(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】信号電子検出性能を向上させたマルチビーム検査装置
(51)【国際特許分類】
H01J 37/147 20060101AFI20221122BHJP
H01J 37/12 20060101ALI20221122BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H01J37/147 B
H01J37/12
H01J37/28 B
(21)【出願番号】P 2020544012
(86)(22)【出願日】2019-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2019054257
(87)【国際公開番号】W WO2019170421
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-10-07
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】レン,ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シュエドン
(72)【発明者】
【氏名】フー,シュエラン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ゾン-ウェイ
【審査官】後藤 大思
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0025243(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0213688(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0268096(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像面を形成する1つ又は複数の電気光学レンズと、
複数の電子ビームを電子検出デバイス上に誘導するため
のクロスオーバー形成偏向器アレイであって、
前記像面に位置付けられた複数のクロスオーバー形成偏向器を備え、前記像面にはビームの焦点が合わせられ、各クロスオーバー形成偏向器が、前記複数の電子ビームのうちの対応する電子ビームとアライメントされる、クロスオーバー形成偏向器アレイ
と、
を備えた、電気光学システム。
【請求項2】
各クロスオーバー形成偏向器が、全ての電子ビームがオーバーラップして交差面上にクロスオーバーエリアを形成するように、対応する電子ビームを偏向させるように構成される、請求項1に記載の
電気光学システム。
【請求項3】
各クロスオーバー形成偏向器が、多極構造を有する、請求項1に記載の
電気光学システム。
【請求項4】
サンプルからの複数の二次電子ビームをマルチビーム装置におけるそれぞれの電子検出面上に投影するための電気光学システムであって、
前記複数の二次電子ビームの交差面上にクロスオーバーエリアを生成するように構成された複数のクロスオーバー形成偏向器であって、前記複数のクロスオーバー形成偏向器の各クロスオーバー形成偏向器が、前記複数の二次電子ビームのうちの対応する二次電子ビームと関連付けられる、複数のクロスオーバー形成偏向器と、
前記交差面に、又は前記交差面の近くに位置付けられ、及び前記複数の二次電子ビームをトリミングするように構成された1つ又は複数のアパーチャを有するビーム制限アパーチャプレートと、
を備えた、電気光学システム。
【請求項5】
前記複数のクロスオーバー形成偏向器が、前記複数の二次電子ビームのオフアクシス二次電子ビームを前記クロスオーバーエリアに偏向させるように構成される、請求項4に記載の電気光学システム。
【請求項6】
前記1つ又は複数のアパーチャが、前記クロスオーバーエリアを中心とした第1のアパーチャを含む、請求項4に記載の電気光学システム。
【請求項7】
前記1つ又は複数のアパーチャが、異なるサイズを有するように構成される、請求項4に記載の電気光学システム。
【請求項8】
前記ビーム制限アパーチャプレートが、前記1つ又は複数のアパーチャの第2のアパーチャを前記クロスオーバーエリアとアライメントさせるために移動可能である、請求項6に記載の電気光学システム。
【請求項9】
前記サンプルの複数の像を形成するために、前記複数の二次電子ビームの前記検出面を
含む電子検出デバイスをさらに備えた、請求項4に記載の電気光学システム。
【請求項10】
前記電気光学システムの光軸とアライメントされた1つ又は複数のレンズの第1のセット及び1つ又は複数のレンズの第2のセットをさらに備え、前記電子検出デバイスが、前記第1のセットよりも前記第2のセットの近くに位置付けられる、請求項9に記載の電気光学システム。
【請求項11】
前記複数のクロスオーバー形成偏向器が、前記第1のセットと前記第2のセットとの間で、前記第1のセットの第1の像面に、又は前記第1の像面の少なくとも近くに位置付けられる、請求項10に記載の電気光学システム。
【請求項12】
前記1つ又は複数のレンズの第1のセットが、前記複数の二次電子ビームの少なくとも幾つかを前記複数のクロスオーバー形成偏向器のうちの対応するクロスオーバー形成偏向器とアライメントさせるように構成される、請求項11に記載の電気光学システム。
【請求項13】
前記交差面が、前記第1のセットと前記第2のセットとの間に位置付けられる、請求項11に記載の電気光学システム。
【請求項14】
前記交差面が、前記電子検出デバイスと前記第2のセットとの間に位置付けられる、請求項11に記載の電気光学システム。
【請求項15】
サンプルの像を形成するために二次イメージングシステムによって行われる方法であって、
交差面上にクロスオーバーエリアを形成するために、前記二次イメージングシステムの1つ若しくは複数の像面に、又は前記1つ若しくは複数の像面の少なくとも近くに位置付けられた複数のクロスオーバー形成偏向器によって二次電子ビームを偏向させることと、
前記交差面に、又は前記交差面の少なくとも近くに位置付けられたビーム制限アパーチャを有するビーム制限アパーチャプレートによって二次電子ビームをトリミングすることと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2018年3月9日に出願され、及びその全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願第62/641,204号の優先権を主張するものである。
【0002】
[0002] 本明細書で提供される実施形態は、複数の荷電粒子ビームを用いる荷電粒子装置、特に、サンプル面の観察エリアのスキャン領域を観察又は検査するために複数の荷電粒子ビームを利用する装置を開示する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体集積回路(IC)チップの製造時に、パターン欠陥及び/又は不要な粒子(残留物)が、製造プロセス中にウェーハ及び/又はマスク上に必ず生じ、それによって、歩留まりがかなり低下する。例えば、不要な粒子は、ICチップのますます進化した性能要件を満たすために採用された、より小さなクリティカルフィーチャディメンジョンを有するパターンにとって厄介なものとなり得る。
【0004】
[0004] 現在、欠陥及び/又は不要な粒子を検出するために、単一電子ビームを用いたパターン検査ツールが使用されている。これらのツールは、一般的に、走査電子顕微鏡(SEM)を用いる。SEMでは、比較的高いエネルギーの一次電子のビームが、減速されて比較的低いランディングエネルギーでサンプルにランディングし、及びその上にプローブスポットを形成するように焦点が合わせられる。この焦点が合わせられた一次電子のプローブスポットにより、二次電子が面から生成される。サンプル面全体にわたりプローブスポットを走査し、及び二次電子を収集することによって、パターン検査ツールは、サンプル面の像を取得することができる。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本開示の実施形態は、複数の荷電粒子ビームを用いる荷電粒子装置、特に、サンプル面の観察エリアのスキャン領域を観察又は検査するために複数の荷電粒子ビームを利用する装置を提供する。
【0006】
[0006] 幾つかの実施形態では、複数の電子ビームを電子検出デバイス上に誘導するための電気光学システムのクロスオーバー形成偏向器アレイが提供される。クロスオーバー形成偏向器アレイは、電気光学システムの1つ若しくは複数の電気光学レンズの一セットの像面に、又は少なくともその近くに位置付けられた複数のクロスオーバー形成偏向器を含み、各クロスオーバー形成偏向器は、複数の電子ビームのうちの対応する電子ビームとアライメントされる。
【0007】
