(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】生コンクリートの出荷量調整システム、及び生コンクリートの出荷量調整方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20221129BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20221129BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20221129BHJP
G16Y 10/25 20200101ALI20221129BHJP
G16Y 10/30 20200101ALI20221129BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20221129BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20221129BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20221129BHJP
【FI】
G06Q10/00
G06Q50/04
G06Q50/08
G16Y10/25
G16Y10/30
G16Y20/20
G16Y40/20
G16Y40/30
(21)【出願番号】P 2021116537
(22)【出願日】2021-07-14
【審査請求日】2021-08-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520233571
【氏名又は名称】塚本建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小堺 規行
(72)【発明者】
【氏名】小田部 裕一
(72)【発明者】
【氏名】本田 和也
(72)【発明者】
【氏名】中西 縁
(72)【発明者】
【氏名】塚本 利武
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-326716(JP,A)
【文献】特開2003-246458(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0275425(US,A1)
【文献】特開平04-097072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16Y 10/25
G16Y 10/30
G16Y 20/20
G16Y 40/20
G16Y 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現場の工事計画ごとに作成される工事計画情報であって、現場での作業工程を示す工程情報を含む工事計画情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段が取得した前記工程情報に生コンクリートの打設工程を示す打設工程情報であって、生コンクリートの打設工期を示す打設工期情報、及び前記打設工期情報に関連付けられ且つ前記打設工期情報が示す前記打設工期における生コンクリートの打設量を示す打設量情報を含む打設工程情報であるものが含まれている場合に、前記現場に生コンクリートを出荷する生コンの出荷工場ごとに作成される工場別出荷量管理情報であって、生コンクリートの出荷時期を示す管理用出荷時期情報、及び前記管理用出荷時期情報に関連付けられ且つ前記出荷時期における生コンクリートの出荷量を示す管理用出荷量情報を含む工場別出荷量管理情報に対して、前記打設工期情報が示す時期に該当する前記管理用出荷時期情報に関連付けられている前記管理用出荷量情報に前記打設量情報が示す生コンクリートの打設量に相当する量の出荷量を加算する出荷量登録処理を実行する出荷量登録手段と、
前記出荷量登録手段が前記出荷量登録処理を実行した後において、前記工場別出荷量管理情報に基づいて生コンクリートの出荷量を調整する出荷量調整処理を実行する出荷量調整手段と、を備え、
前記出荷量調整手段は、前記出荷量調整処理において、前記出荷量登録処理で出荷量が加算された前記管理用出荷量情報が、前記生コンの出荷工場で許容される出荷量を示す出荷量許容値を超えている場合に、前記管理用出荷量情報が示す前記出荷量を他の生コンの出荷工場に割り当てる出荷量調整処理を実行するように構成される、
生コンクリートの出荷量調整システム。
【請求項2】
前記打設工期情報が変更される場合に、変更前の前記打設工期情報が示す時期に該当する出荷時期情報に関連付けられている前記工場別出荷量管理情報から前記出荷量を減算し、変更後の前記打設工期情報が示す時期に該当する出荷時期情報に関連付けられている工場別出荷量管理情報に前記出荷量を加算する出荷量変更処理を実行する出荷量変更手段を備え、
