(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】研磨装置、及び研磨方法
(51)【国際特許分類】
B24B 37/013 20120101AFI20221125BHJP
B24B 49/16 20060101ALI20221125BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20221125BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20221125BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20221125BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B24B37/013
B24B49/16
B24B49/10
B24B49/12
H01L21/68 A
H01L21/304 622S
H01L21/304 622Q
H01L21/304 622G
H01L21/304 622L
(21)【出願番号】P 2021025129
(22)【出願日】2021-02-19
(62)【分割の表示】P 2019116181の分割
【原出願日】2017-04-04
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】P 2016193641
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100117411
【氏名又は名称】串田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 弘行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 佑多
(72)【発明者】
【氏名】高橋 太郎
(72)【発明者】
【氏名】勝岡 誠司
(72)【発明者】
【氏名】畠山 雅規
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-090818(JP,A)
【文献】特開2015-149438(JP,A)
【文献】特開2013-176828(JP,A)
【文献】特開2016-014572(JP,A)
【文献】国際公開第2015/163164(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0242196(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/013
B24B 49/10 - 49/16
H01L 21/677
H01L 21/304
G05B 19/418
G01B 7/00 - 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を研磨するとともに研磨に関する信号を取得する基板処理装置と、中間処理装置と、データ処理装置とを有し、前記基板処理装置と前記中間処理装置は第1の通信手段により接続され、前記中間処理装置と前記データ処理装置は第2の通信手段により接続される研磨装置を制御するためのコンピュータに、
前記中間処理装置に対して、前記基板処理装置が取得した前記信号に基づいて、研磨処理に関するデータを作成させるステップと、
前記データ処理装置に対して、前記データに基づいて前記基板処理装置の研磨処理の状態を監視させるステップと、を実行させるためのプログラム。
【請求項2】
前記データは、複数の前記データを有するデータセットであることを特徴とする請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
前記プログラムは、前記データ処理装置に対して、前記基板処理装置が取得した前記信号に基づいて、前記研磨処理に関するパラメータを更新させるステップを有し、前記パラメータは、前記基板処理装置が行う研磨動作に使用されることを特徴とする請求項1または2記載のプログラム。
【請求項4】
前記プログラムは、前記基板処理装置に対して、前記データ処理装置から
前記基板処理装置に対するデータが、終点が検知されたことを示すデータの場合、終点が検知されたと判断して、研磨を終了させるステップを有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記プログラムは、前記
基板処理装置の制御部に対して、前記基板処理装置の監視と制御を行わせて前記基板処理装置を運転させるステップを有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記プログラムは、前記
基板処理装置の制御部に対して、前記基板処理装置の異常および/または寿命の予測および/または判断および/または表示を行わせるステップを有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記プログラムは、前記中間処理装置および/または前記データ処理装置に終点検出の判定を自動学習させ、および/または研磨パラメータの更新を自動学習させるステップを有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記基板処理装置は、前記基板を保持するための保持部を有し、前記保持部はカルーセルまたはトラックに配置される、ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置、及び研磨方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの高集積化が進むにつれて回路の配線が微細化し、配線間距離もより狭くなりつつある。半導体デバイスの製造では、シリコンウェハの上に多くの種類の材料が膜状に繰り返し形成され、積層構造を形成する。この積層構造を形成するためには、ウェハの表面を平坦にする技術が重要となっている。このようなウェハの表面を平坦化する一手段として、化学機械研磨(CMP)を行う研磨装置(化学的機械的研磨装置ともいう)が広く用いられている。
【0003】
この化学機械研磨(CMP)装置は、一般に、研磨対象物(ウェハ等の基板)を研磨するための研磨パッドが取り付けられた研磨テーブルと、研磨対象物を保持して研磨パッドに押圧するためにウェハを保持するトップリングを有する。研磨テーブルとトップリングはそれぞれ、駆動部(例えばモータ)によって回転駆動される。さらに、研磨装置は、研磨液を研磨パッド上に供給するノズルを備えている。ノズルから研磨液を研磨パッド上に供給しながら、トップリングによりウェハを研磨パッドに押し付け、さらにトップリングと研磨テーブルとを相対移動させることにより、ウェハを研磨してその表面を平坦にする。トップリングと、トップリングの駆動部の保持方式としては、これらを揺動アーム(片持アーム)の端部に保持する方式と、トップリングと、トップリングの駆動部をカルーセルに保持する方式がある。
【0004】
研磨装置では、研磨対象物の研磨が不十分であると、回路間の絶縁がとれず、ショートするおそれが生じる。また、過研磨となった場合は、配線の断面積が減ることによる抵抗値の上昇、又は配線自体が完全に除去され、回路自体が形成されないなどの問題が生じる。このため、研磨装置では、最適な研磨終点を検出することが求められる。
【0005】
研磨終点検出手段の1つとして、研磨が異材質の物質へ移行した際の研磨摩擦力の変化を検出する方法が知られている。研磨対象物である半導体ウェハは、半導体、導体、絶縁体の異なる材質からなる積層構造を有しており、異材質層間で摩擦係数が異なる。このため、研磨が異材質層へ移行することによって生じる研磨摩擦力の変化を検出する方法である。この方法によれば、研磨が異材質層に達した時が研磨の終点となる。
【0006】
また、研磨装置は、研磨対象物の研磨表面が平坦ではない状態から平坦になった際の研磨摩擦力の変化を検出することにより、研磨終点を検出することもできる。
【0007】
ここで、研磨対象物を研磨する際に生じる研磨摩擦力は、研磨テーブルまたはトップリングを回転駆動する駆動部の駆動負荷として現れる。例えば、駆動部が電動モータの場合には、駆動負荷(トルク)はモータに流れる電流として測定することができる。このため、モータ電流(トルク電流)を電流センサで検出し、検出したモータ電流の変化に基づいて研磨の終点を検出することができる。
【0008】
特開2004-249458号には、揺動アームの端部にトップリングを保持する方式において、研磨テーブルを駆動するモータのモータ電流を利用して研磨摩擦力を測定して、研磨の終点を検出する方法を開示する。カルーセルに複数のトップリングを保持する方式においては、カルーセル回転モータのトルク電流(モータ電流)検知による終点検知方法(特開2001-252866号、米国特許第6293845号)がある。また、カル
ーセルに取り付けたリニアモータにより横方向にトップリングが駆動される方式もある。この方式では、リニアモータのトルク電流(モータ電流)検知による終点検知方法(米国特許出願公開第2014/0020830号)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2004-249458号
【文献】特開2001-252866号
【文献】米国特許第6293845号
【文献】米国特許出願公開第2014/0020830号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
研磨装置によって実行される研磨プロセスには、研磨対象物の種類、研磨パッドの種類、研磨砥液(スラリ)の種類などの組み合わせによって複数の研磨条件が存在する。これら複数の研磨条件の中には、駆動部の駆動負荷に変化が生じてもトルク電流の変化(特徴点)が大きく現れない場合がある。トルク電流の変化が小さい場合、トルク電流に現れるノイズや、トルク電流の波形に生じるうねり部分の影響を受け、研磨の終点を適切に検出することができないおそれがあり、過研磨などの問題が生じ得る。
【0011】
なお、研磨の終点を適切に検出することは、研磨パッドのドレッシングにおいても重要である。ドレッシングは、ダイヤモンド等の砥石が表面に配置されたパッドドレッサーを研磨パッドに当てて行う。パッドドレッサーにより、研磨パッドの表面を削り、又は、粗化して、研磨開始前に研磨パッドのスラリの保持性を良好にし、又は使用中の研磨パッドのスラリの保持性を回復させ、研磨能力を維持する。
【0012】
そこで、本発明の一形態は、トップリングを揺動アームの端部に保持する方式において、研磨終点検出の精度を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、第1の形態では、研磨パッドと、前記研磨パッドに対向して配置される研磨物との間で研磨を行うための研磨装置であって、前記研磨パッドを保持するための研磨テーブルと、前記研磨物を保持するための保持部と、前記保持部を保持するための揺動アームと、前記揺動アームを揺動するためのアーム駆動部と、前記揺動アームに加わるアームトルクを直接または間接に検知するアームトルク検知部と、前記アームトルク検知部が検知した前記アームトルクに基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出する終点検出部と、を有する研磨装置という構成を採っている。
【0014】
ここで、研磨物とは、研磨対象物である基板の表面を平坦化するときは、基板であり、研磨パッドのドレッシングをおこなうときは、パッドドレッサーである。従って、研磨の終了とは、基板の場合、基板の表面の研磨終了を意味し、研磨パッドのドレッシングをおこなうときは、研磨パッドの表面の研磨終了を意味する。
【0015】
本実施形態は、トップリングを揺動アームの端部に保持する方式であり、研磨対象物を研磨する際に生じる研磨摩擦力は、アーム駆動部の駆動負荷としても現れる。例えば、アーム駆動部が電動モータの場合には、駆動負荷(トルク)はモータに流れる電流として測定することができる。このため、モータ電流(トルク電流)を電流センサ等で検出し、検出したモータ電流の変化に基づいて研磨の終点を検出することができる。
【0016】
トップリングを揺動アームの端部に保持する方式では、揺動アームを、揺動させずに、
すなわち所定の位置に停止させて(静止させて)、研磨を行うこともできる。揺動アームの静止時に、揺動アームに加わるアームトルクを検知できる。このため、回転している研磨テーブルに加わるテーブルトルクを検知して終点検知する方式と比較すると、回転により発生するノイズが低減する。ノイズが低減するため、テーブルトルクを検知する方式と比較すると、研磨終点検出の精度が向上する。
【0017】
なお、揺動アームを揺動させながら、研磨を行う場合は、揺動アームに加わるアームトルクを検知するときに、一時的に揺動アームの揺動を停止させて、揺動アームに加わるアームトルクを検知することができる。また、ノイズが増加する可能性があるが、揺動アームを揺動させながら、揺動アームに加わるアームトルクを検知してもよい。
【0018】
第2の形態では、前記保持部と前記揺動アームと前記アーム駆動部と前記トルク検知部は、組を構成し、前記組は、複数組あるという構成を採っている。
【0019】
第3の形態では、前記研磨装置は、前記研磨テーブルを回転駆動するテーブル駆動部と、前記研磨テーブルに加わるテーブルトルクを検知するテーブルトルク検知部とを有し、前記終点検出部は、前記アームトルク検知部が検知した前記アームトルクと、前記テーブルトルク検知部が検知した前記テーブルトルクに基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出するという構成を採っている。
【0020】
第4の形態では、前記保持部の重量の、前記揺動アームの重量に対する比は、0.3から1.5であるという構成を採っている。
【0021】
第5の形態では、前記揺動アームの、前記アーム駆動部への接続部において、前記アームトルク検知部は、前記揺動アームに加わる前記アームトルクを検知するという構成を採っている。トルクを検知する手段としては、揺動アームを回転させる回転モータの電流値を検知する方法がある。他の方法としては、例えば、アーム駆動部への接続部等に配置した歪ゲージ、圧電素子、磁歪式トルクセンサ等を用いた方法がある。
【0022】
第6の形態では、前記アーム駆動部は、前記揺動アームを回転させる回転モータであり、前記アームトルク検知部は、前記回転モータの電流値から、前記揺動アームに加わる前記アームトルクを検知するという構成を採っている。研磨対象物を研磨する際に生じる研磨摩擦力は、揺動アームの静止時においても、研磨テーブルまたはトップリングが回転しているため、揺動アームを静止させるためのアーム駆動部の駆動負荷に影響する。従って、揺動アームを回転させる回転モータの電流値から、揺動アームに加わるアームトルクを検知することができる。
【0023】
第7の形態では、前記アーム駆動部は、前記揺動アームを回転させる回転モータであり、前記アームトルク検知部は、前記回転モータの電流値を検知し、前記終点検出部は、前記回転モータの電流値の微分値に基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出するという構成を採っている。
【0024】
第8の形態では、前記揺動アームは複数のアームを有し、前記複数のアーム同士の接合部において、前記アームトルク検知部は、前記揺動アームに加わる前記アームトルクを検知するという構成を採っている。
【0025】
第9の形態では、前記研磨装置は、回転軸の周りに回転可能なカルーセルを有し、前記アーム駆動部は、前記カルーセルに取り付けられるという構成を採っている。
【0026】
第10の形態では、前記研磨装置は、支持フレームと、前記支持フレームに取り付けら
れ、前記アーム駆動部の搬送経路を画定するトラックと、前記トラックによって画定された前記経路に沿って、前記アーム駆動部を搬送するキャリッジであって、前記トラックに結合され、前記トラックに沿って可動であるキャリッジとを有するという構成を採っている。
【0027】
第11の形態では、前記研磨装置は、前記研磨物を研磨する研磨部と、前記研磨物を洗浄し乾燥させる洗浄部と、前記研磨部と前記洗浄部との間を分離する隔壁と、前記隔壁の開口を介して研磨後の前記研磨物を前記研磨部から前記洗浄部へ搬送する搬送機構と、側壁を有して、前記研磨部と前記洗浄部と前記搬送機構とを内部に収納する筐体とを有し、前記洗浄部は、研磨後の前記研磨物を洗浄液により洗浄する洗浄手段と、洗浄後の前記研磨物を乾燥させる乾燥手段と、前記洗浄手段と乾燥手段間を水平および昇降自在に前記研磨物の受け渡しが可能な搬送手段とを有し、前記研磨部は、前記研磨テーブルと、前記保持部と、前記揺動アームと、前記アーム駆動部とを有するという構成を採っている。
【0028】
第12の形態では、前記終点検出部は、前記研磨物に光を当て、前記研磨物からの反射光の強度を計測する光学式センサを有し、前記終点検出部は、前記アームトルク検知部が検知した前記アームトルクと、前記光学式センサが計測した前記研磨物からの反射光の強度とに基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出するという構成を採っている。
【0029】
第13の形態では、前記終点検出部は、研磨時に前記研磨物と対向可能な、前記研磨テーブル内の位置に組込まれるウィンドウを有し、前記ウィンドウの下部に、前記光学式センサが配置されるという構成を採っている。
【0030】
第14の形態では、前記研磨テーブルは、研磨時に前記研磨物と対向可能な、前記研磨テーブル内の位置に開口を有し、前記光学式センサは、前記ウィンドウの下部に配置され、前記光学式センサは、洗浄用の流体を前記開口内に供給する流体供給部を有するという構成を採っている。
【0031】
第15の形態では、前記終点検出部は、前記研磨物に磁場を生成し、生成した前記磁場の強度を検知する渦電流式センサを有し、前記終点検出部は、前記アームトルク検知部が検知した前記アームトルクと、前記渦電流式センサが計測した前記磁場の強度とに基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出するという構成を採っている。
【0032】
第16の形態では、研磨パッドと、前記研磨パッドに対向して配置される研磨物との間で研磨を行う研磨方法において、前記研磨パッドを研磨テーブルに保持し、揺動アームが、前記研磨物を保持する保持部を保持し、アーム駆動部が前記揺動アームを揺動し、前記揺動アームに加わるアームトルクを直接または間接に検知し、検知した前記アームトルクに基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出することを特徴とする研磨方法という構成を採っている。
【0033】
第17の形態では、前記揺動アームは複数のアームを有し、前記複数のアーム同士の接合部において、前記揺動アームに加わる前記アームトルクを検知することを特徴とする研磨方法という構成を採っている。
【0034】
第18の形態では、研磨物を保持するための保持部と、前記保持部を保持するための揺動アームと、前記揺動アームに加わるアームトルクを直接または間接に検知するアームトルク検知部とを有して前記研磨物を研磨する研磨装置を制御するためのコンピュータを、前記アームトルク検知部が検知した前記アームトルクに基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出する終点検出手段、前記研磨装置による研磨を制御する制御手段、として機能させるためのプログラムという構成を採っている。
【0035】
第19の形態では、前記プログラムは更新可能であることを特徴とする第18の形態に記載のプログラムという構成を採っている。
【0036】
