(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】フィリング類
(51)【国際特許分類】
A23D 7/00 20060101AFI20221129BHJP
A23D 7/005 20060101ALI20221129BHJP
A23L 5/43 20160101ALI20221129BHJP
A23G 3/00 20060101ALI20221129BHJP
A23L 9/20 20160101ALI20221129BHJP
A21D 13/00 20170101ALN20221129BHJP
A21D 13/19 20170101ALN20221129BHJP
【FI】
A23D7/00 508
A23D7/005
A23L5/43
A23G3/00
A23L9/20
A21D13/00
A21D13/19
(21)【出願番号】P 2018089647
(22)【出願日】2018-05-08
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 春樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 和洋
【審査官】山本 英一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/016231(WO,A1)
【文献】特開2002-322384(JP,A)
【文献】4.食品分野別の利用技術 製菓・製パン利用技術,別冊フードケミカル10,2008年03月01日,p.167-171
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23、C09B
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抹茶
を含有
するフィリングであって、青色着色料を含有し、黄色色素を含有しない
、フィリング。
【請求項2】
青色着色料を0.01~0.2質量%含有する請求項1に記載
のフィリング。
【請求項3】
青色着色料がクチナシ系青色色素を含有する、請求項1又は2に記載
のフィリング。
【請求項4】
水相を連続相とする乳化物である、請求項1~3の何れか1項に記載
のフィリング。
【請求項5】
青色着色料を添加し、黄色色素を含有させない、
抹茶
を含有
するフィリングの変色又は退色の抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は緑茶含有フィリング類に関する。
【背景技術】
【0002】
ベーカリー類や菓子類の嗜好性を高めるために、緑茶を用いて、着色することが従来行われてきた。
【0003】
例えば、緑茶を含有させたフィリング類や、該フィリング類を用いた菓子やベーカリー食品等が挙げられる。
緑茶にとってその色彩は大切な特徴の一つであり、抹茶、甜茶、煎茶などの緑茶にとって鮮やかな緑色は重要な要素の一つである。
【0004】
ここで、緑茶の緑色の成分であるクロロフィルは、光や熱を受けること等により、黄変・褐変といった変色、あるいは退色(以下、単に変色・退色と記載する場合がある)を引き起こしやすいことが知られている。
【0005】
この為、コンビニやスーパー等の店頭の商品棚や陳列棚においては、緑茶を含有させたフィリング類、及び該フィリング類を用いた商品には、製造から販売に至るまでに、変色・退色が起こり、色調が変化しやすく、商品価値の低下が生じやすいという問題があった。
この緑茶を含有させたフィリング類の色調の変化の抑制と、変色・退色しやすい緑茶の緑色の補強の為に、青色の着色料と黄色の着色料とを併用して緑色の呈色を得ることが通常行われている。例えば特許文献1では、クロロフィル含量の少ない茶とクチナシ青色素と黄色系天然色素を配合することにより変色を抑制された油脂組成物が記載されている。
【0006】
しかし、特許文献1の手法は退色しやすい茶由来の呈色を抑え、その代りに青色色素と黄色色素を用いて緑色を呈色させたものであり、経時的に緑茶由来の色味とは異なる色味となりやすかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、緑茶を含有したフィリング類、及び該フィリング類を用いた菓子やベーカリー食品の、変色・退色の問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、青色着色料、特にクチナシ系青色色素を含む青色着色料を適量配合することにより、黄色の着色料を用いなくても、変色・退色による経時的な色調の変化が抑制され、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、上記知見に基づくものであり、青色着色料を含有する、緑茶含有フィリング類を提供するものである。
