(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】ハイブリッドレーザスクライビングおよびプラズマエッチングウエハ個片化プロセスのための光吸収マスク
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20221124BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20221124BHJP
B23K 26/351 20140101ALI20221124BHJP
B23K 26/18 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
H01L21/78 S
H01L21/78 B
H01L21/78 L
H01L21/302 105A
B23K26/351
B23K26/18
(21)【出願番号】P 2019565287
(86)(22)【出願日】2018-05-11
(86)【国際出願番号】 US2018032444
(87)【国際公開番号】W WO2018217481
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-05-06
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リー, ウェンコアン
(72)【発明者】
【氏名】パパヌ, ジェームス エス.
(72)【発明者】
【氏名】レイ, ウェイ-ション
(72)【発明者】
【氏名】クマール, プラブハット
(72)【発明者】
【氏名】イートン, ブラッド
(72)【発明者】
【氏名】クマール, アジャイ
(72)【発明者】
【氏名】ラーナー, アレクサンダー エヌ.
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0273401(US,A1)
【文献】特開2001-166459(JP,A)
【文献】特開2016-207737(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0365283(US,A1)
【文献】特開2006-140311(JP,A)
【文献】特表2003-518738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/3065
B23K 26/351
B23K 26/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法であって、
固形成分および水に基づく水溶性マトリックスを含み、前記水溶性マトリックス全体にわたる光吸収種を含むマスクを、前記半導体ウエハの上に形成することと、
間隙を備えたパターニングされたマスクおよび前記集積回路間の領域における前記半導体ウエハ内の対応するトレンチを提供するように、前記マスクおよび前記半導体ウエハの一部を、レーザスクライビングプロセスでパターニングする
ことであって、
ガウシアンビームでパターニングすることを含み、前記マスクの前記光吸収種が、前記パターニング中に前記ガウシアンビームの後端部を前記マスクに実質的に閉じ込め、前記ガウシアンビームの前端部が、前記パターニング中に前記半導体ウエハに実質的に閉じ込められる、レーザスクライビングプロセスでパターニングすることと、
前記トレンチを延長して、前記集積回路を個片化するように、前記パターニングされたマスク内の前記間隙を通って前記半導体ウエハをプラズマエッチングすることであって、前記パターニングされたマスクが、前記プラズマエッチング中に前記集積回路を保護する、前記プラズマエッチングすることと、
を含む方法。
【請求項2】
前記光吸収種が、前記水溶性マトリックス中に溶解した水溶性染料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光吸収種が、前記水溶性マトリックス全体にわたる顔料のナノ分散である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マスクが、前記水溶性マトリックス全体にわたって分散した複数の粒子を、さらに含み、前記固形成分の重量%と前記複数の粒子の重量%の比が、おおよそ1:0.1~1:4の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の粒子が、おおよそ5~100ナノメートルの範囲の平均直径を有する、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記マスクの前記複数の粒子が、レーザスクライビングプロセスでの前記マスクの前記パターニング中に、前記レーザスクライビングプロセスを実質的に妨げることをしない、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法であって、
固形成分および水に基づく水溶性マトリックスを含み、前記水溶性マトリックス全体にわたる光吸収種を含むマスクを、前記半導体ウエハの上に形成することと、
間隙を備えたパターニングされたマスクおよび前記集積回路間の領域における前記半導体ウエハ内の対応するトレンチを提供するように、前記マスクおよび前記半導体ウエハの一部を、レーザスクライビングプロセスでパターニングすることと、
前記トレンチを延長して、前記集積回路を個片化するように、前記パターニングされたマスク内の前記間隙を通って前記半導体ウエハをプラズマエッチングすることであって、前記パターニングされたマスクが、前記プラズマエッチング中に前記集積回路を保護する、前記プラズマエッチングすることと、を含み、
前記マスクが、前記水溶性マトリックス全体にわたって分散した複数の粒子を、さらに含み、前記固形成分の重量%と前記複数の粒子の重量%の比が、おおよそ1:0.1~1:4の範囲にあり、
前記半導体ウエハをプラズマエッチングすることが、単結晶シリコンウエハをプラズマエッチングすることを含み、前記単結晶シリコンウエハのエッチング速度と前記マスクのエッチング速度の比が、前記プラズマエッチング中に、おおよそ15:1~170:1の範囲にある
、方法。
【請求項8】
前記半導体ウエハの上に前記マスクを形成することが、前記半導体ウエハの表面に前記マスクをスピンコーティングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記半導体ウエハをプラズマエッチングした後に、水溶液を使用して前記パターニングされたマスクを除去することを、さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記マスクをパターニングした後で、かつ前記集積回路を個片化するように、前記パターニングされたマスク内の前記間隙を通って前記半導体ウエハをプラズマエッチングする前に、プラズマ洗浄プロセスで前記半導体ウエハ内の前記トレンチを洗浄することを、さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ウエハ個片化プロセスのためのマスクであって、
固形成分および水に基づく水溶性マトリックス、
前記水溶性マトリックス全体にわたる光吸収種
であって、レーザスクライビングプロセス中にガウシアンビームの後端部を前記マスクに実質的に閉じ込めるように構成されている光吸収種、ならびに
前記光吸収種とは異なる、前記水溶性マトリックス全体にわたって分散した複数の粒子、
を含むマスク。
【請求項12】
前記光吸収種が、前記水溶性マトリックス中に溶解した水溶性染料、および前記水溶性マトリックス全体にわたる顔料のナノ分散からなる群から選択される、請求項
11に記載のマスク。
【請求項13】
前記複数の粒子が、おおよそ5~100ナノメートルの範囲の平均直径を有する、請求項
11に記載のマスク。
【請求項14】
前記固形成分の重量%と前記複数の粒子の重量%の比が、おおよそ1:0.1~1:4の範囲にある、請求項
