(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】磁気テープ、磁気テープの製造方法、磁気テープの製造装置、及び記録再生システム
(51)【国際特許分類】
G11B 5/584 20060101AFI20221205BHJP
G11B 20/12 20060101ALI20221205BHJP
G11B 5/84 20060101ALI20221205BHJP
【FI】
G11B5/584
G11B20/12
G11B5/84 Z
(21)【出願番号】P 2021102444
(22)【出願日】2021-06-21
(62)【分割の表示】P 2018101758の分割
【原出願日】2018-05-28
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 穂高
(72)【発明者】
【氏名】赤野 洋一
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0280920(US,A1)
【文献】特開2004-318983(JP,A)
【文献】特開2006-048852(JP,A)
【文献】特開2005-166140(JP,A)
【文献】特表2013-520762(JP,A)
【文献】米国特許第09514769(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/62 - 5/858
G11B 20/10 - 20/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボバンドを3本以上含み、かつ前記サーボバンドの幅方向に沿って前記サーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、前記サーボバンドの幅方向に沿って前記第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、前記サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープであって、
前記第1磁化領域及び前記第2磁化領域の少なくとも一方が、埋め込み対象の情報に応じて、前記長手方向に沿った先頭の位置の線状パターン以外の線状パターンが欠如していることにより、読み取りの際に隣り合う線状パターンの検出時間間隔が異なり、かつ前記検出時間間隔が異なるタイミングを変えて形成されることによって前記情報が埋め込まれている磁気テープ。
【請求項2】
サーボバンドを3本以上含み、かつ前記サーボバンドの幅方向に沿って前記サーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、前記サーボバンドの幅方向に沿って前記第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、前記サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープであって、
前記第1磁化領域及び前記第2磁化領域の少なくとも一方が、埋め込み対象の情報に応じて、前記長手方向に沿った末尾の位置の線状パターン以外の線状パターンが欠如していることにより、読み取りの際に隣り合う線状パターンの検出時間間隔が異なり、かつ前記検出時間間隔が異なるタイミングを変えて形成されることによって前記情報が埋め込まれている磁気テープ。
【請求項3】
サーボバンドを3本以上含み、かつ前記サーボバンドの幅方向に沿って前記サーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、前記サーボバンドの幅方向に沿って前記第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、前記サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープの製造方法であって、
前記第1磁化領域及び前記第2磁化領域の少なくとも一方を、埋め込み対象の情報に応じて、前記長手方向に沿った先頭の位置の線状パターン以外の線状パターンを欠如させることにより、読み取りの際に隣り合う線状パターンの検出時間間隔が異なり、かつ前記検出時間間隔が異なるタイミングを変えて形成することによって前記情報を埋め込む磁気テープの製造方法。
【請求項4】
サーボバンドを3本以上含み、かつ前記サーボバンドの幅方向に沿って前記サーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、前記サーボバンドの幅方向に沿って前記第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、前記サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープの製造方法であって、
前記第1磁化領域及び前記第2磁化領域の少なくとも一方を、埋め込み対象の情報に応じて、前記長手方向に沿った末尾の位置の線状パターン以外の線状パターンが欠如させることにより、読み取りの際に隣り合う線状パターンの検出時間間隔が異なり、かつ前記検出時間間隔が異なるタイミングを変えて形成することによって前記情報を埋め込む磁気テープの製造方法。
【請求項5】
サーボバンドを3本以上含み、かつ前記サーボバンドの幅方向に沿って前記サーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、前記サーボバンドの幅方向に沿って前記第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、前記サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープの製造装置であって、
前記第1磁化領域及び前記第2磁化領域の少なくとも一方を、埋め込み対象の情報に応じて、前記長手方向に沿った先頭の位置の線状パターン以外の線状パターンを欠如させることにより、読み取りの際に隣り合う線状パターンの検出時間間隔が異なり、かつ前記検出時間間隔が異なるタイミングを変えて形成することによって前記情報を埋め込むサーボ記録素子を備えた磁気テープの製造装置。
