(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】半導体装置及びパワーオンリセット信号の生成方法
(51)【国際特許分類】
H03K 17/22 20060101AFI20221122BHJP
G06F 1/24 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H03K17/22 B
H03K17/22 E
G06F1/24 351
(21)【出願番号】P 2021086952
(22)【出願日】2021-05-24
(62)【分割の表示】P 2016211802の分割
【原出願日】2016-10-28
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【氏名又は名称】藤村 元彦
(72)【発明者】
【氏名】丸山 哲史
【審査官】小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-131227(JP,A)
【文献】特開平09-153777(JP,A)
【文献】米国特許第04409501(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/22
G06F 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧に基づき前記電源電圧よりも低い一定の電圧値を有する安定化電源電圧を生成して内部電源ラインに出力するレギュレータと、
前記電源電圧の電源投入直後はリセットを促す第1レベルを有し、前記内部電源ラインの電圧値が立ち上がったときに前記第1レベルからリセット解除を促す第2レベルに遷移する信号をパワーオンリセット信号として生成するパワーオンリセット回路と、を有し、
前記パワーオンリセット回路は、
前記電源電圧を受ける電源供給ラインと、
前記電源供給ラインの電圧値を所定期間だけ遅延させてリセットラインに供給する遅延回路と、
前記リセットラインの電圧値が所定値よりも低い場合には前記第1レベルを有し、前記リセットラインの電圧値が前記所定値以上である場合には前記第2レベルを有する信号を前記パワーオンリセット信号として出力する回路と、
前記リセットラインの電圧値に基づいて制御され、オン状態には前記電源電圧を第1のノードに供給する第1のスイッチ素子と、
前記内部電源ラインの電圧値に基づいて制御され、オン状態には前記第1のノードを接地ラインに接続する第2のスイッチ素子と、
前記第1のノードの電圧値に基づいて制御され、オン状態には前記リセットラインを前記接地ラインに接続する第3のスイッチ素子と、を含み、
前記第1のスイッチ素子は、前記リセットラインの電圧が前記電源電圧の最大値の時はオフ状態であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記パワーオンリセット回路は、前記第1のスイッチ素子がオン状態であるときに前記第2のスイッチ素子がオフ状態である第1状態と、前記第2のスイッチ素子がオン状態となった後に前記第1のスイッチ素子がオフ状態となる第2の状態と、を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記安定化電源電圧を受けて動作する第1の回路と、
前記電源電圧を受けて動作する第2の回路と、を含み、
前記パワーオンリセット回路は、前記パワーオンリセット信号を前記第2の回路に供給して前記第2の回路を電源投入時にリセットさせることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1のスイッチ素子は、抵抗を介して前記第1のノードに接続されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載の半導体装置。
【請求項5】
電源電圧に基づき前記電源電圧よりも低い一定の電圧値を有する安定化電源電圧を生成して内部電源ラインに出力するレギュレータと、
前記電源電圧の電源投入直後はリセットを促す第1レベルを有し、前記内部電源ラインの電圧値が立ち上がったときに前記第1レベルからリセット解除を促す第2レベルに遷移する信号をパワーオンリセット信号として生成するパワーオンリセット回路と、を有する半導体装置の前記パワーオンリセット回路におけるパワーオンリセット信号の生成方法であって、
遅延回路が、前記電源電圧を受ける電源供給ラインの電圧値を所定期間だけ遅延させてリセットラインに供給するステップと、
前記パワーオンリセット信号を出力する回路が、前記リセットラインの電圧値が所定値よりも低い場合には前記第1レベルを有し、前記リセットラインの電圧値が前記所定値以上である場合には前記第2レベルを有する信号を前記パワーオンリセット信号として出力するステップと、
