(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線通信方法及び無線端末装置
(51)【国際特許分類】
H04W 12/06 20210101AFI20221129BHJP
H04W 4/00 20180101ALI20221129BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20221129BHJP
【FI】
H04W12/06
H04W4/00 110
H04W84/12
(21)【出願番号】P 2021529878
(86)(22)【出願日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 JP2019026745
(87)【国際公開番号】W WO2021002024
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】原 一貴
(72)【発明者】
【氏名】谷口 友宏
(72)【発明者】
【氏名】椎名 亮太
(72)【発明者】
【氏名】村上 友規
(72)【発明者】
【氏名】中平 俊朗
【審査官】▲高▼橋 真之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0139202(US,A1)
【文献】特開2017-108202(JP,A)
【文献】特開2015-179905(JP,A)
【文献】特開2014-42087(JP,A)
【文献】特開2010-122871(JP,A)
【文献】特表2010-528358(JP,A)
【文献】特開2014-220791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局装置と、
前記無線基地局装置からの連続光を認証に利用して、前記無線基地局装置との間でRF無線通信する無線端末装置と、
を備え、
前記無線基地局装置は、
所定の特性の連続光を発生する光発生回路と、
前記光発生回路からの連続光のビーム形状を制御して空間に送出するビーム制御器と、
前記無線端末装置からの認証情報をRF無線で受信する基地局側RF受信器と、
前記基地局側RF受信器からの認証情報を基に、予め定められた認証プロトコルに従って前記無線端末装置を認証すると、前記無線端末装置と上位ネットワークとの情報通信を許可する認証制御回路と、
を備え、
前記無線端末装置は、
前記ビーム制御器からの連続光を受光する光受信器と、
前記光受信器の受光した連続光の所定の特性を判定する連続光判定回路と、
前記連続光判定回路の判定に従って認証情報を選択する認証情報データベース回路と、
前記認証情報データベース回路からの認証情報を基に、予め定められた認証プロトコルを遂行する認証遂行回路と、
前記認証遂行回路からの認証情報を前記基地局側RF受信器にRF無線で送信する端末側RF送信器と、
を備える無線通信システム。
【請求項2】
前記光発生回路は、所定の強度の連続光を送出し、
前記連続光判定回路は、前記光受信器の受光した連続光の強度を判定し、
前記認証情報データベース回路は、前記連続光判定回路の判定した連続光の強度に対応する認証情報を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記光発生回路は、所定の波長で所定の強度の連続光を送出し、
前記連続光判定回路は、前記光受信器の受光した連続光の波長及び強度を判定し、
前記認証情報データベース回路は、前記連続光判定回路の判定した連続光の波長及び強度に対応する認証情報を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記光発生回路は、所定の複数の波長で所定の強度の連続光を送出し、
前記連続光判定回路は、前記光受信器の受光した連続光の複数の波長及び強度を判定し、
前記認証情報データベース回路は、前記連続光判定回路の判定した連続光の複数の波長及び強度に対応する認証情報を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記光発生回路は、所定のパターンで波長の変化する連続光を送出し、
前記連続光判定回路は、前記光受信器の受光した連続光の波長の変化するパターンを判定し、
前記認証情報データベース回路は、前記連続光判定回路の判定した連続光の波長の変化するパターンに対応する認証情報を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記連続光判定回路は、予め設定されたタイムスロット内で連続光の所定の特性を判定する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項7】
無線基地局装置が、
所定の特性の連続光を発生し、
