(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】接合装置、接合システム及び接合方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
H01L21/02 B
(21)【出願番号】P 2021518362
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(86)【国際出願番号】 JP2020018007
(87)【国際公開番号】W WO2020226093
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2019088114
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 穣
(72)【発明者】
【氏名】寺田 尚司
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/114067(WO,A1)
【文献】特開2017-199861(JP,A)
【文献】特開2012-049266(JP,A)
【文献】特開2018-056507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/683
H01L 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と第2基板を接合する接合装置であって、
前記第1基板を保持する第1保持部と、
前記第1保持部に対して鉛直方向に対向配置され、前記第2基板を保持する第2保持部と、
前記第1保持部と前記第2保持部を収容する処理容器と、
前記処理容器の外部に設けられ、且つ前記第1保持部を支持する支持部を介して当該第1保持部に接続され、前記第1保持部の水平位置を調整する水平位置調整部と、を有
し、
水平位置調整部は、U軸、V軸及びW軸を駆動軸とするUVWステージを有する、接合装置。
【請求項2】
前記処理容器の外部に設けられ、且つ前記支持部を介して前記第1保持部に接続され、前記第1保持部の鉛直位置を調整する鉛直位置調整部を有する、請求項1に記載の接合装置。
【請求項3】
前記支持部は、
前記処理容器の外部に設けられ、前記水平位置調整部が接続された可動板と、
前記処理容器を挿通し、前記可動板と前記第1保持部を接続する伝達シャフトと、を有する、請求項1又は2に記載の接合装置。
【請求項4】
第1基板と第2基板を接合する接合装置であって、
前記第1基板を保持する第1保持部と、
前記第1保持部に対して鉛直方向に対向配置され、前記第2基板を保持する第2保持部と、
前記第1保持部と前記第2保持部を収容
し、前記第1保持部側に設けられた第1チャンバと、前記第2保持部側に設けられた第2チャンバとを有し、前記第1チャンバと前記第2チャンバを当接させて内部を密閉可能に構成された処理容器と、
前記処理容器の外部に設けられ、且つ前記第1保持部を支持する支持部を介して当該第1保持部に接続され、前記第1保持部の水平位置を調整する水平位置調整部と
、
前記処理容器の外部に設けられ、且つ前記第1保持部の中央部に接続され、前記第1保持部を前記第2保持部に接近させることによって前記第1基板を前記第2基板に押圧する加圧部と、
前記第1チャンバを昇降させる昇降機構と、を有し、
前記処理容器の内部を真空状態に減圧した状態で前記加圧部によって前記第1保持部にかけられる荷重は、前記処理容器の外部の大気圧力と内部の真空圧力の差圧と、前記昇降機構による反力とによって負担される、接合装置。
【請求項5】
前記加圧部は、
前記第1基板を前記第2基板に押圧するための押圧機構と、
前記押圧機構と前記第1保持部との間で荷重を測定する測定機構と、を有する、請求項
4に記載の接合装置。
【請求項6】
前記押圧機構は、油圧シリンダ又は空圧シリンダである、請求項
5に記載の接合装置。
【請求項7】
前記第1基板の接合面に形成された第1アライメントマークを撮像する第1撮像部と、前記第2基板の接合面に形成された第2アライメントマークを撮像する第2撮像部とを備えた撮像ユニットと、
前記第1保持部と前記第2保持部との間の平面領域内において、前記撮像ユニットを第1方向及び前記第1方向と直交する第2方向に沿って移動させる移動機構と、を有する、請求項1~
6のいずれか一項に接合装置。
【請求項8】
第1基板と第2基板を接合する接合システムであって、
前記第1基板と前記第2基板を接合する接合装置を備えた処理ステーションと、
前記第1基板、前記第2基板又は前記第1基板と前記第2基板が接合された重合基板を、前記処理ステーションに対して搬入出する搬入出ステーションと、を有し、
前記接合装置は、
前記第1基板を保持する第1保持部と、
前記第1保持部に対して鉛直方向に対向配置され、前記第2基板を保持する第2保持部と、
前記第1保持部と前記第2保持部とを収容する処理容器と、
前記処理容器の外部に設けられ、且つ前記第1保持部を支持する支持部を介して当該第1保持部に接続され、前記第1保持部の水平位置を調整する水平位置調整部と、を有
し、
水平位置調整部は、U軸、V軸及びW軸を駆動軸とするUVWステージを有する、接合システム。
【請求項9】
第1基板と第2基板を接合する接合システムであって、
前記第1基板と前記第2基板を接合する接合装置を備えた処理ステーションと、
前記第1基板、前記第2基板又は前記第1基板と前記第2基板が接合された重合基板を、前記処理ステーションに対して搬入出する搬入出ステーションと、を有し、
前記接合装置は、
前記第1基板を保持する第1保持部と、
前記第1保持部に対して鉛直方向に対向配置され、前記第2基板を保持する第2保持部と、
前記第1保持部と前記第2保持部を収容
し、前記第1保持部側に設けられた第1チャンバと、前記第2保持部側に設けられた第2チャンバとを有し、前記第1チャンバと前記第2チャンバを当接させて内部を密閉可能に構成された処理容器と、
前記処理容器の外部に設けられ、且つ前記第1保持部を支持する支持部を介して当該第1保持部に接続され、前記第1保持部の水平位置を調整する水平位置調整部と
、
前記処理容器の外部に設けられ、且つ前記第1保持部の中央部に接続され、前記第1保持部を前記第2保持部に接近させることによって前記第1基板を前記第2基板に押圧する加圧部と、
前記第1チャンバを昇降させる昇降機構と、を有し、
前記処理容器の内部を真空状態に減圧した状態で前記加圧部によって前記第1保持部にかけられる荷重は、前記処理容器の外部の大気圧力と内部の真空圧力の差圧と、前記昇降機構による反力とによって負担される、接合システム。
【請求項10】
第1基板と第2基板を接合する接合方法であって、
処理容器の内部に設けられた第1保持部によって、前記第1基板を保持する工程と、
前記処理容器の内部において前記第1保持部に対して鉛直方向に対向配置された第2保持部によって、前記第2基板を保持する工程と、
前記処理容器の外部に設けられ、且つ前記第1保持部を支持する支持部を介して当該第1保持部に接続された水平位置調整部によって、前記第1保持部の水平位置を調整する工程と、を有
し、
水平位置調整部は、U軸、V軸及びW軸を駆動軸とするUVWステージを有する、接合方法。
【請求項11】
第1基板と第2基板を接合する接合方法であって、
処理容器の内部に設けられた第1保持部によって、前記第1基板を保持する工程と、
前記処理容器の内部において前記第1保持部に対して鉛直方向に対向配置された第2保持部によって、前記第2基板を保持する工程と、
前記処理容器の外部に設けられ、且つ前記第1保持部を支持する支持部を介して当該第1保持部に接続された水平位置調整部によって、前記第1保持部の水平位置を調整する工程と
、
前記処理容器は、前記第1保持部側に設けられた第1チャンバと、前記第2保持部側に設けられた第2チャンバとを有し、昇降機構によって前記第1チャンバを昇降させ、前記第1チャンバと前記第2チャンバを当接させて内部を密閉し、前記処理容器の内部を真空状態に減圧する工程と、
前記処理容器の外部に設けられ、且つ前記第1保持部の中央部に接続された加圧部によって、前記第1保持部を前記第2保持部に接近させて前記第1基板を前記第2基板に押圧する工程と、を有し、
前記処理容器の内部を真空状態に減圧した状態で前記加圧部によって前記第1保持部にかけられる荷重は、前記処理容器の外部の大気圧力と内部の真空圧力の差圧と、前記昇降機構による反力とによって負担される、接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接合装置、接合システム及び接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板同士を接合する接合装置が開示されている。接合装置は、被処理基板を保持する第1の保持部と、支持基板を保持する第2の保持部と、第1の保持部を移動させる移動機構とを有している。移動機構は、第1の保持部を鉛直方向に移動させる鉛直移動部と、第1の保持部を水平方向に移動させる水平移動部とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、基板同士を接合する際の接合精度を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、第1基板と第2基板を接合する接合装置であって、前記第1基板を保持する第1保持部と、前記第1保持部に対して鉛直方向に対向配置され、前記第2基板を保持する第2保持部と、前記第1保持部と前記第2保持部を収容する処理容器と、前記処理容器の外部に設けられ、且つ前記第1保持部を支持する支持部を介して当該第1保持部に接続され、前記第1保持部の水平位置を調整する水平位置調整部と、を有し、水平位置調整部は、U軸、V軸及びW軸を駆動軸とするUVWステージを有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板同士を接合する際の接合精度を向上させことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態にかかる接合処理システムの構成の概略を示す平面図である。
