(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】管
(51)【国際特許分類】
F16L 11/118 20060101AFI20221129BHJP
F16L 9/06 20060101ALI20221129BHJP
F16L 9/147 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
F16L11/118
F16L9/06
F16L9/147
(21)【出願番号】P 2018566155
(86)(22)【出願日】2018-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2018003827
(87)【国際公開番号】W WO2018143457
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】P 2017019300
(32)【優先日】2017-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】毛利 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】吉田 善紀
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/093307(WO,A1)
【文献】実公昭47-008904(JP,Y1)
【文献】特開平06-159558(JP,A)
【文献】特開2007-155084(JP,A)
【文献】特開2014-114525(JP,A)
【文献】国際公開第2013/112213(WO,A1)
【文献】特開2005-308210(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0041944(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 11/118
F16L 9/06
F16L 9/147
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コルゲート加工された金属製の管状部材と、
前記管状部材を構成する金属より電気抵抗が低い金属によって少なくとも一部が被覆された樹脂製の線状部材
が編まれて構成されている編組構造を成し、前記管状部材の外側を覆う第1の被覆部と、を備える、管。
【請求項2】
コルゲート加工された金属製の管状部材と、
前記管状部材を構成する金属より電気抵抗が低い金属製の線状部材を少なくとも一部に用いた編組構造を成し、前記管状部材の外側を覆う第2の被覆部と、を備え、
前記編組構造は、前記金属製の線状部材と、樹脂製の線状部材とが交互に配置されるように編み込まれ
て構成されている構造である、管。
【請求項3】
請求項1に記載の管であって、さらに、
前記管状部材と前記第1の被覆部との間に配されて前記管状部材を覆い、絶縁性樹脂製の第3の被覆部を備え、
前記第1の被覆部は、前記第3の被覆部を覆う、管。
【請求項4】
請求項2に記載の管であって、さらに、
前記管状部材と前記第2の被覆部との間に配されて前記管状部材を覆い、絶縁性樹脂製の第3の被覆部を備え、
前記第2の被覆部は、前記第3の被覆部を覆う、管。
【請求項5】
請求項1または請求項3に記載の管であって、
前記第1の被覆部における前記線状部材は、前記管状部材を構成する金属より電気抵抗が低い金属の箔が巻き付けられることによって被覆されている、管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルゲート加工された金属製の管状部材を備える管に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋において使用されるガスおよび水などの流体を流すための管として、コルゲート加工された金属製の管状部材を備えたものが用いられることがある。家屋に配置されたこのような管は、電線などを伝って屋内に侵入した誘導雷によって生じる火花放電を受けて損傷を受けることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、コルゲート加工された管状部材を被覆する樹脂層の外側、もしくは、管状部材と樹脂層との間に、例えば、銅やアルミなどの金属箔で形成された、厚さが均一に連続する金属層を備える管が提案されている。この管の使用において、金属層は、接地電極に接続された、配管系を構成する管継手に接続されており、管継手を介して接地されている。