そしてR
1、R
2及びR
3は、独立して、H、炭素原子数1~8の置換されたアルキル基、炭素原子数1~8の置換されていないアルキル基、炭素原子数1~8の置換されたアルケニル基、炭素原子数1~8の置換されていないアルケニル基、炭素原子数1~8の置換されたアルキニル基、炭素原子数1~8の置換されていないアルキニル基、炭素原子数1~20の置換された芳香族基、炭素原子数1~20の置換されたヘテロ芳香族基、炭素原子数1~20の置換されていない芳香族基、及び炭素原子数1~20の置換されていないヘテロ芳香族基からなる群から選択される。
【0092】
この本発明の方法の他の一つの観点では、該ポジ作動型感光性組成物において、少なくとも一つの酸解裂性基を有する一つ以上の繰り返し単位を含む一つ以上の(メタ)アクリレート繰り返し単位を含むポリマーは次の式(3)を有する:
【0093】
【化10】
式中、R
8~R
12は、独立して、-H、Fまたは-CH
3であり、Aは、線状または分枝状C
1~C
10アルキレン基であり、Bは、C
1~C
12アルキルもしくは脂環式基であり、Dは連結基であり、この連結基は、化学結合、カルボキレート基(ここでそのカルボニル炭素はポリマー主鎖に結合する)または-COOCH
2-基(ここでそのカルボニル炭素はポリマー主鎖に結合する)であることができ、Arは、置換されたもしくは置換されていない芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、Eは、線状もしくは分枝状C
2~C
10アルキレン基であり、Gは、酸解裂性基であり、vは0~10モル%、wは0モル%~20モル%、xは14モル%~80モル%、yは0モル%~40モル%であり、そしてzは20モル%~50モル%である。この本発明の方法の他の一つの観点では、該ポジ作動型感光性組成物は、該感光性組成物について先に述べた任意の態様のいずれかに記載したような少なくとも一種のヘテロ環状チオール化合物を含む。
【0094】
ポジ型レリーフ画像を形成する上記方法のいずれにおいても、化学線の波長は約240nm~約450nmである。
【0095】
上記で触れた文献はそれぞれ、全ての目的に関してその内容の全てが本明細書に掲載されたものとする。以下の具体例は、本発明のポジ作動型感光性組成物を製造及び利用する方法の詳細な例示を与えるものである。しかし、これらの例は、本発明の範囲を如何様にも限定もしくは減縮することを意図したものではなく、本発明を実施するために排他的に利用しなければならない条件、パラメータまたは値を教示するものと解釈するべきではない。
【実施例】
【0096】
具体例に基づいて本発明を説明及び記載したが、本願発明が属する技術の分野の当業者に自明な様々な変更及び改変は、添付の特許請求の範囲に記載の発明の趣旨、範囲及び思想の範囲内であると思料される。
【0097】
モノマー並びに他の化学品及び溶剤は、他に記載がなければ、Sigma-Aldrich Corp.(米国ミズーリ州セント・ルイス在)から入手した。
【0098】
合成例
合成例1:
【0099】
【化11】
モノマー繰り返し単位の割合をモル百分率として記載する。この例では、6.46gのメタクリル酸、35.24gのベンジルメタクリレート、43.25gのヒドロキシプロピルメタクリレート、54.47gのtert-ブチルアクリレートを、209.1gのPGME溶剤中に混入した。重合反応は、2.3gのAIBNの存在下に、90℃で窒素下に18時間進行する。室温まで冷却した後、反応混合物をDI水中で析出させた。ポリマー固形物を洗浄し、45℃で真空下に乾燥すると、15,072ダルトンの重量平均分子量を有する137.1g(収率98%)が生じた。
【0100】
合成例2:
【0101】
【化12】