【請求項6】
サーボバンドを3本以上含み、かつ前記サーボバンドの幅方向に沿って前記サーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、前記サーボバンドの幅方向に沿って前記第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、前記サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープの製造装置であって、
前記第1磁化領域及び前記第2磁化領域の少なくとも一方を、埋め込み対象の情報に応じて、前記長手方向に沿った末尾の位置の線状パターン以外の線状パターンが欠如させることにより、読み取りの際に隣り合う線状パターンの検出時間間隔が異なり、かつ前記検出時間間隔が異なるタイミングを変えて形成することによって前記情報を埋め込むサーボ記録素子を備えた磁気テープの製造装置。
【請求項7】
サーボバンドを3本以上含み、かつ前記サーボバンドの幅方向に沿って前記サーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、前記サーボバンドの幅方向に沿って前記第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、前記サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープであって、前記第1磁化領域及び前記第2磁化領域の少なくとも一方が、埋め込み対象の情報に応じて、前記長手方向に沿った先頭の位置の線状パターン以外の線状パターンが欠如していることにより、読み取りの際に隣り合う線状パターンの検出時間間隔が異なり、かつ前記検出時間間隔が異なるタイミングを変えて形成されることによって前記情報が埋め込まれている磁気テープの前記サーボバンドに形成されているサーボパターンを読み取るサーボ信号読出素子と、
前記サーボ信号読出素子により読み取られたサーボパターンの線状パターンの本数及び前記検出時間間隔が異なるタイミングに応じて、埋め込まれている前記情報を特定する特定部と、
を備えた記録再生システム。
【請求項8】
サーボバンドを3本以上含み、かつ前記サーボバンドの幅方向に沿って前記サーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、前記サーボバンドの幅方向に沿って前記第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、前記サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープであって、前記第1磁化領域及び前記第2磁化領域の少なくとも一方が、埋め込み対象の情報に応じて、前記長手方向に沿った末尾の位置の線状パターン以外の線状パターンが欠如していることにより、読み取りの際に隣り合う線状パターンの検出時間間隔が異なり、かつ前記検出時間間隔が異なるタイミングを変えて形成されることによって前記情報が埋め込まれている磁気テープの前記サーボバンドに形成されているサーボパターンを読み取るサーボ信号読出素子と、
前記サーボ信号読出素子により読み取られたサーボパターンの線状パターンの本数及び前記検出時間間隔が異なるタイミングに応じて、埋め込まれている前記情報を特定する特定部と、
を備えた記録再生システム。
【請求項9】
サーボバンドを3本以上含み、かつ前記サーボバンドの幅方向に沿って前記サーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、前記サーボバンドの幅方向に沿って前記第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、前記サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープであって、
前記第1磁化領域及び前記第2磁化領域の少なくとも一方が、埋め込み対象の情報に応じて、複数本の線状パターンのうちの少なくとも1本の線状パターンが他の線状パターンとは幅が変えられ、かつ幅を変える線状パターンの位置を変えて形成されることによって前記情報が埋め込まれている磁気テープ。
【請求項10】
サーボバンドを3本以上含み、かつ前記サーボバンドの幅方向に沿って前記サーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、前記サーボバンドの幅方向に沿って前記第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、前記サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープの製造方法であって、
前記第1磁化領域及び前記第2磁化領域の少なくとも一方を、埋め込み対象の情報に応じて、複数本の線状パターンのうちの少なくとも1本の線状パターンを他の線状パターンとは幅を変え、かつ幅を変える線状パターンの位置を変えて形成することによって前記情報を埋め込む磁気テープの製造方法。
【請求項11】
サーボバンドを3本以上含み、かつ前記サーボバンドの幅方向に沿って前記サーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、前記サーボバンドの幅方向に沿って前記第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、前記サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープの製造装置であって、
前記第1磁化領域及び前記第2磁化領域の少なくとも一方を、埋め込み対象の情報に応じて、複数本の線状パターンのうちの少なくとも1本の線状パターンを他の線状パターンとは幅を変え、かつ幅を変える線状パターンの位置を変えて形成することによって前記情報を埋め込むサーボ記録素子を備えた磁気テープの製造装置。
