(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ゲート・トレンチと、埋め込まれた終端構造とを有するパワー半導体デバイス、及び、関連方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20221125BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20221125BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20221125BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H01L29/78 652N
H01L29/78 652T
H01L29/78 652J
H01L29/78 653A
H01L29/78 652F
H01L29/78 652H
H01L29/78 652P
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/06 301R
H01L29/78 658E
(21)【出願番号】P 2020214806
(22)【出願日】2020-12-24
(62)【分割の表示】P 2019530787の分割
【原出願日】2017-09-29
【審査請求日】2020-12-28
(32)【優先日】2016-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リヒテンバルナー、ダニエル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バン ブラント、エドワード アール.
(72)【発明者】
【氏名】ハル、ブレット
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-511961(JP,A)
【文献】特開2013-258369(JP,A)
【文献】特開2013-219161(JP,A)
【文献】特開2011-091086(JP,A)
【文献】特開2016-092257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 29/06
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスを形成する方法であって、前記方法は、
基板上にドリフト領域を形成するステップであって、前記ドリフト領域は、第1の導電型を有するドーパントでドープされたワイド・バンド・ギャップ半導体材料を含む、ステップと、
前記ドリフト領域上に半導体層を形成するステップと、
前記半導体層内に複数のウェル領域を形成するステップであって、前記複数のウェル領域は、前記第1の導電型の反対である第2の導電型を有するドーパントでドープされる、ステップと、
前記ドリフト領域上で第1の方向に延在する長手方向軸線を有するゲート電極を形成するステップであって、前記複数のウェル領域は、前記ドリフト領域に接触し、前記ゲート電極の第1の側にある、ステップと
を含み、
前記半導体層の一部は、前記第1の方向の隣接するウェル領域の間にあり、前記隣接するウェル領域に接触する、方法。
【請求項2】
前記隣接するウェル領域は、第1のウェル領域と、前記第1のウェル領域から前記第1の方向に分離されている第2のウェル領域とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のウェル領域及び前記第2のウェル領域は、前記第1の方向と交差する第2の方向に延在する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記半導体層の前記一部は第1の部分であり、前記半導体層の第2の部分は、前記第1のウェル領域と、前記第1の方向と交差する第2の方向の前記ゲート電極との間にある、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のウェル領域は、平面図において、前記半導体層によって囲まれている、請求項2~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のウェル領域は、平面図において、正方形の形状を有するように形成されている、請求項2~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記半導体デバイスの終端領域内の前記ドリフト領域の上側部分内に終端構造を形成するステップであって、前記終端構造は、前記半導体デバイスの周囲に延在する複数の終端要素を含む、ステップ
を更に含む、請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
第1の導電型を有するドーパントでドープされたワイド・バンド・ギャップ半導体材料を含むドリフト領域と、
前記ドリフト領域上にある半導体層と、
前記ドリフト領域上で第1の方向に延在する長手方向軸線を有するゲート電極と、
前記ドリフト領域に接触し、且つ前記ゲート電極の第1の側にある複数のウェル領域であって、前記第1の導電型の反対である第2の導電型を有するドーパントでドープされたウェル領域と
を備える半導体デバイスであって、
前記半導体層の一部は、前記第1の方向の隣接するウェル領域の間にあり、前記隣接するウェル領域に接触する、半導体デバイス。
【請求項9】
前記隣接するウェル領域は、第1のウェル領域と、前記第1のウェル領域から前記第1の方向に分離されている第2のウェル領域とを含み、前記隣接するウェル領域の間の前記半導体
層の前記一部は、1×10
16/cm
3未満のドーピング濃度を有する、請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記第1のウェル領域及び前記第2のウェル領域は、前記第1の方向と交差する第2の方向に延在する、請求項9に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記半導体層の前記一部は第1の部分であり、前記半導体層の第2の部分は、前記第1のウェル領域と、前記第1の方向と交差する第2の方向の前記ゲート電極との間にある、請求項9又は10に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記第1のウェル領域は、平面図において、前記半導体層によって囲まれている、請求項9~11の何れか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項13】
前記第1のウェル領域は、平面図において、正方形の形状を有する、請求項9~12の何れか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記半導体デバイスの終端領域内の前記ドリフト領域の上側部分内に終端構造を更に備え、前記終端構造は、前記半導体デバイスの周囲に延在する複数の終端要素を含む、請求項8~13の何れか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項15】
前記半導体デバイスの活性領域内の前記ドリフト領域の上側部分内に前記第2の導電型を有するドーパントでドープされた遮蔽パターンを更に備え、前記ウェル領域の少なくとも1つは、前記遮蔽パターン上にある、請求項8~14の何れか一項に記載の半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国政府権益の記載
本発明は、陸軍研究所により資金提供を受けた、協力協定番号W911NF-12-2-0064のもとでの政府助成によって為されたものである。政府は、本発明において所定の権利を有する。
【0002】
本発明は、パワー半導体デバイスに、及び、より詳しくは、ゲート・トレンチを有するパワー半導体デバイスに、並びに、そのようなデバイスを製作する方法に関係する。
【背景技術】
【0003】
パワー半導体デバイスは、大電流を搬送し、高電圧を支えるために使用される。例えば、パワー金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(「MOSFET」:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、バイポーラ接合トランジスタ(「BJT」:bipolar junction transistor)、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(「IGBT」:Insulated Gate Bipolar Transistor)、ジャンクション・バリア・ショットキー・ダイオード、ゲート・ターン・オフ・トランジスタ(「GTO」:Gate Turn-Off Transistor)、MOS制御サイリスタ、及び、様々な他のデバイスを含む、多種多様のパワー半導体デバイスが、当技術分野で知られている。これらのパワー半導体デバイスは、一般的には、炭化ケイ素(「SiC」:silicon carbide)又は窒化ガリウム(「GaN」:gallium nitride)系半導体材料などのワイド・バンド・ギャップ半導体材料から製作される。
【0004】
パワー半導体デバイスは、横型構造又は縦型構造を有し得る。横型構造を有するデバイスでは、デバイスの端子(例えば、パワーMOSFETデバイスに対するドレイン、ゲート、及びソース端子)は、半導体層構造の同じ主表面(すなわち、上部又は下部)上にある。対照的に、縦型構造を有するデバイスでは、少なくとも1つの端子が、半導体層構造の各々の主表面上に設けられる(例えば、縦型MOSFETデバイスでは、ソースが半導体層構造の上部表面上にあることがあり、ドレインが半導体層構造の下部表面上にあることがある)。半導体層構造は、下の方にある基板を含むことがあり、又は、含まないことがある。本明細書では、用語「半導体層構造」は、半導体基板及び/又は半導体エピタキシャル層などの、1つ又は複数の半導体層を含む構造を指す。
【0005】