モノマー繰り返し単位の割合をモル百分率として記載する。この例では、4.32gのアクリル酸、24.67gのベンジルメタクリレート、34.60gのヒドロキシプロピルメタクリレート、46.14gのtert-ブチルアクリレートを、207.1gのPGME溶剤中に混入した。重合反応は、1.84gのAIBNの存在下に、90℃で窒素下に18時間進行した。室温まで冷却した後、反応混合物をDI水中で析出させた。ポリマー固形物を洗浄し、45℃で真空下に乾燥すると、16,138ダルトンの重量平均分子量を有する107.3g(収率98%)が生じた。
【0102】
合成例3:
【0103】
【化13】
2.7gのアクリル酸、6.5gのメトキシエチルアクリレート、15.4gのベンジルメタクリレート、21.6gのヒドロキシプロピルメタクリレート、24.9gのtert-ブチルメタクリレートを、135.2gのPGME溶剤中に混入した。重合反応は、1.6gのAIBNの存在下に、90℃で窒素下に18時間進行した。室温まで冷却した後、反応混合物をDI水中で析出させた。白色のポリマー固形物を洗浄し、45℃で真空下に乾燥すると、17,153ダルトンの重量平均分子量を有する70.3g(収率99%)が生じた。
【0104】
合成例4:
【0105】
【化14】
モノマー繰り返し単位の割合をモル百分率として記載する。この例では、7.16gのメトキシエチルアクリレート、15.86gのベンジルメタクリレート、25.23gのヒドロキシプロピルメタクリレート、32.78gの1-エチルシクロペンチルメタクリレート(日本国大阪在の大阪有機化学工業)を、152.6gのPGME溶剤中に混入した。重合反応は、1.2gのAIBNの存在下に、90℃で窒素下に18時間進行した。室温まで冷却した後、反応混合物をDI水中で析出させた。ポリマー固形物を洗浄し、45℃で真空下に乾燥すると、17,888ダルトンの重量平均分子量を有する79.3g(収率98%)が生じた。
【0106】
合成例5(トリブチルアンモニウムオキサレート(TBAオキサレート))
シュウ酸(10g)を50mLの無水メタノールと混合し、そして0℃に冷却した。同様に0℃に急冷したトリブチルアミン(マサチューセッツ、ウォルサム在のThermo Fisher Scientific社)を、シュウ酸の前記の攪拌された混合物に約1/2時間かけて添加した。この添加の後、反応混合物を室温まで戻し、そして一晩攪拌した。この時間の後、メタノールを真空下に除去して、白色の非晶質の有機塩を得た。この固形物を10mLの無水ジエチルエーテル(Thermo Fisher Scientific社)中に分散し、攪拌し、そしてこの懸濁液を濾過して塩を回収し、そしてこのプロセスを繰り返した。最後の濾過の後、重量が一定になるまで真空下に約70℃で生成物を乾燥して、約100%収率の白色の固形物を得た。この白色固形物の赤外スペクトルは、約1730及び1650cm-1に二つの明らかなカルボニル吸収ピークを示す。
【0107】
合成例6(ノボラックポリマー成分の市販の原料及び製造法)
以下の調合物例では、三種のノボラックポリマーを使用した。ノボラック-1は、m-クレゾール及びホルムアルデヒドから合成し、2.38%水性TMAH現像剤中で700Å/秒のバルク溶解速度を有した;これは、ベルギー、ブリュッセル在のAllnexから入手した(SPN-560 S Resin)。ノボラック-2は、m-クレゾール及びホルムアルデヒドから合成し、2.38%水性TMAH現像剤中で1,600Å/秒のバルク溶解速度を有した;これは、ベルギー、ブリュッセル在のAllnexから入手した(SPN-560 F Resin)。ノボラック-3は、ノボラック-1とノボラック-2の1/1ブレンドであり、2.38%水性TMAH現像剤(フィラデルフィア州(PA)在のEMD Performance Materials製のAZ(登録商標)300MIF現像剤)中で1,000Å/秒のバルク溶解速度を有する。
【0108】
以下のレジスト調合物中のPAG成分である1,3-ジオキソ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2(3H)-イルトリフルオロメタンスルホネート(ナフタレンジカルボキシイミジルトリフレート(NIT)とも称される)は、韓国、ソウル在のENF Technologyから入手した。
