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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01L 1/00 20060101AFI20221201BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B01L1/00 A
C12M1/00 K
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018165293
(22)【出願日】2018-09-04
(65)【公開番号】P2020037077
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000114891
【氏名又は名称】ヤマト科学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 仁
(72)【発明者】
【氏名】中田 正仁
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-124291(JP,A)
【文献】特表2017-521226(JP,A)
【文献】特開平08-294638(JP,A)
【文献】特開2008-165298(JP,A)
【文献】特開2011-004613(JP,A)
【文献】特開2009-181222(JP,A)
【文献】特開2009-225742(JP,A)
【文献】特開2007-185595(JP,A)
【文献】特開2018-083151(JP,A)
【文献】特開平10-297165(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0052927(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 1/00-04
B25J 21/00-02
C12M 1/00
F24F 7/00
G06V 30/00-424
H01L 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業空間と前記作業空間に通じる開口部を有する本体部と、
前記本体部に設けられて前記本体部の前記開口部を開閉する開閉扉と、
前記開閉扉と対面させた状態で前記本体部に設置されたイメージスキャナとを備え、
前記イメージスキャナは、前記作業空間で行われる作業に関する前記開閉扉に記載された情報の内容を、前記開閉扉の開閉移動に伴って読み取ることを特徴とする処理装置。
【請求項2】
作業空間と前記作業空間に通じる開口部を有する本体部と、
前記本体部に設けられて前記本体部の前記開口部を開閉する開閉扉と、
前記開閉扉と対面させた状態で前記本体部に設置されたイメージスキャナと、
前記イメージスキャナを、前記本体部に対して移動可能にする移動操作部と、を備え、
前記移動操作部は、前記本体部において前記イメージスキャナを下降または上昇させることにより、前記イメージスキャナと前記開閉扉との相対的な移動を発生させ
前記イメージスキャナは、前記作業空間で行われる作業に関する前記開閉扉に記載された情報の内容を、前記開閉扉との相対的な移動に伴って読み取ることを特徴とする処理装置。
【請求項3】
作業空間と前記作業空間に通じる開口部を有する本体部と、
前記本体部に設けられて前記本体部の前記開口部を開閉する開閉扉と、
前記開閉扉と対面させた状態で前記本体部に設置されたイメージスキャナと、
前記イメージスキャナを、前記本体部に対して移動可能にする移動操作部と、を備え、
前記移動操作部は、前記本体部において前記イメージスキャナを横方向に移動させることにより、前記イメージスキャナと前記開閉扉との相対的な移動を発生させ
前記イメージスキャナは、前記作業空間で行われる作業に関する前記開閉扉に記載された情報の内容を、前記開閉扉との相対的な移動に伴って読み取ることを特徴とする処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば作業空間を用いて実験等の作業を行うヒュームフード等の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スキャナ付のホワイトボードが開示されている。ホワイトボートに書かれた内容は、例えばスキャナを移動することにより、読み込むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5130136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、作業者が、例えばヒュームフード等の処理装置を用いて、被処理物に所定の実験等の作業を行う場合には、実験等の作業上必要となる情報の内容や、作業上得られた情報の内容を書き残したいことがある。このような実験等の作業上必要となる情報の内容や、作業上得られた情報の内容は、別の机の上に置いてある紙に書いて残したり、あるいは処理装置の空いている枠部分に対して、直接ペンで走り書きをして残すしかない。