11に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体処理の分野に関し、特に、各ウエハがその上に複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ処理では、シリコンまたは他の半導体材料で構成されるウエハ(基板とも呼ばれる)上に集積回路が形成される。一般に、半導体、導電体、または絶縁体のいずれかである様々な材料の層が、集積回路を形成するために利用される。集積回路を形成するために、これらの材料は、様々な周知のプロセスを使用して、ドープ、堆積、エッチングされる。各ウエハは、ダイとして知られる集積回路を含む多数の個別領域を形成するように処理される。
【0003】
集積回路形成プロセスに続いて、ウエハは「ダイシング」されて、個々のダイが互いに分離され、パッケージングされるか、またはより大きな回路内でパッケージングされていない形で使用される。ウエハダイシングに使用される2つの主な技術は、スクライビングとソーイングである。スクライビングでは、ダイヤモンドチップスクライブが、事前に形成されたスクライブラインに沿ってウエハ表面を横切って移動する。これらのスクライブラインは、ダイ間のスペースに沿って延びている。これらのスペースは、一般に「ストリート」と呼ばれる。ダイヤモンドスクライブは、ストリートに沿ってウエハ表面に浅いスクラッチを形成する。ローラーなどで圧力をかけると、ウエハが、スクライブラインに沿って分離する。ウエハの割れ目は、ウエハ基板の結晶格子構造に従う。スクライビングは、厚さが約10ミル(1000分の1インチ)以下のウエハに使用することができる。より厚いウエハの場合、現在、ソーイングが、ダイシングのために好ましい方法である。
【0004】
ソーイングでは、毎分高回転数で回転しているダイヤモンドチップソーが、ウエハ表面に接触し、ストリートに沿ってウエハを切断する。ウエハは、フィルムフレーム全体に引き伸ばされた接着フィルムなどの支持部材に取り付けられ、ソーが、縦および横の両方のストリートに繰り返し適用される。スクライビングまたはソーイングの問題の1つは、チップと溝がダイの切断された縁に沿って形成される可能性があることである。さらに、クラックが形成され、ダイの縁から基板に伝わって、集積回路が動作しなくなる可能性がある。正方形または長方形のダイの1つの辺しか結晶構造の<110>方向にスクライビングできないので、チッピングとクラッキングは、スクライビングで特に問題になる。その結果、ダイの他の辺の切断は、ギザギザの分離線を生じさせる。チッピングとクラッキングのせいで、集積回路への損傷を防ぐために、例えば、チップとクラックが、実際の集積回路から離れた場所に維持されるように、ウエハ上のダイ間に追加のスペースが必要である。スペース要件の結果として、標準サイズのウエハ上にはそれほど多くのダイを形成できず、そうでなければ回路に使用することのできたウエハ面積が、無駄になる。ソーの使用は、半導体ウエハ上の面積の無駄を悪化させる。ソーのブレードの厚さは、約15ミクロンである。したがって、ソーで作られた切断部の周囲のクラッキングやその他の損傷が集積回路に害を及ぼさないようにするために、多くの場合、各ダイの回路を300~500ミクロン分離する必要がある。さらに、切断後、各ダイは、ソーイングプロセスから生じるパーティクルやその他の汚染物質を除去するために、かなりの洗浄を必要とする。
【0005】
プラズマダイシングも使用されているが、同様に制約を有し得る。例えば、プラズマダイシングの実施を妨げる1つの制約は、コストであり得る。レジストをパターニングするための標準的なリソグラフィ工程は、実施コストが非常に高くなり得る。プラズマダイシングの実施を妨げている可能性のある別の制約は、ストリートに沿ったダイシングで一般的に遭遇する金属(例えば、銅)のプラズマエッチングが、生産上の問題またはスループットの制限を引き起こす可能性があることである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、半導体ウエハをダイシングする方法および装置を含む。
【0007】
一実施形態では、複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法は、半導体ウエハの上にマスクを形成することを含む。マスクは、固形成分および水に基づく水溶性マトリックス、ならびに水溶性マトリックス全体にわたる光吸収種を含む。マスクおよび半導体ウエハの一部が、レーザスクライビングプロセスでパターニングされ、間隙を備えたパターニングされたマスクおよび集積回路間の領域における半導体ウエハ内の対応するトレンチを提供する。半導体ウエハが、パターニングされたマスク内の間隙を通ってプラズマエッチングされ、トレンチを延長して、集積回路を個片化する。パターニングされたマスクは、プラズマエッチング中に集積回路を保護する。
【0008】
別の実施形態では、複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法は、半導体ウエハの上にマスクを形成することを含む。マスクは、固形成分および水に基づく水溶性マトリックス、ならびに水溶性マトリックス全体にわたる光吸収種を含む。レーザスクライビングプロセスで、マスクがパターニングされ、半導体ウエハの集積回路が、個片化される。
【0009】
別の実施形態では、ウエハ個片化プロセスのためのマスクは、固形成分および水に基づく水溶性マトリックスを含む。光吸収種が、水溶性マトリックス全体にわたって存在する。複数の粒子が、水溶性マトリックス全体にわたって分散している。複数の粒子は、光吸収種とは異なる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による、複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法における工程を表すフローチャートである。
【
図2A】本発明の一実施形態による、半導体ウエハをダイシングする方法の実行中の、
図1のフローチャートの工程102に対応する、複数の集積回路を含む半導体ウエハの断面図を示す。
【
図2B】本発明の一実施形態による、半導体ウエハをダイシングする方法の実行中の、
図1のフローチャートの工程104に対応する、複数の集積回路を含む半導体ウエハの断面図を示す。
【
図2C】本発明の一実施形態による、半導体ウエハをダイシングする方法の実行中の、
図1のフローチャートの工程106に対応する、複数の集積回路を含む半導体ウエハの断面図を示す。
【
図3A】本発明の一実施形態による、染料濃度0%、0.25%、および0.5%における、レーザスクライビング後であるがマスク除去前の、トレンチプロファイルの視点から撮影された走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
【
図3B】本発明の一実施形態による、染料濃度0%、0.25%、および0.5%における、レーザスクライビングマスク除去後のトレンチ表面の走査電子顕微鏡(SEM)画像および光学顕微鏡画像を示す。
【
図4】本発明の一実施形態による、半導体ウエハまたは基板のストリート領域で使用され得る材料のスタックの断面図を示す。
【
図5A-5B】本発明の一実施形態による、半導体ウエハをダイシングする方法における様々な工程の断面図を示す。
【
図5C-5D】本発明の一実施形態による、半導体ウエハをダイシングする方法における様々な工程の断面図を示す。
【
図6】本発明の一実施形態による、ウエハまたは基板のレーザおよびプラズマダイシングのためのツールレイアウトのブロック図を示す。
【
図7】本発明の一実施形態による、例示的なコンピュータシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
