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特許7184272収音データ表示システム、及び収音データ表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】収音データ表示システム、及び収音データ表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/00 20060101AFI20221129BHJP
   G10L 21/10 20130101ALI20221129BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20221129BHJP
   G01H 3/00 20060101ALI20221129BHJP
   G01S 3/803 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
G10K15/00 L
G10L21/10
H04R3/00 320
G01H3/00 A
G01S3/803
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2018159642
(22)【出願日】2018-08-28
(65)【公開番号】P2020034657
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000172813
【氏名又は名称】佐藤工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】508001408
【氏名又は名称】株式会社CAEソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】添田 喜治
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 清
(72)【発明者】
【氏名】會田 祐
(72)【発明者】
【氏名】大西 豊
(72)【発明者】
【氏名】平澤 一浩
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-161223(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0232192(US,A1)
【文献】特開平11-109032(JP,A)
【文献】特開2009-260849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00-17/00
G01S 3/803
G10K 15/00-15/12
G10L 13/00-13/10
G10L 19/00-19/26
G10L 21/00-21/18
G10L 25/00-25/93
G10L 99/00
H04R 3/00- 3/14
H04S 1/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dマイクロフォンによって所定期間収音した収音データを解析するとともに、基準球面を利用して解析結果を表示する収音データ表示システムであって、
前記基準球面は、受音点を中心に所定半径で設定される球面であり、
前記収音データから、収音時刻ごとの瞬時のインテンシティを算出するインテンシティ算出手段と、
前記瞬時のインテンシティの到来方向に基づいて、前記基準球面を複数に分割して得られる分割領域に瞬時のインテンシティを割り当てるとともに、該瞬時のインテンシティの音の強さを該分割領域の立体角で除した「単位角強度」を求める単位角強度算出手段と、
前記基準球面に前記単位角強度を分布した「インテンシティ分布図」を作成するインテンシティ分布図作成手段と、
を備えたことを特徴とする収音データ表示システム。
【請求項2】
3Dマイクロフォンによって所定期間収音した収音データを解析するとともに、基準球面を利用して解析結果を表示する収音データ表示システムであって、
前記基準球面は、受音点を中心に所定半径で設定される球面であり、
前記収音データから、収音時刻ごとの瞬時のインテンシティを算出するインテンシティ算出手段と、
前記瞬時のインテンシティの到来方向に基づいて、前記基準球面を複数に分割して得られる分割領域に瞬時のインテンシティを割り当てるとともに、該瞬時のインテンシティの音の強さを該分割領域の立体角で除した「単位角強度」を求める単位角強度算出手段と、
前記分割領域を、前記基準球面に設定された緯度及び経度からなる直交座標系に変換するとともに、該直交座標系に前記単位角強度を分布した「インテンシティ分布図」を作成するインテンシティ分布図作成手段と、
を備えたことを特徴とする収音データ表示システム。
【請求項3】
3Dマイクロフォンによって所定期間収音した収音データを解析するとともに、基準球面を利用して解析結果を表示する収音データ表示システムであって、
前記基準球面は、受音点を中心に所定半径で設定される球面であり、
前記収音データから、収音時刻ごとの瞬時のインテンシティを算出するインテンシティ算出手段と、
前記瞬時のインテンシティの到来方向に基づいて、前記基準球面を複数に分割して得られる分割領域に瞬時のインテンシティを割り当てるとともに、該瞬時のインテンシティの音の強さを該分割領域の立体角で除した「単位角強度」を求める単位角強度算出手段と、
前記基準球面に緯度及び経度を設定するとともに、単位経度幅ごとの前記単位角強度である「到来角別強度」を算出する到来角別強度算出手段と、
前記基準球面を切断する基準断面に、前記到来角別強度を方位ごとに分布した「インテンシティ分布図」を作成するインテンシティ分布図作成手段と、
を備えたことを特徴とする収音データ表示システム。
【請求項4】
前記到来角別強度算出手段は、指定された緯度範囲内における前記瞬時のインテンシティに基づいて前記到来角別強度を算出する、
ことを特徴とする請求項3記載の収音データ表示システム。
【請求項5】
前記インテンシティ、及び該インテンシティの音の強さの時間変化と、あらかじめ記憶された音源種別情報と、に基づいて該インテンシティの音源種別を推定する音源種別推定手段を、さらに備え、
前記音源種別情報には、音源種別、音の到来方向、音の強さ、及び音の時間変化が含まれ、
前記インテンシティ分布図作成手段は、前記音源種別推定手段で音源種別が推定された前記瞬時のインテンシティに基づく前記単位角強度を分布した「インテンシティ分布図」を作成する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の収音データ表示システム。
【請求項6】
前記インテンシティ、及び該インテンシティの到来方向の時間変化と、あらかじめ記憶された音源種別情報と、に基づいて該インテンシティの音源種別を推定する音源種別推定手段を、さらに備え、
前記音源種別情報には、音源種別、音の到来方向、音の強さ、及び到来方向の時間変化が含まれ、
前記インテンシティ分布図作成手段は、前記音源種別推定手段で音源種別が推定された前記瞬時のインテンシティに基づく前記単位角強度を分布した「インテンシティ分布図」を作成する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の収音データ表示システム。
【請求項7】
特定の到来方向範囲にある前記瞬時のインテンシティであって、音の強さがあらかじめ定めた強度閾値を上回る該瞬時のインテンシティを検出する特定音検出手段を、さらに備え、
