(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】道路状態推定装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20221129BHJP
E01C 23/01 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
E01C23/01
(21)【出願番号】P 2021525467
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(86)【国際出願番号】 JP2019023229
(87)【国際公開番号】W WO2020250332
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】小林 和則
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 弘章
(72)【発明者】
【氏名】村田 伸
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/159397(WO,A1)
【文献】特開2005-115687(JP,A)
【文献】特開2006-161677(JP,A)
【文献】国際公開第2018/173631(WO,A1)
【文献】特開2002-243535(JP,A)
【文献】特開2008-143508(JP,A)
【文献】特開平06-138018(JP,A)
【文献】特開2015-028456(JP,A)
【文献】国際公開第2010/050300(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0260614(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 99/00
E01C 23/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車が走行する位置についての情報である位置情報と、前記位置を前記自動車が走行したときに発生する音響信号を周波数領域に変換したスペクトル情報とを含むセンサ情報を、各自動車から受信する受信部と、
受信したセンサ情報に含まれる位置情報に基づいて、前記自動車が走行する道路ごとに前記スペクトル情報を分類する第一分類部と、
前記第一分類部により分類された前記スペクトル情報ごとに道路の状態を推定する推定部と、
を含
み、
前記センサ情報には、自動車の速度についての情報である速度情報が更に含まれ、
前記第一分類
部により分類されたスペクトル情報を、速度情報ごとに更に分類する第三分類部を更に含み、
前記推定部は、前記第三分類部により分類された前記スペクトル情報ごとに道路の状態を推定
し、
前記受信部が受信するセンサ情報に含まれるスペクトル情報は平均化されたものであり、
前記受信部は、所定の時間区間ごとに前記センサ情報を受信する、
道路状態推定装置。
【請求項2】
請求項1の道路状態推定装置であって、
前記センサ情報には、自動車についての情報である自動車情報が更に含まれ、
前記第一分類部により分類された前記スペクトル情報を、自動車情報ごとに更に分類する第二分類部を更に含み、
前記推定部は、前記第二分類部により分類された前記スペクトル情報ごとに道路の状態を推定する、
道路状態推定装置。
【請求項3】
請求項1又は2の道路状態推定装置であって、
前記受信部が受信するセンサ情報に含まれるスペクトル情報は、自動車の速度についての情報である速度情報ごとに分類されたスペクトル情報が平均化されたものであり、
前記受信部は、所定の時間区間ごとに前記センサ情報を受信する、
道路状態推定装置。
【請求項4】
受信部が、自動車が走行する位置についての情報である位置情報と、前記位置を前記自動車が走行したときに発生する音響信号を周波数領域に変換したスペクトル情報とを含むセンサ情報を、各自動車から受信する受信ステップと、
第一分類部が、受信したセンサ情報に含まれる位置情報に基づいて、前記自動車が走行する道路ごとに前記スペクトル情報を分類する第一分類ステップと、
推定部が、前記第一分類部により分類された前記スペクトル情報ごとに道路の状態を推定する推定ステップと、
を含
み、
前記センサ情報には、自動車の速度についての情報である速度情報が更に含まれ、
第三分類部が、前記第一分類ステップにより分類されたスペクトル情報を、速度情報ごとに更に分類する第三分類ステップを更に含み、
前記推定ステップでは、前記第三分類ステップにより分類された前記スペクトル情報ごとに道路の状態が推定され、
前記受信ステップで受信するセンサ情報に含まれるスペクトル情報は平均化されたものであり、
前記受信ステップでは、所定の時間区間ごとに前記センサ情報が受信される、
道路状態推定方法。
【請求項5】
請求項1から