第20の形態では、基板を研磨するとともに研磨に関する信号を取得する基板処理装置と、前記基板処理装置と通信手段により接続されるデータ処理装置とを有し、前記データ処理装置は、前記基板処理装置が取得した信号に基づいて、研磨処理に関するパラメータを更新することを特徴とする研磨装置という構成を採っている。ここで、信号は、アナログ信号及び/又はデジタル信号である。
【0037】
ここで、研磨パラメータとしては、例えば、(1)半導体ウェハの4つの領域、すなわち、中央部、内側中間部、外側中間部、および周縁部に対する押圧力、(2)研磨時間、(3)研磨テーブルやトップリングの回転数、(4)研磨終点の判定のための閾値等がある。パラメータの更新とは、これらを更新することである。
【0038】
第21の形態では、第20の形態に記載の研磨装置において、前記信号は、1種類のセンサ又は種類の異なる複数のセンサにより取得されることを特徴とする研磨装置という構成を採っている。本形態で用いられる種類の異なるセンサとしては、以下のセンサ等がある。すなわち(1)揺動軸モータのトルク変動に関する測定信号を取得するセンサ、(2)SOPM(光学式センサ)、(3)渦電流センサ、(4)研磨テーブル回転用モータのモータ電流変動に関する測定信号を取得するセンサである。
【0039】
第22の形態では、基板処理装置とデータ処理装置を通信手段により接続するステップと、前記基板処理装置を用いて基板を研磨するとともに研磨に関する信号を取得するステップと、前記データ処理装置により、前記基板処理装置が取得した信号に基づいて、研磨処理に関するパラメータを更新するステップとを含むことを特徴とする研磨方法という構成を採っている。
【0040】
第23の形態では、基板を研磨するとともに研磨に関する信号を取得する基板処理装置と、中間処理装置と、データ処理装置とを有し、基板処理装置と中間処理装置は第1の通信手段により接続され、中間処理装置とデータ処理装置は第2の通信手段により接続され、前記中間処理装置は、前記基板処理装置が取得した信号に基づいて、研磨処理に関するデータセットを作成し、前記データ処理装置は、前記データセットに基づいて前記基板処理装置の研磨処理の状態を監視し、前記中間処理装置または前記データ処理装置は前記データセットに基づいて前記研磨の終了を示す研磨終点を検出することを特徴とする研磨装置という構成を採っている。
【0041】
第24の形態では、第23の形態において、前記信号は、1種類のセンサ又は種類の異なる複数のセンサにより取得されることを特徴とする研磨装置という構成を採ることができる。本形態で用いられる種類の異なるセンサとしては、以下のセンサ等がある。すなわち(1)揺動軸モータのトルク変動に関する測定信号を取得するセンサ、(2)SOPM(光学式センサ)、(3)渦電流センサ、(4)研磨テーブル回転用モータのモータ電流変動に関する測定信号を取得するセンサである。
【0042】
第25の形態では、第23の形態において、前記データセットの例としては、以下がある。前記センサが出力するセンサ信号と、必要な制御パラメータをデータセットにすることが可能である。すなわち、データセットは、トップリングの半導体ウェハへの押圧・揺動軸モータの電流・ 研磨テーブルのモータ電流・光学式センサの測定信号・ 渦電流センサの測定信号・研磨パッド上でのトップリングの位置・ スラリと薬液の流量/種類、そ
れらの相関算出データ等を含むことができる。
【0043】
第26の形態では、第23の形態において、前記データセットの送信方法の例としては、以下がある。1次元データをパラレルに送信する送信システムや、1次元データをシーケンシャルに送信する送信システムを用いて、送信することが可能である。また、上記1次元データを2次元データに加工して、データセットにすることが可能である。
【0044】
第27の形態では、第23の形態において、信号値の変動が大きい信号を抽出して研磨パラメータを更新することができる。研磨パラメータを更新する方法としては、例えば、以下がある。主であるセンサと従であるセンサの両方の目標値に優先割合係数(重み係数)を設けることにより、主であるセンサと従であるセンサとの影響割合を規定する。信号値の変動が大きい信号を抽出して優先割合係数を変更する。なお、信号値の変動には、短時間のみ変動するものと、長時間にわたって変動するものがある。また、信号値の変動とは、信号値の時間に関する微分値、又は時間に関する差分値等である。
【0045】
第28の形態では、基板を研磨するとともに研磨に関する信号を取得する基板処理装置と中間処理装置を第1の通信手段により接続するステップと、前記中間処理装置とデータ処理装置を第2の通信手段により接続するステップと、前記基板処理装置が取得した信号に基づいて、前記中間処理装置が研磨処理に関するデータセットを作成するステップと、前記データセットに基づいて前記基板処理装置の研磨処理の状態を前記データ処理装置が監視するステップと、前記データセットに基づいて前記研磨の終了を示す研磨終点を前記中間処理装置または前記データ処理装置が検出するステップとを含むことを特徴とする研磨方法という構成を採っている。
【0046】
第29の形態では、基板を研磨するとともに研磨に関する信号を取得する基板処理装置と、中間処理装置と、第1のデータ処理装置と、第2のデータ処理装置とを有し、前記基板処理装置と前記中間処理装置は第1の通信手段により接続され、前記中間処理装置と前記第1のデータ処理装置は第2の通信手段により接続され、前記第1のデータ処理装置と前記第2のデータ処理装置は第3の通信手段により接続され、前記第1の通信手段は、前記第2、第3の通信手段よりも高速に通信が可能であり、前記中間処理装置は、前記基板処理装置が取得した信号に基づいて、研磨処理に関するデータセットを作成し、前記第1または第2のデータ処理装置は、前記データセットに基づいて前記基板処理装置の研磨処理の状態を監視し、前記中間処理装置は前記データセットに基づいて前記研磨の終了を示す研磨終点を検出することを特徴とする研磨装置という構成を採っている。
【0047】
第29の形態は、既述の第23~第27の形態のうちの少なくとも1つの形態と組み合わせることができる。また、第29の形態においては、既述の第2~第16の形態と組み合わせることができる。
【0048】
第30の形態では、基板を研磨するとともに研磨に関する信号を取得する基板処理装置と中間処理装置を第1の通信手段により接続するステップと、前記中間処理装置と第1のデータ処理装置を第2の通信手段により接続するステップと、前記第1のデータ処理装置と第2のデータ処理装置を第3の通信手段により接続するステップと、前記第1の通信手段が、前記第2、第3の通信手段よりも高速に通信するステップと、前記基板処理装置が取得した信号に基づいて、研磨処理に関するデータセットを前記中間処理装置が作成するステップと、前記データセットに基づいて前記基板処理装置の研磨処理の状態を前記第1または第2のデータ処理装置が監視するステップと、前記データセットに基づいて前記研磨の終了を示す研磨終点を前記中間処理装置が検出するステップとを含むことを特徴とする研磨方法という構成を採っている。
【0049】
第31の形態では、基板を研磨するとともに研磨に関する信号を取得する基板処理装置
と、中間処理装置と、データ処理装置とを有し、前記基板処理装置と前記中間処理装置は第1の通信手段により接続され、前記基板処理装置と前記データ処理装置は第2の通信手段により接続され、前記第1の通信手段は、前記第2の通信手段よりも高速に通信が可能であり、前記中間処理装置は、前記基板処理装置が取得した信号に基づいて、研磨処理に関するデータセットを作成し、前記データ処理装置は、前記基板処理装置の状態を監視し、前記中間処理装置は前記データセットに基づいて前記研磨の終了を示す研磨終点を検出することを特徴とする研磨装置という構成を採っている。
【0050】
第32の形態では、第31の形態に記載の研磨装置において、前記データ処理装置は、前記中間処理装置による前記研磨終点の検出を監視することを特徴とする研磨装置という構成を採っている。
【0051】
第33の形態では、第31の形態に記載の研磨装置において、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出するための複数の種類の終点検知センサを有し、前記中間処理装置は、前記複数の種類の終点検知センサが出力する複数の信号値のうち、前記信号値の変動が他の信号値より大きい信号値を抽出して研磨パラメータを更新することを特徴とする研磨装置という構成を採っている。
【0052】
第34の形態では、第31の形態に記載の研磨装置において、前記基板処理装置は、前記研磨物を保持するための保持部と、前記保持部を保持するための揺動アームと、前記揺動アームを揺動するためのアーム駆動部と、前記揺動アームに加わるアームトルクを直接または間接に検知するアームトルク検知部とを有し、前記アームトルク検知部が検知した前記アームトルクに基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出することを特徴とする研磨装置という構成を採っている。
【0053】
なお、第31の形態は、既述の第23~第27の形態のうちの少なくとも1つの形態と組み合わせることができる。また、第31の形態においては、既述の第2~第16の形態と組み合わせることができる。
【0054】
第35の形態では、基板を研磨するとともに研磨に関する信号を取得する基板処理装置と中間処理装置を第1の通信手段により接続するステップと、前記基板処理装置とデータ処理装置は第2の通信手段により接続するステップと、前記第1の通信手段が、前記第2の通信手段よりも高速に通信するステップと、前記基板処理装置が取得した信号に基づいて、研磨処理に関するデータセットを前記中間処理装置が作成するステップと、前記基板処理装置の状態を前記データ処理装置が監視するステップと、前記データセットに基づいて前記研磨の終了を示す研磨終点を前記中間処理装置が検出するステップとを含むことを特徴とする研磨方法という構成を採っている。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る研磨装置の全体構成を示す概略図である。
【
図3】
図3は、アームトルク検知部26によるアームトルクの検知方法を説明するブロック図である。
【
図4】
図4は、研磨テーブル30Aの回転トルクのデータ44と、アームトルクのデータ46を示す。
【
図6】
図6は、データ46を微分したデータである。
【
図7】
図7は、
図4の研磨テーブル30Aの回転トルクのデータ44のみを示す。
【
図8】
図8は、データ44を微分したデータである。
【
図9】
図9は、参考として、トップリング31Aの回転トルクのデータ68を示す。
【
図12】
図12は、研磨テーブル30A及びトップリング31Aの回転数を示す。
【
図13】
図13は、トップリング31A内のエアバッグにより半導体ウェハ16に印加された圧力のデータを示す。
【
図14】
図14は、研磨テーブル30Aの回転トルクのデータ88と、アームトルクのデータ90を示す。
【
図15】
図15は、データ88及びデータ92を微分したデータである。
【
図16】
図16は、研磨テーブル30Aの回転トルクのデータに含まれるノイズレベルと、アームトルクのデータに含まれるノイズレベルを比較した例を示す。
【
図17】
図17は、
図16に示すデータを、横軸は半導体ウェハ16に印加した圧力、縦軸はノイズの大きさとして示したものである。
【
図18】
図18は、研磨テーブル30Aの回転トルクのデータに含まれるノイズと、アームトルクのデータに含まれるノイズをフーリエ変換して得られるノイズの周波数スペクトラムを示す。
【
図19】
図19は、第1研磨ユニットを模式的に示す斜視図である。
【
図20】
図20は、トップリングの構造を模式的に示す断面図である。
【
図21】
図21は、トップリングの他の構造例を模式的に示す断面図である。
【
図22】
図22は、トップリングを回転および揺動させる機構を説明するための断面図である。
【
図23】
図23は、研磨テーブルの内部構造を模式的に示す断面図である。
【
図24】
図24は、光学式センサを備えた研磨テーブルを示す模式図である。
【
図25】
図25は、マイクロ波センサを備えた研磨テーブルを示す模式図である。
【
図27】
図27(a)はアトマイザを示す斜視図であり、
図27(b)はアームの下部を示す模式図である。
【
図28】
図28(a)はアトマイザの内部構造を示す側面図であり、
図28(b)はアトマイザを示す平面図である。
【
図29】
図29(a)は洗浄部を示す平面図であり、
図29(b)は洗浄部を示す側面図である。
【
図31】
図31は、上側乾燥モジュールを示す縦断面図である。
【
図33】
図33は、カルーセルによって支持されたマルチヘッド型のトップリングと研磨テーブルとの関係を示す概略側面図である。
【
図34】
図34は、研磨テーブル30Aが1つの場合に、複数のTRユニットを設置する場合を示す図である。
【
図35】
図35は、ロードセル706の設置例を示す図である。
【
図36】
図36は、トラック上を揺動アームが移動する実施形態を示す図である。
【
図37】
図37は、光学式センサを有する別の実施形態を示す図である。
【
図38】
図38は、光学式センサを有する別の実施形態を示す図である。
【
図39】
図39は、終点部の膜構造が金属と絶縁膜の混在状態である場合の例を示す図である。
【
図40】
図40は、終点部の膜構造が金属と絶縁膜の混在状態である場合の例を示す図である。
【
図41】
図41は、終点部の膜構造が金属と絶縁膜の混在状態である場合の例を示す図である。
【
図43】
図43は、制御部65による全体の制御を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同一または相当する部材には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0057】
図1は本発明の一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
図1に示すように、この基板処理装置は、略矩形状のハウジング61を備えている。ハウジング61は側壁700を有する。ハウジング61の内部は隔壁1a,1bによってロード/アンロード部62と研磨部63と洗浄部64とに区画されている。これらのロード/アンロード部62、研磨部63、および洗浄部64は、それぞれ独立に組み立てられ、独立に排気される。また、基板処理装置は、基板処理動作を制御する制御部65を有している。
【0058】
ロード/アンロード部62は、多数のウェハ(基板)をストックするウェハカセットが載置される2つ以上(本実施形態では4つ)のフロントロード部20を備えている。これらのフロントロード部20はハウジング61に隣接して配置され、基板処理装置の幅方向(長手方向に垂直な方向)に沿って配列されている。フロントロード部20には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができるようになっている。ここで、SMIF、FOUPは、内部にウェハカセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
【0059】
また、ロード/アンロード部62には、フロントロード部20の並びに沿って走行機構21が敷設されている。走行機構21上にウェハカセットの配列方向に沿って移動可能な2台の搬送ロボット(ローダー)22が設置されている。搬送ロボット22は走行機構21上を移動することによってフロントロード部20に搭載されたウェハカセットにアクセスできるようになっている。各々の搬送ロボット22は上下に2つのハンドを備えている。上側のハンドは、処理されたウェハをウェハカセットに戻すときに使用される。下側のハンドは、処理前のウェハをウェハカセットから取り出すときに使用される。このように、上下のハンドは使い分けられる。さらに、搬送ロボット22の下側のハンドは、その軸心周りに回転することで、ウェハを反転させることができる。
【0060】
ロード/アンロード部62は最もクリーンな状態を保つ必要がある領域である。そのため、ロード/アンロード部62の内部は、基板処理装置外部、研磨部63、および洗浄部64のいずれよりも高い圧力に常時維持されている。研磨部63は研磨液としてスラリを用いるため最もダーティな領域である。したがって、研磨部63の内部には負圧が形成され、その圧力は洗浄部64の内部圧力よりも低く維持されている。ロード/アンロード部62には、HEPAフィルタ、ULPAフィルタ、またはケミカルフィルタなどのクリーンエアフィルタを有するフィルタファンユニット(図示せず)が設けられている。フィルタファンユニットからはパーティクルや有毒蒸気、有毒ガスが除去されたクリーンエアが常時吹き出している。
【0061】
研磨部63は、ウェハの研磨(平坦化)が行われる領域であり、第1研磨ユニット3A、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、第4研磨ユニット3Dを備えている。第1研磨ユニット3A、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、および第4研磨ユニット3Dは、
図1に示すように、基板処理装置の長手方向に沿って配列されている。
【0062】
図1に示すように、第1研磨ユニット3Aは、研磨テーブル30Aと、トップリング31Aと、研磨液供給ノズル32Aと、ドレッサ33Aと、アトマイザ34Aとを備えている。研磨テーブル30Aには、研磨面を有する研磨パッド10が取り付けられている。トップリング(保持部)31Aは、ウェハを保持し、かつウェハを研磨テーブル30A上の研磨パッド10に押圧しながら研磨する。研磨液供給ノズル32Aは、研磨パッド10に研磨液やドレッシング液(例えば、純水)を供給する。ドレッサ33Aは、研磨パッド10の研磨面のドレッシングを行う。アトマイザ34Aは、液体(例えば純水)と気体(例えば窒素ガス)の混合流体または液体(例えば純水)を霧状にして研磨面に噴射する。
【0063】
同様に、第2研磨ユニット3Bは、研磨パッド10が取り付けられた研磨テーブル30Bと、トップリング31Bと、研磨液供給ノズル32Bと、ドレッサ33Bと、アトマイザ34Bとを備えている。第3研磨ユニット3Cは、研磨パッド10が取り付けられた研磨テーブル30Cと、トップリング31Cと、研磨液供給ノズル32Cと、ドレッサ33Cと、アトマイザ34Cとを備えている。第4研磨ユニット3Dは、研磨パッド10が取り付けられた研磨テーブル30Dと、トップリング31Dと、研磨液供給ノズル32Dと、ドレッサ33Dと、アトマイザ34Dとを備えている。
【0064】
第1研磨ユニット3A、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、および第4研磨ユニット3Dは、互いに同一の構成を有しているので、研磨ユニットの詳細に関しては、以下では、第1研磨ユニット3Aを対象として説明する。
【0065】
図19は、第1研磨ユニット3Aを模式的に示す斜視図である。トップリング31Aは、トップリングシャフト636に支持されている。研磨テーブル30Aの上面には研磨パッド10が貼付されており、この研磨パッド10の上面は半導体ウェハ16を研磨する研磨面を構成する。なお、研磨パッド10に代えて固定砥粒を用いることもできる。トップリング31Aおよび研磨テーブル30Aは、矢印で示すように、その軸心周りに回転するように構成されている。半導体ウェハ16は、トップリング31Aの下面に真空吸着により保持される。研磨時には、研磨液供給ノズル32Aから研磨パッド10の研磨面に研磨液が供給され、研磨対象である半導体ウェハ16がトップリング31Aにより研磨面に押圧されて研磨される。
【0066】