よって、この管に対して、誘導雷によって鉄骨等から火花放電が起こった場合には、火花放電は管状部材ではなく金属層に向かって起こる。火花放電によって発生した電流は、管状部材ではなく金属層を流れて接地に逃がされる。しかし、このような管では、金属層が薄い場合、1回の誘導雷による火花放電で金属層の大部分が焼失して、その後の誘導雷による大電流を管状部材を介さずに接地に逃がす機能が失われることが考えられる。複数回の誘導雷による火花放電に対して、大電流を管状部材を介さずに接地に逃がす機能を維持するために金属層を厚くした場合、管の可撓性が損なわれる虞がある。このような課題を解決するために、複数回の誘導雷による火花放電に対して、大電流を管状部材を介さずに接地に逃がす機能の維持と、管における可撓性の維持と、を両立できる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(i)コルゲート加工された金属製の管状部材と、
前記管状部材を構成する金属より電気抵抗が低い金属によって少なくとも一部が被覆された樹脂製の線状部材が編まれて構成されている編組構造を成し、前記管状部材の外側を覆う第1の被覆部と、を備える、管。
(ii)コルゲート加工された金属製の管状部材と、
前記管状部材を構成する金属より電気抵抗が低い金属製の線状部材を少なくとも一部に用いた編組構造を成し、前記管状部材の外側を覆う第2の被覆部と、を備え、
前記編組構造は、金属製の線状部材と、樹脂製の線状部材とが交互に配置されるように編み込まれて構成されている構造である、管。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、管が提供される。この管は、コルゲート加工された金属製の管状部材と、前記管状部材を構成する金属より電気抵抗が低い金属によって少なくとも一部が被覆された樹脂製の線状部材を用いた編組構造を成し、前記管状部材の外側を覆う第1の被覆部と、を備える。この形態によれば、編組構造を成す第1の被覆部は、多数の独立する線状部材が編み込まれて形成されており、焼失の範囲が放射状に拡がりにくい。また、全ての線状部材が一度に焼失することはないので、放射状に均一に焼失の範囲が拡がり得る、例えば、厚さが均一に連続する金属層で被覆部が形成された構成に比べて、第1の被覆部が広範囲にわたって焼失することは起こりにくい。このため、複数回の誘導雷による火花放電に対して、大電流を管状部材を介さずに接地に逃がす機能を維持しやすくできる。また、編組構造を成す第1の被覆部は、厚さが均一に連続する金属層と比べて、柔軟性および伸縮性において優れることから、管における可撓性を維持しやすくできる。よって、複数回の誘導雷による火花放電に対して、大電流を管状部材を介さずに接地に逃がす機能の維持と、管における可撓性の維持と、を両立できる。
【0007】
(2)本発明の一形態によれば、管が提供される。この管は、コルゲート加工された金属製の管状部材と、前記管状部材を構成する金属より電気抵抗が低い金属製の線状部材を少なくとも一部に用いた編組構造を成し、前記管状部材の外側を覆う第2の被覆部と、を備える。この形態によれば、編組構造を成す第2の被覆部は、多数の独立する線状部材が編み込まれて形成されており、焼失の範囲が放射状に拡がりにくい。また、全ての線状部材が一度に焼失することはないので、放射状に均一に焼失の範囲が拡がり得る、例えば、厚さが均一に連続する金属層で被覆部が形成された構成に比べて、第2の被覆部が広範囲にわたって焼失することは起こりにくい。このため、複数回の誘導雷による火花放電に対して、大電流を管状部材を介さずに接地に逃がす機能を維持しやすくできる。また、編組構造を成す第2の被覆部は、厚さが均一に連続する金属層と比べて、柔軟性および伸縮性において優れることから、管における可撓性を維持しやすくできる。よって、複数回の誘導雷による火花放電に対して、大電流を管状部材を介さずに接地に逃がす機能の維持と、管における可撓性の維持と、を両立できる。
【0008】
(3)上記形態における管において、さらに、前記管状部材と前記第1の被覆部との間に配されて前記管状部材を覆い、絶縁性樹脂製の第3の被覆部を備え、前記第1の被覆部は、前記第3の被覆部を覆ってもよい。この形態によれば、管状部材と第1の被覆部との間に樹脂製の第3の被覆部が配されることにより、管状部材と第1の被覆部における金属部分とが接触しないため、管状部材と第1の被覆部とが電気的に絶縁される。よって、第1の被覆部を経由して管状部材に対して電流が流れることを防止できる。
【0009】