前記インテンシティ分布図作成手段は、前記特定音検出手段で検出された前記瞬時のインテンシティに基づく前記単位角強度を分布した「インテンシティ分布図」を作成する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の収音データ表示システム。
【請求項8】
前記特定音検出手段は、さらに特定の周波数範囲にある前記瞬時のインテンシティを検出する、
ことを特徴とする請求項7記載の収音データ表示システム。
【請求項9】
所定期間収音した前記収音データから得られる2以上の前記瞬時のインテンシティのうち、特定の到来方向範囲にあり、且つ音の強度があらかじめ定めた強度閾値を上回る該瞬時のインテンシティを抽出するインテンシティ抽出手段を、さらに備え、
前記インテンシティ分布図作成手段は、前記インテンシティ抽出手段で抽出された前記瞬時のインテンシティの収音時刻におけるインテンシティ分布図を作成する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の収音データ表示システム。
【請求項10】
前記単位角強度算出手段は、所定時間幅における前記瞬時のインテンシティの音の強さである「単位時間強度」を求めるとともに、該単位時間強度に基づいて前記単位角強度を求める、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の収音データ表示システム。
【請求項11】
周波数条件を設定する周波数条件設定手段を、さらに備え、
前記インテンシティ算出手段は、前記周波数条件に応じて抽出された前記収音データに基づいて前記瞬時のインテンシティを算出する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の収音データ表示システム。
【請求項12】
複数の収音時刻における前記インテンシティ分布図を、収音時刻の順で連続表示する時系列表示手段を、
さらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の収音データ表示システム。
【請求項13】
3Dマイクロフォンによって所定期間収音した収音データを解析するとともに、基準球面を利用して解析結果を表示する機能を、コンピュータに実行させる収音データ表示プログラムであって、
前記基準球面は、受音点を中心に所定半径で設定される球面であり、
前記収音データから、収音時刻ごとの瞬時のインテンシティを算出するインテンシティ算出処理と、
前記瞬時のインテンシティの到来方向に基づいて、前記基準球面を複数に分割して得られる分割領域に瞬時のインテンシティを割り当てるとともに、該瞬時のインテンシティの音の強さを該分割領域の立体角で除した「単位角強度」を求める単位角強度算出処理と、
前記基準球面に前記単位角強度を分布した「インテンシティ分布図」を作成するインテンシティ分布図作成処理と、を前記コンピュータに実行させる機能を備えた、
ことを特徴とする収音データ表示プログラム。
【請求項14】
3Dマイクロフォンによって所定期間収音した収音データを解析するとともに、基準球面を利用して解析結果を表示する機能を、コンピュータに実行させる収音データ表示プログラムであって、
前記基準球面は、受音点を中心に所定半径で設定される球面であり、
前記収音データから、収音時刻ごとの瞬時のインテンシティを算出するインテンシティ算出処理と、
前記瞬時のインテンシティの到来方向に基づいて、前記基準球面を複数に分割して得られる分割領域に瞬時のインテンシティを割り当てるとともに、該瞬時のインテンシティの音の強さを該分割領域の立体角で除した「単位角強度」を求める単位角強度算出処理と、
前記分割領域を、前記基準球面に設定された緯度及び経度からなる直交座標系に変換するとともに、該直交座標系に前記単位角強度を分布した「インテンシティ分布図」を作成するインテンシティ分布図作成処理と、を前記コンピュータに実行させる機能を備えた、
ことを特徴とする収音データ表示プログラム。
【請求項15】
3Dマイクロフォンによって所定期間収音した収音データを解析するとともに、基準球面を利用して解析結果を表示する機能を、コンピュータに実行させる収音データ表示プログラムであって、
前記基準球面は、受音点を中心に所定半径で設定される球面であり、
前記収音データから、収音時刻ごとの瞬時のインテンシティを算出するインテンシティ算出処理と、
前記瞬時のインテンシティの到来方向に基づいて、前記基準球面を複数に分割して得られる分割領域に瞬時のインテンシティを割り当てるとともに、該瞬時のインテンシティの音の強さを該分割領域の立体角で除した「単位角強度」を求める単位角強度算出処理と、
前記基準球面に緯度及び経度を設定するとともに、単位経度幅ごとの前記単位角強度である「到来角別強度」を算出する到来角別強度算出処理と、
前記基準球面を切断する基準断面に、前記到来角別強度を方位ごとに分布した「インテンシティ分布図」を作成するインテンシティ分布図作成処理と、を前記コンピュータに実行させる機能を備えた、
ことを特徴とする収音データ表示プログラム。
【請求項16】
前記到来角別強度算出処理では、指定された緯度範囲内における前記瞬時のインテンシティに基づいて前記到来角別強度を算出する、
ことを特徴とする請求項15記載の収音データ表示プログラム。
【請求項17】
前記インテンシティ、及び該インテンシティの音の強さの時間変化と、あらかじめ記憶された音源種別情報と、に基づいて該インテンシティの音源種別を推定する音源種別推定処理を、前記コンピュータに実行させる機能をさらに備え、
前記音源種別情報には、音源種別、音の到来方向、音の強さ、及び音の時間変化が含まれ、
前記インテンシティ分布図作成処理では、前記音源種別推定処理で音源種別が推定された前記瞬時のインテンシティに基づく前記単位角強度を分布した「インテンシティ分布図」を作成する、
ことを特徴とする請求項13乃至請求項16のいずれかに記載の収音データ表示プログラム。
【請求項18】
前記インテンシティ、及び該インテンシティの到来方向の時間変化と、あらかじめ記憶された音源種別情報と、に基づいて該インテンシティの音源種別を推定する音源種別推定処理を、前記コンピュータに実行させる機能をさらに備え、
前記音源種別情報には、音源種別、音の到来方向、音の強さ、及び到来方向の時間変化が含まれ、
前記インテンシティ分布図作成処理では、前記音源種別推定処理で音源種別が推定された前記瞬時のインテンシティに基づく前記単位角強度を分布した「インテンシティ分布図」を作成する、
ことを特徴とする請求項13乃至請求項16いずれかに記載の収音データ表示プログラム。
【請求項19】
特定の到来方向範囲にある前記瞬時のインテンシティであって、音の強さがあらかじめ定めた強度閾値を上回る該瞬時のインテンシティを検出する特定音検出処理を、前記コンピュータに実行させる機能をさらに備え、
前記インテンシティ分布図作成処理では、前記特定音検出処理で検出された前記瞬時のインテンシティに基づく前記単位角強度を分布した「インテンシティ分布図」を作成する、
ことを特徴とする請求項13乃至請求項18のいずれかに記載の収音データ表示プログラム。
【請求項20】
前記特定音検出処理では、さらに特定の周波数範囲にある前記瞬時のインテンシティを検出する、
ことを特徴とする請求項19記載の収音データ表示プログラム。