【0005】
このため、書き残した情報の内容は、作業者が作業の後に、コンピュータ等に入力してデジタル情報にする必要があるので、入力作業が面倒である。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、作業する際に、実験等の記録内容のような情報の内容を読み取って、情報の内容を簡単にデータとして残すことができる処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、本発明の処理装置は、
作業空間と前記作業空間に通じる開口部を有する本体部と、前記本体部に設けられて前記本体部の前記開口部を開閉する開閉扉と、前記開閉扉と対面させた状態で前記本体部に設置されたイメージスキャナとを備え、前記イメージスキャナは、前記作業空間で行われる作業に関する前記開閉扉に記載された情報の内容を、前記開閉扉の開閉移動に伴って読み取ることを特徴とする。
また、作業空間と前記作業空間に通じる開口部を有する本体部と、前記本体部に設けられて前記本体部の前記開口部を開閉する開閉扉と、前記開閉扉と対面させた状態で前記本体部に設置されたイメージスキャナと、前記イメージスキャナを、前記本体部に対して移動可能にする移動操作部と、を備え、前記移動操作部は、前記本体部において前記イメージスキャナを下降または上昇することにより、前記イメージスキャナと前記開閉扉との相対的な移動を発生させ、前記イメージスキャナは、前記作業空間で行われる作業に関する前記開閉扉に記載された情報の内容を、前記開閉扉との相対的な移動に伴って読み取ることを特徴とする。
さらに、作業空間と前記作業空間に通じる開口部を有する本体部と、前記本体部に設けられて前記本体部の前記開口部を開閉する開閉扉と、前記開閉扉と対面させた状態で前記本体部に設置されたイメージスキャナと、前記イメージスキャナを、前記本体部に対して移動可能にする移動操作部と、を備え、前記移動操作部は、前記本体部において前記イメージスキャナを横方向に移動することにより、前記イメージスキャナと前記開閉扉との相対的な移動を発生させ、前記イメージスキャナは、前記作業空間で行われる作業に関する前記開閉扉に記載された情報の内容を、前記開閉扉との相対的な移動に伴って読み取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、作業する際に、実験等の記録内容のような情報の内容を読み取って、情報の内容を簡単にデータとして残すことができる処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の処理装置の好ましい第1実施形態であるヒュームフードを示す正面図である。
図2図1に示すヒュームフードにおける内部構造例を示す縦方向の模式図である。
図3】ヒュームフードの電気的な構成例と示すブロック図である。
図4】情報読み取り部の光学部の構造例を示す斜視図である。
図5】情報読み取り部の光学部の別の構造例を示す斜視図である。
図6】本発明の第2実施形態の処理装置としてのヒュームフードを示す正面図である。
図7図6の示すヒュームフードの電気的な構成例と示すブロック図である。
図8】本発明の第3実施形態の処理装置としてのヒュームフードを示す正面図である。
図9】本発明の第4実施形態の処理装置としてのヒュームフードを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の処理装置の好ましい第1実施形態であるヒュームフード1を示す正面図である。図2は、図1に示すヒュームフード1における内部構造例を示す縦方向の模式図である。このヒュームフード1は、処理装置の一例である。
【0021】
本発明の処理装置の実施形態であるヒュームフード1では、作業者が、例えば化学実験等の作業が終了して、可動ガラス扉5をZ1方向に上げて、情報読み取り部50と可動ガラス扉5との相対的な移動を発生させる。これにより、情報読み取り部50が、可動ガラス扉5に作業者が作業中に書いた例えば実験等の記載内容のような情報の内容IFを、好ましくは光学的に非接触で読み取ることができるようになっている。
【0022】
図1図2に示すヒュームフード1は、研究者や実験者等の作業者が、被処理物としての例えば微生物等の試料の無菌操作作業や各種の化学実験作業等、器具類を用いて実験や処理作業を行うために用いられる。
【0023】