【0109】
コーティング:全ての調合物は、8インチ径のSi及びCuウェハ上で試験した。Siウェハは脱水ベークし、そしてヘキサメチルジシラザン(HMDS)で蒸気下地処理した。Cuウェハは、5,000オングストロームの二酸化ケイ素、250オングストロームの窒化タンタル、及び3,500オングストロームのCu(PVD蒸着)でコーティングしたケイ素ウェハであった。
【0110】
フォトレジストコーティングは、フォトレジストサンプルをスピンコートし、そしてコンタクトモードで標準的なウェハトラックホットプレートを用いて130℃で300秒間のソフトベークを適用することによって用意した。スピン速度は、均一性試験のために80ミクロン厚のフォトレジストフィルムを得るように、及びリソグラフィ画像形成試験のために50ミクロン厚のフォトレジストフィルムを得るように、調節した。全てのフィルム厚測定は、光学的測定法を用いてSiウェハ上で行った。コーティング均一性は、Foothill KT-22(Foothill Instruments,LLC,米国、カリフォルニア州、ラ・カナダ在)で3mmのエッジ除外をしてホールウェハ上46ポイントとして測定した。
【0111】
画像形成:これらのウェハを、SUSS MA200 CCマスクアライナー(米国、カリフォルニア州、コロナ在のSUSS MicroTec Inc.)で露光した。フォトレジストを、100℃で100秒間ポスト露光ベークし、そしてAZ300MIF現像剤(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド=TMAHの0.26N水溶液)中で23℃で240秒間パドル現像した。現像されたフォトレジスト画像は、Hitachi S4700またはAMRAY 4200L電子顕微鏡を用いて検査した。
【0112】
調合物例
処方例1:合成例1の19.2gのポリマー、29.0gのノボラック-3、0.36gの1,3-ジオキソ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-2(3H)-イルトリフルオロメタンスルホネート(ナフタレンジカルボキシイミジルトリフレート、NITとも称する)(NIT PAG)、0.05gの6-メチル-2-チオウラシル(2-メルカプト-6-メチルピリミジン-4-オールとも称する)、0.036gのテトラブチルアンモニウムオキサレート及び0.050gのAPS-437を、51.3gのPGMEA溶剤中に溶解して、溶液を調製した。この溶液を濾過し、そしてコーティング均一性試験のためにSiウェハ上にコーティングした。
【0113】
処方例2:合成例1の19.2gのポリマー、29.0gのノボラック-3、0.36gのNIT PAG、0.05gの6-メチル-2-チオウラシル、0.036gのテトラブチルアンモニウムオキサレート(Merck KGaA、PM-I、ウィースバーデン、独国供給業者情報)及び0.050gのAPS-437を51.3gのPGMEA及び共溶剤としての約64:36の重量比の3-メトキシブチルアセテート中に溶解して溶液を調製した。この溶液を濾過し、そしてコーティング均一性試験のためにSiウェハ上にコーティングした。
【0114】
処方例3:合成例1の19.2gのポリマー、29.0gのノボラック-3、0.36gのNIT PAG、0.05gの6-メチル-2-チオウラシル、0.036gのテトラブチルアンモニウムオキサレート及び0.050gのAPS-437(東京在の信越化学工業株式会社、日本企業)を51.3gのPGMEA及び(共溶剤としての約64:36の重量比の)3-エトキシエチルアセテート中に溶解して溶液を調製した。この溶液を濾過し、そしてコーティング均一性試験のためにSiウェハ上にコーティングした。
【0115】
