(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】環状カーボネートの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 317/36 20060101AFI20221129BHJP
H01M 10/0567 20100101ALI20221129BHJP
H01M 6/16 20060101ALI20221129BHJP
B01J 31/22 20060101ALI20221129BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20221129BHJP
B01J 31/24 20060101ALI20221129BHJP
H01G 11/64 20130101ALI20221129BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20221129BHJP
【FI】
C07D317/36 CSP
H01M10/0567
H01M6/16 A
B01J31/22 Z
B01J37/04 102
B01J31/24 Z
H01G11/64
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2020508390
(86)(22)【出願日】2018-08-14
(86)【国際出願番号】 EP2018072014
(87)【国際公開番号】W WO2019034648
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-08-13
(32)【優先日】2017-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ビルグーン バヤルマグナイ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シャウプ
(72)【発明者】
【氏名】フェレナ モアムル
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ルドルフ
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-222619(JP,A)
【文献】特開2006-137733(JP,A)
【文献】特開昭61-076479(JP,A)
【文献】米国特許第03541087(US,A)
【文献】Tetrahedron,2009年,65,1889-1901
【文献】Org. Lett.,2006年,Vol.8, No.3,515-518
【文献】Development of new transformations catalyzed by gold(I) complexes,Thesis submitted for the award of the degree of DOCTOR OF PHILOSOPHY from ECOLE POLYTECHNIQUE,特に、Chapter 3,2009年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 317/36
H01M 10/0567
H01M 6/16
B01J 31/22
B01J 37/04
B01J 31/24
H01G 11/64
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IaまたはIb
【化1】
[式中、R
1は水素、
ヒドロキシメチル(-CH
2
OH)、アセトキシメチレン(-CH
2
OC(O)CH
3
)、ホルミルオキシメチレン(-CH
2
OC(O)H)、-CH
2
OC(O)OR、-CH
2
OCH
2
-Ph、-CH
2
OC(O)NH(CH
2
)
6
NCO、-CH
2
OC(O)NH(CH
2
)
3
Si(OR)
3
または-CH
2
OCH
2
C(O)OR(ただし、Rは、HまたはC
1
~C
18
-アルキル基)である]
の環状カーボネートまたはそれらの混合物の製造方法であって、
a) 式II
【化2】
[式中、R
1は式IaまたはIbと同じ意味を有する]
のプロパルギルアルコールを二酸化炭素と、少なくとも1つの遷移金属触媒TMC1の存在下で反応させる工程段階を含み、前記遷移金属触媒は、
lUPACによる元素周期律表の第10、11および12族の金属から選択される遷移金属と、
式IIIの化合物および式IVの化合物
【化3】
[式中、
DはP、AsまたはSbであり、
R
2は、1~40個の炭素原子を有する有機基であり、
R
3、R
4は、同一または異なり、且つ各々1~40個の炭素原子を有する有機基であり、且つ
R
5は、1~40個の炭素原子を有する有機基であるか、またはR
2と同一であり、且つ
Zは、-CR
7=CR
8-、-CR
7=N-、-CR
7R
9-CR
8R
10-および-CR
7R
9-CR
8R
10-CR
11R
12-から選択される二価の橋かけ基であり、ここでR
7、R
8、R
9、R
10、R
11およびR
12は互いに独立して水素またはR
5として定義されるとおりであるか、または2つの隣接する基R
7およびR
8、および/またはR
10およびR
11は、それらをつなぐ原子と共に単環または多環の、置換または非置換の、脂肪族または芳香族の環系を形成し、前記環系は4~40個の炭素原子を有し且つ元素のSi、Ge、N、P、OおよびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子も含むことができる]
からなる配位子の群から選択される少なくとも1つのかさ高い配位子
とを含
み、前記遷移金属触媒TMC1の遷移金属がAgである、前記方法。
【請求項2】
前記遷移金属触媒TMC1が、かさ高い配位子を含まない遷移金属化合物、かさ高い配位子としての式IIIまたは式IVの化合物、または式V
【化4】
[式中、R
2、R
5およびZは請求項1で定義されるとおりであり、X
-はアニオン等価体である]
によって示されるプロトン化された形態の式IVの化合物を塩基と共に使用することによって、現場で製造される、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記遷移金属化合物が、AgOAc、AgF、Ag
2OおよびAg
2CO
3から選択される、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記かさ高い配位子が、式IIIの化合物である、請求項1から
3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記かさ高い配位子が、式A~P
【化5】
の化合物およびそれらの混合物から選択される、請求項1から
4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
遷移金属触媒TMC1の、かさ高い配位子対遷移金属のモル比が0.4~1.2の範囲である、請求項1から
5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程段階a)で使用される遷移金属触媒TMC1の量が、式IIのプロパルギルアルコールの量に対して、0.005~5mol%の範囲である、請求項1から
6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
工程段階a)を、1~50barの範囲の圧力で実施する、請求項1から