[0007] 幾つかの実施形態では、サンプルからの複数の二次電子ビームをマルチビーム装置におけるそれぞれの電子検出面上に投影するための電気光学システムが提供される。電気光学システムは、複数の二次電子ビームの交差面上にクロスオーバーエリアを生成するように構成された複数のクロスオーバー形成偏向器を含み、複数のクロスオーバー形成偏向器の各クロスオーバー形成偏向器が、複数の二次電子ビームのうちの対応する二次電子ビームと関連付けられる。電気光学システムは、交差面に、又は交差面の近くに位置付けられ、及び複数の二次電子ビームをトリミングするように構成された1つ又は複数のアパーチャを有するビーム制限アパーチャプレートも含み得る。
【0008】
[0008] 幾つかの実施形態では、サンプルの像を形成するために二次イメージングシステムによって行われる方法が提供される。この方法は、交差面上にクロスオーバーエリアを形成するために、二次イメージングシステムの1つ若しくは複数の像面に、又はそれ(ら)の少なくとも近くに位置付けられた複数のクロスオーバー形成偏向器によって二次電子ビームを偏向させることを含む。この方法は、交差面に、又は交差面の少なくとも近くに位置付けられたビーム制限アパーチャを有するビーム制限アパーチャプレートによって二次電子ビームをトリミングすることも含み得る。
【0009】
[0009] 幾つかの実施形態では、電気光学システムを使用してサンプルの像を形成する方法が提供される。この方法は、サンプルの面を浸漬させるための磁場を生成することと、一次投影イメージングシステムによってサンプルの面上に複数の一次電子ビームを投影させることと、を含み、複数の一次電子ビームは、磁場を通過し、及びサンプルから複数の二次電子ビームを生成する。この方法は、二次イメージングシステムによって、複数の二次電子ビームを電子検出デバイス上に投影させて像を取得することも含み、複数の二次電子ビームの少なくとも幾つかは、クロスオーバーエリアを生成するために偏向され、及びクロスオーバーエリアで、又は少なくともその近くでトリミングされる。
【0010】
[0010] 幾つかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。非一時的コンピュータ可読媒体は、コントローラの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な、コントローラに電気光学システムを使用してサンプルの像を形成する方法を行わせる命令の一セットを保存する。この方法は、システムの1つ若しくは複数の像面に、又はそれ(ら)の少なくとも近くに位置付けられた複数のクロスオーバー形成偏向器に二次電子ビームを偏向させてクロスオーバーエリアを形成する命令を提供することを含む。この方法は、クロスオーバーエリアで、又は少なくともその近くでビーム制限アパーチャに偏向された二次電子ビームをトリミングさせる命令を提供することも含む。
【0011】
[0011] 幾つかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。非一時的コンピュータ可読媒体は、コントローラの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な、コントローラにサンプルの像を形成する方法を行わせる命令の一セットを保存する。この方法は、サンプルの面を浸漬させるための磁場を生成するように対物レンズに指示することと、サンプルの面上に複数の一次電子ビームを投影するように、一次イメージングシステムに指示することと、を含み、複数の一次電子ビームは、磁場を通過し、及びサンプルから複数の二次電子ビームを生成する。この方法は、複数の二次電子ビームを電子検出デバイス上に投影させて像を取得するように二次イメージングシステムに指示することも含み、複数の二次電子ビームの少なくとも幾つかは、クロスオーバーエリアを生成するために偏向され、及びクロスオーバーエリアで、又は少なくともその近くでトリミングされる。
【0012】
[0012] 本発明の他の利点は、本発明の特定の実施形態が説明のために、及び例として記載される、添付の図面と併せた以下の説明から明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0013]本開示の実施形態による例示的電子ビーム検査(EBI)システムを示す模式図である。
【
図2】[0014]本開示の実施形態による、
図1の例示的電子ビーム検査システムの一部である例示的電子ビームツールを示す模式図である。
【
図3A】[0015]磁気レンズ及び静電レンズを有する対物レンズの例示的構成を示す模式図である。
【
図3B】[0016]
図3Aの磁気レンズの例示的磁場及び静電レンズの例示的静電場、それぞれを示す。
【
図3C】[0017]対物レンズによって影響を受けた例示的二次電子ビームを示す模式図である。
【
図3D】[0018]二次イメージングシステムのビーム制限アパーチャプレートの断面図である。
【
図4A】[0019]本開示の実施形態による、二次イメージングシステムの例示的偏向器を示す模式図である。
【
図4B】[0020]本開示の実施形態による、二次イメージングシステムにおける二次電子ビームの例示的なクロスオーバーを示す模式図である。
【
図4C】[0021]本開示の実施形態による、二次イメージングシステムのビーム制限アパーチャプレートの断面図である。
【
図5A】[0022]本開示の実施形態による、偏向器を備えた二次イメージングシステムの例示的構成を示す模式図である。
【
図5B】[0022]本開示の実施形態による、偏向器を備えた二次イメージングシステムの例示的構成を示す模式図である。
【
図5C】[0022]本開示の実施形態による、偏向器を備えた二次イメージングシステムの例示的構成を示す模式図である。
【
図6】[0023]本開示の実施形態による、複数の偏向器アレイに構成された偏向器を備えた二次イメージングシステムの例示的構成を示す模式図である。
【
図7】[0024]本開示の実施形態による、サンプルの面の像を形成するための例示的方法を示すフローチャートである。
【
図8】[0025]本開示の実施形態による、電気光学システムを使用してサンプルの像を形成する例示的方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0026] これより、例が添付の図面に示される例示的実施形態を詳細に参照する。以下の説明は、異なる図面中の同じ番号が、別段の説明がなければ、同一又は類似の要素を表す添付の図面を参照する。例示的実施形態の以下の説明に記載する実施態様は、本発明による全ての実施態様を表すわけではない。代わりに、それらは、添付の特許請求の範囲に記載される本発明に関連した局面による装置及び方法の例に過ぎない。
【0015】
[0027] 図面の構成要素の相対的寸法は、明確にするために、誇張されている場合がある。以下の図面の説明の中で、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様の構成要素又はエンティティを指し、個々の実施形態に関して相違点のみを説明する。
【0016】
[0028] 保護の範囲を限定することなく、実施形態の全ての説明及び図面は、例示として、電子ビームと呼ばれる。但し、これらの実施形態は、本発明を特定の荷電粒子に限定するために使用されるものではない。
【0017】
[0029] これより、本開示の実施形態による例示的電子ビーム検査(EBI)システムを示す模式図である
図1を参照する。
図1に示すように、荷電粒子ビーム検査システム1は、主チャンバ10、ロード/ロックチャンバ20、電子ビームツール100、及び機器フロントエンドモジュール(EFEM)30を含む。電子ビームツール100は、主チャンバ10内に位置する。
【0018】
[0030] EFEM30は、第1のローディングポート30a及び第2のローディングポート30bを含む。EFEM30は、1つ又は複数の追加のローディングポートを含んでもよい。第1のローディングポート30a及び第2のローディングポート30bは、例えば、検査されるウェーハ(例えば、半導体ウェーハ、又は1つ若しくは複数の他の材料で作られたウェーハ)又はサンプル(以下、ウェーハ及びサンプルは、まとめて「ウェーハ」と呼ぶ)を含むウェーハFOUP(front opening unified pod)を受け取り得る。EFEM30内の1つ又は複数のロボットアーム(不図示)が、ウェーハをロード/ロックチャンバ20に運ぶ。
【0019】
[0031] ロード/ロックチャンバ20は、ロード/ロックチャンバ20内の気体分子を除去して大気圧未満の第1の圧力に達するロード/ロック真空ポンプシステム(不図示)に接続される。第1の圧力に達した後に、1つ又は複数のロボットアーム(不図示)は、ロード/ロックチャンバ20から主チャンバ10にウェーハを運ぶ。主チャンバ10は、主チャンバ10内の気体分子を除去して第1の圧力未満の第2の圧力に達する主チャンバ真空ポンプシステム(不図示)に接続される。第2の圧力に達した後に、ウェーハは、電子ビームツール100による検査を受ける。本開示は、電子ビーム検査システムを収納する主チャンバ10の例を提供するが、広義での本開示の局面は、電子ビーム検査システムを収納するチャンバに限定されないことに留意されたい。より正確に言えば、上述の原理は、第2の圧力下で動作する他のツールにも適用され得ることが認識される。
