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特許7186056袋用ラミネートフィルム及びその製造方法
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  • 特許-袋用ラミネートフィルム及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】袋用ラミネートフィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20221201BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B65D65/40 D BRH
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018195239
(22)【出願日】2018-10-16
(65)【公開番号】P2020062786
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(72)【発明者】
【氏名】森 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】阿部 光修
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-520908(JP,A)
【文献】特開平02-070433(JP,A)
【文献】特開2008-155527(JP,A)
【文献】特開2007-326630(JP,A)
【文献】特開2014-227179(JP,A)
【文献】特開2019-189334(JP,A)
【文献】特表2003-535175(JP,A)
【文献】特表2000-504771(JP,A)
【文献】特開2003-236939(JP,A)
【文献】特開2007-136736(JP,A)
【文献】特開2007-137438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
B29C 55/00-55/30
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直鎖状低密度ポリエチレンからなる第1フィルムと、
前記第1フィルムより延伸倍率が高い高密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンからなる第2フィルムと、
前記第1フィルムと第2フィルムどうし間に介在された無溶剤接着剤層と、
を備え、前記第1フィルムには酸化チタンからなる白色着色剤が添加されており、前記白色着色剤の添加量が、前記第1フィルムの前記直鎖状低密度ポリエチレンに対して0.5質量%~10質量%であることを特徴とする袋用ラミネートフィルム。
【請求項2】
前記第2フィルムの縦方向延伸倍率が、2倍~6倍であることを特徴とする請求項1に記載の袋用ラミネートフィルム。
【請求項3】
前記第1、第2フィルムの何れかに印刷層が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の袋用ラミネートフィルム。
【請求項4】
前記第1フィルムと前記第2フィルムの間に第3フィルムが介在されており、
前記第3フィルムが、前記第1フィルムより延伸倍率が高いポリエチレンからなる基層と、前記基層に積層された金属蒸着層とを含み、
前記第1フィルムと前記第3フィルムとの間、及び前記第3フィルムと前記第2フィルムとの間に、それぞれ無溶剤接着剤層が介在されていることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の袋用ラミネートフィルム。
【請求項5】
直鎖状低密度ポリエチレンからなる第1フィルムと、前記第1フィルムより延伸倍率が高い高密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンからなる第2フィルムとを、無溶剤接着剤を介して貼り合わせ、前記第1フィルムには酸化チタンからなる白色着色剤が添加されており、前記白色着色剤の添加量が前記第1フィルムの前記直鎖状低密度ポリエチレンに対して0.5質量%~10質量%であることを特徴とする袋用ラミネートフィルムの製造方法。
【請求項6】