発生した連続光のビーム形状を制御して空間に送出するステップと、
無線端末装置が、
送出された連続光を受光し、
受光した連続光の所定の特性を判定し、
判定に従って認証情報を選択し、
選択した認証情報を基に、予め定められた認証プロトコルを遂行し、
選択した認証情報を前記無線基地局装置にRF無線で送信するステップと、
前記無線基地局装置が、
前記無線端末装置からの認証情報をRF無線で受信し、
受信した認証情報を基に、予め定められた認証プロトコルに従って前記無線端末装置を認証すると、前記無線端末装置と上位ネットワークとの情報通信を許可するステップと、
を順に備える無線通信方法。
【請求項8】
空間からの連続光を受光する光受信器と、
前記光受信器の受光した連続光の所定の特性を判定する連続光判定回路と、
前記連続光判定回路の判定に従って認証情報を選択する認証情報データベース回路と、
前記認証情報データベース回路からの認証情報を基に、予め定められた認証プロトコルを遂行する認証遂行回路と、
前記認証遂行回路からの認証情報をRF無線で送信する端末側RF送信器と、
を備える無線端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線基地局装置と無線端末装置との間で、光無線を認証に利用して、RF(Radio Frequency)無線のチャネルを開通させる無線通信システム、無線通信方法及び無線端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
FTTH(Fiber-To-The-Home)やLTE(Long Term Evolution)を利用した高速インターネットサービスは、日常生活において必要不可欠なツールとなっている。特に近年では、クラウド利用の普及やモバイル端末の利用拡大に伴いIPデータ通信だけではなくIoT(Internet of Things)/M2M(Machine to Machine)、4K/8K高精細映像配信サービス、オンライン動画配信サービス、SNSによる動画アップロード等、多種多様なアプリケーションやサービスが急速に普及してきた。さらに、ICTを活用したテレワークなど新しいワークスタイルが提案されており、今後もネットワークを利用したサービス需要が拡大していくものと考えられる。現在ではFTTHの普及に伴い、宅内まで安定した光ブロードバンドサービスが提供されている一方で、宅内環境においてはPC以外のマルチデバイスの活用やケーブル配線の取り回しの観点、上記で述べたサービス多様化の背景から無線通信方式が主流となっている。
【0003】
無線通信システムは、周波数領域の観点から3THzを境界として大きく2つに大別できる。3THz以下の周波数帯は、電波領域と呼ばれLTEや5G等のセルラ系やアンライセンス帯を利用した無線LANが挙げられる。この領域は研究開発が活発であり、利用する周波数帯の拡張や、高周波数帯の利用により高スループット化が実現できる。
【0004】
一方で、3THz以上(30PHz以下)の周波数帯は光波領域と呼ばれ、赤外光あるいは可視光を利用するシステムや、近年では照明で利用されているLEDを高速変調させて送受信を行うLi-Fiが挙げられる。研究レベルでは、インコヒーレント光であるLEDによるWDM(Wavelength Division Multiplexing)と、8PAMを用いた1m/4Gbpsの伝送実験や、コヒーレント光を用いた50GHz間隔の8波長DWDM(Dense WDM)による50m/320Gbpsの報告が挙げられる(非特許文献1、2)。
【0005】
電波領域や光波領域の無線通信システムは、利用する周波数帯の違いによって異なる特性を持つ。例えば、光波領域の無線通信システムは、指向性が極めて高いことから、カバレッジエリアが狭くなる。電波領域の無線通信システムは、電波の回折、透過特性から、カバレッジエリアが広くなる。これらの無線通信システムは、カバレッジエリア特性が対となっていることから、通信エリアの限定、通信の安全性、通信の安定性などの観点で互いの特性を補完する電波領域と光波領域のハイブリッド型の無線通信システムが考えられる。
【0006】