各ウエハがその上に複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングする方法が、説明されている。以下の説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、光吸収マスク材料および処理、レーザスクライビング条件、ならびにプラズマエッチング条件および材料レジメンなど、多くの特定の詳細が記述される。本発明の実施形態は、これらの特定の詳細なしで実施できることが、当業者には明らかであろう。他の例では、本発明の実施形態を不必要に曖昧にしないために、集積回路製造などの周知の態様は、詳細には説明されない。さらに、図に示される様々な実施形態は、例示的な表現であり、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを、理解されたい。
【0012】
1つ以上の実施形態は、特に、エッチングマスクのレーザ損傷を低減するために光吸収剤を使用することに関する。実施形態は、レーザおよびエッチングウエハダイシングアプローチならびに電子デバイスウエハの個片化またはダイシングのためのツールに適用可能であり得る。
【0013】
コンテキストを提供するために、ウエハを個々のダイに個片化する際、ウエハが、ダイ間のダイシングストリートに沿って切断または切り分けられる。従来、ダイシングは、機械ソーで行われてきた。モバイルデバイスやその他の技術ドライバは、クラッキング、層剥離、チッピングの欠陥を減らすために、より高度な個片化アプローチを必要とする場合がある。レーザおよびエッチングウエハダイシングアプローチは、水溶性保護コーティングを基板に塗布することと、レーザスクライビングによってストリート領域のコーティングおよびデバイステスト層を除去して、下にある基板材料(通常はシリコン(Si))を開けることと、を含むことができる。次に、露出したSiが、その厚さ全体にわたってプラズマエッチングされて、ウエハを個々のダイに個片化する。保護コーティングは、脱イオン(DI)水に基づく洗浄工程で除去される。環境への配慮と処理の容易さから、水溶性保護コーティングが望ましい場合がある。そのような水溶性コーティングは、主に、プラズマエッチングステップ中のエッチングマスクとして、またレーザスクライビング中に発生したデブリを収集する層として使用されてもよい。
【0014】
さらなるコンテキストを提供すると、フェムト秒レーザが、プロセスのレーザスクライビング部分において、好ましい場合がある。ナノ秒および他の長パルスレーザとは異なり、フェムト秒レーザは、関連する超短パルスのために熱効果がほとんどない。フェムト秒レーザのもう1つの利点は、吸収性材料、反射性材料、透過性材料を含むほとんどの材料を除去できることであり得る。一般的なウエハ上には、反射性の金属と吸収性の金属、透過性の誘電体、およびほとんどのレーザ光を吸収するシリコン基板がある。水溶性保護コーティングは、完全にまたはほとんど透過性である。これらの材料は、フェムト秒レーザでアブレーションすることができる。
【0015】
典型的なフェムト秒レーザは、いわゆる「ガウシアンビーム」を有し、ビームの中心付近では強度が高く、ビームの端部では強度が低くなる。ガウシアンビームは、吸収性基板上に透過性層を有する、例えば、シリコン上に、またはシリコン上の誘電体層上に透過性保護コーティング(水溶性マスクなど)を有するウエハを処理するために、フェムト秒レーザを使用する場合に、問題になる可能性がある。透過性層を除去するために、レーザプロセスは、非線形吸収を生み出すために適切に高い強度(例えば、ガウシアンビームの前端部)を必要とする。しかしながら、ガウシアンビームの低強度部分(後端部)は、非線形吸収を生み出すのに十分な強度を有しないので、ガウシアンビームの低強度部分は、ほとんど減衰せずに透過性層を通過する。しかしながら、ガウシアンビームの低強度部分は、シリコンに吸収される。このようなシナリオは、透過性層/シリコン界面の加熱を引き起こす可能性があり、透過性層とシリコンの間の層剥離、および透過性層とシリコンの両方のチッピングまたはクラッキングにさえ至る可能性がある。その結果、通常、ガウシアンビームは、意図したスクライブ領域よりもはるかに広いレーザ損傷領域を生ずる。しかしながら、別の実施形態では、レーザは、ガウシアンビームではなく、高強度部分と低強度部分を有する非ガウシアンビームである。
【0016】
本発明の1つ以上の実施形態によれば、ガウシアンビームの低強度部分が透過性層/シリコン界面に到達するのを防ぐために、光吸収剤が、水溶性マスクなどの保護コーティングの中に使用される。そのような1つの実施形態では、レーザ損傷ゾーンが、大幅に減少または完全に除去される。一実施形態では、さもなければ透過性のマスク材料に光吸収種を含めることで、レーザスクライビング中にガウシアンビームの後端部がマスク内に保持されるか閉じ込められ、ガウシアンビームの前端部のみしか基板に入り込むことができないようなスクライビングプロセスが可能になる。
【0017】
以下に説明する多くの実施形態は、フェムト秒レーザスクライビングに関連しているが、他の実施形態では、他のレーザビームタイプのレーザスクライビングもまた、本明細書に記載のマスキング材料に適合し得ることを、理解されたい。以下に説明する多くの実施形態は、メタライズされたフィーチャ部を有するスクライビングストリートに関連しているが、他の実施形態では、金属を含まないスクライビングストリートもまた考慮できることも、理解されたい。
【0018】
したがって、本発明の一態様では、半導体ウエハをダイシングして個片化された集積回路にするための、レーザスクライビングプロセスとプラズマエッチングプロセスとの組み合わせに基づく個片化プロセスに、光吸収マスクが使用される。
図1は、本発明の実施形態による、複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法における工程を表すフローチャート100である。
図2A~
図2Cは、本発明の実施形態による、半導体ウエハをダイシングする方法の実行中の、フローチャート100の工程に対応する、複数の集積回路を含む半導体ウエハの断面図を示す。
【0019】
フローチャート100の工程102および対応する
図2Aを参照すると、マスク202が、半導体ウエハまたは基板204の上に形成される。マスク202は、半導体ウエハ204の表面に形成された集積回路206を覆い保護する。マスク202は、各集積回路206の間に形成された間にあるストリート207も覆う。一実施形態では、マスク202は、固形成分および水に基づく水溶性マトリックス、ならびに水溶性マトリックス全体にわたる光吸収種を含む。
【0020】
一実施形態では、水溶性マトリックスは、ポリビニルアルコール(PVA)に基づく水溶性マトリックスであり、PVAが、固形成分である。別の実施形態では、水溶性マトリックスの固形成分は、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリスチレン-マレイン酸コポリマー、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシエチルデンプンからなる群から選択される。一実施形態では、水溶性マトリックスは、約10~40重量%の固形成分と残りの水を含む。
【0021】
一実施形態では、半導体ウエハ204の上にマスク202を形成することは、半導体ウエハ204の表面にマスク202をスピンコーティングすることを含む。特定の実施形態では、ウエハのより良い濡れ性およびコーティングが可能になるように、コーティングの前に、プラズマまたは化学的前処理が実行される。
【0022】
一実施形態では、マスク202は、水性媒体に容易に溶解可能であるという点で、水溶性マスクである。例えば、一実施形態では、堆積されたままの水溶性マスク202は、アルカリ溶液、酸性溶液、または脱イオン水のうちの1つ以上に可溶性の材料で構成される。特定の実施形態では、堆積されたままの水溶性マスク202は、おおよそ1~15ミクロン/分の範囲の、より詳細には約1.3ミクロン/分の、水溶液中におけるエッチングまたは除去速度を有する。
【0023】
一実施形態では、マスク202の水溶性マトリックス全体にわたる光吸収種は、限定されないが、水溶性マトリックス中に溶解した水溶性染料、水溶性マトリックス全体にわたる顔料のナノ分散、または水溶性マトリックス中に溶解した水溶性染料と水溶性マトリックス全体にわたる顔料のナノ分散の組み合わせなどの種である。
