(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】パン類生地、パン類及びパン類生地の製造方法
(51)【国際特許分類】
A21D 10/02 20060101AFI20221201BHJP
A21D 2/08 20060101ALI20221201BHJP
A21D 2/26 20060101ALI20221201BHJP
A21D 2/36 20060101ALI20221201BHJP
A21D 13/045 20170101ALI20221201BHJP
A21D 13/064 20170101ALI20221201BHJP
【FI】
A21D10/02
A21D2/08
A21D2/26
A21D2/36
A21D13/045
A21D13/064
(21)【出願番号】P 2018246629
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000187079
【氏名又は名称】昭和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】金子 由有紀
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-274845(JP,A)
【文献】特開2010-263869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
たん白素材として少なくとも大豆粉を含み且つ前記たん白素材を10~50質量%含有する原料粉100質量部に対して、酒種の風味を有する発酵風味料及び酒種の少なくとも一方を0.5~20質量部含有する、パン類生地。
【請求項2】
前記原料粉100質量%中、前記大豆粉を10~50質量%含有する、請求項1に記載のパン類生地。
【請求項3】
前記パン類生地100質量%中、前記たん白素材を3~20質量%含有する、請求項1又は2に記載のパン類生地。
【請求項4】
ドウ生地である、請求項1から3のいずれか一項に記載のパン類生地。
【請求項5】
酵素活性を有する麹(但し、前記酒種の風味を有する発酵風味料及び前記酒種に含まれるものを除く)を含有しない、請求項1から4のいずれか一項に記載のパン類生地。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のパン類生地を加熱してなるパン類。
【請求項7】
たん白素材として少なくとも大豆粉を含み且つ前記たん白素材を10~50質量%含有する原料粉100質量部に対して、酒種の風味を有する発酵風味料及び酒種の少なくとも一方を0.5~20質量部配合する、パン類生地の製造方法。
【請求項8】
酵素活性を有する麹(但し、前記酒種の風味を有する発酵風味料及び前記酒種に含まれるものを除く)を配合しない、請求項7に記載のパン類生地の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パン類生地、パン類及びパン類生地の製造方法に関する。より詳しくは、たん白素材を含有するパン類生地、パン類及びパン類生地の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向の高まりを受けて、小麦粉の使用量を抑えて糖質の含有量を低減させた食品の需要が増加している。このため、小麦粉の代わりにグルテンや大豆粉などのたん白素材や難消化性澱粉を配合した食品に関する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、バッター生地を調製し、該バッター生地を焼成、油ちょう又は蒸すことにより、食品を製造するための食品用組成物において、難消化性澱粉、難消化性デキストリン、大豆粉などの低糖質食品原料と、麹とを含有することを特徴とする食品用組成物が開示されている。特許文献2には、難消化性澱粉、大豆粉、フスマなどの低糖質食品原料と、活性グルテンと、還元処理グルテンと、イーストに資化可能な糖質原料とを含有することを特徴とするイースト発酵食品用組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-55662号公報
【文献】特開2016-28554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、パン類生地にたん白素材を多量に配合すると、食品の香りと味が損なわれ、商品価値が低下することが問題となっている。
そこで、本発明は、たん白素材を多量に含有するパン類の好ましくないにおいと雑味を抑制することができるパン類生地を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、たん白素材を10~50質量%含有する原料粉100質量部に対して、酒種の風味を有する発酵風味料及び酒種の少なくとも一方を0.5~20質量部含有する、パン類生地を提供する。
また、本発明は、前記パン類生地を加熱してなるパン類を提供する。
また、本発明は、たん白素材を10~50質量%含有する原料粉100質量部に対して、酒種の風味を有する発酵風味料及び酒種の少なくとも一方を0.5~20質量部配合する、パン類生地の製造方法を提供する。