前記第2フィルムの縦方向延伸倍率が、2倍~6倍であることを特徴とする請求項に記載の袋用ラミネートフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種収容物を収容する袋用のラミネートフィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のラミネートフィルムは、例えばポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルムなどの互いに異種材質のフィルムをラミネートした構造になっている。
特許文献1には、複数のポリエチレンフィルムを積層してなる、ポリエチレン単体のラミネートフィルムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-511504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
異種材質フィルムのラミネートフィルムからなる袋は、ゴミとして回収された後に材質ごとに分けるのが容易でなく、リサイクル性が低い。
これに対し、特許文献1のラミネートフィルムにおいてはポリエチレンだけで構成されているために、リサイクルが容易である。一方、ポリエチレンは耐熱性が低く、ラミネート時やヒートシール時に熱損傷を来しやすい。
本発明は、かかる事情に鑑み、袋用ラミネートフィルムにおけるリサイクル性を確保するとともに耐熱性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明に係る袋用ラミネートフィルムは、
直鎖状低密度ポリエチレンからなる第1フィルムと、
前記第1フィルムより延伸倍率が高い高密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンからなる第2フィルムと、
前記第1フィルムと第2フィルムどうし間に介在された無溶剤接着剤層と、
を備えたことを特徴とする。
本発明に係る袋用ラミネートフィルムの製造方法は、直鎖状低密度ポリエチレンからなる第1フィルムと、前記第1フィルムより延伸倍率が高い高密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンからなる第2フィルムとを、無溶剤接着剤を介して貼り合わせることを特徴とする。
【0006】
無溶剤接着剤を用いることによって、第1フィルムと第2フィルムのラミネート時に加熱する必要が無く熱損傷を来すことが無い。
第2フィルムは、高延伸ポリエチレンとすることによって、高融点となり、耐熱性が向上する。したがって、製袋時のヒートシールによる第2フィルムの熱損傷が抑制又は防止される。加えて、高延伸の第2フィルムは、耐張力性が高い。したがって、ラミネート時及び製袋時におけるフィルム搬送のための張力によって第2フィルムが伸び変形するのが抑制される。この結果、製袋時においては、製袋ピッチすなわち袋用ラミネートフィルムから個々の袋を切り出すべき間隔が安定し、製袋加工適性が向上する。
【0007】
前記第2フィルムの縦方向延伸倍率が、2倍~6倍であることが好ましい。
前記第1、第2フィルムの何れかには印刷層が設けられていることが好ましい。前記第2フィルムに印刷層が設けられていることが、より好ましい。
前記第1フィルムに白色着色剤が添加されていることが好ましい。
前記第1フィルムと前記第2フィルムの間に第3フィルムが介在されており、前記第3フィルムが、前記第1フィルムより延伸倍率が高いポリエチレンからなる基層と、前記基層に積層された金属蒸着層とを含み、
前記第1フィルムと前記第3フィルムとの間、及び前記第3フィルムと前記第2フィルムとの間に、それぞれ無溶剤接着剤層が介在されていてもよい。
【0008】
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、密度910kg/m~925kg/m程度のポリエチレンを言う。低密度ポリエチレンの融点は、95℃~130℃程度である。
高密度ポリエチレン(HDPE)は、密度942kg/m~970kg/m程度のポリエチレンを言う。高密度ポリエチレンの融点は120℃~140℃程度である。第2フィルムの高密度ポリエチレンにおいては更に延伸倍率を高くすることによって、高融点となり、かつ剛性が高まる。
前記袋用ラミネートフィルムからなる袋において、第2フィルムが外側フィルムとなり、第1フィルムが内側フィルムとなることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、袋用ラミネートフィルムにおけるリサイクル性を確保できるとともに耐熱性を高めることができる。また、製袋適性や印刷適性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る袋用ラミネートフィルムの断面図である。
図2図2(a)及び同図(b)は、前記袋用ラミネートフィルムの製造装置を模式的に示す解説図である。
