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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】基板ホルダ及び基板ホルダ製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20221201BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G03F7/20 501
H01L21/68 N
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021078268
(22)【出願日】2021-05-06
(62)【分割の表示】P 2019194121の分割
【原出願日】2013-01-17
(65)【公開番号】P2021121865
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】61/594,857
(32)【優先日】2012-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/621,648
(32)【優先日】2012-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/621,660
(32)【優先日】2012-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ラファーレ,レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】ドンデルス,ソヘルド
(72)【発明者】
【氏名】テン ケイト,ニコラース
(72)【発明者】
【氏名】トジオムキナ,ニナ
(72)【発明者】
【氏名】カラデ,ヨゲシュ
(72)【発明者】
【氏名】ローデンブルク,エリザベス
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-024954(JP,A)
【文献】特開2008-135736(JP,A)
【文献】特表2011-530833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置で使用する基板ホルダであって、
第1の面及び前記第1の面に対向する第2の面を有する本体と、
前記本体の前記第1の上に提供され基板を支持する端面を有する第1の複数のバールと、
前記本体の前記第2の上に提供される第2の複数のバールと、を備え、
少なくとも前記複数の第1のバールの各々が、前記本体から突き出している下側本体部分及び前記下側本体部分の上方の上側本体部分を備え、前記第1の複数のバールの前記下側本体部分のうちの少なくとも1つが、前記各々の上側本体部分と異なる材料を含み、前記上側本体部分が、耐摩耗材料を含み、
前記複数の第1のバール及び/又は前記複数の第2のバールが、200μm~500μmの範囲の直径を有する、基板ホルダ。
【請求項2】
前記本体が、ージェライト、SiC、AlN、SiSiC、セラミック及びガラスセラミックからなる群から選択した少なくとも1つの材料を含む、請求項1に記載の基板ホルダ。
【請求項3】
前記複数の第1のバール及び/又は前記複数の第2のバールのうちの少なくとも1つが、Ti、Si、溶融石英、コージェライト、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、SiC、SiO、AlN、TiN及びCrNからなる群から選択した少なくとも1つの材料を含む、請求項1又は2に記載の基板ホルダ。
【請求項4】
前記下側本体部分が、SiC、SiO、TiN及びCrNからなる群から選択した少なくとも1つの材料を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板ホルダ。
【請求項5】
前記耐摩耗材料が、ダイヤモンド又はダイヤモンドライクカーボンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板ホルダ。
【請求項6】
耐摩耗特性を向上させるようにダイヤモンド及び/又はダイヤモンドライクカーボンの粒子を前記上側本体部分にさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板ホルダ。
【請求項7】
前記ダイヤモンド及び/又はダイヤモンドライクカーボンの粒子が、前記基板に接触するように配置される、請求項6に記載の基板ホルダ。
【請求項8】
前記本体が、前記複数の第1のバール及び/又は前記複数の第2のバールと異なる材料で形成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の基板ホルダ。
【請求項9】
少なくとも前記本体との能動的な熱伝導を可能にするヒータをさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の基板ホルダ。
【請求項10】
前記基板ホルダ及び/又は前記基板の温度を監視する少なくとも1つのセンサをさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の基板ホルダ。
【請求項11】
前記複数の第1のバール間の間隔及び/又は前記複数の第2のバール間の間隔が、1.5mm~3mmの間である、請求項1~10のいずれか一項に記載の基板ホルダ。
【請求項12】
前記第1の及び前記第2ののうちの少なくとも1つの上に形成された薄膜層をさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の基板ホルダ。
【請求項13】
前記薄膜層の厚さが、2nm~100μmの範囲である、請求項12に記載の基板ホルダ。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の前記基板ホルダを備えるリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
[0001] 本出願は、2012年2月3日出願の米国仮出願第61/594,857号、2012年4月9日出願の米国仮出願第61/621,648号及び2012年4月9日出願の米国仮出願第61/621,660号の利益を主張し、その全体を参照により本明細書に組み込むものとする。
【0002】
[0002] 本発明は、基板ホルダ、リソグラフィ装置、デバイス製造方法、及び基板ホルダ製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板の目標部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。この場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上の目標部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、連続してパターンが与えられる隣接した目標部分のネットワークを含んでいる。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体を目標部分に1回で露光することによって各目標部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各目標部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
【0004】
[0004] 投影システムの最終要素と基板の間の空間を充填するように、リソグラフィ投影装置内の基板を水などの比較的高い屈折率を有する液体に液浸することが提案されている。ある実施形態では、液体は蒸留水であるが、別の液体を使用することもできる。本発明の実施形態は、液体について説明されている。しかしながら、別の流体、特にウェッティング流体、非圧縮性流体及び/又は屈折率が空気より高い、望ましくは屈折率が水より高い流体が適切なこともある。気体を除く流体が特に望ましい。そのポイントは、露光放射は液体中のほうが波長が短いので、結像するフィーチャの小型化を可能にすることである(液体の効果は、システムの有効開口数(NA)を大きくでき、焦点深さも大きくすることと見なすこともできる)。固体粒子(例えば石英)が懸濁している水、又はナノ粒子の懸濁(例えば最大10nmの最大寸法の粒子)がある液体などの他の液浸液も提案されている。懸濁粒子は、これが懸濁している液体と同様の屈折率又は同じ屈折率を有しても、有していなくてもよい。適切になり得る他の液体は、芳香族などの炭化水素、フルオロハイドロカーボン、及び/又は水溶液である。
【0005】
[0005] 従来のリソグラフィ装置では、露光される基板を基板ホルダによって支持することもでき、基板ホルダは基板テーブルによって支持される。基板ホルダは、多くの場合、サイズ及び形状が基板に対応する平坦で剛性の円板である(しかし、異なるサイズ又は形状であってもよい)。基板ホルダは、バール又はピンプルと呼ばれる少なくとも一方側から突出するアレイ状の突起を有する。ある実施形態では、基板ホルダは対向する2つの側にアレイ状の突起を有する。この場合、基板ホルダが基板テーブル上に載置されると、基板ホルダの本体は基板テーブルから上方に僅かな距離を隔てて保持され、基板ホルダの一方側にあるバールの端部は基板テーブルの表面上にある。同様に、基板が基板ホルダの反対側にあるバールの上部に載置される場合は、基板は基板ホルダの本体から離隔される。この一つの目的は、基板テーブル又は基板ホルダ上に存在するかもしれない粒子(すなわち、粉塵粒子などの汚染粒子)により基板ホルダ又は基板が歪むのを防止する助けとなることである。バールの全表面は基板又は基板ホルダの全表面の僅かな部分にすぎないので、何らかの粒子がバール間にあっても、その存在は影響を及ぼさない可能性が高い。
【0006】
[0006] 高スループットのリソグラフィ装置を使用する際に基板が経験する高い加速度により、基板を単に基板ホルダのバールに載置できるようにするだけでは不十分である。基板は所定の位置にクランプされる。基板を所定の位置にクランプする方法が2つ知られている。すなわち、真空クランプと静電クランプである。真空クランプでは、基板ホルダと基板の間、及び任意選択で基板テーブルと基板ホルダの間の空間は一部が排気され、したがって基板は、それより上にある気体又は液体のほうが圧力が高いことによって所定の位置に保持される。しかしながら、基板又は基板ホルダ付近のビーム経路及び/又は環境が低圧又は非常に低圧に維持される場合、例えば極紫外線(EUV)放射リソグラフィの場合は、真空クランプが実現可能でない場合がある。この場合は、基板(又は基板ホルダ)全体にそれをクランプするほど十分大きな圧力差を生成することが不可能な場合がある。したがって、このような状況(又は他の状況)では、静電クランプを使用することができる。静電クランプでは、基板テーブル及び/又は基板ホルダ上に備えられた電極が例えば10~5000Vの高電位に上昇し、静電力が基板を引き付ける。したがって、バールの別の目的は、静電クランプを可能にするために、基板、基板ホルダ及び基板テーブルを離間させることである。