7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程段階a)を、0℃~100℃の範囲の温度で実施する、請求項1から
8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
工程段階a)を、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アミド、ウレア、ニトリル、スルホキシド、スルホン、エステル、カーボネート、エーテル、アルコールおよびそれらの混合物から選択される溶剤の存在下で行う、請求項1から
9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
式IaまたはIbの環状カーボネートまたはそれらの混合物が、工程段階a)の後に蒸留を介して遷移金属触媒TMC1から分離される、請求項1から
10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
式IaまたはIbの環状カーボネートまたはそれらの混合物が蒸留を介して除去された後に、前記遷移金属触媒TMC1が反応段階a)にリサイクルされる、請求項1から
11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から
12までのいずれか1項に記載の方法により製造される式IaまたはIbの環状カーボネートまたはそれらの混合物の、エポキシ樹脂の製造における反応性希釈剤としての、電気化学的貯蔵システムにおける電解質添加剤としての、または重合反応におけるモノマーとしての使用。
【請求項14】
式Ia’またはIb’
【化6】
[式中、R
1は-CH
2OR
13であり、ここでR
13は水素、SiH
3
、-C(O)CH
3
、-C(O)H、-C(O)OR、-CH
2
-Ph、-C(O)NH(CH
2
)
6
NCO、-C(O)NH(CH
2
)
3
Si(OR)
3
または-CH
2
C(O)OR(ただし、Rは、HまたはC
1
~C
18
-アルキル基)である]
の環状カーボネート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式IaまたはIb
【化1】
の環状カーボネートまたはそれらの混合物の製造方法であって、
a) 式II
【化2】
のプロパルギルアルコールと二酸化炭素とを、少なくとも1つの遷移金属触媒TMC1の存在下で反応させる工程段階を含み、前記遷移金属触媒は、IUPACによる元素周期律表の第10、11および12族の金属から選択される遷移金属と、少なくとも1つのかさ高い配位子とを含む、前記方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エキソビニレンカーボネートは、特に、米国特許出願公開第2013/0059178号明細書(US2013/0059178A1)内に記載されるように電池用の電解質において、または国際公開第2011/157671号(WO2011/157671A1)内に記載されるようにポリマー用途におけるモノマーとして使用するために価値のある化合物である。4,4-位に置換基を有するエキソビニレンカーボネートは、第二級または第三級プロパルギルアルコールとCO2とを、種々の触媒、例えば金属または塩基を使用して反応させることを介して得られる。
【0003】
【0004】
これまで、文献内に記載されるプロトコル、例えば銀、銅、コバルトまたはグアニジン触媒環化のいずれも、4,4-位に2つの水素を有する単純なエキソビニレンカーボネートに向けた、単純な第一級プロパルギルアルコールとCO2との変換には適用できなかった。
【0005】
Eur. J Org. Chem. 2007, 2604~2607において、二酸化炭素のプロパルギルアルコール中への銀触媒による取り込みが報告されており、ここでは触媒系はAgOAcとDBUとの組み合わせである。この触媒系は、第三級プロパルギルアルコールの環化のために良好に作用したが、その方法は、第一級または第二級プロパルギルアルコールの相応の環状生成物への変換のためには適用できなかった。
【0006】
Journal of Organometallic Chemistry, 1997, 545-546, 337~344においては、プロパルギルアルコールとCO2とのCu触媒環化が報告されている。四座イミン配位子を含んだ銅触媒が、種々のアミン塩基と組み合わせて使用された。それらの触媒は、第三級プロパルギルアルコールの環化のためには良好に作用したが、第一級プロパルギルアルコールからは環化生成物が形成されなかった。
【0007】
Advanced Synthesis and Catalysis, 2011, 353, 133~146に報告されるプロパルギルアルコールとCO2とのグアニジン触媒環化のための試みでは、金属触媒は添加されなかった。それらの触媒は、第三級および第二級プロパルギルアルコールの環化のためには良好に作用したが、それらの条件下では、第一級プロパルギルアルコールからのエキソビニレンカーボネートは形成されなかった。
【0008】
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 1987, 60, 1204~1206に報告されるプロパルギルアルコールとCO2とのコバルト触媒環化のための試みにおいては、PPh3がドナー配位子として、塩基としてのNEt3と組み合わせて添加された。この触媒は、第三級プロパルギルアルコールの環化のためには良好に作用したが、それらの条件下では、第一級プロパルギルアルコールからのエキソビニレンカーボネートは形成されなかった。
【0009】
従来技術において、4-メチレン-1,3-ジオキソラン-2-オン、最も単純なエキソビニレンカーボネートへの唯一の合理的な合成方法は、Synlett, 2006, 17, 2727~2730およびTetrahedron Letters, 2006, 47, 8369~8373内に記載されるプロパルギルtert-ブチルカーボネートの金または水銀触媒環化である。
【0010】
【0011】
この経路の1つの欠点は、プロパルギルtert-ブチルカーボネートをプロパルギルアルコールと比較的高価なBOC無水物とから、最初に製造しなければならないことである。
【0012】
プロパルギルtert-ブチルカーボネートの環化の他の欠点は、他のtBu基がイソブテンとして放出されることによって副生成物が形成され、それを廃棄またはリサイクルしなければならないことである。
【0013】
4-メチレン-1,3-ジオキソラン-2-オンに向かう他の経路がJ. Org. Chem. 1983, 48(19), 3346~3347内に記載されている。この方法は、塩素化されたグリセロール誘導体から出発し、試薬としてPhSeNaを使用する。この経路では、該生成物の商業的な生産ができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国特許出願公開第2013/0059178号明細書
【文献】国際公開第2011/157671号
【非特許文献】
【0015】
【文献】Eur. J Org. Chem. 2007, 2604~2607
【文献】Journal of Organometallic Chemistry, 1997, 545-546, 337~344
【文献】Advanced Synthesis and Catalysis, 2011, 353, 133~146
【文献】Bulletin of the Chemical Society of Japan, 1987, 60, 1204~1206
