(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】画像読取装置、画像形成装置および画像読取方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20221129BHJP
H04N 1/03 20060101ALI20221129BHJP
H04N 1/191 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H04N1/04 106Z
H04N1/03
H04N1/191
(21)【出願番号】P 2018185853
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】平野 登
(72)【発明者】
【氏名】柴田 崇之
(72)【発明者】
【氏名】石井 達也
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-159215(JP,A)
【文献】特開2012-094940(JP,A)
【文献】特開2004-336100(JP,A)
【文献】特開2016-021601(JP,A)
【文献】特開2000-083144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04 - 1/207
H04N 1/024- 1/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象が搬送される方向に直交する所定の方向に配列される少なくとも2以上のn個の読取デバイスと、
前記読取デバイス毎および前記読取デバイス間の相対位置の補正の基準となる基準パターンを有し、前記少なくとも2以上の読取デバイスに対して前記所定の方向と直交する方向に相対的に移動する位置基準部材と、
前記少なくとも2以上の読取デバイスによる前記位置基準部材の読取結果に基づいて、前記読取デバイス毎および前記読取デバイス間の相対位置のずれである補正値を算出する補正値算出手段と、
を備え、
前記位置基準部材は、前記読取デバイス間での相対位置補正用であってn-1個の第1の位置基準部材と、前記読取デバイス内での相対位置補正用であってn個の第2の位置基準部材とを備え、
前記補正値算出手段は、前記第1の位置基準部材と前記第2の位置基準部材とを切り替えて、前記読取デバイス毎および前記読取デバイス間の前記補正値を算出する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記補正値算出手段は、
前記第1の位置基準部材の前記基準パターンの縦線に基づいて前記読取デバイス間の主走査ずれを算出し、
前記第1の位置基準部材の前記基準パターンの横線に基づいて前記読取デバイス間の副走査ずれを算出し、
前記第2の位置基準部材の前記基準パターンの縦線に基づいて前記読取デバイス内の主走査ずれを算出し、
前記第2の位置基準部材の前記基準パターンの横線に基づいて前記読取デバイス内の副走査ずれを算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記補正値算出手段は、前記第1の位置基準部材を基準として前記第2の位置基準部材の副走査方向のずれ量を算出し、前記第1の位置基準部材と前記第2の位置基準部材との間の副走査方向に対する相対的なずれを補正する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記補正値算出手段は、前記第1の位置基準部材と前記第2の位置基準部材との主走査方向において、同じ位置で前記読取デバイスから検出可能な少なくとも2つ以上前記基準パターンの横線に基づいて、前記第2の位置基準部材間の傾き角度を算出し、前記第2の位置基準部材間の副走査方向に対する相対的なずれを補正する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
プリントエンジン部と、
請求項1乃至
4の何れか一項に記載の画像読取装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
読取対象が搬送される方向に直交する所定の方向に配列される少なくとも2以上のn個の読取デバイスと、前記読取デバイス毎および前記読取デバイス間の相対位置の補正の基準となる基準パターンを有し、前記少なくとも2以上の読取デバイスに対して前記所定の方向と直交する方向に相対的に移動する位置基準部材と、を備える画像読取装置における画像読取方法であって、
前記少なくとも2以上の読取デバイスによる前記位置基準部材の読取結果に基づいて、前記読取デバイス毎および前記読取デバイス間の相対位置のずれである補正値を算出する補正値算出工程を含み、
前記位置基準部材は、前記読取デバイス間での相対位置補正用であってn-1個の第1の位置基準部材と、前記読取デバイス内での相対位置補正用であってn個の第2の位置基準部材とを備え、
前記補正値算出工程は、前記第1の位置基準部材と前記第2の位置基準部材とを切り替えて、前記読取デバイス毎および前記読取デバイス間の前記補正値を算出する、
ことを特徴とする画像読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、画像形成装置および画像読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、取り付ける際に生じる読取デバイスの捻じれや歪みによって、または、複数の光電変換素子を配列して読取デバイスを形成する際の各素子の配列位置のばらつきによって、光電変換素子の位置ずれを生じることが知られている。
【0003】
特許文献1には、基準線の画像を読み取って読取デバイスの位置ずれを検出して画像位置を補正する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年においては、読取範囲を一つの読取デバイスでカバーできない場合に、複数の読取デバイスを用いるようにしている。
【0005】
しかしながら、従来の画像位置補正技術によれば、読取範囲を拡大するにつれて基準線を保持する部材のサイズを拡大しなければならず、小さいサイズと同程度のスケール精度を出すためにはコストが高くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、読取範囲が拡大しても小サイズの位置基準部材と同程度の精度を低コストで実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、読取対象が搬送される方向に直交する所定の方向に配列される少なくとも2以上のn個の読取デバイスと、前記読取デバイス毎および前記読取デバイス間の相対位置の補正の基準となる基準パターンを有し、前記少なくとも2以上の読取デバイスに対して前記所定の方向と直交する方向に相対的に移動する位置基準部材と、前記少なくとも2以上の読取デバイスによる前記位置基準部材の読取結果に基づいて、前記読取デバイス毎および前記読取デバイス間の相対位置のずれである補正値を算出する補正値算出手段と、を備え、前記位置基準部材は、前記読取デバイス間での相対位置補正用であってn-1個の第1の位置基準部材と、前記読取デバイス内での相対位置補正用であってn個の第2の位置基準部材とを備え、前記補正値算出手段は、前記第1の位置基準部材と前記第2の位置基準部材とを切り替えて、前記読取デバイス毎および前記読取デバイス間の前記補正値を算出する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、読取範囲が拡大しても小サイズの位置基準部材と同程度の精度を低コストで実現することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態にかかる印刷システムの構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、印刷システムのハードウェアの電気的接続の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、読取デバイスと位置基準部材との設置態様を示す模式図である。
