(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】多色性軟X線回折に基づいた半導体計測のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20221122BHJP
G01B 15/00 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G01B15/00 Z
(21)【出願番号】P 2020501162
(86)(22)【出願日】2018-07-11
(86)【国際出願番号】 US2018041533
(87)【国際公開番号】W WO2019014283
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-06-25
(32)【優先日】2017-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワック ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シチェグロフ アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】ホディキン オレグ
(72)【発明者】
【氏名】クズネツォフ アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】アルテミエフ ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン マイケル
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-504045(JP,A)
【文献】特開2015-078835(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0273662(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
80電子ボルト~3,000電子ボルトの光子エネルギー範囲内の複数の照明波長を含む軟X線放射量を生成するように構成されるX線照明源と、
前記X線照明源と半導体ウェハとの間の照明光経路内に配設される1つ以上のX線照明光学素子であって、前記1つ以上のX線照明光学素子が、前記軟X線放射量を、前記半導体ウェハに5~20度の公称グレージング入射角で入射するX線照明ビームとして、前記半導体ウェハ上に焦点を合わせる、1つ以上のX線照明光学素子と、
前記入射X線照明ビームに応じて前記半導体ウェハから散乱されるX線放射量を検出するように構成されるX線検出器と、
前記半導体ウェハ上に配設される構造物を特徴付ける目的のパラメータの値を、検出された前記X線放射量に基づいて決定するように構成されるコンピューティングシステムと
を備え
、
前記1つ以上のX線照明光学素子が、前記複数の照明波長のサブセットを選択し、前記複数の波長の選択された前記サブセットを、前記半導体ウェハに入射するX線照明ビームとして、前記半導体ウェハ上に焦点を合わせることを特徴とする、計測システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計測システムであって、
前記1つ以上のX線照明光学素子が、前記軟X線放射量を、複数の入射角、複数の波長、および複数の方位角で前記半導体ウェハに入射するX線照明ビームとして、前記半導体ウェハ上に同時に焦点を合わせることを特徴とする計測システム。
【請求項3】
請求項1に記載の計測システムであって、
前記1つ以上のX線照明光学素子が、前記複数の波長の選択された前記サブセットを、前記半導体ウェハ上に複数の入射角および複数の方位角で同時に焦点を合わせることを特徴とする計測システム。
【請求項4】
請求項1に記載の計測システムであって、
前記1つ以上のX線照明光学素子が、前記複数の照明波長の前記サブセットを選択する段階的な多層光学素子であることを特徴とする計測システム。
【請求項5】
請求項4に記載の計測システムであって、
前記1つ以上のX線照明光学素子が、複数の入射角および複数の方位角で前記半導体ウェハに入射する前記X線照明ビームの焦点を合わせる、トロイダル構成で配置される楕円形状の光学素子であることを特徴とする計測システム。
【請求項6】
請求項1に記載の計測システムであって、
前記1つ以上のX線照明光学素子が、前記軟X線放射量を、前記半導体ウェハ上に配設される計測目標物上に焦点を合わせ、前記計測目標物が、名目上周期的なユニットセルのアレイを含み、前記名目上周期的なアレイのうちの1つ以上のセルが、前記アレイ内のプログラムされた場所または無作為の場所において、削除される、変位される、または構造的に修正されることを特徴とする計測システム。
【請求項7】
請求項1に記載の計測システムであって、
前記目的のパラメータが、オーバーレイ誤差、限界寸法、およびエッジ載置誤差のいずれかであることを特徴とする計測システム。
【請求項8】
請求項1に記載の計測システムであって、
前記X線照明源の源領域が、10ミクロメートル以下の横方向寸法によって特徴付けられることを特徴とする計測システム。
【請求項9】
請求項1に記載の計測システムであって、
前記1つ以上のX線照明光学素子が、前記軟X線放射量を、0.2以下の拡大係数で前記半導体ウェハ上に焦点を合わせることを特徴とする計測システム。
【請求項10】
請求項1に記載の計測システムであって、
前記X線照明源と前記半導体ウェハとの間の照明光経路のかなりの部分を包絡する第1の真空室をさらに備えることを特徴とする計測システム。
【請求項11】
請求項1に記載の計測システムであって、
前記半導体ウェハと前記X線検出器との間の収集ビーム経路のかなりの部分を包絡する第1の真空室をさらに備えることを特徴とする計測システム。
【請求項12】
請求項1に記載の計測システムであって、
前記X線照明ビームが試料の表面上の任意の場所において前記試料の表面に入射するように、前記試料を前記X線照明ビームに対して位置決めし、前記X線照明ビームが複数の入射角で任意の場所において前記試料の表面に入射するように、前記試料を前記X線照明ビームに対して回転軸の周りで回転させ、前記X線照明ビームが複数の方位角で任意の場所において前記試料の表面に入射するように、前記試料を方位回転軸の周りで回転させるように構成される試料位置決めシステムをさらに備えることを特徴とする計測システム。
【請求項13】
80電子ボルト~3,000電子ボルトの光子エネルギー範囲内の複数の照明波長を含む軟X線放射量を生成することと、
前記軟X線放射量を、半導体ウェハに5~20度の公称グレージング入射角で入射するX線照明ビームとして、前記半導体ウェハ上に焦点を合わせることと、
前記入射X線照明ビームに応じて前記半導体ウェハから散乱されるX線放射量を検出することと、
前記半導体ウェハ上に配設される構造物を特徴付ける目的のパラメータの値を、検出された前記X線放射量に基づいて決定することと
を含
み、
前記複数の照明波長のサブセットを選択し、前記複数の波長の選択された前記サブセットを、前記半導体ウェハ上に焦点を合わせることをさらに含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記軟X線放射量を、複数の入射角、複数の波長、および複数の方位角で前記半導体ウェハに入射するX線照明ビームとして、前記半導体ウェハ上に同時に焦点を合わせることをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、
前記複数の波長の選択された前記サブセットを、前記半導体ウェハ上に複数の入射角および複数の方位角で同時に焦点を合わせることをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、
前記軟X線放射量が、前記半導体ウェハ上に配設される計測目標物上に焦点を合わせられ、前記計測目標物が、名目上周期的なユニットセルのアレイを含み、前記名目上周期的なアレイのうちの1つ以上のセルが、前記アレイ内のプログラムされた場所または無作為の場所において、削除される、変位される、または構造的に修正されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法であって、
前記目的のパラメータが、オーバーレイ誤差、限界寸法、およびエッジ載置誤差のいずれかであることを特徴とする方法。
【請求項18】
80電子ボルト~3,000電子ボルトの光子エネルギー範囲内の複数の照明波長を含む軟X線放射量を生成するように構成されるX線照明源と、
前記X線照明源と半導体ウェハとの間の照明光経路内に配設される1つ以上のX線照明光学素子であって、前記1つ以上のX線照明光学素子が、前記軟X線放射量を、5~20度の公称グレージング入射角で計測目標物に入射するX線照明ビームとして、前記半導体ウェハ上に配設される前記計測目標物上に焦点を合わせ、前記計測目標物が、名目上周期的なユニットセルのアレイを含み、各名目上周期的なユニットセルの1つ以上の構造要素が、前記ユニットセルの各々の中のプログラムされた場所または無作為の場所において削除される、1つ以上のX線照明光学素子と、
前記入射X線照明ビームに応じて前記半導体ウェハから散乱されるX線放射量を検出するように構成されるX線検出器と、
前記半導体ウェハ上に配設される構造物を特徴付ける目的のパラメータの値を、検出された前記X線放射量に基づいて決定するように構成されるコンピューティングシステムと
を備え
、
前記1つ以上のX線照明光学素子が、前記複数の照明波長のサブセットを選択し、前記複数の波長の選択された前記サブセットを前記計測目標物上に焦点を合わせることを特徴とする、計測システム。
【請求項19】
請求項18に記載の計測システムであって、
前記1つ以上のX線照明光学素子が、前記軟X線放射量を、複数の入射角、複数の波長、および複数の方位角で前記計測目標物に入射するX線照明ビームとして、前記計測目標物上に同時に焦点を合わせることを特徴とする計測システム。
【請求項20】
請求項18に記載の計測システムであって、
前記1つ以上のX線照明光学素子が、前記複数の波長の選択された前記サブセットを、前記半導体ウェハ上に複数の入射角および複数の方位角で同時に焦点を合わせることを特徴とする計測システム。
【請求項21】
請求項18に記載の計測システムであって、
前記1つ以上のX線照明光学素子が、前記複数の照明波長の前記サブセットを選択する段階的な多層光学素子であることを特徴とする計測システム。
【請求項22】
請求項21に記載の計測システムであって、
前記1つ以上のX線照明光学素子が、複数の入射角および複数の方位角で前記半導体ウェハに入射する前記X線照明ビームの焦点を合わせる、トロイダル構成で配置される楕円形状の光学素子であることを特徴とする計測システム。
【請求項23】
請求項18に記載の計測システムであって、
前記X線照明源の源領域が、10ミクロメートル以下の横方向寸法によって特徴付けられることを特徴とする計測システム。
