(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-02
(45)【発行日】2022-12-12
(54)【発明の名称】電子機器、撮像装置、表示制御方法、及び表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20221205BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20221205BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20221205BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20221205BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20221205BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20221205BHJP
G03B 17/18 20210101ALI20221205BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/34 J
G09G3/20 691G
G09G3/20 612U
G09G3/20 621K
G02F1/13 505
G02F1/133 515
G02F1/13357
G03B17/18 Z
(21)【出願番号】P 2021148505
(22)【出願日】2021-09-13
(62)【分割の表示】P 2019181438の分割
【原出願日】2017-12-27
【審査請求日】2021-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2017013510
(32)【優先日】2017-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 宏輔
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/139159(WO,A1)
【文献】特開2005-332681(JP,A)
【文献】特開2006-053206(JP,A)
【文献】特開2001-312252(JP,A)
【文献】特開昭63-043123(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1851539(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G09G 3/34
G09G 3/20
G02F 1/13
G02F 1/133
G02F 1/13357
G03B 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の波長帯域を有する
バックライトを照射する
バックライト部と、
視認方向によって透過波長特性が異なり、外部入射光の反射及び前記
バックライトを光源として用いる液晶表示パネルと、
前記
バックライト及び前記外部入射光を遮る遮光領域と、前記
バックライト及び前記外部入射光を透過させる透過領域と、のうち一方を情報表示領域とし、他方を背景領域とすることにより前記液晶表示パネルに情報を表示させる表示制御部であって、前記情報表示領域と前記背景領域とのうち面積が大きい方を前記遮光領域とし、小さい方を前記透過領域として設定する第1の表示制御、及び、前記情報表示領域と前記背景領域とのうち面積が大きい方を前記透過領域とし、小さい方を前記遮光領域として設定する第2の表示制御のうち一方の表示制御を行う表示制御部と、
を備え
、
前記表示制御部は、
ユーザの指示入力に基づいて前記バックライトの照射と非照射とを切り替え、
前記バックライトを非照射とする場合は前記第1の表示制御を行い、前記バックライトを照射する場合は前記第2の表示制御を行う電子機器。
【請求項2】
前記液晶表示パネルはTN型液晶を用いた液晶表示パネルである請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の表示制御が実行される場合の前記光源は前記外部入射光であり、前記第2の表示制御が実行される場合の前記光源は前記バックライトである、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記バックライトの光源として白色LEDを制御する請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記バックライトの光源として異なる2波長出力を有するLEDを制御する請求項1から4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記遮光領域及び前記透過領域を前記液晶表示パネルのドットごとに独立して制御する請求項1から5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記電子機器の動作状態を示す動作状態情報を表示制御する、請求項1から6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