【0024】
一実施形態では、530ナノメートルの緑色レーザの場合、光吸収種は、ローダミンB、ローダミンG、およびD&C red27からなる群から選択される。一実施形態では、530ナノメートルの緑色レーザの場合、光吸収種は、530nmの光を吸収する染料または顔料の群から選択され、染料の例は、ローダミンB、ローダミンG、ベタニンおよびD&C red27である。比較的大きな顔料の分散は、光を散乱させ、ウエハのアライメントに悪影響を与える可能性があるので、水溶性染料が好ましい光吸収剤であり得ることを、理解されたい。しかしながら、一実施形態では、顔料のナノ分散(ナノメートルスケールのサイズを有する顔料粒子の分散)が使用され、比較的弱い光散乱を示す。一実施形態では、顔料粒子の分散は、カーボンブラック、酸化鉄、または金コロイドで構成される。一実施形態では、CeO2粒子の分散が、UV吸収種として使用される。
【0025】
追加の態様では、通常の水溶性ポリマーは、プラズマエッチングに対して高い耐性を持たず、他方、良好なエッチング耐性を有するポリマーは、通常、水溶性ではない。エッチング選択性は、エッチングプロセス中におけるマスク減損の量に対する除去された基板材料(例えば、Si)の量の比として定義することができる。水溶性ポリマーは、通常、選択性が比較的低く、水溶性を犠牲にすることなくマスクの選択性を高めることが、有利になり得る。
【0026】
本発明の実施形態によれば、光吸収水溶性マスクは、レーザスクライビングおよびプラズマエッチングウエハ個片化のエッチング選択性のために提供された追加の粒子をその中に有する。実施形態は、水溶性ダイシングマスクにおける改善されたエッチング耐性に対する潜在的なニーズに対処し得る。特定の例では、シリカ粒子が分散したポリビニルアルコール(PVA)マトリックスが、エッチングマスクとして提供される。より一般的には、一実施形態では、粒子の分散が、水溶性ポリマーと混合されて、複合マスクを形成する。水溶性ではない酸化物やポリマーなどの材料は、水溶性ポリマー混合物の中に分散として組み入れることができる。適切な粒子分散は、無機粒子とポリマーのコロイド分散であり得る。適切な無機粒子は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、および酸化セリウムなどの酸化物、ならびに炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの他の粒子を含むことができる。適切なポリマー粒子は、ポリスチレンおよびPTFEを含むことができる。マスクはレーザスクライビングされるので、通常、マスクのヘイズは低くする必要があることを、理解されたい。ヘイズを最小限に抑えるために、一実施形態では、100ナノメートルより小さい粒子が、マトリックスに含められ得る。
【0027】
このように、一実施形態では、複数の粒子が、光吸収種を含むマスクの水溶性マトリックス全体にわたって分散している。複数の粒子は、光吸収種とは異なる。一実施形態では、複数の粒子は、おおよそ5~100ナノメートルの範囲の平均直径を有する。一実施形態では、水溶性マトリックスの固形成分の重量%と複数の粒子の重量%の比は、おおよそ1:0.1~1:4の範囲にある。一実施形態では、複数の粒子は、おおよそ5~100ナノメートルの範囲の平均直径を有し、水溶性マトリックスの固形成分の重量%と複数の粒子の重量%の比は、おおよそ1:0.1~1:4の範囲にある。一実施形態では、複数の粒子は、おおよそ5~50ナノメートルの範囲の平均直径を有する。潜在的なレーザ光散乱またはヘイズを軽減または無くすために、より小さい直径が好ましい場合があることを理解されたい。一実施形態では、固形成分の重量%と複数の粒子の重量%の比は、おおよそ1:0.5~1:2の範囲にある。
【0028】
一実施形態では、複数の粒子は、シリカ(SiO2)粒子、アルミナ(Al2O3)粒子、アルミナ被覆シリコン粒子、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された複数の粒子である。酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化ジルコニウムなどの他の酸化物、および炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの他の無機粒子もまた粒子添加剤として使用できることを、理解されたい。適切なポリマー粒子は、ポリスチレン、エポキシなども含む。一実施形態では、複数の粒子は、複数の吸収種である。
【0029】
一実施形態では、半導体ウエハまたは基板204は、製造プロセスに耐えるのに適した材料であって、その上に半導体処理層を適切に配置することができる材料で、構成される。例えば、一実施形態では、半導体ウエハまたは基板204は、限定されないが、結晶シリコン、ゲルマニウムまたはシリコン/ゲルマニウムなどの、IV族系の材料で構成される。特定の実施形態では、半導体ウエハ204を提供することは、単結晶シリコン基板を提供することを含む。詳細な実施形態では、単結晶シリコン基板には、不純物原子がドープされている。別の実施形態では、半導体ウエハまたは基板204は、例えば発光ダイオード(LED)の製造に使用されるIII-V材料基板などのIII-V材料で構成される。
【0030】
一実施形態では、半導体ウエハまたは基板204には、集積回路206の一部として、その上またはその中に半導体デバイスのアレイが配置されている。そのような半導体デバイスの例は、シリコン基板に製造され誘電体層に入れられたメモリデバイスまたは相補型金属酸化物半導体(CMOS)トランジスタを含むが、これらに限定されない。複数の金属配線が、デバイスまたはトランジスタの上、および周囲の誘電体層に形成されて、デバイスまたはトランジスタを電気的に結合して集積回路206を形成するために使用されてもよい。ストリート207を構成する材料は、集積回路206を形成するために使用される材料と同類または同じであってもよい。例えば、ストリート207は、誘電体材料、半導体材料、およびメタライゼーションの層で構成されてもよい。一実施形態では、1つ以上のストリート207は、集積回路206の実際のデバイスと同様のテストデバイスを含む。
【0031】
任意選択の実施形態において、マスク202は、マスクのレーザパターニングの前にベーキングされる。一実施形態では、マスク202は、マスク202のエッチング耐性を高めるためにベーキングされる。特定の実施形態では、マスク202は、おおよそ摂氏50度から130度の範囲の比較的高い温度でベーキングされる。そのようなより高い温度でのベーキングは、マスク202の架橋を引き起こし、エッチング耐性を大幅に向上させることができる。例えば、マスク202が摂氏130度またはその近くで約3分間ベーキングされた場合、結果として得られる強化された光吸収性および耐エッチング性のマスクは、シリコンエッチングプロセスに対して安定している。一実施形態では、ベーキングは、ホットプレート技術、またはウエハ表側(例えば、基板キャリアを使用する場合には非テープ取り付け側)から加えられる熱(光)放射、または他の適切な技術を使用して実行される。
【0032】
フローチャート100の工程104および対応する
図2Bを参照すると、マスク202は、レーザスクライビングプロセスでパターニングされ、間隙210を備えたパターニングされたマスク208を提供し、集積回路206間の半導体ウエハまたは基板204の領域を露出させる。このように、レーザスクライビングプロセスは、集積回路206の間に元々形成されていたストリート207の材料を除去するために使用される。本発明の一実施形態によれば、レーザスクライビングプロセスでマスク202をパターニングすることは、
図2Bにも示されるように、集積回路206間の半導体ウエハ204の領域の中に部分的にトレンチ212を形成することを、さらに含む。
【0033】