【請求項24】
請求項18に記載の計測システムであって、
前記1つ以上のX線照明光学素子が、前記軟X線放射量を、0.2以下の拡大係数で前記半導体ウェハ上に焦点を合わせることを特徴とする計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明される実施形態は、X線計測システムおよび方法、ならびにより詳細には、改善された測定精度のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本特許出願は、米国特許法119条に基づき、2017年7月11日に出願された米国仮特許出願第62/531,187号からの優先権を主張するものであり、その主題は、その全体を本願に引用して援用する。
【0003】
論理およびメモリデバイスなどの半導体デバイスは、典型的には、試料に適用される一連の処理ステップによって製作される。半導体デバイスの様々な特徴部および複数の構造レベルは、これらの処理ステップによって形成される。例えば、中でもリソグラフィは、半導体ウェハ上にパターンを生成することを伴う1つの半導体製作プロセスである。半導体製作プロセスのさらなる例としては、化学機械研磨、エッチング、成膜、およびイオン注入が挙げられるが、これらに限定されない。複数の半導体デバイスが、単一の半導体ウェハ上に製作され、次いで個々の半導体デバイスへと分離されてもよい。
【0004】
計測プロセスは、ウェハ上の欠陥を検出してより高い歩留りを促進するために半導体製造プロセス中の様々なステップにおいて使用される。スキャトロメトリおよびリフレクトメトリ実装ならびに関連分析アルゴリズムを含むいくつかの計測ベースの技術が、ナノスケール構造物の限界寸法、膜厚、構成物、および他のパラメータを特徴付けるために広く使用される。
【0005】
従来、スキャトロメトリ限界寸法測定は、薄膜および/または反復周期構造物からなる目標物に対して実施される。デバイス製作中、これらの膜および周期構造物は、典型的には、実際のデバイスジオメトリおよび材料構造または中間設計を表す。デバイス(例えば、論理およびメモリデバイス)がより小さいナノメートルスケールの寸法へ向かうにつれて、特徴付けはより難しくなる。複雑な3次元ジオメトリおよび多様な物理的性質を有する材料を組み込むデバイスが、特徴付けの難しさに寄与する。
【0006】
ナノ構造物の材料組成および形状に関する正確な情報は、最先端のフロントエンド半導体製造設備のプロセス開発環境においては制限される。散乱光学計測システムは、測定バイアスを回避するために正確な幾何および分散モデルに依存する。先験的に利用可能なナノ構造物の材料組成および形状の限られた知識により、測定レシピ開発および検証は、緩徐で手間のかかるプロセスである。例えば、断面走査電子顕微鏡(TEM)画像が、光学スキャトロメトリモデル開発を導くために使用されるが、TEM撮像は、緩徐で破壊的である。
【0007】
赤外から可視光を利用する散乱光学計測ツールは、サブ波長構造物からゼロ次回折信号を測定する。デバイス限界寸法が縮小し続けると、散乱光学計測の感受性および能力は低くなる。さらに、吸収材が測定下の構造物内に存在するときは、光学領域(例えば、0.5~10ev)内の照明光の浸透および散乱が、従来の光学計測システムの有用性を制限する。
【0008】
同様に、電子ビームベースの計測システムは、照明電子、反射電子、および二次放出電子の吸収および散乱に起因して、半導体構造物に浸透することに苦労する。
【0009】
原子間力顕微鏡(AFM)および走査トンネル顕微鏡(STM)は、原子分解能を達成することができるが、それらは、試料の表面を探査することしかできない。加えて、AFMおよびSTM顕微鏡は、長い走査時間を要し、このことが、大量生産(HVM)状況においてこれらの技術を実現困難にする。
【0010】
走査電子顕微鏡(SEM)は、中間の分解能レベルを達成するが、十分な深さまで構造物に浸透することができない。したがって、高アスペクト比の孔は、十分に特徴付けられない。加えて、試料の必要な投入が、撮像性能に悪影響を及ぼす。
【0011】
硬X線エネルギーレベル(>15keV)で光子を用いる透過型の小角X線スキャトロメトリ(T-SAXS)システムは、困難な測定応用を解決するために有望視されている。しかしながら、奥行きのない構造物からの硬X線の散乱、例えば、論理計測応用が弱く、このことが、達成可能な測定分解能およびスループットを深刻に制限する。そのようなものとして、T-SAXSは、HVM環境における論理計測応用について実行可能な選択肢を示していない。
【0012】
T-SAXSシステムは、近垂直入射照明に起因して、ウェハ上に小ビームフットプリントを達成する。しかしながら、T-SAXSシステムは、測定下のウェハへの適切な透過のためには高エネルギー光子(例えば、>16keV)を要する。典型的には、回折効率は、光子エネルギー(E)を用いて、1/E2とし、回折次数の角度分離は1/Eとする。2D周期構造物の次数重複を回避するために、固体角度アクセプタンスは1/E2とする。これらの縮尺係数は、奥行きのない構造物の計測のためのT-SAXSシステムに厳しい不利益を課す。
【0013】
加えて、すべての以前のパターン化ステップからの回折パターンは、透過型の測定においては現在の層構造物の回折パターンに重畳される。限界金属層の最小ピッチ(すなわち、周期)が10~20%のみ異なる値に収束することが予期されることから、角度アクセプタンスは、検出器において回折信号を分離するために厳しく制限される。そうでない場合、すべての以前の層の幾何情報は、現在の層を特徴付ける計測システムにフィードフォワードされなければならない。典型的には、複雑な大量生産環境という枠組み内では、必要な計測およびプロセス情報を獲得および管理することは非常に困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国特許出願公開第2008/0273662号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来のGI-SAXSシステムは、回折強度を最大限にするために、半導体材料の反射の臨界角(例えば、1度未満のグレージング角)および8keVを上回る光子エネルギー近辺で動作する。これが、ウェハ上に投影される極度に大きい照明ビームスポットサイズ(例えば、1mm超)をもたらす。これは、スクライブライン計測目標物さえ使用不可能なほど大きい。したがって、GI-SAXS測定を実施するためには極度に大きい特殊な計測目標物が、ウェハ上に構築されなければならない。機能ウェハ占有面積のこのような損失は、犠牲が大きい。加えて、GI-SAXS測定の表面感受性は卓越しているが、高アスペクト比の構造物の浸透は、エバネッセント場挙動に起因して非常に制限される。
【0016】
要するに、低アスペクト比の構造物および高アスペクト比の構造物の両方に対する測定能力、ならびにスクライブライン目標物に匹敵する照明ビームスポットサイズを有する寸法計測システムが必要とされている。1つの例においては、高アスペクト比(HAR)の構造物の形状およびエッジ載置パラメータをHVMスループットで予測する計測システムが必要とされる。加えて、計測システムのための測定レシピを開発および検証し、相当な事前の寸法および材料組成情報なしに大量生産(HVM)環境で計測システムを動作することが可能でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
高輝度多色性の反射性小角X線スキャトロメトリ(RSAXS)計測に基づいて半導体構造物の測定を実施するための方法およびシステムが本明細書に提示される。この様式では、RSAXSシステムは、散乱光の1つ以上の回折次数に基づいて試料の性質を決定するために用いられる。
【0018】
半導体ウェハのRSAXS測定は、波長、入射角、および方位角の範囲にわたって、小照明ビームスポットサイズ(例えば、有効な照明スポットにわたって50ミクロメートル未満)で実施される。1つの態様において、RSAXS測定は、5~20度の範囲内のグレージング入射角で軟X線(SXR)領域(すなわち、80~3000eV)内のX線放射により実施される。特定の測定応用のためのグレージング角は、測定下の構造物内への所望の浸透を達成し、小ビームスポットサイズ(例えば、50ミクロメートル未満)で測定情報量を最大限にするように選択される。
【0019】
いくつかの実施形態において、RSAXS計測システムの照明源によって放出される波長は、照明源の動作パラメータを調整することによって選択可能である。
【0020】
いくつかの実施形態において、集束光学素子は、試料への投影のための所望の波長または波長の範囲を選択する段階的な多層を含む。いくつかの例において、集束光学素子は、1つの波長を選択し、選択された波長を、ある範囲の入射角にわたって試料上に投影する段階的な多層構造物を含む。いくつかの例において、集束光学素子は、波長の範囲を選択し、選択された波長を、1つの入射角にわたって試料上に投影する段階的な多層構造物を含む。いくつかの例において、集束光学素子は、波長の範囲を選択し、選択された波長を、入射角の範囲にわたって試料上に投影する段階的な多層構造物を含む。
【0021】
RSAXS計測システムのX線照明源は、有限の横方向寸法(すなわち、ビーム軸に直交する非ゼロ寸法)を有する源領域にわたってX線放出を生成する。1つの態様において、照明源110の源領域は、20ミクロメートル未満の横方向寸法によって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、源領域は、10ミクロメートル以下の横方向寸法によって特徴付けられる。小さい源サイズは、高輝度での試料上の小さい目標物領域の照明を可能にし、測定の正確性、精度、およびスループットを改善する。
【0022】
別の態様において、計測領域上に投影される波長、入射角、および方位角の範囲、または任意のそれらの組み合わせは、集束光学素子のシステムの1つ以上のミラー素子を能動的に位置決めすることによって、同時または連続的のいずれかで調整される。
【0023】
さらなる態様において、集束光学素子は、0.2以下の縮小係数で照明源を測定下の試料上に投影する。これは、入射X線照明スポットのサイズを2ミクロメートル未満にすることを可能にする。
【0024】
別のさらなる態様において、RSAX計測システムは、試料に入射するX線照明ビーム114を形作り、ブロックしなければ測定下の計測目標物を照明することになる照明光の一部分を選択的にブロックするために、1つ以上のビームスリットまたは絞りを含む。1つ以上のビームスリットは、X線照明スポットが測定下の計測目標物の領域内にフィットするようにビームサイズおよび形状を画定する。加えて、1つ以上のビームスリットは、検出器上の回折次数の重複を最小限にするように照明ビーム発散を画定する。
【0025】
