(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】画像形成システム及びシート処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 45/14 20060101AFI20221201BHJP
B65H 37/06 20060101ALI20221201BHJP
B65H 9/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B65H45/14
B65H37/06
B65H9/00 B
(21)【出願番号】P 2019010038
(22)【出願日】2019-01-24
【審査請求日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】P 2018050397
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】古橋 朋裕
(72)【発明者】
【氏名】浅見 真治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 道貴
(72)【発明者】
【氏名】星野 智道
(72)【発明者】
【氏名】米山 史晴
(72)【発明者】
【氏名】日高 信
(72)【発明者】
【氏名】坂野 広樹
(72)【発明者】
【氏名】國枝 晶
(72)【発明者】
【氏名】森永 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】原口 陽介
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-076776(JP,A)
【文献】特開2014-105097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 45/14
B65H 37/06
B65H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入部から所定方向に搬送されてきたシートの先端を突き当てることでスキューを補正するスキュー補正部材
と、スキュー補正後のシートに対して所定の処理を施す
処理手段とを有するシート処理装置において、
シートは、前記スキュー補正部材によりスキューが補正された後、前記スキュー補正部材によって前記所定方向とは逆方向に搬送され、
前記処理手段を経由せずに、前記搬入部から前記スキュー補正部材までのシート搬送経路から分岐した受け入れ部へ搬送されることを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
搬入部から所定方向に搬送されてきたシートの先端を突き当てることでスキューを補正するスキュー補正部材を有し、スキュー補正後のシートに対して所定の処理を施すシート処理装置において、
前記スキュー補正部材によりスキュー補正された複数のシートを重ねて折る折り機構を備え、
シートは、前記スキュー補正部材によりスキューが補正された後、前記スキュー補正部材によって前記所定方向とは逆方向に搬送され、前記搬入部から前記スキュー補正部材までのシート搬送経路から分岐した受け入れ部へ搬送されることを特徴とするシート処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のシート処理装置において、
前記折り機構は、
前記シートを搬送する第一搬送部材と、
前記第一搬送部材よりもシート搬送方向下流側に配置された第二搬送部材と、
前記シートに折り部を形成する折り部形成手段とを備え、
前記第一搬送部材と前記第二搬送部材とに前記シートを挟持した状態で前記第二搬送部材により前記シートを逆方向に搬送して前記シートを撓ませ、前記シートの撓んだ部分を前記折り部形成手段に導入して前記シートを折るものであって、
前記スキュー補正部材が、前記第一搬送部材または前記第二搬送部材であることを特徴とするシート処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記受け入れ部への前記所定方向とは逆方向の搬送後に、前記スキュー補正部材へ搬送され、前記スキュー補正部材によりスキュー補正された後続のシートと、前記受け入れ部へ搬送された先行のシートとを重ね合わせて搬送することを特徴とするシート処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載のシート処理装置において、
前記先行のシートは、前記スキュー補正部材により挟まれた状態で待機していることを特徴とするシート処理装置。
【請求項6】
請求項4に記載のシート処理装置において、
前記先行のシートは、前記スキュー補正部材に突き当たって待機していることを特徴とするシート処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記搬入部から前記スキュー補正部材までの搬送経路長が、少なくとも本シート処理装置が処理可能なシート搬送方向の最大サイズよりも短いことを特徴とするシート処理装置。
【請求項8】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記シートに所定の処理を施すシート処理装置とを備えた画像形成システムにおいて、
前記シート処理装置として、請求項1乃至7いずれか一項に記載のシート処理装置を用いたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成システムにおいて、
前記画像形成装置の内部には空間が形成されており、この空間に画像が形成されたシートが排出される胴内排紙部が設けられており、
前記シート処理装置を、前記胴内排紙部に設置したことを特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置と接続される搬入部と、前記搬入部から所定方向に搬送されてきたシートの先端を突き当てることでスキューを補正するスキュー補正部材とを有し、スキュー補正後のシートに対して所定の処理を施すシート処理装置とを備えた画像形成システムにおいて、
前記シート処理装置は、前記画像形成装置の内部に形成されたシートが排出される胴内排紙部に設けられ、
前記画像形成装置側にシートの一部が残っている状態で前記スキュー補正部材によりシートのスキューが補正された後、シート処理装置の内部にシートの全体が完全に進入し、その後、シートは、前記スキュー補正部材によって前記所定方向とは逆方向に搬送され、前記搬入部から前記スキュー補正部材までのシート搬送経路から分岐した受け入れ部へ搬送されることを特徴とする画像形成システム。
【請求項11】
請求項10に記載の画像形成システムにおいて、
前記スキュー補正部材によりスキュー補正された複数のシートを重ねて折る折り機構を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項12】
請求項11に記載の画像形成システムにおいて、
前記折り機構は、
前記シートを搬送する第一搬送部材と、
前記第一搬送部材よりもシート搬送方向下流側に配置された第二搬送部材と、
前記シートに折り部を形成する折り部形成手段とを備え、
前記第一搬送部材と前記第二搬送部材とに前記シートを挟持した状態で前記第二搬送部材により前記シートを逆方向に搬送して前記シートを撓ませ、前記シートの撓んだ部分を前記折り部形成手段に導入して前記シートを折るものであって、
前記スキュー補正部材が、前記第一搬送部材または前記第二搬送部材であることを特徴とする画像形成システム。
【請求項13】
請求項10乃至12いずれか一項に記載の画像形成システムにおいて、
前記受け入れ部への前記所定方向とは逆方向の搬送後に、前記スキュー補正部材へ搬送され、前記スキュー補正部材によりスキュー補正された後続のシートと、前記受け入れ部へ搬送された先行のシートとを重ね合わせて搬送することを特徴とする画像形成システム。
【請求項14】
請求項13に記載の画像形成システムにおいて、
前記先行のシートは、前記スキュー補正部材により挟まれた状態で待機していることを特徴とする画像形成システム。
【請求項15】
請求項13に記載の画像形成システムにおいて、