処方例4:合成例1の19.2gのポリマー、29.0gのノボラック-3、0.36gのNIT PAG、0.05gの6-メチル-2-チオウラシル、0.036gのテトラブチルアンモニウムオキサレート及び0.050gのAPS-437を51.3gのPGMEA及び(共溶剤としての約64:36の重量比の)2-ブトキシエチルアセテート中に溶解して溶液を調製した。この溶液を濾過し、そしてコーティング均一性試験のためにSiウェハ上にコーティングした。
【0116】
処方例5:合成例1の19.2gのポリマー、29.0gのノボラック-3、0.36gのNIT PAG、0.05gの6-メチル-2-チオウラシル、0.036gのテトラブチルアンモニウムオキサレート及び0.050gのAPS-437を51.3gのPGMEA及び(共溶剤としての約64:36の重量比の)プロピレングリコールジアセテート中に溶解して溶液を調製した。この溶液を濾過し、そしてコーティング均一性試験のためにSiウェハ上にコーティングした。
【0117】
処方例6:合成例1の19.2gのポリマー、29.0gのノボラック-3、0.36gのNIT PAG、0.05gの6-メチル-2-チオウラシル、0.036gのテトラブチルアンモニウムオキサレート及び0.050gのAPS-437を51.3gのPGMEA及び(共溶剤としての約64:36の重量比の)エチレングリコールジアセテート中に溶解して溶液を調製した。この溶液を濾過し、そしてコーティング均一性試験のためにSiウェハ上にコーティングした。
【0118】
処方例7:合成例1の19.2gのポリマー、29.0gのノボラック-3、0.36gのNIT PAG、0.05gの6-メチル-2-チオウラシル、0.036gのテトラブチルアンモニウムオキサレート及び0.050gのAPS-437を51.3gのPGMEA及び(共溶剤としての約80:20の重量比の)γ-ブチロラクトン中に溶解して溶液を調製した。この溶液を濾過し、そしてコーティング均一性試験のためにSiウェハ上にコーティングした。
【0119】
処方例8:合成例1の19.2gのポリマー、29.0gのノボラック-3、0.36gのNIT PAG、0.05gの6-メチル-2-チオウラシル、0.036gのテトラブチルアンモニウムオキサレート及び0.050gのAPS-437を51.3gのPGMEA及び(共溶剤としての約64:36の重量比の)エチル3-エトキシプロピオネート中に溶解して溶液を調製した。この溶液を濾過し、そしてコーティング均一性試験のためにSiウェハ上にコーティングした。
【0120】
処方例9:合成例1の19.2gのポリマー、29.0gのノボラック-3、0.36gのNIT PAG、0.036gのテトラブチルアンモニウムオキサレート及び0.050gのAPS-437を51.3gのPGMEA及び(共溶剤としての約64:36の重量比の)2-メトキシブチルアセテート中に溶解して溶液を調製した。この溶液を濾過し、そしてコーティング均一性試験のためにSiウェハ上にコーティングした。
【0121】
処方例10:合成例1の19.2gのポリマー、29.0gのノボラック-3、0.36gのNIT PAG、0.05gの6-メチル-2-チオウラシル、0.036gのテトラブチルアンモニウムオキサレート及び0.050gのAPS-437を51.3gのPGMEA及び(共溶剤としての約45:55の重量比の)2-メトキシブチルアセテート中に溶解して溶液を調製した。この溶液を濾過し、そしてコーティング均一性試験のためにSiウェハ上にコーティングした。
【0122】
Foothill KT-22(Foothill Instruments,LLC,米国、カリフォルニア州、ラ・カナダ在)で測定したコーティング均一性試験は、一般的に、目的のフィルム厚が厚くなるほどに悪くなった。縁のフィルム厚は、中央のフィルム厚よりも厚くなり、特にフィルム厚は60ミクロンを超えた。それ故、コーティング均一性の標準偏差は、3mmなど、エッジ除外が短いほど大きくなった。溶剤組成物は、コーティング均一性に対して強い効果を有した。
【0123】
表1は、フィルム厚80ミクロンのためのと同じコーティングレシピでSUSSコータで行ったコーティング試験を示す。
【0124】