また本発明は、青色着色料を添加する、緑茶含有フィリング類の変色又は退色の抑制方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、変色・退色による経時的な色調の変化が抑えられた、緑茶を含有するフィリング類や、該フィリング類を使用した菓子やベーカリー食品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の青色着色料を含有する緑茶含有フィリング類(以下、単に本発明のフィリング類と記載する場合がある)について詳述する。
【0013】
本発明のフィリング類は、緑茶と青色着色料を含有することを特徴とする。
まず、本発明のフィリング類に含有される緑茶について述べる。
本発明のフィリング類に含有される緑茶とは、チャノキの茶葉を収穫後、加熱処理を行い、茶葉中に含まれる酵素による発酵を極力抑えたものである。本発明のフィリング類に用いることのできる緑茶として、具体的には玉露、かぶせ茶、煎茶、深蒸し茶、番茶、ほうじ茶、碾茶、抹茶、玉緑茶等を挙げることができ、これらのうちから選択された1種又は2種以上を選択して用いることができる。
【0014】
本発明のフィリング類においては、鮮やかな緑色の色調をフィリング類に付与でき、且つ良好な風味が得られる点から、緑茶として抹茶を含有することが好ましい。尚、本発明のフィリング類においては上記の緑茶を粉末や顆粒、ペースト、エキス、抽出液等の形態で含有することができるが、本発明のフィリング類中に固形分として0.1~5質量%含有することが好ましく、0.1~2質量%含有されることがより好ましい。上記範囲で緑茶を含有することで、得られるフィリング類の呈色が鮮やかな緑色となり、また、風味についても適度な渋味や苦味となり、好ましい。
【0015】
次に、本発明のフィリング類に含有される青色着色料について述べる。
本発明のフィリング類に用いることのできる青色着色料としては、特に限定されず、含まれる色素が天然色素であっても合成色素であってもよいが、消費者の合成色素に対する忌避心理に応える観点と自然な発色を得る観点から、天然色素であることが好ましい。
尚、本発明に用いられる青色着色料は、青色色素そのものの形で含有されてもよく、青色色素に加えて賦形剤等を含有する製剤の形で本発明のフィリング類に含有されてもよい。
本発明のフィリング類に含有させる青色着色料の量は、同時に含有される緑茶や青色色素の含量や種類、また着色の力価によっても異なるが、フィリング類中、青色色素として0.001~0.5質量%となる量が含有されることが好ましく、0.001~0.3質量%となる量が含有されることがより好ましく、0.01~0.2質量%含有されることが特に好ましい。
【0016】
上記範囲の含有量となるように、緑茶を含有するフィリングに添加することで、青色の呈色は見られないが、緑茶由来の緑色の変色・退色による、経時的な色調の変化を好ましく補うことができるようになる。
【0017】
尚、上記天然色素としてはスピルリナ系であってもクチナシ系であってもよいが、スピルリナ系の青色色素はpHの変化や熱で変色・退色してしまいやすいため、当初の課題を十分解決するために、好ましくはクチナシ系の青色色素を用いることが好ましい。尚、クチナシ系の青色色素を含む着色料を本発明のフィリング類に含有させる場合には、フィリング類中、クチナシ系の青色色素として0.01~0.2質量%となる量を含有させることが好ましく、0.01~0.1質量%となる量を含有させることがより好ましい。
【0018】
尚、鮮やかな緑色の色調を有するフィリング類を得る観点と、製造後から保管中にかけてのフィリング類の変色・退色を抑制する観点から、クチナシ系の青色色素を含有させる場合、本発明のフィリング類に含有される緑茶の固形分1質量部に対して、フィリング類中のクチナシ系の青色色素を含む青色着色料が、クチナシ系の青色色素として0.01~0.50質量部となるように含有されることが好ましく、0.05~0.30質量部となるように含有されることがより好ましい。
尚、上記合成色素としては、例えばブリリアントブルーFCFや、インジゴカルミン等が挙げられる。
【0019】
尚、本発明においては上記の青色色素のうち、単一又は2種以上の色素を含有する任意の青色着色料を使用することができるが、より鮮やかな色調の緑色のフィリング類を得る観点から、単一の青色色素を含有する青色着色料を使用することが好ましい。
【0020】
ここで、本発明のフィリング類に好ましく含有されるクチナシ系の青色色素とは、クチナシの果実から得られたイリドイド配糖体とタンパク質分解物の混合物にβ-グルコシダーゼを添加した後、分離して得られたものを指す。
【0021】
