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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】炭化ケイ素パワーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20221124BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20221124BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20221124BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20221124BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20221124BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20221124BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20221124BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20221124BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20221124BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20221124BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20221124BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20221124BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L29/86 301D
H01L29/86 301E
H01L29/06 301G
H01L29/06 301Z
H01L29/86 301F
H01L29/78 652T
H01L29/78 658J
H01L29/91 K
H01L29/91 F
H01L29/44 L
H01L29/48 D
H01L21/28 301B
H01L21/265 Z
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021069514
(22)【出願日】2021-04-16
(62)【分割の表示】P 2019563136の分割
【原出願日】2018-05-15
(65)【公開番号】P2021108394
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】15/594,868
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【弁理士】
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】ダス,ムリナル・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】バークリー,アダム
(72)【発明者】
【氏名】フェッツァー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ミエチョースキ,バン
(72)【発明者】
【氏名】アレン,スコット
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0264960(US,A1)
【文献】特開2001-177115(JP,A)
【文献】特表2014-531752(JP,A)
【文献】特表2006-524432(JP,A)
【文献】国際公開第2013/172394(WO,A1)
【文献】特開2015-177074(JP,A)
【文献】特開2015-065350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 29/872
H01L 29/06
H01L 29/12
H01L 21/336
H01L 29/861
H01L 29/41
H01L 29/47
H01L 21/28
H01L 21/265
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上方のドリフト層と、
前記ドリフト層の上方のパッシベーション層積層体であり、前記パッシベーション層積層体は、少なくとも4層のパッシベーション層の組成が少なくとも第1の材料と第2の材料との間で交互になるように少なくとも4層のパッシベーション層を含む、パッシベーション層積層体と、
前記パッシベーション層積層体上のカプセル化層であって、前記パッシベーション層積層体は、前記カプセル化層と前記ドリフト層との間にある、カプセル化層と、
を備える、半導体ダイ。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体ダイであって、前記第1の材料および前記第2の材料が窒化ケイ素(SiN)、二酸化ケイ素(SiO)、および酸窒化ケイ素(SiON)のうちの異なるものである、半導体ダイ。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体ダイであって、前記パッシベーション層積層体が少なくとも1.6μmの厚さを有する、半導体ダイ。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体ダイであって、前記ドリフト層とは反対の前記基板上の裏面メタライゼーション層であり、前記裏面メタライゼーション層が銀を含まない、裏面メタライゼーション層をさらに備える、半導体ダイ。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体ダイであって、前記パッシベーション層積層体が、少なくとも5層のパッシベーション層を含む、半導体ダイ。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体ダイであって、金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)が、前記ドリフト層内に形成される、半導体ダイ。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体ダイであって、

前記ドリフト層とは反対の前記基板上の裏面メタライゼーション層であって、前記裏面メタライゼーション層が銀を含まない、裏面メタライゼーション層と
をさらに備える、半導体ダイ。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体ダイであって、
金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)が、前記ドリフト層内に形成され、
前記裏面メタライゼーション層が前記MOSFETのドレインコンタクトを形成する、半導体ダイ。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体ダイであって、
ショットキーダイオードが、前記ドリフト層内に形成され、
前記裏面メタライゼーション層が、前記ショットキーダイオードのアノードコンタクトを形成する、半導体ダイ。
【請求項10】
請求項7に記載の半導体ダイであって、
ショットキーダイオードが、前記ドリフト層内に形成され、
前記裏面メタライゼーション層が、前記ショットキーダイオードのカソードコンタクトを形成する、半導体ダイ。
【請求項11】
請求項7に記載の半導体ダイであって、前記裏面メタライゼーション層が、スズ、ニッケル、および金を含む、半導体ダイ。
