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特許7183593感光性着色組成物、硬化物、着色スペーサー、及び画像表示装置
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  • 特許-感光性着色組成物、硬化物、着色スペーサー、及び画像表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】感光性着色組成物、硬化物、着色スペーサー、及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20221129BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20221129BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20221129BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G03F7/027
G02B5/20 101
G02F1/1339 500
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018126485
(22)【出願日】2018-07-03
(65)【公開番号】P2019015966
(43)【公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】P 2017132177
(32)【優先日】2017-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017138115
(32)【優先日】2017-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】沢井 良尚
(72)【発明者】
【氏名】裴 麗華
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敦哉
(72)【発明者】
【氏名】大津 猛
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-091876(JP,A)
【文献】特開2008-304710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G03F 7/027
G02B 5/20
G02F 1/1339
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)着色剤、(b)アルカリ可溶性樹脂、(c)光重合開始剤、及び(d)エチレン
性不飽和化合物を含有する感光性着色組成物であって、
前記(a)着色剤の含有割合が、感光性着色組成物の全固形分中に10質量%以上23
質量%以下であり、
前記(a)着色剤が黄色顔料と、赤色顔料及び/又は橙色顔料とを含み、
前記(a)着色剤中の前記黄色顔料の含有割合が50質量%以上90質量%以下であり

前記黄色顔料が、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー1
39、及びC.I.ピグメントイエロー150からなる群から選ばれる少なくとも1種を
含み、
前記(a)着色剤中の赤色顔料及び橙色顔料の含有割合の合計が10質量%以上50質
量%以下であり、
前記(c)光重合開始剤がオキシムエステル系化合物であることを特徴とする感光性着
色組成物。
【請求項2】
前記赤色顔料が、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254
、及びC.I.ピグメントレッド272からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、
請求項1に記載の感光性着色組成物。
【請求項3】
前記橙色顔料が、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ43
、C.I.ピグメントオレンジ64、及びC.I.ピグメントオレンジ72からなる群か
ら選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の感光性着色組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の感光性着色組成物を硬化して得られる硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性着色組成物等に関する。詳しくは、例えば液晶ディスプレイ等のカラーフィルターにおいて着色スペーサー等の形成に好ましく用いられる感光性着色組成物、この感光性着色組成物を硬化して得られる硬化物及び着色スペーサー、この着色スペーサーを備える画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)は、液晶への電圧のオン・オフにより液晶分子の配列が切り替わる性質を利用している。一方、液晶ディスプレイのセルを構成する各部材の多くは、フォトリソグラフィーに代表される感光性組成物を利用した方法によって形成されている。この感光性組成物は、微細構造を形成し易く、大面積基板に対する処理が容易であるといった理由から、今後も広範囲に感光性組成物の適用が予想されている。
また、液晶ディスプレイに使用されるバックライトは、高い解像度、低いコスト、薄いフォームファクタといった特徴から、LEDバックライトが現在では携帯端末やテレビの業界において広く採用されている。
【0003】
最近では、カラー液晶ディスプレイの更なる高精細・高輝度化に対応するために、アクティブマトリクス型液晶ディスプレイにおいて、カラーフィルターをTFT素子基板側に設けたカラーフィルター・オン・アレイ方式(COA方式)やブラックマトリクスだけをTFT素子基板側に設けたブラックマトリクス・オン・アレイ方式(BOA方式)が提案されている。この方式によれば、カラーフィルター側にブラックマトリクスを形成する場合に比べ、アクティブ素子側との位置合わせマージンを取る必要がなくなるため、開口率を高くすることができ、その結果、高輝度化を図ることができる。このようなブラックマトリクスの構造には、高い遮光性や可視光領域における光漏れが極力抑えられることが要求される。
【0004】
また、液晶ディスプレイ構造及び製造工程の簡便化に伴い、液晶ディスプレイにおける2枚の基板の間隔を一定に保つために使用される、所謂、柱状スペーサー、フォトスペーサーとブラックマトリクスとを一体化した着色スペーサーも開発されている。このような着色スペーサーとしては、顔料として複数種の有機着色顔料を用いた着色スペーサーが提案されている(例えば特許文献1及び2参照)。
また一方で特許文献3~5のように、額縁部の着色スペーサーの対向部に、1層又は2層以上のカラーフィルター層を設ける液晶ディスプレイも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-181509号公報
【文献】国際公開第2013/062011号
【文献】韓国公開特許第10-2013-0015734号公報
【文献】韓国公開特許第10-2014-0119912号公報
【文献】韓国公開特許第10-2017-0017447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らが検討したところ、各種パネル構造のうち、特にLEDバックライトを備えている液晶ディスプレイにおいて、額縁部の着色スペーサーの対向部に青色のカラーフィルター層が設けられている構造の場合には、LED由来の青色光成分が透過しやすく、特許文献1や2に記載されている感光性着色組成物を用いて形成した着色スペーサーでは波長400~500nmにおける光漏れの抑制と、遮光性を両立することが困難であることが見出された。
また、液晶ディスプレイ製造時には、着色スペーサーを有する基板と対向基板とを圧着する工程を経るため、着色スペーサーには、圧着工程において外部圧力により変形しても、外部圧力が除かれた場合には元の形状に戻る特性、つまり、弾性復元率等の機械的特性が必要とされる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、波長400~500nmにおける光漏れが抑制され、遮光性に優れ、機械的特性に優れた着色スペーサーを形成可能な感光性着色組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、着色剤として特定の顔料を用い、当該顔料の含有割合を特定範囲とし、かつ、着色剤の含有割合を特定範囲とすることで、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]~[8]の構成を有する。
【0009】
[1] (a)着色剤、(b)アルカリ可溶性樹脂、(c)光重合開始剤、及び(d)エチレン性不飽和化合物を含有する感光性着色組成物であって、
前記(a)着色剤の含有割合が、感光性着色組成物の全固形分中に23質量%以下であり、
前記(a)着色剤が黄色顔料と、赤色顔料及び/又は橙色顔料とを含み、
前記(a)着色剤中の前記黄色顔料の含有割合が40質量%以上であることを特徴とする感光性着色組成物。
[2] 前記黄色顔料が、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、及びC.I.ピグメントイエロー150からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、[1]に記載の感光性着色組成物。
[3] 前記赤色顔料が、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254、及びC.I.ピグメントレッド272からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、[1]又は[2]に記載の感光性着色組成物。
[4] 前記橙色顔料が、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、及びC.I.ピグメントオレンジ72からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の感光性着色組成物。
【0010】
[5] 前記(a)着色剤の含有割合が、感光性着色組成物の全固形分中に1質量%以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の感光性着色組成物。
[6] 着色スペーサー形成用である、[1]~[5]のいずれかに記載の感光性着色組成物。
【0011】
[7] [1]~[6]のいずれかに記載の感光性着色組成物を硬化して得られる硬化物。
[8] [7]に記載の硬化物から構成される着色スペーサー。
[9] [8]に記載の着色スペーサーを備える画像表示装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、波長400~500nmにおける光漏れが抑制され、遮光性に優れ、機械的特性に優れた着色スペーサーを形成可能な感光性着色組成物、硬化物、着色スペーサー、さらにこのような着色スペーサーを備える画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、色調評価に使用した光源の発光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」についても同様である。
【0015】
「(共)重合体」とは、単一重合体(ホモポリマー)と共重合体(コポリマー)の双方を含むことを意味し、「酸(無水物)」、「(無水)…酸」とは、酸とその無水物の双方を含むことを意味する。また、本発明において「アクリル系樹脂」とは、(メタ)アクリル酸を含む(共)重合体、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む(共)重合体を意味する。
【0016】
また、本発明において「モノマー」とは、いわゆる高分子物質(ポリマー)に相対する用語であり、狭義の単量体(モノマー)の外に、二量体、三量体、オリゴマー等も含む意味である。
本発明において「全固形分」とは、感光性着色組成物中又は後述するインク中に含まれる、溶剤以外の全成分を意味するものとする。
本発明において、「重量平均分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)をさす。
また、本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り、有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの質量で表される値である。なお、測定方法については後述する。一方、「酸価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算の酸価を表し、中和滴定により算出される。
【0017】
また、本明細書において、「質量」で表される百分率や部は「重量」で表される百分率や部と同義である。
また、本明細書において、顔料の具体例をピグメントナンバーで示すことがあるが、「C.I.ピグメントレッド2」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0018】
[感光性着色組成物]
本発明の感光性着色組成物は、
(a)着色剤
(b)アルカリ可溶性樹脂
(c)光重合開始剤
(d)エチレン性不飽和化合物
を必須成分として含有し、必要に応じて、さらにシランカップリング剤等の密着向上剤、界面活性剤(塗布性向上剤)、顔料誘導体、光酸発生剤、架橋剤、メルカプト化合物、現像改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等のその他の配合成分を含むものであり、通常、各配合成分が、溶剤に溶解又は分散した状態で使用される。
【0019】
本発明の感光性着色組成物は、(a)着色剤、(b)アルカリ可溶性樹脂、(c)光重合開始剤、及び(d)エチレン性不飽和化合物を含有する感光性着色組成物であって、前記(a)着色剤の含有割合が、感光性着色組成物の全固形分中に23質量%以下であり、前記(a)着色剤が黄色顔料と、赤色顔料及び/又は橙色顔料とを含み、前記(a)着色剤中の前記黄色顔料の含有割合が40質量%以上であることを特徴とする感光性着色組成物。
【0020】
<(a)着色剤>
本発明の感光性着色組成物に含まれる(a)着色剤は、感光性着色組成物を着色する成分である。(a)着色剤を含有することで、所望の光吸収特性を得ることができる。(a)着色剤としては、顔料を用いてもよいし、染料を用いてもよい。
【0021】
本発明の感光性着色組成物において、(a)着色剤は黄色顔料と、赤色顔料及び/又は橙色顔料とを含み、かつ、(a)着色剤中の前記黄色顔料の含有割合が40質量%以上である。
黄色顔料は吸収スペクトルにおいて波長400~450nm付近に吸収ピークの極大波長を有することから、黄色顔料を含むことで波長400~500nmにおける光漏れを効率よく低減することができ、特に、黄色顔料の含有割合を前記下限値以上とすることで当該光漏れを実用上十分なほどに低減することが可能となると考えられる。一方、波長400nm未満の吸収が少ないことから、光重合開始剤の吸収帯との重なりが少なく、光硬化性、感度の観点からも有効である。
また、赤色顔料及び橙色顔料は吸収スペクトルにおいて波長450~600nm付近に吸収ピークの極大波長を有することから、赤色顔料及び/又は橙色顔料をさらに含有することで光学濃度(OD)が高くなると考えられる。橙色顔料よりも赤色顔料のほうが吸収ピークの極大波長が長波長側であるので、光学濃度(OD)の観点からは赤色顔料を含むことが好ましく、一方で、波長400~500nmにおける光漏れ抑制の観点からは橙色顔料を含むことが好ましい。
【0022】
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75、81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208を挙げることができる。この中でも、分散性、信頼性の観点からC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185が好ましく、C.I.ピグメントイエロー138、139、150がさらに好ましく、遮光性の観点からC.I.ピグメントイエロー139が特に好ましい。
【0023】
(a)着色剤中の黄色顔料の含有割合は40質量%以上であれば特に限定されないが、波長400~500nmの透過率を抑制するとの観点からは50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、75質量%以上が特に好ましい。一方で、光学濃度(OD)の観点からは、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
【0024】
一方で赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276を挙げることができる。この中でも、遮光性、分散性の観点から好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、149、168、177、179、194、202、206、207、209、224、242、254、さらに好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、254を挙げることができる。なお、分散性や遮光性の点で、C.I.ピグメントレッド177、254、272を用いることが好ましく、感光性着色組成物を紫外線で硬化させる場合には、赤色顔料としては紫外線吸収率の低いものを使用することが好ましく、係る観点からはC.I.ピグメントレッド254、272を用いることがより好ましい。
【0025】
橙色顔料(オレンジ顔料)としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79を挙げることができる。この中でも、分散性や遮光性の点で、C.I.ピグメントオレンジ13、43、64、72を用いることが好ましく、感光性着色組成物を紫外線で硬化させる場合には、橙色顔料としては紫外線吸収率の低いものを使用することが好ましく、係る観点からはC.I.ピグメントオレンジ64、72を用いることがより好ましく、C.I.ピグメントオレンジ64が特に好ましい。
【0026】
(a)着色剤中の赤色顔料及び橙色顔料の含有割合の合計は特に限定されないが、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、15質量%以上が特に好ましく、20質量%以上が最も好ましく、また、通常60質量%以下であり、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで光学濃度(OD)が高くなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで波長400~500nmの透過率を十分に抑制できる傾向がある。
【0027】
(a)着色剤が赤色顔料を含む場合、(a)着色剤中の赤色顔料の含有割合は特に限定されないが、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、15質量%以上が特に好ましく、20質量%以上が最も好ましく、また、通常60質量%以下であり、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで光学濃度(OD)が高くなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで波長400~500nmの透過率を十分に抑制できる傾向がある。
【0028】
(a)着色剤が橙色顔料を含む場合、(a)着色剤中の橙色顔料の含有割合は特に限定されないが、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、15質量%以上が特に好ましく、20質量%以上が最も好ましく、また、通常60質量%以下、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで光学濃度(OD)と波長400~500nmの透過率抑制を両立しやすい傾向があり、また、前記上限値以下とすることで波長400~500nmの透過率を十分に抑制できる傾向がある。
【0029】
(a)着色剤は、黄色顔料、赤色顔料及び橙色顔料以外の着色剤(以下、「その他の着色剤」と略記する。)を含んでいてもよい。その他の着色剤としては、顔料や染料が挙げられ、耐熱性の観点から顔料が好ましく、色調、光硬化性、感度の観点から有機顔料が好ましい。
【0030】
顔料としては、青色顔料、紫色顔料、緑色顔料、茶色顔料などの有機着色顔料が挙げられる。
【0031】
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79を挙げることができる。この中でも、遮光性の観点から好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、60、さらに好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6、16を挙げることができる。
なお、分散性や遮光性の点で、C.I.ピグメントブルー15:6、16、60を用いることが好ましく、感光性着色組成物を紫外線で硬化させる場合には、青色顔料としては紫外線吸収率の低いものを使用することが好ましく、かかる観点からはC.I.ピグメントブルー60を用いることがより好ましい。一方で、韓国登録特許第10-1840984号公報に記載のように、信頼性、遮光性、弾性復元率の観点からは、C.I.ピグメントブルー16を用いることが好ましい。
【0032】
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50を挙げることができる。この中でも、遮光性の観点から、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23、さらに好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23を挙げることができる。
一方で分散性の観点から、C.I.ピグメントバイオレット29を用いることが好ましい。
【0033】
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58、59を挙げることができる。この中でも、分散性の観点から好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36を挙げることができる。
【0034】
茶色顔料(ブラウン顔料)としては、C.I.ピグメントブラウン23、25、26、28、38、41、83、93を挙げることができる。この中でも、近赤外線透過性と遮光性とを両立するとの観点から好ましくはC.I.ピグメントブラウン26、28、83、93を挙げることができる。
【0035】
これらの有機着色顔料の中でも色調の観点から、例えば青色顔料及び紫色顔料の含有割合が低いことが好ましい。係る観点から、(a)着色剤中における青色顔料及び紫色顔料の合計の含有割合が、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましく、0質量%が最も好ましい。つまり、(a)着色剤中には、青色顔料及び紫色顔料を含まないことが最も好ましい。
【0036】
(a)着色剤中の青色顔料の含有割合は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましく、0質量%が最も好ましい。前記上限値以下とすることで、良好な色調となる傾向がある。
【0037】
(a)着色剤中の紫色顔料の含有割合は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましく、0質量%が最も好ましい。前記上限値以下とすることで、良好な色調となる傾向がある。
【0038】
一方で、遮光性の観点から、青色顔料及び/又は紫色顔料を含んでいてもよい。その場合には、(a)着色剤中における青色顔料及び紫色顔料の合計の含有割合が、2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上が特に好ましく、また、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下がよりさらに好ましく、15質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで光学濃度(OD)が高くなる傾向があり、前記上限値以下とすることで波長400~500nmの透過率が低くなる傾向がある。
【0039】
また、その他の着色剤として黒色顔料を含んでいてもよい。黒色顔料としては、有機黒色顔料や無機黒色顔料が挙げられる。有機黒色顔料として例えば、下記式(1)で表される化合物、該化合物の幾何異性体、該化合物の塩、及び該化合物の幾何異性体の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む有機黒色顔料が挙げられる。
【0040】
【化1】
【0041】
式(1)中、R1及びR6は各々独立に水素原子、CH3、CF3、フッ素原子又は塩素原子であり;
2、R3、R4、R5、R7、R8、R9及びR10は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、R11、COOH、COOR11、COO-、CONH2、CONHR11、CONR1112、CN、OH、OR11、COCR11、OOCNH2、OOCNHR11、OOCNR1112、NO2、NH2、NHR11、NR1112、NHCOR12、NR11COR12、N=CH2、N=CHR11、N=CR1112、SH、SR11、SOR11、SO211、SO311、SO3H、SO3 -、SO2NH2、SO2NHR11またはSO2NR1112であり;
且つ、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R7とR8、R8とR9、及びR9とR10からなる群から選ばれる少なくとも1つの組み合わせは、互いに直接結合することもでき、又は酸素原子、硫黄原子、NH若しくはNR11ブリッジによって互いに結合することもでき;
11及びR12は各々独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、炭素数2~12のアルケニル基、炭素数3~12のシクロアルケニル基又は炭素数2~12のアルキニル基である。
【0042】
一般式(1)で表される化合物の幾何異性体は、以下のコア構造を有し(ただし、構造式中の置換基は省略している。)、トランス-トランス異性体が恐らく最も安定である。
【0043】
【化2】
【0044】
一般式(1)で表される化合物がアニオン性である場合、その電荷を任意の公知の適したカチオン、例えば金属、有機、無機又は金属有機カチオン、具体的にはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、一級アンモニウム、二級アンモニウム、トリアルキルアンモニウムなどの三級アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどの四級アンモニウム又は有機金属錯体によって補償した塩であることが好ましい。また、一般式(1)で表される化合物の幾何異性体がアニオン性である場合、同様の塩であることが好ましい。
【0045】
一般式(1)の置換基及びそれらの定義においては、遮蔽率が高くなる傾向があることから、以下が好ましい。これは、以下の置換基は吸収がなく、顔料の色相に影響しないと考えられるからである。
2、R4、R5、R7、R9及びR10は各々独立に好ましくは水素原子、フッ素原子、又は塩素原子であり、さらに好ましくは水素原子である。
3及びR8は各々独立に好ましくは水素原子、NO2、OCH3、OC25、臭素原子、塩素原子、CH3、C25、N(CH32、N(CH3)(C25)、N(C252、α-ナフチル、β-ナフチル、SO3H又はSO3 -であり、さらに好ましくは水素原子又はSO3Hである。
【0046】
1及びR6は各々独立に好ましくは水素原子、CH3又はCF3であり、さらに好ましくは水素原子である。
好ましくは、R1とR6、R2とR7、R3とR8、R4とR9、及びR5とR10からなる群から選ばれる少なくとも1つの組み合わせが同一であり、より好ましくは、R1はR6と同一であり、R2はR7と同一であり、R3はR8と同一であり、R4はR9と同一であり、かつ、R5はR10と同一である。
【0047】
炭素数1~12のアルキル基は、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、2-メチルブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、ヘプチル基、n-オクチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基又はドデシル基である。
【0048】
炭素数3~12のシクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、トリメチルシクロヘキシル基、ツジル基、ノルボルニル基、ボルニル基、ノルカリル基、カリル基、メンチル基、ノルピニル基、ピニル基、1-アダマンチル基又は2-アダマンチル基である。