前記出荷量調整手段は、前記出荷量変更手段が前記変更処理を実行した後においても、前記調整処理を実行するように構成される、
請求項1に記載の生コンクリートの出荷量調整システム。
【請求項3】
現場の工事計画ごとに作成される工事計画情報であって、現場での作業工程を示す工程情報を含む工事計画情報を取得し、
取得した前記工程情報に生コンクリートの打設工程を示す打設工程情報であって、生コンクリートの打設工期を示す打設工期情報、及び前記打設工期情報に関連付けられ且つ前記打設工期情報が示す前記打設工期における生コンクリートの打設量を示す打設量情報を含む打設工程情報であるものが含まれている場合に、前記現場に生コンクリートを出荷する生コンの出荷工場ごとに作成される工場別出荷量管理情報であって、生コンクリートの出荷時期を示す管理用出荷時期情報、及び前記管理用出荷時期情報に関連付けられ且つ前記出荷時期における生コンクリートの出荷量を示す管理用出荷量情報を含む工場別出荷量管理情報に対して、前記打設工期情報が示す時期に該当する前記管理用出荷時期情報に関連付けられている前記管理用出荷量情報に前記打設量情報が示す生コンクリートの打設量に相当する量の出荷量を加算する出荷量登録処理を実行し、
前記出荷量登録処理を実行した後において、前記工場別出荷量管理情報に基づいて生コンクリートの出荷量を調整する出荷量調整処理を実行し、
前記出荷量調整処理においては、前記出荷量登録処理で出荷量が加算された前記管理用出荷量情報が、前記生コンの出荷工場で許容される出荷量を示す出荷量許容値を超えている場合に、前記管理用出荷量情報が示す前記出荷量を他の生コンの出荷工場に割り当てる出荷量調整処理を実行する、
生コンクリートの出荷量調整方法。
【請求項4】
前記打設工期情報が変更される場合に、変更前の前記打設工期情報が示す時期に該当する出荷時期情報に関連付けられている前記工場別出荷量管理情報から前記出荷量を減算し、変更後の前記打設工期情報が示す時期に該当する出荷時期情報に関連付けられている工場別出荷量管理情報に前記出荷量を加算する出荷量変更処理を実行し、
前記変更処理を実行した後においても、前記調整処理を実行するように構成される、
請求項3に記載の生コンクリートの出荷量調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生コンクリートの出荷工場の出荷量を調整するための生コンクリートの出荷量調整システム、及び生コンクリートの出荷量調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生コンクリートの製造者と、販売者及び消費者との間において、製造者への生コンクリートの注文や、製造者から消費者への生コンクリートの納入に関する業務を支援するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかるシステムでは、インターネットを介して販売者及び消費者がインターネットを介して、生コンクリートの予定注文及び予定照会ができるため、製造者、販売者、消費者の間で電話等の手段を用いて生コンクリートの注文や納入を行っていた場合に比べて生コンクリートの注文から納入までの業務を効率よく進めることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、製造者への注文内容に含まれる納入時期や納入量は現場の工事計画に応じて決まり、場合によっては複数の製造者のうちの一部の製造者に注文が集中してしまうことがある。そして、複数の製造者の間で注文の量(生コンクリートの出荷量)の差が大きくなると、生コンクリートを出荷する能力に余裕のある製造者が存在していても、一部の製造者のみに負荷がかかり、生コンクリートを効率良く出荷できないことがあった。
【0006】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、現場の工事計画に関する情報に基づいて出荷工場間の生コンクリートの出荷量の差を抑えることができる生コンクリートの出荷量調整システム、及び生コンクリートの出荷量調整方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の生コンクリートの出荷量調整システムは、
