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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】光中継装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/291 20130101AFI20221124BHJP
   H04J 14/04 20060101ALI20221124BHJP
   H04B 10/2581 20130101ALI20221124BHJP
【FI】
H04B10/291
H04J14/04
H04B10/2581
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018235680
(22)【出願日】2018-12-17
(65)【公開番号】P2020098973
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 浩孝
(72)【発明者】
【氏名】芝原 光樹
(72)【発明者】
【氏名】水野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】宮本 裕
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-191185(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0086157(US,A1)
【文献】特開2018-006474(JP,A)
【文献】特開平05-299733(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0264365(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0064554(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0063592(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/291
H04J 14/04
H04B 10/2581
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射マルチモードファイバに接続したモード分波器と、前記モード分波器に接続された複数のシングルモードファイバと、前記複数のシングルモードファイバそれぞれに接続されている可変光減衰器と、前記可変光減衰器を経由した複数のシングルモードファイバに接続されたモード合波器と、前記モード合波器に接続された出射マルチモードファイバで構成されるMDM光伝送システムの光中継装置であって、
少なくとも一つのマルチモード光増幅器を備え、
前記マルチモード光増幅器の一つは前記モード分波器の入力側に配置され
前記モード分波器の出力ポートと前記モード合波器の入力ポートは、互いに異なるモードに対応するポートへ入れ替えて接続されている
ことを特徴とする光中継装置。
【請求項2】
入射マルチモードファイバに接続したモード分波器と、前記モード分波器に接続された複数のシングルモードファイバと、前記複数のシングルモードファイバそれぞれに接続されている可変光減衰器と、前記可変光減衰器を経由した複数のシングルモードファイバに接続されたモード合波器と、前記モード合波器に接続された出射マルチモードファイバで構成されるMDM光伝送システムの光中継装置であって、
少なくとも一つのマルチモード光増幅器を備え、
前記マルチモード光増幅器の一つは前記モード分波器の入力側に配置され、
前記モード分波器と前記モード合波器との間に基本モード信号光を増幅するマルチコア光増幅器を備える
ことを特徴とする光中継装置。
【請求項3】
入射マルチモードファイバに接続したモード分波器と、前記モード分波器に接続された複数のシングルモードファイバと、前記複数のシングルモードファイバそれぞれに接続されている可変光減衰器と、前記可変光減衰器を経由した複数のシングルモードファイバに接続されたモード合波器と、前記モード合波器に接続された出射マルチモードファイバで構成されるMDM光伝送システムの光中継装置であって、
少なくとも一つのマルチモード光増幅器を備え、
前記マルチモード光増幅器の一つは前記モード分波器の入力側に配置され、
前記モード分波器と前記モード合波器との間に前記マルチモード光増幅器が増幅する信号光のモード数と同数の、基本モード信号光を増幅するシングルコア光増幅器を備える
ことを特徴とする光中継装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光中継装置であって、