【請求項12】
請求項7に記載の半導体ダイであって、前記基板とは反対の前記ドリフト層上に表面メタライゼーション層をさらに備え、前記表面メタライゼーション層が、チタンの第1の層および前記第1の層の上方にアルミニウム、ニッケル、および金を含む第2の層を備える、半導体ダイ。
【請求項13】
基板と、
前記基板の上方のドリフト層と、
前記ドリフト層の上方のパッシベーション層積層体であって、前記パッシベーション層積層体が、少なくとも4層のパッシベーション層を含む、パッシベーション層積層体と、
前記パッシベーション層積層体上のカプセル化層であって、前記パッシベーション層積層体が、前記カプセル化層と前記ドリフト層との間にある、カプセル化層と
を備える、半導体ダイ。
【請求項14】
請求項13に記載の半導体ダイであって、前記パッシベーション層積層体が少なくとも1.6μmの厚さである、半導体ダイ。
【請求項15】
請求項13に記載の半導体ダイであって、前記パッシベーション層積層体が、少なくとも5層のパッシベーション層を含む、半導体ダイ。
【請求項16】
請求項13に記載の半導体ダイであって、前記ドリフト層とは反対の前記基板上の裏面メタライゼーション層をさらに備え、前記裏面メタライゼーション層が銀を含まない、半導体ダイ。
【請求項17】
請求項16に記載の半導体ダイであって、金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)が、前記ドリフト層内に形成される、半導体ダイ。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体ダイであって、前記裏面メタライゼーション層が前記MOSFETのドレインコンタクトを形成する、半導体ダイ。
【請求項19】
請求項16に記載の半導体ダイであって、ショットキーダイオードが、前記ドリフト層内に形成される、半導体ダイ。
【請求項20】
請求項19に記載の半導体ダイであって、前記裏面メタライゼーション層が前記ショットキーダイオードのカソードコンタクトを形成する、半導体ダイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、パワーモジュールに関し、具体的に、丈夫さおよび信頼性の改善をともなう炭化ケイ素スイッチング半導体部品を含むパワーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]パワーモジュールは、負荷へ電力を選択的に配電するために使用される。パワーモジュールの基本的な機能は、パワーモジュール内の多数のスイッチング半導体デバイス(例えば、トランジスタおよびダイオード)により与えられる。1つもしくは複数の他のパワーモジュールおよび/または1つもしくは複数の他の部品を有するパワーシステムに与えられると、パワーモジュールのスイッチング半導体デバイスは、ハーフブリッジコンバータ、フルブリッジコンバータ、降圧コンバータ、昇圧コンバータなどのパワーコンバータの一部を形成することがある。パワーシステムは、比較的高電圧および大電流をしばしば扱い、したがってパワーモジュールのスイッチング半導体デバイスは、これらの高電圧および大電流を同じように確実にスイッチングできなければならない。
【0003】
[0003]従来、高電圧および大電流を確実にスイッチングできるシリコンスイッチング半導体デバイスを製造するため良く知られているプロセスであることを理由に、パワーモジュールのスイッチング半導体デバイスは、シリコンデバイスであり続けている。しかしながら、近年パワーモジュール用の炭化ケイ素半導体スイッチングデバイスが、炭化ケイ素の使用によりもたらされるスイッチング速度および効率の著しい増加のために普及してきている。炭化ケイ素半導体スイッチングデバイスを用いるパワーモジュールが、それらのシリコン対応物を凌ぐいくつかの性能の利点を提供する一方で、パワーモジュールにおいて炭化ケイ素半導体スイッチングデバイスを使用することは、その設計においていくつかの難題を提起する。具体的には、パワー密度の増加および炭化ケイ素半導体スイッチングデバイス内の電場の集中は、炭化ケイ素半導体スイッチングデバイスを組み込んでいるパワーモジュールの長期信頼性にともなう問題をしばしばもたらす。
【0004】
[0004]パワーモジュールの信頼性を計る1つの方法は、温度、湿度、バイアス(THB:temperature, humidity and bias)試験として知られている試験を用いることである。従来、THB試験は、逆バイアス(すなわち、ブロッキング)状態の試験中のデバイス(DUT)をまたいで一定のバイアス電圧(例えば、100V)を与えながら一定の温度(例えば、85℃)および相対湿度(例えば、85%)の環境に試験中のデバイス(DUT:device under test)を設置することにより行われてきている。DUTは、製造環境におけるDUTの信頼性を保証するために数千時間にわたり破壊する(すなわち、デバイスを通るリーク電流についてのしきい値を超える)ことなくデバイスをまたぐバイアス電圧を維持することができるはずである。最近、大電力デバイスに対するより厳しいTHB試験が出現しており、そこではDUTの定格電圧の80%が、上に論じた同じ条件下でデバイスをまたいで与えられる。「THB80」または「HV-H3TRB」(高電圧、高温、高い逆バイアス)試験として産業では知られているこれらの信頼性試験は、使用中のデバイスの信頼性をより正確に反映し、屋外パワーシステムのような厳しい環境で動作するパワーモジュールについての信頼性の重要な指標である。
【0005】
[0005]注目すべきことに、THB試験を、ダイレベルおよびモジュールレベルの両方で実行することができる。THB試験がダイレベルで実行されるときには、半導体ダイが、上に論じた条件に曝され、そしてダイの信頼性が評価される。THB試験がモジュールレベルで実行されるときには、いくつかの半導体ダイを含む組み立てたパワーモジュールが、上に論じた条件に曝され、そしてモジュールの信頼性が全体として評価される。パワーモジュールが単一の半導体ダイのよりも著しく複雑で、したがって半導体ダイと比較してはるかに多くの故障点を示すので、モジュールレベルで実行されるTHB試験に合格することが極めて困難である。さらに、モジュールレベルで実行されるTHB試験は、パワーモジュール内に含まれる半導体ダイについて実行したTHB試験からの信頼性の外挿と比較して、パワーモジュールの実世界の信頼性を示す可能性がはるかに高い。炭化ケイ素スイッチング半導体デバイスを含むパワーモジュールがより一般的になるにつれて、厳しい環境における用途でのこれらのパワーモジュールに対する顧客要求も同様に大きくなっている。しかしながら、炭化ケイ素半導体スイッチング部品を含むパワーモジュールの信頼性は、これらの空間におけるその適用に障害があることをここまでのところ証明している。具体的には、炭化ケイ素半導体スイッチング部品を含むパワーモジュールでは、上に論じたTHB80試験の性能を十分に満たすことがこれまでのところ不可能であった。
【0006】
[0006]上記を照らし合わせると、現在、丈夫さおよび信頼性の向上をともなう炭化ケイ素半導体スイッチング部品を含むパワーモジュールに対する必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]1つの実施形態では、パワーモジュールは、第1の端子と、第2の端子と、第1の端子と第2の端子との間に結合された多数の炭化ケイ素(SiC)半導体ダイとを含む。半導体ダイは、第1の端子と第2の端子との間の抵抗が動作の順方向伝導モード中に100mΩ未満であるように動作の順方向伝導モード中に第1の端子から第2の端子への電流の流れのための低抵抗経路を形成するように構成される。さらに半導体ダイは、パワーモジュールの定格電圧の少なくとも80%の電圧が動作の順方向ブロッキングモード中に第1の端子と第2の端子とを横切って与えられるときに第1の端子と第2の端子との間のリーク電流が20mA未満であるように、動作の順方向ブロッキングモード中に第1の端子から第2の端子への電流の流れのための高抵抗経路を形成するように構成される。ここでパワーモジュールの定格電圧は少なくとも600Vである。パワーモジュールは、故障せずに少なくとも85℃の温度で少なくとも85%の相対湿度で少なくとも1000時間の期間にわたり第1の端子と第2の端子とを横切る定格電圧の少なくとも80%の電圧を維持することができる。