ヒュームフード1は、被処理物を外部に漏れないように封じ込めながら処理をするために、箱状の囲い部分である本体部2を有する。この本体部2はドラフト庫内19を有する。ドラフト庫内19の内部には、広い作業空間20が確保されている。被処理物を内部の作業空間20において処理する際に、作業者が被処理物の影響を受けないように、ドラフト庫内19は、作業空間20の雰囲気を外部から隔離する構造を有している。
【0024】
このヒュームフード1は、作業者を有害物質から保護することを目的とした局所排気装置である。作業空間20内における風量は好ましくは可変でき、作業空間20内は、標準風量領域だけでなく、好ましくは低風量領域においても、スムーズな換気を実現して、危険物質や有害物質の封じ込めることができる封じ込め性能を有している。このため、有害な雰囲気が、作業者の側に漏洩しない。
【0025】
特に、低風量型のヒュームフード1は、エネルギーコスト低減を目的として、少ないランニングコストで運転ができ、低風量型のヒュームフード1の排気風量は、一般的なヒュームフードの排気風量に比較して、例えば40~60%低減できる。ヒュームフード1内の作業空間20内に低風量ドラフトで空気を送ることで、通常の風量のドラフトを作業空間20内に送る場合に比べて、ヒュームフード1の作動時の省エネルギー化(エコ化)や、低騒音化を図ることができる。
【0026】
次に、図1図2を参照して、処理装置の好ましい実施形態としてのヒュームフード1の構造例を、さらに説明する。
【0027】
図1図2に示すヒュームフード1の本体部2は、長方形状の前面部3を有している。この前面部3には、長方形状の前面開口部(開口部の一例)4が設けられている。
【0028】
この前面開口部4には、開閉扉としての例えば長方形状の可動ガラス扉5と、例えば長方形状の固定ガラス部6が、設けられている。この可動ガラス扉5と固定ガラス部6は、前面開口部4内が見えるように透明板もしくは透光板であり、好ましくは強化ガラスを用いている。固定ガラス部6の面積は、可動ガラス扉5の面積に比べて小さく、固定ガラス部6は、本体部2に対してはめ込んで固定されていることで、前面開口部4の上部領域を閉じている。
【0029】
図1図2に示すように、可動ガラス扉5が最も下げられていて、前面開口部4のかなりの部分が閉鎖されている状態でも、可動ガラス扉5の上縁部分7は、固定ガラス部6の下縁部分8と重なっていることで、可動ガラス扉5と固定ガラス部6との間の接合部分の隙間を無くしている。可動ガラス扉5が最も下げられている状態では、前面開口部4における空気通路17の開口面積は最も小さくなる。
【0030】
図1図2に示すように、本体部2は、前面部3と、左右の側面12,13と、背面部14と、天井面15を有している。図1に示すように、可動ガラス扉5の左右の縁部分5A,5Bは、本体部2の前面部3のガラス案内部11A,11Bにおいて、Z方向(上下方向)に沿って、移動可能にはめ込まれている。可動ガラス扉5の下縁部分には、作業者が手で持って可動ガラス扉5を上げ下げするための把持部5Cが、設けられている。
【0031】
図2に示すように、可動ガラス扉5の上縁部分7には、吊線材9の一端部が固定されている。この吊線材9は、滑車9A,9Bにかかっており、吊線材9の他端部は、バランスウエイト9Cに固定されている。これにより、作業者が、この可動ガラス扉5の把持部5Cを持って、可動ガラス扉5を、バランスウエイト9Cとの釣り合いにより、スムーズにしかも容易にZ方向に上下移動させることができる。従って、作業者は、作業内容に応じて、可動ガラス扉5を、手動でZ1方向に上げることで、図1に示す前面開口部4の空気通路17の開口面積を任意に大きく拡げることができる。
【0032】
図1図2に示すように、本体部2の前面部3には、情報読み取り部50が配置されている。この情報読み取り部50は、好ましくは、ガラス案内部11A,11Bに対して、X方向に沿って水平に固定されている。情報読み取り部50の一端部は、一方のガラス案内部11Aに固定され、情報読み取り部50の他端部は、他方のガラス案内部11Bに固定されている。情報読み取り部50は、可動ガラス扉5の上縁部分7の付近において、本体部2に固定されている。
【0033】
情報読み取り部50は、可動ガラス扉5の表面側に例えば書かれた情報の内容を非接触で好ましくは光学的に読み取るためのイメージスキャナ装置である。作業者が可動ガラス扉5の把持部5Cを持って、可動ガラス扉5をZ1方向に持ち上げる際に、情報読み取り部50は、可動ガラス扉5の表面において既に記載されている情報の内容IF、例えば実験等の記録内容を、好ましくは光学的に非接触で読み取ることができる。
【0034】