従来のパワー半導体デバイスは、典型的には、第1の導電型を有する炭化ケイ素基板(例えば、n型基板)などの半導体基板を有し、その半導体基板上に、第1の導電型(例えば、n型)を有するエピタキシャル層構造が形成される。このエピタキシャル層構造(1つ又は複数の別々の層を備え得る)は、パワー半導体デバイスのドリフト領域として機能する。デバイスは、典型的には、p-n接合などの接合を有する1つ又は複数のパワー半導体デバイスを含む「活性領域」を含む。活性領域は、ドリフト領域上、及び/又は、ドリフト領域内に形成され得る。活性領域は、逆バイアス方向で電圧を阻止し、順バイアス方向で電流流れを提供するための主たる接合として働く。パワー半導体デバイスは、さらには、活性領域に近接するエッジ終端領域を有し得る。1つ又は複数のパワー半導体デバイスが基板上に形成されることがあり、各々のパワー半導体デバイスは、典型的には、それ自体のエッジ終端を有することになる。基板が完全な形で処理される後、結果として生じる構造は、個々のエッジ終端されたパワー半導体デバイスを分離するためにダイシングされ得る。パワー半導体デバイスは、各々のパワー半導体デバイスの活性領域が複数の個々のデバイスを含む、ユニット・セル構造を有し得るものであり、それらの個々のデバイスは、互いに平行に配設される、及び、単一のパワー半導体デバイスとして一体で機能するものである。
【0006】
パワー半導体デバイスは、大電圧及び/又は電流を、阻止する(順又は逆阻止状態で)、又は通過させる(順動作状態で)ように設計される。例えば、阻止状態で、パワー半導体デバイスは、数百又は数千ボルトの電位を持続させるように設計され得る。しかしながら、付与される電圧が、デバイスが阻止するように設計される電圧レベルに接近する、又は、その電圧レベルを上回る際、些細ではないレベルの電流が、パワー半導体デバイスを通って流れ始めることがある。典型的には「漏れ電流」と呼称されるそのような電流は、きわめて望ましくないものであり得る。漏れ電流は、中でもドリフト領域のドーピング及び厚さの関数であり得る、デバイスの設計電圧阻止能力を超えて電圧が増大される場合に流れ始めることがある。漏れ電流は、さらには、デバイスのエッジ終端及び/又は主要接合の故障などの、他の理由で生出することがある。デバイス上の電圧が、降伏電圧を過ぎて重大なレベルに増大されるならば、増大する電界が、半導体デバイスの中の電荷キャリアの、制御不能の、及び望ましくない逃走発生を結果的に生じさせ、アバランシェ降伏として知られている状況につながることがある。
【0007】
パワー半導体デバイスは、さらには、些細ではない量の漏れ電流が、デバイスの設計降伏電圧より低い電圧レベルで流れることを可能とし始めることがある。特に、漏れ電流は、高電界が電界集中効果に起因して遭遇され得る、活性領域のエッジで流れ始めることがある。この電界集中(及び、結果的に生じる増大された漏れ電流)を低減するために、パワー半導体デバイスの活性領域の一部又はすべてを包囲するエッジ終端構造が設けられ得る。これらのエッジ終端は、より大である区域にわたって電界を広げ、そのことにより、電界集中を低減し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施例にしたがえば、ワイド・バンド・ギャップ半導体材料を含むドリフト領域を備える半導体層構造を含む半導体デバイスが提供される。遮蔽パターンが、デバイスの活性領域内のドリフト領域の上側部分内に設けられ、終端構造が、デバイスの終端領域内のドリフト領域の上側部分内に設けられる。ゲート・トレンチが、半導体層構造の上側表面内へと延在する。半導体層構造は、終端構造の上方に延在し、終端構造を少なくとも部分的に被覆する、半導体層を含む。
【0010】
半導体デバイスは、さらには、ゲート・トレンチの下部表面及び側壁を少なくとも部分的に被覆する、ゲート・トレンチ内のゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上のゲート・トレンチ内のゲート電極と、半導体層構造の上側表面上の第1の接触部と、半導体層構造の下側表面上の第2の接触部とを含み得る。半導体デバイスは、ゲート・トレンチの対向する側部上に第1及び第2のウェル領域を備えることをさらに含み得る。ドリフト領域は、第1の導電型を有し得るものであり、ウェル領域は、第1の導電型の反対である第2の導電型を有し得る。
【0011】
いくつかの実施例では、遮蔽パターンの下部は、ゲート・トレンチの下部表面が延在するより先へ、ドリフト領域内へと延在する。終端構造は、例えば、ガード・リング又は接合終端拡張のうちの1つを備え得る。
【0012】
いくつかの実施例では、半導体層は、1×1016/cm3未満のドーピング密度を有し得る。
【0013】
いくつかの実施例では、第1及び第2のウェル領域の上側表面は、半導体層の上側表面と同一面であり得る。
【0014】
いくつかの実施例では、第1及び第2のウェル領域は、第2の導電型を有するドーパントを注入される、注入されたウェル領域であり得る。
【0015】
いくつかの実施例では、ゲート・トレンチから間をおいて離隔される第1のウェル領域の第1の部分は、第1のドーパント濃度を有し得るものであり、ゲート・トレンチに直接的に近接する半導体デバイスのチャネルは、第1のドーパント濃度より低い第2のドーパント濃度を有し得る。
【0016】
いくつかの実施例では、第1のウェル領域は、半導体層構造の下側表面に平行に延在する軸に沿って、第2の導電型のドーパントの不均一なドーパント濃度を有し得る。
【0017】
いくつかの実施例では、ドリフト領域は、第1の導電型を有するドーパントによってドープされ得るものであり、一方で、他の実施例では、ドリフト領域は、第1の導電型を有するドーパントによってドープされ得る。終端領域内にある半導体層の部分は、1×1015/cm3未満の濃度で第1の導電型を有するドーパントによってドープされ得る。
【0018】
本発明のさらなる実施例にしたがえば、第1の導電型を有するドーパントによってドープされるワイド・バンド・ギャップ半導体材料を含むドリフト領域を備える半導体層構造と、半導体層構造の上側表面内へと延在するゲート・トレンチと、ドリフト領域の上側部分内の、第1の導電型の反対である第2の導電型を有するドーパントによってドープされる第1の遮蔽パターンと、第1の遮蔽パターンの上方であり、ゲート・トレンチの第1の側部に近接する第1のウェル領域であって、第2の導電型を有するドーパントによってドープされる、第1のウェル領域と、ドリフト領域の上側部分内の、第2の導電型を有するドーパントによってドープされる第2の遮蔽パターンと、第2の遮蔽パターンの上方であり、ゲート・トレンチの第2の側部に近接する第2のウェル領域であって、第2の導電型を有するドーパントによってドープされる、第2のウェル領域と、ドリフト領域の上側部分内の、第2の導電型を有するドーパントによってドープされる終端構造とを含む半導体デバイスが提供される。第1のウェル領域と、ゲート・トレンチの第1の側部との間にある、半導体デバイスのチャネルは、第1のウェル領域より低い、第2の導電型ドーパントの濃度を有する。
【0019】
いくつかの実施例では、半導体層構造は、終端構造の上方に延在し、終端構造を少なくとも部分的に被覆する、半導体デバイスの終端領域内の半導体層を含み得る。
【0020】
いくつかの実施例では、終端領域内の半導体層は、第2の導電型を有するドーパントによってドープされ得る。
【0021】
いくつかの実施例では、終端領域内の半導体層は、1×1016/cm3未満の第2の導電型ドーパントのドーピング密度を有し得る。
【0022】
いくつかの実施例では、終端構造は、複数の終端要素を備え得るものであり、終端要素の下部表面は、第1の遮蔽パターンの下部表面と同一面であり得る。
【0023】
いくつかの実施例では、第1の遮蔽パターンの下部表面は、ゲート・トレンチの下部表面が延在するより先へ、ドリフト領域内へと下に延在し得る。
【0024】
いくつかの実施例では、第1及び第2のウェル領域の上側表面は、終端領域内の半導体層の上側表面と同一面であり得る。
【0025】
いくつかの実施例では、第1のウェル領域は、第1の濃度で第2の導電型ドーパントによってドープされる第1の部分と、第1の濃度の少なくとも5倍を超過する第2の濃度で第2の導電型ドーパントによってドープされる第2の部分とを含み得るものであり、第2の領域は、第1のウェル領域の上部表面から第1のウェル領域の下部表面へと延在する。
【0026】
本発明のさらなる実施例にしたがえば、ワイド・バンド・ギャップ半導体ドリフト領域が基板上に形成され、ドリフト領域及び半導体基板は、各々、第1の導電型を有するドーパントによってドープされる、半導体デバイスを形成する方法が提供される。第2の導電型ドーパントが、終端構造を半導体デバイスの終端領域内に、及び、遮蔽パターンを半導体デバイスの活性領域内に形成するために、ドリフト領域の上側表面内へと注入され、第2の導電型は、第1の導電型の反対である。半導体層が、エピタキシャル成長によってドリフト領域の上側表面上に形成され、半導体層は、成長させられた際に1×1016/cm3未満のドーパント濃度を有する。第2の導電型ドーパントが、活性領域内の半導体層内へと注入される。ゲート・トレンチが、半導体層内に形成され、ゲート・トレンチは、ドリフト領域の上側表面内へと延在する。ゲート絶縁層及びゲート電極が、各々のゲート・トレンチ内に順次形成される。ゲート・トレンチの対向する側部上の活性領域内の半導体層の部分は、それぞれの第2の導電ウェル領域を備える。
【0027】
いくつかの実施例では、半導体層は、第1の導電型ドーパントによってドープされ得る。他の実施例では、半導体層は、第2の導電型ドーパントによってドープされ得る。
【0028】
いくつかの実施例では、ゲート・トレンチに近接する第2の導電型ウェル領域のそれぞれの部分は、チャネル領域を備え得るものであり、各々のチャネル領域は、それぞれの第2の導電型ウェル領域の残部より低い、第2の導電型ドーパントの濃度を有する。
【0029】
いくつかの実施例では、第2の導電型ウェル領域の上側表面は、半導体層の上側表面と同一面であり得る。
【0030】
いくつかの実施例では、終端構造は、ガード・リング及び接合終端拡張のうちの1つを備え得る。
【0031】
いくつかの実施例では、ゲート・トレンチは、第2の導電型ドーパントが活性領域内の半導体層内へと注入される前に形成され得る。他の実施例では、ゲート・トレンチは、第2の導電型ドーパントが活性領域内の半導体層内へと注入される後に形成され得る。ワイド・バンド・ギャップ半導体は、炭化ケイ素を備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】実例ゲート・トレンチ・パワーMOSFETの概略断面線図であり、そのパワーMOSFETは、そのエッチングされた、又は陥凹部を作られた表面内に終端構造を有する。
【
図2A】本発明の実施例による、埋め込まれたエッジ終端を有するゲート・トレンチ・パワーMOSFETの一部分の概略平面視図である。
【
図2B】
図2Aの線2B-2Bに沿ってとられる、
図2Aのゲート・トレンチ・パワーMOSFETの概略断面視図である。
【
図2C】
図2AのパワーMOSFETのpウェルの形状を例示する、
図2AのパワーMOSFETを貫いてとられる部分的水平断面の図である。
