(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】気化装置及び気化装置用分離器
(51)【国際特許分類】
C23C 16/448 20060101AFI20221129BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
C23C16/448
H01L21/31 F
(21)【出願番号】P 2019550990
(86)(22)【出願日】2018-10-11
(86)【国際出願番号】 JP2018037891
(87)【国際公開番号】W WO2019082674
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2017204810
(32)【優先日】2017-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017204949
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000127961
【氏名又は名称】株式会社堀場エステック
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】寺阪 正訓
(72)【発明者】
【氏名】平井 惣一朗
(72)【発明者】
【氏名】西川 一朗
【審査官】宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-025578(JP,A)
【文献】特開2005-327864(JP,A)
【文献】特開2006-100737(JP,A)
【文献】特開2007-227471(JP,A)
【文献】特開2005-166860(JP,A)
【文献】特開2012-177193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/448
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体材料を気化する気化部と、
前記気化部により生成された気化ガスが導入されて、当該気化ガスと当該気化ガスに含まれる粒子とを分離する分離器と、
前記分離器の下方に設けられて、前記分離器により分離された前記粒子を収容する粒子収容部とを具備
し、
前記分離器が、
前記気化ガスを周回させる筒状の内周面、前記気化ガスが導入される流体導入口、及び、前記気化ガスから分離された粒子を導出する粒子導出口が形成された外管と、
下端開口が外管の内部に位置するとともに、前記粒子が分離された分離後気化ガスを導出するガス導出口が形成された内管とを有し、
前記内周面が、前記粒子導出口に向かって徐々に縮径するテーパ部を有し、
前記内管の前記下端開口が、前記テーパ部よりも上方に位置していることを特徴とする気化装置。
【請求項2】
前記分離器を加熱する加熱機構をさらに備えている請求項1記載の気化装置。
【請求項3】
前記分離器と前記粒子収容部との間に介在して、前記分離器から前記粒子収容部を着脱させる着脱機構をさらに具備する請求項1記載の気化装置。
【請求項4】
前記液体材料とキャリアガスとを混合して気液混合体を生成する気液混合部が、前記気化部の上流側に設けられている請求項1記載の気化装置。
【請求項5】
液体材料を加熱して気化する気化装置に用いられる気化装置用分離器であって、
前記液体材料を含む流体が導入されて、前記液体材料が気化された気化ガスと、当該気化ガスに含まれる粒子とを分離する
ものであり、
前記気化ガスを周回させる筒状の内周面、前記気化ガスが導入される流体導入口、及び、前記気化ガスから分離された粒子を導出する粒子導出口が形成された外管と、
下端開口が外管の内部に位置するとともに、前記粒子が分離された分離後気化ガスを導出するガス導出口が形成された内管とを有し、
前記内周面が、前記粒子導出口に向かって徐々に縮径するテーパ部を有し、
前記内管の前記下端開口が、前記テーパ部よりも上方に位置している気化装置用分離器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体材料を気化する気化装置及び気化装置用分離器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば成膜プロセス等の半導体製造プロセスに用いられるガスを生成するものとして、特許文献1に示すように、液体材料をノズルから放出して減圧することで、液体材料を気化させて気化ガスを生成するものがある。