【0020】
[0032] 本開示の実施形態による、
図1の例示的電子ビーム検査システムの一部である例示的電子ビームツール100を示す模式図である
図2をこれより参照する。電子ビームツール100(本明細書では、装置100とも呼ばれる)は、電子源101、ガンアパーチャプレート171、集光レンズ110、ソース変換ユニット120、一次投影光学システム130、サンプル面7を有するサンプル8、二次イメージングシステム150、及び電子検出デバイス140Mを備える。一次投影光学システム130は、対物レンズ131を備え得る。電子検出デバイス140Mは、複数の検出素子140_1、140_2、及び140_3を備え得る。ビーム分離器160及び偏向スキャンユニット132は、一次投影光学システム130内に位置し得る。
【0021】
[0033] 電子源101、ガンアパーチャプレート171、集光レンズ110、ソース変換ユニット120、ビーム分離器160、偏向スキャンユニット132、及び一次投影光学システム130は、装置100の一次光軸100_1とアライメントされ得る。二次イメージングシステム150及び電子検出デバイス140Mは、装置100の二次光軸150_1とアライメントされ得る。
【0022】
[0034] 電子源101は、カソード(不図示)及び抽出器及び/又はアノード(不図示)を備えてもよく、これらにおいて、動作中に、電子源101は、カソードから一次電子を放出するように構成され、一次電子は、抽出器及び/又はアノードによって抽出及び/又は加速されて、一次ビームクロスオーバー(仮想又は実)101sを形成する一次電子ビーム102を形成する。一次電子ビーム102は、一次ビームクロスオーバー101sから放出されるように視覚化され得る。
【0023】
[0035] ソース変換ユニット120は、像形成素子アレイ(
図2では不図示)及びビーム制限アパーチャアレイ(
図2では不図示)を備え得る。ソース変換ユニット120の一例は、米国特許第9,691,586号、米国特許出願第15/216,258号、及び国際出願第PCT/EP2017/084429号に見つけることができ、これらは全て、全体が参照により援用される。像形成素子アレイは、一次電子ビーム102の複数の一次ビームレット102_1、102_2、102_3に影響を与え、及び一次ビームクロスオーバー101sの複数の平行像(仮想又は実)を形成する複数のマイクロ偏向器及び/又はマイクロレンズを備え得る(一次ビームレット102_1、201_2、102_3のそれぞれに対して1つ)。ビーム制限アパーチャアレイは、個々の一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3の直径を制限するように構成され得る。
図2は、一例として、3つの一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3を示し、ソース変換ユニット120は、任意の数の一次ビームレットを形成するように構成され得ることが認識される。
【0024】
[0036] 集光レンズ110は、一次電子ビーム102の焦点を合わせるように構成される。集光レンズ110は、集光レンズ110の焦点合わせ能力を変更することによって、ソース変換ユニット120の下流で、一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3の電流を調節するようにさらに構成され得る。代替的に、電流は、個々の一次ビームレットに対応するビーム制限アパーチャアレイ内のビーム制限アパーチャの半径サイズを変えることによって変更され得る。対物レンズ131(以下でさらに説明する)は、検査のためにビームレット102_1、102_2、及び102_3の焦点をサンプル8上に合わせるように構成することができ、並びに、本実施形態においては、3つのプローブスポット102_1s、102_2s、及び102_3sを面7上に形成することができる。ガンアパーチャプレート171は、動作中に、一次電子ビーム102の周辺電子を遮断してクーロン効果を減少させるように構成される。クーロン効果は、一次ビームレット102_1、102_2、102_3のプローブスポット102_1s、102_2s、及び102_3sのそれぞれのサイズを拡大させ、従って、検査解像度を低下させ得る。
【0025】
[0037] ビーム分離器160は、例えば、静電双極子場E1及び磁気双極子場B1(これらは共に、
図2では不図示)を生成する静電偏向器を備えたウィーンフィルタでもよい。動作中には、ビーム分離器160は、一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3の個々の電子に静電双極子場E1による静電力を及ぼすように構成され得る。静電力は、ビーム分離器160の磁気双極子場B1によって個々の電子に対して及ぼされる磁力と大きさは等しいが、方向は正反対である。従って、一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3は、少なくとも実質的にゼロ偏向角度で、少なくとも実質的に真っ直ぐにビーム分離器160を通過し得る。
【0026】
[0038] 偏向スキャンユニット132は、動作中に、一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3を偏向させて、面7のあるセクションにおいて個々のスキャンエリアにわたりプローブスポット102_1s、102_2s、及び102_3sをスキャンするように構成される。プローブスポット102_1s、102_2s、及び102_3sにおける一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3の入射に応答して、電子は、サンプル8から発生し、並びに、動作中にサンプル8から放出される3つの二次電子ビーム102_1se、102_2se、及び102_3seを生成する。二次電子ビーム102_1se、102_2se、及び102_3seのそれぞれは、一般的に、二次電子(50eV以下の電子エネルギーを有する)及び後方散乱電子(50eV~一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3のランディングエネルギーの電子エネルギーを有する)を含む異なるエネルギーを有する電子を含む。ビーム分離器160は、二次電子ビーム102_1se、102_2se、及び102_3seを二次イメージングシステム150に向けて偏向させるように構成される。続いて、二次イメージングシステム150は、電子検出デバイス140Mの検出素子140_1、140_2、及び140_3上に二次電子ビーム102_1se、102_2se、及び102_3seの焦点を合わせる。検出素子140_1、140_2、及び140_3は、対応する二次電子ビーム102_1se、102_2se、及び102_3seを検出し、並びに、例えばサンプル8の対応するスキャンエリアの像を構築するために、信号処理ユニット(不図示)に送られる対応する信号を生成するように配置される。
【0027】
[0039]
図2の対物レンズ131の例示的構成を示す
図3Aをこれより参照する。一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3によって形成される像のより高い解像度を得るために、対物レンズ131は、サンプルが対物レンズ131の磁場に浸漬され得る電磁複合レンズでもよい。
【0028】
[0040] 幾つかの実施形態では、対物レンズ131は、磁気レンズ131M及び静電レンズ131Eを含む。磁気レンズ131Mは、ポールピース131_mp1と131_mp2との間に磁気回路ギャップG1を含む。磁気レンズ131Mは、一次ビームレット102_1、102_2、102_3のそれぞれの比較的小さなプローブスポット102_1s、102_2s、102_3sをサンプル8上に生成するために、比較的低い収差で一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3のそれぞれの焦点を合わせるように構成される。
【0029】
[0041] 幾つかの実施形態では、静電レンズ131Eは、磁気レンズ131Mのポールピース131_mp1及び/又はポールピース131_mp2、場制御電極131_e1、並びにサンプル8によって形成される。静電レンズ131Eは、一次電子が比較的低い運動エネルギーでサンプル8上にランディングし、及び比較的高い運動エネルギーで装置を通過することを確実にするために、一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3のそれぞれのランディングエネルギーに影響を与えるように構成される。
【0030】
[0042] 幾つかの実施形態では、対物レンズ131は、「浸漬レンズ」となるように構成される。その結果、サンプル8は、
図3Bに示すように、静電レンズ131Eの静電場E(静電浸漬)及び磁気レンズ131Mの磁場B(磁気浸漬)の両方に浸漬される。磁気浸漬は、面7上の磁場強度及びピーク磁場強度の比率が、5%などの予め設定された比率値を超える場合に生じ得る。幾つかの実施形態では、サンプル8は、磁場Bに浸漬されなくてもよい。