【文献】Synlett, 2006, 17, 2727~2730
【文献】Tetrahedron Letters, 2006, 47, 8369~8373
【文献】J. Org. Chem. 1983, 48(19), 3346~3347
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、本発明の課題は、第一級プロパルギルアルコールおよびCO2から、好ましくは第一級プロパルギルアルコールおよびCO2から直接的に、環状カーボネートを製造するためのより経済的な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この課題は、式IaまたはIb
【化5】
[式中、R
1は水素、または1~40個の炭素原子を有する有機基である]
の環状カーボネートまたはそれらの混合物の製造方法であって、
a) 式II
【化6】
[式中、R
1は式IaまたはIbと同じ意味を有する]
のプロパルギルアルコールを二酸化炭素と、少なくとも1つの遷移金属触媒TMC1の存在下で反応させる工程段階を含み、前記遷移金属触媒が、lUPACによる元素周期律表の第10、11および12族の金属から選択される、好ましくはCu、AgおよびAuから選択される遷移金属、より好ましくはAgと、
式IIIの化合物および式IVの化合物、好ましくは式IIIの化合物
【化7】
[式中、
DはP、AsまたはSb、好ましくはPまたはAs、特にPであり、
R
2は、1~40個の炭素原子、好ましくは2~40個の炭素原子を有し、好ましくは少なくとも1つの環式環を含む有機基であり、より好ましくは式IIIにおいてR
2はC
3~C
40-シクロアルキル基、C
2~C
40-ヘテロシクロアルキル基、C
6~C
40-アリール基、C
2~C
40-複素環式芳香族基、C
3~C
40-シクロアルコキシ基、C
2~C
40-ヘテロシクロアルコキシ基、C
6~C
40-アリールオキシ基またはC
2~C
40-ヘタリールオキシ基、特にC
6~C
40-アリール基またはC
2~C
40-複素環式芳香族基であり、
R
3、R
4は、同一または異なり、且つ各々1~40個の炭素原子を有する有機基であり、且つ
R
5は、1~40個の炭素原子を有する有機基であるか、またはR
2と同一であり、且つ
Zは、-CR
7=CR
8-、-CR
7=N-、-CR
7R
9-CR
8R
10-および-CR
7R
9-CR
8R
10-CR
11R
12-から選択される二価の橋かけ基であり、ここでR
7、R
8、R
9、R
10、R
11およびR
12は互いに独立して水素またはR
5として定義されるとおりであるか、または2つの隣接する基R
7およびR
8、および/またはR
10およびR
11は、それらをつなぐ原子と共に単環または多環の、置換または非置換の、脂肪族または芳香族の環系を形成し、前記環系は4~40個の炭素原子を有し且つ元素のSi、Ge、N、P、OおよびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子も含むことができる]
からなる配位子の群から選択される少なくとも1つのかさ高い配位子
とを含む、前記方法によって解決される。
【0018】
本発明の1つの実施態様において、本発明の方法は、
DがPであり、
R2がC3~C40-シクロアルキル基、C2~C40-ヘテロシクロアルキル基、C6~C40-アリール基またはC2~C40-複素環式芳香族基、好ましくはC6~C40-アリール基またはC2~C40-複素環式芳香族基であり、ここでR2は、PまたはNに対する2つのオルト位の少なくとも1つにおいて基R6で置換されており、前記基R6は1~40個の炭素原子を有する有機基、ハロゲン、特にClまたはBr、ヒドロキシ、SO3Hまたはニトロであるか、またはR6はメタ位においてR2を置換している隣接する基と共に、それらをつなぐ原子と共に、単環または多環の、置換または非置換の、脂肪族または芳香族の環系を形成し、前記環系は4~40個の炭素原子を有し且つ元素のSi、Ge、N、P、OおよびS、好ましくはNおよびOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子も含むことができ、
R3、R4、R5およびZは上記で定義されたとおりである、
ことを特徴とする。
【0019】
本発明による置換基は、さらに限定されない限り、以下のとおりに定義される:
本願の文脈において使用される「1~40個の炭素原子を有する有機基」との用語は、例えばC1~C40-アルキル基、C1~C10-フルオロアルキル基、C1~C12-アルコキシ基、置換されたC3~C20-複素環式基、C6~C40-アリール基、C2~C40-複素環式芳香族基、C6~C10-フルオロアリール基、C6~C10-アリールオキシ基、3~24個の炭素原子を有するシリル基、C2~C20-アルケニル基、C2~C20-アルキニル基、C7~C40-アリールアルキル基またはC8~C40-アリールアルケニル基に関する。有機基は、各々、有機化合物から誘導される。従って、有機化合物のメタノールは原則として、1つの炭素原子を有する3つの異なる有機基、つまりメチル(H3C-)、メトキシ(H3C-O-)およびヒドロキシメチル(HOC(H2)-)をもたらす。従って、「1~40個の炭素原子を有する有機基」との用語は、アルコキシ基以外に、例えばジアルキルアミノ基、モノアルキルアミノ基またはアルキルチオ基も含む。
【0020】
本明細書において、示された式において可変部Rxが定義される際に、基(radical)との用語は、基(group)との用語と互換的に使用される。
【0021】
本文内で使用される「アルキル」との用語は、直鎖、または1つまたは複数分岐した飽和炭化水素(環状であってもよい)を包含する。C1~C18-アルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、イソヘキシル、sec-ブチルまたはtert-ブチルが好ましい。
【0022】
本文内で使用される「アルケニル」との用語は、直鎖、または1つまたは複数分岐した炭化水素であって、集積または交互であってよい1つ以上のC-C二重結合を有する前記炭化水素を包含する。
【0023】
本文内で使用される「飽和複素環式基」との用語は、例えば単環または多環の、置換または非置換の、脂肪族または部分的に不飽和の炭化水素基であって、その中で1つ以上の炭素原子、CH基および/またはCH2基が、好ましくは元素のO、S、NおよびPからなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられているものに関する。置換または非置換の飽和複素環式基の好ましい例は、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニルおよびその種のもの、およびさらにメチル置換、エチル置換、プロピル置換、イソプロピル置換およびtert-ブチル置換されたそれらの誘導体である。
【0024】
本文内で使用される「アリール」との用語は、例えば、芳香族、および任意に縮合された多環芳香族炭化水素基であって、直鎖または分枝鎖のC1~C18-アルキル、C1~C18-アルコキシ、C2~C10-アルケニルまたはハロゲン、特にフッ素によって一置換または多置換されていてよいものに関する。置換および非置換のアリール基の好ましい例は、特に、フェニル、ペンタフルオロフェニル、4-メチルフェニル、4-エチルフェニル、4-n-プロピルフェニル、4-イソプロピルフェニル、4-tert-ブチルフェニル、4-メトキシフェニル、1-ナフチル、9-アントリル、9-フェナントリル、3,5-ジメチルフェニル、3,5-ジ-tert-ブチルフェニルまたは4-トリフルオロメチルフェニルである。
