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特許7186230装置の構成要素から汚染粒子を除去する装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】装置の構成要素から汚染粒子を除去する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/02 20060101AFI20221201BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20221201BHJP
   B03C 3/68 20060101ALI20221201BHJP
   B03C 3/74 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B03C3/02 Z
G03F7/20 521
G03F7/20 501
B03C3/68 Z
B03C3/74 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020536034
(86)(22)【出願日】2018-11-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 EP2018082964
(87)【国際公開番号】W WO2019129456
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-08-24
(31)【優先権主張番号】17210857.3
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18160148.5
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】マース、ティム、ピーター、ヨハン、ヘラルド
(72)【発明者】
【氏名】ファン ハウト、バルトロミュース、マルティヌス、ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ファン ビューエル、ヘンリクス、ヴィルヘルムス、マリア
(72)【発明者】
【氏名】ズータウト、フローリス
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-224067(JP,A)
【文献】特開平11-087457(JP,A)
【文献】特開2008-277480(JP,A)
【文献】特表2011-519156(JP,A)
【文献】実公昭54-006929(JP,Y2)
【文献】特開2004-207740(JP,A)
【文献】特開2011-099156(JP,A)
【文献】特開2006-228862(JP,A)
【文献】特開2011-040464(JP,A)
【文献】米国特許第06526997(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第105964626(CN,A)
【文献】特開2007-296488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 3/00-11/00
B08B 6/00
G03C 7/20
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の構成要素から汚染粒子を除去するための装置であって、前記汚染粒子は、周囲電場を発生させるものであり、前記装置は、
前記粒子を引きつけるための収集領域であって、前記構成要素と前記収集領域の少なくとも間に前記周囲電場がある収集領域と、
前記収集領域と前記構成要素の間に印加電場を形成して前記構成要素から前記収集領域への前記粒子の輸送を生じさせるよう構成される電場発生器と、
前記印加電場を形成する前に前記周囲電場の極性を検知するよう構成される電場センサと、を備え、
前記電場センサは、導電性要素を備え、前記周囲電場を検知することは、前記周囲電場によって前記導電性要素に誘起される電圧を監視することを備え、前記装置は、前記周囲電場を検知する際に前記導電性要素の電圧を浮遊可能にするよう構成され、
前記電場発生器は、前記周囲電場に基づいて前記印加電場の極性を決定するよう構成されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記印加電場の大きさは、前記検知される周囲電場の大きさ、および、前記構成要素と前記導電性要素および/または前記収集領域との間の距離の少なくとも一方に基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記印加電場の極性は、前記周囲電場の極性と逆であることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記電場発生器は、前記周囲電場の大きさ、前記粒子を前記構成要素に保持する接着力の推定値、および、前記粒子を前記構成要素に保持するファンデルワールス力の推定値のうちの一以上に基づいて、前記印加電場の大きさを決定するよう構成されることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記収集領域の少なくとも一部が導電性であり、前記電場発生器は、前記収集領域の前記少なくとも一部に電圧を印加することにより前記印加電場を形成するように構成される電圧源を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記印加電場を形成する前に、前記収集領域が前記汚染粒子と接触する間、前記収集領域と前記構成要素の間の領域に別の電場を誘起させるよう構成される電場誘起器をさらに備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記粒子を前記収集領域から除去するよう構成される粒子除去器をさらに備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記粒子除去器は、真空ポンプを備え、前記収集領域からの前記粒子の除去は、吸引によることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記収集領域の上方に配置されるキャップをさらに備え、前記キャップは、前記真空ポンプと流体的に連通する通気口を有し、前記真空ポンプの動作時に前記収集領域を横切って前記真空ポンプに向かうガスを前記通気口を通じて引き込むよう構成されることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記電場発生器は、前記真空ポンプの動作前または動作中に前記印加電場の大きさを低減するよう構成されることを特徴とする請求項またはに記載の装置。
【請求項11】
装置の構成要素から汚染粒子を除去する方法であって、前記汚染粒子は、周囲電場を発生させるものであり、前記装置は、前記粒子を引きつけるための収集領域を備え、前記周囲電場は、前記構成要素と前記収集領域の少なくとも間にあり、前記方法は、
前記周囲電場の極性を検知することと、
前記周囲電場に基づいて印加電場の極性を決定することと、
電場発生器により前記収集領域と前記構成要素の間に前記印加電場を形成して前記構成要素から前記収集領域への前記粒子の輸送を生じさせることと、を備え、
前記周囲電場を検知することは、前記周囲電場によって導電性要素に誘起される電圧を監視することを備え、前記周囲電場を検知する際に前記導電性要素の電圧を浮遊可能にすることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1から1のいずれか一項に記載の装置を備えることを特徴とする計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2017年12月28日に出願された欧州出願17210857.3および2018年3月6日に出願された欧州出願18160148.5の優先権を主張し、それらの全体が参照により本書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、装置(選択的に計測装置)の構成要素から汚染粒子を除去する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィプロセスでは、例えばプロセスの制御および検証のために、作成された構造を頻繁に測定することが望ましい。このような測定を行うツールは、典型的に計測ツール(MET)と呼ばれる。このような測定を行うための異なる形式の計測ツールが知られており、走査型電子顕微鏡や様々な形態の散乱計計測ツールが含まれる。
【0004】
散乱計は多目的で利用可能な機器であり、散乱計の対物レンズの瞳面または瞳面の共役面にあるセンサを配置することにより(この測定は通常瞳ベース測定と呼ばれる)、または、結像面または結像面の共役面にセンサを配置することにより(この場合の測定は通常画像ベースまたはフィールドベース測定と呼ばれる)、リソグラフィプロセスのパラメータの測定を可能にする。
【0005】
このような散乱計および関連する測定技術は、特許出願US20100328655、US2011102753A1、US20120044470A、US20110249244、US20110026032またはEP1628164Aにさらに記載されており、これらの全体は参照により本書に組み込まれる。前述の散乱計は、軟X線、極端紫外(EUV)および可視から近赤外(IR)までの波長範囲の放射を用いてグレーティングを測定してもよい。
【0006】