【0049】
炭素数2~12のアルケニル基は、例えば、ビニル基、アリル基、2-プロペン-2-イル基、2-ブテン-1-イル基、3-ブテン-1-イル基、1,3-ブタジエン-2-イル基、2-ペンテン-1-イル基、3-ペンテン-2-イル基、2-メンチル-1-ブテン-3-イル基、2-メチル-3-ブテン-2-イル基、3-メチル-2-ブテン-1-イル基、1,4-ペンタジエン-3-イル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基又はドデセニル基である。
【0050】
炭素数3~12のシクロアルケニル基は、例えば、2-シクロブテン-1-イル基、2-シクロペンテン-1-イル基、2-シクロヘキセン-1-イル基、3-シクロヘキセン-1-イル基、2,4-シクロヘキサジエン-1-イル基、1-p-メンテン-8-イル基、4(10)-ツジェン-10-イル基、2-ノルボルネン-1-イル基、2,5-ノルボルナジエン-1-イル基、7,7-ジメチル-2,4-ノルカラジエン-3-イル基又はカンフェニル基である。
【0051】
炭素数2~12のアルキニル基は、例えば、1-プロピン-3-イル基、1-ブチン-4-イル基、1-ペンチン-5-イル基、2-メチル-3-ブチン-2-イル基、1,4-ペンタジイン-3-イル基、1,3-ペンタジイン-5-イル基、1-ヘキシン-6-イル基、シス-3-メチル-2-ペンテン-4-イン-1-イル基、トランス-3-メチル-2-ペンテン-4-イン-1-イル基、1,3-ヘキサジイン-5-イル基、1-オクチン-8-イル基、1-ノニン-9-イル基、1-デシン-10-イル基又は1-ドデシン-12-イル基である。
【0052】
ハロゲン原子は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
【0053】
前記有機黒色顔料は、好ましくは下記一般式(2)で表される化合物及び/又は該化合物の幾何異性体であり、より好ましくは下記一般式(2)で表される化合物である。
【0054】
【化3】
【0055】
このような有機黒色顔料の具体例としては、商品名で、Irgaphor(登録商標) Black S 0100 CF(BASF社製)が挙げられる。
この有機黒色顔料は、好ましくは後述される分散剤、溶剤、方法によって分散して使用される。また、分散の際に前記一般式(1)で表される化合物のスルホン酸誘導体又は前記化合物のスルホン酸誘導体、特に前記一般式(2)で表される化合物のスルホン酸誘導体又は該化合物の幾何異性体のスルホン酸誘導体が存在すると、分散性や保存性が向上する場合がある。
また、有機黒色顔料として、光学特性と信頼性の観点から、韓国公開特許第10-2018-0052502号公報に記載されている有機黒色顔料や、韓国公開特許第10-2018-0052864号公報に記載されている有機黒色顔料を用いることが好ましい。
【0056】
また、その他の有機黒色顔料として、アニリンブラック、シアニンブラック、ペリレンブラック等も挙げられる。また、無機黒色顔料であるカーボンブラックを用いてもよい。カーボンブラックの例としては、以下のようなカーボンブラックが挙げられる。
【0057】
三菱ケミカル社製:MA7、MA8、MA11、MA77、MA100、MA100R、MA100S、MA220、MA230、MA600、MCF88、#5、#10、#20、#25、#30、#32、#33、#40、#44、#45、#47、#50、#52、#55、#650、#750、#850、#900、#950、#960、#970、#980、#990、#1000、#2200、#2300、#2350、#2400、#2600、#2650、#3030、#3050、#3150、#3250、#3400、#3600、#3750、#3950、#4000、#4010、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30B、OIL31B
デグサ社製:Printex(登録商標、以下同じ。)3、Printex3OP、Printex30、Printex30OP、Printex40、Printex45、Printex55、Printex60、Printex75、Printex80、Printex85、Printex90、Printex A、Printex L、Printex P、Printex U、Printex V、PrintexG、SpecialBlack550、SpecialBlack350、SpecialBlack250、SpecialBlack100、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S160、Color Black S170
キャボット社製:Monarch(登録商標、以下同じ。)120、Monarch280、Monarch460、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、Monarch4630、REGAL(登録商標、以下同じ。)99、REGAL99R、REGAL415、REGAL415R、REGAL250、REGAL250R、REGAL330、REGAL400R、REGAL55R0、REGAL660R、BLACK PEARLS480、PEARLS130、VULCAN(登録商標。) XC72R、ELFTEX(登録商標)-8
ビルラー社製:RAVEN(登録商標、以下同じ。)11、RAVEN14、RAVEN15、RAVEN16、RAVEN22RAVEN30、RAVEN35、RAVEN40、RAVEN410、RAVEN420、RAVEN450、RAVEN500、RAVEN780、RAVEN850、RAVEN890H、RAVEN1000、RAVEN1020、RAVEN1040、RAVEN1060U、RAVEN1080U、RAVEN1170、RAVEN1190U、RAVEN1250、RAVEN1500、RAVEN2000、RAVEN2500U、RAVEN3500、RAVEN5000、RAVEN5250、RAVEN5750、RAVEN7000
【0058】
カーボンブラックは、樹脂で被覆されたものを使用しても構わない。樹脂で被覆されたカーボンブラックを使用すると、ガラス基板への密着性や体積抵抗値を向上させる効果がある。樹脂で被覆されたカーボンブラックとしては、例えば特開平09-71733号公報に記載されているカーボンブラック等が好適に使用できる。体積抵抗や誘電率の点で、樹脂被覆カーボンブラックが好適に用いられる。
【0059】
これらの顔料は、平均粒子径が通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.25μm以下となるよう、分散して用いることが好ましい。ここで平均粒子径の基準は顔料粒子の数である。
なお、感光性着色組成物において、顔料の平均粒子径は、動的光散乱(DLS)により測定された顔料粒子径から求めた値である。粒子径測定は、十分に希釈された感光性着色組成物(通常は希釈して、顔料濃度0.005~0.2質量%程度に調製。但し測定機器により推奨された濃度があれば、その濃度に従う)に対して行い、25℃にて測定する。
【0060】
また、その他の着色剤として、上述の顔料の他に、染料を使用してもよい。その他の着色剤として使用できる染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等が挙げられる。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7等が挙げられる。
【0061】
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー56、C.I.ディスパースブルー60等が挙げられる。
この他、フタロシアニン系染料として、例えば、C.I.パッドブルー5等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等が、キノリン系染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3、C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
【0062】
<(b)アルカリ可溶性樹脂>
本発明で用いる(b)アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基又は水酸基を含む樹脂であれば特に限定はなく、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂、アクリル系樹脂、カルボキシル基含有エポキシ樹脂、カルボキシル基含有ウレタン樹脂、ノボラック系樹脂、ポリビニルフェノール系樹脂等が挙げられるが、中でも
(b1)エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂
(b2)アクリル系樹脂
が優れた製版性の観点から好適に用いられる。これらは1種を単独で、或いは複数種を混合して使用することができる。
【0063】
<(b1)エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂>
(b1)エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂は、エポキシ樹脂(エポキシ化合物)とα,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物の、反応で生成した水酸基にさらに多塩基酸、及び/又はその無水物を反応させて得られる樹脂である。
また上記、多塩基酸及び/又はその無水物を水酸基と反応させる前に、該水酸基と反応し得る置換基を2個以上有する化合物を反応させた後、多塩基酸及び/又はその無水物を反応させて得られる樹脂も、上記(b1)エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂に含まれる。
【0064】
また上記反応で得られた樹脂のカルボキシル基に、さらに反応し得る官能基を有する化合物を反応させて得られる樹脂も、上記(b1)エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂に含まれる。
このように、エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂は化学構造上、実質的にエポキシ基を有さず、かつ「(メタ)アクリレート」に限定されるものではないが、エポキシ化合物(エポキシ樹脂)が原料であり、かつ、「(メタ)アクリレート」が代表例であるので慣用に従いこのように命名されている。
【0065】
本発明で用いる(b1)エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂としては、具体的には、下記エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-1)及び/又はエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-2)(以下「カルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂」と称す場合がある。)が現像性、信頼性の観点から好適に用いられる。
【0066】
<エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-1)>
エポキシ樹脂にα,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸及び/又はその無水物を反応させることによって得られたアルカリ可溶性樹脂。
<エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂アルカリ可溶性樹脂(b1-2)>
エポキシ樹脂にα,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多価アルコール、並びに多塩基酸及び/又はその無水物と反応させることによって得られたアルカリ可溶性樹脂。
【0067】
ここで、エポキシ樹脂とは、熱硬化により樹脂を形成する以前の原料化合物をも含めて言うこととし、そのエポキシ樹脂としては、公知のエポキシ樹脂の中から適宜選択して用いることができる。また、エポキシ樹脂は、フェノール性化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られる化合物を用いることができる。フェノール性化合物としては、2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物が好ましく、単量体でも重合体でもよい。
原料となるエポキシ樹脂の種類としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンとフェノール又はクレゾールとの重付加反応物とエピハロヒドリンとの反応生成物であるエポキシ樹脂、アダマンチル基含有エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂等を好適に用いることができ、このように主鎖に芳香族環を有するものを好適に用いることができる。
【0068】
また、エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、三菱ケミカル社製の「jER(登録商標、以下同じ。)-828」、「jER-1001」、「jER-1002」、「jER-1004」、日本化薬社製の「NER-1302」(エポキシ当量323,軟化点76℃)等)、ビスフェノールF型樹脂(例えば、三菱ケミカル社製の「jER-807」、「jER-4004P」、「jER-4005P」、「jER-4007P」、日本化薬社製の「NER-7406」(エポキシ当量350,軟化点66℃)等)、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルグリシジルエーテル(例えば、三菱ケミカル社製の「jER-YX4000」)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN(登録商標、以下同じ。)-201」、三菱ケミカル社製の「jER-152」、「jER-154」、ダウケミカル社製の「DEN-438」)、(o,m,p-)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EOCN(登録商標、以下同じ。)-102S」、「EOCN-1020」、「EOCN-104S」)、トリグリシジルイソシアヌレート(例えば、日産化学社製の「TEPIC(登録商標)」)、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN-501」、「EPPN-502」、「EPPN-503」)、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製の「セロキサイド(登録商標、以下同じ。)2021P」、「セロキサイドEHPE」)、ジシクロペンタジエンとフェノールの反応によるフェノール樹脂をグリシジル化したエポキシ樹脂(例えば、DIC社製の「EXA-7200」、日本化薬社製の「NC-7300」)、下記一般式(B1)~(B4)で表されるエポキシ樹脂、等を好適に用いることができる。具体的には、下記一般式(B1)で表されるエポキシ樹脂として日本化薬社製の「XD-1000」、下記一般式(B2)で表されるエポキシ樹脂として日本化薬社製の「NC-3000」、下記一般式(B4)で表されるエポキシ樹脂として新日鉄住金化学社製の「ESF-300」等が挙げられる。
【0069】
【化4】
【0070】
上記一般式(B1)において、aは平均値であり、0~10の数を表す。R111は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基を表す。なお、1分子中に存在する複数のR111は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0071】
【化5】
【0072】
上記一般式(B2)において、bは平均値であり、0~10の数を表す。R121は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基を表す。なお、1分子中に存在する複数のR121は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0073】
【化6】
【0074】
上記一般式(B3)において、Xは下記一般式(B3-1)又は(B3-2)で示される連結基を表す。但し、分子構造中に1つ以上のアダマンタン構造を含む。cは2又は3を表す。
【0075】
【化7】
【0076】
上記一般式(B3-1)及び(B3-2)において、R131~R134及びR135~R137は各々独立に、置換基を有していてもよいアダマンチル基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。*は結合手を表す。
【0077】
【化8】
【0078】
上記一般式(B4)において、p及びqは各々独立に0~4の整数を表し、R141及びR142は各々独立に炭素数1~4のアルキル基又はハロゲン原子を表す。R143及びR144は各々独立に炭素数1~4のアルキレン基を表す。x及びyは各々独立に0以上の整数を表す。
【0079】
これらの中で、一般式(B1)~(B4)のいずれかで表されるエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
【0080】
α,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-又はp-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体などのモノカルボン酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルアジピン酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルアジピン酸、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイロキシブチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシブチルアジピン酸、2-(メタ)アクリロイロキシブチルヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシブチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシブチルマレイン酸(メタ)、アクリル酸にε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものである単量体、或いはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートに(無水)コハク酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸などの酸(無水物)を付加させた単量体、(メタ)アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。
これらの中でも感度の点から、特に好ましいものは(メタ)アクリル酸である。
【0081】
エポキシ樹脂にα,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルを付加させる方法としては、公知の手法を用いることができる。例えば、エステル化触媒の存在下、50~150℃の温度で、α,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルとエポキシ樹脂とを反応させることができる。ここで用いるエステル化触媒としては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン等の3級アミン、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩等を用いることができる。
【0082】
なお、エポキシ樹脂、α,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステル、並びにエステル化触媒は、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
α,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルの使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対し0.5~1.2当量の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.7~1.1当量の範囲である。α,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルの使用量を前記下限値以上とすることで不飽和基の導入量の不足が抑制でき、引き続く多塩基酸及び/又はその無水物との反応も十分なものとしやすい傾向がある。一方、前記上限値以下とすることでα,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルの未反応物の残存を抑制でき、硬化特性を良好なものとしやすい傾向が認められる。
【0083】
多塩基酸及び/又はその無水物としては、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、及びこれらの無水物等から選ばれる、1種又は2種以上が挙げられる。
【0084】
好ましくは、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、又はこれらの無水物である。特に好ましくは、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、無水テトラヒドロフタル酸、又はビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
【0085】
多塩基酸及び/又はその無水物の付加反応に関しても公知の手法を用いることができ、エポキシ樹脂へのα,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルの付加反応と同様な条件下で、継続反応させて目的物を得ることができる。多塩基酸及び/又はその無水物成分の付加量は、生成するカルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂の酸価が10~150mgKOH/gの範囲となるような程度であることが好ましく、さらに20~140mgKOH/gの範囲となるような程度であることが好ましい。前記下限値以上とすることでアルカリ現像性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性能が良好となる傾向がある。
【0086】
なお、この多塩基酸及び/又はその無水物の付加反応時に、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多価アルコールを添加し、多分岐構造を導入したものとしてもよい。
【0087】
カルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂は、通常、エポキシ樹脂とα,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物に、多塩基酸及び/又はその無水物を混合した後、もしくは、エポキシ樹脂とα,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物に、多塩基酸及び/又はその無水物並びに多価アルコールを混合した後に、加温することにより得られる。この場合、多塩基酸及び/又はその無水物と多価アルコールの混合順序に、特に制限はない。加温により、エポキシ樹脂とα,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物と多価アルコールとの混合物中に存在するいずれかの水酸基に対して多塩基酸及び/又はその無水物が付加反応する。
【0088】
カルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂としては、前述のもの以外に、韓国公開特許第10-2013-0022955号公報、韓国登録特許第10-0965189号公報、特開2005-165294号公報、特開2006-312704号公報に記載のもの等が挙げられる。
【0089】
エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は通常1,000以上、好ましくは1,500以上、より好ましくは2,000以上、さらに好ましくは2,500以上であり、通常10,000以下、好ましくは8,000以下、より好ましくは6,000以下、さらに好ましくは5,000以下、特に好ましくは4,000以下である。前記下限値以上とすることで現像液に対する溶解性が高くなりすぎるのを抑制できる傾向があり、前記上限値以下とすることで現像液に対する溶解性が良好なものとしやすい傾向がある。
【0090】
エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂の酸価は特に限定されないが、10mgKOH/g以上が好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましく、また、200mgKOH/g以下が好ましく、150mgKOH/g以下がより好ましく、100mgKOH/g以下がさらに好ましく、50mgKOH/g以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで適度な現像溶解性が得られる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像が進みすぎて膜溶解するのを抑制できる傾向がある。
【0091】
エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1)の化学構造は特に限定されないが、例えば、下記一般式(I)で表される部分構造(1)を有するエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-A)(以下、「エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-A)」と略記する場合がある。)が挙げられる。エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-A)は式(I)で表される部分構造中に(メタ)アクリロイルオキシ基を3個以上有するため、樹脂1分子中のエチレン性二重結合量が多く、当該樹脂を含む感光性着色組成物を用いて着色スペーサーを形成すると架橋密度が高くなり、溶剤への不純物の溶出が抑制されて高信頼性を確保でき、また、スペーサーの架橋密度が高くなることで機械的特性が向上する傾向がある。
【0092】
(部分構造(1))
【0093】
【化9】
【0094】
上記式(I)中、R1は水素原子又はメチル基を表す。R2、R3、R5及びR6は各々独立に、置換基を有していてもよいアルキレン基を表す。
4はn+1価の連結基を表す。
7は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
l及びmは各々独立に、0~12の整数を表す。
nは3以上の整数を表す。*は結合手を表す。
【0095】
(R2、R3、R5及びR6
前記式(I)において、R2、R3、R5及びR6は各々独立に、置換基を有していてもよいアルキレン基を表す。
アルキレン基は直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、それらの組み合わせでもよい。その炭素数は特に限定されないが、通常1以上、また、通常8以下、好ましくは6以下、より好ましくは4以下、さらに好ましくは2以下である。前記上限値以下とすることで他の成分との相溶性が良好となる傾向がある。
【0096】
アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、シクロヘキシレン基が挙げられ、他の成分との相溶性の観点からメチレン基又はエチレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
【0097】
アルキレン基が有していてもよい置換基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子(-F、-Cl、-Br、-I)、ヒドロキシ基、カルボキシル基等が挙げられ、合成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0098】
(R4
前記一般式(I)において、R4はn+1価の連結基を表す。n+1価の連結基の化学構造は特に限定されないが、置換基を有していてもよいn+1価の炭化水素基が挙げられる。炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよく、現像性の観点から脂肪族炭化水素基であることが好ましい。また、炭化水素基中の炭素-炭素単結合は、-O-、-CO-及び-NH-からなる群から選ばれる少なくとも1種で中断されていてもよい。