前記先行のシートは、前記スキュー補正部材に突き当たって待機していることを特徴とする画像形成システム。
【請求項16】
請求項10乃至15いずれか一項に記載の画像形成システムにおいて、
前記搬入部から前記スキュー補正部材までの搬送経路長が、少なくとも本シート処理装置が処理可能なシート搬送方向の最大サイズよりも短いことを特徴とする画像形成システム。
【請求項17】
請求項8または9に記載の画像形成システムにおいて、
前記シート処理装置は、前記画像形成装置から送られてきた後続のシートを、待機している先行のシートに重ね合わせた後、シートに対して所定の処理を施す
ものであり、
後続のシート後端側の一部が画像形成装置内部に残った状態で後続のシートと先行シートとの重ね合わせが行なわれることを特徴とする画像形成システム
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム及びシート処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シートに画像を形成する画像形成装置と、画像形成装置から送られてきたシートを突き当てることでスキューを補正するスキュー補正部材を有し、スキュー補正後のシートに対して所定の処理を施すシート処理装置とを備えた画像形成システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、上記画像形成システムのシート処理装置として、スキュー補正部材としてのスキュー補正ローラ対により補正されたシートが、スキュー補正ローラ対を抜けた後、循環搬送路へ搬送され、再度、スキュー補正ローラ対に戻るものが記載されている。再度、スキュー補正ローラ対に戻ってきたシートは、スキュー補正ローラ対に突き当ててスキュー補正された後、次のシートがくるのを待機する。次に、後続シートがスキュー補正ローラ対に向け搬送されてくる。このとき、先行シートの後側は、循環搬送路内にあるので、後続のシートが先行シートの後端に引っ掛ることなく搬送される。そして、スキュー補正ローラ対に後続シートを突き当て、待機していた先行シートと後続シートとを重ね合わせ、この重ね合わせたシートをスキュー補正ローラ対で搬送する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシート処理装置においては、大型な構成となるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、搬入部から所定方向に搬送されてきたシートの先端を突き当てることでスキューを補正するスキュー補正部材と、スキュー補正後のシートに対して所定の処理を施す処理手段とを有するシート処理装置において、シートは、前記スキュー補正部材によりスキューが補正された後、前記スキュー補正部材によって前記所定方向とは逆方向に搬送され、前記処理手段を経由せずに、前記搬入部から前記スキュー補正部材までのシート搬送経路から分岐した受け入れ部へ搬送されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、シート処理装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態における画像形成装置と、複数のシート処理装置とからなる画像形成システムのシステム構成を示す図。
【
図2】画像形成システムのシステム構成の他の例を示す図。
【
図3】実施形態に係る画像形成システムに備えられた画像形成装置の概略構成図。
【
図4】実施形態に係る画像形成システムに備えられた折り処理装置の概略構成図。
【
図5】(a)~(d)は、折り処理装置による折り処理によって形成される折り部の一例をそれぞれ示す説明図。
【
図6】(a)~(h)は、折り処理装置によりZ折り処理する際の一般的な動作を説明するための説明図。
【
図7】(a)~(h)は、折り処理装置により内三つ折り処理する際の一般的な動作を説明するための説明図。
【
図8】(a)~(h)は、折り処理装置により外三つ折り処理する際の一般的な動作を説明するための説明図。
【
図9】(a)~(i)は、折り処理装置により二つ折り処理する際の一般的な動作を説明するための説明図。
【
図10】シート重ね合わせ処理動作における、先行シートがスキュー補正ローラ対にスキュー補正されるまでの動作について説明する図。
【
図11】シート重ね合わせ処理動作における、先行シートがスキュー補正されてから先行シートがスイッチバック搬送路W3へ搬送されるまでの動作について説明する図。
【
図12】シート重ね合わせ処理動作における、先行シートがスイッチバック搬送路W3へ搬送されてから後続シートが先行のシートに重ね合わせられるまでの動作について説明する図。
【
図15】変形例1の折り処理装置における折り処理について説明する図。
【
図17】(a),(b)は、変形例2の折り処理装置における折り処理について説明する図。
【
図19】変形例3の折り処理装置の重ね折り動作における、先行シートが第二搬送手段によりスキュー補正されて、スイッチバック搬送路へ搬送するまでの動作を説明する図。
【
図20】変形例3の折り処理装置の重ね折り動作における、先行シートが、スイッチバック搬送路へ搬送されてから重ね合わせしたシート束に第一折り部を形成するまでの動作を説明する図。
【
図21】変形例3の折り処理装置の重ね折り動作における、シート束に第二折り部を形成する一例を示す図。
【
図22】変形例3の折り処理装置の重ね折り動作における、シート束に第二折り部を形成する他の例を示す図。
【
図23】変形例4の折り処理装置を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施形態における画像形成装置と、複数のシート処理装置とからなる画像形成システム4のシステム構成を示す図である。本実施形態では、画像形成装置2の後段に、シート処理装置である折り処理装置1と、後処理装置3とが順に設けられている。
【0009】
画像形成装置2は、入力された画像データまたは読み取った画像の画像データに基づいて、シートに画像を形成するものである。例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいは、これらの機能のうち少なくとも2つの機能を備えたデジタル複合機などがこれに相当する。画像形成装置2は、例えば電子写真方式や液滴射出方式など公知の方式のものであり、画像形成方式は何れでも良い。なお、本実施形態においては、電子写真方式の複写機を用いている。
【0010】
後処理装置3としては、例えば、シートにパンチ孔を開けるパンチ穿孔装置、ステープラ等によりシート束を綴じるシート綴じ装置、画像形成済みシートを複数の排出トレイへ仕分けして排出する仕分排出装置などが挙げられる。
【0011】
図2は、画像形成システム4のシステム構成の他の例を示す図である。
この
図2に示す画像形成システム4は、画像形成装置2の胴内に折り処理装置1を配置したものである。また、後処理装置3にミシン目形成装置を設けてもよい。
【0012】
図3は、実施形態に係る画像形成システムに備えられた画像形成装置2の概略構成図である。
画像形成装置本体101は、間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置である。図においてほぼ中央部に4色の作像ステーション111Y,C,M,Kが配置された作像部110を有する。また、この作像部110の下方に隣接して、光書き込み装置180が設けられている。また、光書き込み装置180の下方には、給送部120が設けられている。また、給送部120から給送されたシートPを二次転写部140及び定着装置150に搬送する給送搬送路(縦搬送路)130が設けられている。また、定着装置150で画像が定着されたシートPを折り処理装置1側に搬送する排出搬送路160や、一面に画像が形成されたシートPを反転し、他面に画像形成させるための両面搬送路170を備えている。
【0013】