【0006】
なお、本発明において「原料粉」とは、パン類生地に含まれるたん白素材、穀粉及び澱粉を意味する。これらのうち、たん白素材は必須の成分であるが、穀粉及び澱粉は必須の成分ではない。また、本発明において「大豆粉」は、穀粉ではなくたん白素材に分類される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、たん白素材を多量に含有するパン類の好ましくないにおいと雑味を抑制することができるパン類生地を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0009】
<パン類生地>
本実施形態のパン類生地は、たん白素材を含有する原料粉と、酒種の風味を有する発酵風味料及び酒種の少なくとも一方と、を含有する。
【0010】
原料粉に含まれるたん白素材は、たん白質を主成分とする粉末状の食品素材である。たん白素材におけるたん白質の含有量は、たん白質を効率的に配合する観点から、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。たん白素材としては、例えば、小麦グルテン、大豆粉(大豆たん白質を含有する大豆由来の食品素材であり、脱脂大豆粉、大豆たん白、豆乳粉などを含む)、エンドウ豆たん白、脱脂粉乳、乳たん白、卵白粉、卵たん白などが挙げられる。これらの中でも小麦グルテン及び大豆粉は、パン類の原材料に用いられるたん白素材として知られているが、小麦グルテンや大豆粉を配合したパン類は香りや味が好ましくない場合がある。しかしながら、従来技術のパン類生地では、小麦グルテンや大豆粉に起因する好ましくないにおいや味を抑制することが困難であった。これに対して、本実施形態のパン類生地は、たん白素材を含有するパン類、特に小麦グルテン及び大豆粉の少なくとも一方を含有するパン類の、好ましくないにおいと雑味を効果的に抑制することができる。
【0011】
原料粉100質量%中、たん白素材の含有量は、10~50質量%であり、好ましくは10~40質量%であり、より好ましくは20~40質量%であり、特に好ましくは25~35質量%である。たん白素材の含有量が原料粉中50質量%を超えると、製パン性が低下し、生地を調製することが困難になる。また、たん白素材を原料粉中10質量%以上含有する生地から製造されたパン類は、一般的に、たん白素材を多量に含有するものであるといえる。
【0012】
本実施形態のパン類生地は、たん白素材の効果を得つつ製パン性を維持する観点から、パン類生地100質量%中、たん白素材を3~20質量%含有することが好ましく、3~16質量%含有することがより好ましく、5~16質量%含有することがさらに好ましい。
【0013】
本実施形態のパン類生地に含まれる酒種の風味を有する発酵風味料(以下、単に「発酵風味料」ともいう。)は、食品に酒種の風味を付与するために用いられる食品原材料である。発酵風味料の形態は特に限定されず、液体状でもよく粉末状でもよい。
【0014】
発酵風味料は、米を麹により発酵させた米発酵液とその他の原材料とを用いて製造することができる。製造手順は特に限定されないが、例えば次の手順により発酵風味料を製造することができる。まず、米、麹及び必要に応じて糖、食塩、pH調整剤などの原材料を混合し、発酵させて、米発酵液を得る。当該米発酵液にその他の原材料を加えて混合した後、殺菌する。殺菌後に濾過を行ってもよい。米発酵液に加える原材料としては、例えば、小麦粉、油脂、糖、アルコール、乳加工品、食塩、増粘多糖類、香料、酸味料、乳化剤、安定剤などが挙げられる。
【0015】
発酵風味料に含まれる麹は、酵素活性を有していないことが好ましい。アミラーゼやプロテアーゼなどの麹に含まれる酵素が失活していることにより、酵素の影響で生地の混捏時や発酵時に生地がだれてしまうことを防止し、製パン性が損なわれないためである。
【0016】
発酵風味料として、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、「ポルテ芳醇酒種」(MCフードスペシャリティーズ株式会社製)、「45サカメートE」(株式会社ヨンゴー製)、「ブレッドウィン」(オリエンタル酵母株式会社製)、「サカダネフレッシュ」(株式会社ヨンゴー製)などが挙げられる。
【0017】
本実施形態のパン類生地に含まれる酒種は、製パン用の発酵種として一般的に用いられているものであればよい。製パン用の酒種は、通常、米、麹及び必要に応じてその他の原料を混合し、発酵させることで製造される。
【0018】
本実施形態のパン類生地は、原料粉100質量部に対して、発酵風味料及び酒種の少なくとも一方を0.5~20質量部含有する。これにより、製パン性を保ちつつ、たん白素材に由来するパン類の好ましくないにおいと味を抑制することができる。発酵風味料及び酒種の少なくとも一方の含有量が0.5質量部未満であると、たん白素材に由来する好ましくないにおいと雑味を抑制する効果が得られにくく、20質量部を超えると製パン性が悪くなり、酒種の風味が強くなるため、好ましくない。発酵風味料の含有量の下限値は、原料粉100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上、特に好ましくは8質量部以上である。上限値は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。酒種の含有量は、原料粉100質量部に対して、好ましくは0.5~15質量部であり、より好ましくは1~10質量部である。