【
図2】本実施形態にかかる接合処理システムの内部構成の概略を示す側面図である。
【
図8】第1保持部及びその周辺の構成の断面図である。
【
図9】第1保持部及びその周辺を下方から見た平面図である。
【
図10】第1保持部及びその周辺を上方から見た平面図である。
【
図11】第2保持部及びその周辺の構成の断面図である。
【
図12】第2保持部及びその周辺の構成の断面図である。
【
図13】第2保持部及びその周辺を上方から見た平面図である。
【
図14】第1撮像ユニットの構成の概略を示す平面図である。
【
図15】第1撮像ユニットの構成の概略を示す側面図である。
【
図16】第1撮像ユニットの内部構成を模式的に示した説明図である。
【
図17】従来の撮像ユニットの内部構成を模式的に示した説明図である。
【
図18】基準マーク部の構成の概略を示す側面図である。
【
図19】接合処理の主な工程を示すフロー図である。
【
図20】接合処理のステップA3、A6を示す説明図である。
【
図21】接合処理のステップA7、A8を示す説明図である。
【
図22】接合処理のステップA9を示す説明図である。
【
図23】接合処理のステップA9、A10を示す説明図である。
【
図24】接合処理のステップA10を示す説明図である。
【
図25】接合処理のステップA11を示す説明図である。
【
図26】接合処理のステップA12を示す説明図である。
【
図27】接合処理のステップA13を示す説明図である。
【
図28】接合処理のステップA14を示す説明図である。
【
図29】第1基板と第2基板を押圧する際の荷重の負荷状況を示す説明図である。
【
図30】接合処理のステップA15を示す説明図である。
【
図31】接合処理のステップA15を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイスを3次元に積層する3次元集積技術では、2枚の半導体基板(以下、「基板」という。)の接合が行われる。具体的には、例えば基板同士をファンデルワールス力及び水素結合(分子間力)によって接合する。そして、半導体デバイスを適切に製造するためには、基板を接合して積層する際、上側に配置される第1基板と下側に配置される第2基板とを適切に位置合わせすることが重要になる。
【0009】
従来、例えば特許文献1に開示された接合装置では、被処理基板と支持基板がそれぞれ第1の保持部と第2の保持部に保持されると、被処理基板が支持基板に対向するように、水平移動部によって第1の保持部の水平方向の位置を調整する。その後、鉛直移動部によって第1の保持部を上昇させて、被処理基板と支持基板の鉛直方向の位置を調整する。そして、被処理基板と支持基板を接合する。
【0010】
しかしながら、特許文献1の接合装置では、第1の保持部の水平方向の位置を調整したとしても、その後第1の保持部を上昇させるため、当該第1の保持部の水平方向の位置が再びずれるおそれがある。この場合、被処理基板と支持基板もアライメントを適切に行うことができず、接合精度を向上させるという点でさらなる改善の余地がある。
【0011】
本開示にかかる技術は、接合精度を向上させる。以下、本実施形態にかかる接合装置、当該接合装置を備えた接合システム、及び接合方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<接合システム1の構成>
先ず、本実施形態にかかる接合システムの構成について説明する。
図1は、接合システム1の構成の概略を示す平面図である。
図2は、接合システム1の内部構成の概略を示す側面図である。なお、以下においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0013】
接合システム1では、
図3に示すように第1基板W1と第2基板W2を接合して重合基板Tを形成する。以下、第1基板W1において第2基板W2と接合される面を「接合面W1a」、接合面W1aと反対側の面を「非接合面W1b」という。また、第2基板W2において、第1基板W1と接合される面を「接合面W2a」、接合面W2aと反対側の面を「非接合面W2b」という。なお、第1基板W1と第2基板W2は、それぞれ例えばシリコン基板などの半導体基板である。
【0014】
図4に示すように、第1基板W1の接合面W1aには、2つの第1アライメントマークM11、M12が形成されている。第1アライメントマークM11、M12はそれぞれ、例えば第1基板W1の中心を通るY軸上に形成されている。また、第1アライメントマークM11、M12はそれぞれ、十字形状を有する。同様に第2基板W2の接合面W2aにも、十字形状を有する2つの第2アライメントマークM21、M22が、例えば第2基板W2の中心を通るY軸上に形成されている。なお、アライメントマークM11、M12、M21、M22の形状は十字形状に限定されず、任意の形状を取り得る。
【0015】
図1に示すように接合システム1は、例えば外部との間で複数の第1基板W1、第2基板W2、重合基板Tをそれぞれ収容可能なカセットCw1、Cw2、Ctが搬入出される搬入出ステーション2と、基板W1、W2、重合基板Tに対して所望の処理を施す各種処理装置を備えた処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
【0016】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば4つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、水平方向のX方向(
図1中の上下方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、接合システム1の外部に対してカセットCw1、Cw2、Ctを搬入出する際に、カセットCw1、Cw2、Ctを載置することができる。このように、搬入出ステーション2は、複数の第1基板W1、複数の第2基板W2、複数の重合基板Tを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板11の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に設定することができる。また、カセット載置板11には、カセットCw1、Cw2、Ct以外に、たとえば不具合が生じた基板を回収するためのカセット等が載置されてもよい。
【0017】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10のX軸正方向側において、カセット載置台10に隣接して基板搬送領域20が設けられている。基板搬送領域20には、Y軸方向に延伸する搬送路21上を移動自在な基板搬送装置22が設けられている。基板搬送装置22は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板11上のカセットCw1、Cw2、Ctと、後述する処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置60、61との間で第1基板W1、第2基板W2、重合基板Tを搬送できる。
【0018】
処理ステーション3には、各種装置を備えた複数例えば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられている。例えば処理ステーション3の正面側(
図1のY軸負方向側)には、第1の処理ブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(
図1のY軸正方向側)には、第2の処理ブロックG2が設けられている。また、処理ステーション3の搬入出ステーション2側(
図1のX軸負方向側)には、第3の処理ブロックG3が設けられている。
【0019】
第1の処理ブロックG1には、基板W1、W2を接合する接合装置30が配置されている。なお、接合装置30の構成については後述する。
【0020】
図2に示すように第2の処理ブロックG2は、例えば2層構造を有している。第2の処理ブロックG2の下層には、改質装置40、搬送室41、ロードロック室42が、搬入出ステーション2側からこの順で水平方向のX軸方向に並べて配置されている。
【0021】