【請求項21】
所定期間収音した前記収音データから得られる2以上の前記瞬時のインテンシティのうち、特定の到来方向範囲にあり、且つ音の強度があらかじめ定めた強度閾値を上回る該瞬時のインテンシティを抽出するインテンシティ抽出処理を、前記コンピュータに実行させる機能をさらに備え、
前記インテンシティ分布図作成処理では、前記インテンシティ抽出処理で抽出された前記瞬時のインテンシティの収音時刻におけるインテンシティ分布図を作成する、
ことを特徴とする請求項13乃至請求項20のいずれかに記載の収音データ表示プログラム。
【請求項22】
前記単位角強度算出処理では、所定時間幅における前記瞬時のインテンシティの音の強さである「単位時間強度」を求めるとともに、該単位時間強度に基づいて前記単位角強度を求める、
ことを特徴とする請求項13乃至請求項21のいずれかに記載の収音データ表示プログラム。
【請求項23】
周波数条件を設定する周波数条件設定処理を、前記コンピュータに実行させる機能をさらに備え、
前記インテンシティ算出処理では、前記周波数条件に応じて抽出された前記収音データに基づいて前記瞬時のインテンシティを算出する、
ことを特徴とする請求項13乃至請求項22のいずれかに記載の収音データ表示プログラム。
【請求項24】
複数の収音時刻における前記インテンシティ分布図を、収音時刻の順で連続表示する時系列表示処理を、前記コンピュータに実行させる機能をさらに備えたことを特徴とする請求項13乃至請求項23のいずれかに記載の収音データ表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、音環境評価に関する技術であり、より具体的には、音環境を評価するため、複数チャンネルを有するマイクロフォンで収音したデータを解析し、その結果を効果的に可視化することができる収音データ表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の音環境評価は、騒音レベルメーターによる測定結果を用いて行うのが主流であった。この騒音レベルメーターは1本の無指向性マイクロフォンを備えたものであり、その環境に存在する音圧レベルを測定することはできるものの、その音の音源方向(到来方向)やその音の音源種別(工事による騒音、自動車走行による音、家電製品の音など)を測定することはできない。したがって騒音対策を実施しようとする場合、騒音レベルメーターによる測定結果のみでは、騒音対策を実施すべき場所や騒音対策の程度を適切に計画することができなかった。
【0003】
ところで、近年、音場を立体的に再現する音響技術が注目されている。オーディオエンジニアによって開発されたアンビソニックスもそのひとつであり、例えば聴取者の頭の回転に応じて音場を適宜変化させることができ、さらに映像と組み合わせることで臨場感のあるコンテンツを提供することも可能である。そのため、これまでにも種々の分野においてアンビソニックスを利用した技術が提案されており、例えば特許文献1では、アンビソニックスの技術を利用し、車内にいる複数の者それぞれに対応する音場を再現する手法について提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-220032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、アンビソニックスにおける収音は、方向が既知である複数の個別マイクロフォンを有する3Dマイクロフォン(アンビソニックマイクロフォンとも呼ばれる)が利用される。例えば、中心から前方左上向きの個別マイクロフォンと、前方右下向きの個別マイクロフォン、後方左下向きの個別マイクロフォン、後方右上向きの個別マイクロフォンの4つの個別マイクロフォン(つまり、正四面体の内側から各壁面に向けて配置された4つの個別マイクロフォン)によって3Dマイクロフォンを構成することができる。
【0006】
3Dマイクロフォンによって収音された記録(収音データ)を解析すれば、その音の到来方向を求めることができる。つまり、従来の音環境評価で常用されていた騒音レベルメーターでは測定できなかった音の到来方向を、3Dマイクロフォンによれば測定できるわけである。そこで、音環境評価を行うために3Dマイクロフォンによる収音データを利用することが考えられる。
【0007】
ところが、3Dマイクロフォンを用いた音環境評価はこれまで知られていない。また、3Dマイクロフォンによる収音データを解析すれば音の到来方向を得ることができるが、音の到来方向を可視化した例はあるものの、従来手法は高価なシステムを用いるうえに直感的に音の到来方向を把握できるものではなかった。そこで、音環境評価を行うに当たって容易かつ効果的に可視化する手法の開発が望まれていた。
【0008】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち音環境評価を行うため、3Dマイクロフォンにより得られる音の到来方向を容易かつ効果的に可視化することができる収音データ表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、受音点を中心とする基準球面を設定するとともに、この基準球面を利用してインテンシティを表現したインテンシティ分布図を作成する、という点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われた発明である。
【0010】
本願発明の収音データ表示システムは、3Dマイクロフォンによって所定期間収音した収音データを解析するとともに、基準球面を利用してこの解析結果を表示するシステムであり、インテンシティ算出手段と単位角強度算出手段、インテンシティ分布図作成手段を備えたものである。なお、ここでいう「基準球面」とは受音点を中心に所定半径で設定される球面である。インテンシティ算出手段は、収音データから収音時刻ごとの「瞬時のインテンシティ」を算出する手段であり、単位角強度算出手段は、分割領域(基準球面を複数に分割して得られる小領域)に瞬時のインテンシティを割り当てるとともに瞬時のインテンシティの音の強さをこの分割領域の立体角で除した「単位角強度」を求める手段である。またインテンシティ分布図作成手段は、基準球面に単位角強度を分布した「インテンシティ分布図」を作成する手段である。
【0011】
本願発明の収音データ表示システムは、分割領域を基準球面に設定された緯度及び経度からなる直交座標系に変換するとともに、この直交座標系に単位角強度を分布した「インテンシティ分布図」を作成するものとすることもできる。
【0012】
本願発明の収音データ表示システムは、到来角別強度算出手段をさらに備えたものとすることもできる。到来角別強度算出手段は、基準球面に緯度及び経度を設定するとともに、単位経度幅ごとの単位角強度である「到来角別強度」を算出する手段である。この場合、基準球面を切断する基準断面に、到来角別強度を方位ごとに分布した「インテンシティ分布図」を作成する。また到来角別強度算出手段は、指定された緯度範囲内における瞬時のインテンシティに基づいて到来角別強度を算出する手段とすることもできる。
【0013】
