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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-25
(45)【発行日】2022-12-05
(54)【発明の名称】積層体及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20221128BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20221128BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20221128BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20221128BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20221128BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20221128BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221128BHJP
【FI】
G02B5/30
B32B7/023
G06F3/041 400
G06F3/041 640
G09F9/00 313
G09F9/00 342
H01L27/32
H05B33/02
H05B33/14 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020019692
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2020134939
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2020-12-10
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2019022514
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宋 ▲ビョン▼▲フン▼
【合議体】
【審判長】加々美 一恵
【審判官】里村 利光
【審判官】関根 洋之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-28974(JP,A)
【文献】特開2018-27996(JP,A)
【文献】特開2019-172932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B5/30
G09F9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造を少なくとも1つ含み、前記構造のうち少なくとも1つは粘着剤層が下記式(i)を満たし、且つ、温度25℃、相対湿度55%におけるリカバリー[%]が25%以上であり、
前記光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造として、偏光板と位相差フィルムとが粘着剤層を介して積層された構造を含む円偏光板を備え、
前記円偏光板の厚みは10μm以上100μm以下であり、
前記偏光板と位相差フィルムとが粘着剤層を介して積層された構造に含まれる粘着剤層が下記式(i)を満たす、積層体。
単位屈曲回数当たりの厚みの変化率[%/万回]<10 (i)
【請求項2】
前記式(i)を満たす粘着剤層の厚みは5μm以上である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記構造は粘着剤層がいずれも前記式(i)を満たす、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造は、前面板、偏光板、タッチセンサパネル、有機EL表示素子、及び位相差フィルムからなる群から選択される2つの光学部材が前記粘着剤層を介して積層された構造である、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の積層体を含む、画像表示装置。
【請求項6】
フレキシブル性を有する、請求項5に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体に関し、さらには積層体を含む画像表示装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、偏光フィルムの両面に粘着剤層を備える偏光フィルムであって、粘着剤層の厚みがそれぞれ25μm以上及び25μm以下であることを特徴とする両面粘着剤層付偏光フィルムが提案されている。
【0003】
特許文献2には、粘着剤層を有する粘着型光学フィルムであって、粘着剤層の厚みの標準偏差値が0.12μm以下であることを特徴とする粘着型光学フィルムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国特許第10-2216238号明細書
【文献】韓国特許第10-1253020号明細書
【発明の概要】
【0005】
光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造を有する積層体において、積層体を繰り返し屈曲させたときにクラックが生じることがある。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、繰り返し屈曲をさせた場合でもクラックが生じにくい積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の積層体及び画像表示装置を提供する。
[1] 光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造を少なくとも1つ含み、前記構造のうち少なくとも1つは粘着剤層が下記式(i)を満たす、積層体。
単位屈曲回数当たりの厚みの変化率[%/万回]<10 (i)
[2] 前記式(i)を満たす粘着剤層の厚みは5μm以上である、[1]に記載の積層体。
[3] 前記構造は粘着剤層がいずれも前記式(i)を満たす、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] 前記光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造は、前面板、偏光板、タッチセンサパネル、及び有機EL表示素子からなる群から選択される2つの光学部材が前記粘着剤層を介して積層された構造である、[1]~[3]のいずれかに記載の積層体。
[5] [1]~[4]のいずれかに記載の積層体を含む、画像表示装置。
[6] フレキシブル性を有する、[5]に記載の画像表示装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、繰り返し屈曲をさせた場合でもクラックが生じにくい積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る積層体の一例を示す概略断面図である。
図2】本発明に係る積層体の一例を示す概略断面図である。
図3】本発明に係る積層体の一例を示す概略断面図である。
図4】本発明の光学積層体の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。
図5】屈曲性試験の方法を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の全ての図面においては、各構成要素を理解し易くするために縮尺を適宜調整して示しており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。