【
図3A】不均一にドープされたウェル領域を含む、本発明のさらなる実施例によるゲート・トレンチ・パワーMOSFETの一部分の概略断面線図である。
【
図3B】
図3AのパワーMOSFETのpウェルの形状を例示する、
図3AのパワーMOSFETを貫いてとられる部分的水平断面の図である。
【
図4A】異なる形状を伴うpウェルを有する、
図3A~3BのパワーMOSFETの修正されたバージョンの部分的水平断面の図である。
【
図4B】異なる形状を伴うpウェルを有する、
図3A~3BのパワーMOSFETの修正されたバージョンの部分的水平断面の図である。
【
図5】各々のゲート・トレンチの直接的に下の方に遮蔽物を含む、本発明のなおもさらなる実施例によるゲート・トレンチ・パワーMOSFETの一部分の概略断面線図である。
【
図6A】本発明の実施例による、nチャネル炭化ケイ素パワー絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(「IGBT」)の単純化された回路線図である。
【
図6B】
図6AのIGBTのユニット・セルの概略断面線図である。
【
図7A】
図2A~2Cのゲート・トレンチ・パワーMOSFETを製作する方法を例示する概略断面線図である。
【
図7B】
図2A~2Cのゲート・トレンチ・パワーMOSFETを製作する方法を例示する概略断面線図である。
【
図7C】
図2A~2Cのゲート・トレンチ・パワーMOSFETを製作する方法を例示する概略断面線図である。
【
図7D】
図2A~2Cのゲート・トレンチ・パワーMOSFETを製作する方法を例示する概略断面線図である。
【
図7E】
図2A~2Cのゲート・トレンチ・パワーMOSFETを製作する方法を例示する概略断面線図である。
【
図7F】
図2A~2Cのゲート・トレンチ・パワーMOSFETを製作する方法を例示する概略断面線図である。
【
図7G】
図2A~2Cのゲート・トレンチ・パワーMOSFETを製作する方法を例示する概略断面線図である。
【
図8】本発明の実施例による、埋め込まれたエッジ終端を有するゲート・トレンチ・パワー半導体デバイスを製作する方法を例示するフロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
MOSFETトランジスタを含む縦型パワー半導体デバイスは、トランジスタのゲート電極が半導体層構造の上部上に形成される、標準的なゲート電極設計を有することがあり、又は代替的には、半導体層構造の中のトレンチ内に埋め込まれたゲート電極を有することがある。埋め込まれたゲート電極を有するMOSFETは、典型的には、ゲート・トレンチMOSFETと呼称される。標準的なゲート電極設計によって、各々のユニット・セル・トランジスタのチャネル領域は、ゲート電極の真下に水平に配設される。対照的に、ゲート・トレンチMOSFET設計では、チャネルは垂直に配設される。ゲート・トレンチMOSFET設計は、水平チャネル部分を取り出し、それを垂直にするときに得られる、低減されたデバイス・ピッチに起因して、デバイスのオン抵抗を低下させる。加えて、炭化ケイ素系デバイスに対して、垂直チャネルは、より高い電子移動度を有し、オン抵抗をさらに低減するはずである。しかしながら、ゲート・トレンチMOSFETの製作は、典型的には、より込み入った製造プロセスを要する。
【0034】
炭化ケイ素、又は、様々な他のワイド・バンド・ギャップ半導体材料を使用して形成される縦型ゲート・トレンチMOSFETは、製作するのがより困難であり得るものであり、なぜならば、これらの材料を化学エッチングすることは、Siより困難であり得るものであり、加えて、これらの半導体材料を、一貫性をもってドープすることは、より困難であり得るからである。本明細書では、ワイド・バンド・ギャップ半導体材料は、1.40eVより大であるバンド・ギャップを有する半導体材料を指す。半導体材料をn型及び/又はp型ドーパントによってドープするための主要方法は、(1)半導体材料を、その成長の間にドープすること、(2)ドーパントを半導体材料内へと拡散させること、及び、(3)イオン注入を使用して、ドーパントを半導体材料内に選択的に注入することである。これらの技法の各々は、炭化ケイ素及び窒化ガリウム系材料などの所定のワイド・バンド・ギャップ半導体材料で形成されるパワー半導体デバイスの製作で使用されるときに、問題点を提起することがある。
【0035】
例えば、炭化ケイ素がエピタキシャル成長の間にドープされるとき、ドーパントは、格子構造の中で不均等に蓄積する傾向にあり、ゆえに、ドーパント濃度を、例えば±15%のレンジの中で制御することは困難であり得る。かくして、エピタキシャル成長させられた炭化ケイ素は、精密に制御されたドーパント濃度を有さないことがあり、そのことは、デバイス動作及び/又は信頼性に負の影響を及ぼすことがある。
【0036】
拡散によるドーピングは、ケイ素、及び、様々な他の、より低いバンド・ギャップ半導体材料で決まって使用される。このドーピング技法によって、典型的には、半導体デバイスの第1の領域が、成長の間に、又は、イオン注入によってのいずれかでドープされ、その後、デバイスは、ドーパントをデバイスの1つ又は複数の他の領域内へと拡散させるためにアニールされる。ケイ素などのいくつかの半導体材料では、n型及びp型ドーパントは、加熱されるときに、半導体材料の至る所で、容易に、及び、一貫性のある拡散特質を伴って拡散する傾向にあり得るものであり、ゆえに、アニーリング・ステップは、デバイスの画定された領域を所定のドーピング・レベルにドープするために使用され得る。しかしながら、あいにく、n型及びp型ドーパントは、高温でも、炭化ケイ素内で良好に拡散しない傾向にあり、ゆえに、拡散によるドーピングは、典型的には、縦型炭化ケイ素系パワー半導体デバイスに対する選択肢ではない。このことは、さらには、熱拡散が生起し得る前に解離する、窒化ガリウム系半導体材料などの様々な他の化合物半導体材料において真である。
【0037】
炭化ケイ素は、イオン注入によって効果的にドープされ得るものであり、ドーパント・レベルは、典型的には、エピタキシャル成長の間にドープすることと比較して、改善された正確性を伴って制御され得る。しかしながら、縦型パワー炭化ケイ素デバイスでは、ドーパントは、1~3ミクロン以上の深さなど、デバイス内へと深く注入されることをしばしば必要とする。イオンが注入される深さは、注入物のエネルギーに直接的に関係付けられ、すなわち、より高いエネルギーで半導体層内へと注入されるイオンは、より深く層内へと進む傾向にある。かくして、深く注入された領域を形成することは、高いエネルギー注入物を要する。ドーパント・イオンが半導体層内へと注入されるとき、イオンは半導体層の結晶格子を損傷し、この損傷は、典型的には、熱アニーリングにより部分的に修復されるのみであり得る。なおまた、格子損傷の量は、さらには、注入物エネルギーに直接的に関係付けられ、より高いエネルギー注入物は、より低いエネルギー注入物より多い格子損傷を引き起こす傾向にあり、イオン注入物の均一性は、さらには、増大する注入物深さとともに減少する傾向にある。かくして、深さによる良好なドーピング均一性、及び/又は、格子損傷の許容レベルを有する、注入された領域を形成するために、複数個の連続するエピタキシャル成長/イオン注入ステップを実行して、深い注入物を形成することが必要であり得る。このことは、製造プロセスの複雑さ及びコストを著しく増大し得るものであり、多くの用例では商業的に実行可能な選択肢になり得ない。
【0038】
図1は、特許文献1で開示されているパワーMOSFETと同様である、従来のワイド・バンド・ギャップ・パワーMOSFET100の概略断面線図である。特許文献1の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0039】
図1で示されるように、パワーMOSFET100は、n型炭化ケイ素基板110を含む。n型炭化ケイ素ドリフト領域120が、基板110上に設けられる。適度にドープされたp型炭化ケイ素層(例えば、1×10
17から5×10
18ドーパント/cm
3のドーピング濃度)が、n型ドリフト領域120の上側表面上に形成される。適度にドープされたp型炭化ケイ素層に貫入して、適度にドープされたp型炭化ケイ素層を複数のpウェル170に分割する、ゲート・トレンチ180が形成される。ゲート絶縁層182が、各々のゲート・トレンチ180の下部表面及び側壁上に形成される。ゲート電極184が、それぞれのゲート・トレンチ180を充塞するために、各々のゲート絶縁層182上に形成される。デバイスの終端領域内へと延在する、適度にドープされたp型炭化ケイ素層(すなわち、pウェル170を形成するために使用される層)の一部分は、終端の効果的な動作のために、選択性エッチによって除去され、絶縁層186が、その一部分の場所に形成され得る。
【0040】
間をおいて離隔されたp型炭化ケイ素領域140が、イオン注入により、n型ドリフト領域120の上側表面内へと、pウェル170を貫いて形成される。間をおいて離隔されたp型炭化ケイ素ガード・リング150(又は、他の終端構造)が、デバイス100の終端領域内に形成される。領域140及び150は、適度にドープされたpウェル170より高濃度にドープされたp型であり得る。n型ドリフト領域120内へと延在する、p型炭化ケイ素領域140の部分は、ゲート絶縁層182を逆阻止動作の間の高電界から保護する遮蔽領域として働き得る。
【0041】
高濃度にドープされた(n+)n型炭化ケイ素ソース領域174が、イオン注入によって、pウェル170の上側部分内に形成される。ソース接触部190が、高濃度にドープされたn型ソース領域174上に、及び、pウェル170上に形成される。ドレイン接触部192が、基板110の下側表面上に形成される。ゲート接触部(示されない)が、各々のゲート電極174上に形成され得る。
【0042】
いろいろな問題が、上記で説明されたパワーMOSFET100で生出し得る。第1に、pウェル170は、典型的には、エピタキシャル成長の間にドープされる。上記で論考されたように、炭化ケイ素、及び、様々な他のワイド・バンド・ギャップ半導体材料では、エピタキシャル成長の間にドープするときに、一貫性のあるドーピング濃度を維持することは困難であり得るものであり、所望されるドーパント濃度からのドーピング・レベルの変動は、悪化したデバイス性能、及び/又は、デバイス故障の公算の増大を結果的に生じさせることがある。加うるに、成長の間にドープするとき、複数個の成長及びエッチング・ステップが実行されない限り、成長させられた層の中で、ドーパント濃度の局所的修整を実行することは可能でなく、そのことは、一般的には、大部分の用途にとって商業的に実用的でない。
