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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】液体吐出装置及び液体吐出方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221129BHJP
   B41J 3/60 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B41J2/01 103
B41J2/01 451
B41J2/01 305
B41J2/01 125
B41J2/01 401
B41J3/60
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019047617
(22)【出願日】2019-03-14
(65)【公開番号】P2020146957
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】高梨 聡
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-165000(JP,A)
【文献】特開2012-006349(JP,A)
【文献】特開2013-027981(JP,A)
【文献】特開2010-012757(JP,A)
【文献】特開2003-063072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 3/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被吐出媒体の表面及び裏面に液体を吐出する液体吐出装置であって、
前記被吐出媒体上の目標位置を記憶する記憶部と、
前記被吐出媒体の前記表面に可視光を反射または吸収する非透明液体を吐出する第1吐出部と、
前記被吐出媒体を複数の小領域に区画するために、前記記憶部から読み出した前記表面の前記目標位置に可視光を透過する透明液体を吐出する透明液体吐出部と、
前記第1吐出部によって前記非透明液体が吐出された後に、前記被吐出媒体に着弾した前記透明液体の現実位置を読み取る読取部と、
前記記憶部から読み出した前記目標位置及び前記読取部によって読み取られた前記現実位置の差に基づいて、前記複数の小領域に対応する前記裏面の小領域のそれぞれに対して、前記非透明液体の着弾位置を個別に演算する演算部と、
前記演算部によって演算された前記着弾位置に着弾するように、前記被吐出媒体の前記裏面に前記非透明液体を吐出する第2吐出部とを備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記透明液体吐出部は、前記表面の前記複数の小領域それぞれについて、当該小領域の各頂点に対応する複数の前記目標位置に前記透明液体を吐出し、
前記演算部は、前記裏面の前記複数の小領域それぞれについて、
当該小領域に記録する画像を、各頂点に対応する前記複数の目標位置を結んだ目標形状から、各頂点に対応する複数の前記現実位置を結んだ現実形状に変形し、
前記現実形状に変形された前記画像が前記裏面に記録されるように、前記着弾位置を演算することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記被吐出媒体上の予め定められた原点を基準とする座標系において、各頂点に対応する前記複数の現実位置それぞれの座標を演算することによって、前記現実形状を特定することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記記憶部は、
前記被吐出媒体をM個の前記小領域に区画する第1目標位置と、
前記被吐出媒体をN(N>M)個の前記小領域に区画し、且つ前記第1目標位置と異なる第2目標位置とを記憶し、
前記透明液体吐出部は、
前記表面における前記非透明液体の着弾量の偏りが閾値未満の場合に、前記記憶部から読み出した前記表面の前記第1目標位置に前記透明液体を吐出し、
前記着弾量の偏りが閾値以上の場合に、前記記憶部から読み出した前記表面の前記第2目標位置に前記透明液体を吐出することを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
搬送路に沿って前記被吐出媒体を搬送する搬送部と、
前記第1吐出部より前記搬送路の下流側で、且つ前記読取部より前記搬送路の上流側に配置されて、前記被吐出媒体の前記表面に着弾した液体を乾燥させる乾燥部を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記透明液体吐出部は、前記第1吐出部より前記搬送路の下流側に配置されて、前記表面に前記透明液体を吐出し、
前記乾燥部は、前記被吐出媒体の前記表面に着弾した前記非透明液体及び前記透明液体を乾燥させることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
搬送路に沿って前記被吐出媒体を搬送する搬送部を備え、