改質装置40は、基板W1、W2の接合面W1a、W2aを改質する。改質装置40では、例えば減圧雰囲気下において、処理ガスである酸素ガス又は窒素ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。この酸素イオン又は窒素イオンが接合面W1a、W2aに照射されて、接合面W1a、W2aがプラズマ処理され、改質される。
【0022】
ロードロック室42は、後述する基板搬送領域70のY軸正方向側にゲートバルブ(図示せず)を介して隣接して配置される。ロードロック室42は、その内部空間を、大気圧状態と真空状態とに切り替えられるように構成されている。また、ロードロック室42の内部には、第1基板W1、第2基板W2を受け渡す受渡部(図示せず)が設けられる。
【0023】
搬送室41は、ロードロック室42のY軸負方向側にゲートバルブ(図示せず)を介して隣接して配置される。搬送室41には、第1基板W1、第2基板W2を搬送する基板搬送装置(図示せず)が配置される。基板搬送装置は、ロードロック室42と改質装置40との間で第1基板W1、第2基板W2を搬送できる。
【0024】
第2の処理ブロックG2の上層には、親水化装置50、51が、搬入出ステーション2側からこの順で水平方向のX軸方向に並べて配置されている。親水化装置50、51は、例えば純水によって基板W1、W2の接合面W1a、W2aを親水化すると共に当該接合面W1a、W2aを洗浄する。親水化装置50では、例えばスピンチャック(図示せず)に保持された基板W1、W2を回転させながら、当該基板W1、W2上に純水を供給する。そうすると、供給された純水は基板W1、W2の接合面W1a、W2a上を拡散し、接合面W1a、W2aが親水化される。
【0025】
第3の処理ブロックG3には、第1基板W1、第2基板W2、重合基板Tのトランジション装置60、61が下から順に2段に設けられている。
【0026】
図1に示すように第1の処理ブロックG1~第3の処理ブロックG3に囲まれた領域には、基板搬送領域70が形成されている。基板搬送領域70には、例えば基板搬送装置71が配置されている。
【0027】
基板搬送装置71は、例えば鉛直方向、水平方向(X軸方向、Y軸方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。基板搬送装置71は、基板搬送領域70内を移動し、周囲の第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2及び第3の処理ブロックG3内の所望の装置に第1基板W1、第2基板W2、重合基板Tを搬送できる。
【0028】
以上の接合システム1には、制御部としての制御装置80が設けられている。制御装置80は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、接合システム1における基板処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、接合システム1における後述の基板処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御装置80にインストールされたものであってもよい。
【0029】
<接合装置30の構成>
次に、上述した接合装置30の構成について説明する。
図5及び
図6は、接合装置30の構成の概略を示す側面図である。
図7は、接合装置30の構成の概略を示す平面図である。
【0030】
接合装置30は、基台100上に各種部材が搭載された構成を有している。具体的に接合装置30は、処理容器110と、第1保持部120と、第2保持部130と、を有している。また、接合装置30は、処理容器110の周辺において、チャンバ昇降機構140と、減圧部150とを有している。また、接合装置30は、第1保持部120の周辺において、支持部160と、水平位置調整部170と、鉛直位置調整部180と、加圧部190とを有している。また、接合装置30は、第2保持部130の周辺において、固定撮像部200、201を有している。さらに、接合装置30は、処理容器110の内部と外部の間を移動する撮像ユニット210、211を有している。以下、各構成について説明する。
【0031】
(処理容器110及びその周辺の構成)
先ず、処理容器110及びその周辺の構成について説明する。
【0032】
処理容器110は、内部を密閉可能な容器であり、第1保持部120と第2保持部130を収容する。処理容器110は2つに分割され、第1保持部120側(上方側)の第1チャンバ111と、第2保持部130側(下方側)の第2チャンバ112とを有している。第2チャンバ112における第1チャンバ111との接合面には、処理容器110の内部の気密性を保持するためのシール材113が設けられている。シール材113には、例えばOリングが用いられる。そして、第1チャンバ111と第2チャンバ112を当接させることで、処理容器110の内部に密閉空間が形成される。
【0033】
第1チャンバ111は、第1チャンバ111の上面に設けられた支持板114に支持されている。さらに支持板114は、チャンバ昇降機構140に支持されている。チャンバ昇降機構140は、支柱141と昇降部材142とを有している。支柱141と昇降部材142はそれぞれ、支持板114の外周において例えば4箇所に設けられている。支柱141は、基台100から鉛直上方に延伸して設けられている。昇降部材142は支持板114の外周を支持し、且つ昇降部材142の基端部は支柱141に取り付けられている。そして、昇降部材142は、例えばモータなどを備えた駆動部(図示せず)によって支柱141に沿って昇降する。かかる構成のチャンバ昇降機構140により、第1チャンバ111は昇降自在に構成されている。なお、4本の昇降部材142の先端部は、天板143に支持されている。
【0034】
なお、本実施形態では、支持板114の外周においてチャンバ昇降機構140が4つ設けられていたが、チャンバ昇降機構140の数はこれに限定されない。例えば支持板114の外周を4箇所で支持する場合、2箇所にチャンバ昇降機構140を設け、他の2箇所には伸縮自在のシャフトを設けてもよい。
【0035】
第2チャンバ112は、基台100上に設けられた支持台115に支持されている。すなわち、第2チャンバ112は移動せず、固定されている。支持台115は中空に構成されている。また、第2チャンバ112には、処理容器110の内部を減圧する減圧部150が設けられている。減圧部150は、処理容器110の内部の雰囲気を吸引するための吸気管151と、吸気管151に接続された例えば真空ポンプ等の吸気装置152とを有している。
【0036】
(第1保持部120及びその周辺の構成)
次に、第1保持部120及びその周辺の構成について説明する。
図8は、第1保持部120及びその周辺の構成の断面図である。
図9は、第1保持部120及びその周辺を下方から見た平面図である。
図10は、第1保持部120及びその周辺を上方から見た平面図である。
【0037】
第1保持部120は、第1基板W1を保持する保持部である。第1保持部120は、静電チャック121と冷却板122とを有している。静電チャック121は、内部電極と誘電体とを有し、内部電極に電圧を印加することによって発生する静電気力を用いて第1基板W1を吸着面に吸着させる。冷却板122は例えば水冷板であって、内部を冷却水が流通する。この冷却板122により、静電チャック121に保持された第1基板W1が所望温度、例えば常温に調整される。
【0038】
第1保持部120の下面側には、第1保持マークとしての、2つの第1チャックマークN11、N12が形成されている。第1チャックマークN11、N12はそれぞれ、例えば静電チャック121の下面外周部において、静電チャック121の中心を通るY軸上に形成されている。また、第1チャックマークN11、N12はそれぞれ、十字形状を有する。なお、第1チャックマークN11、N12の形状は十字形状に限定されず、任意の形状を取り得る。
【0039】
静電チャック121の下面には、第1基板W1を吸着保持する吸着パッド123が設けられている。吸着パッド123は、例えば3箇所に設けられている。吸着パッド123は、静電チャック121及び冷却板122を貫通して形成された貫通孔124を挿通する吸引管125を介して、第1基板W1を吸引する吸引機構126に連通している。また、吸着パッド123及び吸引管125は、吸引機構126によって昇降自在に構成されている。
【0040】
第1保持部120は、支持部160によって上方から吊り下げた状態で支持される。支持部160によって、第1保持部120は第1チャンバ111との間に隙間をあけた状態で配置される。支持部160は、可動板161と伝達シャフト162とを有している。可動板161は、処理容器110の外部であって支持板114の上方に設けられている。可動板161の中央部は開口し、可動板161は円環形状を有している。
【0041】
伝達シャフト162は、可動板161の下面において、当該可動板161と同心円上に略均一間隔で、例えば3箇所に配置されている。各伝達シャフト162は、可動板161から鉛直下方に延伸し、支持板114と第1チャンバ111を貫通して、第1保持部120の冷却板122の上面に接続される。
【0042】