この情報読み取り部50は、例えば作業者がヒュームフード1を用いて被処理物の処理を行っている際に、可動ガラス扉5の表面に、例えばペンで書き残した例えば実験等の記録内容の文字やイラスト等の情報の内容IFを、直接光学的に非接触で直接読み取る。そして、情報読み取り部50は、読み取った情報の内容IFをデジタルの画像データとして取り込んで、この画像データをコンピュータに転送する装置である。情報読み取り部50の構造例は、後で説明する。
【0035】
ヒュームフード1の説明に戻ると、図1に示すように、ヒュームフード1の本体部2は、例えば浄化装置16に接続されている。この浄化装置16は、例えば排気用のファンと、空気から微粒子を除去する例えばHEPAフィルタ(高性能フィルタ)等を備え、作業空間20内の空気を清浄化して排気し続けるようになっている。
【0036】
これにより、例えば低風量の空気は、図2に示す前面開口部4の下部に形成されている空気通路17を通じて、本体部2の内部の作業空間20に入る。そして、作業空間20内の空気は、作業空間20内にある封じ込めるべき物質を含む雰囲気とともに、作業空間20の背面側の排気孔20Hを通じて背部通路20Fに入り、背部通路20Fから浄化装置16のHEPAフィルタに通してろ過された後に、外部に排気されるようになっている。
【0037】
図1図2に示すように、本体部2のドラフト庫内19は、作業空間20を有している。この作業空間20は作業面21を有している。ドラフト庫内19の作業空間20は、本体部2の左右幅方向(X方向)に沿って形成され、しかも図2に示すように、本体部2の前後幅方向(Y方向)に沿って形成され、Z方向に沿って形成されているほぼ直方体形状の閉鎖空間である。図2に示すように、作業空間20の作業面21は、作業空間20の底部を形成している。
【0038】
この作業面21の高さ位置は、作業者が作業用の椅子に座った状態で、前面開口部4の空気通路17を通じて、手を入れて、作業空間20内で所定の作業ができるように設定されている。また、本体部2の下部には、空間部SPが設けられている。この空間部SPには、作業用の椅子に座った作業者の膝を入れることができる。本体部2には、電源コンセント102等が設けられている。
【0039】
次に、図1から図3を参照して、上述した情報読み取り部50について、さらに説明する。図3は、ヒュームフード1の電気的な構成例と示すブロック図である。
【0040】
図3に示すように、ヒュームフード1は、制御部100を備えている。制御部100は、図1に示す浄化装置16のファンモータ16Fに電気的に接続されており、このファンモータ16Fを駆動制御する。制御部100は、電源スイッチ101や電源コンセント102に電気的に接続されている。
【0041】
制御部100は、情報管理用のコンピュータ110に電気的に接続されている。コンピュータ110は、制御部100側に各種の情報の内容を供給したり、制御部100側からの情報の内容等を記憶することができる。その他、制御部100は、情報記憶媒体120を接続する情報記憶媒体接続部130や、スピーカ等の音声発生部140に電気的に接続されている。情報記憶媒体120としては、例えばUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)や、SDメモリーカード等であるが、特に限定されない。
【0042】
図3に示すように、可動ガラス扉5の把持部5Cの付近には、可動ガラス扉の上昇動作開始検出センサ150が配置されている。この可動ガラス扉の上昇動作開始検出センサ150は、作業者が手動で可動ガラス扉5をZ1方向に持ち上げる動作を開始するタイミングを検出する。この可動ガラス扉の上昇動作開始検出センサ150は、例えば光学式で可動ガラス扉5の上昇開始を検出して、検出したことは制御部100に通知する。
【0043】
なお、開閉扉である可動ガラス扉5は、サッシとも呼ぶことができ、ヒュームフード1は、情報読み取り部50が配置されたサッシスキャン機能付きヒュームフードとも呼ぶことができる。
【0044】
図1から図3に示す情報読み取り部50は、すでに説明したように、可動ガラス扉5の上縁部分7の付近において、本体部2に固定されており、この情報読み取り部50は、可動ガラス扉5をZ1方向に持ち上げると、可動ガラス扉5の表面に既に記載されている例えば実験等の記録内容のような情報の内容IFを、情報読み取り部50と可動ガラス扉5との相対的な移動(走査)により、好ましくは光学的に非接触で読み取るようになっている。
【0045】
図1図3に示すように、情報読み取り部50は、本体51と、この本体51の裏面に配置された光学部52を有している。本体51は、X方向(水平方向)に沿って配置されたケースであり、光学部52は、本体51の裏面において、可動ガラス扉5の表面5Fに対面するように、X方向に沿って取り付けられている。
【0046】