(4)上記形態における管において、さらに、前記管状部材と前記第2の被覆部との間に配されて前記管状部材を覆い、絶縁性樹脂製の第3の被覆部を備え、前記第2の被覆部は、前記第3の被覆部を覆ってもよい。この形態によれば、管状部材と第2の被覆部との間に樹脂製の第3の被覆部が配されることにより、管状部材と第2の被覆部における金属部分とが接触しないため、管状部材と第2の被覆部とが電気的に絶縁される。よって、第2の被覆部を経由して管状部材に対して電流が流れることを防止できる。
【0010】
(5)上記形態における管において、前記第1の被覆部における前記線状部材は、前記管状部材を構成する金属より電気抵抗が低い金属の箔が巻き付けられることによって被覆されていてもよい。この形態によれば、樹脂製の線状部材を被覆する金属が樹脂製の線状部材における軸方向への伸縮を妨げることを抑制できる。
【0011】
本発明の形態は、管に限るものではなく、例えば、管を有するガス供給装置、管を有する水供給装置、管の製造方法などの種々の形態に適用することも可能である。また、本発明は、前述の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態における管の構成を示す説明図である。
【
図2】
図1における管を矢視A-Aから見た断面図である。
【
図3】第1の被覆部の一部を拡大した拡大図である。
【
図4】第2の被覆部の一部を拡大した拡大図である。
【
図5】第3実施形態における管の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における管10の構成を示す断面図である。
図1には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。
図1におけるX軸は、たわんでいない状態における管10の軸線(図示しない)と平行に設定されている。
図1のXYZ軸は、他の図のXYZ軸に対応する。
図1は、管10を中心軸線を含む面で切った断面図である。尚、図示の便宜上、
図1では、管10のX軸方向に沿った一部のみを表している。
図2は、
図1における管10を矢視A-Aから見た断面図である。
【0014】
管10は、家屋において使用されるガスおよび水などの流体を流すための管である。管10は、接地されているものとする。管10は、管状部材50と、第1の被覆部100とを備える。
【0015】
管状部材50は、コルゲート加工されたステンレス製の管状部材である。コルゲート加工とは、管状部材の周面を波型形状に成形する加工のことである。管状部材50の周面は、外径方向に突出している部分と内径方向に窪んでいる部分とがX軸方向に沿って交互に繰り返す波型形状に成形されている。コルゲート加工された管状部材は、平滑な周面を備える管状部材と比べて、屈曲性に優れる。管状部材50の周面の厚さは、要求される屈曲性や耐久性に応じて決定することができる。例えば、管状部材50の周面の厚さは、0.2mmから0.5mmの範囲内であってもよい。
【0016】
第1の被覆部100は、管状部材50の外側を覆う。本実施形態では、第1の被覆部100は、管状部材50を直接覆っている。第1の被覆部100は、後述する編組構造を成している。編組構造とは、線状部材を組み合わせて編むことにより形成される構造のことである。
【0017】
図3は、第1の被覆部100の一部を拡大した拡大図である。第1の被覆部100における編組構造は、多数の線状部材110が編まれることで形成されている。線状部材110は、樹脂製の線状部材の表面に箔状の銅が螺旋状に巻き付けられた構造を有する。線状部材110を構成する樹脂製の線状部材は、ポリエステル製の線径20~30μmの糸を数十本束ねたものである。線状部材110を構成する箔状の銅は、厚さ20~30μm、幅0.3~1.0mmの範囲から選択されるものである。銅は、ステンレスより電気抵抗が低い。箔状の銅を樹脂製の線状部材に螺旋状に巻き付けることで、銅が線状部材110の軸方向における伸縮を妨げることを抑制している。本実施形態において、線状部材110に巻き付けられた銅箔は、耐食性および耐錆性を持たせるために、錫めっきされたものである。錫における電気抵抗は、ステンレスより低い。したがって、銅箔の電気抵抗は、ステンレスより低い。他の実施形態では、線状部材110に巻き付けられた銅は、錫めっきされていない銅単体であってもよい。他の実施形態では、線状部材110に巻き付けられる金属箔は、アルミニウム、銀などであってもよい。
【0018】
