(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】有機光電子素子用化合物、有機光電子素子用組成物、有機光電子素子および表示装置
(51)【国際特許分類】
H01L 51/50 20060101AFI20221125BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20221125BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20221125BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H05B33/14 B
H05B33/22 D
H01L27/32
C09K11/06 690
G09F9/30 365
(21)【出願番号】P 2020569832
(86)(22)【出願日】2019-02-26
(86)【国際出願番号】 KR2019002327
(87)【国際公開番号】W WO2019240352
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-12-14
(31)【優先権主張番号】10-2018-0069125
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20, Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si,Gyeonggi-do 17084,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】503447036
【氏名又は名称】サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュン ソク
(72)【発明者】
【氏名】ルイ,ジンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ドン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,ジョンウ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ビョンクワン
(72)【発明者】
【氏名】イ,サンシン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ジフン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジンソク
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,スン-ヒュン
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0049227(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0053561(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0083765(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0013449(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0136942(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0114526(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50-51/56
H05B 33/00-33/28
H01L 27/32
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表される有機光電子素子用化合物:
【化1】
前記化学式1において、
Ar
1およびAr
2は、それぞれ独立して、非置換のC6~C12アリール基であり、
Ar
3およびAr
4は、それぞれ独立して、非置換のC6~C30アリール基であり、
L
1は、単結合またはフェニレン基であり、
L
2~L
4は、それぞれ独立して、単結合または置換もしくは非置換のC6~C12アリーレン基であり、
R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素、重水素、シアノ基、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基である。
【請求項2】
前記化学式1は、下記の化学式1Aで表される、請求項1に記載の有機光電子素子用化合物:
【化2】
前記化学式1Aにおいて、
Ar
1およびAr
2は、それぞれ独立して、非置換のC6~C12アリール基であり、
Ar
3およびAr
4は、それぞれ独立して、非置換のC6~C30アリール基であり、
L
1は、単結合またはフェニレン基であり、
L
2~L
4は、それぞれ独立して、単結合または置換もしくは非置換のC6~C12アリーレン基である。
【請求項3】
前記Ar
1およびAr
2は、それぞれ独立して、非置換のフェニル基、非置換のビフェニル基、または非置換のナフチル基である、請求項1または2に記載の有機光電子素子用化合物。
【請求項4】
前記Ar
3およびAr
4は、それぞれ独立して、非置換のフェニル基、非置換のビフェニル基、非置換のナフチル基、非置換のターフェニル基、非置換のアントラセニル基、または非置換のフェナントレニル基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の有機光電子素子用化合物。
【請求項5】
下記のグループ1に挙げられた化合物のうちの1つである、有機光電子素子用化合物:
【化3-1】
【化3-2】
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の第1有機光電子素子用化合物、および
下記の化学式2で表される第2有機光電子素子用化合物
を含む有機光電子素子用組成物:
【化4】
前記化学式2において、
Z
1~Z
3は、それぞれ独立して、NまたはCR
aであり、
Z
1~Z
3のうちの少なくとも2つは、Nであり、
R
aは、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC3~C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のシリル基、置換もしくは非置換のアミン基、ハロゲン、シアノ基、またはこれらの組み合わせであり、
L
5~L
7は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基、置換もしくは非置換のC2~C20ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
R
3~R
5は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
R
3~R
5のうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、置換もしくは非置換のベンゾカルバゾリル基、置換もしくは非置換のジベンゾカルバゾリル基、または置換もしくは非置換のトリフェニレン基であり、
R
aおよびR
3~R
5は、それぞれ独立して存在するか、隣接した基が連結されて置換もしくは非置換の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族の単環式または多環式環を形成する。
【請求項7】
前記第2有機光電子素子用化合物は、下記の化学式2B-1~化学式2B-4のうちのいずれか1つで表される、請求項6に記載の有機光電子素子用組成物:
【化5】
前記化学式2B-1~2B-4において、
Z
1~Z
3は、それぞれ独立して、NまたはCR
aであり、
Z
1~Z
3のうちの少なくとも2つは、Nであり、
R
aは、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC3~C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のシリル基、置換もしくは非置換のアミン基、ハロゲン、シアノ基、またはこれらの組み合わせであり、
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
L
5~L
7は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基、置換もしくは非置換のC2~C20ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
X
1~X
4は、それぞれ独立して、OまたはSであり、
R
b1~R
b3、R
c1~R
c3、R
d1~R
d3およびR
e1~R
e3、R
sおよびR
tは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のシリル基、置換もしくは非置換のアミン基、ハロゲン、シアノ基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項8】
前記第2有機光電子素子用化合物は、下記の化学式2C-1~化学式2C-12のうちのいずれか1つで表される、請求項6に記載の有機光電子素子用組成物:
【化6】
前記化学式2C-1~化学式2C-12において、
Z
1~Z
6は、それぞれ独立して、NまたはCR
aであり、
Z
1~Z
3のうちの少なくとも2つは、Nであり、
Z
4~Z
6のうちの少なくとも2つは、Nであり、
R
aは、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC3~C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のシリル基、置換もしくは非置換のアミン基、ハロゲン、シアノ基、またはこれらの組み合わせであり、
R
4~R
7は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
R
aおよびR
4~R
7は、それぞれ独立して存在するか、隣接した基が連結されて置換もしくは非置換の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族の単環式または多環式環を形成し、
R
f、R
g、R
h、R
i、R
j、R
k、R
l、およびR
mは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のシリル基、置換もしくは非置換のアミン基、ハロゲン、シアノ基、またはこれらの組み合わせであり、
L
5~L
11は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基、置換もしくは非置換のC2~C20ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
Ar
5は、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項9】
前記第2有機光電子素子用化合物は、下記の化学式2D-1または化学式2D-2で表される、請求項6に記載の有機光電子素子用組成物:
【化7】
前記化学式2D-1および化学式2D-2において、
Z
1~Z
3は、それぞれ独立して、NまたはCR
aであり、
Z
1~Z
3のうちの少なくとも2つは、Nであり、
R
aは、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC3~C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のシリル基、置換もしくは非置換のアミン基、ハロゲン、シアノ基、またはこれらの組み合わせであり、
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
R
a、R
4およびR
5は、それぞれ独立して存在するか、隣接した基が連結されて置換もしくは非置換の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族の単環式または多環式環を形成し、
L
5~L
7は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基、置換もしくは非置換のC2~C20ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
R
n、R
o、R
p、R
qおよびR
rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のシリル基、置換もしくは非置換のアミン基、ハロゲン、シアノ基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項10】
前記第2有機光電子素子用化合物は、下記の化学式2B-1-1、化学式2B-1-3、化学式2B-4-3および化学式2D-1-1のうちのいずれか1つで表される、請求項6に記載の有機光電子素子用組成物:
【化8】
前記化学式2B-1-1、化学式2B-1-3、化学式2B-4-3および化学式2D-1-1において、
X
1およびX
4は、それぞれ独立して、OまたはSであり、