3の何れかの道路状態推定装置の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の状態を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の舗装の劣化状況の把握は、道路の舗装のメンテナンスにとって重要であり、定期的に点検が行われている。例えば、現状は専門家による目視や専門の測定機器を用いての点検が行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】国土交通省 道路局、「舗装点検要領」、平成28年10月、p.9-10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の専門家による点検では、点検コストが高くなってしまう。
【0005】
本発明は、従来よりも点検コストが低い道路状態推定装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一態様による道路状態推定装置は、自動車が走行する位置についての情報である位置情報と、位置を自動車が走行したときに発生する音響信号を周波数領域に変換したスペクトル情報とを含むセンサ情報を、各自動車から受信する受信部と、受信したセンサ情報に含まれる位置情報に基づいて、自動車が走行する道路ごとにスペクトル情報を分類する第一分類部と、第一分類部により分類されたスペクトル情報ごとに道路の状態を推定する推定部と、を備えており、センサ情報には、自動車の速度についての情報である速度情報が更に含まれ、第一分類部により分類されたスペクトル情報を、速度情報ごとに更に分類する第三分類部を更に含み、推定部は、第三分類部により分類されたスペクトル情報ごとに道路の状態を推定し、受信部が受信するセンサ情報に含まれるスペクトル情報は平均化されたものであり、受信部は、所定の時間区間ごとに前記センサ情報を受信する。
【発明の効果】
【0007】
従来よりも低い点検コストで道路の状態を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、道路状態推定システムの概要を説明するための図である。
【
図2】
図2は、第一実施形態の道路状態推定システムの機能構成の例を示す図である。
【
図3】
図3は、道路状態推定方法の処理手続きの例を示す図である。
【
図4】
図4は、自動車の走行音のスペクトルの特性の例を示す図である。
【
図5】
図5は、第二実施形態の道路状態推定システムの機能構成の例を示す図である。
【
図6】
図6は、第三実施形態の道路状態推定システムの機能構成の例を示す図である。
【
図7】
図7は、コンピュータの機能構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、図面中において同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【0010】
[第一実施形態]
現在、運転者の所有するスマートホン等の通信機器や、自動車等の車両の標準装備される通信ユニットにより、携帯通信網に接続された車両が増えてきている。また、通信機器や車両には、GPSや加速度センサ、マイクロホン、ビデオカメラなどのセンサが装備されていることがある。道路状態推定装置、方法及びシステムは、これらを利用して、道路の異常を検出するものである。
【0011】
図2は、第一実施形態の道路状態推定システムの機能構成の例を示す図である。
【0012】
道路状態推定システムは、情報送信装置1及び道路状態推定装置2を例えば備えている。
【0013】
道路状態推定方法は、道路状態推定装置2の各構成部が、以下に説明する及び
図3に示すステップS21からステップS23の処理を行うことにより例えば実現される。道路状態推定方法は、道路状態推定システムの各構成部が、以下に説明する及び
図3に示すステップS11からステップS23の処理を行うことにより例えば実現されてもよい。
【0014】
[[情報送信装置1]]
情報送信装置1は、振動取得部11、周波数領域変換部12、位置情報取得部13及びセンサ情報送信部14を例えば備えている。
【0015】
<振動取得部11>
振動取得部11は、道路を自動車で通行したときに発生する振動の信号である振動信号を取得する(ステップS11)。振動取得部11は、マイクロホン、振動センサ又は加速度センサ等の振動信号を取得するセンサである。振動信号には、マイクロホンで取得される、空気等の弾性体の縦波の振動の信号である音響信号も含まれるとする。以下では、振動信号が音響信号である場合を例に挙げて説明する。
【0016】
振動取得部11で取得された振動信号は、周波数領域変換部12に出力される。
【0017】
<周波数領域変換部12>
周波数領域変換部12は、取得された振動信号(例えば、音響信号)を周波数領域に変換したスペクトル情報を取得する(ステップS12)。取得されたスペクトル情報は、センサ情報送信部14に出力される。