【0003】
この気化ガスには、液体材料が熱分解して生じる残渣や、液体材料が気化しきらずに残ったミストパーティクルなどの粒子が含まれており、上記の気化装置は、こうした粒子を気化ガスから取り除くべく、ノズルの後段にフィルタを設けている。
【0004】
しかしながら、フィルタを用いて粒子を捕集する構成であると、フィルタの目詰まりによりノズルの後段の圧力が上昇してしまい、気化性能が低下するという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであって、気化性能を低下させることなく、気化ガスに含まれる粒子を低減させることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る気化装置は、液体材料を気化する気化部と、前記気化部により生成された気化ガスが導入されて、当該気化ガスと当該気化ガスに含まれる粒子とを分離する分離器と、前記分離器の下方に設けられて、前記分離器により分離された前記粒子を収容する粒子収容部とを具備することを特徴とするものである。
【0008】
このような気化装置であれば、分離器によって気化ガスと当該気化ガスに含まれる粒子とを分離させるとともに、分離させた粒子を粒子収容部に収容することができるので、粒子を捕集するためのフィルタを不要にすることができ、気化性能を低減させることなく、気化ガスに含まれる粒子を低減させることができる。
【0009】
前記分離器の具体的な構成としては、前記気化ガスを周回させる筒状の内周面を有し、前記気化ガスが導入される流体導入口と、前記気化ガスから分離された粒子を導出する粒子導出口と、前記粒子が分離された分離後気化ガスを導出するガス導出口とが形成されているものが好ましい。
このような構成であれば、遠心分離の作用によって気化ガスから粒子を分離させることができる。
【0010】
前記内周面が、前記粒子導出口に向かって徐々に縮径するテーパ部を有していることが好ましい。
このような構成であれば、縮径しているテーパ部ではその上流側よりも気化ガスの周回速度が速くなる。これにより、テーパ部の上流側では質量等が比較的大きい粒子を遠心分離することができ、テーパ部では質量等が比較的小さい粒子を遠心分離させることができるようになり、種々の大きさ粒子を気化ガスから分離させることが可能となる。
【0011】
分離器に導入された気化ガスが、分離器内で凝縮してしまうことを防ぐためには、前記分離器を加熱する加熱機構をさらに備えていることが好ましい。
このような構成であれば、分離器に導入された気化ガスが分離器内で凝縮してしまうことを防ぐことができるうえ、ミストパーティクルが分離器の壁面等に付着した場合には、そのミストパーティクルを気化させることができる。
【0012】
前記分離器と前記粒子収容部との間に介在して、前記粒子収容部を前記分離器から着脱させる着脱機構をさらに具備することが好ましい。
このような構成であれば、粒子収容部を分離器から取り外すことで、粒子収容部に収容された粒子を例えば半導体製造等のプロセス外に排出することができる。
【0013】
気化部の気化効率を向上させるためには、前記液体材料とキャリアガスとを混合して気液混合体を生成する気液混合部が、前記気化部の上流側に設けられていることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る気化装置用分離器は、液体材料を加熱して気化する気化装置に用いられるものであって、前記液体材料を含む流体が導入されて、前記液体材料が気化された気化ガスと、当該気化ガスに含まれる粒子とを分離することを特徴とするものである。
このような気化装置用分離器であれば、上述した気化装置と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
このように構成した本発明によれば、気化性能を低下させることなく、気化ガスに含まれる粒子を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態の気化装置の全体構成を模式的に示す図。
【
図2】その他の実施形態における分離器及びダストボックスの構成を模式的に示す図。
【
図3】その他の実施形態における分離器及びダストボックスの構成を模式的に示す図。
【
図4】その他の実施形態における分離器の構成を模式的に示す図。
【