図20はトップリング31Aの構造を模式的に示す断面図である。トップリング31Aは、トップリングシャフト636の下端に自在継手637を介して連結されている。自在継手637は、トップリング31Aとトップリングシャフト636との互いの傾動を許容しつつ、トップリングシャフト636の回転をトップリング31Aに伝達するボールジョイントである。トップリング31Aは、略円盤状のトップリング本体638と、トップリング本体638の下部に配置されたリテーナリング640とを備えている。トップリング本体638は金属やセラミックス等の強度および剛性が高い材料から形成されている。また、リテーナリング640は、剛性の高い樹脂材またはセラミックス等から形成されている。なお、リテーナリング640をトップリング本体638と一体的に形成することとしてもよい。
【0067】
トップリング本体638およびリテーナリング640の内側に形成された空間内には、半導体ウェハ16に当接する円形の弾性パッド642と、弾性膜からなる環状の加圧シート643と、弾性パッド642を保持する概略円盤状のチャッキングプレート644とが収容されている。弾性パッド642の上周端部はチャッキングプレート644に保持され、弾性パッド642とチャッキングプレート644との間には、4つの圧力室(エアバッグ)P1,P2,P3,P4が設けられている。圧力室P1,P2,P3,P4は弾性パッド642とチャッキングプレート644とによって形成されている。圧力室P1,P2
,P3,P4にはそれぞれ流体路651,652,653,654を介して加圧空気等の加圧流体が供給され、あるいは真空引きがされるようになっている。中央の圧力室P1は円形であり、他の圧力室P2,P3,P4は環状である。これらの圧力室P1,P2,P3,P4は、同心上に配列されている。
【0068】
圧力室P1,P2,P3,P4の内部圧力は後述する圧力調整部により互いに独立して変化させることが可能であり、これにより、半導体ウェハ16の4つの領域、すなわち、中央部、内側中間部、外側中間部、および周縁部に対する押圧力を独立に調整することができる。また、トップリング31Aの全体を昇降させることにより、リテーナリング640を所定の押圧力で研磨パッド10に押圧できるようになっている。チャッキングプレート644とトップリング本体638との間には圧力室P5が形成され、この圧力室P5には流体路655を介して加圧流体が供給され、あるいは真空引きがされるようになっている。これにより、チャッキングプレート644および弾性パッド642全体が上下方向に動くことができる。
【0069】
半導体ウェハ16の周端部はリテーナリング640に囲まれており、研磨中に半導体ウェハ16がトップリング31Aから飛び出さないようになっている。圧力室P3を構成する、弾性パッド642の部位には開口(図示せず)が形成されており、圧力室P3に真空を形成することにより半導体ウェハ16がトップリング31Aに吸着保持されるようになっている。また、この圧力室P3に窒素ガス、乾燥空気、圧縮空気等を供給することにより、半導体ウェハ16がトップリング31Aからリリースされるようになっている。
【0070】
図21はトップリング31Aの他の構造例を模式的に示す断面図である。この例では、チャッキングプレートは設けられていなく、弾性パッド642はトップリング本体638の下面に取り付けられている。また、チャッキングプレートとトップリング本体638との間の圧力室P5も設けられていない。これに代えて、リテーナリング640とトップリング本体638との間には弾性バッグ646が配置されており、その弾性バッグ646の内部には圧力室P6が形成されている。リテーナリング640はトップリング本体638に対して相対的に上下動可能となっている。圧力室P6には流体路656が連通しており、加圧空気等の加圧流体が流体路656を通じて圧力室P6に供給されるようになっている。圧力室P6の内部圧力は後述する圧力調整部により調整可能となっている。したがって、半導体ウェハ16に対する押圧力とは独立してリテーナリング640の研磨パッド10に対する押圧力を調整することができる。他の構成および動作は、
図20に示すトップリングの構成と同一である。本実施形態では、
図20または
図21のいずれのタイプのトップリングを用いることができる。
【0071】
図22はトップリング31Aを回転および揺動させる機構を説明するための断面図である。トップリングシャフト(例えば、スプラインシャフト)636はトップリングヘッド660に回転自在に支持されている。また、トップリングシャフト636は、プーリ661,662およびベルト663を介してモータM1の回転軸に連結されており、モータM1によってトップリングシャフト636およびトップリング31Aがその軸心周りに回転する。このモータM1はトップリングヘッド660の上部に取り付けられている。また、トップリングヘッド660とトップリングシャフト636とは、上下駆動源としてのエアシリンダ665によって連結されている。このエアシリンダ665に供給されるエア(圧縮気体)によりトップリングシャフト636およびトップリング31Aが一体に上下動する。なお、エアシリンダ665に代えて、ボールねじおよびサーボモータを有する機構を上下駆動源として用いてもよい。
【0072】
トップリングヘッド660は、支持軸667に軸受672を介して回転自在に支持されている。この支持軸667は固定軸であり、回転しない構造となっている。トップリング
ヘッド660にはモータM2が設置されており、トップリングヘッド660とモータM2との相対位置は固定である。このモータM2の回転軸は、図示しない回転伝達機構(歯車など)を介して支持軸667に連結されており、モータM2を回転させることによって、トップリングヘッド660が支持軸667を中心として揺動(スイング)するようになっている。したがって、トップリングヘッド660の揺動運動により、その先端に支持されたトップリング31Aは研磨テーブル30Aの上方の研磨位置と研磨テーブル30Aの側方の搬送位置との間を移動する。なお、本実施形態では、トップリング31Aを揺動させる揺動機構はモータM2から構成される。
【0073】
トップリングシャフト36の内部には、その長手方向に延びる貫通孔(図示せず)が形成されている。上述したトップリング31Aの流体路651,652,653,654,655,656は、この貫通孔を通って、トップリングシャフト636の上端に設けられている回転継手669に接続されている。この回転継手669を介してトップリング31Aに加圧気体(クリーンエア)や窒素ガスなどの流体が供給され、またトップリング31Aから気体が真空排気される。回転継手669には、上記流体通路651,652,653,654,655,656(
図20および
図21参照)に連通する複数の流体管670が接続され、これら流体管670は圧力調整部675に接続されている。また、エアシリンダ665に加圧空気を供給する流体管671も圧力調整部675に接続されている。
【0074】
圧力調整部675は、トップリング31Aに供給される流体の圧力を調整する電空レギュレータや、流体管670,671に接続される配管、これら配管に設けられたエアオペレートバルブ、これらのエアオペレートバルブの作動源となるエアの圧力を調整する電空レギュレータ、トップリング31Aに真空を形成するエジェクタなどを有しており、これらが集合して1つのブロック(ユニット)を構成している。圧力調整部675は、トップリングヘッド660の上部に固定されている。トップリング31Aの圧力室P1,P2,P3,P4,P5(
図20参照)に供給される加圧気体や、エアシリンダ665に供給される加圧空気の圧力は、この圧力調整部675の電空レギュレータによって調整される。同様に、圧力調整部675のエジェクタによってトップリング31AのエアバッグP1,P2,P3,P4内や、チャッキングプレート44とトップリング本体38の間の圧力室P5内に真空が形成される。
【0075】
このように、圧力調整機器である電空レギュレータやバルブがトップリング31Aの近くに設置されているので、トップリング31A内の圧力の制御性が向上される。より具体的には、電空レギュレータと圧力室P1,P2,P3,P4,P5との距離が短いので、制御部65からの圧力変更指令に対する応答性が向上する。同様に、真空源であるエジェクタもトップリング31Aの近くに設置されているので、トップリング31A内に真空を形成するときの応答性が向上する。また、圧力調整部675の裏面を、電装機器の取り付け用台座として利用することができ、従来必要であった取付用のフレームを不要とすることができる。
【0076】
トップリングヘッド660、トップリング31A、圧力調整部675、トップリングシャフト636、モータM1、モータM2、エアシリンダ665は、1つのモジュール(以下、トップリングアッセンブリという)として構成されている。すなわち、トップリングシャフト636、モータM1、モータM2、圧力調整部675、エアシリンダ665は、トップリングヘッド660に取り付けられている。トップリングヘッド660は、支持軸667から取り外しできるように構成されている。したがって、トップリングヘッド660と支持軸667とを分離することにより、トップリングアッセンブリを基板処理装置から取り外すことができる。このような構成によれば、支持軸667やトップリングヘッド660などのメンテナンス性を向上させることができる。例えば、軸受672から異音が発生したときに、軸受672を容易に交換することができ、また、モータM2や回転伝達
機構(減速機)を交換する際に、隣接する機器を取り外す必要もない。
【0077】
図23は、研磨テーブル30Aの内部構造を模式的に示す断面図である。
図23に示すように、研磨テーブル30Aの内部には、半導体ウェハ16の膜の状態を検知するセンサ676が埋設されている。この例では、センサ676として渦電流センサが用いられている。センサ676の信号は制御部65に送信され、制御部65によって膜厚を表すモニタリング信号が生成されるようになっている。このモニタリング信号(およびセンサ信号)の値は膜厚自体を示すものではないが、モニタリング信号の値は膜厚に応じて変化する。したがって、モニタリング信号は半導体ウェハ16の膜厚を示す信号ということができる。
【0078】
制御部65は、モニタリング信号に基づいて各々の圧力室P1,P2,P3,P4の内部圧力を決定し、決定された内部圧力が各々の圧力室P1,P2,P3,P4に形成されるように圧力調整部675に指令を出すようになっている。制御部65は、モニタリング信号に基づいて各々の圧力室P1,P2,P3,P4の内部圧力を操作する圧力制御部として、および研磨終点を検知する終点検知部として機能する。
【0079】
センサ676は、第1研磨ユニット3Aと同様に、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、および第4研磨ユニット3Dの研磨テーブルにも設けられている。制御部65は、各々の研磨ユニット3A~3Dのセンサ76から送られてくる信号からモニタリング信号を生成し、各々の研磨ユニット3A~3Dでのウェハの研磨の進捗を監視する。複数のウェハが研磨ユニット3A~3Dで研磨されている場合、制御部5は、ウェハの膜厚を示すモニタリング信号を研磨中に監視し、それらのモニタリング信号に基づいて、研磨ユニット3A~3Dでの研磨時間がほぼ同一となるようにトップリング31A~31Dの押圧力を制御する。このように研磨中のトップリング31A~31Dの押圧力をモニタリング信号に基づいて調整することで、研磨ユニット3A~3Dでの研磨時間を平準化することができる。
【0080】
半導体ウェハ16は、第1研磨ユニット3A、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、第4研磨ユニット3Dのいずれかで研磨されてもよく、またはこれらの研磨ユニット3A~3Dから予め選択された複数の研磨ユニットで連続的に研磨されてもよい。例えば、半導体ウェハ16を第1研磨ユニット3A→第2研磨ユニット3Bの順で研磨してもよく、または半導体ウェハ16を第3研磨ユニット3C→第4研磨ユニット3Dの順で研磨してもよい。さらに、半導体ウェハ16を第1研磨ユニット3A→第2研磨ユニット3B→第3研磨ユニット3C→第4研磨ユニット3Dの順で研磨してもよい。いずれの場合でも、研磨ユニット3A~3Dのすべての研磨時間を平準化することで、スループットを向上させることができる。
【0081】
渦電流センサは、ウェハの膜が金属膜である場合に好適に用いられる。ウェハの膜が酸化膜などの光透過性を有する膜である場合には、センサ76として光学式センサを用いることができる。あるいは、センサ76としてマイクロ波センサを用いてもよい。マイクロ波センサは、金属膜および非金属膜のいずれの場合にも用いることができる。以下、光学式センサおよびマイクロ波センサの一例について説明する。
【0082】
図24は、光学式センサを備えた研磨テーブルを示す模式図である。
図24に示すように、研磨テーブル30Aの内部に、半導体ウェハ16の膜の状態を検知する光学式センサ676が埋設されている。このセンサ676は、半導体ウェハ16に光を照射し、半導体ウェハ16からの反射光の強度(反射強度または反射率)から半導体ウェハ16の膜の状態(膜厚など)を検知する。
【0083】
また、研磨パッド10には、センサ676からの光を透過させるための透光部677が取付けられている。この透光部677は、透過率の高い材質で形成されており、例えば、無発泡ポリウレタンなどにより形成される。あるいは、研磨パッド10に貫通孔を設け、この貫通孔が半導体ウェハ16に塞がれる間下方から透明液を流すことにより、透光部677を構成してもよい。透光部677は、トップリング31Aに保持された半導体ウェハ16の中心を通過する位置に配置される。
【0084】
センサ676は、
図24に示すように、光源678aと、光源678aからの光を半導体ウェハ16の被研磨面に照射する発光部としての発光光ファイバ678bと、被研磨面からの反射光を受光する受光部としての受光光ファイバ678cと、受光光ファイバ678cにより受光された光を分光する分光器およびこの分光器により分光された光を電気的情報として蓄積する複数の受光素子とを内部に有する分光器ユニット678dと、光源678aの点灯および消灯や分光器ユニット678d内の受光素子の読取開始のタイミングなどの制御を行う動作制御部678eと、動作制御部678eに電力を供給する電源678fとを備えている。なお、光源678aおよび分光器ユニット678dには、動作制御部678eを介して電力が供給される。
【0085】
発光光ファイバ678bの発光端と受光光ファイバ678cの受光端は、半導体ウェハ16の被研磨面に対して略垂直になるように構成されている。分光器ユニット678d内の受光素子としては、例えば128素子のフォトダイオードアレイを用いることができる。分光器ユニット678dは、動作制御部678eに接続されている。分光器ユニット678d内の受光素子からの情報は、動作制御部678eに送られ、この情報に基づいて反射光のスペクトルデータが生成される。すなわち、動作制御部678eは、受光素子に蓄積された電気的情報を読み取って反射光のスペクトルデータを生成する。このスペクトルデータは、波長に従って分解された反射光の強度を示し、膜厚によって変化する。
【0086】
動作制御部678eは、上述した制御部65に接続されている。このようにして、動作制御部678eで生成されたスペクトルデータは、制御部65に送信される。制御部65では、動作制御部678eから受信したスペクトルデータに基づいて、半導体ウェハ16の膜厚に関連付けられた特性値を算出して、これをモニタリング信号として使用する。
【0087】
図25は、マイクロ波センサを備えた研磨テーブルを示す模式図である。センサ676は、マイクロ波を半導体ウェハ16の被研磨面に向けて照射するアンテナ680aと、アンテナ680aにマイクロ波を供給するセンサ本体680bと、アンテナ680aとセンサ本体680bとを接続する導波管681とを備えている。アンテナ680aは研磨テーブル30Aに埋設されており、トップリング31Aに保持された半導体ウェハ16の中心位置に対向するように配置されている。
【0088】
センサ本体680bは、マイクロ波を生成してアンテナ680aにマイクロ波を供給するマイクロ波源680cと、マイクロ波源680cにより生成されたマイクロ波(入射波)と半導体ウェハ16の表面から反射したマイクロ波(反射波)とを分離させる分離器680dと、分離器680dにより分離された反射波を受信して反射波の振幅および位相を検出する検出部680eとを備えている。なお、分離器680dとしては、方向性結合器が好適に用いられる。
【0089】
アンテナ680aは導波管681を介して分離器680dに接続されている。マイクロ波源680cは分離器680dに接続され、マイクロ波源680cにより生成されたマイクロ波は、分離器680dおよび導波管681を介してアンテナ680aに供給される。マイクロ波はアンテナ680aから半導体ウェハ16に向けて照射され、研磨パッド610を透過(貫通)して半導体ウェハ16に到達する。半導体ウェハ16からの反射波は再
び研磨パッド10を透過した後、アンテナ680aにより受信される。
【0090】
反射波はアンテナ680aから導波管681を介して分離器680dに送られ、分離器680dによって入射波と反射波とが分離される。分離器680dにより分離された反射波は検出部680eに送信される。検出部680eでは反射波の振幅および位相が検出される。反射波の振幅は電力(dbmまたはW)または電圧(V)として検出され、反射波の位相は検出部680eに内蔵された位相計測器(図示せず)により検出される。検出部680eによって検出された反射波の振幅および位相は制御部65に送られ、ここで反射波の振幅および位相に基づいて半導体ウェハ16の金属膜や非金属膜などの膜厚が解析される。解析された値は、モニタリング信号として制御部65により監視される。
【0091】
図26は、本発明の一実施例として用いうるドレッサ33Aを示す斜視図である。
図26に示すように、ドレッサ33Aは、ドレッサアーム685と、ドレッサアーム685の先端に回転自在に取り付けられたドレッシング部材686と、ドレッサアーム685の他端に連結される揺動軸688と、揺動軸688を中心にドレッサアーム685を揺動(スイング)させる駆動機構としてのモータ689とを備えている。ドレッシング部材686は円形のドレッシング面を有しており、ドレッシング面には硬質な粒子が固定されている。この硬質な粒子としては、ダイヤモンド粒子やセラミック粒子などが挙げられる。ドレッサアーム685内には、図示しないモータが内蔵されており、このモータによってドレッシング部材686が回転するようになっている。揺動軸688は図示しない昇降機構に連結されており、この昇降機構によりドレッサアーム685が下降することでドレッシング部材686が研磨パッド10の研磨面を押圧するようになっている。
【0092】
図27(a)はアトマイザ34Aを示す斜視図である。アトマイザ34Aは、下部に1または複数の噴射孔を有するアーム690と、このアーム690に連結された流体流路691と、アーム690を支持する揺動軸694とを備えている。
図27(b)はアーム690の下部を示す模式図である。
図27(b)に示す例では、アーム690の下部には複数の噴射孔690aが等間隔に形成されている。流体流路691としては、チューブ、またはパイプ、またはこれらの組み合わせから構成することができる。
【0093】
図28(a)はアトマイザ34Aの内部構造を示す側面図であり、
図28(b)はアトマイザ34Aを示す平面図である。流体流路691の開口端部は、図示しない流体供給パイプに接続され、この流体供給パイプから流体が流体流路691に供給されるようになっている。用いられる流体の例としては、液体(例えば純水)、または液体と気体の混合流体(例えば、純水と窒素ガスの混合流体)などが挙げられる。流体流路691はアーム690の噴射孔690aに連通しており、流体は霧状となって噴射孔690aから研磨パッド10の研磨面に噴射される。
【0094】
アーム690は、
図27(a)および
図28(b)の点線で示すように、揺動軸694を中心として洗浄位置と退避位置との間で旋回可能となっている。アーム690の可動角度は約90°である。通常、アーム690は洗浄位置にあり、