作像部110は、作像ステーション111Y,C,M,Kの各色用の感光体ドラム200Y,C,M,Kを備えている。この感光体ドラム200Y,C,M,Kの外周に沿って、帯電装置80Y,C,M,K、現像装置70Y,C,M,K、クリーニングユニット40Y,C,M,K、及び、除電ユニットが配置されている。また、感光体ドラム200Y,C,M,Kに形成された画像を一次転写ローラ74Y,C,M,Kによって中間転写する中間転写ベルト112と、感光体ドラム200Y,C,M,Kに各色毎に画像を書き込む光書き込み装置180とを備えている。
【0014】
光書き込み装置180は、作像ステーション111の下方に配置され、中間転写ベルト112は作像ステーション111の上側に配置されている。また、作像部110の上方には現像装置70Y,C,M,Kに補給するためのトナーが収容されたトナー収容容器116Y,C,M,Kが交換可能に配置されている。
【0015】
中間転写ベルト112は、複数の支持ローラによって回転可能に支持されている。前記複数の支持ローラの1つである支持ローラ114は、二次転写部140で中間転写ベルト112を介して二次転写ローラ115と対向し、中間転写ベルト112上の画像をシートPに二次転写できるようになっている。
【0016】
なお、間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置の画像形成プロセスは公知であり、本発明の要旨とは直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
【0017】
給送部120は給送トレイ121、ピックアップローラ122、給送搬送ローラ123を備え、給送トレイ121からピックアップしたシートPを給送搬送路130に沿って上方に送り出す。
【0018】
送り出されたシートPは二次転写部140で画像が転写され、定着装置150に送られる。定着装置150は定着ローラ150aと加圧ローラ150bを備え、シートPが両者間のニップを通過する過程で、加熱及び加圧が行われ、トナーがシートPに定着される。
【0019】
定着装置150の下流には、排出搬送路160と両面搬送路170が設けられ、両者は分岐爪161によって2方向に分岐し、折り処理装置1側に搬送される場合と、両面搬送路170に搬送される場合とで搬送路が選択される。
【0020】
なお、分岐爪161のシート搬送方向上流側の直近には分岐搬送ローラ162が設けられ、シートPへ搬送力を付与している。
【0021】
折り処理装置1は、画像形成装置本体101の胴内排紙部に配置され、画像形成装置本体101から搬送された画像形成済みシートPに折り処理を施し、後処理装置3に排出するものである。
【0022】
画像読取装置500は、コンタクトガラス501上にセットされた原稿を光走査して原稿面の画像を読み取る公知のものである。画像読取装置500自体の構成及び機能は公知であり、本発明の要旨とは直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
【0023】
このように構成された画像形成装置本体101では、画像読取装置500から読み取られた原稿データあるいは外部のPCなどから転送された印刷データに基づいて書き込みに使用する画像データを生成する。そして、その画像データに基づいて光書き込み装置180から各感光体ドラム200Y,C,M,Kに対して光書き込みが行われる。各作像ステーション111Y,C,M,Kで各色毎に形成された画像は、順次、中間転写ベルト112に転写され、中間転写ベルト112上に4色の画像が重畳されたカラー画像が形成される。
【0024】
一方、給送トレイ121からは前記画像形成に応じてシートPが給送される。シートPは、二次転写部140の直前のレジストローラ位置で一旦停止し、中間転写ベルト112上の画像先端とタイミングを合わせて送り出され、二次転写部140で二次転写され、定着装置150へと送り込まれる。
【0025】
定着装置150で画像が定着されたシートPは、片面印刷の場合及び両面印刷の両面印刷後の場合には、分岐爪161の切り替え動作により排出搬送路160側へ搬送され、両面印刷の場合には両面搬送路170側へ搬送される。
【0026】
両面搬送路170に搬送されたシートPは反転後再度、二次転写部140に送り込まれて、他側の面に画像が形成された後、排出搬送路160側に返送される。
【0027】
排出搬送路160側に搬送されたシートPは、折り処理装置1に搬送され、折り処理装置1で折り処理を施し、あるいは、処理なしで後処理装置3に排出される。
【0028】
図4は、実施形態に係る画像形成システムに備えられた折り処理装置1の概略構成図である。
本実施形態の折り処理装置1は、画像形成装置2から排出されたシートPを折り処理せずに後段の後処理装置3へシートPを搬送するためのスルー搬送路W1を備えている。また、スルー搬送路W1から分岐していて、画像形成装置2から排出されたシートPを折り処理して後段の後処理装置3へシートPを搬送するための分岐搬送路W2を備えている。また、スルー搬送路W1から分岐してスイッチバック搬送されてきたシートを一時待機させておき、画像形成装置2から排出された後続のシートと重ね合わせて搬送するための受け入れ部としてのスイッチバック搬送路W3を備えている。
【0029】
画像形成装置2から排出されたシートPを受け入れるスルー搬送路W1の入口側(図中右側)には、搬入ローラ対10が配置されている。この搬入ローラ対10は、回転部材である押圧ローラ10aと対向部材である駆動ローラ10bとから構成されており、駆動ローラ10bは駆動源である搬入モータ10mの駆動力によって回転駆動する。
【0030】
また、スルー搬送路W1の搬入ローラ対10よりも下流側には、第一搬送手段であるスキュー補正ローラ対11が配置されている。このスキュー補正ローラ対11は、回転部材である押圧ローラ11aと対向部材である駆動ローラ11bとから構成されており、駆動ローラ11bは駆動源である正逆転可能なスキュー正逆転モータ11mの駆動力によって回転駆動する。
【0031】
また、スルー搬送路W1の出口側(図中左側)には、第一折りローラ12と、第一折りローラ12に当接配置された第一正逆転ローラ13と、第一正逆転ローラ13に当接配置された押し当てローラ14とが設けられている。第一折りローラ12と第一正逆転ローラ13とのニップを通過することで、シートPはスルー搬送路W1から分岐搬送路W2へ移動することができる。また、第一正逆転ローラ13と押し当てローラ14とのニップを通過することで、スルー搬送路W1を介して後段の後処理装置3へシートPを搬送することができる。
【0032】
更に、本実施形態では、分岐搬送路W2の出口側には、第一正逆転ローラ13に当接配置された第二折りローラ15が設けられている。また、この分岐搬送路W2には、スルー搬送路W1からのシートPが進入する第一折りローラ12と第一正逆転ローラ13とのニップを挟んで、第二折りローラ15の反対側に、第二正逆転ローラ対16が設けられている。この第二正逆転ローラ対16は、回転部材である押圧ローラ16aと対向部材である駆動ローラ16bとから構成されており、駆動ローラ16bは駆動源である第二正逆転モータ16mの駆動力によって回転駆動する。
【0033】
第一正逆転ローラ13は、正逆転可能な第一正逆転モータ13mの駆動力によって正逆転可能に回転駆動することができる。この第一正逆転ローラ13に当接配置されている第一折りローラ12、押し当てローラ14及び第二折りローラ15は、いずれも第一正逆転ローラ13の回転に伴って従動回転する従動ローラである。
【0034】
また、第二正逆転ローラ対16を構成する駆動ローラ16bは、正逆転可能な第二正逆転モータ16mの駆動力によって正逆転可能に回転駆動することができる。第二正逆転ローラ対16を構成する押圧ローラ16aは、駆動ローラ16bの回転に伴って従動回転する従動ローラである。
【0035】
更に、本実施形態では、スイッチバック搬送路W3には、スイッチバック搬送ローラ対17が配置されている。スイッチバック搬送ローラ対17は、回転部材である押圧ローラ17aと対向部材である駆動ローラ17bとから構成されており、駆動ローラ17bは駆動源である正逆転可能なスイッチバック正逆転モータ17mの駆動力によって回転駆動する。
【0036】
また、スイッチバック搬送路W3とスルー搬送路W1との分岐部には、フィルム部材18が設けられている。このフィルム部材18は、先端がスルー搬送路W1側に設けられている。
【0037】