【0007】
[0007] バールは、リソグラフィ装置内の様々な場所、例えば、マスクなどのパターニングデバイスの支持体、基板グリッパ又はパターニングデバイスハンドリング装置、及び/又はレチクルクランプ内で使用できる。様々な場所にあるバールは、その寸法とその他の物理的特性の1つ以上に関する様々な要件を有することがあってもよい。異なる製造方法を適用してもよい。多くの場合、1つ以上のバールの損傷がコンポーネント全体の交換を必要とする場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[0008] 例えば、形状、サイズ及び/又は組成が異なるバールを有する、リソグラフィ装置で使用するオブジェクトホルダと、そのようなバールを有するオブジェクトホルダの製造方法とを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0009]本発明の一態様によれば、リソグラフィ装置で使用するオブジェクトホルダの製造方法が提供される。方法は、表面を有する本体を提供するステップと、表面から突き出し、オブジェクトを支持する端面を有する複数のバールを表面上に形成するステップと、を含み、少なくとも1つのバールの少なくとも一部の形成ステップは、レーザ焼結を含む。
【0010】
[0010] 本発明の一態様によれば、リソグラフィ装置で使用するオブジェクトホルダが提供される。オブジェクトホルダは、表面を有する本体と、表面上に提供され、オブジェクトを支持する端面を有する複数のバールと、を備え、少なくとも1つのバールの少なくとも一部はレーザ焼結によって形成される。
【0011】
[0011] 本発明の一態様によれば、パターニングデバイスを支持するように構成された支持構造と、パターニングデバイスによってパターン形成されたビームを基板上に投影するように配置された投影システムと、基板を保持するように配置された基板ホルダと、を備えるリソグラフィ装置が提供される。
【0012】
[0012] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[0013]本発明のある実施形態によるリソグラフィ装置を示す。
図2】[0014]リソグラフィ投影装置で使用する液体供給システムを示す。
図3】[0014]リソグラフィ投影装置で使用する液体供給システムを示す。
図4】[0015]リソグラフィ投影装置で使用する別の液体供給システムを示す。
図5】[0016]液浸液体供給システムとして本発明のある実施形態で使用することができるバリア部材を断面図で示す。
図6】[0017]本発明の実施形態によるリソグラフィ装置を示す。
図7】[0018]装置4100のより詳細な図である。
図8】[0019]図6及び図7の装置のソースコレクタ装置SOのより詳細な図である。
図9】[0020]本発明の実施形態による基板テーブル及び基板ホルダの断面図を示す。
図10A】[0021]本発明のある実施形態による基板ホルダ製造方法のステップを示す図である。
図10B】[0021]本発明のある実施形態による基板ホルダ製造方法のステップを示す図である。
図10C】[0021]本発明のある実施形態による基板ホルダ製造方法のステップを示す図である。
図10D】[0021]本発明のある実施形態による基板ホルダ製造方法のステップを示す図である。
図10E】[0021]本発明のある実施形態による基板ホルダ製造方法のステップを示す図である。
図11】[0022]本発明のある実施形態による基板ホルダを示す。
図12】[0023]本発明のある実施形態によるパターニングデバイスの支持構造を示す。
図13】[0024]本発明のある実施形態による支持構造の一部の平面図を示す。
図14】[0025]図13の支持構造の断面図を示す。
図15】[0026]本発明のある実施形態による基板ホルダ及びグリッパを示す。
図16】[0027]本発明のある実施形態による基板テーブルを示す。
図17A】[0028]本発明のある実施形態による基板ホルダの補修方法のステップを示す。
図17B】[0028]本発明のある実施形態による基板ホルダの補修方法のステップを示す。
図17C】[0028]本発明のある実施形態による基板ホルダの補修方法のステップを示す。
図18A】[0029]本発明のある実施形態による基板ホルダの補修方法のステップを示す。
図18B】[0029]本発明のある実施形態による基板ホルダの補修方法のステップを示す。
図18C】[0029]本発明のある実施形態による基板ホルダの補修方法のステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0030] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。この装置は、
[0031] -放射ビームB(例えばUV放射、DUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
[0032] -パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
[0033] -基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
[0034] -パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wの目標部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSと、を備える。
【0015】
[0035] 照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はその任意の組み合わせなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
【0016】
[0036] 支持構造MTはパターニングデバイスMAを保持する。支持構造MTは、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法でパターニングデバイスを保持する。この支持構造MTは、パターニングデバイスを保持するために、機械式、真空式、静電式等のクランプ技術を使用することができる。支持構造MTは、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造MTは、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0017】
[0037] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板の目標部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板の目標部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などの目標部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0018】
[0038] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
【0019】
[0039] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、屈折型光学システム、反射型光学システム、反射屈折型光学システム、磁気型光学システム、電磁型光学システム及び静電型光学システム、又はそれらの任意の組み合わせを含む任意のタイプのシステムを包含するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0020】
[0040] 本明細書で示すように、本装置は、(例えば透過マスクを使用する)透過タイプである。あるいは、装置は、(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)反射タイプでもよい。
【0021】
[0041] リソグラフィ装置は、基板ステージ又は基板テーブルなどの2つ以上の基板支持構造、及び/又はパターニングデバイス用の2つ以上の支持構造を有するタイプのものであってもよい。複数の基板ステージを有する装置では、すべての基板ステージは同等のものでもよく、互換性がある。ある実施形態では、複数の基板ステージの少なくとも1つは特に露光ステップに適合しており、複数の基板ステージの少なくとも1つは特に測定又は予備工程に適合している。本発明のある実施形態では、複数の基板ステージの1つ以上が測定ステージに置き換えられる。測定ステージは、センサ検出器及び/又はセンサシステムのターゲットなどの1つ以上のセンサシステムの少なくとも一部を含むが、基板を支持しない。測定ステージは、基板ステージ又はパターニングデバイス用の支持構造の代わりに投影ビーム内で位置決め可能である。このような装置では、追加のステージを併用してもよく、又は1つ以上の別のステージを露光用に使用している間に1つ以上のステージで予備工程を実行してもよい。
【0022】
[0042] 図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDを用いて、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0023】
[0043] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するアジャスタAMを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。放射源SOと同様、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一部を形成すると考えてもよいし、又は考えなくてもよい。例えば、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一体化部分であってもよく、又はリソグラフィ装置とは別の構成要素であってもよい。後者の場合、リソグラフィ装置は、イルミネータILをその上に搭載できるように構成することもできる。任意選択として、イルミネータILは着脱式であり、(例えば、リソグラフィ装置の製造業者又は別の供給業者によって)別に提供されてもよい。