別のさらなる態様において、RSAX計測システムは、測定下の計測目標物を同時に照明する照明波長のセットを選択するために、1つ以上のビームスリットまたは絞りを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のスリットは、異なる照明波長を連続的に通過させるように構成される。
【0026】
いくつかの実施形態において、組み合わされた計測ツールは、測定スループットを改善するために、本明細書に説明されるような複数波長SXR回折サブシステム、およびX線リフレクトメトリサブシステムを含む。1つの実施形態において、複数波長SXR回折サブシステムおよびX線リフレクトメトリサブシステムは、測定下の試料、または光学測定サブシステムのうちのいずれかを移動させる必要なしに同時測定または連続測定を可能にする入射直交面を用いる。
【0027】
前述は、要約であり、したがって、必然的に、詳細の簡略化、一般化、および省略を含み、結果として、当業者は、本要約が例証にすぎず、いかようにも制限していないということを理解するものとする。本明細書に説明されるデバイスおよび/またはプロセスの他の態様、発明的特徴、および利点は、本明細書に明記される非限定的な詳細説明において明らかになるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】少なくとも1つの新規の態様において試料の特徴を測定するためのRSAXS計測ツール100の実施形態の簡略例証図である。
【
図2】セグメント化されたトロイダル構成でビーム軸Aの周りに配設される4つのミラー素子を含む集束光学素子の端面図の簡略例証図である。
【
図3】入射角θおよび方位角φによって説明される特定の配向でウェハに入射するX線照明ビームを描写する図である。
【
図4】1~2ミクロメートル未満の寸法を有する測定領域にわたってRSAXS測定を実施するために用いられるRSAXS計測ツールの別の実施形態の簡略例証図である。
【
図5A】ピッチPを有する周期的な格子構造物を有する計測目標物の簡略例証図である。
【
図5B】格子構造物の特定の要素が削除されている、ピッチPの名目上周期的な格子構造物を有するデシメートされた計測目標物の簡略例証図である。
【
図6】例示的なモデル構築および分析エンジンの簡略例証図である。
【
図7】本明細書に説明される方法に従う、半導体ウェハの多色性のRSAXS測定を実施する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
これより本発明の背景技術例およびいくつかの実施形態について詳細に言及し、これらの例は、添付の図面に例証される。
【0030】
X線照明に基づいて、異なる半導体製造プロセスと関連付けられた半導体構造物の構造および材料特徴(例えば、材料組成、構造物の寸法特徴、フィルムなど)を測定するための方法およびシステムが提示される。より詳細には、高輝度多色性の反射性小角X線スキャトロメトリ(RSAXS)計測に基づいて半導体構造物の測定を実施するための方法およびシステムが、本明細書に提示される。
【0031】
半導体ウェハのRSAXS測定は、波長、入射角、および方位角の範囲にわたって、小ビームスポットサイズ(例えば、有効な照明スポットにわたって50ミクロメートル未満)で実施される。1つの態様において、RSAXS測定は、5~20度の範囲内のグレージング入射角で軟X線(SXR)領域(すなわち、80~3000eV)内のX線放射により実施される。特定の測定応用のためのグレージング角は、測定下の構造物内への所望の浸透を達成し、小ビームスポットサイズ(例えば、50ミクロメートル未満)で測定情報量を最大限にするように選択される。
【0032】
図1は、少なくとも1つの新規の態様において試料の特徴を測定するためのRSAXS計測ツール100の実施形態を例証する。
図1に示されるように、システム100は、入射照明ビームスポットによって照明される試料101の測定領域102にわたってRSAXS測定を実施するために使用され得る。
【0033】
描写される実施形態において、計測ツール100は、X線照明源110、集束光学素子111、ビーム発散制御スリット112、およびスリット113を含む。X線照明源110は、RSAXS測定に好適なSXR放射を生成するように構成される。X線照明源110は、多色性高輝度の大エタンデュ源である。いくつかの実施形態において、X線照明源110は、80~3000電子ボルトの範囲内のX線放射を生成するように構成される。一般に、高スループットのインライン計測を可能にするのに十分な放射束レベルで高輝度SXRを生成することができる任意の好適な高輝度X線照明源が、RSAXS測定のためのX線照明を供給することが企図され得る。
【0034】
いくつかの実施形態において、X線源は、X線源が異なる選択可能な波長でX線放射を送達することを可能にする可変型モノクロメータを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のX線源は、X線源が、測定下の試料内への十分な浸透を可能にする波長で光を供給することを確実にするために用いられる。
【0035】
いくつかの実施形態において、照明源110は、高調波発生(HHG)X線源である。いくつかの他の実施形態において、照明源110は、ウィグラー/アンジュレータ型シンクロトロン放射源(SRS)である。例示的なウィグラー/アンジュレータ型SRSは、米国特許第8,941,336号および同第8,749,179号に記載され、その内容は、それらの全体を本願に引用して援用する。
【0036】
いくつかの他の実施形態において、照明源110は、レーザ生成プラズマ(LPP)光源である。これらの実施形態のいくつかにおいて、LPP光源は、キセノン放出材料、クリプトン放出材料、アルゴン放出材料、ネオン放出材料、および窒素放出材料のいずれかを含む。一般に、好適なLPPターゲット材料の選択は、共鳴SXR領域内の輝度のために最適化される。例えば、クリプトンによって放出されるプラズマは、シリコンKエッジにおいて高輝度を提供する。別の例において、キセノンによって放出されるプラズマは、(80~3000eV)のSXR領域全体にわたって高輝度を提供する。そのようなものとして、キセノンは、広帯域SXR照明が所望されるときには放出材料の良好な選択である。
【0037】
LPPターゲット材料選択はまた、信頼性がありかつ長寿命の光源動作のために最適化され得る。キセノン、クリプトン、およびアルゴンなどの希ガスターゲット材料は、不活性であり、最小限の除染処理または除染処理なしで、閉ループ動作において再使用され得る。例示的なSXR照明源は、米国特許出願第15/867,633号に記載され、その内容は、その全体を本願に引用して援用する。
【0038】
さらなる態様において、照明源(例えば、照明源110)によって放出される波長は、選択可能である。いくつかの実施形態において、照明源110は、1つ以上の選択されたスペクトル領域内で放射束を最大限にするようにコンピューティングシステム130によって制御されるLPP光源である。ターゲット材料におけるレーザピーク強度は、プラズマ温度、したがって、放出された放射のスペクトル領域を制御する。レーザピーク強度は、パルスエネルギー、パルス幅、または両方を調整することによって変化する。1つの例においては、100ピコ秒パルス幅が、SXR放射を生成するのに好適である。
図1に描写されるように、コンピューティングシステム130は、照明源110から放出される波長のスペクトル範囲を照明源110に調整させるコマンド信号136を照明源110に通信する。1つの例において、照明源110は、LPP光源であり、LPP光源は、LPP光源から放出される波長の所望のスペクトル範囲を実現するために、パルス持続時間、パルス周波数、およびターゲット材料組成のいずれかを調整する。
【0039】
非限定的な例として、粒子加速器源、液体陽極源、回転陽極源、固定、固体陽極源、マイクロフォーカス源、マイクロフォーカス回転陽極源、プラズマベース源、および逆コンプトン源のいずれかが、X線照明源110として用いられ得る。
【0040】
例示的なX線源としては、X線放射をシミュレートするために固体または液体目標物に照射するように構成される電子ビーム源が挙げられる。高輝度の液体金属X線照明を生成するための方法およびシステムは、KLA-Tencor Corp.に対する2011年4月19日に発行の米国特許第7,929,667号に記載され、その全体を本願に引用して援用する。
【0041】
X線照明源110は、有限の横方向寸法(すなわち、ビーム軸に直交する非ゼロ寸法)を有する源領域にわたってX線放出を生成する。1つの態様において、照明源110の源領域は、20ミクロメートル未満の横方向寸法によって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、源領域は、10ミクロメートル以下の横方向寸法によって特徴付けられる。小さい源サイズは、高輝度での試料上の小さい目標物領域の照明を可能にし、このようにして測定の正確性、精度、およびスループットを改善する。
【0042】
一般に、X線光学素子は、X線放射を形作り、それを試料101へと向ける。いくつかの例において、X線光学素子は、多層X線光学素子を使用して1ミリラド未満の発散まで、X線ビームを試料101の測定領域102上へ、コリメートするか、または焦点を合わせる。いくつかの実施形態において、X線光学素子は、1つ以上のX線コリメートミラー、X線絞り、X線ビームストップ、屈折X線光学素子、ゾーンプレートなどの回折光学素子、シュバルツシルト光学素子、カークパトリック・バエズ光学素子、モンテル光学素子、ウォルター光学素子、楕円面鏡などの鏡面X線光学素子、中空キャピラリX線導波管などのポリキャピラリ光学素子、多層光学素子もしくはシステム、またはそれらの任意の組み合わせを含む。さらなる詳細は、米国特許公開第2015/0110249号に記載され、その内容は、その全体を本願に引用して援用する。
【0043】
図1に描写されるように、集束光学素子111は、試料101上に位置する計測目標物上に源放射の焦点を合わせる。有限の横方向源寸法は、源のエッジから入る線116ならびにビームスリット112および113によって提供される任意のビーム整形によって画定される目標物の有限のスポットサイズ102を結果としてもたらす。
【0044】
いくつかの実施形態において、集束光学素子111は、楕円形状の集束光学素子を含む。
図1に描写される実施形態において、楕円の中心における集束光学素子111の倍率は、およそ1である。その結果、試料101の表面に投影される照明スポットサイズは、照明源のサイズとおよそ同じであり、公称グレージング入射角(例えば、5~20度)に起因するビームの広がりについて調整される。
【0045】
さらなる態様において、集束光学素子111は、源放出を収集し、1つ以上の離散波長またはスペクトル帯を選択し、選択された光を5~20度の範囲内のグレージング入射角で試料101上へ焦点を合わせる。
【0046】
公称グレージング入射角は、計測目標物境界内に留まりながらも信号情報量を最大限にするために、計測目標物の所望の浸透を達成するように選択される。硬X線の臨界角は、非常に小さいが、軟X線の臨界角は、それよりも著しく大きい。この追加の測定柔軟性の結果として、RSAXS測定は、グレージング入射角の正確な値に対する低い感受性で構造物内へより深く探査する。