情報読み取り部50の光学部52の構造例は、図4図5に示している。図4図5は、それぞれ情報読み取り部50の光学部52の異なる構造例を示す斜視図である。
【0047】
図4に示す光学部52の構造例では、本体51に収容されている光学部52は、光源53と、センサ部54を有している。光源53とセンサ部54は、X方向に沿って長尺上に形成されており、可動ガラス扉5の表面5Fに所定の距離をおいて対面している。
【0048】
光源53は、例えば複数のLED(発光ダイオード)をX方向に配列させたLEDアレイであり、センサ部54は、例えば複数のCMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサのアレイであるが、特に限定されない。光源53とセンサ部54のX方向の長さは、可動ガラス扉5の表面5FのX方向の長さに対応している。
【0049】
例えば、作業者が、可動ガラス扉5を手動でZ1方向に持ち上げると、図3に示す可動ガラス扉の上昇動作開始検出センサ150は、例えば光学式で可動ガラス扉5の上昇開始を検出して、検出したことは制御部100に通知する。
【0050】
これにより、図3に示す制御部100は、可動ガラス扉の上昇動作開始検出センサ150からの検出通知により、光源53を点灯させる。図4に示す光源53が発する光Lは、可動ガラス扉5の表面5Fに照射されて、戻り光Rとして反射される。戻り光Rは、可動ガラス扉5の表面5Fに、ペンで書き残した文字やイラスト等の例えば実験等の記載内容のような情報の内容IFを含み、この戻り光Rはセンサ部54で受光される。
【0051】
センサ部54は、ペンで書き残した文字やイラスト等の例えば実験等の記載内容のような情報の内容IFを、制御部100にデジタルの画像データとして取り込む。取り込んだこの画像データは、図3に示す制御部100を介してコンピュータ110のメモリ110Mや、情報記憶媒体120に記憶される。
【0052】
また、図5に示す情報読み取り部50の光学部52の別の構造例では、本体51に収容されている光学部52は、光源53と、センサ部55Aを有している。光源53は、X方向に沿って、可動ガラス扉5の表面5Fに所定の距離をおいて対面している。光源53は、例えば複数のLEDをX方向に配列させたLEDアレイである。一方、センサ部55Aは、例えば1つのCMOSイメージセンサである。このセンサ部55Aは、例えばワイヤ57に接続されている。モータ56がワイヤ57をX2方向に移動させることで、センサ部55Aは、光源53に対面しながらX方向に沿ってスライドされるようになっている。
【0053】
例えば、作業者が、手動で可動ガラス扉5をZ1方向に持ち上げると、図3に示す可動ガラス扉の上昇動作開始検出センサ150は、例えば光学式で可動ガラス扉5の上昇開始を検出して、検出したことは制御部100に通知する。
【0054】
これにより、制御部100は、可動ガラス扉の上昇動作開始検出センサ150からの検出の通知により、光源53を点灯させる。光源53が発する光Lは、可動ガラス扉5の表面5Fに照射されて、戻り光Rとして反射される。戻り光Rは、可動ガラス扉5の表面5Fに、ペンで書き残した文字やイラスト等の例えば実験等の記載内容のような情報の内容IFを含み、この戻り光RはX方向に高速で移動するセンサ部55Aで受光される。
【0055】
センサ部55Aは、ペンで書き残した文字やイラスト等の例えば実験等の記載内容のような情報の内容IFを、制御部100にデジタルの画像データとして取り込む。取り込んだこの画像データは、図3に示す制御部100を介してコンピュータ110のメモリ110Mや、情報記憶媒体120に記憶される。
【0056】
図3に示す可動ガラス扉の上昇動作開始検出センサ150は、可動ガラス扉5の上昇開始を検出したことを制御部100に通知すると、制御部100は、光源53を点灯させるので、それ以外では光源53は消灯している。このため、光源53は常時点灯していないので、ヒュームフード1の省エネルギー化を図ることができる。
【0057】
なお、図3に示す音声発生部140は、制御部100の指令により、例えば情報読み取り部50が、可動ガラス扉5の表面に既に記載されている例えば実験等の記載内容のような情報の内容IFを、光学的に読み取り開始する際と、読み取り完了の際に、それぞれ「読み取り開始します」と、「読み取り完了しました」の音声コメントを、作業者に発することができる。これにより、作業者は、情報の内容IFが読み取れたことを、音声で確認することができる。
【0058】
このように、ヒュームフード1を用いて被処理物の処理作業をしている際に、作業者が可動ガラス扉5を利用して可動ガラス扉5に、例えば実験等の記載内容のような情報の内容IFをペンで書き込むことができる。
【0059】