【0031】
[0043] 静電浸漬及び磁気浸漬は、対物レンズ131の収差を減少させ得る。静電場及び磁場が強くなるほど、対物レンズ131の収差は小さくなる。しかし、静電場Eは、サンプル8上での放電又はアーク放電を回避するために、安全な範囲内に限定されるべきである。
図3Aの場制御電極131_e1は、この安全な範囲内にとどまるように静電場Eを制御するように構成され得る。静電場Eのこの場強度制限により、本浸漬構成における磁場強度のさらなる向上は、対物レンズ131の収差のさらなる減少を可能にし、その結果、画像解像度が向上する。
【0032】
[0044] 幾つかの実施形態では、一次ビームレット102_1、102_2、102_3は、少なくとも実質的に垂直方向にサンプル面7上に到着し得る。しかし、磁気浸漬は、サンプル面7上にランディングする全ての一次ビームレットのランディング角に影響を与え得る。具体的には、磁場Bは、下記の式(1)に示すように、一次ビームレットの各電子に角速度θ
(1)を取得させ得る。
【数1】
式中、Cは、電子の初期角速度に関連する定数であり、rは、対物レンズ131の光軸からの位置シフトであり、並びにe及びmは、それぞれ電子の電荷及び質量である。電子が垂直に面7上にランディングするためには、角速度θ
(1)は、サンプル面7上でゼロでなければならない。
【0033】
[0045] 幾つかの実施形態では、磁気レンズ131Mは、非磁気浸漬モードで動作するように構成され、磁場Bは、面7上で、ゼロ(若しくは実質的にゼロ)であり、又は予め設定された比率値を下回る。電子がある子午線経路に沿って磁場Bに入ると、それに対応する定数Cはゼロであり、及びその角速度θ(1)は、サンプル8上でゼロ又は実質的にゼロとなる。さらに、電子がある特定の子午線経路に沿って磁場Bに入ると、それは、磁気レンズ131Mに入る前に磁気レンズ131Mの光軸100_1と交差し、及びサンプル8上に垂直にランディングすることができる。つまり、対物レンズ131は、その前側焦点面上に実前側焦点を有する。オフアクシス一次ビームレット102_2及び102_3の主光線(又は中心光線)が、幾つかの特定の子午線経路に沿って対物レンズ131に入ると、主光線は、実前側焦点を通過することができるとともに、オフアクシス一次ビームレット102_2及び102_3は、垂直に面7上にランディングすることができる。従って、一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3は、前側焦点面上で共にオーバーラップし、及び実前側焦点を中心に比較的急なビームレットクロスオーバーを形成する。
【0034】
[0046] 他の実施形態では、磁気レンズ131Mは、磁場Bが面7上でゼロではない磁気浸漬モードで動作するように構成される。従って、電子の角速度θ
(1)は、電子が磁場Bに入り、及び式(2)の条件に一致するときに、それに対応する定数Cがゼロではない場合に、サンプル8上でゼロ(又は実質的にゼロ)となり得る。
【数2】
Cがゼロではない場合に、電子は、傾斜経路に沿って磁場Bに入り、及び磁場Bに入る前に磁気レンズ131Mの光軸100_1と交差することはできない。従って、電子は、ある特定の傾斜経路に沿って磁場Bに入る場合にのみサンプル8上に垂直にランディングすることができ、電子は、磁場Bを通過中に光軸100_1と実際に交差することはできない。従って、対物レンズ131は、仮想前側焦点1を有する。オフアクシス一次ビームレット102_2及び102_3の主光線(又は中心光線)が、幾つかの特定の傾斜経路に沿って対物レンズ131に入ると、それらは、仮想前側焦点1を仮想的に通過することができるとともに、垂直にサンプル面7上にランディングすることができる。この状況下では、オフアクシス一次ビームレット102_2及び102_3は、対物レンズ131の主平面2上で互いに最も近く、且つオフアクシス一次ビームレット102_2及び102_3のそれぞれは、光軸100_1から半径方向シフト3を有する。従って、一次ビームレット102_1~102_3は、部分的にのみ、主平面2上で互いにオーバーラップし、及び主平面2上で、部分的オーバーラップビームレットクロスオーバーを形成する。また、面7上の磁場Bが増大するにつれて、半径方向シフト3が増大する。部分的オーバーラップビームレットクロスオーバーにおける電流密度は、前述の急なビームレットクロスオーバーの場合よりも低い。従って、磁気浸漬モードにおける一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3間のクーロン相互作用は、比較的低く、それによって、プローブスポット102_1S~102_3Sの小サイズにさらに寄与する。
【0035】
[0047] 上述の通り、対物レンズ131が磁気浸漬モードで動作する際には、オフアクシス一次ビームレット102_2及び103_3の主光線は、オフアクシス一次ビームレット102_2及び102_3が垂直にサンプル8上にランディングすることができるように、幾つかの特定の傾斜経路に沿って磁場B又は対物レンズ131に入ることが必要とされる。オフアクシス主光線の対応する定数Cは、式(2)によって決定される。偏向器を使用して、一次ビームレットをそれに対応する特定の傾斜経路に沿って対物レンズ131に入るように調節することができる。例えば、ソース変換ユニット120におけるマイクロ偏向器を使用して、オフアクシス一次ビームレット102_2及び102_3が垂直に面7上にランディングするように、面7上でのこれらのビームレットの角速度を除去するためにこれらのビームレットを個々に偏向させることができる。
【0036】
[0048] サンプル面からの二次電子放出に関して、角度分布は、ランベルトの法則に従う。つまり、角度分布は、cosφに比例し、φは、面法線に対する放出角度である。従って、
図3Aにおけるオフアクシス二次電子ビーム102_2se及び102_3seの主光線は、サンプル面7から垂直に離れ、これにより子午光線(すなわち、C=0)である。従って、オフアクシス二次電子ビーム102_2se、102_3seの主光線は、式(3)に示すような角速度を有する。
【数3】
【0037】
[0049] 磁場Bがサンプル面においてゼロである幾つかの実施形態では、対物レンズ131は、非磁気浸漬モードで機能する。従って、発生する二次電子の角速度θ
(1)もサンプル面上でゼロとなる。このような実施形態では、オフアクシス二次電子ビーム102_2se及び102_3seの主光線は、対物レンズ131を出た後でも子午光線であり、及び二次イメージングシステム150(
図2では不図示)の光軸150_1と交差することができる場合がある。さらに、主光線は、二次イメージングシステム150において同じ場所で(収差が考慮されなければ)光軸150_1と交差することができる。そのため、二次電子ビーム102_1se~102_3seは、交差の共通エリアでオーバーラップし、従って比較的急な二次ビームクロスオーバーを形成するように構成され得る。交差又は二次ビームクロスオーバーの共通エリアが位置する面を交差面と呼ぶ。
【0038】
[0050] 対物レンズが非磁気浸漬モードで動作する際に、二次イメージングシステム150において二次ビーム制限アパーチャ(例えば、
図3D、4Cに示される二次ビーム制限アパーチャ155A)を備えた二次ビーム制限アパーチャプレート(例えば、
図3D、4Cに示される二次ビーム制限アパーチャプレート155)は、二次電子ビーム102_1se~102_3seが
図4Cの例示的実施形態と実質的に同じように二次ビーム制限アパーチャを通過し得るように交差面上に位置し得る。このような状況では、二次ビーム制限アパーチャは、実質的に均一に二次電子ビーム102_1se~102_3seの周辺電子を遮断する。実質的に均一に周辺電子を遮断することによって、二次ビーム制限アパーチャは、二次電子ビーム102_1se~102_3seが同じ又は少なくとも類似した通過率を有することを可能にし、従って、電子検出デバイス140Mが検出された二次電子ビーム102_1se~102_3se全体にわたり均一に比較的高い収集効率を有することを助け得る。また、周辺電子を実質的に均一に遮断すること(例えば、あらゆる半径方向において同じブロッキング効果を用いること)は、電子検出デバイス140Mに対する二次電子ビームのクロストークを減少させる。
【0039】
[0051] 代替実施形態において、磁場Bが基板面7でゼロではない場合に、対物レンズ131は、磁気浸漬モードで動作する。従って、発生する二次電子の角速度θ(1)は、サンプル面上でゼロではない。オフアクシス二次電子ビーム102_2se及び102_3seの主光線は、対物レンズを出た後に角速度を有し、及びスキュー光線となる。
【0040】
[0052] 磁気浸漬モード下での動作がどのように二次電子ビームに影響を与え得るかを示す
図3C及び3Dをこれより参照する。具体的には、
図3Cは、サンプル8の面7から発生し、及び対物レンズ131(不図示)によって影響される例示的二次電子ビームの模式図を示し、
