(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】防眩フィルム、偏光板およびディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/02 20060101AFI20221205BHJP
G02B 1/14 20150101ALI20221205BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20221205BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20221205BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20221205BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20221205BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
G02B5/02 B
G02B1/14
G02B5/30
G02F1/1335
B32B7/023
B32B27/20 Z
B32B27/30 A
(21)【出願番号】P 2020552660
(86)(22)【出願日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 KR2019012164
(87)【国際公開番号】W WO2020060239
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2020-06-17
(31)【優先権主張番号】10-2018-0114409
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0114792
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ハンナ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ヒョン・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンレ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジェヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】インテク・ソン
【審査官】中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-112257(JP,A)
【文献】特開2019-105692(JP,A)
【文献】特開2014-059334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/02
G02B 1/10
G02B 5/30
G02F 1/1335
B32B 7/023
B32B 27/20
B32B 27/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基材;およびバインダー樹脂と前記バインダー樹脂に分散した無機微粒子を含むハードコート層;を含み、
下記式1の反射強度比(R)が0.6~1%であ
り、
内部ヘイズに対する外部ヘイズの比率が0.5~2である、防眩フィルム:
[式1]
反射強度比(R)=(R
1/R
2)×100
前記式1において、
R
1は、前記ハードコート層に対して45°の入射角で光を照射した後、入射角の正反射に該当する45°で測定された反射強度値であり、
R
2は、前記光透過性基材に対して45°の入射角で光を照射した後、入射角の正反射に該当する45°で測定された反射強度値である。
【請求項2】
前記防眩フィルムが有する反射強度比(R)に対する外部ヘイズの比率が10~30である、請求項1に記載の防眩フィルム。
【請求項3】
前記無機微粒子は、
平均粒径が1~2μmである第1無機微粒子凝集体;
平均粒径が3~5μmである第2無機微粒子凝集体;および
平均1次粒径が1~10μmである第3無機微粒子を含む、請求項1
または2に記載の防眩フィルム。
【請求項4】
前記第1無機微粒子凝集体に対する第2無機微粒子凝集体の平均粒径比は1.5~4倍である、請求項
3に記載の防眩フィルム。
【請求項5】
前記第1無機微粒子凝集体は、第1無機微粒子が凝集した凝集体であり、
前記第2無機微粒子凝集体は、第2無機微粒子が凝集した凝集体であり、
前記第1無機微粒子および第2無機微粒子は、平均粒径が50nm以下である、請求項
3または
4に記載の防眩フィルム。
【請求項6】
前記第3無機微粒子は、500~600nmの波長基準1.400~1.480の屈折率を有する、請求項
3から
5のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
【請求項7】
前記第3無機微粒子と前記バインダー樹脂の屈折率の差は、0.2~1.0である、請求項
3から
6のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
【請求項8】
前記ハードコート層は、1~10μmの厚さを有する、請求項1から
7のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
【請求項9】
前記バインダー樹脂は、ビニル系単量体または(メタ)アクリレート系単量体の重合体または共重合体を含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