前記第2吐出部は、前記第1吐出部より前記搬送路の下流側において、前記第1吐出部と独立して設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記搬送部は、前記第1吐出部及び前記第2吐出部の間において、前記被吐出媒体の表裏を反転させる反転機構を含み、
前記第1吐出部及び前記第2吐出部は、前記搬送路に対して同一方向から前記非透明液体を吐出することを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
被吐出媒体の表面及び裏面に液体を吐出する液体吐出方法であって、
前記被吐出媒体上の目標位置を読み出す読出ステップと、
前記被吐出媒体の前記表面に可視光を反射または吸収する非透明液体を吐出する第1吐出ステップと、
前記被吐出媒体を複数の小領域に区画するために、前記読出ステップで読み出された前記表面の前記目標位置に可視光を透過する透明液体を吐出する透明液体吐出ステップと、
前記第1吐出ステップで前記非透明液体が吐出された後に、前記被吐出媒体に着弾した前記透明液体の現実位置を読み取る読取ステップと、
前記読出ステップで読み出された前記目標位置及び前記読取ステップで読み取られた前記現実位置の差に基づいて、前記複数の小領域に対応する前記裏面の小領域のそれぞれに対して、前記非透明液体の着弾位置を個別に演算する演算ステップと、
前記演算ステップで演算された前記着弾位置に着弾するように、前記被吐出媒体の前記裏面に前記非透明液体を吐出する第2吐出ステップとを含むことを特徴とする液体吐出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置及び液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、媒体に対して液体を吐出する液体吐出装置が知られている。そして、液体吐出装置の典型例として、シート状の媒体に液体インクを吐出して画像を記録するインクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置が知られている。また、インクジェット記録装置において、シートの両面に画像を記録するものも知られている。
【0003】
シートの両面に画像を記録すると、表面の画像記録に用いたインクによってシートが伸縮し、裏面の画像が所望の位置からずれて記録されるという課題がある。シートに画像を記録するときの位置ずれへの対策として、シートに記録したテストパターンを読み取って、インクジェットヘッドのノズル列それぞれの補正データを生成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、画像を記録するのに先立って補正データを生成するので、シートの表面に記録された画像に合わせて、裏面の位置ズレを補正することができない。また、特許文献1に記載の技術は、1つの補正データをシート全域に適用するので、シートの局所的な伸縮に対応することができない。
【0005】
本発明は、表面に着弾した液体に対し、裏面への液体の着弾位置をより詳細に調整可能な液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、被吐出媒体の表面及び裏面に液体を吐出する液体吐出装置であって、前記被吐出媒体上の目標位置を記憶する記憶部と、前記被吐出媒体の前記表面に可視光を反射または吸収する非透明液体を吐出する第1吐出部と、前記被吐出媒体を複数の小領域に区画するために、前記記憶部から読み出した前記表面の前記目標位置に可視光を透過する透明液体を吐出する透明液体吐出部と、前記第1吐出部によって前記非透明液体が吐出された後に、前記被吐出媒体に着弾した前記透明液体の現実位置を読み取る読取部と、前記記憶部から読み出した前記目標位置及び前記読取部によって読み取られた前記現実位置の差に基づいて、前記複数の小領域に対応する前記裏面の小領域のそれぞれに対して、前記非透明液体の着弾位置を個別に演算する演算部と、前記演算部によって演算された前記着弾位置に着弾するように、前記被吐出媒体の前記裏面に前記非透明液体を吐出する第2吐出部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表面に着弾した液体に対し、裏面への液体の着弾位置をより詳細に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るインクジェットプリンタのハードウェア構成図。
図2】インクジェットプリンタの内部構造を示す模式図。
図3】反転の前後における透明プロットの位置を示す概念図。
図4】第1目標位置の配置例を示す図。
図5】第2目標位置の配置例を示す図。
図6】両面プリント処理のフローチャート。
図7】画像変形処理のフローチャート。
図8】表面に画像及び透明プロットを記録した状態を示す図。
図9】透明プロットの目標位置及び現実位置の関係を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態]
以下、図1及び図2を参照して、本実施形態に係るインクジェットプリンタ100について説明する。図1は、インクジェットプリンタ100のハードウェア構成図である。図2は、インクジェットプリンタ100の内部構造を示す模式図である。