【0024】
[0044] 放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wの目標部分C上に合焦させる。基板Wは、以下に詳述する本発明のある実施形態による基板ホルダによって基板テーブルWT上に保持されている。第2のポジショナPWと位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTは、例えば、様々な目標部分Cを放射ビームBの経路に位置決めできるように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の(図1には明示されていない)位置センサを用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後、又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めできる。一般に、支持構造MTの移動は、第1のポジショナPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用の目標部分を占有するが、目標部分の間の空間に位置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして知られている)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイを設ける状況では、パターニングデバイスアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0025】
[0045] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
【0026】
[0046] 1.ステップモードにおいては、支持構造MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回で目標部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別の目標部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成される目標部分Cのサイズが制限される。
【0027】
[0047] 2.スキャンモードにおいては、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンが目標部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光における目標部分Cの(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによって目標部分Cの(スキャン方向における)高さが決まる。
【0028】
[0048] 3.別のモードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンを目標部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0029】
[0049] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも使用できる。
【0030】
[0050] 多くのリソグラフィ装置では、結像するフィーチャの小型化及び/又は装置の有効NAの増加を可能にするために、液体供給システムIHを使用して投影システムの最終要素間に流体、特に液体を提供する。このような液浸装置に関して本発明の実施形態を以下でさらに説明するが、非液浸装置でも本発明の実施形態は等しく実施することができる。投影システムの最終要素と基板との間に液体を提供する構成は、少なくとも2つの一般的カテゴリに分類される。これらは、浴槽タイプ構成と、いわゆる局所液浸システムである。浴槽タイプ構成では、実質的に基板の全体及び任意選択として基板テーブルの一部が液体の浴槽内に浸漬される。局所液浸システムは、液体が基板の局所領域にのみ提供される液体供給システムを使用する。後者のカテゴリでは、液体によって充填される空間は、平面視で基板の上面より小さく、液体で充填される領域は、基板がその領域の下を移動する間、投影システムに対して実質的に静止している。本発明のある実施形態が指向する別の構成は、液体が閉じ込められないオールウェット解決策である。この構成では、実質的に基板の上面全体と基板テーブルの全部又は一部が液浸液に覆われる。少なくとも基板を覆う液体の深さは小さい。液体は、基板上の液体の薄膜などの膜であってもよい。
【0031】
[0051] 図2図5には、4つの異なるタイプの局所液体供給システムが示されている。図2図5の液体供給デバイスのいずれも非閉じ込めシステムで使用することができる。しかし、封止特徴部は存在しないか、活性化されていないか、通常のものより効率が落ちるか、又はその他の点で液体を局所領域にのみ封止する効果がない。
【0032】
[0052] 局所液浸システムに対して提案されている構成の1つは、液体供給システムが液体閉じ込めシステムを使用して、基板の局所領域に、及び投影システムの最終要素と基板の間にのみ液体を提供する(基板は通常、投影システムの最終要素より大きい表面積を有する)。これを構成するために提案されている1つの方法が、PCT特許出願公開WO99/49504号に開示されている。図2及び図3に図示されているように、液体が少なくとも1つの入口によって基板上に、望ましくは最終要素に対する基板の動作方向に沿って供給され、投影システムの下を通過した後に少なくとも1つの出口によって除去される。すなわち、基板が-X方向にて要素の下でスキャンされると、液体が要素の+X側にて供給され、-X側にて取り上げられる。
【0033】
[0053] 図2は、液体が入口を介して供給され、低圧源に接続された出口によって要素の他方側で取り上げられる構成を概略的に示したものである。基板Wの上の矢印は液体のフローの方向を示し、基板Wの下の矢印は基板テーブルの移動方向を示す。図2の図では、液体が最終要素に対する基板の動作方向に沿って供給されるが、こうである必要はない。最終要素の周囲に配置された入口及び出口の様々な方向及び数が可能であり、一例が図3に図示され、ここでは両側に出口を持つ4組の入口が、最終要素の周囲に規則的パターンで設けられる。液体供給デバイス及び液体回収デバイス内の矢印は、液体のフローの方向を示す。
【0034】
[0054] 局所液体供給システムを備える液浸リソグラフィの別の解決法が図4に示されている。液体が投影システムPSのいずれかの側にある2つの溝入口によって供給され、入口の半径方向外側に配置された複数の別個の出口によって除去される。入口及び出口は、投影される投影ビームが通る孔が中心にあるプレートに配置することができる。液体は、投影システムPSの一方側にある1つの溝入口によって供給され、投影システムPSの他方側にある複数の別個の出口によって除去されて、投影システムPSと基板Wの間に液体の薄膜の流れを引き起こす。どの組み合わせの入口と出口を使用するかの選択は、基板Wの動作方向によって決定することができる(他の組み合わせの入口及び出口は動作しない)。図4の断面図では、矢印は入口への、また出口からの液体のフローの方向を示す。
【0035】
[0055] 提案されている別の構成は、液体供給システムに液体閉じ込め部材を提供する構成である。液体閉じ込め部材は、投影システムの最終要素と基板テーブルとの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延在している。そのような構成を図5に示す。液体閉じ込め部材は、投影システムに対してXY平面で実質的に静止しているが、Z方向(光軸方向)には相対的に多少動くことができる。液体閉じ込め部材と基板表面との間には封止が形成されている。ある実施形態では、液体閉じ込め部材と基板表面との間には封止が形成され、封止はガスシールなどの非接触シールであってもよい。そのようなシステムが、米国特許出願公開US2004-0207824号に開示されている。
【0036】
[0056] 流体ハンドリング構造12は、液体閉じ込め部材を含み、投影システムPSの最終要素と基板Wの間の空間11に液体を少なくとも部分的に封じ込める。基板Wの表面と投影システムPSの最終要素の間の空間内に液体が閉じ込められるように、基板Wに対する非接触シール16を投影システムのイメージフィールドの周囲に形成することができる。空間は、投影システムPSの最終要素の下方に位置決めされ、それを囲む流体ハンドリング構造12によって少なくとも部分的に形成される。液体を、液体入口13によって投影システムの下方で、流体ハンドリング構造12内の空間に入れる。液体は、液体出口13によって除去することができる。流体ハンドリング構造12は投影システムの最終要素の少し上まで延在することができる。液体のバッファが提供されるように、液体レベルが最終要素の上まで上昇する。ある実施形態では、流体ハンドリング構造12は、その上端が投影システム又はその最終要素の形状に正確に一致することができる内周を有し、例えば円形とすることができる。底部では、内周がイメージフィールドの形状に正確に一致し、例えば矩形とすることができるが、そうである必要はない。
【0037】
[0057] ある実施形態では、液体が、使用中に流体ハンドリング構造12の底部と基板Wの表面との間に形成されるガスシール16によって空間11内に封じ込められる。ガスシールは、気体、例えば、空気、合成空気、N又は別の不活性ガスによって形成される。ガスシール内の気体は、圧力下で入口15を介して流体ハンドリング構造12と基板Wの間のギャップに提供される。気体は出口14を介して抽出される。気体入口15への過剰圧力、出口14の真空レベル、及びギャップの幾何学的形状は、液体を閉じ込める内側への高速の気体流16があるように構成される。流体ハンドリング構造12と基板Wの間で液体にかかる気体の力が、液体を空間11に封じ込める。入口/出口は、空間11を囲む環状溝であってもよい。環状溝は連続的であっても又は不連続的であってもよい。気体16の流れは、液体を空間11内に封じ込めるのに効果がある。このようなシステムが、米国特許出願公開US2004-0207824号に開示されている。
【0038】
[0058] 図5の例は、液体が任意の一時点で基板Wの上面の局所領域にのみ提供される局所区域構成である。他の構成も可能であり、それは例えば米国特許出願公開US2006-0038968号に開示されるような単相抽出器又は2相抽出器を使用する流体ハンドリングシステムを含む。
【0039】
