(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】着色組成物、膜、カラーフィルタ、固体撮像素子及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20221130BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20221130BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20221130BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
G02B5/20 101
C09B67/20 F
C09B67/20 G
G02F1/1335 505
G03F7/004 505
G03F7/004 501
(21)【出願番号】P 2021504935
(86)(22)【出願日】2020-03-02
(86)【国際出願番号】 JP2020008605
(87)【国際公開番号】W WO2020184245
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】P 2019045363
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】出井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】牧野 雅臣
(72)【発明者】
【氏名】椙山 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】芝本 匡雄
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-201003(JP,A)
【文献】特開2009-227839(JP,A)
【文献】国際公開第2019/044277(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
C09B 67/20
G02F 1/1335
G03F 7/004
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑色顔料を含む着色剤と、化合物Aと、樹脂と含み、
前記緑色顔料がハロゲン化フタロシアニン化合物であり、
前記緑色顔料の25℃のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート100gへの溶解量が0.01g未満であり、
前記化合物Aは、式(1)~(5)および(7)のいずれかで表わされる化合物であり、
前記化合物Aの25℃のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート100gへの溶解量が0.01g以上であり、
前記緑色顔料の100質量部に対して、前記化合物Aを0.1~10質量部含み、
前記緑色顔料と前記化合物Aとが、下記の式(a)の関係を満たす、
着色組成物;
-1.0eV≦LUMO
B-LUMO
A≦1.0eV ・・・(a)
LUMO
Bは、緑色顔料の最低空軌道のエネルギー準位であって、単位はeVである;
LUMO
Aは、化合物Aの最低空軌道のエネルギー準位であって、単位はeVである;
【化1】
式(1)中、R
1
~R
4
は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R
1
とR
2
、R
3
とR
4
は互いに結合して環を形成しても良い;
式(2)中、R
5
~R
8
は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R
5
とR
6
、R
7
とR
8
は互いに結合して環を形成しても良い;
式(3)中、R
9
およびR
10
は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基または複素環基を表す;R
11
~R
14
は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R
11
とR
12
、R
13
とR
14
は互いに結合して環を形成しても良い;
式(4)中、R
15
およびR
16
は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R
15
とR
16
は互いに結合して環を形成しても良い;
式(5)中、X
1
は、炭素原子、または、ケイ素原子を表し、nは、1~5の整数を表し、R
17
およびR
18
は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R
17
とR
18
は互いに結合して環を形成しても良い;
式(7)のX
2
およびX
3
は、それぞれ独立してOまたはNRxを表し、Rxは、水素原子または置換基を表す。
【請求項2】
前記化合物Aの最低空軌道のエネルギー準位が-6.0~-3.0eVである、請求項1に記載の着色組成物。
【請求項3】
前記化合物Aの波長450~800nmでの最大吸収波長における、下記式(A
λ1)で表される比吸光度が50以下である、請求項1または2に記載の着色組成物;
E
1=A
1/(c
1×l
1) ・・・(A
λ1)
式(A
λ1)中、E
1は、化合物Aの波長450~800nmでの最大吸収波長における比吸光度を表し、A
1は、化合物Aの波長450~800nmでの最大吸収波長における吸光度を表し、l
1は、単位がcmで表されるセル長を表し、c
1は、単位がmg/mlで表される、溶液中の化合物Aの濃度を表す。
【請求項4】
前記化合物Aは、前記式(1)で表される化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項5】
前記樹脂は、グラフト鎖を有する繰り返し単位を含む樹脂を含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項6】
前記グラフト鎖の重量平均分子量が500~100000である、請求項
5に記載の着色組成物。
【請求項7】
さらに顔料誘導体を含む、請求項1~
6のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項8】
前記着色剤はさらに黄色顔料を含む、請求項1~
7のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項9】
前記黄色顔料がイソインドリン化合物およびキノフタロン化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項
8に記載の着色組成物。
【請求項10】
着色組成物全固形分中における前記着色剤の含有量が45質量%以上である、請求項1~
9のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項11】
着色剤中における前記緑色顔料の含有量が40質量%以上である、請求項1~
10のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項12】
さらに、重合性化合物および光重合開始剤を含む、請求項1~
11のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項13】
シアン色着色組成物である、請求項1~
12のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか1項に記載の着色組成物を用いて得られる膜。
【請求項15】
請求項
14に記載の膜を有するカラーフィルタ。
【請求項16】
請求項
14に記載の膜を有する固体撮像素子。
【請求項17】
請求項
14に記載の膜を有する画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑色顔料を含む着色組成物に関する。また、本発明は、着色組成物を用いた膜、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話等の普及から、電荷結合素子(CCD)イメージセンサなどの固体撮像素子の需要が大きく伸びている。ディスプレイや光学素子のキーデバイスとしてカラーフィルタが使用されている。カラーフィルタは、通常、赤、緑及び青の3原色の画素を備えており、透過光を3原色へ分解する役割を果たしている。
【0003】
カラーフィルタの各色の画素は、着色剤を含む着色組成物を用いて製造されている。
【0004】
また、特許文献1には、発光性色素(S)、消光剤(A)、及びバインダー樹脂(C)を含むカラーフィルタ用着色組成物であって、発光性色素(S)の最低空軌道のエネルギー準位LUMOSと、消光剤(A)の最低空軌道のエネルギー準位LUMOAとの差が、
0.0<|LUMOA|-|LUMOS|<2.0(eV)
の関係式を満たすカラーフィルタ用着色組成物に関する発明が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)及び蛍光抑制剤(E)を含む着色硬化性樹脂組成物であって、着色剤(A)がキサンテン染料(A-1)を含み、蛍光抑制剤(E)が所定のテトラシアノキノジメタン誘導体及びキノン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含む着色硬化性樹脂組成物に関する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-075739号公報
【文献】特開2017-111226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
顔料を含む着色剤を用いた着色組成物は、保管時に顔料が凝集するなどして着色組成物の粘度が経時的に増加することがある。特に、緑色顔料は分散性が低い傾向にあり、保管中に緑色顔料が凝集して、着色組成物の粘度が経時的に増加しやすい傾向にあった。
【0008】
着色組成物は、製造直後に使用されることもあれば、製造後長時間保管した後使用されることもある。このため、着色組成物の保存安定性についてもさらなる向上が望まれている。
【0009】
なお、特許文献1、2には、緑色顔料を含む着色組成物に関する保存安定性に関する記載や検討はなされていない。
【0010】
よって、本発明の目的は、保存安定性に優れた着色組成物を提供することにある。また、着色組成物を用いた膜、カラーフィルタ、固体撮像素子及び画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者の検討によれば、以下の構成とすることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。よって、本発明は以下を提供する。
<1> 緑色顔料を含む着色剤と、化合物Aと、樹脂と含み、
上記緑色顔料の25℃のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート100gへの溶解量が0.01g未満であり、
上記化合物Aの25℃のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート100gへの溶解量が0.01g以上であり、
上記緑色顔料の100質量部に対して、上記化合物Aを0.1~10質量部含み、
上記緑色顔料と上記化合物Aとが、下記の式(a)の関係を満たす、
着色組成物;
-1.0eV≦LUMO
B-LUMO
A≦1.0eV ・・・(a)
LUMO
Bは、緑色顔料の最低空軌道のエネルギー準位であって、単位はeVである;
LUMO
Aは、化合物Aの最低空軌道のエネルギー準位であって、単位はeVである。
<2> 上記化合物Aの最低空軌道のエネルギー準位が-6.0~-3.0eVである、<1>に記載の着色組成物。
<3> 上記化合物Aの波長450~800nmでの最大吸収波長における、下記式(A
λ1)で表される比吸光度が50以下である、<1>または<2>に記載の着色組成物;
E
1=A
1/(c
1×l
1) ・・・(A
λ1)
式(A
λ1)中、E
1は、化合物Aの波長450~800nmでの最大吸収波長における比吸光度を表し、A
1は、化合物Aの波長450~800nmでの最大吸収波長における吸光度を表し、l
1は、単位がcmで表されるセル長を表し、c
1は、単位がmg/mlで表される、溶液中の化合物Aの濃度を表す。
<4> 上記緑色顔料がハロゲン化フタロシアニン化合物である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<5> 上記化合物Aが式(1)~(7)のいずれかで表わされる化合物である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の着色組成物;
【化1】
式(1)中、R
1~R
4は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R
1とR
2、R
3とR
4は互いに結合して環を形成しても良い;
式(2)中、R
5~R
8は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R
5とR
6、R
7とR
8は互いに結合して環を形成しても良い;
式(3)中、R
9およびR
10は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基または複素環基を表す;R
11~R
14は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R
11とR
12、R
13とR
14は互いに結合して環を形成しても良い;
式(4)中、R
15およびR
16は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R
15とR
16は互いに結合して環を形成しても良い;
式(5)中、X
1は、炭素原子、または、ケイ素原子を表し、nは、1~5の整数を表し、R
17およびR
18は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R
17とR
18は互いに結合して環を形成しても良い;
式(6)中、M
1は金属原子を表し、R
19~R
26は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R
19とR
21、R
19とR
20、R
20とR
22、R
23とR
25、R
23とR
24、R
24とR
26は互いに結合して環を形成しても良く、式中の[]で囲った部位がカチオン部である場合、Y
1は対アニオンを表し、mは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、式中の[]で囲った部位がアニオン部である場合、Y
1は対カチオンを表し、mは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、式中の[]で囲った部位の電荷が分子内で中和されている場合、mは0である;
式(7)のX
2およびX
3は、それぞれ独立してOまたはNRxを表し、Rxは、水素原子または置換基を表す。
<6> 上記樹脂は、グラフト鎖を有する繰り返し単位を含む樹脂を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<7> 上記グラフト鎖の重量平均分子量が500~100000である、<6>に記載の着色組成物。
<8> さらに顔料誘導体を含む、<1>~<7>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<9> 上記着色剤はさらに黄色顔料を含む、<1>~<8>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<10> 上記黄色顔料がイソインドリン化合物およびキノフタロン化合物から選ばれる少なくとも1種である、<9>に記載の着色組成物。
<11> 着色組成物全固形分中における上記着色剤の含有量が45質量%以上である、<1>~<10>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<12> 着色剤中における上記緑色顔料の含有量が40質量%以上である、<1>~<11>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<13> さらに、重合性化合物および光重合開始剤を含む、<1>~<12>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<14> シアン色着色組成物である、<1>~<13>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<15> <1>~<14>のいずれか1つに記載の着色組成物を用いて得られる膜。
<16> <15>に記載の膜を有するカラーフィルタ。
<17> <15>に記載の膜を有する固体撮像素子。
<18> <15>に記載の膜を有する画像表示装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、保存安定性に優れた着色組成物を提供することができる。また、着色組成物を用いた膜、カラーフィルタ、固体撮像素子及び画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において、構造式中のMeはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値である。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において、顔料とは、溶剤に対して溶解しにくい化合物を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
【0014】
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、
緑色顔料を含む着色剤と、化合物Aと、樹脂と含み、
緑色顔料の25℃のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート100gへの溶解量が0.01g未満であり、
化合物Aの25℃のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート100gへの溶解量が0.01g以上であり、
緑色顔料の100質量部に対して、化合物Aを0.1~10質量部含み、
緑色顔料と化合物Aとが、式(a)の関係を満たす、
ことを特徴とする。
-1.0eV≦LUMOB-LUMOA≦1.0eV ・・・(a)
LUMOBは、緑色顔料の最低空軌道のエネルギー準位であって、単位はeVである;
LUMOAは、化合物Aの最低空軌道のエネルギー準位であって、単位はeVである。
【0015】
一般的に、緑色顔料は分散性が低い傾向にあり、緑色顔料を含む着色組成物については保管中に緑色顔料が凝集しやすい傾向にある。このため、緑色顔料を含む着色組成物は、保管時に粘度が増加しやすい傾向にあった。しかしながら、本発明の着色組成物は、所定の化合物Aを所定量含むので、緑色顔料を含む着色組成物でありながら、長期間保管後も粘度が増加しにくく、保存安定性に優れている。このような効果が得られる理由は以下によるものであると推測される。すなわち、本発明の着色組成物は、緑色顔料の他に、更に所定の化合物Aを含む。化合物Aは、緑色顔料との間で式(a)の関係を満たしているので、化合物Aの最低空軌道のエネルギー準位が、緑色顔料の最低空軌道のエネルギー準位と近く、緑色顔料と化合物Aとの間で電子の受け渡しが生じやすいと推測される。そして、この化合物Aは、緑色顔料よりもプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAともいう)に溶解し易い化合物であるため、着色組成物中において、緑色顔料の表面近傍に化合物Aが集まりやすいと推測される。このため、着色組成物中において、緑色顔料の表面近傍に化合物Aが吸着されて、緑色顔料同士の凝集を抑制することができると推測される。その結果、長期間保管後も粘度が増加しにくくなり、優れた保存安定性が得られたと推測される。
【0016】
また、緑色顔料のなかでも、特にハロゲン化フタロシアニン化合物は、分散性が低い傾向にあり、緑色顔料としてハロゲン化フタロシアニン化合物を含む着色組成物は、保管時に粘度が増加しやすい傾向にあったが、本発明によれば、緑色顔料としてハロゲン化フタロシアニン化合物を用いた場合であっても、式(a)の関係を満たす化合物Aを所定量含むことにより、保存安定性に優れた着色組成物とすることができる。したがって、緑色顔料としてハロゲン化フタロシアニン化合物を用いた場合において特に効果的である。
【0017】
また、本発明の着色組成物は、現像残渣の発生も抑制することができるので、フォトリソグラフィ法によりパターンを形成してカラーフィルタを製造する場合において特に効果的である。このような効果が得られる詳細な理由は不明であるが、緑色顔料の表面に化合物Aが吸着されることにより、膜中においても緑色顔料同士の凝集を抑制することができると推測される。このため、例えば着色組成物を用いて形成した着色組成物層をパターン状に露光した後、未露光部の着色組成物層を現像除去する場合、未露光部の着色組成物層に含まれる緑色顔料の凝集が抑制されていることにより、未露光部の着色組成物層への現像液の浸透性などが良好であると推測される。そのため、未露光部の着色組成物層を効率よく現像除去でき、現像残渣の発生を抑制することができたと推測される。
【0018】
着色組成物に含まれる緑色顔料と化合物Aとは、式(a1)の関係を満たすことが好ましい。この態様によれば、着色組成物の保存安定性をより向上できる。
-0.5eV≦LUMOB-LUMOA≦0.5eV ・・・(a1)
【0019】
なお、本発明の着色組成物が緑色顔料を2種以上含む場合は、式(a)および式(a1)におけるLUMOBの値は、2種以上の緑色顔料の最低空軌道のエネルギー準位の質量平均値である。また、本発明の着色組成物が化合物Aを2種以上含む場合は、式(a)および式(a1)におけるLUMOAの値は、各化合物Aの最低空軌道のエネルギー準位であるの値である。したがって、本発明の着色組成物が化合物Aを2種以上含む場合においては、それぞれの化合物Aの最低空軌道のエネルギー準位は、緑色顔料の最低空軌道のエネルギー準位との間で式(a)の関係を満たしている必要がある。
【0020】
本発明の着色組成物は、緑色着色組成物またはシアン色着色組成物として好ましく用いることができ、シアン色着色組成物としてより好ましく用いることができる。また、本発明の着色組成物は、カラーフィルタの画素形成用の着色組成物として好ましく用いることができ、カラーフィルタの緑色画素形成用またはシアン色画素形成用の着色組成物としてより好ましく用いることができ、シアン色画素形成用の着色組成物として更に好ましく用いることができる。また、本発明の着色組成物は、カラーマイクロレンズの形成用の組成物として用いることもできる。カラーマイクロレンズの製造方法としては、特開2018-010162号公報に記載された方法などが挙げられる。