図3Dは、二次イメージングシステム151のビーム制限アパーチャプレートの断面図を示す。これらの代替実施形態では、オフアクシス二次ビーム102_2se及び102_3seの主光線は、それらが最早二次イメージングシステム150の光軸150_1と交差しないように傾斜する。例えば、
図3Cに示すように、二次電子ビーム102_1se~102_3seは、二次イメージングシステム150における1つ又は複数の交差面(交差面4など)において部分的にのみオーバーラップし、及び各交差面において部分的オーバーラップ二次ビームクロスオーバーを形成する。交差面4において、オフアクシス二次電子ビーム102_2se及び102_3seの主光線は、光軸150_1から半径方向シフト5を有する。磁場Bが増大するにつれ、光軸150_1(及びオンアクシス二次電子ビーム102_1se)からのオフアクシス二次電子ビーム102_2se及び102_3seの分離が大きくなり、それによって、二次電子ビーム102_1se~102_3se間のオーバーラップの量がさらに減少する。
【0041】
[0053] これらの実施形態において、
図3Dに示すように、二次イメージングシステム150における二次ビーム制限アパーチャ155Aは、対応する交差面上の1つの部分的オーバーラップ二次ビームクロスオーバーに位置する。
図3Dに示すように、二次電子ビームの主光線の共通の交差点の欠如は、異なる二次電子ビーム102_1se~102_3seから周辺電子の異なる部分を第2のビーム制限アパーチャ155Aに遮断させる。オンアクシス二次電子ビーム102_1seは、オフアクシス二次電子ビーム102_2se及び102_3seよりも高い通過率を有する。オンアクシス二次電子ビーム102_1seの周辺電子は、全方位において均一に遮断されるが、オフアクシス二次電子ビーム102_2se及び102_3seの周辺電子は、全方位において均一に遮断されることは不可能である。例えば、二次電子ビーム102_2seの場合、左側よりも右側でより多くの周辺電子が遮断される。従って、対物レンズを浸漬構成で使用する際に、二次電子ビーム102_1se~102_3seの収集効率の差が生じる場合があり、及び二次電子ビーム102_1se~102_3se間のクロストークは、(非磁気浸漬モードで動作する対物レンズと比較して)大きくなり得る。
【0042】
[0054] 従って、対物レンズ131が磁気浸漬モードで動作する際には、電子検出デバイス140Mにおいて二次電子ビーム全体にわたる収集効率の均一性及びクロストークが悪影響を受け得るが、二次イメージングシステムは、クーロン効果の減少を有する。開示の実施形態は、磁気浸漬モードで動作する間に、全ての二次電子ビームに関して周辺電子を一様に減少させるために、二次ビーム制限アパーチャが交差の共通エリアに位置し得るように、交差の共通エリアにおけるオフアクシス二次電子ビームの半径方向シフトを最小限に抑えるように構成されたシステムを提供する。開示の実施形態は、二次電子ビームに関してクロストークを減少させ、及び収集効率の均一性を向上させるように構成される。
【0043】
[0055] 本開示の実施形態による、二次イメージングシステムによって使用される例示的偏向器を示す
図4Aをこれより参照する。二次イメージングシステム(例えば、
図2の二次イメージングシステム150)は、二次電子ビーム102_2seの主光線の角速度を低下させるために二次電子ビーム102_2seを偏向させる偏向器D1を含み得る。その結果、二次電子ビームの軌道は、傾斜軌道から子午線軌道へと変化し得る。その結果、偏向された二次電子ビームは、設計された場所で二次光軸150_1と交差するように構成され得る。
【0044】
[0056] 例えば、偏向器D1は、二次イメージングシステム150のレンズ又はレンズ群の像面P1の少なくとも近くに位置し、且つ二次電子ビーム102_2seと光学的にアライメントされ得る。このような偏向器D1は、例えば、多極構造であってもよい。例えば、偏向器D1が四極構造である場合、ゼロ電圧が一方の対の反対極に印加され、同じ絶対値であるが反対の極性の2つの電圧が、他方の対の反対極に印加される。反対極上で電圧が増大するにつれ、ビームレットの偏向角度も増大する。
【0045】
[0057] 上記の通り、偏向器D1は、像面P1の少なくとも近くに位置する。幾つかの実施形態では、偏向器D1は、二次イメージングシステム150の1つ又は複数のレンズの像面P1に位置する。偏向器D1が像面P1の近くにある実施形態では、二次電子ビームの偏向は、二次イメージングシステム150の拡大に影響を与え得るが、この影響は、影響が特定の限度内にとどまる場合には、許容可能となり得る。
【0046】
[0058] 偏向器D1は、例えば、偏向器アレイの一部でもよい。従って、各二次電子ビームに関して、偏向器は、像面に対して少なくとも近くに位置し、及び対応する二次電子ビームと光学的にアライメントされ得る。オンアクシス二次ビームに関して、対応する偏向器は必要ないかもしれないことが認識される。
【0047】
[0059] 偏向器アレイの個々の偏向器は、対応する二次電子ビームを偏向させて、所望の交差面(
図4Aでは不図示)で二次光軸150_1と交差し、及びその上で比較的急な二次ビームクロスオーバーを形成するように構成され得る。偏向器と交差面との間の距離は、偏向器によって生じる二次ビームの偏向角度に依存し得る。例えば、
図4Aに示すように、偏向器D1は、二次電子ビーム102_2seの主光線が所望の交差面で二次光軸150_1と交差するように、オフアクシス二次電子ビーム102_2seを偏向させる。
【0048】
[0060] 本開示の実施形態と一致する実施形態を示す
図4B~4Cをこれより参照する。
図4Bは、二次イメージングシステムにおける交差面4上の二次電子ビームの例示的な比較的急な二次ビームクロスオーバーを示す模式図であり、
図4Cは、交差面4上の例示的なビーム制限アパーチャプレートの断面図を示す。
【0049】
[0061]
図4Bでは、オフアクシス二次電子ビーム102_2se及び102_3seは、対応する偏向器(不図示)によって偏向され、交差面4で二次光軸150_1と交差し、及びその上で、オンアクシス二次電子ビーム102_1seと比較的急な二次ビームクロスオーバーを形成する。その結果、二次ビームクロスオーバーに位置する何れかのビーム制限アパーチャを使用して、個々の二次電子ビームから周辺電子を一様に遮断して、クロストークを減少させ、且つ類似の収集効率を確実にすることができる。これを
図4Cに示す。
【0050】
[0062]
図4Cは、二次電子ビームが
図4Bの交差面4上に位置するビーム制限アパーチャプレート155の二次ビーム制限アパーチャ155Aの開口部を通過し、及びその上で交差する際の交差面4上の断面透視図を示す。
図4Cにおいて、破線円は、二次ビーム制限アパーチャプレート155の表面上のオーバーラップする二次電子ビーム102_1se、102_2se、102_3seを示す。図示するように、二次ビーム制限アパーチャ155Aは、二次電子ビーム102_1se~102_3seの周辺電子を遮断する。
図4B~4Cは、ある交差面上で完全にオーバーラップする二次ビーム102_1se~102_3seによって形成された比較的急な二次ビームクロスオーバーの例を示すが、二次電子ビームの1つ又は複数は、交差面上で他の二次電子ビームからオフセットされてもよく、及び二次ビームクロスオーバーがそれほど急でなくてもよいことが認識される。オフセットは、電子の少なくとも80%が他のビームとのビームオーバーラップを避けるようにしてもよい。
【0051】
[0063] 一般に、二次ビーム制限アパーチャ155Aのサイズが大きくなると、二次電子ビーム102_1se~102_3seの収集効率が高まり、且つ二次電子ビーム102_1se~102_3se間の収集効率の差及びクロストークも大きくなる。二次電子ビーム102_1se~102_3seの収集効率が高まると、マルチビーム検査(MBI)装置の検査スループットが高まる。その一方で、二次電子ビーム102_1se~102_3seの収集効率の差が大きくなると、二次電子ビーム102_1se~102_3seによって形成される像の階調レベルがより大きく異なり、このことは、この差による検査エラーを無くすために1つ又は複数の追加のプロセスを必要とし、それによって、検査スループットが低下し、且つMBI装置の解像度が低下する。二次電子ビーム102_1se~102_3se間のクロストークが増大すると、二次電子ビーム102_1se~102_3seによって形成される像の解像度が低下する。すなわち、大きなクロストークがMBI装置の検査解像度を低下させる。
【0052】
[0064] 本開示の実施形態による、偏向器を備えた二次イメージングシステムの例示的構成を示す模式図である
図5A、5B、及び5Cをこれより参照する。
【0053】
[0065] 二次イメージングシステム150は、ビーム分離器160と電子検出デバイス140Mとの間に配置される、1つ又は複数のレンズの第1のセット151、及び1つ又は複数のレンズの第2のセット152(