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基であり、
L
6およびL
7は、それぞれ独立して、単結合または置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基であり、
R
b1、R
c1、R
d1、R
e1、R
n、R
o、R
p、R
q、R
r、R
sおよびR
tは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C30アルキル基、または置換もしくは非置換のC6~C30アリール基である。
【請求項11】
前記化学式2B-4-3は、下記の化学式2B-4-3aで表される、請求項10に記載の有機光電子素子用組成物:
【化9】
前記化学式2B-4-3aにおいて、
X
1およびX
4は、それぞれ独立して、OまたはSであり、
L
7は、それぞれ独立して、単結合または置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基であり、
R
b1、R
c1、R
d1、R
e1、R
s、R
t
、R
u、R
v、R
wおよびR
xは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C30アルキル基、または置換もしくは非置換のC6~C30アリール基である。
【請求項12】
ドーパントをさらに含む、請求項6~11のいずれか1項に記載の有機光電子素子用組成物。
【請求項13】
互いに対向する陽極および陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に位置する少なくとも1層の有機層とを含み、
前記有機層は、請求項1~5のいずれか1項に記載の有機光電子素子用化合物、または請求項6~12のいずれか1項に記載の有機光電子素子用組成物を含む有機光電子素子。
【請求項14】
前記有機層は、発光層を含み、
前記発光層は、前記有機光電子素子用化合物または
前記有機光電子素子用組成物を含む、請求項13に記載の有機光電子素子。
【請求項15】
前記発光層は、前記有機光電子素子用組成物を含み、前記第1有機光電子素子用化合物と前記第2有機光電子素子用化合物は、それぞれ前記発光層の燐光ホストとして含まれる、請求項14に記載の有機光電子素子。
【請求項16】
前記有機層は、
発光層と、前記陽極と前記発光層との間に位置する正孔輸送補助層
と、を含み、
前記正孔輸送補助層は、前記有機光電子素子用化合物を含む、請求項
13に記載の有機光電子素子。
【請求項17】
請求項13~16のいずれか1項に記載の有機光電子素子を含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
有機光電子素子用化合物、有機光電子素子用組成物、有機光電子素子および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機光電子素子(organic optoelectronic diode)は電気エネルギーと光エネルギーを相互変換できる素子である。
【0003】
有機光電子素子は、動作原理により大きく2つに分けられる。一つは、光エネルギーによって形成されたエキシトン(exciton)が電子と正孔に分離され、電子と正孔がそれぞれ異なる電極に伝達されながら電気エネルギーを発生する光電素子であり、他の一つは、電極に電圧または電流を供給して電気エネルギーから光エネルギーを発生する発光素子である。
【0004】
有機光電子素子の例としては、有機光電素子、有機発光素子、有機太陽電池および有機感光体ドラム(organic photo conductor drum)などが挙げられる。
【0005】
このうち、有機発光素子(organic light emitting diode、OLED)は、近年、平板表示装置(flat panel display device)の需要増加により大きく注目されている。有機発光素子は電気エネルギーを光に変換させる素子であって、有機発光素子の性能は電極の間に位置する有機材料によって多くの影響を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施形態は、高効率および長寿命の有機光電子素子を実現できる有機光電子素子用化合物を提供する。
【0007】
他の実施形態は、前記有機光電子素子用化合物を含む有機光電子素子用組成物を提供する。
【0008】
さらに他の実施形態は、前記有機光電子素子用組成物を含む有機光電子素子を提供する。
【0009】
さらに他の実施形態は、前記有機光電子素子を含む表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態によれば、下記の化学式1で表される有機光電子素子用化合物を提供する。
【0011】
【0012】
前記化学式1において、
Ar1およびAr2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C12アリール基であり、
Ar3およびAr4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基であり、
L1は、単結合またはフェニレン基であり、
L2~L4は、それぞれ独立して、単結合または置換もしくは非置換のC6~C12アリーレン基であり、
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素、重水素、シアノ基、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基である。
【0013】
他の実施形態によれば、前述した有機光電子素子用化合物を第1有機光電子素子用化合物として含み、下記の化学式2で表される化合物を第2有機光電子素子用化合物として含む有機光電子素子用組成物を提供する。
【0014】
【0015】
前記化学式2において、
Z1~Z3は、それぞれ独立して、NまたはCRaであり、
Z1~Z3のうちの少なくとも2つは、Nであり、
Raは、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC3~C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のシリル基、置換もしくは非置換のアミン基、ハロゲン、シアノ基、またはこれらの組み合わせであり、
L5~L7は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基、置換もしくは非置換のC2~C20ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
R3~R5は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
R3~R5のうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、置換もしくは非置換のベンゾカルバゾリル基、置換もしくは非置換のジベンゾカルバゾリル基、または置換もしくは非置換のトリフェニレン基であり、
RaおよびR3~R5は、それぞれ独立して存在するか、隣接した基が連結されて置換もしくは非置換の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族の単環式または多環式環を形成する。
【0016】
さらに他の実施形態によれば、互いに対向する陽極および陰極と、前記陽極と前記陰極との間に位置する少なくとも1層の有機層とを含み、前記有機層は、前記有機光電子素子用化合物または有機光電子素子用組成物を含む有機光電子素子を提供する。
【0017】
さらに他の実施形態によれば、前記有機光電子素子を含む表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
高効率長寿命の有機光電子素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態による有機発光素子を示す断面図である。
【
図2】一実施形態による有機発光素子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例として提示されるものであり、これによって本発明が制限されず、本発明は後述する請求範囲の範疇によってのみ定義される。
【0021】
本明細書において、「置換」とは、別途の定義がない限り、置換基または化合物中の少なくとも1つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミノ基、置換もしくは非置換のC1~C30アミン基、ニトロ基、置換もしくは非置換のC1~C40シリル基、C1~C30アルキル基、C1~C10アルキルシリル基、C6~C30アリールシリル基、C3~C30シクロアルキル基、C3~C30ヘテロシクロアルキル基、C6~C30アリール基、C2~C30ヘテロアリール基、C1~C20アルコキシ基、C1~C10トリフルオロアルキル基、シアノ基、またはこれらの組み合わせで置換されていることを意味する。
【0022】
本発明の一例において、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも1つの水素が重水素、C1~C30アルキル基、C1~C10アルキルシリル基、C6~C30アリールシリル基、C3~C30シクロアルキル基、C3~C30ヘテロシクロアルキル基、C6~C30アリール基、C2~C30ヘテロアリール基で置換されていることを意味する。また、本発明の具体的な一例において、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも1つの水素が重水素、C1~C20アルキル基、C6~C30アリール基、またはC2~C30ヘテロアリール基で置換されていることを意味する。さらに、本発明の具体的な一例において、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも1つの水素が重水素、C1~C5アルキル基、C6~C18アリール基、ピリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、またはカルバゾリル基で置換されていることを意味する。さらに、本発明の具体的な一例において、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも1つの水素が重水素、C1~C5アルキル基、C6~C18アリール基、ジベンゾフラニル基、またはジベンゾチオフェニル基で置換されていることを意味する。さらに、本発明の具体的な一例において、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも1つの水素が重水素、メチル基、エチル基、プロパニル基、ブチル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、トリフェニル基、ジベンゾフラニル基、またはジベンゾチオフェニル基で置換されていることを意味する。
【0023】
本明細書において、「ヘテロ」とは、別途の定義がない限り、1つの官能基内にN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を1~3個含有し、残りは炭素であるものを意味する。
【0024】
本明細書において、「アリール(aryl)基」は、炭化水素の芳香族モイエティを1つ以上有するグループを総括する概念であって、炭化水素の芳香族モイエティのすべての元素がp-オービタルを有しかつ、これらのp-オービタルが共役(conjugation)を形成している形態、例えば、フェニル基、ナフチル基などを含み、2以上の炭化水素の芳香族モイエティがシグマ結合により連結された形態、例えば、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基などを含み、2以上の炭化水素の芳香族モイエティが直接または間接的に融合した非芳香族融合環、例えば、フルオレニル基などを含むことができる。
【0025】
アリール基は、モノサイクリック、ポリサイクリックまたは融合環ポリサイクリック(つまり、炭素原子の隣接した対を分け合う環)官能基を含む。
【0026】
本明細書において、「ヘテロ環基(heterocyclic group)」は、ヘテロアリール基を含む上位概念であって、アリール基、シクロアルキル基、これらの融合環またはこれらの組み合わせのような環化合物内に、炭素(C)の代わりに、N、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有するものを意味する。前記ヘテロ環基が融合環の場合、前記ヘテロ環基全体またはそれぞれの環ごとにヘテロ原子を1個以上含むことができる。
【0027】
一例として、「ヘテロアリール(heteroaryl)基」は、アリール基内に、N、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有するものを意味する。2以上のヘテロアリール基は、シグマ結合により直接連結されるか、前記ヘテロアリール基が2以上の環を含む場合、2以上の環は互いに融合できる。前記ヘテロアリール基が融合環の場合、それぞれの環ごとに前記ヘテロ原子を1~3個含むことができる。
【0028】
前記ヘテロ環基は、具体例として、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基などを含むことができる。
【0029】