前記マルチモード光増幅器は、利得の波長依存性を相殺する波長等化フィルタを備えている
ことを特徴とする光中継装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号を伝送する光通信システムにおいて使用される光中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信サービスの高速化・大容量化とともに、幹線系光伝送システムで伝送されるトラフィックが爆発的に増大している。そのため、光伝送システムの伝送容量を飛躍的に増大する技術検討が進められており、中でも光ファイバの複数の異なる光伝搬モードにそれぞれ異なる信号を重畳して伝送する、モード分割多重(Mode-Division-Multiplexing: MDM)光伝送技術の研究が近年急速に進んでおり、長距離MDM光伝送システムでは、光増幅器を用いた光中継伝送が必要となる。
【0003】
図1に示すのは、従来の長距離MDM光伝送システムの模式図である。図1には、それぞれ単一波長または波長多重された信号光を発生する光送信装置1-1~1-3が示され、光送信装置1-1~1-3はそれぞれ光源、光変調手段、波長多重信号の送信装置の場合は波長合波器を備える。
【0004】
光送信装置1-1~1-3からの送信光は、モード合波器2においてモード合波されてマルチモード光となり、伝送用のマルチモードファイバ5-1~5-3と光中継装置6-1~6-4が交互に配置された多段の中継区間(スパン)を経て、多段中継伝送される。
【0005】
モード分波器3に達したマルチモード光はモード分波され、光受信装置4-1~4-3でそれぞれモード分波された信号光が受信される。光受信装置4-1~4-3は、それぞれ単一波長または波長多重された信号光を受信する装置であり、光電変換手段、電気信号処理手段、波長多重信号の受信装置の場合は波長分波器、その他信号光を受信するために必要となる光回路(例えば光遅延回路など)を備える。
【0006】
MDM光伝送では、伝送用マルチモード光ファイバ中でのモード間遅延差(Differential Mode Delay: DMD)とモード間損失差(Differential Modal Loss:DML)が、伝送距離にしたがって蓄積して受信特性を劣化させることが問題となり、特に光中継による長距離MDM光伝送システムではこの問題が顕著となる。このDMD,DMLの特性劣化の問題解決のために、光中継地点において、光の伝搬モードを入れ替えて伝送する巡回モード置換 (Cyclic-Mode-Permutated:CMP)伝送と呼ばれる方式が提案され、DMD,DMLの劣化を抑制することが長距離MDM光伝送実験で実証されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】K. Shibahara et al., "DMD-Unmanaged Long-Haul SDM Transmission over 2500-km 12-core X 3-mode MC-FMF and 6300-km 3-mode FMF Employing Intermodal Interference Cancelling Technique", in Proc. OFC2018, Post deadline Paper, Th4C.6.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図2に、従来の長距離MDM伝送システムにおける巡回モード置換 (CMP)方式の光中継装置を示す。図2には、モード分波器101、モード合波器102、シングルモード光増幅器103-1~103-3、可変光減衰器104-1~104-3が示される。モード分波器101およびモード合波器102のポートCにはマルチモードファイバが接続され、モード分波器101およびモード合波器102のポート1~3の間はシングルモードファイバで接続されている。
【0009】
モード分波器101のポートCから入力したLP01、LP11e、LP11oの3つの異なるモードが多重されたマルチモード信号光は、モード毎に基本モードへ変換されてモード毎に異なるポート1~3から出力される。すなわち、LP01モード信号光はモード分波器101のポート1(基本モードから基本モードのため実際にはモード変換なし)、LP11eモード信号光はポート2、LP11oモード信号光はポート3から出力される。
【0010】
モード分波器101の3つのポートからの出力は、それぞれシングルモード光増幅器103-1~103-3で増幅された後、可変光減衰器104-1~104-3で各光増幅器出力信号光パワーが等しくなるように調整されて、モード合波器102のそれぞれ1~3ポートへ入力される。