伝達シャフト162の外周部には、当該伝達シャフト162を覆うベローズ163が設けられている。ベローズ163の上端は可動板161の下面に接続され、ベローズ163の下端は支持板114の上面に接続される。かかるベローズ163により、処理容器110の密閉性を確保しつつ、処理容器110の外部から処理容器110の内部に設けられた第1保持部120を移動させることができる。
【0043】
また、支持板114と第1チャンバ111には貫通孔164が形成され、伝達シャフト162は貫通孔164の内部を挿通する。なお、後述するように伝達シャフト162は水平位置調整部170によって水平方向に移動するため、貫通孔164の内径は伝達シャフト162の外径より十分大きい。
【0044】
可動板161の下面と支持板114の上面との間には、水平位置調整部170が設けられている。すなわち、水平位置調整部170は処理容器110の外部に設けられている。水平位置調整部170は、可動板161と同心円上に略均一間隔で、例えば3箇所に配置されている。
【0045】
水平位置調整部170には、例えばU軸、V軸及びW軸を駆動軸とするUVWステージが用いられる。かかる場合、水平位置調整部170によって、可動板161をX軸方向、Y軸方向及びθ軸方向に移動させることができる。そして、可動板161の水平移動は、伝達シャフト162を介して第1保持部120に伝達され、当該第1保持部120の水平位置が調整される。なお、水平位置とは、上述したようにX軸方向、Y軸方向及びθ軸方向の位置であり、すなわち水平方向における位置及び向きのことである。
【0046】
なお、水平位置調整部170のUVWステージには、公知のステージが用いられる。また、水平位置調整部170の構成はこれに限定されず、例えばX軸、Y軸及びθ軸を駆動軸とするXYθステージを用いてもよいし、あるいはXYθの駆動を一平面で行う、X1、X2、Y1、Y2の4つの駆動軸を持つ4軸ステージを用いてもよい。
【0047】
可動板161の上面には、鉛直位置調整部180が設けられている。すなわち、鉛直位置調整部180は処理容器110の外部に設けられている。鉛直位置調整部180は、可動板161と同心円上に略均一間隔で、例えば3箇所に配置されている。
【0048】
鉛直位置調整部180には、例えばモータなどを備えた駆動部(図示せず)が設けられている。鉛直位置調整部180は、伝達シャフト162に接続され、当該伝達シャフト162を昇降させる。そして、伝達シャフト162の昇降は第1保持部120に伝達され、当該第1保持部120の鉛直方向位置が調整される。また、3つの鉛直位置調整部180で第1保持部120を昇降させることで、第1保持部120のチルト(水平度)が調整される。
【0049】
可動板161の中央の開口部には、加圧部190が挿通して設けられている。すなわち、加圧部190は処理容器110の外部に設けられている。加圧部190は、押圧機構191と、測定機構192と、プレスロッド193とを有している。押圧機構191、測定機構192、プレスロッド193は上方からこの順で設けられている。
【0050】
押圧機構191には、例えば油圧シリンダが用いられる。このように油圧シリンダを用いると、装置構成を省スペース化することができる。なお、押圧機構191の構成は油圧シリンダに限定されず、例えばエアシリンダ(空圧シリンダ)を用いてもよい。
【0051】
押圧機構191は、押圧機構191の上面に設けられた支持板194に支持されている。さらに、支持板194は、支持板194の下面に設けられた、複数、例えば3本の支持柱195に支持されている。支持柱195の上端は支持板194の下面に接続され、支持柱195の下端は支持板114の上面に接続される。支持板194は、平面視において略三角形状を有する。3本の支持柱195は、支持板194の各頂点部分に設けられる。
【0052】
測定機構192には、例えばロードセルが用いられる。測定機構192は、押圧機構191と、プレスロッド193の上端に設けられたフランジ196との間に設けられる。そして、測定機構192では、押圧機構191を用いて第1基板W1と第2基板W2を押圧した場合に、第1基板W1と第2基板W2にかかる荷重を測定する。測定機構192の測定結果は、制御装置80に出力される。
【0053】
プレスロッド193は、フランジ196から鉛直下方に延伸し、支持板114と第1チャンバ111を貫通して、第1保持部120の冷却板122の上面中央部に接続される。なお、支持板114と第1チャンバ111には貫通孔197が形成され、プレスロッド193は貫通孔197の内部を挿通する。
【0054】
プレスロッド193の外周部には、当該プレスロッド193を覆うベローズ198が設けられている。ベローズ198の上端はフランジ196の下面に接続され、ベローズ198の下端は支持板114の上面に接続される。かかるベローズ198により、処理容器110の密閉性を確保しつつ、処理容器110の外部から処理容器110の内部に設けられた第1保持部120を押圧することができる。
【0055】
加圧部190は、以上のように構成されており、押圧機構191を用いてプレスロッド193を鉛直方向に移動させる。これにより、第1保持部120が第2保持部130に接近して、第1保持部120に保持された第1基板W1を、第2保持部130に保持された第2基板W2に押圧する。またこの際、測定機構192を用いて、第1基板W1と第2基板W2にかかる荷重を測定する。
【0056】
(第2保持部130及びその周辺の構成)
次に、第2保持部130及びその周辺の構成について説明する。
図11及び
図12は、第2保持部130及びその周辺の構成の断面図である。
図13は、第2保持部130及びその周辺を上方から見た平面図である。
【0057】
第2保持部130は、第2基板W2を保持する保持部である。第2保持部130は、第1保持部120に対して鉛直方向に対向配置され、第2チャンバ112の中央部に載置して設けられている。なお、上述した減圧部150の吸気管151は、平面視において第2保持部130の外側で、第2チャンバ112に接続されている。
【0058】
第2保持部130は、静電チャック131と冷却板132とを有している。静電チャック131は、内部電極と誘電体とを有し、内部電極に電圧を印加することによって発生する静電気力を用いて第2基板W2を吸着面に吸着させる。冷却板132は例えば水冷板であって、内部を冷却水が流通する。この冷却板132により、静電チャック131に保持された第2基板W2が所望温度、例えば常温に調整される。なお、これら静電チャック131と冷却板132は、第1保持部120の静電チャック121と冷却板122と同様の構成を有している。
【0059】
第2保持部130の上面側には、第2保持マークとしての、2つの第2チャックマークN21、N22が形成されている。第2チャックマークN21、N22はそれぞれ、例えば静電チャック131の上面外周部において、静電チャック131の中心を通るY軸上に形成されている。また、第2チャックマークN21、N22はそれぞれ、十字形状を有する。なお、これら第2チャックマークN21、N22はそれぞれ、第1保持部120に形成された第1チャックマークN11、N12に対向して配置されている。また、第2チャックマークN21、N22の形状は十字形状に限定されず、任意の形状を取り得る。
【0060】
第2保持部130には、第2基板W2(又は重合基板T)を下方から支持し昇降させるための昇降ピン133が、例えば3本設けられている。昇降ピン133は、静電チャック131、冷却板132及び第2チャンバ112を貫通して形成された貫通孔134を挿通している。昇降ピン133は、支持台115の内部に設けられた昇降機構135によって昇降自在に構成されている。
【0061】
第2保持部130と第2チャンバ112の下方には、例えば2つの固定撮像部200、201が設けられている。固定撮像部200、201には、それぞれカメラが用いられる。
【0062】
第1固定撮像部200は、第1チャックマークN11と第2チャックマークN21とに対向する位置に配置されている。また、第1固定撮像部200と第2チャックマークN21の間において、静電チャック131、冷却板132及び第2チャンバ112には、第1ビューポート202が形成されている。第1ビューポート202は、例えば石英ガラスで形成される。第1ビューポート202により、第1固定撮像部200による撮像を妨げることなく処理容器110の密閉性を保つことができる。かかる構成により、第1固定撮像部200は、第1ビューポート202を介して、第2チャックマークN21と第1チャックマークN11とを撮像することができる。なお、第1チャックマークN11は、第2チャックマークN21を透過して撮像される。第1固定撮像部200の撮像画像は、制御装置80に出力される。
【0063】
第2固定撮像部201及びその周辺も、第1固定撮像部200と同様の構成を有している。すなわち、第2固定撮像部201は第1チャックマークN12と第2チャックマークN22とに対向する位置に配置され、静電チャック131、冷却板132及び第2チャンバ112に第2ビューポート203が形成されている。そして、第2固定撮像部201は、第2ビューポート203を介して、第2チャックマークN22と第1チャックマークN12とを撮像することができる。第2固定撮像部201の撮像画像は、制御装置80に出力される。
【0064】
第2チャンバ112には、変位計204が設けられている。変位計204には、レーザ変位計が用いられる。変位計204は、第2保持部130の下面外周部において、複数箇所、例えば3箇所に設けられている。
