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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20221129BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H01L21/78 F
B24B27/06 M
H01L21/78 N
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018231648
(22)【出願日】2018-12-11
(65)【公開番号】P2020096035
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】花島 聡
(72)【発明者】
【氏名】北浦 毅
(72)【発明者】
【氏名】花村 奈津子
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-079284(JP,A)
【文献】特開2017-112228(JP,A)
【文献】特開2003-163184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B24B 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエーハを切削する切削装置であって、
開口を有するフレームの該開口にウエーハが位置づけられテープによってフレームとウエーハとが一体になったフレームユニットが収容された第一のカセットと、単体のウエーハが収容された第二のカセットと、が選択的に載置されるカセットテーブルと、
該第一のカセットが該カセットテーブルに載置された際、フレームを挟持し該第一のカセットから引き出す挟持部と、該第二のカセットが該カセットテーブルに載置された際、単体のウエーハを支持し該第二のカセットから引き出す支持部と、を選択的に備えた引き出し手段と、
該引き出し手段の該挟持部によって引き出されたフレームユニットが仮置きされる第一の仮置き手段と、
該引き出し手段の該支持部によって引き出された単体のウエーハが仮置きされる第二の仮置き手段と、
該第一の仮置き手段に位置づけられたフレームユニットのフレームを保持しチャックテーブルに搬送する第一のフレーム保持部と、該第二の仮置き手段に位置づけられた単体のウエーハを保持し該チャックテーブルに搬送する第一のウエーハ保持部とを備える第一の搬送手段と、
該チャックテーブルに保持されたフレームユニットのウエーハまたは単体のウエーハを切削する切削手段と、
切削されたフレームユニットのウエーハまたは単体のウエーハを保持し洗浄する洗浄手段と、
切削されたウエーハのフレームユニットのフレームを保持し該チャックテーブルから該洗浄手段まで搬送する第二のフレーム保持部と、切削された単体のウエーハを保持し該チャックテーブルから該洗浄手段まで搬送する第二のウエーハ保持部とを備える第二の搬送手段と、
から少なくとも構成される切削装置。
【請求項2】
該第一の搬送手段の該第一のフレーム保持部は、該洗浄手段によって洗浄されたフレームユニットのフレームを保持し該洗浄手段から該第一の仮置き手段まで搬送し、該第一の搬送手段の該第一のウエーハ保持部は、該洗浄手段によって洗浄された単体のウエーハを保持し該洗浄手段から該引き出し手段の該支持部まで搬送する請求項1記載の切削装置。
【請求項3】
該第二の仮置き手段には、単体のウエーハの結晶方位を検出する検出部が含まれる請求項1記載の切削装置。
【請求項4】
該第一の搬送手段の該第一のフレーム保持部および該第二の搬送手段の該第二のフレーム保持部はフレームを吸引して保持し、該第一の搬送手段の該第一のウエーハ保持部および該第二の搬送手段の該第二のウエーハ保持部は単体のウエーハにエアーを吹き付けて負圧を生成し非接触で保持する請求項1記載の切削装置。
【請求項5】
該切削手段によって、フレームユニットのウエーハは完全に切断され、単体のウエーハは不完全に切断される請求項1記載の切削装置。
【請求項6】
該第二の搬送手段は、該引き出し手段を備える請求項1記載の切削装置。
【請求項7】
該第一の仮置き手段は、フレームユニットを支持する閉位置とフレームユニットを開放する開位置とに選択的に位置づけられる一対のガイドレールを有し、
該第一のカセットから引き出されたフレームユニットは、閉位置に位置づけられた該一対のガイドレールで支持され、その後、該第一の搬送手段の該第一のフレーム保持部で保持され該一対のガイドレールが開位置に位置づけられて該第一の仮置き手段の直下に位置づけられた該チャックテーブルに搬送される請求項1記載の切削装置。
【請求項8】
該第二の仮置き手段は該第一の仮置き手段の上方かつ該カセットテーブル側に配置されており、
該第二のカセットから該引き出し手段の該支持部によって引き出され該第二の仮置き手段に位置づけられた単体のウエーハは、ノッチが検出された後、該支持部によって再び支持され該第一の搬送手段の該第一のウエーハ保持部に保持され該第一の仮置き手段の直下に位置づけられた該チャックテーブルに搬送される請求項1記載の切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハを切削する切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハは、切削装置によって個々のデバイスチップに分割され、分割された各デバイスチップは携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
ウエーハは、ウエーハを収容する開口を有するフレームに粘着テープを介して配設され、切削装置によって分割予定ラインに沿って完全に切断され、個々のデバイスチップに分割される(たとえば特許文献1参照。)。
【0004】
また、単体のウエーハの分割予定ラインにデバイスチップの厚みに相当する深さの切削溝を形成し、その後ウエーハの表面に保護テープを貼着してウエーハの裏面に切削溝が表出するまで裏面を研削しウエーハを個々のデバイスチップに分割する所謂先ダイシングと称される技術を実施する場合、切削装置によって分割予定ラインにデバイスチップの厚みに相当する深さの切削溝が形成され、ウエーハは不完全に切断される(たとえば特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-110756号公報
【文献】特開2005-46979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、粘着テープを介してフレームに配設されたウエーハを完全に切断する場合と、単体のウエーハを不完全に切断する場合とでは、切削装置が異なり、2種類の切削装置を用意しなければならず不経済であると共に、切削装置の設置面積が増大するという問題がある。
【0007】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、1台の切削装置によってウエーハの完全切断および不完全切断を行うことができる切削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明が提供するのは以下の切削装置である。すなわち、ウエーハを切削する切削装置であって、開口を有するフレームの該開口にウエーハが位置づけられテープによってフレームとウエーハとが一体になったフレームユニットが収容された第一のカセットと、単体のウエーハが収容された第二のカセットと、が選択的に載置されるカセットテーブルと、該第一のカセットが該カセットテーブルに載置された際、フレームを挟持し該第一のカセットから引き出す挟持部と、該第二のカセットが該カセットテーブルに載置された際、単体のウエーハを支持し該第二のカセットから引き出す支持部と、を選択的に備えた引き出し手段と、該引き出し手段の該挟持部によって引き出されたフレームユニットが仮置きされる第一の仮置き手段と、該引き出し手段の該支持部によって引き出された単体のウエーハが仮置きされる第二の仮置き手段と、該第一の仮置き手段に位置づけられたフレームユニットのフレームを保持しチャックテーブルに搬送する第一のフレーム保持部と、該第二の仮置き手段に位置づけられた単体のウエーハを保持し該チャックテーブルに搬送する第一のウエーハ保持部とを備える第一の搬送手段と、該チャックテーブルに保持されたフレームユニットのウエーハまたは単体のウエーハを切削する切削手段と、切削されたフレームユニットのウエーハまたは単体のウエーハを保持し洗浄する洗浄手段と、切削されたウエーハのフレームユニットのフレームを保持し該チャックテーブルから該洗浄手段まで搬送する第二のフレーム保持部と、切削された単体のウエーハを保持し該チャックテーブルから該洗浄手段まで搬送する第二のウエーハ保持部とを備える第二の搬送手段と、から少なくとも構成される切削装置である。