このようなシステムは、既に提案がなされており、例えば、特許文献1の発明は、エンドユーザのWi-Fi通信の利便性向上を図り、特定エリアのみでのWi-Fi通信を可能にする可視光通信とWi-Fi通信のハイブリッド型の無線通信システムである。無線基地局装置から可視光通信を通して無線端末装置へSSID(Service Set IDentifier)、パスワード/PMK(Pairwise Master Key)、BSSID(Basuic SSID)、ESSID(Extended SSID)、channelなどのネットワークにアクセスするための認証情報を送り、無線端末装置に搭載された光検出器によって認証情報を受信し、受信した認証情報を基に、無線基地局装置と無線端末装置との間のWi-Fi通信を介して認証サーバが認証を行い、通信を確立する方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Mengjie Zhang; Meng Shi; Fumin Wang; Jiaqi Zhao; Yingjun Zhou; Zhixin Wang; Nan Chi, ‘4.05-Gb/S RGB LED-based VLC system utilizing PS-Manchester coded Nyquist PAM-8 modulation and hybrid time-frequency domain equalization’, W2A.42, Proc OFC2017
【文献】Wen-Shing Tsai; Hai-Han Lu; Chung-Yi Li; Ting-Chieh Lu; Hung-Hsien Lin; Bo-Rui Chen; Chang-Jen Wu, ‘A 50m/320 Gbps DWDM FSO communication’, 2016 IEEE Photonics Conference (IPC), p. 43-44
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1では、無線基地局装置に配置された可視光源がSSIDやパスワードなどの認証情報を光変調信号に載せて送信している。SSIDやパスワードなどの認証情報を送信するための光変調には、変調用のドライバ回路を介して認証情報である電気信号を電流駆動する直接変調する方法と、外部変調器と呼ばれる光デバイスにより光の物理量(強度、位相など)を変化させて変調する方法が挙げられる。いずれも変調回路や外部変調器の分だけコスト増となり、経済的なシステムとは言えない。また、無線端末装置は、受信した光変調信号を復調する復調回路が必要となり、経済的なシステムとは言えない。
【0010】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、電波領域を使用するRF無線と光波領域を使用する光無線の互いの特性を補完するRF/光無線ハイブリッド型の無線通信システムとし、通信エリアの限定、通信の安全性、通信の安定性を確保することを目的とする。さらに、本開示は、簡易な構成の無線基地局装置や無線端末装置を備える無線通信システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、上記課題を解決するものであって、無線基地局装置が無線端末装置へ所定の特性の連続光を送出し、無線端末装置は所定の特性に対応した認証情報を選択して、無線基地局装置へ認証情報をRF無線で送信する。無線基地局装置は、受信した認証情報が所定の特性に対応した認証情報と一致していることを確認すると、無線端末装置と上位ネットワークとの情報通信を許可する。
【0012】
本開示に係る無線通信システムは、
無線基地局装置と、
前記無線基地局装置からの連続光を認証に利用して、前記無線基地局装置との間でRF無線通信する無線端末装置と、
を備え、
前記無線基地局装置は、
所定の特性の連続光を発生する光発生回路と、
前記光発生回路からの連続光のビーム形状を制御して空間に送出するビーム制御器と、
前記無線端末装置からの認証情報をRF無線で受信する基地局側RF受信器と、
前記基地局側RF受信器からの認証情報を基に、予め定められた認証プロトコルに従って前記無線端末装置を認証すると、前記無線端末装置と上位ネットワークとの情報通信を許可する認証制御回路と、
を備え、
前記無線端末装置は、
前記ビーム制御器からの連続光を受光する光受信器と、
前記光受信器の受光した連続光の所定の特性を判定する連続光判定回路と、
前記連続光判定回路の判定に従って認証情報を選択する認証情報データベース回路と、
前記認証情報データベース回路からの認証情報を基に、予め定められた認証プロトコルを遂行する認証遂行回路と、
前記認証遂行回路からの認証情報を前記基地局側RF受信器にRF無線で送信する端末側RF送信器と、
を備える。
【0013】
本開示に係る無線通信方法は、
無線基地局装置が、
所定の特性の連続光を発生し、
発生した連続光のビーム形状を制御して空間に送出するステップと、
無線端末装置が、
送出された連続光を受光し、
受光した連続光の所定の特性を判定し、
判定に従って認証情報を選択し、
選択した認証情報を基に、予め定められた認証プロトコルを遂行し、
選択した認証情報を前記無線基地局装置にRF無線で送信するステップと、
前記無線基地局装置が、
前記無線端末装置からの認証情報をRF無線で受信し、