【0047】
いくつかの実施形態において、集束光学素子111は、試料101への投影のための所望の波長または波長の範囲を選択する段階的な多層を含む。いくつかの例において、集束光学素子111は、1つの波長を選択し、選択された波長を入射角の範囲にわたって試料上101に投影する段階的な多層構造物(例えば、層または被覆)を含む。いくつかの例において、集束光学素子111は、波長の範囲を選択し、選択された波長を1つの入射角にわたって試料101上に投影する段階的な多層構造物を含む。いくつかの例において、集束光学素子111は、波長の範囲を選択し、選択された波長を入射角の範囲にわたって試料101上に投影する段階的な多層構造物を含む。
【0048】
段階的な多層光学素子は、単層格子構造物があまりにも深いときに発生する光の損失を最小限にするために好まれる。一般に、多層光学素子は、反射波長を選択する。選択された波長のスペクトル帯域幅は、試料101に提供される放射束、測定された回折次数内の情報量を最適化し、角分散および検出器における回折ピーク重複による信号の劣化を防ぐ。加えて、段階的な多層光学素子は、発散を制御するために用いられる。各波長における角発散は、放射束および検出器における最小限の空間的重複のために最適化される。
【0049】
いくつかの例において、段階的な多層光学素子は、特定の材料界面または構造寸法からの回折信号のコントラストおよび情報量を強化するように波長を選択する。例えば、選択される波長は、素子特有の共鳴領域(例えば、シリコンKエッジ、窒素、酸素Kエッジなど)を広げるように選択され得る。加えて、これらの例において、照明源はまた、選択されたスペクトル領域内の放射束を最大限にするように調節され得る(例えば、HHGスペクトル調節、LPPレーザ調節など)。
【0050】
いくつかの他の例において、測定時に利用可能である事前の構造情報は、ほとんどあるいは全くない。これらの例において、複数の波長(例えば、3~4)が、吸収エッジにわたる回折パターンの測定を可能にするために選択される。測定信号は、例えば、複数の波長異常回折技術を使用する、測定下の構造物の基本組成以外の事前情報なしに構造性質のモデルフリー測定を可能にする。モデルフリー測定に基づいて構造性質を予測した後、パラメータ予測は、モデルベースの測定技術を使用してさらに精緻化され得る。
【0051】
いくつかの例において、測定下の計測目標物の異常散乱因子(すなわち、散乱性質)は、先験的に知られていない。これらの例において、膜多層反射率は、複数の共鳴波長において測定される。ブラッグピークの角逸脱が、異常散乱因子を抽出するために十分な情報を提供する。
【0052】
いくつかの例において、非共鳴X線反射率測定は、多層期間および界面粗さパラメータの独立した予測を提供し、このことが、モデルベースの測定のフィッティングを改善する。いくつかの実施形態において、組み合わされた計測ツールは、測定スループットを改善するために、本明細書に説明されるような複数波長SXR回折サブシステム、およびX線リフレクトメトリサブシステムを含む。1つの実施形態において、複数波長SXR回折サブシステムおよびX線リフレクトメトリサブシステムは、測定下の試料、または光学測定サブシステムのうちのいずれかを移動させる必要なしに同時測定または連続測定を可能にする入射直交面を用いる。いくつかの実施形態において、ウェハ回転、検出器回転、または両方が、SXR多層ミラーによって提供されるAOI範囲がX線リフレクトメトリには小さすぎる場合に、入射角の範囲を拡大するために用いられ得る。
【0053】
いくつかの実施形態において、集束光学素子111は、各々が楕円表面形状を有する複数の反射性光学素子を含む。各反射性光学素子は、基板、および異なる波長または波長の範囲を反射するように調節される多層被覆を含む。いくつかの実施形態において、異なる波長または波長の範囲を各々反射する複数の反射性光学素子(例えば、1~5)が、各入射角に配置される。さらなる実施形態において、異なる波長または波長の範囲を各々反射する反射性光学素子の複数のセット(例えば、2~5)が、異なる入射角におけるセットに各々配置される。いくつかの実施形態において、反射性光学素子の複数のセットは、測定中に照明光を試料101上に同時に投影する。いくつかの他の実施形態において、反射性光学素子の複数のセットは、測定中に照明光を試料101上に連続的に投影する。これらの実施形態において、アクティブシャッターまたは絞りが、試料101上に投影される照明光を制御するために用いられる。
【0054】
いくつかの実施形態において、集束光学素子111は、複数の波長、方位、およびAOIにおける光を同じ計測目標物領域上に焦点を合わせる。
図2は、セグメント化されたトロイダル構成でビーム軸Aの周りに配設される4つのミラー素子150A~150Dを含む集束光学素子150の端面図(すなわち、ビーム軸に沿って)を描写する。各ミラー素子は、異なる波長または波長の範囲を反射するように調節される多層被覆を含む。いくつかの実施形態において、各ミラー素子150A~Dは、均一の多層設計を含む(すなわち、特定のミラー素子の表面は、その特定のミラー素子のミラー表面領域全体にわたって同じ波長または波長の範囲を反射する)。いくつかの他の実施形態において、各ミラー素子は、非均一の多層設計を含む(すなわち、ミラー素子によって反射される波長または波長の範囲は、ミラー表面上の入射の場所に依存する)。これらの実施形態のいくつかにおいて、各ミラー素子は、形状が楕円であり、入射角の範囲にわたって照明光を試料101に投影する。加えて、ミラー素子がトロイダル構成で配置されるため、ミラー素子は、方位角の範囲にわたって照明光を試料101に投影する。
図2は、4つのミラー素子を描写するが、一般に、集束光学素子は、複数の波長、方位、およびAOIにおける光を同じ計測目標物領域上に焦点を合わせるように配置される任意の数のミラー素子を含み得る。いくつかの他の実施形態において、集束光学素子は、入射平面内にネスト化される(すなわち、ネスト化ウォルター構成)いくつかのミラー素子を含む。
【0055】
さらなる態様において、同じ計測領域上に投影される波長、AOI、および方位の範囲、または任意のそれらの組み合わせは、集束光学素子の1つ以上のミラー素子を能動的に位置決めすることによって調整される。
図1に描写されるように、コンピューティングシステム130は、集束光学素子111の光学素子のうちの1つ以上の位置、配置、または両方をアクチュエータシステム115に調整させて、試料101上に投影される所望の範囲の波長、AOI、方位、またはそれらの任意の組み合わせを達成するコマンド信号をアクチュエータシステム115に通信する。
【0056】
一般に、入射角は、測定下の計測目標物による照明光の浸透および吸収を最適化するために、各波長について選択される。多くの例において、複数の層構造物が測定され、入射角は、所望の目的の層と関連付けられた信号情報を最大限にするように選択される。オーバーレイ計測の例において、入射の波長および角度は、前の層からの散乱と現在の層との干渉から生じる信号情報を最大限にするように選択される。加えて、方位角はまた、信号情報量を最適化するように選択される。加えて、方位角は、検出器における回折ピークの角度分離を確実にするように選択される。
【0057】
さらなる態様において、RSAX計測システム(例えば、計測ツール100)は、試料101に入射する照明ビーム114を形作り、ブロックしなければ測定下の計測目標物を照明することになる照明光の一部分を選択的にブロックするために、1つ以上のビームスリットまたは絞りを含む。1つ以上のビームスリットは、X線照明スポットが測定下の計測目標物の領域内にフィットするようにビームサイズおよび形状を画定する。加えて、1つ以上のビームスリットは、検出器上の回折次数の重複を最小限にするように照明ビーム発散を画定する。
【0058】
別のさらなる態様において、RSAX計測システム(例えば、計測ツール100)は、測定下の計測目標物を同時に照明する照明波長のセットを選択するために、1つ以上のビームスリットまたは絞りを含む。いくつかの実施形態において、複数の波長を含む照明は、測定下の計測目標物に同時に入射する。これらの実施形態において、1つ以上のスリットは、複数の照明波長を含む照明を通過させるように構成される。一般に、測定下の計測目標物の同時照明は、信号情報およびスループットを増大するために好ましい。しかしながら、実際には、検出器における回折次数の重複が、照明波長の範囲を制限する。いくつかの実施形態において、1つ以上のスリットは、異なる照明波長を連続的に通過させるように構成される。いくつかの例において、より大きい角発散での連続的な照明は、ビーム発散がより大きいときには連続的な照明の信号対雑音比が同時照明と比較してより大きくなる場合があることから、より高いスループットを提供する。測定が連続的に実施されるとき、回折次数の重複の問題は、問題にならない。これにより、測定柔軟性を増大し、信号対雑音比を改善する。
【0059】
図1は、集束光学素子111とビーム整形スリット113との間のビーム経路内に位置するビーム発散制御スリット112を描写する。ビーム発散制御スリット112は、測定下の試料に提供される照明の発散を制限する。ビーム整形スリット113は、ビーム発散制御スリット112と試料101との間のビーム経路内に位置する。ビーム整形スリット113はさらに、入射ビーム114を形作り、入射ビーム114の照明波長を選択する。ビーム整形スリット113は、試料101の直前のビーム経路内に位置する。1つの態様において、ビーム整形スリット113のスリットは、有限の源サイズによって画定されるビーム発散に起因する入射ビームスポットサイズの拡大を最小限にするために、試料101にごく接近して位置する。
【0060】
いくつかの実施形態において、ビーム整形スリット113は、複数の、独立して作動されるビーム整形スリットを含む。1つの実施形態において、ビーム整形スリット113は、4つの、独立して作動されるビーム整形スリットを含む。これら4つのビーム整形スリットは、入ってくるビームの部分を効果的にブロックし、箱型の照明断面を有する照明ビーム114を生成する。
【0061】
ビーム整形スリット113のスリットは、散乱を最小限にし、入射放射線を効果的にブロックする材料から構築される。例示的な材料としては、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、リン化インジウムなどの単結晶材料が挙げられる。典型的には、スリット材料は、構造境界をまたぐ散乱を最小限にするために、切り出されるというよりも、結晶学的方位に沿って劈開される。加えて、スリットは、入ってくる放射線とスリット材料の内側構造との間の相互作用が最小量の散乱をもたらすように、入ってくるビームに対して配向される。結晶は、スリットの片側においてX線ビームを完全にブロックするために高密度材料(例えば、タングステン)製の各スリットホルダに装着される。