上記の青色色素を含む青色着色料以外にも黄色色素や緑色色素といった色素を含有する着色料を、本発明のフィリング類に含有させることは出来るが、鮮やかな緑茶由来の緑色を得る観点から、実質的に含有しないことが好ましい。尚、本発明において黄色色素を「実質的に含有しない」とは、本発明のフィリング類中、上記のいずれかの色素の含量が、0.02質量%以下であることを意味し、0.01質量%以下であることが好ましく、0.0015質量%以下であることがより好ましい。黄色色素としては、合成色素としてタートラジンやサンセットイエローFCF等を挙げることができ、天然色素として、カロチノイド系色素であるα-カロチン、β-カロチン、γ-カロチン、ルティン、クリプトキサンチン、ゼアキサンチン、クロセチンや、フラボノイド系色素であるウコン色素、ベニバナ黄色素、あるいはパプリカ色素、アナトー色素、クチナシ黄色色素、リコピン色素等が挙げられる。尚、勿論上記の色素を含有する市販の製剤を用いることが可能である。
本発明のフィリング類は、青色着色料、好ましくはクチナシ系青色色素を含む青色着色料を含有させることにより、緑茶由来の緑色の変色・退色による、経時的な色調の変化が抑制されている。
【0022】
本発明において、従来知見とは異なり、黄色色素を含有せずとも、青色色素のみで上記緑茶を含有するフィリング類の変色・退色に伴う経時的な色調の変化を抑制できる理由について明確ではないが、上記範囲・上記量比で青色色素を、青色を呈色しない範囲で適量含有させることにより、緑茶の緑色の成分であるクロロフィルの熱や光による分解に伴う黄変等の変色・退色にあわせて、フィリング類が緑色を呈するようになるためであると推定される。
【0023】
次に、本発明のフィリング類における緑茶及び青色着色料以外の構成について述べる。
本発明のフィリング類の種類としては、風味の観点や色彩の観点から緑茶を含有し得るものであれば、特に限定されず、例えばフラワーペーストやホイップクリーム、バタークリーム、シュガークリーム、餡、ジャム等を挙げることができる。フラワーペーストは、一般的に、小麦粉や穀物澱粉等の澱粉類、水のほか、必要に応じてナッツ類又はその加工品、緑茶、ココア、チョコレート、コーヒー、果実の果肉又は果汁、砂糖、油脂、粉乳、卵等を混合した後、加熱して糊化させると共に殺菌することによって得られるものであり、例としてカスタード等を挙げることができ、一般に粘弾性に富んだ物性と食感を示す。
また、本発明のフィリング類は、油脂を含まないものであってもよく、含むものであってもよいが、フィリング類としての良好なコク味と、とりわけスプレッド性・伸展性といった良好な物性が得られやすいため、油脂を含むものが好ましい。
【0024】
更に、本発明のフィリング類が油脂を含み、乳化物の形態をとる場合は、例えば油中水型乳化物のような油相を連続相とするものであってもよく、水中油型乳化物のような水相を連続相とするものであってもよく、二重乳化物等の多重乳化物であってもよいが、より鮮やかな緑色の発色を得る観点から、フラワーペーストやホイップクリームのように水相を連続相とするものであることが好ましい。
【0025】
本発明のフィリング類が油脂を含有する場合に、用いることができる食用油脂としては、特に限定されないが、例えばパーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ(キャノーラ)油、ハイエルシンナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、微細藻類油、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂のうち、1種又は2種以上が選択される。
【0026】
本発明のフィリング類が油脂を含有する場合、該フィリング類の好ましい油分含量は5~95質量%、より好ましくは10~85質量%である。
【0027】
尚、本発明のフィリング類が水相を連続相とする乳化物である場合、該フィリング類の好ましい油分含量は5~60質量%、より好ましくは10~50質量%である。該油分含量が5質量%以上であると、良好なスプレッド性や伸展性を有するフィリング類が得られやすい。また、60質量%以下であると、べとつきにくく、油分が分離しにくくなることに加え、得られるフィリング類の口溶けがワキシーになりにくい。
【0028】
尚、下記のその他原料のうち、油脂分を含有する原料を使用した場合は、上記油分含量には、それらに含まれる油脂分も含めるものとする。
【0029】
また、本発明のフィリング類が水相を連続相とする乳化物である場合、該フィリング類の好ましい水分含量は10~70質量%であり、より好ましくは10~50質量%である。該水分含量が10質量%以上であると、呈味成分を十分に含有させることができるようになる上、良好な食感を得られやすいため好ましい。また、当該水分含量が70質量%以下であることで、本発明のフィリング類が水中油型乳化物である場合に、安定な乳化が得られ易く、好ましい。
【0030】