【0008】
[0008]1つの実施形態では、半導体ダイのそれぞれ1つは、基板と、基板の上方のドリフト層と、ドリフト層の上方のパッシベーション層積層体とを含む。パッシベーション層積層体は、パッシベーション層の組成が少なくとも第1の材料と第2の材料との間で交互になるように多数のパッシベーション層を含む。このようにパッシベーション層積層体を配置することは、このように配置しない場合にはパワーモジュールの半導体ダイに損傷を与えることがあり、その故障を引き起こすことがある剥離および腐食をパッシベーション層積層体が防止するので、パワーモジュールの信頼性を実質的に高める。
【0009】
[0009]1つの実施形態では、半導体ダイのそれぞれ1つのドリフト層の上方のパッシベーション層積層体は、少なくとも4層を含む。さらに、パッシベーション層積層体を、少なくとも1.6μmの厚さにすることができる。パッシベーション層積層体が少なくとも1.6μmの厚さであるようにパッシベーション層積層体を設けることは、このように設けない場合にはパワーモジュールの半導体ダイに損傷を与えることや、パワーモジュールの半導体ダイの故障を引き起こすことがある剥離および腐食をさらに防止する。
【0010】
[0010]1つの実施形態では、半導体ダイのそれぞれ1つは、ドリフト層とは反対の基板上に裏面メタライゼーション層を含む。裏面メタライゼーション層は、金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)のドレインコンタクトおよび/またはショットキーダイオードのアノードコンタクトを形成することができ、実質的に銀を含まない。
実質的に銀を含まない裏面メタライゼーション層を使用することにより、裏面メタライゼーション層内に通常ある銀のエレクトロマイグレーションを防止することができ、これにより銀のエレクトロマイグレーションによりしばしば引き起こされる短絡を減少させることによってパワーモジュールの信頼性を高めることができる。
【0011】
[0011]1つの実施形態では、パワーモジュールは、半導体ダイがダイ貼り付け材料を介してマウントされるパワー電子基板をさらに含む。パワー電子基板およびダイ貼り付け材料の両者は、実質的に銀を含まない。したがって、パワー電子基板およびダイ貼り付け材料内に通常ある銀のエレクトロマイグレーションを、防止することができ、これのより銀のエレクトロマイグレーションにより引き起こされる短絡を減少させることによってパワーモジュールの信頼性を高めることができる。
【0012】
[0012]当業者は、添付の図面とともに好ましい実施形態の下記の詳細な説明を読んだ後で、本開示の範囲を認識し、本開示のさらなる態様を理解するであろう。
[0013]本明細書に組み込まれそして一部を形成する添付の図面は、本開示のいくつかの態様を図説し、そして説明とともに本開示の原理を説明するように働く。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[0014]本開示の1つの実施形態によるパワーモジュールの等角図である。
図2】[0015]図2Aは本開示の1つの実施形態によるパワーモジュールの機能概略図である。図2Bは本開示の1つの実施形態によるパワーモジュールの機能概略図である。
図3】[0016]本開示の1つの実施形態によるパワーモジュールの機能概略図である。
図4】[0017]本開示の1つの実施形態によるパワーモジュールの一部分の断面図である。
図5】[0018]本開示の1つの実施形態による半導体ダイの断面図である。
図6】[0019]図6Aは、本開示の1つの実施形態にしたがって半導体ダイの上に形成された半導体デバイスの断面図である。図6Bは、本開示の1つの実施形態にしたがって半導体ダイの上に形成された半導体デバイスの断面図である。
図7】[0020]本開示の1つの実施形態にしたがってパワーモジュールを製造するためのプロセスを図説する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0021]下記に述べる実施形態は、当業者が実施形態を実行することを可能にするために必要な情報を表し、そして実施形態を実行する最善の形態を図示する。添付の図面を考慮して下記の説明を読むと、当業者なら本開示の概念を理解し、そして本明細書には特に扱われていないこれらの概念の応用を認識するであろう。これらの概念および応用が本開示および別記の特許請求の範囲の範囲内になることを理解すべきである。
【0015】
[0022]第1の、第2のなどという用語を、様々な要素を記述するために本明細書では使用する場合があり、これらの要素がこれらの用語によっては限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、1つの要素をもう1つとは区別するために使用されるに過ぎない。例えば、本開示の範囲から逸脱せずに、第1の要素を第2の要素と呼ぶことがあり、そして同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことがある。本明細書において使用するように、「および/または」という用語は、関連して列挙した項目のうちの1つまたは複数のいずれかおよびすべての組み合わせを含む。
【0016】
[0023]層、領域、または基板などのある要素がもう1つの要素の「上」にあるまたは「上へと」延びると称されるときには、他の要素の直接上にあるまたは直接上へと延びることができる、または介在する要素が存在してもよいことが理解されよう。対照的に、ある要素がもう1つの要素の「直接上」にあるまたは「直接上へと」延びると称されるときは、介在する要素は存在しない。同様に、層、領域、または基板などのある要素がもう1つの要素の「上方」にあるまたは「上方」に延びると称されるときには、他の要素の直接上方であるまたは直接上方に延びることができる、または介在する要素が存在してもよいことが理解されよう。対照的に、ある要素がもう1つの要素の「直接上方」にあるまたは「直接上方」に延びると称されるときは、介在する要素は存在しない。ある要素がもう1つの要素に「接続される」または「結合される」と称されるときには、他の要素に直接接続されるまたは結合されることが可能である、または介在する要素が存在してもよいこともまた理解されよう。対照的に、ある要素がもう1つの要素の「直接接続される」または「直接結合される」と称されるときは、介在する要素が存在しない。
【0017】
[0024]「下方に(below)」もしくは「上方に(above)」または「上部に(upper)」もしくは「下部に(lower)」または「水平に」もしくは「垂直に」などの相対的な用語を、図示したように、1つの要素、層、または領域のもう1つの要素、層、または領域に対する関係を説明するために本明細書において使用することがある。これらの用語および上に論じた用語は、図に描かれた向きに加えてデバイスの異なる向きを含むものであることが理解されよう。
【0018】
