(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】樹脂組成物の製造方法、および前記樹脂組成物を用いた成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20221129BHJP
C08L 1/00 20060101ALI20221129BHJP
C08K 7/02 20060101ALI20221129BHJP
C08K 5/00 20060101ALI20221129BHJP
C08L 33/08 20060101ALI20221129BHJP
C08L 33/10 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
C08L101/00
C08L1/00
C08K7/02
C08K5/00
C08L33/08
C08L33/10
(21)【出願番号】P 2018084011
(22)【出願日】2018-04-25
【審査請求日】2021-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 啓信
(72)【発明者】
【氏名】竹内 陽子
(72)【発明者】
【氏名】岡元 武男
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 豊
【審査官】吉田 早希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/170745(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/170746(WO,A1)
【文献】特開2019-065135(JP,A)
【文献】特開2017-210595(JP,A)
【文献】特開2014-162880(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141779(WO,A1)
【文献】特開2009-138024(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0048829(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08K 3/00 - 13/08
C08L 1/00 - 101/14
C08J 3/00 - 3/28
B29B 11/16
B29B 15/08 - 15/14
C08J 5/04 - 5/10
C08B 1/00 - 37/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂
、セルロース繊維
及び分散剤を含む混合物を、イオン液体の存在下で溶融混練することを含む、樹脂組成物の製造方法であって、
前記イオン液体の添加量が、セルロース繊維100質量部に対して、20質量部未満である
こと、
前記イオン液体が、芳香族カチオン、脂肪族カチオンからなる群から選択される陽イオンを有するイオン液体を含むこと、
前記イオン液体が、ハロゲン化物イオン、ボレートアニオン、カルボキシレートアニオン、スルホナートアニオン、スルフェートアニオン、スルホンイミドアニオン、ホスファートアニオン、ホスフェートアニオン、ホスホナートアニオン、ジシアナミドアニオン、チオシアナートアニオン、トリシアノメタニドアニオン、およびニトラートアニオンからなる群から選択される陰イオンを有するイオン液体を含むこと、
前記分散剤が、炭素数6~18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーおよびアミド基を有するアクリルモノマーを用いてなる共重合体である、製造方法。
【請求項2】
前記イオン液体の分子量が、400以下である、請求項1
に記載の製造方法。
【請求項3】
請求項1
または2記載の方法によって製造された樹脂組成物を成形することを含む、成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物の製造方法、および前記樹脂組成物を用いた成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セルロース繊維が有する軽量性および高強度の性能が着目され、セルロース繊維を熱可塑性樹脂に添加した樹脂組成物の検討が行われている。セルロース繊維を熱可塑性樹脂に添加した樹脂組成物は、高い機械的特性を示す。
【0003】
しかしながら、セルロース繊維は親水性を示すことから、疎水性を示す熱可塑性樹脂等への分散が難しいことが知られている。そこで、セルロース繊維を熱可塑性樹脂等へ分散させる方法が種々検討されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、セルロースが溶解したイオン性液体を用いて極性溶媒中にセルロースを再析出させて形成したセルロース結晶を含み、前記セルロース結晶のセルロースI型結晶成分の分率と、セルロースII型結晶成分の分率と、セルロース非結晶成分の分率との和が1であり、前記セルロースI型結晶成分の分率が0.4以上、前記セルロースII型結晶成分の分率が0.1以上であることを特徴とするセルロース/樹脂複合体に係る発明が記載されている。特許文献1には、前記セルロース/樹脂複合体によれば、樹脂中にセルロースを均一に分散できることが記載されている。
【0005】
なお、特許文献1には、前記セルロース/樹脂複合体の製造方法として、イオン性液体中にセルロースを溶解する工程と、樹脂微粒子を分散した極性溶媒中に、前記セルロースが溶解したイオン性液体を添加してセルロースを再析出する工程と、前記樹脂微粒子が分散し、セルロースが再析出した溶液をろ過,洗浄してセルロース/樹脂粉体を形成する工程と、前記セルロース/樹脂粉体を加熱、加圧して、樹脂を融解し、セルロース/樹脂複合体を形成する工程と、を有することを特徴とする発明が記載されている。
【0006】
また、特許文献1には、セルロースはイオン液体にセルロースが可溶なことが知られており、イオン液体に可溶化したセルロースをアルコールや水などのイオン液体を溶解することのできる極性液体に添加することによりイオン液体が極性溶媒に溶けると共に、アルコールや水等の液体に不溶なセルロースが再析出することが知られていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の方法によればセルロース繊維を樹脂に分散させることができる。しかしながら、セルロース繊維をイオン液体に溶解するため多量のイオン液体が必要となることから、コストが高く、工業的な生産には適さない。
【0009】
そこで、本発明は、製造コストに優れる樹脂組成物を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するべく、鋭意検討を行った。その結果、熱可塑性樹脂中でセルロース繊維を溶融混練する際に、所定量のイオン液体を併用することで、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、熱可塑性樹脂およびセルロース繊維を含む混合物を、イオン液体の存在下で溶融混練することを含む、樹脂組成物の製造方法であって、前記イオン液体の添加量が、セルロース繊維100質量部に対して、20質量部未満である、製造方法に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、製造コストに優れる樹脂組成物を製造する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0014】
<樹脂組成物の製造方法>
本形態に係る樹脂組成物の製造方法は、熱可塑性樹脂およびセルロース繊維を含む混合物を、イオン液体の存在下で溶融混練することを含む。この際、前記イオン液体の添加量が、セルロース繊維100質量部に対して、20質量部未満である。
【0015】
前記製造方法は、溶融混練の過程でセルロース繊維の少なくとも一部を解繊しつつ、セルロース繊維および/またはその解繊物を熱可塑性樹脂中に分散させるものである(すなわち、溶融混練の過程で、セルロース繊維の解繊および分散が同時に生じうる)。この場合において、所定量のイオン液体を併用すると、驚くべきことに、セルロース繊維の解繊および分散が好適に進行する。その結果、熱可塑性樹脂中にセルロース繊維が好適に解繊、分散した樹脂組成物を得ることができる。
【0016】
前記効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、例えば以下のメカニズムによるものと考えられる。すなわち、イオン液体は、熱可塑性樹脂中のセルロース繊維と相互作用することでセルロース繊維の少なくとも一部を膨潤させる。そして、当該膨潤したセルロース繊維は溶融混練の際に加わる力による解繊および分散が容易に進行しうる。その結果、熱可塑性樹脂中でセルロース繊維を好適に解繊、分散させることができる。なお、上記効果が得られるメカニズムはあくまで推測であり、上記メカニズム以外のメカニズムによって上記効果が得られる場合であっても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0017】
上記製造方法によれば、溶融混練の過程で解繊、分散を行うため、セルロースの溶解、再析出といった工程が不要であり、製造コストに優れる。また、イオン液体の添加量が少量であるため、製造コストに優れる。
【0018】
[混合物]
混合物は、熱可塑性樹脂およびセルロース繊維を含む。
【0019】
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂とは、ガラス転移温度(Tg)または融点で軟化する樹脂を意味する。
【0020】
熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、ポリエチレン(PE)樹脂(高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)、無水マレイン酸変性ポリエチレン等)、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂(ポリ塩化ビニリデン等)、ポリスチレン(PS)樹脂(ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン樹脂等)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)樹脂、ポリウレタン(PU)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル-スチレン(AS)樹脂、アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等)、ポリアミド樹脂(ナイロン等)、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等)、ポリカーボネート(PC)樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)樹脂、ジアセチルセルロース(DAC)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリサルフォン(PSF)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリケトン樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
上述のうち、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂を用いることが好ましく、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリアミド樹脂を用いることがより好ましい。
【0022】
熱可塑性樹脂の含有率は、熱可塑性樹脂およびセルロース繊維の総質量に対して、50~99質量%であることが好ましく、60~95質量%であることがより好ましい。熱可塑性樹脂の含有率が50質量%以上であると、得られる樹脂組成物を加熱溶融することによって好適に各種形状へ成形できることから好ましい。一方、熱可塑性樹脂の含有率が99質量%以下であると、得られる樹脂組成物を補強することにより高い機械的特性を付与出来ることから好ましい。
【0023】
(セルロース繊維)
セルロース繊維とは、セルロースが繊維状の形状を有する材料である。なお、本明細書において、「セルロース繊維」とは、セルロース繊維の幅が100μm以下の繊維状のものを意味する。
【0024】
セルロース繊維の幅は、上記の通り、100μm以下であり、好ましくは75μm以下であり、より好ましくは4nm~50μmであり、さらに好ましくは4nm~25μmである。セルロース繊維の幅が100μm以下であると、複合効果が現れ補強効果を高くできることから好ましい。なお、本明細書において、「セルロース繊維の幅」は、以下の方法により測定された値を採用するものとする。すなわち、セルロース繊維を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、1視野中に20本以上のセルロース繊維が交差する直線を設ける。そして、前記直線上に交差されたすべてのセルロース繊維について、観察画面内で最も数値が小さくなる2点間の距離を測定し、その平均値をセルロース繊維の幅とする。
【0025】
また、セルロース繊維の繊維長は、100nm以上であることが好ましく、500nm~10000μmであることがより好ましく、1~1000μmであることがさらに好ましい。セルロース繊維の繊維長が100nm以上であると、複合効果により補強効果を高くできることから好ましい。なお、本明細書において、「セルロース繊維の繊維長」は、以下の方法により測定された値を採用するものとする。すなわち、セルロース繊維を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、25視野を合成し、その中に始点と終点が観察されるセルロース繊維を20本選び、最も数値が大きくなる2点間の距離をそれぞれ測定し、その平均値をセルロース繊維の繊維長とする。
【0026】
そして、セルロース繊維のアスペクト比は、30以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましく、50~20,000であることがさらに好ましく、100~2,000であることが特に好ましい。セルロース繊維のアスペクト比が30以上であると、高い機械的特性が得られうることから好ましい。なお、本明細書において、「アスペクト比」とは、セルロース繊維の幅に対するセルロース繊維の繊維長(セルロース繊維の繊維長/セルロース繊維の幅)を意味する。
【0027】
セルロース繊維としては、特に制限はなく、公知のものが用いられる。
【0028】
一実施形態において、セルロース繊維としては、パルプおよび合成繊維、並びにこれらを解繊したもの(解繊物)等が挙げられる。なお、パルプおよび合成繊維の「セルロース繊維の幅」は通常10μm以上、好ましくは10~50μm、より好ましくは20~30μmである。また、前記解繊物の「セルロース繊維の幅」は通常10μm未満であり、好ましくは50nm~5μmである。
【0029】
前記パルプは、モミ、マツ等を用いた針葉樹パルプ、ユーカリ、ポプラ等を用いた広葉樹パルプ等の木材パルプ;ワラパルプ、ケナフパルプ、バガスパルプ、バンブーパルプ、ヨシパルプ、クワパルプ、コットンリンターパルプ等の非木材パルプ;古紙等を脱墨等して得られる古紙パルプ等が挙げられる。
【0030】
前記合成繊維としては、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル、セロハン等が挙げられる。
【0031】
この際、前記パルプおよび前記合成繊維は漂白処理をされたものであってよいし(晒パルプ等)、漂白処理されていないものであってもよい(未晒パルプ等)。
【0032】
上述のパルプおよび合成繊維うち、パルプであることが好ましく、木材パルプであることがより好ましく、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹酸素漂白クラフトパルプ(NOKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹酸素漂白クラフトパルプ(LOKP)であることがさらに好ましく、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹酸素漂白クラフトパルプ(NOKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)であることが特に好ましい。
【0033】
前記解繊物としては、特に制限されず、セルロースミクロフィブリル、セルロースナノファイバー(CNF)、セルロースナノクリスタル(CNC)等が挙げられる。
【0034】
なお、前記混合物に含有される解繊物は、通常、事前に別途解繊処理を行って調製する。この際、前記解繊処理は、機械的処理によって行ってもよいし、化学的処理によって行ってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。機械的処理により解繊物を得る方法としては、高圧ホモジナイザー法、水中対向衝突法、グラインダー法、ボールミル法等が挙げられる。また、化学的処理により解繊物を得る方法としては、TEMPO触媒酸化法等が挙げられる。さらに、樹脂組成物を製造する際(例えば、溶融混練をする際)に加わる力を利用して解繊してもよい。
【0035】
これらの解繊物は、単独で適用しても、2種以上を組み合わせて適用してもよい。
【0036】
また、セルロース繊維は、ヘミセルロース、リグニン等を含んでいてもよい。
【0037】
前記ヘミセルロースの含有率は、セルロース繊維の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。なお、本明細書において、「ヘミセルロースの含有率」は、デタージェント分析法により測定された値を用いて算出するものとする。
【0038】
前記リグニンの含有率としては、セルロース繊維の全質量に対して、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。なお、本明細書において、「リグニンの含有率」は、Klason法により測定された値を用いて算出するものとする。
【0039】
上述セルロース繊維は、未変性のものであってもよいが、変性されていてもよい。
【0040】
「セルロース繊維が変性されている」とは、セルロースを構成するβ-グルコース分子のC2位、C3位、およびC6位のヒドロキシ基(-OH)の少なくとも1つがアシル基(-COR)で修飾され、エステル結合(-OCOR)を生じたものを意味する。この際、アシル基は、β-グルコース単位のC2位、C3位、およびC6位に平均的に置換していてもよいし、分布をもって置換していてもよい。
【0041】
前記Rとしては、特に制限されないが、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換または非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素数2~20のアルキル基、置換または非置換の炭素数6~20の芳香族基等が挙げられる。
【0042】
炭素数1~20のアルキル基としては、特に制限されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等が挙げられる。
【0043】
炭素数2~20のアルケニル基としては、特に制限されないが、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基、1-メチル-2-プロピル-3-ヘキセニル基等が挙げられる。
【0044】
炭素数2~20のアルキニル基としては、特に制限されないが、エチニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基等が挙げられる。
【0045】