【0099】
n+1価の連結基の具体例としては以下のものが挙げられる。化学式中の*は結合手を表す。
【0100】
【化10】
【0101】
(R7
前記式(I)において、R7は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基又は置換基を有していてもよい2価の芳香族環基を表す。
【0102】
7におけるアルキレン基は直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、それらの組み合わせでもよい。その炭素数は特に限定されないが、通常1以上、好ましくは2以上、また、通常8以下、好ましくは6以下、より好ましくは4以下である。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0103】
アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基が挙げられ、硬化性の観点からメチレン基又はエチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
【0104】
アルキレン基が有していてもよい置換基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子(-F、-Cl、-Br、-I)、ヒドロキシ基、カルボキシル基等が挙げられ、硬化性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0105】
7におけるアルケニレン基は直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、それらの組み合わせでもよい。その炭素数は特に限定されないが、通常2以上、好ましくは4以上、また、通常8以下、好ましくは6以下である。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0106】
アルケニレン基の具体例としては、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、シクロへキセニレン基が挙げられ、硬化性の観点からエテニレン基又はシクロへキセニレン基が好ましく、エテニレン基がより好ましい。
【0107】
アルケニレン基が有していてもよい置換基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子(-F、-Cl、-Br、-I)、ヒドロキシ基、カルボキシル基等が挙げられ、硬化性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0108】
7における2価の芳香族環基としては、2価の芳香族炭化水素環基及び2価の芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下がよりさらに好ましく、10以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0109】
2価の芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族炭化水素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、2価の芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族複素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
2価の芳香族環基の中でも光硬化性の観点から、2個の遊離原子価を有するベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、2個の遊離原子価を有するベンゼン環がより好ましい。
【0110】
2価の芳香族環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子(-F、-Cl、-Br、-I)、ヒドロキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも硬化性の観点から、無置換が好ましい。
【0111】
これらの中でも硬化性の観点から、R7が置換基を有していてもよいアルキレン基であることが好ましく、無置換のアルキレン基であることがより好ましく、エチレン基であることがさらに好ましい。
【0112】
(l及びm)
前記一般式(I)において、l及びmは各々独立に、0~12の整数を表す。現像密着性の観点から、0以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましく、また、硬化性の観点から、8以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましく、4以下がさらに好ましく、2以下が特に好ましい。一方で、硬化性の観点からは0であることが好ましい。
【0113】
(n)
前記一般式(I)において、nは3以上の整数を表す。nは4以上が好ましく、5以上がより好ましく、また、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、7以下がさらに好ましく、6以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで硬化性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が良好となる傾向がある。
【0114】
(部分構造(2))
また、エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-A)は、現像溶解性の観点から、下記一般式(II)で表される部分構造(2)を有することが好ましい。
【0115】
【化11】
【0116】
上記式(II)中、R8は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。*は結合手を表す。
【0117】
(R8
前記式(II)において、R8は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基又は置換基を有していてもよい2価の芳香族環基を表す。
【0118】
8におけるアルキレン基は直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、それらの組み合わせでもよい。その炭素数は特に限定されないが、通常1以上、好ましくは2以上、また、通常8以下、好ましくは6以下である。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0119】
アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基が挙げられ、硬化性の観点からメチレン基又はエチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
【0120】
アルキレン基が有していてもよい置換基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子(-F、-Cl、-Br、-I)、ヒドロキシ基、カルボキシル基等が挙げられ、硬化性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0121】
8におけるアルケニレン基は直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、それらの組み合わせでもよい。その炭素数は特に限定されないが、通常2以上、好ましくは4以上、また、通常8以下、好ましくは6以下である。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0122】
アルケニレン基の具体例としては、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、シクロへキセニレン基が挙げられ、硬化性の観点からエテニレン基又はシクロへキセニレン基が好ましく、シクロへキセニレン基がより好ましい。
【0123】
アルケニレン基が有していてもよい置換基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子(-F、-Cl、-Br、-I)、ヒドロキシ基、カルボキシル基等が挙げられ、硬化性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0124】
8における2価の芳香族環基としては、2価の芳香族炭化水素環基及び2価の芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下がよりさらに好ましく、10以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0125】
2価の芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族炭化水素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、2価の芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族複素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。これらの中でも光硬化性の観点から、2個の遊離原子価を有するベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、2個の遊離原子価を有するベンゼン環がより好ましい。
【0126】
2価の芳香族環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子(-F、-Cl、-Br、-I)、ヒドロキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも硬化性の観点から、無置換が好ましい。
【0127】
これらの中でも硬化性の観点から、R8が置換基を有していてもよいアルケニレン基であることが好ましく、無置換のアルケニレン基であることがより好ましく、シクロへキセニレン基であることがさらに好ましい。
【0128】
前記式(II)で表される部分構造(2)の具体例としては、以下のものが挙げられる。化学式中の*は結合手を表す。
【0129】
【化12】
【0130】
(部分構造(3))
また、エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-A)は、硬化性の観点から、下記一般式(III)で表される部分構造(3)を有することが好ましい。
【0131】
【化13】
【0132】
上記式(III)中、R9はエポキシ樹脂残基を表す。pは1以上の整数を表す。*は結合手を表す。
【0133】
(R9
上記式(III)中、R9はエポキシ樹脂残基を表す。エポキシ樹脂残基とは、エポキシ樹脂からエポキシ基を除した残基を意味する。
ここで、エポキシ樹脂とは、前述と同義である。
【0134】
(p)
前記式(III)中、pは1以上の整数を表す。硬化性と現像溶解性の両立の観点から、pは2であることが好ましい。一方で、硬化性の観点から、pは2以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、10以上であることがさらに好ましく、また、現像溶解性の観点から20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、12以下であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることで硬化性が良好となる傾向があり、前記上限値以下とすることで現像溶解性が良好となる傾向がある。
【0135】
(部分構造(3-1))
前記一般式(III)で表される部分構造(3)は、現像溶解性の観点から、下記一般式(III-1)で表される部分構造(3-1)であることが好ましい。
【0136】
【化14】
【0137】
上記式(III-1)中、γは2価の連結基を表す。式(III-1)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。*は結合手を表す。
【0138】
(γ)
前記式(III-1)中、γは2価の連結基を表す。2価の連結基としては、現像溶解性の観点から、単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、-CO-又は-SO2-が挙げられる。
アルキレン基は直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、それらの組み合わせでもよい。その炭素数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、また、通常8以下、好ましくは6以下である。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0139】
アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ドデシレン基が挙げられ、硬化性の観点からメチレン基又はプロピレン基が好ましく、プロピレン基がより好ましい。
【0140】
アルキレン基が有していてもよい置換基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子(-F、-Cl、-Br、-I)、ヒドロキシ基、カルボキシル基等が挙げられ、硬化性の観点から、無置換であることが好ましい。
置換基を有する場合、その数は限定されず、1でもよく、2以上でもよい。
【0141】
また、アルキレン基におけるメチレン基(-CH2-)が有する2つの水素原子がいずれも置換基で置換されている場合、その2つの置換基同士が連結して炭化水素環を形成していてもよい。その場合のγの具体例としては下記式(IV)で表される基、下記式(V)で表される基が挙げられる。化学式中の*は結合手を表す。
【0142】
【化15】
【0143】
また、上記式(III-1)中のベンゼン環が有していてもよい任意の置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。また、上記式(III-1)中のベンゼン環が置換基を有する場合、式(III-1)中の2つのベンゼン環が、該置換基によって連結されていてもよい。
【0144】
これらの中でも、硬化性の観点から、γが置換基を有していてもよいアルキレン基であることが好ましく、無置換のアルキレン基であることがより好ましく、プロピレン基であることがさらに好ましい。
【0145】
(部分構造(3-2))
前記一般式(III)で表される部分構造(3)は、硬化性の観点から、下記一般式(III-2)で表される部分構造(3-2)であることが好ましい。
【0146】
【化16】
【0147】
上記式(III-2)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。*は結合手を表す。
【0148】
上記式(III-2)中のベンゼン環が有していてもよい任意の置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。これらの中でも、現像密着性の観点から、アルキル基が好ましく、シクロアルキル基がより好ましく、アダマンチル基がさらに好ましい。
【0149】
(部分構造(3-3))
前記一般式(III)で表される部分構造(3)は、硬化性の観点から、下記一般式(III-3)で表される部分構造(3-3)を含むことが好ましい。
【0150】
【化17】
【0151】
上記式(III-3)中、R10は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。式(III-3)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。*は結合手を表す。
【0152】
(R10
前記式(III-3)において、R10は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。
2価の炭化水素基としては、2価の脂肪族基、2価の芳香族環基、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基が挙げられる。
【0153】
2価の脂肪族基は、直鎖状、分岐鎖状、環状、それらを組み合わせたものが挙げられる。これらの中でも現像溶解性の観点からは直鎖状のものが好ましく、一方で現像密着性の観点からは環状のものが好ましい。その炭素数は通常1以上であり、3以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0154】
2価の直鎖状脂肪族基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基等が挙げられる。これらの中でも硬化性の観点から、メチレン基が好ましい。
2価の分岐鎖状脂肪族基の具体例としては、前述の2価の直鎖状脂肪族基に、側鎖としてメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等を有する構造が挙げられる。
2価の環状の脂肪族基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、また、通常10以下、5以下が好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。2価の環状の脂肪族基の具体例としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環等の環から水素原子を2つ除した基が挙げられる。これらの中でも骨格の剛直性の観点から、アダマンタン環から水素原子を2つ除した基が好ましい。
【0155】
2価の脂肪族基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0156】
また、2価の芳香族環基としては、2価の芳香族炭化水素環基及び2価の芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0157】
2価の芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族炭化水素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、2価の芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族複素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
これらの中でも光硬化性の観点から、2個の遊離原子価を有するベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、2個の遊離原子価を有するベンゼン環がより好ましい。
【0158】
2価の芳香族環基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。これらの中でも硬化性の観点から、無置換が好ましい。
【0159】
また、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基としては、前述の2価の脂肪族基を1以上と、前述の2価の芳香族環基を1以上とを連結した基が挙げられる。
2価の脂肪族基の数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、通常10以下、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで硬化性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
2価の芳香族環基の数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、通常10以下、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで硬化性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0160】
1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基の具体例としては、下記式(III-3-A)~(III-3-E)で表される基等が挙げられる。これらの中でも現像溶解性の観点から、下記式(III-3-A)で表される基が好ましい。化学式中の*は結合手を表す。
【0161】
【化18】
【0162】
前記のとおり、式(III-3)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
これらの中でも硬化性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0163】
(部分構造(3-4))
前記一般式(III)で表される部分構造(3)は、硬化性の観点から、下記一般式(III-4)で表される部分構造(3-4)を含むことが好ましい。
【0164】
【化19】
【0165】
上記式(III-4)中、γは2価の連結基を表す。式(III-4)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。*は結合手を表す。
【0166】
前記式(III-4)におけるγとしては、前記式(III-1)におけるγとして記載したものを好ましく採用することができる。
また、前記式(III-4)中のベンゼン環が有していてもよい任意の置換基としては、前記式(III-1)中のベンゼン環が有していてもよい任意の置換基として記載したものを好ましく採用することができる。
【0167】
エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-A)は、部分構造(3-1)~(3-4)の中でも、現像溶解性の観点から、部分構造(3-1)を有するものであることが好ましい。
【0168】
エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-A)の具体的な製造方法としては、特開2007-119718号公報に記載の方法を採用することができる。
【0169】
またエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂として、硬化性の観点から、下記式(i)で表される部分構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-B)(以下、「エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-B)」と略記する場合がある。)や、下記一般式(ii)で表される部分構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-C)(以下、「エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-C)」と略記する場合がある。)が好ましい。また、信頼性の観点からは、エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-C)がより好ましい。
【0170】
【化20】
【0171】
式(i)中、Raは水素原子又はメチル基を表し、Rbは置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。式(i)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。*は結合手を表す。
【0172】
【化21】
【0173】
式(ii)中、Rcは各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。Rdは、環状炭化水素基を側鎖として有する2価の炭化水素基を表す。*は結合手を表す。
【0174】
(Rb
前記式(i)において、Rbは置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。
2価の炭化水素基としては、2価の脂肪族基、2価の芳香族環基、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基が挙げられる。
【0175】
2価の脂肪族基は、直鎖状、分岐鎖状、環状、これらを組み合わせたものが挙げられる。これらの中でも現像溶解性の観点からは直鎖状のものが好ましく、一方で現像密着性の観点からは環状のものが好ましい。その炭素数は通常1以上であり、3以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0176】
2価の直鎖状脂肪族基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基等が挙げられる。これらの中でも硬化性の観点から、メチレン基が好ましい。
2価の分岐鎖状脂肪族基の具体例としては、前述の2価の直鎖状脂肪族基に、側鎖としてメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等を有する構造が挙げられる。
2価の環状の脂肪族基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、また、通常10以下、5以下が好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。2価の環状の脂肪族基の具体例としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環等の環から水素原子を2つ除した基が挙げられる。これらの中でも骨格の剛直性の観点から、アダマンタン環から水素原子を2つ除した基が好ましい。
【0177】
2価の脂肪族基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0178】
また、2価の芳香族環基としては、2価の芳香族炭化水素環基及び2価の芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0179】
2価の芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族炭化水素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、2価の芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族複素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。これらの中でも光硬化性の観点から、2個の遊離原子価を有するベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、2個の遊離原子価を有するベンゼン環がより好ましい。
【0180】
2価の芳香族環基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。これらの中でも硬化性の観点から、無置換が好ましい。
【0181】
また、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基としては、前述の2価の脂肪族基を1以上と、前述の2価の芳香族環基を1以上とを連結した基が挙げられる。
2価の脂肪族基の数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、通常10以下、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
2価の芳香族環基の数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、通常10以下、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで硬化性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0182】
1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基の具体例としては、下記式(i-A)~(i-E)で表される基等が挙げられる。これらの中でも現像溶解性の観点から、下記式(i-A)で表される基が好ましい。化学式中の*は結合手を表す。
【0183】
【化22】
【0184】
前記のとおり、式(i)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
これらの中でも硬化性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0185】
また、前記一般式(i)で表される部分構造は、硬化性の観点から、下記一般式(i-1)で表される部分構造であることが好ましい。
【0186】
【化23】
【0187】
式(i-1)中、Ra及びRbは、前記式(i)のものと同義である。RXは水素原子又は多塩基酸残基を表す。*は結合手を表す。式(i-1)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。