[0025]本明細書において使用する術語は、単に特定の実施形態を説明する目的のために過ぎず、本開示を限定するものではない。本明細書において使用するように、文脈が明らかに別途指示しない限り、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」および「その(the)」は、同様に複数形を含むものとする。本明細書において使用されるときに「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」、「含む(include)」、および/または「含んでいる(including)」という用語は、記載されている特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、他の1つまたは複数の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはこれらのグループの存在または追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0019】
[0026]別途規定しない限り、本明細書において使用する(技術用語および科学用語を含め)すべての用語は、この開示が属する技術の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を持つ。本明細書において使用する用語は、この明細書の文脈および関連技術における用語の意味と整合性のある意味を持つと解釈されるべきであり、本明細書において明確に規定されない限り、理想化した感覚または過度に形式的な意味で解釈されないことがさらに理解されよう。
【0020】
[0027]図1は、本開示の1つの実施形態によるパワーモジュール10の等角図である。パワーモジュール10は、ベースプレート(base plate)12、ベースプレート12上の多数のサブモジュール14(個別に14A~14D)、およびサブモジュール14上の多数の半導体ダイ16を含む。半導体ダイ16のそれぞれ1つは、スイッチング半導体デバイスを形成する。例えば、半導体ダイ16のうちの半数は、金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)などのトランジスタを設けてもよく、一方で半導体ダイ16のうちの他の半数は、ショットキーダイオードなどのダイオードを設けてもよい。図面がぼんやりすることを避けるために図示しないが、半導体ダイ16は、インターコネクトにより相互に接続され、インターコネクトは、サブモジュール14上の金属トレースおよび/またはデバイス同士の間のワイヤボンドとして設けられてもよい。多数の端子は、下記に論じるように、半導体ダイへの接続点を形成してもよい。
【0021】
[0028]パワーモジュール10が4個のサブモジュール14を含んで示され、サブモジュール14の各々が6個の半導体ダイ16を含むが、本開示は、そのようには限定されない。本開示の原理から逸脱することなく任意の数のサブモジュール14をベースプレートの上に設けることができ、サブモジュール14の各々が任意の数の半導体ダイ16を含むことを、当業者なら認識するであろう。
【0022】
[0029]図2Aおよび図2Bは、本開示の1つの実施形態によるパワーモジュール10の機能概略図を示す。具体的には、図2Aは、パワーモジュール10内のサブモジュール14同士の間のインターコネクション示し、一方で、図2Bはパワーモジュール10により形成して得られた回路を示す。図2Aに示したように、第1のサブモジュール14Aおよび第2のサブモジュール14Bは、第1の端子18Aと第2の端子18Bとの間に互いに並列に結合される。第3のサブモジュール14Cおよび第4のサブモジュール14Dは、第2の端子18Bと第3の端子18Cとの間に同様に並列に接続される。第1の制御端子20Aは、第1のサブモジュール14Aおよび第2のサブモジュール14Bの両方に接続される。第2の制御端子20Bは、第3のサブモジュール14Cおよび第4のサブモジュール14Dの両方に接続される。
【0023】
[0030]図2Bに示したように、第1のサブモジュール14Aおよび第2のサブモジュール14Bは、第1のダイオードDと逆並列に結合された第1のMOSFET Qを形成し、一方で、第3のサブモジュール14Cおよび第4のサブモジュール14Dは、第2のダイオードDと逆並列に結合され第2のMOSFET Qを形成する。第1のMOSFET Qおよび第1のダイオードDは、第1の端子18Aと第2の端子18Bとの間に結合される。具体的には、第1の端子18Aは、第1のMOSFET Qのドレインコンタクト(D)および第1のダイオードDのカソードコンタクト(C)に結合され、そして第2の端子18Bは、第1のMOSFET Qのソースコンタクト(S)および第1のダイオードDのアノードコンタクト(A)に結合される。第1の制御端子20Aは、第1のMOSFET Qのゲートコンタクト(G)に結合される。第2のMOSFET Qおよび第2のダイオードDは、第2の端子18Bと第3の端子18Cとの間に結合される。具体的に、第2の端子18Bは、第2のMOSFET Qのドレインコンタクト(D)および第2のダイオードDのカソードコンタクト(C)に結合され、そして第3の端子18Cは、第2のMOSFET Qのソースコンタクト(S)および第2のダイオードDのアノードコンタクト(A)に結合される。第2の制御端子20Bは、第2のMOSFET Qのゲートコンタクト(G)に結合される。
【0024】
[0031]第1の制御端子20Aを介して第1のMOSFET Qのゲートコンタクト(G)に与えられた電圧がデバイスのしきい値電圧よりも高く、またドレインコンタクト(D)に与えられた電圧が第1のMOSFET Qのソースコンタクト(S)に与えられた電圧に対して正であるときには、第1のMOSFET Qは、動作の順方向伝導モードにあり、したがって第1の端子18Aと第2の端子18Bとの間の電流の流れに対する低抵抗経路を形成するように構成される。第1のダイオードDはこの構成では逆バイアスされ、したがって電流は第1のダイオードDを通っては流れない。同様に、第2の制御端子20Bを介して第2のMOSFET Qのゲートコンタクト(G)に与えられた電圧がデバイスのしきい値電圧よりも高く、そしてドレインコンタクト(D)に与えられた電圧が第2のMOSFET Qのソースコンタクト(S)に与えられた電圧に対して正であるときには、第2のMOSFET Qは、動作の順方向伝導モードにあり、したがって第2の端子18Bと第3の端子18Cとの間の電流の流れに対する低抵抗経路を形成するように構成される。第2のダイオードDはこの構成では逆バイアスされ、したがって電流は第2のダイオードDを通っては流れない。本明細書において規定したように、低抵抗経路は、無視できる抵抗を有する経路であり、第1のMOSFET Qまたは第2のMOSFET Qのオン抵抗に等しい。第1のMOSFET Qおよび第2のMOSFET Qのオン抵抗は、これらのパワー処理能力に依存して変わることがある。しかしながら、一般に、低抵抗経路は、100mΩよりも小さい抵抗を有するように規定することができる。
【0025】
[0032]第1の制御端子20Aを介して第1のMOSFET Qのゲートコンタクト(G)に与えられた電圧がデバイスのしきい値電圧よりも低く、そしてドレインコンタクト(D)に与えられた電圧が第1のMOSFET Qのソースコンタクト(S)に与えられた電圧に対して正であるときには、第1のMOSFET Qは、順方向ブロッキング構成にあり、したがって第1の端子18Aと第2の端子18Bとの間の電流の流れに対する高抵抗経路を形成するように構成される。第1のダイオードDはこの構成では逆バイアスされ、したがって電流は第1のダイオードDを通っては流れない。同様に、第2の制御端子20Bを介して第2のMOSFET Qのゲートコンタクト(G)に与えられた電圧がデバイスのしきい値電圧よりも低く、そしてドレインコンタクト(D)に与えられた電圧が第2のMOSFET Qのソースコンタクト(S)に与えられた電圧に対して正であるときには、第2のMOSFET Qは、順方向ブロッキング構成にあり、したがって第2の端子18Bと第3の端子18Cとの間の電流の流れに対する高抵抗経路を形成するように構成される。第2のダイオードDはこの構成では逆バイアスされ、したがって電流は第2のダイオードDを通っては流れない。本明細書において規定したように、高抵抗経路は、実際的に無限の抵抗を有する経路であり、第1のMOSFET Qおよび第2のMOSFET Qのオフ抵抗に等しい。第1のMOSFET Qおよび第2のMOSFET Qのオフ抵抗は、これらのパワー処理能力に依存して変わることがある。一般に、しかしながら、高抵抗経路を、低抵抗経路の抵抗よりも実質的に大きく、しかも100kΩよりも大きい抵抗を有するように規定することができる。