【請求項10】
前記ハードコート層は、前記バインダー樹脂100重量部に対して前記第3無機微粒子2~10重量部を含む、請求項
3から
9のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
【請求項11】
前記第1無機微粒子凝集体および第2無機微粒子凝集体の重量比は、1:4~7である、請求項
3から
10のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
【請求項12】
前記光透過性基材は、波長400nm~800nmで測定される面内位相差(Re)が500nm以下であるか、5000nm以上である、請求項1から
11のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
【請求項13】
前記光透過性基材は、ポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項
12に記載の防眩フィルム。
【請求項14】
請求項1から
13のいずれか一項に記載の防眩フィルムを含む、偏光板。
【請求項15】
請求項1から
13のいずれか一項に記載の防眩フィルムを含む、ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2018年9月21日付韓国特許出願第10-2018-0114409号および2019年9月18日付韓国特許出願第10-2019-0114792号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれている。
【0002】
本発明は防眩フィルム、偏光板およびそれを含むディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
平板ディスプレイ技術の大面積化高解像度への発展につれ適用製品がTV、モニタ、モバイルなど家庭用およびオフィス用から屋外広告板、電光板など大面積ディスプレイに発展している。LCDやPDP、OLED、背面投影(Rear-projection)TVなどの平板ディスプレイ(FPD;Flat Panel Display)は、自然光などの外部光に露出する場合、表面反射光によって利用者の目に疲労感を与えたり頭痛を誘発したりもする。またディスプレイの内部で作られるイメージが鮮明な像として認識されない問題を抱いている。このような短所を解決するためにディスプレイ表面に凹凸を形成して外部の光を表面で散乱させたり、コーティング膜を形成する樹脂と微粒子との間の屈折率を用いて内部散乱を誘導するための防眩フィルム(Anti-Glare Film)を適用する。
【0004】
このような目的で表示装置などの表面に適用される防眩フィルムは防眩効果だけでなく、高鮮明性と高コントラスト比も求められる。しかし、一般的にヘイズ値が高いほど外部光の拡散程度が大きくなり防眩効果が良いが、表面の散乱によるイメージの歪曲現象と内部散乱による白化現象でコントラスト比(contrast ratio)が劣る問題が現れる。このように、鮮明度およびコントラスト比を高める場合は防眩特性が劣り、防眩特性を高める場合は像鮮明度およびコントラスト比が劣る問題があり、このような特性をどのように制御するのかは高解像度ディスプレイ用防眩フィルムの製造において重要な技術といえる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は高いコントラスト比および優れた像鮮明度を示しながらも、スパークリング(sparkling)不良、ランプの像形成と光広がりを防止し、耐スクラッチ性および耐汚染性などの物理的特性にも優れた防眩フィルムを提供する。
【0006】
また、本発明は高いコントラスト比および優れた像鮮明度を示しながらも、スパークリング不良、ランプの像形成と光広がりを防止し、耐スクラッチ性および耐汚染性などの物理的特性にも優れた偏光板およびディスプレイ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書においては、光透過性基材;およびバインダー樹脂と前記バインダー樹脂に分散した無機微粒子を含むハードコート層;を含み、下記式1の反射強度比(R)が0.6~1%である防眩フィルムが提供され得る。
【0008】
[式1]
反射強度比(R)=(R1/R2)×100
【0009】
前記式1において、
R1は、前記ハードコート層に対して45°の入射角で光を照射した後、入射角の正反射に該当する45°で測定された反射強度値であり、
R2は、前記光透過性基材に対して45°の入射角で光を照射した後、入射角の正反射に該当する45°で測定された反射強度値である。
【0010】
また、本明細書では、前記防眩フィルムを含む偏光板が提供される。
【0011】
また、本明細書では、前記防眩フィルムを含むディスプレイ装置が提供される。
【0012】
以下、発明の具体的な実施形態による防眩フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置に関してより詳細に説明する。
【0013】
本明細書において、第1、第2および第3の用語は、多様な構成要素を説明するために使用し、前記用語は一つの構成要素を他の構成要素との区別の目的としてのみ使用される。
【0014】
また、(メタ)アクリレート[(Meth)acrylate]は、アクリレート(acrylate)およびメタクリレート(Methacrylate)を両方とも含む意味である。
【0015】