図1に示すように、研磨パッド10の研磨面の径方向に沿って配置されている。研磨パッド10の交換などのメンテナンス時には、アーム690は手動により退避位置に移動する。したがって、メンテナンス時にアーム690を取り外す必要がなく、メンテナンス性を向上させることができる。なお、回転機構を揺動軸694に連結し、この回転機構によりアーム690を旋回させてもよい。
【0095】
図28(b)に示すように、アーム690の両側面には、互いに形状の異なる2つの補強部材696,696が設けられている。これらの補強部材696,696を設けることにより、洗浄位置と退避位置との間でアーム690が旋回動作を行ったときに、アーム6
90の軸心が大幅にぶれることがなく、アトマイジング動作を効果的に行うことができる。また、アトマイザ34Aは、アーム690の旋回位置(アーム690が旋回可能な角度範囲)を固定するためのレバー695を備えている。すなわち、レバー695を操作することにより、アーム690の旋回可能な角度を条件に合わせて調整することができる。レバー695を回すと、アーム690が自由に旋回可能となり、手動によりアーム690を洗浄位置と退避位置との間で移動させる。そして、レバー695を締めると、アーム690の位置が洗浄位置と退避位置のいずれかで固定される。
【0096】
アトマイザのアーム690は折りたたみ可能な構造とすることもできる。具体的には、アーム690をジョイントで連結された少なくとも2つのアーム部材から構成してもよい。この場合、折りたたまれたときのアーム部材同士がなす角度は、1°以上45°以下とし、好ましくは5°以上30°以下とする。アーム部材同士がなす角度が45°よりも大きいと、アーム690が占めるスペースが大きくなり、1°未満とすると、アーム690の幅を薄くせざるを得ず、機械的強度が低くなる。この例では、アーム690は揺動軸694周りに回転しないように構成してもよい。研磨パッド10の交換などのメンテナンス時には、アーム690を折りたたむことによって、アトマイザがメンテナンス作業の邪魔にならないようにすることができる。他の変形例としては、アトマイザのアーム690を伸縮自在な構造とすることもできる。この例でも、メンテナンス時にアーム690を縮めることによって、アトマイザが邪魔となることはない。
【0097】
このアトマイザ34Aを設ける目的は、研磨パッド10の研磨面に残留する研磨屑や砥粒などを高圧の流体により洗い流すことである。アトマイザ34Aの流体圧による研磨面の浄化と、機械的接触であるドレッサ33Aによる研磨面の目立て作業により、より好ましいドレッシング、すなわち研磨面の再生を達成することができる。通常は接触型のドレッサ(ダイヤモンドドレッサ等)によるドレッシングの後に、アトマイザによる研磨面の再生を行う場合が多い。
【0098】
次に、基板を搬送するための搬送機構について、
図1により説明する。搬送機構は、リフタ11と、第1リニアトランスポータ66と、スイングトランスポータ12と、第2リニアトランスポータ67と、仮置き台180と、を備える。
【0099】
リフタ11は、搬送ロボット22から基板を受け取る。第1リニアトランスポータ66は、リフタ11から受け取った基板を、第1搬送位置TP1、第2搬送位置TP2、第3搬送位置TP3、及び、第4搬送位置TP4、の間で搬送する。第1研磨ユニット3A及び第2研磨ユニット3Bは、第1リニアトランスポータ66から基板を受け取って研磨する。第1研磨ユニット3A及び第2研磨ユニット3Bは、研磨した基板を第1リニアトランスポータ66へ渡す。
【0100】
スイングトランスポータ12は、第1リニアトランスポータ66と第2リニアトランスポータ67との間で基板の受け渡しを行う。第2リニアトランスポータ67は、スイングトランスポータ12から受け取った基板を、第5搬送位置TP5、第6搬送位置TP6、及び、第7搬送位置TP7、の間で搬送する。第3研磨ユニット3C及び第4研磨ユニット3Dは、第2リニアトランスポータ67から基板を受け取って研磨する。第3研磨ユニット3C及び第4研磨ユニット3Dは、研磨した基板を第2リニアトランスポータ67へ渡す。研磨ユニット3によって研磨処理が行われた基板は、スイングトランスポータ12によって仮置き台180へ置かれる。
【0101】
図29(a)は洗浄部64を示す平面図であり、
図29(b)は洗浄部64を示す側面図である。
図29(a)および
図29(b)に示すように、洗浄部64は、第1洗浄室190と、第1搬送室191と、第2洗浄室192と、第2搬送室193と、乾燥室194
とに区画されている。第1洗浄室190内には、縦方向に沿って配列された上側一次洗浄モジュール201Aおよび下側一次洗浄モジュール201Bが配置されている。上側一次洗浄モジュール201Aは下側一次洗浄モジュール201Bの上方に配置されている。同様に、第2洗浄室192内には、縦方向に沿って配列された上側二次洗浄モジュール202Aおよび下側二次洗浄モジュール202Bが配置されている。上側二次洗浄モジュール202Aは下側二次洗浄モジュール202Bの上方に配置されている。一次および二次洗浄モジュール201A,201B,202A,202Bは、洗浄液を用いてウェハを洗浄する洗浄機である。これらの一次および二次洗浄モジュール201A,201B,202A,202Bは垂直方向に沿って配列されているので、フットプリント面積が小さいという利点が得られる。
【0102】
上側二次洗浄モジュール202Aと下側二次洗浄モジュール202Bとの間には、ウェハの仮置き台203が設けられている。乾燥室194内には、縦方向に沿って配列された上側乾燥モジュール205Aおよび下側乾燥モジュール205Bが配置されている。これら上側乾燥モジュール205Aおよび下側乾燥モジュール205Bは互いに隔離されている。上側乾燥モジュール205Aおよび下側乾燥モジュール205Bの上部には、清浄な空気を乾燥モジュール205A,205B内にそれぞれ供給するフィルタファンユニット207,207が設けられている。上側一次洗浄モジュール201A、下側一次洗浄モジュール201B、上側二次洗浄モジュール202A、下側二次洗浄モジュール202B、仮置き台203、上側乾燥モジュール205A、および下側乾燥モジュール205Bは、図示しないフレームにボルトなどを介して固定されている。
【0103】
第1搬送室191には、上下動可能な第1搬送ロボット209が配置され、第2搬送室193には、上下動可能な第2搬送ロボット210が配置されている。第1搬送ロボット209および第2搬送ロボット210は、縦方向に延びる支持軸211,212にそれぞれ移動自在に支持されている。第1搬送ロボット209および第2搬送ロボット210は、その内部にモータなどの駆動機構を有しており、支持軸211,212に沿って上下に移動自在となっている。第1搬送ロボット209は、搬送ロボット22と同様に、上下二段のハンドを有している。第1搬送ロボット209は、
図29(a)の点線が示すように、その下側のハンドが上述した仮置き台180にアクセス可能な位置に配置されている。第1搬送ロボット209の下側のハンドが仮置き台180にアクセスするときには、隔壁1bに設けられているシャッタ(図示せず)が開くようになっている。
【0104】
第1搬送ロボット209は、仮置き台180、上側一次洗浄モジュール201A、下側一次洗浄モジュール201B、仮置き台203、上側二次洗浄モジュール202A、下側二次洗浄モジュール202Bの間で半導体ウェハ16を搬送するように動作する。洗浄前のウェハ(スラリが付着しているウェハ)を搬送するときは、第1搬送ロボット209は、下側のハンドを用い、洗浄後のウェハを搬送するときは上側のハンドを用いる。第2搬送ロボット210は、上側二次洗浄モジュール202A、下側二次洗浄モジュール202B、仮置き台203、上側乾燥モジュール205A、下側乾燥モジュール205Bの間で半導体ウェハ16を搬送するように動作する。第2搬送ロボット210は、洗浄されたウェハのみを搬送するので、1つのハンドのみを備えている。
図1に示す搬送ロボット22は、その上側のハンドを用いて上側乾燥モジュール205Aまたは下側乾燥モジュール205Bからウェハを取り出し、そのウェハをウェハカセットに戻す。搬送ロボット22の上側ハンドが乾燥モジュール205A,205Bにアクセスするときには、隔壁1aに設けられているシャッタ(図示せず)が開くようになっている。
【0105】
洗浄部64は、2台の一次洗浄モジュールおよび2台の二次洗浄モジュールを備えているので、複数のウェハを並列して洗浄する複数の洗浄ラインを構成することができる。「洗浄ライン」とは、洗浄部64の内部において、一つのウェハが複数の洗浄モジュールに
よって洗浄される際の移動経路のことである。例えば、
図30に示すように、1つのウェハを、第1搬送ロボット209、上側一次洗浄モジュール201A、第1搬送ロボット209、上側二次洗浄モジュール202A、第2搬送ロボット210、そして上側乾燥モジュール205Aの順で搬送し(洗浄ライン1参照)、これと並列して、他のウェハを、第1搬送ロボット209、下側一次洗浄モジュール201B、第1搬送ロボット209、下側二次洗浄モジュール202B、第2搬送ロボット210、そして下側乾燥モジュール205Bの順で搬送することができる(洗浄ライン2参照)。このように2つの並列する洗浄ラインにより、複数(典型的には2枚)のウェハをほぼ同時に洗浄および乾燥することができる。
【0106】
次に、上側乾燥モジュール205Aおよび下側乾燥モジュール205Bの構成について説明する。上側乾燥モジュール205Aおよび下側乾燥モジュール205Bは、いずれもロタゴニ乾燥を行う乾燥機である。上側乾燥モジュール205Aおよび下側乾燥モジュール205Bは同一の構成を有しているので、以下、上側乾燥モジュール205Aについて説明する。
図31は、上側乾燥モジュール205Aを示す縦断面図であり、
図32は上側乾燥モジュール205Aを示す平面図である。上側乾燥モジュール205Aは、基台401と、この基台401に支持された4本の円筒状の基板支持部材402とを備えている。基台401は回転軸406の上端に固定されており、この回転軸406は軸受405によって回転自在に支持されている。軸受405は回転軸406と平行に延びる円筒体407の内周面に固定されている。円筒体407の下端は架台409に取り付けられており、その位置は固定されている。回転軸406は、プーリ411,412およびベルト414を介してモータ415に連結されており、モータ415を駆動させることにより、基台401はその軸心を中心として回転するようになっている。
【0107】
基台401の上面には回転カバー450が固定されている。なお、
図31は回転カバー450の縦断面を示している。回転カバー450は半導体ウェハ16の全周を囲むように配置されている。回転カバー450の縦断面形状は径方向内側に傾斜している。また、回転カバー450の縦断面は滑らかな曲線から構成されている。回転カバー450の上端は半導体ウェハ16に近接しており、回転カバー450の上端の内径は、半導体ウェハ16の直径よりもやや大きく設定されている。また、回転カバー450の上端には、基板支持部材402の外周面形状に沿った切り欠き450aが各々の基板支持部材402に対応して形成されている。回転カバー450の底面には、斜めに延びる液体排出孔451が形成されている。
【0108】
半導体ウェハ16の上方には、半導体ウェハ16の表面(フロント面)に洗浄液として純水を供給するフロントノズル454が配置されている。フロントノズル454は、半導体ウェハ16の中心を向いて配置されている。このフロントノズル454は、図示しない純水供給源(洗浄液供給源)に接続され、フロントノズル454を通じて半導体ウェハ16の表面の中心に純水が供給されるようになっている。洗浄液としては、純水以外に薬液が挙げられる。また、半導体ウェハ16の上方には、ロタゴニ乾燥を実行するための2つのノズル460,461が並列して配置されている。ノズル460は、半導体ウェハ16の表面にIPA蒸気(イソプロピルアルコールとN2ガスとの混合気)を供給するためのものであり、ノズル461は半導体ウェハ16の表面の乾燥を防ぐために純水を供給するものである。これらノズル460,461は半導体ウェハ16の径方向に沿って移動可能に構成されている。
【0109】
回転軸406の内部には、洗浄液供給源465に接続されたバックノズル463と、乾燥気体供給源466に接続されたガスノズル464とが配置されている。洗浄液供給源465には、洗浄液として純水が貯留されており、バックノズル463を通じて半導体ウェハ16の裏面に純水が供給されるようになっている。また、乾燥気体供給源466には、
乾燥気体として、N2ガスまたは乾燥空気などが貯留されており、ガスノズル464を通じて半導体ウェハ16の裏面に乾燥気体が供給されるようになっている。
【0110】
次に、フロントノズル454からの純水の供給を停止し、フロントノズル454を半導体ウェハ16から離れた所定の待機位置に移動させるとともに、2つのノズル460,461を半導体ウェハ16の上方の作業位置に移動させる。そして、半導体ウェハ16を30~150min-1の速度で低速回転させながら、ノズル460からIPA蒸気を、ノズル461から純水を半導体ウェハ16の表面に向かって供給する。このとき、半導体ウェハ16の裏面にもバックノズル463から純水を供給する。そして、2つのノズル460,461を同時に半導体ウェハ16の径方向に沿って移動させる。これにより、半導体ウェハ16の表面(上面)が乾燥される。
【0111】
その後、2つのノズル460,461を所定の待機位置に移動させ、バックノズル463からの純水の供給を停止する。そして、半導体ウェハ16を1000~1500min
-1の速度で高速回転させ、半導体ウェハ16の裏面に付着している純水を振り落とす。このとき、ガスノズル464から乾燥気体を半導体ウェハ16の裏面に吹き付ける。このようにして半導体ウェハ16の裏面が乾燥される。乾燥された半導体ウェハ16は、
図1に示す搬送ロボット22により乾燥モジュール205Aから取り出され、ウェハカセットに戻される。このようにして、研磨、洗浄、および乾燥を含む一連の処理がウェハに対して行われる。上述のように構成された乾燥モジュール205Aによれば、半導体ウェハ16の両面を迅速かつ効果的に乾燥することができ、また、正確に乾燥処理の終了時点を制御することができる。したがって、乾燥処理のための処理時間が洗浄プロセス全体の律速工程となることはない。また、洗浄部4に形成される上述した複数の洗浄ラインでの処理時間は平準化することができるので、プロセス全体のスループットを向上させることができる。
【0112】
本実施形態によれば、基板を研磨装置に搬入した時(ロード前)に、基板が乾燥状態にあり、研磨と洗浄が終了後、アンロード前に、基板が乾燥状態になって、基板カセットにアンロードされる。乾燥状態の基板を研磨装置からカセットに入れて、取り出すことが可能となる。すなわち、ドライイン/ドライアウトが可能である。
【0113】
仮置き台180へ置かれた基板は、第1搬送室191を介して第1洗浄室190又は第2洗浄室192へ搬送される。基板は、第1洗浄室190又は第2洗浄室192において洗浄処理される。第1洗浄室190又は第2洗浄室192において洗浄処理された基板は、第2搬送室193を介して乾燥室194へ搬送される。基板は、乾燥室194において乾燥処理される。乾燥処理された基板は、搬送ロボット22によって乾燥室194から取り出されてカセットへ戻される。
【0114】
図2は、本発明の一実施形態に係る研磨ユニット(研磨装置)の全体構成を示す概略図である。
図2に示すように、研磨装置は、研磨テーブル30Aと、研磨対象物である半導体ウェハ等の基板を保持して研磨テーブル上の研磨面に押圧するトップリング31Aとを備えている。
【0115】
第1研磨ユニット3Aは、研磨パッド10と、研磨パッド10に対向して配置される半導体ウェハ16との間で研磨を行うための研磨ユニットである。第1研磨ユニット3Aは、研磨パッド10を保持するための研磨テーブル30Aと、半導体ウェハ16を保持するためのトップリング31Aを有する。第1研磨ユニット3Aは、トップリング31Aを保持するための揺動アーム110と、揺動アーム110を揺動するための揺動軸モータ14(アーム駆動部)と、揺動軸モータ14に、駆動電力を供給するドライバ18を有する。さらに第1研磨ユニット3Aは、揺動アーム110に加わるアームトルクを検知するアー
ムトルク検知部26と、アームトルク検知部26が検知したアームトルクに基づいて、研磨の終了を示す研磨終点を検出する終点検出部28とを有する。
【0116】
図2~
図18により説明する本実施形態によれば、以下の課題を解決することができる。研磨終点検出手段の1つとして、アームトルクに基づく方法とは別に、研磨テーブルまたはトップリングを回転駆動する駆動部の駆動負荷を検出して利用する方法がある。研磨装置によって実行される研磨プロセスには、研磨対象物の種類、研磨パッドの種類、研磨砥液(スラリ)の種類などの組み合わせによって複数の研磨条件が存在する。これら複数の研磨条件の中には、駆動部の駆動負荷に変化が生じても、駆動部のトルク電流の変化(特徴点)が大きく現れない場合がある。トルク電流の変化が小さい場合、トルク電流に現れるノイズや、トルク電流の波形に生じるうねり部分の影響を受け、研磨の終点を適切に検出することができないおそれがあり、過研磨などの問題が生じ得る。
図2~
図18により説明する本実施形態は、トップリングを揺動アームの端部に保持する方式において、アームトルクに基づいて研磨終点検出を行うことにより、この課題を解決する。
【0117】
図1においては、保持部と揺動アームとアーム駆動部とトルク検知部は、組を構成し、同一の構成を有する組が、第1研磨ユニット3A、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、第4研磨ユニット3Dのそれぞれに設けられている。
【0118】
研磨テーブル30Aは、テーブル軸102を介してその下方に配置される駆動部であるモータ(図示せず)に連結されており、そのテーブル軸102周りに回転可能になっている。研磨テーブル30Aの上面には研磨パッド10が貼付されており、研磨パッド10の表面101が半導体ウェハ16を研磨する研磨面を構成している。研磨テーブル30Aの上方には研磨液供給ノズル(図示しない)が設置されており、研磨液供給ノズルによって研磨テーブル30A上の研磨パッド10に研磨液Qが供給される。
図2に示すように、研磨テーブル30Aの内部には、半導体ウェハ16内に渦電流を生成して、当該渦電流を検出することにより研磨終点を検知できる渦電流センサ50が埋設されていてもよい。
【0119】
トップリング31Aは、半導体ウェハ16を研磨面101に対して押圧するトップリング本体24と、半導体ウェハ16の外周縁を保持して半導体ウェハ16がトップリングから飛び出さないようにするリテーナリング23とから構成されている。
【0120】
トップリング31Aは、トップリングシャフト111に接続されている。トップリングシャフト111は、図示しない上下動機構により揺動アーム110に対して上下動する。トップリングシャフト111の上下動により、揺動アーム110に対してトップリング31Aの全体を昇降させ位置決めする。
【0121】
また、トップリングシャフト111はキー(図示せず)を介して回転筒112に連結されている。この回転筒112はその外周部にタイミングプーリ113を備えている。揺動アーム110にはトップリング用モータ114が固定されている。上記タイミングプーリ113は、タイミングベルト115を介してトップリング用モータ114に設けられたタイミングプーリ116に接続されている。トップリング用モータ114が回転すると、タイミングプーリ116、タイミングベルト115、およびタイミングプーリ113を介して回転筒112およびトップリングシャフト111が一体に回転し、トップリング31Aが回転する。
【0122】
揺動アーム110は、揺動軸モータ14の回転軸に接続されている。揺動軸モータ14は揺動アームシャフト117に固定されている。従って、揺動アーム110は、揺動アームシャフト117に対して回転可能に支持されている。