【0026】
[0033]第1のMOSFET Qのドレインコンタクト(D)に与えられた電圧が、ソースコンタクト(S)に与えられた電圧に対して負であるときには、第1のMOSFET Qは逆方向ブロッキング構成にあり、第1の端子18Aと第2の端子18Bとの間の電流の流れに対する高抵抗経路を形成し続ける。第1のダイオードDは、この構成では順バイアスされ、したがって第2の端子18Bから第1の端子18Aへの電流の流れを可能にする。同様に、第2のMOSFET Qのドレインコンタクト(D)に与えられた電圧が、第2のMOSFET Qのソースコンタクト(S)に対して負であるときには、第2のMOSFET Qは逆方向ブロッキング構成にあり、第2の端子18Bと第3の端子18Cとの間の電流の流れに対する高抵抗経路を形成し続ける。第2のダイオードDは、この構成では順バイアスされ、したがって第3の端子18Cから第2の端子18Bへの電流の流れを可能にする。
【0027】
[0034] したがって、図2Aおよび図2Bに図示したパワーモジュール10がハーフブ
リッジパワーモジュールであることを、当業者なら認識するであろう。しかしながら、本開示は、そのようには限定されない。本明細書において説明する原理を、任意の数または構成に配置されたより多くのまたはより少ないスイッチング素子を含むパワーモジュールなど、任意の構成のパワーモジュールに適用してもよい。さらに、パワーモジュール10のトランジスタデバイスがMOSFETとしてでは説明されるが、任意のタイプのトランジスタデバイスを、本明細書における原理から逸脱せずにパワーモジュール10で使用する場合がある。例えば、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)を、いくつかの実施形態では第1のMOSFET Qおよび第2のMOSFET Qの代わりに置き換えてもよい。同様に、第1のダイオードDおよび第2のダイオードDは、本明細書において説明する原理から逸脱せずに任意のタイプのダイオードであってもよい。例えば、第1のダイオードDおよび第2のダイオードDは、ショットキーダイオード、ショットキーバリアダイオード(SBD)であってもよい、またはそれどころか上に説明した第1のMOSFET Qおよび第2のMOSFET Qの内蔵型ボディダイオードとして設けられる場合がある。その結果、第1のダイオードDが第1のMOSFET Qと統合され、第2のダイオードDが第2のMOSFET Qと統合される。第1のダイオードDが第1のMOSFET Qの内蔵型ボディダイオードにより形成されないときでさえ、第1のダイオードDを、いくつかの実施形態では同じ半導体ダイ上に第1のMOSFET Qとともにモノリシックに集積してもよい。同様に、第2のダイオードDが第2のMOSFET Qの内蔵型ボディダイオードにより形成されないときでさえ、第2のダイオードDを、いくつかの実施形態では同じ半導体ダイ上に第2のMOSFET Qとともにモノリシックに集積してもよい。
【0028】
[0035]図3は、サブモジュール14のそれぞれ1つの詳細を図示する機能概略図である。図3に図示したように、サブモジュール14のそれぞれ1つは、第1のサブモジュールダイオードDS1と逆並列に結合された第1のサブモジュールMOSFET QS1を含む第1のトランジスタ-ダイオード対22A、第2のサブモジュールダイオードDS2と逆並列に結合された第2のサブモジュールMOSFET QS2を含む第2のトランジスタ-ダイオード対22B、および第3のサブモジュールダイオードDS3と逆並列に結合された第3のサブモジュールMOSFET QS3を含む第3のトランジスタ-ダイオード対22Cを含む。第1のトランジスタ-ダイオード対22A、第2のトランジスタ-ダイオード対22B、および第3のトランジスタ-ダイオード対22Cは、第1のサブモジュール端子24Aと第2のサブモジュール端子24Bとの間に並列に結合される。具体的には、第1のサブモジュール端子24Aは、第1のサブモジュールMOSFET QS1、第2のサブモジュールMOSFET QS2および第3のサブモジュールMOSFET QS3のそれぞれ1つのドレインコンタクト(D)ならびに第1のサブモジュールダイオードDS1、第2のサブモジュールダイオードDS2、および第3のサブモジュールダイオードDS3のそれぞれ1つのカソードコンタクト(C)に結合される。第2のサブモジュール端子24Bは、第1のサブモジュールMOSFET QS1、第2のサブモジュールMOSFET QS2および第3のサブモジュールMOSFET QS3のそれぞれ1つのソースコンタクト(S)ならびに第1のサブモジュールダイオードDS1、第2のサブモジュールダイオードDS2、および第3のサブモジュールダイオードDS3のそれぞれ1つのアノードコンタクト(A)に結合される。サブモジュール制御端子26は、別々のゲート抵抗Rを介して第1のサブモジュールMOSFET QS1、第2のサブモジュールMOSFET QS2および第3のサブモジュールMOSFET QS3のそれぞれ1つのゲートコンタクト(G)に結合される。
【0029】
[0036]図3に図示したサブモジュール14が第1のサブモジュール14Aまたは第2のサブモジュール14Bであるケースでは、第1のサブモジュール端子24Aが第1の端子18A(図2A参照)に結合され、第2のサブモジュール端子24Bが第2の端子18Bに結合され、そしてサブモジュール制御端子26が第1の制御端子20Aに結合される。図3に図示したサブモジュール14が第3のサブモジュール14Cまたは第4のサブモジュール14Dであるケースでは、第1のサブモジュール端子24Aが第2の端子18Bに結合され、第2のサブモジュール端子24Bが第3の端子18Cに結合され、そしてサブモジュール制御端子26が第2の制御端子20Bに結合される。
【0030】
[0037]第1のサブモジュールMOSFET QS1、第2のサブモジュールMOSFET QS2、および第3のサブモジュールMOSFET QS3は、第1のサブモジュール端子24Aと第2のサブモジュール端子24Bとの間に単一のMOSFETを実効的に形成する。同様に、第1のサブモジュールダイオードDS1、第2のサブモジュールダイオードDS2、および第3のサブモジュールダイオードDS3は、第1のサブモジュール端子24Aと第2のサブモジュール端子24Bとの間に単一のダイオードを実効的に形成する。第1のサブモジュール14Aおよび第2のサブモジュール14Bが第1の端子18Aと第2の端子18Bとの間に並列に結合されるときには、これらのサブモジュールは、第1のMOSFET Qおよび第1のダイオードD図2B参照)を実効的に形成する。第3のサブモジュール14Cおよび第4のサブモジュール14Dが第2の端子18B
と第3の端子18Cとの間に並列に結合されるときには、これらのサブモジュールは、第2のMOSFET Qおよび第2のダイオードDを実効的に形成する。
【0031】