【
図4】
図4は、は読取デバイスと位置基準部材との配置関係を例示的に示す図である。
【
図5】
図5は、読取デバイスと記録紙との配置関係を例示的に示す図である。
【
図6】
図6は、位置基準部材の配置の相対位置ずれを例示的に示す図である。
【
図7】
図7は、印刷システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】
図8は、読取デバイス間の主走査方向における位置ずれの補正値の算出手法を示す図である。
【
図9】
図9は、読取デバイス間の副走査方向における位置ずれの補正値の算出手法を示す図である。
【
図10】
図10は、読取デバイス内の主走査方向における位置ずれの補正値の算出手法を示す図である。
【
図11】
図11は、読取デバイス内の副走査方向における位置ずれの補正値の算出手法を示す図である。
【
図12】
図12は、読取デバイス間の主走査方向の相対位置の算出手法について説明する図である。
【
図13】
図13は、読取デバイス間の位置基準部材の傾きの補正について説明する図である。
【
図14】
図14は、読取デバイス内の位置基準部材の傾きの補正について説明する図である。
【
図15】
図15は、位置基準部材間の副走査方向の相対位置の算出手法について説明する図である。
【
図16】
図16は、位置基準部材間の傾きの算出手法について説明する図である。
【
図17】
図17は、印刷システムが実行する処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、補正値算出モードの処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、読取モードの処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、第2の実施の形態にかかる補正値の算出手法について説明する図である。
【
図21】
図21は、第3の実施の形態にかかる画像読取装置の外観を示す斜視図である。
【
図22】
図22は、画像読取装置の内部構造を部分的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、画像読取装置、画像形成装置および画像読取方法の実施の形態を詳細に説明する。以下では、画像読取装置、画像形成装置が、短時間で大量の枚数を連続して印刷する商業印刷機(プロダクションプリンティング機)などの印刷装置を含む印刷システムに適用された場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
【0011】
(第1の実施の形態)
[印刷システムのハードウェア構成の説明]
図1は、第1の実施の形態にかかる印刷システム1の構成の一例を示す模式図である。
図1に示すように、画像形成装置である印刷システム1は、排紙ユニット102と、冷却ユニット103と、乾燥ユニット104と、作像ユニット105と、レジストユニット106と、先塗りユニット107と、給紙ユニット108と、を備える。
【0012】
給紙ユニット108は、処理対象(被搬送物)である記録媒体が収容されており、記録媒体を後段の作像ユニット105などに対して供給する。記録媒体としては、例えば、記録紙(転写紙)が挙げられるが、これに限定されず、例えば、コート紙、厚紙、OHP(Overhead Projector)シート、プラスチックフィルム、及び銅箔など画像を記録可能な媒体であればどのようなものであってもよい。なお、本実施の形態においては、画像を形成する記録媒体を処理対象(被搬送物)としたが、これに限るものではなく、プリプレグなどの画像を形成する対象ではないシートなどを処理対象(被搬送物)としてもよい。
【0013】
先塗りユニット107は、給紙ユニット108から供給された処理対象(被搬送物)である記録紙(転写紙)に対して先塗り液をコートする。これにより、異なる記録紙に対しても作像ユニット105で打ち込むインクを馴染ませることができる。
【0014】
レジストユニット106は、作像ユニット105に対する記録紙の搬送タイミングや位置調整を行うユニットである。
【0015】
作像ユニット105は、インクジェット方式の印刷装置であって、記録紙にインクを打ち込み画像を形成する。なお、本実施の形態では、作像ユニット105としてインクジェット方式の印刷装置を適用したが、これに限るものではなく、電子写真方式の印刷装置を適用してもよい。
【0016】
乾燥ユニット104は、作像ユニット105によって記録紙に付着したインクを乾燥させ、馴染ませる役割を持つ。
【0017】
冷却ユニット103は、乾燥ユニット104によって熱された記録紙を冷却する。
【0018】
冷却ユニット103は、片面印刷の場合、画像が形成された記録紙である印刷物を後段の排紙ユニット102へ送る。一方、冷却ユニット103は、両面印刷の場合、画像が形成された記録紙を反転パス109へ送る。
【0019】
反転パス109は、送られた記録紙をスイッチバックすることにより記録紙の表面・裏面を反転して搬送する。反転パス109により搬送された記録紙は、作像ユニット105に再搬送され、作像ユニット105により前回と逆側の面に画像が形成され、乾燥ユニット104および冷却ユニット103により乾燥・冷却され、印刷物として、後段の排紙ユニット102へ送られる。
【0020】
排紙ユニット102は、作像ユニット105と乾燥ユニット104と冷却ユニット103とを経て生成された印刷物の排紙を受け付ける。
【0021】
また、作像ユニット105には、複数の読取デバイス間および1つの読取デバイスの画素ごとの相対位置を補正するために、搬送される記録紙の端部や記録紙に記録された画像位置を検出する検出装置200が設けられている。
【0022】
検出装置200は、読取デバイス201と、位置基準部材202と、を備える。
【0023】
読取デバイス201は、例えば、複数の撮像素子(CMOSイメージセンサ)をライン状に並べたCIS(Contact Image Sensor:密着型イメージセンサ)等により実現できる。読取デバイス201は、読み取り対象からの反射光を受光して、画像信号を出力する。具体的には、読取デバイス201は、作像ユニット105で画像が形成された記録紙の搬送位置および当該記録紙に対する画像形成位置を読取対象とする。また、読取デバイス201は、位置基準部材202を読取対象とする。
【0024】
読取デバイス201に適用されるCISは、一般的に、複数画素を有するセンサチップ210(
図4参照)を主走査方向に複数配列することによって、必要な主走査方向の有効読取長を確保する構成で知られている。
【0025】
位置基準部材202は、複数のセンサチップ210によって構成される読取デバイス201の各センサチップ210の取り付け位置を補正するための基準板である。このように位置基準部材202を用いて読取デバイス201の各センサチップ210の取り付け位置を補正することによって高精度な画像位置検出を行う。
【0026】
位置基準部材202は、周辺部材の発熱影響等による膨張・伸縮が発生すると、絶対的な位置基準として機能せず、位置検出精度の悪化を招いてしまう。そこで、位置基準部材202は、読取デバイス201の基板に比べて線膨張係数が低く、位置検出において周囲温度の影響による伸縮量が無視できるほどに小さい材料によって構成されている。本実施の形態においては、想定される温度変化範囲、線膨張係数を考慮し、位置基準部材202は、ガラスで形成されている。なお、位置基準部材202の材料はこれに限るものではなく、読取デバイス201の温度変化範囲が広い場合に精度の高い媒体位置検出を実現するためには、石英ガラスなどを用いるのがより好適である。