【0043】
第2に、上記で説明された手法は、ウェハ上の各々のデバイスの終端領域内へと延在する、pウェル170を形成するために成長させられる、エピタキシャル成長させられた適度にドープされたp型層の部分の除去を要する。このエッチング・ステップは、典型的には、メサ・エッチングと呼称される。これは、追加される処理ステップをまさに必然的に含むのみでなく、それは、さらには、ウェハ表面内にミクロン・サイズの段部又は粗さを残すことがある。なおまた、メサ・エッチの間に生起するエッチングの量での不確定性が、終端構造のうちの、より多くのものの1つの、部分的な、又は完全でさえある除去を結果的に生じさせることがあり、オーバー・エッチング及び/又はアンダー・エッチングが、終端構造内の電荷レベルに不利に影響を及ぼすことがある。終端構造の性能は、電荷レベルに対して非常に敏感であり得るものであり、ゆえに、オーバー・エッチング及び/又はアンダー・エッチングは、終端構造の性能を著しく悪化させ、漏れ電流及び/又はデバイス故障の公算を増大することがある。
【0044】
本発明の実施例にしたがえば、深いトレンチ遮蔽領域と、埋め込まれた終端構造とを有する、パワーMOSFET及びパワーIGBTなどのゲート・トレンチ・ワイド・バンド・ギャップ・パワー半導体デバイスが提供される。実例実施例では、終端構造は、低濃度にドープされたp型又はn型半導体層の下の方に埋め込まれ得る。深いトレンチ遮蔽領域、及び終端構造は、デバイスのドリフト領域/電流広がり層(current spreading layer)の上側表面内へのイオン注入により形成され得るものであり、低濃度にドープされたp型又はn型半導体層は、次いで、注入の後に構造の上部上に成長させられ得るものであり、1つ又は複数の追加的な注入ステップが、ウェル領域、及び、高くドープされたソース領域を形成するために実行され得る。
【0045】
本発明の実施例によるゲート・トレンチ・パワー半導体デバイスは、従来のデバイスと比較して何個かの利点を呈し得る。例えば、ウェル領域は、エピタキシャル成長の間にドープすることによってではなく、イオン注入によって形成され得るので、ドーピング・レベルは、所望されるドーピング・レベルに、より近く維持され得る。加うるに、深いトレンチ遮蔽領域、及び接合終端構造が、ウェル領域の形成より前に形成されるので、イオンは、デバイス構造内へと深くというほど注入されることを必要とせず、ゆえに、より低い注入エネルギーで注入され得る。このことは、半導体層に対するイオン注入損傷を低減し得るものであり、注入の正確性及び一貫性を改善し得る。
【0046】
加うるに、エピタキシャル成長させられた低濃度にドープされた半導体層を終端構造上に設けることは、デバイスの終端領域内の表面電界を低下させ得る。なおまた、終端構造の上方で成長させられる半導体層は、低濃度にドープされるのみで(又は、アンドープでさえ)あり得るので、その半導体層は、接合終端内の電荷レベルに著しくは影響を及ぼし得ない。結果として、低濃度にドープされたエピタキシャル層は、本来の場所に残されてもよく、メサ・エッチは、いくつかの実施例では省略され得る。上記で論考されたように、オーバー・エッチング又はアンダー・エッチングがメサ・エッチの間に生起するならば、終端構造が損傷されることがあり、及び/又は、終端構造内の電荷レベルが不利にもたらされることがある。メサ・エッチが省略されるならば、デバイス悪化又は故障についてのこれらの潜在的な論点が除去され得る。なおまた、低濃度にドープされたエピタキシャル層が終端構造上にとどまるとき、そのエピタキシャル層は、さらには、保護層として役立ち得る。
【0047】
さらにまた、いくつかの事例では、ウェル領域内のドーピング濃度を、それらのウェル領域の水平断面に沿って変動させることが有利であることがある。上記で論考されたように、ウェル領域が、エピタキシャル成長の間にドープすることにより形成されるとき、そのような変動は、典型的には可能でない。しかしながら、ウェル領域はイオン注入により形成されるので、そのような変動は、異なる注入物マスクを伴うマルチ・ステップ注入処理を使用することにより施され得る。このことは、パワー半導体デバイスのチャネルの電気的性質の微細な修整を可能とし得るものであり、そのことは、そのパワー半導体デバイスの性能を改善し得る。本発明の実施例によるパワー半導体デバイスは、従来のデバイスより少ない処理ステップによって製作され得るものであり、ゆえに、作製するのに、より安価であり得るものであり、ゲート・トレンチに対する、より密接に離隔されたピッチを可能とし得るものであり、そのことは、阻止性能を改善し得る。
【0048】
本発明のいくつかの実施例によるパワー半導体デバイスは、活性領域と、終端領域とを含む半導体層構造を有し得る。半導体層構造は、炭化ケイ素などのワイド・バンド・ギャップ半導体材料から形成され得るドリフト領域を含む。遮蔽パターンが、活性領域内のドリフト領域の上側部分内に形成され得るものであり、終端構造(例えば、ガード・リング又は接合終端拡張)が、終端領域内のドリフト領域の上側部分内に形成され得る。遮蔽パターン及び終端構造は、イオン注入により形成され得る。半導体層構造は、終端構造の上方に延在し、終端構造を少なくとも部分的に被覆する、半導体層をさらに含み得る。ゲート・トレンチが、半導体層構造の上側表面内に形成され得る。ゲート・トレンチは、半導体層を貫いて形成され得る。
【0049】
本発明の追加的な実施例によるパワー半導体デバイスは、第1の導電型を有するドーパントによってドープされるワイド・バンド・ギャップ半導体材料から形成されるドリフト領域を含む半導体層構造を有し得る。ゲート・トレンチが、半導体層構造の上側表面内に形成され得る。第2の導電型を有するドーパントによってドープされる第1及び第2の遮蔽パターンが、ドリフト領域の上側部分内に形成される。第2の導電型を有するドーパントによってドープされる第1及び第2のウェル領域が、ゲート・トレンチの両側部上の、それぞれの第1及び第2の遮蔽パターンの上方に形成される。第2の導電型を有するドーパントによってドープされる終端構造が、さらには、ドリフト領域の上側部分内に形成される。ゲート・トレンチの第1の側部に直接的に近接する第1のウェル領域の部分は、半導体デバイスの第1のチャネルを備え、第1のチャネルは、第1のウェル領域の残部より低い、第2の導電型ドーパントの濃度を有する。
【0050】
本発明の実施例を、今から、
図2A~8を参照して説明する。本明細書で開示される異なる実施例の特徴は、多くの追加的な実施例を提供するように、任意の手立てで組み合わされ得るということが察知されるであろう。
【0051】
図2Aは、本発明の実施例による、埋め込まれたエッジ終端を有するゲート・トレンチ・パワーMOSFET200の一部分の概略平面視図であり、ソース接触部は、下の方にある半導体層をより良好に示すために省略されている。
図2Bは、
図2Aの線2B-2Bに沿ってとられる、ゲート・トレンチ・パワーMOSFET200の概略断面視図であり、ソース接触部が追加されている。
図2A~2Bで示される、及び/又は、下記で説明される、具体的な層構造、ドーピング濃度、材料、導電型、及び同類のものは、単に、具体的な実例実施例の構造を詳細に例示するための実例として提供されるということが察知されるであろう。かくして、下記で論考される具体的な詳細は、添付される特許請求の範囲で説明される本発明に対して制限的ではない。
【0052】
図2A~2Bを参照すると、パワーMOSFET200は、活性領域202と、活性領域202を包囲する終端領域204とを含む。パワーMOSFET200は、平行に配設される複数のユニット・セルを含み得る。
図2A~2Bは、単一のパワーMOSFET200の一部分を図示するのみであるが、複数のパワーMOSFET200が単一のウェハ上に成長させられ得るということが察知されるであろう。おおよそ2つのユニット・セル、及び、終端領域204の一部分が、
図2A~2Bで示される。
【0053】
図2A~2Bで示されるように、パワーMOSFET200は、高濃度にドープされた(n
+)n型ワイド・バンド・ギャップ半導体基板210を含む。基板210は、単結晶4H炭化ケイ素半導体基板を備え得る。基板210は、n型不純物によってドープされ得る(すなわち、n
+炭化ケイ素基板)。不純物は、例えば、窒素、又は、リンのものを備え得る。基板210のドーピング濃度は、例えば、1×10
18原子/cm
3から1×10
21原子/cm
3の間であり得るが、他のドーピング濃度が使用されてもよい。基板210は、任意の適切な厚さ(例えば、100ミクロンから500ミクロンの間の厚さ)であり得る。
【0054】
低濃度にドープされた(n-)炭化ケイ素ドリフト領域220が、基板210上に設けられる。炭化ケイ素ドリフト領域220は、エピタキシャル成長により炭化ケイ素基板210上に形成され得る。炭化ケイ素ドリフト領域220は、例えば、1×1016から5×1017ドーパント/cm3のドーピング濃度を有し得る。炭化ケイ素ドリフト領域220は、例えば3~100ミクロンの、基板210の上方の垂直高さを有する厚い領域であり得る。炭化ケイ素ドリフト領域220の上側部分は、n型炭化ケイ素電流広がり層(「CSL」)230を備え得る。n型炭化ケイ素電流広がり層230は、n型炭化ケイ素ドリフト領域220の残部と同じ処理ステップで成長させられ得るものであり、炭化ケイ素ドリフト領域220の一部であるとみなされ得る。電流広がり層230は、より低濃度にドープされたn-炭化ケイ素ドリフト層220の残部のドーピング濃度を超過するドーピング濃度(例えば、1×1017から5×1018ドーパント/cm3のドーピング濃度)を有する、適度にドープされた電流広がり層230であり得る。
【0055】
間をおいて離隔されたp型炭化ケイ素遮蔽領域240が、次いで、デバイス200の活性領域202内のn型ドリフト領域220/電流広がり層230の上側表面内に形成され得る。遮蔽領域240は、さらには、本明細書では遮蔽パターン240と呼称され得る。同時に、間をおいて離隔されたp型炭化ケイ素ガード・リング250が、デバイス200の終端領域204内に形成され得る。p型炭化ケイ素遮蔽領域240及びp型炭化ケイ素ガード・リング250は、おおよそ同じ深さまで、ドリフト層220/電流広がり層230内へと延在し得る。実例実施例では、深さは約1~2ミクロンであり得るが、他の深さが使用されてもよい。例えば、0.5から3ミクロンの深さが、他の実施例で使用され得る。1.5から3ミクロンの深さが、なおも他の実施例で使用され得る。p型炭化ケイ素遮蔽領域240及びp型炭化ケイ素ガード・リング250は、n型ドリフト領域220/電流広がり層230の上側表面内へのイオン注入により形成され得る。当業者に知られているように、n型又はp型ドーパントなどのイオンは、所望されるイオン種をイオン化し、イオンをあらかじめ決定された運動エネルギーで、イオン・ビームとして、イオン注入ターゲット・チャンバ内の半導体層の表面に向けて加速することにより、半導体層又は領域内に注入され得る。あらかじめ決定された運動エネルギーに基づいて、所望されるイオン種が、所定の深さまで、半導体層内へと貫入し得る。