[0038]第1のサブモジュールMOSFET QS1、第2のサブモジュールMOSFET QS2、および第3のサブモジュールMOSFET QS3を、1.2kVの最大ドレイン-ソース電圧VDSmaxおよび約25.2mΩのオン抵抗を定格として決めることができる。6個の並列MOSFETを設けるために上に論じたように、パワーモジュール10内のもう1つのサブモジュール14のMOSFETと並列に設けると、第1のMOSFET Qおよび第2のMOSFET Qのそれぞれ1つのオン抵抗は、したがって4.2mΩ付近である。パワーモジュール10において使用されるMOSFETおよびダイオードは、NC州、DurhamのCree Inc.により製造された部品番号CAS300M12BM2と同じものであってもよく、そのデータシートはその全体が引用により本明細書に組み込まれている。したがって、パワーモジュール10は、ブロッキング電圧、オン抵抗、リーク電流などを含め、この部分と同じ性能を共有してもよい。パワーモジュール10の上に述べた性能特性は単に例示であり、本開示の原理は任意の用途のために定格を定めたパワーモジュールに適用してもよく、したがって、異なるブロッキング電圧、電流処理能力、オン抵抗などを有することを当業者なら認識するであろう。例えば、本開示の原理は、下は600Vから15kVまで定格を定められたパワーモジュールに適用できる。これらの実施形態では、追加のMOSFETおよびダイオードを、異なる性能特性を実現するために使用することができ、そしてMOSFETおよびダイオードそれ自体の性能特性が異なる場合がある(例えば、MOSFETおよびダイオードは600Vと15kVとの間の最大ドレイン-ソース電圧に対して個別に定格を定めることがある)。
【0032】
[0039]第1のサブモジュールMOSFET QS1、第2のサブモジュールMOSFET QS2、第3のサブモジュールMOSFET QS3、第1のサブモジュールダイオードDS1、第2のサブモジュールダイオードDS2、および第3のサブモジュールダイオードDS3を、図1に図示したように個別の半導体ダイ16によりそれぞれ用意することができる。しかしながら、上に論じたように、ダイオードを、ある種の実施形態では、同じ半導体ダイ上のMOSFETと一緒にすることができる。半導体ダイ16は、いくつかの実施形態では炭化ケイ素(SiC)半導体ダイであってもよい。上に論じたように、パワーモジュールにおいてSiC半導体ダイを使用することは、スイッチング速度および効率などの性能におけるいくつかの改善を提供することがある。しかしながら、SiC半導体ダイを含むパワーモジュールの丈夫さ、したがって信頼性は、このように全く満足できるものではない。
【0033】
[0040]したがって、パワーモジュールの丈夫さ、したがって信頼性を向上させるために、いくつかの改善がパワーモジュール10に行われ、その改善のすべてがここに導入されそして下記に詳細に検討される。第1に、パッシベーション層積層体が、腐食および剥離を減少させるために半導体ダイ16のそれぞれ1つの上方に設けられる。パッシベーション層積層体は、いくつかのパッシベーション層を含み、その組成は、層毎に交互になる。いくつかの実施形態では、少なくとも5層の交互のパッシベーション層がパッシベーション層積層体に含まれる。パッシベーション層積層体の厚さは、ある種の実施形態では1.6μmよりも大きくてもよく、そしてパッシベーション層を、層の品質を高めるためにプラズマエンハンス型化学気相堆積(PECVD)プロセスにより形成してもよい。第2に、半導体ダイ16のそれぞれ1つの裏面メタライゼーション層を、ダイ上に配置した1つまたは複数のコンタクトに向かう銀のエレクトロマイグレーションを減少させるために実質的に銀を含まないように形成することができる。第3に、半導体ダイのダイシングストリートがダイ上に位置する1つまたは複数のコンタクトに向かうニッケルのエレクトロマイグレーションを減少させるために実質的にニッケル(接地リングを形成するためにニッケルを通常設けられることがある)がないように、半導体ダイ16のそれぞれ1つを形成することができる。第4に、半導体ダイ16のそれぞれ1つを、実質的に銀を含まないダイ貼り付け材料を使用してサブモジュール14のパワー電子基板に貼り付けてもよく、もう一度ダイ上に位置する1つまたは複数のコンタクトに向かう銀のエレクトロマイグレーションを減少させる。同様に、サブモジュール14のそれぞれ1つを、実質的に銀を含まない基板貼り付け材料を使用してベースプレート12に貼り付けてもよく、サブモジュール14内のパワー電子基板は、実質的に銀を含まなくてもよい。第5に、パワーモジュールの動作中に腐食をもたらすことがあり、パワーモジュール10の上にある汚染物を減少させるために、パワーモジュール10に、パワーモジュールの組み立ての後で厳しい洗浄プロセスを受けさせてもよい。最後に、パワーモジュール10用に選択する材料を、イオンクロマトグラフィ試験に基づいて選んでもよく、汚染物がパワーモジュール10の動作中に腐食をもたらすことがあるので、パワーモジュールは極めて低レベルの材料中の汚染を必要とする。
【0034】
[0041]このようにパワーモジュール10を形成することは、パワーモジュール10が1000時間、1500時間、それどころか2000時間を超えてパワーモジュールの定格ブロッキング電圧の80%で動作する温度、湿度、およびバイアス(THB)試験(すなわち、THB80試験)を合格することを可能にすることがある。本明細書において論じたように、THB試験に「合格すること」は、少なくとも2つの端子間のリーク電流をしきい値よりも低く維持しながらこれらの端子を横切る電圧を維持することを必然的にともなう。1つの実施形態では、リーク電流についてのしきい値は、20mAよりも低い。注目すべきことに、パワーモジュール10はその全体で、この試験に合格することができ、単にパワーモジュール10内の半導体ダイ16だけではない。THB試験を、様々な実施形態では第1のMOSFET Qおよび第1のダイオードDまたは第2のMOSFET Qおよび第2のダイオードDのうちの一方だけに実行することができる。パワーモジュール10が上に論じたように1.2kVパワーモジュールである実施形態では、1.2kVの80%すなわち960Vを、第2の端子18Bと第3の端子18Cとの間に与えることができる。第1の端子18Aを、試験中に第2の端子18Bに結合することができ、その結果第1のMOSFET Qおよび第1のダイオードDが短絡される。さらに、第1の制御端子20Aを、第2の端子18Bに結合することができ、第2の制御端子20Bを第3の端子18Cに結合することができる。その結果、第1のMOSFET Qおよび第1のダイオードDが短絡され、一方で第2のMOSFET Qが順方向ブロッキング構成であり、第2のダイオードDが逆バイアス構成となる。パワーモジュール10を、低くとも85℃および少なくとも85%の相対湿度を有する環境に設けることができる。パワーモジュール10の丈夫さを高める上に論じたさらなる特徴のために、パワーモジュール10は、様々な実施形態では1000時間を超えて、1500時間を超えて、それどころか2000時間を超えて上に論じた状態を維持することができる。
【0035】
[0042]図4は、図1の線A-A’を通るパワーモジュール10の断面を示す。図4に示したように、パワーモジュール10は、ベースプレート12、サブモジュール14のうちの1つ、およびサブモジュール14のうちのこの1つの上の多数の半導体ダイ16を含む。サブモジュール14は、パワー電子基板30を含み、この基板の上に半導体ダイ16が設けられる。このパワー電子基板30は、順にベースプレート12の上にある。パワー電子基板30は、第1の伝導層32A、この第1の伝導層32Aの上方の絶縁層32B、およびこの絶縁層32Bの上方の第2の伝導層32Cなどの多数の層を含んでもよい。上に論じたように、半導体ダイ16の1つまたは複数のコンタクトへ向かうパワー電子基板からのエレクトロマイグレーションの可能性を減少させるために、パワー電子基板が実質的に銀を含まないように、パワー電子基板30を選択してもよい。このエレクトロマイグレーションが短絡を、したがって半導体ダイ16の悲劇的な故障を引き起こすことがある。したがって、パワー電子基板30を、いくつかの実施形態では直接接合銅(DBC)基板とすることができ、DBC基板では、第1の伝導層32Aおよび第2の伝導層32Cが銅であり、絶縁層32Bが、アルミナ(Ai)、酸化アルミニウム(AlO)、窒化アルミニウム(AlN)、および窒化ケイ素(SiN)などのセラミック材料である。パワー電子基板30は、基板貼り付け材料34を介してベースプレート12に貼り付けられる。上に論じたように、この基板貼り付け材料もまた、様々な実施形態では実質的に銀を含まないことがある。具体的に、基板貼り付け材料34を、スズおよびアンチモンを含むはんだ材料とすることができる。半導体ダイ16は、ダイ貼り付け材料36を介してパワー電子基板30に貼り付けられる。ダイ貼り付け材料もまた、上に論じたように、様々な実施形態では実質的に銀を含まなくてもよい。具体的に、ダイ貼り付け材料36を、スズおよびアンチモンを含むはんだ材料とすることができる。注目すべきことに、スズおよび鉛を含むはんだ材料、スズ、銅、および金を含むはんだ材料などの、実質的に銀を含まない多くの他のはんだ材料が存在し、これらのはんだ材料のすべてが本明細書では想定される。