【請求項12】
サーボバンドを3本以上含み、かつ前記サーボバンドの幅方向に沿って前記サーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、前記サーボバンドの幅方向に沿って前記第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、前記サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープであって、前記第1磁化領域及び前記第2磁化領域の少なくとも一方が、埋め込み対象の情報に応じて、複数本の線状パターンのうちの少なくとも1本の線状パターンが他の線状パターンとは幅が変えられ、かつ幅を変える線状パターンの位置を変えて形成されることによって前記情報が埋め込まれている磁気テープの前記サーボバンドに形成されているサーボパターンを読み取るサーボ信号読出素子と、
前記サーボ信号読出素子により読み取られたサーボパターンの幅が変えられている線状パターンの位置に応じて、埋め込まれている前記情報を特定する特定部と、
を備えた記録再生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁気テープ、磁気テープの製造方法、磁気テープの製造装置、及び記録再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気情報が記録される磁気テープのデータトラックに磁気ヘッドの記録再生素子を追従させるために、磁気テープには、サーボパターンが書き込まれている。このサーボパターンを磁気テープに書き込む方式としては、タイミングベース方式が知られている。
【0003】
このタイミングベース方式に関する技術として、特許文献1には、サーボパターンに含まれる線状パターンの本数を5本1組、又は4本1組と異ならせることによって「1」、又は「0」の情報をサーボバンドに埋め込む技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したサーボパターンに含まれる線状パターンの本数を異ならせる技術では、1つのサーボパターンに1ビットの情報しか埋め込むことができないため、サーボバンドに埋め込める情報量が少ない、という問題点がある。
【0006】
本開示は、以上の事情を鑑みて成されたものであり、サーボバンドに埋め込める情報量を増やすことができる磁気テープ、磁気テープの製造方法、磁気テープの製造装置、及び記録再生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の磁気テープは、サーボバンドを3本以上含み、かつサーボバンドの幅方向に沿ってサーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、サーボバンドの幅方向に沿って第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープであって、第1磁化領域及び第2磁化領域の少なくとも一方が、埋め込み対象の情報に応じて、読み取りの際に隣り合う線状パターンの検出時間間隔が異なり、かつ検出時間間隔が異なるタイミングを変えて形成されることによって情報が埋め込まれている。
【0008】
なお、本開示の磁気テープは、第1磁化領域及び第2磁化領域の少なくとも一方が、上記長手方向に沿った先頭の位置の線状パターン以外の線状パターンが欠如していることによって、検出時間間隔が異なってもよい。
【0009】
また、本開示の磁気テープは、第1磁化領域及び第2磁化領域の少なくとも一方が、上記長手方向に沿った末尾の位置の線状パターン以外の線状パターンが欠如していることによって、検出時間間隔が異なってもよい。
【0010】
また、本開示の磁気テープの製造方法は、サーボバンドを3本以上含み、かつサーボバンドの幅方向に沿ってサーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、サーボバンドの幅方向に沿って第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープの製造方法であって、第1磁化領域及び第2磁化領域の少なくとも一方を、埋め込み対象の情報に応じて、読み取りの際に隣り合う線状パターンの検出時間間隔が異なり、かつ検出時間間隔が異なるタイミングを変えて形成することによって情報を埋め込むものである。
【0011】
また、本開示の磁気テープの製造装置は、サーボバンドを3本以上含み、かつサーボバンドの幅方向に沿ってサーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、サーボバンドの幅方向に沿って第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープの製造装置であって、第1磁化領域及び第2磁化領域の少なくとも一方を、埋め込み対象の情報に応じて、読み取りの際に隣り合う線状パターンの検出時間間隔が異なり、かつ検出時間間隔が異なるタイミングを変えて形成することによって情報を埋め込むサーボ記録素子を備えている。
【0012】
また、本開示の記録再生システムは、サーボバンドを3本以上含み、かつサーボバンドの幅方向に沿ってサーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、サーボバンドの幅方向に沿って第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープであって、第1磁化領域及び第2磁化領域の少なくとも一方が、埋め込み対象の情報に応じて、読み取りの際に隣り合う線状パターンの検出時間間隔が異なり、かつ検出時間間隔が異なるタイミングを変えて形成されることによって情報が埋め込まれている磁気テープのサーボバンドに形成されているサーボパターンを読み取るサーボ信号読出素子と、サーボ信号読出素子により読み取られたサーボパターンの線状パターンの本数及び検出時間間隔が異なるタイミングに応じて、埋め込まれている情報を特定する特定部と、を備えている。
【0013】