【0123】
トップリング31Aは、その下面に半導体ウェハ16などの基板を保持できる。揺動アーム110は、揺動アームシャフト117を中心として、旋回可能である。下面に半導体ウェハ16を保持したトップリング31Aは、揺動アーム110の旋回により、半導体ウェハ16の受取位置から研磨テーブル30Aの上方に移動される。そして、トップリング31Aを下降させて、半導体ウェハ16を研磨パッド10の表面(研磨面)101に押圧する。このとき、トップリング31Aおよび研磨テーブル30Aをそれぞれ回転させる。同時に、研磨テーブル30Aの上方に設けられた研磨液供給ノズルから研磨パッド10上に研磨液を供給する。このように、半導体ウェハ16を研磨パッド10の研磨面101に摺接させて、半導体ウェハ16の表面を研磨する。
【0124】
第1研磨ユニット3Aは、研磨テーブル30Aを回転駆動するテーブル駆動部(図示しない)を有する。第1研磨ユニット3Aは、研磨テーブル30Aに加わるテーブルトルクを検知するテーブルトルク検知部(図示しない)を有してもよい。テーブルトルク検知部は、回転モータであるテーブル駆動部の電流からテーブルトルクを検知することができる。終点検出部28は、アームトルク検知部26が検知したアームトルクのみから研磨の終了を示す研磨終点を検出してもよいし、テーブルトルク検知部が検知したテーブルトルクも考慮して、研磨の終了を示す研磨終点を検出してもよい。
【0125】
図2においては、揺動アーム110の、揺動軸モータ14への接続部において、アームトルク検知部26は、揺動アーム110に加わるアームトルクを検知する。具体的には、アーム駆動部は、揺動アーム110を回転させる揺動軸モータ(回転モータ)14であり、アームトルク検知部26は、揺動軸モータ14の電流値から、揺動アーム110に加わるアームトルクを検知する。揺動軸モータ14の電流値は、揺動アーム110の、揺動軸モータ14への接続部におけるアームトルクに依存する量である。揺動軸モータ14の電流値は、本実施形態では、ドライバ18から揺動軸モータ14に供給される電流値18b、または、ドライバ18内で生成される後述する電流指令18aである。
【0126】
アームトルク検知部26によるアームトルクの検知方法を
図3により説明する。ドライバ18は、制御部65から、揺動アーム110の位置に関する位置指令65aを入力される。位置指令65aは、揺動アームシャフト117に対する揺動アーム110の回転角度に相当するデータである。ドライバ18は、また、揺動軸モータ14に内蔵して取り付けられたエンコーダ36から、揺動アームシャフト117の回転角度36aを入力される。
【0127】
エンコーダ36は、揺動軸モータ14の回転軸の回転角度36a、すなわち揺動アームシャフト117の回転角度36aを検知することができるものである。
図3では、揺動軸モータ14とエンコーダ36は、独立に図示されているが、実際は、揺動軸モータ14とエンコーダ36は、一体化している。このような一体型モータの一例として、フィードバックエンコーダ付き同期型ACサーボモータがある。
【0128】
ドライバ18は、偏差回路38と、電流生成回路40と、PWM回路42とを有する。偏差回路38は、位置指令65aと回転角度36aから、位置指令65aと回転角度36aの偏差38aを求める。偏差38aと、電流値18bは、電流生成回路40に入力される。電流生成回路40は、偏差38aと、現在の電流値18bから、偏差38aに応じた電流指令18aを生成する。PWM回路42は、電流指令18aを入力されて、PWM(Pulse Width odulation)制御により、電流値18bを生成する。電流値18bは
、揺動軸モータ14を駆動できる3相(U相、V相、W相)の電流である。電流値18bは揺動軸モータ14に供給される。
【0129】
電流指令18aは、揺動軸モータ14の電流値に依存する量であり、アームトルクに依存する量である。アームトルク検知部26は、電流指令18aに対して、AD変換、増幅
、整流、実効値変換等の処理のうちの少なくとも1つの処理をしたのちに、終点検出部28に、アームトルクとして出力する。
【0130】
電流値18bは、揺動軸モータ14の電流値そのものであるとともに、アームトルクに依存する量である。アームトルク検知部26は、電流値18bから、揺動アーム110に加わるアームトルクを検知してもよい。アームトルク検知部26は、電流値18bを検出する際に、ホールセンサ等の電流センサを用いることができる。
【0131】
アームトルク検知部26が検知した電流指令18a(アームトルク)の具体的なデータ、研磨テーブル30Aの回転トルク及びトップリング31Aの回転トルクのデータの一例を
図4以降に示す。研磨テーブル30Aの回転トルク、トップリング31Aの回転トルクのデータは、本実施例の効果を説明するための比較例である。
図4は、研磨テーブル30Aの回転トルクのデータ44と、アームトルクのデータ46を示す。横軸は時間、縦軸は電流値である。データ44とデータ46を比較すると、回転トルクのデータ44と、アームトルクのデータ46は、逆の傾向を示す。すなわち、回転トルクのデータ44が増加するときは、アームトルクのデータ46は減少する傾向があり、回転トルクのデータ44が減少するときは、アームトルクのデータ46は増加する傾向がある。回転トルクのデータ44と、アームトルクのデータ46との間には相関関係がある。このことから、アームトルクのデータ46を用いて研磨摩擦力の測定が可能であることがわかる。
【0132】
図5は、
図4のアームトルクのデータ46のみを示す。
図6は、データ46を、時間で微分したデータである。データ48は、データ46を時間で微分したものである。データ52は、データ48のノイズを減少するために、数秒間にわたって、データ48の時間平均をとったデータである。
図6の横軸は時間、縦軸は電流値/時間(電流の時間による微分値)である。データ48及びデータ52には、平坦部60の後に、ピーク54がある。平坦部60があることにより、ピーク54があることが明確にわかる。ピーク54は、研磨終点を示す。本図の場合、アームトルクのデータに関して、データ46では、明確ではない研磨終点が、微分することにより、明確に表れることがわかる。
【0133】
図7は、
図4の研磨テーブル30Aの回転トルクのデータ44のみを示す。
図8は、データ44を微分したデータである。データ56は、データ44を時間で微分したものである。データ58は、データ44のノイズを減少するために、数秒間にわたって、時間平均をとったデータである。
図8の横軸は時間、縦軸は電流値/時間(電流の時間による微分値)である。データ56及びデータ58には、平坦部がなく、ピークがあることが不明確である。研磨テーブル30Aの回転トルクのデータ44よりも、アームトルクのデータに、研磨終点が明確に表れることがわかる。
【0134】
図9は、参考として、トップリング31Aの回転トルクのデータ68を示す。
図10は、データ68を時間で微分したデータである。データ70は、データ68を微分したものであり、データ72は、データ68のノイズを減少するために、数秒間にわたって、時間平均をとったデータである。
図10の横軸は時間、縦軸は電流値/時間(電流の時間による微分値)である。データ70及びデータ72には、
図8に示すデータ56及びデータ58と同様に平坦部がなく、ピークがあることが不明確である。トップリング31Aの回転トルクのデータ68よりも、アームトルクのデータに、研磨終点が明確に表れることがわかる。
【0135】
なお、
図4~
図10において、研磨終点を検知した後においても研磨を続行している理由は、以下の通りである。これらの図のデータは、本発明の実施形態の有効性を確認するためのデータであり、研磨終点を検知した後においても研磨を続行して、データの変化の様子を確認することも目的としているからである。これらの図のデータを取得した基板の
膜構成を参考として
図11に示す。
【0136】
図11は、基板である半導体ウェハ16の断面図を示す。半導体ウェハ16は、上層74と下層76を有する。上層74が研磨対象であり、上から下に矢印78の方向に研磨が行われる。矢印80で示す位置が研磨終点である。矢印80で示す位置で、膜の材質または構成が変化する。膜の一例としては、半導体ウェハ16上の絶縁膜(下層76)に配線溝104や穴を有し、配線溝104や穴にCuなどの金属膜が成膜されているものがある。上層74には、Cuなどの金属膜が成膜されている。絶縁膜は、例えば、SiO
2などの酸化膜である。ここに記載した以外の他の膜材質や構造に対しても、本発明は適用可能である。
【0137】
図4~
図10に示すデータを測定した時の研磨テーブル30A及びトップリング31Aの回転数を
図12に示す。
図12の横軸は時間、縦軸は回転数である。データ82が回転数を示し、本実施例では、研磨テーブル30Aの回転数と、トップリング31Aの回転数は同じに設定された。
【0138】
図4~
図10に示すデータを測定した時に、トップリング31A内のエアバッグにより半導体ウェハ16に印加された圧力のデータを
図13に示す。
図13の横軸は時間、縦軸は圧力の大きさである。エアバッグ(図示せず)は、同心円状に、半導体ウェハ16の中心から外側に向かって、5個配置されている。中心に1個の円盤状のエアバッグがあり、その外側にドーナッツ状に、4個のエアバッグがある。データ84は、一番外側にあるエアバッグの圧力プロファイルであり、データ86は、そのほかの4個のエアバッグの圧力プロファイルである。データ84は、データ86と異なる。すなわち、一番外側の圧力を高くし、そのほかの圧力は同一とした。
【0139】
図4~
図10では、アームトルク検知部26が、アームトルクとして電流指令18aを利用した場合を示した。次に、アームトルク検知部26が、アームトルクとして電流値18bを利用した場合の具体的なデータを、
図14以降に示す。
図14以降は、
図4~
図10とは別の半導体ウェハ16についてのデータである。電流値18bは、本実施形態では、揺動軸モータ14に印加される3相のうちの1相、例えばV相である。アームトルク検知部26は、複数相を利用してもよい。
図14は、比較のために、研磨テーブル30Aの回転トルクのデータ88と、アームトルクのデータ90を示す。横軸は時間、縦軸は電流値である。なお、研磨テーブル30Aの回転トルクの実際のデータ88と、アームトルクの実際のデータ90には、後述する
図16に示すようにそれぞれノイズがある。ノイズの詳細は
図16において説明するが、回転トルクの実際のデータ88には、アームトルクの実際のデータ90と比較した時、10倍以上というかなり大きなノイズが含まれる。
図14では、終点検知のためにノイズを除去した後のデータ88とデータ90を示す。
【0140】
データ88とデータ90を比較すると、回転トルクのデータ88と、アームトルクのデータ90は、同一の傾向を示す。すなわち、回転トルクのデータ88が増加するときは、アームトルクのデータ90は増加する傾向があり、データ88が減少するときは、データ90は減少する傾向がある。また、データ88と、データ90の間に時間遅れはない。回転トルクのデータ88と、アームトルクのデータ90との間には相関関係がある。このことから、アームトルクのデータ90を用いて研磨摩擦力の測定が可能であることがわかる。データ88よりも、データ90の方が、変化量が大きい。これらのことから、アームトルクのデータ46を用いて研磨摩擦力の測定を行うことが好ましいことがわかる。
【0141】
図15は、データ88及びデータ92を微分したデータである。データ92は、データ88を、時間で微分したものであり、データ94は、データ90を、時間で微分したものである。
図15の横軸は時間、縦軸は電流値/時間(電流の時間による微分値)である。
データ92とデータ94を比較すると、回転トルクのデータ92と、アームトルクのデータ94は、同一の傾向を示す。すなわち、回転トルクのデータ92が増加するときは、アームトルクのデータ94は増加する傾向があり、回転トルクのデータ92が減少するときは、アームトルクのデータ94は減少する傾向がある。また、データ92と、データ94の間に時間遅れはない。データ92よりも、データ94の方が変化量が大きい。これらのことから、アームトルクのデータ94を用いて研磨摩擦力の測定を行うことが好ましいことがわかる。
【0142】
研磨テーブル30Aの回転トルクのデータに含まれるノイズレベルと、アームトルクのデータに含まれるノイズレベルを比較した例を次に説明する。
図16は、既述の例とは異なる半導体ウェハ16についてノイズを示す例である。横軸は時間、縦軸はノイズの大きさである。データ96は、研磨テーブル30Aの回転トルクのデータに含まれるノイズである。データ98は、アームトルクのデータに含まれるノイズである。データ96a、データ98aは、半導体ウェハ16に印加した圧力が小さい時のデータであり、データ96b、データ98bは、半導体ウェハ16に印加した圧力が大きい時のデータであり、データ96c、データ98cは、半導体ウェハ16に圧力を印加しない時のデータである。データ96とデータ98とを比較すると、アームトルクのノイズレベルは、研磨テーブル30Aの回転トルクに対し1/17程度にまで軽減されている。
【0143】
図17は、
図16に示すデータを、横軸は半導体ウェハ16に印加した圧力、縦軸はノイズの大きさとして示したものである。縦軸は、データ96とデータ98の振幅(最大値―最小値)を示す。
図17により、アームトルクのノイズレベルは、研磨テーブル30Aの回転トルクに対し1/17程度にまで軽減されていることがより明確にわかる。
【0144】
次に、ノイズの周波数分布を説明する。
図18は、研磨テーブル30Aの回転トルクのデータに含まれるノイズと、アームトルクのデータに含まれるノイズをフーリエ変換して得られるノイズの周波数スペクトラムを示す。両者を比較すると、研磨テーブル30Aの回転トルクのデータ96には、点線106で囲った部分に大きなノイズが発生していることがわかる。
【0145】
この大きなノイズは、研磨テーブル30Aの回転数とトップリング31Aの回転数比に依存するノイズである。アームトルクのデータ98には、このようなノイズは発生していない。この点から、トップリング31Aを揺動する揺動アーム110のトルクは、上記の回転数比に起因するノイズの影響を受けにくいという利点を有する。
図18の例では、アームトルクのデータ98において、ノイズが1/17程度に低減した。このように、トップリング付アームのトルク信号(搖動モータ信号等)は、回転テーブル駆動モータのトルク信号に比べて、1/10以下にノイズを容易に低減することが可能である。研磨条件により異なるが、1/10~1/100の範囲にノイズを容易に低減することが可能である。
【0146】
以上述べた本発明の複数の実施形態を、従来技術と比較すると、以下のことがわかる。研磨テーブル30Aを回転させるテーブルモータの回転トルクを利用する従来の場合は、以下の課題があった。1)研磨テーブル30Aの回転速度を所定値に制御するときに、研磨プロセスのための正味の研磨力以外の外力/外乱に対して速度を安定させるために、追
加のトルク(電流)を発生させる必要があった。外力/外乱としては、例えば、研磨テー
ブル30Aの回転軸の軸受の転がり摩擦力や、テーブルの回転軸に連結したロータリージョイントの摺動抵抗力がある。これらの力の変動を補償するためのトルク電流は、テーブルモータの回転トルクのノイズ成分といえる。2)研磨テーブル30Aの回転数を一定にするための回転センサの検出誤差(回転数の補正誤差)が、研磨テーブル30Aの回転速度の10倍以上の周波数で発生する場合があった。このとき、回転センサが出力する信号に
応じて、補償回路で検出誤差を処理した後のトルク指令値に、10倍以上の周波数の成分が含まれていた。これにより、不要な電流が発生していた。仮に、回転速度周波数の10倍の周波数を有する不要な電流成分があると、テーブル回転挙動への影響は10%あり、この成分は研磨プロセスに影響する。残りの90%の不要電流成分は、テーブルモータの回転トルクのノイズ成分といえる。
【0147】
本発明の実施形態の場合、すなわち、揺動アーム110のモータトルクを終点検知に利用する場合、研磨時にトップリングを揺動させずに揺動アーム110の位置を静止させると、上記の1)、2)の課題は、揺動アーム110のモータトルクに関しては発生しない。なお、通常、揺動アーム110を静止させて研磨が行われる。本発明の実施形態では、モータトルクのノイズ成分が少ない計測系が実現できる。
【0148】
1個のカルーセルに、本発明の1実施形態を適用した場合にも、これらの効果を得ることができる。すなわち、カルーセルに、研磨物を保持するための保持部と、保持部を保持するための揺動アームと、揺動アームを揺動するためのアーム駆動部とを設けることができる。これらの保持部と揺動アームとアーム駆動部が、組を構成し、この組は、1個のカルーセルに、複数組、設けることができる。これにより、1個のカルーセルに、複数のトップリングを保持することができる。なお、揺動アームに加わるアームトルクを直接または間接に検知するアームトルク検知部、および/またはアームトルク検知部が検知したアームトルクに基づいて、研磨の終了を示す研磨終点を検出する終点検出部は、カルーセルに設けてもよいし、カルーセルの外部に設けてもよい。
【0149】
本発明の実施形態の効果についてさらに説明する。本発明の実施形態では、
図2に示すように、揺動アーム110の旋回軸108が研磨テーブル30Aの外側にある。研磨テーブル30Aの回転中心からトップリング31Aの回転中心までの距離R1と、揺動アーム110の回転中心からトップリング31Aの回転中心までの距離R2とを比較すると、R1<R2となる。加工点中心(トップリング31Aの回転中心)と、トルクを検知する旋回軸108までの半径距離が大きいほど、研磨力に対抗するためのトルクを大きくする必要がある。従って、半径R2が大きいほど、小さな研磨負荷変動を検知しやすくなる。すなわち、R1<R2であるため、揺動アーム110のモータトルクの方が、研磨テーブル30Aのモータトルクよりも検知が容易である。
【0150】
既述のように、回転動作による研磨テーブル30Aのモータトルクにおけるノイズ成分が、揺動アーム110のモータトルクには発生しないため、研磨テーブル30Aのモータトルクよりも、検出精度が向上した研磨終点検知方法を提供できる。
【0151】
本発明の実施形態を、1個のカルーセルに複数のトップリングを保持する方式と比較した時、次の効果がある。カルーセルタイプでは、複数のトップリングを1個のカルーセルに保持するため、カルーセルの回転軸周りの慣性モーメントが、1個のトップリングを保持する本発明の実施形態の旋回軸108周りの慣性モーメントより大きい。回転軸周りの慣性モーメントが小さい方が、負荷変動に応答する応答速度が速くできるので、より迅速な終点検知の判定が可能となる。
【0152】
カルーセルタイプの研磨装置では、R1=R2である。カルーセルタイプの研磨装置では、複数のトップリングのうちの1つは、他のトップリングの位置を保持するためのトルク反力を、カルーセル本体経由で受ける。複数のトップリングの1つの挙動が、他のトップリングの挙動に影響する。そのため、カルーセルタイプの研磨装置では、トップリングの旋回軸のモータトルクのみで研磨終点を判断すると、本発明の実施形態に比較して、誤検知のリスクが高まる。カルーセルタイプである米国特許第6293845号に記載の装置では、この問題を解決するために、研磨テーブル30Aの回転モータのトルクと、トッ
プリングの回転モータのトルクとを併用した終点判定方法が開示されている。
【0153】
ところで、トップリング31Aの重量の、揺動アーム110の重量に対する比は、0.3から1.5であることが好ましい。0.3から1.5であることが好ましい理由は以下のとおりである。0.3より小さい場合は、トップリング31Aの重量が軽いということであり、トップリング31Aは振動を生じやすいからである。1.5より大きい場合は、トップリング31Aの重量が大きく、揺動アーム110の根元に大きな重量がかかる。大きな重量がかかるため、揺動アーム110の根元の剛性が不足し、揺動アーム110の挙動が不安定になる。