【0021】
以下、本発明の着色組成物に用いられる各成分について説明する。
【0022】
<<着色剤>>
本発明の着色組成物は着色剤を含有する。本発明の着色組成物に含まれる着色剤は、緑色顔料を含む。
【0023】
緑色顔料の25℃のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート100gへの溶解量が0.01g未満であり、0.005g以下であることが好ましく、0.001g以下であることがより好ましく、0.0001g以下であることが更に好ましい。緑色顔料の上記溶解量が0.01g未満であれば分散安定性が良好である。上記溶解量の下限は、特に限定はないが、例えば0.00001g以上とすることができる。
【0024】
緑色顔料の最低空軌道のエネルギー準位は-5.5~-3.5eVであることが好ましい。上限は-3.6eV以下であることが好ましく、-3.8eV以下であることがより好ましく、-4.1eV以下であることが更に好ましい。下限は、-5.4eV以上であることが好ましく、-5.2eV以上であることがより好ましく、-4.9eV以上であることが更に好ましい。
【0025】
緑色顔料の最高被占軌道のエネルギー準位は-7.0~-4.5eVであることが好ましい。上限は-4.6eV以下であることが好ましく、-5.0eV以下であることがより好ましく、-5.5eV以下であることが更に好ましい。下限は、-6.9eV以上であることが好ましく、-6.5eV以上であることがより好ましく、-6.0eV以上であることが更に好ましい。
【0026】
緑色顔料の最低空軌道のエネルギー準位と最高被占軌道のエネルギー準位との差の絶対値は、0~4.0eVであることが好ましく、1.5~3.0eVであることがより好ましく、2.2~2.8eVであることが更に好ましい。
【0027】
緑色顔料の波長450~800nmでの最大吸収波長における、下記式(Aλ2)で表される比吸光度は20以上であることが好ましく、40以上であることがより好ましく、50以上であることが更に好ましい。
E2=A2/(c2×l2) ・・・(Aλ2)
式(Aλ2)中、E2は、緑色顔料の波長450~800nmでの最大吸収波長における比吸光度を表し、A2は、緑色顔料の波長450~800nmでの最大吸収波長における吸光度を表し、l2は、単位がcmで表されるセル長を表し、c2は、単位がmg/mlで表される、溶液中の緑色顔料の濃度を表す。
【0028】
緑色顔料の比吸光度の測定方法は、例えば、緑色顔料に対して十分な溶解性を有する溶剤を用いて、450~800nmでの最大吸光度が1.0となるように緑色顔料を含む溶液の濃度を調整し、かかる溶液の25℃での吸光度を、光路長1cmのセルを用いて測定する方法などが挙げられる。比吸光度を測定する際の溶剤は、緑色顔料に対して十分な溶解性を有するものを適宜利用することができる。例えば、メタンスルホン酸などが挙げられる。
【0029】
緑色顔料の化合物種としては、フタロシアニン化合物、スクアリリウム化合物、などが挙げられ、本発明の効果がより顕著に得られやすいという理由からフタロシアニン化合物であることが好ましく、ハロゲン化フタロシアニン化合物であることがより好ましい。ハロゲン化フタロシアニン化合物とは、分子内に1つ以上のハロゲン原子を有するフタロシアニン化合物のことである。ハロゲン化フタロシアニン化合物としては、式(Pc1)で表される化合物が挙げられる。
【0030】
【0031】
式(Pc1)において、X1~X16はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、M1は、亜鉛原子、銅原子、アルミニウム原子またはバナジウム原子を表す。ただし、X1~X16の少なくとも1つは、ハロゲン原子を表す。
【0032】
X1~X16が表す置換基としては、後述する置換基Tが挙げられる。X1~X16のうち少なくとも一つが表すハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子が挙げられ、臭素原子および塩素原子が好ましい。
【0033】
X1~X16は、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表すことが好ましい。また、X1~X16のうちの任意の8~16か所はハロゲン原子であり、残りは水素原子であることが好ましい。
【0034】
(置換基T)
置換基Tとしては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アリール基、複素環基、-ORt1、-CORt1、-COORt1、-OCORt1、-NRt1Rt2、-NHCORt1、-CONRt1Rt2、-NHCONRt1Rt2、-NHCOORt1、-SRt1、-SO2Rt1、-SO2ORt1、-NHSO2Rt1または-SO2NRt1Rt2が挙げられる。Rt1およびRt2は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。Rt1とRt2が結合して環を形成してもよい。
【0035】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。
アリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。
複素環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。複素環基は、単環または縮合数が2~4の縮合環が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。複素環基の環を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましい。
アルキル基、アリール基および複素環基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、上述した置換基Tで説明した置換基が挙げられる。
【0036】
緑色顔料の具体例としては、カラーインデックス(C.I.)Pigment Green 7,10,36,37,58,59,62,63等のフタロシアニン化合物が挙げられる。また、緑色顔料として、1分子中のハロゲン原子数が平均10~14個であり、臭素原子数が平均8~12個であり、塩素原子数が平均2~5個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/118720号に記載の化合物が挙げられる。また、緑色顔料として中国特許出願第106909027号明細書に記載の化合物、国際公開第2012/102395号に記載のリン酸エステルを配位子として有するフタロシアニン化合物、特開2019-008014号公報に記載のフタロシアニン化合物および特開2018-180023号公報に記載のフタロシアニン化合物を用いることもできる。
【0037】
(他の着色剤)
本発明の着色組成物は、緑色以外の色相の着色剤をさらに含有することができる。他の着色剤としては、黄色着色剤、オレンジ色着色剤、赤色着色剤、紫色着色剤、青色着色剤などが挙げられる。他の着色剤は、顔料であってもよく、染料であってもよい。
【0038】
顔料は、有機顔料であることが好ましい。また、顔料の平均一次粒子径は、1~200nmが好ましい。下限は5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。上限は、180nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましい。顔料の平均一次粒子径が上記範囲であれば、着色組成物中における顔料の分散安定性が良好である。なお、本発明において、顔料の一次粒子径は、顔料の一次粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた写真から求めることができる。具体的には、顔料の一次粒子の投影面積を求め、それに対応する円相当径を顔料の一次粒子径として算出する。また、本発明における平均一次粒子径は、400個の顔料の一次粒子についての一次粒子径の算術平均値とする。また、顔料の一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
【0039】
本発明の着色組成物は、他の着色剤として黄色着色剤を含むことが好ましく、黄色顔料を含むことがより好ましい。この態様によれば、製膜時などにおいて、緑色顔料の凝集や析出などの発生も抑制することもできる。更には、緑色の画素に適した分光特性を有する膜を形成しやすい。
【0040】
黄色顔料としては、アゾ化合物、イソインドリノン化合物、イソインドリン化合物、キノフタロン化合物、アントラキノン化合物等が挙げられ、イソインドリン化合物およびキノフタロン化合物が好ましく、イソインドリン化合物がより好ましい。
【0041】
黄色顔料の具体例としては、カラーインデックス(C.I.)Pigment Yellow1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214,215,228,231,232(メチン系),233(キノリン系)等が挙げられる。
【0042】
また、黄色着色剤として、特開2017-201003号公報に記載の化合物、特開2017-197719号公報に記載の化合物、特開2017-171912号公報の段落番号0011~0062、0137~0276に記載の化合物、特開2017-171913号公報の段落番号0010~0062、0138~0295に記載の化合物、特開2017-171914号公報の段落番号0011~0062、0139~0190に記載の化合物、特開2017-171915号公報の段落番号0010~0065、0142~0222に記載の化合物、特開2013-054339号公報の段落番号0011~0034に記載のキノフタロン化合物、特開2014-026228号公報の段落番号0013~0058に記載のキノフタロン化合物、特開2018-062644号公報に記載のイソインドリン化合物、特開2018-203798号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-062578号公報に記載のキノフタロン化合物、特許第6432077号公報に記載のキノフタロン化合物、特許第6432076号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-155881号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-111757号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-040835号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2017-197640号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2016-145282号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2014-085565号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2014-021139号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-209614号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-209435号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-181015号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-061622号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-054339号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-032486号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2012-226110号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074987号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-081565号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074986号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074985号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-050420号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-031281号公報に記載のキノフタロン化合物、特公昭48-032765号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2019-008014号公報に記載のキノフタロン化合物、下記式(QP1)で表される化合物、下記式(QP2)で表される化合物を用いることもできる。
【化3】
【0043】
式(QP1)中、X
1~X
16は各々独立に水素原子又はハロゲン原子を表し、Z
1は炭素数1~3のアルキレン基を表す。式(QP1)で表される化合物の具体例としては、特許第6443711号公報の段落番号0016に記載されている化合物が挙げられる。
【化4】
【0044】
式(QP2)中、Y1~Y3は、それぞれ独立にハロゲン原子を示す。n、mは0~6の整数、pは0~5の整数を表す。(n+m)は1以上である。式(QP2)で表される化合物の具体例としては、特許6432077号公報の段落番号0047~0048に記載されている化合物が挙げられる。
【0045】
黄色以外の有彩色着色剤としては、以下が挙げられる。
【0046】
C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等(以上、オレンジ色顔料)、
C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279,294(キサンテン系、Organo Ultramarine、Bluish Red),295(モノアゾ系),296(ジアゾ系)等(以上、赤色顔料)、
C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42,60(トリアリールメタン系),61(キサンテン系)等(以上、紫色顔料)、
C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,29,60,64,66,79,80,87(モノアゾ系),88(メチン系)等(以上、青色顔料)。
【0047】
また、青色顔料として、リン原子を有するアルミニウムフタロシアニン化合物を用いることもできる。具体例としては、特開2012-247591号公報の段落0022~0030、特開2011-157478号公報の段落0047に記載の化合物が挙げられる。
【0048】
赤色顔料として、特開2017-201384号公報に記載の構造中に少なくとも1つ臭素原子が置換したジケトピロロピロール系顔料、特許第6248838号の段落番号0016~0022に記載のジケトピロロピロール系顔料などを用いることもできる。また、赤色顔料として、芳香族環に対して、酸素原子、硫黄原子または窒素原子が結合した基が導入された芳香族環基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する化合物を用いることもできる。このような化合物としては、式(DPP1)で表される化合物であることが好ましく、式(DPP2)で表される化合物であることがより好ましい。
【化5】
【0049】
上記式中、R11およびR13はそれぞれ独立して置換基を表し、R12およびR14はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、n11およびn13はそれぞれ独立して0~4の整数を表し、X12およびX14はそれぞれ独立して酸素原子、硫黄原子または窒素原子を表し、X12が酸素原子または硫黄原子の場合は、m12は1を表し、X12が窒素原子の場合は、m12は2を表し、X14が酸素原子または硫黄原子の場合は、m14は1を表し、X14が窒素原子の場合は、m14は2を表す。R11およびR13が表す置換基としては、上述した置換基Tで挙げた基が挙げられ、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、アミド基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、スルホキシド基、スルホ基などが好ましい具体例として挙げられる。
【0050】
染料としては特に制限はなく、公知の染料が使用できる。ピラゾールアゾ化合物、アニリノアゾ化合物、トリアリールメタン化合物、アントラキノン化合物、アントラピリドン化合物、ベンジリデン化合物、オキソノール化合物、ピラゾロトリアゾールアゾ化合物、ピリドンアゾ化合物、シアニン化合物、フェノチアジン化合物、ピロロピラゾールアゾメチン化合物、キサンテン化合物、フタロシアニン化合物、ベンゾピラン化合物、インジゴ化合物、ピロメテン化合物が挙げられる。
【0051】
また、他の着色剤として、特開2012-158649号公報に記載のチアゾール化合物、特開2011-184493号公報に記載のアゾ化合物、特開2011-145540号公報に記載のアゾ化合物を用いることもできる。
【0052】
着色組成物の全固形分中における着色剤の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、45質量%以上であることが特に好ましい。一般的に着色剤の含有量が多くなるに伴い、着色組成物の保存安定性が低下しやすい傾向にあるが、本発明の着色組成物は、着色剤の含有量が多くても優れた保存安定性を有している。このため、着色剤の含有量が多い場合において本発明の効果が顕著に得られる。着色組成物の全固形分中における着色剤の含有量の上限は、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましく、65質量%以下が特に好ましい。
【0053】
着色組成物の全固形分中における緑色顔料の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、35質量%以上であることが特に好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましく、55質量%以下が特に好ましい。
また、本発明の着色組成物に用いられる着色剤中における緑色顔料の含有量は40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましい。上限は、100質量%とすることもでき、90質量%以下とすることもでき、80質量%以下とすることもできる。
また、緑色顔料中におけるフタロシアニン化合物の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、実質的にフタロシアニン化合物のみであることが更に好ましい。緑色顔料が実質的にフタロシアニン化合物のみである場合とは、緑色顔料の全量中におけるフタロシアニン化合物の割合が99質量%以上であることを意味し、99.5質量%以上であることが好ましく、フタロシアニン化合物のみであることが更に好ましい。
【0054】
着色組成物の全固形分中における黄色顔料の含有量は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。上限は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましい。
また、本発明の着色組成物に用いられる着色剤中における緑色顔料と黄色顔料との合計の含有量は45~100質量%であることが好ましく、50~100質量%であることがより好ましく、55~100質量%であることが更に好ましい。
【0055】
本発明の着色組成物を緑色画素形成用の着色組成物として用いる場合、緑色顔料と黄色顔料との質量比は、90/10~40/60が好ましく、85/15~60/40がより好ましい。
【0056】
本発明の着色組成物をシアン色画素形成用の着色組成物として用いる場合、緑色顔料と黄色顔料との質量比は、100/0~80/20が好ましく、100/0~90/10がより好ましい。
【0057】
<<化合物A>>
本発明の着色組成物は、着色組成物に含まれる緑色顔料と、上記の式(a)の関係(好ましくは、上記の式(a1)の関係)を満たす化合物Aを含む。
【0058】
化合物Aの25℃のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート100gへの溶解量が0.01g以上であり、0.05g以上であることが好ましく、0.1g以上であることが更に好ましい。化合物Aの上記溶解量が0.01g以上であることにより、着色組成物中において化合物Aが緑色顔料に対して効率よく吸着すると推測され、着色組成物の保存安定性を向上できる。上記溶解量の上限は、1.0g未満であることが好ましい。化合物Aの上記溶解量が1.0g未満であれば、着色組成物中において化合物Aが緑色顔料に対してより効率よく吸着すると推測され、着色組成物の保存安定性をより向上できる。
【0059】
また、化合物Aの25℃のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート100gへの溶解量と、緑色顔料の25℃のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート100gへの溶解量との差は0.1g以上であることが好ましい。この態様によれば、化合物Aの一部は緑色顔料に吸着し一部が溶剤に溶解している状態の平衡状態となり易いため、着色組成物の保存安定性をより向上できる。
【0060】
化合物Aの最低空軌道のエネルギー準位は-6.0~-3.0eVであることが好ましい。上限は-3.9eV以下であることが好ましく、-4.2eV以下であることがより好ましく、-4.5eV以下であることが更に好ましい。下限は、-5.5eV以上であることが好ましく、-5.2eV以上であることがより好ましく、-4.9eV以上であることが更に好ましい。化合物Aの最低空軌道のエネルギー準位が上記範囲であれば、緑色顔料の分散安定性がより優れる。
【0061】
化合物Aの最高被占軌道のエネルギー準位は-8.0~-4.5eVであることが好ましい。上限は-5.0eV以下であることが好ましく、-5.5eV以下であることがより好ましく、-6.0eV以下であることが更に好ましい。下限は、-7.5eV以上であることが好ましく、-7.0eV以上であることがより好ましく、-6.5eV以上であることが更に好ましい。化合物Aの最高被占軌道のエネルギー準位が上記範囲であれば、緑色顔料の分散安定性がより優れる。