溶剤d1)、d2)またはd3)の本発明の組成物を含む調合物2、5、7及び9は、全て、10%未満の標準偏差%を有するコーティング均一性を与える。
【0125】
更に、ヘテロ環状チオール化合物は、コーティング均一性に効果を持たない。具体的には、ヘテロ環状チオール化合物を含まないことは除いて調合物2と同じである調合物9は、同じコーティング条件下において両方とも10%未満の標準偏差%のほぼ同じコーティング均一性を与える。
【0126】
他方、PGMEA単独を用いた調合物1、2-エトキシアセテートとPGMEAとの混合物を用いた調合物3及び4、エチレングリコールジアセテート及びPGMEAを用いた調合物6、エチル3-エトキシプロピオネート及びPGMEAを用いた調合物8、3-メトキシブチルアセテートとPGMEAとの混合物を用いた調合物10(但し、3-メトキシブチルアセテートは40%超)は、全て、10%を超える標準偏差%を持つコーティング均一性を与える。
【0127】
その結果、以下のような三つの本発明による混合溶剤系のみが、良好なコーティング均一性をもたらす。
d1)95重量%のPGMEA及び5重量%の3MBAから61重量%のPGMEA及び39重量%の3MBAの範囲の、PGMEAと3MBAとの組成物から本質的になる溶剤混合物;
d2)95重量%のPGMEA及び5重量%のGBLから20重量%のPGMEA及び80重量%のGBLの範囲の、PGMEAとGBLとの組成物から本質的になる溶剤混合物;及び
d3)95重量%のPGMEA及び5重量%のPGDAから20重量%のPGMEA及び80重量%のPGDAの範囲の、PGMEAとPGDAとの組成物から本質的になる溶剤混合物。
【0128】
更に、調合物2及び10をリソグラフィ試験し、そして比較した。これらの試験は、均一性試験ついて先に記載したのと同じようにして用意したが、より薄いフィルムを得るようにより高速でスピンした50ミクロン厚のフィルムを用いて行った。リソグラフィ性能は、上記の画像形成及び現像条件を用いて250mJ/cm2の露光線量において、10ミクロンのピッチ及び5/1のアスペクト比(50ミクロンのフィルム厚でオープンな10μmライン)で10ミクロンのラインを画像形成することによって確認した。これらの条件下では、調合物2を用いた場合は露光された画像にはラインの崩壊は見られなかったが、40重量%を超える量で3MBAを含む調合物10を用いた場合は広い範囲のパターン崩壊が観察されたことが確認された。これらの条件下では、調合物2を用いた場合は露光された画像にはラインの崩壊は見られなかったが、40重量%を超える量で3MBAを含む調合物10を用いた場合は広い範囲のパターン崩壊が観察されたことが確認された。それ故、3-メトキシブチルアセテートをより多く(40重量%超)負荷すると、解消に本願の新規組成物を必要とする、コーティング均一性及びリソグラフィ性能の両方に関連する予期できない問題を招く。
【0129】
【表1】
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1.
a)少なくとも一種の光酸発生剤;
b)少なくとも一種のノボラックポリマー;
c)一つ以上の(メタ)アクリレート繰り返し単位を含み、及び更に少なくとも一つの酸解裂性基を有する一つ以上の繰り返し単位を含む、少なくとも一種のポリマー;及び
d)次のd1)、d2)及びd3)からなる群から選択される溶剤混合物;
d1)95重量%のPGMEA及び5重量%の3MBAから61重量%のPGMEA及び39重量%の3MBAの範囲の、PGMEAと3MBAとの組成物から本質的になる溶剤混合物;
d2)95重量%のPGMEA及び5重量%のGBLから20重量%のPGMEA及び80重量%のGBLの範囲の、PGMEAとGBLとの組成物から本質的になる溶剤混合物;及び
d3)95重量%のPGMEA及び5重量%のPGDAから20重量%のPGMEA及び80重量%のPGDAの範囲の、PGMEAとPGDAとの組成物から本質的になる溶剤混合物、
を含む、ポジ作動型感光性組成物。
2.