また、本開示の磁気テープは、サーボバンドを3本以上含み、かつサーボバンドの幅方向に沿ってサーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、サーボバンドの幅方向に沿って第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープであって、第1磁化領域及び第2磁化領域の少なくとも一方が、埋め込み対象の情報に応じて、複数本の線状パターンのうちの少なくとも1本の線状パターンが他の線状パターンとは幅が変えられ、かつ幅を変える線状パターンの位置を変えて形成されることによって情報が埋め込まれている。
【0014】
また、本開示の磁気テープの製造方法は、サーボバンドを3本以上含み、かつサーボバンドの幅方向に沿ってサーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、サーボバンドの幅方向に沿って第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープの製造方法であって、第1磁化領域及び第2磁化領域の少なくとも一方を、埋め込み対象の情報に応じて、複数本の線状パターンのうちの少なくとも1本の線状パターンを他の線状パターンとは幅を変え、かつ幅を変える線状パターンの位置を変えて形成することによって情報を埋め込むものである。
【0015】
また、本開示の磁気テープの製造装置は、サーボバンドを3本以上含み、かつサーボバンドの幅方向に沿ってサーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、サーボバンドの幅方向に沿って第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープの製造装置であって、第1磁化領域及び第2磁化領域の少なくとも一方を、埋め込み対象の情報に応じて、複数本の線状パターンのうちの少なくとも1本の線状パターンを他の線状パターンとは幅を変え、かつ幅を変える線状パターンの位置を変えて形成することによって情報を埋め込むサーボ記録素子を備えている。
【0016】
また、本開示の記録再生システムは、サーボバンドを3本以上含み、かつサーボバンドの幅方向に沿ってサーボバンドの幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成される第1磁化領域と、サーボバンドの幅方向に沿って第1磁化領域に対して非平行に形成される第2磁化領域とを含むサーボパターンが、サーボバンドの長手方向に繰り返し形成される磁気テープであって、第1磁化領域及び第2磁化領域の少なくとも一方が、埋め込み対象の情報に応じて、複数本の線状パターンのうちの少なくとも1本の線状パターンが他の線状パターンとは幅が変えられ、かつ幅を変える線状パターンの位置を変えて形成されることによって情報が埋め込まれている磁気テープのサーボバンドに形成されているサーボパターンを読み取るサーボ信号読出素子と、サーボ信号読出素子により読み取られたサーボパターンの幅が変えられている線状パターンの位置に応じて、埋め込まれている情報を特定する特定部と、を備えている。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、サーボバンドに埋め込める情報量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】実施形態に係る磁気テープのサーボバンドに形成される磁化領域の一例を示す平面図である。
【
図1B】実施形態に係るバースト、サブフレーム、及びフレームを説明するための平面図である。
【
図2A】実施形態に係る磁気ヘッドの位置決め処理を説明するための平面図である。
【
図2B】実施形態に係る磁気ヘッドの位置決め処理を説明するための平面図である。
【
図3】実施形態に係るサーボバンドへ情報を埋め込む手法の一例を説明するための図である。
【
図4】線状パターンの本数を変えることのみによってサーボバンドへ情報を埋め込む手法の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係るサーボバンドに埋め込む情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図6A】実施形態に係るサーボライタの構成の一例を示す図である。
【
図6B】実施形態に係るサーボライタの構成の一例を示す図である。
【
図7】実施形態に係るサーボパターン形成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態に係る記録再生システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】実施形態に係る記録再生処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10A】実施形態に係るサーボバンドに埋め込まれた情報を特定する処理を説明するための図である。
【
図10B】実施形態に係るサーボバンドに埋め込まれた情報を特定する処理を説明するための図である。
【
図11】変形例に係るサーボバンドへ情報を埋め込む手法の一例を説明するための図である。
【
図12】変形例に係るサーボバンドへ情報を埋め込む手法の一例を説明するための図である。
【
図13】変形例に係るサーボライタの構成の一例を示す図である。
【
図14】変形例に係るサーボバンドへ情報を埋め込む手法の一例を説明するための図である。
【
図15】変形例に係るサーボバンドへ情報を埋め込む手法の一例を説明するための図である。
【
図16】変形例に係るサーボバンドへ情報を埋め込む手法の一例を説明するための図である。
【
図17A】変形例に係るサーボバンドに埋め込まれた情報を特定する処理を説明するための図である。
【
図17B】変形例に係るサーボバンドに埋め込まれた情報を特定する処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0020】
まず、
図1A及び