被写体像が表示される表示モニタと、
2以上の波長帯域を有するバックライトを照射するバックライト部と、
視認方向によって透過波長特性が異なり、外部入射光の反射及び前記バックライトを光源として用い、情報が表示される液晶表示パネルと、
前記バックライト及び前記外部入射光を遮る遮光領域と、前記バックライト及び前記外部入射光を透過させる透過領域と、のうち一方を情報表示領域とし、他方を背景領域とすることにより前記液晶表示パネルに情報を表示させる表示制御部であって、前記情報表示領域と前記背景領域とのうち面積が大きい方を前記遮光領域とし、小さい方を前記透過領域として設定する第1の表示制御、及び、前記情報表示領域と前記背景領域とのうち面積が大きい方を前記透過領域とし、小さい方を前記遮光領域として設定する第2の表示制御のうち一方の表示制御を行う表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、
ユーザの指示入力に基づいて前記バックライトの照射と非照射とを切り替え、
前記バックライトを非照射とする場合は前記第1の表示制御を行い、前記バックライトを照射する場合は前記第2の表示制御を行う撮像装置。
【請求項9】
前記表示モニタは前記撮像装置の第1面に配置され、
前記液晶表示パネルは、前記撮像装置において操作ダイヤル及び/またはレリーズボタンが設けられる第2面に配置される請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第1面は前記撮像装置の背面であり、前記第2面は前記撮像装置の上面である請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第1の表示制御が実行される場合の前記光源は前記外部入射光であり、前記第2の表示制御が実行される場合の前記光源は前記バックライトである、請求項8から10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記液晶表示パネルはTN型液晶を用いた液晶表示パネルである請求項8から11のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
2以上の波長帯域を有するバックライトを照射するバックライト部と、視認方向によって透過波長特性が異なり、外部入射光の反射及び前記バックライトを光源として用いる液晶表示パネルと、を備える電子機器の表示制御方法であって、
前記バックライト及び前記外部入射光を遮る遮光領域と、前記バックライト及び前記外部入射光を透過させる透過領域と、のうち一方を情報表示領域とし、他方を背景領域とすることにより前記液晶表示パネルに情報を表示させる表示制御工程であって、前記情報表示領域と前記背景領域とのうち面積が大きい方を前記遮光領域とし、小さい方を前記透過領域として設定する第1の表示制御、及び、前記情報表示領域と前記背景領域とのうち面積が大きい方を前記透過領域とし、小さい方を前記遮光領域として設定する第2の表示制御のうち一方の表示制御を行う表示制御工程を有し、
前記表示制御工程では、
ユーザの指示入力に基づいて前記バックライトの照射と非照射とを切り替え、
前記バックライトを非照射とする場合は前記第1の表示制御を行い、前記バックライトを照射する場合は前記第2の表示制御を行う表示制御方法。
【請求項14】
前記表示制御工程において、前記第1の表示制御が実行される場合の前記光源は前記外部入射光であり、前記第2の表示制御が実行される場合の前記光源は前記バックライトである、請求項13に記載の表示制御方法。
【請求項15】
前記液晶表示パネルとしてTN型液晶を用いた液晶表示パネルを制御する請求項13または14に記載の表示制御方法。
【請求項16】
請求項13から15のいずれか1項に記載の表示制御方法を電子機器に実行させる表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器、撮像装置、表示制御方法、及び表示制御プログラムに関し、特に液晶表示の視認性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では、表示装置の構成及び観察時の条件等に依存して視認性が変化するため、各種の対策がなされている。