図5A、5B、及び5Cに示される)を備え得る(電子検出デバイス140Mは、1つ又は複数のレンズの第1のセット151よりも、1つ又は複数のレンズの第2のセット152の近くに位置付けられる)。各セットは、拡大、ズーム、及び像回転防止などの光学機能を共に行う1つ又は複数のレンズを備える。例えば、第1のセット151は、ある像面上の複数の二次電子ビームの拡大のばらつきを減少させるためにズーム機能を有するように構成され得る。具体的には、1つ又は複数のレンズの各セット151及び152は、二次電子ビームの像面を形成するように構成され得る。例えば、1つ又は複数のレンズの第1のセット151は、二次電子ビームの像面P1を形成するように配置され得る。その結果、偏向器が、二次電子ビームを偏向させるために像面P1に、又は像面P1の近くに有益に位置付けられ得る。同様に、1つ又は複数のレンズの第2のセット152は、例えば、電子検出デバイス140Mがサンプル8の複数の像(各二次電子ビームに対して1つの像)を形成するために像面P2に、又は像面P2の近くに位置付けられ得るように、二次電子ビームの像面P2を形成するように配置され得る。
【0054】
[0066] 幾つかの実施形態では、複数のクロスオーバー形成偏向器を備えたクロスオーバー形成偏向器アレイ190が、二次光軸150_1に沿って第1のセット151の後ろで、像面P1に、又は像面P1の近くに配置される。クロスオーバー形成偏向器アレイ190における各クロスオーバー形成偏向器は、二次電子ビーム102_1se、102_2se、102_3seの対応する1つとアライメントされ、及び交差面4上で二次光軸150_1と交差するように対応する二次電子ビームを偏向させるように構成され得る。各クロスオーバー形成偏向器は、例えば、
図4Aの偏向器D1でもよい。
【0055】
[0067]
図5A~5Cは、オフアクシス二次電子ビーム102_2se及び102_3seに関連付けられたクロスオーバー形成偏向器アレイ190におけるクロスオーバー形成偏向器を示すが、オンアクシス二次電子ビーム102_1seによって追加の偏向器も使用され得ることが認識される。
【0056】
[0068] 二次電子ビーム102_1se~102_3seの偏向は、二次電子ビーム102_1se~102_3seが交差面4上で、又は交差面4の近くで比較的急な二次ビームクロスオーバーを形成することを確実にする。ビーム制限アパーチャ155Aを備えたビーム制限アパーチャプレート155は、ある交差面(例えば、交差面4)に、又はその交差面の近くに位置する。二次電子ビーム102_1se~102_3seの周辺電子は、ビーム制限アパーチャプレート155によって遮断されるが、二次電子ビーム102_1se~102_3seの中心電子は、ビーム制限アパーチャ155Aを通過する。
【0057】
[0069] ビーム制限アパーチャプレート155及び交差面4の配置は、例えばクロスオーバー形成偏向器アレイ190の偏向角度及び/又は場所に応じて、様々な場所に設計され得る。例えば、
図5Aに示すように、ビーム制限アパーチャプレート155及び交差面4の配置は、1つ又は複数のレンズの第1のセット151と、1つ又は複数のレンズの第2のセット152との間に位置する。
図5Bに示す例示的構成などの幾つかの実施形態では、ビーム制限アパーチャプレート155及び交差面4の配置は、1つ又は複数のレンズの第2のセット152内に位置する。
図5Cに示す例示的構成などの幾つかの他の実施形態では、ビーム制限アパーチャプレート155及び交差面4の配置は、1つ又は複数のレンズの第2のセット152と電子検出デバイス140Mとの間に位置する。
図5Cに示すような構成の利点は、クロスオーバー形成偏向器アレイ190における個々のクロスオーバー形成偏向器の偏向角度が比較的小さい点である。このような小さな偏向角度の利点は、各クロスオーバー形成偏向器に対して必要とされる電気的励起がより低いため、クロスオーバー形成偏向器アレイ190をより簡単に製造できる点となり得る。さらに、このような構成は、より電力効率が良くなり得る。
【0058】
[0070] 二次イメージングシステム150は、サンプル面7のスキャン領域からの二次電子ビーム102_1se、102_2se、及び102_3seの焦点を像面P2上の電子検出デバイス140Mの対応する検出素子140_1、140_2、及び140_3上に合わせ、並びにその上に二次ビームスポット102_1seP、102_2seP、及び102_3sePをそれぞれ形成するように構成される。検出素子140_1、140_2、及び140_3は、対応する二次電子ビーム102_1se、102_2se、及び102_3seを検出し、並びにサンプル面7の対応するスキャンエリアの像を構築するために使用される対応する信号を生成するように構成される。二次イメージングシステム150において提供される開示の実施形態に基づいて、二次イメージングシステム150におけるクロスオーバー形成偏向器アレイ190の使用は、二次電子ビーム102_1se~102_3seの収集効率の均一性を向上させながら、隣接する二次電子ビーム間のクロストークの減少を可能にする。
【0059】
[0071] 本開示の実施形態による、二次電子ビーム102_1se~102_3seを偏向させるための複数のクロスオーバー形成偏向器アレイを備えた二次イメージングシステム150の例示的代替構成を示す模式図である
図6をこれより参照する。
【0060】
[0072] 二次イメージングシステム150は、ビーム分離器160と電子検出デバイス140Mとの間に配置された、1つ又は複数のレンズの複数のセット151、152、153を含む。これらの実施形態では、1つ又は複数のレンズの第1のセット151は、1つ又は複数のレンズの第1のセット151と、1つ又は複数のレンズの第2のセット152との間に配置される像面P1上に二次電子ビーム102_1se~102_3seの焦点を合わせるように構成される。続いて、1つ又は複数のレンズの第2のセット152は、1つ又は複数のレンズの第2のセット152と、1つ又は複数のレンズの第3のセット153との間に配置される像面P2上に二次電子ビーム102_1se~102_3seの焦点を合わせるように構成される。最後に、1つ又は複数のレンズの第3のセット153は、電子検出デバイス140Mが位置付けられる像面P3上に二次電子ビーム102_1se~102_3seの焦点を合わせる。
【0061】
[0073] 幾つかの実施形態では、二次イメージングシステム150は、2つ以上のクロスオーバー形成偏向器アレイ190-1及び190-2を備え得る(各アレイは、1つ又は複数のクロスオーバー形成偏向器(例えば、
図4Aの偏向器D1)を有する)。クロスオーバー形成偏向器アレイ190-1及び190-2は、それぞれ像面P1及びP2に位置する。クロスオーバー形成偏向器アレイ190-1は、像面P1上で二次電子ビーム102_1se~102_3seの内の第1の群(102_2se)とアライメントされ、及びそれを偏向させる(通過する二次電子ビームの他の群に影響を与えることなく)クロスオーバー形成偏向器を備える。クロスオーバー形成偏向器アレイ190-2は、像面P2上で二次電子ビーム102_1se~102_3seの内の第2の群(102_3se)とアライメントされ、及びそれを偏向させる(通過する二次電子ビームの他の群に影響を与えることなく)クロスオーバー形成偏向器を備える。クロスオーバー形成偏向器アレイ190_1及び190_2におけるクロスオーバー形成偏向器の個々の偏向角度は、全ての二次電子ビーム102_1se~102_3seが交差面4で二次光軸150_1と交差し、及びその上で比較的急なクロスオーバーを形成するように構成される。上述の通り、クロスオーバー形成偏向器アレイ190-1及び190-2の一方は、二次電子ビーム102_1seに対応する偏向器を有し得ることが認識される。
【0062】
[0074] ビーム制限アパーチャプレート155及び交差面4の配置は、二次イメージシステム150内の様々な場所に設計され得る。例えば、二次光軸150_1に沿って、ビーム制限アパーチャプレート155及び交差面4の配置は、1つ若しくは複数のレンズの第2のセット152と第3のセット153との間、1つ若しくは複数のレンズの第3のセット153の内部、又は1つ若しくは複数のレンズの第3のセット153の後ろであって、且つ電子検出デバイス140Mの前に配置され得る。
【0063】
[0075]
図7は、本開示の実施形態による、サンプルの面の像を形成するための例示的方法700を示すフローチャートである。方法700は、サンプルから二次電子ビームを獲得した後に、二次イメージングシステム(例えば、
図5A、5B、5C、及び6の二次イメージングシステム150)によって行われ得る。
【0064】
[0076] ステップ710では、二次電子ビームが、1つ若しくは複数の像面に、又はそれ(ら)の少なくとも近くに位置付けられた複数のクロスオーバー形成偏向器によって偏向されて、交差面上にクロスオーバーエリアを形成する。偏向される二次電子ビームは、二次イメージングシステムによって獲得された全ての二次電子ビームでもよく、又はオフアクシス二次電子ビームでもよい。