【0062】
化合物Aの波長450~800nmでの最大吸収波長における、下記式(Aλ1)で表される比吸光度は、50以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましく、10以下であることが更に好ましい。この態様によれば、緑色顔料の分光特性を損なうことなく、着色組成物の保存安定性をより効果的に向上できる。また、化合物Aの波長450~800nmでの最大吸収波長における、下記式(Aλ1)で表される比吸光度は、1.0以上であることが好ましく、3.0以上であることがより好ましく、5.0以上であることが更に好ましい。
【0063】
E1=A1/(c1×l1) ・・・(Aλ1)
式(Aλ1)中、E1は、化合物Aの波長450~800nmでの最大吸収波長における比吸光度を表し、A1は、化合物Aの波長450~800nmでの最大吸収波長における吸光度を表し、l1は、単位がcmで表されるセル長を表し、c1は、単位がmg/mlで表される、溶液中の化合物Aの濃度を表す。
【0064】
化合物Aの比吸光度の測定方法は、例えば、化合物Aに対して十分な溶解性を有する溶剤を用いて、450~800nmでの最大吸光度が1.0となるように化合物Aを含む溶液の濃度を調整し、かかる溶液の25℃での吸光度を、光路長1cmのセルを用いて測定する方法などが挙げられる。比吸光度を測定する際の溶剤は、化合物Aに対して十分な溶解性を有するものを適宜利用することができる。例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
【0065】
化合物Aは式(1)~(7)のいずれかで表わされる化合物であることが好ましく、化合物の平面性が高く、より緑色顔料に吸着しやすいという理由から式(1)で表わされる化合物であることがより好ましい。
【化6】
【0066】
式(1)中、R1~R4は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R1とR2、R3とR4は互いに結合して環を形成しても良い;
式(2)中、R5~R8は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R5とR6、R7とR8は互いに結合して環を形成しても良い;
式(3)中、R9およびR10は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基または複素環基を表す;R11~R14は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R11とR12、R13とR14は互いに結合して環を形成しても良い;
式(4)中、R15およびR16は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R15とR16は互いに結合して環を形成しても良い;
式(5)中、X1は、炭素原子、または、ケイ素原子を表し、nは、1~5の整数を表し、R17およびR18は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R17とR18は互いに結合して環を形成しても良い;
式(6)中、M1は金属原子を表し、R19~R26は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R19とR21、R19とR20、R20とR22、R23とR25、R23とR24、R24とR26は互いに結合して環を形成しても良く、式中の[]で囲った部位がカチオン部である場合、Y1は対アニオンを表し、mは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、式中の[]で囲った部位がアニオン部である場合、Y1は対カチオンを表し、mは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、式中の[]で囲った部位の電荷が分子内で中和されている場合、mは0である;
式(7)のX2およびX3は、それぞれ独立してOまたはNRxを表し、Rxは、水素原子または置換基を表す。
【0067】
[式(1)について]
式(1)中、R1~R4は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R1とR2、R3とR4は互いに結合して環を形成しても良い。
【0068】
式(1)におけるR1~R4の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は鎖式脂肪族炭化水素基であってもよく、環式脂肪族炭化水素基であってもよい。炭化水素基の具体例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基が挙げられる。
【0069】
アルキル基の炭素数は、1~40が好ましく、1~30がより好ましく、1~20が更に好ましく、1~10が特に好ましい。アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。
【0070】
アルケニル基およびアルキニル基の炭素数は、2~40が好ましく、2~30がより好ましく、2~20が更に好ましく、2~10が特に好ましい。アルケニル基およびアルキニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。
【0071】
アリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。
【0072】
式(1)におけるR1~R4の複素環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。複素環基は、芳香族複素環基であってもよく、非芳香族複素環基であってもよい。複素環基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。複素環基の環を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましい。
【0073】
式(1)におけるR1~R4のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0074】
式(1)におけるR1~R4のアルコキシ基の炭素数は、1~40が好ましく、1~30がより好ましく、1~20が更に好ましく、1~10が特に好ましい。アルコキシ基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。
【0075】
式(1)におけるR1~R4のアリールオキシ基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。
【0076】
式(1)におけるR1~R4のアルキルカルボニル基の炭素数は、2~40が好ましく、2~30がより好ましく、2~20が更に好ましく、2~10が特に好ましい。アルキルカルボニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。
【0077】
式(1)におけるR1~R4のアリールカルボニル基の炭素数は、7~30が好ましく、7~20がより好ましく、7~12が更に好ましい。
【0078】
式(1)におけるR1~R4のアルコキシカルボニル基の炭素数は、2~40が好ましく、2~30がより好ましく、2~20が更に好ましく、2~10が特に好ましい。アルコキシカルボニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。
【0079】
式(1)におけるR1~R4のアリールオキシカルボニル基の炭素数は、7~30が好ましく、7~20がより好ましく、7~12が更に好ましい。
【0080】
式(1)におけるR1~R4のアルキルチオ基の炭素数は、1~40が好ましく、1~30がより好ましく、1~20が更に好ましく、1~10が特に好ましい。アルキルチオ基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。
【0081】
式(1)におけるR1~R4のアリールチオ基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。
【0082】
式(1)におけるR1~R4のアミノ基としては、未置換のアミノ基(-NH2)、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基などが挙げられる。アミノ基の具体例としては、-NH2、N-メチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N,N-ジイソプロピルアミノ基、N,N-ジブチルアミノ基、N-ベンジルアミノ基、N,N-ジベンジルアミノ基、N-フェニルアミノ基、N-フェニル-N-メチルアミノ基、N,N-ジフェニルアミノ基、N,N-ビス(m-トリル)アミノ基、N,N-ビス(p-トリル)アミノ基、N,N-ビス(p-ビフェニリル)アミノ基、ビス[4-(4-メチル)ビフェニリル]アミノ基、N-α-ナフチル-N-フェニルアミノ基、N-β-ナフチル-N-フェニルアミノ基などが挙げられる。
【0083】
式(1)におけるR1~R4のシリル基としては、未置換のシリル基、モノアルキルシリル基、モノアリールシリル基、ジアルキルシリル基、ジアリールシリル基、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基などが挙げられる。モノアルキルシリル基としては、モノメチルシリル基、モノエチルシリル基、モノブチルシリル基、モノイソプロピルシリル基、モノデカンシリル、モノイコサンシリル基、モノトリアコンタンシリル基等が挙げられる。モノアリールシリル基としては、モノフェニルシリル基、モノトリルシリル基、モノナフチルシリル基、モノアンスリルシリル基等が挙げられる。ジアルキルシリル基としては、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジイソプロピルシリル基、ジブチルシリル基、ジオクチルシリル基、ジデカンシリル基等が挙げられる。ジアリールシリル基としては、ジフェニルシリル基、ジトリルシリル基等が挙げられる。トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリブチルシリル基、トリオクチルシリル基等が挙げられる。トリアリールシリル基としては、トリフェニルシリル基、トリトリルシリル基等が挙げられる。
【0084】
式(1)におけるR1~R4のホスフィノ基としては、未置換のホスフィノ基、モノアルキルホスフィノ基、モノアリールホスフィノ基、ジアルキルホスフィノ基、ジアリールホスフィノ基等が挙げられる。モノアルキルホスフィノ基としては、モノメチルホスフィノ基、モノエチルホスフィノ基、モノブチルホスフィノ基、モノイソプロピルホスフィノ基、モノデカンホスフィノ基等が挙げられる。モノアリールホスフィノ基としては、モノフェニルホスフィノ基、モノトリルホスフィノ基、モノナフチルホスフィノ基、モノピレニルホスフィノ基などが挙げられる。ジアルキルホスフィノ基としては、ジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、ジメチルエチルホスフィノ基、ジイソプロピルホスフィノ基、ジブチルホスフィノ基、ジオクチルホスフィノ基、ジデカンホスフィノ基などが挙げられる。ジアリールホスフィノ基としては、ジフェニルホスフィノ基、ジトリルホスフィノ基、ジナフチルホスフィノ基、ピレニルフェニルホスフィノ基などが挙げられる。
【0085】
R1~R4が表す上記の基が更に置換基を有することが可能な基である場合は、さらに置換基を有していてもよい。更なる置換基としては、炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、ホスフィノ基などが挙げられる。これらの基の詳細は、R1~R4で説明した範囲と同義である。
【0086】
式(1)において、R1とR2、R3とR4は互いに結合して環を形成しても良い。これらの基同士が結合して形成される環は、脂肪族環、芳香族環、複素環のいずれであってもよい。これらの基同士が結合して形成される環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、および、ホスフィノ基が挙げられる。これらの基の詳細は、R1~R4で説明した範囲と同義である。
【0087】
式(1)のR1~R4は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基がより好ましく、より緑色顔料と近い最低空軌道のエネルギー準位としやすいという理由から水素原子またはハロゲン原子が更に好ましい。
【0088】
[式(2)について]
式(2)中、R5~R8は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R5とR6、R7とR8は互いに結合して環を形成しても良い。R5~R8が表すこれらの基の詳細は、式(1)で説明した範囲と同義である。
【0089】
式(2)において、R5とR6、R7とR8は互いに結合して環を形成しても良い。これらの基同士が結合して形成される環は、脂肪族環、芳香族環、複素環のいずれであってもよい。これらの基同士が結合して形成される環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、および、ホスフィノ基が挙げられる。これらの基の詳細は、R1~R4で説明した範囲と同義である。
【0090】
式(2)の好ましい態様としては以下の(2-1)~(2-3)の態様が挙げられる。
(2-1):R5~R8がそれぞれ独立にハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基(好ましくはハロゲン原子またはシアノ基)である態様。
(2-2):R5とR6が互いに結合して環(好ましくは芳香族環)を形成しており、R7とR8はそれぞれ独立してハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基(好ましくはハロゲン原子またはシアノ基)である態様。この態様において、R5とR6が互いに結合して形成される環は置換基を有していてもよい。置換基としては、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、および、ホスフィノ基が挙げられ、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基が好ましく、ハロゲン原子、アルコキシ基がより好ましい。
(2-3):R5とR6が互いに結合して環(好ましくは芳香族環)を形成しており、R7とR8が互いに結合して環(好ましくは芳香族環)を形成している態様。この態様において、R5とR6が互いに結合して形成される環およびR7とR8が互いに結合して環は置換基を有していてもよい。置換基としては、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、および、ホスフィノ基が挙げられ、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基が好ましく、ハロゲン原子、アルコキシ基がより好ましい。
【0091】
[式(3)について]
式(3)中、R9およびR10は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基または複素環基を表す;R11~R14は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R11とR12、R13とR14は互いに結合して環を形成しても良い。R9~R14が表すこれらの基の詳細は、式(1)で説明した範囲と同義である。
【0092】
式(3)において、R9およびR10は、それぞれ独立に、水素原子または炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0093】
式(3)において、R11とR12、R13とR14は互いに結合して環を形成しても良い。これらの基同士が結合して形成される環は、脂肪族環、芳香族環、複素環のいずれであってもよい。これらの基同士が結合して形成される環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、および、ホスフィノ基が挙げられる。これらの基の詳細は、R1~R4で説明した範囲と同義である。
【0094】
式(3)において、R11~R14の好ましい態様としては以下の(3-1)~(3-3)の態様が挙げられる。
(3-1):R11~R14がそれぞれ独立にハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基(好ましくはハロゲン原子またはシアノ基)である態様。
(3-2):R11とR12が互いに結合して環(好ましくは芳香族環)を形成しており、R13とR14はそれぞれ独立してハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基(好ましくはハロゲン原子またはシアノ基)である態様。この態様において、R11とR12が互いに結合して形成される環は置換基を有していてもよい。置換基としては、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、および、ホスフィノ基が挙げられ、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基が好ましい。
(3-3):R11とR12が互いに結合して環(好ましくは芳香族環)を形成しており、R13とR14が互いに結合して環(好ましくは芳香族環)を形成している態様。この態様において、R11とR12が互いに結合して形成される環およびR13とR14が互いに結合して環は置換基を有していてもよい。置換基としては、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、および、ホスフィノ基が挙げられ、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基が好ましく、ハロゲン原子、アルコキシ基がより好ましい。
【0095】
[式(4)について]
式(4)中、R15およびR16は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R15とR16は互いに結合して環を形成しても良い。R15およびR16が表すこれらの基の詳細は、式(1)で説明した範囲と同義である。
【0096】
式(4)において、R15とR16は互いに結合して環を形成していることが好ましい。形成される環は、脂肪族環、芳香族環、複素環のいずれであってもよいが芳香族環であることが好ましく、縮合環の芳香族環であることがより好ましく、3環以上環構造を有する芳香族環であることが更に好ましい。3環以上環構造を有する芳香族環としては、フルオレン環などが挙げられる。R15とR16は互いに結合して形成される環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、および、ホスフィノ基が挙げられ、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基が好ましく、ニトロ基、ハロゲン原子、アルコキシ基がより好ましい。
【0097】
式(4)は、下記式(4a)で表される構造であることが好ましい。
【化7】
【0098】
式(4a)中、Ra1~Ra8は、それぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表す。Ra1とRa2、Ra2とRa3、Ra3とRa4、Ra5とRa6、Ra6とRa7、Ra7とRa8は互いに結合して環を形成しても良い。Ra1~Ra8が表すこれらの基の詳細は、式(1)で説明した範囲と同義である。
【0099】
[式(5)について]
式(5)中、X1は、炭素原子、または、ケイ素原子を表し、nは、1~5の整数を表し、R17およびR18は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R17とR18は互いに結合して環を形成しても良い。R16およびR17が表すこれらの基の詳細は、式(1)で説明した範囲と同義である。
【0100】
式(5)において、R17とR18は互いに結合して環を形成しても良い。これらの基同士が結合して形成される環は、脂肪族環、芳香族環、複素環のいずれであってもよい。これらの基同士が結合して形成される環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、および、ホスフィノ基が挙げられる。これらの基の詳細は、R1~R4で説明した範囲と同義である。
【0101】
X1は、炭素原子であることが好ましい。nは、1~3が好ましく、1または2がより好ましく、1が更に好ましい。R17およびR18は、それぞれ独立に、炭化水素基、アルコキシ基またはアルコキシカルボニル基であることが好ましく、炭化水素基およびアルコキシカルボニル基であることがより好ましく、炭化水素基であることが更に好ましい。なかでも、R17およびR18の一方がアリール基で、他方がアルキル基であることが好ましい。アリール基は置換基を有していてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。アルキル基は、置換基を有していることが好ましい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、およびホスフィノ基が挙げられ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましく、アルコキシカルボニル基がより好ましい。これらの基の詳細は、式(1)で説明した範囲と同義である。
【0102】
[式(6)について]
式(6)中、M1は金属原子を表し、R21~R26は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、または、ホスフィノ基を表し、R19とR21、R19とR20、R20とR22、R23とR25、R23とR24、R24とR26は互いに結合して環を形成しても良く、式中の[]で囲った部位がカチオン部である場合、Y1は対アニオンを表し、mは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、式中の[]で囲った部位がアニオン部である場合、Y1は対カチオンを表し、mは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、式中の[]で囲った部位の電荷が分子内で中和されている場合、mは0である。
【0103】
R19~R26が表す上記の基の詳細は、式(1)で説明した範囲と同義である。R19~R26はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基またはアミノ基(好ましくは、ハロゲン原子またはアルコキシ基)を表し、かつ、R19~R22の少なくとも一つと、R23~R26の少なくとも一つは、それぞれ独立にハロゲン原子、アルコキシ基またはアミノ基(好ましくは、ハロゲン原子またはアルコキシ基)を表すことが好ましい。