図5】その他の実施形態における分離器の構成を模式的に示す図。
【
図6】その他の実施形態における気化装置の全体構成を模式的に示す図。
【
図7】その他の実施形態におけるダストボックスの構成を模式的に示す図。
【
図8】その他の実施形態におけるダストボックスの構成を模式的に示す図。
【
図9】その他の実施形態におけるダストボックスの構成を模式的に示す図。
【符号の説明】
【0017】
100・・・気化装置
10 ・・・気液混合部
20 ・・・気化部
30 ・・・分離器
30s・・・内周面
P1 ・・・流体導入口
P2 ・・・粒子導出口
P3 ・・・ガス導出口
33 ・・・テーパ部
40 ・・・第2加熱機構
X ・・・粒子
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る気化装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
本実施形態の気化装置100は、例えば半導体製造ライン等に組み込まれて半導体製造プロセスに用いられるチャンバ等に所定流量のガスを供給するためのものであり、
図1に示すように、液体材料とキャリアガスとを混合して気液混合体を生成する気液混合部10と、気液混合体が導入されて気液混合体に含まれる液体材料を気化する気化部20とを具備している。
【0020】
気液混合部10は、キャリアガスが流れるキャリアガス流路L1と、液体材料が流れる液体材料流路L2と、キャリアガス流路L1と液体材料流路L2とが合流する気液混合室10sと、気液混合室10sで生成された気液混合体が流れる気液混合体流路L3と、気液混合体の流量を調整する流量調整弁11とを備えている。
【0021】
本実施形態では、キャリアガス流路L1及び液体材料流路L2がブロック体12の内部に形成されており、このブロック体12の一面(ここでは上面)に形成された弁座面13に、キャリアガス流路L1及び液体材料流路L2それぞれの導出口L1a、L2aが開口している。
【0022】
流量調整弁11は、例えばノーマルクローズタイプのピエゾバルブであり、弁体111が上述した弁座面13に対向するように配置されている。これにより、弁体111と弁座面13とで囲まれた空間が上述した気液混合室10sとして形成される。なお、
図1では弁体111が弁座面13に着座している状態を示しており、気液混合室10sに流体が出入りしない状態である。
【0023】
気液混合体流路L3は、導入口L3aが上述した弁座面13に形成されており、気液混合室10sで生成された気液混合体が導入して、その気液混合体を気化部20に導くものである。
【0024】
上述した構成により、弁体111が、キャリアガス流路L1の導出口L1a、液体材料流路L2の導出口L2a、及び気液混合体流路L3の導入口L3aそれぞれを開放又は閉塞することで、気液混合体を気化部20へ供給する又はその供給を停止することができる。
【0025】
気化部20は、気液混合体流路L3を形成する配管部材Z1が接続されており、気液混合体流路L3により導かれた気液混合体を減圧する減圧流路L4と、気液混合体に含まれる液体材料が減圧流路L4を通過することで減圧されて気化(霧化)した気化ガスが流れる気化ガス流路L5とを有している。
なお、ここでいう気化(霧化)は、減圧や加熱によって液体材料の少なくとも一部が気体状態に変化することであり、変化後の気化ガスに未気化な材料が含まれていても構わない。
【0026】
減圧流路L4は、気液混合体流路L3と気化ガス流路L5とを接続しており、これらの流路に比べて直径や長さが小さいノズル状のものである。
【0027】
気化ガス流路L5は、気液混合体流路L3よりも径寸法の大きい略直管状のものであり、本実施形態では減圧流路L4側の端部が円錐形状に形成されている。
【0028】
本実施形態の気化部20は、気液混合体に含まれる液体材料を加熱する図示しないヒータ等の第1加熱機構と、第1加熱機構を制御する図示しない制御装置とを備えており、制御装置が第1加熱機構を例えばPID制御することで、気化部20に導かれた気液混合体に含まれる液体材料を所定の設定加熱温度(例えば、300℃程度)に加熱するように構成されている。なお、第1加熱機構は、必ずしも備えておく必要はない。
【0029】
然して、本実施形態の気化装置100は、