【0010】
図1に示すように、インクジェットプリンタ100は、CPU(Central Processing Unit)110、RAM(Random Access Memory)120、ROM(Read Only Memory)130、HDD(Hard Disk Drive)140、操作パネル150、及びI/F160が共通バス180を介して接続されている構成を備える。
【0011】
CPU110は演算手段(演算部)であり、インクジェットプリンタ100全体の動作を制御するコントローラである。RAM120は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU110が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM130は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD140は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラムなどが格納される。
【0012】
インクジェットプリンタ100は、ROM130に格納された制御用プログラム、HDD140などの記憶媒体からRAM120にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などを、CPU110が備える演算機能によって処理する。その処理によって、インクジェットプリンタ100の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、インクジェットプリンタ100に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、インクジェットプリンタ100の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0013】
操作パネル150は、画面を表示させるディスプレイ、ディスプレイに重畳されたタッチパネル、及び押しボタン等を含むユーザインタフェースである。タッチパネル及び押しボタンは、後述する各種情報を入力するオペレータの操作を受け付ける。I/F160は、搬送部210と、表面記録部(第1吐出部)220と、裏面記録部(第2吐出部)230と、プロット記録ヘッド(透明液体吐出部)240と、読取部250と、乾燥部260とを、共通バス180に接続するインタフェースである。
【0014】
図2に示すように、インクジェットプリンタ100は、搬送部210に連帳シートSを搬送路Pに沿って搬送させ、搬送路P上の連帳シートSに対して各ヘッド220~240にインク(液体)を吐出させることによって、連帳シートSに画像を記録する液体吐出装置の一例である。但し、液体吐出装置の具体例は、インクジェットプリンタ100に限定されない。すなわち、液体吐出装置は、被吐出媒体に画像を記録する装置に限定されず、処理液を塗布する装置などであってもよい。
【0015】
連帳シートSは、搬送部210によって搬送される被吐出媒体の一例である。連帳シートSは、長尺帯状の用紙であって、各ヘッド220~240からインクが吐出された後に、所定の長さに裁断される。但し、被吐出媒体の具体例は連帳シートSに限定されず、例えば、予め所定の大きさ(例えば、A4、B5など)にカットされたカット紙であってもよい。また、被吐出媒体の典型例としては、吸収したインクが乾燥することによって伸縮する繊維を織り込んだ紙や布である。
【0016】
搬送路Pは、図2に破線で示すように、連帳シートSが通過可能なインクジェットプリンタ100の内部空間であって、各ヘッド220~240に対面する位置を通過する。より詳細には、搬送路Pは、各ヘッド220~240と、後述するガイドローラ213、214、215との間の空間を指す。なお、図1では、直線状の搬送路Pを示しているが、搬送路Pの形状はこれに限定されず、例えば、一部が湾曲していてもよい。
【0017】
搬送部210は、例えば、連帳シートSを搬送方向(図2における左方向)に搬送する搬送ローラ211、212を備える。搬送ローラ211は、各ヘッド220~240より搬送路Pの上流側に配置されている。搬送ローラ211は、搬送モータの駆動力が伝達されて回転し、予め巻回された連帳シートSを搬送路Pに送り出す。搬送ローラ212は、各ヘッド220~240より搬送路Pの下流側に配置されている。搬送ローラ212は、搬送モータの駆動力が伝達されて回転し、各ヘッド220~240からインクが吐出された連帳シートSを巻き取る。
【0018】
また、搬送部210は、搬送ローラ211、212の間に配置されるガイドローラ213、214、215を含む。ガイドローラ213~215は、搬送路Pを挟んで各ヘッド220~240と反対側に配置されている。ガイドローラ213~215は、搬送路P上を搬送される連帳シートSに当接されて、搬送される連帳シートSの動きによって回転させられるアイドルローラである。
【0019】