本実施形態において、すべての従動ローラは、それぞれ、付勢手段としての加圧スプリング10s,11s,12s,14s,15s,16s,17sによってローラ軸が付勢されており、これにより対向するローラとの間にニップが形成されるようになっている。
【0038】
また、本実施形態には、搬入ローラ対10のシート搬送方向上流側(スルー搬送路W1入口側)には、シートPの端部を検知するシート端部検知手段としての入口センサ24が設けられている。この入口センサ24は、その検知領域に画像形成装置2から搬送されてくるシートPの先端や後端が到達したときに、その旨を示す検知信号を制御部へ出力する。このようなセンサとしては、公知のセンサを広く利用することができる。
【0039】
また、スキュー補正ローラ対11のシート搬送方向上流側(スルー搬送路W1中央部付近)には、シートPの端部を検知するシート端部検知手段としてのスキューセンサ21が設けられている。このスキューセンサ21は、その検知領域に画像形成装置2から搬送されてくるシートPの先端が到達したときに、その旨を示す先端検知信号を制御部へ出力する。このようなセンサとしては、公知のセンサを広く利用することができる。
【0040】
また、本実施形態には、第一正逆転ローラ13と押し当てローラ14とで構成される第二搬送手段のシート搬送方向下流側(スルー搬送路W1の出口側)に、シートPの先端を検知するシート先端検知手段としてのシート検知センサ22が設けられている。このシート検知センサ22は、その検知領域にスルー搬送路W1を搬送されてきたシートPの先端が到達したときに、その旨を示す先端検知信号を制御部へ出力する。このようなシート検知センサ22は、上述したスキューセンサ21と同様、公知のセンサを広く利用することができる。
【0041】
また、本実施形態には、第二正逆転ローラ対16のシート搬送方向下流側(分岐搬送路W2の出口側とは反対側)に、シートPの先端を検知するシート検知センサ26が設けられている。このシート検知センサ26は、その検知領域にスルー搬送路W1から分岐搬送路W2へ送り込まれたシートPの先端が到達したときに、その旨を示す先端検知信号を制御部へ出力する。このようなシート検知センサ26は、上述した入口センサ24、スキューセンサ21、シート検知センサ22と同様、公知のセンサを広く利用することができる。
【0042】
本実施形態においては、第一正逆転ローラ13と押し当てローラ14とで第二シート搬送手段が構成され、第一折りローラ12と第一正逆転ローラ13とで折り部形成手段が構成されている。また、本実施形態では、第一正逆転ローラ13と第二折りローラ15とでも、折り部形成手段が構成されている。
【0043】
第二シート搬送手段としては、このようなローラ対の構成ではなく、粘着ローラや吸着ベルトの構成を採用してもよい。また、本実施形態では、第二シート搬送手段を構成する第一正逆転ローラ13と、折り部形成手段を構成する第一正逆転ローラ13や第二折りローラ15とが共通のローラである。しかしながら、これに限るものではなく、別々のローラを用いて第二シート搬送手段と折り部形成手段とを別個独立した構成としてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、スイッチバック搬送路W3が、分岐搬送路W2に繋がっている。これにより、分岐搬送路W2の第二正逆転ローラ対16に進入したシートの搬送路と、スイッチバック搬送路W3の一部とを兼用することができ、装置の小型化を図ることができる。
【0045】
次に、折り処理装置1でシートPに折り部を形成する折り処理の流れや動作について説明する。
図5(a)~
図5(d)は、本実施形態の折り処理装置1による折り処理によって形成される折り部の一例をそれぞれ示す説明図である。
【0046】
本実施形態の折り処理装置1は、シートPに対して2つの外折りの折り部を形成して
図5(a)に示すようにZ折りにするZ折り処理を行なうことができる。また、本実施形態の折り処理装置1は、シートPを略三等分に対して2つの内折りの折り部を形成して
図5(b)に示すように内三つ折りにする内三つ折り処理を行なうことができる。また、本実施形態の折り処理装置1は、シートPを略三等分に対して2つの外折りの折り部を形成して
図5(c)に示すように外三つ折りにする外三つ折り処理を行なうことができる。また、シートPを略二等分に対して1つの折り部を形成して
図5(d)に示すように二つ折りにする二つ折り処理を行なうことができる。
【0047】
図6(a)~(h)は、折り処理装置1によりZ折り処理する際の一般的な動作を説明するための説明図である。
【0048】
画像形成装置2側の排出ローラから搬入ローラ対10に受け渡され、搬入ローラ対10から搬送力を付与されて所定の方向に搬送(以下、正搬送ということもある)されてくるシートPの先端は、まず、スキューセンサ21に検知される。スキューセンサ21から出力される先端検知信号を受信した制御部は、スキュー正逆転モータ11mを制御して、スキュー補正ローラ対11の回転を開始させる(
図6(a)、
図6(b))。その後、シートPの先端がスキュー補正ローラ対11のニップに進入すると、シートPは、スキュー補正ローラ対11からも搬送力が付与されてスルー搬送路W1をその出口側に向けて搬送される。
【0049】
スルー搬送路W1を搬送されるシートPの先端は、第一正逆転ローラ13と押し当てローラ14とのニップに進入し、このニップを通過した後にシート検知センサ22に検知される。これを検知したシート検知センサ22からの先端検知信号を受信した制御部は、次のような制御を行う。すなわち、第一正逆転ローラ13と押し当てローラ14とのニップ位置から、シートPの先端が予め決められた突出量だけ突出したところで(
図6(c))、第一正逆転モータ13mを制御して第一正逆転ローラ13の回転を停止させる。また、これとともに、スキュー正逆転モータ11mを制御してスキュー補正ローラ対11の駆動ローラ11bの回転を停止させる。
【0050】
このときの突出量は、シートPのシート搬送方向長さや折り処理の内容(折り方等)によって適宜決定されるものである。シートPの先端の突出量は、例えば、シート検知センサ22から出力される先端検知信号の受信タイミングと、押し当てローラ14の回転量とから把握することができる。
【0051】
その後、第一正逆転モータ13mを制御して、シートPをスルー搬送路W1の入口側へ戻す方向に第一正逆転ローラ13の逆回転を開始させるとともに、スキュー補正ローラ対11の回転を開始させる。これにより、スキュー補正ローラ対11と第一正逆転ローラ13との間のシート部分に撓みが形成される(
図6(d))。そして、この撓み部分(折り返し部分)が第一折りローラ12と第一正逆転ローラ13との間のニップに進入することで、その折り返し部分に第一折り部が形成される。第一折りローラ12と第一正逆転ローラ13との間のニップを通過した第一折り部は、分岐搬送路W2に進入し(
図6(e))、分岐搬送路W2を第二正逆転ローラ対16に向けて搬送される。
【0052】
そして、シートPの第一折り部は、第二正逆転ローラ対16のニップに進入し、このニップを通過した後にシート検知センサ26に検知される。これを検知したシート検知センサ26からの先端検知信号を受信した制御部は、次のような制御を行う。すなわち、第二正逆転ローラ対16のニップ位置から、シートPの第一折り部が予め決められた突出量だけ突出したところで(
図6(f))、第一正逆転モータ13mを制御して第一正逆転ローラ13の回転を停止させる。また、これとともに、第二正逆転ローラ対16及びスキュー補正ローラ対11の回転を停止させる。このときの突出量も、シートPのシート搬送方向長さや折り処理の内容(折り方等)によって適宜決定されるものである。シートPの第一折り部の突出量は、例えば、シート検知センサ26から出力される先端検知信号の受信タイミングと、第二正逆転ローラ対16の回転量とから把握することができる。
【0053】
その後、第二正逆転モータ16mを制御して第二正逆転モータ16mを制御して、シートPを分岐搬送路W2の出口側へ向かわせる方向に第二正逆転ローラ対16の逆回転を開始するとともに、第一正逆転ローラ13の逆回転及びスキュー補正ローラ対11の回転を再開させる。これにより、第一正逆転ローラ13と第二正逆転ローラ対16との間のシート部分に撓みが形成される(