【0025】
本文内で使用される「複素環式芳香族基」との用語は、例えば、芳香族炭化水素基であって、その中で1つ以上の炭素原子またはCH基が窒素、リン、酸素または硫黄原子、またはそれらの組み合わせによって置き換えられているものに関する。それらはアリール基と同様に、直鎖または分枝鎖のC1~C18-アルキル、C2~C10-アルケニルまたはハロゲン、特にフッ素によって任意に一置換または多置換されていてよい。好ましい例は、フリル、チエニル、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリミジニル、ピラジニルおよびその種のもの、およびさらにメチル置換、エチル置換、プロピル置換、イソプロピル置換およびtert-ブチル置換されたそれらの誘導体である。
【0026】
本文内で使用される「アリールアルキル」との用語は、例えば、アリール基がアルキル鎖を介して分子の残部に結合している、アリール含有置換基に関する。好ましい例は、ベンジル、置換ベンジル、フェネチル、置換フェネチルおよびその種のものである。
【0027】
フルオロアルキルおよびフルオロアリールとの用語は、相応の基の少なくとも1つの水素原子、好ましくは1より多く且つ最大で全ての水素原子が、フッ素原子によって置き換えられていることを意味する。好ましいフッ素含有基の例は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、4-ペルフルオロ-tert-ブチルフェニルおよびその種のものである。
【0028】
式la、lbおよびIIにおけるR1は水素、または1~40個の炭素原子を有する有機基、好ましくは水素、非環式または環式の、置換または非置換のC1~C10-アルキル、置換または非置換のC6~C10-アリール、または置換または非置換のC7~C12-アリールアルキル、特に水素またはヒドロキシメチルまたはそれらの相応のエステルまたはカーボネート、特にアセトキシメチレン(-CH2OC(O)CH3)、ホルミルオキシメチレン-CH2OC(O)Hまたは-CH2OC(O)OCH3である。
【0029】
本発明の1つの実施態様において、本発明の方法は、R1が水素、ヒドロキシメチル(-CH2OH)、アセトキシメチレン(-CH2OC(O)CH3)、ホルミルオキシメチレン(-CH2OC(O)H)または-CH2OC(O)OCH3であることを特徴とする。
【0030】
疑義を避けるために、本明細書内で使用される「式IIのプロパルギルアルコール」との用語は、2-プロピン-1-オールだけに限定されるのではなく、プロプ-2-イン-1-オール基を含む全ての化合物を記載する。
【0031】
【0032】
本発明の方法において、式IIのプロパルギルアルコールを、少なくとも1つの遷移金属触媒TMC1の存在下で、二酸化炭素と反応させる。遷移金属触媒TMC1は、lUPACによる元素周期律表の第10、11および12族の金属、例えばNi、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、CdおよびHgから選択される、好ましくはCu、AgおよびAuから選択される、より好ましくはCuまたはAgから選択される遷移金属、特にAgを含む。
【0033】
本発明の1つの実施態様において、本発明の方法は、遷移金属触媒TMC1の遷移金属がAgであることを特徴とする。
【0034】
本発明の方法の遷移金属触媒TMC1を、遷移金属と、上記の式IIIの化合物および式IVの化合物、好ましくは式IIIの化合物からなる配位子の群から選択される少なくとも1つのかさ高い配位子とを含む予め形成された金属錯体の形態で用いることができる。選択的に、遷移金属触媒TMC1を、反応媒体中で現場で、かさ高い配位子を含まない金属化合物(本願内でプレ触媒とも称される)と、1つ以上の適したかさ高い配位子とを化合して、触媒活性な金属錯体、遷移金属触媒TMC1を形成することによって、反応媒体中で形成する。かさ高い配位子が式IVのN-複素環式カルベン錯体(NHC配位子)である場合、遷移金属触媒TMC1を、反応媒体中で現場で、プレ触媒と、式IVの相応のNHC配位子へと現場で変換される1つ以上のNHC前駆体、特にプロトン化された形態のNHC配位子とを化合して、触媒活性の金属錯体を反応媒体中で形成することにより、形成することも可能である。
【0035】
本発明の1つの実施態様において、本発明の方法は、前記遷移金属触媒TMC1が、かさ高い配位子を含まない遷移金属化合物、かさ高い配位子としての式IIIまたは式IVの化合物、または式V
【化9】
[式中、R
2、R
5およびZは上記で定義されるとおりであり、X
-はアニオン等価体である]
によって示されるプロトン化された形態の式IVの化合物を、塩基と共に使用することによって現場で製造されることを特徴とする。
【0036】
式Vによるプロトン化された形態の種々のNHC配位子を脱プロトン化するために適した塩基は、de Fremont et al., Coordination Chemistry Reviews 253 (2009) 876~881によって記載されている。プロトン化された形態のNHC配位子の脱プロトン化を、アンモニアまたは非プロトン溶媒、例えばTHFまたはエーテル中で行うことができる。脱プロトン化は、無水条件、および14を上回るpKa値を有する強塩基の使用を必要とする。通常、水素化カリウムまたはナトリウムが触媒量のtert-ブトキシドと共に用いられるが、tert-ブトキシド自体、水素化アルミニウムリチウム、n-ブチリチウム、MeLi、t-BuLi、カリウムヘキサメチルジシラジド(KHMDS)および1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)も有効な代替物である。
【0037】
適したプレ触媒は、元素周期律表の第10、11および12族の金属の、中性の金属錯体、酸化物および塩から選択される。好ましいプレ触媒は、銅、銀および金、特に銀の金属錯体、酸化物および塩から選択される。
【0038】
プレ触媒として有用な銀化合物は例えば、Ag(OAc)、AgF、AgNO3、トリフルオロ酢酸銀、Ag2O、Ag2CO3である。
【0039】
本発明の1つの実施態様において、本発明の方法は、プレ触媒とも称される遷移金属化合物がAg(OAc)、AgF、Ag2OおよびAg2CO3から選択されることを特徴とする。
【0040】
遷移金属のほかに、遷移金属触媒TMC1は、式IIIの化合物および式IVの化合物、好ましくは式IIIの化合物
【化10】
からなる配位子の群から選択される少なくとも1つのかさ高い配位子を含む。
【0041】
かさ高い配位子が式III
【化11】
の化合物である場合、可変部は好ましくは以下のとおりに定義される:
DはP、AsまたはSb、好ましくはPまたはAs、特にPであり、
R
2は、1~40個の炭素原子、好ましくは2~40個の炭素原子を有し、好ましくは少なくとも1つの環式環を含む有機基であり、
より好ましくは、R
2は、C
3~C
40-シクロアルキル基、C
2~C
40-ヘテロシクロアルキル基、C
6~C
40-アリール基、C
2~C
40-複素環式芳香族基、C
3~C
40-シクロアルコキシ基、C
2~C
40-ヘテロシクロアルコキシ基、C
6~C
40-アリールオキシ基、C
2~C
40-ヘタリールオキシ基であり、
さらにより好ましくは、R
2は、C
3~C
40-シクロアルキル基、C
2~C
40-ヘテロシクロアルキル基、C
6~C