図1Bを参照して、本実施形態に係る磁気テープMTの構成を説明する。
図1Aに示すように、磁気テープMTには、3本のサーボバンドSBが磁気テープMTの長手方向に沿って形成されている。また、3本のサーボバンドSBは、磁気テープMTの幅方向に等間隔に並ぶように形成されている。なお、以下では、単に長手方向と表記した場合は、磁気テープMT(サーボバンドSB)の長手方向を意味し、単に幅方向と表記した場合は、磁気テープMT(サーボバンドSB)の幅方向を意味するものとする。
【0021】
また、3本のサーボバンドSBの間のそれぞれには、データバンドDBが形成されている。データバンドDBには、長手方向に沿って磁気情報を記録するための複数本のデータトラックDT(
図2A参照)が幅方向に並ぶように形成される。なお、サーボバンドSB及びデータバンドDBの本数は、
図1に示す例に限定されない。例えば、サーボバンドSBが5本で、データバンドDBが4本であってもよい。
【0022】
サーボバンドSBは、サーボパターンSPが形成される地の部分であって、サーボバンドSBが直流磁化されることによって、その磁化方向M1が磁気テープMTの一方向(例えば、磁気テープMTの走行方向の逆方向)に向いている。
【0023】
サーボバンドSBには、磁気ヘッドH(
図2A参照)の位置決めを行うためのサーボパターンSPが、長手方向に繰り返して形成されている。サーボパターンSPは、第1磁化領域SP1と第2磁化領域SP2とを含んで構成される。
【0024】
第1磁化領域SP1は、幅方向に沿って幅方向に対して所定の角度だけ傾いて形成されている。この角度は、アジマス角と称されることもある。
【0025】
図1Aに示すように、第2磁化領域SP2は、幅方向に沿って第1磁化領域SP1に対して非平行に形成されている。本実施形態では、第2磁化領域SP2は、幅方向に沿った直線に対して、第1磁化領域SP1と線対称になるように形成される。なお、以下では、
図1Bに示すように、1つの第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2を「バースト」といい、1つのサーボパターンSPを「サブフレーム」といい、連続する2つのサーボパターンSPの組み合わせを「フレーム」という。
【0026】
次に、
図2A及び
図2Bを参照して、前述したサーボパターンSPが形成された磁気テープMTの幅方向に対して磁気ヘッドHを位置決めする処理を説明する。
【0027】
図2Aに示すように、本実施形態に係る磁気ヘッドHは、サーボバンドSBに記録されたサーボパターンSPを読み取ることにより再生するサーボ信号読出素子SRDと、データトラックDTに対する情報の記録及び再生を行う記録再生素子RWDとを含む。なお、以下では、単に、磁気ヘッドHの位置、サーボ信号読出素子SRDの位置、及び記録再生素子RWDの位置と表記した場合は、それぞれ磁気テープMTの幅方向に沿った位置を意味するものとする。
【0028】
本実施形態に係る磁気テープMTでは、磁気テープMTが所定の走行方向(例えば、
図2A及び
図2Bにおける右から左の方向)に走行した際に、磁気ヘッドHのサーボ信号読出素子SRDが幅方向の所定の位置に位置決めされることによって磁気ヘッドHが磁気テープMTに対して位置決めされる。また、本実施形態では、例えば、磁気ヘッドHのサーボ信号読出素子SRDがサーボバンドSBの中心線L1をトレースした際に、磁気ヘッドHの記録再生素子RWDがデータバンドDBに形成された所定のデータトラックDTに追従する。
【0029】
サーボ信号読出素子SRDは、第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2がサーボ信号読出素子SRDによる検出位置を通過する際に、第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2を検出する。この際、サーボ信号読出素子SRDは、サーボバンドSBの中心線L1をトレースしている限り、一定のタイミングで第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2を検出する。
【0030】
一方、サーボ信号読出素子SRDの位置が、サーボバンドSB上の直線L2のラインをトレースするように変位した場合は、サーボ信号読出素子SRDが第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2のそれぞれを検出する時間間隔は狭まる。これは、第1磁化領域SP1が幅方向に対して傾いているためである。また、サーボ信号読出素子SRDの位置が、サーボバンドSB上の直線L3のラインをトレースするように変位した場合は、サーボ信号読出素子SRDが第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2のそれぞれを検出する時間間隔は広がる。
【0031】
このようなサーボパターンSPが記録された磁気テープMTでは、サーボ信号読出素子SRDが第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2を検出するタイミングが所定値となるような位置に磁気ヘッドHが位置決めされる。これにより、磁気ヘッドHの記録再生素子RWDが所定のデータトラックDTに追従する。
【0032】
次に、
図3を参照して、本実施形態に係るサーボバンドSBに情報を埋め込む手法について説明する。
【0033】
図3に示すように、本実施形態では、サーボバンドSBへの埋め込み対象の情報に応じて、各フレームの2つのサーボパターンSPのうち、1つ目のサーボパターンSP(サブフレーム)の第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2の線状パターンの本数が予め定められた本数(本実施形態では、9本)から、1本減らされて形成される。
【0034】
また、本実施形態では、埋め込み対象の情報に応じて、線状パターンを欠如させる位置が変えられて、第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2が形成される。なお、