さらに、搬送部210は、連帳シートSを反転させる反転機構216を含む。図3は、反転機構216の前後において、連帳シートSを上から見た図である。図3に示すように、連帳シートSは、反転機構216を通過する際に、搬送方向に延びる仮想線周りに回転して、表裏が反転する。反転機構216は、各種のローラなどを含む既知の構成で実現できる。以下、反転機構216を通過する前の連帳シートSの上面を「表面」と表記し、反転機構216を通過した後の連帳シートSの上面を「裏面」と表記する。
【0020】
表面記録部220は、搬送路P上を搬送される連帳シートSの表面に向けて有色インクを吐出することによって、連帳シートSの表面に画像を記録する。表面記録部220は、各々が異なる色のインクを吐出する複数の記録ヘッド221、222、223、224を備える。本実施形態では、記録ヘッド221がブラック(Bk)インクを、記録ヘッド222がシアン(C)インクを、記録ヘッド223がマゼンタ(M)インクを、記録ヘッド224がイエロー(Y)インクを吐出する。但し、表面記録部220が吐出する色の数及び組み合わせは、前述の例に限定されない。
【0021】
記録ヘッド221~224は、例えば、搬送方向に交差(直交)する連帳シートSの幅方向の全域にインク吐出孔が設けられたフルライン型の記録ヘッドである。但し、記録ヘッド221~224の具体例はこれに限定されず、例えば、インク吐出孔が形成されたキャリッジが幅方向(主走査方向)に移動しながらインクを吐出するキャリッジ型でもよい。また、記録ヘッド221~224がインクを吐出する具体的な原理は特に限定されないが、例えば、CPU110から印加された駆動電圧によってピエゾ素子が振動することによって、ノズルからインクが吐出されてもよい。
【0022】
裏面記録部230は、搬送路P上を搬送される連帳シートSの裏面に向けて有色インクを吐出することによって、連帳シートSの裏面に画像を記録する。裏面記録部230は、各々が異なる色のインクを吐出する複数の記録ヘッド231、232、233、234を備える。記録ヘッド231~234の具体的な構造及び吐出するインクの色などは、記録ヘッド221~224と共通するので、再度の説明は省略する。
【0023】
プロット記録ヘッド240は、搬送路P上を搬送される連帳シートSの表面に向けて透明インクを吐出することによって、連帳シートSの表面に透明プロットを記録する。プロット記録ヘッド240の具体的な構造は、記録ヘッド221~224、231~234と共通であってもよい。一方、プロット記録ヘッド240は、透明インクを吐出する点で、有色インクを吐出する記録ヘッド221~224、231~234と異なる。
【0024】
ここで、有色インクとは、可視光を反射または吸収する性質を持つ非透明液体の一例である。具体的には、白色インクは全ての可視光を反射し、黒色インクは全ての可視光を吸収し、その他の有色インクは一部の可視光を反射し、他の可視光を吸収する。すなわち、有色インクは、人間の視覚を通じて知覚可能な色の液体である。
【0025】
これに対して、透明インクは、可視光を透過する性質を持つ透明液体の一例である。換言すれば、透明インクは、可視光を反射及び吸収しないインクである。さらに換言すれば、透明インクは、特定の不可視光(例えば、紫外線、赤外線、X線、ガンマ線など)を反射または吸収する性質を持つインクである。すなわち、透明インクは、人間の視覚を通じて知覚不能で、且つ読取部250によって知覚可能な液体である。
【0026】
読取部250は、連帳シートSに着弾した透明インクを読み取ることが可能なスキャナである。透明インクが紫外線を反射する性質を有する場合、読取部250は、例えば、連帳シートSに向けて紫外線を出力するLEDと、連帳シートSで反射された紫外線を受光するフォトダイオードとを備える。このように、読取部250の具体的な構成は、透明インクの性質に応じて適宜選択される。
【0027】
乾燥部260は、第1乾燥部261と、第2乾燥部262とを含む。第1乾燥部261は、連帳シートSの表面に着弾したインクを乾燥させる。第2乾燥部262は、連帳シートSの裏面に着弾したインクを乾燥させる。乾燥部260は、既知の構成を採用することができ、例えば、搬送路Pの近傍に配置される加熱ドラムを含んでもよいし、連帳シートSに送風するファン等を含んでもよい。
【0028】
インクジェットプリンタ100の構成要素は、例えば、図2に示す位置関係で配置される。但し、各構成要素の位置関係は図2の例に限定されず、各構成要素の役割を果たすことができるあらゆる配置を採用することができる。また、図2に示す構成要素の一部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で省略することができる。
【0029】
表面記録部220、裏面記録部230、及びプロット記録ヘッド240は、いずれも搬送路Pの上方に配置されて、搬送路P上の連帳シートSに対して同一方向(上方)からインクを吐出する。但し、裏面記録部230の配置は図2の例に限定されない。他の例として、裏面記録部230は、搬送路Pを挟んで表面記録部220と反対側(すなわち、搬送路Pの下方)に配置されて、搬送路P上の連帳シートSに対して下方からインクを吐出してもよい。この場合、反転機構216は省略される。