【0018】
<位置情報取得部13>
位置情報取得部13は、自動車が走行する位置についての情報である位置情報を取得して、センサ情報送信部14に出力する(ステップS13)。位置情報は、例えばGPSの位置情報である。
【0019】
<センサ情報送信部14>
センサ情報送信部14には、周波数領域変換部12により取得されたスペクトル情報と、位置情報取得部13により取得された位置情報位置情報が入力される。
【0020】
センサ情報送信部14は、位置情報とスペクトル情報とを含むセンサ情報を、道路状態推定装置2に送信する(ステップS14)。
【0021】
[[道路状態推定装置2]]
道路状態推定装置2は、位置情報受信部21、第一分類部22及び推定部23を例えば備えている。
【0022】
<位置情報受信部21>
位置情報受信部21は、センサ情報送信部14が送信したセンサ情報を受信する(ステップS21)。センサ情報は、第一分類部22に出力される。
【0023】
<第一分類部22>
第一分類部22には、位置情報受信部21が受信したセンサ情報が入力される。
【0024】
第一分類部22は、位置情報受信部21が受信したセンサ情報に含まれる位置情報に基づいて、自動車が走行する道路ごとにスペクトル情報を分類する(ステップS22)。
【0025】
具体的には、第一分類部22は、受信したセンサ情報に含まれる位置情報から、自動車が走行している道路を特定し、道路ごとにスペクトル情報を分類する。
【0026】
<推定部23>
推定部23には、第一分類部22で道路ごとに分類されたスペクトル情報が入力される。
【0027】
推定部23は、道路ごとに分類されたスペクトル情報に基づいて、道路ごとに道路の状態を推定する(ステップS23)。
【0028】
まず、推定部23は、道路ごとに分類されたスペクトル情報を、道路ごとに平均して、道路ごとの平均スペクトルを求める。平均は複数の自動車及び所定の時間区間について行われる。所定の時間区間は、例えば1日、1か月、1年である。また、平均スペクトルは、各周波数帯域ごとに求められる。なお、推定部23は、メル周波数(対数の周波数)による平均化により、道路ごとの平均スペクトルを求めてもよい。
【0029】
つぎに、推定部23は、道路ごとの平均スペクトルに基づいて道路の状態を推定する。
【0030】
図4に自動車の走行音のスペクトルの特性の例を示す。一般に、道路の路面がひび割れなどで劣化してくると高周波の走行音が増加する。
図4の破線はひび割れ等、劣化した道路に対応するスペクトルであり、
図4の実線は滑らかな道路に対応するスペクトルである。
【0031】
このため、例えば、推定部23は、所定の周波数(例えば1kHz)以上の平均スペクトルの大きさが所定の閾値を超えた場合に、その平均スペクトルに対応する道路は劣化していると推定することができる。
【0032】
また、例えば、推定部23は、所定の第一周波数(例えば500Hz)以下の平均スペクトルの大きさと、所定の第二周波数(例えば1kHz)以上の平均スペクトルの大きさの比を求め、その比が、所定の閾値を超えた場合に、これらの平均スペクトルに対応する道路は劣化していると推定することもできる。
【0033】
このように、推定部23は、平均スペクトルの大きさや、平均スペクトルの傾きに基づいて、道路の状態を推定してもよい。
【0034】
さらに、劣化のない道路の平均スペクトルと、劣化のある道路の平均スペクトルとを予め用意し、これらを見分けるためのニューラルネットワークを機械学習により学習して、劣化の有り無しを判定できる識別機を構成しておく。この場合、推定部23は、この識別器に平均スペクトルを入力することで道路の状態を推定してもよい。
【0035】
なお、推定部23は、予め閾値を設けるのではなく、道路をメンテナンスした直後の平均スペクトルを保持しておき、その平均スペクトルからの変化量を計算することで道路の状態を推定してもよい。
【0036】
例えば、推定部23は、メンテナンスした直後の走行音の平均スペクトルと推定対象の平均スペクトルをデシベルdBに変換してから引き算し、その差分が、所定の閾値を超えるか否かにより、道路の状態を推定してもよい。例えば、その差分が所定の閾値を超える場合には、道路は劣化していると推定することができ、そうでない場合には、道路は劣化していないと推定することができる。
【0037】
以上示した手法により、専門家が現地に出向いて、目視や専門の機器を使って測定しなくても、一般の車両から集めた走行音のデータから道路の劣化を判定することができる。これにより、従来よりも低い点検コストで道路の状態を推定することができる。また、例えば、常時、全ての道路の劣化を監視することが可能となる。
【0038】
[第二実施形態]
第二実施形態の道路状態推定装置システムは、第一実施形態の道路状態推定システムに対して、自動車情報設定部15及び第二分類部24を加えたものである。
【0039】