【0065】
静電チャック131、冷却板132及び第2チャンバ112において、変位計204に対応する位置には、ビューポート205が形成されている。ビューポート205は、例えば石英ガラスで形成される。ビューポート205により、変位計204のレーザ光の光路を妨げることなく処理容器110の密閉性を保つことができる。
【0066】
かかる構成により、変位計204は、ビューポート205を介して、第1保持部120の静電チャック121の下面にレーザ光を照射することができ、さらに静電チャック121からの反射光を受光することができる。そして、変位計204では、第1保持部120と第2保持部130の距離を測定することができる。また、3つの変位計204を用いることで、第1保持部120の傾きも測定することができる。変位計204の測定結果は、制御装置80に出力される。
【0067】
なお、変位計204は処理容器110の内部に配置されず、真空対応である必要がない。このため、変位計204には、大気環境下で使用できる安価な変位計を用いることができる。
【0068】
(撮像ユニット210、211及びその周辺の構成)
次に、撮像ユニット210、211及びその周辺の構成について説明する。
図5~
図7に示すように2つの撮像ユニット210、211は、処理容器110の内部と外部の間を移動するように構成されている。
【0069】
図14は、第1撮像ユニット210の構成の概略を示す平面図である。
図15は、第1撮像ユニット210の構成の概略を示す側面図である。
図16は、第1撮像ユニット210の内部構成を模式的に示した説明図である。なお、
図16において、実線矢印はカメラからの撮像経路(第1撮像経路Q1、第2撮像経路Q2)を示し、点線矢印は光源からの光路(第1光路R1、第2光路R2)を示す。
【0070】
第1撮像ユニット210は、第1撮像部220と、第2撮像部230と、共通レンズ部240とを有している。
【0071】
第1撮像部220は、第1カメラ221と、第1光源222と、第1レンズ223と、第1経路変更部224とを有している。第1光源222と第1レンズ223の内部にはそれぞれ、第1光源222からの第1光路R1を変更するための反射ミラ222a、223aが設けられている。第1経路変更部224の内部には、第1カメラ221の第1撮像経路Q1と第1光路R1を変更するための反射ミラ224aが設けられている。
【0072】
第2撮像部230も、第1撮像部220と同様の構成を有している。すなわち、第2撮像部230は、第2カメラ231と、第2光源232と、第2レンズ233と、第2経路変更部234とを有している。
【0073】
共通レンズ部240は、上部レンズ241と、下部レンズ242と、反射ミラ243とを有している。反射ミラ243は側面視において45度傾斜して設けられている。第1撮像部220からの第1撮像経路Q1と第1光路R1はそれぞれ、鉛直上方に方向変換され、上部レンズ241から鉛直上方に向けられる。また、第2撮像部230からの第2撮像経路Q2と第2光路R2はそれぞれ、鉛直下方に方向変換され、下部レンズ242から鉛直下方に向けられる。なお、第1撮像経路Q1(第1光路R1)と第2撮像経路Q2(第2光路R2)は鉛直方向に同軸上に延在する。
【0074】
第1撮像ユニット210は、以上の構成を有し、後述するように第1撮像部220による第1アライメントマークM11の撮像と、第2撮像部230による第2アライメントマークM21の撮像とを同時に行う。また、第1撮像ユニット210は、第1撮像部220による第1チャックマークN11の撮像と、第2撮像部230による第2チャックマークN21の撮像も同時に行う。第1撮像ユニット210の撮像画像は、制御装置80に出力される。
【0075】
ここで、第1撮像ユニット210の利点について、従来の撮像ユニットと比較して説明する。
図17は、従来の撮像ユニット500の内部構成を模式的に示した説明図である。鉛直上方と鉛直下方を同時に撮像する仕様の場合、従来の撮像ユニット500において、鉛直上方を撮像する第1撮像部510と、鉛直下方を撮像する第2撮像部520が鉛直方向に並べて設けられていた。第1撮像部510の第1カメラ511はフォーカス軸を備え、第1レンズ512が第1経路変更部513の上方に設けられる。第2撮像部520の第2カメラ521はフォーカス軸を備え、第2レンズ522が第2経路変更部523の下方に設けられる。かかる場合、第1基板W1と第2基板W2との間の鉛直距離L2は、例えば220mmであり非常に長くなる。
【0076】
これに対して、本実施形態の第1撮像ユニット210は共通レンズ部240を有しているため、
図16に示すように第1基板W1と第2基板W2との間の鉛直距離L1を、例えば110mmに短くすることができる。後述するように第1撮像ユニット210による撮像は、処理容器110が開けられた状態で行われるが、この際に離間した第1チャンバ111と第2チャンバ112の距離を小さくできる。そうするとその後、処理容器110を密閉すべく、第1チャンバ111が下降する際の移動距離を小さくできる。その結果、第1基板W1と第2基板W2の位置ずれを抑制することができる。また、処理時間を短縮することも可能となる。
【0077】
なお、第1撮像部220と、第2撮像部230及び共通レンズ部240は、支持板250上に支持され、さらに第1撮像部220の一部と第2撮像部230の一部は、カバー251で覆われている。
【0078】
第2撮像ユニット211も、第1撮像ユニット210と同様の構成を有し、すなわち第1撮像部220と、第2撮像部230と、共通レンズ部240とを備えている。
【0079】
但し、第1撮像ユニット210には、変位計252、253がさらに設けられている。変位計252、253には、それぞれ変位計252、253には、レーザ変位計が用いられる。上部変位計252は、上方、例えば第1基板W1の厚みを測定し、下部変位計253は、下方、例えば第2基板W2の厚みを測定する。
【0080】
図5~
図7に示すように接合装置30は、撮像ユニット210、211を移動させるための、第1移動機構260と、第2移動機構270と、第3移動機構280とを有している。
【0081】
第1移動機構260は、第1保持部120と第2保持部130との間の平面領域内において、2つの撮像ユニット210、211をX軸方向(第1方向)に沿って移動させる。第1移動機構260は、2つの撮像ユニット210、211を支持し、平面視においてY軸方向に延伸する門型の移動フレーム261を有している。また、基台100上には、処理容器110のX軸負方向側から正方向側に延伸する、一対のレール262、262が設けられている。移動フレーム261は、この一対のレール262、262に取り付けられている。また、移動フレーム261には例えばモータなどを備えた駆動部(図示せず)が設けられ、移動フレーム261は、X軸に延伸するレール262に沿って移動可能に構成されている。
【0082】
第2移動機構270は、第1撮像ユニット210を、Y軸方向(第2方向)に沿って移動させる。第2移動機構270は第1撮像ユニット210を支持し、移動フレーム261の上面に取り付けられている。第2移動機構270は、例えば例えばモータなどを備えた駆動部を内蔵し、移動フレーム261に沿って移動可能に構成されている。
【0083】
第3移動機構280は、第2撮像ユニット211を、Y軸方向(第2方向)に沿って移動させる。第3移動機構280は第2撮像ユニット211を支持し、移動フレーム261の上面に取り付けられている。第3移動機構280は、例えば例えばモータなどを備えた駆動部を内蔵し、移動フレーム261に沿って移動可能に構成されている。
【0084】
処理容器110のX軸負方向側には、基準マーク部290が設けられている。
図18は、基準マーク部290の構成の概略を示す側面図である。基準マーク部290は、第1基準マーク支持体291と第2基準マーク支持体292を有している。
【0085】
第1基準マーク支持体291は、基台100上に設けられ、Y軸方向に延伸する門型のフレーム構造を有している。第1基準マーク支持体291は移動フレーム261より大きく形成され、第1基準マーク支持体291の内側を移動フレーム261が通過するようになっている。
【0086】
第1基準マーク支持体291の下面には、例えば3つの第1基準マークS11、S12、S13が形成されている。移動フレーム261に支持された撮像ユニット210、211が、第1基準マーク支持体291を通過する際、各撮像ユニット210、211の第1撮像部220がそれぞれ、第1基準マークS11、S12、S13のいずれか1つを撮像するようになっている。第1撮像部220の撮像画像は、制御装置80に出力される。なお、本実施形態では、第1基準マークS11、S12、S13を3つ設けているが、各撮像ユニット210、211の第1撮像部220が撮像するためには、第1基準マークは2つ以上あればよい。
【0087】
第2基準マーク支持体292は、基台100上において鉛直上方に延伸して設けられている。第2基準マーク支持体292は、第1基準マークS11、S12、S13のそれぞれの下方に3つ設けられている。第2基準マーク支持体292は移動フレーム261の内側に設けられ、第1基準マーク支持体291の上方を移動フレーム261が通過するようになっている。