受信した認証情報を基に、予め定められた認証プロトコルに従って前記無線端末装置を認証すると、前記無線端末装置と上位ネットワークとの情報通信を許可するステップと、
を順に備える。
【0014】
本開示に係る無線端末装置は、
空間からの連続光を受光する光受信器と、
前記光受信器の受光した連続光の所定の特性を判定する連続光判定回路と、
前記連続光判定回路の判定に従って認証情報を選択する認証情報データベース回路と、
前記認証情報データベース回路からの認証情報を基に、予め定められた認証プロトコルを遂行する認証遂行回路と、
前記認証遂行回路からの認証情報をRF無線で送信する端末側RF送信器と、
を備える。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る無線通信システム、無線通信方法及び無線端末装置は、光無線及びRF無線の特性を利用して通信エリアの限定、通信の安全性、通信の安定性や図り、さらに、簡易な構成の無線基地局装置や無線端末装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示に係る無線通信システム構成例である。
【
図2】本開示に係る光発生回路の発生する連続光の特性と認証情報との対応の一例を示す。
【
図3】本開示に係る光発生回路の発生する連続光の特性と認証情報との対応の一例を示す。
【
図4】本開示に係る光発生回路の発生する連続光の特性と認証情報との対応の一例を示す。
【
図5】本開示に係る光発生回路の発生する連続光の特性と認証情報との対応の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0018】
本開示の実施の例を以下に示す。
本実施形態に係る無線通信システムの構成例を
図1に示す。本実施形態の無線通信システム100は、無線基地局装置10と、無線基地局装置10からの連続光を認証に利用して、無線基地局装置10との間でRF無線通信する無線端末装置20と、を備える。
【0019】
無線基地局装置10は、所定の特性の連続光を発生する光発生回路11と、光発生回路11からの連続光のビーム形状を制御して空間に送出するビーム制御器12と、無線端末装置20からの認証情報をRF無線で受信する基地局側RF受信器13と、基地局側RF受信器13からの認証情報を基に、予め定められた認証プロトコルに従って無線端末装置20を認証すると、無線端末装置20と上位ネットワーク30との情報通信を許可する認証制御回路14と、を備える。
【0020】
無線端末装置20は、ビーム制御器12からの連続光を受光する光受信器21と、光受信器21の受光した連続光の所定の特性を判定する連続光判定回路22と、連続光判定回路22の判定に従って認証情報を選択する認証情報データベース回路23と、認証情報データベース回路23からの認証情報を基に、予め定められた認証プロトコルを遂行する認証遂行回路24と、認証遂行回路24からの認証情報を基地局側RF受信器13にRF無線で送信する端末側RF送信器25と、を備える。
【0021】
本実施形態に係る無線通信方法では、無線基地局装置10が、所定の特性の連続光を発生し、発生した連続光のビーム形状を制御して空間に送出するステップと、無線端末装置20が、送出された連続光を受光し、受光した連続光の所定の特性を判定し、判定に従って認証情報を選択し、選択した認証情報を基に、予め定められた認証プロトコルを遂行し、選択した認証情報を前記無線基地局装置にRF無線で送信するステップと、無線基地局装置10が、無線端末装置20からの認証情報をRF無線で受信し、受信した認証情報を基に、予め定められた認証プロトコルに従って無線端末装置20を認証すると、無線端末装置20と上位ネットワーク30との情報通信を許可するステップと、を順に備える。
【0022】
以下、
図1を利用して無線通信システムの動作を説明する。
光発生回路11は所定の特性の連続光を発生する。連続光とは、本実施形態では、変調されていない光を意味する。端末側RF送信器25の変調速度に比較して十分に遅い強度変化や波長変化は、本実施形態でいう連続光に含まれる。連続光であれば、高速の変調回路や外部変調器を不要とし、簡易な構成の無線基地局装置を実現することができる。
【0023】
光発生回路11の発生する光の波長は、光波領域の波長であればよい。好ましくは、200nm以上350nm以下の紫外領域の波長、又は、700nm以上2500nm以下の近赤外領域の波長である。光発生回路11の発生する光の波長を通常の照明用光源の波長と重ならない波長とすることにより、光受信器21が照明用光源から受ける影響を軽減することができる。
【0024】
ビーム制御器12は、光発生回路11からの連続光のビーム形状を整形して、本無線通信システムの通信可能なエリアを設定する。光波の直線性を利用して、通信エリアの限定、通信の安全性を確保することができる。ビーム形状の整形には、反射板や透明な屈折率体を利用することができる。