40-アリール基またはC
2~C
40-複素環式芳香族基、好ましくはC
6~C
40-アリール基またはC
2~C
40-複素環式芳香族基であり、ここでR
2は、Dに対する2つのオルト位の少なくとも1つにおいて基R
6で置換されており、前記基R
6は1~40個の炭素原子を有する有機基、好ましくはC
6~C
40-アリール基、C
1~C
10-アルコキシ基またはC
2~C
12-ジアルキルアミノ基であるか、またはR
6はメタ位におけるR
2を置換している隣接する基と共に、それらをつなぐ原子と共に、単環または多環の、置換または非置換の、脂肪族または芳香族の環系を形成し、前記環系は4~40個の炭素原子を有し且つ元素のSi、Ge、N、P、OおよびS、好ましくはN、OおよびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子も含むことができ、且つ
R
3、R
4は、同一または異なり、好ましくは同一であり、且つ各々1~40個の炭素原子を有する有機基、好ましくはC
3~C
20-環式または非環式アルキル、特にtert-ブチルまたはシクロヘキシル、またはC
6~C
14-アリール、特にフェニルである。
【0042】
かさ高い配位子が式IV
【化12】
の化合物である場合、可変部は好ましくは以下のとおりに定義される:
R
2は、1~40個の炭素原子、好ましくは2~40個の炭素原子を有し、好ましくは少なくとも1つの環式環を含む有機基であり、より好ましくは、R
2は、C
6~C
40-アリール基またはC
2~C
40-複素環式芳香族基であり、好ましくは、ここでR
2は、Nに対して2つのオルト位の少なくとも1つにおいて基R
6で置換されており、前記基R
6は1~40個の炭素原子を有する有機基、好ましくはC
1~C
10-アルキル基、特にイソプロピルであり、
R
5は、1~40個の炭素原子を有する有機基であるか、またはR
2と同一であり、好ましくは、R
5はR
2と同一であり、且つ
Zは、-CR
7=CR
8-、-CR
7=N-、-CR
7R
9-CR
8R
10-および-CR
7R
9-CR
8R
10-CR
11R
12-、好ましくは-CR
7=CR
8-および-CR
7R
9-CR
8R
10-から選択される二価の橋かけ基であり、ここでR
7、R
8、R
9、R
10、R
11およびR
12は互いに独立して水素またはR
5として定義されるとおり、好ましくはHであるか、または2つの隣接する基R
7およびR
8、および/またはR
10およびR
11は、それらをつなぐ原子と共に単環または多環の、置換または非置換の、脂肪族または芳香族の、4~40個の炭素原子を有する環系を形成し、且つ元素のSi、Ge、N、P、OおよびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子も含むことができる。
【0043】
本発明の1つの実施態様において、本発明の方法は、かさ高い配位子が式IIIの化合物であることを特徴とする。
【0044】
本発明の1つの実施態様において、本発明の方法は、かさ高い配位子が式III
【化13】
の化合物であって、可変部が以下のとおりに定義されることを特徴とする:
DはPであり、
R
2は、C
6~C
40-アリール基またはC
2~C
40-複素環式芳香族基であり、ここでR
2は、Dに対する2つのオルト位の少なくとも1つにおいて基R
6で置換されており、前記基R
6はC
6~C
40-アリール基、C
1~C
10-アルコキシ基、特にメトキシ、エトキシ、イソプロポキシまたはシクロヘキシルオキシ、またはC
2~C
12-ジアルキルアミノ基、特にジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、N-モルホリニルまたはN-ピペリジルであるか、またはR
6はメタ位においてR
2を置換している隣接する基と共に、それらをつなぐ原子と共に、単環または多環の、置換または非置換の、脂肪族または芳香族の環系を形成し、前記環系は4~40個の炭素原子を有し且つ元素のSi、Ge、N、P、OおよびS、好ましくはN、OおよびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子も含むことができ、且つ
R
3、R
4は、同一または異なり、好ましくは同一であり、且つ各々1~40個の炭素原子を有する有機基、好ましくはC
3~C
20-環式または非環式アルキル、特にtert-ブチル、アダマンチルまたはシクロヘキシル、またはC
6~C
14-アリール、特にフェニルである。
【0045】
本発明の1つの実施態様において、本発明の方法は、かさ高い配位子が式A~Pの化合物およびそれらの混合物、好ましくは式A~Dの化合物およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする。
【0046】
【0047】
本発明の1つの実施態様において、本発明の方法は、遷移金属触媒TMC1が以下の式の化合物から選択されることを特徴とする。
【0048】
【0049】
遷移金属触媒TMC1の、かさ高い配位子対遷移金属のモル比は、広い範囲で変化し得る。好ましくは、かさ高い配位子対遷移金属のモル比は2未満である。より好ましくは、かさ高い配位子対遷移金属の比は0.2~1.8の範囲、さらにより好ましくは0.3~1.5の範囲、特に0.4~1.2の範囲である。
【0050】
本発明の1つの実施態様において、本発明の方法は、遷移金属触媒TMC1の、かさ高い配位子対遷移金属のモル比が0.4~1.2の範囲であることを特徴とする。
【0051】
本発明の方法において、工程段階a)で使用される遷移金属触媒TMC1の量は、式IIのプロパルギルアルコールの量に対して、広い範囲で変化し得る。通常、遷移金属触媒TMC1は、式IIのプロパルギルアルコールに対して化学量論組成を下回る量で使用される。典型的には、遷移金属触媒TMC1の量は、式IIのプロパルギルアルコールの量に対して50mol%以下、多くの場合、20mol%以下、特に10mol%以下、または5mol%以下である。式IIのプロパルギルアルコールの量に対して0.001~50mol%、多くの場合、0.001mol%~20mol%、および特に0.005~5mol%の量の遷移金属触媒TMC1が、本発明の方法において好ましく使用される。0.01~5mol%の量の遷移金属触媒TMC1を使用することが好ましい。示された遷移金属触媒の量の全ては、遷移金属として計算され且つプロパルギルアルコールの量に基づく。
【0052】
本発明の1つの実施態様において、本発明の方法は、工程段階a)で使用される遷移金属触媒TMC1の量が、式IIのプロパルギルアルコールの量に対して、0.005~5mol%の範囲であることを特徴とする。
【0053】
前記反応を主に、第一級プロパルギルアルコールとCO2との反応のために適した当業者に公知の全ての方法に従って実施できる。
【0054】
カルボキシル化・環化反応のために使用されるCO2を、純粋な形態で、または適宜、他のもの、好ましくは不活性ガス、例えば窒素またはアルゴンとの混合物の形態でも使用できる。希釈されていない形態のCO2を使用することが好ましい。
【0055】
前記反応は典型的には、0.1~200barの範囲、好ましくは1~50barの範囲、より好ましくは1~40barの範囲のCO2圧力で行われる。
【0056】
本発明の1つの実施態様において、本発明の方法は、工程段階a)が1~50barの範囲、より好ましくは1~40barの範囲の圧力で実施されることを特徴とする。
【0057】
前記反応を主に、連続式、半連続式、断続式に実施できる。連続式の方法が好ましい。