【0104】
M1が表す金属原子としては、ニッケル、白金、銅、亜鉛が挙げられ、ニッケルであることが好ましい。
【0105】
式(6)において、R19とR21、R19とR20、R20とR22、R23とR25、R23とR24、R24とR26は互いに結合して環を形成しても良い。これらの基同士が結合して形成される環は、脂肪族環、芳香族環、複素環のいずれであってもよい。これらの基同士が結合して形成される環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、および、ホスフィノ基が挙げられる。これらの基の詳細は、R1~R4で説明した範囲と同義である。
【0106】
式(6)において、式中の[]で囲った部位がカチオン部である場合、Y1は対アニオンを表し、mは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、式中の[]で囲った部位がアニオン部である場合、Y1は対カチオンを表し、mは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、式中の[]で囲った部位の電荷が分子内で中和されている場合、mは0である。対アニオンとしては、水酸化物イオン、ハロゲン化物イオン、アルキルカルボン酸イオン、アリールカルボン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオン、アリールジスルホン酸イオン、アルキル硫酸イオン、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、ホウ素酸イオン、スルホネートイオン、イミドイオン、ホスフェートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、アミドイオン(アシル基やスルホニル基で置換されたアミドを含む)、メチドイオン(アシル基やスルホニル基で置換されたメチドを含む)が挙げられる。対カチオンとしては、アンモニウムイオン(例えば、テトラブチルアンモニウムイオンなどのテトラアルキルアンモニウムイオン、トリエチルベンジルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)、ホスホニウムイオン(例えば、テトラブチルホスホニウムイオンなどのテトラアルキルホスホニウムイオン、アルキルトリフェニルホスホニウムイオン、トリエチルフェニルホスホニウムイオン等)、アルカリ金属イオンが挙げられる。
【0107】
[式(7)について]
式(7)のX2およびX3は、それぞれ独立してOまたはNRxを表し、Rxは、水素原子または置換基を表す。
【0108】
Rxが表す置換基としては、炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルデヒド基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、シアノ基、シリル基、ボロニル基、およびホスフィノ基が挙げられ、炭化水素基がより好ましく、アルキル基が更に好ましい。これらの基の詳細は、式(1)で説明した範囲と同義である。
【0109】
X2およびX3は、Oであるか、または、Rxが置換基であるNRxであることが好ましい。
【0110】
化合物Aの具体例としては後述する実施例に記載の化合物、特開2016-075739号公報の段落番号0081~0085に記載の化合物などが挙げられる。
【0111】
化合物Aの含有量は、緑色顔料の100質量部に対して0.1~10質量部である。化合物Aの含有量が上記範囲であれば、優れた保存安定性を得ることができる。化合物Aの含有量の下限は0.2質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましい。上限は、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましい。また、着色組成物の全固形分中における化合物Aの含有量は、0.01~5質量%が好ましい。下限は、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましい。上限は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。化合物Aは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合はそれらの合計量が上記範囲である。
【0112】
<<樹脂>>
本発明の着色組成物は、樹脂を含有する。樹脂は、例えば、顔料などの粒子を着色組成物中で分散させる用途やバインダーの用途で配合される。なお、主に顔料などの粒子を分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外の目的で使用することもできる。
【0113】
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3000~2000000が好ましい。上限は、1000000以下が好ましく、500000以下がより好ましい。下限は、4000以上が好ましく、5000以上がより好ましい。
【0114】
(グラフト樹脂)
本発明において、樹脂は、グラフト鎖を有する繰り返し単位を含む樹脂(以下、グラフト樹脂ともいう)を用いることが好ましい。この態様によれば、緑色顔料の分散性をより向上させることができ、着色組成物の保存安定性を更に向上できる。更には、顔料同士の凝集も抑制しやすく、その結果、現像後の残渣の発生抑制することもでき、現像性をより向上させることもできる。グラフト樹脂は分散剤として好ましく用いることができる。ここで、グラフト鎖とは、繰り返し単位の主鎖から枝分かれして伸びるポリマー鎖のことを意味する。グラフト鎖の長さについては特に制限されないが、グラフト鎖が長くなると立体反発効果が高くなり、顔料などの分散性を高めることができる。グラフト鎖においては、水素原子を除いた原子数が40~10000であることが好ましく、水素原子を除いた原子数が50~2000であることがより好ましく、水素原子を除いた原子数が60~500であることが更に好ましい。
【0115】
グラフト鎖は、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖、ポリ(メタ)アクリル鎖、ポリウレタン鎖、ポリウレア鎖およびポリアミド鎖から選ばれる少なくとも1種の構造を含むことが好ましく、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖およびポリ(メタ)アクリル鎖から選ばれる少なくとも1種の構造を含むことがより好ましい。
【0116】
グラフト鎖の末端構造としては、特に限定されない。水素原子であってもよく、置換基であってもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、ヒドロキシ基、アミノ基等が挙げられる。なかでも、顔料などの分散性向上の観点から、立体反発効果を有する基が好ましく、炭素数5~24のアルキル基又はアルコキシ基が好ましい。アルキル基およびアルコキシ基は、直鎖、分岐、及び、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましい。
【0117】
グラフト鎖の重量平均分子量は、500~10000であることが好ましい。上限は、8000以下であることが好ましく、6000以下であることがより好ましい。下限は1000以上であることが好ましく、1500以上であることがより好ましい。グラフト鎖の重量平均分子量が10000以下であれば、優れた現像性が得られる。また、グラフト鎖の重量平均分子量が500以上であれば、顔料の分散性を向上でき、着色組成物の保存安定性を向上できる。なお、本明細書において、グラフト鎖の重量平均分子量は、グラフト鎖を有する繰り返し単位の重合に用いた原料モノマーの重量平均分子量から算出した値である。例えば、グラフト鎖を有する繰り返し単位は、マクロモノマーを重合することで形成できる。ここで、マクロモノマーとは、ポリマー末端に重合性基が導入された高分子化合物を意味する。また、原料モノマーの重量平均分子量の値は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値を用いる。
【0118】
グラフト鎖を有する繰り返し単位としては、式(Gf1)~(Gf4)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0119】
【0120】
式(Gf1)~(Gf4)において、W1、W2、W3、及びW4はそれぞれ独立に酸素原子、または、NHを表し、X1、X2、X3、X4、及びX5はそれぞれ独立に水素原子、または、置換基を表し、Y1、Y2、Y3、及びY4はそれぞれ独立に2価の連結基を表し、Z1、Z2、Z3、及びZ4はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R3はアルキレン基を表し、R4は水素原子又は置換基を表し、n、m、p及びqはそれぞれ独立に1~500の整数を表し、j及びkはそれぞれ独立に2~8の整数を表す。式(Gf3)において、pが2~500のとき、複数存在するR3は互いに同じであっても異なっていてもよい。式(Gf4)において、qが2~500のとき、複数存在するX5及びR4は互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0121】
W1、W2、W3、及びW4は酸素原子であることが好ましい。X1、X2、X3、X4、及びX5は、水素原子又は炭素数1~12のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。Y1、Y2、Y3、及びY4は、それぞれ独立に、2価の連結基を表し、連結基は特に構造上制約されない。例えば、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO2-、-CO-、-O-、-COO-、OCO-、-S-およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。Z1、Z2、Z3、及びZ4が表す置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、ヒドロキシ基、アミノ基等が挙げられる。Z1、Z2、Z3、及びZ4が表す置換基としては、分散性向上の観点から、立体反発効果を有するものが好ましく、炭素数5~24のアルキル基又は炭素数5~24のアルコキシ基がより好ましく、炭素数5~24の分岐アルキル基、炭素数5~24の環状アルキル基、又は、炭素数5~24のアルコキシ基が更に好ましい。なお、アルコキシ基中に含まれるアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。
【0122】
式(Gf1)~(Gf4)において、n、m、p、及びqは、それぞれ独立に、1~500の整数である。また、式(Gf1)及び式(Gf2)において、j及びkは、それぞれ独立に、2~8の整数を表す。式(Gf1)及び式(Gf2)におけるj及びkは、分散安定性、現像性の観点から、4~6の整数が好ましく、5が最も好ましい。
【0123】
式(Gf3)中、R3はアルキレン基を表し、炭素数1~10のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がより好ましい。pが2~500のとき、複数存在するR3は互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0124】
式(Gf4)中、R4は水素原子又は置換基を表す。置換基としてはアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基が挙げられる。R4は、水素原子またはアルキル基であることが好ましい。式(Gf4)において、qが2~500のとき、複数存在するX5及びR4は互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0125】
グラフト樹脂は、グラフト樹脂の全繰り返し単位中、グラフト鎖を有する繰り返し単位を1モル%以上含むことが好ましく、2モル%以上含有することがより好ましく、3モル%以上含有することが更に好ましい。上限は、100モル%とすることもでき、90モル%以下とすることもでき、80モル%以下とすることもでき、70モル%以下とすることもでき、60モル%以下とすることもできる。
【0126】
グラフト樹脂は、グラフト鎖を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位をさらに含んでいてもよい。他の繰り返し単位としては、酸基を有する繰り返し単位、重合性基を有する繰り返し単位などが挙げられる。酸基としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基が挙げられる。重合性基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などエチレン性不飽和基が挙げられる。
【0127】
グラフト樹脂が、酸基を有する繰り返し単位をさらに含むことで、アルカリ現像性を付与し、現像性をより向上させることができる。また、グラフト樹脂が、重合性基を有する繰り返し単位をさらに含むことで、耐熱性などの諸物性に優れた膜が得られやすい。
【0128】
グラフト樹脂が酸基を有する繰り返し単位を含む場合、酸基を有する繰り返し単位の含有量は、グラフト樹脂の全繰り返し単位中、40~90モル%であることが好ましい。下限は、50モル%以上が好ましく、60モル%以上含がより好ましい。上限は、80モル%以下が好ましく、75モル%以下がより好ましい。
グラフト樹脂Aが重合性基を有する繰り返し単位を含む場合、重合性基を有する繰り返し単位の含有量は、グラフト樹脂Aの全繰り返し単位中、10~50モル%であることが好ましい。下限は、15モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましい。上限は、45モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましい。
【0129】
グラフト樹脂の重量平均分子量は、3000~50000が好ましい。下限は5000以上が好ましく、7000以上がより好ましい。上限は、40000以下が好ましく、30000以下がより好ましい。グラフト樹脂の重量平均分子量が上記範囲であれば優れた現像性と保存安定性を両立させやすい。
【0130】
グラフト樹脂の酸価は、20~150mgKOH/gが好ましい。上限は、130mgKOH/g以下が好ましく、110mgKOH/g以下がより好ましい。下限は、30mgKOH/g以上が好ましく、40mgKOH/g以上がより好ましい。グラフト樹脂の酸価が上記範囲であれば、優れた現像性と保存安定性を両立させやすい。
【0131】
グラフト樹脂の具体例としては、特開2012-255128号公報の段落番号0025~0094に記載された樹脂や下記構造の樹脂が挙げられる。
【化9】
【0132】
(他の樹脂)
本発明の着色組成物は、上述したグラフト樹脂以外の樹脂(以下、他の樹脂ともいう)を含むことができる。
【0133】
他の樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2000~2000000が好ましい。上限は、1000000以下が好ましく、500000以下がより好ましい。下限は、3000以上が好ましく、4000以上がより好ましく、5000以上が更に好ましい。
【0134】
樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂から1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。また、特開2017-206689号公報の段落番号0041~0060に記載の樹脂、特開2018-010856号公報の段落番号0022~0071に記載の樹脂を用いることもできる。
【0135】
他の樹脂は、酸基を有する樹脂であることも好ましい。この態様によれば、着色組成物の現像性を向上させることができ、フォトリソグラフィ法を用いて矩形性に優れた画素を形成しやすい。酸基としては、カルボキシ基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられ、カルボキシ基が好ましい。酸基を有する樹脂は、例えば、アルカリ可溶性樹脂や、分散剤として用いることもできる。
【0136】
他の樹脂としての酸基を有する樹脂は、酸基を側鎖に有する繰り返し単位を含むことが好ましく、酸基を側鎖に有する繰り返し単位を樹脂の全繰り返し単位中5~70モル%含むことがより好ましい。酸基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量の上限は、50モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましい。酸基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量の下限は、10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。
【0137】
他の樹脂としての酸基を有する樹脂は、下記式(ED1)で示される化合物および/または下記式(ED2)で表される化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)由来の繰り返し単位を含む樹脂であることも好ましい。
【0138】
【0139】
式(ED1)中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~25の炭化水素基を表す。
【化11】
式(ED2)中、Rは、水素原子または炭素数1~30の有機基を表す。式(ED2)で表される化合物の具体例としては、特開2010-168539号公報に記載された化合物が挙げられる。
【0140】
エーテルダイマーの具体例については、特開2013-029760号公報の段落番号0317を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0141】
他の樹脂としての酸基を有する樹脂は、重合性基を有する繰り返し単位を含む樹脂であることも好ましい。重合性基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などエチレン性不飽和基が挙げられる。
【0142】
他の樹脂としての酸基を有する樹脂は、下記式(X)で示される化合物に由来する繰り返し単位を含む樹脂であることも好ましい。
【化12】
式(X)中、R
1は、水素原子またはメチル基を表し、R
2は炭素数2~10のアルキレン基を表し、R
3は、水素原子またはベンゼン環を含んでもよい炭素数1~20のアルキル基を表す。nは1~15の整数を表す。
【0143】
他の樹脂としての酸基を有する樹脂の酸価は、30~500mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上がより好ましく、70mgKOH/g以上が更に好ましい。上限は、400mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下がさらに好ましく、150mgKOH/g以下が特に好ましく、120mgKOH/g以下が最も好ましい。また、重量平均分子量(Mw)は、5000~100000が好ましい。また、数平均分子量(Mn)は、1000~20000が好ましい。
【0144】
酸基を有する樹脂の具体例としては、例えば下記構造の樹脂などが挙げられる。
【化13】
【0145】
他の樹脂は、分散剤であることも好ましい。分散剤としての他の樹脂は、酸性分散剤(酸性樹脂)、塩基性分散剤(塩基性樹脂)が挙げられる。ここで、酸性分散剤(酸性樹脂)とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。酸性分散剤(酸性樹脂)としては、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、酸基の量が70モル%以上を占める樹脂が好ましく、実質的に酸基のみからなる樹脂がより好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)が有する酸基は、カルボキシ基が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)の酸価は、10~105mgKOH/gが好ましい。また、塩基性分散剤(塩基性樹脂)とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。塩基性分散剤(塩基性樹脂)としては、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、塩基性基の量が50モル%を超える樹脂が好ましい。塩基性分散剤が有する塩基性基は、アミノ基が好ましい。
【0146】
分散剤として用いる他の樹脂は、酸基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。分散剤として用いる他の樹脂が酸基を有する繰り返し単位を含むことにより、フォトリソグラフィ法によりパターン形成する際、現像残渣の発生をより抑制できる。
【0147】
分散剤として用いる他の樹脂は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むポリイミン系分散剤であることも好ましい。ポリイミン系分散剤としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造を有する主鎖と、原子数40~10000の側鎖とを有し、かつ主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する樹脂が好ましい。塩基性窒素原子とは、塩基性を呈する窒素原子であれば特に制限はない。ポリイミン系分散剤については、特開2012-255128号公報の段落番号0102~0166の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0148】
分散剤として用いる他の樹脂は、コア部に複数個のポリマー鎖が結合した構造の樹脂であることも好ましい。このような樹脂としては、例えばデンドリマー(星型ポリマーを含む)が挙げられる。また、デンドリマーの具体例としては、特開2013-043962号公報の段落番号0196~0209に記載された高分子化合物C-1~C-31などが挙げられる。
【0149】
分散剤として用いる他の樹脂は、エチレン性不飽和結合基を側鎖に有する繰り返し単位を含む樹脂であることも好ましい。エチレン性不飽和結合基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量は、樹脂の全繰り返し単位中10モル%以上であることが好ましく、10~80モル%であることがより好ましく、20~70モル%であることが更に好ましい。