より具体的には、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基および/または置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントレニル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のp-ターフェニル基、置換もしくは非置換のm-ターフェニル基、置換もしくは非置換のo-ターフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレン基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、置換もしくは非置換のフラニル基、置換もしくは非置換のチオフェニル基、置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、置換もしくは非置換のトリアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサゾリル基、置換もしくは非置換のチアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは非置換のチアジアゾリル基、置換もしくは非置換のピリジル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のピラジニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のベンズイミダゾリル基、置換もしくは非置換のインドリル基、置換もしくは非置換のキノリニル基、置換もしくは非置換のイソキノリニル基、置換もしくは非置換のキナゾリニル基、置換もしくは非置換のキノキサリニル基、置換もしくは非置換のナフチリジニル基、置換もしくは非置換のベンズオキサジニル基、置換もしくは非置換のベンズチアジニル基、置換もしくは非置換のアクリジニル基、置換もしくは非置換のフェナジニル基、置換もしくは非置換のフェノチアジニル基、置換もしくは非置換のフェノキサジニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。
【0030】
本明細書において、「隣接した基が互いに連結されて置換もしくは非置換の芳香族の単環式または多環式環、または置換もしくは非置換の芳香族の単環式または多環式ヘテロ環を形成」とは、芳香族環または芳香族ヘテロ環に連結基なしに単結合で直接置換された任意の2つの置換基が隣接する時、互いに連結されて追加の環を形成することを意味する。
【0031】
一例として、隣接した基が互いに連結されて置換もしくは非置換の芳香族の単環式または多環式環を形成することができ、具体的な一例として、置換もしくは非置換の芳香族の単環式環を形成することができる。
【0032】
例えば、ピリミジン環に直接置換された任意の2つの置換基は、互いに連結されて追加の環を形成することによって、前記ピリミジン環とともに置換もしくは非置換のキナゾリニル基を形成することができる。
【0033】
本明細書において、正孔特性とは、電場(electric field)を加えた時、電子を供与して正孔を形成できる特性をいうもので、HOMO準位によって伝導特性を有し、陽極で形成された正孔の発光層への注入、発光層で形成された正孔の陽極への移動および発光層での移動を容易にする特性を意味する。
【0034】
また、電子特性とは、電場を加えた時、電子を受けられる特性をいうもので、LUMO準位によって伝導特性を有し、陰極で形成された電子の発光層への注入、発光層で形成された電子の陰極への移動および発光層での移動を容易にする特性を意味する。
【0035】
以下、一実施形態による有機光電子素子用化合物を説明する。
【0036】
一実施形態による有機光電子素子用化合物は、下記の化学式1で表される。
【0037】
【0038】
前記化学式1において、
Ar1およびAr2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C12アリール基であり、
Ar3およびAr4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基であり、
L1は、単結合またはフェニレン基であり、
L2~L4は、それぞれ独立して、単結合または置換もしくは非置換のC6~C12アリーレン基であり、
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素、重水素、シアノ基、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基である。
【0039】
一実施形態による有機光電子素子用化合物は、カルバゾールの一方のベンゼン環の2番位置にアリール基が置換され、他方のベンゼン環の2番位置にアリールアミン基が直接置換され、カルバゾールのN-方向に炭素数18以下のアリール基が置換された構造を有する。
【0040】
カルバゾールの一方のベンゼン環の2番位置にアリール基が置換されることによって、他の位置がアリール基で置換される構造および非置換構造に比べて素子の寿命改善効果があり、2番位置のみ置換されることによって、他の位置が追加置換された構造に比べて素子の駆動および寿命改善効果がある。
【0041】
また、カルバゾールの他方のベンゼン環の2番位置にアリールアミン基が直接置換されることによって、他の位置にアリールアミン基で置換される構造および連結基を介してアリールアミン基が置換された構造に比べて駆動および寿命特性が改善された素子を実現することができ、
特に、アミン基がアリール基に置換されることによって適切なHOMOエネルギー準位を有し、駆動および寿命特性において改善された素子を実現することができる。
【0042】
一方、カルバゾールのN方向に炭素数18個以下のアリール基を含むことによって、炭素数18個超過またはヘテロアリール基を含む構造に比べて高いHOMOエネルギー準位を有し、これを適用した素子の寿命および駆動の面で改善された効果を示すことができる。
【0043】
これにより、本発明による化合物が適用された素子は、駆動が改善された長寿命特性が実現できる。
【0044】
一例として、前記Ar1およびAr2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、または置換もしくは非置換のナフチル基であってもよい。
【0045】
一例として、前記L2は、単結合であるか、フェニレン基であってもよい。
【0046】
具体的な一例として、前記Ar1およびAr2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基であり、前記L2は、単結合であってもよい。
【0047】
一例として、前記Ar3およびAr4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、または置換もしくは非置換のフェナントレニル基であってもよい。
【0048】
一例として、前記L3およびL4は、それぞれ独立して、単結合、フェニレン基、ナフチレン基であってもよい。
【0049】
具体的な一例として、前記Ar3およびAr4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、または置換もしくは非置換のナフチル基であってもよく、前記L3およびL4は、それぞれ独立して、単結合またはフェニレン基であってもよい。
【0050】
一例として、前記R1およびR2は、それぞれ独立して、水素またはC1~C5アルキル基であってもよい。
【0051】
具体的な一例として、前記R1およびR2は、それぞれ水素であってもよい。
【0052】
例えば、前記化学式1は、下記の化学式1Aで表される。
【0053】
【0054】
前記化学式1Aにおいて、Ar1~Ar4、L1~L4の定義は、前述した通りである。
【0055】
前記化学式1は、例えば、下記のグループ1に挙げられた化合物から選択された1つであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0056】
【0057】
【0058】
他の実施形態による有機光電子素子用組成物は、前述した有機光電子素子用化合物(以下、「第1有機光電子素子用化合物」)、および第2有機光電子素子用化合物を含む。
【0059】
第2有機光電子素子用化合物は、下記の化学式2で表され、前述した第1有機光電子素子用化合物とともに含まれ、良好な界面特性および正孔と電子の輸送能力を示してこれを適用した素子の寿命特性を大きく改善し、効率上昇および駆動電圧を低下させることができる。
【0060】
【0061】
前記化学式2において、
Z1~Z3は、それぞれ独立して、NまたはCRaであり、
Z1~Z3のうちの少なくとも2つは、Nであり、
Raは、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC3~C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のシリル基、置換もしくは非置換のアミン基、ハロゲン、シアノ基、またはこれらの組み合わせであり、
L5~L7は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基、置換もしくは非置換のC2~C20ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
R3~R5は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
R3~R5のうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、置換もしくは非置換のベンゾカルバゾリル基、置換もしくは非置換のジベンゾカルバゾリル基、または置換もしくは非置換のトリフェニレン基であり、
RaおよびR3~R5は、それぞれ独立して存在するか、隣接した基が連結されて置換もしくは非置換の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族の単環式または多環式環を形成する。
【0062】
一例として、Z1~Z3のうちの2つは、窒素(N)であり、残りの1つは、CRaであってもよい。
【0063】
例えば、Z1およびZ2は、窒素であり、Z3は、CRaであってもよい。
【0064】
例えば、Z2およびZ3は、窒素であり、Z1は、CRaであってもよい。
【0065】
例えば、Z1およびZ3は、窒素であり、Z2は、CRaであってもよい。
【0066】
一例として、Z1~Z3は、それぞれ窒素(N)であってもよい。
【0067】
一例として、RaおよびR3~R5は、それぞれ独立して存在し、R3~R5のうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基であってもよい。
【0068】
例えば、下記の化学式2B-1~化学式2B-3のうちのいずれか1つで表される。
【0069】
【0070】
前記化学式2B-1~2B-3において、Z1~Z3、R4、R5、L5~L7の定義は、前述した通りであり、
X1~X3は、それぞれ独立して、OまたはSであり、
Rb1~Rb3、Rc1~Rc3、Rd1~Rd3およびRe1~Re3は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のシリル基、置換もしくは非置換のアミン基、ハロゲン、シアノ基、またはこれらの組み合わせである。
【0071】
他の例として、RaおよびR3~R5のうちの隣接した基が連結されて置換もしくは非置換の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族の単環式または多環式環を形成し、環を形成しないR3~R5のうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基であってもよい。
【0072】
本明細書において、「隣接した基が連結されて置換もしくは非置換の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族の単環式または多環式環を形成」するというのは、隣接している任意の2個の置換基が互いに融合して環を形成することを意味する。例えば、化学式2中、隣接しているRaおよびR3、RaおよびR4またはRaおよびR5は、互いに融合してこれらが置換されている含窒素6員環とともにヘテロ芳香族の多環式環を形成することができる。この時形成されるヘテロ芳香族多環式環の例としては、置換もしくは非置換のベンゾフランピリミジニル基、置換もしくは非置換のベンゾチオフェンピリミジニル基、置換もしくは非置換のキナゾリニル基などが挙げられ、例えば、前記化学式2のRaおよびR3は、互いに融合してこれらが置換されている含窒素6員環とともに置換もしくは非置換のベンゾフランピリミジニル基、または置換もしくは非置換のベンゾチオフェンピリミジニル基を形成することによって、下記の化学式2B-4で表される。
【0073】
【0074】
前記化学式2B-4において、X1、Z2、Z3、L6、L7、R5、Rb1、Rc1、Rd1およびRe1の定義は、前述した通りであり、
X4は、OまたはSであり、
RsおよびRtは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、置換もしくは非置換のシリル基、置換もしくは非置換のアミン基、ハロゲン、シアノ基、またはこれらの組み合わせである。