【0058】
前記反応を主に、この種の反応のために当業者に公知の全ての反応器内で実施でき、従って反応器は相応に選択される。適した反応器は関連する先行技術、例えば適切なモノグラフおよび関連研究に記載され且つ概説されており、例えば米国特許第6639114号明細書(US6639114B2)、第16欄、45~49行目に記載されるものである。好ましくは、反応のために、内部攪拌機と内張とを有し得るオートクレーブが用いられる。
【0059】
本発明のカルボキシル化・環化反応において得られた組成物は、式IaまたはIbの環状カーボネートである非置換のエキソビニレンカーボネートを含む。
【0060】
本発明の方法の工程段階a)を広い温度範囲において実施できる。好ましくは工程段階a)を、好ましくは0℃~150℃の範囲、および特に好ましくは10℃~80℃の範囲の温度で実施する。意外なことに、100℃未満の温度が特に有利であることが判明した。
【0061】
本発明の1つの実施態様において、本発明の方法は、工程段階a)が0℃~100℃の範囲、好ましくは10℃~80℃の範囲の温度で実施されることを特徴とする。
【0062】
本発明の方法を、溶剤の存在中で行うことができる。適した溶剤は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アミド、ウレア、ニトリル、スルホキシド、スルホン、エステル、カーボネート、エーテル、アルコールおよびそれらの混合物から選択される。好ましい溶剤は、
・ 脂肪族炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンまたはシクロヘキサン、
・ 芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレンまたはベンゾトリフルオリド、
・ ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、
・ アミド、例えばジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドンまたはジメチルアセトアミド、
・ ウレア、例えばテトラメチルウレア、N,N-ジメチルイミダゾリノン(DMI)およびN,N-ジメチルプロピレンウレア(DMPU)、
・ ニトリル、例えばアセトニトリルまたはプロピオニトリル、
・ スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド、
・ スルホン、例えばスルホラン、
・ エステル、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸t-ブチル、
・ カーボネート、例えばジエチルカーボネート、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネート、および
・ エーテル、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルt-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテル
である。
【0063】
適宜、上述の溶剤の2つ以上の混合物も使用できる。
【0064】
ジクロロメタン、アセトン、ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルを溶剤として使用することが好ましい。
【0065】
本発明の1つの実施態様において、本発明の方法は、反応を脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アミド、ウレア、ニトリル、スルホキシド、スルホキシド、スルホン、エステル、カーボネート、エーテル、アルコール、およびそれらの混合物から選択される、好ましくはジクロロメタン、アセトン、ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルから選択される溶剤の存在下で行うことを特徴とする。
【0066】
選択的に、本発明の方法を、上述の有機溶剤のいずれも不在、いわゆるニート条件下で、好ましくは液体または超臨界二酸化炭素の存在下で、特に超臨界二酸化炭素の存在下で行うことができる。
【0067】
選択的に、本発明の方法を、上述の有機溶剤の1つと混合された液体または超臨界二酸化炭素の存在下で、特に超臨界二酸化炭素、いわゆるCO2膨張溶剤の存在下で行うことができる。
【0068】
本発明のカルボキシル化・環化において得られた組成物は、非置換のエキソビニレンカーボネート、式IaまたはIbの環状カーボネートを含む。
【0069】
本発明の方法の反応混合物のワークアップおよび式IaまたはIbの環状カーボネートの単離を、慣例の方式で、例えばろ過、水抽出ワークアップによって、または蒸留によって、例えば減圧下で行う。式IaまたはIbの環状カーボネートは、そのような手段またはそれらの組み合わせを適用することにより、追加的な精製段階を行うことなく、十分な純度で得ることができる。選択的に、さらなる精製を、当該技術分野において慣例的に使用される方法、例えばクロマトグラフィーによって実施できる。
【0070】
本発明の1つの実施態様において、本発明の方法は、式IaまたはIbの環状カーボネートまたはそれらの混合物が、工程段階a)の後に蒸留を介して遷移金属触媒TMC1から分離されることを特徴とする。
【0071】
蒸留の残留分は通常、遷移金属触媒TMC1を活性な形でまだ含んでおり、それを、新たな工程段階aである新たなカルボキシル化・環化反応段階において再使用できる。蒸留条件、特に温度処理が過酷過ぎない限り、遷移金属触媒TMC1は活性なままである。
【0072】
本発明の1つの実施態様において、本発明の方法は、遷移金属触媒TMC1が、式IaまたはIbの環状カーボネートまたはそれらの混合物が蒸留を介して除去された後に、反応段階a)にリサイクルされることを特徴とする。
【0073】
本発明の方法により製造される、式IaまたはIbの環状カーボネートまたはそれらの混合物は、高い純度を示し、且つ、例えばエポキシ樹脂の製造における反応性希釈剤として、電気化学的貯蔵システムにおける電解質添加剤として、または重合反応におけるモノマーとしての用途において有利に使用される。
【0074】
本発明のさらなる態様は、上述の本発明の方法により製造される、式IaまたはIbの環状カーボネートまたはそれらの混合物の、エポキシ樹脂の製造における反応性希釈剤として、電気化学的貯蔵システムにおける電解質添加剤として、または重合反応におけるモノマーとしての使用である。
【0075】
上述の式IaまたはIbの環状カーボネートまたはそれらの混合物を製造するための本発明の方法は、公知の化合物(例えばR1=H)の製造だけでなく、エポキシ樹脂の製造における反応性希釈剤として、電気化学的貯蔵システムにおける電解質添加剤として、重合反応におけるモノマーとして、または薬学的または農業用途のための活性化合物の合成における構成ブロックとして使用できる新規の化合物の製造も可能にする。
【0076】
本発明のさらなる態様は、式Ia’またはIb’の環状カーボネートである:
【化16】
前記式中、
R
1は-CH
2OR
13であり、ここでR
13は水素、SiH
3または1~40個の炭素原子を有する有機基、好ましくは水素、SiR
14aR
14bR
14c、C(O)R
15またはC(O)OR
16、より好ましくは水素、C(O)R
15またはC(O)OR
16であり、
ここで、
R
14aR
14bR
14cは同一または異なり、且つ各々独立して水素または1~40個の炭素原子を有する有機基、好ましくはC