例えば特許文献1には、照射角度範囲を切り替えられる光源装置において、点灯させるLED(Light-Emitting Diode)の波長帯域を視野角に応じて切り替えると共に透明状態と散乱状態とを切り替える素子の状態を変化させることにより照射角度切替時の色味の変化を抑制する技術が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には反射光を用いてポジ表示を行うと共にバックライトユニットからの透過光を用いてネガ表示を行うSTN型(STN:Super Twisted Nematic)の液晶表示素子において、位相差板、偏光分離素子等の光学部材を使用することにより視認性が良好な表示を得る技術が記載されている。さらに、特許文献3にはバックライトユニットを用いネガ表示とポジ表示とが可能な半透過型の液晶表示装置において、λ/4板を用いてコントラストの低下を抑制する技術が記載されている。なお特許文献2,3において、「ポジ表示とは不印加時に白表示を行うことをいい、ネガ表示とは電圧印加時に黒表示を行うことをいう」旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-079093号公報
【文献】特開2003-222833号公報
【文献】特開2007- 11049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
透過型液晶あるいは半透過型液晶を用いた表示装置でバックライトを照射する場合、バックライトの透過波長特性が角度(視認方向)によって異なるため、液晶表示の色が角度によって変化して見える(色味変化)。特に遮光領域(黒領域)は透過波長特性の角度依存性が高いため、角度が変わると色が大きく変わって見える。このような色味変化の問題は、低電圧で駆動でき低コストであるため広く用いられているTN型(TN:Twisted Nematic)の液晶表示素子において顕著である。以下、従来の技術におけるTN型液晶表示素子の色味変化について説明する。
【0006】
図18の(a)部分はバックライト非照射時の液晶表示パネル(TN型液晶を使用しているものとする)を正面から視認した状態を示すものであり、情報(日付、ISO:ISO感度、SS:シャッタースピード、F:絞り値)を白色(透過領域)とし、背景を黒色(遮光領域)として表示している。一方、
図18の(b)部分は同じ液晶表示パネルをバックライト照射時に正面から視認した状態を示すものであり、バックライトの影響により遮光領域である背景部分も色味が変化(バックライトの波長帯域等に依存するが、例えば青みがかった色)して見える。また、
図19に示すように、
図18の液晶表示パネル(
図18の(b)部分の状態)をバックライト照射時に斜め方向から視認すると(
図19の(a)部分は左下方向から視認、(b)部分は右下方向から視認)、バックライトの透過領域である文字部分では色味変化がほとんどないが、TN型液晶は視野角が非常に狭いため、視認方向が少し変わっただけで背景領域の色味が大きく変化して見える。
【0007】
このような色味変化の問題に対し、上述した特許文献1に記載の技術では視野角に応じて複数種類の光源(白色LED、青色LED)を使用しさらに切替素子の制御を行うため、装置構成及び制御が複雑化してしまう。また特許文献2,3に記載の技術では位相差板、偏光分離素子等の光学部材の使用により構成が複雑化してしまい、また視認方向による色味変化にどのように対処するかについては記載されていない。
【0008】
このように、従来の技術では、液晶表示装置において視認方向による色味変化を目立たなくすることは困難であった。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、液晶表示の視認方向による色味変化を目立たなくする電子機器、撮像装置、及び表示制御方法を提供することを目的とする。また、本発明はそのような表示制御方法を電子機器に実行させる表示制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る液晶表示装置は、TN型液晶を用いた半透過型の液晶表示パネルと、2以上の波長帯域の光を含むバックライトを照射する照射モード、またはバックライトを照射しない非照射モードに設定されるバックライト部と、バックライト及び外部入射光を遮る遮光領域と、バックライト及び外部入射光を透過させる透過領域と、のうち一方を情報表示領域とし、他方を背景領域とすることにより液晶表示パネルに情報を表示させる表示制御部であって、非照射モードでは情報表示領域と背景領域とのうち面積が大きい方を遮光領域とし、小さい方を透過領域として設定する第1の表示制御を行い、照射モードでは情報表示領域と背景領域とのうち面積が大きい方を透過領域とし、小さい方を遮光領域として設定する第2の表示制御を行う表示制御部と、を備える。
【0011】