【0009】
好ましくは、該第一の搬送手段の該第一のフレーム保持部は、該洗浄手段によって洗浄されたフレームユニットのフレームを保持し該洗浄手段から該第一の仮置き手段まで搬送し、該第一の搬送手段の該第一のウエーハ保持部は、該洗浄手段によって洗浄された単体のウエーハを保持し該洗浄手段から該引き出し手段の該支持部まで搬送する。
該第二の仮置き手段には、単体のウエーハの結晶方位を検出する検出部が含まれるのが好適である。
該第一の搬送手段の該第一のフレーム保持部および該第二の搬送手段の該第二のフレーム保持部はフレームを吸引して保持し、該第一の搬送手段の該第一のウエーハ保持部および該第二の搬送手段の該第二のウエーハ保持部は単体のウエーハにエアーを吹き付けて負圧を生成し非接触で保持するのが好都合である。
該切削手段によって、フレームユニットのウエーハは完全に切断され、単体のウエーハは不完全に切断されるのが好ましい。
該第二の搬送手段は、該引き出し手段を備えるのが好適である。
該第一の仮置き手段は、フレームユニットを支持する閉位置とフレームユニットを開放する開位置とに選択的に位置づけられる一対のガイドレールを有し、該第一のカセットから引き出されたフレームユニットは、閉位置に位置づけられた該一対のガイドレールで支持され、その後、該第一の搬送手段の該第一のフレーム保持部で保持され該一対のガイドレールが開位置に位置づけられて該第一の仮置き手段の直下に位置づけられた該チャックテーブルに搬送されるのが好都合である。
該第二の仮置き手段は該第一の仮置き手段の上方かつ該カセットテーブル側に配置されており、該第二のカセットから該引き出し手段の該支持部によって引き出され該第二の仮置き手段に位置づけられた単体のウエーハは、ノッチが検出された後、該支持部によって再び支持され該第一の搬送手段の該第一のウエーハ保持部に保持され該第一の仮置き手段の直下に位置づけられた該チャックテーブルに搬送されるのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明が提供する切削装置は、開口を有するフレームの該開口にウエーハが位置づけられテープによってフレームとウエーハとが一体になったフレームユニットが収容された第一のカセットと、単体のウエーハが収容された第二のカセットと、が選択的に載置されるカセットテーブルと、該第一のカセットが該カセットテーブルに載置された際、フレームを挟持し該第一のカセットから引き出す挟持部と、該第二のカセットが該カセットテーブルに載置された際、単体のウエーハを支持し該第二のカセットから引き出す支持部と、を選択的に備えた引き出し手段と、該引き出し手段の該挟持部によって引き出されたフレームユニットが仮置きされる第一の仮置き手段と、該引き出し手段の該支持部によって引き出された単体のウエーハが仮置きされる第二の仮置き手段と、該第一の仮置き手段に位置づけられたフレームユニットのフレームを保持しチャックテーブルに搬送する第一のフレーム保持部と、該第二の仮置き手段に位置づけられた単体のウエーハを保持し該チャックテーブルに搬送する第一のウエーハ保持部とを備える第一の搬送手段と、該チャックテーブルに保持されたフレームユニットのウエーハまたは単体のウエーハを切削する切削手段と、切削されたフレームユニットのウエーハまたは単体のウエーハを保持し洗浄する洗浄手段と、切削されたウエーハのフレームユニットのフレームを保持し該チャックテーブルから該洗浄手段まで搬送する第二のフレーム保持部と、切削された単体のウエーハを保持し該チャックテーブルから該洗浄手段まで搬送する第二のウエーハ保持部とを備える第二の搬送手段と、から少なくとも構成されているので、1台の切削装置によってウエーハの完全切断および不完全切断を行うことができ経済的であることに加え、切削装置の設置面積の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に従って構成された切削装置の斜視図。
図2図1に示すカセットテーブルに選択的に載置される第一のカセットおよび第二のカセットの斜視図。
図3図1に示す引き出し手段の斜視図。
図4図1に示す第一の仮置き手段および第二の仮置き手段の斜視図。
図5図1に示す第一の搬送手段の斜視図。
図6図5に示す第一の搬送手段の第一のフレーム保持部および第一のウエーハ保持部の斜視図。
図7図1に示す切削装置から第一の搬送手段等を省略した切削装置の一部斜視図。
図8図1に示す第二の搬送手段の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成された切削装置の好適実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1に示すとおり、全体を符号2で示す切削装置は、図1に矢印Zで示すZ軸方向に昇降可能な矩形状のカセットテーブル4と、カセットテーブル4をZ軸方向に昇降させるカセットテーブル昇降手段(図示していない。)とを備える。カセットテーブル昇降手段は、カセットテーブル4に連結されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。なお、図1に矢印Xで示すX軸方向はZ軸方向に直交する方向であり、図1に矢印Yで示すY軸方向はX軸方向およびZ軸方向に直交する方向である。また、X軸方向およびY軸方向が規定する平面は実質上水平である。
【0014】
図2には、カセットテーブル4に選択的に載置される第一のカセット6および第二のカセット8が示されている。第一のカセット6には、開口10aを有するフレーム10の開口10aにウエーハ12が位置づけられテープ14によってフレーム10とウエーハ12とが一体になったフレームユニット16が複数収容されている。第一のカセット6よりも小さい第二のカセット8には、単体のウエーハ12が複数収容されている。
【0015】
図示の実施形態では図2に示すとおり、環状のフレーム10に粘着性を有する円形テープ14の周縁が固定されていると共に、円盤状のウエーハ12の裏面12bがテープ14に貼着されてフレームユニット16が構成されている。また、第一のカセット6に収容されているフレームユニット16のウエーハ12と、第二のカセット8に収容されている単体のウエーハ12とは実質上同一でよく、それぞれのウエーハ12の表面12aは、格子状の分割予定ライン18によって複数の矩形領域に区画され、複数の矩形領域のそれぞれにはIC、LSI等のデバイス20が形成されている。また、ウエーハ12の周縁には、ウエーハ12の結晶方位を示すノッチ(切り欠き)22が形成されている。
【0016】
図1に示すとおり、切削装置2は、第一のカセット6がカセットテーブル4に載置された際、フレーム10を挟持し第一のカセット6から引き出す挟持部24と、第二のカセット8がカセットテーブル4に載置された際、単体のウエーハ12を支持し第二のカセット8から引き出す支持部26と、を選択的に備えた引き出し手段28を備える。
【0017】
図3を参照して引き出し手段28について説明する。引き出し手段28の挟持部24は、支持部材30と、支持部材30に旋回自在に支持された旋回部材32と、旋回部材32を旋回させる旋回モータ34と、旋回部材32に装着された一対の挟持片36とを含む。旋回部材32は、図3に実線で示す作用位置と、図3に二点鎖線で示す非作用位置とに選択的に旋回モータ34によって位置づけられるようになっている。また、エアー駆動式の一対の挟持片36は、互いの間隔を拡張自在かつ縮小自在に構成されている。
【0018】
図3に示すとおり、引き出し手段28の支持部26は、Y軸方向に延びるケーシング38と、Y軸方向に移動自在にケーシング38に支持された支持片40とを含む。エアー駆動式の支持片40は、図3に示す非作用位置と、非作用位置よりも図3の左側かつ紙面手前側の作用位置との間でY軸方向に移動自在に構成されている。また、支持片40の先端側のU型状部分の上面には、流路(図示していない。)を介して吸引手段(図示していない。)に接続された複数の吸引孔42が形成されている。
【0019】
また、図示の実施形態の引き出し手段28は、後述の第二の搬送手段142のY軸送り手段146(図1参照。)でY軸方向に移動されると共に、第二の搬送手段142のZ軸送り手段(図示していない。)でZ軸方向に移動されるようになっている。なお、切削装置2には、第二の搬送手段142のY軸送り手段146およびZ軸送り手段とは別個に、引き出し手段28をY軸方向に移動させるY軸送り手段と、引き出し手段28をZ軸方向に移動させるZ軸送り手段とが設けられていてもよい。
【0020】