図3の例では、欠如している線状パターンを分かり易くするために、欠如している線状パターンを破線で表している。
図3に示すように、本実施形態では、線状パターンを欠如させる場合、同じサーボパターンSPに含まれる第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2の対応する位置の線状パターンを欠如させる。
【0035】
また、本実施形態では、線状パターンを欠如させる場合、第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2のそれぞれについて、長手方向に沿った先頭の位置の線状パターン及び末尾の位置の線状パターン以外の1本の線状パターンを欠如させる。
【0036】
例えば、線状パターンが欠如していない場合、そのフレームには、「000」のビット列が割り当てられる。また、例えば、2本目の線状パターンが欠如している場合、そのフレームには「001」のビット列が割り当てられる。また、例えば、3本目の線状パターンが欠如している場合、そのフレームには「010」のビット列が割り当てられる。このように、線状パターンの本数及び欠如させる線状パターンの位置を変えることによって、各フレームに3ビットの情報を埋め込むことができる。
【0037】
これに対し、線状パターンの本数を変えるのみの技術では、一例として
図4に示すように、各フレームに「0」又は「1」の1ビットの情報しか割り当てることができない。従って、本実施形態によれば、サーボバンドSBに埋め込める情報量を増やすことができる。
【0038】
次に、
図5を参照して、本実施形態に係るサーボバンドSBに埋め込む情報のデータ構造の一例として、「ECMA―319規格」に基づいたデータの構造を説明する。
【0039】
図5に示すように、サーボバンドSB全体に埋め込まれたデータは、所定個の対(例えば、12対)のサーボパターンSP、すなわち、所定数ビット(例えば、36ビット)のデータである複数の長手方向位置情報LWを含んで構成されている。長手方向位置情報LWは、先頭を示す8bitの同期信号Syと、長手方向における位置を示す六つの4bitのデータを含んで構成されるアドレスLPと、4bitの製造者情報構成データTxとを含んで構成されている。
【0040】
また、製造者情報構成データTxは、所定個(例えば、97個)の長手方向位置情報LWを読み込むことによって一つの製造者情報MIとして認識されるデータであり、その構成は、先頭の製造者情報構成データTxに先頭であることを示すデータ(たとえば、「0001」となる4bitのデータが所定のテーブルで変換されて表わされる「D」というデータ)が書き込まれ、その後の96個の製造者情報構成データTxに「D」以外のデータ(たとえば、「0、1、・・・、9、A、B、C」)が任意に書き込まれている。そして、この96個の製造者情報構成データTxに、製造者ID(IDentifier)、磁気テープMTの製造日情報、磁気テープMTのシリアル番号、サーボライタID、及びオペレータID等を示すデータを埋め込むことも可能である。また、この96個の製造者情報構成データTxには複数のサーボバンドSBのうちの何れのサーボバンドSBであるかを示すサーボバンド情報を埋め込むことも可能である。
【0041】
次に、
図6A及び
図6Bを参照して、本実施形態に係る磁気テープMTの各サーボバンドSBにサーボパターンSPを記録する磁気テープMTの製造装置の一例としてのサーボライタSWの構成を説明する。
【0042】
図6Aに示すように、サーボライタSWは、送出リールSW1、巻取リールSW2、駆動装置SW3、パルス発生回路SW4、制御装置SW5、及びサーボ信号書込ヘッドWHを備えている。また、サーボライタSWは、図示しない、電源装置、磁気テープMTをクリーニングするクリーニング装置、及び磁気テープMTに記録されたサーボパターンSPの検査を行うベリファイ装置等も備えている。
【0043】
送出リールSW1では、サーボパターンSPの書き込み前に幅広のウェブ原反から製品幅に裁断された磁気テープMTが大径巻のパンケーキでセットされており、サーボパターンSPの書き込み時に磁気テープMTを送り出す。送出リールSW1から送り出された磁気テープMTは、ガイドSW6等に案内されてサーボ信号書込ヘッドWHに搬送される。そして、サーボ信号書込ヘッドWHで各サーボバンドSBにサーボパターンSPが記録された磁気テープMTは、ガイドSW6等に案内されて巻取リールSW2まで搬送される。巻取リールSW2は、駆動装置SW3によって回転駆動され、サーボパターンSPが記録された磁気テープMTを巻き取る。
【0044】
駆動装置SW3は、巻取リールSW2を回転駆動するための装置であり、図示しないモータ、モータに電流を供給するためのモータ駆動回路、及びモータ軸と巻取リールSW2とを連結するためのギヤ等を備えている。駆動装置SW3では、制御装置SW5からのモータ電流信号に基づいてモータ駆動回路によりモータ電流を発生させ、このモータ電流をモータに供給し、更にギヤを介してモータの回転駆動力を巻取リールSW2に伝達して巻取リールSW2を回転駆動する。
【0045】
パルス発生回路SW4は、制御装置SW5からのパルス制御信号に基づいてサーボ信号書込ヘッドWHに設けられた複数のコイルC(
図6B参照)に記録パルス電流を供給する回路であり、複数のコイルCそれぞれに独立して設けられている。具体的には、パルス発生回路SW4は、制御装置SW5からのパルス制御信号に基づいて、プラス極性又はマイナス極性をもつパルス電流とゼロ電流とを交互に発生させることで、サーボパターンSPを各サーボバンドSBの所定位置に書き込んでいる。なお、記録パルス電流は、ギャップパターンG(
図6B参照)からの漏れ磁束により磁気テープMTの磁性層を磁化するために十分な電流値であり、サーボ信号書込ヘッドWHのコイルCの特性等を考慮して設定される。
【0046】