【0011】
<積層体>
図1は、本発明の一実施形態による積層体(以下、省略して「積層体」ともいう)の概略断面図である。図1に示す積層体1は、光学部材2、粘着剤層3、光学部材2をこの順に備える。積層体1は、光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造を1つ含む積層体であり、光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造のみからなる積層体である。
【0012】
積層体はフレキシブル性を有する。フレキシブル性を有するとは、積層体を屈曲させたときに、クラック及び破断を生じさせずに屈曲できることを意味する。フレキシブル性を有するとは、好ましくは積層体の内面の屈曲半径が2.5mmでの屈曲を3万回行った場合でもクラック及び破断が生じないことを意味する。
【0013】
積層体1の厚みは、積層体1に求められる機能及び積層体1の用途等に応じて異なるため特に限定されないが、例えば50μm以上1000μm以下であってよく、好ましくは100μm以上500μm以下であり、より好ましくは100μm以上300μm以下である。
【0014】
積層体1の平面視形状は、例えば方形形状であってよく、好ましくは長辺と短辺とを有する方形形状であり、より好ましくは長方形である。積層体1の平面視形状が長方形である場合、長辺の長さは、例えば10mm以上1400mm以下であってよく、好ましくは50mm以上600mm以下である。短辺の長さは、例えば5mm以上800mm以下であり、好ましくは30mm以上500mm以下であり、より好ましくは50mm以上300mm以下である。
【0015】
積層体1の平面視形状が方形形状である場合、積層体1を構成する各層における各辺の長さは互いに同じであってよい。積層体1を構成する各層は、角部がR加工されたり、端部を切り欠き加工されたり、穴あき加工されたりしていてもよい。
本明細書において、平面視とは、層の厚み方向から見ることを意味する。
【0016】
上述のように積層体1は、その面内における少なくとも一方向に関して、積層体1の内面の屈曲半径が2.5mmとなるように繰り返し屈曲させるとき、好ましくは、その屈曲回数が3万回であってもクラック及び破断がいずれも生じない。
積層体1は、その面内における少なくとも一方向に関して、積層体1の内面の屈曲半径が2.5mmとなるように繰り返し屈曲させるとき、より好ましくは、その屈曲回数が5万回であってもクラック及び破断が生じず、さらに好ましくは、その屈曲回数が10万回であってもクラック及び破断が生じず、なおさらに好ましくは、その屈曲回数が30万回であってもクラック及び破断が生じない。積層体1は、少なくとも、その面内における一方向及びそれに直交する方向に関して、上記繰り返しの屈曲をさせたときのクラック及び破断が生じない屈曲回数が上記範囲であることが好ましい。
本明細書において、屈曲には、曲げ部分に曲面が形成される折り曲げの形態が含まれる。折り曲げの形態において、折り曲げた内面の屈曲半径は特に限定されない。また、屈曲には、内面の屈折角が0度より大きく180度未満である屈折の形態、および内面の屈曲半径がゼロに近似、または内面の屈折角が0度である折り畳みの形態が含まれる。
【0017】
光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造は、例えば光学部材/粘着剤層/光学部材を単位構造(以下、構造1とも称する)としたとき、単独の構造1から構成される構造であってもよいし、複数の構造1から構成される構造であってもよい。複数の構造1から構成される構造の場合、2以上の構造1が粘着剤層を介して積層されたものであってもよいし、構造1を構成する一方の光学部材に粘着剤層を介して更なる光学部材が貼合されたものであってもよい。各光学部材はそれぞれ同じ種類であってよく、異なった種類であってもよいが、異なった種類であることが好ましい。また、各粘着剤層はそれぞれ同じ組成であってよく、異なった組成であってもよいが、同じ組成であることが好ましい。
なお、光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造には、後述する偏光板中の構造及び位相差フィルム間の構造が含まれていてもよい。例えば偏光板に含まれる偏光子と位相差フィルム又は位相差層とが粘着剤層を介して積層された構造や、位相差フィルムと位相差層とが粘着剤層を介して積層された構造、又は位相差フィルム同士、若しくは位相差層同士が粘着剤層を介して積層された構造が含まれていてもよい。より具体的には偏光板に含まれる偏光子とλ/4板とが粘着剤層を介して積層された構造、及びλ/4板とポジティブCプレートまたはλ/2板とが粘着剤層を介して積層された構造等が挙げられる。
【0018】
積層体が、構造1を2以上含む場合、それらの構造は、粘着剤層又は後述する貼合層を介して貼合されていてよい。
【0019】
光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造のうち少なくとも1つは粘着剤層が下記式(i)を満たす。
単位屈曲回数当たりの厚みの変化率[%/万回]<10 (i)
光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造のうち少なくとも1つの単位屈曲回数当たりの厚みの変化率[%/万回]は、屈曲性を高める観点から好ましくは5以下であり、より好ましくは4以下であり、さらに好ましくは2以下である。屈曲性を高める観点から好ましくは光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造は粘着剤層がいずれも式(i)を満たす。
【0020】
単位屈曲回数当たりの厚みの変化率[%/万回]とは、積層体を内面の屈曲半径が2.5mmとなるように1万回繰返し屈曲させた場合、初期の粘着剤層の厚み、すなわち屈曲回数0回のときの粘着剤層の厚みをTとし、1万回繰返し屈曲させたときの粘着剤層の厚みをT1とするとき下記式に従って求めることができる。
単位屈曲回数当たりの厚みの変化率[%/万回]=│T-T│/T×100
粘着剤層の厚み、及び粘着剤層の単位屈曲回数当たりの厚みの変化率[%/万回]は、後述の実施例の欄において説明する方法にしたがって求めることができる。
【0021】
本発明者によって、積層体を繰り返し屈曲させたとき、光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造に含まれる粘着剤層は通常、厚みが増加する傾向にあることが分かった。本発明者が、粘着剤層の厚みの変化率とフレキシブル性との関係性について研究を行ったところ、単位屈曲回数当たりの厚みの変化率が小さい方が積層体のフレキシブル性が良好なものとなる傾向にあることが見出された。これは、粘着剤層の厚みが増加すると、積層体を屈曲させたときに積層体内部に生じる応力が増加し、クラックや破断が起こり易くなるためであると推定される。
【0022】
単位屈曲回数当たりの厚みの変化率[%/万回]を10未満とするためには、例えば粘着剤層の製造条件の調節や粘着剤層に用いる粘着剤の選定等を行うことができる。粘着剤層の製造条件の調節としては、例えば粘着剤層を活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から形成する場合、活性エネルギー線の照射量を多くして活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の硬化度を高めると単位屈曲回数当たりの厚みの変化率[%/万回]は小さくなり易くなる傾向にある。また、粘着剤組成物中の架橋剤の量を多くすると単位屈曲回数当たりの厚みの変化率[%/万回]は小さくなり易くなる傾向にある。