そして、引き出し手段28においては、第一のカセット6がカセットテーブル4に載置された際、挟持部24の旋回モータ34で旋回部材32を作用位置に位置づけると共に、支持部26の支持片40を非作用位置に位置づけた上で、第二の搬送手段142のY軸送り手段146およびZ軸送り手段で一対の挟持片36を第一のカセット6内のフレーム10の端部に位置づけた後、一対の挟持片36でフレーム10を挟持するようになっている。次いで、引き出し手段28の挟持部24は、第二の搬送手段142のY軸送り手段146でY軸方向に移動することにより、一対の挟持片36で挟持したフレーム10をY軸方向に移動して第一のカセット6から引き出すようになっている。
【0021】
また、引き出し手段28においては、第二のカセット8がカセットテーブル4に載置された際、支持部26の支持片40を作用位置に位置づけると共に、挟持部24の旋回部材32を非作用位置に位置づけた上で、第二の搬送手段142のY軸送り手段146およびZ軸送り手段で支持片40を第二のカセット8内の単体のウエーハ12の下面に支持片40のU型状部分を位置づけた後、吸引手段で支持片40の上面に吸引力を生成することにより、単体のウエーハ12を支持片40で吸引支持するようになっている。次いで、引き出し手段28の支持部26は、第二の搬送手段142のY軸送り手段146でY軸方向に移動することにより、支持片40で吸引支持した単体のウエーハ12をY軸方向に移動して第二のカセット8から引き出すようになっている。
【0022】
図1に示すとおり、切削装置2は、引き出し手段28の挟持部24によって引き出されたフレームユニット16が仮置きされる第一の仮置き手段44と、引き出し手段28の支持部26によって引き出された単体のウエーハ12が仮置きされる第二の仮置き手段46とを備える。
【0023】
図4を参照して説明すると、第一の仮置き手段44は、X軸方向に間隔をおいて配置された断面L字状の一対のガイドレール48と、一対のガイドレール48のX軸方向間隔を変更するガイドレール開閉部50とを有する。ガイドレール開閉部50は、一対のガイドレール48に連結された複数のエアシリンダまたは電動シリンダを含み、一対のガイドレール48でフレームユニット16を支持する閉位置と、閉位置よりも一対のガイドレール48のX軸方向間隔が広くフレームユニット16を開放する開位置とに選択的に一対のガイドレール48を位置づけるようになっている。なお、一対のガイドレール48は、適宜のブラケット(図示していない。)を介してX軸方向に移動自在に支持されている。
【0024】
図4を参照して説明を続けると、第二の仮置き手段46は、第一の仮置き手段44の一対のガイドレール48の上方かつY軸方向のカセットテーブル4側に配置されており、適宜のブラケット(図示していない。)を介して固定された直方体状の基台52と、基台52に回転自在に搭載された円形状の仮置きテーブル54と、仮置きテーブル54を回転させる仮置きテーブル用モータ(図示していない。)とを含む。仮置きテーブル54の上面には、流路(図示していない。)を介して吸引手段(図示していない。)に接続された吸引溝56が形成されている。そして、第二の仮置き手段46においては、吸引手段で仮置きテーブル54の上面に吸引力を生成することにより、単体のウエーハ12を仮置きテーブル54で吸引保持するようになっている。なお、仮置きテーブル54の直径は、引き出し手段28の支持片40のU型状部分の先端間寸法よりも小さく、単体のウエーハ12の下面側を支持片40で吸引支持した状態で、単体のウエーハ12の下面を仮置きテーブル54の上面に接触させることができるようになっている。
【0025】
また、図示の実施形態の第二の仮置き手段46には、単体のウエーハ12の結晶方位を検出する検出部58が含まれる。この検出部58には、上下方向において互いに対面する位置に配置された発光素子および受光素子を有するラインセンサー(図示していない。)が配置されている。そして、第二の仮置き手段46においては、単体のウエーハ12を吸引保持した仮置きテーブル54を仮置きテーブル用モータで回転させながら、仮置きテーブル54の回転角度に関連づけて、検出部58のラインセンサーでノッチ22の位置を検出することにより、単体のウエーハ12の結晶方位を検出するようになっている。
【0026】
図1に示すとおり、切削装置2は、第一の仮置き手段44に位置づけられたフレームユニット16のフレーム10を保持しチャックテーブルに搬送する第一のフレーム保持部60と、第二の仮置き手段46に位置づけられた単体のウエーハ12を保持しチャックテーブルに搬送する第一のウエーハ保持部62とを備える第一の搬送手段64を含む。
【0027】
図1および図5を参照して説明すると、第一の搬送手段64は、門型の支持フレーム66(図1参照。)にY軸方向に移動自在に支持されたY軸可動部材68と、Y軸可動部材68をY軸方向に移動させるY軸送り手段70と、Y軸可動部材68の下端にZ軸方向に昇降自在に支持されたZ軸可動部材72と、Z軸可動部材72をZ軸方向に昇降させるZ軸送り手段(図示していない。)とを含む。
【0028】
図5に示すとおり、第一の搬送手段64のY軸送り手段70は、Y軸方向に延びるボールねじ74と、ボールねじ74を回転させるモータ76とを有し、ボールねじ74のナット部(図示していない。)はY軸可動部材68に連結されている。そして、Y軸送り手段70は、ボールねじ74によりモータ76の回転運動を直線運動に変換してY軸可動部材68に伝達し、支持フレーム66に設けられた一対の案内レール78に沿ってY軸可動部材68をY軸方向に移動させるようになっている。また、第一の搬送手段64のZ軸送り手段は、Z軸可動部材72に連結されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0029】
図5および図6を参照して第一の搬送手段64についての説明を続ける。図5に示すとおり、第一の搬送手段64の第一のフレーム保持部60は、Z軸可動部材72の下端に固定されたH型状のプレート80と、プレート80の下面に設けられた複数の吸引パッド82とを有し、各吸引パッド82は吸引手段(図示していない。)に接続されている。
【0030】
そして、第一のフレーム保持部60においては、吸引手段で吸引パッド82に吸引力を生成することにより、第一の仮置き手段44に位置づけられたフレームユニット16のフレーム10を吸引パッド82で吸引して保持するようになっている。また、第一の搬送手段64は、Y軸送り手段70でY軸可動部材68を移動させると共に、Z軸送り手段でZ軸可動部材72を移動させることにより、第一のフレーム保持部60で吸引保持したフレームユニット16を第一の仮置き手段44から後述のチャックテーブル90に搬送するようになっている。
【0031】
また、図5および図6に示すとおり、第一のウエーハ保持部62は、プレート80の下面に接続された円形状の基板84と、基板84の下方に向かってエアーを吹き付ける複数のエアー吹き付け部材86と、基板84の周縁部分に設けられた複数の外周規制部材88とを有する。エアー吹き付け部材86はエアー供給手段(図示していない。)に接続されている。
【0032】
そして、第一のウエーハ保持部62においては、エアー吹き付け部材86に接続されたエアー供給手段を作動させて、第二の仮置き手段46に位置づけられた単体のウエーハ12に向かってエアー吹き付け部材86からエアーを吹き付けてベルヌーイ効果によってエアー吹き付け部材86の下端に負圧を生成し、エアー吹き付け部材86により単体のウエーハ12を非接触で吸引保持するようになっている。第一のウエーハ保持部62に非接触で単体のウエーハ12が吸引保持された際、単体のウエーハ12の水平移動が複数の外周規制部材88によって規制される。また、第一の搬送手段64は、Y軸送り手段70でY軸可動部材68を移動させると共に、Z軸送り手段でZ軸可動部材72を移動させることにより、第一のウエーハ保持部62で吸引保持した単体のウエーハ12を第二の仮置き手段46から後述のチャックテーブル90に搬送するようになっている。
【0033】
図7を参照して説明すると、切削装置2は、さらに、フレームユニット16のウエーハ12または単体のウエーハ12を保持するチャックテーブル90を含む保持手段92と、チャックテーブル90に保持されたフレームユニット16のウエーハ12または単体のウエーハ12を切削する切削手段94とを備える。
【0034】
保持手段92は、Y軸方向に間隔をおいてX軸方向に延びる一対の案内レール96と、X軸方向に移動自在に一対の案内レール96に搭載されたX軸可動部材98と、X軸可動部材98をX軸方向に移動させるX軸送り手段100とを含む。X軸送り手段100は、X軸可動部材98に連結されX軸方向に延びるボールねじ102と、ボールねじ102を回転させるモータ104とを有する。
【0035】