図6Bに示すように、サーボ信号書込ヘッドWHは、各サーボバンドSBに相当する位置に形成される線状のギャップパターンGを含み、それぞれのギャップパターンGでサーボパターンSPをサーボバンドSBに形成する。ギャップパターンGの一方の線状パターンは、第1磁化領域SP1の角度に対応して傾けられ、他方の線状パターンは、第2磁化領域SP2に対応して一方の線状パターンに非平行とされている。第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2と、線状パターンの変更は、このギャップパターンGの形状を変更することで行うことが可能である。ギャップパターンGが、サーボ記録素子の一例である。
【0047】
なお、幅方向に等間隔に配設された各ギャップパターンGは、幅方向の位置は厳密に規定されるが、長手方向の位置については厳密に規定されなくてもよく、他のギャップパターンGと多少ずれていてもよい。なぜなら、このように長手方向にずれた各ギャップパターンGで各サーボバンドSBのサーボパターンSPが互いにずれて形成されたとしても、一つのサーボバンドSBのサーボパターンSPを参照することで、何れのサーボバンドSBであるかを特定できるからである。これにより、サーボ信号書込ヘッドWHにオフセットしたギャップパターンGを正確に形成しなくてもよい。
【0048】
また、ギャップパターンG毎にヘッドコアHCは独立しており、これらのヘッドコアHCにはそれぞれコイルCが巻回されている。そして、各コイルCに接続される各パルス発生回路SW4は、制御装置SW5でエンコードされた埋め込み対象の情報を記録パルス電流のパターンに変換し、このパターンに従って記録パルス電流をコイルCに供給する。
【0049】
次に、
図7を参照して、磁気テープMTのサーボバンドSBにサーボパターンSPを形成するサーボパターン形成処理の流れの一例を説明する。
【0050】
図7のステップS10で、制御装置SW5は、埋め込み対象の情報を取得する。制御装置SW5は、埋め込み対象の情報を制御装置SW5が備える記憶部から取得してもよいし、外部の装置からネットワークを介して取得してもよい。
【0051】
ステップS12で、制御装置SW5は、駆動装置SW3にモータ電流信号を出力することにより磁気テープMTを走行させる。更に、制御装置SW5は、ステップS10の処理により取得された埋め込み対象の情報に応じたパターンの記録パルス電流をコイルCに供給することにより、埋め込み対象の情報に応じたサーボパターンSPをサーボバンドSBに形成する。ステップS12の処理が終了すると、サーボパターン形成処理が終了する。
【0052】
次に、
図8を参照して、以上説明したように、埋め込み対象の情報に応じたサーボパターンSPがサーボバンドSBに形成された磁気テープMTに対するデータの記録及び再生を行う記録再生システム10の構成を説明する。
【0053】
図8に示すように、記録再生システム10は、テープドライブ12を備えている。テープドライブ12には、磁気テープMTを含む磁気テープカートリッジがロードされる。テープドライブ12は、制御部14及び磁気ヘッドHを備えている。磁気ヘッドHは、複数の記録再生素子RWD、及び隣り合うサーボバンドSBの各々に対応する複数(本実施形態では、2つ)のサーボ信号読出素子SRDを備えている。制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、一時記憶領域としてのメモリ、及び不揮発性の記憶部等を含む。
【0054】
次に、
図9を参照して、記録再生システム10が磁気テープMTに対するデータの記録又は再生を行う記録再生処理の流れを説明する。
【0055】
図9のステップS20で、制御部14は、磁気テープMTを走行させながら、磁気ヘッドHを制御し、サーボバンドSBに記録されたサーボパターンSPをサーボ信号読出素子SRDに読み取らせる。
【0056】
ステップS22で、制御部14は、ステップS20の処理により読み取られたサーボパターンSPの線状パターンの本数及び線状パターンの欠如している位置に応じて、サーボバンドSBに埋め込まれている情報を特定する。一例として
図10Aに示すように、第1磁化領域SP1の線状パターンの本数が減らされていない場合、所定の時間間隔で線状パターンの先頭側の端部を読み取った際の第1のピーク(
図10Aの例では上に凸のピーク)と、末尾側の端部を読み取った際の第2のピーク(
図10Aの例では下に凸のピーク)とが繰り返し検出される。また、この場合、2つのピークは、予め定められた線状パターンの本数に対応する回数(本実施形態では、9回)だけ検出される。
【0057】
一方、一例として
図10Bに示すように、第1磁化領域SP1の線状パターンの本数が減らされている場合、線状パターンが欠如している位置に対応して第2のピークが検出されてから次の第1のピークが検出されるまでの期間が、他の位置に比較して長くなる。
図10Bの例では、先頭から2本目の線状パターンが欠如しているため、1回目の第2のピークが検出されてから次の第1のピークが検出されるまでの期間が、他の位置に比較して長くなる。また、この場合、2つのピークは、予め定められた線状パターンの本数から欠如させる線状パターンの数を減算した数に対応する回数(本実施形態では、8回)だけ検出される。なお、
図10A及び
図10Bでは、第1磁化領域SP1を例に説明したが、第2磁化領域SP2についても同様である。
【0058】
従って、制御部14は、各磁化領域について、2つのピークを検出した回数、及び第2のピークが検出されてから第1のピークが検出されるまでの時間間隔を用いて、サーボバンドSBに埋め込まれている情報を特定することができる。本ステップS22の処理により、制御部14が特定部として機能する。
【0059】
ステップS24で、制御部14は、ステップS20の処理より第1磁化領域SP1の線状パターンが読み取られたタイミングと、対応する第2磁化領域SP2の線状パターンが読み取られたタイミングとの時間間隔に基づいて、磁気ヘッドHの位置決めを行う。ステップS26で、制御部14は、磁気ヘッドHを制御し、データバンドDBに対するデータの記録又は再生を行う。ステップS26の処理が終了すると、記録再生処理が終了する。
【0060】