前記炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基は置換基を有していてもよい。当該置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基(-NHR’2)、ジアルキルアミノ基(-NR’2)、トリアルキルアンモニウム基(-NR’3
+)、ニトロ基、チオール基等が挙げられる。この際、前記R’は、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数2~10のアルキニル基が挙げられる。これらの置換基は単独で有していても、2以上有していてもよい。
【0046】
炭素数6~20の芳香族基としては、特に制限されないが、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ペンタレニル基、インデニル基、インダセニル基、ビフェニレニル基、アセナフチレニル基、フェナレニル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリル基、ピラゾリジニル基、チアゾリル基、チアゾリジニル基、イソチアゾリル基、イソチアゾリジニル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、イソオキサゾリル基、イソオキサゾリジニル基、フラザニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、キノリル基、カルバゾリル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基、アンチリジニル基等が挙げられる。
【0047】
前記炭素数6~20の芳香族基の置換基としては、特に制限されないが、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基(-NHR’2)、ジアルキルアミノ基(-NR’2)、トリアルキルアンモニウム基(-NR’3
+)、ニトロ基、チオール基等が挙げられる。これらの置換基は単独で有していても、2以上有していてもよい。
【0048】
上述のうち、Rとしては、メチル基、1-カルボキシメチル-2-プロピル-3-ヘキセニル基、2-カルボキシ-3-プロピル-4-ヘプテニル基、1-カルボキシメチル-3-トリデケニル基、2-カルボキシ-4-テトラデケニル基、1-カルボキシメチル-2-ヘプタデケニル基、2-カルボキシ-3-オクタデケニル基が好ましい。
【0049】
なお、セルロース繊維が変性される場合において、セルロース繊維がヘミセルロース、リグニンを含む場合、前記ヘミセルロース、リグニンの有するヒドロキシ基の少なくとも1つが変性されることがある。
【0050】
なお、セルロース繊維が上述のRを複数有する場合には、それぞれのRは同一のものであっても、異なるものであってもよい。
【0051】
上述のセルロース繊維の変性は、公知の化合物を用いて行うことができる。例えば、Rがメチル基である場合(セルロース繊維のヒドロキシ基をアセチル基で変性することにより、メチルカルボニルオキシ基(-OCOCH3)とする場合)、酢酸、無水酢酸等を用いることによってセルロース繊維の変性を行うことができる。また、Rがアルケニル基である場合、アルケニルカルボン酸を用いることによってセルロース繊維の変性を行うことができる。さらに、Rがカルボキシ基を置換基として有するアルケニル基である場合、アルケニルコハク酸無水物、アルケニルジカルボン酸等を用いることによってセルロース繊維の変性を行うことができる。
【0052】
セルロース繊維が変性されている場合の置換度としては、0.05~2.0であることが好ましく、0.1~1.0であることがより好ましく、0.1~0.8であることがさらに好ましい。置換度が0.05以上であると、セルロース繊維が好適に樹脂に分散しうることから好ましい。一方、置換度が2.0以下であると、セルロース繊維の強度が維持され、高い機械特性を実現できることから好ましい。なお、本明細書において、「置換度」とは、β-グルコース単位あたりの水酸基の置換の程度の平均数を示し、下記式により算出されるものを意味する。
【0053】
置換度=3-DS
【0054】
この際、「DS」とは、β-グルコース単位あたりに有する水酸基の数を意味し、下記式により測定することができる。
【0055】
DS=0.0113X-0.0122
【0056】
上記式において、Xは、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いて赤外分光法(IR)にて測定される赤外吸収スペクトルの1733cm-1付近のエステル基のカルボニル(C=O)の吸収ピーク面積である。なお、前記DSはセルロースの変性の反応時において逐次測定をすることができるため、反応の追跡に利用することができる。
【0057】
具体例を挙げると、β-グルコースのC2位、C3位、およびC6位の水酸基がすべてアシル基で置換されている場合には、当該置換度(最大値)は3.0となる。
【0058】
一実施形態において、セルロース繊維は、パルプ、合成繊維であることが好ましく、パルプであることがより好ましい。
【0059】
また、一実施形態において、セルロース繊維は、未変性セルロース、部分変性セルロース(置換度が2以下、好ましくは0.1~1のもの)であることが好ましい。
【0060】
なお、上述のセルロース繊維は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
セルロース繊維の含有率としては、熱可塑性樹脂およびセルロース繊維の総質量に対して、0.1~50質量%であることが好ましく、0.1~30質量%であることがより好ましく、0.5~25質量%であることがさらに好ましい。セルロース繊維の含有率が0.1質量%以上であると、高い機械特性が得られうることから好ましい。一方、セルロース繊維の含有率が50質量%以下であると、溶融粘度を低くすることができ、取扱い性に優れることから好ましい。
【0062】
(分散剤)
混合物は、分散剤をさらに含んでいてもよい。当該分散剤は、熱可塑性樹脂中にセルロース繊維を好適に分散させる機能を有する。
【0063】
分散剤としては、特に制限されないが、ヒドロキシ基、カルボキシ基、第4級アンモニウム基、リン酸基、およびスルホン酸基、並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つの親水性基を含む親水性基含有化合物、グリコールエーテル化合物、前記親水性基含有化合物または前記グリコールエーテル化合物の単独重合体、前記親水性基含有化合物および前記グリコールエーテル化合物の少なくとも1つ並びに/または疎水性化合物を含む第1の共重合体、炭素数6~18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーおよびアミド基を有するアクリルモノマー、並びに/または他のモノマーの第2の共重合体、コリン化合物等が挙げられる。
【0064】
親水性基含有化合物としては、特に制限されないが、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有化合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ポリオキシエチレンメチルエーテルカルボン酸、N-アシルグルタミン酸等のカルボキシ基含有化合物;ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ミリスチルトリメチルアンモニウム、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルのベンジル化物、[2-{(メタ)アクリロイルオキシ}エチル]トリメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム基含有化合物;リン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸、メタリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、ホスホン酸等のリン酸基含有化合物;ドデシル硫酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ジメチルスルホコハク酸等のスルホン酸基含有化合物等が挙げられる。
【0065】
この際、前記親水性基含有化合物が塩である場合、その塩の対イオンは、特に制限されないが、陰イオンである場合は、ハロゲン化イオン(フッ化イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化イオン)等であることが好ましい。他方、陽イオンである場合は、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩)、第2族元素の塩(カルシウム塩、マグネシウム塩)等であることが好ましい。
【0066】
グリコールエーテル化合物としては、上述の親水性基含有化合物以外のものであれば特に制限されないが、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチルエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコールメタクリレート等が挙げられる。
【0067】
前記単独重合体としては、特に制限されないが、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリリン酸、ポリスチレンスルホン酸、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0068】
前記第1の共重合体に使用されうる前記親水性基含有化合物および前記グリコールエーテル化合物は上述したものが用いられる。この際、前記親水性基含有化合物および前記グリコールエーテル化合物は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
