(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4245 20060101AFI20221125BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20221125BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20221125BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20221125BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20221125BHJP
A61K 45/00 20060101ALN20221125BHJP
【FI】
A61K31/4245
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/38
A61K9/16
A61K45/00
(21)【出願番号】P 2018036692
(22)【出願日】2018-03-01
【審査請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】P 2017039866
(32)【優先日】2017-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】森 宏平
(72)【発明者】
【氏名】岸本 展明
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-028804(JP,A)
【文献】特開2012-025683(JP,A)
【文献】国際公開第2008/032726(WO,A1)
【文献】特開2006-282677(JP,A)
【文献】特開2011-126906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00 - 9/72
A61K 47/00 -47/69
A61K 31/4245
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)
2-エトキシ-1-{[2’-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸を含む核、および
b)
エリスリトール、
酸化チタン、タルクおよび
ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、該
エリスリトール1重量部に対して該
ヒドロキシプロピルメチルセルロースが0.1~8重量部である層
を含み、該核が該層で被覆されている、粒子状固形製剤。
【請求項2】
粒子状固形製剤のメジアン径が0.1mm~5mmである、請求項1記載の製剤。
【請求項3】
c)糖アルコールを含む層、でさらに被覆されている、請求項1記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状固形製剤中の光不安定性化合物の光安定性が改善され得る粒子状固形製剤に関する。
【0002】
(発明の背景)
光不安定性化合物を活性成分とする医薬製剤においては、一般に、遮光剤を含むコーティングを施して遮光することにより安定化を図る方法等が知られている。
特許文献1~5には、2-エトキシ-1-{[2’-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸を含有する医薬製剤が記載されている。
しかし、いずれの文献にも、コーティング層に糖アルコールとコーティング剤を本発明の特定の比率で配合することで遮光剤の遮光機能が向上され得ることは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第5243054号公報
【文献】国際公開第2008/018569号
【文献】国際公開第2010/126168号
【文献】特開2015-013857号公報
【文献】特開平7-165580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、粒子状固形製剤中の光不安定性化合物の光安定性が改善され得る製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題解決のために鋭意検討した結果、光不安定性化合物を含む核を、糖アルコール、遮光剤およびコーティング剤を含み、該糖アルコールと該コーティング剤の重量比率が後述の特定の比率である層で被覆した粒子状固形製剤とすることで、遮光機能が向上され得、該製剤中の光不安定性化合物の光安定性が改善され得ることを見出した。
本発明者らは、上記知見に基づき、さらに検討を行って、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、次の通りである。
[1]a)光不安定性化合物を含む核、および
b)糖アルコール、遮光剤およびコーティング剤を含み、該糖アルコール1重量部に対して該コーティング剤が0.1~8重量部である層
を含み、該核が該層で被覆されている、粒子状固形製剤。
[2]糖アルコールが、エリスリトール、ソルビトール、キシリトールおよびマンニトールから選択される、上記[1]記載の製剤。