【0027】
図2は、印刷システム1のハードウェアの電気的接続の一例を示すブロック図である。
【0028】
図2に示すように、印刷システム1は、コントローラ10とエンジン部(Engine)60とエンジン部(Engine)70とをPCIバスで接続した構成となる。コントローラ10は、印刷システム1の全体の制御、描画、通信、及び操作表示部であるオペレーションパネル100からの入力を制御するコントローラである。エンジン部60は、PCIバスに接続可能なエンジンであり、例えば、検出装置200等のスキャナエンジンなどである。エンジン部60には、エンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分も含まれる。エンジン部70は、PCIバスに接続可能なエンジンであり、例えば、作像ユニット105等のプリントエンジン部などである。
【0029】
コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ノースブリッジ(NB)13と、システムメモリ(MEM-P)12と、サウスブリッジ(SB)14と、ローカルメモリ(MEM-C)17と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)16と、ハードディスクドライブ(HDD)18とを有し、ノースブリッジ(NB)13とASIC16との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス15で接続した構成となる。また、MEM-P12は、ROM12aと、RAM12bとをさらに有する。
【0030】
CPU11は、印刷システム1の全体制御を行うものであり、NB13、MEM-P12およびSB14からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0031】
NB13は、CPU11とMEM-P12、SB14、AGPバス15とを接続するためのブリッジであり、MEM-P12に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0032】
MEM-P12は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM12aとRAM12bとからなる。ROM12aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM12bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0033】
SB14は、NB13とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB14は、PCIバスを介してNB13と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部なども接続される。
【0034】
ASIC16は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス15、PCIバス、HDD18およびMEM-C17をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC16は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC16の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM-C17を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部60やエンジン部70との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC16には、PCIバスを介してUSB40、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース(I/F)50が接続される。オペレーションパネル100はASIC16に直接接続されている。
【0035】
MEM-C17は、画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD18は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0036】
AGPバス15は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM-P12に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0037】
本実施の形態の印刷システム1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0038】
さらに、本実施の形態の印刷システム1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の印刷システム1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0039】
[検出装置200の説明]
次に、検出装置200について説明する。
【0040】
図3は、読取デバイス201と位置基準部材202との設置態様を示す模式図である。
図3に示すように、位置基準部材202は、位置基準部材202aおよび位置基準部材202bで構成される。位置基準部材202(202a,202b)は、モータ204により回転駆動される回転部材(リボルバー)203に設けられている。位置基準部材202(202a,202b)は、モータ204により等速回転される回転部材203により移動する。位置基準部材202aと位置基準部材202bとは、回転部材203の回転に伴って切り替えられ、所定のタイミングで読取デバイス201の対向面に配置される。
【0041】
また、回転部材203には、搬送される記録紙の端部や記録紙に記録された画像位置の検出などに用いる読取背景205も設けられている。位置基準部材202および読取背景205は、モータ204の駆動による回転部材203の回転によって、読取デバイス201に対向する位置に選択的に切り替えられる。
【0042】
また、位置基準部材202(202a,202b)を回転させるのは、読取デバイス201の副走査方向への取り付け傾きを検知するために、位置基準部材202を副走査方向に一定速度で移動させ、位置基準部材202(202a,202b)上に配置された所定の方向に延びた線を含む基準パターンである主副スケール(
図4参照)を読み取るためである。
【0043】
なお、
図3では位置基準部材202(202a,202b)を回転部材203に取り付けて位置基準部材202(202a,202b)を副走査方向に一定速度で移動させるようにしたが、これに限るものではない。例えば、位置基準部材202(202a,202b)は、直線状に移動可能なように設けられていても良い。
【0044】
次に、読取デバイス201と位置基準部材202との配置関係について説明する。
【0045】
ここで、
図4は読取デバイス201と位置基準部材202との配置関係を例示的に示す図、
図5は読取デバイス201と記録紙Pとの配置関係を例示的に示す図である。
図4に示すように、本実施の形態においては、複数の読取デバイス201(201a,201b)が記録紙の搬送方向(副走査方向)bに対して直交する方向(主走査方向)aに配置されている。
図5に示すように、複数の読取デバイス201(201a,201b)は、読取範囲となる記録紙Pの幅が大きいために記録紙Pの幅の全長に渡って配置されておらず、読取範囲となる記録紙Pの両端部にそれぞれ配置される。
【0046】