さらに、粘着剤は、後述の貯蔵弾性率[MPa]が大きい粘着剤を用いたり、後述のリカバリーが大きい粘着剤を用いたりすると、単位屈曲回数当たりの厚みの変化率[%/万回]は小さくなり易い傾向にある。前記式(i)を満たす粘着剤層の厚みは、例えば5μm以上であってよい。
【0023】
粘着剤層は、温度25℃、相対湿度55%における貯蔵弾性率[MPa]が例えば0.02MPa超であってよく、好ましくは0.03MPa以上であり、より好ましくは0.05MPa以上である。一方、粘着剤層は、貯蔵弾性率[MPa]が0.1MPa以下であることが好ましく、0.08MPa以下であることがより好ましい。積層体の貯蔵弾性率[MPa]が上記範囲にある場合、繰り返し屈曲させたときでも粘着剤層の厚さの変化が小さい傾向にある。積層体の貯蔵弾性率[MPa]は、後述の実施例の欄において説明する方法にしたがって測定することができる。
【0024】
粘着剤層は、温度25℃、相対湿度55%におけるリカバリー[%]が例えば25%以上であってよく、好ましくは30%以上である。一方、粘着剤層は通常、リカバリー[%]が例えば70%以下であってよく、好ましくは60%以下である。積層体のリカバリー[%]が上記範囲内にある場合、繰り返し屈曲させたときでも粘着剤層の厚さの変化が小さい傾向にある。積層体のリカバリー[%]は、後述の実施例の欄において説明する方法にしたがって測定することができる。
【0025】
図2は、本発明に係る積層体の他の一例を示す概略断面図である。図2に示される積層体4は、光学部材5、粘着剤層6、光学部材5、粘着剤層6、光学部材5、粘着剤層6、光学部材5をこの順に備える。積層体4は、上述の構造1を含む積層体であり、光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造のみからなる積層体である。
【0026】
図3は、本発明に係る積層体のさらなる他の一例を示す概略断面図である。図3に示される積層体7は、光学部材8、粘着剤層9、光学部材8、貼合層10、光学部材8、粘着剤層9、光学部材8をこの順に備える。積層体7は、光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造を2つ含む積層体であり、光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造同士が貼合層10により貼合されている。
【0027】
[光学部材]
光学部材としては、例えば前面板、偏光板、位相差フィルム、タッチセンサパネル、及び有機EL表示素子等が挙げられる。
【0028】
上述の構造1の具体例としては、例えば以下の構造が挙げられる。
前面板/粘着剤層/偏光板、
偏光板/粘着剤層/タッチセンサパネル、
タッチセンサパネル/粘着剤層/有機EL表示素子。
【0029】
光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造が、構造1を複数有する場合、その具体例としては、例えば以下の構造が挙げられる。
前面板/粘着剤層/偏光板/粘着剤層/タッチセンサパネル、
前面板/粘着剤層/タッチセンサパネル/粘着剤層/偏光板、
偏光板/粘着剤層/タッチセンサパネル/粘着剤層/有機EL表示素子、
前面板/粘着剤層/偏光板/粘着剤層/タッチセンサパネル/粘着剤層/有機EL表示素子、
前面板/粘着剤層/タッチセンサパネル/粘着剤層/偏光板/粘着剤層/有機EL表示素子。
【0030】
[前面板]
前面板は、好ましくは、光を透過可能な板状体である。前面板は、1層のみから構成されてもよく、2層以上から構成されてもよい。前面板は、画像表示装置の最表面を構成するものであることができる。
前面板としては、例えば、ガラス製の板状体(例えば、ガラス板、ガラスフィルム等)、樹脂製の板状体(例えば、樹脂板、樹脂シート、樹脂フィルム等)が挙げられる。上記の中でも、積層体及びこれを含む画像表示装置のフレキシブル性の観点から、樹脂フィルム等の樹脂製の板状体であることが好ましい。
【0031】
樹脂フィルム等の樹脂製の板状体を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)等のポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;エチレン-酢酸ビニル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエーテルイミド系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリビニルアセタール系樹脂;ポリエーテルケトン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、単独で又は2種以上混合して用いることができる。
中でも、可撓性、強度及び透明性の観点から、前面板を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂が好適に用いられる。
【0032】
前面板は、基材フィルムの少なくとも一方の面にハードコート層を設けて硬度をより向上させたフィルムであってもよい。基材フィルムとしては、上述の樹脂フィルムを用いることができる。
【0033】
ハードコート層は、基材フィルムの一方の面に形成されていてもよいし、両方の面に形成されていてもよい。ハードコート層を設けることにより、硬度及びスクラッチ性を向上させることができる。ハードコート層の厚みは、例えば0.1μm以上30μm以下であってよく、好ましくは1μm以上20μm以下、より好ましくは5μm以上15μm以下である。
【0034】
ハードコート層は、例えば、紫外線硬化型樹脂の硬化層である。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。ハードコート層は、強度を向上させるために、添加剤を含んでいてもよい。添加剤は限定されることはなく、無機系微粒子、有機系微粒子、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0035】
前面板は、画像表示装置の前面(画面)を保護する機能(ウィンドウフィルムとしての機能)を有するのみではなく、タッチセンサとしての機能、ブルーライトカット機能、視野角調整機能等を有するものであってもよい。
【0036】
前面板の厚みは、例えば10μm以上2000μm以下であってよく、20μm以上2000μm以下であってよく、好ましくは25μm以上1500μm以下、より好ましくは30μm以上1000μm以下、さらに好ましくは40μm以上500μm以下、特に好ましくは40μm以上200μm以下、なおさらには40μm以上100μm以下であってもよい。
【0037】
[偏光板]
偏光板としては、二色性色素を吸着させた延伸フィルム若しくは延伸層、又は二色性色素および重合性化合物を含む組成物を塗布し硬化させてなるフィルムを偏光子として含むフィルム等が挙げられる。色素を異方性のある媒質中に分散して配向させると、ある方向からは着色して見え、それと垂直な方向からはほとんど無色に見えることがある。このような現象を示す色素を二色性色素という。二色性色素として、具体的には、ヨウ素や二色性の有機染料が用いられる。二色性有機染料には、C.I.DIRECT RED 39等のジスアゾ化合物からなる二色性直接染料、トリスアゾ、テトラキスアゾなどの化合物からなる二色性直接染料が包含される。
【0038】
二色性色素および重合性化合物を含む組成物を塗布し硬化させてなるフィルムとしては、液晶性を有する二色性色素を含む組成物又は二色性色素と重合性液晶とを含む組成物を塗布し硬化させて得られる層等の重合性液晶化合物の硬化物を含むフィルムが挙げられる。