照射モードにおいて遮光領域は視認方向により色味が変化して見えるが、第1の表示制御を行う非照射モードとは逆に情報表示領域と背景領域とのうち面積が大きい方を透過領域とし、小さい方を遮光領域として設定する(第2の表示制御)ので、色味変化が生じる領域(遮光領域)が少なくなり、視認方向による色味変化を目立たなくすることができる。また第1の態様は、TN型液晶を用いた液晶表示装置において追加の光学部材、光源等により構成が複雑化することなく簡易な構成により実現することができる。また、バックライトが2以上の波長帯域を含む光である場合、波長帯域によって透過率が異なり視認方向による色味変化が目立つが、第1の態様により色味変化を目立たなくすることができる。なお、非照射モードでは、バックライトを照射しないので液晶表示パネルへの外部入射光を遮光または透過する。
【0012】
第1の態様において、液晶表示パネルが「半透過型」とは外部入射光の反射とバックライトの両方を光源として利用できることを意味する。また、情報表示領域には文字、数字、記号、図形等により情報を表示することができる。
【0013】
第2の態様に係る液晶表示装置は第1の態様において、液晶表示パネルは表面側及び裏面側に偏光板を有し、裏面側の偏光板は波長補償機能を有さない偏光板である。第2の態様のように波長補償機能を有さない偏光板を用いる場合は視認方向による色味変化が生じるが、そのような場合でも本発明に係る液晶表示装置では色味変化を目立たなくすることができる。
【0014】
第3の態様に係る液晶表示装置は第1または第2の態様において、バックライト部はバックライトの光源として白色LEDを備える。第3の態様のようにバックライトの光源として白色LEDを用いる場合、白色LEDは複数の波長帯域(広波長帯域)にわたる光を照射するため視認方向による色味変化が生じるが、本発明に係る液晶表示装置ではそのような場合でも視認方向による色味変化を目立たなくすることができる。また、バックライトの光源として白色LEDを用いることにより、照射モードにおいて透過領域に光源の色がついて見えるのを防ぐことができる。
【0015】
第4の態様に係る液晶表示装置は第1から第3の態様のいずれか1つにおいて、遮光領域及び透過領域は液晶表示パネルのドットごとに独立して設定される。
【0016】
上述した目的を達成するため、本発明の第5の態様に係る電子機器は、電子機器本体と、第1から第4の態様のいずれか1つに係る液晶表示装置を備える電子機器であって、液晶表示装置は情報として電子機器本体の動作状態を示す動作状態情報を表示する。第5の態様に係る電子機器は第1から第4の態様のいずれか1つに係る液晶表示装置を備え、この液晶表示装置には動作状態情報が表示されるので、動作状態情報を表示する際に視認方向による色味変化を目立たなくすることができる。ユーザは電子機器本体の動作状態を示す情報に注目することが多いため、液晶表示装置にそのような情報を表示する際に第5の態様により色味変化を目立たなくすると効果的である。
【0017】
第6の態様に係る電子機器は第5の態様において、表示制御部は、液晶表示パネルの表示領域の一部に設定され動作状態を示す動作状態情報が表示される注目領域において第1の表示制御及び第2の表示制御を行う。動作状態情報は必ずしも液晶表示パネルの表示領域の全範囲にわたって表示されるものではないため、第6の態様では動作状態情報が表示されユーザの注目度が高くなる注目領域において第1,第2の表示制御を行うこととしている。
【0018】
上述した目的を達成するため、本発明の第7の態様に係る表示制御方法は、TN型液晶を用いた半透過型の液晶表示パネルと、2以上の波長帯域の光を含むバックライトを照射する照射モードまたはバックライトを照射しない非照射モードに設定されるバックライト部と、を備える液晶表示装置の表示制御方法であって、バックライト及び外部入射光を遮る遮光領域と、バックライト及び外部入射光を透過させる透過領域と、のうち一方を情報表示領域とし、他方を背景領域とすることにより液晶表示パネルに情報を表示させる表示制御工程であって、非照射モードでは情報表示領域と背景領域とのうち面積が大きい方を遮光領域とし、小さい方を透過領域として設定する第1の表示制御を行い、照射モードでは情報表示領域と背景領域とのうち面積が大きい方を透過領域とし、小さい方を遮光領域として設定する第2の表示制御を行う表示制御工程を有する。第7の態様によれば、第1の態様と同様に、簡単な構成により視認方向による色味変化を目立たなくすることができる。第7の態様に係る表示制御方法は第2から第6の態様に係る液晶表示装置に適用することができ、また液晶表示装置を備える電子機器(例えば、第5,第6の態様に係る電子機器)に適用することもできる。
【0019】