前記少なくとも一種の光酸発生剤が、オニウム塩、ジカルボキシイミジルスルホネートエステル、オキシムスルホネートエステル、ジアゾ(スルホニルメチル)化合物、ジスルホニルメチレンヒドラジン化合物、ニトロベンジルスルホネートエステル、ビイミダゾール化合物、ジアゾメタン誘導体、グリオキシム誘導体、β-ケトスルホン誘導体、ジスルホン誘導体、スルホン酸エステル誘導体、イミドイルスルホネート誘導体、及びハロゲン化トリアジン化合物からなる群から選択される、上記1.に記載のポジ作動型感光性組成物。
3.
前記少なくとも一種のノボラックポリマーが、o-クレゾール、p-クレゾール及びm-クレゾールからなる群から選択される一種以上のクレゾール系繰り返し単位を含み、好ましくは、前記少なくとも一種のノボラックポリマーが、少なくとも80モル%のm-クレゾールを含むクレゾール系ノボラックである、上記1.または2.に記載のポジ作動型感光性組成物。
4.
一つ以上の(メタ)アクリレート繰り返し単位を含み、及び更に、少なくとも一つの酸解裂性基を有する一つ以上の繰り返し単位を含む前記少なくとも一種のポリマーが次式の構造を含む、上記1.~3.のいずれか一つに記載のポジ作動型感光性組成物。
【化15】
[式中、R
8
~R
12
は、独立して、-H、Fまたは-CH
3
であり、Aは、線状または分枝状C
1
~C
10
アルキレン基であり、Bは、C
1
~C
12
アルキルもしくは脂環式基であり、Dは連結基であり、この連結基は、化学結合、カルボキレート基(ここでそのカルボニル炭素はポリマー主鎖に結合する)または-COOCH
2
-基(ここでそのカルボニル炭素はポリマー主鎖に結合する)であることができ、Arは、置換されたもしくは置換されていない芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、Eは、線状もしくは分枝状C
2
~C
10
アルキレン基であり、Gは、酸解裂性基であり、vは0モル%~10モル%、wは0モル%~20モル%、xは14モル%~80モル%、yは0モル%~40モル%であり、そしてzは20モル%~50モル%であり、但し、v+w+x+y+zは100%である。]
5.
Aが、メチレン基、エチレン基または1,2-プロピレン基であり、そしてBがメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基である、上記4.に記載のポジ作動型感光性組成物。
6.
Gが、アシドリシスのプロセスを介して解裂可能な酸解裂性基であり、ここで、Gは、好ましくは、t-ブチル基、テトラヒドロピラン-2-イル基、テトラヒドロフラン-2-イル基、4-メトキシテトラヒドロピラン-4-イル基、1-エトキシエチル基、1-ブトキシエチル基、1-プロポキシエチル基、3-オキソシクロヘキシル基、2-メチル-2-アダマンチル基、2-エチル-2-アダマンチル基、8-メチル-8-トリシクロ[5.2.1.0 2,6]デシル基、1,2,7,7-テトラメチル-2-ノルボニル基、2-アセトキシメンチル基、2-ヒドロキシメチル基、1-メチル-1-シクロヘキシルエチル基、4-メチル-2-オキソテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル基、2,3-ジメチルブタン-2-イル基、2,3,3-トリメチルブタン-2-イル基、1-メチルシクロペンチル基、1-エチルシクロペンチル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-エチルシクロヘキシル基、1,2,3,3-テトラメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、2-エチル-1,3,3-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-2-イル基、2,3-ジメチルペンタン-3-イル基、及び3-エチル-2-メチルペンタン-3-イル基からなる群から選択される酸解裂性基である、上記4.または5.に記載のポジ作動型感光性組成物。
7.