[0059] 可能である別の構成は、気体抗力原理で作動するものである。いわゆる気体抗力原理は、例えば米国特許出願公開US2008-0212046号、US2009-0279060号及びUS2009-0279062号に記載されている。そのシステムには、抽出孔が、望ましくは角を有する形状で構成される。角はステップ又はスキャン方向に位置合わせすることができる。これは、スキャン方向に対して垂直に位置合わせされた2つの出口を有する流体ハンドリング構造と比較して、ステップ又はスキャン方向での所与の速度について、流体ハンドリング構造の表面にある2つの開口間のメニスカスにかかる力を低減する。
【0040】
[0060] US2008-0212046号には、主液体回収フィーチャの半径方向外側に位置決めされたガスナイフも開示されている。ガスナイフは、主液体回収フィーチャを通り過ぎた液体があればすべて捕捉する。このようなガスナイフは、(US2008-0212046号に開示されているような)いわゆる気体抗力原理の配置構成、(米国特許出願公開US2009-0262318号に開示されているような)単相又は2相抽出器の配置構成、又は任意の他の配置構成内にあることがある。
【0041】
[0061] 多くの他のタイプの液体供給システムが可能である。本発明は、いかなる特定のタイプの液体供給システムにも、液浸リソグラフィにも限定されない。本発明は任意のリソグラフィに等しく適用することができる。EUVリソグラフィ装置では、ビーム経路が実質的に排気され、上記液浸配置構成は使用しない。
【0042】
[0062] 図1に示す制御システム500は、リソグラフィ装置の全体的作動を制御し、特に以下でさらに説明する最適化プロセスを実行する。制御システム500は、適切にプログラムし、中央処理装置、揮発性及び不揮発性記憶手段を備えた汎用コンピュータとして実現することができる。任意選択として、制御システムはさらにキーボード及び画面のような1つ以上の入出力デバイス、1つ以上のネットワーク接続、及び/又はリソグラフィ装置の様々な部品との1つ以上のインターフェイスを備えてもよい。制御するコンピュータとリソグラフィ装置との間に1対1の関係は必要ないことが理解される。本発明のある実施形態では、1つのコンピュータが複数のリソグラフィ装置を制御することができる。本発明のある実施形態では、ネットワークで接続した複数のコンピュータを使用して、1つのリソグラフィ装置を制御することができる。制御システム500は、リソグラフィ装置が一部となるリソセル又はクラスタ内で1つ以上の関連するプロセスデバイス及び基板ハンドリングデバイスを制御するように構成することもできる。制御システム500は、リソセル又はクラスタの監視制御システム及び/又は工場の全体的な制御システムに従属するように構成することもできる。
【0043】
[0063] 図6は、ソースコレクタ装置SOを含むEUVリソグラフィ装置4100を概略的に示している。装置は、
-放射ビームB(例えばEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)EILと、
-パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)MAを支持するように構築され、パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
-基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
-パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば反射投影システム)PSと、を備える。
【0044】
[0064] EUVリソグラフィ装置のこれらの基本的なコンポーネントの機能は、図1のリソグラフィ装置の対応するコンポーネントの機能と同様である。以下の記載は主として異なる領域を含み、同じコンポーネントの態様の重複する記載は省略する。
【0045】
[0065] EUVリソグラフィ装置では、気体が過剰な放射を吸収することがあるため、真空又は低圧環境で使用することが望ましい。したがって、真空壁及び1つ以上の真空ポンプを用いてビーム経路全体に真空環境を提供することができる。
【0046】
[0066] 図6を参照すると、EUVイルミネータEILは、ソースコレクタ装置SOから極紫外線放射ビームを受光する。EUV放射を生成する方法には、例えばキセノン、リチウム、又はスズなどの少なくとも1つの元素を有する材料をEUV範囲内の1つ以上の放出線を有するプラズマ状態に変換するステップが含まれるが、必ずしもそれに限定されない。レーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれることが多いこのような方法の1つでは、プラズマは所望の輝線放出元素を有する材料の液滴、流れ、又はクラスタなどの燃料をレーザビームで照射することによって生成可能である。ソースコレクタ装置SOは、燃料を励起するレーザビームを提供するレーザ(図6には図示せず)を含むEUV放射システムの一部であってもよい。結果として生じるプラズマは、例えばソースコレクタ装置内に配置される放射コレクタを使用して集光されるEUV放射などの出力放射を放出する。レーザ及びソースコレクタ装置は、例えば燃料を励起するためのレーザビームを提供するためにCOレーザが使用される場合には別個の要素であってもよい。
【0047】
[0067] このような場合には、レーザはリソグラフィ装置の一部を形成するものとは見なされず、放射ビームは、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダを備えるビームデリバリシステムを用いてレーザからソースコレクタ装置へと送られる。別の場合は、例えば放射源がDPP放射源と呼ばれることが多い放電生成プラズマEUV生成器である場合には、放射源はソースコレクタ装置の一体部品であってもよい。
【0048】
[0068] EUVイルミネータEILは、放射ビームEBの角度強度分布を調整するアジャスタを備えてもよい。一般に、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。さらに、EUVイルミネータEILは、ファセット型フィールド及び瞳ミラーデバイスなどの他の様々なコンポーネントを備えてもよい。EUVイルミネータEILを使用して放射ビームEBを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とを有するようにしてもよい。
【0049】
[0069] 放射ビームEBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイス(例えばマスク)MAに反射した後、放射ビームEBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサPS2(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダ、又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTは、例えば様々なターゲット部分Cを放射ビームEBの経路内に位置決めできるように正確に移動することができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサPS1を使用して、放射ビームEBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2、及び基板アライメントマークP1、P2を用いて位置合わせしてもよい。
【0050】
[0070] 図示した装置は、図1の装置と同じモードで使用可能である。
【0051】
[0071] 図7は、ソースコレクタ装置SOと、EUV照明システムEILと、投影システムPSと、を含むEUV装置4100をより詳細に示している。ソースコレクタ装置SOは、ソースコレクタ装置SOの閉鎖構造4220内に真空環境を維持することができるように構築され、配置される。EUV放射放出プラズマ4210は、放電生成プラズマ放射源によって形成されてもよい。EUV放射は、例えば、キセノンガス、リチウム蒸気、又はスズ蒸気などの気体又は蒸気によって生成されてもよく、その際、プラズマ4210が生成されて電磁スペクトルのEUV範囲内で放射を放出する。プラズマ4210は、例えば少なくとも部分的に電離したプラズマを生じる放電によって生成される。放射を効率的に生成するには、キセノン、リチウム、スズ蒸気又はその他の任意の適切な気体又は蒸気の、例えば10Paの分圧が必要である場合がある。ある実施形態では、EUV放射を生成するために励起したスズ(Sn)のプラズマが提供される。
【0052】
[0072] プラズマ4210によって放出された放射は、放射源チャンバ4211から、放射源チャンバ4211内の開口内、又はその裏側に位置する任意選択のガスバリア及び/又は(場合によっては汚染物バリア又はフォイルトラップとも呼ばれる)汚染物トラップ4230を介してコレクタチャンバ4212内に送られる。汚染物トラップ4230はチャネル構造を含んでもよい。汚染物トラップ4230はまた、ガスバリア、又はガスバリアとチャネル構造との組み合わせを含んでもよい。少なくとも本明細書でさらに示される汚染物トラップ又は汚染物バリア4230は、少なくとも当技術分野で公知のようにチャネル構造を含んでいる。
【0053】
[0073] コレクタチャンバ4212は、いわゆるかすめ入射コレクタであってよい放射コレクタCOを含んでもよい。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側4251と、下流放射コレクタ側4252と、を有する。コレクタCOを横切る放射は、格子スペクトルフィルタ4240から反射して仮想放射源ポイントIFに集束することができる。仮想放射源ポイントIFは一般に中間焦点と呼ばれ、ソースコレクタ装置は、中間焦点IFが閉鎖構造4220内の開口4221に、又はその付近に位置するように配置される。仮想放射源ポイントIFは、放射放出プラズマ4210の像である。
【0054】
[0074] その後、放射は照明システムILを横切り、照明システムILはパターニングデバイスMAで放射ビーム421の所望の角度分布、並びにパターニングデバイスMAで放射強度の所望の均一性を与えるように配置されたファセット型フィールドミラーデバイス422と、ファセット型瞳ミラーデバイス424と、を含んでもよい。放射ビーム421が、支持構造MTによって保持されるパターニングデバイスMAで反射すると、パターン付ビーム426が形成され、パターン付ビーム426は投影システムPSによって、反射要素428、430を介して基板ステージ又は基板テーブルWTによって保持された基板W上に結像される。