時折、ポリエステルまたはセルロースの粒子/繊維などの汚染粒子が、計測ツールの構成要素に、例えば散乱計の一部を形成する対物レンズに付着することがある。計測ツール内には、ツールの保守やメンテナンス中に使用されるクリーニングワイプといったいくつかの汚染粒子の潜在的な発生源がある。測定される構造を含む半導体ウェハ自体が汚染粒子を計測ツールに導入することがあり、ウェハの保管および輸送に用いるウェハハンドリングシステムやFOUP(front opening unified pods)の汚染が原因となることがある。
【0007】
発明者らは、このような汚染粒子が、特定の状況下で、測定中のウェハに計測ツール内でダメージを生じさせる可能性があることを認識しており、これは歩留まりの低下を生じさせるおそれがあるため望ましくない。汚染粒子は、例えば精度の点で計測ツールの性能に影響を与えるかもしれない。
【0008】
したがって、本発明が対処しようとする課題は、装置から汚染粒子を除去する方法である。装置は、計測ツールであってもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様によれば、装置の構成要素から汚染粒子を除去するための装置が提供される。汚染粒子は、周囲電場を発生させるものである。この装置は、粒子を引きつけるための収集領域であって、構成要素と収集領域の少なくとも間に周囲電場がある収集領域と、収集領域と構成要素の間に印加電場を形成して構成要素から収集領域への粒子の輸送を生じさせるよう構成される電場発生器と、を備える。電場発生器は、周囲電場に基づいて印加電場の極性を決定するよう構成される。
【0010】
本発明のある別の態様によれば、装置の構成要素から汚染粒子を除去するための装置が提供される。汚染粒子は、周囲電場を発生させるものである。この装置は、粒子を引きつけるための収集領域であって、構成要素と収集領域の少なくとも間に周囲電場がある収集領域と、電場発生器と、プロセッサとを備える。プロセッサは、周囲電場に基づいて印加電場の極性を決定するステップと、電場発生器に収集領域と構成要素の間の印加電場を形成させ、構成要素から収集領域への粒子の輸送を生じさせるステップとを実行するよう構成される。
【0011】
印加電場の極性は、周囲電場の極性と逆であってもよい。
【0012】
電場発生器は、周囲電場の大きさ、粒子を構成要素に保持する接着力の推定値、および、粒子を構成要素に保持するファンデルワールス力の推定値の一以上に基づいて、印加電場の大きさを決定するよう構成されてもよい。
【0013】
収集領域の少なくとも一部が導電性であってもよい。電場発生器は、収集領域の少なくとも一部に電圧を印加することにより印加電場を形成するように構成される電圧源を備えてもよい。
【0014】
装置は、印加電場を形成する前に、周囲電場の極性を検知するよう構成され、選択的に周囲電場の大きさを検知するよう構成される電場センサをさらに備えてもよい。
【0015】
電場センサは、導電性要素を備えてもよい。周囲電場を検知することは、周囲電場によって導電性要素に誘起される電圧を監視することを備えてもよい。
【0016】
装置は、周囲電場を検知する際に導電性要素の電圧を浮遊可能にするよう構成されてもよい。
【0017】
印加電場の大きさは、検知される周囲電場の大きさ、および、構成要素と導電性要素および/または収集領域との間の距離の少なくとも一方に基づいて決定されてもよい。
【0018】
収集領域は、導電性要素を備えてもよい。
【0019】
印加電場を形成する前に、選択的に収集領域が汚染粒子と接触する間、収集領域と構成要素の間の領域に別の電場を誘起させるよう構成される電場誘起器をさらに備えてもよい。
【0020】
構成要素は、光学システムの対物レンズであってもよい。
【0021】
印加電圧の大きさは、0Vから10kVの範囲内であってもよい。
【0022】
印加電圧の大きさは、構成要素と収集領域の間の電気的破壊を防ぐように決定されてもよい。
【0023】
構成要素は、グランド電位に保持されてもよい。
【0024】
装置は、構成要素の粒子を検査する初期ステップを実行するよう構成される検査ユニットをさらに備えてもよい。電場発生器は、構成要素上で検出される粒子の閾値の数に応じて印加電場を形成するよう構成されてもよい。
【0025】
電場発生器は、周囲電場の極性および/または大きさを入力として取得し、実験データによるライブラリの参照および/または装置の静電的有限要素モデルに基づいて、印加電場の極性および/または大きさを決定するよう構成されてもよい。
【0026】
印加電場の形成前に、構成要素を収集領域の真上に位置するよう移動させてもよいし、または、代替的に収集領域を構成要素の真下に位置するよう移動させてもよい。
【0027】
装置は、粒子を収集領域から除去するよう構成される粒子除去器をさらに備えてもよい。
【0028】
粒子除去器は、真空ポンプを備えてもよい。収集領域からの粒子の除去は、吸引によってなされてもよい。
【0029】
収集領域の上方に配置されるキャップをさらに備えてもよい。キャップは、真空ポンプと流体的に連通する通気口を有し、真空ポンプの動作時に収集領域を横切って真空ポンプに向かうガスを通気口を通じて引き込むよう構成されてもよい。
【0030】
電場発生器は、真空ポンプの動作前または動作中に印加電場の大きさを低減するように構成されてもよい。
【0031】
電場発生器は、真空ポンプの動作前または動作中に印加電場を解除するよう構成されてもよい。
【0032】
電場発生器は、真空ポンプの動作前または動作中に印加電場の極性を反転するよう構成されてもよい。
【0033】
装置は、収集領域の周縁にあるガードをさらに備えてもよい。ガードは、収集領域に隣接する領域内に印加電場を保持するよう構成されてもよい。
【0034】
ガードの少なくとも一部は、導電性であってもよく、グランド電位に保持されてもよい。
【0035】
構成要素は、計測装置の構成要素であってもよい。
【0036】
本発明のある別の態様によれば、装置の構成要素から汚染粒子を除去する方法が提供される。汚染粒子は、周囲電場を発生させるものであり、装置は、粒子を引きつけるための収集領域を備える。周囲電場は、構成要素と収集領域の少なくとも間にある。この方法は、電場発生器により周囲電場に基づいて印加電場の極性を決定することと、電場発生器により収集領域と構成要素の間に印加電場を形成して構成要素から収集領域への粒子の輸送を生じさせることと、を備える。
【0037】
印加電場の極性および/または大きさを決定することは、周囲電場の大きさ、粒子を構成要素に保持する接着力の推定値、および、粒子を構成要素に保持するファンデルワールス力の推定値のうちの少なくとも一つに基づいてもよい。
【0038】
電場発生器は、電圧源を備えてもよい。印加電場を形成することは、導電性である収集領域の一部に電圧源が電圧を印加することを備えてもよい。
【0039】
印加電場を形成する前に、周囲電場の極性および/または大きさを電場センサによって検知してもよい。
【0040】
電場センサは、導電性要素を備えてもよい。周囲電場を検知することは、周囲電場によって導電性要素に誘起される電圧を監視することを備えてもよい。
【0041】
導電性要素の電圧は、周囲電場を検知する際に浮遊可能であってもよい。
【0042】
方法は、検知される周囲電場の大きさ、および、構成要素と導電性要素および/または収集領域との間の距離のうちの少なくとも一方に基づいて、印加電場の大きさを決定することをさらに備えてもよい。
【0043】
方法は、印加電場を形成する前に、選択的に収集領域が汚染粒子に接触可能となる間、収集領域と構成要素の間の領域に別の電場を電場誘起器によって誘起させることをさらに備えてもよい。
【0044】
印加電圧の大きさは、0Vから10kVの範囲内であってもよい。
【0045】
方法は、構成要素と収集領域の間の電気的破壊を防ぐように印加電場の大きさを決定することをさらに備えてもよい。
【0046】
方法は、構成要素をグランド電位に保持することをさらに備えてもよい。
【0047】
方法は、検査ユニットによって構成要素の粒子を検査する初期ステップをさらに備えてもよい。電場発生器は、構成要素上で検出される粒子の閾値の数に応じて印加電場を形成してもよい。
【0048】
方法は、周囲電場の極性および/または大きさを入力として取得し、実験データによるライブラリの参照および/または装置の静電的有限要素モデルに基づいて、印加電場の極性および/または大きさを電場発生器が決定することをさらに備えてもよい。
【0049】
印加電場の形成前に、構成要素を収集領域の真上に位置するよう移動させてもよいし、または、代替的に収集領域を構成要素の真下に位置するよう移動させてもよい。
【0050】
方法は、粒子除去器が収集領域から粒子を除去することをさらに備えてもよい。
【0051】
粒子除去器は、真空ポンプを備えてもよい。収集領域からの粒子の除去は、吸引によってなされてもよい。
【0052】
方法は、収集領域の上方にキャップを配置することをさらに備えてもよい。キャップは、真空ポンプと流体的に連通する通気口を有し、収集領域を横切って真空ポンプに向かうガスを通気口を通じて引き込むように真空ポンプを動作させてもよい。
【0053】
方法は、真空ポンプの動作前または動作中に電場発生器が印加電場の大きさを低減することをさらに備えてもよい。
【0054】
方法は、真空ポンプの動作前または動作中に印加電場を解除することをさらに備えてもよい。
【0055】
方法は、真空ポンプの動作前または動作中に電場発生器が印加電場の極性を反転することをさらに備えてもよい。
【0056】
方法は、収集領域の周縁にあるガードをグランド電位に保持し、収集領域に隣接する領域内に印加電場を保持することをさらに備えてもよい。
【0057】