上述した目的を達成するため、本発明の第8の態様に係る表示制御プログラムは、第7の態様に係る表示制御方法を液晶表示装置に実行させる。また、第9の態様に係る非一時的記録媒体は、第8の態様に係る表示制御プログラムのコンピュータ読み取り可能なコードを記録する。第8,第9の態様によれば、第1,第7の態様と同様に、簡単な構成により視認方向による色味変化を目立たなくすることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の電子機器、撮像装置、表示制御方法、及び表示制御プログラムによれば、液晶表示の視認方向による色味変化を目立たなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、撮像装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、液晶表示装置の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る表示制御の処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1の表示制御の処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2の表示制御の処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、液晶表示装置に表示される情報の例を示す図である。
【
図9】
図9は、バックライト非照射時及び照射時における表示の様子を示す図である。
【
図10】
図10は、視認方向による色味変化の様子を示す図である。
【
図11】
図11は、バックライト非照射時及び照射時における表示の様子を示す他の図である。
【
図12】
図12は、注目領域が設定された様子を示す図である。
【
図13】
図13は、注目領域が設定された態様での表示制御の様子を示す図である。
【
図14】
図14は、視認方向による色味変化の様子を示す図である。
【
図15】
図15は、遮光領域の面積比率と色味変化量との関係を示す図である。
【
図16】
図16は、ヒステリシスを考慮した表示制御を説明するための図である。
【
図17】
図17は、ヒステリシスを考慮した表示制御を説明するための他の図である。
【
図18】
図18は、従来の技術による表示制御を説明するための図である。
【
図19】
図19は、従来の技術による表示制御を説明するための他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係る電子機器、撮像装置、表示制御方法、及び表示制御プログラムの実施形態について、詳細に説明する。
【0023】
<第1の実施形態>
<撮像装置の構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る撮像装置100(電子機器、電子機器本体)の外観を示す斜視図である。撮像装置100は、撮像装置本体200(電子機器本体)と、撮像装置本体200に装着されるレンズ装置300(電子機器本体)と、から構成される。撮像装置本体200とレンズ装置300とは、撮像装置本体200に備えられたマウント246と、マウント246に対応するレンズ装置300側のマウント346(
図3参照)と、が結合されることにより装着され、またこの結合を解除することにより取り外しされる。また撮像装置本体200の前面にはマウント246の他、フラッシュ240が設けられており、上面にはレリーズボタン220-1、撮影モード設定用のダイヤル220-2、及び天面モニタ213(液晶表示装置)が設けられている(
図2参照)。
【0024】
図3は撮像装置100の構成を示すブロック図である。撮像装置100の動作は、撮像装置本体200のメインCPU214(CPU:Central Processing Unit)及びレンズ装置300のレンズCPU340によって統括制御されている。メインCPU214の動作に必要なプログラム及びデータは撮像装置本体200内のフラッシュROM226(Flash ROM)及びROM228(ROM:Read Only Memory)に記憶されており、本発明に係る表示制御プログラム(液晶表示装置260に本発明に係る表示制御方法を実行させる表示制御プログラム)は、コンピュータ(メインCPU214、表示制御部210)により読み取り可能なコードとしてROM228に記録される。したがってROM228は本発明に係る非一時的記録媒体の一例であるが、本発明に係る非一時的記録媒体としてはこの他にハードディスク、DVD(Digital Versatile Disk)等の光磁気記録装置、あるいは各種半導体メモリ等の記録媒体を用いることができる。なお、レンズCPU340の動作に必要なプログラム及びデータはレンズCPU340内のROM344に記憶されている。
【0025】
撮像装置本体200には、レリーズボタン220-1及びダイヤル220-2の他、再生ボタン、MENU/OKキー、十字キー、BACKキー等を含む操作部220が設けられており、ユーザは操作部220に含まれるボタン及び/またはキーを操作することにより、撮影モードまたは再生モードの選択、撮影開始、画像の選択、再生、消去、及びズーム指示等の指示を行うことができる。また、ユーザはこれらボタン及び/またはキーの操作により、バックライトを照射する照射モードとバックライトを照射しない非照射モードとを切り替えることができる。操作部220からの信号はメインCPU214に入力され、メインCPU214は入力信号に基づいて撮像装置本体200の各回路を制御すると共に、マウント246及びマウント通信部250を介してレンズ装置300との間で信号を送受信する。