また、光硬化性樹脂は、光の照射によって、例えば可視光線または紫外線照射によって重合される高分子樹脂を通称する。
【0016】
発明の一実施形態によれば、光透過性基材;およびバインダー樹脂と前記バインダー樹脂に分散した無機微粒子を含むハードコート層;を含み、下記式1の反射強度比(R)が0.6~1%である防眩フィルムが提供され得る。
【0017】
[式1]
反射強度比(R)=(R1/R2)×100
【0018】
前記式1において、
R1は、前記ハードコート層に対して45°の入射角で光を照射した後、入射角の正反射に該当する45°で測定された反射強度値であり、
R2は、前記光透過性基材に対して45°の入射角で光を照射した後、入射角の正反射に該当する45°で測定された反射強度値である。
【0019】
本発明者らは、前記ハードコート層に含まれる無機微粒子を介して光散乱効果を誘導しながらも、特定の反射強度比(R)を有するようにし、高いコントラスト比および優れた像鮮明度を示しながらも、スパークリング不良を防止し、耐スクラッチ性および耐汚染性などの物理的特性にも優れた防眩フィルムを製造した。また、前記防眩フィルムは、外部光、例えば、ランプを照らした時ランプ像が形成されないため、ランプ像が鮮やかに視認されず、全体光広がりが少なためランプの残像も視認されない視感を形成することができる。
【0020】
具体的には、前記防眩フィルムの下記式1の反射強度比(R)は、0.6~1%、0.6~0.9%、または0.65~0.8%であり得る。
【0021】
[式1]
反射強度比(R)=(R1/R2)×100
【0022】
前記反射強度比は、前記光透過性基材に対して測定された反射強度値(R2)に対する前記ハードコート層に対して測定された反射強度値(R1)を百分率で計算したものである。
【0023】
具体的には、前記反射強度は測定対象に対して面の法線から45°の角度で可視光度を照射すると、入射角の正反射に該当する45°で一部の光が拡散する。この時、正反射方向における光の強度が反射強度で定義される。また、裏面反射を抑制し、実際の使用時の条件に合わせるために、測定対象の裏面には非透光性基材を貼付する。
【0024】
前記非透光性基材は、光透過度が概ね0%である可視光線などの光が全く透過しない基材であり、例えば、黒アクリル板、黒馬糞紙、または黒色粘着剤が塗布されたフィルムであり得る。前記黒色粘着剤が塗布されたフィルムとしては、例えば、黒色粘着剤が塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルムであり得る。
【0025】
より具体的に、前記反射強度比(R)のR1を測定するために、先に、ハードコート層に対向するように光透過性基材の一面に凹凸や反りがない平坦な非透光性基材を貼付する。その後、ハードコート層面に対して面の法線から45°の角度で光速を入射し、入射角の正反射に該当する45°で反射強度(R1)を測定する。
【0026】
また、前記反射強度比(R)のR2を測定するために、ハードコート層が形成されない光透過性基材のみを準備し、前記光透過性基材の一面に非透光性基材を貼付する。その後、前記非透光性基材が貼付されていない光透過性基材の一面に対し、面の法線から45°の角度で光速を入射し、入射角の正反射に該当する45°で反射強度(R2)を測定することができる。
【0027】
前記反射強度比(R)が0.6%未満であるとランプを照らした時ランプ像が形成されないが、光広がりの程度が大きいためランプがぼやけて視認されて画面の視認性が良く、1%超えるとランプを照らした時ランプ像が形成されてグレアを誘発し得る。
【0028】
前記防眩フィルムが有する反射強度比(R)は、前記ハードコート層に含まれる平均粒径が相異する3種以上の無機微粒子/無機微粒子凝集体の平均粒径、これらの間の平均粒径差、前記無機微粒子がハードコート層内で占める体積分率、ハードコート層に形成された凹凸の平均高さ、ハードコート層に形成された凹凸の高さ偏差などに起因したものであり得る。
【0029】
一方、一般的にヘイズ値が高いほど外部光の拡散程度が大きくなり、防眩効果が卓越することに対し、表面の散乱によるイメージの歪曲現象と内部散乱による白化現象でコントラスト比が劣る問題が現れる。これに対し、前記実施形態の防眩フィルムはそれほど高くないヘイズ値を有しながらも、内部および外部ヘイズの比率を制御して高いコントラスト比および優れた像鮮明度を現わすことができ、さらにスパークリング不良、ランプの像形成と光広がりを防止することができる。
【0030】
具体的には、前記防眩フィルムが有する内部ヘイズに対する外部ヘイズの比率が0.5~2、0.8~1.8、0.8~1.6であり得る。前記防眩フィルムが有する内部ヘイズに対する外部ヘイズの比率は、前記ハードコート層に含まれる平均粒径が相異する3種以上の無機微粒子/無機微粒子凝集体の平均粒径、これらの間の平均粒径差、前記無機微粒子がハードコート層内で占める体積分率、ハードコート層に含まれる平均1次粒径が1~10μmである第3無機微粒子とバインダー樹脂の屈折率差などに起因したものであり得る。
【0031】
前記フィルムが有する内部ヘイズに対する外部ヘイズの比率が0.5未満であると、防眩視感が不足して防眩効果が低下し、カバーガラスの下部に前記防眩フィルムが位置する場合、ハードコート層に形成された外部凹凸によるANR(Anti-Newton Ring)効果が低下して干渉じまが発生して光学特性が低下し得、2を超えると外部ヘイズが高まって外部凹凸によるスパークリング現象が激しくなり像鮮明度が低下し得る。
【0032】