【0065】
[0077] 幾つかの実施形態では、二次電子ビームは、ある像面で、又は少なくともその近くで偏向され得る。偏向に先立ち、二次電子ビームは、第1の像面(例えば、像面P1)を形成する1つ又は複数のレンズの第1のセット(例えば、1つ又は複数のレンズの第1のセット151)を通過し得る。二次電子ビームの偏向は、第1の像面で、又は少なくともその近くで生じる。
【0066】
[0078] 幾つかの他の実施形態では、二次電子ビームは、複数の像面で、又は少なくともそれらの近くで偏向され得る。このような実施形態では、二次電子ビームの第1の群が、第1の像面に、又は少なくともその近くに位置付けられた第1のクロスオーバー形成偏向器アレイによって偏向され、二次電子ビームの第2の群は、第2の像面に、又は少なくともその近くに位置付けられた第2のクロスオーバー形成偏向器アレイによって偏向される。偏向に先立ち、二次電子ビームの第1の群は、第1の像面(例えば、像面P1)を形成する1つ又は複数のレンズの第1のセット(例えば、1つ又は複数のレンズの第1のセット151)を通過し得る。二次電子ビームの第1の群の偏向は、第1の像面で、又は少なくともその近くで生じる。
【0067】
[0079] 偏向に先立ち、二次電子ビームの第2の群は、第2の像面(例えば、像面P2)を形成する1つ又は複数のレンズの第2のセット(例えば、1つ又は複数のレンズの第2のセット152)を通過し得る。二次電子ビームの第2の群の偏向は、第2の像面で、又は少なくともその近くで生じる。
【0068】
[0080] ステップ720では、二次電子ビームは、クロスオーバーエリアに関連する交差面に、又は少なくともその近くに位置付けられたビーム制限アパーチャ(例えば、ビーム制限アパーチャ155A)によってトリミングされる。二次電子ビームのトリミングは、二次電子ビームの周辺電子のトリミングに関与し得るとともに、二次電子ビームの中心電子がビーム制限アパーチャを通過することを可能にし得る。
【0069】
[0081] 二次電子ビームがある像面で、又は少なくともその近くで偏向される実施形態では、二次電子ビームのトリミングは、像面(例えば、
図5Aに示す像面P2)を形成する1つ若しくは複数のレンズの第2のセットより前で、像面(例えば、
図5Bに示す像面P2)を形成する1つ若しくは複数のレンズの第2のセット内で、又は像面(例えば、
図5Cに示す像面P2)を形成する1つ若しくは複数のレンズの第2のセットの後ろで、交差面において生じ得る。
【0070】
[0082] 二次電子ビームが複数の像面(
図6に示す像面P1及びP2など)で偏向される実施形態では、二次電子ビームのトリミングは、第3の像面(例えば、像面P3)を形成する1つ若しくは複数のレンズの第3のセット(例えば、1つ若しくは複数のレンズの第3のセット153)より前で、第3の像面を形成する1つ若しくは複数のレンズの第3のセット内で、又は第3の像面を形成する1つ若しくは複数のレンズの第3のセットの後ろで、交差面において生じ得る。
【0071】
[0083] 本開示の実施形態による、電気光学システムを使用してサンプルの像を形成する例示的方法800を示すフローチャートである
図8をこれより参照する。方法800は、電子ビームツール(例えば、
図2の電子ビームツール100)によって行われ得る。
【0072】
[0084] ステップ810では、サンプルの面(例えば、サンプル8の面7)を浸漬させるために、磁場が生成される。磁場は、対物レンズ(例えば、対物レンズ131)の磁気レンズ(例えば、
図3Aの磁気レンズ131M)によって生成され得る。
【0073】
[0085] ステップ820では、複数の電子ビームが、対物レンズの磁場を通して面上に投影され、これらの複数の電子ビームは、サンプルの面を照らし、それによって、面から二次電子ビームが生成される。これらの複数の二次電子ビームは、対物レンズ及び二次イメージングシステムを通過して、電子検出デバイス上に複数の二次電子ビームスポットを形成する。
【0074】
[0086] 複数の二次電子ビームスポットの形成は、クロスオーバーエリアを生成するための偏向器による二次電子ビームの偏向に関与するステップ830、及びビーム制限アパーチャによる二次電子ビームのトリミングに関与するステップ840を含む。ステップ830及び840は、
図7のステップ710及び720に類似し得る。
【0075】
[0087] ステップ850では、複数の二次電子ビームスポットが、電子検出デバイス(例えば、電子検出デバイス140M)の複数の検出素子(例えば、検出素子140_1~140_3)によって検出され、及びサンプルの複数の像を形成する。
【0076】
[0088] 実施形態は、以下の条項を用いてさらに説明することができる。
1. 複数の電子ビームを電子検出デバイス上に誘導するための電気光学システムのクロスオーバー形成偏向器アレイであって、クロスオーバー形成偏向器アレイが、
電気光学システムの1つ若しくは複数の電気光学レンズの一セットの像面に、又は像面の少なくとも近くに位置付けられた複数のクロスオーバー形成偏向器を備え、各クロスオーバー形成偏向器が、複数の電子ビームのうちの対応する電子ビームとアライメントされる、クロスオーバー形成偏向器アレイ。
2. 各クロスオーバー形成偏向器が、全ての電子ビームがオーバーラップして交差面上にクロスオーバーエリアを形成するように、対応する電子ビームを偏向させるように構成される、条項1に記載のクロスオーバー形成偏向器アレイ。
3. 各クロスオーバー形成偏向器が、多極構造を有する、条項1に記載のクロスオーバー形成偏向器アレイ。
4. サンプルからの複数の二次電子ビームをマルチビーム装置におけるそれぞれの電子検出面上に投影するための電気光学システムであって、
複数の二次電子ビームの交差面上にクロスオーバーエリアを生成するように構成された複数のクロスオーバー形成偏向器であって、複数のクロスオーバー形成偏向器の各クロスオーバー形成偏向器が、複数の二次電子ビームのうちの対応する二次電子ビームと関連付けられる、複数のクロスオーバー形成偏向器、
交差面に、又は交差面の近くに位置付けられ、及び複数の二次電子ビームをトリミングするように構成された1つ又は複数のアパーチャを有するビーム制限アパーチャプレート、
を備えた、電気光学システム。
5. 複数のクロスオーバー形成偏向器が、複数の二次電子ビームのオフアクシス二次電子ビームをクロスオーバーエリアに偏向させるように構成される、条項4に記載の電気光学システム。
6. 1つ又は複数のアパーチャが、クロスオーバーエリアを中心とした第1のアパーチャを含む、条項4又は5に記載の電気光学システム。
7. 1つ又は複数のアパーチャが、異なるサイズを有するように構成される、条項4~6の何れか一項に記載の電気光学システム。
8. ビーム制限アパーチャプレートが、1つ又は複数のアパーチャの第2のアパーチャをクロスオーバーエリアとアライメントさせるために移動可能である、条項6又は7に記載の電気光学システム。
9. サンプルの複数の像を形成するために、複数の二次電子ビームの検出面を含む電子検出デバイスをさらに備えた、条項4~8の何れか一項に記載の電気光学システム。
10. 電気光学システムの光軸とアライメントされた1つ又は複数のレンズの第1のセット及び1つ又は複数のレンズの第2のセットをさらに備え、電子検出デバイスが、第1のセットよりも第2のセットの近くに位置付けられる、条項9に記載の電気光学システム。
11. 複数のクロスオーバー形成偏向器が、第1のセットと第2のセットとの間で、第1のセットの第1の像面に、又は第1の像面の少なくとも近くに位置付けられる、条項10に記載の電気光学システム。
12. 1つ又は複数のレンズの第1のセットが、複数の二次電子ビームの少なくとも幾つかを複数のクロスオーバー形成偏向器のうちの対応するクロスオーバー形成偏向器とアライメントさせるように構成される、条項11に記載の電気光学システム。
13. 交差面が、第1のセットと第2のセットとの間に位置付けられる、条項11又は12に記載の電気光学システム。
14. 交差面が、電子検出デバイスと第2のセットとの間に位置付けられる、条項11又は12に記載の電気光学システム。
15. 交差面が第2のセット内に位置付けられる、条項11又は12に記載の電気光学システム。
16. 電気光学システムの光軸とアライメントされ、及び第2のセットと電子検出デバイスとの間に位置付けられる、1つ又は複数のレンズの第3のセットをさらに備え、複数のクロスオーバー形成偏向器の内のクロスオーバー形成偏向器の第1のセットが、1つ又は複数のレンズの第1のセットと、1つ又は複数のレンズの第2のセットとの間で、1つ又は複数のレンズの第1のセットの第1の像面に、又は少なくともその近くに位置付けられ、及び複数のクロスオーバー形成偏向器の内のクロスオーバー形成偏向器の第2のセットが、1つ又は複数のレンズの第2のセットと、1つ又は複数のレンズの第3のセットとの間で、1つ又は複数のレンズの第2のセットの第2の像面に、又は少なくともその近くに位置付けられる、条項10に記載の電気光学システム。