本発明のある別の態様によれば、コンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムは、少なくとも一つのプロセッサ上で実行される際、少なくとも一つのプロセッサに装置を制御させて本発明の上述の態様に係る方法を実行させる命令を備える。
【0058】
本発明のある別の態様によれば、本発明の上述の態様に係るコンピュータプログラムを含む担体が提供される。この担体は、電気信号、光信号、無線信号または非一時的なコンピュータ可読記憶媒体のうちの一つであってもよい。
【0059】
本発明のある別の態様によれば、本発明の上述の態様に係る装置を備える計測装置が提供される。
【0060】
本発明のある別の態様によれば、本発明の上述の態様に係る計測装置を備えるリソグラフィ装置が提供される。
【0061】
本発明のある別の態様によれば、本発明の上述の態様に係る計測装置を備えるリソグラフィセルが提供される。
【0062】
本発明は、計測装置などの装置の構成要素またはより具体的には散乱計からの汚染粒子の除去を、制御された方法で、装置にさらなる汚染を導入したり、装置内の他の場所に存在する汚染を拡散させたりする実質的なリスクなしに可能にすることを目的とする。
【0063】
本発明は、汚染粒子の除去を非接触方式で可能にすることを目的とし、これは、クリーニングされるべき装置の構成要素を損傷させるリスク、例えばクリーニングワイプなどを用いることで光学素子にひっかき傷を付けるリスクを低減する。
【0064】
また、本発明は、装置から汚染粒子を除去するための高速かつ非侵襲な方式を提供することを目的とし、これによりクリーニングされるべき装置のダウンタイムを低減し、したがってクリーニングワイプを用いるといった既知の技術よりも製造サイクルの中断をはるかに少なくする。
【0065】
また、本発明は、技術者または技術者のチームの存在を必要とするであろう計測装置の開放を必要としないため、装置から汚染粒子を除去するための低コストな手法を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0066】
実施の形態は、単なる例示のために、以下の添付図面を参照しながら説明される。
【0067】
図1】リソグラフィ装置の概要を概略的に示す図である。
【0068】
図2】リソグラフィ装置の概要を概略的に示す図である。
【0069】
図3】半導体製造を最適化させる三つのキーテクノロジ間の協働を表した全体的リソグラフィを概略的に示す図である。
【0070】
図4a】計測装置の構成要素を示す図である。
図4b】計測装置の構成要素を示す図である。
【0071】
図5】計測装置の領域を概略的に示す図である。
【0072】
図6a】計測装置の構成要素から汚染粒子を除去する装置を示す図である。
図6b】計測装置の構成要素から汚染粒子を除去する装置を示す図である。
【0073】
図7a】計測装置の構成要素から汚染粒子を除去する際の図6aおよび図6bの装置の使用を模式的に示す図である。
図7b】計測装置の構成要素から汚染粒子を除去する際の図6aおよび図6bの装置の使用を模式的に示す図である。
図7c】計測装置の構成要素から汚染粒子を除去する際の図6aおよび図6bの装置の使用を模式的に示す図である。
【0074】
図8a図6aおよび図6bの装置の粒子収集領域から粒子を除去する粒子除去器を模式的に示す図である。
図8b図6aおよび図6bの装置の粒子収集領域から粒子を除去する粒子除去器を模式的に示す図である。
【0075】
図9a図6aおよび図6bの装置の粒子収集領域から粒子を除去する図8aおよび図8bの粒子除去器の使用を模式的に示す図である。
図9b図6aおよび図6bの装置の粒子収集領域から粒子を除去する図8aおよび図8bの粒子除去器の使用を模式的に示す図である。
【0076】
図10】計測装置の構成要素から汚染粒子を除去する方法に対応するフローチャートである。
【0077】
図11図6aおよび図6bの装置により生成される印加電場の極性および大きさを決定する方法に対応するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0078】
本発明を詳細に説明する前に、本発明が実施されうる例示的な環境を示すことが役立つ。
【0079】
本書において、「放射」および「ビーム」の用語は、紫外放射(例えば、365,248,193,157または126nmの波長を有する)およびEUV(極端紫外放射、例えば、約5-100nmの範囲の波長を有する)を含む、全ての種類の電磁放射を包含するために用いられる。
【0080】
この文書で用いられる「レチクル」、「マスク」または「パターニングデバイス」の用語は、基板のターゲット部分に生成されるべきパターンに対応するパターン化された断面を入射放射ビームに与えるために使用できる一般的なパターニングデバイスを称するものと広く解釈されうる。「ライトバルブ」の用語は、この文脈で用いることもできる。古典的なマスク(透過型または反射型、バイナリ型、位相シフト型、ハイブリッド型など)に加えて、このようなパターニングデバイスの他の例は、プログラマブルミラーアレイおよびプログラマブルLCDアレイを含む。
【0081】
図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。リソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えばUV放射、DUV放射またはEUV放射)を調整するよう構成される照明システム(イルミネータとも称される)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するよう構築され、パターニングデバイスMAを特定のパラメータにしたがって正確に位置決めするよう構成される第1位置決め装置PMに接続されるマスクサポート(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートされたウェハ)Wを保持するよう構築される基板サポートであって、特定のパラメータにしたがって基板サポートを正確に位置決めするよう構成される第2位置決め装置PWに接続される基板サポート(例えばウェハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば一以上のダイを備える)ターゲット部分Cに投影するよう構成される投影システム(例えば屈折型投影レンズシステム)PSと、を含む。
【0082】
動作中、照明システムILは、放射源SOからの放射ビームを、例えばビームデリバリシステムBDを介して受け取る。照明システムILは、放射を方向付け、整形し、または制御するための屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電型および/または他の種類の光学素子、またはこれらの任意の組み合わせといった様々な形式の光学素子を含んでもよい。イルミネータILは、パターニングデバイスMAの平面においてビームの断面が所望の空間および角度強度分布を有するように放射ビームBを調整するために用いられてもよい。
【0083】
本書で用いる「投影システム」PSの用語は、用いられる露光放射に適切であれば、および/または、液浸液の使用や真空の使用といった他の要因に適切であれば、屈折型、反射型、反射屈折型、アナモルフィック型、磁気型、電磁気型および/または静電型の光学システム、またはこれらの任意の組み合わせを含む、様々な形式の投影システムを包含するものと広く解釈されるべきである。本書の「投影レンズ」の用語の任意の使用は、より一般的な用語である「投影システム」PSと同義とみなしてもよい。
【0084】
リソグラフィ装置LAは、基板の少なくとも一部が比較的高い屈折率を有する液体、例えば水によって被覆され、投影システムと基板の間の空間が満たされるような形式であってもよい。これは、液浸リソグラフィとも称される。液浸技術のより多くの情報は、US6952253に与えられており、これは参照により本書に組み込まれる。
【0085】
リソグラフィ装置LAは、二以上の基板サポートWTを有する形式(「デュアルステージ」とも呼ばれる)であってもよい。このような「複数ステージ」の機械において、基板サポートWTが並行して用いられてもよく、および/または、一方の基板サポートWTに位置する基板Wで後続する露光の準備工程が実行される間、他方の基板サポートWT上の別の基板Wが他の基板W上のパターンの露光のために使用されてもよい。
【0086】
基板サポートWTに加えて、リソグラフィ装置LAは、測定ステージを備えてもよい。測定ステージは、センサおよび/またはクリーニング装置を備えてもよい。センサは、投影システムPSの特性または放射ビームBの特性を測定するよう構成されてもよい。測定ステージは、複数のセンサを保持してもよい。クリーニング装置は、リソグラフィ装置の一部、例えば投影システムPSの一部や液浸液を供給するシステムの一部をクリーニングするよう構成されてもよい。測定ステージは、基板サポートWTが投影システムPSから離れているときに投影システムPSの下方で移動してもよい。
【0087】
動作中、放射ビームBは、マスクサポートMTに保持されるパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(デザインレイアウト)によってパターン化される。マスクMAを横切ると、放射ビームBは、ビームを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる投影システムPSを通過する。第2位置決め装置PWおよび位置測定システムIFの助けを借りて、基板サポートはWTは、異なるターゲット部分Cが放射ビームBの経路に位置決めされるように正確に動かされることができる。同様に、第1位置決め装置PMおよび場合によっては別の位置センサ(これは図1に明示されていない)は、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めするために用いられてもよい。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1,M2および基板アライメントマークP1,P2を用いてアライメントされてもよい。基板アライメントマークP1,P2が専用のターゲット部分を占めるように描かれているが、これらはターゲット部分の間のスペースに位置してもよい。基板アライメントマークP1,P2は、これらがターゲット部分Cの間に配置される場合、スクライブラインアライメントマークとして知られる。