以上、説明したように、本実施形態によれば、第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2が、埋め込み対象の情報に応じて、予め定められた複数本の線状パターンから本数が減らされて形成され、かつ線状パターンを欠如させる位置を変えて形成されることによって情報が埋め込まれている。従って、サーボバンドSBに埋め込める情報量を増やすことができる。
【0061】
なお、上記実施形態では、各フレームの一方のサーボパターンSPの線状パターンの本数を減らす場合について説明したが、これに限定されない。例えば、
図11に示すように、各フレームの双方のサーボパターンSPの線状パターンの本数を減らす形態としてもよい。
【0062】
また、例えば、
図12に示すように、各フレームの一方のサーボパターンSPの第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2の何れかの線状パターンの本数を減らす形態としてもよい。
図12では、各フレームの1つ目のサーボパターンSPの第2磁化領域SP2の線状パターンの本数を減らした場合について例示している。この形態例におけるサーボライタSWの構成の一例を
図13に示す。なお、
図13における
図6Bと同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
図13に示すように、この形態例におけるサーボライタSWでは、ギャップパターンGの一方の線状パターンと他方の線状パターンとでヘッドコアHCが独立している。また、各ヘッドコアHCにはそれぞれコイルCが巻回され、各コイルCに記録パルス電流を供給するパルス発生回路SW4も独立して設けられている。これにより、サーボパターンSP内の第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2間の線状パターンの本数を異ならせることができる。
【0064】
また、上記実施形態では、第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2の長手方向に沿った先頭の位置の線状パターン及び末尾の位置の線状パターン以外の線状パターンの本数を減らす場合について説明したが、これに限定されない。第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2の長手方向に沿った先頭の位置の線状パターン及び末尾の位置の線状パターンの少なくとも一方を減らす形態としてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、予め定められた複数本の線状パターンから1本の線状パターンを減らす場合について説明したが、これに限定されない。予め定められた複数本の線状パターンから2本以上の線状パターンを減らす形態としてもよい。
【0066】
また、上記実施形態において、線状パターンを減らすのではなく、線状パターンの幅を変える形態としてもよい。この場合、例えば、
図14に示すように、各フレームの2つのサーボパターンSPのうち、1つ目のサーボパターンSPの第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2の1本の線状パターンを他の線状パターンよりも太く形成する形態が例示される。また、この形態例においても埋め込み対象の情報に応じて、幅を変える線状パターンの位置を変える形態が例示される。また、この形態例と、上記実施形態とを組み合わせてもよい。
【0067】
また、この場合、例えば、
図15に示すように、各フレームの双方のサーボパターンSPの線状パターンの幅を変える形態としてもよい。また、この場合、例えば、
図16に示すように、各フレームの一方のサーボパターンSPの第1磁化領域SP1及び第2磁化領域SP2の何れかの線状パターンの幅を変える形態としてもよい。
図16では、各フレームの1つ目のサーボパターンSPの第2磁化領域SP2の線状パターンの幅を変えた場合について例示している。
【0068】
また、この場合、複数本の線状パターンの幅を変える形態としてもよい。また、例えば、線状パターンの太さも2段階ではなく、3段階以上としてもよい。
【0069】
また、この形態例では、上記記録再生処理のステップS22で、制御部14は、ステップS20の処理により読み取られたサーボパターンSPの幅が変えられている線状パターンの位置に応じて、サーボバンドSBに埋め込まれている情報を特定する。一例として
図17Aに示すように、線状パターンの幅が変えられていない場合、所定の時間間隔で第1のピークと第2のピークとが繰り返し検出される。
【0070】
一方、一例として
図17Bに示すように、第1磁化領域SP1の線状パターンの幅が変えられている場合、幅が太くされた線状パターンの位置に対応して、第1のピークを検出してから第2のピークを検出するまでの期間が、他の位置に比較して長くなる。
図17Bの例では、先頭から2本目の線状パターンの幅が太くなっているため、2回目の第1のピークが検出されてから第2のピークが検出されるまでの期間が、他の位置に比較して長くなる。なお、
図17A及び
図17Bでは、第1磁化領域SP1を例に説明したが、第2磁化領域SP2についても同様である。
【0071】
従って、この形態例では、制御部14は、各磁化領域の各線状パターンについて、第1のピークが検出されてから第2のピークが検出されるまでの時間間隔を用いて、サーボバンドSBに埋め込まれている情報を特定することができる。
【符号の説明】
【0072】
10 記録再生システム
12 テープドライブ
14 制御部
C コイル
DB データバンド
DT データトラック
G ギャップパターン
H 磁気ヘッド
HC ヘッドコア
L1 中心線
L2、L3 直線
LP アドレス
LW 長手方向位置情報
M1 磁化方向
MI 製造者情報
MT 磁気テープ
RWD 記録再生素子
SB サーボバンド
SP サーボパターン
SP1 第1磁化領域
SP2 第2磁化領域
SRD サーボ信号読出素子
SW サーボライタ
SW1 送出リール
SW2 巻取リール
SW3 駆動装置
SW4 パルス発生回路
SW5 制御装置
SW6 ガイド
Sy 同期信号
Tx 製造者情報構成データ
WH サーボ信号書込ヘッド