図6(g))。そして、この撓み部分(折り返し部分)が第一正逆転ローラ13と第二折りローラ15との間のニップに進入することで、その折り返し部分に第二折り部が形成される。
【0054】
第一正逆転ローラ13と第二折りローラ15との間のニップを通過した第二折り部は、分岐搬送路W2の出口側に向けて搬送される(
図6(h))。そして、このように2つの折り部が形成されたシートPは、第一正逆転ローラ13からの搬送力を受けて、後段の後処理装置3へ搬送される。
【0055】
図7(a)~(h)は、折り処理装置1により内三つ折り処理する際の一般的な動作を説明するための説明図である。
【0056】
図8(a)~(h)は、折り処理装置1により外三つ折り処理する際の一般的な動作を説明するための説明図である。
【0057】
内三つ折り処理も外三つ折り処理も、その動作の流れは上述したZ折り処理と同様であるが、上記突出量及び上記突出量が異なる。したがって、Z折り処理、内三つ折り処理、外三つ折り処理との間では、第一正逆転ローラ13及び第二正逆転ローラ対16の逆回転を開始するタイミングがそれぞれ異なることになる。
【0058】
図9(a)~
図9(h)は、折り処理装置1により二つ折り処理する際の一般的な動作を説明するための説明図である。二つ折り処理は、スルー搬送路W1を搬送されるシートPの先端を、第一正逆転ローラ13と押し当てローラ14とのニップに進入させず、第一折りローラ12と第一正逆転ローラ13との間のニップに進入させる点と上記突出量Δ2が異なる以外は、その動作の流れは上述したZ折り処理と同様である。なお、この二つ折り処理においては、第一正逆転ローラ13と押し当てローラ214とが第一搬送手段に相当し、第二正逆転ローラ対16が第二搬送手段に相当する。また、第一折り部形成手段20aにより二つ折りを行なってもよい。
【0059】
次に、シート重ね合わせ処理について、説明する。本実施形態において、複数枚のシートを重ね合わせ、複数のシートを重ねて折ることができるようになっている。
【0060】
図10~
図12は、折り処理装置1によるシート重ね合わせ処理の動作を説明するための説明図である。また、
図13は、シート重ね合わせ処理の動作フロー図である。
【0061】
図10は、先行シートが、スキュー補正ローラ対にスキュー補正されるまでの動作を示しており、
図11は、先行シートが、スイッチバック搬送路W3へ搬送されるまでの動作を示しており、
図12は、後続シートが先行のシートに重ね合わせられるまでの動作を示している。
折り処理装置1の搬入ローラ対10は、画像形成装置の排紙ローラ対163からシートを受け取り下流に搬送する(
図10(a)、
図13のS1)。搬入ローラ対10から搬送力を付与されて搬送されてくるシートPによりフィルム部材18は図中時計反時計回りに弾性変形して、シートPの搬送を受け流す。そして、シートPの先端は、スキュー補正ローラ対11に突き当たり、スキュー補正される(
図10(b))。
【0062】
本実施形態においては、
図10(b)に示すように、折り処理装置1のシートが搬入される搬入部Hからスキュー補正ローラ対11のニップまでのシート搬送長L1が、本折り処理装置が処理可能なシート搬送方向の最大サイズよりも短くして装置の小型化を図っている。なお、本実施形態では、上記L1は、A4縦より短くなっている。このように上記L1がシートの搬送方向長さよりも短くなっているので、スキュー補正ローラ対11にシートの先端が突き当たったときシートPの後側が、画像形成装置に残っている。
【0063】
制御部は、スキューセンサ21がシート先端を検知(
図13のS2Yes)してから、シートが搬入ローラ対10により指定突当量搬送されたら(
図13のS3Yes)、スキュー補正ローラ対11を正転回転させ、シートの搬送を開始する(S4)。
具体的には、制御部は、スキューセンサ21がシート先端を検知したら、時間計測を開始、規定時間となったら、スキュー補正ローラ対11を正転回転させる。上記規定時間は、スキューセンサ21がシートの先端を検知してから、シートの先端がスキュー補正ローラ対に突き当たり、シートPが所定量撓んでスキュー補正が完了するまでの時間である。
【0064】
次に、
図11(a)に示すようにシートの後端が、スルー搬送路W1とスイッチバック搬送路W3との分岐部を通過するまでの指定搬送量シートを搬送したら(S6のYes)、スキュー補正ローラ対や第二搬送手段の回転を停止する。シートの後端が、スルー搬送路W1とスイッチバック搬送路W3との分岐部を抜けることで、フィルム部材18が元の形状に戻る。また、この例では、スキュー補正ローラ対11のシート搬送開始からシート後端が分岐部を通過するまでの指定搬送量としているが、入口センサ24がシートの後端を検知してからシート後端が分岐部を通過するまでの指定搬送量としてもよい。
【0065】
次に、スキュー正逆転モータ11m、第一正逆転モータ13mおよびスイッチバック正逆転モータ17mを逆転駆動し、シートを逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)する(S6)。
【0066】
逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)されたシートPは、正搬送(所定方向の搬送)時のシートの後端が、フィルム部材18に案内され、
図11(b)に示すように、スイッチバック搬送路W3へ搬送される。次に、指定量逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)されたら(S7のYes)、スキュー正逆転モータ11m、第一正逆転モータ13mおよびスイッチバック正逆転モータ17mの逆転駆動を停止し、シートの逆搬送(所定方向とは逆方向の搬送)を停止する(S8)。この逆搬送(所定方向とは逆方向の搬送)の指定量は、シートの逆搬送(所定方向とは逆方向の搬送)を開始してから、
図11(c)に示すように、シートの搬送時の先端が、スキュー補正ローラ対の手前に位置するまでの搬送量である。なお、この逆搬送(所定方向とは逆方向の搬送)の指定量を、シート検知センサ26が、スイッチバック搬送路W3に送り込まれたシートの正搬送(所定方向の搬送)時の後端を検知してから、
図11(c)に示す状態となるまでのシート搬送量でもよい。
次に、スイッチバック正逆転モータ17mを、指定突き当て量正回転させて、シートPの先端を、スキュー補正ローラ対に突き当ててスキュー補正を行なう。
【0067】
次に、
図12(a)に示すように、後続シートP2が画像形成装置から搬送されてくる。このとき、スキュー補正ローラ対の手前で待機している先行のシートP1が、スキューセンサ21上にあり、スキューセンサ21は、後続シートP2の先端を検知できない。よって、二枚目以降は、入口センサ24が後続シートP2の先端を検知してから、指定量シートを搬送する(S9のYes、S10のYes)。
図12(b)は、入口センサ24が後続シートP2の先端を検知してから、指定量シートを搬送した状態を示しており、後続のシートP2の先端が、スキュー補正ローラ対に突き当り、スキュー補正されている。すなわち、このときの指定量は、入口センサ24が後続シートP2の先端を検知してから、後続のシートの先端がスキュー補正ローラ対に突き当たり、後続のシートが所定量撓むまでのシート搬送量である。
【0068】
本実施形態では、上述したように、搬入部Hからスキュー補正ローラ対11までのシート搬送長L1が、シートの搬送方向長さよりも短いため、
図12(b)に示すように、先行シートP1と後続シートP2との重ね合わせ処理時に、後続のシートP2の後側は、画像形成装置2に残っている。
【0069】
このように、後続のシートP2を、スキュー補正ローラ対によりスキュー補正して先行シートP1と後続シートP2との重ね合わせ処理を行ったら、スキュー補正ローラ対11により先行のシートP1と後続のシートP2とを重ねて搬送する(S11)。ユーザーが設定した設定枚数の重ね合わせがされたら(S12のYes)、重ね合わせ動作フローが終了する。この重ね合わせたシートに対して、折り処理を行う場合は、重ね合わせたシートを分岐搬送路W2へ搬送し、折り処理を行う。一方、重ね合わせたシートを後処理装置で処理するときは、この重ね合わせたシートは、スルー搬送路W1を通って、後処理装置3へ受け渡される。