[3]遮光剤が、酸化チタン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、食用黄色5号、食用赤色102号およびタルクから選択される、上記[1]記載の製剤。
[4]コーティング剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルアルコールから選択される、上記[1]記載の製剤。
[5]粒子状固形製剤のメジアン径が0.1mm~5mmである、上記[1]記載の製剤。
[6]c)糖アルコールを含む層、でさらに被覆されている、上記[1]記載の製剤。
[7]核1重量部に対して、0.02~2重量部(好ましくは0.1~1重量部、より好ましくは0.1~0.3重量部)のb)層を含む、上記[1]記載の製剤。
[8]光不安定性化合物が、2-エトキシ-1-{[2’-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸である、上記[1]記載の製剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明の粒子状固形製剤は、光不安定性化合物を含む核を、糖アルコール、遮光剤およびコーティング剤を含み、該糖アルコールと該コーティング剤の重量比率が特定の比率である層で被覆することで、遮光機能が向上され得、該光不安定性化合物の光安定性が改善され得る。
本発明の粒子状固形製剤は、遮光機能が向上され得る結果、コーティング層成分の少量化が期待でき、ひいては製造時間の短縮および製造コストの低減が期待できる。
また、本発明の粒子状固形製剤は、糖アルコールの発熱反応によるコーティング速度向上が期待でき、ひいては製造時間の短縮が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【0009】
(発明の詳細な説明)
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の粒子状固形製剤は、「a)光不安定性化合物を含む核」、および「b)糖アルコール、遮光剤およびコーティング剤を含み、該糖アルコール1重量部に対して該コーティング剤が0.1~8重量部である層」(以下、被覆層b)と記載する。)を含み、該核が該被覆層b)で被覆されていることを特徴とする。
本明細書において、「被覆」とは、被覆される対象(例、核)の表面全体を被覆する場合に限らず、部分的に被覆する場合、あるいは吸着または吸収されている場合も含む意味に用いる。
【0010】
本発明における粒子状固形製剤の具体例としては、顆粒、細粒、ミニタブレットが挙げられる。
本明細書において、顆粒とは、経口投与する粒状に造粒されたものをいう。
本明細書において、細粒とは、顆粒のうち、18号ふるいを全量通過し、30号ふるいに残留するものは全量の10%以下のものをいう(日本薬局方第17改正参照)。
本明細書において、ミニタブレットとは、長径5mm以下の錠剤をいう。
【0011】
本発明の粒子状固形製剤のメジアン径は、好ましくは0.1mm~5mm、より好ましくは0.1mm~3mm、さらに好ましくは0.1mm~1mmである。
本明細書において、メジアン径とは、重量分布または個数分布において粗粒と細粒とを50%ずつに分割する粒径を意味する。メジアン径は、例えばレーザー回折式粒度分布装置(例、HELOS&RODOS(商品名)(SYMPATEC社製))などの公知の測定機器を用いて測定することができる。
【0012】
本発明において、「光不安定性化合物」とは、ICH-Q1B(新原薬及び新製剤の光安定性試験ガイドラインについて)に従った光安定性試験を粒子状固形製剤に実施した場合に、ICH-Q3B(新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドラインについて)において記載される構造決定が必要とされる閾値を越える化合物をいう。
本発明における光不安定性化合物は、例えば、2-エトキシ-1-{[2’-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸(以下、化合物Aと記載する。)、アムロジピンまたはそれらの塩が挙げられ、化合物Aが好ましい。
塩としては、薬学的に許容される塩が挙げられる。
化合物Aの塩としては、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩などが挙げられる。無機塩基との塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
アムロピジンの塩としては、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性アミノ酸との塩、酸性アミノ酸との塩などが挙げられ、具体的には、アムロジピンベシル酸塩が挙げられる。
【0013】
本発明の粒子状固形製剤において、光不安定性化合物の含有量は、核1重量部に対して、通常0.001~0.9重量部、好ましくは0.005~0.8重量部、より好ましくは0.01~0.1重量部である。
【0014】
核は、一般製剤の製造に用いられる添加剤(例えば、賦形剤(例えば、乳糖、コーンスターチ)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)、甘味剤(例えば、スクラロース))を含有していてもよい。