二色性色素および重合性化合物を含む組成物を塗布し硬化させてなるフィルムは、二色性色素を吸着させた延伸フィルム又は延伸層に比べて、屈曲方向に制限がないため好ましい。したがって、少なくとも面内における一方向及びそれに直交する方向、さらには、面内におけるあらゆる方向に関して、上記繰り返しの屈曲をさせたときのクラックを生じない屈曲回数が上記範囲である積層体を得るうえでは、偏光板として、二色性色素および重合性化合物を含む組成物を塗布し硬化させたフィルムを偏光子として含むフィルムが好ましい。
【0039】
(1)延伸フィルム又は延伸層である偏光子を備える偏光板
二色性色素を吸着させた延伸フィルムである偏光子は、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させる工程、及び二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程を有する、及びホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造することができる。かかる偏光子をそのまま偏光板として用いてもよく、その片面又は両面に透明保護フィルムを貼合したものを偏光板として用いてもよい。偏光子の厚みは、好ましくは2μm以上40μm以下である。
【0040】
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することによって得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体が用いられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
【0041】
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85~100モル%であり、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールも使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1000以上10000以下であり、好ましくは1500以上5000以下である。
【0042】
二色性色素を吸着させた延伸層である偏光子は、通常、上記ポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液を基材フィルム上に塗布する工程、得られた積層フィルムを一軸延伸する工程、一軸延伸された積層フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させて偏光子とする工程、二色性色素が吸着されたフィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、及びホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造することができる。
必要に応じて、基材フィルムを偏光子から剥離除去してもよい。基材フィルムの材料及び厚みは、後述する熱可塑性樹脂フィルムの材料及び厚みと同様であってよい。
【0043】
延伸フィルム又は延伸層である偏光子は、その片面又は両面に熱可塑性樹脂フィルムが貼合されている形態で光学積層体に組み込まれてもよい。この熱可塑性樹脂フィルムは、偏光子用の保護フィルム、又は位相差フィルムとして機能し得る。
熱可塑性樹脂フィルムは、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂など)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂など)等のポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;又はこれらの混合物等からなるフィルムであることができる。
熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、薄型化の観点から、通常300μm以下であり、好ましくは200μm以下であり、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは80μm以下であり、なおさらに好ましくは60μm以下であり、また、通常5μm以上であり、好ましくは20μm以上である。
熱可塑性樹脂フィルムは位相差を有していても、有していなくてもよい。
熱可塑性樹脂フィルムは、例えば、接着剤層を用いて偏光子に貼合することができる。
【0044】
(2)二色性色素および重合性化合物を含む組成物塗布し硬化させてなるフィルムを偏光子として備える偏光板
二色性色素および重合性化合物を含む組成物を塗布し硬化させてなるフィルムとしては、液晶性を有する重合性の二色性色素を含む組成物又は二色性色素と重合性液晶とを含む組成物を基材フィルム(又は基材フィルム上に形成された配向膜)に塗布し硬化させて得られる層等の重合性液晶化合物の硬化物を含むフィルム等が挙げられる。
当該フィルムは、基材を剥離してまたは基材とともに偏光板として用いてもよい。基材フィルムの材料及び厚みは、上述した熱可塑性樹脂フィルムの材料及び厚みと同様であってよい。
二色性色素および重合性化合物を含む組成物を塗布し硬化させてなるフィルムは、その片面又は両面に熱可塑性樹脂フィルムが貼合されている形態で積層体に組み込まれてもよい。熱可塑性樹脂フィルムとしては、延伸フィルム又は延伸層である偏光子に用い得る熱可塑性樹脂フィルムと同様のものを用いることができる。
熱可塑性樹脂フィルムは、例えば、接着剤層を用いて偏光子に貼合することができる。
二色性色素および重合性化合物を含む組成物を塗布し硬化させてなるフィルムとしては、具体的には、特開2012-33249号公報等に記載のものが挙げられる。
【0045】
二色性色素および重合性化合物を含む組成物を塗布し硬化させてなるフィルムの厚みは、通常10μm以下であり、好ましくは0.5μm以上8μm以下であり、より好ましくは1μm以上5μm以下である。
【0046】
偏光板の厚みは、例えば2μm以上100μm以下であり、好ましくは10μm以上60μm以下である。
【0047】
偏光板は、位相差フィルムをさらに備えていてもよい。位相差フィルムは、1層または2層以上の位相差層を含むことができる。位相差層としては、λ/4板やλ/2板のようなポジティブAプレート、およびポジティブCプレートであることができる。位相差層は、上述の保護フィルムの材料として例示をした樹脂フィルムから形成されてもよいし、重合性液晶化合物が硬化した層から形成されてもよい。位相差フィルムは、さらに配向膜や基材フィルムを含んでいてもよい。
【0048】
偏光子の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸とが所定の角度となるように、偏光子と位相差フィルムとが配置されると、偏光板と位相差フィルムとを備える積層体は反射防止機能を有する、すなわち積層体は円偏光板として機能し得る。位相差フィルムが、位相差層としてλ/4板を含む位相差フィルムである場合、偏光子の吸収軸とλ/4板の遅相軸とのなす角度は、45°±10°であることができる。
【0049】
偏光板と位相差フィルムとは後述の貼合層、または粘着剤層を介して貼合することができる。粘着剤層は、後述する粘着剤組成物から構成された粘着剤層であってもよいし、それ以外の粘着剤組成物から粘着剤層であってもよい。粘着剤層の厚みは例えば0.5μm以上25μm以下であってよく、好ましくは1μm以上25μm以下である。
【0050】
円偏光板の厚みは、例えば10μm以上200μm以下であり、好ましくは10μm以上100μm以下である。
【0051】
[タッチセンサパネル]