前記一実施形態による防眩フィルムは、前記反射強度比(R)に対する外部ヘイズの比率が10~30、14~30、または18~25であり得る。前記反射強度比(R)に対する外部ヘイズの比率は、前記ハードコート層に含まれる平均粒径が相異する3種以上の無機微粒子/無機微粒子凝集体の平均粒径、これらの間の平均粒径差、前記無機微粒子がハードコート層内で占める体積分率等に起因したものであり得る。
【0033】
前記反射強度比(R)に対する外部ヘイズの比率が10未満であると光反射が大きくなり防眩効果がなく、カバーガラスの下部に前記防眩フィルムが位置する場合、ハードコート層に形成された外部凹凸によるANR(Anti-Newton Ring)効果が低下して干渉じまが発生して光学特性が低下する問題が発生し、30を超えると外部光に対する光広がりが激しく画面の視認性が低下し、外部凹凸によるスパークリング現象が激しくなり、像鮮明度が低下し得る。
【0034】
前記ハードコート層の厚さは、1~10μmまたは2~8μmであり得る。前記ハードコート層の厚さが1μm未満であると所望する硬さ(硬度)を得ることが困難になり、10μmを超えるとハードコート層形成時樹脂を硬化させる過程でカール(curl)され得る。
【0035】
前記ハードコート層の厚さは、防眩フィルムを切断した断面をSEM(走査型電子顕微鏡:scanning electron microscope)観察し、ハードコート層のバインダー部の厚さを測定することによって求めることができる。一方、厚さ測定機(TESA株式会社製)を用いて測定した無機微粒子を含むハードコート層全体の厚さから、ハードコート層の算術平均粗さ(roughness)Raを引く手法によって求めた厚さが前記SEM観察によって求めたバインダー部の厚さとほぼ一致するので、この手法を用いることができる。
【0036】
前記ハードコート層の表面には微細凹凸形状が形成され得る。従来の個々の有機または微粒子がハードコート層から突出して凹凸形状が形成されることとは異なり、前記実施形態によるハードコート層は、前記無機微粒子が面内方向に凝集して形成された無機微粒子凝集体が一つの凸部になり、ハードコート層表面の微細凹凸形状を形成することができる。前記ハードコート層表面に微細凹凸が形成されることによって、高いコントラスト比および優れた像鮮明度を示しながらも、スパークリング不良、ランプの像形成と光広がりを防止することができる。
【0037】
具体的には、前記ハードコート層に3種以上の相異する無機微粒子が含まれ得る。例えば、前記無機微粒子は平均粒径が1~2μmである第1無機微粒子凝集体、平均粒径が3~5μmである第2無機微粒子凝集体;および平均1次粒径が1~10μmである第3無機微粒子を含み得る。
【0038】
前記第1無機微粒子凝集体および第2無機微粒子凝集体は、第1無機微粒子と第2無機微粒子がハードコート層の面内方向にそれぞれ凝集して形成され得る。また、ハードコート層の面内方向にそれぞれ凝集した前記第1無機微粒子凝集体および第2無機微粒子凝集体によってハードコート層の表面に凹凸が形成され得る。一方、前記第3無機微粒子は、前記ハードコート層内で凝集していない無機微粒子であって、前記バインダー樹脂との屈折率差を用いてハードコート層の内部ヘイズを特定の範囲に実現することができる。
【0039】
したがって、前記一実施形態によるハードコート層が、平均粒径が1~2μmである第1無機微粒子凝集体、平均粒径が3~5μmである第2無機微粒子凝集体;および平均1次粒径が1~10μmである第3無機微粒子がすべて含まれることによって、前記反射強度比、前記反射強度比に対する外部ヘイズの比率および前記内部ヘイズに対する外部ヘイズの特定の比率を満足することができ、さらに、高いコントラスト比および優れた像鮮明度を示しながらも、スパークリング不良、ランプの像形成と光広がりを防止し、耐スクラッチ性および耐汚染性などの物理的特性にも優れる。
【0040】
一方、前記ハードコート層が平均粒径が相対的に小さい第1無機微粒子凝集体のみを含む場合、ランプ像が形成されてグレアを誘発し得、平均粒径が相対的に大きい第2無機微粒子凝集体のみを含む場合、ランプ像は形成されないが光広がりの程度が大きくランプがぼやけて視認されて画面の視認性が良くない。
【0041】
前記第1無機微粒子凝集体に対する第2無機微粒子凝集体の平均粒径比は、1.5~4、2~3.5または2~3であり得る。前記粒径比が1.5未満であると表面凹凸の大きさが小さくランプ像が形成されてグレアを誘発し得、4を超えると光広がり程度が大きくランプがぼやけて視認されて画面の視認性が良くない場合もあり、スパークリング不良が発生し得る。
【0042】
前記第1無機微粒子凝集体および第2無機微粒子凝集体の重量比は、1:4~7であり得る。前記第1無機微粒子凝集体および第2無機微粒子凝集体の重量比が1:4未満であると、表面凹凸の大きさが小さくランプ像が形成されてグレアを誘発し得、1:7を超えると光広がりの程度が大きくランプがぼやけて視認されて画面の視認性が良くない。
【0043】
前記第1無機微粒子凝集体は、第1無機微粒子がブドウの房状などに連結された凝集体であり、前記第2無機微粒子凝集体は、第2無機微粒子がブドウの房状などに連結された凝集体であり得る。したがって、前記第1無機微粒子および第2無機微粒子は、平均粒径が50nm以下または10~15nmであり得、これらが連結された前記第1無機微粒子凝集体および第2無機微粒子凝集体は光散乱が少なく内部ヘイズを誘発させず、ハードコート層の表面に配向して凹凸を形成して外部ヘイズのみ実現することができる。
【0044】
前記第3無機微粒子は、500~600nmの波長基準1.400~1.480の屈折率を有することができる。前記ハードコート層に前記第3無機微粒子を含むことによって、高いコントラスト比および優れた像鮮明度を示しながらも、スパークリング不良を防止することができる。