現場の工事計画ごとに作成される工事計画情報であって、現場での作業工程を示す工程情報を含む工事計画情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段が取得した前記工程情報に生コンクリートの打設工程を示す打設工程情報であって、生コンクリートの打設工期を示す打設工期情報、及び前記打設工期情報に関連付けられ且つ前記打設工期情報が示す前記打設工期における生コンクリートの打設量を示す打設量情報を含む打設工程情報であるものが含まれている場合に、前記現場に生コンクリートを出荷する工場ごとに作成される工場別出荷量管理情報であって、生コンクリートの出荷時期を示す管理用出荷時期情報、及び前記管理用出荷時期情報に関連付けられ且つ前記出荷時期における生コンクリートの出荷量を示す管理用出荷量情報を含む工場別出荷量管理情報に対して、前記打設工期情報が示す時期に該当する前記管理用出荷時期情報に関連付けられている前記管理用出荷量情報に前記打設量情報が示す生コンクリートの打設量に相当する量の出荷量を加算する出荷量登録処理を実行する出荷量登録手段と、
前記出荷量登録手段が前記出荷量登録処理を実行した後において、前記工場別出荷量管理情報に基づいて生コンクリートの出荷量を調整する出荷量調整処理を実行する出荷量調整手段と、を備え、
前記出荷量調整手段は、前記出荷量調整処理において、前記出荷量登録処理で出荷量が加算された前記管理用出荷量情報が、前記工場で許容される出荷量を示す出荷量許容値を超えている場合に、前記管理用出荷量情報が示す前記出荷量を他の工場に割り当てる出荷量調整処理を実行するように構成される。
【0008】
上記構成の生コンクリートの出荷量調整システムでは、生コンクリートの打設工程を含む工事計画に応じた生コンクリートの出荷予定(出荷時期と出荷量)を把握でき、特定の工場に生コンクリートの出荷量が集中している場合は、他の工場に生コンクリートの出荷量を割り当てることができるため、現場の工事計画に関する情報に基づいて出荷工場間の生コンクリートの出荷量の差を抑えることができる。
【0009】
本発明の生コンクリートの出荷量調整システムにおいて、
前記打設工期情報が変更される場合に、変更前の前記打設工期情報が示す時期に該当する出荷時期情報に関連付けられている前記工場別出荷量管理情報から前記出荷量を減算し、変更後の前記打設工期情報が示す時期に該当する出荷時期情報に関連付けられている工場別出荷量管理情報に前記出荷量を加算する出荷量変更処理を実行する出荷量変更手段を備え、
前記出荷量調整手段は、前記出荷量変更手段が前記変更処理を実行した後においても、前記調整処理を実行するように構成される、ようにしてもよい。
【0010】
上記構成の生コンクリートの出荷量調整システムによれば、生コンクリートの打設工程の工期に変更が生じた場合であっても、変更後の打設工程の予定に合わせて生コンクリートの出荷予定(出荷時期と出荷量)を把握でき、特定の工場に生コンクリートの出荷量が集中している場合は、他の工場に生コンクリートの出荷量を割り当てることによって、出荷工場間の生コンクリートの出荷量の差を抑えることができる。
【0011】
本発明の生コンクリートの出荷量調整方法は、
現場の工事計画ごとに作成される工事計画情報であって、現場での作業工程を示す工程情報を含む工事計画情報を取得し、
前記情報取得手段が取得した前記工程情報に生コンクリートの打設工程を示す打設工程情報であって、生コンクリートの打設工期を示す打設工期情報、及び前記打設工期情報に関連付けられ且つ前記打設工期情報が示す前記打設工期における生コンクリートの打設量を示す打設量情報を含む打設工程情報であるものが含まれている場合に、前記現場に生コンクリートを出荷する工場ごとに作成される工場別出荷量管理情報であって、生コンクリートの出荷時期を示す管理用出荷時期情報、及び前記管理用出荷時期情報に関連付けられ且つ前記出荷時期における生コンクリートの出荷量を示す管理用出荷量情報を含む工場別出荷量管理情報に対して、前記打設工期情報が示す時期に該当する前記管理用出荷時期情報に関連付けられている前記管理用出荷量情報に前記打設量情報が示す生コンクリートの打設量に相当する量の出荷量を加算する出荷量登録処理を実行し、
前記出荷量登録手段が前記出荷量登録処理を実行した後において、前記工場別出荷量管理情報に基づいて生コンクリートの出荷量を調整する出荷量調整処理を実行し、
前記出荷量調整処理においては、前記出荷量登録処理で出荷量が加算された前記管理用出荷量情報が、前記工場で許容される出荷量を示す出荷量許容値を超えている場合に、前記管理用出荷量情報が示す前記出荷量を他の工場に割り当てる出荷量調整処理を実行する、
生コンクリートの出荷量調整方法。
【0012】
上記構成の生コンクリートの出荷量調整方法においても、生コンクリートの打設工程を含む工事計画に応じた生コンクリートの出荷予定(出荷時期と出荷量)を把握でき、特定の工場に生コンクリートの出荷量が集中している場合は、他の工場に生コンクリートの出荷量を割り当てることができるため、現場の工事計画に関する情報に基づいて出荷工場間の生コンクリートの出荷量の差を抑えることができる。
【0013】
また、本発明の生コンクリートの出荷量調整方法において、