【0056】
ガード・リング250は、活性領域202を包囲するために、終端領域204内に形成される。ガード・リング250は、それらが炭化ケイ素層260(下記で説明される)の真下にあるので、
図2Aでは可視でないが、ガード・リング250の位置は、250で標示される、ドットで描いた矩形により
図2Aで示される。
図2A~2BはMOSFET200の一部分を図示するのみであるので、ガード・リング250の一部分のみが
図2Aで示されるということが察知されるであろう。完全な形のMOSFET200では、ガード・リング250は、平面視図で観視されるときに、活性領域202を囲繞する、同心の丸み付けされた矩形を構成し得る。ガード・リング250は、エッジ終端構造を備え得る。パワーMOSFET200などのパワー半導体デバイスが阻止状態で動作させられるとき、漏れ電流が、電圧が増大される際に、活性領域のエッジで流れ始めることがある。漏れ電流は、これらのエッジ領域内で流れる傾向にあり、なぜならば、デバイスのエッジでの電界集中効果が、これらの領域内の増大される電界を結果的に生じさせることがあるからである。デバイス上の電圧が、降伏電圧を過ぎて重大なレベルに増大されるならば、増大する電界が、半導体デバイスの中の電荷キャリアの逃走発生を結果的に生じさせ、アバランシェ降伏につながることがある。アバランシェ降伏が生起するとき、電流は、急激に増大し、制御不能になり得るものであり、アバランシェ降伏事象は、半導体デバイスを損傷又は破壊することがある。
【0057】
この電界集中(及び、結果的に生じる増大された漏れ電流)を低減するために、パワーMOSFET200の活性領域202の一部又はすべてを包囲する、ガード・リング250などのエッジ終端構造が設けられ得る。これらのエッジ終端構造は、より大である区域にわたって電界を広げ、そのことにより、電界集中を低減するように設計され得る。ガード・リングは、1つの知られているタイプのエッジ終端構造である。
図2A~2Bで示されるように、ガード・リング250は、間をおいて離隔されたp型トレンチを備え得る。
図2A及び2Bは、4つのガード・リング250をエッジ終端構造として使用するパワーMOSFET200を例示するが、異なる数のガード・リング250が使用され得るということ、及び、他のエッジ終端構造が使用され得るということが察知されるであろう。例えば、他の実施例では、ガード・リング250は、接合終端拡張によって置換され得る。エッジ終端構造は、いくつかの実施例では省略され得るということがさらには察知されるであろう。
【0058】
低濃度にドープされたn型又はp型(又は、アンドープの)炭化ケイ素層260が、n型ドリフト領域220/電流広がり層230の上側表面上に、並びに、p型炭化ケイ素遮蔽領域240及びp型炭化ケイ素ガード・リング250上に設けられる。炭化ケイ素層260は、エピタキシャル成長により形成され得る。いくつかの実施例では、炭化ケイ素層260は、例えば1×10
16/cm
3未満のドーピング濃度を有し得る。他の実施例では、炭化ケイ素層260は、1×10
15/cm
3未満のドーピング濃度を有し得る。pウェル270が、p型炭化ケイ素遮蔽領域240の上方の、低濃度にドープされたn型又はp型(又は、アンドープの)炭化ケイ素層260内に形成され得る。pウェル270は、低濃度にドープされたn型又はp型(又は、アンドープの)炭化ケイ素層260内に形成される、適度にドープされたp型炭化ケイ素領域を備え得る。pウェル270は、例えば5×10
16/cm
3から5×10
17/cm
3の間のドーピング濃度を有し得る。いくつかの実施例では、pウェル270は、イオン注入により形成され得る。各々のpウェルの上側部分272は、p型ドーパントによって、より高濃度にドープされ得る。各々のpウェル270の上側部分272は、例えば2×10
17/cm
3から1×10
20/cm
3の間のドーピング濃度を有し得る。各々のpウェル270の、より高濃度にドープされた部分272(pウェル270の残部と同じ導電型、及び、下記で論考されるソース領域274の導電型の反対の導電性を有する)は、低濃度にドープされた炭化ケイ素層260の上側表面へと延在し得る。
図2Bで示されるように、いくつかの実施例では、pウェル270の、より高濃度にドープされた部分272は、下向きに延在して、p型炭化ケイ素遮蔽領域240と接触し得る。pウェル270の、より高濃度にドープされた部分272は、ソース接触部290(下記で説明される)とp型遮蔽領域240との間の良好な電気的接続を提供し得る。pウェル270(その、より高濃度にドープされた上側部分272を含む)は、イオン注入により形成され得る。n型炭化ケイ素基板210、n型炭化ケイ素ドリフト領域220/電流広がり層230、p型炭化ケイ素遮蔽領域240、p型炭化ケイ素ガード・リング250、低濃度にドープされた炭化ケイ素層260、及びpウェル270(下記で論考される、それらのpウェル270内に形成される領域272、274を含む)は、一体で、半導体デバイス200の半導体層構造を構成し得る。
【0059】
ゲート・トレンチ280が、炭化ケイ素層260内に(又は、pウェルが、活性領域202の全体を通してブランケット注入ステップにより形成されるならば、pウェル270内に)形成される。ゲート・トレンチ280は、さらには、n型ドリフト領域220/電流広がり層230の上側表面内へと延在し得る。ゲート・トレンチ280は、
図2Bで示されるように、いくつかの実施例では、Uの形状をした断面を有し得る。Uの形状をした断面を伴って設けられるゲート・トレンチ280の下部エッジの丸み付けは、ゲート・トレンチ280の下部隅部での電界を低減する一助となり得る。丸み付けされた隅部は、いくつかの実施例では省略され得る。酸化ケイ素層などのゲート絶縁層282が、各々のゲート・トレンチ280の下部表面及び側壁上に形成される。ゲート電極284が、各々のゲート絶縁層282上に形成される。各々のゲート電極284は、そのそれぞれのゲート・トレンチ280の残部を充塞し得る。ゲート電極284は、例えば、半導体ゲート電極又は金属ゲート電極を備え得る。ゲート・トレンチ280の向き、サイズ、及び形状は、オン状態でのチャネル抵抗と、オフ状態での電圧阻止性能との間の、所望される均衡を提供するように選択され得る。
【0060】
高濃度にドープされた(n+)n型炭化ケイ素ソース領域274が、pウェル270の上側部分内に形成され得る。n型ソース領域274は、イオン注入により形成され得る。各々のn型ソース領域274は、pウェルの、より高濃度にドープされた部分272のうちのそれぞれの1つに直接的に近接し、接触していることがある。高濃度にドープされた(n+)n型炭化ケイ素領域274は、ユニット・セルに含まれる個々のトランジスタに対するソース領域として働く。ドリフト領域220/電流広がり層230、及び基板210は、一体で、パワーMOSFET200に対する共通ドレイン領域として働く。
【0061】
ソース接触部290が、pウェルの、高濃度にドープされたn型ソース領域274、及び、より高濃度にドープされた部分272上に形成され得る。ソース接触部290は、すべて、単一のソース接触部を形成するために、電気的に接続され得る。ソース接触部290は、例えば、ニッケル、チタン、タングステン、若しくはアルミニウムなどの金属、又は、これら若しくは同様の材料の、合金若しくは薄層積重体を備え得る。ドレイン接触部292が、基板210の下側表面上に形成され得る。ドレイン接触部292は、例えば、ソース接触部と同様の材料を備え得るものであり、なぜならば、これは、炭化ケイ素基板に対するオーミック接触部を形成するからである。ゲート接触部(示されない)が、各々のゲート電極274に電気的に接続され得る。
【0062】
垂直チャネル領域276が、ゲート絶縁層282に近接して、pウェル270内に形成される。電流は、
図2Bで矢印により示されるように、電圧がゲート電極284に付与されるとき、n型ソース領域274からチャネル領域276を通ってドリフト領域220/電流広がり層230へと流れ得る。
【0063】
終端領域204内にある、低濃度にドープされた炭化ケイ素層260の部分は、注入されないことがある。実例実施例では、終端領域204内の低濃度にドープされた炭化ケイ素層260のドーピング濃度は、1×1015/cm3から1×1016/cm3の間であり得る。他の実施例では、終端領域204内の低濃度にドープされた炭化ケイ素層260のドーピング濃度は、1×1015/cm3未満であり得る。終端領域204内にある、低濃度にドープされた炭化ケイ素層260の部分は、ガード・リング250の上方であり得るものであり、ガード・リング250を保護し得る。
【0064】
p型炭化ケイ素遮蔽領域240は、ゲート・トレンチ280に近く延在し得る。ドリフト領域220/電流広がり層230の小さいセクションが、ゲート・トレンチ280と、近接するp型炭化ケイ素遮蔽領域240との間にあり得る。これらの小さいセクションは、それぞれのチャネル276を通って流れる電流のためのドレイン接触部292への電流経路として役立つ。p型炭化ケイ素遮蔽領域240は、デバイスが逆阻止状態で動作させられるときにドリフト領域220内で形を成す電界が、チャネル領域276に向けて上向きに延在する度合を低減する一助となり得る。電界は、高すぎるならば、ゲート絶縁層282の下側部分を経時的に悪化させることがあり、そのことが、ついにはデバイス故障を結果的に生じさせることがある。
【0065】
pウェル270、及び、低濃度にドープされた炭化ケイ素層260は、
図2A~2Bの実施例では、垂直方向での同じ厚さを有する。このことは、実情であることを必要としない。他の実施例では、低濃度にドープされた炭化ケイ素層260は、pウェル270より厚いことがある。なおも他の実施例では、低濃度にドープされた炭化ケイ素層260は、pウェル270より薄いことがある。終端領域204内の低濃度にドープされた炭化ケイ素層260の上側表面は、いくつかの実施例では、それぞれのpウェル270の上側表面と同一面であり得る。
【0066】
図2Cは、pウェル270の下側部分を貫いてとられる、パワーMOSFET200を貫く水平断面(すなわち、基板210の下部表面に平行にとられる断面)である。