そして、作業者が、例えば作業が終了して、可動ガラス扉5をZ1方向に上げて、情報読み取り部50と可動ガラス扉5との相対的な移動を発生させることで、情報読み取り部50が例えば実験等の記載内容のような情報の内容IFを、好ましくは光学的に非接触で読み取ることができる。
【0060】
このため、作業者が、作業を行っている間あるいは、作業を行った後に、例えば実験等の記載内容のような情報の内容IFは、制御部100にデジタルの画像データとして取り込んで、この画像データは、図3に示す制御部100を介してコンピュータ110のメモリ110Mや、情報記憶媒体120に簡単に残すことができる。
【0061】
次に、本発明の他の実施形態を説明するが、他の実施形態の個所と、上述した第1実施形態の個所が同様の構成要素である場合には、同じ符号を付けて、その説明を省略する。
【0062】
(第2実施形態)
図6図7を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
【0063】
図6は、本発明の第2実施形態の処理装置としてのヒュームフード1Aを示す正面図であり、図7は、図6の示すヒュームフード1Aの電気的な構成例と示すブロック図である。
【0064】
図6図7に示すヒュームフード1Aが、図1から図5に示す第1実施形態のヒュームフード1と異なるのは、情報読み取り部250の構造である。
【0065】
図1から図3に示す情報読み取り部50は、ヒュームフード1の本体部2に対して直接固定されている。このため、作業者が可動ガラス扉5を利用して可動ガラス扉5に書いた例えば実験等の記載内容のような情報の内容IFを、作業者が可動ガラス扉5をZ1方向に持ち上げることで、情報読み取り部50と可動ガラス扉5との相対的な移動を発生させて、情報読み取り部50が好ましくは光学的に非接触で読み取っている。
【0066】
これに対して、図6図7に示すこの情報読み取り部250は、ヒュームフード1Aの本体部2に対して、上下方向であるZ方向に沿って自動的に移動可能になっている。本体部2の可動ガラス扉5は、Z1方向には上げずに前面開口部4をほぼ閉めたままで、情報読み取り部250を、Z2方向に下げて走査させることで、情報読み取り部250と可動ガラス扉5との相対的な移動を発生させる。このため、情報読み取り部250が、可動ガラス扉5に既に記載された例えば実験等の記載内容のような情報の内容IFを、好ましくは光学的に非接触で読み取るようになっている。
【0067】
図6図7に示すように、情報読み取り部250の本体51と光学部52の構造は、図1から図3に示す情報読み取り部50の本体51と光学部52の構造と、実質的に同じである。情報読み取り部250は、本体51と、この本体51の裏面に配置された光学部52を有している。本体51は、X方向に沿って配置されたケースであり、光学部52は、本体51の裏面において、可動ガラス扉5の表面5Fに対面するように、X方向に沿って取り付けられている。
【0068】
情報読み取り部250は、左右に位置された移動操作部260を備える。移動操作部260は、情報読み取り部250を、上側の待機位置P1から下側の読み取り終了位置P2まで、Z2方向に移動して走査させることで、情報読み取り部250と、閉めたままの可動ガラス扉5との相対的な移動を生じさせる。
【0069】
図7に示すように、左右の移動操作部260,260は、2つの送りねじ261,262と、2つの電動モータ271,272と、2つのナット281,282を有している。送りねじ261,262は、本体部2の左右の側面12,13にそれぞれ平行に配置されている。電動モータ271,272は、左右の側面12,13にそれぞれ固定されており、電動モータ271,272の出力軸は、送りねじ261,262の一端部にそれぞれ連結されている。送りねじ261,262の他端部は、受け部291,292に回転可能に保持されている。受け部291,292は、本体部2の左右の側面12,13にそれぞれ固定されている。
【0070】
情報読み取り部250の本体51には、2つのナット281,282が内蔵されている。これらのナット281,282は、送りねじ261,262にそれぞれかみ合っている。
【0071】
これにより、電動モータ271,272が制御部100の指令により駆動されて、送りねじ261,262は、同じ方向に回転することで、移動操作部260,260は、情報読み取り部250を、待機位置P1から読み取り終了位置P2まで、Z2方向に同期して下降移動させることで、情報読み取り部250と可動ガラス扉5との相対的な移動による走査を行うことができる。
【0072】
情報読み取り部250が、待機位置P1から読み取り終了位置P2まで、Z2方向に同期して下降移動することで、可動ガラス扉5に書いた情報等の内容IFを、好ましくは光学的に非接触で読み取って、制御部100にデジタルの画像データとして取り込む。この画像データは、図3に示す制御部100を介してコンピュータ110のメモリ110Mや、情報記憶媒体120に簡単に残すことができる。