【0088】
図2に示されるように、リソグラフィ装置LAは、しばしばリソセルまたは(リソ)クラスタとも称されるリソグラフィセルLCの一部を形成してもよい。これらは、しばしば基板Wへの露光前および露光後プロセスを実行するための装置も含む。従来、これらは、レジスト層を堆積させるスピンコータSC、露光されたレジストを現像する現像装置DE、例えば基板Wの温度を調整し、例えばレジスト層の溶剤を調整するための冷却プレートCHおよびベークプレートBKを含む。基板ハンドラまたはロボットROは、基板Wを入力/出力ポートI/O1、I/O2からピックアップし、異なるプロセス装置間でそれらを移動し、基板Wをリソグラフィ装置LAのローディングベイLBに届ける。リソセル内の装置は、しばしば集合的にトラックとも称され、典型的にトラック制御ユニットTCUの制御下にある。TCU自身は、例えばリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置LAも制御しうる監視制御システムSCSによって制御されてもよい。
【0089】
リソグラフィ装置LAにより露光される基板Wを正確かつ一貫して露光するためには、基板を検査し、後続層との間のオーバレイエラー、線幅、クリティカルディメンジョン(CD)などといったパターン化された構造の特性を測定することが望ましい。この目的のため、検査ツール(不図示)がリソセルLCに含まれてもよい。仮にエラーが検出された場合、特に同一バッチまたは同一ロットの他の基板Wが露光または処理される前に検査が完了している場合、例えば後続基板の露光や基板W上で実行されるべき他の処理工程に対して調整がなされてもよい。
【0090】
検査装置(つまり検査ツール)は、しばしば計測(メトロロジ)装置とも称され、基板Wの特性、特に異なる基板Wの特性がどのように相違するか、または、同一基板Wの異なる層に関連する特性が層ごとにどのように相違するかを決定するために用いられる。検査装置は、代替的に基板Wの欠陥を特定するために構築されてもよく、例えばリソセルLCの一部であってもよいし、リソグラフィ装置LAに一体化されてもよいし、独立式(スタンドアローン)の装置であってもよい。検査装置は、潜像(露光後のレジスト層内の像)の特性を測定してもよいし、または、半潜像(露光後のベーク工程PEBの後のレジスト層内の像)の特性を測定してもよいし、または、現像されたレジスト像(レジストの露光された部分または露光されていない部分が除去されている)の特性を測定してもよいし、または、エッチングされた像(エッチングなどのパターン転写工程後)の特性を測定してもよい。
【0091】
典型的に、リソグラフィ装置LAにおけるパターニングプロセスは、基板W上の構造を高い精度で寸法決めおよび配置することを必要とするプロセスにおける最重要工程の一つである。この高い精度を保証するため、三つのシステムは、図3に概略的に描かれるような、いわゆる「全体的」な制御環境に統合されてもよい。これらのシステムの一つは、計測ツールMT(第2システム)およびコンピュータシステムCL(第3システム)に(仮想的に)接続されるリソグラフィ装置LAである。このような「全体的」な環境の鍵(キー)は、これら三つのシステム間の連携を最適化してリソグラフィ装置LAによって実行されるパターニングがプロセスウィンドウの範囲内に留まること保証することである。プロセスウィンドウは、特定の製造プロセスが定義された結果(例えば機能的な半導体デバイス)を生み出すこととなるプロセスパラメータ(例えば、ドーズ、フォーカス、オーバレイ)の範囲を定義する。典型的に、リソグラフィプロセスまたはパターニングプロセスにおけるプロセスパラメータは、その範囲内で変動することが許容される。
【0092】
コンピュータシステムCLは、パターニングされるべきデザインレイアウト(の一部)を使用し、どの分解能向上技術を使用するかを予測し、コンピュータによるリソグラフィシミュレーションおよび計算を実行し、どのマスクレイアウトおよびどのリソグラフィ装置の設定がパターニングプロセスの全体として最大のプロセスウィンドウを実現するかを決定してもよい(図3の第1スケールSC1の両矢印により描かれる)。典型的に、分解能向上技術は、リソグラフィ装置LAのパターニングの実現性と整合するように構成される。コンピュータシステムCLは、プロセスウィンドウ内のどこでリソグラフィ装置LAが現在動作しているかを(例えば計測ツールMTからの入力を用いて)検出し、例えば最適ではないプロセスに起因して欠陥が発生しうるかどうかを予測するために用いられてもよい(図3の第2スケールSC2において「0」に位置する矢印により描かれる)。
【0093】
計測ツールMTは、コンピュータシステムCLに入力を提供して正確なシミュレーションおよび予測が可能となるようにし、また、リソグラフィ装置LAにフィードバックを提供して、例えばリソグラフィ装置LAの較正ステータスにおいて発生しうるドリフトを特定しうる(図3の第3スケールSC3において複数の矢印により描かれる)。
【0094】
図4aおよび図4bは、上述の散乱計などの計測装置/ツールMTといった装置の一部を模式的に示す。ツールMTの構成要素(この場合、対物レンズ202である)は、対物レンズをxおよびzの二方向に沿って動かすことができる移動ステージ201上に取り付けられている。対物レンズ202は、測定下で半導体ウェハ203のターゲット部分に証明放射を合焦させ、および/または、測定下で半導体ウェハ203のターゲット部分からの回折/反射された放射を収集するために用いられる。半導体ウェハ203は、典型的に、y方向に移動可能であるとともにウェハ203の中心軸まわりに回転可能なウェハテーブルWT上に固定されている。対物レンズ202は、単一のレンズ/ミラー204であってもよいし、または、測定中の半導体ウェハに最も近接する対物レンズの一部である最外レンズ素子204を含む多数のレンズを包含する光学パッケージであってもよい。レンズ204と半導体ウェハ203の表面との間の分離はzで示され、典型的な散乱計測定中において100μmから500μmの範囲内であってもよい。
【0095】
発明者らは、時々、汚染粒子205が計測装置MT内に存在し、対物レンズ202の底部もしくは側面またはレンズ204もしくはその近傍に引きつけられて保持される可能性があることを理解している。汚染粒子205は、ポリエステルまたはセルロースの繊維である可能性がある。このような粒子の潜在的な発生源は、測定装置MTのメンテナンス中に使用されるクリーニングワイプである可能性がある。対物レンズ202といった測定装置MTの構成要素上に粒子を引きつけて保持するのに関連しうる力には、重力、接着力(例えばファンデルワールス力)および静電力が含まれる。
【0096】
レンズ204と半導体ウェハ203の表面の間の分離zは、測定装置MT内に存在する典型的な汚染粒子205のサイズとほぼ同じオーダの大きさかもしれない。これは図4aに示され、例えば静電力によってレンズ204上に保持されている汚染粒子205は、半導体ウェハ203の上面をブラッシングするように接触している。対物レンズ202が例えばx方向に移動ステージ201によって動かされると、粒子205をレンズ204に保持する力が半導体ウェハ203の表面との接触を通じて粒子205に加わる任意の引張力よりも大きい場合、粒子はレンズ204に付着したままとなり、レンズ204とともに半導体ウェハの表面を横切って新たな位置に輸送されるであろう。発明者らは、図4bの領域206によって表される半導体ウェハ203の表面上に粒子205が欠陥の痕跡を残す結果となることを理解している。このような欠陥206は、製造された半導体デバイスの完全性に影響を与えることが判明しており、明らかに望ましくない。したがって、発明者らは、欠陥206の実在(インスタンス)を低減または根絶し、それによって歩留まりを向上させるために、そのような汚染粒子205を除去するための解決策を開発した。
【0097】
図5は、典型的な計測装置MTの一部を概略的に示す。具体的には、対物レンズ202に加えて三つの領域が示され、対物レンズ202は、対物レンズ202および他の関連する要素を(三つの領域間の太線矢印によって示されるように)様々な領域間で動かすために上述した移動ステージ201上に取り付けられている。第1領域は、ウェハの測定中に半導体ウェハ203を定位置に保持するように構成されるウェハテーブルWTである。第2領域は、対物レンズ202およびより具体的には対物レンズのレンズ204といった装置の構成要素から汚染粒子205を除去するための装置300である。第3領域は、汚染粒子205が存在するか否かを決定するために対物レンズ202を検査するための検査ユニット400である。ウェハ203から汚染粒子を除去するための検査ユニット400および装置300は、以下でより詳細に説明される。計測装置MTは、図5に示されていないさらなる要素および領域を含んでもよいことが理解されよう。さらに、図5は異なる領域を概略的に示すにすぎず、これらは図示されるものとは異なる幾何学的配置であってもよい。また、代替的な構成では、対物レンズが移動ステージ上に取り付けられなくてもよく、代わりに計測装置の他の要素が対物レンズに対して動いてもよいことが理解されよう。例えば、ウェハテーブルが対物レンズに対して十分に移動可能であってもよく、対物レンズが装置の外筐体に対して動かないように取り付けることもできる。