前記打設工期情報が変更される場合に、変更前の前記打設工期情報が示す時期に該当する出荷時期情報に関連付けられている前記工場別出荷量管理情報から前記出荷量を減算し、変更後の前記打設工期情報が示す時期に該当する出荷時期情報に関連付けられている工場別出荷量管理情報に前記出荷量を加算する出荷量変更処理を実行し、
前記変更処理を実行した後においても、前記調整処理を実行するように構成される、ようにしてもよい。
【0014】
上記構成の生コンクリートの出荷量調整方法においても、生コンクリートの打設工程の工期に変更が生じた場合であっても、変更後の打設工程の予定に合わせて生コンクリートの出荷予定(出荷時期と出荷量)を把握でき、特定の工場に生コンクリートの出荷量が集中している場合は、他の工場に生コンクリートの出荷量を割り当てることによって、出荷工場間の生コンクリートの出荷量の差を抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の生コンクリートの出荷量調整システム、及び生コンクリートの出荷量調整方法は、現場の工事計画に関する情報に基づいて出荷工場間の生コンクリートの出荷量の差を抑えることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る生コンクリートの出荷量調整システムの概要説明図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る生コンクリートの出荷量調整システムのブロック図である。
【
図3】
図3において、(a)は工事計画情報の説明図であり、(b)は工事計画変更情報の説明図である。
【
図4】
図4において、(a)は工場別管理用工事計画情報の説明図であり、(b)は工場別出荷量管理情報の説明図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係る生コンクリートの出荷量調整システムの管理用打設工程情報、及び管理用非打設工程情報の説明図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係る生コンクリートの出荷量調整システムの出荷予定登録処理が行われる際の動作説明図であって、(a)は管理用工事計画情報の説明図であり、(b)は出荷計画管理情報の説明図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係る生コンクリートの出荷量調整システムの予定変更処理が行われる際の動作説明図であって、(a)は管理用工事計画情報の説明図であり、(b)は出荷計画管理情報の説明図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係る生コンクリートの出荷量調整システムの情報取得手段が工事計画情報を取得した場合の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、同実施形態に係る生コンクリートの出荷量調整システムの情報取得手段が工事計画変更情報を取得した場合の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態にかかる生コンクリートの出荷量調整システム(以下、出荷量調整システムと称する)について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0018】
出荷量調整システム1は、
図1に示すように、現場Cに生コンクリートを出荷する複数の出荷工場Fを対象として、この複数の出荷工場F間の生コンクリートの出荷量を調整するように構成されている。
【0019】
また、本実施形態の出荷量調整システム1は、現場Cから工事計画に関する情報を取得し、この工事計画に関する情報に基づいて、各出荷工場Fの出荷量を調整するように構成されている。
【0020】
より具体的に説明すると、出荷量調整システム1は、
図2に示すように、現場Cの工事計画に関する情報を取得する情報取得手段2と、情報取得手段2が取得した現場Cの工事計画に関する情報に基づいて出荷工場Fの出荷量を管理する出荷量管理手段3と、情報を記憶する記憶手段4と、を備えている。
【0021】
情報取得手段2は、現場Cの工事計画を示す工事計画情報D1(
図3(a)参照)と、工事計画の変更内容を示す工事計画変更情報D2(
図3(b)参照)と、を取得可能である。工事計画変更情報D2は、例えば、現場Cでの作業に遅れが生じた際に現場Cから送信される情報であり、工事計画(後述する管理用工事計画情報Ma1)を変更するための情報である。
【0022】
工事計画情報D1は、
図3(a)に示すように、工程の種類(作業内容)を識別するための工程識別情報D100と、工期を示す工期情報D101と、を含む工程情報D10を有する。
【0023】
工程識別情報D100には、生コンクリートの打設工程を示す情報、又は生コンクリートの打設工程以外の工程を示す情報が設定される。
【0024】