【0030】
表面記録部220は、搬送ローラ211より搬送路Pの下流側で、搬送ローラ212、反転機構216、裏面記録部230、プロット記録ヘッド240、読取部250、及び乾燥部260より搬送路Pの上流側に配置されている。裏面記録部230は、搬送ローラ211、反転機構216、表面記録部220、プロット記録ヘッド240、読取部250、及び第1乾燥部261より搬送路Pの下流側で、搬送ローラ212及び第2乾燥部262より搬送路Pの上流側に配置されている。
【0031】
被吐出媒体が連帳シートの場合、表面記録部220及び裏面記録部230は独立したハードウェアによって実現される。一方、被吐出媒体がカット紙の場合、表面記録部220及び裏面記録部230は、共通のハードウェア(以下、「画像記録部(液体吐出部)」と表記する。)で実現されてもよい。この場合、インクジェットプリンタ100は、画像記録部によって表面に画像が記録されたカット紙を、表裏を反転させて再び画像記録部に対面する位置に導くスイッチバックパス(反転搬送路)を備える。
【0032】
プロット記録ヘッド240は、搬送ローラ211及び表面記録部220より搬送路Pの下流側で、搬送ローラ212、反転機構216、裏面記録部230、読取部250、乾燥部260より搬送路Pの上流側に配置されている。但し、プロット記録ヘッド240の配置は前述の例に限定されない。他の例として、プロット記録ヘッド240は、表面記録部220より搬送路Pの上流側に配置されて、搬送路P上の連帳シートSの裏面に透明インクを吐出してもよい。すなわち、透明インクが着弾するのは、連帳シートSの表面に限定されない。
【0033】
読取部250は、搬送ローラ211、反転機構216、表面記録部220、プロット記録ヘッド240、及び第1乾燥部261より搬送路Pの下流側で、搬送ローラ212、裏面記録部230、及び第2乾燥部262より搬送路Pの上流側に配置されている。また、読取部250は、搬送路Pを挟んでプロット記録ヘッド240と反対側に配置されて、搬送路Pの下方から連帳シートSの表面に着弾した透明インクを読み取る。但し、読取部250の配置は前述の例に限定されない。他の例として、読取部250は、反転機構216より搬送路Pの上流側で、且つ搬送路Pに対してプロット記録ヘッド240と同じ側に配置されてもよい。
【0034】
図3に示すように、プロット記録ヘッド240は、連帳シートS内の破線で示す画像記録領域内の複数の目標位置に透明インクを吐出することによって、複数の透明プロットP11~P43を記録する。画像記録領域は、例えば、表面記録部220から吐出された有色インクが着弾し得る領域である。また、画像記録領域は、例えば、連帳シートSが裁断された後に所定の大きさ(例えば、A3、A4、B5など)のカット紙となる領域である。
【0035】
目標位置は、画像記録領域を複数の小領域に区画し得る位置である。図3の例において、小領域は、矩形(長方形、正方形)である。そして、目標位置は、小領域の頂点の位置に設定される。以下、目標位置を結んだ小領域の形状を「目標形状」と表記する。但し、小領域の目標形状は矩形に限定されない。
【0036】
また、図3の例では、搬送方向に直交する幅方向(主走査方向)の左端、中央、右端のそれぞれにおける搬送方向の4箇所(計12箇所)を目標位置としている。すなわち、図3の例では、画像記録領域が6つの小領域に区画されている。さらに、目標位置は、例えば、画像記録領域内に等間隔で設定される。すなわち、図3の例では、全ての小領域の形状及び大きさは同一である。但し、小領域の形状及び大きさは、互いに異なっていてもよい。
【0037】
目標位置は、連帳シートS上で予め定められた原点Oを基準とする座標(搬送方向及び幅方向の距離)で特定される。各目標位置の座標は、記憶部(RAM120、ROM130、HDD140)に予め記憶されている。すなわち、コントローラは、記憶部から目標位置の座標を読み出すと共に、スキャナで原点Oを示す画像(図3では◆で示す)を読み取る。そして、コントローラは、連帳シートS上において、原点Oから各目標位置の座標だけ離間した位置に透明インクが着弾するように、プロット記録ヘッド240に透明インクを吐出させる。
【0038】
図4及び図5は、記憶部に記憶された目標位置のバリエーションを示す図である。記憶部には、M個の第1目標位置の座標セットと、N個の第2目標位置の座標セットとが記憶されている。例えば、図4は、Mが12の場合の第1目標位置の配置を例示している。また、図5は、Nが20の場合を例示している。すなわち、M<Nであり、第1目標位置及び第2目標位置の少なくとも一部は異なる位置である。但し、記憶部に記憶されている座標セットの数、各座標セットに含まれる座標(すなわち、目標位置)の数及び配置は、図4及び図5の例に限定されない。
【0039】
透明プロットP11~P43は、反転機構216の前後において、左右反転される。すなわち、反転機構216を通過する前に画像記録領域の左前端に位置する透明プロットP11は、反転機構216を通過した後に画像記録領域の右前端に位置する。換言すれば、連帳シートSの表面及び裏面において、対応する小領域は、画像記録領域内で左右反転される。透明プロットP11、P12、P21、P22で囲まれる小領域は、連帳シートSの表面において左前端に位置し、連帳シートSの裏面において右前端に位置する。