【0036】
[0043]上に論じたようにパワーモジュール10から銀を除去することにより、そうでない場合には生じることがあるエレクトロマイグレーションが排除される。したがって、前記エレクトロマイグレーションに関係する短絡および他の故障が同様に排除され、したがって、上に論じたようにパワーモジュール10の丈夫さを著しく高める。銀およびニッケルなどの他の金属のエレクトロマイグレーションが、パッケージング技術では良く知られている現象である一方で、SiC半導体ダイを含むパワーモジュールの丈夫さを著しく低下させることがあることが、パワーモジュール10を作る過程で発明者により発見された。このことは、パワー密度、したがってSiC半導体ダイにより形成される高い電場に起因し、この高い電場が、エレクトロマイグレーションの観点から(例えば、μmの規模で)極めて安全である以前には考えられた距離を超えてエレクトロマイグレーションを生じさせる。言い換えると、このような問題は、シリコン(Si)半導体ダイを含むパワーモジュールでは、Si半導体ダイにより形成される比較的低い電場のために観測されていず、したがってこのような解決策を必要としなかった。
【0037】
[0044]上に論じたモジュールレベルの改善に加えて、改善は、半導体ダイ16のそれぞれ1つにおいても行われる。したがって、図5は、本開示の1つの実施形態による半導体ダイ16のうちの1つの断面図を示す。半導体ダイ16は、基板40およびこの基板40の上方のドリフト層42を含む。裏面メタライゼーション層44は、ドリフト層42とは反対の基板40上に位置する。表面メタライゼーション層46は、基板40とは反対のドリフト層42上に位置する。パッシベーション層積層体48は、表面メタライゼーション層46およびドリフト層42の上方にある。カプセル化層50は、パッシベーション層積層体48の上方にある。図面を不明確にすることを避けるために図示しないが、多数のデバイスが、ドリフト層42の能動領域56内に形成される。これらのデバイスは、当業者には認識され、そして下記に詳細に論じられるように、多数のMOSFETセルまたは多数のダイオートセルを含んでもよい。電場終端化のための多数のガードリング注入部54を、半導体ダイ16の端部領域58に形成してもよい。ダイシングストリート60もまた、半導体ダイ16がウェハから個片化された端部領域58の最外部分のところに設けられてもよい。
【0038】
[0045]基板40およびドリフト層42を、SiC層とすることができる。カプセル化層50は、ポリイミドまたはいずれかの他の適切なカプセル化材を含むことができる。ガードリング注入部54を、イオン注入プロセスによりドリフト層42内に形成することができ、したがってドリフト層42の反対の伝導型のものとすることができる。
【0039】
[0046]半導体ダイ16に対する注目すべき改善は、パッシベーション層積層体48、裏面メタライゼーション層44のために選択した材料、および半導体ダイ16の表側からの
ニッケルの除去を含む。パッシベーション層積層体48は、図面の展開部に示したように多数のパッシベーション層52を含む。注目すべきことに、多数のパッシベーション層52は交互の層である。すなわち、パッシベーション層52のうちの第1の層が第1の組成を有し、パッシベーション層52のうちの第2の層が第1の組成とは異なる第2の組成を有し、そしてこれらの層が示したように交互である。1つの実施形態では、パッシベーション層52は、窒化ケイ素(SiN)、二酸化ケイ素(SiO)、酸窒化ケイ素(SiON)の間で交替させる。さらに、パッシベーション層52を、交替する様式というよりはパターンで設けてもよく、その結果、3層毎に、4層毎になどが異なる組成となる、または材料組成が繰り返しの様式で3つ以上の材料の間で変化する。このようにしてパッシベーション層52を交替させるまたはパターン化することは、これらの層の堆積において生じる何らかの欠陥が異なる組成を有する引き続く層により分断されることを確実にする。したがって、ピンホールおよびクラックが、パッシベーション層積層体48の全体を貫通して形成するはずがなく、これにより腐食および剥離から半導体ダイ16の下にある部分を保護する。さらに、いくつかのパッシベーション層52を形成することは、パッシベーション層積層体48の全体の厚さを大きくし、これがさらなる環境の保護を与え、そしてパッシベーション層52のうちの複数のものが半導体ダイ16に故障を生じさせずに剥離するようになるまたはそうでなければ損傷するようになることを可能にする。1つの実施形態では、パッシベーション層積層体48は、少なくとも1.6μmの厚さである。様々な実施形態では、パッシベーション層積層体48は、1.6μmと10μmとの間の厚さであってもよい。具体的に、パッシベーション層積層体48は、少なくとも2.0μmの厚さ、少なくとも2.5μmの厚さ、そして少なくとも3.0μmの厚さであってもよい。さらに、パッシベーション層積層体48は、少なくとも5層のパッシベーション層52、少なくとも7層のパッシベーション層52、少なくとも9層のパッシベーション層52、少なくとも15層のパッシベーション層52、少なくとも20層のパッシベーション層52、そして本開示の原理から逸脱せずに数百層に至るまでのパッシベーション層52を含んでもよい。パッシベーション層積層体48内のパッシベーション層52の厚さは、同じであってもよいし、任意の所望のパターンで変わってもよい。上に論じたようなパッシベーション層積層体48を形成することは、パワーモジュール10の丈夫さを著しく高めることができる。
【0040】
[0047]パワーモジュール10を作成する際に、発明者は、PECVDプロセスを使用してパッシベーション層52を形成することが、パッシベーション層52の密度および保護品質を高めることがあることを発見した。しかしながら、他の製造プロセス(例えば、スパッタリング)もまた、本開示の原理から逸脱せずにパッシベーション層52に対して使用してもよい。
【0041】
[0048]裏面メタライゼーション層が実質的に銀を含まないように、裏面メタライゼーション層44が選択される。通常、パワーデバイス用の半導体ダイでは裏面メタライゼーション層は、スズ、ニッケル、および銀を含む。しかしながら、上に論じたように、パワーモジュール10を作成する際に、銀のエレクトロマイグレーションが、SiC半導体デバイスを使用するときに、このような現象から安全であると以前には考えられていた比較的大きな距離を超えてさえ大きなリスクを持つことを発見した。したがって、パワーモジュール10における半導体ダイ16用の裏面メタライゼーション層44は、1つの実施形態ではスズ、ニッケル、および金であるように選択される。裏面メタライゼーション層44から銀を除去することは、上に論じたようにパワーモジュール10の丈夫さを実質的に高めることがある。表面メタライゼーション層46が一般にそもそも銀を含まないので、表面メタライゼーション層の材料は、パワーモジュール用の従来の半導体ダイと比較しても変わらない。しかしながら、銀はデバイスの表面の上でもまた避けるべきであることに留意すべきである。1つの実施形態では、表面メタライゼーション層は、アルミニウムを含み、そしてチタン接着層を含むことがある。もう1つの実施形態では、表面メタライゼーション層は、チタンの第1の層およびアルミニウム、ニッケルと金を含む第2の層を有する金属積層体を含む。