【0019】
従来、原材料中に酒種を配合してパンを製造する、いわゆる「酒種パン」の技術が知られている。当該酒種パンは、通常、酒種の発酵力を利用すること及び酒種特有の風味をパンに付与することを目的として、本実施形態のパン類生地よりも多量の酒種を含有している。つまり、本実施形態のパン類生地は、従来の酒種パンよりも酒種の含有量が少ないことを特徴としている。これにより、たん白素材に由来する好ましくないにおいと味を抑制しつつ、製パン性の悪化を防止している。
【0020】
上記特許文献1には麹を含有する食品用組成物が開示されている。しかしながら、パン類生地に麹そのものを配合すると、麹に含まれるアミラーゼやプロテアーゼなどの酵素が生地形成に影響することで生地の混捏時や発酵時に生地がだれてしまい、製パン性が低下する場合がある。このため、本実施形態のパン類生地は、酵素活性を有する麹(但し、上記酒種の風味を有する発酵風味料及び上記酒種に含まれるものを除く)を含有しないことが好ましい。なお、本実施形態のパン類生地に用いられる発酵風味料及び/又は酒種は、酵素活性を有する麹を含みうるが、上述のとおり含有量の上限値を20質量部に制限することで、酵素活性に起因する製パン性の低下を抑制している。
【0021】
本実施形態のパン類生地に含まれる原料粉は、食感、風味及び製パン性を良好に保つ観点から、穀粉を含有することが好ましい。穀粉としては、例えば、薄力粉、中力粉、強力粉、デュラム小麦粉などの小麦粉、ライ麦粉、大麦粉、米粉、オーツ粉、そば粉、ヒエ粉、アワ粉、トウモロコシ粉、ホワイトソルガム粉などが挙げられ、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。穀粉は、加熱処理などの加工がされたものであってもよい。これらの中でも、食感、風味及び製パン性が良好であることから、小麦粉が好適に用いられる。
【0022】
原料粉100質量%中、穀粉の含有量は、食感、風味及び製パン性の観点から、10~60質量%が好ましく、20~50質量%がより好ましい。
【0023】
本実施形態のパン類生地に含まれる原料粉は、さらに澱粉を含有してもよい。澱粉としては、例えば、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、米澱粉、サゴ澱粉、甘藷澱粉、緑豆澱粉などの未加工澱粉、及びこれら未加工澱粉にα化、エーテル化、エステル化、架橋、酸化などの処理を単独又は複数組み合わせて施した加工澱粉が挙げられる。
【0024】
原料粉100質量%中、澱粉の含有量は、10~50質量%が好ましく、20~40質量%がより好ましい。
【0025】
本実施形態のパン類生地は、上記原材料以外に、パン類生地に一般的に配合される原材料を含有してもよい。上記原材料以外の原材料としては、例えば、油脂、糖類、乳成分、卵成分、増粘多糖類、乳化剤、酵素製剤、食塩、カルシウム塩、ビタミン類、イースト、イーストフード、膨張剤、着色料、香料、調味料、香辛料、甘味料、種々の品質改良剤などが挙げられる。
【0026】
本実施形態のパン類生地は、たん白素材を多量に含有するため、通常のパン類生地と比較して水分含有量が多い。本実施形態のパン類生地は、原料粉100質量部に対して70~85質量部の水を含有することが好ましい。
【0027】
本実施形態のパン類生地は、ドウ生地であり、バッター生地ではない。また、本実施形態のパン類生地は、冷蔵生地又は冷凍生地であってもよい。さらに、本実施形態のパン類生地は、混捏後、必要に応じて、フロアタイム、分割、丸め、ベンチタイム、成形、ホイロなどの工程を経たものであってもよい。
【0028】
<パン類生地の製造方法>
本実施形態のパン類生地の製造方法は、たん白素材を10~50質量%含有する原料粉100質量部に対して、酒種の風味を有する発酵風味料及び酒種の少なくとも一方を0.5~20質量部配合することを特徴とする。配合されうる原材料及び好適な配合量の詳細については、上記パン類生地で説明したとおりであるため、ここでは説明を省略する。
【0029】
パン類生地を製造するにあたっては、酵素活性を有する麹(但し、上記酒種の風味を有する発酵風味料及び上記酒種に含まれるものを除く)を配合しないことが好ましい。酵素の影響で生地の混捏時や発酵時に生地がだれてしまうことを防止し、製パン性が損なわれないようにするためである。
【0030】
本実施形態の製造方法は、常法に従って、配合した原材料を水とともに混捏することにより、パン類生地を製造する。水の配合量は、原材料の種類や量、パン類の種類などに応じて適宜調節すればよいが、原料粉100質量部に対して水を70~85質量部配合することが好ましい。本実施形態の製造方法は、混捏後、必要に応じて、フロアタイム、分割、丸め、ベンチタイム、成形、ホイロなどの工程を行ってもよい。