【0045】
前記第3無機微粒子は、ハードコート層内で前記バインダー樹脂との屈折率差を用いて防眩フィルムのヘイズを特定の範囲に実現することができ、具体的には、前記第3無機微粒子とバインダー樹脂の屈折率との差は0.2~1.0または0.4~1.0であり得る。前記第3無機微粒子とバインダー樹脂の屈折率差が0.2未満であると適切なヘイズを実現するために多量の粒子が含まれなければならないので、像鮮明度が低くなる問題が発生し得、1.0を超えると白濁度が激しくなる問題が発生し得る。前記屈折率の基準は500~600nmの波長であり得る。
【0046】
従来には内部ヘイズを実現するために有機粒子、例えば、PMMA-PS共重合体粒子などを使用したが、このような場合、高い内部ヘイズを実現するために有機粒子を過量に使用しなければならず、これによってフィルム外部に有機粒子が露出されることによって耐スクラッチ性が低下する問題が発生した。
【0047】
しかし、前記一実施形態による防眩フィルムのハードコート層に含まれる前記第3無機微粒子は、無機微粒子自体の耐スクラッチ性により、従来の有機粒子を使用する場合に比べて優れた耐スクラッチ性を実現することができる。
【0048】
前記第1無機微粒子凝集体および第2無機微粒子凝集体総重量100重量部に対して、前記第3無機微粒子の含有量は30~80重量部、40~75重量部または50~70重量部であり得る。前記第3無機微粒子が30重量部未満であると適正の厚さで十分な内部ヘイズを実現することが難しく、80重量部を超えると適正厚さで内部ヘイズが高まってブラック感が低下してコントラスト比が低下する問題が発生し得る。
【0049】
前記無機微粒子凝集体および無機微粒子は、球形、楕円球形、棒型または不定形などの粒子形態を有し得る。棒型や無定形である場合、最も大きい次元の長さが前記範囲の粒径などを満足することができる。
【0050】
また、前記無機微粒子凝集体および無機微粒子などの平均粒径は、例えば動的光散乱法、レーザー回折法、遠心沈降法、FFF(Field Flow Fractionation)法、細孔電気抵抗法などによって測定することができる。
【0051】
前記無機微粒子の具体的な種類が限定されるものではないが、例えば酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウムおよび酸化亜鉛からなる無機微粒子であり得る。具体的には、第1無機微粒子凝集体および第2無機微粒子凝集体は、それぞれ独立してシリカ、二酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化スズ微粒子の凝集体であり得、第3無機微粒子はポリシルセスキオキサン微粒子、より具体的にはケージ構造のシルセスキオキサン(POSS;Polyhedral Oligomeric Silsesquioxane)微粒子であり得る。
【0052】
特に、特定の内部ヘイズを実現するために有機微粒子を使用していた従来技術とは異なり、無機微粒子、具体的には第3無機微粒子を使用することによって、前記一実施形態による防眩フィルムの耐スクラッチ性などの物理的特性を向上させることができる。
【0053】
前記ハードコート層は、前記バインダー樹脂100重量部に対して前記第3無機微粒子2~10重量部、3~8重量部、または4~7重量部で含まれ得る。前記バインダー樹脂に対して前記第3無機微粒子の含有量が2重量部未満であると内部散乱によるヘイズ値が十分に具現されず、10重量部を超えると内部散乱によるヘイズ値が過度に大きくなりコントラスト比が低下し得る。
【0054】
一方、前記バインダー樹脂はビニル系単量体または(メタ)アクリレート系単量体の重合体または共重合体を含み得る。
【0055】
前記ビニル系単量体または(メタ)アクリレート系単量体は、(メタ)アクリレートまたはビニル基を1以上、または2以上、または3以上含む単量体またはオリゴマーを含み得る。
【0056】
前記(メタ)アクリレートを含む単量体またはオリゴマーの具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサエチルメタクリレート、ブチルメタクリレートまたはこれらの2種以上の混合物や、またはウレタン変性アクリレートオリゴマー、エポキシドアクリレートオリゴマー、エーテルアクリレートオリゴマー、デンドリックアクリレートオリゴマー、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。この時、前記オリゴマーの重量平均分子量は1,000~10,000であり得る。
【0057】
前記ビニル基を含む単量体またはオリゴマーの具体的な例としては、ジビニルベンゼン、スチレンまたはパラメチルスチレンが挙げられる。
【0058】
また、前記バインダー樹脂に含まれる重合体または共重合体は、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレート、およびポリエーテルアクリレートからなる反応性アクリレートオリゴマー群;およびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチレンプロピルトリアクリレート、プロポキシ化グリセロールトリアクリレート、トリメチルプロパンエトキシトリアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、プロポキシ化グリセロトリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、およびエチレングリコールジアクリレートからなる多官能性アクリレート単量体群より選ばれる1種以上の単量体に由来した部分をさらに含み得る。