チャックテーブル90はX軸可動部材98の上端に回転自在に設けられており、チャックテーブル90を回転させるチャックテーブル用モータ(図示していない。)がX軸可動部材98に内蔵されている。チャックテーブル90の上面には、吸引手段(図示していない。)に接続された多孔質の円形状の吸着チャック106が配置されている。そして、チャックテーブル90においては、吸引手段で吸着チャック106の上面に吸引力を生成することにより、フレームユニット16のウエーハ12または単体のウエーハ12を吸着チャック106で吸引保持するようになっている。また、チャックテーブル90の周縁には、フレームユニット16のフレーム10を固定するための複数のクランプ108が付設されている。
【0036】
図示の実施形態では図7に示すとおり、支持フレーム66に一対の切削手段94が設けられている。各切削手段94は、Y軸方向およびZ軸方向に移動自在に支持フレーム66に支持されたスピンドルハウジング110と、スピンドルハウジング110をY軸方向に移動させるY軸送り手段112(一方のみ図示している。)と、スピンドルハウジング110をZ軸方向に移動させるZ軸送り手段114とを含む。Y軸送り手段112は、スピンドルハウジング110に連結されY軸方向に延びるボールねじ(図示していない。)と、このボールねじを回転させるモータ116とを有し、Z軸送り手段114は、スピンドルハウジング110に連結されZ軸方向に延びるボールねじ(図示していない。)と、このボールねじを回転させるモータ118とを有する。
【0037】
図7を参照して切削手段94についての説明を続けると、スピンドルハウジング110には、Y軸方向に延びる軸線を中心として回転自在にスピンドル120が支持されていると共に、スピンドル120を回転させるスピンドル用モータ(図示していない。)が設けられている。また、スピンドル120の先端には環状の切削ブレード122が固定されている。
【0038】
そして、切削手段94においては、スピンドル120と共に切削ブレード122をスピンドル用モータで高速回転させた上で、Z軸送り手段114でスピンドルハウジング110を下降させ、チャックテーブル90に保持されたフレームユニット16のウエーハ12または単体のウエーハ12に、高速回転させた切削ブレード122を切り込ませると共に、X軸送り手段100でチャックテーブル90を所定の加工送り速度でX軸方向に加工送りすることによって、フレームユニット16のウエーハ12または単体のウエーハ12を切削するようになっている。
【0039】
図7を参照して更に説明を続けると、切削装置2は、切削されたフレームユニット16のウエーハ12または単体のウエーハ12を保持し洗浄する洗浄手段124を備える。
【0040】
洗浄手段124は、円筒状のケーシング126と、ケーシング126の内部に回転自在かつZ軸方向に昇降自在に配置されたスピンナーテーブル128と、スピンナーテーブル128を回転させるスピンナーテーブル用モータ(図示していない。)と、ウエーハ12を着脱するための上部着脱位置とウエーハ12を洗浄するための下部洗浄位置との間でスピンナーテーブル128をZ軸方向に昇降させるスピンナーテーブル昇降手段(図示していない。)とを含む。スピンナーテーブル昇降手段は、エアシリンダまたは電動シリンダを有する構成でよい。
【0041】
スピンナーテーブル128の上面には、吸引手段(図示していない。)に接続された多孔質の円形状の吸着チャック130が配置されている。そして、スピンナーテーブル128においては、吸引手段で吸着チャック130の上面に吸引力を生成することにより、フレームユニット16のウエーハ12または単体のウエーハ12を吸着チャック130で吸引保持するようになっている。また、スピンナーテーブル128の周縁には、フレームユニット16のフレーム10を固定するための複数のクランプ132が付設されている。
【0042】
また、図7に示すとおり、洗浄手段124は、スピンナーテーブル128に保持されたフレームユニット16のウエーハ12または単体のウエーハ12の上面に洗浄水を噴射する洗浄水ノズル134と、スピンナーテーブル128に保持されたフレームユニット16のウエーハ12または単体のウエーハ12の上面に乾燥エアーを噴射するエアーノズル136とを含む。洗浄水ノズル134およびエアーノズル136のそれぞれは、下部洗浄位置に位置づけられたスピンナーテーブル128の上方に位置する作用位置と、スピンナーテーブル128の上方から離間した図7に示す非作用位置とに選択的に位置づけられるようになっている。
【0043】
そして、洗浄手段124においては、フレームユニット16のウエーハ12または単体のウエーハ12を保持したスピンナーテーブル128をスピンナーテーブル昇降手段で上部着脱位置から下部洗浄位置に下降させると共に、洗浄水ノズル134を作用位置に位置づけた上で、スピンナーテーブル用モータでスピンナーテーブル128を回転させつつ、スピンナーテーブル128で保持したフレームユニット16のウエーハ12または単体のウエーハ12に向かって洗浄水ノズル134から洗浄水を噴射することにより、フレームユニット16のウエーハ12または単体のウエーハ12を洗浄することができると共に、スピンナーテーブル128の回転による遠心力でフレームユニット16または単体のウエーハ12の上面から洗浄水を除去することができる。
【0044】
また、洗浄手段124においては、洗浄水ノズル134を非作用位置に位置づけると共に、エアーノズル136を作用位置に位置づけた上で、スピンナーテーブル128で保持したフレームユニット16または単体のウエーハ12に向かってエアーノズル136から乾燥エアーを噴射することにより、スピンナーテーブル128の回転による遠心力では除去しきれなかった洗浄水をフレームユニット16また単体のウエーハ12の上面から除去し、フレームユニット16または単体のウエーハ12の上面を乾燥させることができる。
【0045】
図1に示すとおり、切削装置2は、切削されたウエーハ12のフレームユニット16のフレーム10を保持しチャックテーブル90から洗浄手段124まで搬送する第二のフレーム保持部138と、切削された単体のウエーハ12を保持しチャックテーブル90から洗浄手段124まで搬送する第二のウエーハ保持部140とを備える第二の搬送手段142を含む。
【0046】
図1および図8を参照して説明すると、第二の搬送手段142は、門型の支持フレーム66(図1参照。)にY軸方向に移動自在に支持されたY軸可動部材144と、Y軸可動部材144をY軸方向に移動させるY軸送り手段146と、Y軸可動部材144の下端にZ軸方向に昇降自在に支持されたZ軸可動部材148と、Z軸可動部材148をZ軸方向に昇降させるZ軸送り手段(図示していない。)とを含む。
【0047】
図8に示すとおり、第二の搬送手段142のY軸送り手段146は、Y軸方向に延びるボールねじ150と、ボールねじ150を回転させるモータ152とを有し、ボールねじ150のナット部(図示していない。)はY軸可動部材144に連結されている。そして、Y軸送り手段146は、ボールねじ150によりモータ152の回転運動を直線運動に変換してY軸可動部材144に伝達し、支持フレーム66に設けられた一対の案内レール154に沿ってY軸可動部材144をY軸方向に移動させるようになっている。また、第二の搬送手段142のZ軸送り手段は、Z軸可動部材148に連結されZ軸方向に延びるボールねじと、このボールねじを回転させるモータとを有する構成でよい。
【0048】
図3および図8を参照して第二の搬送手段142についての説明を続ける。第二の搬送手段142の第二のフレーム保持部138は、Z軸可動部材148の下端に固定されたH型状のプレート156と、プレート156の下面に設けられた複数の吸引パッド158とを有し、各吸引パッド158は吸引手段(図示していない。)に接続されている。
【0049】
そして、第二のフレーム保持部138においては、吸引手段で吸引パッド158に吸引力を生成することにより、切削されたウエーハ12のフレームユニット16のフレーム10を吸引パッド158で吸引して保持するようになっている。また、第二の搬送手段142は、Y軸送り手段146でY軸可動部材144を移動させると共に、Z軸送り手段でZ軸可動部材148を移動させることにより、第二のフレーム保持部138で吸引保持したフレームユニット16をチャックテーブル90から洗浄手段124まで搬送するようになっている。
【0050】
また、図3および図8に示すとおり、第二のウエーハ保持部140は、プレート156の下面に接続された円形状の基板160と、基板160の下方に向かってエアーを吹き付ける複数のエアー吹き付け部材162と、基板160の周縁部分に設けられた複数の外周規制部材164とを有する。エアー吹き付け部材162はエアー供給手段(図示していない。)に接続されている。
【0051】