【0031】
<パン類>
本実施形態のパン類は、上記パン類生地を加熱することにより製造される。本実施形態のパン類は、上記パン類生地を用いているため、たん白素材に由来する好ましくないにおいと雑味が抑制されており、風味が良好である。
【0032】
パン類の製造方法は、特に限定されず、直捏法、中種法、液種法などの種々の製パン方法を採用することができる。加熱の手段は、特に限定されず、例えば、焼成、油ちょう、蒸しなどが挙げられる。また、電子レンジ、オーブン、スチームオーブン、コンベクションオーブン、オーブントースター、ホットプレート、鉄板、フライパンなどを用いてパン類生地を加熱してもよい。加熱の温度及び時間も特に限定されず、生地の大きさやパン類の種類などに応じて適宜調節すればよい。
【0033】
本実施形態のパン類としては、例えば、食パン、ロールパン、フランスパン、菓子パン、デニッシュペストリー、バラエティブレッド、調理パン、イーストドーナツ、カレーパン、総菜ドーナツ、蒸しパン、中華まんなどが挙げられる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0035】
<製造手順>
下記表に示す原材料のうちショートニング以外をボウルに入れ、ミキサーの低速で3分間、中速で4分間ミキシングした後、ショートニングを添加し、ミキサーの低速で2分間、中速で3分間、高速で1分間ミキシングした。生地の捏上温度は、25~26℃とした。フロアタイムを20分間とり、分割した後、ベンチタイムを20分間とった。生地を成形し、38℃、湿度85%の条件下でホイロを70分間とった後、220℃で10分間焼成し、パンを得た。
【0036】
実施例及び比較例で使用した原材料の一部を以下に示す。
小麦グルテン:A-グルSS(グリコ栄養食品株式会社製)
大豆粉:フレッシュフラワーS-55(昭和産業株式会社製)
小麦粉:キングスター(昭和産業株式会社製)
澱粉:NOVELOSE W(イングレディオン・ジャパン社製)
麹の発酵風味料A:ポルテ芳醇酒種(MCフードスペシャリティーズ株式会社製)
麹の発酵風味料B:45サカメートE(株式会社ヨンゴー製)
酒種:米飯、米麹、水を混合して、約27℃で48時間、約12時間毎に撹拌しながら静置発酵させ、元種を得た。この元種の一部に、米飯、麹、水、食塩を加えて、約12時間毎に撹拌しながら24時間発酵させた。さらに同様の仕込みと発酵の手順を3回繰り返して作成した種を酒種とした。
サワー発酵種:サワード・ディレクト25(MCフードスペシャリティーズ株式会社製)
麹:みやここうじ(株式会社伊勢惣製)
【0037】
<評価>
生地の製パン性、パンのにおい及び味について、以下の基準に従って専門パネルが評価を行った。パンのにおい及び味については、評価の平均値を算出して、小数点第2位を四捨五入した値を評価点とした。
【0038】
[製パン性]
4名の専門パネルの合議により以下の4段階で評価した。製パン性の評価では、生地物性(生地の伸展性、粘着性及び弾性)が製パンに適しているかを確認した。評価が◎又は〇であれば合格、△又は×であれば不合格と判断した。
◎:良好
〇:多少課題はあるが、製造可能
△:やや悪い
×:悪い
【0039】
[におい]
10名の専門パネルが各自、以下の5段階で評価し、その平均点を評価点とした。評価点3.0以上を合格、3.0未満を不合格と判断した。
5:大豆臭、グルテン臭が感じられず、非常に良好
4:大豆臭、グルテン臭がほぼ感じられず、良好
3:大豆臭、グルテン臭がやや感じられるが、許容範囲
2:大豆臭、グルテン臭がややあり、悪い
1:大豆臭、グルテン臭があり、非常に悪い
【0040】
[味]
10名の専門パネルが各自、以下の5段階で評価し、その平均点を評価点とした。評価点3.0以上を合格、3.0未満を不合格と判断した。
5:雑味が感じられず、非常に良好
4:雑味がほぼ感じられず、良好
3:許容範囲
2:雑味が感じられ、やや悪い
1:雑味が強く、悪い
【0041】
原材料及び評価結果を下記表1~3に示す。各表において原材料の単位は「質量部」である。
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
上記実施例の結果が示すように、本発明の生地から得られるパンは、たん白素材として小麦グルテン及び大豆粉の少なくとも一方を多量に含有しつつもたん白素材由来の好ましくないにおいと雑味が抑制されており、味とにおいが比較例のパンより良好であった。また、実施例の生地は製パン性にも問題がなかった。
【0046】
発酵風味料及び酒種を含有しない比較例1及び2のパンは、雑味が感じられて味が悪く、また、小麦グルテンのグルテン臭と大豆粉の大豆臭が感じられてにおいも悪かった。発酵風味料及び酒種の代わりにサワー発酵種を含有する比較例3のパンは、味とにおいの評価が悪く、サワー発酵種を使用してもたん白素材由来の好ましくないにおいと雑味を抑制することができなかった。発酵風味料及び酒種の代わりに酵素活性を有する麹を含有する比較例4は、生地の製パン性がやや悪く、パンのにおいと味の評価が悪かった。麹そのものを使用してもたん白素材由来の好ましくないにおいと雑味を抑制できないことが確認された。