【0059】
一方、前記ハードコート層を形成する段階では、光重合性コーティング組成物を塗布するために通常用いられる方法および装置を格別な制限なしで用い得、例えば、メイヤーバー(Meyer bar)などのバーコート法、グラビアコーティング法、2ロールリバース(2 roll reverse)コーティング法、バキュームスロットダイ(vacuum slot die)コーティング法、2ロール(2 roll)コーティング法などを用いることができる。
【0060】
前記ハードコート層を形成する段階では200~400nm波長の紫外線または可視光線を照射し得、照射時の露光量は100~4,000mJ/cm2であり得る。露光時間も特に限定されるものではなく、用いられる露光装置、照射光線の波長または露光量に応じて適切に変化させることができる。また、前記ハードコート層を形成する段階では窒素大気条件を適用するために窒素パージなどをすることができる。
【0061】
一方、前記光透過性基材は透明性を有するプラスチックフィルムを用いることができる。例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ジアセチルセルロース、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などであり得る。
【0062】
従来の防眩フィルムは、トリアセチルセルロースを基材として使用する場合が多かったが、前記トリアセチルセルロースフィルムが水分に脆弱であるため、特に、屋外ディスプレイに使用される場合、耐久性が悪い短所がある。そこで、耐透湿性に優れたポリエチレンテレフタレートフィルムを基材として用いているが、ポリエチレンテレフタレートの複屈折によってレインボー不良を解決しなければならない問題がある。
【0063】
しかし、前記一実施形態による防眩フィルムに含まれた光透過性基材は、波長400nm~800nmで測定される面内位相差(Re)が500mm以下であるか、5000nm以上であり得、前記面内位相差を満足するポリエチレンテレフタレートフィルムであり得る。このようなフィルムを光透光性基材に使用することによって可視光線の干渉によるレインボー現象が緩和され得る。
【0064】
面内位相差(Re)は、光透過性基材の厚さをd、面内の地上軸方向の屈折率をnx、面内の進相軸方向の屈折率をnyと定義する場合に、下記式で定義される。
【0065】
Re=(nx-ny)×d
【0066】
また、前記位相差は、絶対値で正数で定義することができる
【0067】
前記光透過性基材の厚さは、生産性などを考慮して10~300μmであり得るが、これに限定するものではない。
【0068】
発明の他の実施形態によれば、前記防眩フィルムを含む偏光板が提供されることができる。前記偏光板は、偏光膜と前記偏光膜の少なくとも一面に形成された防眩フィルムを含み得る。
【0069】
前記偏光膜の材料および製造方法は特に限定されず、当技術分野に知られている通常の材料および製造方法を用いることができる。例えば、前記偏光膜はポリビニルアルコール系偏光膜であり得る。
【0070】
前記偏光膜と防眩フィルムとの間には保護フィルムが備えられ得る。前記保護フィルムの例が限定されるものではなく、例えばCOP(シクロオレフィンポリマー、cycloolefin polymer)系フィルム、アクリル系フィルム、TAC(トリアセチルセルロース、triacetylcellulose)系フィルム、COC(シクロオレフィンコポリマー、cycloolefin copolymer)系フィルム、PNB(ポリノルボルネン、polynorbornene)系フィルムおよびPET(ポリエチレンテレフタレート、polyethylene terephtalate)系フィルムのうちいずれか一つ以上であり得る。
【0071】
前記保護フィルムは、前記防眩フィルムの製造時に単一コート層を形成するための基材がそのまま使用されることもできる。前記偏光膜と前記防眩フィルムは、水系接着剤または非水系接着剤などの接着剤によって貼り合わせられ得る。
【0072】
発明のまた他の実施形態によれば、上述した防眩フィルムを含むディスプレイ装置が提供されることができる。
【0073】
前記ディスプレイ装置の具体的な例が限定されるものではなく、例えば液晶表示装置(Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイ装置、有機発光ダイオード装置(Organic Light Emitting Diodes)等の装置であり得る。
【0074】
一つの例として、前記ディスプレイ装置は互いに対向する1対の偏光板;前記1対の偏光板の間に順次積層された薄膜トランジスタ、カラーフィルターおよび液晶セル;およびバックライトユニットを含む液晶ディスプレイ装置であり得る。前記防眩フィルムを含むディスプレイ装置は、1対の偏光板のうち相対的にバックライトユニットと距離が遠い偏光板の一面に防眩フィルムが位置し得る。
【0075】
前記ディスプレイ装置で前記防眩フィルムは、ディスプレイパネルの観測者側またはバックライト側の最外郭の表面に備えられる。より具体的には、前記ディスプレイ装置はノートブック用ディスプレイ装置、TV用ディスプレイ装置、広告用大面積ディスプレイ装置であり得、前記防眩フィルムは前記ノートブック用ディスプレイ装置、TV用ディスプレイ装置、広告用大面積ディスプレイ装置の最外郭面に位置し得る。