そして、第二のウエーハ保持部140においては、エアー吹き付け部材162に接続されたエアー供給手段を作動させて、切削された単体のウエーハ12に向かってエアー吹き付け部材162からエアーを吹き付けてベルヌーイ効果によってエアー吹き付け部材162の下端に負圧を生成し、エアー吹き付け部材162により単体のウエーハ12を非接触で吸引保持するようになっている。第二のウエーハ保持部140に非接触で単体のウエーハ12が吸引保持された際、単体のウエーハ12の水平移動が複数の外周規制部材164によって規制される。また、第二の搬送手段142は、Y軸送り手段146でY軸可動部材144を移動させると共に、Z軸送り手段でZ軸可動部材148を移動させることにより、第二のウエーハ保持部140で吸引保持した単体のウエーハ12をチャックテーブル90から洗浄手段124まで搬送するようになっている。
【0052】
図3および図8を参照することによって理解されるとおり、図示の実施形態の第二の搬送手段142は上述の引き出し手段28を備えており、第二の搬送手段142の第二のフレーム保持部138のH型状のプレート156の上面に、引き出し手段28の挟持部24および支持部26が配置されている。
【0053】
図示の実施形態では図7に示すとおり、切削装置2は、洗浄手段124によって洗浄されたフレームユニット16または単体のウエーハ12の下面に乾燥エアーを噴射する下面エアーブロー部材166を備える。下面エアーブロー部材166は、洗浄手段124のケーシング126に隣接して配置されており、適宜のブラケット(図示していない。)を介して固定されている。X軸方向に沿って延びる中空状の下面エアーブロー部材166の上面には、X軸方向に間隔をおいて複数の噴射口168が形成されている。
【0054】
そして、下面エアーブロー部材166においては、洗浄されたフレームユニット16または単体のウエーハ12が洗浄手段124から搬送されている際に、フレームユニット16または単体のウエーハ12の下面に向かって噴射口168から乾燥エアーを噴射することにより、フレームユニット16または単体のウエーハ12の下面から洗浄水を除去して乾燥させることができる。
【0055】
次に、上述したとおりの切削装置2を用いてウエーハ12を切削する方法について説明する。切削装置2では、フレームユニット16のウエーハ12および単体のウエーハ12の双方に対して切削加工を施すことができるが、まず、フレームユニット16のウエーハ12を切削する方法について説明し、その後、単体のウエーハ12を切削する方法について説明する。
【0056】
切削装置2を用いてフレームユニット16のウエーハ12の切削する際は、まず、開口10aを有するフレーム10の開口10aにウエーハ12が位置づけられテープ14によってフレーム10とウエーハ12とが一体になったフレームユニット16が収容された第一のカセット6をカセットテーブル4に載置するカセット載置工程を実施する。第一のカセット6には、ウエーハ12の表面12aが上を向いた状態で複数のウエーハ12が収容されている。
【0057】
カセット載置工程を実施した後、カセットテーブル4に載置された第一のカセット6内のフレーム10を引き出し手段28の挟持部24で挟持し、第一のカセット6からフレームユニット16を引き出すフレーム引き出し工程を実施する。
【0058】
フレーム引き出し工程では、まず、引き出し手段28の挟持部24の旋回部材32を作用位置に位置づけると共に、支持部26の支持片40を非作用位置に位置づける。次いで、第二の搬送手段142のY軸送り手段146およびZ軸送り手段を作動させ、第一のカセット6内の任意のフレームユニット16のフレーム10の端部に一対の挟持片36を位置づける。そして、一対の挟持片36でフレーム10の端部を挟持した後、第二の搬送手段142のY軸送り手段146で挟持部24をY軸方向に移動して、第一のカセット6からフレームユニット16を引き出す。
【0059】
フレーム引き出し工程を実施した後、引き出し手段28の挟持部24によって第一のカセット6から引き出したフレームユニット16を第一の仮置き手段44に仮置きする仮置き工程を実施する。
【0060】
仮置き工程では、まず、第二の搬送手段142のY軸送り手段146およびZ軸送り手段を作動させ、引き出し手段28の挟持部24によって第一のカセット6から引き出したフレームユニット16の下面を一対のガイドレール48の上面に接触させる。この際、第一の仮置き手段44の一対のガイドレール48は、フレームユニット16を支持する閉位置にガイドレール開閉部50によって位置づけられている。そして、一対の挟持片36によるフレーム10の挟持を解除して、一対のガイドレール48にフレームユニット16を仮置きする。
【0061】
仮置き工程を実施した後、第一の仮置き手段44に位置づけられたフレームユニット16のフレーム10を第一の搬送手段64の第一のフレーム保持部60で保持しチャックテーブル90に搬送する第一のフレーム搬送工程を実施する。
【0062】
第一のフレーム搬送工程では、まず、第一の搬送手段64のY軸送り手段70およびZ軸送り手段を作動させ、第一の仮置き手段44に位置づけられたフレームユニット16の上方に第一のフレーム保持部60を位置づける。また、第二の搬送手段142のY軸送り手段146およびZ軸送り手段を適宜作動させ、仮置き工程でフレームユニット16を第一の仮置き手段44に仮置きした引き出し手段28の挟持部24を、第一のフレーム搬送工程を妨げない位置に移動させる。
【0063】
次いで、第一の搬送手段64のZ軸送り手段で第一のフレーム保持部60を下降させ、フレームユニット16のフレーム10に吸引パッド82を密着させる。次いで、吸引手段で吸引パッド82に吸引力を生成し、吸引パッド82でフレーム10を吸引保持する。次いで、フレームユニット16を開放する開位置に、第一の仮置き手段44の一対のガイドレール48をガイドレール開閉部50によって位置づける。なお、一対のガイドレール48の開位置においては、フレームユニット16を保持した第一のフレーム保持部60が一対のガイドレール48の間を通過することができるようになっている。
【0064】
次いで、第一の搬送手段64のZ軸送り手段で第一のフレーム保持部60を下降させ、X軸送り手段100で第一の仮置き手段44の直下に位置づけられたチャックテーブル90の上面に、吸引パッド82で吸引保持したフレームユニット16の下面を接触させる。次いで、吸引パッド82の吸引力を解除して、チャックテーブル90にフレームユニット16を受け渡す。このようにして、第一の仮置き手段44からチャックテーブル90にフレームユニット16を搬送する。
【0065】
第一のフレーム搬送工程を実施した後、チャックテーブル90に保持されたフレームユニット16のウエーハ12を切削する切削工程を実施する。
【0066】
切削工程では、まず、チャックテーブル90の上面でフレームユニット16のウエーハ12を吸引保持すると共に、複数のクランプ108でフレーム10を固定する。次いで、フレームユニット16のウエーハ12を撮像手段(図示していない。)で撮像し、撮像手段で撮像したウエーハ12の画像に基づいて、ウエーハ12の分割予定ライン18をX軸方向に整合させると共に、X軸方向に整合させた分割予定ライン18の上方に一対の切削手段94のそれぞれの切削ブレード122を位置づける。次いで、各切削ブレード122を各スピンドル120と共に各スピンドル用モータで回転させる。
【0067】
次いで、スピンドルハウジング110をZ軸送り手段114で下降させ、X軸方向に整合させた分割予定ライン18に各切削ブレード122の刃先をウエーハ12の表面12aから裏面12bに至るまで切り込ませると共に、切削手段94に対してチャックテーブル90を相対的にX軸方向に加工送りして分割予定ライン18に沿って切削し、ウエーハ12を完全に切断する完全切断加工を行う。
【0068】
次いで、分割予定ライン18のY軸方向間隔の分だけ、チャックテーブル90に対して各切削手段94をY軸方向に割り出し送りしながら完全切断加工を繰り返し、X軸方向に整合させた分割予定ライン18のすべてを完全に切断する。次いで、チャックテーブル90を90度回転させた上で、割り出し送りしながら完全切断加工を繰り返し、先に完全切断加工を施した分割予定ライン18と直交する分割予定ライン18のすべてを完全に切断する。このようにして、チャックテーブル90に保持されたフレームユニット16のウエーハ12を個々のデバイス20ごとのデバイスチップに分割する。なお、フレームユニット16のウエーハ12に対する切削工程においては、ウエーハ12は完全に切断されてもテープ14は完全には切断されておらず、各デバイスチップに分割されたウエーハ12はテープ14を介してフレーム10に支持された状態が維持されている。
【0069】