図3図3は、本発明の第2実施形態に係る袋用ラミネートフィルムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態>
袋用ラミネートフィルムは、例えばシャンプー、洗剤などの詰め替え袋、菓子、レトルト食品などの食品収容袋、その他各種袋を構成するフィルムとして用いられる。
図1に示すように、袋用ラミネートフィルム10は、第1フィルム11と、第2フィルム12と、無溶剤接着剤層14を含む。
好ましくは、第1フィルム11が袋の内面側に向けられ、第2フィルム12が袋の外面側に向けられる。
【0012】
第1フィルム11は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)によって構成されている。
第1フィルム11の縦方向延伸倍率は、好ましくは1倍~2倍である。
第1フィルム11の横方向延伸倍率は、好ましくは1倍~3倍である。
さらに第1フィルム11には、白色着色剤が添加されていてもよい。白色着色剤の成分としては、酸化チタンなどが挙げられる。
白色着色剤の添加量は、第1フィルム11のLLDPEに対して0.5質量%~10質量%程度が好ましい。
前記白色着色剤は省略してもよい。
第1フィルムの原料は、石油由来の樹脂でも植物由来の樹脂でもよく、それらの共重合体でもよく、それらのブレンド物でもよい。
【0013】
第2フィルム12は、高延伸の高密度ポリエチレン(HDPE)又は高延伸の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)によって構成されている。
第2フィルム12の延伸倍率は、第1フィルム11の延伸倍率より高い。好ましくは、第2フィルム12の縦方向延伸倍率が、第1フィルム11の縦方向延伸倍率より高い。
第2フィルム12の縦方向延伸倍率は、好ましくは2倍~6倍である。
第2フィルム12の横方向延伸倍率は、好ましくは0.8倍~1倍である。
第2フィルム12の厚さは、第1フィルム11の厚さより大きくてもよい。
第2フィルムの原料は、石油由来の樹脂でも植物由来の樹脂でもよく、それらの共重合体でもよく、それらのブレンド物でもよい。
【0014】
第1フィルム11と第2フィルム12どうし間に無溶剤接着剤層14が介在されている。無溶剤接着剤層14を介して、フィルム11,12どうしが接着されている。
無溶剤接着剤は、溶剤無しで何れかのフィルム11,12の対向面に塗布されたものである。好ましくは、無溶剤接着剤は、第2フィルム12に塗布されている。
無溶剤接着剤は、ウレタン系接着剤でもよく、エポキシ系接着剤でもよく、シリコーン系接着剤でもよい。
無溶剤接着剤の分子量は、粘度を下げる観点からはドライラミネート用の接着剤の分子量よりも小さいことが好ましい。
無溶剤接着剤層14の厚さは、フィルム11,12の厚さより十分に小さい。
【0015】
さらに、第2フィルム12における第1フィルム11との対向面には、印刷層15が設けられている。印刷層15によって、絵柄、商品名、ロゴマーク、商品説明などが表されている。
印刷層15は、第2フィルム12における第1フィルム11とは反対側の面に形成されていてもよい。
前記印刷層15は省略してもよい。
【0016】
袋用ラミネートフィルム10は、例えば次のようにして製造される。
図2(a)に示すように、第1フィルム11は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を原料として、フィルム押出成形機21によって押出成形される。押出成形後の第1フィルム11が巻取機25によってロール状に巻き取られる。原料の直鎖状低密度ポリエチレンには、白色着色剤が添加されていてもよい。
第2フィルム12は、高密度ポリエチレン(HDPE)又は直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を原料として、フィルム押出成形機22によって押出成形される。押出成形後の第2フィルム12が、延伸機24によって所定の高延伸倍率になるまで延伸され、さらに巻取機26によってロール状に巻き取られる。
延伸させることで、ポリエチレンフィルムの結晶構造が変わり、更に高融点となる。
【0017】
図2(b)に示すように、これらフィルム11,12のロールがそれぞれ無溶剤ラミネート装置30の繰出機31,32にセットされる。
繰出機32から第2フィルム12が繰り出され、印刷機33によって印刷層15が形成される。なお、第2フィルム12にあらかじめ印刷層15を形成したうえで、該第2フィルム12を無溶剤ラミネート装置30にセットしてもよく、繰出機32の後段の印刷機33を省略してもよい。