本願発明の収音データ表示システムは、音源種別推定手段をさらに備えたものとすることもできる。音源種別推定手段は、インテンシティ及びインテンシティの音の強さの時間変化と、あらかじめ記憶された音源種別情報と、に基づいてインテンシティの音源種別を推定する手段である。なお音源種別情報には、音源種別と音の到来方向、音の強さ、音の時間変化が含まれる。この場合のインテンシティ分布図作成手段は、音源種別推定手段で音源種別が推定された瞬時のインテンシティに基づく単位角強度を分布した「インテンシティ分布図」を作成する。音源種別推定手段は、インテンシティの音の強さの時間変化に加えて(あるいは代えて)、インテンシティの到来方向の時間変化に基づいてインテンシティの音源種別を推定する手段とすることもできる。
【0014】
本願発明の収音データ表示システムは、特定音検出手段をさらに備えたものとすることもできる。特定音検出手段は、特定の到来方向範囲にある瞬時のインテンシティであって、音の強さがあらかじめ定めた強度閾値を上回る瞬時のインテンシティを検出する手段である。この場合のインテンシティ分布図作成手段は、特定音検出手段で検出された瞬時のインテンシティに基づく単位角強度を分布した「インテンシティ分布図」を作成する。また特定音検出手段は、さらに特定の周波数範囲を条件として所定の瞬時のインテンシティを検出する手段とすることもできる。
【0015】
本願発明の収音データ表示システムは、インテンシティ抽出手段をさらに備えたものとすることもできる。インテンシティ抽出手段は、所定期間収音した収音データから得られる2以上の瞬時のインテンシティのうち、特定の到来方向範囲にあり、且つ音の強度があらかじめ定めた強度閾値を上回る瞬時のインテンシティを抽出する手段である。この場合のインテンシティ分布図作成手段は、インテンシティ抽出手段で抽出された瞬時のインテンシティの収音時刻におけるインテンシティ分布図を作成する。
【0016】
本願発明の収音データ表示システムは、所定時間幅における瞬時のインテンシティの音の強さである「単位時間強度」を求めるとともに、単位時間強度に基づいて単位角強度を求めるものとすることもできる。
【0017】
本願発明の収音データ表示システムは、周波数条件設定手段をさらに備えたものとすることもできる。周波数条件設定手段は、周波数条件を設定する手段である。この場合のインテンシティ算出手段は、周波数条件に応じて抽出された収音データに基づいて瞬時のインテンシティを算出する。
【0018】
本願発明の収音データ表示システムは、時系列表示手段をさらに備えたものとすることもできる。時系列表示手段は、複数の収音時刻におけるインテンシティ分布図を収音時刻の順で連続表示する手段である。
【0019】
本願発明の収音データ表示プログラムは、3Dマイクロフォンによって所定期間収音した収音データを解析するとともに、基準球面を利用してこの解析結果を表示する機能を、コンピュータに実行させるプログラムであり、インテンシティ算出処理と単位角強度算出処理、インテンシティ分布図作成処理をコンピュータに実行させる機能を備えたものである。なお、ここでいう「基準球面」とは受音点を中心に所定半径で設定される球面である。インテンシティ算出処理では、収音データから収音時刻ごとの「瞬時のインテンシティ」を算出し、単位角強度算出処理では、分割領域(基準球面を複数に分割して得られる小領域)に瞬時のインテンシティを割り当てるとともに瞬時のインテンシティの音の強さをこの分割領域の立体角で除した「単位角強度」を求める。またインテンシティ分布図作成処理では、基準球面に単位角強度を分布した「インテンシティ分布図」を作成する。
【0020】
本願発明の収音データ表示プログラムは、分割領域を基準球面に設定された緯度及び経度からなる直交座標系に変換するとともに、この直交座標系に単位角強度を分布した「インテンシティ分布図」を作成するものとすることもできる。
【0021】
本願発明の収音データ表示プログラムは、到来角別強度算出処理をコンピュータに実行させる機能をさらに備えたものとすることもできる。到来角別強度算出処理では、基準球面に緯度及び経度を設定するとともに、単位経度幅ごとの単位角強度である「到来角別強度」を算出する。この場合、基準球面を切断する基準断面に、到来角別強度を方位ごとに分布した「インテンシティ分布図」を作成する。また到来角別強度算出処理では、指定された緯度範囲内における瞬時のインテンシティに基づいて到来角別強度を算出することもできる。
【0022】
本願発明の収音データ表示プログラムは、音源種別推定処理をコンピュータに実行させる機能をさらに備えたものとすることもできる。音源種別推定処理では、インテンシティ及びインテンシティの音の強さの時間変化と、あらかじめ記憶された音源種別情報と、に基づいてインテンシティの音源種別を推定する。なお音源種別情報には、音源種別と音の到来方向、音の強さ、音の時間変化が含まれる。この場合、インテンシティ分布図作成処理では、音源種別推定処理で音源種別が推定された瞬時のインテンシティに基づく単位角強度を分布した「インテンシティ分布図」を作成する。音源種別推定処理では、インテンシティの音の強さの時間変化に加えて(あるいは代えて)、インテンシティの到来方向の時間変化に基づいてインテンシティの音源種別を推定することもできる。
【0023】
本願発明の収音データ表示プログラムは、特定音検出処理をコンピュータに実行させる機能をさらに備えたものとすることもできる。特定音検出処理は、特定の到来方向範囲にある瞬時のインテンシティであって、音の強さがあらかじめ定めた強度閾値を上回る瞬時のインテンシティを検出する処理である。この場合のインテンシティ分布図作成処理は、特定音検出処理で検出された瞬時のインテンシティに基づく単位角強度を分布した「インテンシティ分布図」を作成する処理である。また特定音検出処理は、さらに特定の周波数範囲を条件として所定の瞬時のインテンシティを検出する処理とすることもできる。
【0024】
本願発明の収音データ表示プログラムは、インテンシティ抽出処理をコンピュータに実行させる機能をさらに備えたものとすることもできる。インテンシティ抽出処理では、所定期間収音した収音データから得られる2以上の瞬時のインテンシティのうち、特定の到来方向範囲にあり、且つ音の強度があらかじめ定めた強度閾値を上回る瞬時のインテンシティを抽出する。この場合、インテンシティ分布図作成処理では、インテンシティ抽出処理で抽出された瞬時のインテンシティの収音時刻におけるインテンシティ分布図を作成する。
【0025】
本願発明の収音データ表示プログラムは、所定時間幅における瞬時のインテンシティの音の強さである「単位時間強度」を求めるとともに、単位時間強度に基づいて単位角強度を求める処理をコンピュータに実行させるものとすることもできる。
【0026】
本願発明の収音データ表示プログラムは、周波数条件設定処理をコンピュータに実行させる機能をさらに備えたものとすることもできる。周波数条件設定処理では、周波数条件を設定する。この場合、インテンシティ算出処理では、周波数条件に応じて抽出された収音データに基づいて瞬時のインテンシティを算出する。
【0027】
本願発明の収音データ表示プログラムは、時系列表示処理をコンピュータに実行させる機能をさらに備えたものとすることもできる。時系列表示処理では、複数の収音時刻におけるインテンシティ分布図を収音時刻の順で連続表示する。
【発明の効果】
【0028】
本願発明の収音データ表示システム、及び収音データ表示プログラムには、次のような効果がある。
(1)3Dマイクロフォンによる収音データを用いることで音の到来方向を把握することができ、しかもインテンシティ分布図によって音の到来方向と音の強さを直感的に把握することができる。この結果。適切な音環境評価を行うことができ、効果的な騒音対策を計画することができる。