【0062】
X線検出器119は、試料101から散乱されるX線放射118を集めて、RSAXS測定法性に従って、入射X線放射に敏感な試料101の性質を示す出力信号135を生成する。いくつかの実施形態において、散乱X線118は、試料位置決めシステム140が、角度分解散乱X線を生成するために試料101を位置付けおよび配向する間に、X線検出器119によって集められる。
【0063】
いくつかの実施形態において、RSAXSシステムは、高ダイナミックレンジ(例えば、105超)を有する1つ以上の光子計数検出器を含む。いくつかの実施形態において、単一の光子計数検出器が、検出される光子の位置および数を検出する。
【0064】
いくつかの実施形態において、X線検出器は、1つ以上のX線光子エネルギーを分解し、試料の性質を示す各X線エネルギー成分について信号を生成する。いくつかの実施形態において、X線検出器119は、CCDアレイ、マイクロチャネルプレート、フォトダイオードアレイ、マイクロストリップ比例計数管、ガス充填比例計数管、シンチレータ、または蛍光材料のいずれかを含む。
【0065】
この様式では、検出器内のX線光子相互作用は、画素位置およびカウント数に加えてエネルギーによって判別される。いくつかの実施形態において、X線光子相互作用は、X線光子相互作用のエネルギーを所定の上位しきい値および所定の下位しきい値と比較することによって判別される。1つの実施形態において、この情報は、さらなる処理および記憶のために出力信号135を介してコンピューティングシステム130に通信される。
【0066】
複数の照明波長での周期目標物の同時照明から生じる回折パターンは、回折内の角分散に起因して、検出器平面において分離される。これらの実施形態においては、積分検出器が用いられる。回折パターンは、領域検出器、例えば、真空互換性バックサイドCCDまたはハイブリッド画素アレイ検出器を使用して測定される。角度サンプリングは、ブラッグピーク積分のために最適化される。画素レベルモデルフィッティングが用いられる場合、角度サンプリングは、信号情報量のために最適化される。サンプリングレートは、ゼロ次信号の飽和を防ぐように選択される。
【0067】
さらなる態様において、RSAXSシステムは、散乱光の1つ以上の回折次数に基づいて試料の性質(例えば、構造パラメータ値)を決定するために用いられる。
図1に描写されるように、計測ツール100は、検出器119によって生成される信号135を取得し、取得した信号に少なくとも部分的に基づいて試料の性質を決定するために用いられるコンピューティングシステム130を含む。
【0068】
いくつかの例において、RSAXSに基づいた計測は、測定されたデータを用いた所定の測定モデルの逆解法によってサンプルの寸法を決定することを伴う。測定モデルは、数個(10ほど)の調整可能なパラメータを含み、試料のジオメトリおよび光学的性質、ならびに測定システムの光学的性質を表す。逆解法の方法は、モデルベースの回帰、断層写真術、機械学習、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。この様式では、目標物プロファイルパラメータは、測定された散乱X線強度とモデル化された結果との間の誤差を最小限にするパラメータ化測定モデルの値を求めることによって予測される。
【0069】
測定されるパラメータ値の正確性および精度を高めるために、波長、入射角および方位角の広い範囲で測定を実施することが望ましい。この手法は、分析に利用可能なデータセットの数および多様性を拡張することによって、パラメータ間の相関を低減する。
【0070】
照明波長およびウェハ面法線に対するX線入射角の関数としての回折放射線の強度の測定が集められる。複数の回折次数に含まれる情報は、典型的には、検討下の各モデルパラメータ間で固有である。したがって、X線散乱は、目的のパラメータの値についての予測結果を、小さい誤差および低減されたパラメータ相関で産出する。
【0071】
半導体ウェハ101の面法線に対する照射X線ビーム114の各配向は、X線照明ビーム114に対するウェハ101の任意の2つの角度回転、またはその逆によって説明される。1つの例において、配向は、ウェハに固定される座標システムに関して説明され得る。
図3は、入射角θおよび方位角φによって説明される特定の配向でウェハ101に入射するX線照明ビーム114を描写する。座標フレームXYZは、計測システム(例えば、照明ビーム116)に固定され、座標フレームX’Y’Z’は、ウェハ101に固定される。Y軸は、ウェハの表面101と同一面内に整列される。XおよびZは、ウェハの表面101と整列されない。Z’は、ウェハの表面101に垂直の軸と整列され、X’およびY’は、ウェハの表面101と同一面内に整列される。
図3に描写されるように、X線照明ビーム114は、Z軸と整列され、したがって、XZ平面内にある。入射角θは、XZ平面におけるウェハの面法線に対するX線照明ビーム114の配向を説明する。さらに、方位角φは、X’Z’平面に対するXZ平面の配向を説明する。θおよびφは一緒に、ウェハの表面101に対するX線照明ビーム114の配向を一意的に画定する。この例では、ウェハの表面101に対するX線照明ビームの配向は、ウェハの表面101に垂直の軸(すなわち、Z’軸)の周りの回転、およびウェハの表面101と整列された軸(すなわち、Y軸)の周りの回転によって説明される。いくつかの他の例において、ウェハの表面101に対するX線照明ビームの配向は、ウェハの表面101と整列された第1の軸、およびウェハの表面101と整列され、かつ第1の軸に垂直である別の軸の周りの回転によって説明される。
【0072】
1つの態様において、計測ツール100は、ウェハ101を固定して支持し、試料位置決めシステム140に結合されるウェハチャック103を含む。試料位置決めシステム140は、照明ビーム114に対して6つの自由度において試料101を能動的に位置決めするように構成される。1つの例において、コンピューティングシステム130は、試料101の所望の位置を示すコマンド信号(図示せず)を試料位置決めシステム140に通信する。これに応えて、試料位置決めシステム140は、試料101の所望の位置決めを達成するために、試料位置決めシステム140の様々なアクチュエータへのコマンド信号を生成する。
【0073】
さらなる態様において、RSAXSシステムの集束光学素子は、少なくとも5の縮小(すなわち、0.2以下の拡大係数)で照明源の画像を測定下の試料上に投影する。本明細書に説明されるようなRSAXSシステムは、20ミクロメートル以下の横方向寸法によって特徴付けられる源領域を有するSXR照明源を用いる(すなわち、源サイズは20ミクロメートル以下である)。いくつかの実施形態において、集束光学素子は、4ミクロメートル以下の入射照明スポットサイズで照明を試料上に投影するために、少なくとも5の縮小係数で用いられる(すなわち、源サイズよりも5倍小さい源の画像をウェハ上に投影する)。
【0074】
図4は、別の実施形態におけるRSAXS計測ツール200の実施形態を例証する。
図4に例証されるように、システム200は、1~2ミクロメートル未満の寸法を有する測定領域102にわたってRSAXS測定を実施するために使用され得る。
図4に描写される同じ番号の付けられた要素は、
図1に関して説明されるものに類似する。
図4に描写されるように、集束光学素子111は、楕円光学素子である。しかしながら、集束光学素子111は、照明源110と集束光学素子111との間の距離Aが集束光学素子111と試料101との間の距離Bよりも著しく大きくなるように照明源110および試料101に対して配置される。いくつかの実施形態において、A/Bの比率は少なくとも5である。いくつかの実施形態において、A/Bの比率は少なくとも10である。これは、A/B倍の試料101上への照明源の縮小を結果としてもたらす。1つの実施形態において、照明源110のサイズは、およそ10ミクロメートルであり、集束光学素子111は、A/Bが10であるように配置される。この実施形態では、試料101上に投影される照明スポットサイズは、およそ1ミクロメートルである。
【0075】
いくつかの実施形態において、照明源110は、10ミクロメートル以下の源サイズを有するLPP光源であり、集束光学素子111は、およそ10の縮小係数を有する。これにより、RSAXS計測ツール200が、1~2ミクロメートルの寸法を有する計測目標物上に照明光の焦点を合わせることを可能にする。入射照明光を1~2ミクロメートルの照明スポットサイズに焦点を合わせることによって、RSAXS計測ツール200は、ウェハスクライブライン領域内に位置するより大きい計測目標物に依存するのではなく、限界寸法目標物およびダイ内に位置するオーバーレイ目標物の測定を可能にする。
【0076】
1~2ミクロメートルの寸法を有する目標物を測定する能力は、特殊用途の計測目標物に専念するウェハ領域を低減する。加えて、1~2ミクロメートルの寸法を有する目標物を測定する能力は、特殊用途の計測目標物よりも、デバイス構造物の直接測定を可能にする。デバイス構造物を直接的に測定することが、目標物対デバイスのバイアスを除去する。これが、測定品質を著しく改善する。加えて、ダイ内目標物の測定は、ダイ内のパラメータ変動の特徴付けを可能にする。例示的な目的のパラメータは、限界寸法、オーバーレイ、およびエッジ載置誤差を含む。
【0077】
いくつかの実施形態において、本明細書に説明されるようなRSAXS計測システムは、周期的な計測目標物を測定するために用いられる。例えば、
図5Aは、ピッチPを有する周期的な格子構造物を有する計測目標物160を描写する。しかしながら、別の態様において、本明細書に説明されるようなRSAXS計測システムは、周期性および非周期性の両方を呈するデシメートされた計測目標物を計測するために用いられる。デシメートされた計測目標物は、名目上周期的なユニットセルのアレイを含む計測目標物であり、名目上周期的なアレイの1つ以上のセルは、アレイ内のプログラムされた場所または無作為の場所において削除される、変位される、または構造的に修正される。例えば、
図5Bは、ピッチPの名目上周期的な格子構造物を有する計測目標物161を描写する。しかしながら、加えて、格子構造物の特定のフィンが、計測目標物161内に存在しない。結果として、測定下の計測目標物161からの散乱の角度分布は、局部的な回折ピークをもたらす周期的な性質、および散漫散乱としても知られる非周期的な挙動の両方を呈する。
【0078】