前記第1の共重合体に使用されうる疎水性化合物としては、特に制限されないが、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸カプリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸リノレル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン等のスチレン系モノマー等が挙げられる。前記疎水性化合物は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
前記第1の共重合体の具体例としては、ヒドロキシ基含有化合物と(メタ)アクリル系モノマーとの共重合体、カルボキシ基含有化合物と(メタ)アクリル系モノマーとの共重合体、第4級アンモニウム基含有化合物と(メタ)アクリル系モノマーとの共重合体等が挙げられる。より具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸メチルとの共重合体、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸ラウリルとの共重合体、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸シクロヘキシルとの共重合体、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシルとの共重合体、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸イソボニルとの共重合体、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルとの共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸メチルとの共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸ラウリルとの共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸シクロヘキシルとの共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシルとの共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸イソボニルとの共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸との共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルとの共重合体、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルのベンジル化物と(メタ)アクリル酸メチルとの共重合体、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルのベンジル化物と(メタ)アクリル酸ラウリルとの共重合体、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルのベンジル化物と(メタ)アクリル酸シクロヘキシルとの共重合体、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルのベンジル化物と(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシルとの共重合体、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルのベンジル化物と(メタ)アクリル酸イソボニルとの共重合体、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルのベンジル化物と(メタ)アクリル酸との共重合体、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルのベンジル化物と(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルとの共重合体、[2-{(メタ)アクリロイルオキシ}エチル]トリメチルアンモニウムと(メタ)アクリル酸メチルとの共重合体、[2-{(メタ)アクリロイルオキシ}エチル]トリメチルアンモニウムと(メタ)アクリル酸ラウリルとの共重合体、[2-{(メタ)アクリロイルオキシ}エチル]トリメチルアンモニウムと(メタ)アクリル酸シクロヘキシルとの共重合体、[2-{(メタ)アクリロイルオキシ}エチル]トリメチルアンモニウムと(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシルとの共重合体、[2-{(メタ)アクリロイルオキシ}エチル]トリメチルアンモニウムと(メタ)アクリル酸イソボニルとの共重合体、[2-{(メタ)アクリロイルオキシ}エチル]トリメチルアンモニウムと(メタ)アクリル酸との共重合体、[2-{(メタ)アクリロイルオキシ}エチル]トリメチルアンモニウムと(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルとの共重合体等が挙げられる。この際、前記共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいが、ランダム共重合体、ブロック共重合体であることが好ましい。なお、前記疎水性化合物は、共重合により分散剤に組み込むことで分散剤の疎水性を高めることができ、熱可塑性樹脂との親和性をより向上させることができる。
【0071】
前記第2の共重合体に使用されうる炭素数6~18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、特に制限されないが、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの炭素数6~18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
前記第2の共重合体に使用されうるアミド基を有するアクリルモノマーとしては、特に制限されないが、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ドデシルアクリルアミド、N-プロポキシメチルアクリルアミド、6-(メタ)アクリルアミドヘキサン酸、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-[2,2-ジメチル-3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド等が挙げられる。これらのアミド基を有するアクリルモノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
前記第2の共重合体に使用されうる他のモノマーとしては、特に制限されないが、前記親水性基含有化合物、前記グリコールエーテル化合物、(メタ)アクリル酸2-メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、γ―メタクリロキシプロピルトリメトシキシラン、ビニルトリエトキシシラン、グリシジル(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらの他のモノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0074】
前記第2の共重合体の具体例としては、ヘキシル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリルアミドとの共重合体ヘキシル(メタ)アクリレートとN-メチル(メタ)アクリルアミドとの共重合体、ヘキシル(メタ)アクリレートとN,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドとの共重合体、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリルアミドとの共重合体、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートとN-メチル(メタ)アクリルアミドとの共重合体、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートとN,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドとの共重合体、ラウリル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリルアミドとの共重合体、ラウリル(メタ)アクリレートとN-メチル(メタ)アクリルアミドとの共重合体、ラウリル(メタ)アクリレートとN,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドとの共重合体、ラウリル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸との共重合体、ラウリル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸メチルとの共重合体等が挙げられる。なお、第2の共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいが、ランダム共重合体、ブロック共重合体であることが好ましい。
【0075】