(2)あらかじめ着目すべき到来方向や周波数を定めておけば、強度閾値と比較することによって特定の音(例えば、対策を要する有害な音)を検出することができる。
(3)オフィス内の天井換気やプリンタなどの音の特性(到来方向や音の強さ、これらの時間変化)を事前に把握しておけば、収音データの音源種別を推定することができ、その結果、対策すべき音を効率的に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本願発明の収音データ表示システムの主な構成を示すブロック図。
図2】本願発明の収音データ表示システムの主な処理の流れを示すフロー図。
図3】(a)はAフォーマット形式の収音データを表す数式図、(b)はBフォーマット形式の収音データを表す数式図。
図4】瞬時のインテンシティを表すスペクトログラム図。
図5】Bフォーマット形式の収音データに基づいて、インテンシティの「音の強さ」と「音の到来方向」を求める数式図。
図6】(a)は基準球面に任意のベクトルを示すモデル図、(b)は基準球面の赤道面(z=0)にベクトルを投影した平面図、(c)はベクトルを含む鉛直面(z軸を含む断面)にベクトルを投影した断面図。
図7】基準球面BFに多数の分割領域MSを設定したモデル図。
図8】到来点を説明するモデル図。
図9】直交座標系インテンシティ分布図の一例を示すモデル図。
図10】直交座標系インテンシティ分布図を作成するにあたって、所定範囲(方位角θ~θ,仰角φ~φ)におけるインテンシティの音の強さを求める数式図。
図11】(a)は極座標系インテンシティ分布図の一例を示すモデル図、(b)は極座標系インテンシティ分布図の作成手順を説明するモデル図。
図12】極座標系インテンシティ分布図を作成するにあたって、到来角別の音の強さを求める数式であり、X-Y平面を赤道面とした場合、X-Z平面を赤道面とした場合、Y-Z平面を赤道面とした場合それぞれについて示す数式図。
図13】音源種別推定手段が音源種別を推定する処理の流れを示すフロー図。
図14】特定音検出手段が特定音を検出する処理の流れを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本願発明の収音データ表示システム、及び収音データ表示プログラムの実施形態の例を図に基づいて説明する。
【0031】
1.全体概要
本願発明の収音データ表示システムは、3Dマイクロフォンを用いて所定の期間収音した記録(以下、「収音データ」という。)を解析し、収音した位置(以下、「受音点」という。)におけるいわば音の分布図を作成するシステムである。また、収音データ表示プログラムは、3Dマイクロフォンを用いて所定の期間収音した収音データを解析し、受音点におけるいわば音の分布図を作成する処理をコンピュータに実行させるものである。分布図で示すことによって、受音点に対してどの方向からどの程度の大きさの音が到来しているのかを直感的に把握することができ、例えば騒音対策を行う際に効果的な防音施設を配備することができるわけである。
【0032】
ここで3Dマイクロフォンとは、方向が既知である複数の個別マイクロフォンを有する複数チャンネルマイクロフォンであり、例えば、中心から前方左上向きの個別マイクロフォンと、前方右下向きの個別マイクロフォン、後方左下向きの個別マイクロフォン、後方右上向きの個別マイクロフォンの4つの個別マイクロフォン(つまり、正四面体の内側から各壁面に向けて配置された4つの個別マイクロフォン)によって3Dマイクロフォンを構成することができる。3Dマイクロフォンによって収音された収音データは、個別マイクロフォンごとの情報で構成され、個別マイクロフォンの識別子(どの個別マイクロフォンで収音したものか)と収音した時刻、その音の周波数と音圧といった情報を含んでいる。
【0033】
図1を参照しながら本願発明の収音データ表示システムの主な構成について説明する。図1は、収音データ表示システム100の主な構成を示すブロック図である。この図に示すように収音データ表示システム100は、インテンシティ算出手段103と単位角強度算出手段104、インテンシティ分布図作成手段111を含んで構成され、さらに3Dマイクロフォン101や収音データ記憶手段102、周波数条件設定手段105、単位角強度記憶手段106、特定音検出手段107、着目範囲記憶手段108、音源種別推定手段109、音特性記憶手段110、時系列表示手段112、インテンシティ抽出手段113、ディスプレイやプリンタといった出力手段を含んで構成することもできる。
【0034】
収音データ表示システム100のうちインテンシティ算出手段103と単位角強度算出手段104、周波数条件設定手段105、特定音検出手段107、音源種別推定手段109、インテンシティ分布図作成手段111、時系列表示手段112、インテンシティ抽出手段113は、専用のものとして製造することもできるし、汎用的なコンピュータ装置を利用することもできる。このコンピュータ装置は、パーソナルコンピュータ(PC)や、iPad(登録商標)といったタブレット型PC、スマートフォンを含む携帯端末、あるいはPDA(Personal Data Assistance)などによって構成することができる。コンピュータ装置は、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリを具備しており、さらにマウスやキーボード等の入力手段やディスプレイを含むものもある。また、収音データ記憶手段102と単位角強度記憶手段106、着目範囲記憶手段108、音特性記憶手段110は、例えばデータベースサーバに構築することができ、ローカルなネットワーク(LAN:Local Area Network)に置くこともできるし、インターネット経由(つまり無線通信や有線通信)で保存するクラウドサーバとすることもできる。
【0035】
続いて図2を参照しながら本願発明の収音データ表示システム100の主な処理について説明する。図2は、収音データ表示システム100の主な処理の流れを示すフロー図であり、中央の列に実施する処理を示し、左列にはその処理に必要な入力情報を、右列にはその処理から生ずる出力情報を示している。
【0036】
図2に示すように、まずは「瞬時のインテンシティ」を算出する(Step10)。具体的にはインテンシティ算出手段103が、収音データ記憶手段102から収音データを読み出すとともに、この収音データに基づいて瞬時のインテンシティを算出する。ここで算出される瞬時のインテンシティは、収音時刻ごとの結果であり、音の到来方向と音の強さからなる。
【0037】
瞬時のインテンシティが算出されると、音源種別推定手段109によって音源種別を推定することもできる(Step20)。例えば、受音点の周辺に存在する音源(工事による騒音、自動車走行による音、家電製品の音など)の特性(以下、単に「音特性」という。)を事前に把握しておけば、瞬時のインテンシティの中から既知設備に該当するものを抽出し、これにより音源種別を推定することができる。その結果、騒音対策を図る場合は、工事騒音や自動車走行音などを対策すべき音として認定するとともに、オフィス内に設置された天井換気やプリンタなどの音は対策する必要がない音として認定することができる。なおここでいう音特性には、到来方向や音の強さ、到来方向の時間変化、音の強さの時間変化といった情報が含まれる。
【0038】