【0025】
光受信器21は、ビーム制御器12からの光ビームを受光して電気信号に変換する。受光には、光発生回路11の発生する光の波長に合わせて受光素子を選択すればよい。無線端末装置20が、ビーム制御器12の設定する通信可能なエリア内にあるときに限って、光受信器21は、ビーム制御器12からの連続光を受光することができる。連続光の受光には、高速の復調回路が不要なため、簡易な構成の無線端末装置を実現することができる。受光素子の受光面積、光から電流又は電圧への受光素子の光電変換効率、受光素子の光ビームに対する傾斜等から連続光の強度を算出してもよい。さらに、受光素子の受光面積、受光素子の光ビームに対する傾斜等を利用して、連続光の強度から照射面の照度を算出してもよい。光受信器21が特定の波長の光を受光するには、特定の波長の光を反射又は透過させるフィルタで波長選択してもよい。
【0026】
連続光判定回路22は、光受信器21の受光した連続光の有する所定の特性を判定する。特性には、連続光の強度や波長などが含まれる。強度や波長から、予め定められたうちのいずれの特性であるかを判定する。
【0027】
認証情報データベース回路23は、連続光の有する所定の特性とそれに対応する認証情報との対応表を認証情報データベースとして保有し、認証情報データベースを参照して連続光判定回路22の判定した特性に合致する認証情報を選択する。さらに、認証情報データベース回路23は選択したい認証情報を認証遂行回路24に出力する。認証遂行回路24は、予め定められた認証プロトコルを遂行し、端末側RF送信器25を介して無線基地局装置10に認証情報を送信する。認証プロトコルとしては、IEEE802.11やWi-Fi Allianceの策定したプロトコルが例示できる。
【0028】
端末側RF送信器25は、RF無線を利用して認証情報を含んだ認証プロトコルの遂行に必要な情報を送信する。認証情報の送信や認証後の情報通信に電波の拡散性を利用して、通信の安定性を確保することができる。
【0029】
基地局側RF受信器13は、端末側RF送信器25からの認証情報をRF無線で受信し、認証制御回路14に出力する。認証制御回路14は、基地局側RF受信器13からの認証情報を基に、予め定められた認証プロトコルに従って無線端末装置20を認証する。認証プロトコルとしては、IEEE802.11やWi-Fi Allianceの策定したプロトコルが例示できる。光発生回路11の発生した連続光の特性に対応する認証情報と基地局側RF受信器13からの認証情報とが一致すれば、認証制御回路14は、無線端末装置20と上位ネットワーク30との情報通信を許可する。認証遂行回路24と認証制御回路14との間では、Wi-Fi通信等の通信の開始、維持に必要な認証プロトコルを遂行する。RF/光無線ハイブリッド型の無線通信システムとすることにより、通信の安全性を確保することができる。認証後の情報通信のために、無線端末装置20は端末側RF受信器を、無線基地局装置10は基地局側RF送信器をさらに備えてもよい。
【0030】
光発生回路11は、所定の特性を固定的としてもよいし、可変にしてもよい。可変とする場合は、認証制御回路14が、無線端末装置20と同様に認証情報データベースを備え、認証情報に対応する連続光の特性を選択し、選択した連続光の特性を光発生回路11に出力し、光発生回路11が所定の特性の連続光を発生する。
【0031】
連続光判定回路22は、情報通信の開始時に判定動作することが望ましい。通信の安全性を確保するためである。また、判定動作の後に光無線が切断されても、無線基地局装置10と無線端末装置20との間で、安定してRF無線で情報通信することができる。連続光判定回路22は、定期的又は常時、判定動作をしてもよい。無線端末装置20が、ビーム制御器12からのビーム外に移動したときに、情報通信を遮断することによって通信の安全性の確保が容易になる。連続光判定回路22は、予め設定されたタイムスロット内、例えば、10秒間の間だけ判定動作してもよい。時間を限ることにより、通信の安全性の確保が容易になる。
【0032】
本開示の他の実施の例を以下に示す。
本開示に係る光発生回路の発生する連続光の特性と認証情報との対応の一例を
図2に示す。本実施形態の無線通信システムでは、光発生回路11は、所定の強度の連続光を送出し、連続光判定回路22は、光受信器21の受光した連続光の強度を判定する。認証情報データベース回路23は、連続光判定回路の判定した連続光の強度に対応する認証情報を選択する。
【0033】
連続光判定回路22は、光発生回路11の発生する連続光の出力、ビーム制御器12からの連続光の照度、光受信器21の受光面積、光受信器21の受光効率等を考慮して、連続光の強度を判定してもよい。以下の実施形態でも同様である。