17. クロスオーバー形成偏向器の第1のセット及びクロスオーバー形成偏向器の第2のセットが、対応する二次電子ビームを偏向させて、オーバーラップして交差面でクロスオーバーエリアを形成するように構成される、条項16に記載の電気光学システム。
18. 交差面が、電子検出デバイスと、1つ又は複数のレンズの第3のセットとの間に位置付けられる、条項17に記載の電気光学システム。
19. 交差面が、1つ又は複数のレンズの第3のセット内に位置付けられる、条項17に記載の電気光学システム。
20. 1つ又は複数のレンズの第1のセット、及び1つ又は複数のレンズの第2のセットの少なくとも一方が、複数の二次電子ビームの各二次電子ビームが対応するクロスオーバー形成偏向器に到達する前に、複数の二次電子ビームの回転を補償するように構成される、条項10~19の何れか一項に記載の電気光学システム。
21. 電気光学システムが、サンプルを対物レンズの磁場に浸漬させるように構成された対物レンズの存在下で、検出面上に二次電子ビームをイメージングするように構成される、条項4~21の何れか一項に記載の電気光学システム。
22. 1つ又は複数のレンズの第1のセット、及び1つ又は複数のレンズの第2のセットが、複数の二次電子ビームの少なくとも幾つかを複数のクロスオーバー形成偏向器のうちの対応するクロスオーバー形成偏向器とアライメントさせるように構成される、条項16~21の何れか一項に記載の電気光学システム。
23. 1つ又は複数のレンズの第1のセット、及び1つ又は複数のレンズの第2のセットの少なくとも一方が、複数の二次電子ビームの各二次電子ビームが対応するクロスオーバー形成偏向器に到達する前に、複数の二次電子ビームの変位を補償するように構成される、条項22に記載の電気光学システム。
24. サンプルの像を形成するために二次イメージングシステムによって行われる方法であって、
交差面上にクロスオーバーエリアを形成するために、二次イメージングシステムの1つ若しくは複数の像面に、又は1つ若しくは複数の像面の少なくとも近くに位置付けられた複数のクロスオーバー形成偏向器によって二次電子ビームを偏向させることと、
交差面に、又は交差面の少なくとも近くに位置付けられたビーム制限アパーチャを有するビーム制限アパーチャプレートによって二次電子ビームをトリミングすることと、
を含む、方法。
25. 二次電子ビームをトリミングすることが、ビーム制限アパーチャプレートによって各二次電子ビームの周辺部分をブロックすることを含む、条項24に記載の方法。
26. 二次電子ビームをトリミングすることが、各二次電子ビームの中心部分がビーム制限アパーチャを通過することを可能にする、条項24又は25に記載の方法。
27. 1つ又は複数のレンズの第1のセットにより、1つ又は複数の像面の内の第1の像面を形成することと、
1つ又は複数のレンズの第2のセットにより、1つ又は複数の像面の内の第2の像面を形成することと、
をさらに含む、条項24~26の何れか一項に記載の方法。
28. 1つ又は複数の像面の少なくとも近くに位置付けられた1つ又は複数の偏向器によって二次電子ビームを偏向させることによってクロスオーバーエリアを形成することが、
第1の像面に、又は少なくともその近くに位置付けられた複数のクロスオーバー形成偏向器によって二次電子ビームを偏向させることをさらに含む、条項27に記載の方法。
29. 二次電子ビームをトリミングすることが、第2のセットが二次電子ビームの第2の像面を形成する前に生じる、条項27又は28に記載の方法。
30. 二次電子ビームをトリミングすることが、第2のセットが二次電子ビームの第2の像面を形成した後に生じる、条項27又は28に記載の方法。
31. 二次電子ビームをトリミングすることが、第2のセットが二次電子ビームの第2の像面を形成する間に生じる、条項27又は28に記載の方法。
32. 1つ又は複数のレンズの第3のセットにより、1つ又は複数の像面の内の第3の像面を形成することをさらに含む、条項27に記載の方法。
33. 1つ若しくは複数の像面に、又はそれ(ら)の少なくとも近くに位置付けられた1つ又は複数のクロスオーバー形成偏向器によって二次電子ビームを偏向させてクロスオーバーエリアを形成することが、
第1の像面に、又は少なくともその近くに位置付けられたクロスオーバー形成偏向器の第1のセットによって二次電子ビームの内の二次電子ビームの第1のセットを偏向させることと、
第2の像面に、又は少なくともその近くに位置付けられたクロスオーバー形成偏向器の第2のセットによって二次電子ビームの内の二次電子ビームの第2のセットを偏向させることと、
をさらに含む、条項32に記載の方法。
34. 二次電子ビームをトリミングすることが、第3のセットが二次電子ビームの第3の像面を形成する前に生じる、条項32又は33に記載の方法。
35. 二次電子ビームをトリミングすることが、第3のセットが二次電子ビームの第3の像面を形成した後に生じる、条項32又は33に記載の方法。
36. 二次電子ビームをトリミングすることが、第3のセットが二次電子ビームの第3の像面を形成する間に生じる、条項32又は33に記載の方法。
37. 電気光学システムを使用してサンプルの像を形成する方法であって、
サンプルの面を浸漬させるための磁場を生成することと、
一次投影イメージングシステムによってサンプルの面上に複数の一次電子ビームを投影させることであって、複数の一次電子ビームが磁場を通過し、及びサンプルから複数の二次電子ビームを生成する、投影させることと、
二次イメージングシステムによって、複数の二次電子ビームを電子検出デバイス上に投影させて像を取得することであって、複数の二次電子ビームの少なくとも幾つかが、クロスオーバーエリアを生成するために偏向され、及びクロスオーバーエリアで、又は少なくともその近くでトリミングされる、像を取得することと、
を含む、方法。
38. コントローラの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な、コントローラに電気光学システムを使用してサンプルの像を形成する方法を行わせる命令の一セットを含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、方法が、
システムの1つ若しくは複数の像面に、又はそれ(ら)の少なくとも近くに位置付けられた複数のクロスオーバー形成偏向器に二次電子ビームを偏向させてクロスオーバーエリアを形成する命令を提供することと、
クロスオーバーエリアで、又は少なくともその近くでビーム制限アパーチャに偏向された二次電子ビームをトリミングさせる命令を提供することと、
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
39. コントローラの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な、コントローラにサンプルの像を形成する方法を行わせる命令の一セットを含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、方法が、
サンプルの面を浸漬させるための磁場を生成するように対物レンズに指示することと、
サンプルの面上に複数の一次電子ビームを投影するように、一次イメージングシステムに指示することであって、複数の一次電子ビームが磁場を通過し、及びサンプルから複数の二次電子ビームを生成する、一次イメージングシステムに指示することと、
複数の二次電子ビームを電子検出デバイス上に投影させて像を取得するように二次イメージングシステムに指示することであって、複数の二次電子ビームの少なくとも幾つかが、クロスオーバーエリアを生成するために偏向され、及びクロスオーバーエリアで、又は少なくともその近くでトリミングされる、二次イメージングシステムに指示することと、
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0077】
[0089] マルチビーム装置のコントローラが、上記の機能性を制御するために、ソフトウェアを使用し得ることが認識される。例えば、コントローラは、適切な場(例えば、磁場又は静電場)を生成するために上述のレンズにそれぞれ命令を送り得る。コントローラは、上述の偏向器アレイを制御するために電圧を調節する命令も送り得る。ソフトウェアは、非一時的コンピュータ可読媒体に保存され得る。非一時的媒体の一般的形式には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、固体ドライブ、磁気テープ、又はその他の磁気データストレージ媒体、CD-ROM、その他の光学式データストレージ媒体、孔パターンを有した任意の物理的媒体、RAM、PROM、及びEPROM、FLASH(登録商標)-EPROM又はその他のフラッシュメモリ、NVRAM、キャッシュ、レジスタ、その他のメモリチップ又はカートリッジ、及び上記のネットワーク化バージョンが含まれる。
【0078】
[0090] 本発明を好適な実施形態に関連して説明したが、以下に請求される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の変更形態及び変形形態が可能であることが理解されるものとする。