さらに、工事騒音や自動車走行音など対策が必要となりそうな音源があらかじめ把握されている場合は、特定音検出手段107によって要対策となる音(以下、「特定音」という。)を検出することもできる(Step30)。これにより騒音対策を図る場合は、あらかじめ注目した工事騒音や自動車走行音などが許容できる音の強さを超えるときにはじめて防音対策を実施すればよく、すなわち効率的な防音対策を図ることができる。
【0039】
瞬時のインテンシティが算出されると、この瞬時のインテンシティに基づいて単位角強度算出手段104が「単位角強度」を算出する(Step40)。ここで算出される単位角強度は、「基準球面」に設定される「分割領域」に瞬時のインテンシティを割り当て、それぞれ瞬時のインテンシティの音の強さを分割領域の立体角で除した値である。なおここでいう「基準球面」とは、受音点を中心に設定される所定半径(なおこの所定半径の大きさは、適宜設計することができる)の球面であり、「分割領域」とは、基準球面を複数に分割して得られる分割領域(いわゆるメッシュ)である。
【0040】
単位角強度が算出されると、この単位角強度に基づいてインテンシティ分布図作成手段111が「インテンシティ分布図」を作成する(Step50)。音源種別推定手段109が音源種別を推定する場合(Step20)は、音源種別が推定された音に係る単位角強度に基づいてインテンシティ分布図を作成することもできるし、特定音検出手段107が特定音を検出する場合(Step30)は、検出された音に係る単位角強度に基づいてインテンシティ分布図を作成することもできる。インテンシティ分布図は収音時刻ごとに作成することができ、立体的に球面上に表したインテンシティ分布図(以下、「球面インテンシティ分布図」という。)と、インテンシティの分布を表す図であり、直交座標系の平面に表したインテンシティ分布図(以下、「直交座標系インテンシティ分布図」という。)、極座標系の平面に表したインテンシティ分布図(以下、「曲座標系インテンシティ分布図」という。)の3種類に分類される。
【0041】
収音時刻ごとのインテンシティ分布図が作成されると、時系列表示手段112によってインテンシティ分布図を動画あるいはコマ送りで連続表示することもできる(Step60)。具体的には、複数の収音時刻で作成されたインテンシティ分布図を、あらかじめ設定した表示時刻ごとに収音時刻の順で連続表示する。この表示時刻は、数秒間隔や数分間隔など比較的短時間おきに設定することもできるし、時間単位や週単位、月単位など比較的長い期間で設定することもできる。
【0042】
以下、収音データ表示システム100を構成する主な要素ごとに詳しく説明する。
【0043】
2.インテンシティ算出手段
既述したとおりインテンシティ算出手段103は、収音データ記憶手段102から収音データを読み出すとともに、この収音データに基づいて収音時刻ごとのインテンシティ(以下、収音時刻ごとのインテンシティのことを「瞬時のインテンシティ」という。)を算出する手段である。なお、収音データ記憶手段102によって記憶される収音データは、3Dマイクロフォン101によって収音されたものである。通常、3Dマイクロフォン101によって収音される収音データはAフォーマットと呼ばれる形式のデータであり、インテンシティ算出手段103が処理するに当たってはAフォーマット形式の収音データをエンコーダによりBフォーマット形式に変換する。図3は、各形式の収音データを表す数式であり、(a)はAフォーマット形式を、(b)はBフォーマット形式を示している。ただしこの図は、正四面体の内側から各壁面に向けて配置された4つの個別マイクロフォンで構成された3Dマイクロフォン101のケースを示している。
【0044】
Bフォーマット形式に変換された収音データをインテンシティ算出手段103が処理した結果得られる瞬時のインテンシティは、収音時刻ごとであってしかも周波数ごとの情報であり、音の到来方向と音の強さからなるベクトルである。収音時刻ごと且つ周波数ごとの音の強さを有することから、図4に示すようないわゆるスペクトログラムで瞬時のインテンシティを表すことができる。この図は、時刻を横軸、周波数を縦軸とした座標系に、各収音データの音の強さを色で表している。インテンシティの「音の到来方向」と「音の強さ」は、それぞれ図5に示すようにBフォーマット形式の収音データによって算出することができる。図5では、Bフォーマット形式の収音データに基づいてインテンシティの「音の強さ」を求める数式と、Bフォーマット形式の収音データに基づいてインテンシティの「音の到来方向」を求める数式を示している。
【0045】
ここで、図5の数式に用いた方位角θと仰角φについて、図6を参照しながら説明する。図6(a)は受音点SPを中心とし半径rで設定された基準球面BFに任意のベクトルVCを示すモデル図であり、図6(b)は基準球面BFの赤道面(Z=0)にベクトルVCを投影した平面図、図6(c)はベクトルVCを含む鉛直面(Z軸を含む断面)にベクトルVCを投影した断面図である。方位角θは、図6(b)に示すようにあらかじめ定めた基準となる方向(この図ではX軸)とベクトルVCがなす水平角である。一方の仰角φは、図6(c)に示すようにX-Y面(あるいはZ軸)とベクトルVCがなす鉛直角である。
【0046】
3.単位角強度算出手段
既述したとおり単位角強度算出手段104は、瞬時のインテンシティに基づいて単位角強度を算出する手段であり、この単位角強度は瞬時のインテンシティの音の強さを分割領域の立体角で除した値である。以下、「単位角強度」を算出する手順について図7を参照しながら詳しく説明する。
【0047】
図7は、基準球面BFに多数の分割領域MSを設定したモデル図である。なお便宜上、図7では一部を切断した基準球面BFを示している。この図に示す分割領域MSは、X-Y面(赤道面)と平行する複数の水平線と、両極(Z軸の上下単端)を結ぶ複数の鉛直線によって囲まれる小領域であり、つまり複数の経緯線によって囲まれた領域である。なお分割領域MSは、基準球面BFに複数の小領域が設定されるものであれば、図7に示す態様に限らず種々の分割手法によって設定することができる。
【0048】
分割領域MSが設定されると、インテンシティ算出手段103によって得られた瞬時のインテンシティを分割領域MSに割り当てる。具体的には図7に示すように、瞬時のインテンシティIT(つまり、音源を起点とするベクトル)が基準球面BFを通過する分割領域MSに対して、当該瞬時のインテンシティITを割り当てる。なお図7では便宜上、ひとつの瞬時のインテンシティITのみを示しているが、当然ながら収音時刻の分だけ瞬時のインテンシティITが求められており、これらすべて(あるいは所望の一部)の瞬時のインテンシティITが分割領域MSに割り当てられる。そして、瞬時のインテンシティITの音の強さを当該分割領域の立体角で除すことによって、「単位角強度」が算出される。
【0049】
瞬時のインテンシティを分割領域MSに割り当てるにあたっては、図8に示す「到来点AP」を求めたうえで割り当てることもできる。図8は、到来点APを説明するモデル図である。この図に示すように到来点Aは、瞬時のインテンシティと基準球面BFとの交点である。この図では、受音点SPの前後方向をX軸(前方が正)とし、受音点SPの左右方向をY軸(左方が正)、受音点SPの上下方向をZ軸(上方が正)とする3軸の座標系で基準球面BFが設定されていることから、到来点APの座標は3軸座標系(X,Y,Z)で表すことができるが、これに限らず半径と角度(方位角θと仰角φ)による極座標系で表すこともできる。