【0055】
[0075] 一般に、照明光学ユニットIL及び投影システムPS内には図示した要素よりも多くの要素が存在してもよい。リソグラフィ装置のタイプによっては、任意選択として格子スペクトルフィルタ4240が存在してもよい。図示したミラーより多くのミラーが存在してもよく、例えば、図7に示した投影システムPS内にある反射要素よりも1個から6個だけ多い追加の反射要素があってもよい。
【0056】
[0076] 図7に示すコレクタ光学系COは、コレクタ(又はコレクタミラー)の単なる一例として、かすめ入射リフレクタ4253、4254、及び4255を有する入れ子状コレクタとして示されている。かすめ入射リフレクタ4253、4254、及び4255は光軸Oの周囲に軸対称に配置され、このタイプのコレクタ光学系COは好適には、DPP放射源と呼ばれることが多い放電生成プラズマ放射源と組み合わせて使用される。
【0057】
[0077] あるいは、ソースコレクタ装置SOは、図8に示すようにLPP放射システムの一部であってもよい。レーザLAは、キセノン(Xe)、スズ(Sn)、又はリチウム(Li)などの燃料にレーザエネルギーを付与して、電子温度が電子ボルト(eV)の数10倍の高電離プラズマ4210を生成するように配置されている。これらのイオンの脱励起、及び再結合中に生成されるエネルギー放射は、プラズマから放出され、近法線入射コレクタ光学系COによって集光され、閉鎖構造4220内の開口4221へと集束される。
【0058】
[0078] 図9は、本発明のある実施形態による基板ホルダを示している。基板ホルダは、基板テーブルWT内の凹部内に保持され、基板Wを支持する。基板ホルダ100の本体は、平坦なプレートの形状、例えば形状とサイズが基板Wに実質的に対応するディスクの形状を有する。基板ホルダは、例えば、Si、SiC、SiSiC、窒化アルミニウム(AIN)、Zerodur、コージェライト、又はその他の好適なセラミック若しくはガラスセラミック材料から構成されていてもよい。基板ホルダは、少なくとも上面に、ある実施形態では両面に、一般にバールと呼ばれる突出部106を有する。ある実施形態では、基板ホルダは基板テーブルの一体部品であり、下面にはバールを有さない。バールは、図9では縮尺通りではない。バールの幾つか又は全部は下記のレーザ焼結によって形成される。
【0059】
[0079] 実際の実施形態では、幅(例えば直径)が例えば200mm、300mm、又は450mmの基板ホルダ全体にわたって配分された数百にも数千にも及ぶバール、例えば10,000超、又は40,000超を有することができる。バールの先端の面積は、例えば1mm未満のように小さい。したがって、基板ホルダ100の片面の全バールの総面積は基板ホルダの約10%未満、例えば1~3%である。このようなバール配置のため、基板、基板ホルダ、又は基板テーブルの表面上に存在し得る粒子はバール間に降下し、したがって基板又は基板ホルダの変形につながらない可能性が高い。
【0060】
[0080] バール配置はパターンを形成することがあり、及び/又は周期的な配置を有することがある。バール配置は規則的であってもよく、又は基板W及び基板テーブルWT上に適切に力の配分を与えるために所望のとおりに変化してもよい。バールは、平面図で見て任意の形状でよいが、一般に平面図で見て円形である。バールはそれらの高さ全体にわたって同じ形状と寸法を有してもよいが、一般にテーパ状になっている。バールが基板ホルダ100の本体100aの他の表面部分から突出する距離は、約1μm~約5mmの範囲、望ましくは約5μm~約250μmである。基板ホルダ100の本体100aの厚さは、約1mm~約50mmの範囲、望ましくは約5mm~20mmの範囲であり、通常は10mmである。
【0061】
[0081] 有利なことには、バールは、極めて一貫した寸法で形成することができる。望ましくは、異なるバールの高さの間の変化が極めて少ないことである。短いバール(例えば20μm未満、15μm未満、5μm未満、又は3μm未満)を形成することができる。より短いバールが有利であるのは、基板と基板ホルダとの間の熱伝達を高めるからである。バールから離れた基板ホルダの上面と基板ホルダ上の基板の支持面との間のギャップは、より高い支持体よりも小さい。このような小さいギャップによって温度調節要素(例えばヒータ)から支持される基板への熱伝達が促進される。バールの最小の高さは、薄膜スタックの全高と、基板及び基板ホルダの非平坦性と、によって決定される。ある実施形態では、バールの高さは1μm又は2μm以上である。
【0062】
[0082] バールの幅(例えば直径)は0.5mm以下である。ある実施形態では、バールの幅(例えば直径)は約200μm~約500μmの範囲内である。バール間の間隔は、約1.5mm~約3mmの間である。
【0063】
[0083] さらに、本発明のある実施形態は、基板ホルダ用に、より広範囲の材料を使用できるようにする。バール又は基板ホルダの従来の形成方法に適さない材料を本発明の実施形態で使用することができる。ある実施形態では、バールを形成するために容易には加工できないコージェライト、低熱膨張ガラスセラミックなどの材料を使用することが可能である。コージェライトは、基板ホルダ内での使用に優れた特性を有する。例えば、コージェライトは、約140Gpaという高いヤング率と、約4W/mKという低い熱伝導率と、を有する。
【0064】
[0084] 本発明の実施形態により製造された基板ホルダは、製造方法が安定しているため、長い耐用年数を有することができる。本発明の実施形態は、例えば良好な耐摩耗性などの所望の摩耗特性を呈することができるため、特定の汚染物が生じ難い。有利なことには、本発明の実施形態は基板ホルダをコーティングする必要性をなくすることができる。
【0065】
[0085] 本発明のある実施形態による基板ホルダは、片面又は両面に形成された薄膜コンポーネント110を有してもよい。薄膜コンポーネントの層の厚さは約2nm~約100μmの範囲でよい。このような薄膜コンポーネントは、1つ又は複数の層を有してもよい。各層は、化学気相成長法、物理気相成長法(例えばスパッタリング)、浸漬コ―ティング、スピンコ―ティング、及び/又はスプレーコ―ティングを含むプロセスによって形成されてもよい。ある実施形態では、基板ホルダ上に形成されるコンポーネントは薄膜スタックを備えており、すなわち複数の薄膜層を含んでいる。このようなコンポーネントについては以下にさらに記載する。本明細書では基板ホルダの上面上に形成される薄膜スタックについて述べているが、薄膜スタックは基板ホルダの下面に形成されてもよく、又は基板ホルダの下の基板テーブル上に、又は一体の基板ホルダと基板テーブルの表面を含む、基板テーブル又は基板ホルダの任意の別の表面に形成されてもよい。
【0066】
[0086] 基板テーブル上に形成される電子又は電気コンポーネントには、例えば電極、抵抗ヒータ、及び/又は(非限定的に列挙すると)歪みセンサ、磁気センサ、圧力センサ、容量センサ、又は温度センサなどのセンサを含めることができる。ヒータ及びセンサは、基板ホルダ及び/又は基板の温度を局所的に制御及び/又は監視するために使用できる。そのような局所的制御及び/又は監視は、基板ホルダ又は基板内の望ましくない温度変化を低減し、あるいは基板ホルダ又は基板内の望ましい温度変化を誘発することができる。望ましくは、ヒータ及びセンサは相互に同一の領域上、周囲、及び上方に形成される。基板の局所的な膨張又は収縮によるオーバーレイエラーなどの結像エラーを低減し、又はなくすため、基板の温度及び/又は応力を制御することが望ましい。例えば、液浸リソグラフィ装置では、基板上に残る液体(例えば水)が蒸発すると、局所的冷却が生じ、液体がある表面に熱負荷がかかり、それ故、基板が収縮することがある。逆に、露光中に投影ビームによって基板に送られるエネルギーによりかなりの加熱がなされ、したがって基板が膨張する可能性がある。
【0067】
[0087] ある実施形態では、形成されるコンポーネントは静電クランプ用の電極である。静電クランプでは、基板テーブル及び/又は基板ホルダ上に提供される電極は、例えば10~5,000Vの高電位に上昇する。基板は接地又はフロート状態になる。電極によって生成される電界内の静電力は、基板を基板テーブル及び/又は基板ホルダに引き付けてクランプ力を与える。これについてはさらに以下に記載する。
【0068】
[0088] 基板ホルダ上の電気又は電子コンポーネントを電圧源(便宜上図示せず)に接続するために1つ以上の電気的接続が提供される。コンポーネントが静電クランプである場合は、基板上の電極は電圧源への電気的接続を有する。コンポーネントは基板支持体の上面上にあってもよい。電気的接続の少なくとも一部は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、2011年11月3日出願の米国特許出願US61/555,359号に記載されているように基板支持体の本体を通ってもよい。
【0069】
[0089] ある実施形態では、1つ以上の局所ヒータ101は所望量の熱が基板ホルダ100及び基板Wに付与されて基板Wの温度を制御するように、コントローラ103によって制御される。基板ホルダ100及び/又は基板Wの温度を監視する1つ以上の温度センサ102がコントローラ104に接続される。基板の温度を局所的に制御するために1つ以上のヒータ及び温度センサを使用する構成は、参照により全体が本明細書に組み込まれる同時係属米国特許出願公開US2012-0013865号に記載されている。そこに記載されている構成は、本明細書に記載のように抵抗ヒータ及び温度センサを使用するように変更することができる。コンポーネントを含む薄膜スタック及びその製造方法の詳細は、2012年2月23日出願の米国特許出願US13/403,706号及び2012年4月9日出願の共願の米国特許出願第61/621,648号に記載されている。上記出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0070】
[0090] 従来の(例えば、DUV)リソグラフィ装置(例えば、液浸リソグラフィ装置)で使用される基板ホルダは、望ましくは、1つ以上の薄膜温度センサ及び/又は1つ以上の薄膜ヒータを備える。基板ホルダ内、上及び/又は下にその他の形態のセンサ及び/又はヒータを提供することができる。
【0071】
[0091] EUVリソグラフィ装置で使用される基板ホルダは、望ましくは、薄膜静電クランプと、任意選択として1つ以上の薄膜温度センサ及び/又は1つ以上の薄膜ヒータと、を備える。基板ホルダ内、上及び/又は下にその他の形態のセンサ及び/又はヒータを提供することができる。
【0072】