【0098】
図6aは、測定装置MTの構成要素から汚染粒子205を除去するための例示的な装置300を示す。構成要素は、対物レンズ202であってもよく、より具体的には上述の計測装置MTの一部を形成する対物レンズ202の最外レンズ204であってもよい。装置は、構成要素から汚染粒子205を引きつけて選択的に保持するための収集領域301(ここでは粒子収集領域301と呼ぶ)を備える。この例では、粒子収集領域301は、金属などの導電性材料から形成される実質的に円形のディスクであり、収集プレートと呼ばれてもよい。粒子収集領域301を取り囲むのは、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で形成される電気絶縁層302である。電気絶縁層302は、粒子収集領域の上面のみを露出させたまま、粒子収集領域301を三方から取り囲むように配置されている。粒子収集領域301の周縁にはガード303があり、ガード303は、粒子収集領域301に隣接する領域、例えば収集領域301と対物レンズ202の間の領域に印加電場を保持するよう構成される。ガード303は、電気絶縁層302を取り囲み、電気コネクタ306を介してグランド電位に保持される。ガードリングは、好ましくは金属から製造され、本書に記載される装置300の動作中、つまり、対物レンズからの粒子除去を実行している間、ガードリングがグランドのみに接続されるようなグランド電位への制御された接続を有する。より具体的には、ガードリングは、対物レンズが収集領域に近づく間(またはその逆)、電気的に浮遊するよう構成され、対物レンズと粒子収集領域の間に印加電場が形成されるのとほぼ同時にグランドのみに接続されるよう構成されることが好ましい。対物レンズが収集領域に接近している間にガードリングがグランド電位に保持された場合、ガードリングは、制御なしの態様で汚染粒子を意図せずに引きつける可能性がある。このような制御なしの引きつけでは、粒子収集領域/ガードリング上の粒子の位置に関する知見が全くないかほとんどないため、後述する粒子除去器を用いた汚染粒子のさらなる恒久的な除去が成功する保証はない。以下、ガード303および粒子収集領域301の機能をより詳細に説明する。粒子収集領域301は、一体的な高電圧源ユニットおよび電圧検知装置304に電気的に接続されている。高電圧源ユニットおよび電圧検知装置304は、別個の二つのユニットとして設けられてもよく、任意のタイミングで電圧源ユニットおよび電圧検知装置のうちの一つだけが粒子収集領域301と電気的に接触するようなスイッチを用いて粒子収集領域301に別々に接続されてもよいことが理解されよう。一体的な高電圧源ユニットおよび電圧検知装置304の場合、高電圧源と電圧検知装置の間で粒子収集領域301を切り替えるためのスイッチが内部的に設けられる。一体的な高電圧源ユニットおよび電圧検知装置304は、主電源305などの外部電源に接続される。図6bは、粒子収集領域301、絶縁層302およびガード303の同心のリング状の幾何学配置を示す装置300の上面図または平面図である。
【0099】
上記および以下の段落では、構成要素を備える計測装置について言及するが、汚染粒子を除去するための装置は、汚染粒子が存在しうる構成要素を有する任意の装置での使用に適用されてもよい。
【0100】
計測装置MTの構成要素から汚染粒子205を除去する装置300の動作は、図7aから図7cを参照しながら説明される。図7aから図7cにおいて、対物レンズ202の最外レンズ204は、例えば接着力と静電力の組み合わせによって付着している汚染粒子205を有する。粒子205は、装置300を用いて除去することが望ましい。したがって、対物レンズ202は、装置300の粒子収集領域301の真上に位置するように移動ステージ201を用いて移動させられる。理想的には、対物レンズ202は、汚染粒子205を除去するための粒子収集領域301の中心の真上に位置する。なお、装置300の他の幾何学的配置および構成が選択されてもよく、例えば、粒子収集領域301が正方形または長方形などであってもよい。
【0101】
汚染粒子205がレンズ204に少なくとも部分的に静電力によって付着する場合、粒子205は、粒子205のまわりに局所/周囲電場を発生させる電荷分布を必然的に示すであろう。本書において「周囲電場」の用語は、汚染粒子によって生成される電場、つまり、粒子上の電荷分布の結果として汚染粒子を取り囲む領域に生じる電場を指すために用いられる。この周囲電場は、汚染粒子205上およびレンズ204の表面上の電荷分布に応じて特定の大きさおよび極性を有するであろう。粒子205が外部印加電場Eの中に配置される場合、粒子205は、粒子の電荷分布/周囲電場と印加電場Eの相互作用の結果として追加の静電力を受けるであろう。発明者らは、この追加の静電力が汚染粒子205をレンズ204に保持する静電力および任意の他の接着力を効果的に克服することで、レンズ204の表面から粒子205を除去するために使用できることを理解している。
【0102】
図7aから図7cでは、一体的な高電圧源ユニットおよび電圧検知装置304によって粒子収集領域301に高電圧が印加されている。高電圧の大きさは、典型的に0から10kVの範囲内である。対物レンズ202は、ケース部品およびレンズを保持するためのマウントを含む複数の金属部分から構築される。典型的に、対物レンズ202の金属部分はグランド電位に保持されるであろう。したがって、高電圧が粒子収集領域301に印加されると、印加電場Eは、図7aから図7cに破線矢印を用いて概略的に示されるように粒子収集領域301と対物レンズ202の間に形成される。既に述べたように、汚染粒子205は電荷分布を有し、印加電場Eと相互作用するであろう。印加電場Eの極性は、一体的な高電圧源ユニットおよび電圧検知装置304を用いて粒子収集領域301に印加される高電圧の極性に直接依存するであろう。一体的な高電圧源ユニットおよび電圧検知装置304は、グランド電位に対して正または負のいずれかの高電圧を生成するよう構成されてもよい。電気絶縁層302は、装置300の他の構成要素および装置300が使用される幅広い計測装置を、粒子収集領域301に印加される高電圧から絶縁する。ガード303がグランド電位に保持されているため、ガードは、印加電場Eが計測装置MTの他の領域に拡散するのを防止する効果を有する。言い換えれば、ガード303は、粒子収集領域301と対物レンズ202およびレンズ204などのクリーニングされるべき構成要素との間の中間領域に印加電場Eを閉じ込めるのを助ける。
【0103】
粒子205を最も効果的に除去するため、発明者らは、印加電場Eの極性が粒子自身によって生じる周囲電場の極性とは逆であるべきことを理解している。これは、印加電場ベクトルEの中で電荷qを有する粒子が受ける静電力がF=qEで与えられるためである。したがって、正の電荷の粒子が負の(構成要素から離れる)力を受けるには、印加電場が負の(構成要素から離れる)方向であるべきであり、一方、負の電荷の粒子が負の(構成要素から離れる)力を受けるには、印加電場が正の(構成要素に向かう)方向であるべきである。対物レンズは典型的にグランド電位に保持されるため、印加電場の方向は、粒子収集領域301に正の電圧が印加される場合に正となり、粒子収集領域に負の電圧が印加される場合に負となるであろう。さらに印加電場の極性とは別に、印加電場Eの大きさも周囲電場の大きさにしたがって決定されるべきである。例えば、より大きな周囲電場は汚染粒子を構成要素に保持するより大きな静電力を示唆するため、構成要素から粒子を引き離すためにより大きい大きさを有する印加電場が必要であろう。本発明は、印加される静電力によって構成要素から汚染粒子205を最も効果的に除去するために、印加電場Eの極性および大きさを(したがって関連して、粒子収集領域301に印加される電圧の大きさおよび極性も)決定するための少なくとも一つの方法を提供する。
【0104】
上述の記載では、粒子収集領域301が周囲電場を検知するための検知要素および印加電場を生成するために高電圧が印加される導電性要素の双方として用いられる。検知要素の動作は、図11の文脈でより詳細に説明される。これは、上記例では収集領域が導電性であるからである。代替的に、粒子収集領域が周囲電場の検知および印加電場の生成の二つの機能を実行する別々の導電性部分/要素を備えてもよいことが理解されよう。さらに、周囲電場の検知は、粒子収集領域の一部を形成しない導電性要素を用いてなされてもよい。
【0105】
上述の記載においておよび以下の記載においても、印加電場Eの極性および大きさが粒子205の周囲電場の極性および大きさに依存してもよいことが言及される。なお、粒子205の周囲電場の極性および大きさに応じて印加電場の大きさを決定することは必須ではないことが留意されよう。また、印加電場Eの極性を決定するために、粒子205の周囲電場の大きさが既知であることが必須ではないことが留意されよう。言い換えれば、汚染粒子に対する静電力が構成要素に向かうのではなく、粒子収集領域に向かうこととなるように、少なくとも印加電場Eの極性が粒子205の周囲電場の極性に依存する。
【0106】
図8aおよび図8bは、上述の印加電場Eを用いて粒子収集領域301にいったん輸送された粒子205を粒子収集領域301から除去するための例示的な粒子除去器700を模式的に示す。図8aは粒子除去器700の側面視を示し、図8bは上面視を示す。粒子除去器700は、概して円筒状のキャップ要素701から構成され、その上部にノズル702が接続される。ノズル702は、キャップ要素701および真空ポンプ703と流体的に連通する。流体は、空気、クリーンな空気または装置内に存在する任意の他のガスであってもよい。キャップ要素701は、粒子収集領域301の表面全体をカバーするように寸法決めされることが好ましい。動作中、真空ポンプ703は、キャップ要素701内の複数の通気口704およびノズル702を通じて空気を引き込む。このようにして生成された乱流気流は、粒子収集領域301上に収集された任意の汚染粒子205を除去可能な吸引力を生じさせる。