【0034】
図2では、認証情報としてSSIDとパスワードを例としている。連続光判定回路22は、光受信器21の受光した連続光の強度が
図2に示したどの強度か判定する。例えば、連続光判定回路22が強度はLより大きく、M以下と判定したときは、認証情報データベース回路23はSSIDとして“AAAAA”、パスワードとして“aaaa”を選択する。連続光判定回路22が強度はMより大きく、N以下と判定したときは、認証情報データベース回路23はSSIDとして“BBBBB”、パスワードとして“bbbb”を選択する。認証情報データベース回路23は、選択したSSIDとパスワードを認証情報として認証遂行回路24に出力する。認証遂行回路24は認証制御回路14との間で認証プロトコルを遂行する。
【0035】
図2では、「強度はLより大きく、M以下」としているが、「強度はM以下」と判定することでもよい。又、「強度はMより大きく、N以下」としているが、「強度はMより大きい」と判定することでもよい。
【0036】
図2では、認証情報として、SSIDとパスワードを列挙しているが、これらに代わって又はこれらと共にPMK(Pairwise Master Key)、BSSID(Basuic SSID)、ESSID(Extended SSID)、channelであってもよい。以下の実施形態でも同様である。
【0037】
認証制御回路14は、光発生回路11の送出した連続光の強度に対応した認証情報と基地局側RF受信器13の出力する認証情報とが一致していれば、無線端末装置20を認証し、無線端末装置20と上位ネットワーク30との情報通信を許可する。
【0038】
本実施形態によれば、簡易な構成の光発生回路、連続光判定回路を実現することができる。
【0039】
本開示の他の実施の例を以下に示す。
本開示に係る光発生回路の発生する連続光の特性と認証情報との対応の一例を
図3に示す。本実施形態の無線通信システムでは、光発生回路11は、所定の波長で所定の強度の連続光を送出し、連続光判定回路22は、光受信器21の受光した連続光の波長及び強度を判定する。認証情報データベース回路23は、連続光判定回路の判定した連続光の波長及び強度に対応する認証情報を選択する。
【0040】
図3では、認証情報としてSSIDとパスワードを例としている。連続光判定回路22は、光受信器21の受光した連続光の強度が
図2に示した波長及びその波長での強度を判定する。例えば、連続光判定回路22が波長300nmにおいて強度はPより大きいと判定したときは、認証情報データベース回路23はSSIDとして“CCCCC”、パスワードとして“cccc”を選択する。連続光判定回路22が波長900nmにおいて強度はQより大きいと判定したときは、認証情報データベース回路23はSSIDとして“DDDDD”、パスワードとして“dddd”を選択する。認証情報データベース回路23は、選択したSSIDとパスワードを認証情報として認証遂行回路24に出力する。認証遂行回路24は認証制御回路14との間で認証プロトコルを遂行する。
【0041】
図3では、「強度はPより大きい」としているが、「強度はP1大きくP2以下」と判定することでもよい。また、「強度はQより大きい」としているが、「強度はQ1大きくQ2以下」と判定することでもよい。
【0042】
図3では、300nm、900nmの波長を例としているが、200nm以上350nm以下の紫外領域の波長、又は、700nm以上2500nm以下の近赤外領域の波長が望ましい。光発生回路11の発生する光の波長を通常の照明用光源の波長と重ならない波長とすることにより、光受信器21が照明用光源から受ける影響を軽減することができる。あるいは、可視光の波長であってもよい。目視での確認が容易となる。
【0043】
認証制御回路14は、光発生回路11の送出した連続光の波長及び強度に対応した認証情報と基地局側RF受信器13の出力する認証情報とが一致していれば、無線端末装置20を認証し、無線端末装置20と上位ネットワーク30との情報通信を許可する。
【0044】
本実施形態によれば、簡易な構成で認証精度のよい光発生回路、連続光判定回路を実現することができる。
【0045】
本開示の他の実施の例を以下に示す。
本開示に係る光発生回路の発生する連続光の特性と認証情報との対応の一例を
図4に示す。本実施形態の無線通信システムでは、光発生回路11は、所定の複数の波長で所定の強度の連続光を送出し、連続光判定回路22は、光受信器21の受光した連続光の複数の波長及び強度を判定する。認証情報データベース回路23は、連続光判定回路の判定した連続光の複数の波長及び強度に対応する認証情報を選択する。
【0046】
図4では、認証情報としてSSIDとパスワードを例としている。連続光判定回路22は、光受信器21の受光した連続光の強度が