切削工程を実施した後、切削されたウエーハ12のフレームユニット16のフレーム10を第二の搬送手段142の第二のフレーム保持部138で保持しチャックテーブル90から洗浄手段124まで搬送する第二のフレーム搬送工程を実施する。
【0070】
第二のフレーム搬送工程では、まず、X軸送り手段100でチャックテーブル90を第一の仮置き手段44の直下に位置づける。次いで、チャックテーブル90の吸引力を解除すると共に、複数のクランプ108によるフレーム10の固定を解除する。また、第一の搬送手段64のY軸送り手段70およびZ軸送り手段を適宜作動させ、第一のフレーム搬送工程でフレームユニット16を搬送した第一のフレーム保持部60を、第二のフレーム搬送工程を妨げない位置に移動させる。
【0071】
次いで、第二の搬送手段142のY軸送り手段146を作動させ、チャックテーブル90に載置されているフレームユニット16の上方に第二のフレーム保持部138を位置づける。次いで、第一の仮置き手段44の一対のガイドレール48を開位置に位置づけ、第二の搬送手段142のZ軸送り手段で第二のフレーム保持部138を下降させ、フレームユニット16のフレーム10に吸引パッド158を密着させると共に、吸引パッド158でフレーム10を吸引保持する。
【0072】
次いで、第二の搬送手段142のZ軸送り手段で第二のフレーム保持部138を上昇させた後、第二の搬送手段142のY軸送り手段146を作動させ、吸引パッド158で吸引保持したフレーム10を洗浄手段124のスピンナーテーブル128の上方に位置づける。次いで、第二の搬送手段142のZ軸送り手段で第二のフレーム保持部138を下降させ、上部着脱位置に位置づけられているスピンナーテーブル128の上面に、吸引パッド158で吸引保持したフレームユニット16の下面を接触させる。次いで、吸引パッド158の吸引力を解除して、スピンナーテーブル128にフレームユニット16を受け渡す。このようにして、切削されたウエーハ12のフレームユニット16をチャックテーブル90から洗浄手段124に搬送する。
【0073】
第二のフレーム搬送工程を実施した後、切削されたフレームユニット16のウエーハ12を洗浄手段124で保持し洗浄する洗浄工程を実施する。
【0074】
洗浄工程では、まず、スピンナーテーブル128の上面でフレームユニット16のウエーハ12を吸引保持すると共に、複数のクランプ132でフレーム10を固定する。次いで、スピンナーテーブル昇降手段でスピンナーテーブル128を上部着脱位置から下部洗浄位置に下降させる。次いで、洗浄水ノズル134を非作用位置から作用位置に位置づけた後、スピンナーテーブル用モータでスピンナーテーブル128を回転させつつ、切削されたフレームユニット16のウエーハ12に向かって洗浄水ノズル134から洗浄水を噴射する。これによって、フレームユニット16のウエーハ12を洗浄して切削屑を除去することができると共に、スピンナーテーブル128の回転による遠心力でフレームユニット16の上面から洗浄水を除去することができる。
【0075】
次いで、洗浄水ノズル134を作用位置から非作用位置に位置づけると共に、エアーノズル136を非作用位置から作用位置に位置づけた後、フレームユニット16に向かってエアーノズル136から乾燥エアーを噴射する。これによって、スピンナーテーブル128の回転による遠心力では除去しきれなかった洗浄水をフレームユニット16の上面から除去し、フレームユニット16の上面を乾燥させることができる。その後、エアーノズル136を作用位置から非作用位置に位置づけると共に、スピンナーテーブル128を下部洗浄位置から上部着脱位置に位置づける。そして、スピンナーテーブル128の吸引力を解除すると共に、複数のクランプ132によるフレーム10の固定を解除する。
【0076】
洗浄工程を実施した後、洗浄手段124によって洗浄されたフレームユニット16のフレーム10を第一の搬送手段64の第一のフレーム保持部60で保持し、洗浄手段124から第一の仮置き手段44まで搬送する第三のフレーム搬送工程を実施する。
【0077】
第三のフレーム搬送工程では、まず、第一の搬送手段64のY軸送り手段70を作動させ、スピンナーテーブル128に載置されているフレームユニット16の上方に第一のフレーム保持部60を位置づける。また、第二の搬送手段142のY軸送り手段146およびZ軸送り手段を適宜作動させ、第二のフレーム搬送工程でフレームユニット16を搬送した第二のフレーム保持部138を、第三のフレーム搬送工程を妨げない位置に移動させる。
【0078】
次いで、第一の搬送手段64のZ軸送り手段で第一のフレーム保持部60を下降させ、フレームユニット16のフレーム10に吸引パッド82を密着させると共に、吸引パッド82でフレーム10を吸引保持する。次いで、第一の搬送手段64のZ軸送り手段で第一のフレーム保持部60を上昇させ、吸引パッド82で吸引保持したフレームユニット16をスピンナーテーブル128から上方に離間させる。
【0079】
次いで、第一の搬送手段64のY軸送り手段70を作動させ、第一のフレーム保持部60の吸引パッド82で吸引保持したフレームユニット16を下面エアーブロー部材166の上方を通過させる。この際、フレームユニット16の下面に向かってエアーブロー部材166の噴射口168から乾燥エアーを噴射する。これによって、フレームユニット16の下面から洗浄水を除去し、フレームユニット16の下面を乾燥させることができる。
【0080】
さらに第一の搬送手段64のY軸送り手段70を作動させ、吸引パッド82で吸引保持したフレームユニット16を第一の仮置き手段44の上方に位置づける。次いで、一対のガイドレール48をガイドレール開閉部50で開位置から閉位置に位置づける。次いで、第一の搬送手段64のZ軸送り手段で第一のフレーム保持部60を下降させ、吸引パッド82で吸引保持したフレームユニット16の下面を一対のガイドレール48の上面に接触させる。次いで、吸引パッド82の吸引力を解除して、一対のガイドレール48にフレームユニット16を受け渡す。このようにして、洗浄手段124によって洗浄されたフレームユニット16を洗浄手段124から第一の仮置き手段44に搬送する。
【0081】
第三のフレーム搬送工程を実施した後、第一の仮置き手段44に位置づけられたフレームユニット16のフレーム10を引き出し手段28の挟持部24で挟持し、第一の仮置き手段44から第一のカセット6に搬送して収納する第四のフレーム搬送工程を実施する。
【0082】
第四のフレーム搬送工程では、まず、挟持部24の旋回部材32を作用位置に位置づけると共に支持部26の支持片40を非作用位置に位置づけた状態で、第二の搬送手段142のY軸送り手段146およびZ軸送り手段を作動させ、第一の仮置き手段44に位置づけられたフレームユニット16のフレーム10の端部(カセットテーブル4から遠い方のY軸方向端部)に一対の挟持片36を位置づける。また、第一の搬送手段64のY軸送り手段70およびZ軸送り手段を適宜作動させ、第三のフレーム搬送工程でフレームユニット16を搬送した第一のフレーム保持部60を、第四のフレーム搬送工程を妨げない位置に移動させる。
【0083】
次いで、一対の挟持片36でフレーム10の端部を挟持した後、第二の搬送手段142のY軸送り手段146およびZ軸送り手段でフレームユニット16をY軸方向およびZ軸方向に移動して、第一の仮置き手段44から第一のカセット6にフレームユニット16を搬送して収納する。そして、一対の挟持片36によるフレーム10の挟持を解除し、第一のカセット6にフレームユニット16を支持させる。
【0084】
切削装置2を用いてフレームユニット16のウエーハ12を切削する方法は以上のとおりであり、次に、切削装置2を用いて単体のウエーハ12を切削する方法について説明する。
【0085】
切削装置2を用いて単体のウエーハ12の切削する際は、まず、単体のウエーハ12が収容された第二のカセット8をカセットテーブル4に載置するカセット載置工程を実施する。第二のカセット8には、単体のウエーハ12の表面12aが上を向いた状態で複数のウエーハ12が収容されている。
【0086】
カセット載置工程を実施した後、カセットテーブル4に載置された第二のカセット8内の単体のウエーハ12を引き出し手段28の支持部26で支持し、第二のカセット8から単体のウエーハ12を引き出すウエーハ引き出し工程を実施する。
【0087】
ウエーハ引き出し工程では、まず、引き出し手段28の支持部26の支持片40を作用位置に位置づけると共に、挟持部24の旋回部材32を非作用位置に位置づける。次いで、第二の搬送手段142のY軸送り手段146およびZ軸送り手段を作動させ、第二のカセット8内の任意のウエーハ12の下方に支持片40を差し込む。次いで、支持片40を若干上昇させてウエーハ12の下面(裏面12b)に支持片40の上面に密着させると共に、支持片40の上面でウエーハ12を吸引支持する。そして、第二の搬送手段142のY軸送り手段146で支持片40をY軸方向に移動して、第二のカセット8から単体のウエーハ12を引き出す。