これらの読取デバイス201(201a,201b)に対して、2種類の位置基準部材202(202a,202b)が配置される。
【0047】
図4に示すように、位置基準部材202(202a,202b)上には、所定の主副スケールXが配置されている。位置基準部材202(202a,202b)上に配置される主副スケールXは、
図4に示すように、読取デバイス201の主走査方向(所定の方向)に対して平行な線(以降「横線」)と、読取デバイス201の主走査方向に対して直交する方向に延びた直交する線(以降「縦線」)とで構成されている。
【0048】
図4に示すように、縦線は、読取デバイス201の基板上の各センサチップ210に対してそれぞれ読み取れるように、位置基準部材202(202a,202b)上に各センサチップ210に対応して等間隔で配置されている。また、横線は、当該縦線の間に配置されている。
【0049】
なお、
図4に示すように、位置基準部材202(202a,202b)上の縦線と横線の間に隙間を作ることで、仮に縦線読取の場合に横線が読取デバイス201の読取範囲に入っていても、縦線の座標を算出することができるようになっている。
【0050】
位置基準部材202aは、読取デバイス201(201a,201b)間の補正用基準として機能するものである。位置基準部材202aは、隣り合う読取デバイス201における各々1つのセンサチップ210に対応して主副スケールXが位置するように配置される。
【0051】
位置基準部材202bは、読取デバイス201内の補正用基準として機能するものである。位置基準部材202bは、各読取デバイス201の全センサチップ210に対応して主副スケールXが位置するように配置される。
【0052】
なお、隣接する位置基準部材202(202a,202b)の端部の主副スケールXは、同一センサチップ210での読み取り領域に位置する。
【0053】
次に、読取デバイス201と記録紙Pとの配置関係について説明する。
【0054】
図5に示す間隔Aは、1つの読取デバイス201内でのセンサチップ210(画素)間の相対位置を表す。
図5に間隔Bは、複数の読取デバイス201(201a,201b)間の相対位置を表す。間隔A及び間隔Bが既知の値であれば、
図5に示すように、記録紙Pの両端部に位置するように読取デバイス201(201a,201b)を配置することによって、搬送される記録紙Pの端部や記録紙Pに記録された画像位置を正確に検出することができる。
【0055】
ところで、
図5に示したような位置基準部材202(202a,202b)の配置はあくまでも理想的な配置である。実際には、読取デバイス201(201a,201b)は、各種の製造ばらつきや取り付けばらつきを含む。ここで、
図6は位置基準部材202(202a,202b)の配置の相対位置ずれを例示的に示す図である。
【0056】
図6(a)は、読取デバイス201(201a,201b)間のずれ(主走査方向)を示すものである。このようなずれは、読取デバイス201(201a,201b)の組付けのばらつきにより発生する。
【0057】
図6(b)は、読取デバイス201(201a,201b)間のずれ(副走査方向)を示すものである。このようなずれは、読取デバイス201(201a,201b)の組付けのばらつきにより発生する。
【0058】
図6(c)は、読取デバイス201(201a,201b)内のずれ(主走査方向)を示すものである。このようなずれは、読取デバイス201(201a,201b)の製造ばらつきや経時での温度変動により発生する。
【0059】
図6(d)は、読取デバイス201(201a,201b)内のずれ(副走査方向)を示すものである。このようなずれは、読取デバイス201(201a,201b)の組付けのばらつきにより発生する。
【0060】
図6(e)は、読取デバイス201(201a,201b)内のずれ(副走査方向)を示すものである。このようなずれは、読取デバイス201(201a,201b)の製造ばらつきにより発生する。
【0061】
図6に示すようなずれを補正しなければ、読取デバイス201(201a,201b)は、記録紙Pの端部及び記録紙Pに記録された画像位置を正確に検出することはできない。
【0062】
そこで、本実施の形態においては、
図6に示すようなずれを補正し、記録紙Pの端部及び記録紙Pに記録された画像位置を正確に検出するようにする。
【0063】
[印刷システム1の機能構成の説明]
次に、印刷システム1のCPU11がHDD18やROM12aに記憶されたプログラムを実行することによって発揮する機能について説明する。なお、ここでは従来から知られている機能については説明を省略し、本実施の形態の印刷システム1が発揮する特徴的な機能である読取デバイス201(201a,201b)の位置ずれ補正機能について詳述する。
【0064】
図7は、印刷システム1の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0065】
図7に示すように、印刷システム1のCPU11は、読取制御部110、モータ制御部111、補正値演算部112、として機能する。
【0066】
なお、本実施の形態においては、印刷システム1が発揮する特徴的な機能をCPU11がプログラムを実行することにより実現するものとしたが、これに限るものではなく、例えば、上述した各部の機能のうちの一部または全部が専用のハードウェア回路で実現されてもよい。
【0067】
モータ制御部111は、モータ204に対して駆動信号を出力し、回転部材203を回転駆動する。また、モータ制御部111は、モータ204に対して駆動停止信号を出力し、回転部材203の回転を停止する。
【0068】
読取制御部110は、読取デバイス201(201a,201b)に対して読取開始信号を出力し、読取デバイス201(201a,201b)による読み取りを開始させる。また、読取制御部110は、読取デバイス201(201a,201b)から読取信号を受け取ると、読取デバイス201(201a,201b)に対して読取終了信号を出力し、読取デバイス201(201a,201b)による読み取りを終了させる。
【0069】
補正値演算部112は、補正値算出手段として機能する。補正値演算部112は、モータ制御部111および読取制御部110を制御し、読取デバイス201(201a,201b)間および読取デバイス201(201a,201b)内の補正値を算出する。より詳細には、補正値演算部112は、モータ制御部111を制御して位置基準部材202(202a,202b)を読取デバイス201(201a,201b)の対向に位置させ、読取制御部110を制御して読取デバイス201(201a,201b)によって読み取る。また、補正値演算部112は、補正値を算出し、算出した補正値を記憶部であるHDD18やRAM12bなどに格納する。
【0070】
なお、読取背景205は、搬送される記録紙の端部や記録紙に記録された画像位置の検出などの際に、モータ制御部111の制御によって読取デバイス201(201a,201b)の対向に位置させられる。この状態で、印刷システム1のCPU11は、搬送される記録紙の端部や記録紙に記録された画像位置を読取デバイス201(201a,201b)によって読み取り、HDD18やRAM12bなどに格納されている読取デバイス201(201a,201b)間の補正値と読取デバイス201(201a,201b)内の補正値に基づいて読取結果を補正する。
【0071】
次に、補正値演算部112における補正値の算出について説明する。
【0072】
まず、読取デバイス201(201a,201b)間の主走査方向における位置ずれの補正について説明する。
【0073】
図8は、読取デバイス間の主走査方向における位置ずれの補正値の算出手法を示す図である。
図8(a)に示すように、まず、補正値演算部112は、位置基準部材202aの縦線を、隣り合う読取デバイス201(201a,201b)毎に予め定めたセンサチップ210で読み取る。なお、