一実施形態では、マスク202は、ガウシアンレーザビームでパターニングされる。マスクの光吸収種は、パターニング中にガウシアンビームの後端部をマスク202に実質的に閉じ込める。ガウシアンビームの前端部は、パターニング中に半導体ウエハまたは基板204に実質的に閉じ込められる。一実施形態では、マスク202が、エッチング耐性を高めるための複数の粒子をさらに含む場合、マスク202の複数の粒子は、レーザスクライビングプロセスによるマスク202のパターニング中にレーザスクライビングプロセスを実質的に妨げることがない。
【0034】
一実施形態では、フェムト秒ベースのレーザが、レーザスクライビングプロセスにおけるソースとして使用される。例えば、一実施形態では、可視スペクトルに紫外(UV)および赤外(IR)範囲を加えた範囲(全体で広帯域光スペクトル)の波長のレーザを使用して、フェムト秒ベースのレーザ、すなわち、フェムト秒(10-15秒)のオーダーのパルス幅を持つレーザを提供する。一実施形態では、アブレーションは、波長に依存しない、または本質的に依存しないので、マスク202、ストリート207、および場合によっては半導体ウエハまたは基板204の一部の膜などの複合的な膜に適している。
【0035】
レーザスクライビングプロセスに対する光吸収剤の効果を決定するために、例えば光吸収剤の相対量として、光吸収種の有る液体コーティングと光吸収種の無い液体コーティングを調製して、スクライビング環境でテストした。
図3Aは、本発明の一実施形態による、染料濃度0%、0.25%、および0.5%における、レーザスクライビング後であるがマスク除去前の、トレンチプロファイルの視点から撮影された走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
図3Bは、本発明の一実施形態による、染料濃度0%、0.25%、および0.5%における、レーザスクライビングマスク除去後のトレンチ表面の走査電子顕微鏡(SEM)画像および光学顕微鏡画像を示す。
【0036】
図3Aおよび
図3Bを参照すると、光吸収剤を含まない、0.25重量%の光吸収剤を含む、および0.5重量%の光吸収剤を含む透過性の水溶性マスクのサンプルが調製された。使用した光吸収剤は、D&C Red27であった。水溶性マスク材料が、コーティング材料とともにベアシリコン(Si)ウエハにコーティングされた。コーティングが、乾燥するようにベーキングされた。レーザスクライビングプロセスを使用して、マスク材料を開いた。プラズマエッチングを実行して、Si中に所望のトレンチエッチング深さを達成した。SEM画像とレーザの影響を受けた領域の幅の測定値を得るために、ウエハが、切断されて/断面で切断されて、サンプルが作られた。
図3Aおよび
図3Bに示すように、0.5%D&C red27が、レーザ損傷ゾーンの幅を著しく縮小させる。
【0037】
フェムト秒の範囲からの寄与を伴うレーザビームプロファイルを使用することにより、より長いパルス幅(例えば、ナノ秒処理)と比較して、熱損傷の問題が軽減または除去されることを、理解されたい。レーザスクライビング中の損傷の除去または軽減は、低エネルギー再結合がないこと、または熱平衡に起因し得る。きれいなレーザスクライブ切断を達成するために、チッピング、マイクロクラック、層剥離を最小限に抑えるレーザスクライビングおよびダイシングプロセスを成功させるのに、ビームプロファイルなどのレーザパラメータの選択が重要であり得ることもまた、理解されたい。レーザスクライブ切断がきれいになるほど、最終的なダイ個片化のために実行され得るエッチングプロセスが、順調になる。半導体デバイスのウエハでは、様々な材料タイプ(例えば、導体、絶縁体、半導体)と厚さの多くの機能層が、通常その上に配置される。そのような材料は、ポリマーなどの有機材料、金属、または二酸化ケイ素および窒化ケイ素などの無機誘電体を含むことができるが、これらに限定されない。
【0038】
ウエハまたは基板上に配置された個々の集積回路間のストリートは、集積回路自体と同様または同じ層を含んでもよい。例えば、
図4は、本発明の一実施形態による、半導体ウエハまたは基板のストリート領域で使用され得る材料のスタックの断面図を示す。
【0039】
図4を参照すると、ストリート領域400は、シリコン基板の上部402、第1の二酸化ケイ素層404、第1のエッチング停止層406、第1の低K誘電体層408(例えば、二酸化ケイ素の誘電率4.0より低い誘電率を有する)、第2のエッチング停止層410、第2の低K誘電体層412、第3のエッチング停止層414、非ドープシリカガラス(USG)層416、第2の二酸化ケイ素層418、ならびにスクライビングおよび/またはエッチングマスク420(マスク202に関連して上述したマスクなど)を含む。銅メタライゼーション422が、第1のエッチング停止層406と第3のエッチング停止層414との間に、第2のエッチング停止層410を貫通して配置される。特定の実施形態では、第1、第2、および第3のエッチング停止層406、410、および414は、窒化ケイ素から成り、低K誘電体層408および412は、炭素ドープ酸化ケイ素材料から成る。
【0040】
従来のレーザ照射(ナノ秒ベースの照射など)では、ストリート400の材料は、光吸収およびアブレーションメカニズムの点でまったく異なる挙動を示す。例えば、二酸化ケイ素などの誘電体層は、通常の条件下では、商業的に利用可能な全てのレーザ波長に対して本質的に透過性である。対照的に、金属、有機物(例えば、低K材料)、およびシリコンは、特にナノ秒ベースの照射に応答して、非常に簡単に光子を結合させることができる。一実施形態では、フェムト秒ベースのレーザスクライビングプロセスを使用して、低K材料の層および銅の層をアブレーションする前に二酸化ケイ素の層をアブレーションすることにより、二酸化ケイ素の層、低K材料の層、および銅の層をパターニングする。
【0041】
レーザビームがフェムト秒ベースのレーザビームである場合、一実施形態では、適切なフェムト秒ベースのレーザプロセスは、通常様々な材料で非線形相互作用をもたらす高いピーク強度(放射照度)によって、特徴付けられる。そのような一実施形態では、フェムト秒レーザ源は、おおよそ10フェムト秒から500フェムト秒の範囲のパルス幅を有するが、好ましくは100フェムト秒から400フェムト秒の範囲である。一実施形態では、フェムト秒レーザ源は、おおよそ1570ナノメートルから200ナノメートルの範囲の波長を有するが、好ましくは540ナノメートルから250ナノメートルの範囲である。一実施形態では、レーザおよび対応する光学システムは、おおよそ3ミクロンから15ミクロンの範囲の焦点スポットをワーク面に提供するが、好ましくは、おおよそ5ミクロンから10ミクロンの範囲または10から15ミクロンの間である。
【0042】
一実施形態では、レーザ源は、おおよそ200kHzから10MHzの範囲のパルス繰り返し数を有するが、好ましくは、おおよそ500kHzから5MHzの範囲である。一実施形態では、レーザ源は、おおよそ0.5uJから100uJの範囲のパルスエネルギーをワーク面に送達するが、好ましくは、おおよそ1uJから5uJの範囲である。一実施形態では、レーザスクライビングプロセスは、おおよそ500mm/秒から5m/秒の範囲の速度でワークピース表面に沿って実行されるが、好ましくは、おおよそ600mm/秒から2m/秒の範囲である。
【0043】
スクライビングプロセスは、シングルパスのみで、またはマルチパスで実行されてもよいが、一実施形態では、好ましくは1~2パスで実行されてもよい。一実施形態では、ワークピース中のスクライビング深さは、おおよそ5ミクロンから50ミクロンの範囲の深さであり、好ましくは、おおよそ10ミクロンから20ミクロンの範囲の深さである。一実施形態では、生成されたレーザビームのカーフ幅は、おおよそ2ミクロンから15ミクロンの範囲であるが、シリコンウエハのスクライビング/ダイシングでは、デバイス/シリコン界面で測定して、好ましくは、おおよそ6ミクロンから10ミクロンの範囲である。
【0044】