【0088】
3つの第2基準マーク支持体292のそれぞれの上面には、第2基準マークS21、S22、S23が形成されている。すなわち、第2基準マークS21、S22、S23はそれぞれ、第1基準マークS11、S12、S13に対向して配置されている。そして、移動フレーム261に支持された撮像ユニット210、211が、第2基準マーク支持体292を通過する際、各撮像ユニット210、211の第2撮像部230がそれぞれ、第2基準マークS21、S22、S23のいずれか1つを撮像するようになっている。第2撮像部230の撮像画像は、制御装置80に出力される。
【0089】
なお、第1撮像部220による第1基準マークS11、S12、S13と、第2撮像部230による第2基準マークS21、S22、S23とは同時に行われる。また、後述するように、基準マークの撮像画像に基づいて、撮像ユニット210、211の姿勢(向き)が調整される。
【0090】
<接合システム1の動作>
次に、以上のように構成された接合システム1を用いて行われる基板W1、W2の接合処理について説明する。
図19は、基板接合処理の主な工程を示すフロー図である。
【0091】
先ず、複数枚の第1基板W1を収容したカセットCw1、複数枚の第2基板W2を収容したカセットCw2、及び空のカセットCtが、搬入出ステーション2の所望のカセット載置板11に載置される。その後、基板搬送装置22によりカセットCw1内の第1基板W1が取り出され、処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置60に搬送される。
【0092】
次に第1基板W1は、基板搬送装置71によって第2の処理ブロックG2のロードロック室42に搬送される。その後、ロードロック室42内が密閉され、減圧される。続いて、第1基板W1は、搬送室41の基板搬送装置によって改質装置40に搬送される。
【0093】
改質装置40では、所望の減圧雰囲気下において、処理ガスである酸素ガス又は窒素ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。この酸素イオン又は窒素イオンが第1基板W1の接合面W1aに照射されて、当該接合面W1aがプラズマ処理される。そして、第1基板W1の接合面W1aが改質される(
図19のステップA1)。
【0094】
次に第1基板W1は、搬送室41の基板搬送装置によってロードロック室42に搬送される。その後、ロードロック室42内が密閉され、大気開放される。続いて、第1基板W1は、基板搬送装置71によって親水化装置50に搬送される。
【0095】
親水化装置50では、スピンチャックに保持された第1基板W1を回転させながら、当該第1基板W1上に純水を供給する。そうすると、供給された純水は第1基板W1の接合面W1a上を拡散し、改質装置40において改質された第1基板W1の接合面W1aに水酸基(シラノール基)が付着して当該接合面W1aが親水化される。また、当該純水によって、第1基板W1の接合面W1aが洗浄される(
図19のステップA2)。
【0096】
次に第1基板W1は、オリフラ又はノッチの位置を調整することで、第1基板W1の水平方向の向きが調整される。また、第1基板W1の表裏が反転され、第1基板W1の接合面W1aが下方に向けられる。なお、この第1基板W1の水平方向の向き調整と表裏反転は、接合システム1に設けられた装置(図示せず)で行われる。
【0097】
次に第1基板W1は、基板搬送装置71によって第1の処理ブロックG1の接合装置30に搬送される。この際、第1チャンバ111と第2チャンバ112は離間し、処理容器110は開放されている。第1基板W1は、接合面W1aが下方に向けられた状態で、予め第1保持部120の静電チャック121より下方に待機している吸着パッド123に受け渡される。続いて、吸着パッド123を上昇させ、
図20に示すように第1基板W1は、静電チャック121に吸着保持される(
図19のステップA3)。
【0098】
第1基板W1に上述したステップA1~A3の処理が行われている間、当該第1基板W1に続いて第2基板W2の処理が行われる。先ず、基板搬送装置22によりカセットCw2内の第2基板W2が取り出され、処理ステーション3のトランジション装置60に搬送される。
【0099】
次に第2基板W2は、基板搬送装置71によってロードロック室42に搬送され、さらに搬送室41の基板搬送装置によって改質装置40に搬送される。改質装置40では、第2基板W2の接合面W2aが改質される(
図19のステップA4)。なお、ステップA4における第2基板W2の接合面W2aの改質は、上述したステップA1と同様である。
【0100】
次に第2基板W2は、搬送室41の基板搬送装置によってロードロック室42に搬送され、さらに基板搬送装置71によって親水化装置50に搬送される。親水化装置50では、第2基板W2の接合面W2aが親水化される共に当該接合面W2aが洗浄される(
図19のステップA5)。なお、ステップA5における第2基板W2の接合面W2aの親水化及び洗浄は、上述したステップA2と同様である。
【0101】
次に第2基板W2は、オリフラ又はノッチの位置を調整することで、第1基板W1の水平方向の向きが調整される。なお、この第2基板W2の水平方向の向き調整と表裏反転は、接合システム1に設けられた装置(図示せず)で行われる。
【0102】
次に第2基板W2は、基板搬送装置71によって接合装置30に搬送される。接合装置30に搬入された第2基板W2は、接合面W2aが上方に向けられた状態で、予め第2保持部130の静電チャック131より上方に待機している昇降ピン133に受け渡される。続いて、昇降ピン133を下降させ、
図20に示すように第2基板W2は、静電チャック131に吸着保持される(
図19のステップA6)。
【0103】
次に、第1撮像ユニット210と第2撮像ユニット211の姿勢(向き)を調整する(
図19のステップA7)。
【0104】
ステップA7では、
図21に示すように処理容器110の外部に待機していた撮像ユニット210、211を、第1移動機構260によってX軸正方向側に基準マーク部290の位置まで移動させる。基準マーク部290では、第1撮像ユニット210の第1撮像部220が第1基準マークS11を撮像すると同時に、第2撮像部230が第2基準マークS21を撮像する。第1撮像ユニット210の撮像画像は、制御装置80に出力される。制御装置80では、取得した画像データに対してエッジ検出を行うことにより、第1基準マークS11と第2基準マークS21をそれぞれ検出する。そして、これら第1基準マークS11と第2基準マークS21とを一致させるように、第1撮像ユニット210の調整機構(図示せず)を制御する。そして、第1撮像ユニット210は、調整機構によって姿勢(向き)が調整される。
【0105】
また、ステップA7では、第1撮像ユニット210に対する上記調整方法と同様の方法で、第2撮像ユニット211の姿勢(向き)が調整される。このように撮像ユニット210、211の姿勢を調整することで、当該撮像ユニット210、211による撮像精度を向上させることができる。その結果、後述するステップA9における基板W1、W2の水平位置の調整精度(アライメント精度)を向上させることができる。
【0106】
次に、第1基板W1と第2基板W2の厚みを測定する(
図19のステップA8)。
【0107】
ステップA8では、
図21に示すように撮像ユニット210、211を、さらにX軸正方向側に移動させ、処理容器110の内部に配置する。処理容器110の内部では、基板W1、W2の一端部から他端部まで、第1撮像ユニット210をX軸方向に移動させながら、変位計252、253を用いてそれぞれ、第1基板W1の厚みと第2基板W2の厚みを測定する。変位計252、253の測定結果は、制御装置80に出力される。制御装置80では、第1基板W1の厚みと第2基板W2の厚みを、後述するステップA13において第1基板W1と第2基板W2を接合する際の、基板W1、W2間の間隔(ギャップ)を管理する際に用いる。
【0108】
なお、ステップA8では、第1保持部120の水平度(鉛直位置)を調整してもよい。制御装置80では、変位計252、253の測定結果に基づいて、第1保持部120の水平度を測定する。そして、第1保持部120の静電チャック121の吸着面が水平になるように、3つの鉛直位置調整部180を制御する。これら3つの鉛直位置調整部180を個別に駆動させることで、3つの伝達シャフトを個別に昇降させることができ、第1保持部120の水平度を調整することができる。
【0109】
次に、第1保持部120の水平位置を調整し、第1基板W1と第2基板W2の水平位置を調整する(
図19のステップA9)。
【0110】
ステップA9では、
図22及び
図23に示すように第1移動機構260によって撮像ユニット210、211をX軸方向に移動させ、各撮像ユニット210、211の共通レンズ部240を基板W1、W2のX軸方向中心位置に配置する。
【0111】