【0150】
分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、BYKChemie社製のDISPERBYKシリーズ(例えば、DISPERBYK-111、161など)、日本ルーブリゾール(株)製のソルスパースシリーズ(例えば、ソルスパース76500など)などが挙げられる。また、特開2014-130338号公報の段落番号0041~0130に記載された顔料分散剤を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。なお、上記分散剤として説明した樹脂は、分散剤以外の用途で使用することもできる。例えば、バインダーとして用いることもできる。
【0151】
着色組成物の全固形分中における樹脂の含有量は、5~50質量%が好ましい。下限は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。上限は、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
【0152】
着色組成物の全固形分中におけるグラフト樹脂の含有量は、3~40質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。上限は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。グラフト樹脂の含有量が上記範囲であれば、より優れた保存安定性が得られやすい。また、グラフト樹脂の含有量は、緑色顔料の100質量部に対して20~70質量部が好ましい。下限は、25質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましい。上限は、60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、45質量部以下が更に好ましい。グラフト樹脂の含有量が上記範囲であれば、より優れた保存安定性が得られやすい。
【0153】
また、着色組成物の全固形分中における酸基を有する樹脂の含有量は、5~50質量%が好ましい。下限は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。上限は、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。また、樹脂全量中における酸基を有する樹脂の含有量は、優れた現像性が得られやすいという理由から30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上が特に好ましい。上限は、100質量%とすることができ、95質量%とすることもでき、90質量%以下とすることもできる。なお、グラフト樹脂が酸基を有する場合は、このようなグラフト樹脂は、酸基を有する樹脂にも該当する。
【0154】
<<顔料誘導体>>
本発明の着色組成物は、顔料誘導体を含有することができる。この態様によれば、着色組成物の保存安定性をより向上させることができる。顔料誘導体としては、顔料の一部を、酸基、塩基性基、塩構造を有する基又はフタルイミドメチル基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。顔料誘導体としては、式(B1)で表される化合物が好ましい。
【0155】
【化14】
式(B1)中、Pは色素構造を表し、Lは単結合または連結基を表し、Xは酸基、塩基性基、塩構造を有する基またはフタルイミドメチル基を表し、mは1以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、mが2以上の場合は複数のLおよびXは互いに異なっていてもよく、nが2以上の場合は複数のXは互いに異なっていてもよい。
【0156】
Pが表す色素構造としては、ピロロピロール色素構造、ジケトピロロピロール色素構造、キナクリドン色素構造、アントラキノン色素構造、ジアントラキノン色素構造、ベンゾイソインドール色素構造、チアジンインジゴ色素構造、アゾ色素構造、キノフタロン色素構造、フタロシアニン色素構造、ナフタロシアニン色素構造、ジオキサジン色素構造、ペリレン色素構造、ペリノン色素構造、ベンゾイミダゾロン色素構造、ベンゾチアゾール色素構造、ベンゾイミダゾール色素構造およびベンゾオキサゾール色素構造などが挙げられる。
【0157】
Lが表す連結基としては、炭化水素基、複素環基、-NR-、-SO2-、-S-、-O-、-CO-もしくはこれらの組み合わせからなる基が挙げられる。Rは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
【0158】
Xが表す酸基としては、カルボキシ基、スルホ基、カルボン酸アミド基、スルホン酸アミド基、イミド酸基等が挙げられる。カルボン酸アミド基としては、-NHCORX1で表される基が好ましい。スルホン酸アミド基としては、-NHSO2RX2で表される基が好ましい。イミド酸基としては、-SO2NHSO2RX3、-CONHSO2RX4、-CONHCORX5または-SO2NHCORX6で表される基が好ましい。RX1~RX6は、それぞれ独立に、炭化水素基または複素環基を表す。RX1~RX6が表す炭化水素基および複素環基は、さらに置換基を有してもよい。さらなる置換基としては、ハロゲン原子であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。Xが表す塩基性基としてはアミノ基が挙げられる。Xが表す塩構造としては、上述した酸基または塩基性基の塩が挙げられる。
【0159】
顔料誘導体としては、下記構造の化合物が挙げられる。また、特開昭56-118462号公報、特開昭63-264674号公報、特開平01-217077号公報、特開平03-009961号公報、特開平03-026767号公報、特開平03-153780号公報、特開平03-045662号公報、特開平04-285669号公報、特開平06-145546号公報、特開平06-212088号公報、特開平06-240158号公報、特開平10-030063号公報、特開平10-195326号公報、国際公開第2011/024896号の段落番号0086~0098、国際公開第2012/102399号の段落番号0063~0094、国際公開第2017/038252号の段落番号0082、特開2015-151530号公報の段落番号0171、特開2011-252065号公報の段落番号0162~0183、特開2003-081972号公報、特許第5299151号公報、特開2015-172732号公報、特開2014-199308号公報、特開2014-085562号公報、特開2014-035351号公報、特開2008-081565号公報に記載の化合物を用いることもでき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【化15】
【0160】
着色組成物の全固形分中における顔料誘導体の含有量は0.3~20質量%であることが好ましい。下限は0.6質量%以上であることが好ましく、0.9質量%以上であることがより好ましい。上限は15質量%以下であることが好ましく、12.5質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
また、顔料誘導体の含有量は顔料100質量部に対して1~30質量部であることが好ましい。下限は2質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましい。上限は、25質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。顔料誘導体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合はそれらの合計量が上記範囲であることが好ましい。
【0161】
<<重合性化合物>>
本発明の着色組成物は、重合性化合物を含有することが好ましい。重合性化合物としては、ラジカル、酸または熱により架橋可能な公知の化合物を用いることができる。本発明において、重合性化合物は、例えば、エチレン性不飽和結合基を有する化合物であることが好ましい。エチレン性不飽和結合基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。本発明で用いられる重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
【0162】
重合性化合物としては、モノマー、プレポリマー、オリゴマーなどの化学的形態のいずれであってもよいが、モノマーが好ましい。重合性化合物の分子量は、100~3000が好ましい。上限は、2000以下がより好ましく、1500以下が更に好ましい。下限は、150以上がより好ましく、250以上が更に好ましい。
【0163】
重合性化合物は、エチレン性不飽和結合基を3個以上含む化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和結合基を3~15個含む化合物であることがより好ましく、エチレン性不飽和結合基を3~6個含む化合物であることが更に好ましい。また、重合性化合物は、3~15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3~6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。重合性化合物の具体例としては、特開2009-288705号公報の段落番号0095~0108、特開2013-029760号公報の段落番号0227、特開2008-292970号公報の段落番号0254~0257、特開2013-253224号公報の段落番号0034~0038、特開2012-208494号公報の段落番号0477、特開2017-048367号公報、特許第6057891号公報、特許第6031807号公報に記載されている化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0164】
重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-320;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、NKエステルA-DPH-12E;新中村化学工業(株)製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール残基を介して結合している構造の化合物(例えば、サートマー社から市販されている、SR454、SR499)が好ましい。また、重合性化合物としては、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としてはM-460;東亞合成製)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステルA-TMMT)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製、KAYARAD HDDA)、RP-1040(日本化薬(株)製)、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)、NKオリゴUA-7200(新中村化学工業(株)製)、8UH-1006、8UH-1012(大成ファインケミカル(株)製)、ライトアクリレートPOB-A0(共栄社化学(株)製)などを用いることもできる。
【0165】
また、重合性化合物として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の(メタ)アクリレート化合物を用いることも好ましい。3官能の(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、アロニックスM-309、M-310、M-321、M-350、M-360、M-313、M-315、M-306、M-305、M-303、M-452、M-450(東亞合成(株)製)、NKエステル A9300、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、A-TMPT、TMPT(新中村化学工業(株)製)、KAYARAD GPO-303、TMPTA、THE-330、TPA-330、PET-30(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0166】
重合性化合物は、酸基を有する化合物を用いることもできる。酸基を有する重合性化合物を用いることで、現像時に未露光部の重合性化合物が除去されやすく、現像残渣の発生を抑制できる。酸基としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。酸基を有する重合性化合物の市販品としては、アロニックスM-510、M-520、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)等が挙げられる。酸基を有する重合性化合物の好ましい酸価としては、0.1~40mgKOH/gであり、より好ましくは5~30mgKOH/gである。重合性化合物の酸価が0.1mgKOH/g以上であれば、現像液に対する溶解性が良好であり、40mgKOH/g以下であれば、製造や取扱い上、有利である。
【0167】
重合性化合物は、カプロラクトン構造を有する化合物であることも好ましい態様である。カプロラクトン構造を有する重合性化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120等が挙げられる。
【0168】
重合性化合物は、アルキレンオキシ基を有する重合性化合物を用いることもできる。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物は、エチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基を有する重合性化合物が好ましく、エチレンオキシ基を有する重合性化合物がより好ましく、エチレンオキシ基を4~20個有する3~6官能(メタ)アクリレート化合物がさらに好ましい。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ基を4個有する4官能(メタ)アクリレートであるSR-494、イソブチレンオキシ基を3個有する3官能(メタ)アクリレートであるKAYARAD TPA-330などが挙げられる。
【0169】
重合性化合物は、フルオレン骨格を有する重合性化合物を用いることもできる。フルオレン骨格を有する重合性化合物の市販品としては、オグソールEA-0200、EA-0300(大阪ガスケミカル(株)製、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー)などが挙げられる。
【0170】
重合性化合物としては、トルエンなどの環境規制物質を実質的に含まない化合物を用いることも好ましい。このような化合物の市販品としては、KAYARAD DPHA LT、KAYARAD DPEA-12 LT(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0171】
重合性化合物としては、特公昭48-041708号公報、特開昭51-037193号公報、特公平02-032293号公報、特公平02-016765号公報に記載されたウレタンアクリレート類、特公昭58-049860号公報、特公昭56-017654号公報、特公昭62-039417号公報、特公昭62-039418号公報に記載されたエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物、特開昭63-277653号公報、特開昭63-260909号公報、特開平01-105238号公報に記載された分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する重合性化合物を用いることも好ましい。また、重合性化合物としては、UA-7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA-40H(日本化薬(株)製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600、LINC-202UA(共栄社化学(株)製)などの市販品を用いることもできる。
【0172】
着色組成物の全固形分中における重合性化合物の含有量は0.1~50質量%であることが好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。重合性化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、それらの合計が上記範囲となることが好ましい。
【0173】
また、着色組成物の全固形分中における重合性化合物と樹脂との合計の含有量は、硬化性、現像性および被膜形成性の観点から10~65質量%が好ましい。下限は、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましい。上限は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。また、重合性化合物の100質量部に対して、樹脂を30~300質量部含有することが好ましい。下限は50質量部以上が好ましく、80質量部以上がより好ましい。上限は250質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましい。
【0174】
<<光重合開始剤>>
本発明の着色組成物は光重合開始剤を含むことが好ましい。特に、本発明の着色組成物が重合性化合物を含む場合は、本発明の着色組成物は更に光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
【0175】
光重合開始剤としては、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物および3-アリール置換クマリン化合物であることが好ましく、オキシム化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、および、アシルホスフィン化合物から選ばれる化合物であることがより好ましく、オキシム化合物であることが更に好ましい。また、光重合開始剤としては、特開2014-130173号公報の段落0065~0111、特許第6301489号公報に記載された化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0176】
α-ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、IRGACURE-184、DAROCUR-1173、IRGACURE-500、IRGACURE-2959、IRGACURE-127(以上、BASF社製)などが挙げられる。α-アミノケトン化合物の市販品としては、IRGACURE-907、IRGACURE-369、IRGACURE-379、及び、IRGACURE-379EG(以上、BASF社製)などが挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、IRGACURE-819、DAROCUR-TPO(以上、BASF社製)などが挙げられる。
【0177】
オキシム化合物としては、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653-1660)に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156-162)に記載の化合物、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202-232)に記載の化合物、特開2000-066385号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特表2004-534797号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、特開2017-019766号公報に記載の化合物、特許第6065596号公報に記載の化合物、国際公開第2015/152153号に記載の化合物、国際公開第2017/051680号に記載の化合物、特開2017-198865号公報に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0038に記載の化合物、国際公開第2013/167515号に記載の化合物などが挙げられる。オキシム化合物の具体例としては、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、及び2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。市販品としては、IRGACURE-OXE01、IRGACURE-OXE02、IRGACURE-OXE03、IRGACURE-OXE04(以上、BASF社製)、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカオプトマーN-1919((株)ADEKA製、特開2012-014052号公報に記載の光重合開始剤2)が挙げられる。また、オキシム化合物としては、着色性が無い化合物や、透明性が高く変色し難い化合物を用いることも好ましい。市販品としては、アデカアークルズNCI-730、NCI-831、NCI-930(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
【0178】
本発明において、光重合開始剤として、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0179】
また、光重合開始剤として、カルバゾール環の少なくとも1つのベンゼン環がナフタレン環となった骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。そのようなオキシム化合物の具体例としては、国際公開第2013/083505号に記載の化合物が挙げられる。
【0180】
本発明において、光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、36~40、特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)などが挙げられる。
【0181】
本発明において、光重合開始剤として、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013-114249号公報の段落番号0031~0047、特開2014-137466号公報の段落番号0008~0012、0070~0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落番号0007~0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI-831((株)ADEKA製)が挙げられる。