【0011】
モード合波器102の動作はモード分波器101の反対であり、モード合波器102のポート1へ入力した信号光はLP01モードへ(基本モードから基本モードのため実際にはモード変換なし)、ポート2へ入力した信号光はLP11eモードへ、ポート3へ入力した信号光はLP11oモードへ変換され、これら3つの異なるモードが多重された信号光がモード合波器102のポートCから出力される。
【0012】
図2に示されるように、モード分波器101の出力ポートとモード合波器102の入力ポートは、互いに異なるモードに対応するポートへ入れ替えて接続されている。すなわち、101のポート1は102のポート2へ、101のポート2は102のポート3へ、101のポート3は102のポート1へ接続されている。
【0013】
このように、次の中継区間においてモードを入れ替えるように中継装置で接続することで、図1のように複数の中継区間に渡ってマルチモード光を中継伝送する場合に、1つの送信光が各中継区間で順に異なるモードで伝送されることとなり、DMDとDMLの蓄積を異なるモード間で均一化することができ、伝送特性が向上する。
【0014】
しかしながら、図2に示した従来の光中継装置では、モード分波器101の損失による信号対雑音比(Signal to Noise Ratio:SNR)の劣化が大きな問題となる。図2に示した光中継装置では、モード分波器101に入力される信号光は、中継区間の終端において強度が低下した信号であるため、モード分波器101の損失がSNRの低下に大きく影響するためである。これは、CMP方式でなくてもモード分波器を有するMDM光伝送システムの光中継装置に共通する課題である。
【0015】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、MDM光伝送システムの光中継装置において、モード分波器の損失による信号対雑音比(SNR)の劣化を防ぐことが可能な光中継装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の光中継装置は、モード分波器、モード合波器、可変光減衰器および少なくとも一つのマルチモード光増幅器を備え、一つのマルチモード光増幅器はモード分波器の入力側に配置されることを最も主要な特徴とする。
【0017】
本発明は、このような目的を達成するために、以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0018】
(構成1)
入射マルチモードファイバに接続したモード分波器と、前記モード分波器に接続された複数のシングルモードファイバと、前記複数のシングルモードファイバそれぞれに接続されている可変光減衰器と、前記可変光減衰器を経由した複数のシングルモードファイバに接続されたモード合波器と、前記モード合波器に接続された出射マルチモードファイバで構成されるMDM光伝送システムの光中継装置であって、
少なくとも一つのマルチモード光増幅器を備え、
前記マルチモード光増幅器の一つは前記モード分波器の入力側に配置され
前記モード分波器の出力ポートと前記モード合波器の入力ポートは、互いに異なるモードに対応するポートへ入れ替えて接続されている
ことを特徴とする光中継装置。
【0019】
(構成2)
入射マルチモードファイバに接続したモード分波器と、前記モード分波器に接続された複数のシングルモードファイバと、前記複数のシングルモードファイバそれぞれに接続されている可変光減衰器と、前記可変光減衰器を経由した複数のシングルモードファイバに接続されたモード合波器と、前記モード合波器に接続された出射マルチモードファイバで構成されるMDM光伝送システムの光中継装置であって、
少なくとも一つのマルチモード光増幅器を備え、
前記マルチモード光増幅器の一つは前記モード分波器の入力側に配置され、
前記モード分波器と前記モード合波器との間に基本モード信号光を増幅するマルチコア光増幅器を備える
ことを特徴とする光中継装置。
【0020】
(構成3)
入射マルチモードファイバに接続したモード分波器と、前記モード分波器に接続された複数のシングルモードファイバと、前記複数のシングルモードファイバそれぞれに接続されている可変光減衰器と、前記可変光減衰器を経由した複数のシングルモードファイバに接続されたモード合波器と、前記モード合波器に接続された出射マルチモードファイバで構成されるMDM光伝送システムの光中継装置であって、
少なくとも一つのマルチモード光増幅器を備え、
前記マルチモード光増幅器の一つは前記モード分波器の入力側に配置され、
前記モード分波器と前記モード合波器との間に前記マルチモード光増幅器が増幅する信号光のモード数と同数の、基本モード信号光を増幅するシングルコア光増幅器を備える