【0050】
単位角強度は、瞬時のインテンシティに基づいて求められるものであり、瞬時のインテンシティは収音時刻ごと且つ周波数ごとに求められることから、換言すれば瞬時のインテンシティは収音時刻と周波数といった情報も有しているわけである。単位角強度算出手段104によって算出された単位角強度は、これらの情報ととともに単位角強度記憶手段106に記憶される(図1)。
【0051】
単位角強度は、収音時刻ごとに、つまり収音時刻ごとに得られる瞬時のインテンシティに基づいて求めることもできるし、所定の時間幅(以下、「単位時間」という。)内に得られる瞬時のインテンシティに基づいて求めることもできる。この場合、所望の時間帯(開始時間~終了時間)を指定するか、あるいはあらかじめ一定間隔(例えば、1時間や1日など)を指定することによって単位時間を設定し、その単位時間内に得られる瞬時のインテンシティの音の強さを合成(積分値や総和値)し、この合成された音の強さを分割領域MSで除すことによって単位角強度を算出するとよい。
【0052】
ところで、インテンシティ分布図は単位角強度に基づいて作成されるわけであるが、場合によっては特定の周波数範囲のみに限定して、あるいは特定の周波数範囲を除いたうえで、インテンシティ分布図を作成したいこともある。この場合、オペレータが周波数条件設定手段105を用いて所望の周波数範囲を設定する(図1)。そしてインテンシティ算出手段103は、収音データのうち周波数条件設定手段105で設定された周波数範囲にある収音データを抽出し、その収音データに基づいて瞬時のインテンシティを作成する。これにより、所望の周波数範囲に該当する単位角強度が求められ、所望の周波数範囲に該当するインテンシティ分布図が作成されるわけである。
【0053】
4.インテンシティ分布図作成手段
既述したとおりインテンシティ分布図作成手段111は、単位角強度に基づいてインテンシティ分布図を作成する手段である。このインテンシティ分布図は、いわばインテンシティの強さの分布を表す図であり、球面インテンシティ分布図と、直交座標系インテンシティ分布図、極座標系インテンシティ分布図の3種類に分類される。そこで、各種のインテンシティ分布図についてそれぞれ詳しく説明する。
【0054】
(球面インテンシティ分布図)
球面インテンシティ分布図は、基準球面BF上に設定された分割領域MSに対して単位角強度を付与してえられる分布図であり、いわば単位角強度の分布を立体的に表現した分布図である。なお単位角強度は、その強度(値の大小)に応じて、色相と彩度、明度の3属性からなる色モデル(例えばRGBやCMYK)で表すことができ、そのほかグレースケールなどの濃淡で表すこともできるし、あるいは色モデルと濃淡を組み合わせて表すこともできる。
【0055】
(直交座標系インテンシティ分布図)
図9は、直交座標系インテンシティ分布図の一例を示すモデル図である。直交座標系インテンシティ分布図は、直交座標系の平面に単位角強度を表した分布図であり、具体的には、分割領域MSを直交座標系(基準球面BFに設定された緯度及び経度からなる座標系)に変換するとともに、座標変換した分割領域MSに対して単位角強度を付与してえられる分布図である。なお図9では、方位角θを横軸、仰角φを縦軸とした直交座標系に、単位角強度を色で表しているが、この場合も、球面インテンシティ分布図と同様、単位角強度を色モデルや濃淡、あるいはこれらの組み合わせで表すことができる。
【0056】
また、直交座標系インテンシティ分布図に示す単位角強度は、点として(つまり分割領域MSごとに)表すこともできるし、任意範囲の単位角強度で表すこともできる。図10は、所定範囲(方位角θ~θ,仰角φ~φ)におけるインテンシティの音の強さ(ここではレベル)を求める数式である。この図に示す数式を用いて任意範囲のインテンシティの音の強さを求め、さらに当該範囲に該当する立体角で除すことによって単位角強度を求め、この単位角強度を用いて直交座標系インテンシティ分布図を作成するわけである。
【0057】
(極座標系インテンシティ分布図)
図11(a)は、極座標系インテンシティ分布図の一例を示すモデル図である。この図に示すように極座標系インテンシティ分布図は、半径と中心角からなる極座標系の平面に単位角強度の分布を表した分布図である。以下、図11を参照しながら極座標系インテンシティ分布図を作成する手順について詳しく説明する。
【0058】
単位角強度算出手段104によって単位角強度が算出され、すなわち分割領域MSごとに単位角強度が得られると、到来角別強度算出手段が「到来角別強度」を算出する。この到来角別強度は、例えば図7に示す鉛直線(つまり経度線)によって囲まれる範囲内にある分割領域MS、換言すれば所定の方位間隔Δθ(以下、「単位経度幅」という。)にある分割領域MSの単位角強度を合成(積分値や総和値)した値である。このとき、図7に示す水平線(つまり緯度線)によって囲まれる所望の仰角間隔Δφ(以下、「緯度範囲」という。)を指定し、単位経度幅であって緯度範囲内にある割領域MSの単位角強度を合成して到来角別強度を求めることもできる。
【0059】
到来角別強度算出手段によって算出された到来角別強度を、図11(b)に示すレーダーチャートに分布することによって極座標系インテンシティ分布図が作成される。具体的には、到来角別強度が有する方位情報(方位と単位経度幅)に応じてその到来角別強度をレーダーチャートに配置し、その強度(値の大小)に応じて半径方向に伸びる領域を設定するとともに当該領域に色等を塗布することによって極座標系インテンシティ分布図を作成するわけである。この場合も、球面インテンシティ分布図や直交座標系インテンシティ分布図と同様、単位角強度を色モデルや濃淡、あるいはこれらの組み合わせで表すことができる。
【0060】
なお、到来角別強度を求める際の単位経度幅(あるいは単位経度幅に直交する緯度範囲)は、基準球面BFに設定する緯度と経度の向きを変更することによって適宜変更することができる。例えば図6図8に示すX-Y-Z座標系が固定されている場合、Z-Y面を赤道面としX軸方向を緯度方向としたうえで到来角別強度を求めることもできるし、Z-X面を赤道面としY軸方向を緯度方向としたうえで到来角別強度を求めることもできるし、あるいはX-Y-Zに対して傾斜した赤道面を設定したうえで到来角別強度を求めることもできる。図12では、X-Y平面を赤道面とした場合、X-Z平面を赤道面とした場合、Y-Z平面を赤道面とした場合、それぞれの場合で到来角別の音の強さを求める数式を示しており、この音の強さを立体角で除すことによって到来角別強度を求めることができる。
【0061】
5.音源種別推定手段