【0018】
続いて、塗工機34によって第2フィルム12に無溶剤接着剤が塗布され、無溶剤接着剤層14が形成される。無溶剤接着剤は、溶剤で希釈されていない。
【0019】
塗布後の第2フィルム12がラミネート機35へ送られる。接着層14には溶剤が含まれていないから、塗工機34からラミネート機35までの間において、溶剤を蒸発させるための加熱処理が不要である。したがって、第2フィルム12が熱損傷を受けるのを回避できる。
さらに、高延伸ポリエチレンからなる第2フィルム12は、耐張力性が高いから、搬送のための張力がかかっても伸び変形を来すのを抑制できる。したがって、印刷層15の変形やずれが起きるのを抑制できる。
【0020】
併行して、繰出機31から第1フィルム11が繰り出され、ラミネート機35へ送られる。
ラミネート機35において、第2フィルム12における無溶剤接着剤層14の塗布面に第1フィルム11が貼り合わされてラミネートされる。なお、第1フィルム11と第2フィルム12を逆にして、第1フィルム11に無溶剤接着剤を塗布し、その塗布面に第2フィルム12を貼り合わせてもよい。
これによって、袋用ラミネートフィルム10が作成される。袋用ラミネートフィルム10は、巻取機26によってロール状に巻き取られる。
袋用ラミネートフィルム10のうち特に第2フィルム12は、高延伸倍率のHDPE又はLLDPEによって構成されているため、融点が比較的高く、耐熱性が高い。
【0021】
前記袋用ラミネートフィルム10から袋が作成される。
第1フィルム11が袋の内面側となり、第2フィルム12が袋の外面側となるように向けられる。
袋用ラミネートフィルム10を袋状に折り曲げたり、2枚の袋用ラミネートフィルム10を重ねたりして、対向する縁どうしをヒートシールする。これによって、前記対向する縁の第1フィルム11どうしが溶融されて接合され、袋が作成される。
一方、外面側の第2フィルム12は耐熱性が高いから、前記ヒートシールによって第2フィルム12が熱損傷を受けるのを防止できる。
更に、高延伸度の第2フィルム12は耐張力性が高いから、製袋時におけるフィルム搬送のための張力によって袋用ラミネートフィルム10が伸び変形を来すのを抑制できる。この結果、製袋ピッチや印刷ピッチが安定し、製袋加工適性を向上させることができる。
【0022】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態>
図3に示すように、第2実施形態の袋用ラミネートフィルム10Bは、第1フィルム11と、第2フィルム12と、第3フィルム13を有し、3層フィルム構造になっている。第1フィルム11及び第2フィルム12の構造、材質及び物性は、第1実施形態と同様である。第1フィルム11には白色着色剤が添加されていてもよい。第2フィルム12の印刷層15は省略してもよい。
【0023】
第1フィルム11と第2フィルム12の間に第3フィルム13が介在されている。第3フィルム13は、基層13aと、アルミ蒸着層13b(金属蒸着層)とを含む。基層13aは、第1フィルム11より延伸倍率が高いポリエチレン(PE)からなる。基層13aは、高延伸倍率であれば、高密度ポリエチレン(HDPE)にであってもよく、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であってもよい。なお、アルミ蒸着層13bに代えて、シリカ蒸着層、アルミナ蒸着層、有機コート層などにしてもよい。
【0024】
基層13aにアルミ蒸着層13bが積層されている。アルミ蒸着層13bの厚さは、基層13aの厚さより十分に小さい。
図3において、基層13aは第1フィルム11側へ向けられ、アルミ蒸着層13bは第2フィルム12側へ向けられているが、これに限らず、基層13aが第2フィルム12側へ向けられ、アルミ蒸着層13bが第1フィルム11側へ向けられていてもよい。
【0025】
第1フィルム11と第3フィルム13との間、及び第3フィルム13と第2フィルム12との間に、それぞれ無溶剤接着剤層14が介在されている。これら無溶剤接着剤層14によって、3つのフィルム11,13,12が接合されている。
以下、2つの無溶剤接着剤層14を互いに区別するときは、第1フィルム11と第3フィルム13の間のものを「無溶剤接着剤層14A」と称し、第2フィルム12と第3フィルム13の間のものを「無溶剤接着剤層14B」と称す。
【0026】
袋用ラミネートフィルム10Bを製造する際は、例えば第2フィルム12と第3フィルム13とを無溶剤接着剤層14Bを介してラミネートする。このとき、無溶剤接着剤層14Bを塗布後の第2フィルム12を加熱処理する必要が無い。したがって、第2フィルム12の熱損傷や、印刷層15bの変形及びずれを防止できる。ラミネートフィルム12,13は、ロール状にしてエージング処理を施す。