前記コリン化合物としては、特に制限されないが、2-(メタ)アクリロイルオキシメチルホスホリルコリン、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2-(メタ)アクリロイルオキシメチルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、2-(メタ)アクリロイルオキシメチルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体、2-(メタ)アクリロイルオキシメチルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸プロピル共重合体、2-(メタ)アクリロイルオキシメチルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、2-(メタ)アクリロイルオキシメチルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸カプリル共重合体、2-(メタ)アクリロイルオキシメチルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸ラウリル共重合体、2-(メタ)アクリロイルオキシメチルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸ミリスチル共重合体、2-(メタ)アクリロイルオキシメチルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸ステアリル共重合体、2-(メタ)アクリロイルオキシメチルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸オレイル共重合体、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸プロピル共重合体、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸カプリル共重合体、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸ラウリル共重合体、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸ミリスチル共重合体、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸ステアリル共重合体、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン-(メタ)アクリル酸オレイル共重合体等が挙げられる。
【0076】
上述のうち、分散剤は、第1の共重合体、第2の共重合体、コリン化合物であることが好ましく、第2の共重合体であることがより好ましく、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミドとを含む共重合体であることがさらに好ましく、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミドを含む共重合体であることが特に好ましい。
【0077】
分散剤の添加量は、前記セルロース繊維100質量部に対して、1~200質量部であることが好ましく、10~150質量部であることがより好ましく、20~100質量部であることがさらに好ましい。分散剤の添加量が1質量部以上であると、セルロース繊維をより微分散できることから好ましい。一方、分散剤の添加量が200質量部以下であると、熱劣化やブリードアウトによる樹脂組成物の性能低下が抑制できることから好ましい。
【0078】
(溶媒)
一実施形態において、混合物は、溶媒を含んでいてもよい。
【0079】
前記溶媒としては、特に制限されないが、水、有機溶媒が挙げられる。
【0080】
前記有機溶媒としては、特に制限されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類;イソプロピルアルコール、ブタノール、セロソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類等が挙げられる。これらのうち、前記有機溶媒としては、アルコール、ケトン類を用いることが好ましく、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトンを用いることがより好ましい。なお、これらの有機溶媒は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0081】
溶媒の含有量としては、混合物の固形分質量100部に対して、1000部以下であることが好ましく、200部以下であることがより好ましい。なお、本明細書において、「混合物の固形分」とは、混合物中の溶媒を除いた成分の総質量を意味する。したがって、混合物が溶媒を含まない場合には、組成物の全質量が固形分となる。
【0082】
(添加剤)
一実施形態において、混合物は添加剤を含んでいてもよい。
【0083】
前記添加剤としては、特に制限されないが、尿素、尿素誘導体、糖、糖アルコール、有機酸、有機酸塩等の解繊助剤;前記解繊助剤の分解物;タルク、マイカ、スクメタイト、黒鉛、グラフェン等のフィラー;リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等の難燃剤;可塑剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;光安定化剤;帯電防止剤;導電性付与剤;応力緩和剤;離型剤;結晶化促進剤;加水分解抑制剤;潤滑剤;衝撃付与剤;摺動性改良剤;核剤;強化剤;補強剤;流動調整剤;染料;増感材;着色用顔料;ゴム質重合体;増粘剤;沈降防止剤;タレ防止剤;消泡剤;カップリング剤;防錆剤;抗菌・防カビ剤;防汚剤;導電性高分子等が挙げられる。これらの添加剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0084】
[イオン液体]
イオン液体は、熱可塑性樹脂中において、セルロース繊維を解繊、分散させやすくする機能を有する。なお、本明細書において、「イオン液体」とは、100℃以下において液体で存在し、陽イオンおよび陰イオンを基本的構成要素とする塩を意味する。
【0085】
イオン液体の陽イオンとしては、特に制限されないが、芳香族カチオン、脂肪族カチオンが挙げられる。すなわち、一実施形態において、イオン液体は、芳香族カチオン、脂肪族カチオンからなる群から選択される陽イオンを有するイオン液体を含む。
【0086】
芳香族カチオンとしては、特に制限されないが、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、芳香族アンモニウムカチオン、芳香族スルホニウムカチオン等が挙げられる。
【0087】
前記ピリジニウムカチオンとしては、1-メチルピリジニウムカチオン、1-エチルピリジニウムカチオン、1-プロピルピリジニウムカチオン、3-メチル-1-プロピルピリジニウムカチオン、1-ブチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-4-メチルピリジニウムカチオン、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウムカチオン等が挙げられる。
【0088】
前記イミダゾリウムカチオンとしては、1-メチルイミダゾリウムカチオン、1,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウムカチオン、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウムカチオン、1,3-ビス(3-シアノプロピル)イミダゾリウムカチオン、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1,3-ジヒドロキシイミダゾリウムカチオン、1,3-ジメトキシイミダゾリウムカチオン、1,3-ジメトキシ-2-メチルイミダゾリウムカチオン、1-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-メチル-3-(4-スルホブチル)イミダゾリウムカチオン、1-ビニルイミダゾリウムカチオン等が挙げられる。
【0089】
前記芳香族アンモニウムカチオンとしては、ベンジルエチルジメチルアンモニウムカチオン、エチルジメチル(2-フェニルエチル)アンモニウムカチオン、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムカチオン等が挙げられる。
【0090】
前記芳香族スルホニウムカチオンとしては、シクロプロピルジフェニルスルホニウムカチオン等が挙げられる。
【0091】
また、脂肪族カチオンとしては、特に制限されないが、脂肪族アンモニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、脂肪族スルホニウムカチオン、コリンカチオン等が挙げられる。
【0092】
前記脂肪族アンモニウムカチオンとしては、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラプロピルアンモニウムカチオン、トリメチルプロピルアンモニウムカチオン、エチルジメチルプロピルアンモニウムカチオン、ジエチルメチルプロピルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、ブチルトリメチルアンモニウムカチオン、トリブチルメチルアンモニウムカチオン、テトラペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルペンチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、テトラオクチルアンモニウムカチオン、メチルトリオクチルアンモニウムカチオン、テトラデシルアンモニウムカチオン、テトラドデシルアンモニウムカチオン、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムカチオン、ジメチル(2-メトキシエチル)メチルアンモニウムカチオン、エチル(2-メトキシエチル)ジメチルアンモニウムカチオン、エチル(3-メトキシプロピル)ジメチルアンモニウムカチオン、トリス(2-ヒドロキエチル)メチルアンモニウムカチオン、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムカチオン等が挙げられる。
【0093】