【0182】
本発明において、光重合開始剤として、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/036910号に記載されるOE-01~OE-75が挙げられる。
【0183】
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0184】
【0185】
オキシム化合物は、波長350~500nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物が好ましく、波長360~480nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物がより好ましい。また、オキシム化合物の波長365nm又は波長405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、高いことが好ましく、1000~300000であることがより好ましく、2000~300000であることが更に好ましく、5000~200000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0186】
光重合開始剤としては、2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤を用いてもよい。そのような光ラジカル重合開始剤を用いることにより、光ラジカル重合開始剤の1分子から2つ以上のラジカルが発生するため、良好な感度が得られる。また、非対称構造の化合物を用いた場合においては、結晶性が低下して溶剤などへの溶解性が向上して、経時で析出しにくくなり、着色組成物の経時安定性を向上させることができる。2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤の具体例としては、特表2010-527339号公報、特表2011-524436号公報、国際公開第2015/004565号、特表2016-532675号公報の段落番号0407~0412、国際公開第2017/033680号の段落番号0039~0055に記載されているオキシム化合物の2量体、特表2013-522445号公報に記載されている化合物(E)および化合物(G)、国際公開第2016/034963号に記載されているCmpd1~7、特表2017-523465号公報の段落番号0007に記載されているオキシムエステル類光開始剤、特開2017-167399号公報の段落番号0020~0033に記載されている光開始剤、特開2017-151342号公報の段落番号0017~0026に記載されている光重合開始剤(A)などが挙げられる。
【0187】
本発明の着色組成物が光重合開始剤を含有する場合、本発明の着色組成物の全固形分中の光重合開始剤の含有量は0.1~30質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。本発明の着色組成物において、光重合開始剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0188】
<<環状エーテル基を有する化合物>>
本発明の着色組成物は、環状エーテル基を有する化合物を含有することができる。環状エーテル基としては、エポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。環状エーテル基を有する化合物は、エポキシ基を有する化合物であることが好ましい。エポキシ基を有する化合物としては、1分子内にエポキシ基を1つ以上有する化合物が挙げられ、エポキシ基を2つ以上有する化合物が好ましい。エポキシ基は、1分子内に1~100個有することが好ましい。エポキシ基の上限は、例えば、10個以下とすることもでき、5個以下とすることもできる。エポキシ基の下限は、2個以上が好ましい。エポキシ基を有する化合物としては、特開2013-011869号公報の段落番号0034~0036、特開2014-043556号公報の段落番号0147~0156、特開2014-089408号公報の段落番号0085~0092に記載された化合物、特開2017-179172号公報に記載された化合物を用いることもできる。これらの内容は、本明細書に組み込まれる。
【0189】
エポキシ基を有する化合物は、低分子化合物(例えば、分子量2000未満、さらには、分子量1000未満)でもよいし、高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)のいずれでもよい。エポキシ基を有する化合物の重量平均分子量は、200~100000が好ましく、500~50000がより好ましい。重量平均分子量の上限は、10000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、3000以下が更に好ましい。
【0190】
エポキシ基を有する化合物としては、エポキシ樹脂を好ましく用いることができる。エポキシ樹脂としては、例えばフェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体等が挙げられる。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、310~3300g/eqであることが好ましく、310~1700g/eqであることがより好ましく、310~1000g/eqであることが更に好ましい。
【0191】
環状エーテル基を有する化合物の市販品としては、例えば、EHPE3150((株)ダイセル製)、EPICLON N-695(DIC(株)製)、マープルーフG-0150M、G-0105SA、G-0130SP、G-0250SP、G-1005S、G-1005SA、G-1010S、G-2050M、G-01100、G-01758(以上、日油(株)製、エポキシ基含有ポリマー)等が挙げられる。
【0192】
本発明の着色組成物が環状エーテル基を有する化合物を含有する場合、着色組成物の全固形分中における環状エーテル基を有する化合物の含有量は、0.1~20質量%が好ましい。下限は、例えば0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。上限は、例えば、15質量%以下が好ましく、10質量%以下が更に好ましい。環状エーテル基を有する化合物は1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0193】
<<シランカップリング剤>>
本発明の着色組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。この態様によれば、得られる膜の支持体との密着性をより向上させることができる。本発明において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、フェニル基などが挙げられ、アミノ基、(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基が好ましい。シランカップリング剤の具体例としては、特開2009-288703号公報の段落番号0018~0036に記載の化合物、特開2009-242604号公報の段落番号0056~0066に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0194】
着色組成物の全固形分中におけるシランカップリング剤の含有量は、0.1~5質量%が好ましい。上限は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。シランカップリング剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0195】
<<有機溶剤>>
本発明の着色組成物は、有機溶剤を含有する。有機溶剤としては、各成分の溶解性や着色組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はない。有機溶剤としては、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤などが挙げられる。これらの詳細については、国際公開第2015/166779号の段落番号0223を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、環状アルキル基が置換したケトン系溶剤を好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジクロロメタン、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドなどが挙げられる。ただし有機溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下とすることもでき、10質量ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる)。
【0196】
本発明においては、金属含有量の少ない有機溶剤を用いることが好ましく、有機溶剤の金属含有量は、例えば10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて質量ppt(parts per trillion)レベルの有機溶剤を用いてもよく、そのような有機溶剤は例えば東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
【0197】
有機溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いたろ過を挙げることができる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンまたはナイロンが好ましい。
【0198】
有機溶剤は、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
【0199】
本発明において、有機溶剤中の過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
【0200】
着色組成物中における有機溶剤の含有量は、10~95質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、30~90質量%であることが更に好ましい。
【0201】
また、本発明の着色組成物は、環境規制の観点から環境規制物質を実質的に含有しないことが好ましい。なお、本発明において、環境規制物質を実質的に含有しないとは、着色組成物中における環境規制物質の含有量が50質量ppm以下であることを意味し、30質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることが更に好ましく、1質量ppm以下であることが特に好ましい。環境規制物質は、例えばベンゼン;トルエン、キシレン等のアルキルベンゼン類;クロロベンゼン等のハロゲン化ベンゼン類等が挙げられる。これらは、REACH(Registration Evaluation Authorization and Restriction of CHemicals)規則、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法、VOC(Volatile Organic Compounds)規制等のもとに環境規制物質として登録されており、使用量や取り扱い方法が厳しく規制されている。これらの化合物は、本発明の着色組成物に用いられる各成分などを製造する際に溶媒として用いられることがあり、残留溶媒として着色組成物中に混入することがある。人への安全性、環境への配慮の観点よりこれらの物質は可能な限り低減することが好ましい。環境規制物質を低減する方法としては、系中を加熱や減圧して環境規制物質の沸点以上にして系中から環境規制物質を留去して低減する方法が挙げられる。また、少量の環境規制物質を留去する場合においては、効率を上げる為に該当溶媒と同等の沸点を有する溶媒と共沸させることも有用である。また、ラジカル重合性を有する化合物を含有する場合、減圧留去中にラジカル重合反応が進行して分子間で架橋してしまうことを抑制するために重合禁止剤等を添加して減圧留去してもよい。これらの留去方法は、原料の段階、原料を反応させた生成物(例えば重合した後の樹脂溶液や多官能モノマー溶液)の段階、またはこれらの化合物を混ぜて作製した着色組成物の段階などのいずれの段階でも可能である。
【0202】
<<重合禁止剤>>
本発明の着色組成物は、重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)が挙げられる。中でも、p-メトキシフェノールが好ましい。着色組成物の全固形分中における重合禁止剤の含有量は、0.0001~5質量%が好ましい。
【0203】
<<界面活性剤>>
本発明の着色組成物は、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用することができる。界面活性剤については、国際公開第2015/166779号の段落番号0238~0245に記載された界面活性剤が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0204】
本発明において、界面活性剤はフッ素系界面活性剤であることが好ましい。着色組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで液特性(特に、流動性)がより向上し、省液性をより改善することができる。また、厚みムラの小さい膜を形成することもできる。
【0205】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3~40質量%が好適であり、より好ましくは5~30質量%であり、特に好ましくは7~25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、着色組成物中における溶解性も良好である。
【0206】
フッ素系界面活性剤としては、特開2014-041318号公報の段落番号0060~0064(対応する国際公開第2014/017669号の段落番号0060~0064)等に記載の界面活性剤、特開2011-132503号公報の段落番号0117~0132に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF171、F172、F173、F176、F177、F141、F142、F143、F144、R30、F437、F475、F479、F482、F554、F780、EXP、MFS-330(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)等が挙げられる。
【0207】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)、日経産業新聞(2016年2月23日))、例えばメガファックDS-21が挙げられる。
【0208】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。このようなフッ素系界面活性剤は、特開2016-216602号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0209】
フッ素系界面活性剤は、ブロックポリマーを用いることもできる。例えば特開2011-089090号公報に記載された化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。また、特開2010-032698号公報の段落番号0016~0037に記載されたフッ素含有界面活性剤や、下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
【化18】
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3000~50000であり、例えば、14000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
【0210】
また、フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和結合基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010-164965号公報の段落番号0050~0090および段落番号0289~0295に記載された化合物、例えばDIC(株)製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K等が挙げられる。また、フッ素系界面活性剤は、特開2015-117327号公報の段落番号0015~0158に記載の化合物を用いることもできる。
【0211】
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(BASF社製)、テトロニック304、701、704、901、904、150R1(BASF社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(和光純薬工業(株)製)、パイオニンD-6112、D-6112-W、D-6315(竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(日信化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0212】
シリコン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、TSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP-341、KF-6001、KF-6002(以上、信越シリコーン株式会社製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0213】
着色組成物の全固形分中における界面活性剤の含有量は、0.001質量%~5.0質量%が好ましく、0.005~3.0質量%がより好ましい。界面活性剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0214】
<<紫外線吸収剤>>
本発明の着色組成物は、紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤は、共役ジエン化合物、アミノジエン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物、インドール化合物、トリアジン化合物などを用いることができる。これらの詳細については、特開2012-208374号公報の段落番号0052~0072、特開2013-068814号公報の段落番号0317~0334、特開2016-162946号公報の段落番号0061~0080に記載された化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。紫外線吸収剤の具体例としては、下記構造の化合物などが挙げられる。紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、UV-503(大東化学(株)製)などが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としては、ミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)が挙げられる。また、紫外線吸収剤は、特許第6268967号公報の段落番号0049~0059に記載された化合物を用いることもできる。
【化19】
【0215】
着色組成物の全固形分中における紫外線吸収剤の含有量は、0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい。本発明において、紫外線吸収剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0216】
<<酸化防止剤>>
本発明の着色組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。フェノール性ヒドロキシ基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1~22の置換又は無置換のアルキル基が好ましい。また、酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。リン系酸化防止剤としてはトリス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2-[(4,6,9,11-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-2-イル)オキシ]エチル]アミン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)などが挙げられる。酸化防止剤の市販品としては、例えば、アデカスタブ AO-20、アデカスタブ AO-30、アデカスタブ AO-40、アデカスタブ AO-50、アデカスタブ AO-50F、アデカスタブ AO-60、アデカスタブ AO-60G、アデカスタブ AO-80、アデカスタブ AO-330(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。また、酸化防止剤は、特許第6268967号公報の段落番号0023~0048に記載された化合物を使用することもできる。
【0217】
着色組成物の全固形分中における酸化防止剤の含有量は、0.01~20質量%であることが好ましく、0.3~15質量%であることがより好ましい。酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0218】
<<その他成分>>
本発明の着色組成物は、必要に応じて、増感剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、可塑剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を含有してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、膜物性などの性質を調整することができる。これらの成分は、例えば、特開2012-003225号公報の段落番号0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の段落番号0237)の記載、特開2008-250074号公報の段落番号0101~0104、0107~0109等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、本発明の着色組成物は、必要に応じて、潜在酸化防止剤を含有してもよい。潜在酸化防止剤としては、酸化防止剤として機能する部位が保護基で保護された化合物であって、100~250℃で加熱するか、又は酸/塩基触媒存在下で80~200℃で加熱することにより保護基が脱離して酸化防止剤として機能する化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤としては、国際公開第2014/021023号、国際公開第2017/030005号、特開2017-008219号公報に記載された化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤の市販品としては、アデカアークルズGPA-5001((株)ADEKA製)等が挙げられる。また、特開2018-155881号公報に記載されているように、C.I.Pigment Yellow129を耐候性改良の目的で添加しても良い。