【0015】
被覆層b)に含まれる糖アルコールとしては、例えば、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトールが挙げられ、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトールが好ましく、エリスリトールが特に好ましい。糖アルコールは1または2以上を組合せて用いることができる。
被覆層b)に含まれる糖アルコールの含有量は、被覆層b)1重量部に対して、通常0.01~0.9重量部、好ましくは0.05~0.8重量部、より好ましくは0.1~0.6重量部である。
【0016】
被覆層b)に含まれる遮光剤としては、例えば、酸化チタン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、食用黄色5号、食用赤色102号、タルクが挙げられ、酸化チタン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、食用黄色5号、食用赤色102号、タルクが好ましく、酸化チタン、タルクが特に好ましい。遮光剤は1または2以上を組合せて用いることができる。
被覆層b)に含まれる遮光剤の含有量は、被覆層b)1重量部に対して、通常0.01~0.5重量部、好ましくは0.05~0.4重量部、より好ましくは0.05~0.3重量部である。
【0017】
被覆層b)に含まれるコーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコールが挙げられ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコールが好ましく、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが特に好ましい。コーティング剤は1または2以上を組合せて用いることができる。
被覆層b)に含まれるコーティング剤の含有量は、被覆層b)1重量部に対して、通常0.1~0.9重量部、好ましくは0.1~0.7重量部、より好ましくは0.1~0.6重量部である。
【0018】
被覆層b)に含まれる糖アルコールとコーティング剤の比率は、糖アルコール1重量部に対して、コーティング剤が0.1~8重量部、好ましくは0.3~4重量部である。
【0019】
被覆層b)は、一般製剤の製造に用いられる添加剤(例えば、甘味剤(例えば、スクラロース))を含有していてもよい。
【0020】
本発明の粒子状固形製剤は、核1重量部に対して、通常0.02~2重量部、好ましくは0.1~1重量部、より好ましくは0.1~0.3重量部の被覆層b)を含む。
【0021】
本発明の粒子状固形製剤は、「c)糖アルコールを含む層」(以下、被覆層c)と記載する。)でさらに被覆されていてもよい。
被覆層c)に含まれる糖アルコールとしては、例えば、エリスリトール、マンニトールが挙げられ、エリスリトールが好ましい。
被覆層c)に含まれる糖アルコールの量は、被覆層c)の重量に対して、好ましくは30~100重量%、より好ましくは70~100重量%である。
本発明の粒子状固形製剤は、被覆層c)を有することで、冷涼感を与え、粒子状固形製剤を口に含んだときの粉っぽさやざらつきを改善する。
被覆層c)は、一般製剤の製造に用いられる添加剤を含有していてもよい。
本発明の粒子状固形製剤において、被覆層c)の被覆量は、核1重量部に対して、好ましくは0.01~0.5重量部、より好ましくは0.01~0.1重量部、さらに好ましくは0.02~0.05重量部である。
【0022】
本発明の粒子状固形製剤としては、例えば、
a)光不安定性化合物(例えば、化合物A)を含む核、および
b)糖アルコール(例えば、エリスリトール)、遮光剤(例えば、酸化チタン、タルク)およびコーティング剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を含み、該糖アルコール1重量部に対して該コーティング剤が0.1~8重量部(好ましくは0.3~4重量部)である層
を含み、該核が該層で被覆されている、粒子状固形製剤が挙げられる。
本発明の粒子状固形製剤としては、例えば、
a)化合物Aを含む核、および
b)エリスリトール、酸化チタン、タルクおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、該エリスリトール1重量部に対して該ヒドロキシプロピルメチルセルロースが0.1~8重量部(好ましくは0.3~4重量部)である層
を含み、該核が該層で被覆されている、粒子状固形製剤(好ましくは顆粒)が挙げられる。
【0023】
本発明の粒子状固形製剤としては、例えば、
a)光不安定性化合物(例えば、化合物A)を含む核、
b)糖アルコール(例えば、エリスリトール)、遮光剤(例えば、酸化チタン、タルク)およびコーティング剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を含み、該糖アルコール1重量部に対して該コーティング剤が0.1~8重量部(好ましくは0.3~4重量部)である層、および
c)糖アルコール(例えば、エリスリトール)を含む層
を含み、該核が該b層で被覆されており、さらに該c層で被覆されている、粒子状固形製剤が挙げられる。