【0075】
一例として、化学式2B-2において、X1およびX2は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0076】
例えば、化学式2B-2において、X1とX2は、同一でもよく、X1とX2は、それぞれOであってもよい。
【0077】
例えば、化学式2B-2において、X1とX2は、同一でもよく、X1とX2は、それぞれSであってもよい。
【0078】
例えば、化学式2B-2において、X1とX2は、互いに異なっていてもよく、X1は、Sであり、X2は、Oであるか、X1は、Oであり、X2は、Sであってもよい。
【0079】
一例として、化学式2B-3において、X1~X3は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0080】
例えば、化学式2B-3において、X1~X3は、同一でもよく、X1~X3は、それぞれOであってもよい。
【0081】
例えば、化学式2B-3において、X1~X3は、同一でもよく、X1~X3は、それぞれSであってもよい。
【0082】
例えば、化学式2B-3において、X1~X3のうちのいずれか1つは、異なっていてもよく、X1~X3のうちの2つは、Sであり、X1~X3のうちの1つは、Oであるか、X1~X3のうちの2つは、Oであり、X1~X3のうちの1つは、Sであってもよい。
【0083】
一例として、前記化学式2B-1、化学式2B-2および化学式2B-4のR4およびR5は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のクォーターフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントレニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレン基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基または置換もしくは非置換のトリアジニル基であってもよい。
【0084】
例えば、前記化学式2B-1、化学式2B-2および化学式2B-4のR4およびR5は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、または置換もしくは非置換のカルバゾリル基であってもよい。
【0085】
例えば、前記化学式2B-1、化学式2B-2および化学式2B-4のR4およびR5は、それぞれ独立して、下記のグループIに挙げられた置換基の中から選択された1つであってもよい。
【0086】
【0087】
一例として、前記化学式2B-1~2B-4において、L5~L7は、それぞれ独立して、単結合または置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基であってもよい。
【0088】
例えば、L5~L7は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換のフェニレン基、置換もしくは非置換のビフェニレン基、置換もしくは非置換のターフェニレン基、または置換もしくは非置換のナフチレン基であってもよい。
【0089】
例えば、L5~L7は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換のm-フェニレン基、または置換もしくは非置換のp-フェニレン基であってもよい。
【0090】
一例として、前記化学式2B-1~2B-4において、Rb1~Rb3、Rc1~Rc3、Rd1~Rd3およびRe1~Re3は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C20アルキル基、または置換もしくは非置換のC6~C20アリール基であってもよい。
【0091】
例えば、Rb1~Rb3、Rc1~Rc3、Rd1~Rd3およびRe1~Re3は、それぞれ独立して、水素または置換もしくは非置換のフェニル基であってもよい。
【0092】
具体的な一例として、ジベンゾフラニル基またはジベンゾチオフェニル基は、結合位置によって、下記の化学式2-1~化学式2-4のうちのいずれか1つで表される。
【0093】
【0094】
前記化学式2-1~化学式2-4において、Xは、前述したX1およびX3の定義と同じであり、Rb~Reは、前述したRb1~Rb3、Rc1~Rc3、Rd1~Rd3およびRe1~Re3の定義と同じである。
【0095】
例えば、前記ジベンゾフラニル基またはジベンゾチオフェニル基は、前記化学式2-1または化学式2-3で表される。
【0096】
一例として、第2有機光電子素子用化合物は、前記化学式2B-1または化学式2B-4で表される。
【0097】
一例として、化学式2B-1において、L5は、単結合であり、Z1~Z3は、それぞれNであってもよい。
【0098】
例えば、化学式2B-1は、下記の化学式2B-1-1または化学式2B-1-3で表される。
【0099】
【0100】
前記化学式2B-1-1および化学式2B-1-3において、
X1、R4、R5、L6、L7、Rb1、Rc1、Rd1、そしてRe1は、前述した通りである。
【0101】
化学式2B-1-1および化学式2B-1-3で表される第2有機光電子素子用化合物は、LUMOエネルギーバンドが効果的に拡張され分子構造の平面性が大きくなることによって、電場の印加時に電子を受けやすい構造になり、これにより、第2有機光電子素子用化合物を適用した有機光電子素子の駆動電圧をさらに低下させることができる。また、このようなLUMOの拡張と環の融合は、トリアジン環の電子に対する安定性を増加させて、第2有機光電子素子用化合物を適用した素子の寿命改善にもさらに効果的である。
【0102】
さらに具体的な一例として、化学式2B-1-1および化学式2B-1-3において、X1は、Oであり、L6およびL7は、それぞれ独立して、単結合またはp-フェニレン基であり、R4およびR5は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、または置換もしくは非置換のナフチル基であってもよい。
【0103】
一例として、化学式2B-4において、L6は、単結合であり、Z2およびZ3は、それぞれNであってもよい。
【0104】
例えば、化学式2B-4は、下記の化学式2B-4-3で表される。
【0105】
【0106】
前記化学式2B-4-3において、
X4、R5、L7、Rb1、Rc1、Rd1、Re1、RsおよびRtは、前述した通りである。
【0107】
さらに具体的な一例として、前記化学式2B-4-3のR5は、置換もしくは非置換のカルバゾリル基であってもよいし、例えば、下記の化学式2B-4-3aで表される。
【0108】
【0109】
前記化学式2B-4-3aにおいて、
X4、L7、Rb1、Rc1、Rd1、Re1、RsおよびRtは、前述した通りであり、Ru、Rv、RwおよびRxは、前述したRsおよびRtの定義と同じである。
【0110】
一例として、R3~R5のうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、置換もしくは非置換のベンゾカルバゾリル基、または置換もしくは非置換のジベンゾカルバゾリル基であってもよいし、例えば、前記第2有機光電子素子用化合物は、下記の化学式2C-1~化学式2C-12のうちのいずれか1つで表される。
【0111】
【0112】
前記化学式2C-1~化学式2C-12において、Z1~Z3、R4、R5、L5~L7は、前述した通りであり、
Z4~Z6は、前述したZ1~Z3と同じであり、R6およびR7は、前述したR4およびR5の定義と同じであり、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Rk、Rl、およびRmは、前述したRb1~Rb3、Rc1~Rc3、Rd1~Rd3およびRe1~Re3の定義と同じであり、L8~L11は、前述したL5~L7と同じである。
【0113】
Ar5は、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせである。
【0114】
一例として、Ar5は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントレニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレン基、または置換もしくは非置換のフルオレニル基であってもよい。
【0115】
例えば、Ar5は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、または置換もしくは非置換のフルオレニル基であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0116】
一例として、前記化学式2C-1~化学式2C-12のR4~R7は、それぞれ独立して存在し、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のクォーターフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントレニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレン基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基であってもよい。
【0117】
例えば、R4~R7は、それぞれ独立して存在し、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のクォーターフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のフェナントレニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、または置換もしくは非置換のトリアジニル基であってもよい。
【0118】
一例として、前記化学式2C-1~化学式2C-12のR4~R7は、隣接したRaと連結されて置換もしくは非置換のヘテロ芳香族の単環式または多環式環を形成することができる。
【0119】
具体的な一例として、前記置換もしくは非置換のヘテロ芳香族の単環式または多環式環は、置換もしくは非置換のベンゾフランピリミジニル基、置換もしくは非置換のベンゾチオフェンピリミジニル基、または置換もしくは非置換のキナゾリニル基であってもよいし、例えば、置換もしくは非置換のキナゾリニル基であってもよい。
【0120】
一例として、前記化学式2C-1~化学式2C-12のL5~L7は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基、または置換もしくは非置換のC2~C20ヘテロアリーレン基であってもよい。
【0121】
例えば、L5~L7は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換のフェニレン基、置換もしくは非置換のビフェニレン基、または置換もしくは非置換のナフチレン基であってもよい。
【0122】
一例として、前記化学式2C-1~化学式2C-12のRf、Rg、Rh、Ri、Rj、Rk、Rl、およびRmは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C20アリール基、または置換もしくは非置換のC2~C20ヘテロアリール基であってもよい。
【0123】
例えば、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Rk、Rl、およびRmは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレン基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基であってもよい。
【0124】
具体的な一例として、前記化学式2C-1のカルバゾリル基は、結合位置によって、下記の化学式2-5~化学式2-8のうちのいずれか1つで表される。
【0125】
【0126】
前記化学式2-5~化学式2-8において、Ar5、Rf、Rg、Rh、RiおよびL8は、前述した通りである。
【0127】
一例として、第2有機光電子素子用化合物は、前記化学式2C-2~化学式2C-6のうちのいずれか1つで表される。
【0128】
例えば、第2有機光電子素子用化合物は、前記化学式2C-2または化学式2C-6で表される。
【0129】
一例として、R3~R5のうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換のトリフェニレン基であってもよいし、例えば、前記第2有機光電子素子用化合物は、下記の化学式2D-1または化学式2D-2のうちのいずれか1つで表される。
【0130】
【0131】
前記化学式2D-1および化学式2D-2において、Z1~Z3、R4、R5、L5~L7は、前述した通りであり、
Rn、Ro、Rp、RqおよびRrは、前述したRb1~Rb3、Rc1~Rc3、Rd1~Rd3およびRe1~Re3の定義と同じである。
【0132】
一例として、前記化学式2D-1および化学式2D-2のR4およびR5は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基であってもよい。
【0133】
例えば、R4およびR5は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基であってもよい。