【0154】
本発明の実施形態の動作は、以下のソフトおよび/またはシステムを用いて行うことも可能である。例えば、システム(基板処理装置)は、全体を制御するメインコントローラ(制御部65)と、各々のユニット(アンロード部62、研磨部63、洗浄部64)の動作をそれぞれ制御する複数のユニットコントローラとを有する。メインコントローラおよびユニットコントローラは、それぞれ、CPU,メモリ、記録媒体と、各々のユニットを動作させるために記録媒体に格納されたソフトウェアを有する。
【0155】
ユニットが研磨部63である場合、研磨部63のユニットコントローラは、トップリング本体24の回転の制御と、研磨テーブル30A上の研磨パッド10に半導体ウェハ16を押し当てる押圧の制御と、研磨テーブル30Aの回転の制御を行う。メインコントローラは、ユニットコントローラの制御を監視することと、ユニットコントローラに動作を指示することを行う。これらの制御に必要なセンサとしては、トップリング本体24の押圧力測定用センサ、揺動アーム110の固定部のトルク測定用力センサ、及び揺動軸モータ14の電流モニタ用センサがある。ソフトウェアに関しては、初期のソフトウェアから更新できるようにするために、更新したソフトウェアをインストール可能である。
【0156】
本発明の各実施形態によれば、以下の効果の1つまたは複数が達成できる。研磨テーブルの回転モータのトルクによる終点検出と比較して、本発明の実施形態によれば、終点検出の精度が向上する。例えば、S/Nが10倍以上、改善可能である。S/Nが10倍以上改善することにより、従来、ノイズが大きいために必要とされていたノイズ低減のためのデータ平均処理に要する時間が減少もしくは不要となる。これにより、データ平均処理に要する時間に起因する終点検出が遅延する終点検出遅れ時間を短縮できる。検出遅れ時間が短縮することにより、ディッシング、エロージョン等の発生を減少させることができる。ディッシングとは、主に幅広配線パターンで配線断面が皿状にくぼむ現象であり、エロージョンとは、主に微細配線部で配線と共に絶縁膜も削れてしまう現象であり、いずれも、過剰に研磨される現象である。このように、終点検出の精度が向上すると、プロセス全体の精度が向上し、例えばCMOSセンサの加工や、微細構造相関膜の加工の精度が向上して、チップや機器の性能向上が可能となる。
【0157】
次に、研磨装置は、回転軸の周りに回転可能なカルーセルを有し、アーム駆動部は、カルーセルに取り付けられる実施形態について、
図33により説明する。
図33は、カルーセル702によって支持されたマルチヘッド型のトップリング31Aおよび揺動アーム110と、研磨テーブル30Aとの関係を示す概略側面図である。
【0158】
図33~
図35に示すカルーセル702、及び、後述する
図36に示すトラック714にトップリングが付いている実施形態によれば、以下の課題を解決することができる。大きなカルーセル702又はトラック714に複数のトップリング31Aが設置されている時、研磨終点検出手段の1つとして、アームトルクに基づく方法とは別に、研磨テーブルの回転駆動モータまたはトップリング回転駆動モータのトルク変動をモニタリングする方法がある。この方法では、トップリング31Aの回転抵抗力(摩擦力)の変化を検知する
ことになる。しかし、トップリングの回転の変動と、テーブルの回転の変動による誤差等による摩擦力検知信号の誤差があり、高精度の終点検知が難しい。又、1個の回転テーブルに複数トップリングがある時は、テーブルの回転が複数のトップリング31Aの影響により、複雑に変動するため、トップリング31A毎の正確な摩擦力の変動をとらえることが困難となる。
図33~
図36に示す実施形態によれば、トップリングの回転の変動と、テーブルの回転の変動による誤差が低減し、また複数のトップリング31Aの影響も低減するため、これらの課題を解決できる。
【0159】
カルーセル702に揺動アーム110が取り付けられ、揺動アーム110にトップリング31Aが取り付けられた研磨装置である。1個の揺動アーム110と1個のトップリング31Aからなるユニット(以下では、「TRユニット」と呼ぶ。)は、カルーセル702に1つ設置されている場合と複数設置されている場合(マルチヘッド型)がある。
図33は、複数設置されているカルーセル702場合である。
【0160】
図33に示すように、研磨装置に複数の研磨テーブル30Aがあり、複数の研磨が行える場合は複数のTRユニットを設置する。研磨テーブル30Aが1つの場合、複数のTRユニットを設置する場合と、1個のTRユニットを設置する場合がある。
図34は、研磨テーブル30Aが1つの場合に、複数のTRユニットを設置する場合を示す。この場合、研磨テーブル30A上で2個のTRユニットが同時に研磨を行う研磨装置と、研磨テーブル30A上では1個のTRユニットのみが研磨を行う研磨装置とがありうる。
図34(a)は、研磨テーブル30A上では1個のTRユニットのみが研磨を行う研磨装置を示す。
図34(b)は、研磨テーブル30A上で2個のTRユニットが同時に研磨を行う研磨装置を示す。
【0161】
図34(a)の装置では、1個のTRユニットが研磨を行っているときに、他方のTRユニットは、次の半導体ウェハ16の研磨を行うための準備を行う。
【0162】
図33,34に示す例では、カルーセル702は回転可能である。カルーセル702の中心部付近に回転機構を設ける。カルーセル702は、支柱(図示せず)によって支持されている。カルーセル702は支柱に取り付けられたモータ(図示せず)の回転主軸に支持されている。したがって、カルーセル702は回転主軸の回転によって垂直な回転軸芯704を中心に回転可能である。
図33,34では、揺動軸モータ14により、揺動アーム110は回転可能であるが、揺動アーム110を固定してもよい。
【0163】
カルーセル702に揺動アーム110を固定した時の揺動トルクをロードセル706で測定する場合のロードセル706の設置例を
図35に示す。ロードセル706をボルト708でカルーセル702に固定する。ロードセル706を金具710にボルト712で取り付ける。金具710にボルト715で揺動アーム110を取り付ける。この構成により、ロードセル706は、金具710にかかる回転トルク、すなわち、揺動アーム110にかかる揺動トルクを測定できる。
【0164】
次に、
図36により、トラック上を揺動アーム110が移動する別の実施形態を説明する。研磨装置は、図示しない支持フレームと、支持フレームに取り付けられ、トップリング用モータ114の搬送経路を画定するトラック714と、トラック714によって画定された経路に沿って、トップリング用モータ114を搬送するキャリッジ716であって、トラック714に結合され、トラック714に沿って可動であるキャリッジ716とを有する。研磨テーブル30Aは複数設けられる。
【0165】
トラック714と、トラック714に沿って移動する機構(キャリッジ)は、リニアモータ駆動方式を用いることも可能である。またモータとベアリングを用いる軌道機構も可
能である。
図36の別の形態として、トラック自体が回転可能な形態がある。この形態では、トラック自体が回転して、トップリングを別のテーブル部に移動可能である。その時に少量の移動調整がキャリッジによって行われる。
【0166】
次に、
図37により、光学式センサを有する別の実施形態を説明する。本形態では、研磨テーブル30Aを揺動する揺動軸モータ14のトルク変動の検知と、光学式センサによる半導体ウェハ16の研磨面の反射率の検知を併用する。終点検知のために、研磨テーブル30Aにセンサが組み込まれている。センサは光学式センサ724である。光学式センサ724としては、ファイバを利用したセンサ等が使用される。なお、光学式センサ724の代わりに、渦電流センサを用いることもできる。
【0167】
図37の実施形態の場合、以下の課題を解決することができる。終点検知のために、トルク変動検知方式又は光学式検知方式の一方のみを用いた場合、研磨対象物の研磨に、金属膜の研磨と絶縁膜の研磨が混在する場合、以下の問題がある。トルク変動検知方式は、金属膜と絶縁膜の境界の検知に適しており、光学式検知方式は、膜の厚さの変化の検知に適している。そのため、一方の方式のみでは、膜の境界の検知と、残膜の厚さの検知の両方が必要な場合に、不十分な検知精度しか得られない。膜の境界の検知と、残膜の厚さの検知のいずれであるかに応じて、トルク変動検知と光学式検知を使い分けることにより、課題が解決できる。
【0168】
光学式センサの場合、研磨装置の終点検出部は、半導体ウェハ16に光を当て、半導体ウェハ16からの反射光の強度を計測する。終点検出部は、アームトルク検知部が検知したアームトルクと、光学式センサ724が計測した半導体ウェハ16からの反射光の強度とに基づいて、研磨の終了を示す研磨終点を検出する。光学式センサ724の出力は、配線726を介して、制御部65に送られる。
【0169】
光学式センサの場合、研磨パッド10の一部に開口720がある。開口720に、ウィンドウであるビューポート722がある。ビューポート722を介して、光照射と、反射光の検知が行われる。研磨時に半導体ウェハ16と対向可能な、研磨テーブル30A内の位置にビューポート722は組込まれる。ビューポート722の下部に、光学式センサ724が配置される。光学式センサ724がファイバセンサの場合は、ビューポート722が無い場合もある。
【0170】
ビューポート722が無い場合、ファイバセンサの周囲から純水を出して、ノズル728から供給されるスラリを除去して終点検知を行う場合もある。光学式センサは、スラリを洗浄するための純水(又は高純度ガス、液体とガスの混合物などの流体)を開口420内に供給する流体供給部(図示しない)を有する。
【0171】
センサは複数あってもよい。例えば、
図37に示すように、中心部と端部に設けて、中心部と端部の双方における検知信号をモニタする。
図37(a)は、光学式センサ724の配置を示し、
図37(b)は、光学式センサ724の拡大図である。終点検出部28は、それらの複数の信号の中から、研磨条件(半導体ウェハ16の材質、研磨時間等)の変化に応じて、研磨条件の影響を受けない(もしくは、当該研磨条件に最適な)検知信号を選んで、終点を判断して、研磨を止める。
【0172】
この点について、さらに説明する。既述の揺動軸モータ14によるトルク変動検知(モータ電流変動測定)と、光学式検知の組合せは、層間絶縁膜(ILD)や、STI(Shallow Trench Isolation)による素子分離膜の研磨終点を検知することに用いると、有効である。SOPM(Spectrum Optical Endpoint Monitoring)等の光学式検知では、残膜の厚さの検出を行い、終点検知を行う。例えば、LSIの積層膜の製造プロセスにおいて、金
属膜の研磨と絶縁膜の研磨により、残膜を形成することが必要な場合がある。金属膜の研磨と絶縁膜の研磨を行う必要があり、金属膜の研磨と絶縁膜の研磨のいずれであるかに応じて、トルク変動検知と光学式検知を使い分けることが可能となる。
【0173】
また、終点部の膜構造が金属と絶縁膜の混在状態である場合、トルク変動検知と光学式検知のうちの一方式だけでは、正確な終点検知が困難である。そのため、トルク変動検知と光学式検知による膜厚測定を行い、双方の検知結果より、終点であるかを判定して、最適な時点で研磨を終了する。混在状態では、トルク変動検知と光学式検知のいずれにおいても測定信号が弱いために測定精度が低下する。しかし、2種類以上の測定方法により得られた信号を用いて判定することにより、最適な終点位置を判定することが可能となる。例えば、2種類以上の測定方法により得られた信号を用いた判定のいずれもが、終点であるという結果を出した時に終点であると判断する。
【0174】
次に、
図38により、光学式センサを有する別の実施形態を説明する。本形態では、研磨テーブル30Aを揺動する揺動軸モータ14のトルク変動(研磨テーブル30Aの摩擦変動)の検知と、光学式センサによる半導体ウェハ16の研磨面の反射率の検知と、渦電流センサによる半導体ウェハ16の研磨物内の渦電流の検知を併用する。3種類の検知方法が併用される。
【0175】
図38の実施形態の場合、以下の課題を解決することができる。
図37の実施形態のトルク変動検知方式および光学式検知方式は、金属膜の厚さの変化を検知することが難しいという課題がある。
図38の実施形態は、この課題を解決するものであり、
図37の実施形態に、さらに、渦電流の検知を併用している。金属膜内の渦電流を検知するため、金属膜の厚さの変化を検知することが、より容易になる。
【0176】
図38(a)は、光学式センサ724と、渦電流式センサ730の配置を示し、
図38(
b)は、光学式センサ724の拡大図であり、
図38(c)は、渦電流式センサ730の拡
大図である。渦電流式センサ730は、研磨テーブル30A内に配置される。渦電流式センサ730は、半導体ウェハ16に磁場を生成し、生成した磁場の強度を検知する。終点検出部28は、アームトルク検知部26が検知したアームトルクと、光学式センサ724が計測した半導体ウェハ16からの反射光の強度と、渦電流式センサ730が計測した磁場の強度とに基づいて、研磨の終了を示す研磨終点を検出する。
【0177】
本形態は、終点検知のために、揺動軸モータ14のトルク変動検出、研磨テーブル30Aに組み込まれた光学式センサ724と渦電流式センサ730による半導体ウェハ16の物理量の検出とが組み合わされた例である。揺動軸モータ14のトルク変動検知(モータ電流変動測定)は、研磨する試料の膜質が変化する部位の終点検知に優れる。光学方式は、ILD、STIなどの絶縁膜の残膜量の検出と、それによる終点検出に優れる。渦電流センサによる終点検出は、例えばめっきされた金属膜を研磨して終点である下層の絶縁膜まで研磨した時点の終点検出に優れる。
【0178】
LSIなどの多層を有する半導体の製造プロセスにおいては、種々の材料からなる多層の研磨を行うことになるので、多様な膜の研磨と終点検出を高精度にて行うため、3種類の終点検出方法を用いる。3種類以上も可能である。例えば、さらに、研磨テーブル30Aを回転させるモータのトルク変動検知(モータ電流変動測定(TCM))を併用することができる。
【0179】
これら4種類の終点検出の組合せを用いて、高機能な制御や精度のよい終点検知を行うことが可能となる。例えば、研磨テーブル30A上をトップリング31Aが移動して(揺動して)研磨を行っている場合、トップリング31Aの位置の変化による研磨テーブル3
0Aのトルク変動をTCMにより検出する。これにより、トップリング31Aが研磨テーブル30Aの中心部にある時、トップリング31Aが研磨テーブル30Aの一方の端部に移動した時、トップリング31Aが研磨テーブル30Aの他方の端部に移動した時のトルク変動により、トップリング31Aの試料への押圧が異なる要因を見つけることが可能となる。要因が見つかると、試料への押圧を均一化するために、トップリング31Aの表面の押圧の調整を行う等のフィードバックを行うことができる。
【0180】
トップリング31Aの位置の変化による研磨テーブル30Aのトルク変動の要因としては、トップリング31Aと研磨テーブル30Aの水平度のズレや、試料面と研磨パッド10の表面の水平度のズレ、又は、研磨パッド10の摩耗度の差異により、中心部にトップリング31Aがある時と、中心部からずれた位置にトップリング31Aがある時の摩擦力が異なる等が考えられる。
【0181】
なお、半導体ウェハ16の膜の研磨終点部の膜構造が金属と絶縁膜の混在状態である場合、1つの検知方式だけでは正確な終点検知が困難であるため、アームトルク変動を検知する方式と光学式検知方法、あるいは、アームトルク変動を検知する方式と渦電流を検知する方式、あるいは、3種類全ての信号検出から終点状態を判定して、最適な時点で研磨を終了する。混在状態では、トルク変動検知と光学式と検知渦電流を検知する方式のいずれにおいても測定信号が弱いために測定精度が低下する。しかし、3種類以上の測定方法により得られた信号を用いて判定することにより、最適な終点位置を判定することが可能となる。例えば、3種類以上の測定方法により得られた信号を用いた判定のいずれもが、終点であるという結果を出した時に終点であると判断する。
【0182】
これらの組み合わせを列記すると、以下のとおりである。
i.アームトルク検知+テーブルトルク検知
ii.アームトルク検知+光学式検知
iii.アームトルク検知+渦電流検知
iv.アームトルク検知+マイクロ波センサによる光学式検知
v.アームトルク検知+光学式検知+テーブルトルク検知
vi.アームトルク検知+光学式検知+渦電流検知
vii.アームトルク検知+光学式検知+マイクロ波センサによる光学式検知
viii.アームトルク検知+渦電流検知+テーブルトルク検知
ix.アームトルク検知+渦電流検知+マイクロ波センサによる光学式検知
x.アームトルク検知+テーブルトルク検知+マイクロ波センサによる光学式検知
xi.この他、アームトルク検知と組み合わせるいかなるセンサの組合せをも含む。
【0183】
終点部の膜構造が金属と絶縁膜の混在状態である場合の例を
図39,40,41に示す。以下の例では、金属としては、Cu、Al、W、Co等の金属であり、絶縁膜は、SiO
2、SiN、ガラス材(SOG(Spin-on Glass)、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)等)、Lowk材、樹脂材、他の絶縁材料である。SiO
2,SOG,BPSG等は、CVD又はコーティングにより製造される。
図39(a)、39(b)は、絶縁膜を研磨する例である。
図39(a)は、研磨前の状態を示し、
図39(b)は、研磨後の状態を示す。膜732は、シリコンである。膜732の上に、SiO
2(熱酸化膜)やSiN等の絶縁膜である膜734が形成されている。膜734の上に、成膜による酸化膜(SiO
2)やガラス材(SOG、BPSG)等の絶縁膜である膜736が形成されている。膜736は、
図39(b)に示す状態まで研磨される。
【0184】
膜736は、光学式検知により、膜厚を測定する。膜736と膜734の境758や、膜734と膜732の境は、光の反射に敏感である。従って、光学式検知が望ましい。また膜736と膜734の材質が異なるときは、研磨時の摩擦の変化が大きい場合がある。
この時は、光学式検知+トルク検知が好ましい。
【0185】
図40(a)、40(b)は、金属膜を研磨する例である。
図40(a)は、研磨前の状態を示し、
図40(b)は、研磨後の状態を示す。埋込部737は、STIである。膜734の上に、膜736と同様の膜738が形成されている。膜734の上に、ゲート電極740が形成されている。膜734の下にはドレインまたはソースである拡散層744が形成されている。拡散層744は、ビアやプラグ等の縦配線742に接続している。ゲート電極740は、図示しない縦配線742に接続されている。縦配線742は、膜738内を貫通している。膜738の上に、金属膜746が形成されている。縦配線742と金属膜746は、同一の金属である。金属膜746は、
図40(b)に示す状態まで研磨される。なお、
図40では、ゲート電極740や拡散層744が形成されているが、他の回路要素が形成されてもよい。
【0186】
金属膜746は、金属膜であるため、金属膜が急激に減少した時の、金属膜746内の渦電流の波形変化が大きいということを利用して、渦電流を検知する。また、金属膜の反射量が大きい状態から金属膜が減少し、反射量が急激に変化することを利用する光学式検知を、渦電流検知と併用することもできる。膜738は、絶縁膜であるため、光学式検知により、膜厚を測定する。
【0187】
図41(a)、41(b)は、金属膜を研磨する例である。
図41(a)は、研磨前の状態を示し、