【0026】
マウント246には端子247が設けられており、マウント346には端子347が設けられていて、レンズ装置300を撮像装置本体200に装着すると、対応する端子247と端子347とが接触して通信が可能となる(なお、
図1及び
図3における端子247、端子347は概念的に示したものであり、撮像装置100における端子の位置及び個数はこれらの図におけるものに限定されるものではない)。
【0027】
上述した端子には例えば接地用端子、同期信号用端子、シリアル通信用端子、制御ステータス通信用端子、及び撮像装置本体200のバッテリ242からレンズ装置300の各部への電源供給用端子が含まれる。バッテリ242からの電源供給は、電源制御部244の制御により行われる。
【0028】
撮影モードにおいて、被写体光はレンズ装置300のズームレンズZL、フォーカスレンズFL、及び絞りIを介して、撮像装置本体200の撮像素子202の受光面に結像される。第1の実施形態では撮像素子202はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型とするが、CMOS型に限らずCCD(Charge Coupled Device)型であってもよい。フォーカスレンズFL、ズームレンズZL、及び絞りIは、レンズCPU340によって制御されるズームレンズ制御部310、フォーカスレンズ制御部320、絞り制御部330によって駆動されて、フォーカス制御、ズーム制御、及び絞り制御が行われる。
【0029】
ズームレンズ制御部310は、レンズCPU340からの指令に従い、ズームレンズZLを光軸方向に移動させて撮影倍率を変化させる。また、フォーカスレンズ制御部320は、レンズCPU340からの指令に従いフォーカスレンズFLを光軸方向に進退動作させて被写体に合焦させる。絞り制御部330は、レンズCPU340からの指令に従い絞りIの絞り値を変更する。
【0030】
レリーズボタン220-1の第1段階の押下(ストロークの途中まで押し込む操作;「半押し」ともいう)があると、メインCPU214はAF(Auto Focus)及びAE(Auto Exposure)動作を開始させ、これに応じてA/D変換器204(A/D:Analog to Digital)から出力される画像データがAE/AWB検出部224(AE:Automatic Exposure、AWB:Automatic White Balance)に取り込まれる。メインCPU214は、AE/AWB検出部224に入力されたG信号(緑色のカラーフィルタが配設された画素の信号)の積算値より被写体の明るさ(撮影Ev値、Ev:Exposure Value)を算出し、その結果に基づいて絞りIの絞り値、撮像素子202での電荷蓄積時間(シャッタースピードに相当)、及びフラッシュ240の発光時間等を制御する。
【0031】
AF検出部222は、コントラストAF処理または位相差AF処理を行う部分である。コントラストAF処理を行う場合には、フォーカス領域内の画像データの高周波成分を積分して算出した、合焦状態を示すAF評価値が極大となるようにレンズ鏡筒内のフォーカスレンズFLを制御する。また、位相差AF処理を行う場合には、画像データのうちのフォーカス領域内の複数の位相差を持った画素を用いて算出した位相差データから求めたデフォーカス量が0になるように、レンズ装置300内のフォーカスレンズFLを制御する。
【0032】
AE動作及びAF動作が終了し、レリーズボタン220-1の第2段階の押下(全ストローク押し込む操作;「全押し」ともいう)があると、フラッシュ制御部238を介した制御によりフラッシュ240が発光する。また撮像素子制御部201から加えられる読み出し信号に基づいて、撮像素子202に蓄積された信号電荷が信号電荷に応じた電圧信号として読み出され、アナログ信号処理部203に加えられる。アナログ信号処理部203は、撮像素子202から出力された電圧信号に対して相関二重サンプリング処理により各画素のR信号、G信号、及びB信号をサンプリングホールド及び増幅してA/D変換器204に加える。A/D変換器204は、順次入力されるアナログのR信号、G信号、及びB信号(それぞれ赤色、緑色、青色のカラーフィルタが配設された画素の信号)をデジタルのR信号、G信号、及びB信号に変換して画像入力コントローラ205に出力する。なお、撮像素子202がMOS(Metal Oxide Semiconductor)型撮像素子である場合は、A/D変換器204は撮像素子202内に内蔵されていることが多く、また上述した相関二重サンプリングは必要としない。