【0073】
しかも、可動ガラス扉5に書いた情報等の内容IFを読み取る際には、移動操作部260は、情報読み取り部50を、待機位置P1から読み取り終了位置P2まで、Z2方向に下降移動させるので、開閉扉としての可動ガラス扉5は、手動で持ち上げる必要がないので、前面開口部4を開けないで済む。このため、前面開口部4はほぼ閉じたままであるので、本体部2の作業空間20内の雰囲気を保つことができる。
【0074】
(第3実施形態)
次に、図8を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
【0075】
図8は、本発明の第3実施形態の処理装置としてのヒュームフード1Bを示す正面図である。
【0076】
図8に示すヒュームフード1Bが、図6図7に示すヒュームフード1Aと異なるのは、情報読み取り部250の待機位置P1が、本体部2において、可動ガラス扉5よりも下側に位置され、読み取り終了位置P2が、可動ガラス扉5の位置よりも上側に位置されていることである。
【0077】
情報読み取り部250は、移動操作部260を備える。この移動操作部260は、情報読み取り部250を、待機位置P1から読み取り終了位置P2まで、Z1方向に上げて移動させることで、情報読み取り部250と閉めたままの可動ガラス扉5との相対的な移動を生じさせる。
【0078】
これにより、電動モータ271,272が制御部の指令により駆動されると、送りねじ261,262は、同じ方向に回転することで、移動操作部260は、情報読み取り部250を、待機位置P1から読み取り終了位置P2まで、Z1方向に同期して上昇移動させることで走査して、情報読み取り部250と閉めたままの可動ガラス扉5との相対的な移動を行うことができる。
【0079】
しかも、可動ガラス扉5に書いた情報等の内容IFを読み取る際には、移動操作部260は、情報読み取り部250を、待機位置P1から読み取り終了位置P2まで、Z1方向に上昇移動させるので、開閉扉としての可動ガラス扉5は、手動で持ち上げる必要がないので、前面開口部を開けないで済む。このため、前面開口部はほぼ閉じたままであるので、本体部2の作業空間20内の雰囲気を保つことができる。
【0080】
(第4実施形態)
次に、図9を参照して、本発明の第4実施形態を説明する。
【0081】
図9は、本発明の第4実施形態の処理装置としてのヒュームフード1Cを示す正面図である。
【0082】
図9に示すヒュームフード1Cが、図6図7に示すヒュームフード1Aと異なるのは、情報読み取り部250の待機位置P1が、例えば、本体部2において、可動ガラス扉5の左側に位置され、読み取り終了位置P2が、可動ガラス扉5の右側に位置されていることである。情報読み取り部250は、移動操作部260を備える。この移動操作部260は、情報読み取り部250を、待機位置P1から読み取り終了位置P2まで、X1方向に水平移動させることで走査して、情報読み取り部250と閉めたままの可動ガラス扉5との相対的な移動を生じさせる。
【0083】
これにより、電動モータ271,272が制御部の指令により駆動されると、送りねじ261,262は、同じ方向に回転することで、移動操作部260は、情報読み取り部50を、待機位置P1から読み取り終了位置P2まで、X1方向に横移動させることで走査して、情報読み取り部250と閉めたままの可動ガラス扉5との相対的な移動を行うことができる。
【0084】
しかも、可動ガラス扉5に書いた情報等の内容IFを読み取る際には、移動操作部260は、情報読み取り部250を、待機位置P1から読み取り終了位置P2まで、X1方向に横移動させるので、開閉扉としての可動ガラス扉5は、手動で持ち上げる必要がないので、前面開口部を開けないで済む。このため、前面開口部はほぼ閉じたままであるので、本体部2の作業空間20内の雰囲気を保つことができる。
【0085】
以上説明したように、本発明の実施形態の処理装置としてのヒュームフード1(1A,1B,1C)は、作業空間20と作業空間20に通じる開口部としての前面開口部4を有する本体部2と、本体部2に設けられて本体部2の前面開口部4を開閉する開閉扉としての可動ガラス扉5と、可動ガラス扉5との相対的な移動により、例えば作業者により可動ガラス扉5に書かれた情報の内容IFを読み取る情報読み取り部50(250)を備える。
【0086】
これにより、情報読み取り部50(250)は、可動ガラス扉5との相対的な移動により、可動ガラス扉5にある情報の内容IFを直接読み取ることができる。このため、作業者が作業する際に、情報読み取り部50(250)は、例えば可動ガラス扉5に書かれた実験等の記録内容のような情報の内容IFを読み取って、情報の内容IFを簡単にデータとして残すことができる。