図8(a)中、位置基準部材202aにおいて枠A1で示す領域が、センサチップ210の読取領域である。
【0074】
補正値演算部112は、読み取った結果から、
図8(b)に示すように、位置基準部材202aの縦線がセンサチップ210の何画素目の位置にいるかを特定することができる。
【0075】
補正値演算部112は、上記結果から、読取デバイス201(201a,201b)間の主走査距離を精度よく算出でき、理想位置からのズレを補正値として算出できる。
【0076】
次に、読取デバイス201(201a,201b)間の副走査方向における位置ずれの補正について説明する。
【0077】
図9は、読取デバイス間の副走査方向における位置ずれの補正値の算出手法を示す図である。
図9(a)に示すように、まず、補正値演算部112は、回転部材203を回転させて位置基準部材202aを副走査方向に一定速度で移動させながら、位置基準部材202aの横線を、隣り合う読取デバイス201(201a,201b)毎に予め定めたセンサチップ210で読み取る。なお、
図9(a)中、位置基準部材202aにおいて枠A2で示す領域が、センサチップ210の読取領域である。
【0078】
補正値演算部112は、読み取った結果から、
図9(b)に示すように、位置基準部材202aの横線が読取ライン数の何ライン目にいるか(副走査位置)を特定することができる。
【0079】
補正値演算部112は、上記結果から、読取デバイス201(201a,201b)間の副走査距離を精度よく算出でき、理想位置からのズレを補正値として算出できる。なお、センサチップ210内での画素位置のばらつきを考慮する場合は、副走査方向に平均をとって算出してもよい。
【0080】
以上、
図8および
図9に示す手法によれば、隣り合う読取デバイス201(201a,201b)間の主走査方向および副走査方向のずれの補正値を算出することができる。
【0081】
なお、隣り合う読取デバイス201(201a,201b)間の主走査方向および副走査方向のずれの補正値の算出に際しては、位置基準部材202の横線の読取と、位置基準部材202の縦線の読取とは、どちらが先でもよい。
【0082】
次に、読取デバイス201(201a,201b)内の主走査方向における位置ずれの補正について説明する。
【0083】
図10は、読取デバイス内の主走査方向における位置ずれの補正値の算出手法を示す図である。
図10(a)に示すように、まず、補正値演算部112は、読取デバイス201(201a,201b)の全センサチップ210に対応した位置基準部材202bの縦線を読み取る。なお、
図10(a)中、位置基準部材202bにおいて枠A3で示す領域が、全センサチップ210の読取領域である。
【0084】
補正値演算部112は、読み取った結果から、
図10(b)に示すように、位置基準部材202bの縦線が読取デバイス201(201a,201b)の各センサチップ210の何画素目の位置にいるかを特定することができる。
【0085】
補正値演算部112は、上記結果から、読取デバイス201(201a,201b)内のセンサチップ210の位置を算出でき、理想位置からのズレを補正値として算出できる。
【0086】
次に、読取デバイス201(201a,201b)内の副走査方向における位置ずれの補正について説明する。
【0087】
図11は、読取デバイス内の副走査方向における位置ずれの補正値の算出手法を示す図である。
図11(a)に示すように、まず、補正値演算部112は、回転部材203を回転させて位置基準部材202aを副走査方向に移動させながら、読取デバイス201(201a,201b)の全センサチップ210に対応した位置基準部材202bの横線を読み取る。なお、
図11(a)中、位置基準部材202bにおいて枠A4で示す領域が、各センサチップ210の読取領域である。
【0088】
補正値演算部112は、読み取った結果から、
図11(b)に示すように、位置基準部材202bの横線が読取デバイス201(201a,201b)の読取ライン数の何ライン目にいるか(副走査位置)を特定することができる。
【0089】
補正値演算部112は、上記結果から、読取デバイス201(201a,201b)内の副走査距離を算出でき、基準位置を任意のセンサチップ210とすると基準位置からのズレを補正値として算出できる。なお、センサチップ210内での画素位置のばらつきを考慮する場合は、副走査方向に平均をとって算出してもよい。
【0090】
以上、
図10および
図11に示す手法によれば、読取デバイス201(201a,201b)内の主走査方向および副走査方向のずれの補正値を算出することができる。
【0091】
なお、読取デバイス201(201a,201b)内の主走査方向および副走査方向のずれの補正値の算出に際しては、位置基準部材202の横線の読取と、位置基準部材202の縦線の読取とは、どちらが先でもよい。
【0092】
続いて、読取デバイス201(201a,201b)間の主走査方向の相対位置の算出手法について詳述する。
【0093】
図12は、読取デバイス間の主走査方向の相対位置の算出手法について説明する図である。例えば、
図12におけるから読取デバイス201bのチップ番号Nのセンサチップ210における縦線の距離を算出する方法について説明する。なお、読取デバイス201(201a,201b)内での縦線間の距離は既知とする。
【0094】
まず、読取デバイス201aのチップ番号1のセンサチップ210の1画素目(基準画素)からチップ番号1のセンサチップ210で検出した位置基準部材202bの縦線までの距離、異なる位置基準部材202(202a,202b)間の縦線同士の距離の算出方法について説明する。
【0095】
距離は、縦線を検出した画素数と解像度(分解能)から算出する。すなわち、
図12(b)に示すように、読取デバイス201aのチップ番号1のセンサチップ210の1画素目(基準画素)から同じセンサチップ210で検出した縦線までの距離Aは、縦線を検出した画素数×分解能で算出される。
【0096】
一方、
図12(b)に示すように、同じセンサチップ210で検出した異なる位置基準部材202(202a,202b)間の縦線同士の距離は、それぞれの検出した画素数の差分×分解能で算出する。
図12(b)において、異なる位置基準部材202(202a,202b)間の縦線同士の距離は、B-Aで表される。
【0097】
上記算出方法により、補正値演算部112は、
図12における読取デバイス201aの1画素目から読取デバイス201bのチップ番号Nのセンサチップ210における縦線の距離Cを、下記の式により算出する。
距離C=「読取デバイス201aの1画素目から縦線までの距離」+「既知の距離2」+「読取デバイス201aのチップ番号Nのセンサチップ210で検出した位置基準部材202bの縦線から位置基準部材202aの縦線までの距離」+「既知の距離1」+「読取デバイス201bのチップ番号1のセンサチップ210で検出した位置基準部材202aの縦線から位置基準部材202bの縦線までの距離」+「既知の距離3」
【0098】
次に、読取デバイス間の位置基準部材の傾きの補正について説明する。
【0099】
ここで、
図13は読取デバイス間の位置基準部材の傾きの補正について説明する図である。なお、
図8および
図9においては、読取デバイス間の位置基準部材の傾きがない想定で補正を実施していたが、実際にはメカ取付の誤差等で読取デバイス201(201a,201b)の間で位置基準部材202aが傾いて配置されることが想定される。その場合、読取デバイス(201a,201b)の間の補正を実施しても位置基準部材202aの傾きによる副走査ずれが誤差として残る。
【0100】
主走査方向については、読取デバイス201(201a,201b)の間で位置基準部材202aの傾きが小さい場合、副走査方向に比べてズレ量は十分に小さいと考えることができる。このため、ここでは読取デバイス201(201a,201b)の間での位置基準部材202aの副走査ずれの誤差を補正する方法について説明する。