【0042】
[0049]ある種の状況で性能を改善するために、接地リングがダイシングストリート60にこれまで設けられてきている。これらのケースでは、発明者は、このような用途には好ましい金属であるニッケルもまた、デバイスの表面にあるときに、半導体ダイ16の1つまたは複数のコンタクトに向かうエレクトロマイグレーションを生じやすいことを発見した。したがって、接地リングが半導体ダイ16に使用される場合(図示せず)、半導体ダイ16の1つまたは複数のコンタクトに向かう銀およびニッケルのエレクトロマイグレーションそしてしたがってダイの故障を防止するために銀およびニッケルの両者をなくすべきである。
【0043】
[0050]図6Aは、本開示の1つの実施形態によるMOSFETセル62の断面図を示す。上に論じたように、このようなMOSFETセル62を半導体ダイ16のうちの1つに多くの同一のセルと並べて形成してもよい。MOSFETセル62は、基板40、ドリフト層42、裏面メタライゼーション層44、表面メタライゼーション層46、パッシベーション層積層体48、およびカプセル化層50を含む。さらに、MOSFETセル62は、ドリフト層42内に多数の注入部64および表面メタライゼーション層46の一部とドリフト層42との間に酸化物層66を含む。示したように、裏面メタライゼーション層44は、MOSFETセル62のドレインコンタクト68を形成し、一方で表面メタライゼーション層46は、MOSFETセル62のソースコンタクト70およびゲートコンタクト72を形成する。
【0044】
[0051]図6Bは、本開示の1つの実施形態によるダイオートセル74の断面図を示す。上に論じたように、このようなダイオートセル74を、半導体ダイ16のうちの1つに多くの同一のセルと並べて形成してもよい。ダイオートセル74は、基板40、ドリフト層42、裏面メタライゼーション層44、表面メタライゼーション層46、パッシベーション層積層体48、およびカプセル化層50を含む。さらに、ダイオートセル74は、ドリフト層42内に多数の注入部76を含む。示したように、裏面メタライゼーション層44は、ダイオートセル74のカソードコンタクト78を形成し、表面メタライゼーション層46は、ダイオートセル74のアノードコンタクト80を形成する。
【0045】
[0052]図7は、本開示の1つの実施形態によるパワーモジュール10を製造するための方法を図示する流れ図である。最初に、半導体ダイは、半導体基板を用意すること(ステップ100)および半導体基板の上にデバイス(例えば、MOSFETおよび/またはダイオート)を製造すること(ステップ102)により製造される。半導体基板の上にMOSFETおよびダイオードなどのデバイスを製造するためのプロセスは、良く知られており、したがって本明細書では議論しない。しかしながら、上に論じた半導体ダイに対する注目すべき改善(すなわち、裏面メタライゼーション層および接地リングに対する改善)は、半導体ダイの製造中に行われる。次に、パッシベーション層積層体が半導体基板の上に製造された半導体デバイスの上方に設けられる(ステップ104)。上に論じたように、パッシベーション層積層体は、半導体ダイおよびしたがって得られるパワーモジュールの丈夫さを著しく高める。半導体基板は、次いでパワーモジュールに設けることができる個別の半導体ダイへと個片化される(ステップ106)。半導体ダイは、サブモジュールを形成するためにパワー電子基板の上にマウントされる(ステップ108)。上に論じたように、半導体ダイは、実質的に銀を含まないダイ貼り付け材料を使用してパワー電子基板の上にマウントされる。さらに、パワー電子基板は、それ自体実質的に銀を含まない。
【0046】
[0053]次に、サブモジュールが、ベースプレートにマウントされる(ステップ110)。上に論じたように、サブモジュールは、実質的に銀を含まない基板貼り付け材料を使用してベースプレートにマウントされる。製造されたパワーモジュールは、次いで洗浄される(ステップ112)。具体的に、パワーモジュールは、フッ素、酢酸塩、ギ酸塩、塩化物、亜硝酸塩、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、弱有機酸、リチウム、ナトリウム、アンモニア、カリウム、カルシウム、マグネシウム、臭化物などの汚染物がパワーモジュールのすべての表面から除去される厳格な洗浄を受ける。1つの実施形態では、洗浄は、0.078μg/cm(0.5μg/in)未満のレベルでの汚染物を与える。様々な実施形態では、洗浄は、これらの汚染物のうちの1つまたは複数のレベルが、0.062μg/cm(0.4μg/in)未満、0.047μg/cm(0.3μg/in)未満、0.031μg/cm(0.2μg/in)未満、それどころか0.016μg/cm(0.1μg/in)未満であることを保証するために十分である。パワーモジュール10を作成する際に、発明者は、これらの低い汚染レベルが上に論じたTHB80試験中にパワーモジュール10に故障を生じさせる腐食および他の問題を回避するために必要であったことを発見した。パワーモジュールは、次いで、ハウジング内に設置され、そしていくつかの実施形態では、ハウジングがシリコーンジェルなどのポッティング材料で満たされる(ステップ114)。
【0047】
[0054]様々な実施形態では、ベースプレート12、パワー電子基板30、基板貼り付け材料34、ダイ貼り付け材料36、および半導体ダイの近くのまたは接触するいずれかの他の材料(例えば、パワーモジュールがハウジング内に設置されるときにパワーモジュール10の周りに与えられる上に論じたシリコーンジェル)を含めパワーモジュール10用に選択された材料のすべては、イオンクロマトグラフィに基づいて選択され、その結果、その中のある種の汚染物は、産業において規格として現在受け入れられているものよりも著しく低い。工業規格にしたがって選択した材料を使用するときに、発明者は、これらの規格により許容される推奨の低レベルの汚染物でさえ、上に論じたTHB80試験中に腐食および他の欠陥を生じさせるのに十分であったことを見出した。したがって、発明者は、パワーモジュール10内の有効な電流経路と接触するすべての材料が0.078μg/cm(0.5μg/in)よりも低いフッ素、酢酸塩、ギ酸塩、塩化物、亜硝酸塩、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、弱有機酸、リチウム、ナトリウム、アンモニア、カリウム、カルシウム、マグネシウム、および臭化物などの汚染物のレベルを有するべきであることを発見した。様々な実施形態では、これらの汚染物のうちの1つまたは複数のレベルが、0.062μg/cm(0.4μg/in)よりも低い、0.047μg/cm(0.3μg/in)よりも低い、0.031μg/cm(0.2μg/in)よりも低い、それどころか0.016μg/cm(0.1μg/in)よりも低くなるように選択される。工業規格がいくつかのケースでは、0.93μg/cm(6μg/in)に至るまでの同じ汚染物レベルを許容する場合、もう一度発明者は、これらの値がパワーモジュール10の望まれる丈夫さを与えるためにはるかに高過ぎることを発見した。
【0048】
[0055]当業者なら、本開示の好ましい実施形態に対する改善および変更を認識するであろう。すべてのこのような改善および変更は、本明細書において開示した概念および別記の特許請求の範囲の範囲内であると考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7