図41(b)は、研磨後の状態を示す。埋込部737は、STIである。膜734の上に、膜738が形成されている。膜734の上に、ゲート電極740が形成されている。膜734の下にはドレインまたはソースである拡散層744が形成されている。拡散層744は、ビアやプラグ等の縦配線742に接続している。ゲート電極740は、図示しない縦配線742に接続されている。縦配線742は、膜738内を貫通している。ビア742の上に、金属の横配線750が形成されている。金属膜748と横配線750は、同一の金属である。金属膜748は、
図41(b)に示す状態まで研磨される。
【0188】
金属膜748は、金属膜であるため、渦電流センサを用いて、渦電流を検知する。絶縁膜738は、絶縁膜であるため、光学式検知により、膜厚を測定する。なお、
図39以下に示す実施形態は、
図1~
図38までの実施形態の全てに対して適用可能である。
【0189】
次に、
図42により、
図2の変形例としての実施形態を説明する。本形態では、揺動アーム110が複数のアームで構成されている。
図42では、例えば、アーム752とアーム754で構成されている。アーム752は、揺動軸モータ14に取り付けられ、アーム754にトップリング31Aが取り付けられる。アーム752とアーム754の接合部において、揺動アームのトルク変動を検出して終点検知を行う。
【0190】
図42の実施形態の場合、以下の課題を解決することができる。
図2の場合、終点検知において、後述するクリアランス振動等の影響により、終点検知精度が低下するという課題がある。
図42の実施形態の場合、クリアランス振動等の影響が低減できるため、この課題が解決できる。
【0191】
アーム752とアーム754の接合部756に、揺動アームのトルク変動を検出するトルクセンサが配置される。トルクセンサは、ロードセル706やヒズミゲージを有する。接合部756の構造は、例えば
図35と同様な構造とすることができる。
図35に示すように、アーム752とアーム754は、金具710によって、互いに固定される。アーム752は揺動軸モータ14により搖動が可能である。前述の揺動モータ電流の変動によるトルク変化を測定するときに、揺動動作を一旦停止して、トルク変化を測定することが好ましい場合がある。これは、揺動動作に伴って揺動モータのモータ電流のノイズが増加す
ることがあるためである。
【0192】
本形態の場合、
図39(a)の境758のような膜質が変化する部分の摩擦変動による研磨トルクの変動が発生した場合、接合部756のトルクセンサによる境758の検知が可能となる。研磨トルクの変動の検知は、揺動軸モータ14の電流変動の検知によっても可能である。電流変動によるトルク変動検出に比べて、接合部756のトルクセンサによるトルク変動検出は、以下のメリットを有する。
【0193】
電流変動の検知によるトルク変動検出は、揺動軸モータ14の回転動作(スウィング)による誤差、例えば、揺動軸モータ14による揺動アーム110のクリアランス振動等の影響がある。クリアランス振動とは、揺動アーム110の揺動軸モータ14への取り付け部に若干のがたつきがあるため、揺動軸モータ14の回転動作時に、がたつきに起因して生じる振動である。接合部756のトルクセンサによるトルク変動検出においては、接合部756にはクリアランス振動が無く、研磨部の摩擦変化に対応したトルク変動を検出できる。このため、より高精度な終点検出を行うことが可能となる。クリアランス振動を低減するためには、揺動アーム110のスウィングを停止する必要がある。しかし、接合部756のトルクセンサによるトルク変動検出においては、揺動アーム110のスウィングを停止しなくても、高精度の終点検出が可能となる。
【0194】
本形態は、トップリング31Aが複数ある場合や、カルーセル方式にも適用可能である。LSIの積層膜の薄膜化や機能素子の微細化が進むと、性能安定化と歩留まり維持のために、従来と比較して、より高い精度にて研磨終点を行う必要が生じている。この様な要求に対応できる技術として、本形態は有効である。
【0195】
次に、
図43により、制御部65による基板処理装置全体の制御について説明する。メインコントローラである制御部65は、CPUとメモリと記録媒体と、記録媒体に記録されたソフトウェア等とを有する。制御部65は、基板処理装置全体の監視・制御を行い、そのための信号の授受、情報記録、演算を行う。制御部65は主にユニットコントローラ760との間で信号の授受を行う。ユニットコントローラ760も、CPUとメモリと記録媒体と、記録媒体に記録されたソフトウェア等とを有する。
図43の場合、制御部65は、研磨の終了を示す研磨終点を検出する終点検出手段、研磨ユニットによる研磨を制御する制御手段として機能するプログラムを内蔵する。なお、ユニットコントローラ760が、このプログラムの一部または全部を内蔵してもよい。プログラムは更新可能である。なお、プログラムは更新可能でなくてもよい。
【0196】
図43~
図47により説明する実施形態によれば、以下の課題を解決することができる。これまでの典型的な研磨装置の制御方式の課題として、以下の点がある。終点検出について、対象物の研磨を行う前に、複数のテストを行い、得られたデータから研磨条件や終点判定条件を求めて、研磨条件であるレシピ作成を行う。一部信号解析を用いていることもあるが、ウエハ構造に対して、1つのセンサ信号を用いて、終点検出を判断する処理を行う。これでは次のような要求に対して十分な精度が得られなかった。製作するデバイスやチップの歩留まり向上のために、デバイスやチップの製作において更に高精度の終点検出と、ロット間やチップ間のばらつきを小さく抑える必要がある。それを実現するため、
図43以降にある実施例を適用した終点検知を行うシステムを用いることにより、より高精度の終点検出を行うことが可能となり、歩留まり向上やチップ間の研磨量バラツキを低減することが可能となる。
【0197】
特に、高速のデータ処理、多数種類かつ多数のセンサの信号処理、これらの信号を規格化したデータ、データから人工知能(Artificial Intelligence; AI)を利用した学習及び
終点検出の判定に用いるデータセットの作成と、作成されたデータセットによる判定例の
蓄積による学習と、学習効果による精度向上、学習された判定機能により判断され更新された研磨パラメータ、この研磨パラメータの高速な制御系への反映を実現する高速通信処理系、等が実現できる。これらは、
図42以前に示した全ての実施例に対して適用可能である。
【0198】
ユニットコントローラ760は、基板処理装置に搭載されているユニット762(1個もしくは複数)の制御を行う。ユニットコントローラ760は、各々のユニット762ごとに本実施形態では設けられる。ユニット762としては、アンロード部62、研磨部63、洗浄部64等がある。ユニットコントローラ760は、ユニット762の動作制御、監視用センサとの信号授受、制御信号の授受、高速な信号処理等を行う。ユニットコントローラ760は、FPGA(field-programmable gate array)や、ASIC(application specific integrated circuit、特定用途向け集積回路)等から構成されている。
【0199】
ユニット762は、ユニットコントローラ760からの信号により動作を行う。また、ユニット762は、センサ信号をセンサから受信し、ユニットコントローラ760に送信する。センサ信号は、ユニットコントローラ760から、さらに制御部65に送られることもある。センサ信号が制御部65又はユニットコントローラ760により処理(演算処理含む)され、次の動作のための信号がユニットコントローラ760から送られてくる。それに従ってユニット762は動作を行う。例えば、ユニットコントローラ760は、揺動アーム110のトルク変動を揺動軸モータ14の電流変化により検知する。ユニットコントローラ760は検知結果を制御部65に送る。制御部65は、終点検知を行う。
【0200】
ソフトウェアとしては、例えば以下のものがある。ソフトウェアは、コントロール機器(制御部65又はユニットコントローラ760)内に記録されているデータにより、研磨パッド10の種類とスラリ供給量を求める。次に、ソフトウェアは、研磨パッド10のメンテナンス時期又はメンテナンス時期まで使用できる研磨パッド10を特定し、スラリ供給量を演算し、これらを出力する。ソフトウェアは、基板処理装置764を出荷後に、基板処理装置764にインストール可能なソフトウェアであってもよい。
【0201】
制御部65、ユニットコントローラ760、ユニット762の間における通信は、有線、無線のいずれも可能である。基板処理装置764の外部との間ではインターネットを介した通信や他の通信手段(専用回線による高速通信)が使用可能である。データの通信に関しては、クラウド連携によりクラウドを利用すること、スマートフォン連携により基板処理装置においてスマートフォン経由でのデータの交換等を行うことが可能である。これらにより、基板処理装置の運転状況、基板処理の設定情報を基板処理装置の外部とやり取りを行うことが可能である。通信機器として、センサ間に通信ネットワークを形成して、この通信ネットワークを利用してもよい。
【0202】
上記の制御機能、通信機能を用いて、基板処理装置の自動化運転を行うことも可能である。自動化運転のために、基板処理装置の制御パターンの規格化や、研磨終点の判断における閾値の利用が可能である。
【0203】
基板処理装置の異常/寿命の予測/判断/表示を行うことが可能である。また、性能安定化のための制御を行うことも可能である。
【0204】
基板処理装置の運転時の種々のデータや研磨データ(膜厚や研磨の終点)の特徴量を自動的に抽出して、運転状態や研磨状態を自動学習することや、制御パターンの自動規格化を行い、異常/寿命の予測/判断/表示を行うことが可能である。
【0205】
通信方式、機器インターフェース等において、例えばフォーマット等の規格化を行い、
装置・機器相互の情報通信に用いて、装置・機器の管理を行うことが可能である。
【0206】
次に、基板処理装置764において、センサで半導体ウェハ16から情報を取得し、インターネット等の通信手段を経由して、基板処理装置が設置された工場内/工場外に設置
されたデータ処理装置(クラウド等)にデータを蓄積し、クラウド等に蓄積されたデータを分析し、分析結果に応じて基板処理装置を制御する実施形態について説明する。
図44は、この実施形態の構成を示す。
【0207】
1.センサで半導体ウェハ16から取得する情報としては、以下が可能である。
・ 揺動軸モータ14のトルク変動に関する測定信号又は測定データ
・ SOPM(光学式センサ)の測定信号又は測定データ
・ 渦電流センサの測定信号又は測定データ
・ 上記の1つ又は複数の組合せの測定信号又は測定データ
2.インターネット等の通信手段の機能及び構成としては、以下が可能である。
・ 上記の測定信号又は測定データを含む信号又はデータを、ネットワーク766に接続
されたデータ処理装置768に伝送する。
・ ネットワーク766は、インターネット又は高速通信等の通信手段でよい。例えば、
基板処理装置、ゲートウェイ、インターネット、クラウド、インターネット、データ処理装置という順序で接続されたネットワーク766が可能である。高速通信としては、高速光通信、高速無線通信等がある。また、高速無線通信としては、Wi-Fi (登録商標), Bluetooth(登録商標), Wi-Max(登録商標),3G, LTE等が考えられる。これ以外の高速無線通信も適用可能である。なお、クラウドをデータ処理装置とすることも可能である。
・ データ処理装置768が、工場内に設置される場合は、工場内にある1台もしくは複
数の基板処理装置からの信号を処理することが可能である。
・ データ処理装置768が、工場外に設置される場合は、工場内にある1台もしくは複
数の基板処理装置からの信号を、工場外部に伝達し、処理することが可能である。このときは、国内又は外国に設置されたデータ処理装置との接続が可能である。
3.クラウド等に蓄積されたデータをデータ処理装置768が分析し、分析結果に応じて基板処理装置764を制御することに関しては、以下のようなことが可能である。
・ 測定信号又は測定データが処理された後に、制御信号又は制御データとして基板処理
装置764に伝達することができる。
・ データを受取った基板処理装置764はそのデータに基づいて、研磨処理に関する研
磨パラメータを更新して研磨動作を行う、また、データ処理装置768からのデータが、終点が検知されたことを示す信号/データの場合、終点が検知されたと判断して、研磨を終了する。研磨パラメータとしては、(1)半導体ウェハ16の4つの領域、すなわち、中央部、内側中間部、外側中間部、および周縁部に対する押圧力、(2)研磨時間、(3)研磨テーブル30Aやトップリング31Aの回転数、(4)研磨終点の判定のための閾値等がある。
【0208】
次に、
図45により別の実施形態を説明する。
図45は、
図44の実施形態の変形例を示す図である。本実施形態は、基板処理装置、中間処理装置、ネットワーク766、データ処理装置という順に接続された構成である。中間処理装置は、例えば、FPGAやASICで構成され、フィルタリング機能、演算機能、データ加工機能、データセット作成機能等を有する。
【0209】
インターネットと高速光通信をどのように使用するかによって、以下の3ケースに分ける。(1)基板処理装置と中間処理装置との間がインターネットであり、ネットワーク766がインターネットである場合、(2)基板処理装置と中間処理装置との間が高速光通信であり、ネットワーク766が高速光通信である場合、(3)基板処理装置と中間処理装置との間が高速光通信であり、中間処理装置から外側がインターネットである場合があ
る。
【0210】
(1)の場合:全体システムにおけるデータ通信速度とデータ処理速度が、インターネット通信速度でよい場合である。データサンプリング速度1~1000mS程度であり、複数の研磨条件パラメータのデータ通信を行うことができる。この場合は、中間処理装置770は、データ処理装置768に送るデータセットの作成を行う。データセットの詳細は後述する。データセットを受領したデータ処理装置768はデータ処理を行い、例えば、終点位置までの研磨条件パラメータの変更値の算出と、研磨プロセスの工程計画を作成し、ネットワーク766を通じて中間処理装置770に返す。中間処理装置770は研磨条件パラメータの変更値と、必要な制御信号を基板処理装置764に送る。
【0211】
(2)の場合:基板処理装置-中間処理装置間、中間処理装置-データ処理装置間のセンサ信号や状態管理機器間の通信が高速通信である。高速通信では、通信速度1~1000Gbpsで通信が可能である。高速通信では、データ・データセット・ コマンド・ 制御信号等が通信できる。この場合、中間処理装置770にてデータセットの作成を行い、それをデータ処理装置768に送信する。中間処理装置770は、データ処理装置768における処理に必要なデータを抽出して、加工を行い、データセットとして作成する。例えば、終点検出用の複数のセンサ信号を抽出してデータセットとして作成する。
【0212】
中間処理装置770は、作成したデータセットを高速通信にてデータ処理装置768に送る。データ処理装置768は、データセットに基づいて、研磨終点までのパラメータ変更値の算出・工程計画作成を行う。データ処理装置768は、複数の基板処理装置764からのデータセットを受領し、夫々の装置に対する、次のステップのパラメータ更新値の算出と工程計画作成を行い、更新されたデータセットを中間処理装置770に送信する。中間処理装置770は、更新されたデータセットに基づいて、更新されたデータセットを制御信号に変換して、基板処理装置764の制御部65に高速通信にて送信する。基板処理装置764は、更新された制御信号に応じて研磨を実施し、精度のよい終点検出を行う。
【0213】
(3)の場合:中間処理装置770は、基板処理装置764の複数のセンサ信号を高速通信により受領する。高速光通信では、通信速度1~1000Gbpsの通信が可能である。この場合、基板処理装置764、センサ、制御部65と、中間処理装置770との間は、高速通信によるオンラインの研磨条件の制御を行うことが可能である。データの処理順序は、例えば、センサ信号受領(基板処理装置764から中間処理装置766)、データセット作成、 データ処理、パラメータ更新値算出、更新パラメータ信号の送信、制御
部65による研磨制御、更新した終点検知という順序である。
【0214】
この時、中間処理装置770は、高速の終点検出制御を高速通信の中間処理装置770で行う。中間処理装置770からは、ステータス信号をデータ処理装置768に定期的に送信し、制御状態のモニタリング処理をデータ処理装置768で行う。データ処理装置768は、複数の基板処理装置764からのステータス信号を受領し、それぞれの基板処理装置764に対して、次のプロセス工程の計画作成を行う。計画に基づいたプロセス工程の計画信号をそれぞれの基板処理装置764に送り、それぞれの基板処理装置764において、互いに独立に、研磨プロセスの準備・研磨プロセスの実施を行う。この様に、高速の終点検出制御を高速通信の中間処理装置770で行い、複数の基板処理装置764の状態管理をデータ処理装置768にて行う。
【0215】
次に、データセットの例について説明する。センサ信号と必要な制御パラメータをデータセットにすることが可能である。データセットは、トップリング31Aの半導体ウェハ16への押圧・揺動軸モータ14の電流・ 研磨テーブル30Aのモータ電流・光学式セ
ンサの測定信号・ 渦電流センサの測定信号・研磨パッド10上でのトップリング31A
の位置・ スラリと薬液の流量/種類、それらの相関算出データ等を含むことができる。
【0216】
上記の種類のデータセットは、1次元データをパラレルに送信する送信システムや、1次元データをシーケンシャルに送信する送信システムを用いて、送信することが可能である。データセットとして、上記1次元データを2次元データに加工して、データセットにすることが可能である。例えば、X軸を時間とし、Y軸が多数のデータ列とすると、同時刻における複数のパラメータデータが、一つのデータセットに加工処理される。2次元データは、2次元の画像データのようなものとして扱える。このメリットは、2次元データの転送とするため、1次元データの転送よりも少ない配線で、時間に関連付けられたデータとして授受でき、かつ、取扱いができることである。具体的には、1次元データをそのまま1信号1ラインにすると、多数の配線が必要となるが、2次元データの転送の場合、1本のラインにより複数の信号を送ることができる。また、複数本のラインを用いると、送信されたデータを受けるデータ処理装置768とのインターフェースが複雑となり、データ処理装置768におけるデータ再組立てが複雑となる。
【0217】
また、このような時間に関連付けられた2次元データセットがあると、以前に行った標準的な研磨条件による研磨時のデータセットと、現時点で行っている標準的な研磨条件のデータセットの比較が容易となる。また、2次元データ相互の相違点を差分処理等により容易に知ることが可能となる。差があるところを抽出して、異常が起こっているセンサやパラメータ信号を検出することも容易となる。また、以前の標準的な研磨条件と現時点の研磨中のデータセットの比較を行い、周囲との差分が異なる部位のパラメータ信号の抽出による異常検知も容易となる。
【0218】
次に、
図46により別の実施形態を説明する。
図46は、
図44の実施形態の変形例を示す図である。本実施形態は、半導体工場の例である。複数の基板処理装置764が工場内にある。研磨や終点検知を行う基板処理装置764に関しては、
図43~45に示した機器や機能と同じものを有することができる。例えば、多数のセンサ(10個以上で、種類数≧3 である。)を用いる終点検知では、センサ信号のデータ量が多量となる。このときに、データセットを作成して、データ解析及び研磨条件パラメータの更新を行うために、インターネットを用いて通信を行うと、通信に時間が掛る。そこで基板処理装置764と中間処理装置770を接続する通信回線L1は、高速光通信や高速無線通信等を行う高速通信機器を用いて行う。中間処理装置770は、センサ又は基板処理装置764の近くにあり、高速でセンサ又はセンサのコントローラからの信号を処理する。処理結果を反映したフィードバック又はフィードフォワードのパラメータ更新を行うための信号を基板処理装置764に高速で伝達する。基板処理装置764は、パラメータ更新の信号を受取って研磨処理を行い、また終点検知を行う。