【0101】
まず、補正値演算部112は、
図9で説明した方法で副走査のズレ(補正値)を算出する。
【0102】
次に、補正値演算部112は、算出した補正値に基づいて測定対象となる記録紙を読取デバイス201(201a,201b)により読み取り、記録紙の正しい形状を事前/事後に把握した結果と補正後の読取結果との差分を算出する。
【0103】
補正値演算部112は、上記で算出した差分から、読取デバイス201(201a,201b)間での位置基準部材202aの傾きを算出する。
【0104】
最後に、補正値演算部112は、もう一度、
図9で説明した方法で副走査のズレ(補正値)を算出する。この時、補正値演算部112は、読取デバイス201(201a,201b)間での位置基準部材202aの傾きを補正した上で、副走査のズレを算出する。これにより、読取デバイス201(201a,201b)間での位置基準部材202aの傾きをキャンセルできる。
【0105】
このように、第1の位置基準部材の傾きを補正する手順を加えることで、ズレをキャンセルすることができる。
【0106】
次に、読取デバイス内の位置基準部材の傾きの補正について説明する。
【0107】
ここで、
図14は読取デバイス内の位置基準部材の傾きの補正について説明する図である。なお、
図10および
図11においては、読取デバイス内の位置基準部材の傾きがない想定で補正を実施していたが、実際にはメカ取付の誤差等で読取デバイス201(201a,201b)内の位置基準部材202(202a,202b)が傾いて配置されることが想定される。その場合、読取デバイス(201a,201b)内の補正を実施しても位置基準部材202(202a,202b)の傾きによる副走査ずれが誤差として残る。
【0108】
主走査方向については、読取デバイス201(201a,201b)内の位置基準部材202bの傾きが小さい場合、副走査方向に比べてズレ量は十分に小さいと考えることができる。このため、ここでは読取デバイス201(201a,201b)内での位置基準部材202bの副走査ずれの誤差を補正する方法について説明する。
【0109】
まず、補正値演算部112は、
図11で説明した方法で副走査のズレ(補正値)を算出する。
【0110】
次に、補正値演算部112は、算出した補正値に基づいて測定対象となる記録紙を読取デバイス201(201a,201b)により読み取り、記録紙の正しい形状を事前/事後に把握した結果と補正後の読取結果との差分を算出する。
【0111】
補正値演算部112は、上記で算出した差分から、読取デバイス201(201a,201b)内での位置基準部材202bの傾きを算出する。
【0112】
補正値演算部112は、上記で算出した差分から、読取デバイス201(201a,201b)内での位置基準部材202bの傾きを算出する。
【0113】
最後に、補正値演算部112は、もう一度、
図11で説明した方法で副走査のズレ(補正値)を算出する。この時、補正値演算部112は、読取デバイス201(201a,201b)内での位置基準部材202bの傾きを補正した上で、副走査のズレを算出する。これにより、読取デバイス201(201a,201b)内での位置基準部材202bの傾きをキャンセルできる。
【0114】
このように、第2の位置基準部材の傾きを補正する手順を加えることで、ズレをキャンセルすることができる。
【0115】
続いて、位置基準部材202(202a,202b)間の副走査方向の相対位置の算出手法について詳述する。
【0116】
図15は、位置基準部材間の副走査方向の相対位置の算出手法について説明する図である。
【0117】
図15(a)に示すように、位置基準部材202aの取り付け位置を基準とした場合、メカ取付の誤差等により、2つの位置基準部材201bは、位置基準部材202aに対して副走査方向にギャップが生じる場合が想定される(回転部材203を回転させたときに、副走査方向の基準線からズレる)。
【0118】
本実施の形態では、位置基準部材202aの副走査方向の中心線を基準線とし、2つの位置基準部材201bの相対位置を算出する方法を述べる。
【0119】
図15(b)に示すように、読取デバイス201aの対向面に位置基準部材202aが位置する時の副走査方向のズレをD1_glass1、読取デバイス201aの対向面に位置基準部材201bが位置する時の副走査方向のズレをD1_glass2とする。同様に、読取デバイス201bの対向面に位置基準部材202aが位置する時の副走査方向のズレをD2_glass1、読取デバイス201bの対向面に位置基準部材201bが位置する時の副走査方向のズレをD2_glass3とする。
【0120】
位置基準部材202aに対する
図15における左側の位置基準部材201bの副走査方向ギャップをD1_glass12とすると、
D1_glass12=D1_glass2-D1_glass1
となる。
【0121】
同様に、位置基準部材202aに対する
図15における右側の位置基準部材201bの副走査方向ギャップ D2_glass13も算出することができる。このとき、D1_glass12、D2_glass13のギャップ方向について、+方向と-方向をどちらにするかは任意に決めて良い。
【0122】
なお、D1_glass12、D2_glass13がわかれば、2つの位置基準部材201bのギャップも把握することができる。
【0123】
また、
図15に示すように、読取デバイス201(201a,201b)内のセンサチップ210が副走査方向にバラつき(D_chip)が生じていても、本実施の形態による位置基準部材202(202a,202b)間の副走査方向の相対位置算出には影響しない。
【0124】
以上の方法により、位置基準部材202aの副走査方向中心線を基準線とし、2つの位置基準部材201bの相対位置および2つの位置基準部材201bの副走査方向ギャップを算出できるので、2つの位置基準部材201bに理想取付位置からの副走査ズレが生じても、ズレを考慮して補正を行うことが可能となる。
【0125】
続いて、位置基準部材202(202a,202b)間の傾きの算出手法について詳述する。
【0126】
図16は、位置基準部材間の傾きの算出手法について説明する図である。
【0127】
図16(a)に示すように、位置基準部材202aの主走査方向を取付方向の基準ラインとした場合、メカ取付の誤差等により、2つの位置基準部材202bが副走査方向にギャップが生じることは
図15にて説明した。加えて、
図16(a)に示すように、理想取付方向から角度θおよびθ’だけ傾いてしまうことも起こりうる。本実施の形態では、2つの位置基準部材202bの傾きを考慮して補正するために、理想取付方向からの傾き角度を算出する方法を述べる。
【0128】
2つの位置基準部材202bの理想取付方向から角度θおよびθ’は、それぞれ独立して算出できるため、ここでは左側の位置基準部材202bの角度θを求める方法を説明する。
【0129】
傾き補正するためには、位置基準部材202aと位置基準部材202bの主走査方向において、同じ位置で読取デバイス201aから検出可能な横線が少なくとも2つ以上は必要となる。本実施の形態では
図16(b)に示すように、3カ所の横線で検出可能な構成とし、チップ番号Nのセンサチップ210とチップ番号N-2のセンサチップ210を使って傾き角度θを求めることとする。
【0130】
まず、
図16(b)に示す読取領域(1)の位置(読取デバイス201aのチップ番号N-2のセンサチップ210で読取る位置)において、位置基準部材202aに対する位置基準部材202bの副走査方向ギャップDy1_3を求める。これは、
図15で説明した方法と同様にして、
Dy1_3=Dy1_1-Dy1_2
と計算できる。
【0131】
図16(b)に示す読取領域(2)の位置(読取デバイス201aのチップ番号Nのセンサチップ210で読取る位置)においても、同様にして副走査方向ギャップは、