無機誘電体(例えば、二酸化ケイ素)のイオン化を達成し、かつ無機誘電体の直接アブレーションの前に下層の損傷によって引き起こされる層剥離とチッピングを最小限に抑えるために、十分に高いレーザ強度を提供するなどの利益および利点を有するレーザパラメータが、選択されてもよい。また、アブレーションの幅(例えば、カーフ幅)と深さが正確に制御され、産業用アプリケーションにとって意味のあるプロセススループットを提供するように、パラメータが選択されてもよい。
【0045】
レーザスクライビングを使用して、マスクをパターニングするだけでなく、ダイを個片化するために、ウエハまたは基板を完全に貫通してスクライビングする場合、ダイシングまたは個片化プロセスは、上記のレーザスクライビング後に停止させることができることを、理解されたい。そのようなアプローチによれば、一実施形態では、複数の集積回路を含む半導体ウエハをダイシングする方法は、半導体ウエハの上にマスクを形成することを含む。マスクは、固形成分および水に基づく水溶性マトリックス、ならびに水溶性マトリックス全体にわたる光吸収種を含む。マスクがパターニングされ、半導体ウエハの集積回路が、レーザスクライビングプロセスで個片化される。特定のそのような実施形態では、マスクは、ガウシアンビームでパターニングされる。マスクの光吸収種は、パターニング中にガウシアンビームの後端部をマスクに実質的に閉じ込める。ガウシアンビームの前端部は、パターニング中に半導体ウエハに実質的に閉じ込められる。レーザスクライビングが、個片化を完了させる。
【0046】
したがって、一実施形態では、個片化を達成するためのプラズマエッチングなどのさらなる個片化処理は、不要である。しかしながら、完全な個片化のためにレーザスクライビングのみが実施されるのではない場合には、以下の実施形態が考慮され得る。
【0047】
任意選択の実施形態では、レーザスクライビングプロセスの後で、プラズマエッチング個片化プロセスの前に、中間のマスク開口後洗浄工程が、実行される。一実施形態では、マスク開口後洗浄工程は、プラズマベースの洗浄プロセスである。一例では、以下で説明するように、プラズマベースの洗浄プロセスは、間隙210によって露出された基板204のトレンチ212に対して非反応性である。
【0048】
一実施形態によれば、プラズマベースの洗浄プロセスは、洗浄プロセス中に露出領域がエッチングされないか、または無視できる程度にしかエッチングされないという点で、基板204の露出領域に対して非反応性である。そのような一実施形態では、非反応性ガスプラズマ洗浄のみが、使用される。例えば、マスク圧縮とスクライビングされた開口部の洗浄の両方のための高バイアスプラズマ処理を実行するために、Arまたは別の非反応性ガス(または混合物)が使用される。このアプローチは、マスク202などの水溶性マスクに適し得る。別のそのような実施形態では、別個のマスク圧縮(表面層の緻密化)工程およびスクライビングされたトレンチの洗浄工程が使用され、例えば、マスク圧縮のためのArまたは非反応性ガス(または混合物)の高バイアスプラズマ処理が最初に実行され、その後、レーザスクライビングされたトレンチのAr+SF6プラズマ洗浄が実行される。この実施形態は、マスク材料が厚すぎるためにAr洗浄がトレンチ洗浄にとって不十分である場合に、適し得る。
【0049】
フローチャート100の工程106および対応する
図2Cを参照すると、半導体ウエハ204が、パターニングされたマスク208内の間隙210を通ってエッチングされて、集積回路206を個片化する。本発明の一実施形態によれば、半導体ウエハ204をエッチングすることは、レーザスクライビングプロセスで最初に形成されたトレンチ212をエッチングすることにより、
図2Cに示すように、最終的に半導体ウエハ204を完全に貫通してエッチングすることを含む。パターニングされたマスク208が、プラズマエッチング中に集積回路を保護する。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、間隙を通って半導体ウエハをプラズマエッチングすることは、単結晶シリコンウエハをプラズマエッチングすることを含む。そのような一実施形態では、単結晶シリコンウエハのエッチング速度とマスク202のエッチング速度の比は、プラズマエッチング中におおよそ15:1~170:1の範囲にある。
【0051】
一実施形態では、レーザスクライビングプロセスでマスク202をパターニングすることは、集積回路間の半導体ウエハの領域にトレンチを形成することを含み、半導体ウエハをプラズマエッチングすることは、トレンチを延長して対応するトレンチ延長部を形成することを含む。そのような一実施形態では、トレンチのそれぞれが幅を有し、対応するトレンチ延長部のそれぞれが、その幅を有する。
【0052】
一実施形態では、半導体ウエハ204をエッチングすることは、プラズマエッチングプロセスを使用することを含む。一実施形態では、シリコン貫通ビアタイプのエッチングプロセスが、使用される。例えば、特定の実施形態では、半導体ウエハ204の材料のエッチング速度は、毎分25ミクロンより大きい。超高密度プラズマ源が、ダイ個片化プロセスのプラズマエッチング部分に使用され得る。そのようなプラズマエッチングプロセスを実行するのに適したプロセスチャンバの例は、米国カリフォルニア州サニーベールのアプライドマテリアルズから入手可能なApplied Centura(登録商標)Silvia(商標)Etchシステムである。Applied Centura(登録商標)Silvia(商標)Etchシステムは、容量性と誘導性のRF結合を組み合わせており、容量性結合のみの場合よりも、はるかに独立したイオン密度とイオンエネルギーの制御が可能であり、磁気の強化によってもたらされる改善さえある。この組み合わせにより、イオンエネルギーからのイオン密度の効果的な分離が可能になり、非常に低い圧力でも、損傷を与える可能性のある高いDCバイアスレベルなしで比較的高密度のプラズマを実現できる。これにより、プロセスウィンドウが非常に広くなる。しかしながら、シリコンをエッチングすることができる任意のプラズマエッチングチャンバが、使用されてもよい。例示的な実施形態では、本質的に正確なプロファイル制御および実質的にスカラップのない側壁を維持しながら、従来のシリコンエッチング速度の約40%を超えるエッチング速度で単結晶シリコン基板またはウエハ204をエッチングするために、ディープシリコンエッチングが使用される。特定の実施形態では、シリコン貫通ビアタイプのエッチングプロセスが、使用される。エッチングプロセスは、反応性ガスから生成されたプラズマに基づいており、反応性ガスは、一般に、SF
6、C
4F
8、CHF
3、XeF
2などのフッ素系ガスであり、または比較的速いエッチング速度でシリコンをエッチングできる他の反応性ガスである。一実施形態では、
図2Cに示されるように、また以下でより詳細に説明されるように、光吸収水溶性のパターニングされたマスク208は、個片化プロセス後に除去される。別の実施形態では、
図2Cに関連して説明したプラズマエッチング工程は、従来のボッシュ型の堆積/エッチング/堆積プロセスを使用して、基板204を貫通してエッチングする。一般に、ボッシュ型のプロセスは、堆積、方向性のあるボンバードエッチング、および等方性化学エッチングの3つのサブ工程で構成され、シリコンが貫通してエッチングされるまで、多くの反復(サイクル)を通して実行される。
【0053】
一実施形態では、個片化プロセスに続いて、パターニングされたマスク208が除去される。一実施形態では、パターニングされたマスク208は、水溶液を使用して除去される。そのような一実施形態では、パターニングされたマスク208は、熱水処理などの熱水性処理によって除去される。特定の実施形態では、パターニングされたマスク208は、おおよそ摂氏40~100度の範囲の温度の熱水処理で除去される。詳細な実施形態では、パターニングされたマスク208は、おおよそ摂氏80~90度の範囲の温度の熱水処理で除去される。水の温度が高いほど、熱水処理に必要な時間が短くなり得ることを理解されたい。本発明の一実施形態によれば、パターニングされたマスク208の除去を支援するために、エッチング後にプラズマ洗浄プロセスを実行することもできる。