【0219】
本発明の着色組成物は、得られる膜の屈折率を調整するために金属酸化物を含有させてもよい。金属酸化物としては、TiO2、ZrO2、Al2O3、SiO2等が挙げられる。金属酸化物の一次粒子径は1~100nmが好ましく、3~70nmがより好ましく、5~50nmが最も好ましい。金属酸化物はコア-シェル構造を有していてもよい。また、この場合、コア部は中空状であってもよい。
【0220】
また、本発明の着色組成物は、耐光性改良剤を含んでもよい。耐光性改良剤としては、特開2017-198787号公報の段落番号0036~0037に記載の化合物、特開2017-146350号公報の段落番号0029~0034に記載の化合物、特開2017-129774号公報の段落番号0036~0037、0049~0052に記載の化合物、特開2017-129674号公報の段落番号0031~0034、0058~0059に記載の化合物、特開2017-122803号公報の段落番号0036~0037、0051~0054に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0039に記載の化合物、特開2017-186546号公報の段落番号0034~0047に記載の化合物、特開2015-025116号公報の段落番号0019~0041に記載の化合物、特開2012-145604号公報の段落番号0101~0125に記載の化合物、特開2012-103475号公報の段落番号0018~0021に記載の化合物、特開2011-257591号公報の段落番号0015~0018に記載の化合物、特開2011-191483号公報の段落番号0017~0021に記載の化合物、特開2011-145668号公報の段落番号0108~0116に記載の化合物、特開2011-253174号公報の段落番号0103~0153に記載の化合物などが挙げられる。
【0221】
本発明の着色組成物は、顔料などと結合または配位していない遊離の金属の含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。
この態様によれば、顔料分散性の安定化(凝集抑止)、分散性向上に伴う分光特性の向上、硬化性成分の安定化、金属原子・金属イオンの溶出に伴う導電性変動の抑止、表示特性の向上などの効果が期待できる。また、特開2012-153796号公報、特開2000-345085号公報、特開2005-200560号公報、特開平08-043620号公報、特開2004-145078号公報、特開2014-119487号公報、特開2010-083997号公報、特開2017-090930号公報、特開2018-025612号公報、特開2018-025797号公報、特開2017-155228号公報、特開2018-036521号公報などに記載された効果が得られる。
上記の遊離の金属の種類としては、Na、K、Ca、Sc、Ti、Mn、Cu、Zn、Fe、Cr、Co、Mg、Al、Sn、Zr、Ga、Ge、Ag、Au、Pt、Cs、Ni、Cd、Pb、Bi等が挙げられる。また、本発明の着色組成物は、顔料などと結合または配位していない遊離のハロゲンの含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。ハロゲンとしては、F、Cl、Br、I及びそれらの陰イオンが挙げられる。着色組成物中の遊離の金属やハロゲンの低減方法としては、イオン交換水による洗浄、ろ過、限外ろ過、イオン交換樹脂による精製等の方法が挙げられる。
【0222】
本発明の着色組成物は、テレフタル酸エステルを実質的に含まないことも好ましい。
【0223】
本発明の着色組成物の含水率は、通常3質量%以下であり、0.01~1.5質量%が好ましく、0.1~1.0質量%の範囲であることがより好ましい。含水率は、カールフィッシャー法にて測定することができる。
【0224】
本発明の着色組成物は、膜面状(平坦性など)の調整、膜厚の調整などを目的として粘度を調整して用いることができる。粘度の値は必要に応じて適宜選択することができるが、例えば、23℃において0.3mPa・s~50mPa・sが好ましく、0.5mPa・s~20mPa・sがより好ましい。粘度の測定方法としては、例えば、東機産業製 粘度計 RE85L(ローター:1°34’×R24、測定範囲0.6~1200mPa・s)を使用し、23℃に温度調整を施した状態で測定することができる。
【0225】
本発明の着色組成物を液晶表示装置用途のカラーフィルタとして用いる場合、カラーフィルタを備えた液晶表示素子の電圧保持率は、70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。高い電圧保持率を得るための公知の手段を適宜組み込むことができ、典型的な手段としては純度の高い素材の使用(例えばイオン性不純物の低減)や、組成物中の酸性官能基量の制御が挙げられる。電圧保持率は、例えば特開2011-008004号公報の段落0243、特開2012-224847号公報の段落0123~0129に記載の方法等で測定することができる。
【0226】
<収容容器>
本発明の着色組成物の収容容器としては、特に限定はなく、公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器として、原材料や着色組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成する多層ボトルや6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。また、着色組成物の内壁は、容器内壁からの金属溶出を防ぎ、組成物の保存安定性を高めたり、成分変質を抑制するなど目的で、ガラス製やステンレス製などにすることも好ましい。
本発明の着色組成物の保存条件としては特に限定はなく、従来公知の方法を用いることができる。また、特開2016-180058号公報に記載された方法を用いることもできる。
【0227】
<着色組成物の調製方法>
本発明の着色組成物は、前述の成分を混合して調製できる。着色組成物の調製に際しては、全成分を同時に溶剤に溶解および/または分散して着色組成物を調製してもよいし、必要に応じて、各成分を適宜2つ以上の溶液または分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して着色組成物を調製してもよい。
【0228】
また、着色組成物の調製に際して、顔料を分散させるプロセスを含むことが好ましい。顔料を分散させるプロセスにおいて、顔料の分散に用いる機械力としては、圧縮、圧搾、衝撃、剪断、キャビテーションなどが挙げられる。これらプロセスの具体例としては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化、超音波分散などが挙げられる。またサンドミル(ビーズミル)における顔料の粉砕においては、径の小さいビーズを使用する、ビーズの充填率を大きくする事等により粉砕効率を高めた条件で処理することが好ましい。また、粉砕処理後にろ過、遠心分離などで粗粒子を除去することが好ましい。また、顔料を分散させるプロセスおよび分散機は、「分散技術大全、株式会社情報機構発行、2005年7月15日」や「サスペンション(固/液分散系)を中心とした分散技術と工業的応用の実際 総合資料集、経営開発センター出版部発行、1978年10月10日」、特開2015-157893号公報の段落番号0022に記載のプロセス及び分散機を好適に使用出来る。また顔料を分散させるプロセスにおいては、ソルトミリング工程にて粒子の微細化処理を行ってもよい。ソルトミリング工程に用いられる素材、機器、処理条件等は、例えば特開2015-194521号公報、特開2012-046629号公報の記載を参酌できる。
【0229】
着色組成物の調製方法の好ましい態様としては、以下の態様1、態様2が挙げられ、着色組成物の保存安定性をより向上させやすいという理由から以下の態様1が好ましい。
態様1:緑色顔料を含む着色剤と化合物Aと樹脂と溶剤とを混合および分散して分散液を調製し、この分散液と、必要に応じて樹脂などの他の成分とを混合して着色組成物を調製する態様。
態様2:緑色顔料を含む着色剤と樹脂と溶剤とを混合および分散して分散液を調製し、この分散液と、化合物Aと、必要に応じて樹脂などの他の成分とを混合して着色組成物を調製する態様。
【0230】
着色組成物の調製にあたり、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、着色組成物をフィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているフィルタであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン-6、ナイロン-6,6)等のポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量のポリオレフィン樹脂を含む)等の素材を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
【0231】
フィルタの孔径は、0.01~7.0μmが好ましく、0.01~3.0μmがより好ましく、0.05~0.5μmが更に好ましい。フィルタの孔径が上記範囲であれば、微細な異物をより確実に除去できる。フィルタの孔径値については、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。フィルタは、日本ポール株式会社(DFA4201NIEYなど)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)および株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタを用いることができる。
【0232】
また、フィルタとしてファイバ状のろ材を用いることも好ましい。ファイバ状のろ材としては、例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられる。市販品としては、ロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)が挙げられる。
【0233】
フィルタを使用する際、異なるフィルタ(例えば、第1のフィルタと第2のフィルタなど)を組み合わせてもよい。その際、各フィルタでのろ過は、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。また、上述した範囲内で異なる孔径のフィルタを組み合わせてもよい。また、第1のフィルタでのろ過は、分散液のみに対して行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタでろ過を行ってもよい。
【0234】
<膜>
本発明の膜は、上述した本発明の着色組成物から得られる膜である。本発明の膜は、カラーフィルタなどに用いることができる。具体的には、カラーフィルタの着色層(画素)として好ましく用いることができ、より具体的には、カラーフィルタの緑色着色層(緑色画素)またはシアン色着色層(シアン色画素)として好ましく用いることができ、カラーフィルタの緑色着色層(緑色画素)としてより好ましく用いることができる。本発明の膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。例えば、膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましい。
【0235】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、上述した本発明の膜を有する。より好ましくは、カラーフィルタの画素として、本発明の膜を有する。本発明のカラーフィルタは、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの固体撮像素子や画像表示装置などに用いることができる。
【0236】
本発明のカラーフィルタは、本発明の膜(画素)とは異なる画素(以下、他の画素ともいう)をさらに有していてもよい。他の画素としては、例えば、赤色画素、青色画素、黄色画素、マゼンタ色画素、透明画素、黒色画素、近赤外線透過フィルタの画素などが挙げられる。例えば、本発明の膜(画素)が緑色画素である場合、他の画素としては、赤色画素および青色画素を少なくとも含むことが好ましい。また、本発明の膜(画素)がシアン色画素である場合、他の画素としては、黄色画素およびマゼンタ色画素を少なくとも含むことが好ましい。
【0237】
本発明のカラーフィルタにおいて本発明の膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。
【0238】
本発明のカラーフィルタは、画素の幅が0.5~20.0μmであることが好ましい。下限は、1.0μm以上であることが好ましく、2.0μm以上であることがより好ましい。上限は、15.0μm以下であることが好ましく、10.0μm以下であることがより好ましい。また、画素のヤング率が0.5~20GPaであることが好ましく、2.5~15GPaがより好ましい。
【0239】
本発明のカラーフィルタに含まれる各画素は高い平坦性を有することが好ましい。具体的には、画素の表面粗さRaは、100nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることが更に好ましい。下限は規定されないが、例えば0.1nm以上であることが好ましい。画素の表面粗さは、例えばVeeco社製のAFM(原子間力顕微鏡) Dimension3100を用いて測定することができる。また、画素上の水の接触角は適宜好ましい値に設定することができるが、典型的には、50~110°の範囲である。接触角は、例えば接触角計CV-DT・A型(協和界面科学(株)製)を用いて測定できる。また、画素の体積抵抗値は高いことが好ましい。具体的には、画素の体積抵抗値は109Ω・cm以上であることが好ましく、1011Ω・cm以上であることがより好ましい。上限は規定されないが、例えば1014Ω・cm以下であることが好ましい。画素の体積抵抗値は、例えば超高抵抗計5410(アドバンテスト社製)を用いて測定することができる。
【0240】
また、本発明のカラーフィルタは、本発明の膜の表面に保護層が設けられていてもよい。保護層を設けることで、酸素遮断化、低反射化、親疎水化、特定波長の光(紫外線、近赤外線等)の遮蔽等の種々の機能を付与することができる。保護層の厚さとしては、0.01~10μmが好ましく、0.1~5μmがより好ましい。保護層の形成方法としては、有機溶剤に溶解した樹脂組成物を塗布して形成する方法、化学気相蒸着法、成型した樹脂を接着材で貼りつける方法等が挙げられる。保護層を構成する成分としては、(メタ)アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アラミド樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、セルロース樹脂、Si、C、W、Al2O3、Mo、SiO2、Si2N4などが挙げられ、これらの成分を二種以上含有しても良い。例えば、酸素遮断化を目的とした保護層の場合、保護層はポリオール樹脂と、SiO2と、Si2N4を含むことが好ましい。また、低反射化を目的とした保護層の場合、保護層は(メタ)アクリル樹脂とフッ素樹脂を含むことが好ましい。
【0241】
樹脂組成物を塗布して保護層を形成する場合、樹脂組成物の塗布方法としては、スピンコート法、キャスト法、スクリーン印刷法、インクジェット法等の公知の方法を用いることができる。樹脂組成物に含まれる有機溶剤は、公知の有機溶剤(例えば、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、シクロペンタノン、乳酸エチル等)を用いることが出来る。保護層を化学気相蒸着法にて形成する場合、化学気相蒸着法としては、公知の化学気相蒸着法(熱化学気相蒸着法、プラズマ化学気相蒸着法、光化学気相蒸着法)を用いることができる
【0242】
保護層は、必要に応じて、有機・無機微粒子、特定波長の光(例えば、紫外線、近赤外線等)の吸収剤、屈折率調整剤、酸化防止剤、密着剤、界面活性剤等の添加剤を含有しても良い。有機・無機微粒子の例としては、例えば、高分子微粒子(例えば、シリコーン樹脂微粒子、ポリスチレン微粒子、メラミン樹脂微粒子)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、窒化チタン、酸窒化チタン、フッ化マグネシウム、中空シリカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。特定波長の光の吸収剤は公知の吸収剤を用いることができる。これらの添加剤の含有量は適宜調整できるが、保護層の全質量に対して0.1~70質量%が好ましく、1~60質量%がさらに好ましい。
【0243】
また、保護層としては、特開2017-151176号公報の段落番号0073~0092に記載の保護層を用いることもできる。
【0244】
<カラーフィルタの製造方法>
次に、本発明の着色組成物を用いたカラーフィルタの製造方法について説明する。カラーフィルタの製造方法は、上述した本発明の着色組成物を用いて支持体上に着色組成物層を形成する工程と、フォトリソグラフィ法またはドライエッチング法により着色組成物層に対してパターンを形成する工程と、を経て製造できる。本発明の着色組成物は、現像残渣の発生も抑制することができるので、フォトリソグラフィ法により着色組成物層に対してパターンを形成してカラーフィルタを製造する場合において特に効果的である。
【0245】
(フォトリソグラフィ法)
まず、フォトリソグラフィ法によりパターンを形成してカラーフィルタを製造する場合について説明する。この製造方法は、本発明の着色組成物を用いて支持体上に着色組成物層を形成する工程と、着色組成物層をパターン状に露光する工程と、着色組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する工程と、を含むことが好ましい。必要に応じて、着色組成物層をベークする工程(プリベーク工程)、および、現像されたパターン(画素)をベークする工程(ポストベーク工程)を設けてもよい。
【0246】
着色組成物層を形成する工程では、本発明の着色組成物を用いて、支持体上に着色組成物層を形成する。支持体としては、特に限定は無く、用途に応じて適宜選択できる。例えば、ガラス基板、シリコン基板などが挙げられ、シリコン基板であることが好ましい。また、シリコン基板には、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、透明導電膜などが形成されていてもよい。また、シリコン基板には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されている場合もある。また、シリコン基板には、上部の層との密着性改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層が設けられていてもよい。
【0247】
着色組成物の塗布方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(たとえば、特開2009-145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットでの適用方法としては、特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット-特許に見る無限の可能性-、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された方法(特に115ページ~133ページ)や、特開2003-262716号公報、特開2003-185831号公報、特開2003-261827号公報、特開2012-126830号公報、特開2006-169325号公報などに記載の方法が挙げられる。また、着色組成物の塗布方法については、国際公開第2017/030174号、国際公開第2017/018419号の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0248】
支持体上に形成した着色組成物層は、乾燥(プリベーク)してもよい。低温プロセスにより膜を製造する場合は、プリベークを行わなくてもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベーク時間は、10~300秒が好ましく、40~250秒がより好ましく、80~220秒がさらに好ましい。プリベークは、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
【0249】
<<露光工程>>
次に、着色組成物層をパターン状に露光する(露光工程)。例えば、着色組成物層に対し、ステッパー露光機やスキャナ露光機などを用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、パターン状に露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。
【0250】
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等が挙げられる。また、波長300nm以下の光(好ましくは波長180~300nmの光)を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF線(波長193nm)などが挙げられ、KrF線(波長248nm)が好ましい。また、300nm以上の長波な光源も利用できる。
【0251】
また、露光に際して、光を連続的に照射して露光してもよく、パルス的に照射して露光(パルス露光)してもよい。なお、パルス露光とは、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光する方式の露光方法のことである。パルス露光の場合、パルス幅は、100ナノ秒(ns)以下であることが好ましく、50ナノ秒以下であることがより好ましく、30ナノ秒以下であることが更に好ましい。パルス幅の下限は、特に限定はないが、1フェムト秒(fs)以上とすることができ、10フェムト秒以上とすることもできる。周波数は、1kHz以上であることが好ましく、2kHz以上であることがより好ましく、4kHz以上であることが更に好ましい。周波数の上限は50kHz以下であることが好ましく、20kHz以下であることがより好ましく、10kHz以下であることが更に好ましい。最大瞬間照度は、50000000W/m2以上であることが好ましく、100000000W/m2以上であることがより好ましく、200000000W/m2以上であることが更に好ましい。また、最大瞬間照度の上限は、1000000000W/m2以下であることが好ましく、800000000W/m2以下であることがより好ましく、500000000W/m2以下であることが更に好ましい。なお、パルス幅とは、パルス周期における光が照射されている時間のことである。また、周波数とは、1秒あたりのパルス周期の回数のことである。また、最大瞬間照度とは、パルス周期における光が照射されている時間内での平均照度のことである。また、パルス周期とは、パルス露光における光の照射と休止を1サイクルとする周期のことである。