ことを特徴とする光中継装置。
【0021】
(構成4)
構成1に記載の光中継装置であって、
前記マルチモード光増幅器は、利得の波長依存性を相殺する波長等化フィルタを備えている
ことを特徴とする光中継装置。
【発明の効果】
【0022】
以上記載したように、本発明によれば、MDM光伝送システムの光中継装置において、少なくとも1つのマルチモード光増幅器を使用して、マルチモード光増幅器の1つはモード分波器の入力側に配置したので、モード分波器の損失による信号対雑音比(SNR)の劣化を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来の長距離MDM光伝送システムの模式図である。
図2】従来のMDM光伝送システムにおける巡回モード置換 (CMP)伝送方式の光中継装置の構成を示す図である。
図3】本発明の光中継装置の第1の実施形態の構成を示す図である。
図4】本発明の光中継装置の第1の実施形態を用いたMDM光伝送システムの伝送特性を示す図である。
図5】本発明の光中継装置の第2の実施形態の構成を示す図である。
図6】本発明の光中継装置の第2の実施形態を用いたMDM光伝送システムの伝送特性を示す図である。
図7】本発明の光中継装置の第2の実施形態の変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図3には、本願発明の光中継装置の第1の実施形態の構成を示す。図3には、モード分波器11、モード合波器12、可変光減衰器14-1~14-3が示されている。2つのマルチモード光増幅器15および16は、モード分波器11およびモード合波器12が合分波するマルチモードの信号光をマルチモードのまま増幅できる。マルチモード光増幅器15はモード分波器11の入力側に設けられ、マルチモード光増幅器16はモード合波器12の出力側に設けられている。
【0026】
モード分波器11およびモード合波器12の動作は、図2で説明した従来の光中継装置のものと同じである。モード分波器11とモード合波器12の間の接続も、シングルモード光増幅器が無い点を除き、図2の従来例と同様の巡回モード置換 (CMP)方式であるが、必ずしもCMP方式である必要は無い。
【0027】
また、マルチモード光増幅器15と16の両方またはいずれか一方は、マルチモード光増幅器15と16で得られる利得の和(dB単位)の波長依存性を相殺する波長等化フィルタ(不図示)を備えていてもよい。
【0028】
可変光減衰器14-1~14-3は異なるモード間の信号光パワー差を調節して、各モード信号光パワーを等しいレベルにする。波長等化フィルタと可変光減衰器14-1~14-3の減衰量調整により、全てのモードの信号光において、波長特性が均一化し、かつモード間の光パワー差が抑圧できる。さらに、可変光減衰器14-1~14-3は、モード間の信号光パワー差を等化するだけでなく、伝送ファイバが曲げられるなどして発生するスパン損失変化を補償して時間的にも信号光パワーを安定に維持できる。
【0029】
図4には、本願発明の第1の実施形態の光中継装置を使用したMDM光伝送システムの伝送特性を示す。図4では、20 Gbaud 16直角位相振幅変調(Quadrature Amplitude Modulation:QAM)で変調された3モード(LP01モード、LP11eモード、LP11oモード) 40波波長多重信号を、1スパン80 kmで18スパン伝送したときのQファクタ(受信装置内の前方誤り訂正回路の前段におけるQファクタ)を示す。
【0030】
図4で、〇、□、△は光送信装置が送信する信号光のモードがそれぞれ、LP01モード、LP11eモード、LP11oモードの場合のQファクタを示している。図4には、同じMDM光伝送システムにおいて、従来の光中継装置を用いた場合のQファクタも●、■、▲(それぞれLP01モード、LP11eモード、LP11oモード)で併せて示している。
【0031】
図4の5.7 dBの点線は、これ以上のQファクタのときに誤りなく伝送できることを示し、これよりQファクタが小さいときは伝送品質の劣化が大きく、正常に伝送できないことを意味している。同図から明らかなように、従来の光中継装置を使用して伝送させたときはQファクタが5.7 dBを下回る信号光波長があるのに対し、本実施形態の光中継装置を使用した場合はQファクタが全信号波長で5.7 dB以上となって、伝送品質が向上しており、本願発明の効果を現れている。
【0032】
(第2の実施形態)
図5には、本願発明の光中継装置の第2の実施形態の構成を示す。図5には、モード分波器21、モード合波器22、可変光減衰器24-1~24-3が示されている。マルチモード光増幅器25は、実施形態1(図3)のマルチモード光増幅器15と同様に、モード分波器21の入力側に設けられており、モード分波器21が分波する前のマルチモードの信号光をマルチモードのまま増幅できる。