【0054】
他の状況は、より低い水処理温度から利益を得ることができることを、理解されたい。例えば、ダイシングするためのウエハが、高温の水処理の影響を受ける(例えば、接着力の低下によって)可能性のあるダイシングテープ上に支持されている場合、比較的高い水処理温度よりも長い時間がかかるが、比較的低い水処理温度を採用してもよい。そのような一実施形態では、水処理は、室温(すなわち、水は加熱されていない)以上であるが、摂氏約40度の温度未満である。そのような特定の実施形態では、パターニングされたマスク208は、おおよそ摂氏35~40度の範囲の温度の温水処理で除去される。
【0055】
したがって、フローチャート100および
図2A~
図2Cを再度参照すると、マスク202を貫通して、ウエハストリート(メタライゼーションを含む)を貫通して、部分的にシリコン基板の中にアブレーションするための最初のアブレーションによって、ウエハダイシングを実行することができる。その後、シリコン貫通ディーププラズマエッチングによって、ダイ個片化を完了させることができる。ダイシングのための材料スタックの特定の例が、本発明の一実施形態により、
図5A~
図5Dに関連して以下に説明される。
【0056】
図5Aを参照すると、ハイブリッドレーザアブレーションおよびプラズマエッチングダイシングのための材料スタックは、マスク502、デバイス層504、および基板506を含む。マスク層502、デバイス層504、および基板506は、バッキングテープ510に貼り付けられたダイアタッチフィルム508の上に配置される。他の実施形態では、標準のダイシングテープへの直接結合が使用される。一実施形態では、マスク502は、マスク202に関連して上述したようなものである。デバイス層504は、1つ以上の金属層(銅層など)および1つ以上の低K誘電体層(炭素ドープ酸化物層など)の上に配置された無機誘電体層(二酸化ケイ素など)を含む。デバイス層504は、集積回路間に配置されたストリートを、さらに含み、ストリートは、集積回路と同じまたは類似の層を含む。基板506は、バルク単結晶シリコン基板である。一実施形態では、マスク502は、上述のような熱処理またはベーク599を使用して製造される。
【0057】
一実施形態では、バルク単結晶シリコン基板506は、ダイアタッチフィルム508に貼り付けられる前に、裏面から薄くされる。薄化は、裏面グラインドプロセスによって実行されてもよい。一実施形態では、バルク単結晶シリコン基板506は、おおよそ50~100ミクロンの範囲の厚さに薄くされる。一実施形態では、薄化はレーザアブレーションおよびプラズマエッチングダイシングプロセスの前に実行される、ということに留意することが重要である。一実施形態では、マスク502の厚さは、おおよそ1~5ミクロンの範囲であり、デバイス層504の厚さは、おおよそ2~3ミクロンの範囲である。一実施形態では、ダイアタッチフィルム508(または、上部接着層およびベースフィルムからなるダイシングテープなどの、薄くされた、もしくは薄いウエハもしくは基板をバッキングテープ510に接着させることができる任意の適切な代替物)の厚さは、おおよそ10~200ミクロンの範囲である。
【0058】
図5Bを参照すると、マスク502、デバイス層504、および基板506の一部が、レーザスクライビングプロセス512でパターニングされて、基板506にトレンチ514を形成する。
【0059】
図5Cを参照すると、シリコン貫通ディーププラズマエッチングプロセス516を使用して、トレンチ514をダイアタッチフィルム508まで下方に延長し、ダイアタッチフィルム508の上部を露出させ、シリコン基板506を個片化する。デバイス層504は、シリコン貫通ディーププラズマエッチングプロセス516中、マスク502により保護される。
【0060】
図5Dを参照すると、個片化プロセスは、ダイアタッチフィルム508をパターニングすること、バッキングテープ510の上部を露出させること、およびダイアタッチフィルム508を個片化することを、さらに含むことができる。一実施形態では、ダイアタッチフィルムは、レーザプロセスまたはエッチングプロセスによって個片化される。さらなる実施形態は、その後に、基板506の個片化された部分(例えば、個々の集積回路としての)をバッキングテープ510から取り外すことを、含んでもよい。一実施形態では、個片化されたダイアタッチフィルム508は、基板506の個片化された部分の裏側に保持される。代替の実施形態では、基板506が約50ミクロンより薄い場合、レーザスクライビングプロセス512を使用して、追加のプラズマプロセスを使用せずに基板506を完全に個片化する。実施形態は、デバイス層504からマスク502を除去することを、さらに含むことができる。マスク502の除去は、パターニングされたマスク208の除去について上述した通りであってもよい。
【0061】
単一のプロセスツールが、光吸収水溶性マスクを利用したハイブリッドレーザアブレーションおよびプラズマエッチング個片化プロセスにおける多くのまたは全ての工程を実行するように構成されてもよい。例えば、
図6は、本発明の一実施形態による、ウエハまたは基板のレーザおよびプラズマダイシングのためのツールレイアウトのブロック図を示す。
【0062】
図6を参照すると、プロセスツール600は、複数のロードロック604が結合されたファクトリインターフェース602(FI)を含む。クラスタツール606が、ファクトリインターフェース602と結合されている。クラスタツール606は、プラズマエッチングチャンバ608などの1つ以上のプラズマエッチングチャンバを含む。レーザスクライブ装置610もまた、ファクトリインターフェース602に結合されている。
図6に示すように、プロセスツール600の全体的な占有面積は、一実施形態では、約3500ミリメートル(3.5メートル)x約3800ミリメートル(3.8メートル)であってもよい。
【0063】
一実施形態では、レーザスクライブ装置610は、フェムト秒ベースのレーザビームを提供するように構成されたレーザアセンブリを収容する。一実施形態では、レーザは、上述のレーザアブレーションプロセスなどの、ハイブリッドレーザおよびエッチング個片化プロセスのレーザアブレーション部分を実行するのに適している。一実施形態では、レーザに対してウエハまたは基板(またはそのキャリア)を移動させるように構成された可動ステージが、さらにレーザスクライブ装置610に含まれている。特定の実施形態では、レーザも可動である。
図6に示すように、レーザスクライブ装置610の全体的な占有面積は、一実施形態では、約2240ミリメートルx約1270ミリメートルであってもよい。
【0064】
一実施形態では、1つ以上のプラズマエッチングチャンバ608は、複数の集積回路を個片化するために、パターニングされたマスク内の間隙を通ってウエハまたは基板をエッチングするように構成される。そのような一実施形態では、1つ以上のプラズマエッチングチャンバ608は、ディープシリコンエッチングプロセスを実行するように構成される。特定の実施形態では、1つ以上のプラズマエッチングチャンバ608は、米国カリフォルニア州サニーベールのアプライドマテリアルズから入手可能なApplied Centura(登録商標)Silvia(商標)Etchシステムである。エッチングチャンバは、単結晶シリコン基板もしくはウエハ上または内部に収容された集積回路を個片化するために使用されるディープシリコンエッチング用に特別に設計することができる。一実施形態では、高いシリコンエッチング速度を促進するために、高密度プラズマ源が、プラズマエッチングチャンバ608に含まれている。一実施形態では、1つより多いエッチングチャンバが、プロセスツール600のクラスタツール606部分に含まれて、個片化またはダイシングプロセスの高い製造スループットを可能にする。
【0065】
ファクトリインターフェース602は、外部製造施設とレーザスクライブ装置610およびクラスタツール606との間のインターフェースとなるのに適した大気ポートであってもよい。ファクトリインターフェース602は、ウエハ(またはそのキャリア)を保管ユニット(正面開口式一体型ポッドなど)からクラスタツール606もしくはレーザスクライブ装置610のいずれか、またはその両方に移送するためのアームまたはブレードを備えたロボットを含むことができる。