【0070】
一方、重ね合わせ枚数がユーザーが設定した設定枚数に満たないとき(S12のNo)は、S5以降のステップを再度、実行する。
【0071】
本実施形態においては、
図10(b)に示すように、折り処理装置1の搬入部Hからスキュー補正ローラ対11のニップまでのシート搬送長L1を、シートの搬送方向長さよりも短くしている。これにより、装置の小型化を図ることができる。また、かかる構成とすることで、スキュー補正ローラ対11によるスキュー補正時は、シートの後側は、画像形成装置の残っており、シートの後側は、排紙ローラ対163により搬送されている。しかしながら、スキュー補正ローラ対の搬送開始のタイミングを制御すれば、所望のスキュー補正を行うことができるので、画像形成装置の排紙ローラ対の駆動を制御する必要がない。よって、簡単な制御で、装置の小型化を実現することができる。
【0072】
また、本実施形態では、スイッチバック搬送されてきた先行シートP1が搬送されるスイッチバック搬送路W3を設けている。よって、搬入部Hからスキュー補正ローラ対11のニップまでのシート搬送長L1を、シートの搬送方向長さよりも短くしても、スイッチバック搬送されてきた先行のシートP1が画像形成装置2に進入することがない。
【0073】
また、本実施形態においては、スイッチバック搬送により、先行のシートの正搬送(所定方向の搬送)時の先端をスキュー補正ローラ対11の手前に位置させている。これにより、スキュー補正ローラ対によりスキュー補正したシートを正搬送(所定方向に搬送)し、シートを一周ループさせて、先行シートを正搬送(所定方向の搬送)時の先端をスキュー補正ローラ対11の手前に位置させる従来技術よりも以下の利点を得ることができる。1周ループさせて先行シートをスキュー補正ローラ対の手前に戻す場合、ループの曲率が大きいとシートを良好に搬送できないため、ループの曲率を小さくする必要がある。その結果、ループ一周の搬送経路長が、シートの搬送方向長さよりもある程度長くなってしまう。その結果、従来技術では、シートの後端がスキュー補正ローラ対を抜けてからある程度搬送された後、先行シートの先端がスキュー補正ローラ対11の手前に位置するような搬送となる。
【0074】
シートがスキュー補正ローラ対に狭持されているときは、スキュー補正された状態を維持することができるが、シートの後端がスキュー補正ローラ対を抜けると、他の搬送ローラ対の影響を受けて、シートがスキューするおそれがある。上述したように、従来の一周ループでスキュー補正ローラ対に戻すものは、スキュー補正ローラ対を抜けてからもある程度搬送されるので、その間でスキュー量が多くなるおそれがある。
【0075】
スキュー補正ローラ対へ戻ってきた先行シートは、先端をスキュー補正ローラ対に突き当ててスキュー補正をしているが、スキュー補正時の撓み量を多くすると、先行のシートが搬送経路を塞いでしまい、後続のシートの搬送を邪魔して搬送不良が生じるおそれがある。従って、撓み量を多くできず、補正できるスキュー量が限られてしまう。よって、スキュー量が多くなるおそれがあるループ搬送でスキュー補正ローラ対へ戻す従来技術では、完全には、スキューが補正されず、スキューが残ってしまうおそれがある。
【0076】
これに対し、本実施形態では、スイッチバック搬送により先行のシートをスキュー補正ローラ対11の手前に戻すことで、シートの正搬送(所定方向の搬送)時の先端がスキュー補正ローラ対を抜けた直後に先行のシートをスキュー補正ローラ対11の手前に戻した状態となる。これにより、シートは、スキュー補正ローラ対11を抜けてからほとんど搬送されることなく、シートの搬送が停止されるので、大きくスキューすることがない。これにより、先行のシートをスキュー補正ローラ対11の手前に戻した後のスキュー補正で十分にスキューを補正することができ、良好に後続のシートに重ね合わせることできる。
【0077】
スイッチバック搬送により先行のシートをスキュー補正ローラ対11の手前に戻す際のシートを停止するタイミングは、シートの正搬送(所定方向の搬送)時の先端がスキュー補正ローラ対を抜けた直後が好ましく、少なくとも、シートをスキュー補正ローラ対11からシートの正搬送(所定方向の搬送)時の先端までの距離が5mm以上離れる前に、逆搬送(所定方向とは逆方向の搬送)を停止するのが好ましい。
【0078】
また、複数枚のシートを重ね折りすると、シート毎に折り部の位置が異なる場合がある。よって、折り位置を揃えるために、シートの正搬送(所定方向の搬送)時の先端がスキュー補正ローラ対11に狭持された状態で、スイッチバック搬送を停止し、先行シートと後続シートとの間にシート搬送方向に所定の重ね合わせズレを生じさせてもよい。また、シートの正搬送(所定方向の搬送)時の先端がスキュー補正ローラ対11に狭持された状態で、スイッチバック搬送を停止することで、先行シートは、スキュー補正ローラ対から離れないので、スイッチバック搬送時のスキューが発生しない。よって、先行のシートをスキュー補正ローラ対に突き当ててスキュー補正を行った後、所定の重ね合わせズレを生じさせるために先行シートを搬送し先端をスキュー補正ローラ対に狭持させるものに比べて、重ね合わせの処理の制御時間を短縮することができ、生産性を高めることができる。
【0079】
次に、折り処理装置1の変形例について説明する。
【0080】
[変形例1]
図14は、変形例1の折り処理装置の概略構成図である。
図14に示すように変形例1は、第二搬送手段に変えて、ストッパ部材28としたものである。ストッパ部材28は、スルー搬送路W1から退避可能、かつ、図中矢印Dに示すように、シート搬送方向に移動可能に構成されている。折り処理を行わずに、後処理装置へシートを搬送するときは、ストッパ部材28をスルー搬送路W1から退避させる。これにより、シートは、ストッパ部材28に止められることなく、後処理装置へ搬送することができる。
【0081】
一方、折り処理を行うときは、スルー搬送路W1にストッパ部材28を位置させ、折り種に応じた位置に位置するように、図中矢印D方向に移動させる。
【0082】
図15は、変形例1の折り処理装置1における折り処理について説明する図である。
図15に示すように、スキュー補正ローラ対11により搬送されてきたシートPの先端がストッパ部材28に突き当たることで、スキュー補正ローラ対11とストッパ部材28との間でシートに撓みが形成される。そして、この撓み部分(折り返し部分)が第一折りローラ12と第一正逆転ローラ13との間のニップに進入することで、その折り返し部分に折り部が形成される。
【0083】
上記実施形態の構成では、第一正逆転ローラ13を正回転駆動してシートを所定量搬送した後、搬送を停止し、第一正逆転ローラ13を逆回転させることで、シートを撓ませ第一折りローラ12と第一正逆転ローラ13との間のニップに進入させていた。しかし、この変形例1においては、第一正逆転ローラ13を正回転駆動してシートを搬送する必要がなく、所定のタイミングで第一正逆転ローラ13を逆回転させればよい。よって、第一正逆転ローラ13を正回転駆動から逆回転駆動するために、一旦、シートの搬送を停止する必要がなく、折り処理時間の短縮化を図ることができ、生産性を高めることができる。
【0084】
[変形例2]
図16は、変形例2の折り処理装置の概略構成図である。
この変形例2の折り処理装置は、変形例1の折り処理装置に対して、第二正逆転ローラ対16に替えて第二ストッパ部材29にし、さらなる生産性の向上を図ったものである。この第二ストッパ部材29は、上記ストッパ部材28とは異なり、搬送路から退避不能な構成であり、シート搬送方向にのみ移動可能な構成である。折り処理を行うときは、第二ストッパ部材29を、折り種に応じた位置に位置するようにシート搬送方向に移動させる。
【0085】
図17は、変形例2の折り処理装置1における折り処理について説明する図である。
図17(a)に示すように、スキュー補正ローラ対11により搬送されてきたシートPの先端がストッパ部材28に突き当たることで、スキュー補正ローラ対11とストッパ部材28との間でシートに撓みが形成される。そして、この撓み部分(折り返し部分)が第一折りローラ12と第一正逆転ローラ13との間のニップに進入することで、その折り返し部分に折り部が形成される。