Aが、メチレン基、エチレン基または1,2-プロピレン基であり、Dが、-COOCH
2
-または-COO-基であり、そしてArが、フェニルまたはヒドロキシフェニル基であり、及び/またはEが1,2-プロピレン基である、上記4.~6.のいずれか一つに記載のポジ作動型感光性組成物。
8.
次の一般式から選択される環構造またはそれの互変異性体を含む少なくとも一種のヘテロ環状チオール化合物を更に含む、上記1.~7.のいずれか一つに記載のポジ作動型感光性組成物。
【化16】
[式中、前記環構造は、原子数4~8の単環構造、または原子数5~20の多環構造であり、この単環構造または多環構造は、芳香族、非芳香族またはヘテロ芳香族環を含み、Xは、単結合によって環中に結合しておりそしてCR
1
R
2
、O、S、Se、Te及びNR
3
からなる群から選択されるか、あるいはXは二重結合によって環中に結合しておりそしてCR
1
及びNからなる群から選択され、YはCR
1
及びNからなる群から選択され、そしてR
1
、R
2
及びR
3
は、独立して、H、炭素原子数1~8の置換されたアルキル基、炭素原子数1~8の置換されていないアルキル基、炭素原子数1~8の置換されたアルケニル基、炭素原子数1~8の置換されていないアルケニル基、炭素原子数1~8の置換されたアルキニル基、炭素原子数1~8の置換されていないアルキニル基、炭素原子数1~20の置換された芳香族基、炭素原子数1~20の置換されたヘテロ芳香族基、炭素原子数1~20の置換されていない芳香族基、及び炭素原子数1~20の置換されていないヘテロ芳香族基からなる群から選択される。]
9.
前記ヘテロ環状チオールが、置換されていないトリアゾールチオール、置換されたトリアゾールチオール、置換されていないイミダゾールチオール、置換されたイミダゾールチオール、置換されたトリアジンチオール、置換されていないトリアジンチオール、置換されたメルカプトピリミジン、置換されていないメルカプトピリミジン、置換されたチアジアゾール-チオール、置換されていないチアジアゾール-チオール、置換されたインダゾールチオール、置換されていないインダゾールチオール、これらの互変異性体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、及び前記ヘテロ環状チオールが、好ましくは、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリチオール、2-メルカプト-6-メチルピリミジン-4-オール、3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5-オール、2-メルカプトピリミジン-4,6-ジオール、1H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、1H-1,2,4-トリアゾール-5-チオール、1H-イミダゾール-2-チオール、1H-イミダゾール-5-チオール、1H-イミダゾール-4-チオール、2-アザビシクロ[3.2.1]オクタ-2-エン-3-チオール、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン-3-チオール、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-チオール、2-メルカプト-6-メチルピリミジン-4-オール、2-メルカプトピリミジン-4-オール、1-メチル-1H-イミダゾール-2-チオール、1,3,4-チアジアゾール-2,5-ジチオール、1H-インダゾール-3-チオール、これらの互変異性体及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、上記8.に記載のポジ作動型感光性組成物。
10.
次の一般式から選択される環構造またはそれの互変異性体を含む少なくとも一種のヘテロ環状チオール化合物を更に含む、上記4.~9.のいずれか一つに記載のポジ作動型感光性組成物。
【化17】
[前記環構造は、原子数4~8の単環構造、または原子数5~20の多環構造であり、この単環構造または多環構造は、芳香族、非芳香族またはヘテロ芳香族環を含み、Xは、単結合によって環中に結合しておりそしてCR
1
R
2
、O、S、Se、TeまたはNR
3
から選択されるか、あるいはXは二重結合によって環中に結合しておりそしてCR
1
またはNから選択され、YはCR
1
またはNから選択され、そしてR
1
、R
2
及びR
3
は、独立して、H、炭素原子数1~8の置換されたアルキル基、炭素原子数1~8の置換されていないアルキル基、炭素原子数1~8の置換されたアルケニル基、炭素原子数1~8の置換されていないアルケニル基、炭素原子数1~8の置換されたアルキニル基、炭素原子数1~8の置換されていないアルキニル基、炭素原子数1~20の置換された芳香族基、炭素原子数1~20の置換されたヘテロ芳香族基、炭素原子数1~20の置換されていない芳香族基、及び炭素原子数1~20の置換されていないヘテロ芳香族基からなる群から選択される。]
11.