【0188】
多塩基酸残基とは、多塩基酸又はその無水物からOH基を1つ除した1価の基を意味する。多塩基酸としては、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸から選ばれた1種又は2種以上が挙げられる。
これらの中でもパターニング特性の観点から、多塩基酸としては、好ましくは、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸であり、より好ましくは、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸である。
【0189】
エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-B)1分子中に含まれる、前記式(i-1)で表される部分構造は、1種でも2種以上でもよく、例えば、RXが水素原子のものと、RXが多塩基酸残基のものが混在していてもよい。
【0190】
また、エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-B)1分子中に含まれる、前記式(i)で表される部分構造の数は特に限定されないが、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで硬化性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が良好となる傾向がある。
【0191】
以下にエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-B)の具体例を挙げる。
【0192】
【化24】
【0193】
【化25】
【0194】
【化26】
【0195】
【化27】
【0196】
(Rd
前記式(ii)において、Rdは、環状炭化水素基を側鎖として有する2価の炭化水素
基を表す。
環状炭化水素基としては、脂肪族環基又は芳香族環基が挙げられる。
【0197】
脂肪族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、また、通常10以下、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
また、脂肪族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
脂肪族環基における脂肪族環の具体例としてはシクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環等が挙げられる。これらの中でも信頼性の観点から、アダマンタン環が好ましい。
【0198】
一方で、芳香族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、通常10以下、5以下が好ましく、4以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられる。また、芳香族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上がよりさらに好ましく、12以上が特に好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
芳香族環基における芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの中でもパターニング特性の観点から、フルオレン環が好ましい。
【0199】
また、環状炭化水素基を側鎖として有する2価の炭化水素基における、2価の炭化水素基は特に限定されないが、例えば、2価の脂肪族基、2価の芳香族環基、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基が挙げられる。
【0200】
2価の脂肪族基は、直鎖状、分岐鎖状、環状、これらを組み合わせたものが挙げられる。これらの中でも相溶性の観点からは直鎖状のものが好ましく、一方で信頼性の観点からは環状のものが好ましい。その炭素数は通常1以上であり、3以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、25以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0201】
2価の直鎖状脂肪族基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基等が挙げられる。これらの中でも硬化性の観点から、メチレン基が好ましい。
2価の分岐鎖状脂肪族基の具体例としては、前述の2価の直鎖状脂肪族基に、側鎖としてメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等を有する構造が挙げられる。
2価の環状の脂肪族基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、また、通常10以下、5以下、さらに好ましくは3以下が好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。2価の環状の脂肪族基の具体例としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環等の環から水素原子を2つ除した基が挙げられる。これらの中でも信頼性の観点から、アダマンタン環から水素原子を2つ除した基が好ましい。
【0202】
2価の脂肪族基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0203】
また、2価の芳香族環基としては、2価の芳香族炭化水素環基及び2価の芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0204】
2価の芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族炭化水素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。2価の芳香族複素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
2価の芳香族環基の中でもパターニング特性の観点から、2個の遊離原子価を有するベンゼン環、2個の遊離原子価を有するナフタレン環、又は2個遊離原子価を有するフルオレン環が好ましく、2個の遊離原子価を有するフルオレン環がより好ましい。
【0205】
2価の芳香族環基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。これらの中でも現像溶解性、耐吸湿性の観点から、無置換が好ましい。
【0206】
また、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基としては、前述の2価の脂肪族基を1以上と、前述の2価の芳香族環基を1以上とを連結した基が挙げられる。
2価の脂肪族基の数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、通常10以下、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
2価の芳香族環基の数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、通常10以下、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0207】
1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基の具体例としては、前記式(i-A)~(i-E)で表される基等が挙げられる。これらの中でも信頼性の観点から、前記式(i-C)で表される基が好ましい。
【0208】
これらの2価の炭化水素基に対して、側鎖である環状炭化水素基の結合態様は特に限定されないが、例えば、脂肪族基や芳香族環基の水素原子1つを該側鎖で置換した態様や、脂肪族基の炭素原子の1つを含めて側鎖である環状炭化水素基を構成した態様が挙げられる。
【0209】
また、前記式(ii)で表される部分構造は、相溶性の観点から、下記式(ii-1)で表される部分構造であることが好ましい。
【0210】
【化28】
【0211】
式(ii-1)中、Rcは前記式(ii)と同義である。Rαは、置換基を有していてもよい1価の環状炭化水素基を表す。nは1以上の整数である。式(ii-1)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。*は結合手を表す。
【0212】
(Rα
前記式(ii-1)において、Rαは、置換基を有していてもよい1価の環状炭化水素基を表す。
環状炭化水素基としては、脂肪族環基又は芳香族環基が挙げられる。
【0213】
脂肪族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、また、通常6以下、4以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
また、脂肪族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
脂肪族環基における脂肪族環の具体例としてはシクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環等が挙げられる。これらの中でも相溶性の観点から、アダマンタン環が好ましい。
【0214】
一方で、芳香族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、通常10以下、5以下が好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられる。また、芳香族環基の炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
芳香族環基における芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの中でも信頼性の観点から、フルオレン環が好ましい。
【0215】
環状炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、アミル基、iso-アミル基等の炭素数1~5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成の容易性の観点から、無置換が好ましい。
【0216】
nは1以上の整数を表すが、2以上が好ましく、また、3以下が好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0217】
これらの中でも、相溶性の観点から、Rαが1価の脂肪族環基であることが好ましく、アダマンチル基であることがより好ましい。
【0218】
前記のとおり、式(ii-1)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
これらの中でもパターニング特性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0219】
以下に前記式(ii-1)で表される部分構造の具体例を挙げる。
【0220】
【化29】
【0221】
【化30】
【0222】
【化31】
【0223】
【化32】
【0224】
【化33】
【0225】
また、前記一般式(ii)で表される部分構造は、信頼性の観点から、下記一般式(ii-2)で表される部分構造であることが好ましい。
【0226】
【化34】
【0227】
式(ii-2)中、Rcは前記式(ii)と同義である。Rβは、置換基を有していてもよい2価の環状炭化水素基を表す。式(ii-2)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。*は結合手を表す。
【0228】
(Rβ
前記式(ii-2)において、Rβは、置換基を有していてもよい2価の環状炭化水素基を表す。
環状炭化水素基としては、脂肪族環基又は芳香族環基が挙げられる。
【0229】
脂肪族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、また、通常10以下、5以下が好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
また、脂肪族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、また、40以下が好ましく、35以下がより好ましく、30以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
脂肪族環基における脂肪族環の具体例としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環等が挙げられる。これらの中でも相溶性の観点から、アダマンタン環が好ましい。
【0230】
一方で、芳香族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、通常10以下、5以下が好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられるまた、芳香族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上がさらに好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像密着性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
芳香族環基における芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの中でも信頼性の観点から、フルオレン環が好ましい。
【0231】
環状炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、アミル基、iso-アミル基等の炭素数1~5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成の簡易性の観点から、無置換が好ましい。
【0232】
これらの中でも、相溶性の観点から、Rβが2価の脂肪族環基であることが好ましく、2価のアダマンタン環基であることがより好ましい。
一方で、信頼性の観点から、Rβが2価の芳香族環基であることが好ましく、2価のフルオレン環基であることがより好ましい。
【0233】
前記のとおり、式(ii-2)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。また、これらの置換基を介して、式(ii-2)中の2つのベンゼン環が連結されていてもよい。
これらの中でもパターニング特性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0234】
以下に前記式(ii-2)で表される部分構造の具体例を挙げる。
【0235】
【化35】
【0236】
【化36】
【0237】
【化37】
【0238】
【化38】
【0239】
一方で、前記一般式(ii)で表される部分構造は、相溶性の観点から、下記一般式(ii-3)で表される部分構造であることが好ましい。
【0240】
【化39】
【0241】
式(ii-3)中、Rc及びRdは前記式(ii)と同義である。RZは水素原子又は多塩基酸残基を表す。
【0242】
多塩基酸残基とは、多塩基酸又はその無水物からOH基を1つ除した1価の基を意味する。なお、さらにもう1つのOH基が除され、式(ii-3)で表される他の分子におけるRZと共用されていてもよく、つまり、RZを介して複数の式(ii-3)が連結していてもよい。
多塩基酸としては、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸から選ばれた1種又は2種以上が挙げられる。
これらの中でもパターニング特性の観点から、多塩基酸としては、好ましくは、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸であり、より好ましくは、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸である。
【0243】
エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-C)1分子中に含まれる、前記式(ii-3)で表される部分構造は、1種でも2種以上でもよく、例えば、RXが水素原子のものと、RZが多塩基酸残基のものが混在していてもよい。
【0244】
また、エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1-C)1分子中に含まれる、前記式(ii)で表される部分構造の数は特に限定されないが、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで硬化性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が良好となる傾向がある。
【0245】
エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1)は、1種を単独で用いても、2種以上の樹脂を混合して用いてもよい。
また、前述のエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1)の一部を、他のバインダー樹脂に置き換えて用いてもよい。即ち、エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1)と他のバインダー樹脂を併用してもよい。この場合において、(b)アルカリ可溶性樹脂におけるエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1)の割合を5質量%以上とすることが好ましく、10質量%以上とすることがより好ましく、20質量%以上とすることがさらに好ましく、30質量%以上とすることがよりさらに好ましく、40質量%以上とすることが特に好ましく、50質量%以上とすることが最も好ましい。また90質量%以下とすることが好ましく、80質量%以下とすることがより好ましく、70質量%以下とすることがさらに好ましく、60質量%以下とすることが特に好ましい。
【0246】
エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂(b1)と併用しうる他のバインダー樹脂に制限は無く、感光性着色組成物に通常使用される樹脂から選択すればよい。例えば、特開2007-271727号公報、特開2007-316620号公報、特開2007-334290号公報などに記載のバインダー樹脂などが挙げられる。また、信頼性や表面平滑性の観点から、国際公開第2017/110893号に記載されている(メタ)アクリル共重合樹脂が好ましく挙げられる。なお、他のバインダー樹脂はいずれも、1種類を単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0247】
また、(b)アルカリ可溶性樹脂として、着色剤や分散剤等との相溶性の観点から、(b2)アクリル系樹脂を用いることが好ましい。
【0248】
アクリル系樹脂としては、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b2-1)」という。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b2-2)」という。)との共重合体を挙げることができる。
不飽和単量体(b2-1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α-クロルアクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物;コハク酸モノ〔2-(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2-(メタ)アクリロイロキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル;ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート;p-ビニル安息香酸等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b2-1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0249】
また、不飽和単量体(b2-2)としては、例えば、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のN-位置換マレイミド;スチレン、α-メチルスチレン、p-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレン等の芳香族ビニル化合物;
【0250】
メチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(重合度2~10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(重合度2~10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2~10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2~10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3-〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3-〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕-3-エチルオキセタン等の(メタ)アクリル酸エステル;
【0251】
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3-(ビニルオキシメチル)-3-エチルオキセタン等のビニルエーテル;ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ-n-ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b2-2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0252】
不飽和単量体(b2-1)と不飽和単量体(b2-2)の共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(b1)の共重合割合は、好ましくは5~50質量%、さらに好ましくは10~40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(b2-1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた感光性着色組成物を得ることができる傾向がある。
【0253】
不飽和単量体(b2-1)と不飽和単量体(b2-2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7-140654号公報、特開平8-259876号公報、特開平10-31308号公報、特開平10-300922号公報、特開平11-174224号公報、特開平11-258415号公報、特開2000-56118号公報、特開2004-101728号公報等に開示されている共重合体を挙げることができる。
不飽和単量体(b2-1)と不飽和単量体(b2-2)の共重合体は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003-222717号公報、特開2006-259680号公報、国際公開第2007/029871号等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0254】
<(c)光重合開始剤>
(c)光重合開始剤は、光を直接吸収し、分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。必要に応じて重合促進剤(連鎖移動剤)、増感色素等の付加剤を添加して使用してもよい。
光重合開始剤としては、例えば、特開昭59-152396号公報、特開昭61-151197号公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物;特開2000-56118号公報に記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体類;特開平10-39503号公報記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体類、ハロメチル-s-トリアジン誘導体類、N-フェニルグリシン等のN-アリール-α-アミノ酸類、N-アリール-α-アミノ酸塩類、N-アリール-α-アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α-アミノアルキルフェノン誘導体類;特開2000-80068号公報、特開2006-36750号公報等に記載されているオキシムエステル系化合物等が挙げられる。
【0255】
具体的には、例えば、メタロセン化合物としては、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロリド、ジシクロペンタジエニルチタニウムビスフェニル、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4,6-トリフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,6-ジフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,4-ジフルオロフェニル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,6-ジフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス〔2,6-ジフルオロ-3-(1-ピロリル)フェニル〕等が挙げられる。
【0256】
また、ビイミダゾール誘導体類としては、2-(2’-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-(2’-クロロフェニル)-4,5-ビス(3’-メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2-(2’-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-(2’-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、(4’-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体等が挙げられる。
【0257】
また、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体類としては、2-トリクロロメチル-5-(2’-ベンゾフリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2’-ベンゾフリル)ビニル〕-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2’-(6’’-ベンゾフリル)ビニル)〕-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-フリル-1,3,4-オキサジアゾール等が挙げられる。
【0258】
また、ハロメチル-s-トリアジン誘導体類としては、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシカルボニルナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等が挙げられる。
【0259】
また、α-アミノアルキルフェノン誘導体類としては、2-メチル-1〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、4-ジメチルアミノエチルベンゾエ-ト、4-ジメチルアミノイソアミルベンゾエ-ト、4-ジエチルアミノアセトフェノン、4-ジメチルアミノプロピオフェノン、2-エチルヘキシル-1,4-ジメチルアミノベンゾエート、2,5-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7-ジエチルアミノ-3-(4-ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4-(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
【0260】