[0092] 上述したように、レーザ焼結を用いてバールを形成できる。この方法を図10A図10Eに示す。この方法は、基板ホルダの本体400を形成する所望の形状の平坦なプレートから開始する。平坦なプレートは、別の技術によって事前形成されてもよい。ある実施形態では、プレートはSiSiC製であるが、Invar(商標)、Zerodur(商標)、ULE(商標)、溶融石英、コージェライト、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム(AIN)及び/又はSiCなどの1つ以上のその他の材料も使用できる。望ましくは、プレートの表面400aは所望の平坦度まで研削又は研磨される。ある実施形態では、表面はオゾンなどで洗浄されるが、このステップは省略してもよい。ある実施形態では、表面400aは、例えばプライマー層を塗布することで1つ以上の後続の層の接着を促進するよう処理できるが、このステップは省略してもよい。プレート上に、上方に形成する1つ以上の金属層を基板ホルダの本体から絶縁するために絶縁層410が塗布される。ある実施形態では、絶縁層410は平坦度を向上させている。絶縁層410は、上記スピン又はスプレイコーティングによって塗布されるBCB又はPECVDプロセスによって塗布されるSiO、又はその他の好適な材料で構成できる。絶縁層の上に、PVDなどによる金属層440が塗布され、図10Aに示す状態になる。
【0073】
[0093] 次に、金属層は、リソグラフィ及びウェットエッチングなどの選択的エッチングによってパターン形成されて所能のパターンを画定して電極、センサ又はヒータなどの所望のコンポーネントを形成する。このステップはまた、後続ステップでバールを形成する領域内の金属層を除去する。この段階で、基板ホルダは図10Bに示すようになる。
【0074】
[0094] パターン形成された金属層上に、絶縁又は誘電体層450が塗布され、本体又はベース層に達する、すなわち、両方の絶縁層を貫通する開口がバールが所望される場所に形成される。基板ホルダは図10Cに示す状態である。任意選択として、本体400の表面の露光される領域400bが例えばオゾンで洗浄され、及び/又は例えばプライマー層の塗布によって処理されてその後形成されるバールの接着を促進する。
【0075】
[0095] バール406は、レーザ焼結プロセスによって薄膜スタックを貫通する開口内に形成される。基板ホルダ上のその他の構造、例えば、真空リングをバールと同時に形成することができる。また、バールよりも短いが面積が大きい1つ以上の突起部をバールの間に形成することも可能である。そのような突起部によって基板と基板ホルダとの間の熱伝導が向上する。そのような突起部は、例えば、バール406よりも10μm以上短くすることもできる。使用可能な2つのタイプのレーザ焼結方法がある。
【0076】
[0096] 第1の方法では、薄い粉末の層がバールを形成する領域に塗布される。次に、1つ以上のレーザビームを用いてバールを形成する領域内の粉末を選択的に焼結する。この作業が完了すると、別の薄い粉末の層が塗布され、選択的に加熱及び焼結される。このプロセスが繰り返され、バールが層ごとに構築される。ある実施形態では、各層は1~1.5μmの範囲の厚さを有する。焼結パターンを各層で変更できるので、バールを任意の所望の形状と輪郭で積層することができる。この方法では、粉末は大きい領域に塗布され、複数のバールが同時に、又は並行して形成される。あるいは、粉末が小さい領域に塗布され、各バールが別個に形成されてもよい。このプロセスの更なる詳細については、A Streek他の「Laser micro sintering - a quality leap through improvement of powder packing」http://laz.htwm.de/43_rapidmicro/55_Ver%C3%B6ffentlichungen/Laser%20micro%20sintering%20%20a%20quality%20leap%20through%20improvement%20of%20powder%20packingのサイトで閲覧できる。
【0077】
[0097] 第2の方法では、粉末は、バールが形成される領域に不活性ガスで噴射され、一方、バールが形成される正確な領域を1つ以上のレーザビームが照射する。粉末はレーザビームが照射された位置に選択的に付着する。照射ポイントを適切にずらずことによって、所望の輪郭のバールが積層される。このプロセスの更なる詳細については、S.Kloetar他の「MICRO-CLADDING USING A PULSED FIBRE LASER AND SCANNER」http://laz.htwm.de/43_rapidmicro/55_Ver%C3%B6ffentlichungen/Microcladding_LPM2010.pdfのサイトで閲覧できる。
【0078】
[0098] その他の焼結技術の場合のように、レーザ焼結は、粉末が冷却すると互いに付着するように粉末粒子を部分的に溶融させることによって動作する。レーザ焼結の利点は、レーザビームが制御しつつ照射することによって焼結がなされる空間の制御が可能なことにある。上記の方法の両方とも、粉末を関連する融点に近い温度に予加熱することができ、焼結を完了するためにレーザによって与えられるエネルギーが少なくてすむ。焼結技術には多様な材料を使用することができる。粉末は単一材料、例えばチタンなどの金属、ケイ素などの半導体、又は溶融石英、コージェライト、及び/又は窒化アルミニウムなどのセラミックから製造できる。ある実施形態では、粉末は2つ以上の成分から製造される。1つの成分は、溶融して別の粒子成分(1つ又は複数)が埋込まれるマトリクスを形成する比較的低い融点を有する。粉末のマトリクス形成化合物は別個の粒子として、又は別の材料粒子上のコーティングとして提供することができる。マトリクス形成成分は、上記のどの単一材料でもよい。粒子成分は、立方晶窒化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化チタン、炭化チタン、及び/又は例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)などのダイヤモンドを含む群から選択される1つ以上の成分でよい。焼結プロセスは、焼結される材料の化学変化を防止することに役立つ不活性大気又は真空中で、又は化学変化を促進する制御された大気中で実施可能である。
【0079】
[0099] したがって、バールを形成する材料は、基板ホルダの基体材料への付着強度などの所望の特性を得るために広範囲の材料から選択することができる。望ましくは、バールは、基板ホルダの本体の材料と同じ材料、又はそれに対する適応性がある材料から製造される。例えば、使用時に長い耐用年数と信頼性が得られるように、バールが基板本体の基本材料に良好に結合することが一般に望ましい。ある用途では、基板の温度調節に役立つように、バールが高い熱伝導率を有することが望ましい。別の用途では、基板を絶縁するために低い熱伝導率が望ましいことがある。材料の選択により影響されることがあるバールのその他の関連する特性には、導電性、絶縁耐力、及び耐摩耗特性が含まれる。
【0080】
[00100] バールを形成するためのレーザ焼結技術では一般に、図10Dに示すような粗い上面のバールが生じる。その場合、図10Eに示されるような平滑な上面をバールに与えるように、最終研磨ステップを実施することが望ましい。場合によっては、例えば最終研磨が粗粒スラリーで行われる場合、追加のコ―ティングで薄膜スタックを先に保護することが望ましいかもしれない。しかしながら、例えば薄膜スタックがクランプ目的にための電極だけを含む場合には必要ないことが多い。
【0081】
[00101] レーザ焼結プロセスの更なる利点は、バールの組成を高さによって変更できることにある。したがって、図11に示されるように、組成及び/又は特性が異なる1つ以上の部分又は層を有するバールの製造が可能である。例えば、バールの下部406aは基板ホルダの基体材料によく結合する材料から形成することができ、一方、バールの上部406bは耐摩耗特性が高い材料から形成される(本体はバールとは異なる技術で製造してもよいことに留意されたい)。例えば、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などのタイヤモンド粒子をバールの上部406b内に含めて耐磨耗性を向上させてもよい。あるいは、タイヤモンド粒子(例えば、DLC)を下部406a内に含めて熱伝導性を向上させてもよい。ある実施形態では、バールは3つ以上の別個の層で形成される。ある実施形態では、バールは少なくともその高さの一部で組成、内容物又は材料特性の段階的変化を伴って形成される。
【0082】
[00102] また、焼結される粉末の組成を、バールが形成される表面に実質的に平行な方向で変更することも可能である。粉末焼結積層法では、これは、粉末が塗布される際に各粉末層内の粉末の組成を変更することによって達成されてもよい。粉末噴射方法では、これは、レーザ照射ポイントの移動と時間的に同期して、噴射される粉末の組成を変更することによって達成されてもよい。任意選択として、高さ方向での変更に加えて、バールが形成される表面に実質的に平行な方向でバールの材料の組成を変更することによって、例えば剛性など、バールの1つ以上の機械的及び/又はその他の特性を微調整することが可能である。
【0083】
[00103] 本発明のある実施形態の利点は、バールをほぼ全ての三次元形状で形成できることにある。ある実施形態では、バールはその高さ全体にわたって一体の断面を有する。ある実施形態では、バールは基板ホルダの本体からテーパ状に形成される。ある実施形態では、バールの断面は、高さと共に変化する。ある実施形態では、バールは、円、正方形、矩形、楕円形、ひし形、及び/又は「競技場形」又は「スタジアム形」の形状からなる群から選択される基板ホルダの本体の表面に実質的に平行な断面を有する。「競技場形」又は「スタジアム形」の形状は、曲線、例えば半円で結ばれた直線の2つの平行な辺を有する。
【0084】
[00104] ある実施形態では、薄膜スタックは基板ホルダの片側のみに提供される。ある実施形態では、基板ホルダ上に薄膜スタックは提供されない。ある実施形態では、薄膜スタックは基板ホルダの両側に提供される。ある実施形態では、バールは基板ホルダの両側に提供される。バールが基板ホルダの両側に提供される場合、両側で同じバールの形成方法が使用される必要はない。
【0085】
[00105] 本発明のある実施形態を用いて装置のコンポーネントと取り扱うオブジェクトとの制御された接触が望まれるリソグラフィ装置内のその他のコンポーネント上にバールを形成することができる。
【0086】