図2Cで示されるように、pウェル270は、低濃度にドープされた炭化ケイ素層260内へのp型ドーパントのブランケット注入処理を実行することにより形成され得る。pウェル270は、実例実施例では、ゲート・トレンチ280より前に形成され得るものであり、そのため、ゲート・トレンチ280は、注入された層を複数のpウェル270に分割するために、ブランケット注入処理が実行される後に、炭化ケイ素層260を貫いてエッチングされ得る。
図2Cで確認され得るように、pウェル270を形成するブランケット注入物は、MOSFET200の終端領域204内へと延在しない。
【0067】
図2A~2Cを参照すると、高濃度にドープされた遮蔽領域240、pウェル270の高濃度にドープされた部分272、ソース領域274、垂直チャネル276、ゲート・トレンチ280、ゲート絶縁層282、及びゲート電極284は、すべて、同じ方向で、平行なストライプで延在し得るということが確認され得る。上記で触れられたように、pウェル270は、活性領域202の全体を通してブランケット注入処理により形成され得る。
【0068】
パワーMOSFET200は、従来のパワーMOSFET設計に勝るいろいろな利点を呈し得る。第1に、上記で説明されたように、低濃度にドープされたエピタキシャル層260は、完成されたデバイス内の本来の場所に残されてもよい。そのようなものとして、そのエピタキシャル層260は、ガード・リング250などの終端構造を保護することに役立ち得るものであり、さらには、デバイスの終端領域204内の表面電界を低下させ得る。第2に、メサ・エッチに対する必要性が消失させられ得るので、終端構造250の性能に不利に影響を及ぼすことがある、終端領域204内のオーバー・エッチング又はアンダー・エッチングが回避され得る。第3に、pウェル270はイオン注入によって形成されるので、ドーピング・レベルは、所望されるドーピング・レベルに、pウェル270がエピタキシャル成長プロセスによって形成されるときに可能であるより近く維持され得る。第4に、深いトレンチ遮蔽領域240、及び終端構造250が、pウェル270の形成より前に形成されるので、イオンは、デバイス構造内へと深くというほど注入されることを必要とせず、ゆえに、より低い注入エネルギーで注入され得るものであり、そのことは、イオン注入損傷を低減し、並びに/又は、注入の正確性及び一貫性を改善し得る。第5に、pウェル270はイオン注入によって形成されるので、pウェル270内のドーピング濃度は、それらのpウェル270の水平断面に沿って変動させられ得る。このことは、パワー半導体デバイスのチャネルの電気的性質の微細な修整を可能とし得るものであり、そのことは、そのパワー半導体デバイスの性能を改善し得る。第6に、本発明の実施例によるパワー半導体デバイスは、従来のデバイスより少ない処理ステップによって製作され得るものであり、ゆえに、作製するのに、より安価であり得るものであり、ゲート・トレンチに対する、より密接に離隔されたピッチを可能とし得るものであり、そのことは、阻止性能を改善し得る。
【0069】
図3Aは、不均一にドープされたウェル領域を含む、本発明のさらなる実施例によるゲート・トレンチ・パワーMOSFET300の概略断面線図である。パワーMOSFET300は、
図2A~2Bを参照して上記で論考されたパワーMOSFET200と同様であるので、パワーMOSFET300の同類の要素は、同じ参照番号を使用して番号付けされ、それらの要素はすでに上記で説明されたので、下記ではさらに論考されないことになる。後に続く論考は、パワーMOSFET300とパワーMOSFET200との間の違いに着目することになる。
【0070】
図3Aで示されるように、パワーMOSFET300は、
図2A~2BのパワーMOSFET200の対応する要素とは異なる、低濃度にドープされた炭化ケイ素層360と、pウェル370とを含む。特に、パワーMOSFET300では、低濃度にドープされた炭化ケイ素層360は、低濃度にドープされたp型炭化ケイ素層360として形成される。低濃度にドープされたp型炭化ケイ素層360は、エピタキシャル成長によって形成され得るものであり、成長の間にドープされ得る。低濃度にドープされたp型炭化ケイ素層360内に形成されるpウェル370は、パワーMOSFET200のpウェル270と比較して、異なる形状を有し得る。特に、pウェル370は、ゲート・トレンチ280までずっと延在するのではなく、代わりに、各々のpウェル370は、低濃度にドープされたp型炭化ケイ素層360のそれぞれの部分362により、ゲート絶縁層282から間をおいて離隔される。低濃度にドープされたp型炭化ケイ素層360の部分362は、パワーMOSFET300のチャネル376を備え得る。かくして、各々のチャネル376は、pウェル370のうちの1つと、ゲート・トレンチ280のうちの1つとの間にあり得る。低濃度にドープされた炭化ケイ素層360はp型炭化ケイ素層であるので、チャネル376はp型チャネルであるということが留意されるべきである。チャネル376は、しかしながら、pウェル370より低濃度にドープされ得るものであり、ゆえに、pウェル370とは異なるとみなされる。
【0071】
pウェル370は、p型イオンを、低濃度にドープされたp型炭化ケイ素層360の部分362内へと注入しない、低濃度にドープされたp型炭化ケイ素層360内への選択的イオン注入により形成され得る。各々のpウェル370は、それでもなお、上向きに延在して、ソース接触部290のうちのそれぞれの1つと接触し得る、そのpウェル370の中央での、より高濃度にドープされた部分372を含み得る。
【0072】
ゲート・トレンチ282から間をおいて離隔される、低濃度にドープされたp型炭化ケイ素層360の領域内のpウェル370を形成することのみにより、より良好な性質を有するチャネル376を達成することが可能であり得る。特に、pウェル370は、チャネル376がpウェル370内に形成されないので、パワーMOSFET200のpウェル270より高くドープされ得る。pウェル370内の、より高いp型ドーパント濃度は、高電界がドリフト領域220及び電流広がり層230内に形成されるときの障壁低下を低減することにより、阻止状態でのパワーMOSFET300の電界阻止性質を改善し得る。チャネル376内の、より低いドーピングは、パワーMOSFET300のオン状態抵抗を低下させる、チャネル376内の高い電子移動度を維持する一助となる。pウェル370は、エピタキシャル成長(上記で論考されているパワーMOSFET100での実情であるが)と対比されるものとしてのイオン注入により形成されるので、より低くドープされたチャネル376が、製作プロセスの間に容易に形成され得る。
【0073】
図3AのパワーMOSFET300では、pウェル370は、線図内へと延在する棒形状を有する。よって、pウェル370を貫いてとられるパワーMOSFET300の水平断面では(すなわち、基板210の上側表面と平行な平面でとられる断面では)、pウェル370は、互いに平行に、及び、ゲート・トレンチ280に平行に延在する、一連の、間をおいて離隔されるストライプとして現れることになる。このことは
図3Bで示されており、その
図3Bは、pウェル370の下側部分を貫いてとられる、パワーMOSFET300を貫く水平断面である。
【0074】
しかしながら、
図3A~3BのパワーMOSFET300のpウェル370は、多種多様の異なる形状を有するpウェルによって置換され得るということが察知されるであろう。例えば、
図4Aは、パワーMOSFET300のわずかに修正されたバージョンであるパワーMOSFET400Aを例示する。上記で触れられたように、パワーMOSFET300は、ゲート・トレンチ380に平行に延在するストライプで形成されるpウェル370を有する。パワーMOSFET400Aは、ゲート・トレンチ280の垂線方向に延在するストライプで形成されるpウェル470Aを有する。pウェル470Aストライプの間の間隙は、デバイスのオン状態抵抗を低下させる一助となり得る、チャネル移動度を増大することの一助となり、一方で、それでもなお、オフ状態での高電界を阻止するように、最適な量の低くドープされた炭化ケイ素をチャネル領域内に残すように調整され得る。
図4Bは、正方形ドットとして形成されるpウェル470Bを有する、パワーMOSFET300の別のわずかに修正されたバージョンであるパワーMOSFET400Bを例示する。他の形状をした「ドット」が使用されてもよい。pウェル・ドット470Bのうちの近接するものの間の間隙、及び、pウェル・ドット470Bとゲート・トレンチ280との間の間隙は、デバイスのオン状態抵抗を低下させる一助となり得る、チャネル移動度を増大することの一助となり、一方で、それでもなお、オフ状態での高電界を阻止するように、所望される、又は最適な量の低くドープされた炭化ケイ素を残すように調整され得る。これらの代替的な幾何学的配置設計は、デバイスの特性オン抵抗を低下させる、MOSチャネルの、より大であるパッキング密度を可能とする。かくして、デバイスは、所与の抵抗仕様に対して、より小さく作製され得るものであり、又は、より多くの電流が、所与の区域を伴うデバイスを通って流れ得る。
【0075】
本明細書で開示されるMOSFET設計のすべては、
図2A~4Bで図示されるMOSFETに含まれる単純なストライプ模様のゲート・トレンチ配置設計に代えて、より複雑なゲート・トレンチ配置設計を有するMOSFETに適用され得る。例えば、ストライプ模様のゲート・トレンチ設計を、スクリーン・パターンを形成するゲート・トレンチの十字模様のアレイによって置換するMOSFETが、さらには、本発明のさらなる実施例によって提供され得る。同じように、他の実施例では、ゲート・トレンチは、六角形のトレンチ・パターンを形成するために(平面視図で観視されるときに)六角形に向きを設定されたストライプで配設され得るものであり、本発明の実施例による技法が、チャネル領域の付近に、注入されたpウェル、及び、低くドープされた領域を形成するために適用され得る。
【0076】
図5は、各々のゲート・トレンチの直接的に下の方に遮蔽物を含む、本発明のなおもさらなる実施例によるゲート・トレンチ・パワーMOSFET500の概略断面線図である。パワーMOSFET500は、
図2A~2Cを参照して上記で論考されたパワーMOSFET200と同様であるので、パワーMOSFET500の同類の要素は、同じ参照番号を使用して番号付けされ、それらの要素はすでに上記で説明されたので、下記ではさらに論考されないことになる。後に続く論考は、パワーMOSFET500とパワーMOSFET200との間の違いに着目することになる。
【0077】