【0134】
一例として、前記化学式2D-1および化学式2D-2のL5~L7は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換のC6~C20アリーレン基、または置換もしくは非置換のC2~C20ヘテロアリーレン基であってもよい。
【0135】
例えば、L5~L7は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換のフェニレン基、置換もしくは非置換のビフェニレン基、または置換もしくは非置換のナフチレン基であってもよい。
【0136】
一例として、前記化学式2D-1および化学式2D-2のRn、Ro、Rp、RqおよびRrは、それぞれ独立して、水素、重水素、シアノ基、置換もしくは非置換のC1~C10アルキル基、置換もしくは非置換のC6~C20アリール基、または置換もしくは非置換のC2~C20ヘテロアリール基であってもよい。
【0137】
例えば、Rn、Ro、Rp、RqおよびRrは、それぞれ独立して、水素、重水素、シアノ基、メチル基、置換もしくは非置換のフェニル基であってもよい。
【0138】
具体的な一例として、第2有機光電子素子用化合物は、前記2D-1で表され、前記2D-1のL5は、単結合であり、Z1~Z3は、それぞれNであってもよい。例えば、下記の化学式2D-1-1で表される。
【0139】
【0140】
前記化学式2D-1-1において、R4、R5、L5~L7およびRn、Ro、Rp、RqおよびRrは、前述した通りである。
【0141】
さらに具体的な一実施例において、第2有機光電子素子用化合物は、前記化学式2B-1-1、化学式2B-1-3、化学式2B-4-3および化学式2D-1-1のうちのいずれか1つで表される。
【0142】
特に、前記化学式2B-4-3は、前記化学式2B-4-3aで表される。
【0143】
前記化学式2で表される第2有機光電子素子用化合物は、例えば、下記のグループ2に挙げられた化合物から選択された1つであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
第1有機光電子素子用化合物と第2有機光電子素子用化合物は、例えば、1:99~99:1の重量比で含まれる。前記範囲に含まれることによって、第1有機光電子素子用化合物の正孔輸送能力と第2有機光電子素子用化合物の電子輸送能力を利用して適切な重量比を合わせてバイポーラ特性を実現し、効率と寿命を改善することができる。前記範囲内で、例えば、約10:90~90:10、約20:80~80:20、約30:70~70:30、約40:60~60:40または約50:50の重量比で含まれる。一例として、50:50~60:40の重量比で含まれ、例えば、60:40の重量比で含まれる。
【0159】
一例として、本発明の一実施形態による有機光電子素子用組成物は、前記化学式1Aで表される化合物を第1有機光電子素子用化合物として含み、前記化学式2B-1、化学式2B-4または化学式2D-1で表される化合物を第2有機光電子素子用化合物として含むことができる。
【0160】
例えば、前記化学式1Aにおいて、Ar1は、置換もしくは非置換のフェニル基、または置換もしくは非置換のビフェニル基であり、Ar2は、置換もしくは非置換のフェニル基、または置換もしくは非置換のナフチル基であり、L1~L4は、それぞれ独立して、単結合または置換もしくは非置換のフェニレン基であり、Ar3およびAr4は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、または置換もしくは非置換のナフチル基であってもよい。
【0161】
例えば、前記化学式2B-1は、前記化学式2B-1-1または化学式2B-1-3で表される。
【0162】
例えば、前記化学式2B-4は、前記化学式2B-4-3で表され、最も具体的な例として、前記化学式2B-4-3aで表される。
【0163】
例えば、前記化学式2D-1は、前記化学式2D-1-1で表される。
【0164】
組成物は、前述した第1有機光電子素子用化合物および/または第2有機光電子素子用化合物のほか、1種以上の化合物をさらに含むことができる。
【0165】
有機光電子素子用化合物または有機光電子素子用組成物は、ドーパントをさらに含むことができる。ドーパントは、例えば、燐光ドーパントであってもよく、例えば、赤色、緑色または青色の燐光ドーパントであってもよく、例えば、赤色燐光ドーパントであってもよい。
【0166】
ドーパントは、前述した有機光電子素子用化合物または有機光電子素子用組成物に微量混合されて発光を起こす物質で、一般に、三重項状態以上に励起させる多重項励起(multiple excitation)によって発光する金属錯体(metal complex)のような物質が使用できる。ドーパントは、例えば、無機、有機、有機-無機化合物であってもよいし、1種または2種以上含まれる。
【0167】
ドーパントの一例として、燐光ドーパントが挙げられ、燐光ドーパントの例としては、Ir、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb、Tm、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、またはこれらの組み合わせを含む有機金属化合物が挙げられる。燐光ドーパントは、例えば、下記の化学式Zで表される化合物を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0168】
[化学式Z]
L12MX5
前記化学式Zにおいて、Mは、金属であり、L12およびX5は、互いに同一または異なり、Mと錯化合物を形成するリガンドである。
【0169】
前記Mは、例えば、Ir、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb、Tm、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、またはこれらの組み合わせであってもよく、前記L8およびX4は、例えば、バイデンテートリガンドであってもよい。
【0170】
有機光電子素子用化合物または有機光電子素子用組成物は、化学気相蒸着のような乾式成膜法によって形成できる。
【0171】
以下、上述した有機光電子素子用化合物または有機光電子素子用組成物を適用した有機光電子素子を説明する。
【0172】
有機光電子素子は、電気エネルギーと光エネルギーを相互変換できる素子であれば特に限定されず、例えば、有機光電素子、有機発光素子、有機太陽電池および有機感光体ドラムなどが挙げられる。
【0173】
ここでは、有機光電子素子の一例である有機発光素子を、図面を参照して説明する。
【0174】
図1および
図2は、一実施形態による有機発光素子を示す断面図である。
【0175】
図1を参照すれば、一実施形態による有機発光素子100は、互いに対向する陽極120および陰極110と、陽極120と陰極110との間に位置する有機層105とを含む。
【0176】
陽極120は、例えば、正孔注入が円滑となるように仕事関数の高い導電体で作られ、例えば、金属、金属酸化物および/または導電性高分子で作られる。陽極120は、例えば、ニッケル、白金、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属、またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnOとAlまたはSnO2とSbのような金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ(3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン)(polyehtylenedioxythiophene:PEDT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0177】
陰極110は、例えば、電子注入が円滑となるように仕事関数の低い導電体で作られ、例えば、金属、金属酸化物および/または導電性高分子で作られる。陰極110は、例えば、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズ、鉛、セシウム、バリウムなどのような金属、またはこれらの合金;LiF/Al、LiO2/Al、LiF/Ca、LiF/AlおよびBaF2/Caのような多層構造の物質が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0178】
有機層105は、前述した組成物を含む発光層130を含む。
【0179】
発光層130は、例えば、前述した組成物を含むことができる。
【0180】
前述した組成物は、例えば、赤色発光組成物であってもよい。
【0181】
発光層130は、例えば、前述した第1有機光電子素子用化合物と第2有機光電子素子用化合物をそれぞれ燐光ホストとして含むことができる。
【0182】
図2を参照すれば、有機発光素子200は、発光層130のほか、正孔補助層140をさらに含む。正孔補助層140は、陽極120と発光層130との間の正孔注入および/または正孔移動性をさらに高め、電子を遮断することができる。
【0183】
正孔補助層140は、例えば、前述した有機光電子素子用化合物または有機光電子素子用組成物を含むことができ、正孔輸送層、正孔注入層および/または電子遮断層であってもよいし、少なくとも1層を含むことができる。
【0184】
さらに具体的には、前記正孔補助層140は、陽極120と発光層130との間の正孔輸送層と、前記発光層130と前記正孔輸送層との間の正孔輸送補助層とを含むことができ、前記正孔輸送補助層は、前述した有機光電子素子用化合物を含むことができる。
【0185】
また、本発明の一実施形態では、
図1または
図2にて、有機層105として追加的に、電子輸送層、電子注入層、正孔注入層などをさらに含む有機発光素子であってもよい。
【0186】
有機発光素子100、200は、基板上に陽極または陰極を形成した後、真空蒸着法(evaporation)、スパッタリング(sputtering)、プラズマメッキおよびイオンメッキのような乾式成膜法などで有機層を形成した後、その上に陰極または陽極を形成して製造することができる。
【0187】
上述した有機発光素子は、有機発光表示装置に適用可能である。
【実施例】
【0188】
以下、実施例を通じて上述した実施形態をより詳しく説明する。ただし、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、権利範囲を制限するものではない。
【0189】
(第1有機光電子素子用化合物の製造)
合成例1:化合物A-2の合成
【0190】
【0191】
第1段階:中間体1-aの合成
1,4-ジクロロ-2-ニトロベンゼン1eq(30.3g)と4-ビフェニルボロニックアシッド1eq(31.3g)とPd(PPh
3)4 5mol%(9.1g)、K2CO3 2eq(43.6g)をテトラヒドロフラン(310ml)と蒸留水(220ml)に懸濁させた後、窒素気流下で12時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフランと蒸留水で抽出後、有機層をマグネシウムスルフェート(MgSO4)で乾燥、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。生成物固体をジクロロメタンとヘキサンで再結晶して、中間体1-aを37g(収率:74%)得た。
【0192】
第2段階:中間体1-bの合成
中間体1-a 37gとトリフェニルホスフィン100gを1,2-ジクロロベンゼン400mlに懸濁させた後、窒素気流下で18時間還流撹拌した。反応終了後、溶媒を抽出後、有機層をアセトン200mlで再結晶して、中間体1-b 20g(収率:61%)を得た。
【0193】
第3段階:中間体1-cの合成
中間体1-b 20gにヨードベンゼン45gと1,10-フェナントロリン2.7g、CuI2.8g、K2CO3 15.2gをジメチルホルムアミド250mlに懸濁して、窒素気流下で還流撹拌した。反応終了後、メタノールに沈殿させて固体をフィルターして得た後、モノクロロベンゼンに溶かしてシリカフィルタ後に再結晶して、中間体1-c 18g(Y=69%)を得た。
【0194】
第4段階:化合物A-2の合成
中間体1-c 1eq(18g)とフェニル-(4-ビフェニル)-アミン1eq(12.5g)にソジウム-t-ブトキシド2eq(9.7g)、Pd2(dba)3 0.03eq(1.4g)をトルエン(170ml)に懸濁させた後、トリ-t-ブチルホスフィン0.09eqを入れて、12時間還流撹拌した。反応終了後、トルエンと蒸留水で抽出後、有機層をマグネシウムスルフェートで乾燥、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。有機溶液を除去し、ヘキサン:ジクロロメタン=8:2(v/v)でシリカゲルカラムして、生成物固体をジクロロメタンとアセトンで再結晶して、化合物A-2 21.2g(収率:74%)を得た。
【0195】
LC-Mass測定(理論値:562.70g/mol、測定値:M=562.92g/mol)。
【0196】
合成例2:化合物A-3の合成