前記ヘテロ環状チオールが、置換されていないトリアゾールチオール、置換されたトリアゾールチオール、置換されていないイミダゾールチオール、置換されたイミダゾールチオール、置換されたトリアジンチオール、置換されていないトリアジンチオール、置換されたメルカプトピリミジン、置換されていないメルカプトピリミジン、置換されたチアジアゾール-チオール、置換されていないチアジアゾ-ル-チオール、置換されたインダゾールチオール、置換されていないインダゾールチオール、これらの互変異性体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、及び前記ヘテロ環状チオールが、好ましくは、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリチオール、2-メルカプト-6-メチルピリミジン-4-オール、3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5-オール、2-メルカプトピリミジン-4,6-ジオール、1H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、1H-1,2,4-トリアゾール-5-チオール、1H-イミダゾール-2-チオール、1H-イミダゾール-5-チオール、1H-イミダゾール-4-チオール、2-アザビシクロ[3.2.1]オクタ-2-エン-3-チオール、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン-3-チオール、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-チオール、2-メルカプト-6-メチルピリミジン-4-オール、2-メルカプトピリミジン-4-オール、1-メチル-1H-イミダゾール-2-チオール、1,3,4-チアジアゾ-ル-2,5-ジチオール、1H-インダゾール-3-チオール、これらの互変異性体及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、上記10.に記載のポジ作動型感光性組成物。
12.
ポジ型レリーフ画像を形成する方法であって、
a)上記1.~11.のいずれか一つに記載のポジ作動型感光性組成物を基材上に施与することによって感光性層を形成し;
b)前記感光性層を化学線で像様露光して潜像を形成し、ここで前記化学線の波長が約240nm~約450nmであり;及び
c)前記潜像を現像剤中で現像する、
ことを含む、前記方法。
13.
追加のステップd):
d)前記の像様露光された感光性層を熱処理するステップ、
を含む、上記12.に記載のポジ型レリーフ画像を形成する方法。
14.
現像剤が、テトラ(C
1
~C
4
アルキル)アンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含む、上記12.または13.に記載の方法。
15.
少なくとも一つの酸解裂性基を有する一つ以上の繰り返し単位を含む一つ以上の(メタ)アクリレート繰り返し単位を含む前記ポリマーを含む前記ポジ作動型感光性組成物が次式を有する、上記12.~14.のいずれか一つに記載の方法。
【化18】
[式中、R
8
~R
12
は、独立して、-H、Fまたは-CH
3
であり、Aは、線状または分枝状C
1
~C
10
アルキレン基であり、Bは、C
1
~C
12
アルキルもしくは脂環式基であり、Dは連結基であり、この連結基は、化学結合、カルボキレート基(ここでそのカルボニル炭素はポリマー主鎖に結合する)または-COOCH
2
-基(ここでそのカルボニル炭素はポリマー主鎖に結合する)であることができ、Arは、置換されたもしくは置換されていない芳香族基またはヘテロ芳香族基であり、Eは、線状もしくは分枝状C
2
~C
10
アルキレン基であり、Gは、酸解裂性基であり、vは0~10モル%、wは0モル%~20モル%、xは14モル%~80モル%、yは0モル%~40モル%であり、そしてzは20モル%~50モル%である。]