本発明のフィリング類は、上記緑茶と上記青色色素、好ましくは上記食用油脂、及び上記水の他に、必要に応じて、本発明の効果を妨げない範囲において、一般にフィリング類に用いられるその他原料を含有することができる。
【0031】
本発明のフィリング類に用いることのできるその他原料としては、例えば、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、乳化剤、酢酸・乳酸・グルコン酸等の酸味料、乳や乳製品、糖類や甘味料、β-カロチン・カラメル・紅麹色素等の着色料、トコフェロール・茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白、卵及び各種卵加工品、澱粉類、増粘安定剤、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、酵素、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、香辛料抽出物、カカオマス、ココアパウダー、野菜類、肉類、魚介類、クロレラ等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0032】
なお、これらの食品素材や食品添加物のうち、水並びに牛乳及び卵等の水分を含有する成分は、本発明の中の水分含有量が10~70質量%となるように使用することが好ましい。
【0033】
上記の乳化剤として、例えば炭素数16未満の飽和脂肪酸を含む蒸留モノグリセリド、不飽和脂肪酸を含む蒸留モノグリセリド、ジグリセリド、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム及びポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等の合成乳化剤や、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の天然乳化剤が挙げられる。本発明のフィリング類では、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。
【0034】
上記の糖類としては、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、はちみつ、オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、還元乳糖、ソルビトール、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、トレハロース等が挙げられる。本発明ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0035】
上記の甘味料としては、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、ソーマチン、サッカリン、ネオテーム、アセスルファムカリウム、甘草、羅漢果等が挙げられる。本発明ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0036】
本発明のフィリング類中、糖類及び甘味料の総量の好ましい量としては、固形分量として、5~35質量%であり、10~30質量%が更に好ましい。
【0037】
上記の乳や乳製品としては、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖れん乳、加糖脱脂れん乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリーム、クリームパウダー、サワークリーム、乳清蛋白質、ホエイ、ホエイパウダー、脱乳糖ホエイ、脱乳糖ホエイパウダー、ホエイ蛋白質濃縮物(WPC及び/又はWPI)、ミルクプロテインコンセントレート(MPC)、バターミルク、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、はっ酵乳、ヨーグルト、乳酸菌飲料、乳飲料、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、ホエイプロテインコンセートレート、トータルミルクプロテイン及び乳清ミネラル等が挙げられる。本発明ではこれらの乳製品の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0038】
本発明のフィリング類中、乳や乳製品の総量の好ましい量としては、固形分量として、0.1~10質量%であり、0.1~7質量%が更に好ましい。
【0039】