[00106] 図12は、マスクMAを支持するマスクテーブルMTなどのパターニングデバイスの支持構造である本発明のある実施形態を示す。マスクテーブルの本体500は、基板テーブルとは対照的に、投影ビームBを通過させる貫通穴501を備える。マスクMAは、マスクテーブル500上にレーザ焼結によって形成されたバール領域502によって支持されている。マスクMAを支持するバールの使用は、基板テーブル又はホルダ上で基板を支持するバールの使用と同様の機能を有する。例えば、バールは、マスクとそれを支持する表面との間の粒子の存在によってマスクがずれたり歪んだりする機会を防止又は低減することができる。バールによってマスクを真空及び/又は静電クランプ技術を用いてマスクテーブル又はその他の支持構造にクランプすることができる。大半のリソグラフィ装置では、投影システムPSがスキャン動作モードでは投影画像を4分の1又は5分の1に縮小するので、マスクは基板テーブルの4又は5倍の速度と加速度で移動する。したがって、これに比例した大きさのクランプ力が働くはずである。マスク内に生成される応力がゼロ又は最小限になるようにマスクが支持構造上に保持されるのが望ましい。バールの使用はこの目的にかなう。
【0087】
[00107] 図12で、バールは、アパーチャ501の両側の離散的な領域内に提供されている。ある実施形態では、バールは、アパーチャを完全に取り囲む連続的な領域、又はアパーチャの周囲の離間した複数の場所に提供することができる。バールの正確な場所は実施形態の構築時に決定できる。例えばマスクテーブル又はマスクハンドリングデバイス上のマスクを支持するためのバールは、100μm~1μm、望ましくは300~500μmの直径を有してもよい。バールは、楕円又は矩形などの細長い平面形状を有してもよい。
【0088】
[00108] ある実施形態では、バールは、マスク又はレチクル用のクランプ上のレーザ焼結によって形成される。クランプは、例えば、ULE-Zerodur-ULE又は薄膜スタック-Zerodur-薄膜スタックの層状構造であってもよい。そのようなクランプは、約10mmの厚さを有していてもよい。バールは、2~10mmのピッチを有してもよい。
【0089】
[00109] 図13は、本発明のある実施形態によるマスク又はレチクル用のパターニングデバイスの支持構造の平面図を示す。図14は、図13の線XXに沿った同じ支持構造の断面図を示す。支持構造は、板ばね513によって本体510の上方に支持される支持部材512を含む。支持部材512の上面は、バール106の領域によって取り囲まれる中央の凹部515を有する。中央の凹部515はコンジット516を介して低圧(例えば、真空)源517に接続される。
【0090】
[00110] マスクMAなどのパターニングデバイスが支持部材512上に配置され、中央の凹部515内の圧力が低下すると、パターニングデバイスが所定位置にクランプされる。板ばね513によって、パターニングデバイスMAの表面に対して実質的に垂直方向の支持部材512の位置が正確に画定される。しかしながら、支持部材512は、パターニングデバイスMAの表面に実質的に平行な少なくとも1つの方向に移動できる。これは、それによって、パターニングデバイスMA内に発生する応力がゼロであるか又は最小限であるということを意味する。そのような応力は、パターニングデバイスMAによって画定されたパターンを歪ませる可能性があるため望ましくない。レーザ焼結によって形成されるバール106を支持部材512上に提供することで、パターニングデバイスMAは確実に正確に位置決めされる。
【0091】
[00111] 図15は、本発明のある実施形態による基板ハンドリングアーム又はグリッパ600を示す。基板ハンドリングアーム600は、1つ以上のアクチュエータ(図示せず)によって駆動される。基板ハンドリングアーム600を用いて、例えばローディングドックとプリアライメントステージとの間で、プリアライメントステージと基板テーブルとの間で、及び/又は、基板テーブルとアンローディングドックとの間で、基板を搬送できる。同様のハンドリングデバイスをリソセルのトラック部内で使用し、又はこのデバイスを用いてパターニングデバイス(例えば、マスク)を移動させることができる。基板ハンドリングアーム600は、実質的に水平な平面内で離間した1対のフィンガ又はプロング601を含む。プロング601の各々の上面又はその一部は、レーザ焼結によって形成されたバールを有する領域602を備える。基板ハンドリングアーム上のバールを使用することは、上記と同じ1つ以上の利点を有する、すなわち、例えば、真空及び/又は静電クランプ技術を使用でき、及び/又は粒子が基板を変形させることを防止できる。
【0092】
[00112] 図16は、基板ホルダが基板テーブルWTと一体化した本発明のある実施形態を示す。ホルダWTは、内部に基板Wを収容できる凹部701が形成された本体700を有する。凹部701の下面は、上記のレーザ焼結によって形成されたバール106を備える。凹部701の深さとバール106の高さは、基板Wの上面が本体700の上面と実質的に同一平面内にあるように決定される。このようにして、基板テーブルWT内に提供された透過画像センサTISなどの1つ以上のセンサが基板W上の露光と実質的に同じ垂直位置での測定を実行することができる。
【0093】
[00113] 本発明の実施形態の利点の1つは、従来の公知のバールの形成方法よりも多様な表面上にバールを確実かつ正確に形成できるという点である。したがって、放電加工(EDM)を含む材料除去技術などの従来の技術によるバールの提供にかつては好適でなかったコンポーネント上にバールを提供することができる。
【0094】
[00114] 別の利点は、本明細書に記載する方法を用いて個別に又は集合的にバールを補修できるという点である。本発明の実施形態によるバールの2つの補修方法について以下に説明する。これらの方法を用いてレーザ焼結だけでなく任意の方法で形成されたバールを補修することができる。
【0095】
[00115] ステップを図17A図17Cに示す本発明のある実施形態による補修方法では、個々のバールが補修される。図17Aに示すように、オブジェクトホルダ800は、複数のバール801と、損傷したバール802とを有する。損傷したバール802は、例えば磨耗又は物理的損傷によって生じた粗い上面802aを有する。損傷したバールはさらに研削されて、図17Bに示す平滑な面802bが提供される。一時的な保護コーティングを提供してこのプロセス中にバール801を現状のまま覆ってもよい。所望であれば、研削した表面802bをオゾンなどで洗浄でき、及び/又は例えばプライマーを塗布して事前処理することができる。次に、上述したレーザ焼結技術を用いてバールを元の形状及び/又は高さ(又は異なる所望の形状及び/又は高さ)に再構築できる。このプロセスは、図17Cに示すように、究極的に設計された高さよりも大きい高さまで補修されたバール803を構築し、現状のバール801の高さに合ったレベルまで研磨するステップを含んでいてもよい。
【0096】
[00116] ステップを図18A図18Cに示す別の補修方法では、オブジェクトホルダ900上の複数のバール901が同時に補修される。この方法は、間をあけた損傷の発生に対処するというよりも磨耗状態を明らかにするためのオブジェクトホルダの定期的な修復に特に適用可能である。またこの方法を用いてバールの高さを調整して露光対象の基板の厚さの変化などの動作パラメータの変化に対応させることができる。
【0097】
[00117] この実施形態の方法では、任意選択として、図18Aに示すバール901の上面をオゾンなどを用いて洗浄し、又は例えばプライマーを塗布することで処理することができる。次に、上記のレーザ焼結プロセスによって追加の層902がバール901上に堆積される。ある実施形態では、追加の層902は、1~5μm、望ましくは2~3μmの範囲の厚さを有する。大半の場合、このプロセスによってバールの究極の所望の高さよりも高い高さの図18Bに示す粗い上面902aが得られる。次に、バールを研磨して図18Cに示す所望の高さである上面902bの所望の平坦度と所望の粗さとが提供される。
【0098】
[00118] バールの補修方法を提供する直接の恩恵、すなわち、損傷したコンポーネントを常に交換する必要はないという点に加えて、補修技術の存在によって、1つ以上のバールが損傷した場合にコンポーネントを交換することが経済的に望ましくない場合にコンポーネント上にバールを直接形成できる。
【0099】
[00119] 有利なことに、本発明のある実施形態によって、基板テーブル、パターニングデバイスの支持構造、マスクテーブル、ウェーハハンドラ、マスクハンドラ、グリッパ、プリアライメントステージ、トラック内のプロセスデバイス、基板ハンドリングロボット、調節プレート、基板調節ユニット及び/又はセンサマウントなどのリソグラフィ装置内のコンポーネント上のバールを使用できる。本発明のある実施形態によって製造されたバールは、オブジェクト(例えば、基板、パターニングデバイス、光学要素又はセンサ)を正確な位置に保持又は搭載する場合にいつでも使用できる。本発明のある実施形態によって形成されたバール上に搭載されたセンサは、透過画像センサ及び/又は干渉収差センサを含んでいてもよい。
【0100】
[00120] 本発明の実施形態の1つの利点は、放電加工技術などの減算的技術よりも正確にバールを形成できるという点である。本発明のある実施形態によれば、バールを確実かつ正確に形成できる。製造プロセスで紛失又は損傷したバールは容易に追加又は補修できる。ある実施形態では、本体はその上に形成されたバールと異なる技術で形成することができる。
【0101】
[00121] 理解されるように、上述したフィーチャのいずれも任意の他のフィーチャと一緒に使用することができ、本出願の対象となるのは、明示的に記載された組み合わせだけではない。
【0102】
[00122] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「目標部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0103】
[00123] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)紫外線(UV)放射を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0104】
[00124] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折及び反射光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指す。
【0105】