【0252】
照射量(露光量)は、例えば、0.03~2.5J/cm2が好ましく、0.05~1.0J/cm2がより好ましい。露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、または、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、または、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m2~100000W/m2(例えば、5000W/m2、15000W/m2、または、35000W/m2)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m2、酸素濃度35体積%で照度20000W/m2などとすることができる。
【0253】
次に、着色組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する。着色組成物層の未露光部の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の着色組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。現像液としては、下地の素子や回路などにダメージを起さない有機アルカリ現像液が望ましい。現像液の温度は、例えば、20~30℃が好ましい。現像時間は、20~180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、さらに新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
【0254】
現像液は、有機溶剤、アルカリ現像液などが挙げられ、アルカリ現像液が好ましく用いられる。アルカリ現像液としては、アルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液(アルカリ現像液)が好ましい。アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ剤は、分子量が大きい化合物の方が環境面および安全面で好ましい。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。また、現像液は、さらに界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、上述した界面活性剤が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5~100倍の範囲に設定することができる。また、現像後純水で洗浄(リンス)することも好ましい。また、リンスは、現像後の硬化性組成物層が形成された支持体を回転させつつ、現像後の硬化性組成物層へリンス液を供給して行うことが好ましい。また、リンス液を吐出させるノズルを支持体の中心部から支持体の周縁部に移動させて行うことも好ましい。この際、ノズルの支持体中心部から周縁部へ移動させるにあたり、ノズルの移動速度を徐々に低下させながら移動させてもよい。このようにしてリンスを行うことで、リンスの面内ばらつきを抑制できる。また、ノズルを支持体中心部から周縁部へ移動させつつ、支持体の回転速度を徐々に低下させても同様の効果が得られる。
【0255】
現像後、乾燥を施した後に追加露光処理や加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。追加露光処理やポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の硬化処理である。ポストベークにおける加熱温度は、例えば100~240℃が好ましく、200~240℃がより好ましい。ポストベークは、現像後の膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。追加露光処理を行う場合、露光に用いられる光は、波長400nm以下の光であることが好ましい。また、追加露光処理は、韓国公開特許第10-2017-0122130号公報に記載された方法で行ってもよい。
【0256】
(ドライエッチング法)
次に、ドライエッチング法によりパターンを形成してカラーフィルタを製造する場合について説明する。ドライエッチング法でのパターン形成は、本発明の着色組成物を用いて支持体上に着色組成物層を形成し、この着色組成物層の全体を硬化させて硬化物層を形成する工程と、この硬化物層上にフォトレジスト層を形成する工程と、フォトレジスト層をパターン状に露光したのち、現像してレジストパターンを形成する工程と、このレジストパターンをマスクとして硬化物層に対してエッチングガスを用いてドライエッチングする工程と、を含むことが好ましい。フォトレジスト層の形成においては、更にプリベーク処理を施すことが好ましい。特に、フォトレジスト層の形成プロセスとしては、露光後の加熱処理、現像後の加熱処理(ポストベーク処理)を実施する形態が望ましい。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013-064993号公報の段落番号0010~0067の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0257】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明の膜を有する。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の膜を備え、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0258】
基板上に、固体撮像素子(CCD(電荷結合素子)イメージセンサ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、カラーフィルタを有する構成である。更に、デバイス保護膜上であってカラーフィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は各着色画素よりも低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する撮像装置の例としては、特開2012-227478号公報、特開2014-179577号公報、国際公開第2018/043654号、米国特許出願公開第2018/0040656号明細書に記載の装置が挙げられる。本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、デジタルカメラや、撮像機能を有する電子機器(携帯電話等)の他、車載カメラや監視カメラ用としても用いることができる。
【0259】
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、上述した本発明の膜を有する。画像表示装置としては、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置などが挙げられる。画像表示装置の定義や各画像表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、(株)工業調査会、1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【実施例】
【0260】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0261】
<緑色顔料および化合物Aの最低空軌道のエネルギー準位(LUMO)および最高被占軌道のエネルギー準位(HOMO)の測定方法>
緑色顔料および化合物Aの最高被占軌道のエネルギー準位(HOMO)は日立ハイテクノロジーズ製の大気中光電子分光装置AC-3を用いて測定した。緑色顔料および化合物Aの最低空軌道のエネルギー準位(LUMO)は、JASCO社製のV-7200(積分球付き)を用いて拡散反射スペクトルの吸収端から算出した。
【0262】
<緑色顔料および化合物Aの溶解量の測定方法>
25℃のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート100g中に、化合物Aまたは緑色顔料を0.01g、0.1gまたは1gそれぞれ添加し、室温で15分撹拌し、15分静置した後、不溶物の有無を目視で確認し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートへの溶解量を測定した。評価基準は以下の通りである。
A:溶解量が1.0g以上である。
B:溶解量が0.01g以上1.0g未満である。
C:溶解量が0.01g未満である。
【0263】
<緑色顔料および化合物Aの比吸光度の測定方法>
化合物Aはトルエン、緑色顔料はメタンスルホン酸に溶解させて、波長450~800nmでの最大吸光度が1.0となる濃度に調整し、かかる溶液の25℃での吸光度を、光路長1cmのセルを用い、下記式(Aλ)に基づき算出した。
E=A/(c×l) ・・・(Aλ)
式(Aλ)中、Eは、化合物Aまたは緑色顔料の波長450~800nmでの最大吸収波長における比吸光度を表し、Aは、化合物Aまたは緑色顔料の波長450~800nmでの最大吸収波長における吸光度を表し、lは、単位がcmで表されるセル長を表し、cは、単位がmg/mlで表される、溶液中の化合物Aまたは緑色顔料の濃度を表す。
【0264】
実施例で使用した化合物Aおよび緑色顔料は以下の通りである。
【0265】
(緑色顔料)
【表1】
PG58:C.I.Pigment Green 58(ハロゲン化フタロシアニン化合物)
PG36:C.I.Pigment Green 36(ハロゲン化フタロシアニン化合物)
PG7:C.I.Pigment Green 7(ハロゲン化フタロシアニン化合物)
SQ1:下記構造の化合物(スクアリリウム化合物)
【化20】
【0266】
【0267】
<顔料分散液の調製>
[分散液G1~G30、比較分散液G1~G6]
下記の表に記載の原料を混合したのち、直径0.3mmのジルコニアビーズ230質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて5時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離して分散液を製造した。下記の表に記載の数値は質量部である。緑色顔料100質量部に対する化合物Aの割合(質量部)および、緑色顔料の最低空軌道のエネルギー準位LUMO
Bと、化合物Aの最低空軌道のエネルギー準位LUMO
Aとの差分(LUMO
B-LUMO
A)についても併せて記す。なお、樹脂C-1,C-2の配合量の値は、それぞれ固形分20質量%のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液での配合量の値である。
【表3】
【0268】
緑色顔料および化合物A以外の上記表中の略語で示す素材の詳細は下記の通りである。
(黄色顔料)
PY139:C.I.Pigment Yellow139(イソインドリン化合物)
PY185:C.I.Pigment Yellow185(イソインドリン化合物)
PY138:C.I.Pigment Yellow138(キノフタロン化合物)
PY150:C.I.Pigment Yellow150(アゾ化合物)
PY215:C.I.Pigment Yellow215(プテリジン化合物)
Yellow1:下記構造の化合物
【化22】
Yellow2:下記構造の化合物
【化23】
【0269】
(顔料誘導体)
誘導体1:下記構造の化合物。なお、誘導体1の25℃のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート100gへの溶解量は0.01g未満である。
【化24】
【0270】
(樹脂)
樹脂C-1:下記構造の樹脂の20質量%プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液。主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=20000
樹脂C-2:下記構造の樹脂の20質量%プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液。主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw=18000
【化25】
【0271】
(溶剤)
PGMEA:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート
【0272】
[分散液G31~G41]
分散液G11において、化合物Aをそれぞれ下記表に示す種類の化合物に変更した以外は、分散液G11と同様の方法で分散液G31~G41を調製した。緑色顔料100質量部に対する化合物Aの割合(質量部)および、緑色顔料の最低空軌道のエネルギー準位LUMOBと、化合物Aの最低空軌道のエネルギー準位LUMOAとの差分(LUMOB-LUMOA)についても併せて記す。
【0273】
【0274】
<着色組成物の調製>
下記の表に記載の原料を混合して、着色組成物を調製した。なお、下記の表中の着色剤濃度の値は、着色組成物の全固形分中における着色剤の含有量の値である。また、樹脂C-3の配合量の値は、固形分20質量%のPGMEA溶液での配合量の値である。界面活性剤I-1配合量の値は、固形分1質量%のPGMEA溶液での配合量の値である。
【表5】
【表6】
【0275】
上記表に記載の略語で示す素材の詳細は下記の通りである。
(顔料分散液)
分散液G1~G41、比較分散液G1~G6:上記分散液G1~G41、比較分散液G1~G6
【0276】
(樹脂)
樹脂C-3:下記構造の樹脂の20質量%プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液。主鎖に付記した数値はモル比である。Mw=11000。
【化26】
【0277】
(重合性化合物)
重合性化合物F-1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、KAYARAD DPHA、分子量578)
重合性化合物F-2:トリメチロールプロパンポリアクリレートのエチレンオキシド変性体(東亞合成(株)製、アロニックスM-350)
【0278】
(光重合開始剤)
光重合開始剤G-1:IRGACURE-OXE02 (BASF製)
光重合開始剤G-2:IRGACURE-369 (BASF製)
【0279】
(界面活性剤)
界面活性剤I-1:下記構造の混合物(Mw=14000)の1質量%PGMEA溶液。下記の式中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
【化27】
【0280】
(重合禁止剤)
重合禁止剤J―1:p-メトキシフェノール
【0281】
(溶剤)
K-1:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート
K-2:プロピレングリコールメチルエーテル
【0282】
<保存安定性の評価>
上記で得られた製造直後の着色組成物の粘度(V1)を、東機産業(株)製「RE-85L」にて測定した。この着色組成物を23℃の温度条件のもとで14日間静置した後、粘度(V2)を測定した。下記式から増粘率を算出し、下記評価基準に従って保存安定性を評価した。着色組成物の粘度は23℃に温度調整を施した状態で測定した。評価基準は下記の通りとし、評価結果は下記表に記載した。
増粘率(%)={(粘度(V2)-粘度(V1))/粘度(V1)}×100
A:増粘率が5%未満である。
B:増粘率が5%以上10%未満である。
C:増粘率が10%以上20%未満である。
D:増粘率が20%以上である。
【0283】
<現像性の評価>
シリコンウエハ上に、乾燥膜厚が0.1μmとなるようにCT-4000L溶液(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製;透明下地剤)を塗布し、乾燥させて、透明膜を形成した後、220℃で5分間加熱処理を行なった。
シリコンウエハに形成した透明膜上に、各着色組成物をスピンコート法で塗布し、その後、ホットプレートを用いて100℃で2分間加熱して、膜厚0.6μmの着色組成物層を得た。
次いで、この着色組成物層に対して、一辺1.1μmの正方ピクセルがそれぞれ基板上の4mm×3mmの領域に配列されたマスクパターンを介して、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を使用して波長365nmの光を500mJ/cm
2の露光量で照射して露光した。
次いで、露光後の着色組成物層が形成されているシリコンウエハを、スピン・シャワー現像機(DW-30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、現像液(CD-2000、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用い、23℃で60秒間パドル現像した。次いで、シリコンウエハを回転数50r.p.m.で回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後スプレー乾燥して着色パターン(画素)を形成した。
着色パターンが形成されたシリコンウエハについて、測長SEM(走査型電子顕微鏡)(S-7800H、(株)日立製作所製)を用いてシリコンウエハ上から30000倍で観察し、未露光部の現像残渣の有無を調べた。評価基準は下記の通りとし、評価結果は下記表に記載した。なお、SEMにて未露光部にみられる0.1μm以上の粒を現像残渣とした。
A:未露光部には、現像残渣が全く観察されなかった。
B:未露光部の1.1μm四方に現像残渣が1~3個観察された。
C:未露光部の1.1μm四方に現像残渣が4~10個観察された。
D:未露光部の1.1μm四方に現像残渣が11個以上観察された。
【表7】
【0284】
上記表に示すように実施例の着色組成物は保存安定性が良好であった。更には、現像性も優れていた。また、実施例1-7、9-47の着色組成物を用いて得られた膜は、緑色を呈しており、緑色画素形成用の着色組成物として好ましく用いることができた。また、実施例8の着色組成物を用いて得られた膜は、シアン色を呈しており、シアン色画素形成用の着色組成物として好ましく用いることができた。
【0285】
実施例の着色組成物について、界面活性剤および重合禁止剤の種類を、本件明細書記載のほかの化合物に変更しても各実施例と同様の効果が得られる。
【0286】
(実施例1001)
シリコンウエハ上に、シアン色画素形成用着色組成物を製膜後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン(株)製)を用い、1000mJ/cm2で2μm四方のドットパターンのマスクを介して露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、更に純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱することで、シアン色の着色パターン(シアン色画素)を形成した。同様にマゼンタ色画素形成用着色組成物、黄色画素形成用着色組成物を順次パターニングし、マゼンタ色の着色パターン(マゼンタ色画素)、黄色の着色パターン(黄色画素)をそれぞれ形成した。
シアン色画素形成用着色組成物としては、実施例8の着色組成物を使用した。
マゼンタ色画素形成用着色組成物、及び黄色画素形成用着色組成物については後述する。
得られたカラーフィルタを公知の方法に従い固体撮像素子に組み込んだ。この固体撮像素子は好適な画像認識能を有していた。
【0287】
(マゼンタ色画素形成用着色組成物)
下記原料を混合した混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.1mm径)を用いて3時間混合および分散して、顔料分散液を調製した。その後、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、圧力2000kg/cm3および流量500g/minの条件の下、分散処理を行なった。この分散処理を全10回まで繰り返して、顔料分散液M1を得た。
C.I.Pigment Red 122 ・・・11.0質量部
樹脂C-1 6.7質量部
PGMEA 82.2質量部
【0288】
続いて、下記原料を混合した混合液を撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、マゼンタ色画素形成用着色組成物を得た。
顔料分散液M1 ・・・62.4質量部
樹脂C-3 ・・・1.2質量部
重合性化合物F-1 ・・・2.2質量部
光重合開始剤G-1 ・・・0.7質量部
界面活性剤I-1 ・・・4.2質量部
紫外線吸収剤1(下記構造の化合物) ・・・0.4質量部
【化28】
エポキシ樹脂1(EHPE3150((株)ダイセル製、2,2’-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物) ・・・0.1質量部
PGMEA ・・・29.4質量部
【0289】
(黄色画素形成用着色組成物)
下記原料を混合した混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.1mm径)を用いて3時間混合および分散して、顔料分散液を調製した。その後、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、圧力2000kg/cm3および流量500g/minの条件の下、分散処理を行なった。この分散処理を全10回まで繰り返して、顔料分散液Y1を得た。
分散液の原料:
C.I.Pigment Yellow 150 ・・・11.1質量部
樹脂C-1 ・・・6.7質量部
PGMEA ・・・82.2質量部
【0290】
続いて、下記原料を混合した混合液を撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、黄色画素形成用着色組成物を得た。
顔料分散液Y1 ・・・53.8質量部
樹脂C-3 ・・・3.3質量部
重合性化合物F-1 ・・・2.4質量部
光重合開始剤G-1 ・・・0.9質量部
界面活性剤I-1 ・・・4.2質量部
紫外線吸収剤1 ・・・0.7質量部
PGMEA ・・・34.7質量部