図5で示されるように、パワーMOSFET500は、パワーMOSFET500がゲート・トレンチ280の各々の真下にp型炭化ケイ素遮蔽領域542を含むということを除いて、パワーMOSFET200と同一であり得る。p型炭化ケイ素遮蔽領域542は、ゲート絶縁層282を逆阻止動作の間の高電界からさらに遮蔽し得る。p型炭化ケイ素遮蔽領域542は、p型遮蔽領域240に電気的に接続され得る。これらの電気的接続は、
図5で示されないが、例えばドリフト領域220の中の埋め込まれた接続として実装され得る。
【0078】
図6Aは、本発明の実施例による、nチャネル炭化ケイ素パワーIGBT600の単純化された回路線図である。
図6Bは、
図6AのIGBT600の概略断面線図である。
【0079】
図6Aで示されるように、IGBT600は、ベースと、エミッタと、コレクタとを有するp-n-p炭化ケイ素パワーBJT607を含む。IGBT600は、ゲートと、ソースと、ドレインとを有する炭化ケイ素MOSFET609をさらに含む。炭化ケイ素MOSFET609のソースは、炭化ケイ素パワーBJT607のベースに電気的に接続され、炭化ケイ素MOSFET609のドレインは、炭化ケイ素パワーBJT607のコレクタに電気的に接続される。約束事により、BJT607のコレクタは、IGBT600のエミッタ603であり、BJT607のエミッタは、IGBT600のコレクタ605であり、MOSFET609のゲート684は、IGBT600のゲート601である。
【0080】
IGBT600は、後に続くように動作し得る。外部駆動回路が、ゲート・バイアス電圧をMOSFET609に付与するために、IGBT600のゲート601に接続される。この外部駆動回路が、MOSFET609のしきい値電圧より大である、IGBT600のゲート601への電圧を付与するとき、IGBT600のn+エミッタ603をBJT607のベースに電気的に接続するチャネル676として働く反転層が、ゲート601のそばにある半導体層内に形成される。IGBT600のゲート601は、MOSFET609のゲート684であるということに留意されたい。電子が、n+エミッタ領域603から、チャネル676を通って、BJT607のベース内へと注ぎ込まれる。この電子電流は、BJT607を駆動するベース電流として働く。この電子電流に応答して、正孔が、IGBT600のコレクタ605から、BJT607のベースをわたって、IGBT600のエミッタ603へと注ぎ込まれる。かくして、炭化ケイ素MOSFET609は、炭化ケイ素パワーBJT607を電流駆動のデバイスから電圧駆動のデバイスに変換し、そのことは、単純化された外部駆動回路を可能とし得る。炭化ケイ素MOSFET609は、ドライバ・トランジスタとして働き、炭化ケイ素パワーBJT607は、IGBT600の出力トランジスタとして働く。
【0081】
図6Bは、パワーIGBT600の1対のユニット・セルと、そのエッジ終端領域とを例示する、
図6AのIGBT600の一部分の概略断面線図である。パワーIGBT600を形成するために、典型的には、大きい数のユニット・セルが平行に実装されるということが察知されるであろう。
【0082】
図6Bで示されるように、IGBT600は、例えば、高濃度にドープされたp型炭化ケイ素層610上に形成され得る。p型層610は、例えば、炭化ケイ素基板上にエピタキシャル成長させられ得るものであり、基板は、その後除去され得る。p
+層610は、IGBT600のコレクタ605として(及び、ゆえに、さらには、BJT607のエミッタとして)働く。低濃度にドープされたn型(n
-)炭化ケイ素ドリフト層620が、p型層610上に設けられる。適度にドープされたn型炭化ケイ素電流広がり層630が、ドリフト領域620の上側部分内に設けられる。n型炭化ケイ素層620、630は、BJT607のベースとして、及び、MOSFET609のソース領域として働く。n型炭化ケイ素層620、630は、エピタキシャル成長によって形成され得る。
【0083】
高濃度にドープされたp型炭化ケイ素遮蔽領域640が、デバイス600の活性領域602内のn型電流広がり層630の上側表面内に形成される。間をおいて離隔されたp型炭化ケイ素ガード・リング650が、さらには、デバイス600の終端領域604内に形成され得る。p型炭化ケイ素遮蔽領域640及びp型炭化ケイ素ガード・リング650は、おおよそ同じ深さまで、電流広がり層630内へと延在し得るものであり、n型電流広がり層630の上側表面内へのイオン注入により形成され得る。ガード・リング650は、他の実施例では、他の終端構造によって置換され得る。
【0084】
低濃度にドープされたn型又はp型(又は、アンドープの)炭化ケイ素層660が、n型電流広がり層630の上側表面上に、並びに、p型炭化ケイ素遮蔽領域640及びp型炭化ケイ素ガード・リング650上に設けられる。炭化ケイ素層660は、エピタキシャル成長により形成され得る。pウェル670が、p型炭化ケイ素遮蔽領域640の上方の、低濃度にドープされたn型又はp型(又は、アンドープの)炭化ケイ素層660内に形成され得る。pウェル670は、炭化ケイ素層660内に形成される、適度にドープされたp型炭化ケイ素領域を備え得る。いくつかの実施例では、pウェル670は、イオン注入により形成され得る。各々のpウェル670の上側部分は、高濃度にドープされたp+炭化ケイ素エミッタ領域672(さらには、BJT607のコレクタとして働く)を形成するために、p型ドーパントによって、より高濃度にドープされ得る。高濃度にドープされた(n+)n型炭化ケイ素ドレイン領域674が、それぞれの高濃度にドープされたp型炭化ケイ素エミッタ領域672に近接して、pウェル670の上側部分内に形成され得る。各々のn型ドレイン領域674は、より高濃度にドープされたp型炭化ケイ素エミッタ領域672のうちのそれぞれの1つに直接的に近接し、接触していることがある。
【0085】
このn+炭化ケイ素ドレイン領域674は、IGBT600に対する共通ドレインとして働く。オーミック接触部690が、p+炭化ケイ素エミッタ領域672及びn+炭化ケイ素ドレイン領域674と接触するように形成され、オーミック接触部692が、p+炭化ケイ素層610の背面側部上に形成される。
【0086】
ゲート・トレンチ680が、炭化ケイ素層660内に形成される。ゲート・トレンチ680は、さらには、n型電流広がり層630の上側表面内へと延在し得る。ゲート・トレンチ680は、Uの形状をした断面を有し得る。酸化ケイ素層などのゲート絶縁層682が、各々のゲート・トレンチ680の下部表面及び側壁上に形成される。IGBT600のゲート601として働くゲート電極684が、それぞれのゲート・トレンチ680を充塞するように、各々のゲート絶縁層682上に形成される。ゲート電極684は、例えば、半導体ゲート電極又は金属ゲート電極を備え得る。ゲート接触部(示されない)が、各々のゲート電極684に電気的に接続され得る。
【0087】
pウェル670は、ゲート・トレンチ680までずっと延在し得るものではなく、代わりに、各々のpウェル670は、低濃度にドープされたp型炭化ケイ素層660のそれぞれの部分662により、ゲート絶縁層682から間をおいて離隔されることがある。低濃度にドープされたp型炭化ケイ素層660の部分662は、パワーIGBT600のMOSFET609の垂直チャネル676を備え得る。各々のチャネル676は、pウェル670のうちの1つと、ゲート・トレンチ680のうちの1つとの間にあり得る。チャネル676は、低濃度にドープされた炭化ケイ素層660をp型炭化ケイ素層として成長させることにより、p型チャネルであるように作製され得る。チャネル676は、しかしながら、pウェル670より低濃度にドープされ得る。
【0088】
MOSFET609の垂直チャネル領域676は、n+ドレイン領域674とn型電流広がり層630との間の、ゲート絶縁層682に近接するpウェル670内に形成される。
【0089】
終端領域604内にある、低濃度にドープされた炭化ケイ素層660の部分は、注入されないことがある。実例実施例では、終端領域604内の低濃度にドープされた炭化ケイ素層660のドーピング濃度は、1×1015/cm3から1×1016/cm3の間であり得る。別の実施例では、終端領域604内の低濃度にドープされた炭化ケイ素層660のドーピング濃度は、1×1015/cm3未満であり得る。
【0090】
IGBT600の動作を、今から論考する。MOSFET609のしきい値電圧を超過するバイアス電圧がゲート601に付与されるとき、電子電流が、
図6Bで実線の肉太の矢印により指示されるように、MOSFET609のチャネル676をわたって、BJT607のベース内へと流れる。このベース電流に応答して、正孔電流(
図6Bで破線の矢印により示される)が、IGBT600の高濃度にドープされたp型エミッタ領域672から、pウェル670を通って、IGBT600のコレクタ605へと流れる。
【0091】
図7A~7Gは、
図2A~2Cのゲート・トレンチ・パワーMOSFET200を製作する方法を例示する概略断面線図である。最初に
図7Aを参照すると、パワーMOSFETの活性領域202に対応することになる第1の部分と、活性領域202を包囲する終端領域204に対応することになる第2の部分とを含む、高濃度にドープされた(n
+)n型炭化ケイ素基板210が設けられる。低濃度にドープされた(n
-)炭化ケイ素ドリフト領域220が、エピタキシャル成長によって基板210上に形成される。n
-炭化ケイ素ドリフト層220の上側部分を構成する、n型炭化ケイ素電流広がり層230が形成される。
【0092】
図7Bを参照すると、イオン注入が、活性領域202内の、複数の、間をおいて離隔されたp型炭化ケイ素遮蔽領域240と、終端領域204内の、複数のp型炭化ケイ素ガード・リング250とを形成するために使用され得る。p型炭化ケイ素遮蔽領域240及びp型炭化ケイ素ガード・リング250は、デバイス200のn型電流広がり層230の上側表面内に形成され得るものであり、おおよそ同じ深さまで延在し得る。
【0093】
図7Cを参照すると、低濃度にドープされたn型炭化ケイ素層260が、n型電流広がり層230の上側表面上に、p型炭化ケイ素遮蔽領域240上に、及び、p型炭化ケイ素ガード・リング250上に形成される。炭化ケイ素層260は、エピタキシャル成長により形成され得る。
【0094】
図7Dを参照すると、活性領域202内にある、炭化ケイ素層260の部分は、イオン注入によってp型炭化ケイ素領域へと変換される。ゲート・トレンチ280が、次いで、p型炭化ケイ素領域内に、標準的なフォトリソグラフィ及びエッチング技法を使用して形成される。ゲート・トレンチ280の形成は、p型炭化ケイ素領域を、複数のpウェル270へと変換する。ゲート・トレンチ280は、n型電流広がり層230の上側表面内へと延在し、いくつかの実施例では、Uの形状をした断面を有し得る。