図1に示すように、気化部20により生成された気化ガスが導入されて、当該気化ガスと当該気化ガスに含まれる粒子Xとを分離する分離器30と、分離器30により分離された粒子Xを収容する粒子収容部たるダストボックスDBとをさらに備えてなる。なお、ここでいう粒子Xとは、液体材料が熱分解して生じる残渣や、液体材料が気化しきらずに残ったミストパーティクルなどである。
【0030】
この分離器30は、所定の大きさ(例えば粒径や質量)以上の粒子Xを気化ガスから分離させるものであり、具体的には筒状の内周面30sで気化ガスを周回させて粒子Xを遠心分離させるように構成されている。
【0031】
本実施形態の分離器30は、円管状の外管31と円管状の内管32とを有した二重管構造をなしており、気化ガスが導入される流体導入口P1と、気化ガスから分離された粒子Xを導出する粒子導出口P2と、粒子Xが分離された分離後気化ガスを導出するガス導出口P3とが形成されている。
【0032】
外管31及び内管32は、内管32の一端開口が外管31の内部に位置するとともに、内管32の他端開口が外管31の外部に位置するように配置されており、ここでは外管31及び内管32それぞれの管軸が、鉛直方向に延びるとともに、互いに重なり合っている。
【0033】
流体導入口P1は、上述した気化ガス流路L5に連通しており、ここでは外管31の周壁の上部に形成されている。この流体導入口P1には、当該流体導入口P1と気化ガス流路L5とを連通するための配管部材Z2が接続されている。この配管部材Z2は、外管31の内周面30sに対して気化ガスを接線方向に案内するように外管31の周壁に取り付けられている。
【0034】
粒子導出口P2は、ダストボックスDBなどの内部空間Sに連通しており、ここでは外管31の下端開口である。本実施形態では、外管31の内周面30sが粒子導出口P2に向かって徐々に縮径するテーパ部33を有している。かかる構成により、気化ガスと気化ガスに含まれる粒子とが内周面30sに沿って周回することで、テーパ部33より上流側(上方)では、質量や粒径や密度等が比較的大きい粒子が遠心力によって外側に押し込まれて内周面30sに当たり、気化ガスから分離して自重でダストボックスDBに落ちる。一方、テーパ部33では、気化ガスや気化ガスに含まれる粒子の周回速度が速くなるので、質量や粒径や密度等が比較的小さい粒子にも遠心力が働いて気化ガスから分離される。
【0035】
ガス導出口P3は、例えば半導体製造装置のチャンバ等に連通しており、ここでは内管32の上端開口である。本実施形態のガス導出口P3は、流体導入口P1や気液混合体流路L3よりも上方に位置している。なお、内管32の下端開口は、流体導入口P1や記載液混合体流路L3よりも下方に位置している。かかる構成により、粒子Xの少なくとも一部が分離した分離後気化ガスは、ガス導出口P3に向かう上昇気流となってガス導出口P3から導出される。
【0036】
なお、上昇気流が生じる理由としては、気化ガスが内周面30sに沿って周回することで、この流れの中心部の圧力が低くなることが考えられる。具体的には、気化ガスが周回しながら下降してテーパ部33に当たると、このテーパ部33によって上方に跳ね返された気化ガスが、上述した流れの中心部の低圧部分に引き込まれることで、上昇気流が生じる。
また、上昇気流が生じるその他の理由としては、ガス導出口P3から分離後気化ガスが導出されることで、ガス導出口P3が減圧されることが考えられる。具体的には、このガス導出口P3の減圧によって内管32の下端開口に吸引力が生じ、徐々に周回する速度が遅くなった気化ガスの遠心力を吸引力が上回ることで、気化ガスが内管32の下端開口に吸引されて上昇気流が生じる。
【0037】
ダストボックスDBは、分離器30の下方に配置されており、具体的には内部空間Sに連通する粒子導入口P4が、分離器30の粒子導出口P2よりも鉛直下方に位置しており、本実施形態では分離器30の直下に配置されている。なお、ここではダストボックスDBは、外管31と一体的に設けられているが、ダストボックスDBを外管31に対して着脱可能に設けても良い。
【0038】
本実施形態の分離器30は、
図1に示すように、第2加熱機構40をさらに備えている。この第2加熱機構40は、分離器30の外管31の近傍に設けられており、ここでは外管31の外側に設けられた例えばヒータ等である。本実施形態では、上述した制御装置が第2加熱機構40を制御しており、第2加熱機構40による分離器30の設定加熱温度を、上述した第1加熱機構による液体材料の設定加熱温度と同じ又はそれ以上に設定している。ここでの第2加熱機構40は、ダストボックスDBをも加熱しており、ダストボックスDBに導入されたミストパーティクルを気化するとともに、ダストボックスDBに導入された気化ガスの再凝縮を防止できるように構成されている。なお、第1加熱機構と第2加熱機構40とを別の制御装置で制御するようにしても構わない。