【0040】
図3の例では、透明プロットP11~P43を“+”形状としているが、具体的な形状はこれに限定されず、画像記録領域を複数の小領域に区画し得る形状であれば、どのような形状であってもよい。他の例として、“●”、“◆”などでもよいし、小領域の各辺を構成する罫線(搬送方向及び幅方向に延びる直線)であってもよい。同様に、原点Oを示す画像も“◆”に限定されない。また、原点Oを示す画像は、有色インクで記録されてもよいし、透明インクで記録されてもよい。
【0041】
次に、図6及び図7を参照して、本実施形態に係るインクジェットプリンタ100の動作を説明する。図6は、両面プリント処理のフローチャートである。図7は、画像変形処理のフローチャートである。図6の両面プリント処理は、例えば、連帳シートSの両面に画像を記録する指示が、操作パネル150を通じて入力された場合に開始される。
【0042】
まず、インクジェットプリンタ100のコントローラは、オペレータに指示された画像を連帳シートSの表面に記録する(S601)。ステップS601の処理は、第1吐出ステップの一例である。具体的には、コントローラは、搬送モータを駆動して搬送ローラ211、212に連帳シートSを搬送させ、記録ヘッド221~224に所定のタイミングで駆動電圧を印加して有色インクを吐出させる。
【0043】
次に、コントローラは、連帳シートSの表面における有色インクの着弾量の偏りを、予め定められた閾値と比較する(S602)。そして、コントローラは、着弾量の偏りが閾値未満だと判定した場合に(S602:Yes)、図4に示す第1目標位置の座標セットを記憶部から読み出す(S603)。一方、コントローラは、着弾量の偏りが閾値以上だと判定した場合に(S602:No)、図5に示す第2目標位置の座標セットを記憶部から読み出す(S604)。ステップS603、S604は、読出ステップの一例である。本実施形態では、図4に示す座標セットが読み出されたものとして、以下の処理を説明する。
【0044】
一例として、コントローラは、画像データを複数の単位領域に区画し、各単位領域に着弾するインクの着弾量を積算する。そして、コントローラは、最も着弾量が多い単位領域と、最も着弾量が少ない単位領域との着弾量の差を、「着弾量の偏り」として演算してもよい。なお、単位領域とは、前述の小領域とは異なる形状及び大きさでよい。
【0045】
他の例として、コントローラは、表面に記録する画像が図柄(例えば、写真、イラスト)及び文字の一方のみを含む場合に、着弾量の偏りが閾値未満だと判定してもよい(S602:Yes)。一方、コントローラは、表面に記録する画像が図柄及び文字の両方を含む場合に、着弾量の偏りが閾値以上だと判定してもよい(S602:No)。但し、S602における判定の具体的な方法は、これらに限定されない。
【0046】
次に、コントローラは、ステップS603、S604で読み出した座標セットで示される複数の目標位置に対して、プロット記録ヘッド240に透明インクを吐出させることによって、連帳シートSの表面に透明プロットを記録する(S605)。ステップS605の処理は、透明液体吐出ステップの一例である。具体的には、コントローラは、搬送モータを駆動して搬送ローラ211、212に連帳シートSを搬送させ、所定のタイミングでプロット記録ヘッド240に駆動電圧を印加して透明インクを吐出させる。
【0047】
図8は、連帳シートSの表面に画像及び透明プロットP11~P43が記録された状態を示す図である。図8に示す画像は、棒グラフの図柄と、“x”で表される文字列とを含む。すなわち、棒グラフが記録された左前端領域は有色インクの着弾量が多く、文字のみが記録された右後端領域は有色インクの着弾量が少なく、何も記録されていない左後端領域は有色インクが着弾していない。また、図8の例では、透明プロットP11~P43が画像に重なって記録されていないが、仮に透明プロットP11~P43が画像に重なっていても、画像の視認性に影響はない。
【0048】
次に、コントローラは、連帳シートSの表面に着弾した有色インク及び透明インクを第1乾燥部261に乾燥させる(S606)。次に、コントローラは、反転機構216に連帳シートSを表裏反転させる(S607)。図9は、図8の連帳シートSを乾燥させた後の透明プロットP11~P43の位置を示す図である。図9では、連帳シートSの表面に記録された透明プロットP11~P43を、裏面側から透かして見た状態を図示している。そのため、図8及び図9では、透明プロットP11~P43の位置が左右反転している。
【0049】
表面に画像を記録するために使用されたインクは、連帳シートSの表面からある程度吸収されて乾燥する。この乾燥によって、連帳シートSは伸縮する。伸縮の向きや量は連帳シートSの種類によって異なるが、例えば、インクの着弾量が大きいほど収縮量が大きく、且つ搬送方向より幅方向に大きく収縮する。そのため、ステップS605で目標位置に記録された透明プロットP11~P43の一部は、連帳シートSが伸縮したことによって、記録されたときの位置からずれた位置に移動する。