上記の卵及び各種卵加工品としては、全卵、卵黄、卵白、加塩全卵、加塩卵黄、加塩卵白、加糖全卵、加糖卵黄、加糖卵白、乾燥全卵、乾燥卵黄、乾燥卵白、凍結全卵、凍結卵黄、凍結卵白、凍結加塩全卵、凍結加塩卵黄、凍結加塩卵白、凍結加糖全卵、凍結加糖卵黄、凍結加糖卵白、酵素処理全卵、酵素処理卵黄などを用いることができ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0040】
上記澱粉類としては、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ、馬鈴薯、甘藷、小麦、米、豆などの澱粉、これらの澱粉を原料とし、エステル化、エーテル化、架橋化、α化、熱処理等の化学的、物理的処理を施したもの、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉等の小麦粉類、ライ麦粉、米粉等のその他の穀粉類、アーモンド粉、へーゼルナッツ粉等の堅果粉等があげられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0041】
本発明のフィリング類中、澱粉類の好ましい量としては、固形分量として、0.5~10質量%であり、1~8質量%が更に好ましい。
【0042】
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0043】
本発明のフィリング類中、増粘安定剤の好ましい量としては、固形分量として、0.01~1質量%であり、0.05~0.5質量%が更に好ましい。
【0044】
次に本発明のフィリング類の製造方法について述べる。
本発明のフィリング類は、緑茶と青色着色料を含有するフィリング類原料を均質化処理した後、加熱し、冷却することにより製造することができる。
詳しくはまず、油脂に必要によりその他の成分を添加し、油相とする。水に、緑茶とその他の成分を添加し水相とする。含有される青色着色料は油溶性のものと水溶性のもののいずれを選択しても良いが水溶性のものが好ましく選択され、水相に好ましく添加される。
【0045】
上記の油相と水相を混合し、水中油型に乳化して、予備乳化組成物とする。水相と油相の比率(前者:後者、質量基準)は、好ましくは95:5~60:40、更に好ましくは92:8~60:40、最も好ましくは92:8~64:36とする。
【0046】
次いで、得られた上記予備乳化組成物を、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により、好ましくは圧力0~80MPaの範囲で均質化した後、加熱する。加熱は、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT、HTST、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌若しくは加熱殺菌処理、あるいは直火等を用いた加熱調理により行うことができる。加熱温度は60~145℃が好ましく、加熱時間は0.05~30分が好ましい。また、加熱後には必要により再度均質化してもよい。
【0047】
次いで、冷却する。冷却は急速冷却、徐冷却等のいずれでもよく、冷却の前、又は後にエージングを行ってもよい。更に、得られた本発明のフィリング類は、必要により、冷蔵状態若しくは冷凍状態で保存してもよい。
尚、本発明のフィリング類を製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させてもよい。
【0048】
更に、本発明のフィリング類は、その形状を下述する用途に合わせて、シート状、ブロック状、円柱状、ダイス状等としてもよい。各々の形状についての好ましいサイズは、シート状:縦50~1000mm、横50~1000mm、厚さ1~50mm、ブロック状:縦50~1000mm、横50~1000mm、厚さ50~500mm、円柱状:直径1~25mm、長さ5~100mm、ダイス状:縦5~50mm、横5~50mm、厚さ5~50mmである。
【0049】
本発明のフィリング類は、サンド用途、充填用途、スプレッド用途、トッピング用途、コーティング用途、折込用途、練り込み用途として用いることができ、クッキー、パイ、シュー、サブレ、スポンジケーキ、バターケーキ、ケーキドーナツ、イーストドーナツ、食パン、フランスパン、デニッシュ、クロワッサン、スイートロール等の菓子類やベーカリー類、アイスクリームやシャーベット等の冷菓類、パフェやあんみつ等のデザート類に好ましく用いることができる。
【0050】
尚、本発明のフィリング類の上記用途における使用量は、各用途により異なるものであり、特に制限されるものではない。
得られた本発明のフィリング類、及び本発明のフィリング類を用いてなる食品は、勿論包装することができ、冷蔵保管や常温保管を行うことができる。尚、上記包装は遮光包装であっても、遮光包装でなくてもよい。
【0051】
次に、本発明の青色着色料を添加する、緑茶含有フィリング類の変色・退色の抑制方法について述べる。