以下では、第一実施形態の道路状態推定システムと異なる部分を中心に説明する。第一実施形態と同様の部分については説明を省略する。
【0040】
図5に例示するように、自動車情報設定部15は情報送信装置1に設けられ、第二分類部24は道路状態推定装置2に設けられる。
【0041】
自動車情報設定部15には、自動車についての情報である自動車情報が予め定められている。別の言い方をすると、自動車情報は、例えば車重、ホイルベース、タイヤの種類等の走行音に影響を与える自動車の性質についての情報である。
自動車情報設定部15は、自動車情報をセンサ情報送信部14に送信する。
【0042】
センサ情報送信部14は、位置情報、スペクトル情報及び自動車情報を含むセンサ情報を、道路状態推定装置2に送信する。
【0043】
第二分類部24には、第一分類部22で道路ごとに分類されたスペクトル情報が入力される。
【0044】
第二分類部24は、道路ごとに分類されたスペクトル情報を、自動車情報ごとに更に分類する(ステップS24)。第二分類部24により分類されたスペクトル情報は、推定部23に出力される。
【0045】
推定部23は、第二分類部24により分類されたスペクトル情報ごとに道路の状態を推定する。
【0046】
すなわち、推定部23は、道路と自動車情報で分類されたスペクトルを分類ごとに平均することで、道路と自動車情報による分類ごとに平均スペクトルを求める。その後の処理は、第一実施形態と同様である。
【0047】
車両には、トラックやバス、大型の乗用車、小型の乗用車など、さまざまな大きさの車種が存在する。これら車両の種類により、観測される走行音は大きく異なるので、例えば、車種ごとに走行音のスペクトルを平均して、道路の劣化を判定することで、精度の高い判定を行うことができる。
【0048】
[第三実施形態]
第三実施形態の道路状態推定装置システムは、第一実施形態又は第二実施形態の道路状態推定システムに対して、速度情報取得部16及び第三分類部25を加えたものである。
【0049】
以下では、第一実施形態又は第二実施形態の道路状態推定システムと異なる部分を中心に説明する。第一実施形態又は第二実施形態と同様の部分については説明を省略する。
【0050】
図6に例示するように、速度情報取得部16は情報送信装置1に設けられ、第三分類部25は道路状態推定装置2に設けられる。
図6は、第二実施形態の道路状態推定システムに速度情報取得部16及び第三分類部25を加えた第三実施形態の道路状態推定システムを説明するための図である。
【0051】
速度情報取得部16は、自動車の速度についての情報である速度情報を取得する(ステップS16)。例えば、自動車の速度計から、速度情報を取得することができる。取得された速度情報は、センサ情報送信部14に出力される。
【0052】
センサ情報送信部14は、位置情報、スペクトル情報、自動車情報及び速度情報を含むセンサ情報を、道路状態推定装置2に送信する。
【0053】
第三分類部25には、第二分類部24により分類されたスペクトル情報が入力される。
【0054】
第三分類部25は、第二分類部24により分類されたスペクトル情報を、速度情報ごとに更に分類する(ステップS25)。第三分類部25により分類されたスペクトル情報は、推定部23に送信される。
【0055】
推定部23は、第三分類部25により分類されたスペクトル情報ごとに道路の状態を推定する。
【0056】
すなわち、推定部23は、道路と自動車情報と速度情報で分類されたスペクトルを分類ごとに平均することで、道路と自動車情報と速度情報による分類ごとに平均スペクトルを求める。その後の処理は、第二実施形態と同様である。
【0057】
車両の走行速度により、観測される走行音は大きく異なるので、車両の走行速度ごとに走行音のスペクトルを平均して、道路の劣化を判定することで、精度の高い判定を行うことができる。
【0058】
なお、第一実施形態の道路状態推定システムに速度情報取得部16及び第三分類部25を加えた場合には、第三分類部25には、第一分類部22により分類されたスペクトル情報が入力される。
【0059】
この場合、第三分類部25は、第一分類部22により分類されたスペクトル情報を、自動車情報ごとに更に分類する(ステップS25)。第三分類部25により分類されたスペクトル情報は、推定部23に送信される。以降の処理は、上記と同様である。
【0060】
[第四実施形態]
第四実施形態の道路状態推定装置システムは、第一実施形態から第三実施形態の道路状態推定システムに対して、平均化部17を加えたものである。
【0061】
以下では、第一実施形態から第三実施形態の道路状態推定システムと異なる部分を中心に説明する。第一実施形態から第三実施形態と同様の部分については説明を省略する。
【0062】
図2、
図5、
図6に破線で示すように、平均化部17は情報送信装置1に例えば設けられる。
【0063】
平均化部17には、周波数領域変換部12により取得されたスペクトル情報が入力される。