【0039】
このように構成された本実施形態に係る気化装置100によれば、分離器30によって気化ガスと当該気化ガスに含まれる粒子Xとを分離させるとともに、分離させて粒子XをダストボックスDBに収容することができるので、粒子Xを捕集するためのフィルタを不要にすることができ、気化性能を低減させることなく、気化ガスに含まれる粒子Xを低減させることができる。
さらに、分離した粒子XをダストボックスDBに収容させることにより、粒子Xの飛散等を抑えて、粒子Xが分離後気化ガスとともに導出されてしまうことを防ぐことができる。
【0040】
また、分離器30を加熱する第2加熱機構40を備えているので、分離器30に導入された気化ガスが、分離器30内で凝縮してしまうことを防ぐことができる。
【0041】
さらに、この第2加熱機構40による分離器30の設定加熱温度が、第1加熱機構による液体材料の設定加熱温度と同じ又はそれ以上であるので、例えばミストパーティクルが外管31の内周面30sに付着した場合に、そのミストパーティクルを気化させてガス導出口P3から導出させることができる。すなわち、本実施形態の分離器30は、液体材料を気化する気化能力を備えている。
【0042】
さらに、外管31の内周面30sが、粒子導出口P2に向かって徐々に縮径するテーパ部33を有しているので、気化ガスから分離された粒子Xをスムーズに粒子導出口P2に導いて装置の外部に排出させることができる。
【0043】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0044】
例えば、前記実施形態ではダストボックスDBと外管31とが一体的に形成されていたが、
図2に示すように、分離器30とダストボックスDBとの間に、分離器30からダストボックスDBを着脱させる着脱機構50が設けられていても良い。
具体的には、
図2(a)に示すように、外管31の粒子導出口P2のふちから外側に広がる第1フランジ部F1を設けるとともに、ダストボックスDBの粒子導入口P4のふちから外側に広がる第2フランジ部F2を設けて、これらの第1フランジ部F1及び第2フランジ部F2を例えばネジ等の着脱機構50によって締結する態様が挙げられる。
また、
図2(b)に示すように、第1フランジ部F1及び第2フランジ部F2の間にガスケットを介在させるとともに、これらの第1フランジ部F1及び第2フランジ部F2を面シール継手等の管継手たる着脱機構50によって締結しても良い。
なお、ダストボックスDBを外管31に対して着脱可能に設ける態様としては、上述した
図2(a)、(b)に限らず、図示していないが、例えば外管31を互いに着脱可能な上部材と下部材とから構成して、下部材とダストボックスDBとを一体的に設けても良い。
【0045】
さらに、上述したようにダストボックスDBを外管31から着脱可能に設ける場合、
図3に示すように、例えばダストボックスDBと外管31との間に配管部材Z3を介在させるとともに、この配管部材Z3に開閉弁Vを設けても良い。これにより、ダストボックスDBを取り外し時に開閉弁を閉じることで、粒子Xが外にこぼれ落ちてしまうことを防ぐことができる。
なお、開閉弁Vとしては、ゲートバルブやバタフライバルブ等を挙げることができるが、開状態において弁体が配管部材Z3に取り残されてしまうと、その弁体に粒子Xが付着してしまうので、ゲートバルブのように開状態において弁体が配管部材Z3に取り残されないものが好ましい。
【0046】
さらに、気化ガス流路L5を流れる気化ガスの流量が大きい場合、分離器30の流体導入口P1に流入する際の圧力損失が大きくなってしまうので、
図4に示すように、圧力損失を低減させるべく、複数の分離器30を並列に設けて、これら複数の分離器30に気化ガス流路L5を流れる気化ガスを分流させるようにしても良い。
【0047】
加えて、
図5に示すように、複数の分離器30を直列に設けても良い。具体的には、上流側分離器30aのガス導出口P3と、下流側分離器30bの流体導入口P1とを例えば配管部材を用いて連通させることで、上流側分離器30aから導出された分離後気化ガスを下流側分離器30bに導入させる。これにより、例えば上流側分離器30aと下流側分離器30bとの流体導入口P1やガス導出口P3などのサイズ等を互いに異なる設計とすることで、上流側分離器30aで大きい粒子Xを分離した後、下流側分離器30bでより小さい粒子Xを分離させることなどができる。