1~C
6-アルキルまたはC
6~C
14-アリール、より好ましくはメチル、エチル、i-プロピル、tert-ブチルまたはフェニルであり、
R
15は水素、または1~40個の炭素原子を有する有機基、好ましくは水素、C
1~C
6-アルキルまたはC
6~C
14-アリール、より好ましくは水素、メチル、エチル、-プロピルまたはフェニルであり、且つ
R
16は1~40個の炭素原子を有する有機基、好ましくはC
1~C
6-アルキルまたはC
6~C
14-アリール、より好ましくはメチル、エチル、-プロピルまたはフェニルである。
【0077】
式Ia’またはIb’の本発明の環状カーボネートは、(EまたはZ)-4-(2-ヒドロキシエチリデン)-1,3-ジオキソラン-2-オンの誘導体であってヒドロキシル基が好ましくは相応のエステルまたはカーボネートとして保護されているものか、または(EまたはZ)-4-(2-ヒドロキシエチリデン)-1,3-ジオキソラン-2-オン自体である。
【0078】
式Ia’またはIb’の本発明の環状カーボネートの好ましい例は下記である:
【化17】
【0079】
式Ia’またはIb’の環状カーボネートの好ましい例は、R1が水素、C(O)R15またはC(O)OR16であり、R15が水素またはメチルであり、且つR16がメチルであるものである。
【実施例】
【0080】
本発明を以下の実施例によって説明するが、それらは本発明を限定するものではない。
【0081】
パーセントでの数値は、特段記載されない限り、質量%に基づく。
【0082】
一般
全ての化学物質および溶剤はSigma-AldrichまたはABCRから購入され、さらなる精製を行わずに使用された。
【0083】
1Hおよび13C NMRスペクトルは、Bruker Avance 200MHz分光器において記録され、溶剤の残留プロトン(1H)または炭素(13C)共鳴のピークに関した。ケミカルシフト(δ)はppmで記録された。
【0084】
使用される略記: DavePhos配位子A=2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル =L1; DCM=ジクロロメタン; DIPEA=Ν,Ν-ジイソプロピルエチルアミン; DMAP=4-ジメチルアミノピリジン; DMF=ジメチルホルムアミド; PE=石油エーテル; THF=テトラヒドロフラン; TMEDA=テトラメチルエチレンジアミン。
【0085】
【0086】
カルボキシル化反応のためのプロトコル
標準的な手順A
反応のスクリーニングを、ChemSpeed Accelerator SLT 106ハイスループットロボットシシテムにおいて実施した。アルコール1(1mmol)、[M]-触媒(0.05mmol)および配位子(0.05mmol)を有機溶剤(2mL)中で、CO2(20bar)を用いて加圧し、室温で12時間攪拌した。CO2の過圧を解放した後、アニソール(1mmol)およびCDCl3(1mL)を反応混合物に添加し、且つ5分間攪拌した。生じる混合物を、1H NMRによって分析して収率を測定した。
【0087】
標準的な手順B
Teflonで被覆された攪拌棒を備えたFisher-Porter管に、アルコール(5mmol)、[M]-触媒(0.25mmol)、および配位子(0.25mmol)および溶剤(5mL)を装入した。反応混合物を、CO2(8bar)を用いて加圧し、且つ室温で16時間攪拌した。次にCO2の過圧を注意深く解放し、溶剤が蒸発した。生じる粗製混合物をクーゲルロール(0.5mbar、100℃)によって蒸留した。相応の環状カーボネート生成物が純粋に得られた。
【0088】
【0089】
金属・配位子の比2対1を使用して、標準条件Aと同様に行われた実験の結果を表1に要約する。
【0090】
【0091】
2. 配位子の変化および触媒組成物の変化
【化20】
【0092】
種々の量の金属および配位子を使用して、標準条件Bと同様に行われた本発明の実験および比較実験の結果を表2に要約する。プロパルギルアルコール1(5mmol)、AgOAc(0.5mmol)および配位子L(0.5mmol)を無水DCM(2mL)中で、CO2(8bar)を用いて加圧し、且つ16時間攪拌した。収率を1H NMR分光法によって、内部標準としてのアニソールを使用して測定した。単離された収率を括弧内に示す。
【0093】
【0094】
3. 遷移金属化合物(プレ触媒)および配位子の変化
【化21】
【0095】
標準条件Aと同様に行われた本発明の実験および比較実験の結果を表3に要約する。プロパルギルアルコール1(1mmol)、遷移金属化合物[M](0.05mmol)および配位子L(0.05mmol)を無水DCM(2mL)中で、CO2(20bar)を用いて加圧し、且つ12時間攪拌した。収率を1H NMR分光法によって、内部標準としてのアニソールを使用して測定した。
【0096】
【0097】
a) 0.035mmolのプロパルギルアルコール、1mol%のIPrAgOAc、0.7mLのCD3CN、20barのCO2;
IPrAgOAcは、文献の手順: D.V.Partyka, T.J.Robilotto, J.B.Updegraff III, M.Zeller, A.D.Hunter, T.G.Gray, Organometallics 2009, 28, 795~801に従って製造された。
【0098】
【0099】
【0100】
標準条件Bと同様に行われた本発明の実験の結果を表4に要約する。プロパルギルアルコール1(5mmol)、AgOAc(0.25mmol)およびL1(0.25mmol)を溶剤(5mL)中で、CO2(8bar)を用いて加圧し、且つ16時間攪拌した。収率を1H NMR分光法によって、内部標準としてのアニソールを使用して測定した。
【0101】
【0102】
【0103】
触媒系がリサイクルされ、且つ標準条件Bと同様に行われた本発明の実験の結果を表5に要約する。プロパルギルアルコール1(5mmol)、AgOAc(0.25mmol)およびL1(0.25mmol)を溶剤(5mL)中で、CO2(8bar)を用いて加圧し、且つ16時間攪拌した。収率を1H NMR分光法によって、内部標準としてのアニソールを使用して測定した。クーゲルロール蒸留(100℃、0.5mbar)後、生成物を単離し、残留粗製物をさらなる反応に使用した。
【0104】
【0105】
6. 式IIのプロパルギルアルコールの変化
6.1 式IIのプロパルギルアルコールとしての1,4-ブチンジオールの使用
【化25】
【0106】
ChemSpeed Accelerator SLT 106ハイスループットロボットシステムにおいて、1,4-ブチンジオール(1mmol)、AgOAc(0.05mmol)およびL1(0.05mmol)をMeCN(2mL)中で、CO2(20bar)を用いて加圧し、且つ室温で12時間攪拌した。CO2の過圧を解放した後、アニソール(1mmol)およびCDCl3(1mL)を反応混合物に添加し、且つ5分間攪拌した。生じる混合物を、1H NMRによって分析して収率を測定した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc/ヘキサン勾配)によって単離を行った。
【0107】
(E)-4-(2-ヒドロキシエチリデン)-1,3-ジオキソラン-2-オン 2a
【数1】
【0108】
(Z)-4-(2-ヒドロキシエチリデン)-1,3-ジオキソラン-2-オン
【化26】
【0109】
無色のオイル、423mg(65%)。Rf(EtOAc/PE 1:1)=0.62。