中間体1-c 1eq(16.6g)とビス(4-ビフェニル)-アミン1eq(15.1g)にソジウム-t-ブトキシド2eq(9.0g)、Pd2(dba)3 0.03eq(1.3g)をトルエン(200ml)に懸濁させた後、トリ-t-ブチルホスフィン0.09eqを入れて、12時間還流撹拌した。反応終了後、トルエンと蒸留水で抽出後、有機層をマグネシウムスルフェートで乾燥、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。有機溶液を除去し、生成物固体をジクロロメタンとアセトンで再結晶して、化合物A-3 24.3g(収率:84%)を得た。
【0197】
LC-Mass測定(理論値:638.80g/mol、測定値:M=639.15g/mol)。
【0198】
合成例3:化合物A-7の合成
中間体1-c 1eqとフェニル-(4-ターフェニル)-アミン1eqを合成例2と同様の方法で反応させて、化合物A-7 23.5g(収率:78%)を得た。
【0199】
LC-Mass測定(理論値:638.80g/mol、測定値:M=639.40g/mol)。
【0200】
合成例4:化合物A-17の合成
中間体1-c 17.3gと4-(2-ナフタレニル)-N-フェニルベンゼンアミン14.5gを合成例2と同様の方法で反応させて、化合物A-17 22.6g(収率:75%)を得た。
【0201】
LC-Mass測定(理論値:612.76g/mol、測定値:M=613.76g/mol)。
【0202】
合成例5:化合物A-23の合成
【0203】
【0204】
第1段階:中間体2-aの合成
フェニル-(4-ビフェニル)-アミン1eq(22.7g)、N-ブロモスクシンイミド0.95eq(15.7g)をジクロロメタン300mlに溶かして、0℃で8時間還流撹拌した。反応終了後、蒸留水で抽出後、有機層をマグネシウムスルフェートで乾燥、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した後、アセトンで再結晶して、中間体2-a 28.5g(収率:95%)を得た。
【0205】
第2段階:中間体2-bの合成
中間体2-a 1eq(26.2g)とナフタレン-2-ボロニックアシッド1eq(13.9g)をPd(PPh
3)4 5mol%(9.1g)、K2CO3 2eq(43.6g)とともにテトラヒドロフラン(150ml)と蒸留水(80ml)に懸濁させた後、窒素気流下で12時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフランと蒸留水で抽出後、有機層をマグネシウムスルフェート(MgSO4)で乾燥、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。生成物固体をジクロロメタンとヘキサンで再結晶して、中間体2-bを21g(収率:70%)得た。
【0206】
第3段階:化合物A-23の合成
中間体1-c 1eq(15.4g)と2-b 1eq(16.2g)を合成例2と同様の方法で化合物A-23 23.0g(収率:77%)を得た。
【0207】
LC-Mass測定(理論値:688.86g/mol、測定値:M=689.86g/mol)。
【0208】
合成例6:化合物A-27の合成
【0209】
【0210】
第1段階:中間体3-aの合成
中間体1-b 16.1gに4-ブロモビフェニル41gと1,10-フェナントロリン2.1g、CuI2.2g、K2CO3 12.0gをジメチルホルムアミド200mlに懸濁して、窒素気流下で還流撹拌した。反応終了後、メタノールに沈殿させて固体をフィルタして得た後、モノクロロベンゼンに溶かしてシリカフィルタ後に再結晶して、中間体3-a 15.7g(収率:63%)を得た。
【0211】
第2段階:化合物A-27の合成
中間体3-a 1eq(15.5g)とフェニル-(4-ビフェニル)-アミン1eq(8.8g)にソジウム-t-ブトキシド2eq、Pd2(dba)3 0.03eqをキシレン(200ml)に懸濁させた後、トリ-t-ブチルホスフィン0.09eqを入れて、12時間還流撹拌した。反応終了後、トルエンと蒸留水で抽出後、有機層をマグネシウムスルフェートで乾燥、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。有機溶液を除去し、ヘキサン:ジクロロメタン=8:2(v/v)でシリカゲルカラムして、生成物固体をジクロロメタンとアセトンで再結晶して、化合物A-27 17.5g(収率:76%)を得た。
【0212】
LC-Mass測定(理論値:638.80g/mol、測定値:M=639.60g/mol)。
【0213】
合成例7:化合物A-33の合成
【0214】
【0215】
第1段階:中間体4-aの合成
中間体1-b 17.2gに2-ブロモナフタレン38.5gと1,10-フェナントロリン2.2g、CuI2.4g、K2CO3 12.8gをジメチルホルムアミド210mlに懸濁して、窒素気流下で還流撹拌した。反応終了後、メタノールに沈殿させて固体をフィルタして得た後、モノクロロベンゼンに溶かしてシリカフィルタ後に再結晶して、中間体4-a 18.5g(収率:74%)を得た。
【0216】
第2段階:化合物A-33の合成
中間体4-a 1eq(16.5g)とフェニル-(4-ビフェニル)-アミン1eq(10.0g)にソジウム-t-ブトキシド2eq、Pd2(dba)3 0.03eqをキシレン(180ml)に懸濁させた後、トリ-t-ブチルホスフィン0.09eqを入れて、12時間還流撹拌した。反応終了後、トルエンと蒸留水で抽出後、有機層をマグネシウムスルフェートで乾燥、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。有機溶液を除去し、ヘキサン:ジクロロメタン=8:2(v/v)でシリカゲルカラムして、生成物固体をジクロロメタンとアセトンで再結晶して、化合物A-33 20.1g(収率:80%)を得た。
【0217】
LC-Mass測定(理論値:612.76g/mol、測定値:M=613.56g/mol)。
【0218】
合成例8:化合物A-47の合成
【0219】
【0220】
第1段階:中間体5-aの合成
1,4-ジクロロ-2-ニトロベンゼン1eq(26.7g)と4-(2-ナフタレニル)フェニルボロニックアシッド1eq(34.5g)とPd(PPh
3)4 5mol%(8.03g)、K2CO3 2eq(38.4g)をテトラヒドロフラン(340ml)と蒸留水(200ml)に懸濁させた後、窒素気流下で12時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフランと蒸留水で抽出後、有機層をマグネシウムスルフェート(MgSO4)で乾燥、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。生成物固体をジクロロメタンとヘキサンで再結晶して、中間体5-aを34g(収率:68%)得た。
【0221】
第2段階:中間体5-bの合成
中間体5-a 34gとトリフェニルホスフィン100gを1,2-ジクロロベンゼン300mlに懸濁させた後、窒素気流下で18時間還流撹拌した。反応終了後、溶媒を抽出後、有機層をアセトン150mlで再結晶して、中間体5-b 17g(収率:55%)を得た。
【0222】
第3段階:中間体5-cの合成
中間体5-b 17gにヨードベンゼン36gと1,10-フェナントロリン1.9g、CuI2.0g、K2CO3 10.7gをジメチルホルムアミド180mlに懸濁して、窒素気流下で還流撹拌した。反応終了後、メタノールに沈殿させて固体をフィルタして得た後、モノクロロベンゼンに溶かしてシリカフィルタ後に再結晶して、中間体5-c 16.4g(収率:78%)を得た。
【0223】
第4段階:化合物A-47の合成
中間体5-c 1eq(16.4g)とフェニル-(4-ビフェニル)-アミン1eq(10.0g)にソジウム-t-ブトキシド2eq(7.8g)、Pd2(dba)3 0.03eq(1.12g)をキシレン(150ml)に懸濁させた後、トリ-t-ブチルホスフィン0.09eqを入れて、12時間還流撹拌した。反応終了後、トルエンと蒸留水で抽出後、有機層をマグネシウムスルフェートで乾燥、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。有機溶液を除去し、ヘキサン:ジクロロメタン=8:2(v/v)でシリカゲルカラムして、生成物固体をジクロロメタンとアセトンで再結晶して、化合物A-47 19.6g(収率:78%)を得た。
【0224】
LC-Mass測定(理論値:612.76g/mol、測定値:M=613.77g/mol)。
【0225】
比較合成例1:化合物V-1の合成
【0226】
【0227】
第1段階:中間体11-aの合成
2,7-ジブロモ-9H-カルバゾール1eq(43.6g)と1-ナフタレンボロニックアシッド1eq(23.1g)とPd(PPh
3)4 5mol%(7.8g)、K2CO3 2eq(37.1g)をテトラヒドロフラン(300ml)と蒸留水(150ml)に懸濁させた後、窒素気流下で12時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフランと蒸留水で抽出後、有機層をマグネシウムスルフェート(MgSO4)で乾燥、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。生成物固体をジクロロメタンとヘキサンで再結晶して、中間体11-aを26.4g(収率:53%)得た。
【0228】
第2段階:中間体11-bの合成
中間体11-a 11.8gに3-(4-クロロフェニル)ジベンゾチオフェン28gと1,10-フェナントロリン1.14g、CuI1.21g、K2CO3 6.6gをジメチルホルムアミド150mlに懸濁して、窒素気流下で還流撹拌した。反応終了後、メタノールに沈殿させて固体をフィルタして得た後、モノクロロベンゼンに溶かしてシリカフィルタ後に再結晶して、中間体11-b 14.7g(収率:74%)を得た。
【0229】
第3段階:化合物V-1の合成
中間体11-b 1eqとジフェニルアミン1eqを合成例2と同様の方法で反応させて、化合物V-1 11.9g(収率:79%)を得た。
【0230】
LC-Mass測定(理論値:718.9g/mol、測定値:M=719.60g/mol)。
【0231】
比較合成例2:化合物V-2の合成
【0232】
【0233】
第1段階:中間体12-aの合成
1,3-ジクロロ-2-ニトロベンゼン1eq(30.3g)と4-ビフェニルボロニックアシッド1eq(31.3g)とPd(PPh
3)4 5mol%(9.1g)、K2CO3 2eq(43.6g)をテトラヒドロフラン(310ml)と蒸留水(220ml)に懸濁させた後、窒素気流下で12時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフランと蒸留水で抽出後、有機層をマグネシウムスルフェート(MgSO4)で乾燥、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。生成物固体をジクロロメタンとヘキサンで再結晶して、中間体12-aを23.5g(収率:47%)得た。
【0234】
第2段階:中間体12-bの合成
中間体12-a 23.5gとトリフェニルホスフィン60gを1,2-ジクロロベンゼン250mlに懸濁させた後、窒素気流下で24時間還流撹拌した。反応終了後、溶媒を抽出後、有機層をアセトン120mlで再結晶して、中間体12-b 10.8g(収率:51%)を得た。
【0235】
第3段階:中間体12-cの合成
中間体12-b 10.8gにヨードベンゼン24.4gと1,10-フェナントロリン1.4g、CuI1.5g、K2CO3 8.2gをジメチルホルムアミド130mlに懸濁して、窒素気流下で還流撹拌した。反応終了後、メタノールに沈殿させて固体をフィルタして得た後、モノクロロベンゼンに溶かしてシリカフィルタ後に再結晶して、中間体12-c 9.4g(収率:67%)を得た。
【0236】
第4段階:化合物V-2の合成
中間体12-c 1eq(9.4g)と3-(ジフェニルアミノ)フェニルボロニックアシッド1eq(11.3g)とPd(PPh
3)4 5mol%(1.8g)、K2CO3 2eq(8.8g)をテトラヒドロフラン(110ml)と蒸留水(60ml)に懸濁させた後、窒素気流下で12時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフランと蒸留水で抽出後、有機層をマグネシウムスルフェート(MgSO4)で乾燥、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。生成物固体をジクロロメタンとヘキサンで再結晶して、化合物V-2を11.6g(収率:64%)得た。
【0237】
LC-Mass測定(理論値:562.70g/mol、測定値:M=563.10g/mol)。
【0238】
比較合成例3:化合物V-3の合成
9H-フェニル-カルバゾール1eqと4-(2-ナフタレニル)-N-フェニルベンゼンアミン1eqを合成例2と同様の方法で反応させて、化合物V-3 17.6g(収率:88%)を得た。
【0239】
LC-Mass測定(理論値:536.66g/mol、測定値:M=537.06g/mol)。
【0240】
【0241】
比較合成例4:化合物V-4の合成
中間体1-c 1eqと4-(3-ジベンゾチオフェニル)-2-ナフチルアミン1eqを合成例2と同様の方法で反応させて、化合物V-4 18.2g(収率:92%)を得た。
【0242】