【0088】
ウエーハ引き出し工程を実施した後、引き出し手段28の支持部26によって第二のカセット8から引き出した単体のウエーハ12を第二の仮置き手段46に仮置きする仮置き工程を実施する。
【0089】
仮置き工程では、まず、第二の搬送手段142のY軸送り手段146およびZ軸送り手段を作動させ、引き出し手段28の支持部26によって第二のカセット8から引き出した単体のウエーハ12の下面を第二の仮置き手段46の仮置きテーブル54の上面に接触させる。そして、仮置きテーブル54の上面で単体のウエーハ12を吸引保持すると共に、引き出し手段28の支持片40の吸引力を解除して、第二の仮置き手段46に単体のウエーハ12に仮置きする。
【0090】
仮置き工程を実施した後、第二のカセット8から引き出し手段28の支持部26によって引き出され第二の仮置き手段46に位置づけられた単体のウエーハ12の結晶方位を検出する結晶方位検出工程を実施する。
【0091】
結晶方位検出工程では、単体のウエーハ12を吸引保持した仮置きテーブル54を仮置きテーブル用モータで回転させながら、仮置きテーブル54の回転角度に関連づけて、検出部58のラインセンサーによってノッチ22の位置を検出することにより、単体のウエーハ12の結晶方位を検出する。あるいは、CCD等の撮像手段を検出部58が備えており、仮置きテーブル54に吸引保持された単体のウエーハ12を検出部58の撮像手段で撮像してノッチ22の位置を検出することにより、単体のウエーハ12の結晶方位を検出するようにしてもよい。
【0092】
結晶方位検出工程を実施した後、第二の仮置き手段46に位置づけられた単体のウエーハ12を保持しチャックテーブル90に搬送する第一のウエーハ搬送工程を実施する。
【0093】
図示の実施形態の第一のウエーハ搬送工程では、まず、第二の搬送手段142のY軸送り手段146およびZ軸送り手段を作動させ、第二の仮置き手段46の仮置きテーブル54に吸引保持されている単体のウエーハ12の下面に引き出し手段28の支持部26の支持片40の上面を密着させる。次いで、支持部26の支持片40の上面で単体のウエーハ12を再び吸引支持すると共に、仮置きテーブル54の吸引力を解除する。次いで、第二の搬送手段142のY軸送り手段146およびZ軸送り手段を作動させ、支持片40で吸引支持した単体のウエーハ12を第二の仮置き手段46から離間させる。
【0094】
次いで、第一の搬送手段64のY軸送り手段70およびZ軸送り手段を作動させ、支持片40で吸引支持している単体のウエーハ12の上方に第一のウエーハ保持部62を位置づける。次いで、第一の搬送手段64のZ軸送り手段で第一のウエーハ保持部62を下降させ、あるいは、第二の搬送手段142のZ軸送り手段で支持片40を上昇させることにより、第一のウエーハ保持部62のエアー吹き付け部材86と、支持片40で吸引支持している単体のウエーハ12とを接近させる。次いで、エアー供給手段を作動させてエアー吹き付け部材86から単体のウエーハ12にエアーを吹き付けてベルヌーイ効果によって負圧を生成し、第一のウエーハ保持部62により単体のウエーハ12を非接触で吸引保持する。次いで、引き出し手段28の支持片40の吸引力を解除して、引き出し手段28の支持部26から第一のウエーハ保持部62に単体のウエーハ12を受け渡す。
【0095】
次いで、第二の搬送手段142のY軸送り手段146およびZ軸送り手段を作動させ、単体のウエーハ12を吸引保持した第一のウエーハ保持部62から引き出し手段28の支持部26を離間させる。次いで、第一の仮置き手段44の一対のガイドレール48をガイドレール開閉部50によって開位置に位置づける。
【0096】
次いで、第一の搬送手段64のY軸送り手段70およびZ軸送り手段を作動させ、X軸送り手段100で第二の仮置き手段46の直下に位置づけられたチャックテーブル90の上面に、第一のウエーハ保持部62で吸引保持した単体のウエーハ12の下面を接触させる。次いで、エアー吹き付け部材86からのエアーの吹き付けを停止して第一のウエーハ保持部62の負圧を解除して、チャックテーブル90に単体のウエーハ12を受け渡す。このようにして、第二の仮置き手段46からチャックテーブル90に単体のウエーハ12を搬送する。
【0097】
図示の実施形態では、第二の仮置き手段46の仮置きテーブル54に単体のウエーハ12が位置づけられた際、検出部58と単体のウエーハ12とが上下方向に見て重なっているため、上述したとおり、第二のカセット8から引き出し手段28の支持部26によって引き出され第二の仮置き手段46に位置づけられた単体のウエーハ12のノッチ22を検出した後、引き出し手段28の支持部26によって単体のウエーハ12を再び支持した後、支持部26から第一の搬送手段64の第一のウエーハ保持部62に単体のウエーハ12を受け渡すようにしている。なお、検出部58と単体のウエーハ12とが上下方向に見て重なる検出可能位置と、検出部58と単体のウエーハ12とが上下方向に見て重ならない退避位置との間で検出部58が作動自在に構成されている場合には、検出部58が退避位置に位置した際に、第二の仮置き手段46に位置づけられた単体のウエーハ12を第一のウエーハ保持部62で保持するようにしてもよい。
【0098】
第一のウエーハ搬送工程を実施した後、チャックテーブル90に保持された単体のウエーハ12を切削する切削工程を実施する。
【0099】
切削工程では、まず、チャックテーブル90の上面で単体のウエーハ12を吸引保持する。次いで、単体のウエーハ12を撮像手段(図示していない。)で撮像し、撮像手段で撮像した単体のウエーハ12の画像に基づいて、単体のウエーハ12の分割予定ライン18をX軸方向に整合させると共に、X軸方向に整合させた分割予定ライン18の上方に一対の切削手段94のそれぞれの切削ブレード122を位置づける。次いで、各切削ブレード122を各スピンドル120と共に各スピンドル用モータで回転させる。
【0100】
次いで、スピンドルハウジング110をZ軸送り手段114で下降させ、X軸方向に整合させた分割予定ライン18に各切削ブレード122の刃先をウエーハ12の表面12aからデバイスチップの厚みに相当する深さ(ウエーハ12の裏面12bに至らない深さ)に切り込ませると共に、切削手段94に対してチャックテーブル90を相対的にX軸方向に加工送りして分割予定ライン18に沿って切削し、単体のウエーハ12を不完全に切断する不完全切断加工を行う。
【0101】
次いで、分割予定ライン18のY軸方向間隔の分だけ、チャックテーブル90に対して各切削手段94をY軸方向に割り出し送りしながら不完全切断加工を繰り返し、X軸方向に整合させた分割予定ライン18のすべてを不完全に切断する。次いで、チャックテーブル90を90度回転させた上で、割り出し送りしながら不完全切断加工を繰り返し、先に不完全切断加工を施した分割予定ライン18と直交する分割予定ライン18のすべてを不完全に切断する。このようにして、チャックテーブル90に保持された単体のウエーハ12の表面12a側を切削して、単体のウエーハ12の裏面12bに至らない深さの切削溝(図示していない。)を格子状の分割予定ライン18に沿って形成する。切削された単体のウエーハ12は、分割予定ライン18が完全には切断されておらず個々のデバイス20ごとのデバイスチップには分割されていないため、分割されるべきデバイスチップ同士が連結した状態が維持されている。
【0102】
切削工程を実施した後、切削された単体のウエーハ12を第二の搬送手段142の第二のウエーハ保持部140で保持しチャックテーブル90から洗浄手段124まで搬送する第二のウエーハ搬送工程を実施する。
【0103】
第二のウエーハ搬送工程では、まず、X軸送り手段100でチャックテーブル90を第一の仮置き手段44の直下に位置づける。次いで、チャックテーブル90の吸引力を解除する。また、第一の搬送手段64のY軸送り手段70およびZ軸送り手段を適宜作動させ、第一のウエーハ搬送工程で単体のウエーハ12を搬送した第一のウエーハ保持部62を、第二のウエーハ搬送工程を妨げない位置に移動させる。
【0104】
次いで、第二の搬送手段142のY軸送り手段146を作動させ、チャックテーブル90に載置されている単体のウエーハ12の上方に第二のウエーハ保持部140を位置づける。次いで、第一の仮置き手段44の一対のガイドレール48を開位置に位置づけ、第二の搬送手段142のZ軸送り手段で第二のウエーハ保持部140を下降させ、単体のウエーハ12に第二のウエーハ保持部140を接近させると共に、第二のウエーハ保持部140により単体のウエーハ12を非接触で吸引保持する。
【0105】