【0110】
【0111】
6.2 式IIのプロパルギルアルコールとしての4-ヒドロキシブト-2-イン-1-イルアセテートの使用
6.2.1 4-ヒドロキシブト-2-イン-1-イルアセテートの合成
【化27】
【0112】
蒸留されたEt3N(10.2mL、81.2mmol、1.4eq.)を、ブト-2-イン-1,4-ジオール(5.0g、58.0mmol、1.0eq.)の無水DCM/THF(24mL/8mL)中の溶液に添加し、生じる懸濁液を室温で、溶解が完了するまで攪拌した。次に、無水酢酸(6.0mL、63.5mmol、1.1eq.)をその反応混合物に、0℃で30分にわたって滴下した。次に、その反応混合物を室温へと温め、且つ終夜撹拌した。水を添加し、その反応混合物をDCM(3044×4mL)で抽出した。収集された有機層を乾燥させ、溶剤を真空下で蒸発させた。粗製生成物のフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/PE 2:3)により純粋な生成物が無色のオイルとしてもたらされた(3.34g、45%)。
【0113】
【0114】
6.2.2 (E)-2-(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イリデン)エチルアセテート2bの合成
【化28】
【0115】
ChemSpeed Accelerator SLT 106ハイスループットロボットシステムにおいて、4-ヒドロキシブト-2-イン-1-イルアセテート(1b、1mmol)、AgOAc(0.05mmol)およびL1(0.05mmol)をMeCN(2mL)中で、CO2(20bar)を用いて加圧し、且つ室温で12時間攪拌した。CO2の過圧を解放した後、アニソール(1mmol)およびCDCl3(1mL)を反応混合物に添加し、且つ5分間攪拌した。生じる混合物を、1H NMRによって分析して収率を測定した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc/ヘキサン勾配)によって単離を行った。
【0116】
(E)-2-(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イリデン)エチルアセテート2b
【0117】
【0118】
6.2.3 (Z)-2-(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イリデン)エチルアセテート
【化29】
【0119】
無色のオイル、688mg(80%)。Rf(EtOAc/PE 3:7)=0.35。
【0120】
【0121】
6.3 式IIの種々のアルコールの合成
6.3.1 4-(ベンジルオキシ)ブト-2-イン-1-オールの合成
【化30】
【0122】
ブト-2-イン-1,4-ジオール(3.9g、45.2mmol、2.0eq.)を、KOH(2.5g、44.5mmol、2.0eq.)の水中(40mL)の溶液に添加した。その混合物を10分間、室温で撹拌した。次に、臭化ベンジル(3.9g、22.8mmol、1.0eq.)を、前記の溶液中に滴下し、その混合物を2日間、室温で攪拌した。反応混合物をDCMで抽出し、合わせられた有機相をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。有機層を真空中で濃縮した。シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/PE 2:3)により、所望のモノベンジル化アルコールが無色のオイルとしてもたらされた(3.0g、75%)。
【0123】
【0124】
6.3.2 4-ヒドロキシブト-2-イン-1-イルメチルカーボネートの合成
【化31】
【0125】
無水DCM(350mL)中に溶解されたブト-2-イン-1,4-ジオール(15g、174mmol、3eq.)を0℃に冷却した。次に、DIPEA(33.5mL、181.7mmol、3.3eq.)およびDMAP(708mg、5.8mmol、0.1eq.)を上記の溶液に添加し、次いでクロロギ酸メチル(4.49mL、58.1mmol、1.0eq.)を、シリンジを介して滴下した。反応混合物を0℃で2時間攪拌し、次いでそれを終夜、室温で攪拌した。その反応混合物を、元の体積の半分まで濃縮し、次いでEt2OおよびNaHCO3を添加した。相を分離し、有機相を3回、飽和NaHCO3で洗浄した後、それをMgSO4上で乾燥させた。溶剤を減圧下で除去し、粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/PE 3:7)で精製して、生成物が無色のオイルとしてもたらされた(7.3g、87%)。
【0126】
【0127】
6.4 種々の1,3-ジオキソラン-2-オンの合成
ブト-2-イノール誘導体のカルボキシル化環化のための一般的な手順
鋼のオートクレーブに、アルキノール(5.0mmol)、AgOAc(1または2mol%)、DavePhos配位子(1または2mol%)および溶剤(10mL)を大気条件下で装入した。反応混合物を、CO2(20bar)を用いて加圧し、且つ室温で18時間攪拌した。次にCO2の過圧を注意深く解放し、溶剤が蒸発した。生じる粗製混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0128】
【0129】
6.4.1 単離されたエキソビニレンカーボネート生成物の評価
6.4.1.1 4-メチレン-1,3-ジオキソラン-2-オン
【化33】
【0130】
白色の固体、450mg(90%)、mp: 28.3~29.0℃。Rf(EtOAc/PE 3:7)=0.38。
【0131】
【0132】
6.4.1.2 (Z)-5-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピリデン)-4,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン(比較)
【化34】
【0133】
無色のオイル、837mg(90%)。Rf(EtOAc/PE 3:7)=0.26。
【0134】
【0135】
6.4.1.3 4-メチル-5-メチレン-1,3-ジオキソラン-2-オン(比較)
【化35】
【0136】
明るい黄色のオイル、524mg(92%)。Rf(EtOAc/PE 3:7)=0.57。
【0137】
【0138】
6.4.1.4 4,4-ジメチル-5-メチレン-1,3-ジオキソラン-2-オン(比較)
【化36】
【0139】
粘性のオイル、557mg(87%)。Rf(EtOAc/PE 3:7)=0.65。
【0140】
【0141】
6.4.1.5 (Z)-メチル(2-(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イリデン)エチル)カーボネート
【化37】
【0142】
無色のオイル、611mg(65%)。Rf(EtOAc/PE 3:7)=0.24。
【0143】
【0144】
6.4.1.6 ((Z)-4-(2-(ベンジルオキシ)エチリデン)-1,3-ジオキソラン-2-オン
【化38】
【0145】
無色のオイル、770mg(70%)。Rf(EtOAc/PE 3:7)=0.44。
【0146】
【0147】
6.4.1.7 4-メチル-5-メチレン-4-(4-メチルペント-3-エン-1-イル)-1,3-ジオキソラン-2-オン(比較)
【化39】
【0148】
無色のオイル、922mg(94%)。Rf(EtOAc/PE 3:7)=0.81。
【0149】