タッチセンサパネルは、タッチされた位置を検出可能なセンサであれば、検出方式は限定されることはなく、抵抗膜方式、静電容量結合方式、光センサ方式、超音波方式、電磁誘導結合方式、表面弾性波方式等のタッチセンサパネルが例示される。低コストであることから、抵抗膜方式、静電容量結合方式のタッチセンサパネルが好適に用いられる。
【0052】
抵抗膜方式のタッチセンサパネルの一例は、互いに対向配置された一対の基板と、それら一対の基板の間に挟持された絶縁性スペーサーと、各基板の内側の前面に抵抗膜として設けられた透明導電膜と、タッチ位置検知回路とにより構成されている。抵抗膜方式のタッチセンサパネルを設けた画像表示装置においては、前面板の表面がタッチされると、対向する抵抗膜が短絡して、抵抗膜に電流が流れる。タッチ位置検知回路が、このときの電圧の変化を検知し、タッチされた位置が検出される。
【0053】
静電容量結合方式のタッチセンサパネルの一例は、基板と、基板の全面に設けられた位置検出用透明電極と、タッチ位置検知回路とにより構成されている。静電容量結合方式のタッチセンサパネルを設けた画像表示装置においては、前面板の表面がタッチされると、タッチされた点で人体の静電容量を介して透明電極が接地される。タッチ位置検知回路が、透明電極の接地を検知し、タッチされた位置が検出される。
【0054】
タッチセンサパネルの厚みは、例えば5μm以上2,000μm以下であってよく、好ましくは5μm以上100μm以下、さらに好ましくは5μm以上50μm以下である。
【0055】
タッチセンサパネルは、基材フィルム上にタッチセンサパターンを形成したのものであってよい。基材フィルムの例示は、上述の保護フィルムの説明における例示と同じであってよい。タッチセンサパターンの厚みは、例えば1μm以上40μm以下であってよい。
【0056】
[有機EL表示素子]
有機EL表示素子としては、従来公知のものであってよく、好ましくはフレキシブル画像表示装置に用いることができる有機EL表示素子である。有機EL表示素子の厚みは、例えば5μm以上2,000μm以下であってよく、好ましくは5μm以上100μm以下、さらに好ましくは5μm以上50μm以下である。
【0057】
[位相差フィルム]
位相差フィルムは、1層または2層以上の位相差層を含むことができる。位相差層としては、λ/4板やλ/2板のようなポジティブAプレート、およびポジティブCプレートであることができる。位相差層は、上述の保護フィルムの材料として例示をした樹脂フィルムから形成されてもよいし、重合性液晶化合物が硬化した層から形成されてもよい。位相差フィルムは、さらに配向膜や基材フィルムを含んでいてもよい。
【0058】
樹脂フィルムから形成される位相差フィルムの厚みは、上述の熱可塑性樹脂フィルムの厚みと同様であってよい。重合性液晶化合物を硬化してなる位相差層の厚みは、例えば、0.1μm以上10μm以下であり、好ましくは0.5μm以上8μm以下であり、より好ましくは1μm以上6μm以下である。
【0059】
重合性液晶化合物を硬化してなる位相差層は、重合性液晶化合物を含む組成物を基材フィルムに塗布し硬化させることによって形成することができる。基材フィルムと塗布層との間に配向層が形成されていてもよい。基材フィルムの材料および厚みは、上述した熱可塑性樹脂フィルムの材料および厚みと同様であってよい。
【0060】
位相差フィルム同士若しくは位相差層同士、又は位相差フィルムと位相差層とは後述の貼合層、または粘着剤層を介して貼合することができる。粘着剤層は、後述する粘着剤組成物から構成された粘着剤層であってもよいし、それ以外の粘着剤組成物から粘着剤層であってもよい。粘着剤層の厚みは例えば0.5μm以上25μm以下であってよく、好ましくは1μm以上25μm以下である。
【0061】
[粘着剤層]
粘着剤層は、光学部材同士が粘着剤層を介して積層された構造に含まれる粘着剤層である。粘着剤層には、偏光板と位相差フィルム又は位相差層とが粘着剤層を介して積層された構造、及び位相差フィルムと位相差層とが、又は位相差フィルム同士、若しくは位相差層同士が粘着剤層を介して積層された構造における粘着剤層が含まれてもよい。
粘着剤層は、1層又は2層以上から構成されてよいが、好ましくは1層から構成される。
【0062】
粘着剤層は、(メタ)アクリル系、ゴム系、ウレタン系、エステル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系のような樹脂を主成分とする粘着剤組成物で構成することができる。中でも、透明性、耐候性、耐熱性等に優れる(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとする粘着剤組成物が好適である。粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型、熱硬化型であってもよい。
【0063】
粘着剤組成物に用いられる(メタ)アクリル系樹脂(ベースポリマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルのような(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上をモノマーとする重合体又は共重合体が好適に用いられる。
ベースポリマーには、極性モノマーを共重合させることが好ましい。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーを挙げることができる。
【0064】
(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、例えば70万以上250万以下であってよく、100万以上200万以下であってもよい。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)で示される分子量分布は、10以下であってよく、8以下であってよく、6以下であってもよい。重量平均分子量(Mw)は、以下のサイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)により求めることができる。重量平均分子量(Mw)は、移動相にテトラヒドロフランを用い、測定する(メタ)アクリル系樹脂を約0.05質量%の濃度でテトラヒドロフランに溶解させ、SECに10μL注入する。移動相は、1.0mL/分の流量で流す。重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算により算出される値とする。カラムとして、PLgel MIXED-B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いることができる。検出器にはUV-VIS検出器(商品名:Agilent GPC)を用いることができる。
【0065】
粘着剤組成物は、上記ベースポリマーのみを含むものであってもよいが、通常は架橋剤をさらに含有する。架橋剤としては、2価以上の金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの;ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの;ポリエポキシ化合物やポリオールであって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの;ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものが例示される。中でも、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
【0066】