【0048】
ここで、分離器30の内周面30sに粒子Xが付着してしまうと、内周面30sに沿った気化ガスの流れが乱れてしまい、粒子Xの捕集率が低下する。そうすると、捕集されなかった粒子Xが分離後気化ガスとともに分離器30から導出されてしまい、半導体等の製品寿命の低下や品質の劣化等が生じる恐れがある。
そこで、分離器30の内周面30sは、例えばPFAやPTFEによるフッ素樹脂コーティング等の内面コーティングが施されていても良い。
このようにすれば、内周面30sに残渣等の粒子Xが付着することを抑制することができ、製品寿命の低下や品質の劣化等を防止することができる。
【0049】
また、気化部20は、気液混合体流路L3に設けられて、キャリアガスと霧化された液体材料とを混ぜ合わせるスタティックミキサ等の混合部材を備えていても良い。
このように、キャアリアガスと液体材料とを混ぜ合わせながら加熱することで、液体材料の気化性能を向上させることができる。
さらに、気化部20としては、超音波素子を備えたものであり、液体材料を超音波によって気化や霧化させるものであっても良い。
【0050】
また、前記実施形態の分離器30は、外管31に内管32が挿入された二重管構造をなしていたが、必ずしも二重管構造にする必要はなく、例えば外管31の上端開口がガス導出口P3として形成されていても良い。
【0051】
さらに、第2加熱機構40による分離器30の設定加熱温度は、気化ガスの凝縮を抑制することのできる温度であれば、第1加熱機構による液体材料の設定加熱温度より低くても良い。
【0052】
加えて、流量調整弁11は、前記実施形態ではノーマルクローズタイプのものであったが、ノーマルオープンタイプのものであっても良いし、電磁開閉弁など種々のものを用いて良い。
【0053】
そのうえ、
図6に示すように、本発明に係る気化装置100は、前記実施形態の気化部20を備えていない構成であっても良い。つまり、気液混合体を気化部20で気化させることなく、分離器30に導入して、分離器30で気液混合体に含まれる液体材料を加熱して気化させつつ、気化して生成された気化ガスに含まれる粒子Xを分離させるように構成されていても良い。
また、本発明に係る気化装置100は、前記実施形態における減圧流路L4を備えておらず、液混合体流路L3が分離器30の流体導入口P1に接続されている構成であっても良い。
さらには、キャリアガスを用いることなく、液体材料をそのまま分離器30に導いても良い。
【0054】
ところで、分離器30の遠心分離作用によってダストボックスDB内に旋回流が生じると、ダストボックスDBに導かれた粒子Xが飛散して分離器30に逆流してしまう恐れがある。
そこで、ダストボックスDBとしては、例えば
図7~
図9に示すように、収容した粒子Xが飛散してしまうことを防ぐ飛散防止手段60を有していることが好ましい。
【0055】
具体的に飛散防止手段60は、
図7(a)に示すように、ダストボックスDBの内部空間Sに設けられて旋回流の妨げとなる板部材や、
図7(b)に示すように、ダストボックスDBの内部空間Sに設けられて旋回する粒子Xを捕集するフィルタなどを挙げることができる。また、
図8に示すように、ダストボックスDBの底面に設けたフィルタを飛散防止手段60として用いても良い。
【0056】
さらに、飛散防止手段60は、
図9(a)、(b)に示すように、例えば放射状や格子状に配置された複数の板部材61を有するものであっても良い。
そのうえ、旋回流によって飛散した粒子XがダストボックスDBの粒子導入口P4に逆流してしまうことを防ぐべく、飛散防止手段60は、
図9(a)、(b)に示すように、ダストボックスDBの中央部に配置した例えば棒状の逆流防止部材62をさらに有していても良い。なお、この逆流防止部材62は、
図9(a)に示す円柱状のものや、
図9(b)に示す上部が円錐状のものなど、種々の形状にして構わない。
加えて、図示していないが、粒子導入口P4の中心を旋回流の中心(ダストボックスDBの中心)から偏心させても良い。
【0057】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、気化性能を低下させることなく、気化ガスに含まれる粒子を低減させることができる。