【0086】
第一折りローラ12と第一正逆転ローラ13との間のニップを通過した第一折り部は、分岐搬送路W2に進入し、分岐搬送路W2を第二ストッパ部材29に向けて搬送され、
図17(b)に示すように、シートPの第一折り部が第二ストッパ部材29に突き当たる。これにより、第一正逆転ローラ13と第二正逆転ローラ対16との間のシート部分に撓みが形成され、この撓み部分(折り返し部分)が第一正逆転ローラ13と第二折りローラ15との間のニップに進入することで、その折り返し部分に第二折り部が形成される。
【0087】
実施形態においては、第二正逆転ローラ対16を所定時間正回転後、シートの搬送を停止し、第二正逆転ローラ対16を逆回転させることで、シートを撓ませ第一正逆転ローラ13と第二折りローラ15との間のニップに進入させていた。しかし、この変形例2では、第二正逆転ローラ対16に替えてストッパ部材としたことで、シートの搬送を停止することなく、シートを撓ませ第一正逆転ローラ13と第二折りローラ15との間のニップに進入させることができる。これにより、折り処理時間の短縮化を図ることができ、生産性を高めることができる。
【0088】
[変形例3]
図18は、変形例3の折り処理装置の概略構成図である。
図18に示す変形例3の折処理装置は、スキュー補正ローラ対をなくし、第一正逆転ローラ13と押し当てローラ14とで構成される第二搬送手段でスキュー補正を行うようにしたものである。
【0089】
図19~
図22は、変形例3の折り処理装置の重ね折り動作について、説明する図である。
図19は、先行シートが第二搬送手段によりスキュー補正されて、先行シートが、スイッチバック搬送路W3へ搬送するまでの動作を説明する図であり、
図20は、先行シートが、スイッチバック搬送路W3へ搬送された後、重ね合わせしたシート束に第一折り部を形成するまでの動作を説明する図である。
図21は、シート束に第二折り部を形成する一例を示す図であり、
図22は、シート束に第二折り部を形成する他の例を示す図である。
【0090】
図19(a)、
図19(b)に示すように、画像形成装置2から排出されたシートの先端は、第一正逆転ローラ13と押し当てローラ14とで構成される第二搬送手段に突き当たり、スキュー補正される。この変形例3においても、搬入部Hから第二搬送手段までの搬送経路長L2を少なくとも本折り処理装置が処理可能なシート搬送方向の最大サイズよりも短くして装置の小型化を図っている。よって、シートの先端が、第二搬送手段に突き当っているとき、シートの後ろ側は、画像形成装置に残っている。
【0091】
次に、
図19(c)に示すように、第一正逆転ローラ13を正回転させ、シートの後端がスルー搬送路W1とスイッチバック搬送路W3の分岐部を通り過ぎるまで、シートを搬送した後、第一正逆転ローラ13を停止する。次に、分岐爪を切り替え、第一正逆転ローラ13を逆回転しスイッチバック搬送路W3へ向けてシートをスイッチバック搬送する。
【0092】
図20(a)に示すように、シートの正搬送(所定方向の搬送)時の先端が、第一正逆転ローラ13と押し当てローラ14のニップ手前に到達、または、第一正逆転ローラ13と押し当てローラ14に挟まれたら、スイッチバック搬送を停止し、後続のシートが搬送されてくるまで待機する。
【0093】
図20(b)に示すように、後続のシートの先端が第二搬送手段に突き当たってスキュー補正されたら、第一正逆転ローラ13およびスイッチバック搬送ローラ対17を正回転させて、重ね合わせ搬送する。そして、第一正逆転ローラ13と押し当てローラ14のニップから所定量、重ね合わせシートが突出したら、第一正逆転ローラ13を逆回転させ、搬入ローラ対10と第二搬送手段との間で重ね合わせシートに撓みを形成し、この撓み部分(折り返し部分)が第一折りローラ12と第一正逆転ローラ13との間のニップに進入させる(
図20(c))。これにより、重ね折り処理がなされ、複数のシートに第一折り部が形成される。
【0094】
その後の第二折り部の形成に関しては、
図21に示す折り処理、
図22に示す折り処理の2通りの折り処理で折ることができる。
【0095】
図21に示す折り処理は、
図21(a)に示すように、シートが第一正逆転ローラ13と押し当てローラ14とのニップを抜けたら、第一正逆転ローラ13を逆回転させる。これにより、
図22(b)に示すように、搬入ローラ対10と第一折りローラ12と第一正逆転ローラ13のニップとの間でシートが撓み、この撓み部分(折り返し部分)が第一正逆転ローラ13と押し当てローラ14とのニップに進入し、その折り返し部分を重ね折りして第二折り部を形成する。
【0096】
図22に示す折り処理は、実施形態で説明した折り処理と同様である。すなわち、
図22(a)の状態から、シートを第二正逆転ローラ対16へ搬送し、
図22(b)に示すように、第二正逆転ローラ対16のニップ位置から所定量、シートが突出したら、第二正逆転ローラ対16を逆回転させる。そして、
図22(c)に示すように、第一正逆転ローラ13と第二正逆転ローラ対16との間で重ね合わせシートを撓ませる。そして、この撓み部分(折り返し部分)を第一正逆転ローラ13と第二折りローラ15との間のニップに進入させ、その折り返し部分を重ね折りして第二折り部を形成する。
【0097】
この変形例3においては、スキュー補正ローラ対を無くしたので、部品点数を削減することができ、装置のコストダウンや装置の小型化を図ることができる。
【0098】
[変形例4]
図23は、変形例4の折り処理装置を示す概略構成図である。
図23に示すように、この変形例4は、変形例2の折り処理装置に対して、第一正逆転ローラ13と第一折りローラ12との位置を入れ替えたものである。
この変形例では、第一正逆転ローラ13と押し当てローラ14とのニップにシートの先端を突き当ててスキュー補正を行う。そして、ストッパ部材28と第一正逆転ローラ13と押し当てローラ14とのニップとの間でシートを撓ませ、この撓み部分(折り返し部分)を第一正逆転ローラ13と第一折りローラ12とのニップに進入させ第一折り部を形成する。
【0099】
第一正逆転ローラ13と第一折りローラ12とのニップを抜けたシートは、図中左側へ搬送される。そして、第二ストッパ部材29に第一折り部を突き当てて、第二ストッパ部材29と、第一正逆転ローラ13と第一折りローラ12とのニップとの間でシートを撓ませ、この撓み部分(折り返し部分)を第一正逆転ローラ13と第二折りローラ15との間のニップに進入させ、その折り返し部分を重ね折りして第二折り部を形成する。折られたシートは、図中矢印N方向に排出される。
【0100】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
シートに画像を形成する画像形成装置2と、画像形成装置から所定方向に搬送されてきたシートを突き当てることでスキューを補正するスキュー補正ローラ対11などのスキュー補正部材を有し、スキュー補正後のシートに対して所定の処理を施す折り処理装置1などのシート処理装置とを備えた画像形成システム4において、シート後端側の一部が画像形成装置内部に残った状態でシート先端を前記スキュー補正部材へ突き当ててスキュー補正する。
これによれば、折り処理装置などのシート処理装置の小型化を図ることができる。
【0101】
(態様2)
態様1において、スキュー補正ローラ対11などのスキュー補正部材によるスキュー補正後、シートは、画像形成装置から完全に排出された後、前記スキュー補正部材の前記所定方向とは逆方向の搬送により、前記画像形成装置からシートが搬入される搬入部から前記スキュー補正部材までのシート搬送経路から分岐したスイッチバック搬送路W3などの受け入れ部へ搬送される。
これにより、先行シートの待機時は、シート後端側の一部が画像形成装置内部には残らないので、待機中の先行シートが、後続シート搬送時に画像形成装置の排紙ローラから搬送力を受けることがない。
【0102】
(態様3)
シートに画像を形成する画像形成装置2と、画像形成装置2から送られてきた後続のシートを、待機している先行のシートに重ね合わせた後、シートに対して所定の処理を施す折り処理装置1などのシート処理装置とを備えた画像形成システムにおいて、後続のシート後端側の一部が画像形成装置内部に残った状態で後続のシートと先行シートとの重ね合わが行なわれる。