本発明の緑茶含有フィリング類の変色・退色の抑制方法は、緑茶を含有するフィリング類の製造時に、青色着色料を添加することを特徴とするものであり、本発明の緑茶含有フィリング類の経時的な色調の変化を抑制するものである。
【0052】
鮮やかな緑色の色調を有するフィリング類を得る観点と、製造後から保管中にかけてのフィリング類の変色・退色を抑制する観点から、本発明のフィリング類に含有される緑茶の固形分1質量部に対して、フィリング類中の青色色素が0.05~0.20質量部となるように含有されることが好ましく、0.10~0.18質量部となるように含有されることがより好ましい。尚、本発明のフィリング類に含有させる青色着色料の量は、同時に含有される緑茶や青色色素の含量や種類、また着色の力価によっても異なるが、青色色素として0.001~0.5質量%となる量が含有されることが好ましく、0.001~0.3質量%となる量が含有されることがより好ましい。青色色素としては、とりわけクチナシ系の青色色素が好ましく用いられるが、クチナシ系の青色色素を用いる場合には、緑茶含有フィリング類中に0.01~0.2質量%となる量を含有させることが好ましく、0.01~0.1質量%となる量を含有させることがより好ましい。
【0053】
本発明の緑茶含有フィリング類の変色・退色の抑制方法が適用されるフィリング類は、特に限定されるものではない。尚、フィリング類への添加の方法は上述の通りである。
尚、緑茶含有フィリング類の変色・退色の抑制効果を顕著に得るために、本発明のフィリング類中の緑茶の含有量が、固形分として0.1~5質量%となる量であることが好ましく、0.1~2質量%となる量であることがより好ましい。上記範囲で緑茶を含有することで、得られるフィリング類の呈色が鮮やかな緑色となり、また、風味についても適度な渋味や苦味となり、好ましい。
【0054】
尚、上記緑茶としては玉露、かぶせ茶、煎茶、深蒸し茶、番茶、ほうじ茶、碾茶、抹茶、玉緑茶等を挙げることができ、粉末や顆粒、ペースト、エキス、抽出液等の任意の形態で含有させてよい。
【実施例】
【0055】
以下、実施例を基に本発明を更に詳述する。
(実施例1)
沃素価60のパーム分別軟部油のランダムエステル交換油25質量%に、ワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%及びローカストビーンガム0.05質量%を添加し分散させて油相とした。水38.67質量%、小麦粉1質量%、砂糖30質量%、WPC(ホエータンパク質濃縮物)0.5質量%、トータルミルクプロテイン1.5質量%、及び、粉末抹茶0.25質量%、クチナシ青色色素製剤(クチナシ青色色素含量75質量%)0.03質量%を混合し水相とした。この油相と水相とを加熱溶解、混合、乳化、均質化し、掻き取り式加熱装置で100℃で2分間加熱殺菌し、厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填後、22℃まで冷却し、ペースト状の水中油型乳化物である緑茶含有フィリングA(フラワーペースト)を得た。
尚、緑茶含有フィリングAでは、上記のとおり緑茶として粉末抹茶を含有し、青色着色料としてクチナシ青色色素を含有しており、緑茶の固形分1質量部に対して青色色素として0.09質量部の青色着色料を含有していた。
【0056】
(実施例2)
沃素価60のパーム分別軟部油のランダムエステル交換油25質量%に、ワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%及びローカストビーンガム0.05質量%を添加し分散させて油相とした。水38.38質量%、小麦粉1質量%、砂糖30質量%、WPC(ホエータンパク質濃縮物)0.5質量%、トータルミルクプロテイン1.5質量%、及び、粉末抹茶0.5質量%、クチナシ青色色素製剤(クチナシ青色色素含量75質量%)0.07質量%を混合し水相とした。この油相と水相とを加熱溶解、混合、乳化、均質化し、掻き取り式加熱装置で100℃で2分間加熱殺菌し、厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填後、22℃まで冷却し、ペースト状の水中油型乳化物である緑茶含有フィリングB(フラワーペースト)を得た。
尚、緑茶含有フィリングBでは、上記のとおり緑茶として粉末抹茶を含有し、青色着色料としてクチナシ青色色素を含有しており、緑茶の固形分1質量部に対して青色色素として0.105質量部の青色着色料を含有していた。
【0057】
(実施例3)