続いて、第2移動機構270によって第1撮像ユニット210をY軸正方向に移動させ、共通レンズ部240を第1アライメントマークM11と第2アライメントマークM21に対向する位置に配置する。そして、第1撮像部220が第1アライメントマークM11を撮像すると同時に、第2撮像部230が第2アライメントマークM21を撮像する。第1撮像ユニット210の撮像画像は、制御装置80に出力される。このように第1アライメントマークM11の撮像と第2アライメントマークM21の撮像を同時に行うので、撮像時間を短縮することができ、また後述する水平位置の調整精度(アライメント精度)を向上させることができる。
【0112】
同様に、第3移動機構280によって第2撮像ユニット211をY軸負方向に移動させ、共通レンズ部240を第1アライメントマークM12と第2アライメントマークM22に対向する位置に配置する。そして、第1撮像部220が第1アライメントマークM12を撮像すると同時に、第2撮像部230が第2アライメントマークM22を撮像する。第2撮像ユニット211の撮像画像は、制御装置80に出力される。
【0113】
制御装置80では、取得した画像データに対してエッジ検出を行うことにより、アライメントマークM11、M21、M12、M22をそれぞれ検出する。そして、第1アライメントマークM11の十字形状と第2アライメントマークM21の十字形状を一致させ、且つ第1アライメントマークM12の十字形状と第2アライメントマークM22の十字形状を一致させるように、水平位置調整部170を制御する。この水平位置調整部170を制御することで、第1保持部120の水平位置(水平方向における位置及び向き)を調整する。
【0114】
水平位置調整部170は、第1保持部120を水平方向に移動させ、あるいは鉛直軸回りに回転させる。これにより、第1基板W1と第2基板W2の水平位置を調整する。
【0115】
このようにステップA9では、2つの撮像ユニット210、211によってアライメントマークM11、M21、M12、M22を撮像子、第1基板W1と第2基板W2の水平位置を調整しているので、当該調整の精度(アライメント精度)を向上させることができる。また、当該調整を短時間で行うことも可能となる。
【0116】
次に、第1チャックマークN11、N12と第2チャックマークN21、N22の検出を行う(
図19のステップA10)。
【0117】
ステップA10では、
図23及び
図24に示すように、第2移動機構270によって第1撮像ユニット210をY軸正方向に移動させ、第1撮像ユニット210の共通レンズ部240を第1チャックマークN11と第2チャックマークN21に対向する位置に配置する。そして、第1撮像部220が第1チャックマークN11を撮像すると同時に、第2撮像部230が第2チャックマークN21を撮像する。第1撮像ユニット210の撮像画像は、制御装置80に出力される。
【0118】
同様に、第3移動機構280によって第2撮像ユニット211をY軸負方向に移動させ、共通レンズ部240を第1チャックマークN12と第2チャックマークN22に対向する位置に配置する。そして、第1撮像部220が第1チャックマークN12を撮像すると同時に、第2撮像部230が第2チャックマークN22を撮像する。第2撮像ユニット211の撮像画像は、制御装置80に出力される。
【0119】
ここで、ステップA9における基板W1、W2の水平方向位置を調整する前、対向する一対のチャックマークN11、N21の座標(x、y)は基準座標(0、0)である。そしてその後、ステップA9において第1保持部120を水平方向に移動させると、チャックマークN11、N21も移動するので、当該チャックマークN11、N21の座標(x、y)は(Δx1、Δy1)となる。同様に、他の対向する一対のチャックマークN12、N22の座標(x、y)も(Δx2、Δy2)となる。
【0120】
制御装置80では、取得した画像データに対してエッジ検出を行うことにより、チャックマークN11、N21、N12、N22をそれぞれ検出する。そして、上述したチャックマークN11、N21の座標(Δx1、Δy1)と、チャックマークN12、N22の座標(Δx2、Δy2)とを算出する。制御装置80では、これらチャックマークの座標(Δx1、Δy1)、(Δx2、Δy2)を、後述するステップA12において第1保持部120の水平位置を調整する際に用いる。
【0121】
なお、本実施形態では、アライメントマークM11、M21、M12、M22とチャックマークN11、N21、N12、N22はそれぞれ、同一Y軸上に配置されている。このため、ステップA10における撮像ユニット210、211の移動は、Y軸方向の移動のみでよい。しかも、アライメントマークM11、M21、M12、M22とチャックマークN11、N21、N12、N22とのそれぞれの距離Dは、例えば20mm~30mmと小さい。かかる場合、撮像ユニット210、211の移動に伴う姿勢のずれを抑制することができ、撮像ユニット210、211による撮像精度を向上させることができる。
【0122】
以上のステップA8~A10が終了すると、第1移動機構260によって撮像ユニット210、211をX軸負方向に移動させ、処理容器110の外部に退出させる。なお、ステップA9、A10では
図23に示したように、第1撮像ユニット210はY軸正方向側の第1領域B1を移動して撮像し、第2撮像ユニット211はY軸負方向側の第2領域B2を移動して撮像する。
【0123】
次に、処理容器110を密閉し、当該処理容器110の内部を所望の真空度まで減圧する(
図19のステップA11)。
【0124】
ステップA11では、
図25に示すように、チャンバ昇降機構140によって第1チャンバ111を下降させ、第1チャンバ111と第2チャンバ112を当接させる。そして、処理容器110の内部に密閉空間が形成される。その後、減圧部150の吸気装置152を作動させ、処理容器110の内部を減圧する。これにより、処理容器110の内部は、例えば1Pa以下の所望の真空度に維持される。
【0125】
ここで、上述したように撮像ユニット210、211を用いた場合、第1基板W1と第2基板W2との間の鉛直距離L1は短いので、第1チャンバ111が下降する際の移動距離を小さくできる。このため、第1チャンバ111の下降に伴う、第1保持部120の水平位置の位置ずれを抑制することができる。また、ステップA11にかかる時間を短縮することができる。
【0126】
次に、第1保持部120の水平位置を調整する(
図19のステップA12)。ここで、上述したステップA11では処理容器110の内部が減圧されて圧力変動が生じるので、その衝撃により、ステップA9で調整した第1保持部120の水平位置が若干ずれる。そこで、第1保持部120の水平位置を再調整する。
【0127】
ステップA12では、第1固定撮像部200が第1チャックマークN11と第2チャックマークN21を撮像し、第2固定撮像部201は第1チャックマークN12と第2チャックマークN22を撮像する。固定撮像部200、201の撮像画像は、制御装置80に出力される。
【0128】
制御装置80では、取得した画像データに対してエッジ検出を行うことにより、チャックマークN11、N21、N12、N22をそれぞれ検出する。そして、上述したステップA10で取得したチャックマークN11、N21の座標(Δx1、Δy1)と、チャックマークN12、N22の座標(Δx2、Δy2)をここで復元する。すなわち、
図26に示すように、チャックマークN11、N21が座標(Δx1、Δy1)に位置し、チャックマークN12、N22が座標(Δx2、Δy2)に位置するように、水平位置調整部170を制御する。この水平位置調整部170を制御することで、第1保持部120の水平位置(水平方向における位置及び向き)を調整する。
【0129】
次に、第1基板W1と第2基板W2を接合する(
図19のステップA13)。
【0130】
ステップA13では、
図27に示すように、3つの鉛直位置調整部180を用いて第1保持部120を下降させ、第1基板W1と第2基板W2を当接させる。この際、制御装置80では、ステップA8で測定された第1基板W1と第2基板W2の厚みを考慮しつつ、第1基板W1と第2基板W2の間の間隔を制御する。
【0131】
第1基板W1の接合面W1aと第2基板W2の接合面W2aはそれぞれステップA1、A4において改質されているため、先ず、接合面W1a、W2a間にファンデルワールス力(分子間力)が生じ、当該接合面W1a、W2a同士が接合される。さらに、第1基板W1の接合面W1aと第2基板W2の接合面W2aはそれぞれステップA2、A5において親水化されているため、接合面W1a、W2a間の親水基が水素結合し(分子間力)、接合面W1a、W2a同士が接合される。
【0132】
次に、第1基板W1と第2基板W2を押圧し、さらに強固に接合する(
図19のステップA14)。
【0133】
ステップA14では、
図28に示すように、加圧部190の押圧機構191を用いてプレスロッド193を鉛直方向に移動させる。これにより、第1保持部120が第2保持部130に接近して、第1保持部120に保持された第1基板W1を、第2保持部130に保持された第2基板W2に押圧する。またこの際、測定機構192を用いて、第1基板W1と第2基板W2にかかる荷重を測定する。なお、押圧荷重は例えば30kNである。そして、第1基板W1と第2基板W2が押圧されることにより、当該第1基板W1と第2基板W2はさらに強固に接合され、重合基板Tが形成される。
【0134】