ポリイソシアネート系化合物としては、例えば、脂肪族イソシアネート系化合物(例えばヘキサメチレンジイソシアネート等)、脂環族イソシアネート系化合物(例えばイソホロンジイソシアネート)、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、芳香族イソシアネート系化合物(例えばトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等)等が挙げられる。また、ポリイソシアネート系化合物は、上記イソシアネート化合物の多価アルコール化合物による付加体(アダクト体)[例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン等による付加体]、イソシアヌレート化物、ビュレット型化合物、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等と付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネート化合物等の誘導体であってもよい。ポリイソシアネート系化合物は単独又は2種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、耐久性の観点からトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びこれらの多価アルコール化合物又はこれらのイソシアヌレート化合物が好ましい。
【0067】
架橋剤の割合は、ベースポリマー100質量部に対して、例えば0.01質量部以上10質量部以下、好ましくは0.1質量部以上3質量部以下、さらに好ましくは0.1質量部以上1質量部以下であってもよい。
【0068】
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物とは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線の照射を受けて硬化する性質を有しており、活性エネルギー線照射前においても粘着性を有してフィルム等の被着体に密着させることができ、活性エネルギー線の照射によって硬化して密着力等の調整ができる性質を有する粘着剤組成物である。
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、紫外線硬化型であることが好ましい。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、ベースポリマー、架橋剤に加えて、活性エネルギー線重合性化合物をさらに含有する。さらに必要に応じて、光重合開始剤や光増感剤等を含有させてもよい。
活性エネルギー線重合性化合物としては、例えば、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー;官能基含有化合物を2種以上反応させて得られ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートオリゴマー等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物等の(メタ)アクリル系化合物が挙げられる。
【0069】
粘着剤組成物は、シラン化合物をさらに含んでいてもよい。シラン化合物を含有することにより粘着剤層と、積層される層との密着性を高めることができる。2種以上のシラン化合物を使用してもよい。
【0070】
シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルエトキシジメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0071】
また、シラン化合物は、上記シラン化合物に由来するオリゴマーを含むことができる。
【0072】
粘着剤組成物におけるシラン化合物の含有量は、ベースポリマー100質量部に対して、通常0.01質量部以上10質量部以下であり、好ましくは0.03質量部以上5質量部以下であり、より好ましくは0.05質量部以上2質量部以下であり、さらに好ましくは0.1質量部以上1質量部以下である。
【0073】
粘着剤組成物は、光散乱性を付与するための微粒子、ビーズ(樹脂ビーズ、ガラスビーズ等)、ガラス繊維、ベースポリマー以外の樹脂、粘着性付与剤、充填剤(金属粉やその他の無機粉末等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、着色剤、消泡剤、腐食防止剤、光重合開始剤等の添加剤を含むことができる。
【0074】
粘着剤層は、上記粘着剤組成物の例えば有機溶剤希釈液を基材上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を用いた場合は、形成された粘着剤層に、活性エネルギー線を照射することにより所望の硬化度を有する硬化物とすることができる。
【0075】
粘着剤層の厚みは、例えば1μm以上100μm以下であってよく、好ましくは2μm以上70μm以下であり、より好ましくは3μm以上50μm以下であり、さらに好ましくは5μm以上30μm以下である。
【0076】
[貼合層]
貼合層は、構造1同士を接合する働きをしたり、構造1に更なる光学部材を接合したりする層である。貼合層は、粘着剤を用いてもよいし、接着剤を用いてもよい。貼合層に用いる粘着剤は、粘着剤層に用いる粘着剤組成物を用いることができる。接着剤としては、水系接着剤または活性エネルギー線硬化性接着剤を用いることができる。水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤等が挙げられる。粘着剤層に用いる粘着剤組成物を貼合層に用いる場合、貼合層は上述の式(i)を満たす。一方、粘着剤層に接着剤層を用いる場合、貼合層は上述の式(i)を満たしてもよいし、満たさなくてもよい。
【0077】
活性エネルギー線硬化性接着剤とは、紫外線等の活性エネルギー線を照射することで硬化する接着剤をいい、例えば、重合性化合物および光重合開始剤を含むもの、光反応性樹脂を含むもの、バインダー樹脂および光反応性架橋剤を含むもの等が挙げられる。
重合性化合物としては、光硬化性エポキシ系モノマー、光硬化性(メタ)アクリル系モノマー、光硬化性ウレタン系モノマー等の光重合性モノマーや、光重合性モノマーに由来するオリゴマー等が挙げられる。
光重合開始剤としては、紫外線等の活性エネルギー線の照射により中性ラジカル、アニオンラジカル、カチオンラジカルのような活性種を発生する物質を含むものが挙げられる。重合性化合物および光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性接着剤として、光硬化性エポキシ系モノマーおよび光カチオン重合開始剤を含むものを好ましく用いることができる。
【0078】
<積層体の製造方法>
積層体の製造方法について図面を参照しながら説明する。図4において示される実施形態は、以下の工程を含む。
1)前面板11を準備する工程(図4(a))
2)前面板11に粘着剤層21を形成する工程(図4(b))
3)粘着剤層21の前面板11側とは反対側の面に偏光板12を貼合する工程(図4(c))
4)偏光板12の粘着剤11側とは反対側の面に粘着剤層22を形成し、粘着剤層22の偏光板12側とは反対側の面にタッチセンサパネル13を貼合する工程(図4(d))
5)タッチセンサパネル13の粘着剤層22側とは反対側の面に粘着剤層23を形成し、粘着剤層23のタッチセンサパネル13側とは反対側の面に有機EL表示素子14を貼合する工程(図4(e))
【0079】
粘着剤層と各光学部材とを貼合する際には、貼合面にコロナ処理、プラズマ処理等の処理を施すことができる。
【0080】
粘着剤層は、例えばトルエンや酢酸エチル等の有機溶剤に粘着剤組成物を溶解または分散させて粘着剤液を調製し、これを離型処理が施された剥離フィルムに粘着剤からなる層をシート状に形成しておき、その粘着剤層上にさらに別の剥離フィルムを貼合する方式により粘着シートを作製し、粘着シートから剥離フィルムを除去し、光学部材に貼合し、残りの剥離フィルムを除去することに形成することができる。