第1のスイッチ素子が前記リセットラインの電圧値に基づいて制御され、オン状態には前記電源電圧を第1のノードに供給するステップと、
第2のスイッチ素子が前記内部電源ラインの電圧値に基づいて制御され、オン状態には前記第1のノードを接地ラインに接続するステップと、
第3のスイッチ素子が前記第1のノードの電圧値に基づいて制御され、オン状態には前記リセットラインを前記接地ラインに接続するステップと、を含み、
前記第1のスイッチ素子は、前記リセットラインの電圧が前記電源電圧の最大値の時はオフ状態であることを特徴とするパワーオンリセット信号の生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、特にパワーオンリセット回路が形成されている半導体装置及びパワーオンリセット信号の生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル回路が形成されている半導体装置には、電源投入に応じて当該ディジタル回路の状態を初期化するパワーオンリセット回路が設けられている。このようなパワーオンリセット回路として、外部供給された電源電圧を抵抗及びキャパシタからなるRC回路で遅延させ、これをインバータなどにより2値化した信号をリセット信号として生成するようにした構成が提案されている(例えば特許文献1参照)。当該パワーオンリセット回路は、電源投入時点から上記したRC回路による遅延時間を経過するまでの間だけリセットを促す論理レベル1(又は0)となり、その後はリセット解除を促す論理レベル0(又は1)の状態に維持される信号をリセット信号として生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したパワーオンリセット回路では、RC回路による遅延時間は固定であるものの、電源投入時点から電源電圧の電圧値が所望の電圧値に到達するまでの時間、いわゆる電源電圧の立ち上がり時間は大幅に変動する場合がある。よって、例えばかかるRC回路による遅延時間に比べて電源電圧の立ち上がり時間が長くなると、パワーオンリセットの対象回路に供給される電源電圧が所望の電圧値に到る前に、リセット信号がリセット解除を促す状態に遷移してしまい、パワーオンリセットが為されなくなるという問題が生じた。
【0005】
本願発明は、電源投入時における電源電圧の立ち上がり時間の長さに拘わらず、確実にパワーオンリセットを実施させることが可能な半導体装置、及びパワーオンリセット信号の生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体装置は、電源電圧に基づき前記電源電圧よりも低い一定の電圧値を有する安定化電源電圧を生成して内部電源ラインに出力するレギュレータと、前記電源電圧の電源投入直後はリセットを促す第1レベルを有し、前記内部電源ラインの電圧値が立ち上がったときに前記第1レベルからリセット解除を促す第2レベルに遷移する信号をパワーオンリセット信号として生成するパワーオンリセット回路と、を有し、前記パワーオンリセット回路は、前記電源電圧を受ける電源供給ラインと、前記電源供給ラインの電圧値を所定期間だけ遅延させてリセットラインに供給する遅延回路と、前記リセットラインの電圧値が所定値よりも低い場合には前記第1レベルを有し、前記リセットラインの電圧値が前記所定値以上である場合には前記第2レベルを有する信号を前記パワーオンリセット信号として出力する回路と、前記リセットラインの電圧値に基づいて制御され、オン状態には前記電源電圧を第1のノードに供給する第1のスイッチ素子と、前記内部電源ラインの電圧値に基づいて制御され、オン状態には前記第1のノードを接地ラインに接続する第2のスイッチ素子と、前記第1のノードの電圧値に基づいて制御され、オン状態には前記リセットラインを前記接地ラインに接続する第3のスイッチ素子と、を含み、前記第1のスイッチ素子は、前記リセットラインの電圧が前記電源電圧の最大値の時はオフ状態であることを特徴としている。
【0008】