光重合開始剤としては、特に、感度や製版性の点でオキシムエステル系化合物が有効であり、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を用いる場合などは、感度の点で不利になるため、特にこのような感度に優れたオキシムエステル系化合物が有用である。オキシムエステル系化合物は、その構造の中に紫外線を吸収する構造と光エネルギーを伝達する構造とラジカルを発生する構造を併せ持っているために、少量で感度が高く、かつ、熱反応に対して安定であり、少量で高感度な感光性着色組成物を得ることが可能である。
【0261】
オキシムエステル系化合物としては、例えば、下記一般式(IV)で表される化合物が挙げられる。
【0262】
【化40】
【0263】
上記式(IV)中、R21aは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は、置換基を有していてもよい芳香族環基を示す。
21bは芳香環を含む任意の置換基を示す。
22aは、置換基を有していてもよいアルカノイル基、又は、置換基を有していてもよいアリーロイル基を示す。
nは0又は1の整数を示す。
【0264】
21aにおけるアルキル基の炭素数は特に限定されないが、溶媒への溶解性や感度の観点から、通常1以上、好ましくは2以上、また、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロペンチルエチル基、プロピル基等が挙げられる。
アルキル基が有していてもよい置換基としては、芳香族環基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、4-(2-メトキシ-1-メチル)エトキシ-2-メチルフェニル基又はN-アセチル-N-アセトキシアミノ基などが挙げられ、合成容易性の観点からは、無置換であることが好ましい。
【0265】
21aにおける芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。芳香族環基の炭素数は特に限定されないが、感光性着色組成物への溶解性の観点から5以上であることが好ましい。また、現像性の観点から30以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、12以下であることがさらに好ましい。
【0266】
芳香族環基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、フリル基などが挙げられ、これらの中でも現像性の観点から、フェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、アルキル基、アルコキシ基、これらの置換基が連結した基などが挙げられ、現像性の観点からアルキル基、アルコキシ基、これらを連結した基が好ましく、連結したアルコキシ基がより好ましい。
これらの中でも、現像性の観点から、R21aが置換基を有していてもよい芳香族環基であることが好ましく、連結したアルコキシ基を置換基に有する芳香族環基であることがさらに好ましい。
【0267】
また、R21bとしては、好ましくは置換されていてもよいカルバゾリル基、置換されていてもよいチオキサントニル基又は置換されていてもよいジフェニルスルフィド基が挙げられる。これらの中でも、感度の観点から、置換されていてもよいカルバゾリル基が好ましい。
【0268】
また、R22aにおけるアルカノイル基の炭素数は特に限定されないが、溶媒への溶解性や感度の観点から、通常2以上、好ましくは3以上、また、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。アルカノイル基の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基等が挙げられる。
アルカノイル基が有していてもよい置換基としては、芳香族環基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基などが挙げられ、合成容易性の観点からは、無置換であることが好ましい。
【0269】
また、R22aにおけるアリーロイル基の炭素数は特に限定されないが、溶媒への溶解性や感度の観点から、通常7以上、好ましくは8以上、また、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下である。アリーロイル基の具体例としては、ベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる。
アリーロイル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、アルキル基などが挙げられ、合成容易性の観点からは、無置換であることが好ましい。
これらの中でも、感度の観点から、R22aが置換基を有していてもよいアルカノイル基であることが好ましく、無置換のアルカノイル基であることがより好ましく、アセチル基であることがさらに好ましい。
【0270】
また特開2016-133574号公報に記載される開始剤も、着色剤による液晶層の汚染が低減されるという点からも好適も用いられる。
【0271】
光重合開始剤は、1種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
光重合開始剤には、必要に応じて、感応感度を高める目的で、画像露光光源の波長に応じた増感色素、重合促進剤を配合させることができる。増感色素としては、特開平4-221958号公報、特開平4-219756号公報に記載のキサンテン色素、特開平3-239703号公報、特開平5-289335号公報に記載の複素環を有するクマリン色素、特開平3-239703号公報、特開平5-289335号公報に記載の3-ケトクマリン化合物、特開平6-19240号公報に記載のピロメテン色素、その他、特開昭47-2528号公報、特開昭54-155292号公報、特公昭45-37377号公報、特開昭48-84183号公報、特開昭52-112681号公報、特開昭58-15503号公報、特開昭60-88005号公報、特開昭59-56403号公報、特開平2-69号公報、特開昭57-168088号公報、特開平5-107761号公報、特開平5-210240号公報、特開平4-288818号公報に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
【0272】
これらの増感色素のうち好ましいものは、アミノ基含有増感色素であり、さらに好ましいものは、アミノ基及びフェニル基を同一分子内に有する化合物である。特に、好ましいのは、例えば、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、2-アミノベンゾフェノン、4-アミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,4-ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2-(p-ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[4,5]ベンゾオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[6,7]ベンゾオキサゾール、2,5-ビス(p-ジエチルアミノフェニル)-1,3,4-オキサゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2-(p-ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2-(p-ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2,5-ビス(p-ジエチルアミノフェニル)-1,3,4-チアジアゾール、(p-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p-ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p-ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p-ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p-ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p-ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等のp-ジアルキルアミノフェニル基含有化合物等である。このうち最も好ましいものは、4,4’-ジアルキルアミノベンゾフェノンである。
増感色素は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0273】
重合促進剤としては、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル等の芳香族アミン、n-ブチルアミン、N-メチルジエタノールアミン等の脂肪族アミン、後述するメルカプト化合物等が用いられる。
重合促進剤は、1種類を単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0274】
<(d)エチレン性不飽和化合物>
本発明の感光性着色組成物は、(d)エチレン性不飽和化合物を含む。(d)エチレン性不飽和化合物を含むことで、感度が向上する。
本発明に用いられるエチレン性不飽和化合物は、分子内にエチレン性不飽和基を少なくとも1個有する化合物である。具体的には、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン、及びエチレン性不飽和結合を1個有するカルボン酸と、多価又は1価アルコールのモノエステル、等が挙げられる。
【0275】
本発明においては、特に、1分子中にエチレン性不飽和基を2個以上有する多官能エチレン性単量体を使用することが望ましい。多官能エチレン性単量体が有するエチレン性不飽和基の数は特に限定されないが、通常2個以上であり、好ましくは4個以上であり、より好ましくは5個以上であり、また、好ましくは8個以下であり、より好ましくは7個以下である。前記下限値以上とすることで高感度となる傾向があり、前記上限値以下とすることで溶媒への溶解性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、2~8個が好ましく、4~7個がより好ましく、5~7個がさらに好ましい。
多官能エチレン性単量体の例としては、例えば脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物と、不飽和カルボン酸及び多塩基性カルボン酸とのエステル化反応により得られるエステルなどが挙げられる。
【0276】
前記脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等の脂肪族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル、これら例示化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル、クロネートに代えたクロトン酸エステルもしくはマレエートに代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0277】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等の芳香族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル等が挙げられる。
【0278】
多塩基性カルボン酸及び不飽和カルボン酸と、多価ヒドロキシ化合物のエステル化反応により得られるエステルとしては必ずしも単一物ではないが、代表的な具体例を挙げれば、アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
【0279】
その他、本発明に用いられる多官能エチレン性単量体の例としては、ポリイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル又はポリイソシアネート化合物とポリオール及び水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させて得られるようなウレタン(メタ)アクリレート類;多価エポキシ化合物とヒドロキシ(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸との付加反応物のようなエポキシアクリレート類;エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が有用である。
【0280】
上記ウレタン(メタ)アクリレート類としては、例えば、DPHA-40H、UX-5000、UX-5002D-P20、UX-5003D、UX-5005(日本化薬社製)、U-2PPA、U-6LPA、U-10PA、U-33H、UA-53H、UA-32P、UA-1100H(新中村化学工業社製)、UA-306H、UA-510H、UF-8001G(共栄社化学社製)、UV-1700B、UV-7600B、UV-7605B、UV-7630B、UV7640B(日本合成化学工業社製)等が挙げられる。
【0281】
これらの中でも、硬化性の観点から(d)エチレン性不飽和化合物として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることが好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いることがより好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0282】
<(e)溶剤>
本発明の感光性着色組成物は、(e)溶剤を含んでいてもよい。(e)溶剤を含むことで、顔料を溶剤中に分散でき、また、塗布が容易となる傾向がある。
本発明の感光性着色組成物は、通常、(a)着色剤、(b)アルカリ可溶性樹脂、(c)光重合開始剤、及び(d)エチレン性不飽和化合物、並びに必要に応じて使用されるその他の各種成分が、溶剤に溶解又は分散した状態で使用される。溶剤の中でも、分散性や塗布性の観点から有機溶剤が好ましい。
【0283】
有機溶剤の中でも、塗布性の観点から沸点が100~300℃の範囲のものを選択することが好ましく、沸点が120~280℃の範囲のものを選択することがより好ましい。なお、ここでいう沸点は、圧力1013.25hPaにおける沸点を意味し、以下沸点に関してはすべて同様である。
【0284】
このような有機溶剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコール-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
【0285】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
エチレングリコールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;
シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;
アミルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
【0286】
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;
n-ペンタン、n-オクタン、ジイソブチレン、n-ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
【0287】
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、γ-ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3-メトキシプロピオン酸、3-エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロリド、アミルクロリドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等。
【0288】
上記に該当する市販の有機溶剤としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ(「セロソルブ」は登録商標。以下同じ。)、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。
これらの有機溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0289】
フォトリソグラフィー法にて着色スペーサーを形成する場合、有機溶剤としては沸点が100~200℃の範囲のものを選択することが好ましい。より好ましくは120~170℃の沸点を持つものである。
【0290】
上記有機溶剤のうち、塗布性、表面張力などのバランスが良く、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
また、グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよいが、他の有機溶剤を併用してもよい。併用する有機溶剤として、特に好ましいのはグリコールモノアルキルエーテル類である。中でも、特に組成物中の構成成分の溶解性からプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。なお、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、添加量が多すぎると顔料が凝集しやすく、後に得られる感光性着色組成物の粘度が上がっていくなどの保存安定性が低下する傾向があるので、溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は5質量%~30質量%が好ましく、5質量%~20質量%がより好ましい。
【0291】
また、150℃以上の沸点をもつ有機溶剤(以下「高沸点溶剤」と称す場合がある。)を併用することも好ましい。このような高沸点溶剤を併用することにより、感光性着色組成物は乾きにくくなるが、組成物中における顔料の均一な分散状態が、急激な乾燥により破壊されることを防止する効果がある。すなわち、例えばスリットノズル先端における、着色剤などの析出・固化による異物欠陥の発生を防止する効果がある。このような効果が高い点から、上述の各種溶剤の中でも、特にジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましい。
【0292】
高沸点溶剤を併用する場合、有機溶剤中の高沸点溶剤の含有割合は、3質量%~50質量%が好ましく、5質量%~40質量%がより好ましく、5質量%~30質量%が特に好ましい。前記下限値以上とすることで、例えばスリットノズル先端で着色剤などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こすのを抑制できる傾向があり、また前記上限値以下とすることで組成物の乾燥温度が遅くなるのを抑制し、減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡といった問題を抑制できる傾向がある。
【0293】
なお、沸点150℃以上の高沸点溶剤が、グリコールアルキルエーテルアセテート類であってもよく、またグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の高沸点溶剤を別途含有させなくてもかまわない。
好ましい高沸点溶剤として、例えば前述の各種溶剤の中ではジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサノールジアセテート、トリアセチンなどが挙げられる。
【0294】
<(f)分散剤>
本発明の感光性着色組成物においては、(a)着色剤を微細に分散させてその分散状態を安定化させる目的で(f)分散剤を含んでいてもよい。
(f)分散剤としては、官能基を有する高分子分散剤が好ましく、さらに、分散安定性の面からカルボキシル基;リン酸基;スルホン酸基;又はこれらの塩基;一級、二級又は三級アミノ基;四級アンモニウム塩基;ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素ヘテロ環由来の基、等の官能基を有する高分子分散剤が好ましい。中でも特に、一級、二級又は三級アミノ基;四級アンモニウム塩基;ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素ヘテロ環由来の基、等の塩基性官能基を有する高分子分散剤が顔料を分散する際に少量の分散剤で分散することができるとの観点から特に好ましい。
【0295】
また、高分子分散剤としては、例えばウレタン系分散剤、アクリル系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリアリルアミン系分散剤、アミノ基を持つモノマーとマクロモノマーからなる分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンジエステル系分散剤、ポリエーテルリン酸系分散剤、ポリエステルリン酸系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。
【0296】
このような分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(登録商標。BASF社製。)、DISPERBYK(登録商標。ビックケミー社製。)、ディスパロン(登録商標。楠本化成社製。)、SOLSPERSE(登録商標。ルーブリゾール社製。)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社化学社製)、アジスパー(登録商標。味の素社製。)等を挙げることができる。
これらの高分子分散剤は1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0297】
高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は通常700以上、好ましくは1000以上であり、また通常100,000以下、好ましくは50,000以下である。
これらの内、顔料の分散性の観点から、(f)分散剤は官能基を有するウレタン系高分子分散剤及び/又はアクリル系高分子分散剤を含むことが好ましく、アクリル系高分子分散剤を含むことが特に好ましい。
また分散性、保存性の面から、塩基性官能基を有し、ポリエステル結合及び/又はポリエーテル結合を有する高分子分散剤が好ましい。
【0298】
ウレタン系及びアクリル系高分子分散剤としては、例えばDISPERBYK160~166、182シリーズ(いずれもウレタン系)、DISPERBYK2000、2001、BYK-LPN21116等(いずれもアクリル系)(以上すべてビックケミー社製)が挙げられる。
ウレタン系高分子分散剤として好ましい化学構造を具体的に例示するならば、例えば、ポリイソシアネート化合物と、分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300~10,000の化合物と、分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物とを反応させることによって得られる、重量平均分子量1,000~200,000の分散樹脂等が挙げられる。これらをベンジルクロリド等の四級化剤で処理することで、3級アミノ基の全部又は一部を4級アンモニウム塩基にすることができる。
【0299】
上記のポリイソシアネート化合物の例としては、パラフェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ω,ω’-ジイソシネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニルメタン)、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等のトリイソシアネート、及びこれらの三量体、水付加物、及びこれらのポリオール付加物等が挙げられる。ポリイソシアネートとして好ましいのは有機ジイソシアネートの三量体で、最も好ましいのはトリレンジイソシアネートの三量体とイソホロンジイソシアネートの三量体である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0300】
イソシアネートの三量体の製造方法としては、前記ポリイソシアネート類を適当な三量化触媒、例えば第3級アミン類、ホスフィン類、アルコキシド類、金属酸化物、カルボン酸塩類等を用いてイソシアネート基の部分的な三量化を行い、触媒毒の添加により三量化を停止させた後、未反応のポリイソシアネートを溶剤抽出、薄膜蒸留により除去して目的のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを得る方法が挙げられる。
【0301】
分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300~10,000の化合物としては、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリオレフィングリコール等、及びこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1~25のアルキル基でアルコキシ化されたもの及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルグリコールとしては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。ポリエーテルジオールとしては、アルキレンオキシドを単独又は共重合させて得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン-プロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシオクタメチレングリコール及びそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0302】
ポリエーテルエステルジオールとしては、エーテル基含有ジオールもしくは他のグリコールとの混合物をジカルボン酸又はそれらの無水物と反応させるか、又はポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させることによって得られるもの、例えばポリ(ポリオキシテトラメチレン)アジペート等が挙げられる。ポリエーテルグリコールとして最も好ましいのはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール又はこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1~25のアルキル基でアルコキシ化された化合物である。
【0303】
ポリエステルグリコールとしては、ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等)又はそれらの無水物とグリコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,8-オクタメチレングリコール、2-メチル-1,8-オクタメチレングリコール、1,9-ノナンジオール等の脂肪族グリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、N-メチルジエタノールアミン等のN-アルキルジアルカノールアミン等)とを重縮合させて得られたもの、例えばポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレン/プロピレンアジペート等、又は前記ジオール類又は炭素数1~25の1価アルコールを開始剤として用いて得られるポリラクトンジオール又はポリラクトンモノオール、例えばポリカプロラクトングリコール、ポリメチルバレロラクトン及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。ポリエステルグリコールとして最も好ましいのはポリカプロラクトングリコール又は炭素数1~25のアルコールを開始剤としたポリカプロラクトンである。
【0304】
ポリカーボネートグリコールとしては、ポリ(1,6-ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレン)カーボネート等、ポリオレフィングリコールとしてはポリブタジエングリコール、水素添加型ポリブタジエングリコール、水素添加型ポリイソプレングリコール等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0305】
分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物の数平均分子量は、通常300~10,000、好ましくは500~6,000、さらに好ましくは1,000~4,000である。
【0306】
本発明に用いられる分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を説明する。
活性水素、即ち、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子に直接結合している水素原子としては、水酸基、アミノ基、チオール基等の官能基中の水素原子が挙げられ、中でもアミノ基、特に1級のアミノ基の水素原子が好ましい。