【0033】
一方、図5の第2の実施形態の光中継装置では、出力側の光増幅器は、実施形態1(図3)と異なりマルチモード光増幅器ではなく、単一のファイバに複数のシングルモード増幅用コアを備えたマルチコア光増幅器26である。マルチコア光増幅器26は、モード合波器22の前段に設けられ、モード分波器21により分波され基本モードに変換され、可変光減衰器24-1~3においてパワー調整された信号光を、それぞれのコアで増幅して、モード合波器22のポート1~3に出力する。
【0034】
図5のモード分波器21およびモード合波器22の動作は、上記で説明した従来の光中継装置(図2)、第1の実施形態の光中継装置(図3)のものと同じである。モード分波器11とモード合波器12の間の接続も、シングルモード光増幅器が無い点を除き、図2の従来例と同様の巡回モード置換 (CMP)方式であるが、必ずしもCMP方式である必要は無い。
【0035】
マルチモード光増幅器25とマルチコア光増幅器26の両方またはいずれか一方は、マルチモード光増幅器25とマルチコア光増幅器26で得られる利得の和(dB単位)の波長依存性を相殺する波長等化フィルタ(不図示)を備えている。
【0036】
図5の可変光減衰器24-1~24-3は異なるモード間の信号光パワー差を調節して、各モード信号光パワーを等しいレベルにする。波長等化フィルタと可変光減衰器の減衰量調整により、全てのモードの信号光において、波長特性が均一化し、かつモード間の光パワー差が抑圧できる。さらに、可変光減衰器24-1~24-3は、モード間の信号光パワー差を等化するだけでなく、伝送ファイバが曲げられるなどして発生するスパン損失変化・変動を補償して、時間的にも信号光パワーを安定に維持できる。
【0037】
図6には、本願発明の第2の実施形態の光中継装置を使用したMDM光伝送システムの伝送特性を示す。図6では、20 Gbaud 16直角位相振幅変調(Quadrature Amplitude Modulation: QAM)で変調された3モード(LP01モード、LP11eモード、LP11oモード) 40波波長多重信号を、1スパン80 kmで18スパン伝送したときのQファクタ(受信装置内の前方誤り訂正回路の前段におけるQファクタ)を示す。
【0038】
図6で、〇、□、△は光送信装置が送信する信号光のモードがそれぞれ、LP01モード、LP11eモード、LP11oモードの場合のQファクタを示している。図6には、同じMDM光伝送システムにおいて、従来の光中継装置を用いた場合のQファクタも●、■、▲(それぞれLP01モード、LP11eモード、LP11oモード)で併せて示している。
【0039】
図6の5.7 dBの点線は、これ以上のQファクタのときに誤りなく伝送できることを示し、これよりQファクタが小さいときは伝送品質の劣化が大きく、正常に伝送できないことを意味している。同図から明らかなように、従来の光中継装置を使用して伝送させたときはQファクタが5.7 dBを下回る信号光波長があるのに対し、本実施形態の光中継装置を使用した場合はQファクタが全信号波長で5.7 dB以上となって、伝送品質が向上しており、本願発明の効果を現れている。
【0040】
(第2の実施形態の変形例)
図7には、本発明の第2の実施形態の変形例の構成を示す。この変形例では、図5の本実施形態2で使用したマルチコア光増幅器26を、コア数分のシングルコアの光増幅器(基本モードのみを増幅する)27-1~27-3で置き換えて、図5の実施形態2と同じ効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように本発明によれば、MDM光伝送システムの光中継装置において、マルチモード光増幅器を使用して、マルチモード光増幅器の全部または一部はモード分波器の入力側に配置することにより、モード分波器の損失による信号対雑音比(SNR)の劣化を防ぐことが可能な光中継装置を実現できる。
【符号の説明】
【0042】
1-1~1-3 光送信装置
2、102、12,22 モード合波器
5-1~5-3 マルチモードファイバ
6-1~6-4 光中継装置
3、101、11,21 モード分波器
4-1~4-3 光受信装置
103-1~103-3 シングルモード光増幅器
104-1~104-3、14-1~14-3,24-1~24-3 可変光減衰器
15、16,25 マルチモード光増幅器
26 マルチコア光増幅器
27-1~27-3 シングルコアの光増幅器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7