本実施形態では、工程識別情報D100に生コンクリートの打設工程を示す情報が設定されている工程情報D10を打設工程情報D10と称し、工程識別情報D100に生コンクリートの打設工程以外の工程を示す情報が設定されている工程情報D10を非打設工程情報D10と称する。
【0025】
工程情報D10が打設工程情報D10である場合は、上記の工程識別情報D100、工期情報D101に加えて、工期情報D101が示す工期における生コンクリートの打設量を示す打設量情報D102が含まれる。打設工程情報D10は、生コンクリートの注文に相当する内容を示す情報である。
【0026】
工事計画変更情報D2は、
図3(b)に示すように、予定を変更する工程を示す工程指定情報D20と、変更後の作業期間を示す変更期間指定情報D21と、を有する。
【0027】
そのため、工事計画変更情報D2を参照すれば、工程指定情報D20が示す工程(後述の管理用工程識別情報Ma100)の工期(後述の管理用工期情報Ma101)を変更期間指定情報D21に基づいて変更できるようになっている。
【0028】
ここで、記憶手段4に記憶される情報を説明する。記憶手段4には、出荷工場Fごとに作成された工場別工事計画管理情報Ma(
図4(a)参照)と、出荷工場Fごとに作成された工場別出荷量管理情報Mb(
図4(b)参照)と、が記憶される。また、記憶手段4には、1つの工場に対して1つの工場別工事計画管理情報Maと1つの工場別予定管理情報とが一組にされた状態で記憶される。
【0029】
工場別工事計画管理情報Maは、
図4(a)に示すように、生コンクリートの出荷先となる現場Cの工事計画を示す管理用工事計画情報Ma1を有する。
【0030】
出荷工場Fが複数の現場Cに対して生コンクリートを出荷する予定をしている場合、工場別工事計画管理情報Maには、現場Cの数に応じた複数の管理用工事計画情報Ma1が含まれる。
【0031】
管理用工事計画情報Ma1は、
図5に示すように、工事計画情報D1と同様、工程の種類(作業内容)を識別するための管理用工程識別情報Ma100と、工期を示す管理用工期情報Ma101と、を含む管理用工程情報Ma10を有する。
【0032】
管理用工程識別情報Ma100には、生コンクリートの打設工程を示す情報、又は生コンクリートの打設工程以外の工程を示す情報が設定される。
【0033】
本実施形態では、管理用工程識別情報Ma100に生コンクリートの打設を示す情報が設定されている管理用工程情報Ma10を管理用打設工程情報Ma10と称し、管理用工程識別情報Ma100に生コンクリートの打設工程以外の工程を示す情報が設定されている管理用工程情報Ma10を管理用非打設工程情報Ma10と称する。
【0034】
また、管理用工程情報Ma10が管理用打設工程情報Ma10である場合は、上記の管理用工程識別情報Ma100、管理用工期情報Ma101に加えて、管理用工期情報Ma101が示す工期内における生コンクリートの打設量を示す管理用打設量情報Ma102が含まれる。そのため、管理用打設工程情報Ma10は、生コンクリートの注文に相当する情報として扱うこともできる。
【0035】
工場別出荷量管理情報Mbは、
図4(b)に示すように、所定の期間を示す複数の管理用出荷期間情報Mb20と、複数の管理用出荷期間情報Mb20のそれぞれに対して個別に関連付けられている管理用出荷量情報Mb21と、を有する。
【0036】
複数の管理用出荷期間情報Mb20は時系列順に連続的に並ぶように設定されている。なお、管理用出荷期間情報Mb20が示す期間の長さは年、月、週、日時等の単位で設定可能であり、期間の長さは任意に設定し得る。
【0037】
出荷量管理手段3は、
図2に示すように、情報取得手段2が取得した工事計画情報D1を管理用工事計画情報Ma1として登録する(記憶手段4に記憶する)工事予定登録手段30と、工事予定登録手段30で登録した管理用工事計画情報Ma1に基づいて工場別出荷量管理情報Mbを更新する出荷量更新手段31と、情報取得手段2が取得した工事予定変更情報に基づいて管理用工事計画情報Ma1を変更する工事予定変更手段32と、工事予定変更手段32で変更した後の管理用工事計画情報Ma1に基づいて工場別出荷量管理情報Mbを変更する出荷量変更手段33と、工場別出荷量管理情報Mbに基づいて生コンクリートの出荷量を調整する出荷量調整手段34と、を有する。
【0038】
工事予定登録手段30は、情報取得手段2が工事計画情報D1を取得した後に、該工事計画情報D1を新たな管理用工事計画情報Ma1として登録する(記憶手段4に記憶させる)処理(出荷予定登録処理)を実行するように構成されている。
図6(a)に図示している工場別工事計画管理情報Maは、
図4(a)の状態を基準として出荷予定登録処理が実行された後の状態を示したものである。
【0039】