【0307】
3級アミノ基は、特に限定されないが、例えば炭素数1~4のアルキル基を有するアミノ基、又はヘテロ環構造、より具体的にはイミダゾール環又はトリアゾール環、などが挙げられる。
このような分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を例示するならば、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジプロピル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジブチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N-ジプロピルエチレンジアミン、N,N-ジブチルエチレンジアミン、N,N-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、N,N-ジエチル-1,4-ブタンジアミン、N,N-ジプロピル-1,4-ブタンジアミン、N,N-ジブチル-1,4-ブタンジアミン等が挙げられる。
【0308】
また、3級アミノ基が含窒素ヘテロ環構造である場合の該含窒素ヘテロ環としては、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、カルバゾール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環等の含窒素ヘテロ5員環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、アクリジン環、イソキノリン環等の含窒素ヘテロ6員環が挙げられる。これらの含窒素ヘテロ環のうち好ましいものはイミダゾール環又はトリアゾール環である。
【0309】
これらのイミダゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、1-(3-アミノプロピル)イミダゾール、ヒスチジン、2-アミノイミダゾール、1-(2-アミノエチル)イミダゾール等が挙げられる。また、トリアゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、5-(2-アミノ-5-クロロフェニル)-3-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾール-3,5-ジオール、3-アミノ-5-フェニル-1H-1,3,4-トリアゾール、5-アミノ-1,4-ジフェニル-1,2,3-トリアゾール、3-アミノ-1-ベンジル-1H-2,4-トリアゾール等が挙げられる。中でも、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、1-(3-アミノプロピル)イミダゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾールが好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0310】
ウレタン系高分子分散剤を製造する際の原料の好ましい配合比率はポリイソシアネート化合物100質量部に対し、分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300~10,000の化合物が10~200質量部、好ましくは20~190質量部、さらに好ましくは30~180質量部、分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物が0.2~25質量部、好ましくは0.3~24質量部である。
【0311】
ウレタン系高分子分散剤の製造はポリウレタン樹脂製造の公知の方法に従って行われる。製造する際の溶媒としては、通常、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類、ダイアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等一部のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム等の塩化物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキサイド等の非プロトン性極性溶媒等が用いられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0312】
上記製造に際して、通常、ウレタン化反応触媒が用いられる。この触媒としては、例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系、鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン系等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0313】
分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物の導入量は反応後のアミン価で1~100mgKOH/gの範囲に制御することが好ましい。より好ましくは5~95mgKOH/gの範囲である。アミン価は、塩基性アミノ基を酸により中和滴定し、酸価に対応させてKOHのmg数で表した値である。前記下限値以上とすることで分散能力が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性の低下が抑制しやすい傾向がある。
【0314】
なお、以上の反応で高分子分散剤にイソシアネート基が残存する場合にはさらに、アルコールやアミノ化合物でイソシアネート基を潰すと生成物の経時安定性が高くなるので好ましい。
ウレタン系高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は通常1,000~200,000、好ましくは2,000~100,000、より好ましくは3,000~50,000の範囲である。前記下限値以上とすることで分散性及び分散安定性が良好となる傾向があり、前記上限値以下とすることで溶解性や分散性の低下を抑制しやすい傾向がある。
【0315】
一方で、アクリル系高分子分散剤としては、官能基(ここでいう官能基とは、高分子分散剤に含有される官能基として前述した官能基である。)を有する不飽和基含有単量体と、官能基を有さない不飽和基含有単量体とのランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体を使用することが好ましい。これらの共重合体は公知の方法で製造することができる。
【0316】
官能基を有する不飽和基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、アクリル酸ダイマー等のカルボキシル基を有する不飽和単量体、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びこれらの4級化物などの3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有する不飽和単量体が具体例として挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0317】
官能基を有さない不飽和基含有単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、スチレン及びその誘導体、α-メチルスチレン、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミドなどのN-置換マレイミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル及びポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリスチレンマクロモノマー、ポリ2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリエチレングリコールマクロモノマー、ポリプロピレングリコールマクロモノマー、ポリカプロラクトンマクロモノマーなどのマクロモノマー等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0318】
アクリル系高分子分散剤は、特に好ましくは、官能基を有するAブロックと官能基を有さないBブロックからなるA-B又はB-A-Bブロック共重合体であるが、この場合、Aブロック中には上記官能基を含む不飽和基含有単量体由来の部分構造の他に、上記官能基を含まない不飽和基含有単量体由来の部分構造が含まれていてもよく、これらが該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。また、官能基を含まない部分構造の、Aブロック中の含有割合は、通常80質量%以下であり、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0319】
Bブロックは、上記官能基を含まない不飽和基含有単量体由来の部分構造からなるものであるが、1つのBブロック中に2種以上の単量体由来の部分構造が含有されていてもよく、これらは、該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。
該A-B又はB-A-Bブロック共重合体は、例えば、以下に示すリビング重合法にて調製される。
リビング重合法には、アニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法があり、このうち、アニオンリビング重合法は、重合活性種がアニオンであり、例えば下記スキームで表される。
【0320】
【化41】
【0321】
上記スキーム中、Ar1は1価の有機基であり、Ar2はAr1とは異なる1価の有機基であり、Mは金属原子であり、s及びtはそれぞれ1以上の整数である。
【0322】
ラジカルリビング重合法は重合活性種がラジカルであり、例えば下記スキームで示される。
【0323】
【化42】
【0324】
上記スキーム中、Ar1は1価の有機基であり、Ar2はAr1とは異なる1価の有機基であり、j及びkはそれぞれ1以上の整数であり、Raは水素原子又は1価の有機基であり、RbはRaとは異なる水素原子又は1価の有機基である。
【0325】
このアクリル系高分子分散剤を合成するに際しては、特開平9-62002号公報や、P.Lutz, P.Masson et al, Polym. Bull. 12, 79 (1984), B.C.Anderson, G.D.Andrews et al, Macromolecules, 14, 1601(1981), K.Hatada, K.Ute,et al, Polym. J. 17, 977(1985), 18, 1037(1986), 右手浩一、畑田耕一、高分子加工、36, 366(1987),東村敏延、沢本光男、高分子論文集、46, 189(1989), M.Kuroki, T.Aida, J. Am. Chem. Sic, 109, 4737(1987)、相田卓三、井上祥平、有機合成化学、43, 300(1985), D.Y.Sogoh, W.R.Hertler et al, Macromolecules, 20, 1473(1987)などに記載の公知の方法を採用することができる。
【0326】
本発明で用いることができるアクリル系高分子分散剤はA-Bブロック共重合体であっても、B-A-Bブロック共重合体であってもよく、その共重合体を構成するAブロック/Bブロック比は1/99~80/20、特に5/95~60/40(質量比)であることが好ましく、この範囲内にすることで分散性と保存安定性のバランスの確保ができる傾向がある。
また、本発明で用いることができるA-Bブロック共重合体、B-A-Bブロック共重合体1g中の4級アンモニウム塩基の量は、通常0.1~10mmolであることが好ましく、この範囲内にすることで良好な分散性を確保できる傾向がある。
【0327】
なお、このようなブロック共重合体中には、通常、製造過程で生じたアミノ基が含有される場合があるが、そのアミン価は1~100mgKOH/g程度であり、分散性の観点から、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは30mgKOH/g以上、さらに好ましくは50mgKOH/g以上、また、好ましくは90mgKOH/g以下、より好ましくは80mgKOH/g以下、さらに好ましくは75mgKOH/g以下である。
ここで、これらのブロック共重合体等の分散剤のアミン価は、分散剤試料中の溶剤を除いた固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの質量で表し、次の方法により測定する。
100mLのビーカーに分散剤試料の0.5~1.5gを精秤し、50mLの酢酸で溶解する。pH電極を備えた自動滴定装置を使って、この溶液を0.1mol/LのHClO4酢酸溶液にて中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点とし次式によりアミン価を求める。
【0328】
アミン価[mgKOH/g]=(561×V)/(W×S)
〔但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[質量%]を表す。〕
また、このブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましく、通常10mgKOH/g以下であり、その重量平均分子量(Mw)は、1000~100,000の範囲が好ましい。前記範囲内とすることで良好な分散性を確保できる傾向がある。
【0329】
アクリル系高分子分散剤が4級アンモニウム塩基を官能基として有する場合、アクリル系高分子分散剤の具体的な構造については特に限定されないが、分散性の観点からは、下記式(i)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(i)」ということがある。)を有することが好ましい。
【0330】
【化43】
【0331】
上記式(i)中、R31~R33は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基であり、R31~R33のうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R34は水素原子又はメチル基である。Xは2価の連結基であり、Y-は対アニオンである。
【0332】
上記式(i)のR31~R33における、置換基を有していてもよいアルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常1以上であり、また、10以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基であることがより好ましい。また、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。また、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基などの環状構造を含んでもよい。
【0333】
上記式(i)のR31~R33における、置換基を有していてもよいアリール基の炭素数は特に限定されないが、通常6以上であり、また、16以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられ、これらの中でもフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、又はジエチルフェニル基であることが好ましく、フェニル基、メチルフェニル基、又はエチルフェニル基であることがより好ましい。
【0334】
上記式(i)のR31~R33における、置換基を有していてもよいアラルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常7以上であり、また、16以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましい。アラルキル基の具体例としては、フェニルメチル基(ベンジル基)、フェニルエチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルイソプロピル基などが挙げられ、これらの中でも、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、又はフェニルブチル基であることが好ましく、フェニルメチル基、又はフェニルエチル基であることがより好ましい。
【0335】
これらの中でも、分散性の観点から、R31~R33が各々独立にアルキル基、又はアラルキル基であることが好ましく、具体的には、R31及びR33が各々独立にメチル基、又はエチル基であり、かつ、R32がフェニルメチル基、又はフェニルエチル基であることが好ましく、R31及びR33がメチル基であり、かつ、R32がフェニルメチル基であることがさらに好ましい。
【0336】
また、前記アクリル系高分子分散剤が官能基として3級アミノ基を有する場合、分散性の観点からは、下記式(ii)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(ii)」ということがある。)を有することが好ましい。
【0337】
【化44】
【0338】
上記式(ii)中、R35及びR36は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基であり、R35及びR36が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R37は水素原子又はメチル基である。Zは2価の連結基である。
【0339】
また、上記式(ii)のR35及びR36における、置換基を有していてもよいアルキル基としては、上記式(i)のR31~R33として例示したものを好ましく採用することができる。
同様に、上記式(ii)のR35及びR36における、置換基を有していてもよいアリール基としては、上記式(i)のR31~R33として例示したものを好ましく採用することができる。また、上記式(ii)のR35及びR36における、置換基を有していてもよいアラルキル基としては、上記式(i)のR31~R33として例示したものを好ましく採用することができる。
【0340】
これらの中でも、R35及びR36が各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基であることが好ましく、メチル基、又はエチル基であることがより好ましい。
【0341】
上記式(i)のR31~R33及び上記式(ii)のR35及びR36におけるアルキル基、アラルキル基又はアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、ベンゾイル基、水酸基などが挙げられる。
【0342】
上記式(i)及び(ii)において、2価の連結基X及びZとしては、例えば、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数6~12のアリーレン基、-CONH-R43-基、-COOR44-基〔但し、R43及びR44は単結合、炭素数1~10のアルキレン基、又は炭素数2~10のエーテル基(アルキルオキシアルキル基)である〕等が挙げられ、好ましくは-COO-R44-基である。
また、上記式(i)において、対アニオンのY-としては、Cl-、Br-、I-、ClO4 -、BF4 -、CH3COO-、PF6 -等が挙げられる。
【0343】
前記式(i)で表される繰り返し単位の含有割合は特に限定されないが、分散性の観点から、前記式(i)で表される繰り返し単位の含有割合と前記式(ii)で表される繰り返し単位の含有割合の合計に対して好ましくは60モル%以下であり、より好ましくは50モル%以下であり、さらに好ましくは40モル%以下であり、特に好ましくは35モル%以下であり、また、好ましくは5モル%以上であり、より好ましくは10モル%以上であり、さらに好ましくは20モル%以上であり、特に好ましくは30モル%以上である。
【0344】
また、高分子分散剤の全繰り返し単位に占める前記式(i)で表される繰り返し単位の含有割合は特に限定されないが、分散性の観点から、1モル%以上であることが好ましく、5モル%以上であることがより好ましく、10モル%以上であることがさらに好ましく、また、50モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることがさらに好ましく、15モル%以下であることが特に好ましい。
【0345】
また、高分子分散剤の全繰り返し単位に占める前記式(ii)で表される繰り返し単位の含有割合は特に限定されないが、分散性の観点から、5モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、15モル%以上であることがさらに好ましく、20モル%以上であることが特に好ましく、また、60モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましく、30モル%以下であることがさらに好ましく、25モル%以下であることが特に好ましい。
【0346】
また、高分子分散剤は、溶媒等のバインダー成分に対する相溶性を高め、分散安定性を向上させるとの観点から、下記式(iii)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(iii)」ということがある。)を有することが好ましい。
【0347】
【化45】
【0348】
上記式(iii)中、R40はエチレン基又はプロピレン基であり、R41は置換基を有していてもよいアルキル基であり、R42は水素原子又はメチル基である。nは1~20の整数である。
【0349】
上記式(iii)のR41における、置換基を有していてもよいアルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上であることが好ましく、また、10以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基であることがより好ましい。また、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。また、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基などの環状構造を含んでもよい。
【0350】
また、上記式(iii)におけるnは溶媒等バインダー成分に対する相溶性と分散性の観点から、1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、また、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。
【0351】
また、高分子分散剤の全繰り返し単位に占める前記式(iii)で表される繰り返し単位の含有割合は特に限定されないが、1モル%以上であることが好ましく、2モル%以上であることがより好ましく、4モル%以上であることがさらに好ましく、また、30モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることがさらに好ましい。前記範囲内の場合には溶媒等バインダー成分に対する相溶性と分散安定性の両立が可能となる傾向がある。
【0352】
また、高分子分散剤は、分散剤の溶媒等バインダー成分に対する相溶性を高め、分散安定性を向上させるという観点から、下記式(iv)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(iv)」ということがある。)を有することが好ましい。
【0353】
【化46】
【0354】
上記式(iv)中、R38は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基である。R39は水素原子又はメチル基である。
【0355】
上記式(iv)のR38における、置換基を有していてもよいアルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、また、10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基であることがより好ましい。また、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。また、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基などの環状構造を含んでもよい。
【0356】
上記式(iv)のR38における、置換基を有していてもよいアリール基の炭素数は特に限定されないが、通常6以上であり、また、16以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、8以下であることがさらに好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられ、これらの中でもフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、又はジエチルフェニル基であることが好ましく、フェニル基、メチルフェニル基、又はエチルフェニル基であることがより好ましい。
【0357】
上記式(iv)のR38における、置換基を有していてもよいアラルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常7以上であり、また、16以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましい。アラルキル基の具体例としては、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルイソプロピル基などが挙げられ、これらの中でも、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、又はフェニルブチル基であることが好ましく、フェニルメチル基、又はフェニルエチル基であることがより好ましい。
【0358】
これらの中でも、溶剤相溶性と分散安定性の観点から、R38がアルキル基、又はアラルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、又はフェニルメチル基であることがより好ましい。
38における、アルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。また、アリール基又はアラルキル基が有していてもよい置換基としては、鎖状のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。また、R38で示される鎖状のアルキル基には、直鎖状及び分岐鎖状のいずれも含まれる。
【0359】
また、高分子分散剤の全繰り返し単位に占める前記式(iv)で表される繰り返し単位の含有割合は、分散性の観点から、30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましく、50モル%以上であることがさらに好ましく、また、80モル%以下であることが好ましく、70モル%以下であることがより好ましい。
【0360】
高分子分散剤は、繰り返し単位(i)、繰り返し単位(ii)、繰り返し単位(iii)及び繰り返し単位(iv)以外の繰り返し単位を有していてもよい。そのような繰り返し単位の例としては、スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸クロリドなどの(メタ)アクリル酸塩系単量体;(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系単量体;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル;N-メタクリロイルモルホリン等の単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
【0361】
高分子分散剤は、分散性をより高めるとの観点から、繰り返し単位(i)及び繰り返し単位(ii)を有するAブロックと、繰り返し単位(i)及び繰り返し単位(ii)を有さないBブロックとを有する、ブロック共重合体であることが好ましい。該ブロック共重合体は、A-Bブロック共重合体又はB-A-Bブロック共重合体であることが好ましい。Aブロックに4級アンモニウム塩基だけでなく3級アミノ基も導入することにより、意外にも、分散剤の分散能力が著しく向上する傾向がある。また、Bブロックが繰り返し単位(iii)を有することが好ましく、さらに繰り返し単位(iv)を有することがより好ましい。
【0362】
Aブロック中において、繰り返し単位(i)及び繰り返し単位(ii)は、ランダム共重合、ブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。また、繰り返し単位(i)及び繰り返し単位(ii)は、1つのAブロック中に各々2種以上含有されていてもよく、その場合、各々の繰り返し単位は、該Aブロック中においてランダム共重合、ブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。