【発明の効果】
【0076】
本発明によれば、高いコントラスト比および優れた像鮮明度を示しながらも、スパークリング不良、ランプの像形成と光広がりを防止し、耐スクラッチ性および耐汚染性などの物理的特性にも優れた防眩フィルムと前記防眩フィルムを含み高いコントラスト比および優れた像鮮明度を示しながらも、スパークリング不良、ランプの像形成と光広がりが防止され、耐スクラッチ性および耐汚染性などの物理的特性にも優れた偏光板およびディスプレイ装置が提供されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0077】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するだけであり、本発明の内容は下記の実施例によって限定されない。
【0078】
<実施例および比較例:防眩フィルムの製造>
(1)ハードコート層形成用組成物の製造
(1-1)製造例1
バインダーで50重量部のペンタエリスリトールトリ(テトラ)アクリレート(SK Entis製品)および50重量部のEB-1290(光硬化型脂肪族ウレタンヘキサアクリレート、SK Entis製品)を準備し、前記バインダー100重量部を基準として5重量部のIRG184(開始剤、イルガキュア184、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、スイスチバスペシャルティケミカルズ製)、50重量部のトルエン(溶媒)、50重量部のMEK(溶媒、メチルエチルケトン)、1.5重量部のSS-50(第1無機微粒子凝集体、表面処理疎水性シリカ凝集体、平均2次粒径1~2μm、東ソー・シリカ株式会社製)、6重量部のAcematt 3600(第2無機微粒子凝集体、シリカ凝集体、平均2次粒径3~5μm、エボニックデグサ製)、および5重量部のT145A(第3無機微粒子、POSS(シルセスキオキサン、Silsesquioxane)、平均1次粒径5μm、屈折率1.42、Toshiba製品)を準備し、これらを混合して製造例1のハードコート層形成用組成物を製造した。
【0079】
(1-2)製造例2
バインダーで50重量部のペンタエリスリトールトリアクリレート(SK Entis製品)および50重量部のトリメチロールプロパントリアクリレートを準備し、前記バインダー100重量部を基準として5重量部のIRG184(開始剤、イルガキュア184、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、スイスチバスペシャルティケミカルズ製)、50重量部のトルエン(溶媒)、50重量部のMEK(溶媒、メチルエチルケトン)、1.5重量部のSS-60(第1無機微粒子凝集体、表面処理疎水性シリカ、平均2次粒径1~2.2μm、東ソー・シリカ株式会社製)、7重量部のSS230(第2無機微粒子凝集体、シリカ、平均2次粒径3~5μm、S-Chemtech社)、および5.8重量部のT2000B(第3無機微粒子、POSS(シルセスキオキサン、Silsesquioxane)、平均1次粒径6μm、屈折率1.42、Toshiba製品)を準備し、これらを混合して製造例1のハードコート層形成用組成物を製造した。
【0080】
(1-3)製造例3
バインダーで50重量部のペンタエリスリトールトリアクリレート(SK Entis製品)および50重量部のトリメチロールプロパントリアクリレートを準備し、前記バインダー100重量部を基準として5重量部のIRG184(開始剤、イルガキュア184、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、スイスチバスペシャルティケミカルズ製)、50重量部のトルエン(溶媒)、50重量部のMEK(溶媒、メチルエチルケトン)、1.2重量部のSS-60(第1無機微粒子凝集体、表面処理疎水性シリカ、平均2次粒径1~2.2μm、東ソー・シリカ株式会社製)、6重量部のAcematt 3600(第2無機微粒子凝集体、シリカ凝集体、平均2次粒径3~5μm、エボニックデグサ製)、および4重量部のT120(第3無機微粒子、POSS(シルセスキオキサン、Silsesquioxane)、平均1次粒径2μm、屈折率1.42、Toshiba製品)を準備し、これらを混合して製造例1のハードコート層形成用組成物を製造した。
【0081】
(1-4)製造例4
1.5重量部のSS-50、6重量部のAcematt 3600、および5重量部のT145Aの代わりに17重量部の平均1次粒径が5μmであるPS-PMMA(ポリスチレン-ポリメチルメタクリレート共重合粒子、屈折率1.555)および3.7重量部の平均1次粒径が3.5μmであるPS-PMMA(ポリスチレン-ポリメチルメタクリレート共重合粒子、屈折率1.515)を使用したことを除いては、製造例1と同様の方法でハードコート層形成用組成物を製造した。
【0082】
(1-5)製造例5
1.5重量部のSS-50、6重量部のAcematt 3600、および5重量部のT145Aの代わりに9.5重量部のSS-50および15重量部の平均1次粒径が5μmであるPS-PMMA(ポリスチレン-ポリメチルメタクリレート共重合粒子、屈折率1.555)を使用したことを除いては、製造例1と同様の方法でハードコート層形成用組成物を製造した。
【0083】
(1-6)製造例6
1.5重量部のSS-60、7重量部のSS230、および5.8重量部のT2000Bの代わりに10重量部のT145Aおよび10重量部の平均1次粒径が3.5μmであるPS-PMMA(ポリスチレン-ポリメチルメタクリレート共重合粒子、屈折率1.515)を使用したことを除いては、製造例2と同様の方法でハードコート層形成用組成物を製造した。