LC-Mass測定(理論値:718.90g/mol、測定値:M=719.30g/mol)。
【0243】
【0244】
比較合成例5:化合物V-5の合成
【0245】
【0246】
第1段階:中間体15-aの合成
1,4-ジクロロ-2-ニトロベンゼン1eq(24.9g)と2,4-(ジフェニル)フェニルボロニックアシッド1eq(35.5g)とPd(PPh
3)4 5mol%(7.5g)、K2CO3 2eq(35.8g)をテトラヒドロフラン(310ml)と蒸留水(220ml)に懸濁させた後、窒素気流下で12時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフランと蒸留水で抽出後、有機層をマグネシウムスルフェート(MgSO4)で乾燥、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。生成物固体をジクロロメタンとヘキサンで再結晶して、中間体15-aを30.4g(収率:61%)得た。
【0247】
第2段階:中間体15-bの合成
中間体15-a 30.4gとトリフェニルホスフィン62gを1,2-ジクロロベンゼン250mlに懸濁させた後、窒素気流下で24時間還流撹拌した。反応終了後、溶媒を抽出後、有機層をアセトン120mlで再結晶して、中間体15-b 18.1g(収率:65%)を得た。
【0248】
第3段階:中間体15-cの合成
中間体15-b 16.5gにヨードベンゼン28.5gと1,10-フェナントロリン1.7g、CuI1.8g、K2CO3 9.7gをジメチルホルムアミド155mlに懸濁して、窒素気流下で還流撹拌した。反応終了後、メタノールに沈殿させて固体をフィルタして得た後、モノクロロベンゼンに溶かしてシリカフィルタ後に再結晶して、中間体15-c 11.8g(収率:59%)を得た。
【0249】
第4段階:化合物V-5の合成
中間体15-c 1eqと4-ビフェニル-フェニルアミン1eqとPd(PPh
3)4 5mol%、K2CO3 2eqをテトラヒドロフラン(110ml)と蒸留水(60ml)に懸濁させた後、窒素気流下で12時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフランと蒸留水で抽出後、有機層をマグネシウムスルフェート(MgSO4)で乾燥、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。有機溶液を除去し、ヘキサン:ジクロロメタン=8:2(v/v)でシリカゲルカラムして、生成物固体をジクロロメタンとアセトンで再結晶して、化合物V-5を16.0g(収率:89%)得た。
【0250】
LC-Mass測定(理論値:638.80g/mol、測定値:M=639.8g/mol)。
【0251】
(第2有機光電子素子用化合物の製造)
合成例9:化合物B-17の合成
【0252】
【0253】
第1段階:中間体B-17-1の合成
500mLの丸底フラスコに、2,4-ジクロロ-6-フェニルトリアジン22.6g(100mmol)をテトラヒドロフラン100mL、トルエン100mL、蒸留水100mLを入れて、ジベンゾフラン-3-ボロン酸(CAS No.:395087-89-5)0.9当量、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.03当量、炭酸カリウム2当量を入れて、窒素大気下で加熱還流する。6時間後に反応液を冷却させ、水層を除去した後、有機層を減圧下で乾燥させる。得られた固体を水とヘキサンで洗った後、固体をトルエン200mLで再結晶して、中間体B-17-1を21.4g(収率:60%)得た。
【0254】
第2段階:化合物B-17の合成
500mLの丸底フラスコに、前記合成された中間体B-17-1(56.9mmol)をテトラヒドロフラン200mL、蒸留水100mLを入れて、3,5-ジフェニルベンゼンボロン酸(CAS No.:128388-54-5)1.1当量、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.03当量、炭酸カリウム2当量を入れて、窒素大気下で加熱還流する。18時間後に反応液を冷却させ、析出された固体をろ過し、水500mLで洗う。固体をモノクロロベンゼン500mLで再結晶して、化合物B-17を得た。
【0255】
LC/MS測定(C39H25N3O、理論値:555.1998g/mol、測定値:556.21g/mol)。
【0256】
合成例10:化合物B-135の合成
【0257】
【0258】
第1段階:中間体B-135-1の合成
1-Bromo-4-chloro-benzeneと2-naphthalene boronic acidをそれぞれ1.0当量ずつ用いて、前記合成例9の第1段階と同様の方法で中間体B-135-1を合成した。
【0259】
第2段階:中間体B-135-2の合成
500mLの丸底フラスコに、前記中間体B-135-1 1当量をDMF250mLに入れて、ジクロロジフェニルホスフィノフェロセンパラジウム0.05当量、ビスピナコラトジボロン1.2当量、酢酸カリウム2当量を入れて、窒素大気下で18時間加熱還流させた。反応液を冷却させ、水1Lに滴下させて固体をとる。得られた固体を沸騰するトルエンに溶かして活性炭素を処理後、シリカゲルでろ過した後、ろ液を濃縮する。濃縮された固体を少量のヘキサンと撹拌後、固体をろ過して、中間体B-135-2を合成した。
【0260】
第3段階:化合物B-135の合成
中間体B-135-2と中間体B-17-1をそれぞれ1.0当量ずつ用いて、前記合成例9の第2段階と同様の方法で化合物B-135を合成した。
【0261】
LC/MS測定(C37H23N3O、理論値:525.18g/mol、測定値:M=525.22g/mol)。
【0262】
合成例11:化合物B-205の合成
【0263】
【0264】
第1段階:中間体Int-1の合成
1-Bromo-4-chloro-2-fluorobenzene(61g、291mmol)、2,6-Dimethoxyphenylboronic Acid(50.4g、277mmol)、K2CO3(60.4g、437mmol)、そしてPd(PPh3)4(10.1g、8.7mmol)を丸底フラスコに入れて、THF(500ml)と蒸留水(200ml)に溶かした後、60℃で12時間還流撹拌させる。反応が終了すると、水層を除去した後、カラムクロマトグラフィー(Hexane:Dichloromethane=8:2(volume/volume))を用いて、中間体Int-1を38g(51%)得た。
【0265】
第2段階:中間体Int-2の合成
中間体Int-1(38g、142mmol)とPyridine Hydrochloride(165g、1425mmol)を丸底フラスコに入れて、200℃で24時間還流撹拌させる。反応が終了すると、常温に冷やした後、蒸留水にゆっくり注いで1時間撹拌させる。固形物をフィルタして、中間体Int-2を23g(収率:68%)得た。
【0266】
第3段階:中間体Int-3の合成
中間体Int-2(23g、96mmol)とK2CO3(20g、144mmol)を丸底フラスコに入れて、NMP(100ml)に溶かした後、180℃で12時間還流撹拌させる。反応が終了すると、過剰の蒸留水に混合物を注ぐ。固形物をフィルタした後、エチルアセテートに溶かした後、MgSO4で乾燥し、有機層減圧下で除去する。カラムクロマトグラフィー(Hexane:Ethyl acetate=7:3(volume/volume))を用いて、中間体Int-3を16g(収率:76%)得た。
【0267】
第4段階:中間体Int-4の合成
中間体Int-3(16g、73mmol)、Pyridine(12ml、146mmol)を丸底フラスコに入れて、DCM(200ml)に溶かす。温度を0℃に下げた後、Trifluoromethanesulfonic Anhydride(14.7ml、88mmol)をゆっくり滴加する。6時間撹拌した後、反応が終了すると、過剰の蒸留水を入れて30分間撹拌した後、DCMで抽出する。有機溶媒を減圧下で除去し、真空乾燥して、中間体Int-4を22.5g(収率:88%)得た。
【0268】
第5段階:中間体Int-5の合成
中間体Int-4(22.5g、64mmol)とPhenylboronic acid(7.8g、64mmol)、K2CO3(13.3g、96mmol)、そしてPd(PPh3)4(3.7g、3.2mmol)を用いて、合成例1と同様の方法で合成して、中間体Int-5を14.4g(収率:81%)得た。
【0269】
第6段階:中間体Int-6の合成
中間体Int-5(22.5g、80mmol)、Bis(pinacolato)diboron(24.6g、97mmol)、Pd(dppf)Cl2(2g、2.4mmol)、Tricyclohexylphosphine(3.9g、16mmol)、そしてPotassium acetate(16g、161mmol)を丸底フラスコに入れて、DMF(320ml)に溶かす。混合物を120℃で10時間還流撹拌する。反応が終了すると、過剰の蒸留水に混合物を注いで1時間撹拌する。固形物をフィルタした後、DCMに溶かす。MgSO4で水分を除去した後、シリカゲルパッドを用いて有機溶媒をフィルタした後、減圧下で除去する。固形物をEAとHexaneで再結晶して、中間体Int-6を26.9g(収率:90%)得た。
【0270】
第7段階:化合物B-205の合成
窒素条件下、丸底フラスコに、中間体B-23-2(15g、35mmol)、中間体Int-6(12.8g、35mmol)、K2CO3(7.2g、52mmol)、そしてPd(PPh3)4(2g、1.7mmol)を用いて、合成例9の第2段階と同様の方法で合成して、化合物B-205 15.5g(収率:70%)得た。
【0271】
LC/MS測定(C45H27N3O2、理論値:641.21g/mol、測定値:M=641.25g/mol)。
【0272】
合成例12:化合物B-183の合成
【0273】
【0274】
第1段階:中間体B-183-1の合成
2-Bromo-1-chloro-3-fluoro-benzeneと2-hydroxyphenylboronic acidをそれぞれ1.0当量ずつ用いて、前記合成例11の第1段階と同様の方法で中間体B-183-1を合成した。
【0275】
第2段階:中間体B-183-2の合成
中間体B-183-1とK2CO3を1:1.5の当量比を用いて、前記合成例11の第3段階と同様の方法で中間体B-183-2を合成した。
【0276】
第3段階:中間体B-183-3の合成
中間体D-3-2とBis(pinacolato)diboronを1:1.2の当量比を用いて、前記合成例11の第6段階と同様の方法で中間体B-183-3を合成した。
【0277】
第4段階:化合物B-183の合成
中間体B-183-3と2,4-Bis([1,1’-biphenyl]-4-yl)-6-chloro-1,3,5-triazineをそれぞれ1.0当量ずつ用いて、前記合成例9の第2段階と同様の方法で化合物B-183を合成した。
【0278】
LC/MS測定(C39H25N3O、理論値:551.20g/mol、測定値:M=551.24g/mol)。
【0279】
合成例13:化合物B-209の合成
【0280】
【0281】
第1段階:中間体B-209-1の合成
500mLのフラスコに、中間体A 10.5g(韓国公開特許第10-2017-0005637号に開示された合成方法を参照)、3-ジベンゾフランボロニックアシッド8.8g、炭酸カリウム11.4g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)2.4gを1,4-ジオキサン140mL、水70mLに入れた後、窒素気流下、12時間60℃で加熱した。これから得た混合物をメタノール500mLに加えて結晶化された固形分をろ過した後、モノクロロベンゼンに溶かしてシリカゲル/セライトでろ過し、有機溶媒を適量除去した後、メタノールで再結晶して、中間体B-209-1 10.7g(収率:67%)を得た。
【0282】
第2段階:化合物B-209の合成
250mLのフラスコに、中間体B-209-1 10.4g、4-(9-カルバゾリル)フェニルボロニックアシッド7.8g、炭酸カリウム7.5g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)1.6gを1,4-ジオキサン90mL、水45mLに入れた後、窒素気流下、12時間70℃で加熱した。これから得た混合物をメタノール250mLに加えて結晶化された固形分をろ過した後、1,2-ジクロロベンゼンに溶かしてシリカゲル/セライトでろ過し、有機溶媒を適量除去した後、メタノールで再結晶して、化合物B-209 13.0g(収率:74%)を得た。
【0283】
LC/MS測定(C40H23N3OS、理論値:593.16g/mol、測定値:M=593.23g/mol)。
【0284】
合成例14:化合物C-25の合成
【0285】
【0286】
第1段階:中間体C-25-1の合成
2-bromocarbazole(35g、142mmol)をtetrahydrofuran(THF)0.5Lに溶かした後、これにphenyl boronic acid(17.3g、142mmol)とtetrakis(triphenylphosphine)palladium(8.2g、7.1mmol)を入れて撹拌させた。そして、水に飽和したpotassium carbonate(49.1g、356mmol)を入れて、80℃で12時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてdichloromethane(DCM)で抽出した後、magnesium sulfate anhydrousで水分を除去した後、フィルタし減圧濃縮した。このように得られた残渣をflash column chromatographyで分離精製して、中間体C-25-1を22g(収率:63.6%)を得た。