一般に、ブラッグピーク間の散漫散乱の分布は、名目上周期的なユニットセルアレイの要素を無作為の様式またはプログラムされた様式で削除することによって増大される。散漫強度角度分布は、構造因子の平方に比例する。デシメートされた計測目標物が用いられるとき、ブラッグピーク強度は減少するが、散乱光がより多くの画素にわたって広がるため、より多くの画素が、非ゼロ情報量を含む。モデルベースの測定は、すべての画素からの情報を使用することができるため、測定の情報量における全体的な増加が、測定の正確性および精度を改善する。一般に、ブラッグピーク強度は、削除されたセルの割合が増大するにつれて減少する。計測目標物の所望のデシメーションは、全体的な測定情報量を最大限にする。いくつかの例において、デシメートされた計測目標物は、計測目標物の構造因子がブラッグピーク位置の大きいサブセットにおいてゼロである(例えば、50%デューティサイクルでの方形波)場合に発生する曖昧さを解決する。RSAXS計測システムは、連続的な単一波長動作モードで、または同時の複数波長動作モードで、デシメートされた計測目標物を測定するために用いられ得る。
【0079】
いくつかの実施形態において、計測目標物は、信号情報を最大限にし、したがって獲得時間を最小限にするように選択される、一般的または特定の非周期性を含む。論理スタンダードセルアレイのための設計ルールは、狭い範囲内の固定のグリッドおよび制御パターン密度変動に原始元を置く。論理構造物の計測は、平均特徴部サイズおよび局所領域内の分離の高精度予測を達成することに焦点を合わせる。占有期間および周期性は目的ではないが、それは、これらの観点がリソグラフィプロセスにおいて十分に制御されるからである。論理構造物の計測目標物は、散乱放射束が、所望の特徴部パラメータセットに関する高情報量を含む角度領域内で増大されるように強度の分布を最適化する。1つの例においては、計測目標物は、中心領域による回折の情報量を強化するために境界領域を含む。
【0080】
SXRは、照明波長が測定構造物の周期よりも短いため、設計ルール目標物に対するオーバーレイ測定を可能にする。これは、オーバーレイが設計ルールよりも大きな目標物に対して測定される既存の技術と比較して著しい利益を提供する。SXR波長の使用は、プロセス設計ルールにおける目標物設計、すなわち、「非ゼロオフセット」なしを可能にする。
【0081】
RSAXS測定のためのオーバーレイ計測目標物は、一次元周期アレイまたは二次元周期アレイを含み得る。一次元目標物は、入射平面に沿って大きい角発散を呈し、放射束およびスループットを増大する。二次元目標物の場合、回折の角分散は、2つの面内軸について等価ではない。したがって、入射平面に平行のサンプル方向では、追加の超周期が課せられ得る。これらの例においては、ウェハを回転させ、同じ目標物に対する単一のサブシステムによる連続的な直交測定を実施することが有利であり得る。
【0082】
別のさらなる態様において、RSAXS測定のためのオーバーレイ計測目標物は、オーバーレイおよび限界寸法の両方を測定するために用いられ得る。これは、エンドライン切れ、ライン-コンタクト距離などのエッジ載置誤差(EPE)の測定も可能にする。
【0083】
いくつかの実施形態において、X線照明源110、集束光学素子111、スリット112および113、またはそれらの任意の組み合わせは、試料101と同じ大気環境(例えば、ガスパージ環境)内に維持される。しかしながら、いくつかの実施形態において、これらの要素のいずれかの間およびこれらの要素のいずれか内の光経路長は長く、空気中のX線散乱が、検出器上の画像に対するノイズに寄与する。したがって、いくつかの実施形態において、X線照明源110、集束光学素子111、ならびにスリット112および113のいずれかは、局所化された真空環境内に維持される。
図1に描写される実施形態において、照明源110、集束光学素子111、ならびにスリット112および113は、真空飛行管117内の制御された環境(例えば、真空)内に維持される。照明ビーム114は、試料101に入射する前に飛行管117の端において窓120を通過する。
【0084】
同様に、いくつかの実施形態において、試料101と検出器119との間の光経路長(すなわち、収集ビーム経路)は長く、空気内のX線散乱が、検出器上の画像への雑音に寄与する。したがって、好ましい実施形態において、試料101と検出器119との間の収集ビーム経路長のかなりの部分は、真空窓(例えば、真空窓124)によって試料(例えば、試料101)から分離される局部的な真空環境内に維持される。いくつかの実施形態において、X線検出器119は、試料101と検出器119との間のビーム経路長と同じ局部的な真空環境内に維持される。例えば、
図1に描写されるように、真空室123は、検出器119を囲む局部的な真空環境、および試料101と検出器119との間のビーム経路長のかなりの部分を維持する。
【0085】
いくつかの他の実施形態において、X線検出器119は、試料101と同じ大気環境(例えば、ガスパージ環境)内に維持される。これは、検出器119からの熱を除去するのに有利であり得る。しかしながら、これらの実施形態においては、試料101と検出器119との間のビーム経路長のかなりの部分を真空室内の局部的な真空環境内に維持することが好ましい。
【0086】
いくつかの実施形態において、試料101を含む光学システム全体が真空内に維持される。しかしながら、一般に、試料101を真空内に維持することに関連する費用は、試料位置決めシステム140の構築に関連する複雑性に起因して高い。
【0087】
別のさらなる態様において、コンピューティングシステム130は、試料の測定される構造物の構造モデル(例えば、幾何モデル、材料モデル、または幾何および材料を組み合わせたモデル)を生成し、その構造モデルから少なくとも1つの幾何パラメータを含むRSAXS応答モデルを生成し、RSAXS応答モデルを用いたRSAXS測定データのフィッティング分析を実施することによって少なくとも1つの試料パラメータ値を分解するように構成される。分析エンジンは、シミュレートされたRSAXS信号を測定されたデータと比較し、それにより、幾何特性ならびに、サンプルの電子密度などの材料特性の決定を可能にするために使用される。
図1に描写される実施形態において、コンピューティングシステム130は、モデル構築および分析を本明細書に説明されるように関数的に実施するように構成されるモデル構築および分析エンジンとして構成される。
【0088】
図6は、コンピューティングシステム130によって実施される例示的なモデル構築および分析エンジン180の例証図である。
図6に描写されるように、モデル構築および分析エンジン180は、試料の測定される構造物の構造モデル182を生成する構造モデル構築モジュール181を含む。いくつかの実施形態において、構造モデル182はまた、試料の材料特性を含む。構造モデル182は、RSAXS応答関数構築モジュール183への入力として受信される。RSAXS応答関数構築モジュール183は、構造モデル182に少なくとも部分的に基づいてRSAXS応答関数モデル184を生成する。いくつかの例において、RSAXS応答関数モデル184は、構造因子としても知られるX線形状因子
【数1】
に基づき、式中、Fは、形状因子であり、qは、散乱ベクトルであり、ρ(r)は、球座標内の試料の電子密度である。次いで、X線散乱強度が、
【数2】
によって得られる。RSAXS応答関数モデル184は、フィッティング分析モジュール185への入力として受信される。フィッティング分析モジュール185は、モデル化されたRSAXS応答を対応する測定データと比較して、試料の幾何ならびに材料特性を決定する。
【0089】
いくつかの例において、モデル化されたデータの実験データへのフィッティングは、カイ二乗値を最小限にすることによって達成される。例えば、RSAXS測定では、カイ二乗値は、
【数3】
として定義され得る。
【0090】
式中、
【数4】
は、「チャネル」j内の測定されたRSAXS信号126であり、指数jは、回折次数、エネルギー、角度座標などのシステムパラメータのセットを説明する。
【数5】
は、構造(目標)パラメータv
1,…,v
Lのセットについて評価された「チャネル」jのモデル化されたRSAXS信号S
jであり、これらのパラメータは、幾何(CD、側壁角、オーバーレイなど)および材料(電子密度など)を説明する。σ
SAXS,jは、j番目のチャネルと関連付けられた不確かさである。N
SAXSは、X線計測内のチャネルの総数である。Lは、計測目標物を特徴付けるパラメータの数である。
【0091】
等式(3)は、異なるチャネルと関連付けられた不確かさが無相関であると仮定する。異なるチャネルと関連付けられた不確かさが相関される例においては、不確かさ間の共分散が計算され得る。これらの例において、RSAXS測定のカイ二乗値は、
【数6】
として表され得る。
【0092】
式中、VSAXSは、SAXSチャネル不確かさの共分散行列であり、Tは、転置行列を意味する。
【0093】
いくつかの例において、フィッティング分析モジュール185は、RSAXS応答モデル184を用いてRSAXS測定データ135に対してフィッティング分析を実施することによって、少なくとも1つの試料パラメータ値を分解する。いくつかの例において、
【数7】
は、最適化される。
【0094】
本明細書内で先に説明されるように、RSAXSデータのフィッティングは、カイ二乗値の最小化によって達成される。しかしながら、一般に、RSAXSデータのフィッティングは、他の関数によって達成されてもよい。
【0095】
RSAXS計測データのフィッティングは、目的の幾何および/または材料パラメータに対する感受性を提供するいかなる種類のRSAXS技術にとっても有利である。試料パラメータは、試料とのRSAXSビーム相互作用を説明する適切なモデルが使用される限り、決定論的(例えば、CD、SWAなど)または統計的(例えば、側壁荒れのrms高さ、荒れ相関長など)であり得る。
【0096】
一般に、コンピューティングシステム130は、リアルタイムクリティカルディメンショニング(RTCD)を用いて、リアルタイムでモデルパラメータにアクセスするように構成されるか、または、コンピューティングシステム130は、試料101と関連付けられた少なくとも1つの試料パラメータ値の値を決定するための事前計算モデルのライブラリにアクセスし得る。一般に、いくつかの形態のCDエンジンが、試料の割り当てられたCDパラメータと測定された試料と関連付けられたCDパラメータとの間の差を評価するために使用され得る。試料パラメータ値を計算するための例示的な方法およびシステムは、KLA-Tencor Corp.に対する2010年11月2日に発行の米国特許第7,826,071号に記載され、その全体を本願に引用して援用する。
【0097】
いくつかの例において、モデル構築および分析エンジン180は、横送り分析、前送り分析、および平行分析の任意に組み合わせにより、測定されるパラメータの精度を高める。横送り分析は、同じ試料の異なる領域についての複数のデータセットを取り出し、第1のデータセットから決定される共通パラメータを第2のデータセットへと分析のために引き渡すことを指す。前送り分析は、異なる試料についてのデータセットを取り出し、正確なパラメータを段階的に複製する前送り手法を使用して、共通パラメータを後続の分析へと前方に引き渡すことを指す。平行分析は、少なくとも1つの共通パラメータがフィッティングの間に結合される複数のデータセットへの非線形フィッティング計測の平行または同時適用を指す。
【0098】