Dy2_3=Dy2_1-Dy2_2
と計算できる。
【0132】
従って、読取領域(1)-(2)間での副走査方向ギャップDyは、
Dy=Dy2_3-Dy1_3
と求めることができる。
【0133】
なお、
図15でも示したように、センサチップ210同士が副走査方向の位置にバラつきが生じていても、影響を受けることなく計算することができる。
【0134】
傾き角度を求めるには、主走査方向の読取領域(1)-(2)間の距離も必要であるが、下記式により計算できる。
隣同士のチップ間距離×(読取領域(1)と(2)との間のセンサ数+1)
【0135】
以上から、傾き角度θは、三角関数の関係を利用すれば、
θ=tan-1(Dy/Dx)
と求めることができる。
【0136】
以上の方法により、理想取付方向からの傾きを算出することで、2つの位置基準部材202bに理想取付方向からのズレが生じても、ズレを考慮して補正を行うことが可能となる。
【0137】
次に、印刷システム1が実行する処理の流れについて説明する。
【0138】
ここで、
図17は印刷システム1が実行する処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
図17に示すように、補正値演算部112は、まず、補正値算出モードであるか否かを判断する(ステップS1)。
【0139】
補正値演算部112は、補正値算出モードであると判断すると(ステップS1のYes)、読取デバイス201(201a,201b)に対して対向位置に位置基準部材202(202a,202b)を配置して補正値を算出する補正値算出モードの処理を実行する(ステップS2)。一方、補正値演算部112は、補正値算出モードでないと判断すると(ステップS1のNo)、読取デバイス201(201a,201b)に対して対向位置に読取背景205を配置して記録紙を読取る読取モードの処理を実行する(ステップS3)。
【0140】
図18は、補正値算出モードの処理の流れを概略的に示すフローチャートである。補正値算出モードの処理としては、読取デバイス201(201a,201b)間の補正値算出処理と、読取デバイス201(201a,201b)内の補正値算出処理とがある。
【0141】
まず、補正値算出モードにおける読取デバイス201(201a,201b)間の補正値算出処理について説明する。
図18に示すように、補正値演算部112は、まず、モータ制御部111を制御して位置基準部材202aを読取デバイス201(201a,201b)の対向に位置させる(ステップS11)。
【0142】
次に、補正値演算部112は、位置基準部材202aの縦線読取(主走査)を実行する(ステップS12)。より詳細には、補正値演算部112は、モータ制御部111を制御して位置基準部材202aを読取デバイス201(201a,201b)の対向に位置させ、読取制御部110を制御して読取デバイス201(201a,201b)により位置基準部材202aの縦線を読み取る。
【0143】
次に、補正値演算部112は、読取デバイス201(201a,201b)間の主走査補正値を算出し、算出項目別にHDD18などの記憶部に格納する(ステップS13)。
【0144】
次に、補正値演算部112は、モータ制御部111を制御して位置基準部材202aを読取デバイス201(201a,201b)の対向位置へと回転させる(ステップS14)。
【0145】
次に、補正値演算部112は、位置基準部材202aの横線読取(副走査)を実行する(ステップS15)。より詳細には、補正値演算部112は、モータ制御部111を制御して位置基準部材202aを回転させながら、読取制御部110を制御して読取デバイス201(201a,201b)により位置基準部材202aの横線を読み取る。
【0146】
次に、補正値演算部112は、読取デバイス201(201a,201b)間の副走査補正値を算出し、算出項目別にHDD18などの記憶部に格納する(ステップS16)。
【0147】
続いて、補正値算出モードにおける読取デバイス201(201a,201b)内の補正値算出処理について説明する。
図18に示すように、補正値演算部112は、モータ制御部111を制御して2つの位置基準部材202bを読取デバイス201(201a,201b)の対向に位置させる(ステップS17)。
【0148】
次に、補正値演算部112は、2つの位置基準部材202bの縦線読取(主走査)を実行する(ステップS18)。より詳細には、補正値演算部112は、モータ制御部111を制御して2つの位置基準部材202bを読取デバイス201(201a,201b)の対向に位置させ、読取制御部110を制御して読取デバイス201(201a,201b)により2つの位置基準部材202bの縦線を読み取る。
【0149】
次に、補正値演算部112は、読取デバイス201(201a,201b)内の主走査補正値を算出し、算出項目別にHDD18などの記憶部に格納する(ステップS19)。
【0150】
次に、補正値演算部112は、モータ制御部111を制御して2つの位置基準部材202bを読取デバイス201(201a,201b)の対向位置へと回転させる(ステップS20)。
【0151】
次に、補正値演算部112は、2つの位置基準部材202bの横線読取(副走査)を実行する(ステップS21)。より詳細には、補正値演算部112は、モータ制御部111を制御して2つの位置基準部材202bを回転させながら、読取制御部110を制御して読取デバイス201(201a,201b)により2つの位置基準部材202bの横線を読み取る。
【0152】
次に、補正値演算部112は、読取デバイス201(201a,201b)内の副走査補正値を算出し、算出項目別にHDD18などの記憶部に格納する(ステップS22)。
【0153】
以上により、補正値演算部112は、補正値算出モードの処理を終了する。
【0154】
図19は、読取モードの処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
図19に示すように、読取モードにおいて補正値演算部112は、まず、モータ制御部111を制御して読取背景205を読取デバイス201(201a,201b)の対向に位置させる(ステップS31)。
【0155】
次に、補正値演算部112は、搬送される記録紙の端部や記録紙に記録された画像位置を、読取制御部110を制御して読取デバイス201(201a,201b)によって読み取る(ステップS32)。
【0156】
次に、補正値演算部112は、補正値算出モードで算出した補正値をもとに読取結果の補正を実行する(ステップS33)。
【0157】
補正値演算部112は、ステップS32~S33の処理について、対象となる全ての記録紙に対して繰り返す。
【0158】
補正値演算部112は、最終の記録紙が読み取られたと判断すると(ステップS34のYes)、読取モードの処理を終了する。
【0159】
このように本実施の形態によれば、位置基準部材を長くせずに、読取範囲が拡大しても小サイズの位置基準部材と同程度の精度を低コストで実現することができる。
【0160】
また、読取デバイス間での相対位置補正用の第1の位置基準部材である位置基準部材202aと、読取デバイス内での相対位置補正用の第2の位置基準部材である位置基準部材202bとの機能分担を明確にすることで、ハード構成や制御の単純化が実現でき、安価な構成になる。
【0161】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0162】
第2の実施の形態は、読取デバイス201を3個以上備えている点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0163】