【0107】
図9aおよび図9bは、上述の印加電場Eを用いて粒子収集領域301に引きつけられて保持される粒子205を除去するための粒子除去器700の使用を模式的に示す。図9aにおいて、キャップ要素701は、捕獲された汚染粒子205がキャップ要素の下方に存在するように粒子収集領域301の上方に設置されている。対物レンズ202は、キャップ要素701の配置前に、汚染粒子を除去する装置300から離れるように移動させている。図9aにおいて、真空ポンプ703は、まだスイッチオンになっていない。この例において、キャップ要素は、粒子収集領域および電気絶縁領域を完全にカバーし、ガードと部分的に重なるような直径を有する。このようにして、粒子除去器700は、粒子収集領域301のわずかに外側に延びる任意の粒子205の除去にも効果的となる。印加電場Eは、キャップ要素701が粒子収集領域301の上に設置される間、スイッチオンのままである。キャップ要素は、粒子収集領域301と対物レンズ202の間に存在する印加電場Eに顕著に干渉しないように、電気絶縁材料から形成されてもよい。
【0108】
図9bにおいて、真空ポンプ703のスイッチがオンにされ、まだ実行されていなければ、印加電場Eが解除、反転または低減される。キャップ要素701の通気口704内に矢印で示されるような空気の流れが形成される。空気の流れは、真空ポンプ703、キャップ要素701および通気口704のパラメータが適切に選択されていれば、粒子205に作用する吸引力を生成し、その結果、粒子205は、粒子収集領域301の表面からノズル702を通って安全な格納容器に引き込まれる。
【0109】
検査ユニット400は、対物レンズ202を検査して汚染粒子が存在するか否かを決定するために用いられる。検査ユニットは、例えば対物レンズの画像を生成するためのカメラシステムを備えてもよく、その後画像は、オペレータが見たり、ソフトウェアで自動分析したりすることで対物レンズ上の汚染粒子の存在を判断できる。代替的に、検査ユニットは、対物レンズに光線を向け、対物レンズの表面を横切るように光線を2Dスキャンで対物レンズに対して動かしてもよい。検出器は、対物レンズの透過光または対物レンズの表面での反射光の強度を監視し、対物レンズ上に汚染粒子が存在しない場合の既知の状況における較正された強度スキャンと比較してもよい。光線が粒子によって遮蔽されたり、部分的に散乱されたりする場合、検出器で記録される強度にへこみ(ディップ)が生じ、これにより対物レンズ上に汚染粒子が存在することが示されるであろう。
【0110】
計測装置MTの構成要素から汚染粒子を除去する装置300は、印加電場の形成前に、収集領域と構成要素の間の領域に別の電場を誘起させるよう構成される電場誘起器を備えてもよい。電場誘起器は、印加電場の生成に用いるのと同じ構成要素、つまり、導電性粒子収集領域と組み合わされた一体的な高電圧源ユニットおよび電圧検知装置304で形成されてもよい。電場誘起器は、印加電場の生成前に汚染粒子と相互作用する誘起電場を形成するために動作してもよい。例えば、誘起電場は、汚染粒子に電荷分布を与えることで周囲電場に影響を及ぼしてもよい。これは、誘起電場の印加中に電場誘起器に接触するように汚染粒子を配置することでなされてもよい。なお、別の電場から強すぎる力を受けることで汚染粒子205が構成要素202,204と収集領域301の間の領域から離れるように動くことがないように注意しなければならない。
【0111】
計測装置MTの構成要素202,204から汚染粒子を除去するための例示的な方法は、図10を参照しながら以下に説明される。初期ステップS0は、検査ユニット400を用いて構成要素の粒子を検査することを伴う。後続する方法のステップは、S0aでの決定によって構成要素上で検出される粒子の閾値の数に応じてなされてもよい。閾値となる数は1であってもよく、つまり、後続する方法のステップは、対物レンズ上で許容される汚染粒子がゼロとなるよう任意の汚染粒子が検出された場合に実行される。粒子が検出されなければ、計測装置は、固定の時間間隔が経過するまで、または計測装置によって特定回数の測定がなされるまで通常の動作を継続してもよく、方法はステップS0の構成要素の粒子の検査から開始して繰り返されてもよい。これは、構成要素に汚染粒子が存在しない場合に方法全体を不必要に実行することを防ぎ、製造時間への影響を最小化する。しかしながら、ステップS0と決定S0aは選択的であり、代わりに構成要素の粒子の検査ステップが存在しないようにステップS1から方法が開始してもよいことが理解されよう。方法全体は、固定の時間周期またはサイクル数の後に繰り返されてもよく、最初に構成要素の汚染粒子の存在を検査することなく、ステップS1から再開されてもよい。
【0112】
ステップS1にて、電場発生器は、周囲電場に基づいて印加電場Eの極性および大きさを決定する。印加電場の極性および大きさが決定されると、ステップS2にて電場発生器は、決定された極性および大きさで印加電場Eを形成する。印加電場は、収集領域301と構成要素の間に形成され、構成要素から収集領域への粒子の輸送が生じる。
【0113】
収集領域に粒子が輸送されると、ステップS3にて粒子除去器が収集領域から粒子を除去する。粒子除去器は、図8から図9を参照して上述したものであってよく、粒子除去器700のキャップ701を収集領域の上に配置し、真空ポンプ703を動作させてキャップの通気口704を通じて真空ポンプに向けてガスを引き込んでもよい。これは、粒子収集領域から粒子を吸引により除去する作用を有する。ステップS3の間、電場発生器は、吸引による粒子の除去を助けるために、印加電場Eの大きさを低減、印加電場Eの極性を反転または印加電場Eを完全に解除するであろう。これは、一体的な高電圧源ユニットおよび電圧検知装置304を用いて粒子収集領域301に印加される高電圧の大きさを低減することによりなされてもよい。このようにして印加電場の大きさを低減することにより、粒子205がしっかりと粒子収集領域301に保持されたままとなり、かつ、長い時間周期にわたって完全な大きさの印加電場Eが維持される場合に比べて構成要素の寿命が延びることが期待される。同様に、対物レンズ202は、粒子205が収集されてからすぐまたは直後に粒子収集領域301から離れるように移動してもよい。
【0114】
図10の方法は、固定の時間間隔の経過後または特定回数の計測測定の実行後に繰り返されてもよく、ステップS0にて検査ユニットにより粒子が検出されずにステップS1-S3がスキップされる場合においても同様であってよい。このようにして、粒子除去方法は、継続的に周期的に実行されるが、必要に応じてオペレータの要求に基づいて手動でも実行できることが理解されよう。
【0115】
ステップS1の周囲電場に基づく印加電場の極性および大きさの決定は、図11を参照しながらさらに詳細に記載される。まず、ステップS1aにて、一体的な高電圧源ユニットおよび電圧検知装置304の高電圧がスイッチオフになり、粒子収集領域301がグランド電位に対して電気的に浮遊するよう構成される。次にステップS1bにて、対物レンズ202が移動ステージ201によって装置300の粒子収集領域301の真下に位置するように移動させられる。その後、粒子205により生じる周囲電場は、極性および大きさを決定するために検知される。粒子収集領域301と、一体的な高電圧源ユニットおよび電圧検知装置304とは、周囲電場の極性および大きさを検知するためにチャージプレートモニタと同様の構成で用いられる。この機能を実行する際、ステップS1cにて粒子収集領域301は、一体的な高電圧源ユニットおよび電圧検知装置304の電圧検知装置に(例えばスイッチによって)接続される。ステップS1dにて、周囲電場により粒子収集領域301に誘起される電圧の大きさおよび極性が電圧検知装置を用いて測定される。ステップS1eにて、粒子収集領域に誘起する電圧の大きさおよび極性から周囲電場の大きさおよび極性が推測される。例えば、対物レンズ202がグランド電位に保持され、粒子収集領域に誘起される電圧が測定されることから、周囲電場は、誘起電圧を粒子収集領域301と対物レンズ202の分離距離で除算することで推測されてもよい。最後にステップS1fにて、推測した周囲電場の大きさおよび極性に応じて印加電場Eの大きさおよび極性が決定される。これは、粒子収集領域301に印加した場合に決定された印加電場Eを生じさせる高電圧の大きさおよび極性を決定することを含み、また、粒子収集領域301と対物レンズ202の分離距離を考慮することを含んでもよい。
【0116】
ステップS1fにて決定される高電圧は、対物レンズ202と粒子収集領域301の間で電気的破壊が生じないように制約されてもよい。また、電気的破壊が発生する可能性をさらに低減するため、印加電場Eの印加中における対物レンズ202と粒子収集領域301の間の最小分離距離に制約が置かれてもよい。さらに、高電圧の決定および高電圧によって生じる印加電場Eの決定は、実験データによるライブラリの参照および/または装置の静電的有限要素モデルの使用を含んでもよい。これは、粒子を構成要素に保持する接着力の推定値、および/または、粒子を構成要素に保持するファンデルワールス力の推定値を考慮することを含んでもよい。これは、粒子が周囲電場に起因する静電力のみによって構成要素に保持されているとは限らず、例えば接着力に影響されているかもしれないためである。これらの追加の力は、静電力とともに、構成要素から粒子収集領域への粒子の輸送を成功させるために克服されなければならない。コンピュータモデルまたはライブラリデータは、これらの追加の力の寄与を考慮することで、粒子収集領域への粒子の輸送を生じさせるであろう印加電場の大きさおよび極性の正確な決定を助けてもよい。