本発明に係るパワーオンリセット信号の生成方法は、電源電圧に基づき前記電源電圧よりも低い一定の電圧値を有する安定化電源電圧を生成して内部電源ラインに出力するレギュレータと、前記電源電圧の電源投入直後はリセットを促す第1レベルを有し、前記内部電源ラインの電圧値が立ち上がったときに前記第1レベルからリセット解除を促す第2レベルに遷移する信号をパワーオンリセット信号として生成するパワーオンリセット回路と、を有する半導体装置の前記パワーオンリセット回路におけるパワーオンリセット信号の生成方法であって、遅延回路が、前記電源電圧を受ける電源供給ラインの電圧値を所定期間だけ遅延させてリセットラインに供給するステップと、前記パワーオンリセット信号を出力する回路が、前記リセットラインの電圧値が所定値よりも低い場合には前記第1レベルを有し、前記リセットラインの電圧値が前記所定値以上である場合には前記第2レベルを有する信号を前記パワーオンリセット信号として出力するステップと、第1のスイッチ素子が前記リセットラインの電圧値に基づいて制御され、オン状態には前記電源電圧を第1のノードに供給するステップと、第2のスイッチ素子が前記内部電源ラインの電圧値に基づいて制御され、オン状態には前記第1のノードを接地ラインに接続するステップと、第3のスイッチ素子が前記第1のノードの電圧値に基づいて制御され、オン状態には前記リセットラインを前記接地ラインに接続するステップと、を含み、前記第1のスイッチ素子は、前記リセットラインの電圧が前記電源電圧の最大値の時はオフ状態であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、電源電圧の投入直後はリセットを促す第1レベルを有し、その後、当該電源電圧で動作するレギュレータによって生成された安定化電源電圧の電圧値が立ち上がったら、リセット解除を促す第2レベルに遷移する信号を、パワーオンリセット信号として生成する。これにより、電源投入後、電源電圧の供給を受けて動作する回路が動作可能な
状態になってから、パワーオンリセット信号がリセットを促す第1レベルからリセット解除を促す第2レベルに遷移することになる。よって、電源投入時における電源電圧の立ち上がり時間の長さに拘わらず、確実に、電源電圧で動作する回路を電源投入に応じてリセットすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】半導体IC(integrated circuit)チップ10の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】パワーオンリセット回路200の回路構成の一例を示す回路図である。
【
図3】パワーオンリセット回路200の動作の一例を示すタイムチャートである。
【
図4】パワーオンリセット回路200の他の回路構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、半導体装置としての半導体ICチップ10の構成を概略的に示すブロック図である。
図1において、内部レギュレータ100は、電源供給ラインLdを介して受けた直流の電源電圧VDDに基づき、当該電源電圧VDDよりも電圧値が低く且つ電圧値一定の安定化電源電圧Vrgを生成する。内部レギュレータ100は、生成した安定化電源電圧Vrgを、内部電源ラインLgを介してパワーオンリセット回路200、及び当該安定化電源電圧Vrgによって動作する低電源駆動の回路110(以下、LV回路110と称する)に供給する。内部電源ラインLgには、電源変動を抑える為のバイパスコンデンサCrgが接続されている。尚、半導体ICチップ10には、半導体ICチップ10としての機能を担う回路として、上記したLV回路110の他に、電源電圧VDDによって動作する高電源駆動の回路210(以下、HV回路210と称する)が設けられている。
【0013】
パワーオンリセット回路200は、電源電圧VDD及び安定化電源電圧Vrgに基づき、電源投入時にHV回路210の動作をリセットするパワーオンリセット信号PORを生成し、これをHV回路210に供給する。
【0014】
図2は、パワーオンリセット回路200の回路構成の一例を示す回路図である。
図2に示すように、パワーオンリセット回路200は、遅延回路21、インバータ22、23及びリセット解除タイミング制御回路24を含む。
【0015】
遅延回路21は、pチャネルMOS型のトランジスタMP1~MP3、抵抗R1、及びコンデンサCrsを含む。トランジスタMP1のソース端及びバックゲートには電源電圧VDDが供給されており、自身のゲート端及びドレイン端が共にノードn1に接続されている。つまり、トランジスタMP1は、電源電圧VDDを受ける電源供給ラインLd、及びノードn1間においてダイオード接続されている。トランジスタMP2のソース端及びバックゲートには電源電圧VDDが供給されており、自身のドレイン端が上記したノードn1に接続されている。尚、トランジスタMP2のゲート端には反転パワーオンリセット信号PRvが供給されている。トランジスタMP3のソース端は上記したノードn1に接続されており、自身のゲート端は接地ラインLGDに接続されている。なお、接地ラインLGDには例えばゼロボルトの接地電位GNDが印加されている。また、トランジスタMP3のバックゲートには電源電圧VDDが供給されており、自身のドレイン端には電流制限用の抵抗R1の一端が接続されている。抵抗R1の他端は、リセット信号ラインLrを介してコンデンサCrsの一端に接続されている。コンデンサCrsの他端は接地ラインLGDに接続されている。なお、コンデンサCrsとしては、MOSトランジスタのゲート容量又はドレイン容量を利用したものを採用しても良い。