【0050】
図9において、黒塗りの十字形状のマークで示す透明プロットは、連帳シートSに着弾したインクを乾燥させた後の透明プロットの現実的な位置を示す。このように乾燥による連帳シートSの伸縮等により変位した位置を「現実位置」とする。一方、白塗りの十字形状のマークで示す透明プロットは、透明プロットの目標位置を示す。すなわち、図9の例示においては、透明プロットP11、P13、P23~P41は、目標位置と現実位置とが一致していることになる。一方、透明プロットP12、P21、P22は目標位置に存在せず、透明プロットP’12、P’21、P’22として現実位置に位置している。現実位置の透明プロットを結んだ小領域の形状を「現実形状」と表記する。
【0051】
より詳細には、図8に示す連帳シートSの表面において、棒グラフが記録された左前端領域は、局所的に大きく収縮する。そのため、ステップS606を実行した後において、棒グラフの近傍に記録された透明プロットP12、P21、P22は、図9に示すように、透明プロットP11に近づく向きに変位する。その結果、透明プロットP11、P12、P21、P22を頂点とする小領域(以下、「収縮領域」と表記する。)は、ステップS606の実行によって変形(図9の例では縮小)する。
【0052】
一方、連帳シートSは搬送部210の各種ローラに拘束されているので、連帳シートSの外形寸法はほとんど変化しない。そのため、画像記録領域の各頂点に位置する透明プロットP11、P13、P41、P43の位置は、ほとんど変化しない。その結果、収縮領域に隣接する小領域は、ステップS606の実行によって変形(図9の例では、形状変化及び面積の増大)する。
【0053】
次に、コントローラは、図7に示す画像変形処理を実行する(S608)。画像変形処理は、透明プロットP11~P43の目標位置及び現実位置の差に基づいて、裏面の複数の小領域それぞれについて、有色インクの着弾位置を個別に演算する処理である。より詳細には、画像変形処理は、複数の小領域それぞれについて、当該小領域に記録する画像を目標形状から現実形状に変形させて、変形された画像が裏面に記録されるように着弾位置を演算する処理である。
【0054】
まず、コントローラは、連帳シートSの表面に記録された原点O及び現実位置の透明プロットP11、P’12、P13、P’21、P’22、P23、P31、P32、P33、P41、P42、P43を、読取部250に読み取らせる(S701)。ステップS701の処理は、読取ステップの一例である。また、コントローラは、RAM120に記憶された変数nに初期値(=1)を代入する(S702)。変数nには、画像記録領域内の複数の小領域のうち、処理対象の第n小領域を特定する値が代入される。
【0055】
図9において、透明プロットP11、P’12、P’21、P’22を頂点とする小領域を「第1小領域」と表記し、透明プロットP’12、P13、P’22、P23を頂点とする小領域を「第2小領域」と表記し、透明プロットP’21、P’22、P31、P32を頂点とする小領域を「第3小領域」と表記し、透明プロットP’22、P23、P32、P33を頂点とする小領域を「第4小領域」と表記し、透明プロットP31、P32、P41、P42を頂点とする小領域を「第5小領域」と表記し、透明プロットP32、P33、P42、P43を頂点とする小領域を「第6小領域」と表記する。
【0056】
次に、コントローラは、原点Oを基準とする座標系において、第1小領域の各頂点となる透明プロットP11、P’12、P’21、P’22の現実位置の座標を演算する(S703)。より詳細には、コントローラは、原点Oと各透明プロットP11、P’12、P’21、P’22との搬送方向及び幅方向の距離を演算すればよい。
【0057】
次に、コントローラは、第1小領域の各頂点の透明プロットについて、ステップS603、S604で読み出した座標セットに含まれる目標位置の座標と、ステップS703で演算した現実位置の座標とを比較する(S704)。換言すれば、コントローラは、ステップS606の前後において、第1小領域の形状及び大きさが変化したか否かを判定する。
【0058】
コントローラは、現実位置の透明プロットP’12、P’21、P’22が目標位置からずれているので、第1小領域の形状が変化したと判定する(S704:No)。そして、コントローラは、連帳シートSの第1小領域に記録する画像を、第1小領域の目標形状から現実形状に変形させる(S705)。さらに、コントローラは、現実形状に変形された画像が連帳シートSの裏面に記録されるように、当該画像を描画するための有色インクの着弾位置を演算する。画像を変形させる具体的な処理内容は、後述する。
【0059】
次に、コントローラは、全ての小領域に対するステップS703~S705の処理を実行したか否かを判定する(S706)。そして、コントローラは、一部の小領域に対してステップS703~S705の処理が実行されていないと判定した場合に(S706:No)、変数nをインクリメントして(S707)、次の小領域に対するステップS703以降の処理を実行する。一方、コントローラは、全ての小領域に対するステップS703~S705の処理を実行したと判定した場合に(S706:Yes)、画像変形処理を終了する。ステップS703~S705の処理は、演算ステップの一例である。