【0117】
ステップS1fにて決定される印加電場を生じさせる電圧の極性は、周囲電場によって粒子収集領域に誘起される電圧の極性とは逆になるであろう。これは、粒子205を粒子収集領域301に向けて引きつけるためには、周囲電場とは逆の極性を有する印加電場Eを形成するためである。仮に周囲電場と印加電場の極性が同じであれば、粒子205は粒子収集領域301から跳ね返され、計測装置の他の領域に輸送されるかもしれず、これは望ましくない。
【0118】
図11を参照しながら上述した方法にしたがって高電圧/印加電場Eの極性および大きさが決定されると、一体的な高電圧源ユニットおよび電圧検知装置304の高電圧源は、決定された高電圧でスイッチオンとなる。これは、粒子収集領域301と対物レンズ202の間の領域に印加電場Eを形成する。つまり上述のステップS2である。これは、粒子を対物レンズ202に保持する総合力(静電力、接着力および重力の合計)を克服する静電力を粒子205に生じさせ、図7bおよび図7cに示されるように粒子205を対物レンズ202から粒子収集領域301の表面に輸送する。図7cのように粒子205が粒子収集領域301の表面に到達すると、後続の除去ステップS3が生じるまで、粒子は印加電場Eによってその場に保持される。
【0119】
本文中では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用への具体的な参照がなされたが、本書に記載されるリソグラフィ装置は、他の用途にも応用できることが理解されよう。可能性のある他の応用には、集積光学システム、磁気ドメインメモリ、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造が含まれる。
【0120】
本文中では、リソグラフィ装置の文脈で本発明の実施の形態への具体的な参照がなされたが、本発明の実施の形態は、他の装置で使用されてもよい。本発明の実施の形態は、マスク検査装置、想定パターンからのずれを検知するウェハ検査装置、リソグラフィ装置、またはウェハ(または他の基板)またはマスク(または他のパターニングデバイス)などの対象物を測定または処理する任意の装置の一部を形成してもよい。これらの装置は、一般にリソグラフィツールと呼ばれてもよい。このようなリソグラフィツールは、真空条件または大気(非真空)条件を使用してもよい。
【0121】
光学リソグラフィの文脈において本発明の実施の形態の使用への具体的な参照が上記でなされたが、文脈が許す限り、本発明は光学リソグラフィに限られず、他の用途、例えばインプリントリソグラフィで使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0122】
コンピュータプログラムは、上述した方法のいずれかを提供するように構成されてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体上に提供されてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータプログラム製品であってもよい。製品は、非一時的なコンピュータ利用可能記憶媒体を備えてもよい。コンピュータプログラム製品は、方法を実行するよう構成された媒体に実装されたコンピュータ可読プログラムコードを有してもよい。コンピュータプログラム製品は、少なくとも一つのプロセッサに方法の一部または全部を実行させるよう構成されてもよい。
【0123】
様々な方法および装置は、コンピュータに実装された方法、装置(システムおよび/またはデバイス)および/またはコンピュータプログラム製品のブロック図またはフローチャートを参照しながら本書に記載される。ブロック図のブロックおよび/またはフローチャートの図示、および、ブロック図のブロックの組み合わせおよび/またはフローチャートの図示は、一以上のコンピュータ回路によって実行されるコンピュータプログラム命令によって実行可能であることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ回路、特殊用途コンピュータ回路および/または機械を製造するための他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ回路に提供されてもよい。コンピュータおよび/または他のプログラム可能なデータ処理装置を介して実行される指令は、ブロック図および/またはフローチャートブロックで特定される機能および動作を実現するために、このような回路内のトランジスタ、メモリ位置に記憶された値、および他のハードウェア構成要素を変換および制御してもよい。これにより、ブロック図および/またはフローチャートブロックで特定される機能/動作を実行するための手段(機能)および/または構造が生成されてもよい。
【0124】
また、コンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置を特定の方法で機能させるように指示できるコンピュータ可読媒体に格納されてもよい。そのようなコンピュータ可読媒体に格納された命令は、ブロック図および/またはフローチャートブロックで特定される機能/動作を実現する命令を含む製造物品を生成してもよい。
【0125】
有形の非一時的なコンピュータ可読媒体は、電子式、磁気式、光学式、電磁気式、または半導体のデータ記憶システム、装置、またはデバイスを含んでもよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例は、ポータブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)回路、読取専用メモリ(ROM)回路、消去可能なプログラマブル読取専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)回路、ポータブルコンパクトディスク読取専用メモリ(CD-ROM)およびポータブルデジタルビデオディスク読取専用メモリ(DVD/ブルーレイ)を含む。
【0126】
また、コンピュータプログラム命令は、コンピュータおよび/または他のプログラム可能なデータ処理装置にロードされ、一連の動作ステップがコンピュータおよび/または他のプログラム可能な装置で実行されるようにしてコンピュータで実現されるプロセスを生成し、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置で実行される命令は、ブロック図および/またはフローチャートブロックで特定される機能/動作を実現するためのステップを提供する。
【0127】
さらなる実施の形態は、以下の付番された項によって与えられる。
(項1)装置の構成要素から汚染粒子を除去するための装置であって、前記汚染粒子は、周囲電場を発生させるものであり、前記装置は、
粒子を引きつけるための収集領域であって、前記構成要素と前記収集領域の少なくとも間に前記周囲電場がある収集領域と、
前記収集領域と前記構成要素の間に印加電場を形成して前記構成要素から前記収集領域への前記粒子の輸送を生じさせるよう構成される電場発生器と、を備え、
前記電場発生器は、前記周囲電場に基づいて前記印加電場の極性を決定するよう構成される装置。
(項2)前記印加電場の極性は、前記周囲電場の極性と逆である、項1に記載の装置。
(項3)前記電場発生器は、前記周囲電場の大きさ、前記粒子を前記構成要素に保持する接着力の推定値、および、前記粒子を前記構成要素に保持するファンデルワールス力の推定値のうちの一以上に基づいて、前記印加電場の大きさを決定するよう構成される、項1または2に記載の装置。
(項4) 前記収集領域の少なくとも一部が導電性であり、前記電場発生器は、前記収集領域の前記少なくとも一部に電圧を印加することにより前記印加電場を形成するように構成される電圧源を備える、上記項のいずれかに記載の装置。
(項5)前記印加電場を形成する前に前記周囲電場の極性を検知するよう構成される電場センサをさらに備え、前記センサは、選択的に前記印加電場を形成する前に前記周囲電場の大きさを検知するよう構成される、上記項のいずれかに記載の装置。
(項6)前記電場センサは、導電性要素を備え、前記周囲電場を検知することは、前記周囲電場により前記導電性要素に誘起される電圧を監視することを備える、項5に記載の装置。
(項7)前記周囲電場を検知する際に前記導電性要素の電圧を浮遊可能にするよう構成される、項6に記載の装置。
(項8)前記印加電場の大きさは、前記検知される周囲電場の大きさ、および、前記構成要素と前記導電性要素および/または前記収集領域との間の距離の少なくとも一方に基づいて決定される、項5から7のいずれかに記載の装置。
(項9)前記収集領域は、前記導電性要素を備える、項5から8のいずれかに記載の装置。
(項10)前記印加電場を形成する前に、選択的に前記収集領域が前記汚染粒子と接触する間、前記収集領域と前記構成要素の間の領域に別の電場を誘起させるよう構成される電場誘起器をさらに備える、上記項のいずれかに記載の装置。
(項11)前記構成要素は、光学システムの対物レンズである、上記項のいずれかに記載の装置。
(項12)前記印加電圧の大きさは、0Vから10kVの範囲内である、項4を直接または間接的に引用する上記項のいずれかに記載の装置。
(項13)前記印加電圧の大きさは、前記構成要素と前記収集領域の間の電気的破壊を防ぐように決定される、項12に記載の装置。