【0016】
上記した構成により、遅延回路21は、電源供給ラインLdを介して受けた電源電圧VDDの電圧値を、コンデンサCrs及びトランジスタMP1~MP3のオン抵抗に基づく
時定数に従って遅延させた信号を、パワーオンリセット信号PRとして生成する。遅延回路21は、当該パワーオンリセット信号PRを、リセットラインLrを介してインバータ22及びリセット解除タイミング制御回路24に供給する。
【0017】
インバータ22は、pチャネルMOS型のトランジスタMP4、及びnチャネルMOS型のトランジスタMN1を含む。トランジスタMP4のソース端及びバックゲートには電源電圧VDDが供給されており、自身のドレイン端がノードn2に接続されている。トランジスタMN1のドレイン端はノードn2に接続されており、自身のソース端及びバックゲートは接地ラインLGDに接続されている。トランジスタMP4及びMN1各々のゲート端には、パワーオンリセット信号PRが供給されている。
【0018】
かかる構成により、インバータ22は、上記したパワーオンリセット信号PRの電圧が所定値以上となる場合には論理レベル0に対応した接地電位GNDを有する信号を、上記した反転パワーオンリセット信号PRvとして生成する。一方、パワーオンリセット信号PRの電位が当該所定値より低い場合には、インバータ22は、論理レベル1に対応した電源電圧VDDを有する信号を上記した反転パワーオンリセット信号PRvとして生成する。インバータ22は、上記した反転パワーオンリセット信号PRvをノードn2を介して次段のインバータ23、及び遅延回路21のトランジスタMP2のゲート端に供給する。
【0019】
インバータ23は、pチャネルMOS型のトランジスタMP5、及びnチャネルMOS型のトランジスタMN2を含む。トランジスタMP5のソース端及びバックゲートには電源電圧VDDが供給されており、自身のドレイン端がリセット信号出力ラインLprに接続されている。トランジスタMN2のドレイン端はリセット信号出力ラインLprに接続されており、自身のソース端及びバックゲートは接地ラインLGDに接続されている。トランジスタMP5及びMN2各々のゲート端には、反転パワーオンリセット信号PRvが供給されている。
【0020】
かかる構成により、インバータ23は、反転パワーオンリセット信号PRvの論理レベルを反転させた信号を、パワーオンリセット信号PORとして生成する。インバータ23は、当該パワーオンリセット信号PORをリセット信号出力ラインLprを介してHV回路210に供給する。
【0021】
リセット解除タイミング制御回路24は、pチャネルMOS型のトランジスタMP6、nチャネルMOS型のトランジスタMN3及びMN4、抵抗R2を含む。トランジスタMP6のソース端及びバックゲートには電源電圧VDDが供給されており、自身のゲート端にはリセットラインLrを介してパワーオンリセット信号PRが供給されている。また、トランジスタMP6のドレイン端には電流制限用の抵抗R2の一端が接続されている。抵抗R2の他端にはノードn3を介して、トランジスタMN3のドレイン端及びトランジスタMN4のゲート端が夫々接続されている。トランジスタMN3のソース端及びバックゲートは接地ラインLGDに接続されており、自身のゲート端には、リセットラインLrを介して安定化電源電圧Vrgが供給されている。トランジスタMN4のソース端及びバックゲートは接地ラインLGDに接続されており、自身のドレイン端はリセットラインLrに接続されている。尚、電流制限用に設けた抵抗R1及びR2については、これらを省くことも可能である。
【0022】
かかる構成により、トランジスタMP6は、リセットラインLrの電圧値が所定値より低いときに電源電圧VDDをノード3に供給する。トランジスタMN3は、安定化電源電圧Vrgの供給を受ける内部電源ラインLgの電圧値が所定値以上であるときにオン状態となってノードn3を接地ラインLGDに接続する。トランジスタMN4は、ノードn3
の電圧値が所定値以上であるときにオン状態となってリセットラインLrを接地ラインLGDに接続する。
【0023】
尚、電源電圧VDDが高電圧(例えば20ボルト)となる場合には、トランジスタMP1~MP6及びMN1~MN4として、高耐圧型のMOSトランジスタを採用する。
【0024】
以下に、