前記ピロリジニウムカチオンとしては、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムカチオン、1-エチル-1-メチルピロリジニウムカチオン、1-アリル-1-メチルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムカチオン、1-(2-メトキシエチル)-1-メチルピロリジニウムカチオン等が挙げられる。
【0094】
前記ピペリジニウムカチオンとしては、1-ブチル-1-メチルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムカチオン等が挙げられる。
【0095】
前記モルホリニウムカチオンとしては、4-エチル-4-メチルモルホリニウムカチオン等が挙げられる。
【0096】
前記ホスホニウムカチオンとしては、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、トリブチルメチルホスホニウムカチオン、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムカチオン等が挙げられる。
【0097】
前記脂肪族スルホニウムカチオンとしては、トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン等が挙げられる。
【0098】
前記コリンカチオンとしては、コリンカチオン、アセチルコリンカチオン、フルオロコリンカチオン、クロロコリンカチオン等が挙げられる。
【0099】
上述のうち、イオン液体の陽イオンとしては、芳香族カチオンであることが好ましく、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンであることがより好ましく、イミダゾリウムカチオンであることがさらに好ましく、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムカチオンであることが特に好ましい。
【0100】
また、イオン液体の陰イオンとしては、特に制限されないが、ハロゲン化物イオン、ボレートアニオン、カルボキシレートアニオン、スルホナートアニオン、スルフェートアニオン、スルホンイミドアニオン、ホスファートアニオン、ホスフェートアニオン、ホスホナートアニオン、ジシアナミドアニオン((NC)2N-)、チオシアナートアニオン(SCN-)、トリシアノメタニドアニオン(C(CN)3
-)、およびニトラートアニオン(NO3
-)等が挙げられる。すなわち、一実施形態において、イオン液体は、ハロゲン化物イオン、ボレートアニオン、カルボキシレートアニオン、スルホナートアニオン、スルフェートアニオン、スルホンイミドアニオン、ホスファートアニオン、ホスフェートアニオン、ホスホナートアニオン、ジシアナミドアニオン、チオシアナートアニオン、トリシアノメタニドアニオン、およびニトラートアニオンからなる群から選択される陰イオンを有するイオン液体を含む。
【0101】
前記ハロゲン化物イオンとしては、塩化物イオン(Cl-)、臭化物イオン(Br-)、ヨウ化物イオン(I-)、三臭化物イオン(Br3
-)、三ヨウ化物イオン(I3
-)等が挙げられる。
【0102】
前記ボレートアニオンとしては、テトラフルオロボレートアニオン(BF4
-)、トリフルオロ(トリフルオロメチル)ボレートアニオン(CF3BF3
-)等が挙げられる。
【0103】
前記カルボキシレートアニオンとしては、ギ酸アニオン(HCOO-)、酢酸アニオン(CH3COO-)、トリフルオロ酢酸アニオン(CF3COO-)、乳酸アニオン(CH3CH(OH)COO-)、チオサリチル酸アニオン(HS-C6H4-COO-)等が挙げられる。
【0104】
前記スルホナートアニオンとしては、メタンスルホナートアニオン(CH3SO3
-)、トリフルオロメタンスルホナートアニオン(CF3SO3
-)、p-トルエンスルホナートアニオン(CH3-C6H4-SO3
-)等が挙げられる。
【0105】
前記スルフェートアニオンとしては、メチルスルフェートアニオン(CH3SO4
-)、エチルスルフェートアニオン(C2H5SO4
-)等が挙げられる。
【0106】
前記スルホンイミドアニオンとしては、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン((CF3SO2)2N-)、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン((FSO2)2N-)等が挙げられる。
【0107】
前記ホスファートアニオンとしては、ヘキサフルオロホスファートアニオン(PF6
-)等が挙げられる。
【0108】
前記ホスフェートアニオンとしては、ジメチルホスフェート((CH3O)2P(=O)O-)、ジエチルホスフェートアニオン((C2H5O)2P(=O)O-)、ジブチルホスフェートアニオン((C4H9O)2P(=O)O-)等が挙げられる。
【0109】
前記ホスホナートアニオンとしては、メチルホスホナートアニオン(H-P(=O)(-OCH3)-O-)、エチルホスホナートアニオン(H-P(=O)(-OC2H5)-O-)、ブチルホスホナートアニオン(H-P(=O)(-OC4H9)-O-)等が挙げられる。
【0110】
上述のうち、イオン液体の陰イオンとしては、ハロゲン化物イオン、ボレートアニオン、スルホナートアニオン、スルフェートアニオン、スルホンイミドアニオン、ホスファートアニオン、ホスフェートアニオン、ホスホナートアニオンであることが好ましく、ハロゲン化物イオン、ボレートアニオン、ホスホナートアニオンであることがより好ましく、ハロゲン化物イオンであることがさらに好ましく、塩化物イオンであることが特に好ましい。
【0111】
なお、イオン液体は、融点を下げる等の目的で、中性分子を含んでいてもよい。当該中性分子としては、特に制限されないが、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ヘキサンジオール、レゾルシノール、グリセリン、トリエチレングリコール、イソソルビド、レブリン酸、安息香酸、フェニル酢酸、3-フェニルプロピオン酸、ケイ皮酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、イタコン酸、1,2,3-プロパントリカルボン酸、酒石酸、乳酸、アスコルビン酸、クエン酸、4-ヒドロキシ安息香酸、コーヒー酸、クマル酸、没食子酸、ブドウ糖、ショ糖、キシロース、キシリトール、ソルビトール、尿素、チオ尿素、1-メチル尿素、1,3-ジメチル尿素、1,1-ジメチル尿素、アセトアミド、ベンズアミド、2,2,2-トリフルオロアセトアミド、イミダゾール等が挙げられる。これらのうち、中性分子としては、エチレングリコール、グリセリン、安息香酸、尿素であることが好ましい。
【0112】
イオン液体は、上述の陽イオンおよび陰イオンを組み合わせてなるものであり、特に制限はない。具体的なイオン液体としては、例えば、1-ブチルピリジニウムクロリド、1-ブチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-3-メチルピリジニウムクロリド、1-ブチル-3-メチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-3-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-4-メチルピリジニウムクロリド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムブロミド、1,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ジメチルイミダゾリウムブロミド、1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルスルフェート、1,3-ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,3-ジメチルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムエチルスルフェート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルホスホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ベンジルエチルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、エチルジメチル(2-フェニルエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、シクロプロピルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラペンチルアンモニウムクロリド、テトラペンチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムクロリド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、ジメチル(2-メトキシエチル)メチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムクロリド、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムブロミド、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-ブチル-1-メチルピペリジニウムブロミド、1-ブチル-1-メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムブロミド、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4-エチル-4-メチルモルホリニウムブロミド、トリエチルメチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムクロリド、トリメチルスルホニウムヨージド、トリブチルスルホニウムヨージド、塩化コリン、塩化アセチルコリン、塩化クロロコリン、臭化フルオロコリン、コリン酢酸、ギ酸コリン、プロピオン酸コリン等が挙げられる。