【0363】
また、繰り返し単位(i)及び繰り返し単位(ii)以外の繰り返し単位が、Aブロック中に含有されていてもよく、そのような繰り返し単位の例としては、前述の(メタ)アクリル酸エステル系単量体由来の繰り返し単位等が挙げられる。繰り返し単位(i)及び繰り返し単位(ii)以外の繰り返し単位の、Aブロック中の含有割合は、好ましくは0~50モル%、より好ましくは0~20モル%であるが、かかる繰り返し単位はAブロック中に含有されないことが最も好ましい。
【0364】
繰り返し単位(iii)及び(iv)以外の繰り返し単位がBブロック中に含有されていてもよく、そのような繰り返し単位の例としては、スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸クロリドなどの(メタ)アクリル酸塩系単量体;(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系単量体;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル;N-メタクリロイルモルホリン等の単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。繰り返し単位(iii)及び繰り返し単位(iv)以外の繰り返し単位の、Bブロック中の含有割合は、好ましくは0~50モル%、より好ましくは0~20モル%であるが、かかる繰り返し単位はBブロック中に含有されないことが最も好ましい。
【0365】
また分散安定性向上の点から、(f)分散剤は、後述する顔料誘導体と併用することが好ましい。
【0366】
<感光性着色組成物のその他の配合成分>
本発明の感光性着色組成物には、上述の成分の他、シランカップリング剤等の密着向上剤、界面活性剤(塗布性向上剤)、顔料誘導体、光酸発生剤、架橋剤、メルカプト化合物、現像改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤を適宜配合することができる。
【0367】
(1)密着向上剤
本発明の感光性着色組成物には、基板との密着性を改善するため、密着向上剤を含有させてもよい。密着向上剤としては、シランカップリング剤、燐酸基含有化合物等が好ましい。
シランカップリング剤の種類としては、エポキシ系、(メタ)アクリル系、アミノ系等種々のものを1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用できる。
【0368】
好ましいシランカップリング剤として、例えば、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン類、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン類、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネートシラン類が挙げられるが、特に好ましくは、エポキシシラン類のシランカップリング剤である。
燐酸基含有化合物としては、(メタ)アクリロイル基含有ホスフェート類が好ましく、下記一般式(g1)、(g2)又は(g3)で表されるものが好ましい。
【0369】
【化47】
【0370】
上記一般式(g1)、(g2)及び(g3)において、R51は水素原子又はメチル基を示し、l及びl’は1~10の整数、mは1、2又は3である。
これらの燐酸基含有化合物は1種類を単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0371】
(2)界面活性剤
本発明の感光性着色組成物には、塗布性向上ため、界面活性剤を含有させてもよい。
【0372】
界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性界面活性剤等各種のものを用いることができる。中でも、諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましく、中でもフッ素系やシリコン系の界面活性剤が塗布性の面で効果的である。
このような界面活性剤としては、例えば、TSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、DFX-18(ネオス社製)、BYK-300、BYK-325、BYK-330(ビックケミー社製)、KP340(信越シリコーン社製)、メガファックF-470、メガファックF-475、メガファックF-478、メガファックF-554、メガファックF-559(DIC社製)、SH7PA(東レ・ダウコーニング社製)、DS-401(ダイキン社製)、L-77(日本ユニカー社製)、FC4430(3M社製)等が挙げられる。
なお、界面活性剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0373】
(3)顔料誘導体
本発明の感光性着色組成物には、分散性、保存性向上のため、分散助剤として顔料誘導体を含有させてもよい。
顔料誘導体としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系等の誘導体が挙げられるが、中でもフタロシアニン系、キノフタロン系が好ましい。
顔料誘導体の置換基としてはスルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が顔料骨格に直接又はアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合したものが挙げられ、好ましくはスルホン酸基である。またこれら置換基は一つの顔料骨格に複数置換していてもよい。
【0374】
顔料誘導体の具体例としてはフタロシアニンのスルホン酸誘導体、キノフタロンのスルホン酸誘導体、アントラキノンのスルホン酸誘導体、キナクリドンのスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロールのスルホン酸誘導体、ジオキサジンのスルホン酸誘導体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0375】
(4)光酸発生剤
光酸発生剤とは、紫外線により酸を発生することができる化合物であり、露光を行った際に発生する酸の作用により、例えばメラミン化合物等の架橋剤があることで架橋反応を進行させることとなる。係る光酸発生剤の中でも、溶剤に対する溶解性、特に感光性着色組成物に使われる溶剤に対する溶解性が大きいものが好ましいものであり、例えば、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、フェニル(p-アニシル)ヨードニウム、ビス(m-ニトロフェニル)ヨードニウム、ビス(p-tert-ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p-クロロフェニル)ヨードニウム、ビス(n-ドデシル)ヨードニウム、p-イソブチルフェニル(p-トリル)ヨードニウム、p-イソプロピルフェニル(p-トリル)ヨードニウムなどのジアリールヨードニウム、あるいはトリフェニルスルホニウムなどのトリアリールスルホニウムのクロリド、ブロミド、あるいはホウフッ化塩、ヘキサフルオロフォスフェート塩、ヘキサフルオロアルセネート塩、芳香族スルホン酸塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート塩等や、ジフェニルフェナシルスルホニウム(n-ブチル)トリフェニルボレート等のスルホニウム有機ホウ素錯体類、あるいは、2-メチル-4,6-ビストリクロロメチルトリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビストリクロロメチルトリアジンなどのトリアジン化合物等を挙げることができるがこの限りではない。
【0376】
(5)架橋剤
本発明の感光性着色組成物には、さらに架橋剤を加えることができ、例えばメラミン又はグアナミン系の化合物を用いることができる。これら架橋剤としては、例えば、下記一般式(6)で示されるメラミン又はグアナミン系の化合物を挙げることができる。
【0377】
【化48】
【0378】
式(6)中、R61は-NR6667基又は炭素数6~12のアリール基を表し、R61が-NR6667基の場合はR62、R63、R64、R65、R66及びR67の一つが-CH2OR68を表し、R61が炭素数6~12のアリール基の場合はR62、R63、R64及びR65の一つが-CH2OR68基を表し、R62、R63、R64、R65、R66及びR67の残りは互いに独立に、水素又は-CH2OR68基を表し、R68は水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。
ここで、炭素数6~12のアリール基は典型的にはフェニル基、1-ナフチル基又は2-ナフチル基であり、これらのフェニル基やナフチル基には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子などの置換基が結合していてもよい。アルキル基及びアルコキシ基は、それぞれ炭素数1~6程度であることができる。R68で表されるアルキル基は、上記の中でも、メチル基又はエチル基、とりわけメチル基であるのが好ましい。
【0379】
一般式(6)に相当するメラミン系化合物、すなわち下記一般式(6-1)の化合物には、ヘキサメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ペンタメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミンなどが包含される。
【0380】
【化49】
【0381】
式(6-1)中、R62、R63、R64、R65、R66及びR67の一つがアリール基の場合はR62、R63、R64及びR65の一つが-CH2OR68基を表し、R62、R63、R64、R65、R66及びR67の残りは互いに独立に、水素原子又は-CH2OR68基を表し、ここにR68は水素原子又はアルキル基を表す。
【0382】
また、一般式(6)に相当するグアナミン系化合物、すなわち一般式(6)中のR61がアリールである化合物には、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、トリメトキシメチルベンゾグアナミン、テトラエトキシメチルベンゾグアナミンなどが包含される。
【0383】
さらに、メチロール基又はメチロールアルキルエーテル基を有する架橋剤を用いることもできる。以下にその例を挙げる。
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェノール、4-tert-ブチル-2,6-ビス(ヒドロキシメチル)フェノール、5-エチル-1,3-ビス(ヒドロキシメチル)ペルヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-オン(通称N-エチルジメチロールトリアゾン)又はそのジメチルエーテル体、ジメチロールトリメチレン尿素又はそのジメチルエーテル体、3,5-ビス(ヒドロキシメチル)ペルヒドロ-1,3,5-オキサジアジン-4-オン(通称ジメチロールウロン)又はそのジメチルエーテル体、テトラメチロールグリオキザールジウレイン又はそのテトラメチルエーテル体。
【0384】
なお、これら架橋剤は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。架橋剤を用いる際の量は、感光性着色組成物の全固形分中に0.1~15質量%が好ましく、特に好ましくは0.5~10質量%である。
【0385】
(6)メルカプト化合物
重合促進剤として、また、基板への密着性の向上のため、メルカプト化合物を添加することも可能である。
【0386】
メルカプト化合物の種類としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、エチレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3-メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトイソブチレート)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン等の複素環を有するメルカプト化合物又は脂肪族多官能メルカプト化合物等が挙げられる。これらは種々のものを1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用できる。
【0387】
<感光性着色組成物中の成分配合量>
本発明の感光性着色組成物において、(a)着色剤の含有割合は感光性着色組成物の全固形分中に23質量%以下である。(a)着色剤は弾性変形しない成分であるため、その含有割合を前記上限値以下とすることによって得られる着色スペーサーの機械的特性が良好になると考えられる。
(a)着色剤の含有割合は、感光性着色組成物の全固形分中に23質量%以下であれば特に限定されないが、22質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、18質量%以下がさらに好ましく、16質量%以下がよりさらに好ましく、15質量%以下が特に好ましく、14質量%以下が最も好ましく、また、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上がよりさらに好ましく、12質量%以上が特に好ましい。(a)着色剤の含有割合を前記上限値以下とすることで機械的特性が良好になり、また、十分な製版特性が得られやすく、電気信頼性が優れる傾向があり、また、前記下限値以上とすることで、十分な遮光性が得られる傾向がある。
【0388】
本発明の感光性着色組成物における顔料の含有割合は特に限定されないが、感光性着色組成物の全固形分中に23質量%以下であれば特に限定されないが、22質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、18質量%以下がさらに好ましく、16質量%以下がよりさらに好ましく、15質量%以下が特に好ましく、14質量%以下が最も好ましく、また、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上がよりさらに好ましく、12質量%以上が特に好ましい。顔料の含有割合を前記上限値以下とすることで機械的特性が良好になり、また、十分な製版特性が得られやすく、電気信頼性が優れる傾向があり、また、前記下限値以上とすることで、十分な遮光性が得られる傾向がある。
【0389】
感光性着色組成物の全固形分中における黄色顔料の含有割合は1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上がよりさらに好ましく、15質量%以上が特に好ましく、また、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下がよりさらに好ましく、25質量%以下が特に好ましく、20質量%以下が最も好ましい。前記下限値以上とすることで波長400~500nmの透過率を十分に抑制できる傾向があり、前記上限値以下とすることで十分な製版性能が得られやすい傾向がある。
【0390】
感光性着色組成物の全固形中における赤色顔料及び橙色顔料の含有割合の合計は、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、また、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下がよりさらに好ましく、8質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすること光学濃度(OD)が高くなる傾向があり、前記上限値以下とすることで十分な製版性能が得られやすい傾向がある。
【0391】
感光性着色組成物の全固形中における赤色顔料の含有割合は1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、また、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下がよりさらに好ましく、8質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすること光学濃度(OD)が高くなる傾向があり、前記上限値以下とすることで十分な製版性能が得られやすい傾向がある。
【0392】
感光性着色組成物の全固形中における橙色顔料の含有割合は1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、また、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下がよりさらに好ましく、8質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすること光学濃度(OD)と波長400~500nmの透過率抑制が両立しやすい傾向があり、前記上限値以下とすることで十分な製版性能が得られやすい傾向がある。
【0393】
感光性着色組成物は、色調の観点から全固形中における青色顔料及び紫色顔料の含有割合が低いことが好ましく、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、15質量%以下がよりさらに好ましく、10質量%以下が殊更に好ましく、5質量%以下が特に好ましく、0質量%である、つまり、含有しないことが最も好ましい。
一方で、遮光性の観点から、青色顔料及び/又は紫色顔料を含んでいてもよく、その場合には全固形分中における青色顔料及び紫色顔料の含有割合は、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上が特に好ましく、15質量%以上が最も好ましく、また、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすること十分な遮光性が得られる傾向があり、前記上限値以下とすることで黒色に近い色調を得ることができる傾向がある。
【0394】
(b)アルカリ可溶性樹脂の含有割合は本発明の感光性着色組成物の全固形分中に通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、特に好ましくは35質量%以上であり、通常85質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下、よりさらに好ましくは50質量%以下、特に好ましくは45質量%以下である。(b)アルカリ可溶性樹脂の含有割合を前記下限値以上とすることで、機械的特性が良好となり、また現像性が良好となる傾向がある。また前記上限値以下とすることで、適正な感度を維持し、露光部の現像液による溶解を抑制でき、また密着性の低下を抑制できる傾向がある。
【0395】
(c)光重合開始剤の含有割合は本発明の感光性着色組成物の全固形分中に通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。(c)光重合開始剤の含有割合を前記下限値以上とすることで感度低下を抑制できる傾向があり、前記上限値以下とすることで未露光部分の現像液に対する溶解性の低下を抑制し、現像不良を抑制できる傾向がある。
【0396】
(c)光重合開始剤と共に重合促進剤を用いる場合、重合促進剤の含有割合は、本発明の感光性着色組成物の全固形分中に、好ましくは0.05質量%以上、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下であり、重合促進剤は、(c)光重合開始剤100質量部に対して通常0.1~50質量部、0.1~20質量部の割合で用いることが好ましい。重合促進剤の含有割合を前記下限値以上とすることで、露光光線に対する感度の低下を抑制できる傾向があり、前記上限値以下とすることで未露光部分の現像液に対する溶解性の低下を抑制し、現像不良を抑制できる傾向がある。
また、(c)光重合開始剤と共に増感色素を用いる場合、増感色素の含有割合は、感度の観点から、感光性着色組成物中の全固形分中に、通常20質量%以下、好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0397】
(d)エチレン性不飽和化合物の含有割合は本発明の感光性着色組成物の全固形分中に通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上であり、また、通常70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。(d)エチレン性不飽和化合物の含有割合を前記下限値以上とすることで適正な感度を維持し、露光部の現像液による溶解を抑制でき、また密着性の低下を抑制できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで、露光部への現像液の浸透性が高くなるのを抑制し、良好な画像を得ることが容易となる傾向がある。
【0398】
一方で、(d)エチレン性不飽和化合物100質量部に対する(b)アルカリ可溶性樹脂の含有割合は特に限定されないが、50質量部以上が好ましく、80質量部以上がより好ましく、100質量部以上がさらに好ましく、また、通常700質量部以下、500質量部以下が好ましく、400質量部以下がより好ましく、300質量部以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで剥離等のない適切な現像状態となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像液に対して適切な溶解時間にできる傾向がある。また、上限と下限の組み合わせとしては、例えば、50~700質量部が好ましく、80~500質量部がより好ましく、80~400質量部がさらに好ましく、100~300質量部が特に好ましく挙げられる。
【0399】
なお、本発明の感光性着色組成物は、(e)溶剤を使用することで、その全固形分の含有割合が通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、また通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下となるように調液される。
【0400】
本発明の感光性着色組成物が(f)分散剤を含む場合、(f)分散剤の含有割合は感光性着色組成物の全固形分中に通常1質量%以上であり、2質量%以上が好ましく、また通常30質量%以下、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。(f)分散剤の含有割合を前記下限値以上とすることで、十分な分散性が得られやすい傾向があり、前記上限値以下とすることで相対的に他の成分の割合が減ることで感度、製版性等が低下することを抑制できる傾向がある。
【0401】
また、(a)着色剤100質量部に対する(f)分散剤の含有割合は、通常5質量部以上、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がさらに好ましく、通常50質量部以下、特に30質量部以下であることが好ましい。(f)分散剤の含有割合を前記下限値以上とすることで、十分な分散性が得られやすい傾向があり、前記上限値以下とすることで相対的に他の成分の割合が減ることで感度、製版性等が低下することを抑制できる傾向がある。
【0402】
密着向上剤を用いる場合、その含有割合は、感光性着色組成物中の全固形分中に通常0.1~5質量%、好ましくは0.2~3質量%、さらに好ましくは0.4~2質量%である。密着向上剤の含有割合を前記下限値以上とすることで密着性の向上効果を十分に得ることができる傾向があり、前記上限値以下とすることで感度が低下したり、現像後に残渣が残り欠陥となったりすることを抑制できる傾向がある。
【0403】
また、界面活性剤を用いる場合、その含有割合は、感光性着色組成物中の全固形分中に通常0.001~10質量%、好ましくは0.005~1質量%、さらに好ましくは0.01~0.5質量%、最も好ましくは0.03~0.3質量%である。界面活性剤の含有割合を前記下限値以上とすることで塗布膜の平滑性、均一性が発現しやすい傾向があり、前記上限値以下とすることで塗布膜の平滑性、均一性が発現しやすく、他の特性の悪化も抑制できる傾向がある。
【0404】
<感光性着色組成物の物性>
本発明の感光性着色組成物は、着色スペーサー形成用に好適に使用することができる。着色スペーサーとして用いるとの観点からは、その硬化膜の膜厚1μm当たりの光学濃度(OD)が高い方が好ましい。本発明の感光性着色組成物を硬化して得られる着色スペーサー単独では、0.01以上であることが好ましく、0.03以上であることがより好ましく、0.05以上であることがさらに好ましく、0.08以上であることがよりさらに好ましく、0.10以上であることが特に好ましく、0.15以上であることが最も好ましい。ここで、膜厚1μm当たりの光学濃度(OD)は、後述する実施例に記載の方法にて測定した値である。
【0405】
また青色のカラーフィルター層と積層した場合には、着色スペーサーと青色のカラーフィルター層とを積層した2層の光学濃度(OD)が0.5以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましい。ここで、積層した2層の光学濃度(OD)は、後述する実施例に記載の方法にて測定した値である。
【0406】
また本発明の感光性着色組成物は、波長500~700nmの平均吸光度に対する波長400~500nmの平均吸光度の比が3.0以上であることが好ましく、4.0以上がより好ましく、5.0以上がさらに好ましく、6.0以上が特に好ましい。また15.0以下であることが好ましく、13.0以下がより好ましく、11.0以下がさらに好ましく、9.0以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで、青色のカラーフィルター層と積層した場合に黒色に近い色調を得ることができ、また400~500nmの透過率を抑制できる傾向がある。また前記上限値以下とすることで、光学濃度(OD)を高くできる傾向がある。
【0407】
ここで、感光性着色組成物の波長500~700nmの平均吸光度に対する波長400~500nmの平均吸光度の比は、当該感光性着色組成物を用いて膜厚が2.5μmの硬化膜を形成し、分光光度計にて波長400~700nmの吸光度を1nmおきに測定することで特定することができる。
詳細な測定条件等は特に限定されないが、例えば以下の方法にて測定することができる。
まず、ガラス基板(AGC社製「AN100」)上にスピナーを用いて感光性着色組成物を塗布する。次いで、90℃にて90秒間、ホットプレート上で加熱乾燥して塗布膜を形成する。得られた塗布膜に対し、空気下で紫外線照射を行う。波長365nmでの強度が32mW/cm2である紫外線を用い、露光量は70mJ/cm2とする。続いて、0.05質量%の水酸化カリウムと0.08質量%のノニオン性界面活性剤(花王社製「A-60」)を含有する水溶液よりなる現像液を用い、25℃において水圧0.15MPaのシャワー現像を施した後、純水にて現像を停止し、水洗スプレーにて洗浄する。シャワー現像時間は、10~120秒の間で調整し、未露光の塗膜が溶解除去される時間の1.5倍とする。これらの操作により得られたべタ膜基板をオーブン中、230℃で20分間加熱してパターンを硬化させ、膜厚が2.5μmの硬化膜付き基板を得る。次に、当該基板の波長400~700nmの吸光度を1nmおきに、感光性着色組成物を未塗布のガラス基板を対照として、島津製作所社製分光光度計UV-3150を用いて測定する。波長400~500nmの1nmおきの吸光度の測定値を平均することで平均吸光度を算出し、同様に波長500~700nmの平均吸光度を算出し、波長500~700nmの平均吸光度に対する波長400~500nmの平均吸光度の比を算出する。
【0408】
また、本発明の感光性着色組成物は、着色スペーサー形成用、特に、額縁部の着色スペーサーの対向部に青色のカラーフィルター層が設けられている構造の液晶ディスプレイの該着色スペーサーを形成するために用いた際に、該青色のカラーフィルター層と重ねた際に黒色に近い色調となることが好ましく、該色調としてはx≧0.20かつy≧0.20がより好ましく、x≧0.25かつy≧0.25がさらに好ましい。この色調は、実施例に記載の手順で測定することができる。
【0409】
<感光性着色組成物の製造方法>
本発明の感光性着色組成物は、常法に従って製造される。
通常、(a)着色剤は、予めペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて分散処理するのが好ましい。分散処理により(a)着色剤が微粒子化されるため、感光性着色組成物の塗布特性が向上する。
【0410】
分散処理は、通常、(a)着色剤、(e)溶剤、及び(f)分散剤、必要に応じて(b)アルカリ可溶性樹脂の一部又は全部を併用した系にて行うことが好ましい(以下、分散処理に供する混合物、及び該処理にて得られた組成物を「インク」又は「顔料分散液」と称することがある)。特に(f)分散剤として高分子分散剤を用いると、得られたインク及び感光性着色組成物の経時の増粘が抑制される(分散安定性に優れる)ので好ましい。