【0033】
画像入力コントローラ205から出力された画像データはデジタル信号処理部206に入力されてオフセット処理、ホワイトバランス補正及び感度補正を含むゲインコントロール処理、ガンマ補正処理、YC処理(輝度信号及び色差信号の処理)等の信号処理が行われ、VRAM230(Video RAM)への書き込み及び/または読み出しを経て表示制御部210でエンコーディングされて背面モニタ212に出力され、これにより被写体像が背面モニタ212に表示される。
【0034】
また、レリーズボタン220-1の全押しに応答してA/D変換器204から出力される画像データが画像入力コントローラ205からSDRAM232(SDRAM:Synchronous Dynamic Random Access Memory)に入力され、一時的に記憶される。SDRAM232への一時記憶後、デジタル信号処理部206におけるゲインコントロール処理、ガンマ補正処理、YC処理等の信号処理、圧縮/伸張処理部208でのJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式への圧縮処理等を経て画像ファイルが生成され、その画像ファイルは、メディア制御部234により読み出されてメモリカード236に記録される。メモリカード236に記録された画像は、操作部220の再生ボタンを操作することにより背面モニタ212により再生表示することができる。一方、天面モニタ213は、表示制御部210(液晶表示装置、表示制御部)の制御により撮像装置100の動作状態、撮影条件等の情報を表示する。表示制御部210及び天面モニタ213は第1の実施形態に係る液晶表示装置260(液晶表示装置)を構成する。
【0035】
<天面モニタの構成>
図4は天面モニタ213の概略構成を示す図である。天面モニタ213は、液晶セル272と、透過側偏光板274(偏光板)と、反射側偏光板276(偏光板)と、バックライト部280(バックライト部)とを備える。液晶セル272、透過側偏光板274、反射側偏光板276は第1の実施形態に係る液晶表示パネル270(液晶表示パネル)の構成要素である。液晶セル272はTN型液晶(TN:Twisted Nematic)を用いており、図示せぬ電極等により電圧を印加または不印加してドットごとに独立して遮光領域及び透過領域を設定し、上述した情報を表示する(表示制御の詳細は後述する)。液晶セル272の表面側(視認側)に設けられた透過側偏光板274は波長補償機能を有し、裏面側(視認側と反対側)に設けられた反射側偏光板276は波長補償機能を有さない。外部入射光は反射側偏光板276で反射される。バックライト部280は、バックライトの光源としての白色LED280A(白色LED)と、白色LED280Aから照射されたバックライト(2以上の波長帯域の光を含む)を液晶表示パネル270に導く導光板280Bと、を備え、表示制御部210の制御によりバックライトを照射する照射モードまたはバックライトを照射しない非照射モードに設定される(バックライトの照射、非照射の切り替えは、操作部220を介したユーザの指示入力に基づいて表示制御部210が行うことができる)。即ち、液晶表示パネル270は外光の反射とバックライトの両方を光源として利用できる半透過型の液晶表示パネルである。また、液晶表示パネル270は、いわゆるノーマリーホワイト型の液晶表示パネルとすることができるが、本発明はノーマリーブラック型の液晶表示パネルにも適用することができる。
【0036】
<表示制御部のハードウェア的構造>
第1の実施形態において、表示制御部210における各種の処理(表示制御工程における第1の表示制御、第2の表示制御、バックライトの照射と非照射との切替制御等)を実行するためのハードウェア的な構造として、以下に示すような各種のプロセッサ(processor)を採用することができる。各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)により各種の処理を実行する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0037】
表示制御部210の機能はこれら各種のプロセッサのうちの1つで実現されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサ(例えば、複数のFPGA、あるいはCPUとFPGAの組み合わせ)で実現されてもよい。また、複数の機能を1つのプロセッサで実現してもよい。複数の機能を1つのプロセッサで実現する例としては、第1に、クライアント及びサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の機能を実現する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の機能を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の機能は上述した各種のプロセッサを1つ以上用いてハードウェア的な構造として実現される。さらに、これら各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0038】