複数のツールおよび構造分析は、複数のデータセットの回帰、ルックアップテーブル(すなわち、「ライブラリ」マッチング)、または別のフィッティング手順に基づく前送り、横送り、または平行分析を指す。複数のツールおよび構造分析のための例示的な方法およびシステムは、KLA-Tencor Corp.に対する2009年1月13日に発行の米国特許第7,478,019号に記載され、その全体を本願に引用して援用する。
【0099】
別のさらなる態様において、目的の1つ以上のパラメータの値の初期予測は、測定目標物に対する入射X線ビームの単一の配向において実施されるRSAXS測定に基づいて決定される。初期の予測値は、複数の配向におけるRSAXS測定から集められた測定データを用いた測定モデルの回帰のための目的のパラメータの開始値として実装される。この様式では、目的のパラメータの精密予測は、比較的少ない量の計算量で決定され、この精密予測をはるかに大きいデータセットにわたる回帰のための開始点として実装することによって、目的のパラメータの精緻化された予測が、少ない全体計算量で得られる。
【0100】
別の態様において、計測ツール100は、本明細書に記載されるようなビーム制御機能を実装するように構成されるコンピューティングシステム(例えば、コンピューティングシステム130)を含む。
図1に描写される実施形態において、コンピューティングシステム130は、入射照明ビーム114の強度、発散、スポットサイズ、偏光、スペクトル、位置決めなどの照明特性のいずれかを制御するように動作可能であるビーム制御器として構成される。
【0101】
図1に例証されるように、コンピューティングシステム130は、検出器119に通信可能に結合される。コンピューティングシステム130は、検出器119から測定データ135を受信するように構成される。1つの例において、測定データ135は、試料の測定された応答の標示(すなわち、回折次数の強度)を含む。検出器119の表面上の測定された応答の分散に基づいて、試料101上への照明ビーム114の入射の場所および領域が、コンピューティングシステム130によって決定される。1つの例において、測定データ135に基づいて試料101上への照明ビーム114の入射の場所および領域を決定するために、パターン認識技術がコンピューティングシステム130によって適用される。いくつかの例において、コンピューティングシステム130は、所望の照明波長を選択するためにコマンド信号136をX線照明源110に通信する。いくつかの例において、コンピューティングシステム130は、所望のビーム方向を達成するようにX線放出を向け直すために、コマンド信号137をアクチュエータサブシステム115に通信する。いくつかの例において、コンピューティングシステム130は、入射照明ビーム114が所望のビームスポットサイズ、配向、および波長で試料101に到達するように、ビーム整形スリット112および113が、ビームスポットサイズを変更し、照明波長を選択するようにさせるコマンド信号138および139をビーム整形スリット112および113にそれぞれ通信する。1つの例においては、コマンド信号138および139は、スリット112および113と関連付けられたアクチュエータが、位置を変更して、入射ビーム114を所望の形状およびサイズに再整形し、所望の波長を選択するようにさせる。いくつかの他の例において、コンピューティングシステム130は、入射照明ビーム114が試料101に対する所望の場所および角度で到達するように、試料101を位置決めし配向するために、コマンド信号をウェハ位置決めシステム140に通信する。
【0102】
さらなる態様において、RSAXS測定データは、検出された回折次数の測定強度に基づいて測定される構造物の画像を生成するために使用される。いくつかの実施形態において、RSAXS応答関数モデルは、一般的な電子密度メッシュからの散乱を説明するために一般化される。連続性および薄いエッジを強いるためにこのメッシュ内にモデル化された電子密度を制約しながら、このモデルを測定信号に照合することにより、サンプルの3次元画像を提供する。
【0103】
幾何学的な、モデルベースのパラメータ反転がRSAXS測定に基づく限界寸法(CD)計測には好ましいが、同じRSAXS測定データから生成される試料のマップは、測定された試料が幾何モデルの仮説から逸脱するときに、モデル誤差を識別し修正するのに有用である。
【0104】
いくつかの例において、画像は、同じスキャトロメトリ測定データの幾何学的な、モデルベースのパラメータ反転によって予測される構造特性と比較される。相違は、測定される構造物の幾何モデルを更新し、測定性能を高めるために使用される。正確なパラメータ測定モデルに収束する能力は、集積回路を測定してそれらの製造プロセスを制御、監視、およびトラブルシューティングするときに特に重要である。
【0105】
いくつかの例において、画像は、電子密度、吸収性、複素屈折率、またはこれら材料特性の組み合わせの2次元(2-D)マップである。いくつかの例において、画像は、電子密度、吸収性、複素屈折率、またはこれら材料特性の組み合わせの3次元(3-D)マップである。マップは、比較的少ない物理的制約を使用して生成される。いくつかの例において、限界寸法(CD)、側壁角(SWA)、オーバーレイ、エッジ載置誤差、ピッチウォークなどの目的の1つ以上のパラメータは、結果として生じるマップから直接予測される。いくつかの他の例において、マップは、サンプルジオメトリまたは材料がモデルベースのCD測定のために用いられるパラメータ構造モデルによって企図される予測値の範囲の外に逸脱するときに、ウェハプロセスをデバッグするのに有用である。1つの例において、マップと、測定パラメータに従うパラメータ構造モデルによって予期される構造物のレンダリングとの差は、パラメータ構造モデルを更新し、その測定性能を高めるために使用される。さらなる詳細は、米国特許公開第2015/0300965号に記載され、その内容は、その全体を本願に引用して援用する。さらなる詳細は、米国特許公開第2015/0117610号に記載され、その内容は、その全体を本願に引用して援用する。
【0106】
さらなる態様において、モデル構築および分析エンジン180は、X線および光学測定を組み合わせた分析のためのモデルを生成するために用いられる。いくつかの例において、光学的シミュレーションは、例えば、異なる偏光についての反射率、偏光解析パラメータ、相変化などの光学信号を計算するためにマックスウェルの等式が求められる厳密結合波分析(RCWA)に基づく。
【0107】
目的の1つ以上のパラメータの値は、組み合わされた幾何学的にパラメータ化された応答モデルを用いた、複数の異なる入射角でのX線回折次数の検出された強度および検出された光強度の組み合わされたフィッティング分析に基づいて決定される。光強度は、
図1に描写されるシステム100などのX線計測システムと機械的に統合される場合とそうでない場合がある光計測ツールによって測定される。さらなる詳細は、米国特許公開第2014/0019097号および米国特許公開第2013/0304424号に記載され、各々の内容は、それらの全体を本願に引用して援用する。
【0108】
本開示全体にわたって説明される様々なステップは、単一のコンピュータシステム130、または代替的に、複数のコンピュータシステム130によって実行され得ることを理解されたい。さらに、試料位置決めシステム140などのシステム100の異なるサブシステムは、本明細書に説明されるステップの少なくとも一部分を実行するのに好適なコンピュータシステムを含み得る。したがって、前述の説明は、本発明に対する制限として解釈されるべきではなく、単に例証にすぎない。さらには、1つ以上のコンピューティングシステム130は、本明細書に説明される方法実施形態のいずれかの任意の他のステップを実施するように構成され得る。
【0109】
加えて、コンピュータシステム130は、当該技術において知られる任意の様式でX線照明源110、ビーム整形スリット112および113、集束光学素子アクチュエータシステム115、試料位置決めシステム140、ならびに検出器119に通信可能に結合され得る。例えば、1つ以上のコンピューティングシステム130は、X線照明源110、ビーム整形スリット112および113、集束光学素子アクチュエータシステム115、試料位置決めシステム140、および検出器119とそれぞれ関連付けられたコンピューティングシステムに結合され得る。別の例では、X線照明源110、ビーム整形スリット112および113、集束光学素子アクチュエータシステム115、試料位置決めシステム140、および検出器119のいずれかは、コンピュータシステム130に結合された単一のコンピュータシステムによって直接制御され得る。
【0110】
コンピュータシステム130は、有線および/またはワイヤレス部分を含み得る送信媒体によって、システムのサブシステム(例えば、X線照明源110、ビーム整形スリット112および113、集束光学素子アクチュエータシステム115、試料位置決めシステム140、検出器119等)からデータまたは情報を受信および/または取得するように構成され得る。この様式では、送信媒体は、コンピュータシステム130とシステム100の他のサブシステムとの間のデータリンクとしての役割を果たし得る。
【0111】
計測システム100のコンピュータシステム130は、有線および/またはワイヤレス部分を含み得る送信媒体によって、他のシステムからデータまたは情報(例えば、測定結果、モデリング入力、モデリング結果など)を受信および/または取得するように構成され得る。この様式では、送信媒体は、コンピュータシステム130と他のシステム(例えば、メモリオンボード計測システム100、外部メモリ、または外部システム)との間のデータリンクとしての役割を果たし得る。例えば、コンピューティングシステム130は、データリンクを介して記憶媒体(すなわち、メモリ132または190)から測定データ(例えば、信号135)を受信するように構成され得る。例えば、検出器119を使用して得られるスペクトル結果は、永久または半永久メモリデバイス(例えば、メモリ132または190)内に記憶され得る。これに関して、測定結果は、オンボードメモリから、または外部メモリシステムからインポートされ得る。さらに、コンピュータシステム130は、送信媒体を介してデータを他のシステムに送信し得る。例えば、コンピュータシステム130によって決定される試料パラメータ値186は、永久または半永久メモリデバイス(例えば、メモリ190)内に記憶され得る。これに関して、測定結果は、別のシステムにエクスポートされ得る。
【0112】
コンピューティングシステム130は、パーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、画像コンピュータ、パラレルプロセッサ、または当該技術において知られる任意の他のデバイスを含み得るが、これらに限定されない。一般に、「コンピューティングシステム」という用語は、メモリ媒体からの命令を実行する、1つ以上のプロセッサを有する任意のデバイスを包含するために広く定義され得る。