【0095】
図7Eを参照すると、酸化ケイ素層などのゲート絶縁層282が、各々のゲート・トレンチ280の下部表面及び側壁上に形成される。ゲート電極284が、各々のゲート絶縁層282上に形成される。各々のゲート電極284は、そのそれぞれのゲート・トレンチ280の残部を充塞し得る。
【0096】
図7Fを参照すると、別のイオン注入ステップが、次いで、各々のpウェルの部分272を、p型ドーパントによって、より高濃度にドープするために実行され得る。別のイオン注入ステップが、次いで、高濃度にドープされた(n
+)n型炭化ケイ素ソース領域274を、pウェル270の上側部分内に形成するために実行される。いくつかの実施例では、領域272、274を形成するために使用されるイオン注入ステップの1つ又は両方は、ゲート・トレンチ280、ゲート絶縁層282、及び/又は、ゲート電極284の形成より前に実行され得る。
【0097】
図7Gを参照すると、ソース接触部290が、pウェルの、高濃度にドープされたn型ソース領域274、及び、より高濃度にドープされた部分272上に形成される。ドレイン接触部292が、基板210の下側表面上に形成される。垂直チャネル領域276が、ゲート絶縁層282に近接して、pウェル270内に設けられる。
【0098】
図8は、本発明の実施例による、埋め込まれたエッジ終端を有するゲート・トレンチ・パワー半導体デバイスを製作する方法を例示するフロー・チャートである。
図7A及び8で示されるように、動作は、半導体基板上のワイド・バンド・ギャップ半導体ドリフト領域のエピタキシャル成長によって始まり得る(ブロック700)。ドリフト領域及び半導体基板は、各々、第1の導電型を有するドーパントによってドープされる。ドリフト領域の上側部分は、電流広がり層をドリフト領域の上側部分内に設けるために、第1の導電型ドーパントによって、より高くドープされ得る。
図7B及び8を参照すると、第2の導電型ドーパントが、次に、終端構造を半導体デバイスの終端領域内に形成するために、及び、遮蔽パターンを半導体デバイスの活性領域内に形成するために、ドリフト領域の上側表面(電流広がり層であり得る)内へと注入され得る(ブロック710)。第2の導電型は、第1の導電型の反対である。
【0099】
図7C及び8を参照すると、低濃度にドープされた半導体層(いくつかの実施例では、アンドープであり得る)が、次いで、ドリフト領域の上側表面上にエピタキシャル成長させられ得る(ブロック720)。いくつかの実施例では、この半導体層は、成長させられた際に1×10
16/cm
3未満のドーパント濃度を、又は、他の実施例では、1×10
15/cm
3未満の濃度を有し得る。
【0100】
図7D及び8を参照すると、第2の導電型ドーパントが、デバイスの活性領域内にある、エピタキシャル成長させられた半導体層の部分内へと注入され得る(ブロック730)。いくつかの実施例では、活性領域内にある、半導体層の部分全体が注入され得るものであり、一方で、他の実施例では、活性領域内への選択的注入処理が、代わりに使用され得る。次いで、ゲート・トレンチが、活性領域内の注入された半導体層内に形成され得る(ブロック740)。ゲート・トレンチは、標準的なフォトリソグラフィ及びエッチング技法を使用して形成され得る。これらのゲート・トレンチは、ドリフト領域の上側表面内へと延在し得るものであり、いくつかの実施例では、丸み付けされた下部隅部を有し得る。ゲート・トレンチの形成は、複数の第2の導電型ウェルを、ドリフト領域の上方の活性領域内に画定するように働く。
【0101】
図7E及び8を参照すると、ゲート絶縁層及びゲート電極が、各々のゲート・トレンチ内に順次形成され得る(ブロック750)。
図7F及び8を参照すると、1つ又は複数のイオン注入ステップが、第2の導電型ウェルの選択された部分内の第2の導電型ドーパント濃度を増大するために、及び/又は、第1の導電型ドーパントを第2の導電型ウェルの上側部分内へと選択的に注入するために実行され得る(ブロック760)。最後に、
図7G及び8を参照すると、ソース及びドレイン接触部(及び、いくつかの事例ではゲート接触部)が、デバイスを完成するために形成され得る。
【0102】
上記の説明では、各々の実例実施例は、所定の導電型を有する。反対の導電型デバイスが、上記の実施例の各々でのn型及びp型層の導電性を単純に逆にすることにより形成され得るということが察知されるであろう。かくして、本発明は、各々の異なるデバイス構造(例えば、MOSFET、IGBT、その他)に対するnチャネル及びpチャネルの両方のデバイスを網羅するということが察知されるであろう。
【0103】
本発明は、パワーMOSFET及びパワーIGBT実装形態について上記で説明されているが、本明細書で説明される技法は、ゲート・トレンチを有する他の同様の縦型パワー・デバイスに、等しく良好に適用されるということが察知されるであろう。
【0104】
本明細書で説明される異なる実施例の異なる特徴が、追加的な実施例を提供するように組み合わされ得るということがさらには察知されるであろう。例えば、接合終端拡張がガード・リングに代えて使用され得るということが、1つの実施例について上記で論考された。このことは、本明細書で開示される各々の実施例において真である。同じように、ゲート・トレンチの下の方の遮蔽領域は、実施例のいずれにおいても、含まれる、又は省略されることがある。実施例のいずれも、さらには、より低くドープされたチャネル領域を含む、変動するドーパント濃度を有するウェル領域を含み得る。
【0105】
本発明の実施例は、本発明の実施例が示される付随する図面を参照して上記で説明された。しかしながら、本発明は、しかしながら、多くの異なる形態で実施され得るものであり、上記で論述された実施例に制限されると解釈されるべきではないということが察知されるであろう。むしろ、これらの実施例は、本開示が、綿密及び完全であることになり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えることになるように提供される。同類の番号は、全体を通して同類の要素を指す。
【0106】
用語、第1の、第2の、その他が、様々な要素を説明するために本明細書の全体を通して使用されるが、これらの要素は、これらの用語により制限されるべきではないということが理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素を別のものから区別するために使用されるのみである。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、第1の要素は、第2の要素と名付けられてもよく、同様に、第2の要素は、第1の要素と名付けられてもよい。用語「及び/又は」は、関連のある列挙される項目のうちの1つ又は複数の、一切の組み合わせを含む。
【0107】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施例を説明する目的のみのためのものであり、本発明について制限的であることを意図されない。本明細書で使用される際、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別段に明確に指示しない限り、複数形もまた含むことを意図される。用語「備える(3人称単数現在形)」、「備える(現在分詞)」、「含む(3人称単数現在形)」、及び/又は「含む(現在分詞)」は、本明細書で使用されるとき、説述される特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を明示するが、1つ又は複数の、他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又は、それらの群の、存在又は追加を排除しないということがさらに理解されるであろう。
【0108】
層、領域、又は基板などの要素が、別の要素「上に」ある、又は、別の要素「上へと」延在すると言及されるとき、その要素は、その別の要素上に直接的にある、若しくは、その別の要素上へと直接的に延在することがあり、又は、介在する要素がさらには存在することがあるということが理解されるであろう。対照的に、要素が、別の要素「上に直接的に」ある、又は、別の要素「上へと直接的に」延在すると言及されるとき、介在する要素は存在しない。要素が、別の要素に「接続されている」、又は、「結合されている」と言及されるとき、その要素は、その別の要素に直接的に接続される、若しくは、結合されることがあり、又は、介在する要素が存在することがあるということがさらには理解されるであろう。対照的に、要素が、別の要素に「直接的に接続されている」、又は、「直接的に結合されている」と言及されるとき、介在する要素は存在しない。
【0109】
「下方」又は「上方」又は「上側」又は「下側」又は「上部」又は「下部」などの、相対関係を表す用語は、本明細書では、図で例示されるような、1つの要素、層、又は領域の、別の要素、層、又は領域に対する関係性を説明するために使用され得る。これらの用語は、図で図示される向きに加えて、デバイスの異なる向きを包含することを意図されるということが理解されるであろう。
【0110】
本発明の実施例は、本明細書では、本発明の理想化された実施例(及び中間構造)の概略例示である断面例示を参照して説明されている。図面での層及び領域の厚さは、明確性のために誇張されることがある。加うるに、例えば、製造技法及び/又は公差の結果としての、例示の形状からの変動が予想されることになる。本発明の実施例は、さらには、フロー・チャートを参照して説明されている。フロー・チャートで示されるステップは、示される順序で実行されることを必要としないということが察知されるであろう。
【0111】
本発明のいくつかの実施例は、n型又はp型などの導電型を有すると述べられる、半導体層及び/又は領域を参照して説明されており、その導電型は、層及び/又は領域内の多数キャリア濃度を指す。かくして、n型材料は、負に帯電した電子の多数平衡濃度を有し、一方で、p型材料は、正に帯電した正孔の多数平衡濃度を有する。いくつかの材料は、別の層又は領域と比較して、多数キャリアの相対的により大きい(「+」)、又は、より小さい(「-」)濃度を指示するために、「+」又は「-」によって(n+、n-、p+、p-、n++、n--、p++、p--、又は同類のものでのように)指定され得る。しかしながら、そのような表記は、層又は領域内の、多数又は少数キャリアの特定の濃度の実在を示唆しない。
【0112】
図面及び明細書では、本発明の典型的な実施例が開示されており、具体的な用語が用いられるが、それらの用語は、総称的及び説明的な意味でのみ使用され、制限の目的のためには使用されず、本発明の範囲は、後に続く特許請求の範囲で論述される。