【0084】
(1-7)製造例7
1.5重量部のSS-50、6重量部のAcematt 3600、および5重量部のT145Aの代わりに12重量部のAcematt 3600および10重量部のT2000Bを使用したことを除いては、製造例1と同様の方法でハードコート層形成用組成物を製造した。
【0085】
(1-8)製造例8
1.5重量部のSS-50、6重量部のAcematt 3600、および5重量部のT145Aの代わりに10重量部のSS-50F(第1無機微粒子凝集体、表面処理疎水性シリカ、平均2次粒径1~2μm、東ソー・シリカ株式会社製)および15重量部のT145Aを使用したことを除いては、製造例1と同様の方法でハードコート層形成用組成物を製造した。
【0086】
(2)防眩フィルムの製造
このように得られた製造例1~8のハードコーティング組成物を下記表2の光透光性基材に#10 メイヤーバー(meyer bar)でコートして90℃で1分乾燥した。このような建造物に150mJ/cm2の紫外線を照射してハードコート層を形成して防眩フィルムを製造した。この時、ハードコート層の厚さは下記表1に記載した。
【0087】
【0088】
<実験例>
1.透光度および内部/外部ヘイズの評価
前記実施例および比較例それぞれで得られた防眩フィルムから4cm×4cmの試験片を準備してヘイズ測定機(HM-150、A光源、村上社)で3回測定して平均値を計算し、それを全体ヘイズ値として算出した。測定時、透光度とヘイズは同時に測定され、透光度はJIS K 7361規格、ヘイズはJIS K 7136規格によって測定した。
【0089】
内部ヘイズ測定時には、測定対象光学フィルムのコーティング面に全体ヘイズが0である粘着フィルムを貼り付けて表面の凹凸を平坦にさせた後、上の全体ヘイズと同様の方法で内部ヘイズを測定した。外部ヘイズは全体ヘイズと内部ヘイズの測定値差を計算した値の平均値で算出し、その結果を下記表2に示した。
【0090】
2.反射強度比の評価
前記実施例および比較例それぞれで得られた防眩フィルムのハードコート層に対向するように光透過性基材の一面に凹凸や反りがない平坦な黒色粘着剤が塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルムを貼付して試験片を準備した。その後、試験片をゴニオメータ(GC5000L、日本電色工業社)に設置し、試験片のハードコート層面に対して面の法線から45°の角度で光速を入射した。光速がハードコート層面に入射した後、入射角の正反射に該当する45°で反射強度(R1)を測定した。
【0091】
また、実施例および比較例で前記ハードコート層が形成されなかった光透過性基材、具体的には、前記表2に記載された光透過性基材を準備した。前記光透過性基材の一面に凹凸や反りがない平坦な黒色粘着剤が塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルムを貼付して試験片を準備し、前記反射強度(R1)を測定する方法と同様の方法により反射強度(R2)を測定した。
【0092】
測定された反射強度R1およびR2を下記式1に代入し、反射強度比(R)を計算してその結果を下記表2に示した。
【0093】
[式1]
反射強度比(R)=(R1/R2)×100
【0094】
3.視感(ランプ像形成)の評価
前記実施例および比較例それぞれで得られた防眩フィルムのハードコート層に対向するように光透過性基材の一面に凹凸や反りがない平坦な黒色粘着剤が塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルムを貼付して試験片を準備した。その後、2列のランプを有する蛍光ランプ照明を光源としてそれぞれの防眩フィルムでの正反射方向にから視野を観察して蛍光ランプの反射した像のイメージを区分する方法で視感を測定した。視感評価基準は下記に記載されたとおりであり、その結果を下記表2に示した。
【0095】
良好:ランプ像が観察されない
不良:ランプ像が明確に見える。
【0096】
4.光広がりの評価
前記実施例および比較例それぞれで得られた防眩フィルムのハードコート層に対向するように光透過性基材の一面に凹凸や反りがない平坦な黒色粘着剤が塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルムを貼付して試験片を準備した。その後、4mmランプサイズの光を20cm高さで照らした時、試験片に現れる像の大きさで光広がりを評価した。具体的には、光広がり評価の基準は像の大きさにより下記に記載された通り評価され、その結果を下記表2に示した。
【0097】
5.耐スクラッチ性の評価
前記実施例および比較例それぞれで得られた防眩フィルムに対してフランネルコットン(Flannel Cotton)を用いて500gf/cm2荷重で50回往復した時表面にスクラッチ発生の有無を確認して耐スクラッチ性を評価した。耐スクラッチの評価基準は下記に記載されたとおりであり、その結果を下記表2に示した。
【0098】
良好:スクラッチ発生なし
不良:スクラッチ発生
【0099】
【0100】
前記表2によれば、反射強度比が0.6~1であり、反射強度比に対する外部ヘイズの比率が10~30であり、外部ヘイズに対する内部ヘイズの比率が0.5~2である実施例1~3の防眩フィルムはランプ像形成および光広がりが発生せず、耐スクラッチ性にも優れることを確認した。
【0101】
反面、上述した数値範囲を満足しない比較例1~5はランプ像形成が発生したり、光広がりが発生することを確認した。