(項14)前記構成要素は、グランド電位に保持される、上記項のいずれかに記載の装置。
(項15)前記構成要素の粒子を検査する初期ステップを実行するよう構成される検査ユニットをさらに備え、前記電場発生器は、前記構成要素上で検出される粒子の閾値の数に応じて印加電場を形成するよう構成される、上記項のいずれかに記載の装置。
(項16)前記電場発生器は、前記周囲電場の極性および/または大きさを入力として取得し、実験データによるライブラリの参照および/または装置の静電的有限要素モデルに基づいて、前記印加電場の極性および/または極性を決定するよう構成される、上記項のいずれかに記載の装置。
(項17)前記印加電場の形成前に、前記構成要素を前記収集領域の真上に位置するように移動させる、または、前記収集領域を前記構成要素の真下に位置するように移動させる、上記項のいずれかに記載の装置。
(項18)前記粒子を前記収集領域から除去するよう構成される粒子除去器をさらに備える、上記項のいずれかに記載の装置。
(項19)前記粒子除去器は、真空ポンプを備え、前記収集領域からの前記粒子の除去は、吸引による、項18に記載の装置。
(項20)前記収集領域の上方に配置されるキャップをさらに備え、前記キャップは、前記真空ポンプと流体的に連通する通気口を有し、前記真空ポンプの動作時に前記収集領域を横切って前記真空ポンプに向かうガスを前記通気口を通じて引き込むよう構成される、項19に記載の装置。
(項21)前記電場発生器は、前記真空ポンプの動作前または動作中に前記印加電場の大きさを低減するように構成される、項18から20のいずれかに記載の装置。
(項22)前記電場発生器は、前記真空ポンプの動作前または動作中に前記印加電場を解除するよう構成される、項21に記載の装置。
(項23)前記電場発生器は、前記真空ポンプの動作前または動作中に前記印加電場の極性を反転するよう構成される、項21に記載の装置。
(項24)前記収集領域の周縁にあるガードをさらに備え、前記ガードは、前記収集領域に隣接する領域内に前記印加電場を保持するよう構成される、上記項のいずれかに記載の装置。
(項25)前記ガードの少なくとも一部は導電性であり、グランド電位に保持される、項24に記載の装置。
(項26)前記構成要素は、計測装置のものである、項1から25のいずれかに記載の装置。
(項27)装置の構成要素から汚染粒子を除去する方法であって、前記汚染粒子は、周囲電場を発生させるものであり、前記装置は、前記粒子を引きつけるための収集領域を備え、前記周囲電場は、前記構成要素と前記収集領域の少なくとも間にあり、前記方法は、
前記周囲電場に基づいて印加電場の極性を決定することと、
電場発生器により前記収集領域と前記構成要素の間に前記印加電場を形成して前記構成要素から前記収集領域への前記粒子の輸送を生じさせることと、を備える方法。
(項28)前記印加電場の極性および/または大きさを決定することは、前記周囲電場の大きさ、前記粒子を前記構成要素に保持する接着力の推定値、および、粒前記子を前記構成要素に保持するファンデルワールス力の推定値の少なくとも一つに基づく、項27に記載の方法。
(項29)前記電場発生器は、電圧源を備え、前記印加電場を形成することは、導電性である前記収集領域の一部に前記電圧源が電圧を印加することを備える、項27または28に記載の方法。
(項30)前記印加電場を形成する前に前記周囲電場の極性を電場センサによって検知することをさらに備え、選択的に、前記印加電場を形成する前に前記周囲電場の大きさを電場センサによって検知することをさらに備える、項27から29のいずれかに記載の方法。
(項31)前記電場センサは、導電性要素を備え、前記周囲電場を検知することは、前記周囲電場によって前記導電性要素に誘起される電圧を監視することを備える、項30に記載の方法。
(項32)前記周囲電場を検知する際に前記導電性要素の電圧を浮遊可能にすることをさらに備える、項31に記載の方法。
(項33)前記検知される周囲電場の大きさ、および、前記構成要素と前記導電性要素および/または前記収集領域との間の距離のうちの少なくとも一方に基づいて、前記印加電場の大きさを決定することをさらに備える、項30から32のいずれかに記載の方法。
(項34)前記印加電場を形成する前に、選択的に前記収集領域が前記汚染粒子に接触可能となる間、前記収集領域と前記構成要素の間の領域に別の電場を電場誘起器によって誘起させることをさらに備える、項27から33のいずれかに記載の方法。
(項35)前記印加電場の大きさは、0Vから10kVの範囲内である、項27から34のいずれかに記載の方法。
(項36)前記構成要素と前記収集領域の間の電気的破壊を防ぐように前記印加電場の大きさを決定することをさらに備える、項35に記載の方法。
(項37)前記構成要素をグランド電位に保持することをさらに備える、項27から36のいずれかに記載の方法。
(項38)検査ユニットによって前記構成要素の粒子を検査する初期ステップをさらに備え、前記電場発生器は、前記構成要素上で検出される粒子の閾値の数に応じて前記印加電場を形成する、項27から37のいずれかに記載の方法。
(項39)前記周囲電場の極性および/または大きさを入力として取得し、実験データによるライブラリの参照および/または前記装置の静電的有限要素モデルに基づいて、前記印加電場の極性および/または大きさを前記電場発生器が決定することをさらに備える、項27から38のいずれかに記載の方法。
(項40)前記印加電場の形成前に、前記構成要素を前記収集領域の真上に位置するよう移動させること、または、代替的に前記収集領域を前記構成要素の真下に位置するよう移動せることをさらに備える、項27から39のいずれかに記載の方法。
(項41)粒子除去器が前記収集領域から前記粒子を除去することをさらに備える、項27から40のいずれかに記載の方法。
(項42)前記粒子除去器は、真空ポンプを備え、前記収集領域からの前記粒子の除去は、吸引による、項41に記載の方法。
(項43)前記収集領域の上方にキャップを配置することをさらに備え、前記キャップは、前記真空ポンプと流体的に連通する通気口を有し、前記収集領域を横切って前記真空ポンプに向かうガスを前記通気口を通じて引き込むように真空ポンプを動作させる、項42に記載の方法。
(項44)前記真空ポンプの動作前または動作中に前記電場発生器が前記印加電場の大きさを低減することをさらに備える、項41から43のいずれかに記載の方法。
(項45)前記真空ポンプの動作前または動作中に前記電場発生器が前記印加電場を解除することをさらに備える、項44に記載の方法。
(項46)前記真空ポンプの動作前または動作中に前記電場発生器が前記印加電場の極性を反転することをさらに備える、項44に記載の方法。
(項47)前記収集領域の周縁に配置されるガードをグランド電位に保持し、前記収集領域に隣接する領域内の前記印加電場を保持することをさらに備える、項27から46のいずれかに記載の方法。
(項48)前記構成要素は、計測装置のものである、項27から47のいずれかに記載の方法。
(項49)少なくとも一つのプロセッサ上で実行される際、前記少なくとも一つのプロセッサに装置を制御させて項27から48のいずれかに記載の方法を実行させる命令を備えるコンピュータプログラム。
(項50)項49に記載のコンピュータプログラムを含む担体であって、電気信号、光信号、無線信号または非一時的なコンピュータ可読記憶媒体のうちの一つである担体。
(項51)項1から26のいずれかに記載の装置を備える計測装置。
(項52)項1から26または項51のいずれかに記載の装置を備えるリソグラフィ装置。
(項53)項52に記載の装置を備えるリソグラフィセル。
(項54)装置の構成要素から汚染粒子を除去するための装置であって、前記汚染粒子は、周囲電場を発生させるものであり、前記装置は、
粒子を引きつけるための収集領域であって、前記構成要素と前記収集領域の少なくとも間に前記周囲電場がある収集領域と、
電場発生器と、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記周囲電場に基づいて印加電場の極性を決定するステップと、
前記電場発生器により前記収集領域と前記構成要素の間に前記印加電場を形成して前記構成要素から前記収集領域への前記粒子の輸送を生じさせるステップと、を実行するよう構成される装置。
【0128】
したがって、本発明は、集合的に「回路」、「モジュール」またはこれらの別体と称されうるプロセッサ上で実行されるハードウェアおよび/またはソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)において実施されてもよい。
【0129】
また、いくつかの代替の実施例では、ブロックに記載される機能/動作がフローチャートに記載される順序とは異なる順序で生じてもよいことが留意されよう。例えば、連続して示される二つのブロックは、関連する機能/動作に応じて、実際には実質的に同時に実行されてもよいし、場合によっては逆の順序で実行されてもよい。さらに、フローチャートおよび/またはブロック図に与えられるブロックの機能は、複数のブロックに分離されてもよいし、および/または、フローチャートおよび/またはブロック図の二以上のブロックの機能は、少なくとも部分的に一体化されてもよい。最後に、図示されるブロックの間に他のブロックが追加または挿入されてもよい。
【0130】
本発明の特定の実施の形態が上述されたが、本発明は上記とは異なる態様で実施されてもよいことが理解されよう。上述の記載は、例示を意図し、限定を意図しない。したがって、以下に記載の特許請求の範囲から逸脱しない限り、記載される発明に改変がなされてもよいことは当業者にとって明らかであろう。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図9a
図9b
図10
図11