管10が家屋に配置された状態において、落雷によって生じた誘導雷に起因する火花放電によって大電流が管10に流れ込むことが想定される。この場合、管10では、管状部材50の外側が金属を含む第1の被覆部100で覆われているため電気抵抗の大きな管状部材50ではなく第1の被覆部100に対して火花放電が起こる。したがって、電気抵抗の大きな管状部材50に火花放電による異常な発熱が起こることによって管状部材50の周面の一部が溶融するといった管状部材50における損傷が抑制される。ここで、第1の被覆部100は、線状部材110を用いた編組構造を有し、線状部材110同士が接触していない箇所があるため、均一な厚さで連続する金属層で被覆部が形成された構成に比べて、線状部材110が接触していない箇所の分だけ導電経路が小さい。このため、第1の被覆部100に大電流が流れ込んでも大電流による焼失の範囲が拡がりにくい。換言すると、第1の被覆部100では、多数の独立する線状部材110が編み込まれて網目状に形成されているので、線状部材110同士が接触していない箇所(不連続な箇所)がある。電流は、線状部材が接触していない箇所を跨って流れにくいので、焼失の範囲は放射状に拡がりにくい。また、全ての線状部材110が一度に焼失することはない。このため、放射状に均一に焼失の範囲が拡がり得る、例えば、厚さが均一に連続する金属層で被覆部が形成された構成に比べて、第1の被覆部100が広範囲にわたって焼失することは起こりにくい。このようなことから、管10では、一度の誘導雷による火花放電で、第1の被覆部100の大部分が焼失してしまうことを抑制でき、複数回の誘導雷による火花放電に対して、大電流を管状部材50を介さずに接地に逃がす機能を維持させることができる。
【0019】
さらに、第1の被覆部100は、線状部材110を用いた編組構造で形成されているため柔軟性および伸縮性において優れるので、厚さが均一に連続する金属層で被覆部が形成された構成に比べて管10における可撓性を維持しやすくできる。また、線状部材110は、螺旋状に巻き付けられた箔状の銅によって被覆されているため、線状部材110を被覆する銅が線状部材110の軸方向における伸縮を妨げることを抑制できる。よって、管10における可撓性の妨げとなることを防止できる。
【0020】
以上説明した第1実施形態によれば、編組構造を成す第1の被覆部100は、複数回の誘導雷による火花放電に対して、大電流を管状部材を介さずに接地に逃がす機能を維持しやすくできるとともに、管10における可撓性を維持しやすくできる。よって、複数回の誘導雷による火花放電に対して、大電流を管状部材50を介さずに接地に逃がす機能の維持と、管10における可撓性の維持と、を両立できる。第1実施形態における管10に対して、誘導雷によって鉄骨等から火花放電が起こった場合には、火花放電は管状部材50ではなく第1の被覆部100に向かって起こる。火花放電によって発生した電流は、管状部材50ではなく第1の被覆部100を流れて、管10と接続した管継手の側に逃がされたのち、管継手に接続された接地電極を介して接地に逃がされる。
【0021】
また、第1の被覆部100は、編組構造であるため、線状部材110を構成している銅箔の厚さを厚くした場合でも、管10における可撓性を維持することができるので、管10における火花放電への耐性の向上と、管10における可撓性の維持と、を両立できる。ここでいう「火花放電への耐性の向上」とは、誘導雷による火花放電に対して、大電流を管状部材を介さずに接地に逃がす性能を向上させることをいう。また、第1実施形態における管10では、第1の被覆部100が線状部材110を用いた編組構造を有するため、線状部材110を構成する金属箔と同じ厚さで均一に連続する金属層で被覆部が形成された管に比べて、被覆される管状部材の長手方向に対して垂直な平面で切った際の断面(
図2に示すような断面)において、管状部材50を構成する金属より電気抵抗が低い金属の断面積を多くすることができる。この理由は、管10では、単に管状部材50の外周を覆うように金属箔が配置されているのではなく、第1の被覆部100を構成する線状部材110において螺旋状に金属箔が巻き付けられているからである。このような構造によって、金属箔は、管状部材50の外周において立体的に配置されているので、管10の該断面において、管状部材50を構成する金属より電気抵抗が低い金属の断面積が多くなる。電流を流すことができる量は、該断面において管状部材を構成する金属より電気抵抗が低い金属の断面積に比例することから、第1実施形態における管10では、線状部材110を構成する金属箔と同じ厚さで均一に連続する金属層で被覆部が形成された管に比べて、多くの電流を流すことができる。言い換えれば、管10では、すべての金属箔が焼失するまで複数回の電流の流れに耐えることができる。
【0022】
B.第2実施形態:
第2実施形態の管は、第1の被覆部100に代えて第2の被覆部(後述の第2の被覆部200)を備えている点を除き、第1実施形態の管10と同じである。第2の被覆部は、編組構造を成す線状部材の種類(材料)において、第1実施形態の第1の被覆部100と異なる。
【0023】
図4は、第2実施形態における第2の被覆部200の構成を拡大して示す説明図である。
図4では、
図3と同様に、第2の被覆部200の一部を拡大して示している。第2の被覆部200における編組構造は、銅製の線状部材210と、樹脂製の線状部材220とを用いて形成された構造である。具体的には、
図4に示すように、線状部材210と線状部材220とが交互に配置されるように編み込まれた構造である。銅製の線状部材210は、耐食性および耐錆性を持たせるために、錫めっきが施されたものであってもよい。このようにすることで、第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果を有する。また、編組構造を構成する線状部材210と線状部材220とのうち線状部材210の割合を多くした場合でも管における可撓性を維持することができるので、管における火花放電への耐性の向上と、管における可撓性の維持と、を両立できる。
【0024】
C.第3実施形態:
図5は、第3実施形態における管10aの構成を示す説明図である。管10aは、管状部材50と第1の被覆部100との間に第3の被覆部300を備える点を除き、第1実施形態の管10の構成と同じであるので、同一の構成要素には同一の符合を付し、その詳細な説明を省略する。
【0025】
第3の被覆部300は、絶縁性樹脂製であって、管状部材50を直接覆っている被覆部である。第1実施形態では、第1の被覆部100が管状部材50を直接覆っていたが、第3実施形態では、第3の被覆部300が管状部材50を直接覆っている。第3実施形態では、第1の被覆部100は、第3の被覆部300を覆っている。すなわち、第3の被覆部300は、管状部材50と第1の被覆部100との間に配されている。
【0026】
以上の構成を有する第3実施形態の管10aは、管10と同様の効果を有する。また、管状部材50と第1の被覆部100との間に樹脂製の第3の被覆部300が配されることにより、管状部材50と第1の被覆部100における金属(銅および錫)部分とが接触しないため、管状部材50と第1の被覆部100とが電気的に絶縁される。よって、第1の被覆部100を経由して管状部材50に対して電流が流れることを防止できる。
【0027】
D.変形例:
D1.変形例1:
第1実施形態における管状部材50は、ステンレス製であったが、本発明はこれに限られない。例えば、他の実施形態の管における管状部材は、黄銅、丹銅などの銅合金、もしくは、アルミニウム合金から構成されていてもよい。
【0028】
D2.変形例2:
第1実施形態では、線状部材110は、箔状の銅が樹脂製の線状部材に螺旋状に巻き付けられることによって形成されていたが、本発明はこれに限られない。例えば、箔状の銅が樹脂製の線状部材の周方向に沿って少なくとも1つ以上巻き付けられることによって形成されていてもよい。線状部材110は、樹脂製の線状部材の表面のうち一部を銅で覆われることによって被覆されていてもよいし、樹脂製の線状部材の表面全体を銅で覆われることによって被覆されていてもよい。線状部材110は、少なくとも一部が銅によって被覆されていれば、いかなる様式で被覆されていてもよい。また、線状部材110を被覆する金属が、管状部材50を構成する金属より電気抵抗が低い金属であれば、いかなる金属であってもよい。
【0029】
D3.変形例3:
第2実施形態の第2の被覆部200における編組構造は、銅製の線状部材210と、樹脂製の線状部材220とを用いて形成された構造であったが、本発明はこれに限られない。例えば、他の実施形態では、第2の被覆部200における編組構造は、銅製の線状部材210のみを用いて形成された構造であってもよい。
【0030】
D4.変形例4:
第3実施形態の管10aでは、管状部材50と、第1の被覆部100と、第3の被覆部300と、を備えていたが、本発明はこれに限られない。例えば、他の実施形態における管は、第3実施形態における管10aを構成する第1の被覆部100の代わりに第2の被覆部200を備えた形態であってもよい。
【0031】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0032】
10…管
10a…管
50…管状部材
100…第1の被覆部
110…線状部材
200…第2の被覆部
210…線状部材
220…線状部材
300…第3の被覆部