沃素価60のパーム分別軟部油のランダムエステル交換油25質量%に、ワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%及びローカストビーンガム0.05質量%を添加し分散させて油相とした。水38.08質量%、小麦粉1質量%、砂糖30質量%、WPC(ホエータンパク質濃縮物)0.5質量%、トータルミルクプロテイン1.5質量%、及び、粉末抹茶0.75質量%、クチナシ青色色素製剤(クチナシ青色色素含量75質量%)0.12質量%を混合し水相とした。この油相と水相とを加熱溶解、混合、乳化、均質化し、掻き取り式加熱装置で100℃で2分間加熱殺菌し、厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填後、22℃まで冷却し、ペースト状の水中油型乳化物である緑茶含有フィリングC(フラワーペースト)を得た。
尚、緑茶含有フィリングCでは、上記のとおり緑茶として粉末抹茶を含有し、青色着色料としてクチナシ青色色素を含有しており、緑茶の固形分1質量部に対して青色色素として0.12質量部の青色着色料を含有していた。
【0058】
(実施例4)
沃素価60のパーム分別軟部油のランダムエステル交換油25質量%に、ワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%及びローカストビーンガム0.05質量%を添加し分散させて油相とした。水38.27質量%、小麦粉1質量%、砂糖30質量%、WPC(ホエータンパク質濃縮物)0.5質量%、トータルミルクプロテイン1.5質量%、及び、粉末抹茶0.25質量%、クチナシ青色色素製剤(クチナシ青色色素含量75質量%)0.03質量%、クチナシ黄色色素製剤0.4質量%(クチナシ黄色色素含量7質量%)を混合し水相とした。この油相と水相とを加熱溶解、混合、乳化、均質化し、掻き取り式加熱装置で100℃で2分間加熱殺菌し、厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填後、22℃まで冷却し、ペースト状の水中油型乳化物である緑茶含有フィリングD(フラワーペースト)を得た。
尚、緑茶含有フィリングDでは、上記のとおり緑茶として粉末抹茶を含有し、青色着色料としてクチナシ青色色素を含有しており、緑茶の固形分1質量部に対して青色色素として0.09質量部の青色着色料を含有していた。
【0059】
(比較例1)
沃素価60のパーム分別軟部油のランダムエステル交換油25質量%に、ワキシーコーン由来のリン酸架橋澱粉3質量%及びローカストビーンガム0.05質量%を添加し分散させて油相とした。水38.45質量%、小麦粉1質量%、砂糖30質量%、WPC(ホエータンパク質濃縮物)0.5質量%、トータルミルクプロテイン1.5質量%、及び、粉末抹茶0.5質量%を混合し水相とした。この油相と水相とを加熱溶解、混合、乳化、均質化し、掻き取り式加熱装置で100℃で2分間加熱殺菌し、厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填後、22℃まで冷却し、ペースト状の水中油型乳化物である緑茶含有フィリングE(フラワーペースト)を得た。
尚、緑茶含有フィリングEでは、上記のとおり緑茶として粉末抹茶を含有していた。
【0060】
<光照射試験1>
上記の実施例1~4、比較例1の緑茶含有フィリングを、光を透過するプラカップにとり、蛍光灯の照度2000ルクス(コンビニエンスストアの店内相当)で、室温(25℃)にて24時間照射した各サンプルと、室温(25℃)にて遮光下で24時間保存した各サンプルとを横並びで比較し、下記評価基準で目視で評価した。その結果を表1に示す。
(評価基準)
○:変色・退色が確認されなかった。
△:変色・退色している、あるいは緑茶由来の緑色とは異なる色味を呈しているが、許容範囲であった。
×:変色・退色が確認された、あるいは緑茶由来の緑色とは異なる色味を呈していた。
【0061】
【0062】
青色色素を含有しない緑茶含有フィリングEは、遮光下で保存したものと比較すると、明らかに変色・退色し、緑茶由来の緑色とは異なる色味を呈していた。一方、青色色素を含有する緑茶含有フィリングA~Dでは緑茶由来の鮮やかな緑色を呈しており、経時的な色調の変化が確認されなかった。また、フィリング中の緑茶量と青色色素の量を一定範囲で増加させても、緑茶由来の鮮やかな緑色が得られる傾向が示唆された。
【0063】
<光照射試験2>
上記の実施例1~4、比較例1の緑茶含有フィリングについて、上記の光照射試験1と同条件で、室温(25℃)下で36時間又は48時間の光照射を行った。各サンプルと、遮光下で保管した、同時点の緑茶含有フィリングEのサンプルをコントロールとして、下記評価基準に基づいて目視で比較評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
○:コントロールと比較して変色・退色が確認されなかった。
△:コントロールと比較して変色・退色している、あるいは緑茶由来の緑色とは異なる色味を呈しているが、許容範囲であった。
×:コントロールと比較して変色・退色が確認された、あるいは緑茶由来の緑色とは異なる色味を呈していた。