【0066】
クラスタツール606は、個片化の方法における機能を実行するのに適した他のチャンバを含むことができる。例えば、一実施形態では、堆積および/またはベークチャンバ612が含まれる。堆積および/またはベークチャンバ612は、ウエハまたは基板のレーザスクライビングの前に、ウエハまたは基板のデバイス層の上または上方にマスクを堆積させるように構成されてもよい。そのようなマスク材料は、上述のように、ダイシングプロセスの前にベーキングされてもよい。同じく上述のように、そのようなマスク材料は、水溶性であってもよい。
【0067】
一実施形態では、再び
図6を参照すると、ウェットステーション614が含まれている。ウェットステーションは、基板もしくはウエハのレーザスクライビングおよびプラズマエッチング個片化プロセスに続いて、またはレーザスクライビングのみの個片化プロセスに続いて、上述のように、光吸収水溶性マスクを除去するための室温または熱水性処理を行う洗浄に適していてもよい。一実施形態では、図示されていないが、計測ステーションもまた、プロセスツール600の構成要素として含まれている。洗浄チャンバは、洗浄プロセスに物理的成分を追加し、マスクの溶解速度を高める霧状ミストおよび/またはメガソニックノズルハードウェアを含むことができる。
【0068】
本発明の実施形態は、本発明の実施形態によるプロセスを実行するようにコンピュータシステム(または他の電子装置)をプログラムするのに使用できる命令を格納したマシン可読媒体を含むことができるコンピュータプログラム製品、すなわちソフトウェアとして提供されてもよい。一実施形態では、コンピュータシステムは、
図6に関連して説明したプロセスツール600と結合されている。マシン可読媒体は、マシン(例えば、コンピュータ)によって読み取り可能な形式で情報を記憶または伝送するための任意のメカニズムを含む。例えば、マシン可読(例えば、コンピュータ可読)媒体は、マシン(例えば、コンピュータ)可読記憶媒体(例えば、読み取り専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなど)、マシン(例えば、コンピュータ)可読伝送媒体(電気、光学、音響またはその他の形式の伝搬信号(例えば、赤外線信号、デジタル信号など))などを含む。
【0069】
図7は、本明細書に記載の方法論のうちのいずれか1つ以上をマシンに実行させるための一組の命令が実行され得るコンピュータシステム700の例示的な形態におけるマシンの図式的表示を示す。代替の実施形態では、マシンは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、またはインターネット内の他のマシンに接続(例えば、ネットワーク化)されてもよい。マシンは、クライアント/サーバネットワーク環境におけるサーバもしくはクライアントマシンとして動作してもよいし、またはピアツーピア(もしくは分散)ネットワーク環境におけるピアマシンとして動作してもよい。マシンは、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、Webアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、またはそのマシンによって行われるべきアクションを指定する一組の命令(シーケンシャルまたはその他)を実行することができる任意のマシンであってよい。さらに、単一のマシンのみが示されているが、「マシン」という用語はまた、本明細書に記載の方法論のうちのいずれか1つ以上を実行するための一組(または複数の組)の命令を個別または共同で実行するマシン(例えば、コンピュータ)の任意の集まりを含むものと、解釈されるべきである。
【0070】
例示的なコンピュータシステム700は、プロセッサ702、メインメモリ704(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、シンクロナスDRAM(SDRAM)またはラムバスDRAM(RDRAM)などのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)など)、スタティックメモリ706(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)など)、および二次メモリ718(例えば、データ記憶デバイス)を含み、これらは、バス730を介して互いに通信する。
【0071】
プロセッサ702は、マイクロプロセッサ、中央処理装置などの1つ以上の汎用処理デバイスを表す。より具体的には、プロセッサ702は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、または命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであり得る。プロセッサ702は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどの1つ以上の専用処理デバイスであってもよい。プロセッサ702は、本明細書に記載の動作を実行するための処理ロジック726を実行するように構成される。
【0072】
コンピュータシステム700は、ネットワークインターフェースデバイス708を、さらに含むことができる。コンピュータシステム700は、ビデオディスプレイユニット710(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、または陰極線管(CRT))、英数字入力デバイス712(例えば、キーボード)、カーソル制御デバイス714(例えば、マウス)、および信号生成デバイス716(例えば、スピーカー)を、さらに含むことができる。
【0073】
二次メモリ718は、本明細書に記載の方法論または機能のうちのいずれか1つ以上を具現化する命令の1つ以上の組(例えば、ソフトウェア722)が格納されているマシンアクセス可能記憶媒体(またはより具体的にはコンピュータ可読記憶媒体)732を、含むことができる。ソフトウェア722は、コンピュータシステム700による実行中に完全にまたは少なくとも部分的にメインメモリ704内および/またはプロセッサ702内にあってもよく、メインメモリ704およびプロセッサ702もまたマシン可読記憶媒体を構成する。ソフトウェア722は、さらに、ネットワークインターフェースデバイス708を介してネットワーク720上で送信または受信されてもよい。
【0074】
マシンアクセス可能記憶媒体732は、例示的な実施形態では、単一の媒体であるように示されているが、「マシン可読記憶媒体」という用語は、命令の1つ以上の組を格納する単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型もしくは分散型データベース、ならびに/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むものと、解釈されるべきである。「マシン可読記憶媒体」という用語はまた、マシンによって実行されて、マシンに本発明の方法論のうちのいずれか1つ以上を実行させる一組の命令を格納またはエンコードすることができる任意の媒体も含むものと、解釈されるべきである。したがって、「マシン可読記憶媒体」という用語は、限定されないが、ソリッドステートメモリ、ならびに光学および磁気媒体を含むものと、解釈されるべきである。
【0075】
本発明の一実施形態によれば、マシンアクセス可能記憶媒体は、複数の集積回路を有する半導体ウエハをダイシングする方法、例えば本明細書に記載されている方法のうちの1つ以上を、データ処理システムに実行させる命令を、格納している。
【0076】
かくして、光吸収マスクを実装する、レーザスクライビングプロセスおよびプラズマエッチングプロセスを使用したハイブリッドウエハダイシングアプローチが、開示された。