出荷量更新手段31は、工事予定登録手段30の出荷予定登録処理に続き、管理用工事計画情報Ma1に含まれている打設工程情報D10に基づいて工場別出荷量管理情報Mbを更新する処理(出荷量登録処理)を実行するように構成されている。
【0040】
出荷量更新手段31は、出荷量登録処理において、
(1)新たに登録された管理用工事計画情報Ma1に含まれている管理用打設工程情報Ma10の管理用工期情報Ma101を参照し、
(2)該管理用工期情報Ma101が示す期間に該当する管理用出荷期間情報Mb20を選択し、
(3)該管理用出荷期間情報Mb20に関連付けられている管理用出荷量情報Mb21に管理用打設量情報Ma102が示す生コンクリートの量を加算する。
【0041】
図6(b)に図示している工場別出荷量管理情報Mbは、
図4(b)の状態を基準として出荷量登録処理が実行された後の状態を示したものである。
【0042】
工事予定変更手段32は、情報取得手段2が工事計画変更情報D2を取得すると、該工事計画変更情報D2に基づいて登録済みの管理用工事計画情報Ma1を変更する処理(予定変更処理)を実行するように構成されている。
図7(a)に図示している工場別工事計画管理情報Maは、
図4(a)の状態を基準として予定変更処理が実行された後の状態を示したものである。
【0043】
工事予定変更手段32は、出荷予定変更処理において、
(1)工事計画変更情報D2の工程指定情報D20を参照し、
(2)工程指定情報D20が示す工程に該当する管理用工程識別情報Ma100を有する管理用工程情報Ma10を選択し、
(3)管理用工程識別情報Ma100に関連付けられている管理用工期情報Ma101を変更期間指定情報D21が示す工期に変更する。
【0044】
なお、工事予定変更手段32は、管理用工期情報Ma101を変更した管理用工程情報Ma10に対して別の管理用工程情報Ma10が続いている場合(時系列順において後続する管理用工程情報Ma10がある場合)は、管理用工期情報Ma101を変更した管理用工程情報Ma10の後に並ぶ別の管理用工程情報Ma10の管理用工期情報Ma101も変更する。
【0045】
出荷量変更手段33は、出荷予定変更処理において変更された管理用打設工程情報Ma10がある場合、変更後の管理用打設工程情報Ma10に基づいて工場別出荷量管理情報Mbを変更する処理(出荷量変更処理)を実行するように構成されている。
【0046】
出荷量変更手段33は、出荷量変更処理において、
(1)管理用打設工程情報Ma10の変更前の管理用工期情報Ma101を参照し、
(2)工場別出荷量管理情報Mbの中から管理用工期情報Ma101に該当する期間の管理用出荷期間情報Mb20を選択し、
(3)該管理用出荷期間情報Mb20に関連付けられている管理用出荷量情報Mb21から管理用打設量情報Ma102が示す打設量を減算する。
【0047】
さらに、工事予定変更手段32は、
(4)管理用打設工程情報Ma10の変更後の管理用工期情報Ma101を参照し、
(5)工場別出荷量管理情報Mbの中から管理用工期情報Ma101に該当する期間の管理用出荷期間情報Mb20を選択し、
(6)該管理用出荷期間情報Mb20に関連付けられている管理用出荷量情報Mb21に管理用打設量情報Ma102が示す打設量を加算する。
【0048】
図7(b)に図示している工場別出荷量管理情報Mbは、
図4(b)の状態を基準として出荷量変更処理が実行された後の状態を示したものである。
【0049】
出荷量調整手段34は、
図6(b)や、
図7(b)に示すように、出荷量登録処理、又は出荷量変更処理が実行された際に、調整用閾値N(出荷量の調整を行うか否かの判定基準とする閾値であり、本実施形態では工場の出荷量許容値に対応する値に設定されている)を超えている管理用出荷量情報Mb21があれば、かかる管理用出荷量情報Mb21が示す出荷量を別の工場の工場別出荷量管理情報Mbに割り振る処理(出荷量調整処理)を実行するように構成されている。
【0050】
なお、別の工場の工場別出荷量管理情報Mbに割り当てる出荷量は、例えば、調整用閾値Nを超えた分量に相当する量であってもよいし、調整用閾値Nを超えた分量より多くてもよい。また、調整用閾値Nを超えた分よりも少ない量の出荷量を複数の別の工場に分散して割り当てることも可能である。
【0051】
出荷量調整手段34は、調整用閾値Nを超えている管理用出荷量情報Mb21に関連付けられている管理用出荷期間情報Mb20が示す期間内で出荷量を別の工場に割り当てるように構成されているため、現場Cへの生コンクリートの出荷予定や出荷量は維持されることになる。
【0052】
本実施形態に係る出荷量調整システム1の構成は、以上の通りである。続いて、出荷量調整システム1による生コンクリートの出荷量調整方法を説明する。
【0053】
本実施形態では、情報取得手段2が工事計画情報D1を取得した場合の動作と、情報取得手段2が工事計画変更情報D2を取得した場合の動作について説明する。