図2に示すリセット解除タイミング制御回路24を含むパワーオンリセット回路200の動作について、
図3に示すタイムチャートに沿って説明する。尚、
図3では、パワーオンリセット回路200が、電源投入に応じてその電源投入の時点t0から電圧値が徐々に増加し、電源立上時間TPの経過後に所望の電圧値vdに到達する電源電圧VDDを受けた場合に為される動作を示す。
【0025】
図3に示すように、電源投入後、電源電圧VDDの電圧値が、内部レギュレータ100が動作可能となる最低の電圧値v0に到ると、その電圧値v0に到達した時点t1にて内部レギュレータ100が動作を開始し、安定化電源電圧Vrgの電圧値が立ち上がる。つまり、
図3に示すように電源投入の時点t0から時点t1までの間に亘り0ボルトの状態を維持していた安定化電源電圧Vrgが当該時点t1にて立ち上がり、所望の電圧値vgに到るのである。
【0026】
ここで、遅延回路21にて生成されたパワーオンリセット信号PRは、
図3に示す電源電圧VDDの立ち上がり波形を遅延させた電圧推移を有する。よって、
図3に示す電源投入の時点t0から時点t1の間は、パワーオンリセット信号PRの電圧値は電源電圧VDDの電圧値よりも低くなり、この間、リセット解除タイミング制御回路24のトランジスタMP6はオン状態となる。更に、時点t0から時点t1の間は、電源電圧VDDの電圧値が低いが故に内部レギュレータ100が動作不可の状態にある為、
図3に示すように安定化電源電圧Vrgの電圧値は0ボルトを維持している。よって、この間(t0~t1)、リセット解除タイミング制御回路24のトランジスタMN3はオフ状態にある。これにより、リセット解除タイミング制御回路24のノードn3は、トランジスタMP6及び抵抗R2を介して印加された電源電圧VDDによって充電され、
図3に示すように、ノードn3の電圧が増加して行く。この際、ノードn3の電圧値がリセット解除タイミング制御回路24のトランジスタMN4の閾値電圧Vthよりも高くなると当該トランジスタMN4がオン状態となり、リセットラインLrの電位を接地電位GNDにする。これにより、トランジスタMP6のオン状態が維持されるのでノードn3に対する充電が継続し、当該ノードn3の電圧値が増加して行く。そして、時点t1にて内部レギュレータ100が安定化電源電圧Vrgの生成を開始し、その結果、内部電源ラインLgの電圧値が所定値以上に到ると、トランジスタMN3がオン状態に遷移する。
【0027】
これにより、ノードn3に接地電位GNDが印加されるので当該ノードn3の電圧が低下する。その後、
図3に示す時点t2にてノードn3の電圧値が0ボルトに到ると、トランジスタMN4がオン状態からオフ状態に遷移し、リセットラインLrが接地ラインLGDから解放される。よって、時点t2以降は、遅延回路21から送出されたパワーオンリセット信号PRに対応した波形を有するパワーオンリセット信号PORがリセットラインLrに表れる。
【0028】
ここで、パワーオンリセット信号PORの電圧値がゼロボルトの状態にある区間(t0~t2)が上記したHV回路210に対してリセットを促すリセット区間となり、時点t2以降がリセット解除を促すリセット解除区間となる。
【0029】
以上のように、リセット解除タイミング制御回路24は、電源投入後の安定化電源電圧Vrgの電圧値の立ち上がり時点を起点として、パワーオンリセット信号PORを、リセ
ット解除を促す状態に遷移させる。尚、内部レギュレータ100は、電源電圧VDDによって動作するHV回路に属するものであるから、当該内部レギュレータ100が生成した安定化電源電圧Vrgが時点t1にて立ち上がったということは、HV回路210も時点t1にて動作可能な状態にあるといえる。
【0030】
よって、パワーオンリセット信号PORによれば、電源投入後、HV回路210が動作可能な状態になった後、つまり時点t1以降に、HV回路210がリセットされる。そして、HV回路210のリセット後、時点t2にてパワーオンリセット信号PORがリセット解除を促す高レベル(VDD)の状態に遷移することになる。従って、電源電圧VDDの電源立上時間TPの長さに拘わらず、電源電圧VDDで動作するHV回路210を確実にパワーオンリセットさせることが可能となる。
【0031】
尚、パワーオンリセット回路200としては、
図2に示す回路構成に代えて
図4に示す回路構成を採用しても良い。
【0032】
図4に示すパワーオンリセット回路200は、pチャネルMOS型のトランジスタMP10及びMP11と、リセット解除タイミング制御部としてのnチャネルMOS型のトランジスタMN10と、コンデンサCrsとを含む。尚、電源電圧VDDが高電圧(例えば20ボルト)の場合には、トランジスタMP10、MP11及びMN10として、高耐圧型のMOSトランジスタを採用する。なお、コンデンサCrsとしては、MOSトランジスタのゲート容量又はドレイン容量を利用したものを採用しても良い。