これによれば、折り処理装置などのシート処理装置の小型化を図ることができる。
【0103】
(態様4)
搬入部Hから所定方向に搬入されてきたシートのスキューを補正するスキュー補正ローラ対などのスキュー補正部材を備えたシート処理装置において、搬入部Hから前記スキュー補正ローラ対11までのシート搬送経路から分岐し、スキュー補正部材により所定の方向とは逆方向に搬送されてきたシートを受け入れるスイッチバック搬送路W3などの受け入れ部を有する。
特許文献1においては、スキュー補正ローラ対によりスキュー補正された先行シートは、スキュー補正ローラ対により正搬送(所定方向に搬送)される。そして、スキュー補正ローラ対を抜けてから、循環搬送経路へ搬送され、再度、スキュー補正ローラ対へ搬送される。先行シートがスキュー補正ローラ対に挟まれているときは、スキュー補正ローラ対によりスキュー補正された状態を維持することができるが、先行シートがスキュー補正ローラ対を抜けると、循環搬送路に配置されたローラ対などの影響で先行シートがスキューしてしまい、スキュー量が多くなることがあった。
また、特許文献1では、戻ってきた先行シートをスキュー補正ローラ対に突き当ててスキュー補正を行っているが、このときの撓み量が多いと、先行シートが搬送経路を塞いでしまい、後続シート搬送を邪魔してしまう。その結果、搬送不良が生じるおれがある。よって、先行シートのスキュー補正の際に、先行シートを大きく撓ませることができない。このようなことから、先行シートにスキューが残ってしまうおそれがあり、先行シートの重ね合わせ精度が低下する。
そこで、態様1では、スキュー補正ローラ対11などのスキュー補正部材により先行シートをスイッチバック搬送路W3などの受け入れ部へ逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)するようにした。スキュー補正部材によりスキュー補正された先行シートの後端が、シート搬送経路と受け入れ部を通過するまでスキュー補正部材によりシートを正搬送(所定方向に搬送)した後、スキュー補正部材によりシートを逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)して受け入れ部へ搬送する。そして、シートの正搬送(所定方向の搬送)時のシート先端(以下、単に先端という)がシート補正部材の手前の位置にくるまでシートを逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)してシートの搬送を停止する。この停止した状態では、先行シートの正搬送(所定方向の搬送)時の後ろ側は受け入れ部内に位置し、シート搬送経路から退避している。よって後続のシートの先端が先行シートの正搬送(所定方向の搬送)時の後端に引っ掛って、搬送不良が生じるのを防止することができる。
また、上記一連の先行シートの搬送制御において、先行シートの先端が、逆搬送(所定方向とは逆方向の搬送)によってシート補正ローラ部材の手前の位置にくるまで、先行シートは、スキュー補正部材に挟まれた状態が維持される。これにより、先行シートにスキューがほとんど生じることなく先行シートの先端を、シート補正部材のニップの手前に位置させることができる。これにより、先行シートのスキュー補正を不要、または、先行シートのスキュー補正をするにしても、少しの撓み量でスキューが補正される。よって、後続のシート搬送を邪魔しないようスキュー補正時の先行シートの撓み量が制限されても、先行シートのスキューが生じないようにできる。これにより、先行のシートと後続のシートとを良好に重ね合わせることができる。
【0104】
(態様5)
態様4において、スキュー補正ローラ対11などのスキュー補正部材によりスキュー補正された複数のシートを重ねて折る折り機構を備えた。
これによれば、シートを重ね折りすることができる。
【0105】
(態様6)
態様5において、折り機構は、シートを搬送する第一搬送部材と、第一搬送部材よりもシート搬送方向下流側に配置された第二搬送部材(押し当てローラ14と第一正逆転ローラ13とで構成)と、シートに折り部を形成する折り部形成手段とを備え、第一搬送部材と前記第二搬送部材とに前記シートを挟持した状態で前記第二搬送部材により前記シートを逆方向に搬送して前記シートを撓ませ、前記シートの撓んだ部分を前記折り部形成手段に導入して前記シートを折るものであって、スキュー補正部材が、第一搬送部材または第二搬送部材である。
これによれば、折り処理の直前にスキュー補正を行うことができ、良好に折り処理を行うことができる。
【0106】
(態様7)
態様4乃至6いずれかにおいて、スイッチバック搬送路W3などの受け入れ部への所定方向とは逆方向の搬送後に、スキュー補正ローラ対11などのスキュー補正部材へ搬送され、スキュー補正部材によりスキュー補正された後続のシートと、受け入れ部へ搬送された先行のシートとを重ね合わせて搬送する。
これによれば、先行のシートと後続のシートとの間のスキューによる重ね合わせずれを抑制することができる。
【0107】
(態様8)
態様7において、先行のシートは、スキュー補正ローラ対11などのスキュー補正部材により挟まれた状態で待機している。
これによれば、先行のシートは、所定方向とは逆方向への搬送時にスキュー補正ローラ対11などのスキュー補正部材から抜けることがないため、スキューが生じない。よって、所定方向とは逆方向の搬送後に先行シートについて、スキュー補正部材に突き当ててスキュー補正をしなくてもよくなり、重ね合わせ処理の時間を短縮することが可能となり、生産性を高めることができる。
また、先行のシートと後続のシートとの間で、シート搬送方向に規定の重ね合わせずれを生じさせることができ、重ね折りの際に、各シートの折り部の位置が互いに異なってしまうのを抑制することができる。
【0108】
(態様9)
態様7において、先行のシートは、スキュー補正ローラ対11などのスキュー補正部材に突き当たって待機している。
これによれば、実施形態で説明したように、スキュー補正ローラ対などのスキュー補正部材に突き当たる後続のシートと先行のシートとの重ね合わせずれを良好に抑制することができる。
【0109】
(態様10)
態様4乃至9いずれかにおいて、搬入部Hからスキュー補正ローラ対11などのスキュー補正部材までの搬送経路長が、少なくとも本シート処理装置が処理可能なシート搬送方向の最大サイズよりも短い。
これによれば、上記搬送経路長が、本シート処理装置が処理可能なシート搬送方向の最大サイズよりも長いものに比べて、装置を小型化することができる。
【0110】
(態様11)
シートに画像を形成する画像形成装置2と、シートに所定の処理を施す折り処理装置1などのシート処理装置とを備えた画像形成システム4において、シート処理装置として、態様4乃至10いずれか一項に記載のシート処理装置を用いた。
これによれば、シートのスキューによる重ね合わせズレを抑制することができる。
【0111】
(態様12)
態様1乃至3、11いずれかにおいて、画像形成装置の内部には空間が形成されており、この空間に画像が形成されたシートが排出される胴内排紙部が設けられており、前記シート処理装置を、前記胴内排紙部に設置した。
これによれば、画像形成システムの小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0112】
1 :折り処理装置
2 :画像形成装置
3 :後処理装置
4 :画像形成システム
10 :搬入ローラ対
11 :スキュー補正ローラ対
12 :第一折りローラ
13 :第一正逆転ローラ
14 :押し当てローラ
15 :第二折りローラ
16 :第二正逆転ローラ対
17 :スイッチバック搬送ローラ対
18 :フィルム部材
20a :第一折り部形成手段
28 :ストッパ部材
29 :第二ストッパ部材
H :搬入部
L1 :シート搬送長
L2 :搬送経路長
N :矢印
W1 :スルー搬送路
W2 :分岐搬送路
W3 :スイッチバック搬送路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0113】