【0054】
工事計画情報D1は、例えば、工事が開始されるにあたり現場Cから送信される。
【0055】
生コンクリートの出荷量調整方法では、
図8に示すように、情報取得手段2が工事計画情報D1を取得すると(S1でYes)、工事予定登録手段30が出荷予定登録処理を実行する(S2)。これにより、工場別工事計画管理情報Maに新たな管理用工事計画情報Ma1が登録される。
【0056】
続いて、出荷量更新手段31が出荷量登録処理を実行する(S3)。これにより、管理用打設工程情報Ma10の管理用工期情報Ma101と管理用打設量情報Ma102に設定されている内容(すなわち、打設工程における工期と生コンクリートの打設量)が工場別出荷量管理情報Mbに反映される。
【0057】
そして、出荷量調整手段34が出荷量調整処理を実行する(S4)。出荷量調整手段34が出荷量調整処理を実行すると、各管理用出荷量情報Mb21のうち出荷量が調整用閾値Nを超えているものがあれば、かかる管理用出荷量情報Mb21が示す出荷量が別の出荷工場Fに割り振られるため、集中している出荷予定が複数の出荷工場Fに分散され、これにより各出荷工場F間での出荷量の差が抑えられるようになっている。
【0058】
そして、処理を続行する場合(S5でYes)は、再び情報取得手段2が工事計画情報D1を取得するまで待機状態となる。
【0059】
図9に示すように、工事計画変更情報D2は、例えば、現場Cでの工事に遅れが生じた際に、工事の計画(管理用工事計画情報Ma1の内容)を変更するために現場Cから送信される。
【0060】
本実施形態の生コンクリートの出荷量調整方法において、工事予定登録手段30の出荷予定登録処理では、情報取得手段2が工事計画変更情報D2を取得すると(S6)、工事予定変更手段32が予定変更処理を実行する(S7)。これにより、出荷量調整システム1内で管理している工事計画の予定が変更される。
【0061】
そして、出荷予定変更処理において変更された管理用打設工程情報Ma10がある場合(S8でYes)、出荷量変更手段33が出荷量変更処理を実行する(S9)。
【0062】
これにより、変更前の管理用工期情報Ma101に該当する期間の生コンクリートの出荷量が減算されて、変更後の管理用工期情報Ma101に該当する期間の生コンクリートの出荷量に加算されるため、出荷工場Fの生コンクリートの出荷予定も変更される。
【0063】
続いて、出荷量調整手段34が出荷量調整処理を実行する(S10)。この場合においても、各管理用出荷量情報Mb21のうち出荷量が調整用閾値Nを超えているものがあれば、かかる管理用出荷量情報Mb21が示す出荷量が別の出荷工場Fに割り振られるため、集中している出荷予定が複数の出荷工場Fに分散され、これにより各出荷工場F間での出荷量の差が抑えられるようになっている。
【0064】
そして、処理を続行する場合(S11でYes)は、再び情報取得手段2が工事計画情報D1を取得するまで待機状態となる。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る出荷量調整システム1、及び生コンクリートの出荷量調整方法によれば、生コンクリートの打設工程を含む工事計画に応じた生コンクリートの出荷予定(出荷時期と出荷量)を把握でき、特定の出荷工場Fに生コンクリートの出荷量が集中している場合は、他の出荷工場Fに生コンクリートの出荷量を割り当てることができるため、現場Cの工事計画に関する情報に基づいて出荷工場F間の生コンクリートの出荷量の差を抑えることができるという優れた効果を奏し得る。
【0066】
また、生コンクリートの打設工程の工期に変更が生じた場合であっても、変更後の打設工程の予定に合わせて生コンクリートの出荷予定(出荷時期と出荷量)を把握でき、特定の出荷工場Fに生コンクリートの出荷量が集中している場合は、他の出荷工場Fに生コンクリートの出荷量を割り当てることによって、出荷工場F間の生コンクリートの出荷量の差を抑えることができる。
【0067】
さらに、出荷量調整システム1、及び生コンクリートの出荷量調整方法においては、生コンクリートの打設工程に関する情報である管理用打設工程情報Ma10に基づいて打設工程で必要となる生コンクリートの数量を把握することも可能であるため、現場で必要となる数量の生コンクリートを把握することができる。
【0068】
そのため、例えば、現場での生コンクリートの数量管理が不十分であったり、現場Cから打設工程に必要な数量以上の生コンクリートの注文があったりしても、管理用打設工程情報Ma10を確認することによって、余分に出荷する生コンクリートの数量を抑えることができ、これにより、残コンクリートや戻りコンクリートの発生も抑えられる。
【0069】