【0081】
<画像表示装置>
本発明に係る画像表示装置は、上記本発明に係る積層体を含む。画像表示装置は特に限定されず、例えば有機EL表示装置、無機EL表示装置、液晶表示装置、電界発光表示装置等の画像表示装置が挙げられる。画像表示装置はタッチパネル機能を有していてもよい。積層体は、屈曲又は折り曲げ等が可能な可撓性を有する画像表示装置に好適である。画像表示装置において、積層体が前面板を有する場合、積層体は、前面板を外側(画像表示素子側とは反対側、すなわち視認側)に向けて、画像表示装置の視認側に配置される。
【0082】
本発明に係る画像表示装置は、スマートフォン、タブレット等のモバイル機器、テレビ、デジタルフォトフレーム、電子看板、測定器や計器類、事務用機器、医療機器、電算機器等として用いることができる。本発明に係る画像表示装置は、優れたフレキシブル性を有するため、フレキシブルディスプレイ等に好適である。
【0083】
実施例および比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中の「%」及び「部」は、特記のない限り、質量%及び質量部である。試験及び測定は以下のようにして行った。
【実施例
【0084】
[フレキシブル性の評価]
屈曲評価設備(ユアサシステム製、面状体無負荷U字伸縮試験:DLDMLH-FS)を用いた。図5は、本評価試験の方法を模式的に示す図である。図5に示すように、個別に移動可能な二つの載置台501,502を、間隙Cが5.0mm(2.5R)となるように配置し、間隙Cの中心に幅方向の中心が位置するように積層体を固定して配置した(図5(a))。このとき、前面板が上方となるように積層体を配置した。そして、二つの載置台501,502を位置P1および位置P2を回転軸の中心として上方に90度回転させて、載置台の間隙Cに対応する積層体の領域に曲げの力を付加した(図5(b))。その後、二つの載置台501,502を元の位置に戻した(図5(a))。以上の一連の操作を完了して、曲げの力の付加回数を1回とカウントした。これを、室温において繰返し行った後、積層体の載置台501,502の間隙Cに対応する領域におけるクラックの発生の有無を確認した。載置台501,502の移動速度、曲げの力の付加のペース(90回/分)は、いずれの積層体に対する評価試験においても同一の条件とした。各積層体を屈曲した後の積層体についてそれぞれクラックが発生する屈曲回数をカウントした。
【0085】
[厚みの測定方法]
前記と同様の屈曲性試験において屈曲回数を1万回行ったときの積層体及びこの屈曲性試験を行う前の積層体の幅方向の中心(屈曲した箇所)を幅方向に垂直な方向にミクロトームによりスライスし、その断面を透過型電子顕微鏡(SU8010;株式会社堀場製作所)を用いて観察し、得られた観察像から各層の厚みを測定した。
【0086】
[単位屈曲回数当たりの厚み変化率]
上述の通り求めたフレキシブル性評価を行う前の粘着剤層の厚みT及び屈曲回数を1万回行ったときの粘着剤層の厚みTから下記式に従って単位屈曲回数当たりの厚みの変化率[%/万回]を求めた。
単位屈曲回数当たりの厚みの変化率[%/万回]=|T-T|/T×100
【0087】
[貯蔵弾性率の測定方法]
粘着剤層の温度25℃における貯蔵弾性率は、粘弾性測定装置(MCR-301、Anton Paar社)を使用して測定した。実施例および比較例で用いたものと同じ厚み25μmの粘着シートを幅30mm×長さ30mmに裁断した。剥離フィルムを剥がし、厚みが150μmとなるように複数枚積層してガラス板に接合後、測定チップと接着した状態で-20℃から100℃の温度領域で周波数1.0Hz、変形量1%、昇温速度5℃/分の条件下にて測定を行い、温度25℃における貯蔵弾性率を測定した。
【0088】
[リカバリーの測定方法]
リカバリーは、粘弾性測定装置(MCR-301、Anton Paar社)を使用して測定した。実施例および比較例で用いたものと同じ厚み25μmの粘着シートを幅20mm×長さ20mmに裁断して、剥離フィルムを剥がし、厚みが200μmとなるように複数枚積層してガラス板に接合した。測定チップと接着した状態で25℃の温度で、トルク1200μNmの荷重条件下にて測定を行い、1200秒におけるせん断変形量を測定した後、トルク0μNmの条件に変更して測定を持続して、1206秒におけるせん断変形量を測定した。これらの測定値に基づいて、リカバリーR[%]は以下の式から算出した。
[%]=(1200秒せん断変形量-1206秒せん断変形量)/1200秒せん断変形量×100
【0089】
<製造例1>
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応器に、アセトン81.8部、アクリル酸ブチル98.4部、及びアクリル酸0.6部、及びアクリル酸2-ヒドロキシエチル1.0部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら、内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.14部をアセトン10部に溶かした溶液を全量添加した。開始剤添加1時間後に、単量体を除くアクリル樹脂の濃度が35%になるよう、添加速度17.3部/hrでアセトンを連続的に反応器に添加しながら、内温54~56℃で12時間保温し、最後に酢酸エチルを添加して、アクリル樹脂の濃度が20%となるように調節した。得られたアクリル樹脂は、重量平均分子量Mwが1,650,000、Mw/Mnが4.3であった。
【0090】
<製造例2>
単量体組成をアクリル酸0.4部に変更したこと以外は、製造例1と同様にしてアクリル樹脂溶液を得た。得られたアクリル樹脂は、Mwが1,270,000、Mw/Mnが5.0であった。
【0091】
<製造例3>
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応器に、酢酸エチル100部、アクリル酸ブチル98.9部及びアクリル酸1.1部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら、アゾビスイソブチロニトリル0.2部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加し、内温を70℃に上げて6時間反応させ、さらに70℃に昇温して2時間反応させた。その後、酢酸エチル20部にアゾビスイソブチロニトリル0.4部を溶解させた溶液を1時間かけて滴下し、さらに酢酸エチルを添加してアクリル樹脂濃度が20%となるように調節した。得られたアクリル樹脂溶液の粘度は9.8Pa・sであり、このアクリル樹脂は重量平均分子量Mwが710,000、Mw/Mnが12.0であった。
【0092】
<製造例4>
単量体組成をアクリル酸0.6部に変更した以外は、製造例3と同様にしてアクリル樹脂溶液を得た。得られたアクリル樹脂は、重量平均分子量Mwが710,000、Mw/Mnが12であった。
【0093】
<製造例5>
単量体組成をアクリル酸0.5部に変更した以外は、製造例3と同様にしてアクリル樹脂溶液を得た。得られたアクリル樹脂は、重量平均分子量Mwが710,000、Mw/Mnが12であった。
【0094】
(1)粘着剤組成物の作製
<粘着剤組成物Aの調製>
アクリル樹脂[製造例1で得られたアクリル樹脂]の固形分100部に対し、ポリイソシアネート化合物[コロネートL:トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル溶液(固形分濃度75%)、日本ポリウレタン工業(株)から入手]0.5部、シラン化合物[KBM403、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)から入手]0.5部を混合した。全体固形分濃度が10%になるように酢酸エチルを添加して、粘着剤組成物Aを得た。