図29は、第1基板W1と第2基板W2を押圧する際の荷重の負荷状況を示す説明図である。上述したように加圧部190による押圧荷重P1は、30kNである。一方、処理容器110の支持板114の上面には、処理容器110の外部の大気圧力と内部の真空圧力の差圧荷重P2である18kNがかかっている。そうすると、実質的に処理容器110にかかる荷重は、押圧荷重P1から差圧荷重P2を差し引いた12kNである。この12kNを、チャンバ昇降機構140による反力P3で負担する。したがって、本実施形態では、処理容器110に負荷をかけることなく、押圧荷重P1を負担することができる。
【0135】
また、このように第1基板W1と第2基板W2を押圧した場合でも、支持部160の可動板161に負荷がかからない。その理由について、以下説明する。
【0136】
第1保持部120は、伝達シャフト162によって上方から吊り下げた状態で支持される。また、加圧部190によって上方から第1保持部120を押圧しており、伝達シャフト162を押圧から切り離すことができる。ここで、第1基板W1と第2基板W2が当接した状態で第1保持部120を押圧すると、当該第1保持部120が変形するおそれがある。第1保持部120が変形すると、伝達シャフト162を介して可動板161に応力がかかる。この点、例えば鉛直位置調整部180のモータを停止させれば、伝達シャフト162と可動板161は鉛直方向にフリーな状態になる。このように、可動板161と第1保持部120が、鉛直方向に関して独立した関係になるため、可動板161に負荷がかからない。また、可動板161に負荷がかからないので、当然に水平位置調整部170にも負荷がかからない。
【0137】
したがって、本実施形態の接合装置30では、加圧部190による高荷重の接合処理と、支持部160を介した水平位置調整部170による高精度のアライメントとが、同時に実現可能になっている。
【0138】
次に、処理容器110を開放し、当該処理容器110の内部を大気圧にする(
図19のステップA15)。
【0139】
ステップA15では、
図30に示すように、チャンバ昇降機構140によって第1チャンバ111を上昇させ、処理容器110を開放する。この際、第1保持部120の静電チャック121による第1基板W1の吸着保持を停止し、鉛直位置調整部180によって第1保持部120も上昇させる。また、加圧部190による押圧も停止する。
【0140】
次に、第2保持部130の静電チャック131による第2基板W2(重合基板T)の吸着保持を停止し、続いて、昇降ピン133によって重合基板Tを静電チャック131から上昇させる。その後、
図31に示すように、重合基板Tが昇降ピン133から基板搬送装置71に受け渡され、接合装置30から搬出される。
【0141】
次に重合基板Tは、基板搬送装置71によってトランジション装置61に搬送され、その後搬入出ステーション2の基板搬送装置22によって所望のカセット載置板11のカセットCtに搬送される。こうして、一連の基板W1、W2の接合処理が終了する。
【0142】
以上の実施形態によれば、ステップA9において第1基板W1と第2基板W2の水平位置を適切に調整することができるので、ステップA13において第1基板W1と第2基板W2を接合する際の接合精度を向上させることができる。また、接合処理のスループットを向上させることも可能となる。
【0143】
なお、以上の実施形態では、ステップA13で第1基板W1と第2基板W2を接合した後、ステップA14で第1基板W1と第2基板W2を押圧したが、ステップA13で十分な接合強度が得られる場合には、ステップA14を省略してもよい。かかる場合、加圧部190を省略してもよい。
【0144】
また、加圧部190を省略する代わりに、第1保持部120の上面中心のみを下降させるストライカを設けてもよい。かかる場合、第1基板W1が下方に凸状に反った状態で、当該第1基板W1の中心と第2基板W2の中心を当接させる。そして、基板中心から外周に向かって順次接合させる。
【0145】
以上の実施形態では、加圧部190が第1保持部120を鉛直下方に押圧する例について説明したが、加圧部190は、第2保持部130を鉛直上方に押圧してもよい。
【0146】
また、以上の実施形態では、支持部160、水平位置調整部170及び鉛直位置調整部180で構成されるアライメント機構は、第1保持部120に設けられていたが、第2保持部130に設けられていてもよい。
【0147】
また、以上の実施形態では、第1保持部120が上方で第2保持部130が下方に配置された例について説明したが、これら第1保持部120と第2保持部130の配置を上下反対にしてもよい。さらに、以上の実施形態では、第1保持部120が鉛直方向に移動可能に構成されていたが、第2保持部130が鉛直方向に移動自在であってもよく、あるいは第1保持部120と第2保持部130の両方が鉛直方向に移動自在であってもよい。
【0148】
また、以上の実施形態では、真空雰囲気下で第1基板W1と第2基板W2を接合したが、大気雰囲気下で接合場合にも本実施形態は適用できる。
【0149】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0150】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)第1基板と第2基板を接合する接合装置であって、前記第1基板を保持する第1保持部と、前記第1保持部に対して鉛直方向に対向配置され、前記第2基板を保持する第2保持部と、前記第1保持部と前記第2保持部を収容する処理容器と、前記処理容器の外部に設けられ、且つ前記第1保持部を支持する支持部を介して当該第1保持部に接続され、前記第1保持部の水平位置を調整する水平位置調整部と、を有する、接合装置。
(2)前記処理容器の外部に設けられ、且つ前記支持部を介して前記第1保持部に接続され、前記第1保持部の鉛直位置を調整する鉛直位置調整部を有する、前記(1)に記載の接合装置。
(3)前記支持部は、前記処理容器の外部に設けられ、前記水平位置調整部が接続された可動板と、前記処理容器を挿通し、前記可動板と前記第1保持部を接続する伝達シャフトと、を有する、前記(1)又は(2)に記載の接合装置。
(4)水平位置調整部は、U軸、V軸及びW軸を駆動軸とするUVWステージを有する、前記(1)~(3)のいずれかに記載の接合装置。
(5)前記処理容器の外部に設けられ、且つ前記第1保持部の中央部に接続され、前記第1保持部を前記第2保持部に接近させることによって前記第1基板を前記第2基板に押圧する加圧部を有する、前記(1)~(4)のいずれかに記載の接合装置。
(6)前記加圧部は、前記第1基板を前記第2基板に押圧するための押圧機構と、前記押圧機構と前記第1保持部との間で荷重を測定する測定機構と、を有する、前記(5)に記載の接合装置。
(7)前記押圧機構は、油圧シリンダ又は空圧シリンダである、前記(6)に記載の接合装置。
(8)前記処理容器は、前記第1保持部側に設けられた第1チャンバと、前記第2保持部側に設けられた第2チャンバとを有し、前記第1チャンバと前記第2チャンバを当接させて内部を密閉可能に構成され、前記接合装置は、前記第1チャンバを昇降させる昇降機構を有し、前記処理容器の内部を真空状態減圧した状態で前記加圧部によって前記第1保持部にかけられる荷重は、前記処理容器の外部の大気圧力と内部の真空圧力の差圧と、前記昇降機構による反力とによって負担される、前記(5)~(7)のいずれかに記載の接合装置。
(9)前記第1基板の接合面に形成された第1アライメントマークを撮像する第1撮像部と、前記第2基板の接合面に形成された第2アライメントマークを撮像する第2撮像部とを備えた撮像ユニットと、前記第1保持部と前記第2保持部との間の平面領域内において、前記撮像ユニットを第1方向及び前記第1方向と直交する第2方向に沿って移動させる移動機構と、を有する、前記(1)~(8)のいずれか一項に接合装置。
(10)第1基板と第2基板を接合する接合システムであって、前記第1基板と前記第2基板を接合する接合装置を備えた処理ステーションと、前記第1基板、前記第2基板又は前記第1基板と前記第2基板が接合された重合基板を、前記処理ステーションに対して搬入出する搬入出ステーションと、を有し、前記接合装置は、前記第1基板を保持する第1保持部と、前記第1保持部に対して鉛直方向に対向配置され、前記第2基板を保持する第2保持部と、前記第1保持部と前記第2保持部とを収容する処理容器と、前記処理容器の外部に設けられ、且つ前記第1保持部を支持する支持部を介して当該第1保持部に接続され、前記第1保持部の水平位置を調整する水平位置調整部と、を有する、接合システム。
(11)第1基板と第2基板を接合する接合方法であって、処理容器の内部に設けられた第1保持部によって、前記第1基板を保持する工程と、前記処理容器の内部において前記第1保持部に対して鉛直方向に対向配置された第2保持部によって、前記第2基板を保持する工程と、前記処理容器の外部に設けられ、且つ前記第1保持部を支持する支持部を介して当該第1保持部に接続された水平位置調整部によって、前記第1保持部の水平位置を調整する工程と、を有する、接合方法。
【符号の説明】
【0151】
30 接合装置
110 処理容器
120 第1保持部
130 第2保持部
160 支持部
170 水平位置調整部
W1 第1基板
W2 第2基板