なお、本発明に係る生コンクリートの出荷量調整システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0070】
上記実施形態で説明した工事計画情報D1では、複数の工程情報D10が時系列順に連続して並んでいたが、この構成に限定されない。例えば、複数の工程情報D10は、時系列順に連続して並んでいれば、時系列順において隣り合う工程情報D10同士が断続的になっていてもよい(すなわち、工程と工程の間に空白の期間が設定されていてもよい)。
【0071】
管理用工程情報Ma10も同様に、時系列順に連続して並んでいれば、時系列順において隣り合う別の管理用工程情報Ma10との間に空白の期間が設定されていてもよい。
【0072】
上記実施形態では、情報取得手段2が打設工程情報D10を有する工事計画情報D1を取得する場合を一例に挙げて説明を行ったが、情報取得手段2は、非打設工程情報D10のみを有する工事計画情報D1も取得できるようにしてもよい。
【0073】
なお、非打設工程情報D10のみを有する工事計画情報D1は、記憶手段4に登録されると管理用非打設工程情報Ma10のみを有する管理用工事計画情報Ma1となるため、例えば、工事計画情報D1が登録済みの工事計画に追加する工程を示す追加工程情報を取得できるように構成する等の管理用工事計画情報Ma1に対して管理用打設工程情報Ma10を追加する手段が必要となる。
【0074】
上記実施形態において特に言及しなかったが工事計画情報D1は、複数の工程情報D10を含むものであってもよいし、1つの工程情報D10のみを含むものであってもよい。管理用工事計画情報Ma1も同様に、複数の管理用工程情報Ma10を含むものであってもよいし、1つの管理用工程情報Ma10のみを含むものであってもよい。
【0075】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、出荷量調整システムは、工場が現場Cに生コンクリートを出荷できなくなった場合に、かかる工場から別の工場に生コンクリートの出荷の応援を要請するための出荷要請手段を備えていてもよい。
【0076】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、出荷量調整システムは、現場Cが生コンクリートを受け入れできない状態に陥った場合(例えば、現場Cの設備が故障した場合等)に、工場の生コンクリートの出荷先を変更するための出荷先変更手段を備えていてもよい。
【0077】
上記実施形態において、出荷量調整手段34は、現場Cの工事に関する情報に基づいて工場の生コンクリートの出荷量を調整するように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、出荷量調整手段34は、生コンクリートの打設工程の工期が変動する要因に関する外部要因情報に基づいて変動した場合の打設工程の工期(管理用工期情報Ma101)を予測し、予測後の管理用工期情報Ma101に基づいて生コンクリートの出荷量も予測するように構成されていてもよい。なお、生コンクリートの打設工程の工期が変動する要因とは、例えば、気象情報や、現場Cの設備の様子等の情報のことである。
【符号の説明】
【0078】
1…出荷量調整システム、2…情報取得手段、3…出荷量管理手段、4…記憶手段、30…工事予定登録手段、31…出荷量更新手段、32…工事予定変更手段、33…出荷量変更手段、34…出荷量調整手段、C…現場、D1…工事計画情報、D10…工程情報(打設工程情報、非打設工程情報)、D100…工程識別情報、D101…工期情報、D102…打設量情報、D2…工事計画変更情報、D20…工程指定情報、D21…変更期間指定情報、F…出荷工場、Ma…工場別工事計画管理情報、Ma1…管理用工事計画情報、Ma10…管理用工程情報、Ma100…管理用工程識別情報、Ma101…管理用工期情報、Ma102…管理用打設量情報、Mb…工場別出荷量管理情報、Mb20…管理用出荷期間情報、Mb21…管理用出荷量情報、N…調整用閾値
【要約】
【課題】現場の工事計画に関する情報に基づいて出荷工場間の生コンクリートの出荷量の差を抑えることができる生コンクリートの出荷量調整システムの提供。
【解決手段】現場の工事計画を示す工事計画情報を取得する情報取得手段と、
工事計画情報に生コンクリートの打設工期情報及び打設量情報を含む打設工程情報が含まれる場合、生コンクリートの出荷工場ごとに作成され、生コンクリートの出荷時期情報及び出荷量情報を含む工場別出荷量管理情報に打設工程情報に基づいて出荷量を加算する出荷量登録処理を実行する出荷量登録手段と、出荷量登録処理後に工場別出荷量管理情報に基づいて生コンクリートの出荷量を調整する調整処理を実行する出荷量調整手段とを備え、出荷量調整手段は出荷量情報が出荷量許容値を超える場合、他の工場に出荷量を割り当てる出荷量調整処理を実行する。
【選択図】
図2