その後、前記ラミネートフィルム12,13と、第1フィルム11とを無溶剤接着剤層14Aを介してラミネートする。このとき、無溶剤接着剤層14Aを塗布後のラミネートフィルム12,13を加熱処理する必要が無い。したがって、ラミネートフィルム12,13の熱損傷や、印刷層15bの変形及びずれを防止できる。
なお、先に第1フィルム11と第3フィルム13をラミネートし、その後、該ラミネートフィルム11,13に第2フィルム12をラミネートしてもよい。
【0027】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、第1実施形態において、無溶剤接着剤を第1フィルム11に塗布し、これに第2フィルム12を貼り合わせてもよい。第1フィルム11に印刷層15を設けてもよい。
【実施例1】
【0028】
実施例を説明する。なお、本発明が以下の実施例に限定されるものではない。
<第1フィルム11>
密度:916kg/m、メルトフレーレート(MRF):1.4g/10minの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を原料として、第1フィルム11を作製した。
第1フィルム11の厚さは、140μmであった。
第1フィルム11の測定融点は、104.2℃、116.2℃、120℃であった。融点測定方法は、JIS K7121に準拠した。
白色着色剤は無添加とした。
<第2フィルム12>
密度:944kg/m、MFR:0.4g/10minのポリエチレン(PE)を原料として、第2フィルム12を作製した。
第2フィルム12の縦方向延伸倍率は5倍であり、横方向延伸倍率は0.8倍であった。
第2フィルム12の厚さは、28.2μmであった。
第2フィルム12の融点は、128℃であった。融点測定方法は、JIS K7121に準拠した。
第2フィルム12の縦方向引張強度は、140MPaであり、横方向引張強度は33.3MPaであった。引張強度測定方法は、JIS Z1702に準拠し、試験片の幅10mm、チャック間距離80mmで行った。
印刷層15は省略した。
<無溶剤接着剤層14>
無溶剤接着剤の主剤として下記を用いた。
メーカー名:DICグラフィック株式会社
製品名:2K-SF-700A
主成分:イソシアネート
無溶剤接着剤の硬化剤として下記を用いた。
メーカー名:DICグラフィック株式会社
製品名:HA-700B
主成分:ポリウレタン
配合比は、主剤:硬化剤=2:3であった。
溶剤は用いなかった。
該無溶剤接着剤を第2フィルム12に塗布した。
無溶剤接着剤の塗布量は、2g/mであった。
<袋用ラミネートフィルム10>
前記塗布後の第2フィルム12と第1フィルム11とを、加熱・溶剤除去工程を経ることなく貼り合わせ、袋用ラミネートフィルム10を作製した。
ラミネート条件は下記の通りであった。
ラミネート圧力:2.5kg/cm
フィルム送り速度:100m/min
温度:50℃
ラミネート後、40℃で120時間放置するエージング処理を行った。
その後、ラミネートフィルム10の引張強度試験を、JIS K7127に準拠して、幅10mmの短冊状サンプル、チャック間距離60mmにて行った。ラミネートフィルム10の縦方向引張強度は48.6MPa、横方向引張強度は31.4MPaであった。
更に、フィルム11,12どうしの剥離試験を、JIS K6854-3に準拠して、引張速度300mm/min、T形剥離方法によって行ったところ材破した。
【実施例2】
【0029】
実施例2においては、第1フィルム11に白色着色剤(酸化チタン)1質量%を加え、白色フィルムとした以外は、実施例1と同じとした。実施例1、2ともにヒートシール試験片におけるヒートシール部以外の部分に熱損傷は確認されなかった。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、例えば詰め替え袋、食品収容袋、その他各種袋用のフィルムに適用できる。
【符号の説明】
【0031】
10,10B 袋用ラミネートフィルム
11 第1フィルム
12 第2フィルム
13 第3フィルム
13a 基層
13b アルミ蒸着層(金属蒸着層)
14 無溶剤接着剤層
14A,14B 無溶剤接着剤層
15 印刷層
21 フィルム押出成形機
22 フィルム押出成形
24 延伸機
25 巻取機
26 巻取機
30 無溶剤ラミネート装置
31 繰出機
32 繰出機
33 印刷機
34 塗工機
35 ラミネート機
36 巻取機
図1
図2
図3