【0064】
【0065】
緑茶含有フィリングA、Bでは、コントロールと比較して同様の色調が得られており、経時的な退色・変色といった色調の変化を抑制する効果が得られていた。緑茶含有フィリングCでは経時的に緑色よりも青色がやや強く発色する傾向が見られたが、許容範囲であった。尚、緑茶含有フィリングDについては、経時的にコントロールとは異なる色調の緑色になることが確認された。
【0066】
次に、ベーカリー生地に本発明のフィリングを折り込み、焼成した場合の変色・退色の程度について確認した。
【0067】
〔実施例5〕
パーム油25質量%及びハイエルシンナタネ極度硬化油(沃素価1未満)0.05質量%に、キサンタンガム0.01質量%及びペクチン0.3質量%を添加し、油相とした。
水34.38質量%、デンプン4質量%、小麦粉3質量%、ゼラチン2質量%、砂糖混合果糖ブドウ糖液糖(糖分75質量%)27質量%、脱脂粉乳3質量%、及び、粉末抹茶0.5質量%、クチナシ青色色素製剤(クチナシ青色色素含量75質量%)0.07質量%、及び香料0.69質量%を混合し、水相とした。この油相と水相とを加熱溶解、混合、乳化、均質化し、加熱殺菌し、厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填後、22℃まで冷却し、長さ400mm、幅200mm、厚さ8mmのシート状の水中油型乳化物である、緑茶含有フィリングF(フラワーペースト)を得た。
尚、緑茶含有フィリングFでは、上記のとおり緑茶として粉末抹茶を含有し、青色着色料としてクチナシ青色色素を含有しており、緑茶の固形分1質量部に対して青色色素として0.105質量部の青色着色料を含有していた。
【0068】
〔比較例2〕
パーム油25質量%及びハイエルシンナタネ極度硬化油(沃素価1未満)0.05質量%に、キサンタンガム0.01質量%及びペクチン0.3質量%を添加し、油相とした。
水34.45質量%、デンプン4質量%、小麦粉3質量%、ゼラチン2質量%、砂糖混合果糖ブドウ糖液糖(糖分75質量%)27質量%、脱脂粉乳3質量%、及び、粉末抹茶0.5質量%、及び香料0.69質量%を混合し、水相とした。この油相と水相とを加熱溶解、混合、乳化、均質化し、加熱殺菌し、厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充填後、22℃まで冷却し、長さ400mm、幅200mm、厚さ8mmのシート状の水中油型乳化物である、緑茶含有フィリングG(フラワーペースト)を得た。
尚、緑茶含有フィリングGでは、上記のとおり緑茶として粉末抹茶を含有していた。
【0069】
<ベーカリー試験>
実施例5、比較例2で得られたシート状の緑茶含有フィリングF及びGを用いて、下記配合・製法により、該緑茶含有フィリングを折り込んだデニッシュF及びGを製造した。
得られたデニッシュについて、上記の光照射試験と同様に、蛍光灯の照度2000ルクス(コンビニエンスストアの店内相当)で、室温(25℃)にて24時間照射した各サンプルと、室温(25℃)にて遮光下で24時間保存した各サンプルとを横並びで比較し、上記評価基準で目視で評価した。その結果を表3に示す。
【0070】
(デニッシュ用生地の配合)
強力粉 100質量部
イースト 3質量部
イーストフード 0.1質量部
脱脂粉乳3質量部
食塩2質量部
全卵8質量部
練込用マーガリン10質量部
チップ状マーガリン70質量部
冷水48質量部
【0071】
(デニッシュ用生地の製法)
冷水以外の原料をミキサーボールに入れ、縦型ミキサーを用い、低速で各材料が均一になるまで3分混捏した後、撹拌しながら冷水を加え、低速で2分混合し、捏ね上げ温度を20℃とした。次いで、20分フロアタイムを取った後、-20℃の冷凍庫にて60分生地を冷却し、リバースシーターにて生地の3つ折りを3回行なった。
【0072】
(フィリング折り込みデニッシュの製法)
上記デニッシュ用生地100質量部に、上記のシート状の緑茶含有フィリング50質量部を積置後、包み込み、リバースシーターで3つ折り2回のロールイン操作を行い、9層の積層生地である複合生地を得た。この複合生地を2℃で4時間冷却した後、厚さ4mmまで圧延し、幅30mm、長さ150mmにカットして天板に並べ、34℃60分ホイロ後、固定オーブンで200℃15分焼成した。
【0073】
【0074】
青色色素を含有しない緑茶含有フィリングGを使用したデニッシュGでは、光照射試験に付する前から、緑茶由来の緑色の変色・退色がみられていた。これはデニッシュ生地の焼成時に、緑茶中のクロロフィルが分解したためであるとみられる。光照射後は特に顕著に緑茶由来の緑色の変色が目立ち、商品価値を損なっていた。一方、青色色素を含有する緑茶含有フィリングFを使用したデニッシュFでは、変色・退色は殆ど見られず、好ましい鮮やかな緑色を呈色していた。