【0287】
第2段階:中間体C-25-2の合成
中間体C-25-1(22g、90.4mmol)、1-bromo-4-chloro-benzene(25.96g、135.61mmol)、CuI(1.71g、9mmol)、K2CO3(18.74g、135.61mmol)、1,10-phenanthroline(1.62g、9mmol)を丸底フラスコに入れて、DMF(700ml)に溶かす。180℃で18時間撹拌する。反応が終了すると、反応溶媒を減圧下で除去した後、ジクロロメタンに溶解後、シリカゲルろ過する。ジクロロメタン濃縮後、ヘキサンで再結晶して、中間体C-25-2を18g(収率:56.3%)を得た。
【0288】
第3段階:中間体C-25-3の合成
中間体C-25-2(18g、51mmol)、Bis(pinacolato)diboron(19.43g、76.5mmol)、Pd(dppf)Cl2(2.24g、8.64mmol)、Tricyclohexylphosphine(2.86g、10.2mmol)、そしてPotassium acetate(15.02g、153.01mmol)を丸底フラスコに入れて、DMF(720ml)に溶かす。混合物を120℃で12時間還流撹拌する。反応が終了すると、過剰の蒸留水に混合物を注いで1時間撹拌する。固形物をフィルタした後、DCMに溶かす。MgSO4で水分を除去した後、シリカゲルパッドを用いて有機溶媒をフィルタした後、減圧下で除去する。固形物をEAとHexaneで再結晶して、中間体C-25-3を14.8g(収率:65.3%)を得た。
【0289】
第4段階:中間体C-25-4の合成
中間体C-25-2の代わりに、3-bromo-dibenzofuran(40g、162mmol)を用いて、前記合成例12の第3段階と同様の方法で中間体C-25-4を合成して31g(収率:65.1%)を得た。
【0290】
第5段階:中間体C-25-5の合成
中間体C-25-4をtetrahydrofuran(THF)0.3Lに溶かした後、これに2,4-chloro-6-phenyl-1,3,5-triazine(21g、93mmol)とtetrakis(triphenylphosphine)palladium(5.38g、4.65mmol)を入れて撹拌させた。そして、水に飽和したpotassium carbonate(32.14g、232mmol)を入れて、80℃で12時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れて30分間撹拌してフィルタした後、得られた固体をモノクロロベンゼンに133℃の温度で溶かし、magnesium sulfate anhydrousで水分を除去した後、シリカゲルを用いてフィルタし、ろ液を常温に冷やしてフィルタした。このように得られた固体をモノクロロベンゼンを用いて繰り返し精製して、中間体C-25-5 15g(収率:64.8%)を得た。
【0291】
第6段階:化合物C-25の合成
中間体C-25-5(10.5g、29.3mmol)と中間体C-25-3(14.38g、32.28mmol)を前記合成例12の第4段階と同様の方法で合成して、化合物C-25 12.7g(収率:67.5%)を得た。
【0292】
LC/MS測定(C45H28NO、理論値:640.23g/mol、測定値:M=641.38g/mol)。
【0293】
合成例15:化合物C-23の合成
【0294】
【0295】
第1段階:中間体C-23-1の合成
9H-Carbazole(24.1g、144mmol)、1-bromo-3-chloro-benzene(27.6g、144mmol)を前記合成例14の第2段階と同様の方法で中間体C-23-1を31.5g(79%)を得た。
【0296】
第2段階:中間体C-23-2の合成
中間体C-23-1(18g、65mmol)を用いたことを除き、前記合成例14の第3段階と同様の方法で合成して、中間体C-23-2を16.8g(収率:70%)を得た。
【0297】
第3段階:化合物C-23の合成
中間体C-23-2(16.3g、44.3mmol)と中間体C-25-3(15.8g、44.3mmol)を前記合成例14の第6段階と同様の方法で化合物C-23を16.4g(収率:66%)合成した。
【0298】
LC/MS測定(C39H24N4O、理論値:564.20g/mol、測定値:M=565.36g/mol)。
【0299】
合成例16:化合物D-57の合成
【0300】
【0301】
韓国公開特許第10-2014-0135524号に開示された合成方法を参照して、中間体D-57-1と中間体D-57-2を用いて、化合物D-57を合成した(収率:88%)。
【0302】
LC/MS測定(C39H25N3、理論値:535.20g/mol、測定値:M=535.83g/mol)。
【0303】
(有機発光素子の作製I-正孔補助層)
実施例1
ITO(Indium tin oxide)が1500Åの厚さに薄膜コーティングされたガラス基板を、蒸留水超音波洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノールなどの溶剤で超音波洗浄をし乾燥させた後、プラズマ洗浄機に移送させた後、酸素プラズマを用いて前記基板を10分間洗浄した後、真空蒸着機に基板を移送した。このように用意されたITO透明電極を陽極として用いて、ITO基板の上部に化合物Aを真空蒸着して700Åの厚さの正孔注入層を形成し、前記注入層の上部に化合物Bを50Åの厚さに蒸着した後、化合物Cを700Åの厚さに蒸着して正孔輸送層を形成した。前記正孔輸送層の上部に化合物A-3を700Åの厚さに蒸着して正孔輸送補助層を形成した。正孔輸送補助層の上部に化合物Eをホストとして用い、ドーパントとして[Ir(piq)2acac]2wt%にドーピングして、真空蒸着で400Åの厚さの発光層を形成した。次いで、前記発光層の上部に化合物DとLiqを同時に1:1の比率で真空蒸着して300Åの厚さの電子輸送層を形成し、前記電子輸送層の上部にLiq15ÅとAl1200Åを順次に真空蒸着して陰極を形成することによって、有機発光素子を作製した。
【0304】
前記有機発光素子は5層の有機薄膜層を有する構造になっており、具体的には次の通りである。
【0305】
ITO/化合物A(700Å)/化合物B(50Å)/化合物C(700Å)/化合物A-3(700Å)/EML[化合物E:[Ir(piq)2acac](2wt%)](400Å)/化合物D:Liq(300Å)/Liq(15Å)/Al(1200Å)の構造で作製した。
【0306】
化合物A:N4,N4’-diphenyl-N4,N4’-bis(9-phenyl-9H-carbazol-3-yl)biphenyl-4,4’-diamine
化合物B:1,4,5,8,9,11-hexaazatriphenylene-hexacarbonitrile(HAT-CN)
化合物C:N-(biphenyl-4-yl)-9,9-dimethyl-N-(4-(9-phenyl-9H-carbazol-3-yl)phenyl)-9H-fluoren-2-amine
化合物D:8-(4-(4,6-di(naphthalen-2-yl)-1,3,5-triazin-2-yl)phenyl)quinoline
化合物E:9-phenyl-9’-(4-phenylquinazolin-2-yl)-9H,9’H-3,3’-bicarbazole。
【0307】
実施例2~5
表1に記載の組成に変更したことを除けば、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を作製した。
【0308】
比較例1~5
表1に記載の組成に変更したことを除けば、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を作製した。
【0309】
(有機発光素子の作製II-ホスト)
実施例6
ITO(Indium tin oxide)が1500Åの厚さに薄膜コーティングされたガラス基板を、蒸留水超音波洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノールなどの溶剤で超音波洗浄をし乾燥させた後、プラズマ洗浄機に移送させた後、酸素プラズマを用いて前記基板を10分間洗浄した後、真空蒸着機に基板を移送した。このように用意されたITO透明電極を陽極として用いて、ITO基板の上部に化合物Aを真空蒸着して700Åの厚さの正孔注入層を形成し、前記注入層の上部に化合物Bを50Åの厚さに蒸着した後、化合物Cを700Åの厚さに蒸着して正孔輸送層を形成した。前記正孔輸送層の上部に化合物C-1を400Åの厚さに蒸着して正孔輸送補助層を形成した。正孔輸送補助層の上部に化合物A-3およびB-135を同時にホストとして用い、ドーパントとして[Ir(piq)2acac]2wt%にドーピングして、真空蒸着で400Åの厚さの発光層を形成した。ここで、化合物A-3と化合物B-135は6:4の重量比で使用され、下記の実施例の場合、別途に比率を記述した。次いで、前記発光層の上部に化合物DとLiqを同時に1:1の比率で真空蒸着して300Åの厚さの電子輸送層を形成し、前記電子輸送層の上部にLiq15ÅとAl1200Åを順次に真空蒸着して陰極を形成することによって、有機発光素子を作製した。
【0310】
前記有機発光素子は5層の有機薄膜層を有する構造になっており、具体的には次の通りである。
【0311】
ITO/化合物A(700Å)/化合物B(50Å)/化合物C(700Å)/化合物C-1(400Å)/EML[化合物A-3:B-135:[Ir(piq)2acac](2wt%)](400Å)/化合物D:Liq(300Å)/Liq(15Å)/Al(1200Å)の構造で作製した。
【0312】
化合物A:N4,N4’-diphenyl-N4,N4’-bis(9-phenyl-9H-carbazol-3-yl)biphenyl-4,4’-diamine
化合物B:1,4,5,8,9,11-hexaazatriphenylene-hexacarbonitrile(HAT-CN)
化合物C:N-(biphenyl-4-yl)-9,9-dimethyl-N-(4-(9-phenyl-9H-carbazol-3-yl)phenyl)-9H-fluoren-2-amine
化合物C-1:N,N-di([1,1’-biphenyl]-4-yl)-7,7-dimethyl-7H-fluoreno[4,3-b]benzofuran-10-amine
化合物D:8-(4-(4,6-di(naphthalen-2-yl)-1,3,5-triazin-2-yl)phenyl)quinoline。
【0313】
実施例7~22
表2に記載の組成に変更したことを除けば、前記実施例6と同様の方法で有機発光素子を作製した。
【0314】
比較例6~11
表2に記載の組成に変更したことを除けば、前記実施例2-1と同様の方法で有機発光素子を作製した。
【0315】
評価
実施例1~5と比較例1~5で材料の単一特性を把握する素子評価を実施し、
実施例6~22と比較例6~11で2つのホストの使用による有機発光素子の電力効率を評価した。
【0316】
具体的な測定方法は下記の通りであり、その結果は表1および表2の通りである。
【0317】
(1)電圧変化に応じた電流密度の変化の測定
製造された有機発光素子に対して、電圧を0Vから10Vまで上昇させながら、電流-電圧計(Keithley2400)を用いて単位素子に流れる電流値を測定し、測定された電流値を面積で割って結果を得た。
【0318】
(2)電圧変化に応じた輝度の変化の測定
製造された有機発光素子に対して、電圧を0Vから10Vまで上昇させながら、輝度計(Minolta Cs-1000A)を用いてその時の輝度を測定して結果を得た。
【0319】
(3)電力効率の測定
前記(1)および(2)から測定された輝度と電流密度および電圧を用いて同一の電流密度(10mA/cm2)の電力効率(cd/A)を計算した。
【0320】
(4)寿命の測定
輝度(cd/m2)を9000cd/m2に維持し、電流効率(cd/A)が97%に減少する時間を測定して結果を得た。
【0321】
(5)駆動電圧の測定
電流-電圧計(Keithley2400)を用いて15mA/cm2における各素子の駆動電圧を測定して結果を得た。
【0322】
【0323】
【0324】
表1を参照すれば、実施例1~5による有機発光素子は、比較例1~5による有機発光素子と比較して駆動電圧および寿命が顕著に改善されたことを確認できる。
【0325】
また、表2を参照すれば、実施例6~22による有機発光素子は、比較例6~11による有機発光素子と比較して駆動電圧、効率および寿命が改善され、特に寿命特性が顕著に改善されたことを確認できる。
【0326】
以上、本発明の望ましい実施例について詳しく説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0327】
100、200:有機発光素子
105:有機層
110:陰極
120:陽極
130:発光層
140:正孔補助層