本発明の粒子状固形製剤としては、例えば、
a)化合物Aを含む核、
b)エリスリトール、酸化チタン、タルクおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、該エリスリトール1重量部に対して該ヒドロキシプロピルメチルセルロースが0.1~8重量部(好ましくは0.3~4重量部)である層、および
c)糖アルコール(例えば、エリスリトール)を含む層
を含み、該核が該b層で被覆されており、さらに該c層で被覆されている、粒子状固形製剤(好ましくは顆粒)が挙げられる。
【0024】
本発明の粒子状固形製剤は、自体公知の方法により製造できる。
例えば、光不安定性化合物(例えば、化合物A)と添加剤(例えば、賦形剤(例、乳糖、コーンスターチ)、結合剤(例、ヒドロキシプロピルセルロース)、甘味剤(例、スクラロース))を混合、練合、造粒、乾燥して、核顆粒を得、得られた核顆粒に、糖アルコール(例えば、エリスリトール)、遮光剤(例えば、酸化チタン、タルク)、コーティング剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、添加剤(例えば、甘味剤(例、スクラロース))を含むコーティング液を噴霧して、コーティング顆粒剤(本発明の粒子状固形製剤)を製造することができる。得られたコーティング顆粒剤に、糖アルコール(例えば、エリスリトール)を含むコーティング液をさらに噴霧して、コーティング顆粒剤(被覆層c)を含む本発明の粒子状固形製剤)を製造することができる。
必要により、コーティング顆粒剤(被覆層c)を含む製剤)に、帯電防止剤(例えば、軽質無水ケイ酸)を添加混合して、本発明の粒子状固形製剤を製造してもよい。
混合、練合は、例えば、バーチカルグラニュレータ、V型混合機、タンブラー混合機などを用いて行われる。造粒は、例えば、湿式押出造粒機、撹拌造粒機、流動造粒機、乾式造粒機などを用いて行われる。コーティングは、例えば、コーティング装置を用いて行われる。
【0025】
本発明の粒子状固形製剤においては、一般製剤の製造に用いられる添加剤を適当な工程で添加することもできる。たとえば、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、コーンスターチ、小麦でんぷん、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化ナトリウムなどの賦形剤、アラビアゴム、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、ステアリン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ホウ酸、酸化マグネシウム、パラフィンなどの滑沢剤、軽質無水ケイ酸などの流動化剤、軽質無水ケイ酸などの帯電防止剤、着色剤、スクラロースなどの甘味剤、矯味剤、矯臭剤などを添加してもよい。添加量は一般製剤の製造に用いられる量である。
【0026】
本発明の粒子状固形製剤は、ヒトおよび哺乳動物(例えば、イヌ、ウサギ、ラット、マウスなど)の医薬等として安全に投与(例えば、経口投与)し得る。
【0027】
本発明の粒子状固形製剤の投与量は、活性成分、投与対象、投与経路、疾患、体重等により異なる。例えば、成人(体重60kg)1人あたり、活性成分として化合物Aを含む製剤を高血圧症の治療に投与する場合、化合物Aの投与量が、10mg~40mgである。
【実施例】
【0028】
以下に、製造例、実施例、比較例、試験例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
なお、以下の製造例、実施例および比較例において、製剤添加剤としては、日本薬局方第17改正あるいは医薬品添加物規格2003適合品を用いた。
化合物Aは、2-エトキシ-1-{[2’-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸を表す。
【0029】
[製造例1、実施例1および2、比較例1および2]
化合物Aを含有する核顆粒(製造例1)とそれにコーティングを施した顆粒剤(実施例1および2、比較例1および2)を表1に示す組成比で次のように製造した。
すなわち、表1-1の成分をバーチカルグラニュレータ(FM-VG-50、(株)パウレック)で混合後、精製水を添加し練合した後、ツインドームグラン(TDG-110PA、(株)ダルトン)にて0.8mmスクリーンで押出造粒し、マルメライザー(Q-700TG、不二パウダル(株))で球形化処理を実施した。その後、通気式箱型乾燥機(200A、(株)ダルトン)にて乾燥し、16号篩を通過し、30号篩に残留した核顆粒を得た。
核顆粒を流動層造粒乾燥コーティング装置(SOLIDLAB1、BOSCH)に入れ、表1-2に示す組成比のフィルムコーティング液を噴霧することにより、顆粒剤を得た。また、表1-2に示すコーティング量の80%量を噴霧した顆粒剤も得た。
【0030】
【0031】
【0032】
[試験例1]