【0060】
本実施形態において、コントローラは、第1~第4小領域の形状が変化したと判定して(S704:No)、裏面の第1~第4小領域に記録する画像を目標形状から現実形状に変形させる(S705)。一方、コントローラは、第5及び第6小領域の形状が変化していないと判定して(S704:Yes)、第5及び第6小領域に対するステップS705の処理を実行せずに、ステップS706に進む。
【0061】
ステップS705の処理は、既知の画像処理の組み合わせで実現される。一例として、第1小領域のように目標形状と現実形状とが相似形状の場合、コントローラは、縮小率(拡大率)に合わせて画素を間引けば(補間すれば)よい。一方、第2~第4小領域のように目標形状と現実形状とが形状変化を伴う場合、コントローラは、台形補正などの既知の画像変換アルゴリズムを利用すればよい。
【0062】
次に図6に戻って、コントローラは、画像変形処理で変形された画像を連帳シートSの裏面に記録する(S609)。ステップS609の処理は、第2吐出ステップの一例である。具体的には、コントローラは、搬送モータを駆動して搬送ローラ211、212に連帳シートSを搬送させ、ステップS705で演算した着弾位置に有色インクが着弾するタイミングで、記録ヘッド231~234に駆動電圧を印加して有色インクを吐出させる。
【0063】
次に、コントローラは、連帳シートSの裏面に着弾した有色インクを第2乾燥部262に乾燥させる(S610)。そして、コントローラは、連帳シートSの画像が記録された領域を搬送ローラ212に巻き取らせて、両面プリント処理を終了する。
【0064】
上記の実施形態によれば、表面に着弾したインクに対し、裏面へのインクの着弾位置を詳細に調整することができる。より詳細には、表面に画像を記録したことによる連帳シートSの実際の伸縮量に基づいて、裏面の画像の記録に用いるインクの着弾位置を詳細に調整することができる。例えば、以下の作用効果を奏する。
【0065】
上記の実施形態によれば、表面に着弾した有色インクによる連帳シートSの小領域毎の伸縮を、透明インク(透明プロット)の目標位置及び現実位置の差として検出し、裏面に対する有色インクの着弾位置を小領域毎に調整することができる。なお、透明インクは有色インクを上書きすることがないので、連帳シートS上の任意の位置(例えば、画像記録領域)に透明インクを吐出することができる。その結果、連帳シートS上における小領域の設定の自由度が高まる。
【0066】
また、上記の実施形態によれば、小領域毎の伸縮に合わせて変形された画像が連帳シートSの裏面に記録される。ここで、搬送部210による拘束から解放された連帳シートSは、伸縮前の形状に戻ろうとする。そのため、変形させた画像を裏面に記録しておけば、インクジェットプリンタ100から排出された連帳シートSの裏面には、本来の形状に近い画像が記録されることになる。
【0067】
また、有色インクの着弾量が多い領域は伸縮量が大きく、有色インクの着弾量が少ない領域は伸縮量が小さくなる傾向がある。そのため、有色インクの着弾量の偏りが大きいと、小領域毎の伸縮の差が大きくなる。このような場合には、小領域の数を増やすことによって、連帳シートSの局所的な伸縮に柔軟に対応するのが望ましい。一方、有色インクの吐出量の偏りが小さい場合は、小領域毎の伸縮の差は小さくなる。このような場合には、小領域の数を減らして、コントローラの演算量を低減するのが望ましい。
【0068】
さらに、連帳シートSの伸縮量は、着弾した有色インクの乾燥が進むのに従って大きくなる。そこで、乾燥部260を備えるインクジェットプリンタ100に本発明を適用することによって、特に顕著な効果が期待できる。但し、本発明は、乾燥部260によって積極的に乾燥させることに代えて、搬送部210による搬送中に自然乾燥させるインクジェットプリンタ100にも適用できる。すなわち、乾燥部260は省略可能である。
【0069】
なお、本発明は、インクジェットプリンタ100に代表される液体吐出装置としてだけでなく、図6及び図7に示すように、被吐出媒体の表面及び裏面に液体を吐出する液体吐出方法としても観念することができる。
【0070】
また、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
100 インクジェットプリンタ
110 CPU
120 RAM
130 ROM
140 HDD
150 操作パネル
160 I/F
180 共通バス
210 搬送部
216 反転機構
220 表面記録部
230 裏面記録部
240 プロット記録ヘッド
250 読取部
260 乾燥部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【文献】特開2016-182759号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9