【0087】
情報読み取り部50は本体部2に固定され、可動ガラス扉5を移動させて前面開口部4を開ける際に、情報読み取り部50と可動ガラス扉5との相対的な移動により、情報読み取り部50が、可動ガラス扉5にある情報の内容IFを読み取る。これにより、作業者が可動ガラス扉5を移動させて情報読み取り部50と可動ガラス扉5との相対的な移動をするだけで、情報読み取り部50は、例えば可動ガラス扉5に書かれた実験等の記録内容のような情報の内容IFを読み取って、情報の内容IFを簡単にデータとして残すことができる。
【0088】
情報読み取り部250を、本体部2に対して移動可能にする移動操作部260を備え、移動操作部260は、情報読み取り部250を、本体部2において移動して情報読み取り部50と可動ガラス扉5との相対的な移動を発生させることにより、情報読み取り部50が、可動ガラス扉5にある情報の内容IFを読み取る。これにより、移動操作部260は、情報読み取り部250を本体部2において移動して、情報読み取り部250と可動ガラス扉5との相対的な移動を発生させる。このため、情報読み取り部250は、例えば可動ガラス扉5に書かれた実験等の記録内容のような情報の内容IFを読み取って、情報の内容IFを簡単にデータとして残すことができる。しかも、可動ガラス扉5は、前面開口部4を開けないで済む。このため、前面開口部4は、作業空間20内の雰囲気を保つことができる。
【0089】
移動操作部260は、本体部2において情報読み取り部250を下降または上昇することにより、情報読み取り部250を、情報読み取り部250と可動ガラス扉5との相対的な移動を発生させる。これにより、移動操作部260は、本体部2において情報読み取り部250を下降または上昇するだけで、情報読み取り部250は、例えば可動ガラス扉5に書かれた実験等の記録内容のような情報の内容IFを読み取って、情報の内容IFを簡単にデータとして残すことができる。しかも、可動ガラス扉5は、前面開口部4を開けないで済む。このため、前面開口部4は、作業空間20内の雰囲気を保つことができる。
【0090】
移動操作部260は、本体部2において情報読み取り部250を横方向に移動することにより、情報読み取り部250を、情報読み取り部250と可動ガラス扉5との相対的な移動を発生させる。これにより、移動操作部260は、本体部2において情報読み取り部250を横方向に移動する。このため、情報読み取り部250は、例えば可動ガラス扉5に書かれた実験等の記録内容のような情報の内容IFを読み取って、情報の内容IFを簡単にデータとして残すことができる。しかも、可動ガラス扉5は、前面開口部4を開けないで済む。このため、前面開口部4は、作業空間20内の雰囲気を保つことができる。
【0091】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、各実施形態は一例であり、特許請求の範囲に記載される発明の範囲は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更できるものである。
【0092】
例えば、図6から図9に示すヒュームフード1A,1B,1Cでは、2つの電動モータ271,272と、2つの送りねじ261,262を用いているが、例えば1つの電動モータ272と1つの送りねじ262は用いずに、例えば1つの送りねじ262は本体部51をZ1,Z2方向に案内するための例えば棒状のガイドバーに代えてもよい。これにより、ヒュームフードの構造の簡素化とコストダウンが図れる。
【0093】
本発明の処理装置の実施形態としては、低風量のヒューフードの他に、通常の風量のヒュームフードであってもよく、他の種類の封じ込め装置等の各種の機器であってもよい。本発明の実施形態の処理装置は、被処理物を処理するための各種の装置を含む。
【0094】
本発明の処理装置は、上述したヒュームフードの他の種類の装置、例えばドラフトチャンバー、クリーンベンチ、安全キャビネット、そして局所排気装置等の各種の異なる構造、(例えば、風向、風量、陰圧、陽圧等の動作条件が異なる構造)の装置であっても構わない。
【符号の説明】
【0095】
1 ヒュームフード(処理装置の一例)
2 本体部
3 前面部
4 前面開口部(開口部)
5 可動ガラス扉(開閉扉の例)
6 固定ガラス部
20 作業空間
50 情報読み取り部
51 本体
52 光学部
53 光源
54 センサ部
55 センサ部
50 情報読み取り部
250 情報読み取り部
260 移動操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9