【0064】
平均化部17は、入力されたスペクトル情報を時間平均する。時間平均は、例えば数十秒から数分の所定の時間区間の時間窓で行われる。平均化されたスペクトル情報は、センサ情報送信部14に送信される。
【0065】
センサ情報送信部14は、スペクトル情報として、平均化部17により平均化されたスペクトル情報を含むセンサ情報を道路状態推定装置2に送信する。この際、センサ情報送信部14は、所定の時間区間ごとにセンサ情報を送信する。これにより、受信部21は、所定の時間区間ごとにセンサ情報を受信することになる。この所定の時間区間は、スペクトル情報が時間平均される所定の時間区間の時間窓の長さと同じであってもよい。
【0066】
このように、センサ情報の送信の頻度を下げることで、通信網への負荷を下げることができる。
【0067】
[第五実施形態]
第三実施形態の道路状態推定装置システムは、第一実施形態又は第二実施形態の道路状態推定システムに対して、速度情報取得部16、平均化部17及び第三分類部18を加えたものである。
【0068】
以下では、第一実施形態又は第二実施形態の道路状態推定システムと異なる部分を中心に説明する。第一実施形態又は第二実施形態と同様の部分については説明を省略する。
【0069】
図2、
図5に例示するように、速度情報取得部16、平均化部17及び第三分類部18は情報送信装置1に設けられる。
【0070】
速度情報取得部16は、自動車の速度についての情報である速度情報を取得する(ステップS16)。例えば、自動車の速度計から、速度情報を取得することができる。取得された速度情報は、第三分類部18に出力される。
【0071】
第三分類部18には、周波数領域変換部12により取得されたスペクトル情報が入力される。
【0072】
第三分類部18は、入力されたスペクトル情報を、速度情報ごとに分類する(ステップS18)。第三分類部18により分類されたスペクトル情報は、平均化部17に送信される。
【0073】
平均化部17は、入力されたスペクトル情報を時間平均する。時間平均は、例えば数十秒から数分の所定の時間区間の時間窓で行われる。平均化されたスペクトル情報は、センサ情報送信部14に送信される。
【0074】
センサ情報送信部14は、スペクトル情報として、平均化部17により平均化されたスペクトル情報を含むセンサ情報を道路状態推定装置2に送信する。この際、センサ情報送信部14は、所定の時間区間ごとにセンサ情報を送信する。これにより、受信部21は、所定の時間区間ごとにセンサ情報を受信することになる。この所定の時間区間は、スペクトル情報が時間平均される所定の時間区間の時間窓の長さと同じであってもよい。
【0075】
このように、センサ情報の送信の頻度を下げることで、通信網への負荷を下げることができる。
【0076】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計の変更等があっても、本発明に含まれることはいうまでもない。
【0077】
実施の形態において説明した各種の処理は、記載の順に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。
【0078】
例えば、道路状態推定システムの構成部間のデータのやり取りは直接行われてもよいし、図示していない記憶部を介して行われてもよい。
【0079】
なお、音響信号の周波数領域への変換は、情報送信装置1ではなく、道路状態推定装置2で行われてもよい。
【0080】
[プログラム、記録媒体]
上記説明した各装置における各種の処理機能をコンピュータによって実現する場合、各装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記各装置における各種の処理機能がコンピュータ上で実現される。例えば、上述の各種の処理は、
図7に示すコンピュータの記録部2020に、実行させるプログラムを読み込ませ、制御部2010、入力部2030、出力部2040などに動作させることで実施できる。
【0081】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。
【0082】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD-ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0083】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記憶装置に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0084】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、本装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。