[00125] これまで本発明の特定の実施形態を記載したが、少なくとも本明細書に記載の装置の動作方法の形態については、記載した以外の別の態様で本発明を実施してもよいことを理解されたい。例えば、少なくとも本明細書に記載の装置の動作方法の形態については、本発明の実施形態は、上記のような装置の動作方法を記載する機械読み取り式命令の1つ以上のシーケンスを含む1つ以上のコンピュータプログラム、又は、このようなコンピュータプログラムを内蔵するデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気、又は光ディスク)の形態をとってもよい。さらに、機械読み取り式命令を2つ以上のコンピュータプログラムで実施してもよい。2つ以上のコンピュータプログラムを、1つ以上の異なるメモリ及び/又はデータ記憶媒体に格納してもよい。
【0106】
[00126] 1つ以上のコンピュータプログラムがリソグラフィ装置の少なくとも1つのコンポーネント内にある1つ以上のコンピュータプロセッサによって読み出される時に、本明細書に記載するあらゆるコントローラは各々、又は組み合わせて動作可能になる。コントローラは各々、又は組み合わせて、信号を受信、処理、送信するのに適した任意の構成を有する。1つ以上のプロセッサは、コントローラの少なくとも1つと通信するように構成されている。例えば、各コントローラは、上記方法のための機械読み取り式命令を含むコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプロセッサを含むことができる。コントローラは、そのようなコンピュータプログラムを記憶するデータ記憶媒体及び/又はそのような媒体を収容するハードウェアを含むことができる。したがって、コントローラは、1つ以上のコンピュータプログラムの機械読み取り式命令に従って動作することができる。
【0107】
[00127] 本発明は、幅(例えば直径)が300mm、450mm又はその他の任意のサイズの基板に適用し得る。
【0108】
[00128] 本発明の1つ以上の実施形態は、任意の液浸リソグラフィ装置に、特に液浸液が槽の形態で提供されるか、基板の局所的な表面領域のみに提供されるか、基板及び/又は基板テーブル上に閉じ込められないかにかかわらず、上述したタイプに適用することができるが、それに限定されない。閉じ込められない構成では、液浸液は基板及び/又は基板テーブルの表面上に流れることができ、したがって実質的に基板テーブル及び/又は基板の覆われていない表面全体が濡れる。このように閉じ込められていない液浸システムでは、液体供給システムが液浸液を閉じ込めることができない、又はある割合の液浸液閉じ込めを提供することができるが、実質的に液浸液の閉じ込めを完成しない。
【0109】
[00129] 本明細書で想定するような液体供給システムは、広義に解釈されたい。特定の実施形態では、これは、液体を投影システムと基板及び/又は基板テーブルの間の空間に提供する機構又は構造の組み合わせでよい。これは、1つ以上の構造、1つ以上の液体入口、1つ以上の気体入口、1つ以上の気体出口、及び/又は液体を空間に提供する1つ以上の液体出口の組み合わせを備えてよい。ある実施形態では、空間の表面が基板及び/又は基板テーブルの一部でよいか、空間の表面が基板及び/又は基板テーブルの表面を完全に覆ってよいか、空間が基板及び/又は基板テーブルを囲んでよい。液体供給システムは任意選択で、液体の位置、量、品質、形状、流量又は任意の他の特徴を制御する1つ以上の要素をさらに含むことができる。
【0110】
[00130] 本発明の第1の態様では、リソグラフィ装置で使用するオブジェクトホルダの製造方法が提供される。方法は、表面を有する本体を提供するステップと、表面から突き出し、オブジェクトを支持する端面を有する複数のバールを表面上に形成するステップと、を含み、バールの少なくとも1つの少なくとも一部の形成ステップはレーザ焼結を含む。
【0111】
[00131] レーザ焼結法は、基板に粉末の層を塗布するステップと、粉末の層を放射ビームで選択的に照射して照射した場所の粉末を少なくとも部分的に溶融させるステップと、を含んでもよい。ある実施形態では、レーザ焼結法は、基板上のある場所を照射するステップと、照射した場所に粉末を噴射するステップと、を含む。
【0112】
[00132] 本体は、少なくとも1つのバールと異なる材料で形成することができる。少なくとも1つのバールは、Ti、Si、溶融石英、コージェライト、ダイヤモンドライクカーボン、SiC、SiO、AIN、TiN及びCrNからなる群から選択した少なくとも1つの材料を含んでもよい。少なくとも1つのバールは、マトリクス材料及びマトリクス材料内に埋込まれた粒子から形成されてもよい。マトリクス材料は、Ti、Si、溶融石英、コージェライト、ダイヤモンドライクカーボン、SiC、SiO、AIN、TiN及びCrNからなる群から選択した少なくとも1つの材料を含んでもよい。粒子は、立方晶窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化チタン、炭化チタン及びダイヤモンドからなる群から選択した少なくとも1つの材料を含んでもよい。
【0113】
[00133] 少なくとも1つのバールは、第1の材料の第1の層と、第1の材料とは異なる第2の材料の第2の層と、を含んでもよい。第1及び第2の材料は、特性又は成分が異なっていてもよい。
【0114】
[00134] ある実施形態では、オブジェクトは基板又はパターニングデバイスである。薄膜スタックを表面上に提供でき、複数のバールが薄膜スタックよりも表面から突き出していてもよい。
【0115】
[00135] 本発明の第2の態様では、リソグラフィ装置で使用するバールを有するオブジェクトホルダを補修する方法であって、補修するバールを準備するステップと、補修するバールに材料の層をレーザ焼結によって塗布するステップと、材料の層を研磨するステップと、を含む方法が提供される。
【0116】
[00136] 本発明の第3の態様では、リソグラフィ装置で使用するオブジェクトホルダであって、表面を有する本体と、表面上に提供され、オブジェクトを支持する端面を有する複数のバールと、を備え、バールの少なくとも1つの少なくとも一部がレーザ焼結によって形成されているオブジェクトホルダが提供される。
【0117】
[00137] ある実施形態では、本体はバールの部分とは異なる材料で形成される。少なくとも1つのバールはTi、Si、溶融石英、コージェライト、ダイヤモンドライクカーボン、SiC、SiO、AIN、TiN及びCrNからなる群から選択した少なくとも1つの材料を含んでもよい。少なくとも1つのバールはマトリクス材料及びマトリクス材料内に埋込まれた粒子から形成されてもよい。マトリクス材料は、Ti、Si、溶融石英、コージェライト、ダイヤモンドライクカーボン、SiC、SiO、AIN、TiN及びCrNからなる群から選択した少なくとも1つの材料を含んでもよい。粒子は、立方晶窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化チタン、炭化チタン及びダイヤモンドからなる群から選択した少なくとも1つの材料を含んでもよい。
【0118】
[00138] 少なくとも1つのバールは第1の材料の第1の層と、第1の材料とは異なる第2の材料の第2の層と、を含んでもよい。第1及び第2の材料は特性又は成分が異なっていてもよい。少なくとも1つのバールは表面に実質的に平行な実質的に一定の断面を有してもよい。少なくとも1つのバールは表面から離れるにつれてテーパしていてもよい。少なくとも1つのバールの表面に実質的に平行な断面は、円、正方形、矩形、楕円形、ひし形及び「競技場形」又は「スタジアム形」の形状からなる群から選択できる。本体は、Zerodur、コージェライト、SiC、SiCiC、AIN、Invar、セラミック及びガラスセラミックからなる群から選択した少なくとも1つの材料を含んでもよい。
【0119】
[00139] オブジェクトホルダは、オブジェクトとして、基板、パターニングデバイス、センサ、及び光学要素から選択した少なくとも1つを支持するように構築され、調整されている。ある実施形態では、オブジェクトは基板であり、オブジェクトホルダは基板ホルダである。基板ホルダは200mm、300mm、又は450mmに実質的に等しい直径を有してもよい。オブジェクトはパターニングデバイスであってもよく、オブジェクトホルダはパターニングデバイスの支持構造である。オブジェクトホルダはレチクルクランプであってもよい。オブジェクトホルダは基板グリッパであってもよい。薄膜スタックを表面上に提供でき、複数のバールが薄膜スタックよりも表面から突き出していてもよい。
【0120】
[00140] 本発明の第4の態様では、パターニングデバイスを支持するように構成された支持構造と、パターニングデバイスによってパターン形成されたビームを基板上に投影するように構成された投影システムと、基板を保持するように構成された本発明の第3の態様による基板ホルダと、を備えるリソグラフィ装置が提供される。
【0121】
[00141] リソグラフィ装置は基板テーブルを含んでいてもよく、基板ホルダは基板テーブルと一体化している。
【0122】
[00142] 本発明の第5の態様では、リソグラフィ装置で使用するテーブルであって、表面を有する本体と、表面上にあり、基板などのオブジェクトを支持する端面を有する複数のバールと、を備え、該複数のバールがレーザ焼結によって形成されているオブジェクトホルダが提供される。
【0123】
[00143] 本発明の第6の態様では、パターニングデバイスを支持するように構成された支持構造と、パターニングデバイスによってパターニングされたビームを基板に投影するように配置された投影システムと、本発明の第4又は第5の態様によるテーブルと、を備えるリソグラフィ装置が提供される。
【0124】
[00144] 本発明の第7の態様では、リソグラフィ装置を使用したデバイス製造方法が提供され、方法は、基板を基板ホルダに保持しながら、パターニングデバイスによってパターニングされたビームを基板に投影するステップを含み、基板ホルダは、表面を有する本体と、表面上に備えられ、複数のバールがレーザ焼結によって形成されている基板を支持する端面を有する複数のバールと、を備える。
【0125】
[00145] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、特許請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を修正できることが当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図18C