【0033】
トランジスタMP10のソース端及びバックゲートには電源電圧VDDが供給されており、自身のドレイン端が制御ラインLcを介してトランジスタMN10のドレイン端及びトランジスタMP11のゲート端に接続されている。トランジスタMP10のゲート端は、トランジスタMP11のドレイン端、リセット信号出力ラインLpr及びコンデンサCrsの一端に接続されている。コンデンサCrsの他端は接地ラインLGDに接続されている。かかる構成によりトランジスタMP10は、リセット信号出力ラインLprの電圧値が所定値より低いときにオン状態となって、電源電圧VDDを制御ラインLcに供給する。これにより、制御ラインLcが充電され、当該制御ラインLcの電位が増加する。
【0034】
トランジスタMP11のソース端及びバックゲートには電源電圧VDDが供給されており、ゲート端が制御ラインLcに接続されている。かかる構成により、トランジスタMP11は、制御ラインLcの電圧値が所定値よりも低いときにオン状態となって、電源電圧VDDをリセット信号出力ラインLprに供給する。これにより、リセット信号出力ラインLprが充電され、当該リセット信号出力ラインLprの電位が増加する。
【0035】
トランジスタMN10のゲート端には、内部レギュレータ100で生成された安定化電源電圧Vrgが供給されており、ソース端及びバックゲートは接地ラインLGDに接続されている。かかる構成により、トランジスタMN10は、内部電源ラインLgの電圧値、つまり安定化電源電圧Vrgの電圧値が閾値電圧以上となるときにオン状態となり、制御ラインLcを接地ラインLGDに接続する。
【0036】
ここで、
図4に示すパワーオンリセット回路200では、自身の寄生容量をも含めたリセット信号出力ラインLprの静電容量が制御ラインLcに寄生する静電容量よりも大きくなるように、これら制御ラインLc及びリセット信号出力ラインLprが半導体ICチップ10に形成されている。
【0037】
よって、電源投入に応じて電源電圧VDDの電圧値がゼロボルトの状態から増加、つまり電源電圧VDDの電圧値が立ち上がると、先ず、制御ラインLcの電圧値が電源電圧V
DDの増加につれて増加する。これにより、電源投入直後、トランジスタMP11はオフ状態となり、リセット信号出力ラインLprの電圧値、つまりパワーオンリセット信号PORの電圧値が、
図3に示すようにリセットを促すゼロボルトの状態に維持される。その後、電源電圧VDDの増加に伴い、その電圧値が、
図3に示す時点t1にて、内部レギュレータ100が動作可能となる電圧値v0に到ると、当該内部レギュレータ100が動作を開始する。この際、内部レギュレータ100は安定化電源電圧Vrgを内部電源ラインLgに出力する。ここで、内部電源ラインLgの電圧値が所定値以上となると
図4に示すトランジスタMN10がオン状態となり、制御ラインLcの電位が接地電位GNDになる。これにより、トランジスタMP11がオン状態となり、電源電圧VDDがリセット信号出力ラインLprを介してコンデンサCrsに供給される。この際、コンデンサCrsが充電され、それに伴い、リセット信号出力ラインLprの電圧値、つまりパワーオンリセット信号PORの電圧値が増加する。すなわち、パワーオンリセット信号PORの電圧値がリセット解除を促す状態に遷移するのである。
【0038】
このように、
図4に示す構成でも、
図2に示すパワーオンリセット回路200と同様に、電源電圧VDDの電源立上時間TPの長さに拘わらず、電源投入後、HV回路210が動作可能な状態になった後にパワーオンリセット信号PORがリセット解除を促す状態に遷移する。よって、電源電圧VDDで動作するHV回路210を確実にパワーオンリセットさせることが可能となる。
【0039】
要するに、本発明に係る半導体装置(10)としては、電源電圧(VDD)に基づきこの電源電圧よりも低い一定の電圧値(vg)を有する安定化電源電圧(Vrg)を生成して内部電源ライン(Lg)に出力するレギュレータ(100)と共に、以下のパワーオンリセット回路を設けたものであれば良いのである。すなわち、パワーオンリセット回路(200)は、電源電圧(VDD)の電源投入直後はリセットを促す第1レベルを有し、内部電源ライン(Lg)の電圧値が立ち上がったとき(t1)に第1レベルからリセット解除を促す第2レベルに遷移する信号をパワーオンリセット信号(POR)として生成する。
【符号の説明】
【0040】
21 遅延回路
22、23 インバータ
24 リセット解除タイミング制御回路
100 内部レギュレータ
200 パワーオンリセット回路