このように、感光性着色組成物を製造する工程において、(a)着色剤、(e)溶剤、及び(f)分散剤を少なくとも含有する顔料分散液を製造することが好ましい。顔料分散液に用いることができる(a)着色剤、(e)溶剤、及び(f)分散剤としては、それぞれ感光性着色組成物に用いることができるものとして記載したものを好ましく採用することができる。
【0411】
なお、感光性着色組成物に配合する全成分を含有する液に対して分散処理を行った場合、分散処理時に生じる発熱のため、高反応性の成分が変性する可能性がある。従って、(c)光重合開始剤や(d)エチレン性不飽和化合物を含まない系にて分散処理を行うことが好ましい。
サンドグラインダーで(a)着色剤を分散させる場合には、0.1~8mm程度の粒子径のガラスビーズ又はジルコニアビーズが好ましく用いられる。分散処理条件は、温度は通常0℃から100℃であり、好ましくは室温から80℃の範囲である。分散時間は液の組成及び分散処理装置のサイズ等により適正時間が異なる傾向があり、適宜調節すればよい。顔料分散液又は感光性着色組成物を基板に塗布した際の20度鏡面光沢度(JIS Z8741)が50~300の範囲となるように、インクの光沢を制御するのが分散の目安である。前記下限値以上とすることで、分散処理が十分でなく荒い顔料((a)着色剤)粒子の残存を抑制でき、現像性、密着性、解像性等を十分なものとしやすい傾向がある。また、前記上限値以下とすることで、顔料が破砕して超微粒子が多数生じるのを抑制でき、分散安定性を良好なものとすることができる傾向がある。
【0412】
また、インク中に分散した顔料の分散粒径は通常0.03~0.3μmである。粒径は動的光散乱法等により測定される。
次に、上記分散処理により得られたインクと、感光性着色組成物中に含まれる、上記の他の成分を混合し、均一な溶液とする。感光性着色組成物の製造工程においては、微細なゴミが液中に混じることが多いため、得られた感光性着色組成物はフィルター等により濾過処理するのが望ましい。
【0413】
[硬化物]
本発明の硬化物は、本発明の感光性着色組成物を硬化させることで得られる。感光性着色組成物を硬化してなる硬化物は、着色スペーサーとして好適に用いることができる。
【0414】
[着色スペーサー]
本発明の硬化物から構成される、本発明の着色スペーサーについて、その製造方法に従って説明する。
【0415】
(1)支持体
着色スペーサーを形成するための支持体としては、適度の強度があれば、その材質は特に限定されるものではない。主に透明基板が使用されるが、材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルフォンなどの熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂シート、又は各種ガラスなどが挙げられる。この中でも、耐熱性の観点からガラス、耐熱性樹脂が好ましい。また、基板の表面にITO、IZO等の透明電極が成膜されている場合もある。透明基板以外では、TFTアレイ上に形成することも可能である。
【0416】
支持体には、接着性などの表面物性の改良のため、必要に応じ、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤や、ウレタン系樹脂などの各種樹脂の薄膜形成処理などを行ってもよい。
透明基板の厚さは、通常0.05~10mm、好ましくは0.1~7mmの範囲とされる。また各種樹脂の薄膜形成処理を行う場合、その膜厚は、通常0.01~10μm、好ましくは0.05~5μmの範囲である。
【0417】
(2)着色スペーサー
本発明の感光性着色組成物は、公知のカラーフィルター用感光性着色組成物と同様の用途に使用することができるが、以下、着色スペーサーとして使用される場合について、その形成方法を説明する。
【0418】
通常、着色スペーサーが設けられるべき支持体上に、感光性着色組成物を、塗布等の方法により膜状或いはパターン状に供給し、溶剤を乾燥させる。続いて、露光-現像を行うフォトリソグラフィー法などの方法によりパターン形成を行う。その後、必要により追露光や熱硬化処理を行うことにより、該支持体上に着色スペーサーが形成される。
【0419】
(3)着色スペーサーの形成
[1]基板への供給方法
本発明の感光性着色組成物は、通常、溶剤に溶解或いは分散された状態で、支持体上へ供給される。その供給方法としては、従来公知の方法、例えば、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法などによって行うことができる。また、インクジェット法や印刷法などにより、パターン状に供給されてもよい。中でも、ダイコート法によれば、塗布液の使用量が大幅に削減され、かつ、スピンコート法によった際に付着するミストなどの影響が全くない、異物発生が抑制されるなど、総合的な観点から好ましい。
【0420】
塗布量は用途により異なるが、例えば着色スペーサーの場合には、乾燥膜厚として、通常0.5μm~10μm、好ましくは1μm~9μm、特に好ましくは1μm~7μmの範囲である。また、乾燥膜厚あるいは最終的に形成されたスペーサーの高さが、基板全域に渡って均一であることが重要である。ばらつきが大きい場合には、液晶パネルに表示斑等が生ずる場合がある。
【0421】
ただし、本発明の感光性着色組成物を用いて、フォトリソグラフィー法により高さの異なる着色スペーサーを一括形成する場合は、最終的に形成された着色スペーサーの高さは異なるものとなる。
【0422】
なお、支持体としてはガラス基板など、公知の基板を使用することができる。また、基板表面は平面であることが好適である。
【0423】
[2]乾燥方法
支持体上に感光性着色組成物を供給した後の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンを使用した乾燥方法によるのが好ましい。また、温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行う、減圧乾燥法を組み合わせてもよい。
【0424】
乾燥温度及び乾燥時間等の乾燥条件は、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。通常は、40℃~130℃の温度で15秒~5分間の範囲で選ばれ、好ましくは50℃~110℃の温度で30秒~3分間の範囲で選ばれる。
【0425】
[3]露光方法
露光は、感光性着色組成物の塗布膜上に、ネガのマスクパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外線又は可視光線の光源を照射して行う。露光マスクを用いて露光を行う場合には、露光マスクを感光性着色組成物の塗布膜に近接させる方法や、露光マスクを感光性着色組成物の塗布膜から離れた位置に配置し、該露光マスクを介した露光光を投影する方法によってもよい。また、マスクパターンを用いないレーザー光による走査露光方式によってもよい。この際、必要に応じ、酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、脱酸素雰囲気下で行ったり、光重合性層上にポリビニルアルコール層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行ったりしてもよい。
【0426】
本発明の好ましい態様として、フォトリソグラフィー法により高さの異なる着色スペーサーを同時に形成する場合は、例えば、遮光部(光透過率0%)と、複数の開口部として、平均光透過率の最も高い開口部(完全透過開口部)及び平均光透過率の低い開口部(中間透過開口部)を有する露光マスクを用いる。この方法により、中間透過開口部と完全透過開口部の平均光透過率の差、即ち露光量の差により、残膜率の差異を生じさせる。
中間透過開口部は、例えば、微小な多角形の遮光ユニットを有するマトリックス状遮光パターンによって作成する方法等が知られている。また吸収体として、クロム系、モリブデン系、タングステン系、シリコン系などの材料の膜によって、光透過率を制御し作成する方法等が知られている。
【0427】
上記の露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプなどのランプ光源や、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、青紫色半導体レーザー、近赤外半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。
【0428】
光学フィルターとしては、例えば薄膜で露光波長における光透過率を制御可能なタイプでもよく、その場合の材質としては、例えばCr化合物(Crの酸化物、窒化物、酸窒化物、フッ化物など)、MoSi、Si、W、Al等が挙げられる。
【0429】
露光量としては、通常、1mJ/cm2以上、好ましくは5mJ/cm2以上、より好ましくは10mJ/cm2以上であり、通常300mJ/cm2以下、好ましくは200mJ/cm2以下、より好ましくは150mJ/cm2以下である。
また、近接露光方式の場合には、露光対象とマスクパターンとの距離としては、通常10μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは75μm以上であり、通常500μm以下、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下である。
【0430】
[4]現像方法
上記の露光を行った後、アルカリ性化合物の水溶液、又は有機溶剤を用いる現像によって、基板上に画像パターンを形成することができる。この水溶液には、さらに界面活性剤、有機溶剤、緩衝剤、錯化剤、染料又は顔料を含ませることができる。
【0431】
アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ性化合物や、モノ-、ジ-又はトリエタノールアミン、モノ-、ジ-又はトリメチルアミン、モノ-、ジ-又はトリエチルアミン、モノ-又はジイソプロピルアミン、n-ブチルアミン、モノ-、ジ-又はトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
【0432】
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類などのアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類などの両性界面活性剤、が挙げられる。
【0433】
有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。有機溶剤は、単独でも水溶液と併用して使用できる。
【0434】
現像処理の条件は特に制限はなく、通常、現像温度は10~50℃の範囲、中でも15~45℃、特に好ましくは20~40℃で、現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法などのいずれかの方法によることができる。
【0435】
[5]追露光及び熱硬化処理
現像の後の基板には、必要により上記の露光方法と同様な方法により追露光を行ってもよく、また熱硬化処理を行ってもよい。この際の熱硬化処理条件は、温度は100℃~280℃の範囲、好ましくは150℃~250℃の範囲で選ばれ、時間は5分間~60分間の範囲で選ばれる。
【0436】
本発明の着色スペーサーの大きさや形状等は、これを適用するカラーフィルターの仕様等によって適宜調整されるが、本発明の感光性着色組成物は、特に、フォトリソグラフィー法によりスペーサーとサブスペーサーの高さの異なる着色スペーサーを同時に形成するにあたって有用であり、その場合、スペーサーの高さは通常2~7μm程度であり、サブスペーサーは、スペーサーよりも通常0.2~1.5μm程度低い高さを有する。
【0437】
[カラーフィルター]
本発明のカラーフィルターは、上述のような本発明の着色スペーサーを備えるものであり、例えば透明基板としてのガラス基板上に、ブラックマトリクスと、赤色、緑色、青色の画素着色層と、オーバーコート層とが積層されて、着色スペーサーを形成した後、配向膜を形成して製造される。あるいは画素着色層、着色スペーサーは液晶駆動側基板上に形成される場合もあり、あるいは透明基板上と液晶駆動側基板上に別々に形成される場合もある。
また韓国公開特許第10-2013-0015734号公報、韓国公開特許第10-2015-0059026号公報、韓国公開特許第10-2017-0017447号公報に記載されているように、非表示領域に着色スペーサーを設けることもでき、この場合には対面側に青色層や赤色層のカラーフィルターを積層することで、非表示領域に光が漏洩されるのを低減することができる。また青色層のみ、赤色層のみ、緑色層のみでも可能である。LEDバックライトを備えている液晶ディスプレイはLEDの青色光の成分が強い傾向がある。そのため青色光の成分が透過しやすく、例えば、単層のみ、特に青色層のみの場合は、波長400~500nmの光漏れ等が発生しやすい傾向がある。この光漏れは液晶ディスプレイにしたときの積層構造、又は対向する着色スペーサーの材料特性で調整することが可能であり、例えば、本発明の感光性着色組成物を硬化させた着色スペーサーを用いることが好適である。
【0438】
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、本発明の着色スペーサーを備える。
例えば、上述した本発明の着色スペーサーを有するカラーフィルターと液晶駆動側基板とを貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入することで、本発明の着色スペーサーを備えた、液晶表示装置等の本発明の画像表示装置を製造することができる。
【実施例
【0439】
次に、実施例、比較例及び参考例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例、比較例及び参考例で用いた感光性着色組成物の構成成分は次の通りである。
【0440】
<アルカリ可溶性樹脂-I>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145質量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン10質量部、グリシジルメタクリレート85.2質量部及びトリシクロデカン骨格を有するモノメタクリレート(日立化成社製FA-513M)66質量部を滴下し、及び2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル8.47質量部を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸43.2質量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7質量部及びハイドロキノン0.12質量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)56.2質量部、トリエチルアミン0.7質量部を加え、100℃3.5時間反応させた。こうして得られたアルカリ可溶性樹脂-IのGPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは8400、酸価は80mgKOH/gであった。
【0441】
<アルカリ可溶性樹脂-II>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート210.1質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル52.5質量部との混合液を窒素置換しながら撹拌し、120℃に昇温した。ここにベンジルメタクリレート3.52質量部、メタクリル酸68.8質量部、トリシクロデカン骨格を有するモノメタクリレート(日立化成社製FA-513M)39.7質量部及び2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル3.3質量部の混合液を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間撹拌し続けた。次に反応容器内を空気に置換し、グリシジルメタクリレート38.4質量部、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.8質量部及びハイドロキノン0.1質量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。こうして得られたアルカリ可溶性樹脂-IIのGPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは19100、酸価は198mgKOH/gであった。
【0442】
<アルカリ可溶性樹脂-III>
無水コハク酸17質量部とジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学社製A-9550)350質量部を、トリエチルアミン1.8質量部、及び4-メトキシフェノール0.12質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート91.8質量部の存在下に85℃で6時間反応させることにより、1分子中に1個のカルボキシル基と2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレート(d-1)を得た。
続いて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製jER-828、エポキシ当量186)32.7g、前記多官能アクリレート(d-1)460.7g、2,2,6,6-テトラメチルピぺリジン1-オキシル0.2g、トリフェニルホスフィン8.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート18.9gを80℃で酸価が2mgKOH/g以下になるまで撹拌した。引き続いて、得られた反応生成物520.5gにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート161.6gを加えて溶解させた後、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸24.2gを加え、90℃で4時間反応させることにより、アルカリ可溶性樹脂-IIIを得た。得られたアルカリ可溶性樹脂-IIIは、酸価23mgKOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが3000、二重結合当量は120g/molのものであった。
【0443】
<分散剤-I>
ビックケミー社製「BYK-LPN21116」(側鎖に4級アンモニウム塩基及び3級アミノ基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基及び3級アミノ基を有さないBブロックからなる、アクリル系A-Bブロック共重合体。アミン価は70mgKOH/g。酸価は1mgKOH/g以下。)
分散剤-IのAブロック中には、下記式(1a)及び(2a)の繰り返し単位が含まれ、Bブロック中には下記式(3a)の繰り返し単位が含まれる。分散剤-Iの全繰り返し単位に占める下記式(1a)、(2a)、及び(3a)の繰り返し単位の含有割合はそれぞれ11.1モル%、22.2モル%、6.7モル%である。
【0444】
【化50】
【0445】
<溶剤-I>
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
<溶剤-II>
MB:3-メトキシブタノール
【0446】
<光重合開始剤-I>
BASF社製 OXE-01(オキシムエステル光重合開始剤)
【0447】
<光重合性モノマー>
日本化薬社製 DPHA (ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
<添加剤-I>
日本化薬社製 KAYAMER PM-21(メタクリロイル基含有ホスフェート)
<添加剤-II>
東レ・ダウコーニング社製 SH6040(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
<界面活性剤>
DIC社製 メガファック F-554
【0448】
<顔料分散液1~6の調製>
表1に記載の顔料、分散剤、アルカリ可溶性樹脂、及び溶剤を、表1に記載の質量比となるように混合した。なお表1中の分散剤及びアルカリ可溶性樹脂の量は固形分量であり、溶剤の量には分散剤及びアルカリ可溶性樹脂由来の溶剤量も含まれる。
この溶液をペイントシェーカーにより25~45℃の範囲で3時間分散処理を行った。ビーズとしては、0.5mmφのジルコニアビーズを用い、分散液の2.5倍の質量を加えた。分散終了後、フィルターによりビーズと分散液を分離して、顔料分散液1~6を調製した。
【0449】
【表1】
【0450】
<感光性着色組成物1~13の調製>
[実施例1~3、比較例1~4、及び参考例1~6]
上記調製した顔料分散液1~4及び6を用いて、感光性着色組成物の全固形分中の比率が表2~4の配合割合となるように各成分を加え、さらに、全固形分の含有割合が22質量%であり、かつ、PGMEA/MB=80/20(質量比)となるように溶剤を加え、攪拌、溶解させて、感光性着色組成物1~13を調製した。得られた各感光性着色組成物を用いて、後述する方法で評価を行った。
【0451】
【表2】
【0452】
【表3】
【0453】
【表4】
【0454】
<評価用基板の作成>
ガラス基板(AGC社製「AN100」)上に各感光性着色組成物を、加熱焼成後の膜厚が2.5μmとなるようにスピナーを用いて塗布した。次いで、90℃にて90秒間、ホットプレート上で加熱乾燥して塗布膜を形成した。
得られた塗布膜に対し、マスクを使用せず、全面露光処理を施した。波長365nmでの強度が32mW/cm2である紫外線を用い、露光量は70mJ/cm2とした。また、紫外線照射は空気下で行った。
【0455】
続いて、0.05質量%の水酸化カリウムと0.08質量%のノニオン性界面活性剤(花王社製「A-60」)を含有する水溶液からなる現像液を用い、25℃において水圧0.15MPaのシャワー現像を施した後、純水にて現像を停止し、水洗スプレーにて洗浄した。シャワー現像時間は50秒間現像した。
当該基板をオーブン中、230℃で20分間加熱焼成して硬化させ、着色層を有する評価用基板を得た。
【0456】
<青色基板の作成>
上記調製した顔料分散液5を用いて、感光性着色組成物の全固形分中の比率が以下の配合割合となるように各成分を加え、さらに全固形分の含有割合が22質量%となるようにPGMEAを加え、攪拌、溶解させて、感光性着色組成物14を調製した。
【0457】
顔料分散液5 41.67質量%
アルカリ可溶性樹脂-I 34.98質量%
光重合性モノマー 19.25質量%
光重合開始剤-I 4.00質量%
界面活性剤 0.10質量%
【0458】
次に、加熱焼成後の膜厚が1.0μmとなるように調整した以外は<評価用基板の作成>と同様の操作を行い、青色層を有する青色基板を得た。
【0459】
<光学濃度(OD)の評価>
得られた評価用基板の着色層と青色基板の青色層の各々の光学濃度(OD)を透過濃度計(グレタグマクベス社製「D200-II」)にて測定した。それらの測定値より、着色層と青色層を積層した状態での光学濃度を算出した。次に、評価用基板の着色層のみの単位膜厚あたりの光学濃度(OD/μm)を算出した。それらの結果をそれぞれ表2~4に示した。
【0460】
<波長400~500nm透過率、吸光度、色調の評価>
得られた評価用基板及び青色基板の、波長380~780nmの光透過率及び吸光度を1nmおきに、感光性着色組成物を未塗布のガラス基板を対照として、島津製作所社製分光光度計UV-3150を用いて測定した。
【0461】
そして、各基板の波長400~500nmにおける1nmおきの透過率の測定値を平均することで平均透過率を算出し、次いでそれらの計算値を用いて、評価用基板と青色基板を重ねた状態での平均透過率を算出し、以下の基準にて評価を行った。青色基板単独の場合には波長400~500nmの平均透過率が高くなるため、着色層をさらに積層することでその平均透過率の値が低くなることが好ましい。
同様の手順で、波長400nmにおける透過率、波長450nmにおける透過率、波長500nmにおける透過率を算出し、それらの結果を表2~4に示した。
【0462】
(波長400~500nm平均透過率)
○:5%以下
×:5%超過
【0463】
次に、各評価用基板の波長400~500nmにおける1nmおきの吸光度の測定値を平均することで平均吸光度を算出した。同様に波長500~700nmの平均吸光度を算出し、波長500~700nmの平均吸光度に対する波長400~500nmの平均吸光度の比を算出した。それらの結果を表2~4に示した。
【0464】
次に、評価用基板と青色基板を重ねた状態のXYZ表色系におけるxy色度図における色度座標(x,y)を、各評価用基板及び青色基板の波長380~780nmの1nmおきの透過率と図1の光源のプロファイル(発光スペクトル)とから算出し、色調評価を行った。
色調の結果は、実施例1(x,y)=(0.255,0.608)、実施例2(x,y)=(0.327,0.631)、実施例3(x,y)=(0.263,0.437)、参考例1(x、y)=(0.258,0.581)、参考例2(x,y)=(0.231,0.614)、参考例3(x,y)=(0.244,0.617)、参考例4(x,y)=(0.338,0.594)、参考例5(x,y)=(0.319,0.613)、参考例6(x,y)=(0.301,0.633)であり、いずれも実用上十分であることがわかった。
【0465】
<機械的特性評価用基板の作成>
ガラス基板(旭硝子社製「AN100」)上にスピナーを用いて実施例1~3、比較例1の各感光性着色組成物を塗布した。真空乾燥した後、90℃にて90秒間、ホットプレート上で加熱乾燥して塗布膜を形成した。
得られた塗布膜に対し、直径5~50μm(5~20μm:1μmおき、25μm~50μm:5μmおき)の各種直径の円形パターンの完全透過開口部を有する露光マスクを用いて露光処理を施した。露光ギャップ(マスクと塗布面間の距離)は、250μmであった。照射光としては、波長365nmでの強度が32mW/cm2である紫外線を用い、露光量は70mJ/cm2とした。また、紫外線照射は空気下で行った。
【0466】
続いて、0.05質量%の水酸化カリウムと0.08質量%のノニオン性界面活性剤(花王社製「A-60」)を含有する水溶液からなる現像液を用い、25℃において水圧0.05MPaのシャワー現像を施した後、純水にて現像を停止し、水洗スプレーにて洗浄した。シャワー現像時間は、10~120秒間の間で調整し、未露光の塗膜が溶解除去される時間の1.3倍とした。
これらの操作により、不要部分を除去したパターンを得た。当該パターンの形成された基板をオーブン中、230℃で20分間加熱してパターンを硬化させ、高さが2.5μm、の略円柱状のスペーサーパターンを得た。
【0467】
<機械的特性の評価>
得られたスペーサーパターンのうち、底面の直径が27±2μmのパターンを対象にして、以下の手順にて弾性復元率を測定した。
負荷-除荷試験の微小硬度計として、フィッシャー・インストルメンツ社製(FISCHERSCOPE H100C)を用い、測定温度23℃、直径50μmの平面圧子を使用し、一定速度(5mN/sec)でスペーサーに荷重を加え、荷重が150mNに達したところで5秒間保持し、続いて同速度にて除荷を行い、荷重が0mNに下がったところで5秒間保持し、荷重-変位曲線を得た。この荷重-変位曲線より、一番大きい変位値を最大変位H[max]として、荷重が0mNになり5秒間保持した後の変位を最終変位H[Last]として算出した。
次いで、下記式により弾性復元率を算出し、以下のように弾性復元率評価を行った。それぞれの結果を表2~4に示した。
【0468】
弾性復元率(%)={(最大変位H[max]-最終変位H[Last])
/最大変位H[max]}×100
【0469】
(弾性復元率)
○:90%以上
×:90%未満
【0470】
表2において、実施例1、2と比較例1との比較から、感光性着色組成物の全固形分中の着色剤の含有割合を23質量%以下とすることで、着色スペーサーの機械的特性が良好となることがわかる。全固形分中の着色剤の含有割合を23質量%以下とする、つまり、弾性変形しない着色剤の含有割合が過度に高くならないようにすることで、着色スペーサーに荷重を加えた際の塑性変形を抑制することができ、弾性復元率が良好になると考えられる。
表2及び3において、実施例1、3、及び参考例1と、比較例2及び3との比較から、全着色剤中の黄色顔料の含有割合が40質量%以上である感光性着色組成物を用いることで、波長400~500nmの平均透過率が十分に低くなることが分かる。前記下限値以上の黄色顔料を含有することで、青色層において吸収されずに透過してしまう波長400~500nmの光が十分に遮光されるからである。
さらに、実施例1と比較例4との比較から、黄色顔料だけでなく、さらに赤色顔料を含有する感光性着色組成物を用いた場合には、青色基板を重ねた状態の光学濃度(OD)も高く、遮光性が実用上十分であることがわかる。
【0471】
表2の実施例1、表4の参考例2及び3の比較から、赤色顔料の種類によらず、400~500nmの平均透過率が十分に低く、青色基板を重ねた状態の光学濃度(OD)も十分に高いことが分かる。
また表2の実施例1と、表4の参考例4~6との比較から、赤色顔料の代わりに橙色顔料を使用した場合でも、波長400~500nmの平均透過率が十分に低く、青色基板を重ねた状態の光学濃度(OD)も十分に高いことが分かる。
図1