図4に示した複数の波長及びそれらの波長での強度の組合せを判定する。例えば、連続光判定回路22が波長450nmにおいて強度はR1より大きく、R2以下、波長550nmにおいて強度はS1より大きくS2以下、波長630nmにおいて強度はT1より大きく、T2以下と判定したときは、認証情報データベース回路23はSSIDとして“EEEEE”、パスワードとして“eeee”を選択する。連続光判定回路22が波長450nmにおいて強度はU1より大きく、U2以下、波長550nmにおいて強度はV1より大きくV2以下、波長630nmにおいて強度はW1より大きく、W2以下と判定したときは、認証情報データベース回路23はSSIDとして“FFFFF”、パスワードとして“ffff”を選択する。認証情報データベース回路23は、選択したSSIDとパスワードを認証情報として認証遂行回路24に出力する。認証遂行回路24は認証制御回路14との間で認証プロトコルを遂行する。
【0047】
図4では、可視光の波長を例としているが、200nm以上350nm以下の紫外領域の波長、又は、700nm以上2500nm以下の近赤外領域の波長が望ましい。光発生回路11の発生する光の波長を通常の照明用光源の波長と重ならない波長とすることにより、光受信器21が照明用光源から受ける影響を軽減することができる。
【0048】
図4では、「強度はR1より大きく、R2以下」としているが、「強度はR1より大きい」と判定することでもよい。又は、「強度はR2以下」と判定することでもよい。他のスペクトル強度についても同様である。
【0049】
認証制御回路14は、光発生回路11の送出した連続光の複数の波長及び強度に対応した認証情報と基地局側RF受信器13の出力する認証情報とが一致していれば、無線端末装置20を認証し、無線端末装置20と上位ネットワーク30との情報通信を許可する。
【0050】
本実施形態によれば、簡易な構成で認証精度のよい光発生回路、連続光判定回路を実現することができる。
【0051】
本開示の他の実施の例を以下に示す。
本開示に係る光発生回路の発生する連続光の特性と認証情報との対応の一例を
図5に示す。本実施形態の無線通信システムでは、光発生回路11は、所定のパターンで波長の変化する連続光を送出し、連続光判定回路22は、光受信器21の受光した連続光の波長の変化するパターンを判定する。認証情報データベース回路23は、連続光判定回路の判定した連続光の波長の変化するパターンに対応する認証情報を選択する。
【0052】
図5では、認証情報としてSSIDとパスワードを例としている。連続光判定回路22は、光受信器21の受光した連続光の波長が
図5に示したどのパターンで変化するか判定する。例えば、連続光判定回路22が連続光の波長が630nm、450nm、550nm、450nm、550nmと変化していると判定したときは、認証情報データベース回路23はSSIDとして“JJJJJ”、パスワードとして“jjjj”を選択する。連続光判定回路22が連続光の波長が630nm、550nm、450nm、630nm、550nmと変化していると判定したときは、認証情報データベース回路23はSSIDとして“KKKKK”、パスワードとして“kkkk”を選択する。認証情報データベース回路23は、選択したSSIDとパスワードを認証情報として認証遂行回路24に出力する。認証遂行回路24は認証制御回路14との間で認証プロトコルを遂行する。
【0053】
図5では、可視光の波長を例としているが、200nm以上350nm以下の紫外領域の波長、又は、700nm以上2500nm以下の近赤外領域の波長としてもよい。光発生回路11の発生する光の波長を通常の照明用光源の波長と重ならない波長とすることにより、光受信器21が照明用光源から受ける影響を軽減することができる。
【0054】
認証制御回路14は、光発生回路11の送出した連続光の波長の変化するパターンに対応した認証情報と基地局側RF受信器13の出力する認証情報とが一致していれば、無線端末装置20を認証し、無線端末装置20と上位ネットワーク30との情報通信を許可する。
【0055】
本実施形態によれば、簡易な構成で認証精度のよい光発生回路、連続光判定回路を実現することができる。
【0056】
本発明の装置の一部、例えば、連続光判定回路22、認証情報データベース回路23、認証遂行回路24、認証制御回路14は、コンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
10:無線基地局装置
11: 光発生回路
12:ビーム制御器
13:基地局側RF受信器
14:認証制御回路
20:無線端末装置
21:光受信器
22:連続光判定回路
23:認証情報データベース回路
24:認証遂行回路
25:端末側RF送信器
100:無線通信システム