既述したとおり音源種別推定手段109は、瞬時のインテンシティに基づいて音源種別(工事による騒音、自動車走行による音、家電製品の音など)を推定する手段である。図13は、音源種別推定手段109が音源種別を推定する処理の流れを示すフロー図である。この図に示すように瞬時のインテンシティが算出されると、音源種別推定手段109はこの瞬時のインテンシティの音特性(到来方向、音の強さ、到来方向や音の強さの時間変化)と既知設備の音特性とを照合する。より詳しくは、図1に示すように音源種別推定手段109が音特性記憶手段110から既知設備の音特性を読み出し、インテンシティ算出手段103によって算出された瞬時のインテンシティの音特性と照らし合わせる。このとき、音特性のうち瞬時のインテンシティの到来方向、音の強さ、及び音の強さの時間変化に基づいて既知設備の音特性と照らし合わせることもできるし、音特性のうち瞬時のインテンシティの到来方向、音の強さ、及び到来方向の時間変化に基づいて既知設備の音特性と照らし合わせることもできるし、音特性のうち瞬時のインテンシティの到来方向、音の強さ、到来方向の時間変化、及び音の強さの時間変化に基づいて既知設備の音特性と照らし合わせることもできる。そして、瞬時のインテンシティの音特性と既知設備の音特性が近似していれば(あるいは同一であれば)、その瞬時のインテンシティは当該既知設備を音源とするものと認定して音源種別を推定し、瞬時のインテンシティの音特性と既知設備の音特性が相違していれば、その瞬時のインテンシティは未知の音源であると認定する。
【0062】
例えば、オフィス内に設置された天井換気は、受音点SPを基準とした方向(方位角と仰角)が既知であり、その音に強さや周波数も既知とすることができ、さらに音の強さの時間変化(いわば周期的な変化)も既知とすることができる。そしてこの天井換気の音特性と同一又は近似する音特性の瞬時のインテンシティが検出されれば、その瞬時のインテンシティは天井換気を音源とすると認定するわけである。もちろん天井換気に限らず、多種の既知設備の音特性を音特性記憶手段110に記憶させておき、種々の音源種別を音源種別推定手段109に推定させることもできる。
【0063】
音源種別推定手段109によって音源種別が推定されると、音源種別が推定された瞬時のインテンシティのみのインテンシティ分布図を作成することもできるし、あるいは瞬時のインテンシティに係る分割領域MSを他とは異なる色や濃淡で表したインテンシティ分布図を作成することもできる。
【0064】
6.特定音検出手段
既述したとおり特定音検出手段107は、瞬時のインテンシティに基づいて特定音を検出する手段である。この場合、特定音を検出するための着目範囲と強度閾値が着目範囲記憶手段108(図1)によって記憶される。なお着目範囲とは、特定音を検出するためにあらかじめ設定した「設定到来方向範囲」を含む範囲であって、さらに「設定周波数範囲」を含んだ範囲とすることもできる。
【0065】
図14は、特定音検出手段107が特定音を検出する処理の流れを示すフロー図である。この図に示すように瞬時のインテンシティが算出されると、その瞬時のインテンシティが設定到来方向範囲にあるか否かを判断する。具体的には、特定音検出手段107が着目範囲記憶手段108から着目範囲を読み出し、着目範囲のうちの設定到来方向範囲と瞬時のインテンシティの到来方向(あるいは到来点AP)を照らし合わせる。そして到来方向が設定到来方向範囲内にあるとき(Yes)は次の処理に進み、到来方向が設定到来方向範囲内にないとき(No)は特定音でないと認定する。ただし、着目範囲に設定周波数範囲が含まれない場合、到来方向が設定到来方向範囲内にあるとき(Yes)は、そのまま強度閾値と照らし合わせるステップに進む。
【0066】
到来方向が設定到来方向範囲内にあると判定されると、次は着目範囲のうちの設定周波数範囲と瞬時のインテンシティの周波数を照らし合わせる。そして瞬時のインテンシティの周波数が設定周波数範囲内であるとき(Yes)は次の処理に進み、瞬時のインテンシティの周波数が設定周波数範囲外であるとき(No)は特定音でないと認定する。
【0067】
瞬時のインテンシティの周波数が設定周波数範囲内であると判定されると、次は強度閾値と瞬時のインテンシティの音の強さ(あるいは単位角強度)を照らし合わせる。そして瞬時のインテンシティの音の強さが強度閾値を上回るとき(Yes)は特定音として認定し、瞬時のインテンシティの音の強さが強度閾値を下回るとき(No)は特定音でないと認定する。
【0068】
7.インテンシティ抽出手段
収音データのうちすべての収音時刻でインテンシティ分布図を作成すると、作成する計算コストがかかるうえ、確認する手間も増大する。これにより騒音対策を講じようとするときなどは、問題を発見するまでに多くの時間を要することも考えられる。そこであらかじめ注目すべき音のみを抽出したうえでインテンシティ分布図を作成すると好適である。
【0069】
インテンシティ抽出手段113は、一定期間収音した収音データから得られる2以上の瞬時のインテンシティのうち、着目すべき瞬時のインテンシティを抽出する手段である。具体的には、あらかじめ特定の到来方向範囲(以下、「抽出用到来方向範囲」という。)と強度閾値(以下、「抽出用強度閾値」という。)を定めておき、瞬時のインテンシティの到来方向が抽出用到来方向範囲内にあって、しかもその音の強さが抽出用強度閾値を上回ると、その瞬時のインテンシティを抽出する。そして、インテンシティ抽出手段113によって抽出された瞬時のインテンシティの収音時刻を選出し、ここで選出された収音時刻に係る収音データの瞬時のインテンシティによってインテンシティ分布図を作成する。なお、選出された収音時刻に係るすべての瞬時のインテンシティ(インテンシティ抽出手段113によって抽出されないものも含む)を対象としてインテンシティ分布図を作成することもできるし、選出された収音時刻に係る瞬時のインテンシティのうちインテンシティ抽出手段113によって抽出されたものを対象としてインテンシティ分布図を作成することもできる。
【0070】
8.その他の実施例
ここまで、音の強さを分割領域MSの立体角で除した「単位角強度」を用いて「インテンシティ分布図」を作成する例について説明したが、本願発明の収音データ表示システム100は、音の強さを立体角で除すことなくそのまま「単位角強度」としたうえで、この「単位角強度」を該当する分割領域MSに付与することによって「インテンシティ分布図」を作成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本願発明の収音データ表示システム、及び収音データ表示プログラムは、住宅や学校、病院など騒音を受ける側の施設のほか、イベント会場や工事現場など騒音を与える側の施設にも有効に利用することができる。本願発明が、有効な騒音対策に寄与し、良好な音環境を提供し、ひいては快適な住環境を提供することを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
【符号の説明】
【0072】
100 収音データ表示システム
101 (収音データ表示システムの)3Dマイクロフォン
102 (収音データ表示システムの)収音データ記憶手段
103 (収音データ表示システムの)インテンシティ算出手段
104 (収音データ表示システムの)単位角強度算出手段
105 (収音データ表示システムの)周波数条件設定手段
106 (収音データ表示システムの)単位角強度記憶手段
107 (収音データ表示システムの)特定音検出手段
108 (収音データ表示システムの)着目範囲記憶手段
109 (収音データ表示システムの)音源種別推定手段
110 (収音データ表示システムの)音特性記憶手段
111 (収音データ表示システムの)インテンシティ分布図作成手段
112 (収音データ表示システムの)時系列表示手段
113 (収音データ表示システムの)インテンシティ抽出手段
AP 到来点
BF 基準球面
SP 受音点
MS 分割領域
IT 瞬時のインテンシティ
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