第1の実施の形態においては、読取デバイス201がn個の場合、読取デバイス201内のずれを補正するための位置基準部材202はn個、読取デバイス201間のずれを補正するための位置基準部材202はn-1個必要となる。そのため、読取デバイス201が増えるにつれて製造コストが増加することになる。
【0164】
そこで、本実施の形態では、読取デバイス201がn(n>2)個の場合であっても、第1の実施の形態と同様に、2つの位置基準部材202を用いてずれを補正可能な構成について説明する。
【0165】
図20は、第2の実施の形態にかかる補正値の算出手法について説明する図である。
図20に示すように、本実施の形態の印刷システム1は、n個以上(n>2)の読取デバイス201を備える。また、印刷システム1は、位置基準部材202(202a,202b)をモジュール化した基準モジュール250を備える。より詳細には、基準モジュール250は、1つの位置基準部材202aと2つの位置基準部材202bとを備える。基準モジュール250は、位置基準部材202(202a,202b)を隣り合う2つの読取デバイス201に対し補正可能なように配置する。
【0166】
また、印刷システム1は、基準モジュール250を主走査方向にスライド可能に設け、任意の隣り合う2つの読取デバイス201に対して補正可能な構成とする。
【0167】
このような構成により、印刷システム1は、基準モジュール250を主走査方向にスライドさせて補正値を算出するようにしたものである。
【0168】
より詳細には、補正値演算部112は、基準モジュール250を主走査方向にスライドさせながら、n-1回隣り合う2つの読取デバイス201に対し補正を実行し、補正値を算出する。
【0169】
このように本実施の形態によれば、読取デバイス201がn(n>2)個の場合であっても、位置基準部材202を増やさずに補正値を算出することができる。具体的には、読取デバイス201がn個の場合、第2の位置基準部材はn個、第1の位置基準部材はn-1個必要となるが、本構成の場合、第2の位置基準部材は2個、第1の位置基準部材は1個で済むため、コストメリットがある。
【0170】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0171】
第3の実施の形態においては、媒体位置検出装置200の変形例として、MFP(Multifunction Peripheral/Printer/Product)などに用いられるスキャナユニットを適用した点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第3の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0172】
図21は、第3の実施の形態にかかる画像読取装置400の外観を示す斜視図である。画像読取装置400は、媒体位置検出装置200の変形例であって、MFPなどに用いられるスキャナユニットである。
【0173】
図21に示すように、画像読取装置400は、上面にコンタクトガラス410を配置している。コンタクトガラス410は、略長方形に形成されている。画像読取装置400は、画像読取装置400内を副走査方向bに移動するとともに主走査方向aについてライン状に読み取る読取デバイス201(
図22参照)を備えている。読取デバイス201は、コンタクトガラス410上に載置された原稿を読み取る。
【0174】
また、画像読取装置400は、さらにスリット411を有する。このスリット411には、ガラス411aが嵌め込まれている。読取デバイス201は、このスリット411を介して位置基準部材202(
図22参照)を読み取ることができる。さらに、コンタクトガラス410とスリット411との間には、ブリッジ412が形成されている。
【0175】
このような構成において、
図21に示すコンタクトガラス410の短辺の一つと、スリット411の長辺の一つとが、ブリッジ412を挟んで隣接している。
【0176】
図22は、画像読取装置400の内部構造を部分的に示す側面図である。なお、
図22(a)は読取デバイス201がスリット411の下方に位置する状態を示している。また、
図22(b)は読取デバイス201がコンタクトガラス410の下方に位置する状態を示している。
【0177】
なお、画像読取装置400の上方には、原稿自動送り装置(ADF;Auto Document Feeder)420が設けられている。ADF420は、コンタクトガラス410上に原稿を載置する際などに開閉される。
図22(a)および
図22(b)では、ADF420が閉じられた状態を示している。
図22(a)および
図22(b)に示すように、ADF420は、ADF420が閉じられた状態でスリット411に対向する位置であってADF420の底面に、位置基準部材202を備えている。
【0178】
図22(a)において、読取デバイス201は、スリット411に嵌め込まれたガラス411aの下方に位置する。
図22(a)において、読取デバイス201は、スリット411のガラス411aを通して位置基準部材202を読み取る。
【0179】
なお、
図22(a)においては、位置基準部材202はADF420の底面であって、DF420が閉じられた状態でスリット411に対向する位置に形成されている状態を示した。しかしながら、位置基準部材202は、ADF420に設けられている必要はなく、ガラス411aに代えて位置基準部材202をスリット411に備えるようにしてもよい。
【0180】
図22(b)において、読取デバイス201は、コンタクトガラス410の下方に位置し、コンタクトガラス410上に載置された原稿Dを読み取る。この時、読取デバイス201は、副走査方向bに移動しながら原稿Dを読み取る。
【0181】
このような構成において、読取デバイス201が位置基準部材202に対して斜めに取り付けられているような場合も、第1の実施の形態において述べたと同様の課題が生じることになるので、第1の実施の形態の同様の手法によって課題を解決することができる。
【0182】
なお、各実施の形態においては、読取デバイス201として、所謂、等倍光学系であるCISを適用したが、これに限るものではない。例えば、読取デバイス201は、光源と、複数の反射部材(ミラー)と、結像レンズ、リニアイメージセンサなどで構成される、所謂、縮小光学系の読み取りデバイスであっても構わず、読み取り対象物の位置を検出できるデバイスであれば、位置検出精度を向上することが可能である。
【0183】
なお、上記各実施の形態では、本発明の画像読取装置、画像形成装置を、インクジェット方式の印刷装置を含む印刷システムに適用した例を挙げて説明したが、これに限るものではなく、電子写真方式の印刷装置を含む印刷システムにも適用することができる。
【0184】
また、上記各実施の形態では、本発明の画像読取装置、画像形成装置を、商業印刷機(プロダクションプリンティング機)などの印刷装置を含む印刷システムに適用した例を挙げて説明したが、これに限るものではなく、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0185】
さらに、上記各実施の形態では、本発明の画像読取装置を、画像形成分野の位置検出に適用した例を挙げて説明したが、これに限るものではなく、例えばFA分野における検品などの様々な分野の位置検出アプリケーションに応用が可能である。
【0186】
また、本発明の画像読取装置は、紙幣の判別、偽造防止を目的として、紙幣が正しい位置、形状に印刷されているかを判別する紙幣読取装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0187】
1 画像読取装置、画像形成装置
105 プリントエンジン部
112 補正値算出手段
201 読取デバイス
202 位置基準部材
202a 第1の位置基準部材
202b 第2の位置基準部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0188】