得られた核顆粒(製造例1)およびコーティング顆粒剤(実施例1および2、比較例1および2:それぞれ、コーティング量が表1-2に示す量のもの、および表1-2に示す量の80%量のもの)を透明なシャーレに均一に広げ、120万Lux・hrの光照射条件下(25℃60%RH)で保存した。また、別途、核顆粒(製造例1)およびコーティング顆粒剤(実施例1および2、比較例1および2:それぞれ、コーティング量が表1-2に示す量のもの)を透明なシャーレに均一に広げた後、光が核顆粒およびコーティング顆粒剤に照射しないようにアルミホイルでシャーレを覆い、120万Lux・hrの光照射条件下(25℃60%RH)で保存した。
保存後の核顆粒およびコーティング顆粒剤について、化合物Aの分解生成物A(相対保持時間 約0.6分)を調べた。分解生成物の測定は、核顆粒およびコーティング顆粒剤をメタノール/水混液(13:7)で抽出しHPLC法で行った。HPLCの試験条件を次に示した。
【0033】
HPLCの試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:254nm)
カラム:Intersil ODS-4,5μm,4.6mmi.d.×15cm(GL Sciences社製)
カラム温度:25℃付近の一定温度
移動相A:メタノール/0.05mol/Lリン酸二水素カリウム/1mol/Lリン酸混液(65:35:1)
移動相B:メタノール/0.03mol/Lリン酸二水素カリウム/1mol/Lリン酸混液(90:10:1)
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を表2のように制御した。
【0034】
【0035】
(試験結果)
分解生成物Aの測定結果を表3及び
図1に示した。
【0036】
【0037】
エリスリトールを含まないコーティング顆粒剤と比較して、糖アルコールであるエリスリトール1重量部に対してコーティング剤であるヒプロメロースが0.3~4.0重量部のときに、光照射による分解生成物Aの産生の抑制効果が大きかった。
【0038】
[実施例3および4]
化合物Aを含有する核顆粒とそれにコーティングを施した顆粒剤を表4に示す組成比で次のように製造した。
すなわち、表4の核顆粒の成分をバーチカルグラニュレータ(FM-VG-50、(株)パウレック)で混合後、精製水を添加し練合した後、ツインドームグラン(TDG-110PA、(株)ダルトン)にて0.8mmスクリーンで押出造粒し、マルメライザー(Q-700TG、不二パウダル(株))で球形化処理を実施した。その後、通気式箱型乾燥機(200A、(株)ダルトン)にて乾燥し、16号篩を通過し、30号篩に残留した核顆粒を得た。
核顆粒を流動層造粒乾燥コーティング装置(GPCG-SPC)に入れ、表4のフィルムの組成比のフィルムコーティング液を噴霧することでコーティング顆粒剤を得た(実施例3)。実施例3のコーティング顆粒剤にさらに表4の外層のエリスリトール溶液を噴霧し、その後、16号篩を通過し、30号篩に残留したコーティング顆粒剤に軽質無水ケイ酸を添加混合することで、外層としてエリスリトールで被覆され、さらに軽質無水ケイ酸が添加されたコーティング顆粒剤を得た(実施例4)。また、実施例3(表4の外層および外添の成分を含まないコーティング顆粒剤)について、表4のフィルムのコーティング量の80%量を噴霧した顆粒剤も得た。
【0039】
【0040】
[試験例2]
得られたコーティング顆粒剤(実施例3:コーティング量が表4のフィルム量のものおよび表4のフィルム量の80%量のもの、実施例4)を透明なシャーレに均一に広げ、120万Lux・hrの光照射条件下で保存した。また、別途、コーティング顆粒剤(実施例4)を透明なシャーレに均一に広げた後、光がコーティング顆粒剤に照射しないようにアルミホイルでシャーレを覆い、120万Lux・hrの光照射条件下で保存した。
保存後のコーティング顆粒剤について、化合物Aの分解生成物A(相対保持時間 約0.5分)を調べた。分解生成物の測定は、コーティング顆粒剤をメタノール/水混液(13:7)で抽出しHPLC法で行った。HPLCの試験条件を次に示した。
【0041】
HPLCの試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:254nm)
カラム:Intersil ODS-4,5μm,4.6mmi.d.×15cm(GL Sciences社製)
カラム温度:25℃付近の一定温度
移動相A:メタノール/0.05mol/Lリン酸二水素カリウム/1mol/Lリン酸混液(65:35:1)
移動相B:メタノール/0.03mol/Lリン酸二水素カリウム/1mol/Lリン酸混液(90:10:1)
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を表5のように制御した。
【0042】
【0043】
(試験結果)
分解生成物Aの測定結果を表6に示した。
【0044】
【0045】
被覆層b)のコーティングにさらに外層(被覆層c))としてエリスリトールをコーティングし、軽質無水ケイ酸を添加したコーティング顆粒剤は、被覆層b)のコーティングのみと比較して同等の光照射による分解生成物Aの産生の抑制効果を示した。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の粒子状固形製剤は、前述したように遮光機能が向上され得る点で、品質が改善した製剤を提供し得る。本発明の粒子状固形製剤は、前述したように製造時間の短縮や製造コストの低減がされ得る点で工業的に有利であり得る。