【0219】
基板処理装置764が、
図46に示すように、複数ある場合、工場内では各々の基板処理装置764からの信号を受取って、処理を行う第1の処理装置772があってもよい。第1の処理装置772は、中型のメモリと演算機能を有し、高速計算を行うことが可能である。第1の処理装置772は、自動学習機能を有して、データを蓄積しながら自動学習を行い、加工量均一性の向上や、終点検出精度向上等のためのパラメータ更新を行う。自動学習により、パラメータを最適値に近づけるパラメータ更新を継続して行うことが可能である。この場合、Insitu でオンライン処理を行う時は高速通信が必要であり、通信回線L1/通信回線L2は、例えば、高速光通信用通信回線である。この時例えば、データセット作成が中間処理装置770で行われ、データ解析やパラメータ更新は第1の処理装置772において行うことができる。そして、各々の基板処理装置764に更新パラメータ値を反映させるための信号を通信回線L1/通信回線L2により、基板処理装置764に送る。
【0220】
又、研磨部相互の間を移動する間に均一性測定等を行うInlineモニタリングのような、それほど高速性が必要とされない場合では、通信回線L2がインターネット通信用通信回線等の、比較的低速な通信回線で済む場合もある。初期研磨のデータを中間処理装置770において処理し、生成されたデータセットをインターネットにより第1の処理装置772に送る。第1の処理装置772は、解析及びパラメータ更新値を求め、更新データセットを作成する。第1の処理装置772は、それを中間処理装置770に送る。次の研磨部で本研磨を行う場合に、中間処理装置770にある更新データセットから反映された更新パラメータ値が基板処理装置764に送られ、それに従って研磨を行う。
【0221】
工場外部と情報の授受を行う時は、第1の処理装置772からネットワーク766を用いて、工場外の第2の処理装置774又はパソコンなどの管理機器と、当該情報に関するデータのやり取りを行う。この場合、工場外の第2の処理装置774と通信を行う場合は、セキュリティを確保するために、当該情報に関するデータは暗号化される場合がある。又、当該情報に関するデータとしては、基板処理装置764のステータスに関連した情報を示すデータがある。又、基板処理装置764の消耗品の状態に関する情報のデータの授受を行い、その交換時期を外部の第2の処理装置774にて算出し、交換時期を顧客に知らせること、又は基板処理装置764上に表示することが可能である。
【0222】
次に、
図47により別の実施形態を説明する。
図47は、
図44の実施形態の変形例を示す図である。本実施形態は、半導体工場の例である。複数の基板処理装置764が工場内にある。研磨や終点検知を行う基板処理装置764に関しては、
図43~45に示した機器や機能と同じものを有することができる。
図46の実施形態と比べると、本実施形態では、基板処理装置764から、中間処理装置770を介さないで第1の処理装置772に接続される通信回線L3がある点で異なる。本形態の特徴は、多量のセンサ群からのデータから作成され、その作成に高速通信が必要なデータセットを形成するデータの通信に関しては、高速である通信回線L1および通信回線L2を用いた通信を利用することである。その他の、高速通信を必要としない制御パラメータの通信は、通信回線L3により、基板処理装置764を第1の処理装置772に接続して行う。例えば、搬送系・洗浄系・乾燥系等は、高速制御が必要でないパラメータ群を用いることができるため、これらの系に関しては、通信回線L3により、基板処理装置764を第1の処理装置772に接続して行う。基板処理装置764の稼働状況に応じて、高速通信・高速解析・高速通信用データセットが必要なパラメータ信号やセンサ信号を可変的に選んで、当該信号等を通信回線L1および通信回線L2を用いて送受信することとしてもよい。
【0223】
本実施形態では、工場内にある第1の処理装置772に、通信回線L2と通信回線L3を用いて基板処理装置764からのデータを送り、データ解析・自動学習・パラメータ更新値作成等を行う。そして、第1の処理装置772は、各々の基板処理装置764に対して、次の工程における当該装置の制御パラメータを送る。本実施形態によれば、工場内に複数の基板処理装置764があるとき、第1の処理装置772は、複数の基板処理装置764からデータを受取り、データを処理して、各々の基板処理装置764に中間処理装置770を介して、処理結果を送ることが可能となる。
【0224】
本実施形態を変更した別の形態としては、通信回線L2が無い形態も可能である。通信回線L2を用いないで、中間処理装置770にて処理が行われた高速処理状態のステータスに関するデータを、他の装置状態ステータスに関するデータと一緒に、通信回線L3を介して第1の処理装置772に送ることが可能である。この場合、通信回線L2に関する通信回線用配線が削減できる。つまり、高速データ処理及び高速制御を行う必要のあるところだけ、高速通信回線と高速の中間処理装置770によりデータ処理・自動学習・制御パラメータ更新を行い、基板処理装置764に処理結果を送る。高速データ処理及び高速
制御に関するステータス信号と他のステータス信号を一緒にして、通信回線L3にて第1の処理装置772に送り、第1の処理装置772でデータ処理・自動学習・制御パラメータ更新を行い、各々の基板処理装置764に、処理結果を含む信号を送ることが可能である。
図47に示す形態およびそれを変更した別の形態では、複数の基板処理装置764に対して1個の第1の処理装置772により対応可能である。これらの形態では、工場外への通信については、
図46の形態と同様である。
【0225】
次に、前述の
図43~
図47に示すデータ処理及び制御形態におけるデータセットと自動学習、及びそれに関する演算の例について説明する。最初にデータセットの1例に関して説明する。データセットに関しては、研磨等の処理の進行に伴い、有効な制御パラメータの更新を行うために、処理に応じたデータセットを作成する必要がある。例えば、終点検出には、半導体の膜の特徴を効果的にとらえたセンサ信号を選択したデータセットを用いるとよい。研磨レシピを利用して、ウエハ上に形成された膜構造に対応したレシピ(研
磨条件)選択が行われる。その時、膜構造に関して、次の特徴により、膜の分類を行うこ
とが可能である。(1)酸化膜または絶縁膜を薄くする、(2)金属膜または導電膜を薄くする、(3)下層との境界面まで研磨する(導電層と絶縁層の境界面等)、(4)成膜部をパターン境界部まで研磨する(配線材料や絶縁材料の成膜後の不要部の研磨等)。この分類に対応して、データセットとしては、センサの種類について、全ての種類のセンサからのデータを取込んで作成する場合と、当該膜の研磨状態の検知に関して、膜に適した種類のセンサからのデータを選択して、データセットを作成する場合がある。
【0226】
全ての種類のセンサからのデータを取込んで作成する場合のデータセットとしては、以下がある。例えば、TCMにおけるトルクデータ(モータ電流等)、トップリング付アームのトルクデータ(搖動モータ電流等)、光学式センサ(SOPM等)データ、渦電流センサデータ、等のデータと、それらのデータを演算したデータ(微分データ等)、相関データ(微分したデータの絶対値等の高いデータと、低いデータの差分データ等)をセットにしたデータセットなどを作成する。
【0227】
膜の研磨状態の検知に関して、膜に適した種類のセンサからのデータを選択して、データセットを作成する場合のデータセットとしては、以下がある。(1)酸化膜または絶縁膜を薄くする場合、膜厚変化に対して感度の高い光学式センサ信号は、演算したデータの値が高くなる。この場合、複数のデータを評価することにより、例えば、研磨時間を加算することにより、目標の研磨量を達成できたことと、終点の検知を行う。例えば、TCMによる測定値およびトップリング付アームトルクデータが安定していると、同一研磨レートによる研磨が達成されていると考えられる。光学式センサデータによる膜厚変化により、膜厚が、ある厚さに達した時点を基準とした時間カウントによる終点検知が精度よくできる。
【0228】
(2)金属膜または導電膜を薄くする場合は、導電膜や金属膜の薄膜化を行うため、導電膜の膜厚変化に対して感度の高い渦電流センサと光学式センサの演算データが、膜厚が、ある厚さに達したことを判定する基準として用いられる。(1)と同様に、TCMによる測定値およびトップリング付アームトルクデータが安定している場合、目標値に近い膜厚での演算データ値の高い方を主として選択し、他方を従として選択する。主として選択したセンサのデータによる膜厚変化により、膜厚が、ある厚さに達した時点を基準とした時間カウントによる終点検知を行う。従として選択したセンサのデータにより、ズレなし確認(ほぼ目標領域に到達していることの確認)を行い、検知精度を高める。
【0229】
従として選択したセンサのデータの使用方法としては、主であるセンサと従であるセンサの両方の目標値に優先割合係数(重み係数)を設けて、主であるセンサと従であるセンサとの影響割合を規定して、目標値を設定して終点検知を行うことも可能である。又、この
時、回数を重ねるごとにデータを学習データとして利用して、判断機能(優先割合係数の変更等)において、学習による判断機能の更新を行い、より高い精度の終点検知となるよう改良していくことが可能である。
【0230】
(3)下層との境界面まで研磨(過研磨)する場合は、TCMにおけるトルクデータ、トップリング付アームのトルクデータ、光学式センサのデータ、渦電流式センサのデータの全てにおいて変化が生じる。この時、TCMにおけるトルクデータとトップリング付アームトルクデータは、演算データでみると、境界面付近で急激な変化(パルス的な変化)を発生する。従って、境界面付近の研磨領域に近づいたことの判定を光学式センサのデータおよび/または渦電流式センサのデータで行う。次に、TCMにおけるトルクデータおよび/またはトップリング付アームのトルクデータの変化を確認した時点を基準に、所定時間経過後を終点検知時刻として再設定することが可能となる。このように過研磨を行う理由は、以下のとおりである。境界面まで研磨した時に、研磨残りがあると、例えば金属が埋め込まれた縦配線、例えばビアやプラグの底に酸化膜が残留していると、縦配線の抵抗値が高くなり、回路動作不良の原因となる。そのため、研磨残りがないように過研磨を行う。境界面において酸化膜は、研磨前は通常、小さな凹凸を有し、波状である。従って、小さな凹凸が存在することを考慮して、過研磨を行い、境界面にある酸化膜を除去する必要がある。過研磨を行う他の理由としては、研磨装置を、境界面に到達した時に急激に停止させることは、できないためである。そこで、前述の所定時間経過後を終点検知時刻として、過研磨を行い、研磨装置を停止させる。
【0231】
再設定とは例えば、以下のような処理方法を指す。トップリング付アームトルクデータの信号波形変化量の閾値を、研磨開始時に仮基準として設定し、実際に波形検知を行った時点を基準として、所定時間を残りの研磨時間のカウント数として設定し、カウント数を、終点検知時刻の更新値として設定して、研磨を行うことが可能である。この時、TCMにおけるトルクデータおよび/またはトップリング付アームのトルクデータの内、感度の高い方を主、低い方を従として、(2)と同様に処理することが可能である。再設定の精度を上げるために、学習を利用して、研磨パラメータを設定することや、設定された研磨パラメータを更新することができる。また、再設定の精度を上げるために、複数のセンサを用いることができる。学習は、自動学習が可能であるが、一部マニュアルによる複合式の学習も可能である。
【0232】
(4)成膜部をパターン境界部まで研磨(配線材料や絶縁材料の成膜後の不要部の研磨等)する場合は、(3)と同様である。但し、成膜部では、金属膜と絶縁膜が混在しているため、境界部のパターンと材料の影響を受けて、境界部以降の波形の変動は他に比べて大きい。渦電流センサのみ、又は光学式センサのみでは、終点検知が困難である。この様なときに、複数センサのデータから作成したデータセットと、それを用いた学習機能による精度改良と、優先割合係数による終点検知用カウント数の更新が有効となる。一つ又は2つのセンサ信号だけを用いた場合は、終点付近の精度の高いモニタリングが難しいので、複数種(3種以上)のセンサデータと、これらのデータから作成したデータセットを用いた終点検出が大変有効となる。このような多くのデータを利用するときは、学習により、精度改良作業の効率が向上する。
【0233】
(4)の場合、全ての終点検知に係わるセンサ信号を用いてデータセットを作成するが、データセット作成時に有効なセンサデータを選択して、データセットを作成することも可能である。(1)、(2)、(3)の単純な膜構造の場合は特に有効となる。
【0234】
以上、本発明の実施形態の例について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明には、その均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
以上説明したように、本発明は以下の形態を有する。
形態1
研磨パッドと、前記研磨パッドに対向して配置される研磨物との間で研磨を行うための研磨装置であって、
前記研磨パッドを保持するための研磨テーブルと、
前記研磨物を保持するための保持部と、
前記保持部を保持するための揺動アームと、
前記揺動アームを揺動するためのアーム駆動部と、
前記揺動アームに加わるアームトルクを直接または間接に検知するアームトルク検知部と、
前記アームトルク検知部が検知した前記アームトルクに基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出する終点検出部と、を有することを特徴とする研磨装置。
形態2
前記保持部と前記揺動アームと前記アーム駆動部と前記トルク検知部は、組を構成し、前記組は、複数組あることを特徴とする形態1記載の研磨装置。
形態3
前記研磨装置は、前記研磨テーブルを回転駆動するテーブル駆動部と、
前記研磨テーブルに加わるテーブルトルクを検知するテーブルトルク検知部とを有し、
前記終点検出部は、前記アームトルク検知部が検知した前記アームトルクと、前記テーブルトルク検知部が検知した前記テーブルトルクに基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出することを特徴とする形態1または2記載の研磨装置。
形態4
前記保持部の重量の、前記揺動アームの重量に対する比は、0.3から1.5であることを特徴とする、形態1ないし3のいずれか1項に記載の研磨装置。
形態5
前記揺動アームの、前記アーム駆動部への接続部において、前記アームトルク検知部は、前記揺動アームに加わる前記アームトルクを検知することを特徴とする、形態1ないし4のいずれか1項に記載の研磨装置。
形態6
前記アーム駆動部は、前記揺動アームを回転させる回転モータであり、
前記アームトルク検知部は、前記回転モータの電流値から、前記揺動アームに加わる前記アームトルクを検知することを特徴とする、形態1ないし5のいずれか1項に記載の研磨装置。
形態7
前記アーム駆動部は、前記揺動アームを回転させる回転モータであり、
前記アームトルク検知部は、前記回転モータの電流値を検知し、
前記終点検出部は、前記回転モータの電流値の微分値に基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出することを特徴とする、形態1ないし5のいずれか1項に記載の研磨装置。
形態8
前記揺動アームは複数のアームを有し、前記複数のアーム同士の接合部において、前記アームトルク検知部は、前記揺動アームに加わる前記アームトルクを検知することを特徴とする、形態1ないし4のいずれか1項に記載の研磨装置。
形態9
前記研磨装置は、回転軸の周りに回転可能なカルーセルを有し、前記アーム駆動部は、前記カルーセルに取り付けられることを特徴とする、形態1ないし8のいずれか1項に記載の研磨装置。
形態10
前記研磨装置は、
支持フレームと、
前記支持フレームに取り付けられ、前記アーム駆動部の搬送経路を画定するトラックと、
前記トラックによって画定された前記経路に沿って、前記アーム駆動部を搬送するキャリッジであって、前記トラックに結合され、前記トラックに沿って可動であるキャリッジとを有することを特徴とする、形態1ないし8のいずれか1項に記載の研磨装置。
形態11
前記研磨装置は、
前記研磨物を研磨する研磨部と、
前記研磨物を洗浄し乾燥させる洗浄部と、
前記研磨部と前記洗浄部との間を分離する隔壁と、
前記隔壁の開口を介して研磨後の前記研磨物を前記研磨部から前記洗浄部へ搬送する搬送機構と、
側壁を有して、前記研磨部と前記洗浄部と前記搬送機構とを内部に収納する筐体とを有し、
前記洗浄部は、研磨後の前記研磨物を洗浄液により洗浄する洗浄手段と、洗浄後の前記研磨物を乾燥させる乾燥手段と、前記洗浄手段と乾燥手段間を水平および昇降自在に前記研磨物の受け渡しが可能な搬送手段とを有し、
前記研磨部は、前記研磨テーブルと、前記保持部と、前記揺動アームと、前記アーム駆動部とを有することを特徴とする、形態1ないし9のいずれか1項に記載の研磨装置。
形態12
前記終点検出部は、前記研磨物に光を当て、前記研磨物からの反射光の強度を計測する光学式センサを有し、
前記終点検出部は、前記アームトルク検知部が検知した前記アームトルクと、前記光学式センサが計測した前記研磨物からの反射光の強度とに基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出することを特徴とする、形態1ないし11のいずれか1項に記載の研磨装置。
形態13
前記終点検出部は、
研磨時に前記研磨物と対向可能な、前記研磨テーブル内の位置に組込まれるウィンドウを有し、
前記ウィンドウの下部に、前記光学式センサが配置されることを特徴とする、形態12記載の研磨装置。
形態14
前記研磨テーブルは、研磨時に前記研磨物と対向可能な、前記研磨テーブル内の位置に開口を有し、
前記光学式センサは、前記ウィンドウの下部に配置され、
前記光学式センサは、洗浄用の流体を前記開口内に供給する流体供給部を有することを特徴とする、形態12記載の研磨装置。
形態15
前記終点検出部は、前記研磨物に磁場を生成し、生成した前記磁場の強度を検知する渦電流式センサを有し、
前記終点検出部は、前記アームトルク検知部が検知した前記アームトルクと、前記渦電流式センサが計測した前記磁場の強度とに基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出することを特徴とする形態1ないし14のいずれか1項に記載の研磨装置。
形態16
研磨パッドと、前記研磨パッドに対向して配置される研磨物との間で研磨を行う研磨方法において、
前記研磨パッドを研磨テーブルに保持し、
揺動アームが、前記研磨物を保持する保持部を保持し、
アーム駆動部が前記揺動アームを揺動し、
前記揺動アームに加わるアームトルクを直接または間接に検知し、
検知した前記アームトルクに基づいて、前記研磨の終了を示す研磨終点を検出することを特徴とする研磨方法。
形態17
前記揺動アームは複数のアームを有し、前記複数のアーム同士の接合部において、前記
揺動アームに加わる前記アームトルクを検知することを特徴とする、形態16に記載の研磨方法。
【符号の説明】
【0235】
3…研磨ユニット
10…研磨パッド
14…揺動軸モータ
16…半導体ウェハ
24…トップリング本体
26…アームトルク検知部
28…終点検出部
30A…研磨テーブル
31A…トップリング
63…研磨部
64…洗浄部
65…制御部
101…研磨面
108…旋回軸
110…揺動アーム
111…トップリングシャフト
112…回転筒
117…揺動アームシャフト