【0113】
また、イオン液体は、陽イオンおよび陰イオンと、中性分子との混合物であってもよい。当該イオン液体としては、塩化コリンおよびエチレングリコールの混合物、塩化コリンおよびグリセリンの混合物、塩化コリンおよび尿素の混合物、塩化テトラメチルアンモニウムおよびエチレングリコールの混合物、塩化テトラメチルアンモニウムおよびグリセリンの混合物、塩化テトラメチルアンモニウムおよび尿素の混合物、塩化テトラブチルアンモニウムおよびエチレングリコールの混合物、塩化テトラブチルアンモニウムおよびグリセリンの混合物、塩化テトラブチルアンモニウムおよび尿素の混合物等が挙げられる。
【0114】
これらのうち、イオン液体は、1-ブチルピリジニウムクロリド、1-ブチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-3-メチルピリジニウムクロリド、1-ブチル-3-メチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-3-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-4-メチルピリジニウムクロリド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムブロミド、1,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ジメチルイミダゾリウムブロミド、1,3-ジメチルイミダゾリウムメチルスルフェート、1,3-ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,3-ジメチルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムエチルスルフェート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルホスホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドであることが好ましく、1-ブチルピリジニウムクロリド、1-ブチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-3-メチルピリジニウムクロリド、1-ブチル-3-メチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-4-メチルピリジニウムクロリド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムブロミド、1,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ジメチルイミダゾリウムブロミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルホスホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムブロミドであることがより好ましく、1-ブチルピリジニウムクロリド、1-ブチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-3-メチルピリジニウムクロリド、1-ブチル-3-メチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムクロリド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムブロミド、1,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ジメチルイミダゾリウムブロミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムブロミドであることがさらに好ましく、1,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ジメチルイミダゾリウムブロミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムブロミドであることが特に好ましく、1,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムクロリドであることが最も好ましい。
【0115】
なお、上述のイオン液体は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0116】
イオン液体の分子量は、400以下であることが好ましく、100~400であることがより好ましく、100~300であることがさらに好ましく、100~250であることが特に好ましく、100~200であることが非常に好ましく、130~200であることが最も好ましい。イオン液体の分子量が400以下であると、得られる成形体の引張弾性率が高くなりうることから好ましい。
【0117】
イオン液体の添加量は、セルロース繊維100質量部に対して、20質量部未満であり、好ましくは0.01質量部以上20質量部未満であり、より好ましくは0.3~18質量部であり、さらに好ましくは3~15質量部であり、特に好ましくは4~12質量部である。イオン液体の添加量が20質量部未満であると、製造コストに優れるとともに、得られる成形体の引張弾性率が高くなりうることから好ましい。
【0118】
なお、別の一実施形態において、イオン液体の添加量は、セルロース繊維100質量部に対して、0.3~18質量部であることが好ましく、0.75~15質量部であることがより好ましく、1~12.5質量部であることがさらに好ましく、2~7.5質量部であることが特に好ましい。イオン液体の添加量が上記範囲にあると、製造コストに優れるとともに、得られる成形体の引張強度が高くなることから好ましい。
【0119】
[溶融混練]
上述の混合物を、イオン液体の存在下で溶融混練することで、樹脂組成物を得ることができる。この際、必要に応じて溶融混練中に熱可塑性樹脂、セルロース繊維、分散剤、イオン液体等を添加して樹脂組成物の組成を調整することができる。
【0120】
溶融混練の温度は、使用する熱可塑性樹脂によっても異なるが、100~380℃であることが好ましく、120~280℃であることがより好ましい。
【0121】
溶融混練の時間は、使用する熱可塑性樹脂によっても異なるが、1~30分であることが好ましく、3~20分であることがより好ましい。
【0122】
[樹脂組成物]
上記方法により得られる樹脂組成物は、セルロース繊維が好適に解繊、分散されていることから機械的特性(引張弾性率、引張強度等)に優れる。
【0123】
樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、セルロース繊維および/またはその解繊物、並びにイオン液体を含む。この際、前記樹脂組成物は、分散剤、溶媒、および添加剤の少なくとも1種を含んでいてもよい。なお、上記の通り、樹脂組成物には、セルロース繊維、すなわち、溶融混練の過程で解繊されなかったもの、解繊されたものの解繊の度合いが低かったもの等が含まれていてもよい。
【0124】
樹脂組成物中の熱可塑性樹脂は上述の通りである。
【0125】
樹脂組成物中のセルロース繊維は上述の通りである。ただし、セルロース繊維は溶融混練の過程で少なくとも一部が解繊されうる。すなわち、混合物中のセルロース繊維と樹脂組成物中のセルロース繊維とは、セルロース繊維の幅、繊維長、アスペクト比等が異なることがある。
【0126】
樹脂組成物中のセルロース繊維の幅は、100μm以下であり、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは4nm~10μmであり、さらに好ましくは4nm~5μmである。
【0127】
なお、樹脂組成物中に存在するセルロース繊維の幅の測定および繊維長の測定には、以下の方法により準備された測定用セルロース繊維を用いる。すなわち、まず、1cm×1cm×0.1mmの組成物のサンプルを準備する。次いで、サンプルに抽出溶媒に浸してサンプルの熱可塑性樹脂を抽出する。その際に加熱して煮沸してもよい。そして、残存したセルロース繊維を乾燥することで測定用セルロース繊維を得ることができる。なお、熱可塑性樹脂を抽出するための抽出溶媒は、用いる熱可塑性樹脂によって異なる。例えば、熱可塑性樹脂が高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン等である場合には、抽出溶媒としてキシレンを用いる。また、熱可塑性樹脂がポリアミド、ポリエステル等である場合には、抽出溶媒としてo-クロロフェノールを用いる。
【0128】
樹脂組成物中のイオン液体、分散剤、溶媒、添加剤等についても、原則として上述の通りである。これらについても、場合により、溶融混練前の混合物中のものと得られる樹脂組成物中のものとで形状、平均粒径等が異なることがある。
【0129】
<成形体の製造方法>
本発明の一形態によれば、成形体の製造方法が提供される。成形体の製造方法は、上述の方法によって製造された樹脂組成物を成形することを含む。
【0130】
組成物の成形方法としては、特に制限されず、公知の方法が適宜採用されうる。具体t系には、圧縮成形、射出成形、押出成形、中空成形、発泡成形等が挙げられる。これらの成形方法は、単独で適用しても、2種以上を組み合わせて適用してもよい。
【0131】
なお、成形前または成形中に樹脂組成物に、熱可塑性樹脂、セルロース繊維および/または解繊物、分散剤等をさらに添加して物性を調整してもよい。
【0132】
このようにして得られる成形体は、機械的特性に優れることから、自動車、電車、船舶、飛行機等の内装材、外装材、構造材等;パソコン、テレビ、時計、電話、携帯電話、携帯音楽再生機器、映像再生機器、印刷機器、複写機器、スポーツ用品等の筺体、構造材、内部部品等;建築材;文具等の事務機器等、容器、コンテナー等に好適に適用することができる。