次いで、第二の搬送手段142のZ軸送り手段で第二のウエーハ保持部140を上昇させた後、第二の搬送手段142のY軸送り手段146を作動させ、第二のウエーハ保持部140で吸引保持した単体のウエーハ12を洗浄手段124のスピンナーテーブル128の上方に位置づける。次いで、第二の搬送手段142のZ軸送り手段で第二のウエーハ保持部140を下降させ、上部着脱位置に位置づけられているスピンナーテーブル128の上面に、第二のウエーハ保持部140で吸引保持した単体のウエーハ12の下面を接触させる。次いで、第二のウエーハ保持部140の吸引力を解除して、スピンナーテーブル128に単体のウエーハ12を受け渡す。このようにして、切削された単体のウエーハ12をチャックテーブル90から洗浄手段124に搬送する。
【0106】
第二のウエーハ搬送工程を実施した後、切削された単体のウエーハ12を洗浄手段124で保持し洗浄する洗浄工程を実施する。
【0107】
洗浄工程では、まず、スピンナーテーブル128の上面で単体のウエーハ12を吸引保持する。次いで、スピンナーテーブル昇降手段でスピンナーテーブル128を上部着脱位置から下部洗浄位置に下降させる。次いで、洗浄水ノズル134を非作用位置から作用位置に位置づけた後、スピンナーテーブル用モータでスピンナーテーブル128を回転させつつ、切削された単体のウエーハ12に向かって洗浄水ノズル134から洗浄水を噴射する。これによって、単体のウエーハ12を洗浄して切削屑を除去することができると共に、スピンナーテーブル128の回転による遠心力で単体のウエーハ12の上面(表面12a)から洗浄水を除去することができる。
【0108】
次いで、洗浄水ノズル134を作用位置から非作用位置に位置づけると共に、エアーノズル136を非作用位置から作用位置に位置づけた後、単体のウエーハ12に向かってエアーノズル136から乾燥エアーを噴射する。これによって、スピンナーテーブル128の回転による遠心力では除去しきれなかった洗浄水を単体のウエーハ12の上面から除去し、単体のウエーハ12を乾燥させることができる。その後、エアーノズル136を作用位置から非作用位置に位置づけると共に、スピンナーテーブル128を下部洗浄位置から上部着脱位置に位置づける。そして、スピンナーテーブル128の吸引力を解除する。
【0109】
洗浄工程を実施した後、洗浄手段124によって洗浄された単体のウエーハ12を第一の搬送手段64の第一のウエーハ保持部62で保持し、洗浄手段124から引き出し手段28の支持部26まで搬送する第三のウエーハ搬送工程を実施する。
【0110】
第三のウエーハ搬送工程では、まず、第二の搬送手段142のY軸送り手段146およびZ軸送り手段を適宜作動させ、第二のウエーハ保持部140を洗浄手段124から離間させる。次いで、第一の搬送手段64のY軸送り手段70を作動させ、スピンナーテーブル128に載置されている単体のウエーハ12の上方に第一のウエーハ保持部62を位置づける。次いで、第一の搬送手段64のZ軸送り手段で第一のウエーハ保持部62を下降させ、単体のウエーハ12に第一のウエーハ保持部62を接近させると共に、第一のウエーハ保持部62により単体のウエーハ12を非接触で吸引保持する。次いで、第一の搬送手段64のZ軸送り手段で第一のウエーハ保持部62を上昇させ、第一のウエーハ保持部62で吸引保持した単体のウエーハ12をスピンナーテーブル128から上方に離間させる。
【0111】
次いで、第一の搬送手段64のY軸送り手段70を作動させ、第一のウエーハ保持部62で吸引保持した単体のウエーハ12を下面エアーブロー部材166の上方を通過させる。この際、単体のウエーハ12の下面に向かってエアーブロー部材166の噴射口168から乾燥エアーを噴射する。これによって、単体のウエーハ12の下面から洗浄水を除去し、単体のウエーハ12の下面を乾燥させることができる。
【0112】
さらに第一の搬送手段64のY軸送り手段70を作動させると共に、第二の搬送手段142のY軸送り手段146およびZ軸送り手段を作動させ、第一の搬送手段64の第一のウエーハ保持部62で保持した単体のウエーハ12の下方に、引き出し手段28の支持部26の支持片40を位置づける。なお、この際、支持片40を作用位置に位置づけると共に、挟持部24の旋回部材32を非作用位置に位置づける。次いで、第一の搬送手段64のZ軸送り手段で第一のウエーハ保持部62を下降させ、あるいは、第二の搬送手段142のZ軸送り手段で引き出し手段28を上昇させることにより、第一のウエーハ保持部62で保持した単体のウエーハ12の下面に引き出し手段28の支持片40の上面を密着させると共に、支持片40の上面でウエーハ12を吸引支持する。次いで、エアー吹き付け部材86からのエアーの吹き付けを停止して第一のウエーハ保持部62の負圧を解除して、引き出し手段28の支持片40に単体のウエーハ12を受け渡す。このようにして、洗浄手段124によって洗浄された単体のウエーハ12を洗浄手段124から引き出し手段28の支持部26に搬送する。
【0113】
第三のウエーハ搬送工程を実施した後、引き出し手段28の支持部26に搬送された単体のウエーハ12を第二のカセット8に搬送して収納する第四のウエーハ搬送工程を実施する。
【0114】
第四のウエーハ搬送工程では、まず、第二の搬送手段142のY軸送り手段146およびZ軸送り手段を作動させ、支持部26の支持片40で吸引支持した単体のウエーハ12を第二のカセット8に搬送する。次いで、支持片40の吸引力を解除した後、第二の搬送手段142のZ軸送り手段で支持片40を僅かに下降させ、単体のウエーハ12の下面から支持片40を下方に離間させる。これによって、単体のウエーハ12を第二のカセット8に支持させる。そして、第二の搬送手段142のY軸送り手段146を作動させ、第二のカセット8から支持片40を引き抜く。なお、第四のウエーハ搬送工程の際には、第一の搬送手段64のY軸送り手段70およびZ軸送り手段を適宜作動させ、第四のウエーハ搬送工程を妨げない位置に第一のウエーハ保持部62を移動させる。
【0115】
そして、切削装置2によって不完全切断された単体のウエーハ12は、表面12aにデバイス20を保護するための保護テープ(図示していない。)が貼着され、裏面12bに切削溝が表出するまで裏面12bが研削装置(図示していない。)で研削されることにより、個々のデバイス20ごとのデバイスチップに分割される。
【0116】
以上のとおりであり図示の実施形態では、1台の切削装置2によって、フレームユニット16のウエーハ12の完全切断と、単体のウエーハ12の不完全切断との双方を行うことができ経済的であることに加え、切削装置2の設置面積の増大を抑制することができる。
【0117】
ところで、切削工程では、ウエーハ12を切削した際に生じる切削屑がフレームユニット16や単体のウエーハ12に付着することになる。この点に関して、切削装置2を用いてフレームユニット16のウエーハ12を切削する場合には、第一および第三のフレーム搬送工程において、切削前および洗浄後の切削屑が付着していないフレームユニット16を第一のフレーム保持部60で搬送すると共に、第二のフレーム搬送工程において、ウエーハ12を切削した後の切削屑が付着しているフレームユニット16を第二のフレーム保持部138で搬送することから、切削屑が付着していないフレームユニット16を搬送するための第一のフレーム保持部60に切削屑が付着することを防止することができ、洗浄後のフレームユニット16に切削屑が再付着するのを防止することができる。
【0118】
また、上記の点は、切削装置2を用いて単体のウエーハ12を切削する場合も同様であり、第一および第三のウエーハ搬送工程において、切削前および洗浄後の切削屑が付着していない単体のウエーハ12を第一のウエーハ保持部62で搬送すると共に、第二のウエーハ搬送工程において、切削後の切削屑が付着している単体のウエーハ12を第二のウエーハ保持部140で搬送することから、切削屑が付着していない単体のウエーハ12を搬送するための第一のウエーハ保持部62に切削屑が付着することを防止することができ、洗浄後の単体のウエーハ12に切削屑が再付着するのを防止することができる。
【符号の説明】
【0119】
2:切削装置
4:カセットテーブル
6:第一のカセット
8:第二のカセット
10:フレーム
10a:開口
12:ウエーハ
12a:ウエーハの表面
12b:ウエーハの裏面
14:テープ
16:フレームユニット
22:ノッチ
24:挟持部
26:支持部
28:引き出し手段
44:第一の仮置き手段
46:第二の仮置き手段
48:ガイドレール
58:検出部
60:第一のフレーム保持部
62:第一のウエーハ保持部
64:第一の搬送手段
90:チャックテーブル
94:切削手段
124:洗浄手段
138:第二のフレーム保持部
140:第二のウエーハ保持部
142:第二の搬送手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8