【0113】
本明細書に説明されるものなどの方法を実施するプログラム命令134は、ワイヤ、ケーブル、ワイヤレス送信リンクなどの送信媒体を通じて送信され得る。例えば、
図1に例証されるように、メモリ132に記憶されたプログラム命令は、バス133を通じてプロセッサ131に送信される。プログラム命令134は、コンピュータ可読媒体(例えば、メモリ132)に記憶される。例示的なコンピュータ可読媒体としては、リードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気もしくは光学ディスク、または磁気テープが挙げられる。
【0114】
図7は、本発明の計測システム100および200による実施に好適な方法200を例証する。1つの態様において、方法200のデータ処理ブロックは、コンピューティングシステム130の1つ以上のプロセッサによって実行される事前にプログラムされたアルゴリズムを介して実行され得ることを理解されたい。以下の説明は計測システム100および200の文脈において提示されるが、計測システム100および200の特定の構造的態様は、制限を表すものではなく、単に例証と解釈されるべきであることを理解されたい。
【0115】
ブロック201において、軟X線放射量が、X線照明源によって生成される。軟X線放射は、80電子ボルト~3,000電子ボルトの光子エネルギー範囲内の複数の照明波長を含む。
【0116】
ブロック202において、軟X線放射量は、半導体ウェハに5~20度の公称グレージング入射角で入射するX線照明ビームとして、半導体ウェハ上に焦点を合わせられる。
【0117】
ブロック203において、入射X線照明ビームに応じて半導体ウェハから散乱されるX線放射量は、RSAX計測システムの検出器によって検出される。
【0118】
ブロック204において、半導体ウェハ上に配設される構造物を特徴付ける目的のパラメータの値は、検出されたX線放射量に基づいて決定される。
【0119】
いくつかの実施形態において、本明細書に説明されるようなスキャトロメトリ測定は、製作プロセスツールの部分として実施される。製作プロセスツールの例としては、リソグラフィ露光ツール、成膜ツール、注入ツール、およびエッチングツールが挙げられるが、これらに限定されない。この様式では、RSAXS分析の結果は、製作プロセスを制御するために使用される。1つの例において、1つ以上の目標物から集められたRSAXS測定データは、製作プロセスツールに送信される。RSAXS測定データは、本明細書に説明されるように分析され、その結果は、半導体構造物の製造における誤差を低減するために製造プロセスツールの動作を調整するために使用される。
【0120】
本明細書に説明されるようなスキャトロメトリ測定は、様々な半導体構造物の特性を決定するために使用され得る。例示的な構造物としては、FinFET、ナノワイヤまたはグラフェンなどの低次元構造物、サブ10nm構造物、リソグラフィ構造物、貫通基板ビア(TSV)、DRAM、DRAM 4F2、FLASH、MRAM、および高アスペクト比メモリ構造物などのメモリ構造物が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な構造特性としては、ラインエッジラフネス、ラインウィズスラフネス、孔サイズ、孔密度、側壁角、プロファイル、限界寸法、ピッチ、厚さ、オーバーレイなどの幾何パラメータ、ならびに、電子密度、構成物、結晶粒組織、形態学、応力、歪み、および元素同定などの材料パラメータが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、計測目標物は、周期構造物である。いくつかの他の実施形態において、計測目標物は、非周期的である。
【0121】
いくつかの例において、スピン移動トルクランダムアクセスメモリ(STT-RAM)、3次元NANDメモリ(3D-NAND)または垂直NANDメモリ(V-NAND)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、3次元FLASHメモリ(3D-FLASH)、抵抗ランダムアクセスメモリ(Re-RAM)、および相変化ランダムアクセスメモリ(PC-RAM)を含むがこれらに限定されない、高アスペクト比の半導体構造物の限界寸法、厚さ、オーバーレイ、および材料特性の測定は、本明細書に説明されるようなRSAXS測定システムを用いて実施される。
【0122】
本明細書に記載される場合、「限界寸法」という用語は、構造物の任意の限界寸法(例えば、底部限界寸法、中間限界寸法、上部限界寸法、側壁角、格子高さなど)、任意の2つ以上の構造物間の限界寸法(例えば、2つの構造物間の距離)、および2つ以上の構造物間の変位(例えば、重なり合う格子構造物間のオーバーレイ変位など)を含む。構造物は、3次元構造物、パターン化構造物、オーバーレイ構造物などを含み得る。
【0123】
本明細書に記載される場合、「限界寸法応用」または「限界寸法測定応用」という用語は、任意の限界寸法測定を含む。
【0124】
本明細書に記載される場合、「計測システム」という用語は、限界寸法応用およびオーバーレイ計測応用を含む、任意の態様において試料を特徴付けるために少なくとも部分的に用いられる任意のシステムを含む。しかしながら、そのような技術用語は、本明細書に説明されるような「計測システム」という用語の範囲を制限しない。加えて、本明細書に説明されるような計測システムは、パターン化されたウェハおよび/またはパターン化されていないウェハの測定のために構成され得る。計測システムは、LED検査ツール、エッジ検査ツール、裏側検査ツール、マクロ検査ツール、またはマルチモード検査ツール(1つ以上のプラットフォームからのデータに同時に関与する)、および本明細書に記載される測定技術から恩恵を得る任意の他の計測または検査ツールとして構成され得る。
【0125】
様々な実施形態は、試料を処理するために使用され得る半導体処理システム(例えば、検査システムまたはリソグラフィシステム)について本明細書内に説明される。「試料」という用語は、当該技術において知られる手段によって処理され得る(例えば、印刷される、または欠陥を検査される)ウェハ、レチクル、または任意の他のサンプルを指すために本明細書では使用される。
【0126】
本明細書で使用される場合、「ウェハ」という用語は、概して、半導体または非半導体材料から形成される基板を指す。例としては、単結晶シリコン、ガリウムヒ素、およびリン化インジウムが挙げられるが、これらに限定されない。そのような基板は、半導体製作施設においてよく見られ、および/またはそこで処理され得る。いくつかの場合において、ウェハは、基板のみを含み得る(すなわち、ベアウェハ)。代替的に、ウェハは、基板上に形成される異なる材料の1つ以上の層を含み得る。ウェハ上に形成される1つ以上の層は、「パターン化される」または「パターン化されない」場合がある。例えば、ウェハは、繰り返し可能なパターン特徴部を有する複数のダイを含み得る。
【0127】
「レチクル」は、レチクル製作プロセスの任意のステージにあるレチクル、または半導体製作施設における使用のためにリリースされる場合とそうでない場合とがある完成したレチクルであり得る。レチクル、または「マスク」は、概して、実質的に透明の基板であって、その上に実質的に不透明の領域が形成されており、パターンで構成されるものと定義される。基板は、例えば、非晶質SiO2などのガラス材料であり得る。レチクルは、レチクル上のパターンがレジストに転写され得るように、リソグラフィプロセスの露光ステップの間に、レジスト被覆されたウェハの上に配設され得る。
【0128】
ウェハ上に形成される1つ以上の層は、パターン化される、またはパターン化されない場合がある。例えば、ウェハは、各々が繰り返し可能なパターン特徴部を有する複数のダイを含み得る。そのような材料層の形成および処理が、最終的に、完成したデバイスを結果としてもたらし得る。多くの異なる種類のデバイスが、ウェハ上に形成され得、本明細書で使用される場合、ウェハという用語は、当該技術において知られる任意の種類のデバイスがその上で製作されているウェハを包含することが意図される。
【0129】
1つ以上の例示的な実施形態において、説明される関数は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせにおいて実施され得る。ソフトウェア内で実施される場合、関数は、コンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令またはコードに記憶され得るか、またはそれを通じて送信され得る。コンピュータ可読媒体は、1つの場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を促進する任意の媒体を含む、コンピュータ記憶媒体および通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、汎用または特定用途コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。制限ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM、または他の光学ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置デバイス、または、所望のプログラムコード手段を命令またはデータ構造の形態で搬送または記憶するために使用され得、かつ汎用もしくは特定用途コンピュータ、または汎用もしくは特定用途プロセッサによってアクセスされ得る任意の他の媒体を備え得る。また、任意の接続は、コンピュータ可読媒体と適切に呼ばれる。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他のリモート源から送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術は、媒体の定義に含まれる。ディスク(diskおよびdisc)は、本明細書で使用される場合、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、XRFディスク、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、フロッピディスク、およびブルーレイディスクを含み、ここでディスク(disk)は、通常、磁気的にデータを再現する一方、ディスク(disc)は、レーザを用いて光学的にデータを再現する。上記の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0130】
いくつかの特定の実施形態が教授の目的のために上に説明されるが、本特許文書の教示は、一般的適用性を有し、上に説明される特定の実施形態に限定されない。したがって、説明される実施形態の様々な特徴の様々な変形、適合、および組み合わせが、特許請求の範囲に明記されるような本発明の範囲から逸脱することなく実践され得る。