【実施例】
【0133】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」または「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」または「質量%」を表す。
【0134】
[合成例]
撹拌機、還流冷却管、温度計、および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、イソプロピルアルコール(IPA)123質量部を仕込み80℃に昇温した。これにアクリルアミド135.3質量部、ラウリルメタクリレート108.2質量部、メチルアクリレート2.5質量部、IPA246質量部、重合開始剤である(アゾ開始剤、和光純薬株式会社製)4質量部、およびメチルエチルケトン(MEK)10質量部の溶解混合物を2時間かけて滴下し、73~77℃で反応を行った。次いで、反応容器内を73~77℃で2時間維持し、重合反応を終了した。得られた樹脂溶液から減圧ポンプを用いて、0.08~0.095MPa、60℃の条件で脱溶剤を行った後、乾燥機を用いて80℃で30分間加熱乾燥を行い、固形物の分散剤を得た。なお、分散剤の重量平均分子量(Mw)はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定した。具体的には、この際、前記ゲル浸透クロマトグラフィの測定条件は以下の通りである。すなわち、高速GPCであるHLC-8220(東ソー株式会社製)、カラム(TSK-GELGMHXL×2)を使用し、サンプル5mgを10gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した溶液200mLを装置に注入し、流量:1mL/分(THF)、恒温槽温度:40℃、示差屈折(RI)検出器にて測定した。
【0135】
その結果、分散剤の重量平均分子量は15,000であった。
【0136】
[実施例1]
熱可塑性樹脂である高密度ポリエチレン(HDPE)335部、セルロース繊維である針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)(幅:50μm、繊維長:2mm、Howe Sound Pulp and Paper社製)100部、分散剤30部、およびイオン液体である1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート(イオン液体1)0.05部を混合した。得られた混合物を、混練装置である小型混練装置(レオ・ラボ株式会社製)にて140℃、200rpmの条件で、10分間溶融混練して樹脂組成物を製造した。
【0137】
なお、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート(イオン液体1)の構造式は以下の通りである。
【0138】
【0139】
[実施例2]
1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート(イオン液体1)の添加量を0.25部に変更したことを除いては実施例1と同様の方法で樹脂組成物を製造した。
【0140】
[実施例3]
1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート(イオン液体1)の添加量を0.5部に変更したことを除いては実施例1と同様の方法で樹脂組成物を製造した。
【0141】
[実施例4]
1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート(イオン液体1)の添加量を2.5部に変更したことを除いては実施例1と同様の方法で樹脂組成物を製造した。
【0142】
[実施例5]
1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート(イオン液体1)の添加量を5部に変更したことを除いては実施例1と同様の方法で樹脂組成物を製造した。
【0143】
[実施例6]
1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート(イオン液体1)の添加量を10部に変更したことを除いては実施例1と同様の方法で樹脂組成物を製造した。
【0144】
[実施例7](ただし、実施例7は比較例である)
分散剤を添加しなかったことを除いては実施例5と同様の方法で樹脂組成物を製造した。
【0145】
[実施例8]
イオン液体として1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルホスホナート(イオン液体2)を用いたことを除いては、実施例5と同様の方法で樹脂組成物を製造した。
【0146】
なお、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルホスホナート(イオン液体2)の構造式は以下の通りである。
【0147】
【0148】
[実施例9]
イオン液体として1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(イオン液体3)を用いたことを除いては、実施例5と同様の方法で樹脂組成物を製造した。
【0149】
なお、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(イオン液体3)の構造式は以下の通りである。
【0150】
【0151】
[実施例10]
イオン液体として1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(イオン液体4)を用いたことを除いては、実施例5と同様の方法で樹脂組成物を製造した。
【0152】
なお、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(イオン液体4)の構造式は以下の通りである。
【0153】
【0154】
[実施例11]
イオン液体として1-アリル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(イオン液体5)を用いたことを除いては、実施例5と同様の方法で樹脂組成物を製造した。
【0155】
なお、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(イオン液体5)の構造式は以下の通りである。
【0156】
【0157】
[実施例12]
イオン液体として1-ブチル-3-メチルピリジニウムクロリド(イオン液体6)を用いたことを除いては、実施例5と同様の方法で樹脂組成物を製造した。
【0158】
なお、1-ブチル-3-メチルピリジニウムクロリド(イオン液体6)の構造式は以下の通りである。
【0159】
【0160】
[実施例13]
イオン液体としてテトラブチルホスホニウムクロリド(イオン液体7)を用いたことを除いては、実施例5と同様の方法で樹脂組成物を製造した。
【0161】
なお、テトラブチルホスホニウムクロリド(イオン液体7)の構造式は以下の通りである。
【0162】
【0163】
[実施例14]
イオン液体として1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド(イオン液体8)を用いたことを除いては、実施例5と同様の方法で樹脂組成物を製造した。
【0164】
なお、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド(イオン液体8)の構造式は以下の通りである。
【0165】
【0166】
[実施例15]
イオン液体として1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(イオン液体9)を用いたことを除いては、実施例5と同様の方法で樹脂組成物を製造した。
【0167】
なお、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(イオン液体9)の構造式は以下の通りである。
【0168】
【0169】
[比較例1]
1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート(イオン液体1)の添加量を20部に変更したことを除いては実施例1と同様の方法で樹脂組成物を製造した。
【0170】
[比較例2]
1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート(イオン液体1)の添加量を30部に変更したことを除いては実施例1と同様の方法で樹脂組成物を製造した。
【0171】
[性能評価]
実施例1~15および比較例1~2で得られた樹脂組成物より得られる成形体について物性を評価した。
【0172】
(成形体の製造方法)
樹脂組成物を、小型射出成形機(レオ・ラボ株式会社製)を用いて、金型温度50℃、シリンダ温度150℃の条件で、射出成形を行い、成形体である引張り試験用試験片(長さ74mm、幅5mm、厚み2mm)を製造した。
【0173】
(引張弾性率)
上記で製造した引張り試験用試験片を、引張試験機「AUTOGRAPH AGS-X」(株式会社島津製作所製)を用い、引張速度:50mm/min、 チャック間距離:50mm、温度:23度、湿度:50%の条件で引張弾性率を測定した。得られた結果を下記表1に示す。
【0174】
(引張強度)
上記で製造した引張り試験用試験片を、引張試験機「AUTOGRAPH AGS-X」(株式会社島津製作所製)を用い、引張速度:50mm/min、 チャック間距離:50mm、温度:23度、湿度:50%の条件で引張強度を測定した。得られた結果を下記表1に示す。
【0175】
【0176】
表1の結果から、実施例の製造方法によれば、溶融混練の過程で解繊、分散を行うため、セルロースの溶解、再析出といった工程が不要であり、また、イオン液体の添加量が少量であるため、製造コストに優れる。
【0177】
また、上記方法により製造された樹脂組成物から得られる成形体は高い引張弾性率、引張強度等において優れた機械的特性を有することが分かる。