【0095】
<粘着剤組成物Bの調製>
アクリル樹脂を製造例2で得られたアクリル樹脂としたこと、およびポリイソシアネート化合物を0.4部としたこと以外は粘着剤組成物Aの調製と同様にして粘着剤組成物Bを得た。
【0096】
<粘着剤組成物Cの調製>
アクリル樹脂を製造例3で得られたアクリル樹脂としたこと、およびポリイソシアネート化合物を0.05部としたこと以外は粘着剤組成物Aの調製と同様にして粘着剤組成物Cを得た。
【0097】
<粘着剤組成物Dの調製>
アクリル樹脂を製造例4で得られたアクリル樹脂としたこと以外は粘着剤組成物Aの調製と同様にして粘着剤組成物Dを得た。
【0098】
<粘着剤組成物Eの調製>
アクリル樹脂を製造例5で得られたアクリル樹脂としたこと、およびポリイソシアネート化合物を0.03部としたこと以外は粘着剤組成物Aの調製と同様にして粘着剤組成物Eを得た。
【0099】
<粘着剤組成物Fの調製>
アクリル樹脂を製造例5で得られたアクリル樹脂としたこと、およびポリイソシアネート化合物を0.02部としたこと以外は粘着剤組成物Aの調製と同様にして粘着剤組成物Fを得た。
【0100】
(2)粘着シートの作製
粘着剤組成物Aを離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み38μm)の離型処理面に、アプリケータを利用して乾燥後の厚みが25μm又は5μmになるように塗布した。塗布層を100℃で1分間乾燥して、厚み25μm又は5μmmの粘着剤層Aを備えるフィルムを得た。その後、粘着剤層上に、離型処理された別のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み38μm)を貼合した。その後、温度23℃、相対湿度50%RHの条件で7日間養生させた。
このようにして、剥離フィルムA/粘着剤層A/剥離フィルムBからなる粘着シートAを作製した。
粘着剤組成物Aを粘着剤組成物B~Fに代えたこと以外はそれぞれ同様にして粘着シートB~Fを作製した。各粘着シートについて貯蔵弾性率及びリカバリーを測定した。結果を表1に示す。
【0101】
(3)偏光板の作製
トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(厚み25μm)上に光配向膜を形成した。二色性色素と重合性液晶化合物とを含む組成物を光配向膜に塗布し、配向、硬化させて厚み2μmの偏光子を得た。当該偏光子上にポリビニルアルコールと水とを含む樹脂組成物を、乾燥後の厚みが1.0μmとなるように塗工し、温度80℃で3分間乾燥してオーバーコート層を形成し、偏光板を得た。
【0102】
(4)光学部材
以下の光学部材を用いた。各光学部材の寸法は前面板と同じとした。
前面板:基材フィルム(ポリイミド系樹脂フィルム、厚み50μm)の両面にハードコート層(厚み10μm)が形成された前面板(厚み70μm、縦110mmm×横20mm)
偏光板:上述の偏光板(厚み約28μm)
位相差フィルム:液晶化合物が重合して硬化した層を含む位相差フィルム[厚さ11μm、層構成:液晶化合物が硬化した層及び配向膜からなるλ/4板(厚み3μm)/粘着剤層(厚み5μm)/液晶化合物が硬化した層及び配向膜からなるポジティブCプレート(厚み3μm)]
タッチセンサパネル:厚み33μm、層構成:タッチセンサパターン(ITOとアクリル系樹脂組成物の硬化層との積層体、厚み7μm)/接着剤層(厚み3μm)/環状オレフィン系樹脂フィルム(厚み23μm)
有機ELパネル:厚み38μm
【0103】
<実施例1>
前面板の粘着剤層との貼合面と、上述の厚み25μmの粘着剤層Aからなる第1粘着剤層の前面板との貼合面にコロナ処理を施した。そして、前面板と第1粘着剤層とを貼合して粘着剤層付前面板を得た。
【0104】
上述の偏光板のオーバーコート層の表面に厚み5μmの粘着剤層Aからなる第2粘着剤層を介して上述の位相差フィルムを貼合し、円偏光板(厚み43.5μm)を作製した。
【0105】
その後、粘着剤層付前面板と円偏光板とを、前面板の粘着剤層が形成されている面及び円偏光板のTAC側の面にコロナ処理を施した後にこれらの面が内側になるように積層して、ロール接合機を用いて貼合した。さらに、円偏光板における前面板が貼合された側とは反対側の表面に、上述の厚み25μmの粘着剤層Aからなる第3粘着剤層を介して、タッチセンサパネルを、環状オレフィン系樹脂フィルムが表層となるように積層した。
【0106】
次に環状オレフィン系樹脂フィルム側の面に上述の厚み25μmの粘着剤層Aからなる第4粘着剤層を介して、有機ELパネルを貼合した。得られた積層体についての評価結果を表2に示す。
【0107】
<実施例2>
実施例1において第1粘着剤層、第2粘着剤層、第3粘着剤層及び第4粘着剤層に粘着剤層Aを用いたことに代えて、第1粘着剤層、第2粘着剤層、第3粘着剤層及び第4粘着剤層に粘着剤層Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例2の積層体を作製した。得られた積層体についての評価結果を表2に示す。
【0108】
<実施例3>
実施例1において第1粘着剤層、第2粘着剤層、第3粘着剤層及び第4粘着剤層に粘着剤層Aを用いたことに代えて、第1粘着剤層、第2粘着剤層、第3粘着剤層及び第4粘着剤層に粘着剤層Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例3の積層体を作製した。得られた積層体についての評価結果を表2に示す。
【0109】
<実施例4>
実施例1において第1粘着剤層、第2粘着剤層、第3粘着剤層及び第4粘着剤層に粘着剤層Aを用いたことに代えて、第1粘着剤層、第3粘着剤層及び第4粘着剤層に粘着剤層Cを用いたこと、および第2粘着剤層に粘着剤層Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例4の積層体を作製した。得られた積層体についての評価結果を表2に示す。
【0110】
<実施例5>
実施例1において第1粘着剤層、第2粘着剤層、第3粘着剤層及び第4粘着剤層に粘着剤層Aを用いたことに代えて、第1粘着剤層、第2粘着剤層、第3粘着剤層及び第4粘着剤層に粘着剤層Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例5の積層体を作製した。得られた積層体についての評価結果を表2に示す。
【0111】
<実施例6>
実施例1において第1粘着剤層、第2粘着剤層、第3粘着剤層及び第4粘着剤層に粘着剤層Aを用いたことに代えて、第1粘着剤層、第2粘着剤層、第3粘着剤層及び第4粘着剤層に粘着剤層Eを用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例6の積層体を作製した。得られた積層体についての評価結果を表2に示す。
【0112】
<比較例1>
実施例1において第1粘着剤層、第2粘着剤層、第3粘着剤層及び第4粘着剤層に粘着剤層Aを用いたことに代えて、第1粘着剤層、第2粘着剤層、第3粘着剤層及び第4粘着剤層に粘着剤層Fを用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例1の積層体を作製した。得られた積層体についての評価結果を表2に示す。
【0113】
【表1】
【0114】
【表2】
【符号の説明】
【0115】
1,4,7,100 積層体、2,5,8 光学部材、3,6,9,21,22,23 粘着剤層、10 貼合層、11 前面板、12 偏光板、13 タッチセンサパネル、14 有機EL表示素子、501,502 載置台。
図1
図2
図3
図4
図5