表示制御部210では、このような構成のプロセッサ、電気回路がフラッシュROM226及びROM228に記憶されたプログラム(表示制御プログラム)、データを参照して各種の処理(表示制御方法の各工程)を行う。処理の際の一時記憶領域あるいは作業領域として、必要に応じVRAM230及び/またはSDRAM232が用いられる。
【0039】
<表示制御の処理>
次に、上述した構成の撮像装置100における表示制御について説明する。
図5は表示制御の処理(表示制御方法)を示すフローチャートである。なお以下の例では、撮像装置100(撮像装置本体200、レンズ装置300)の動作状態を示す動作状態情報として、
図8に示す日付及び撮影条件を天面モニタ213に表示するものとする。具体的には、日付が2017/1/1Sun(2017年1月1日、日曜日)、ISO感度(ISO:International Organization for Standardization)が200、シャッタースピードSSが1/60秒、絞り値Fが1.4である。
【0040】
表示制御の処理が開始されると、ステップS10で画面デザイン情報(例えば、情報表示領域及び背景領域の数、位置、形状、配置、及び白地に黒表示か黒地に白表示か)を取得する。画面デザイン情報は表示制御部210がフラッシュROM226及び/またはROM228から読み出して取得してもよいし、表示制御部210が操作部220を介したユーザの指示入力により取得してもよい。ここでは、日付と動作状態情報とで表示領域を分けず表示パターン(遮光領域をベースに透過領域を配置するか、その逆か)も変えないものとする。画面デザイン情報を取得すると、ステップS12で表示制御部210が撮像装置100の各部から動作状態情報を取得する。動作状態情報は撮像装置100(撮像装置本体200及びレンズ装置300)の動作状態を示す情報であり、第1の実施形態では上述した撮影条件を動作状態情報として取得する。画面デザイン及び動作状態情報を取得すると、画面デザイン及び動作状態情報に基づいて情報表示領域及び背景領域の位置、数、配置等を設定する(ステップS14)。なお、以下の説明において「白」とは、バックライト、及び/または反射側偏光板276で反射した外部入射光が透過する状態における液晶表示パネル270の色を意味し、「黒」とはこれらの光が遮光される状態における液晶表示パネル270の色を意味するものとする。
【0041】
ステップS16では、非照射モードか否か(バックライトを照射しないか、照射するか)を判断する。この判断は、例えば操作部220を介したユーザの指示入力に基づいて表示制御部210が行うことができる。判断が肯定された場合(非照射モードである場合)はステップS18へ進んで第1の表示制御を行い、判断が否定された場合(照射モードである場合)はステップS20へ進んで第2の表示制御を行って、第1または第2の表示制御の結果により情報(上述した日付及び撮影条件)を表示する(ステップS22;表示制御工程)。
【0042】
図6は第1の表示制御(非照射モードでの表示制御;表示制御工程)の処理を示すフローチャートである。第1の表示制御では、情報表示領域と背景領域とのうちいずれの面積が大きいか(情報表示領域の面積が背景領域の面積よりも大きいか否か)を判断し(ステップS30)、判断が肯定されたらステップS32に進んで面積が大きい情報表示領域を遮光領域、面積が小さい背景領域を透過領域とする(白地に黒表示)。一方、ステップS30の判断が否定されたらステップS34に進み、面積が小さい情報表示領域を透過領域、面積が大きい背景領域を遮光領域とする(黒地に白表示)。
【0043】
一方、
図7は第2の表示制御(照射モードでの表示制御;表示制御工程)の処理を示すフローチャートである。第2の表示制御では、情報表示領域と背景領域とのうちいずれの面積が大きいか(情報表示領域の面積が背景領域の面積よりも大きいか否か)を判断し(ステップS40)、判断が肯定されたらステップS42に進んで面積が大きい情報表示領域を透過領域、面積が小さい背景領域を遮光領域とする(黒地に白表示)。一方、ステップS40の判断が否定されたらステップS44に進み、面積が小さい情報表示領域を遮光領域、面積が大きい背景領域を透過領域とする(白地に黒表示)。
【0044】
図8の例では情報表示領域の面積が背景領域の面積よりも小さいので、非照射モードでは第1の表示制御(
図6参照)により面積が大きい背景領域が遮光領域(
図9の(a)部分における黒表示部分)となり、面積が小さい情報表示領域が透過領域(
図9の(a)部分における白表示部分)となる。一方、照射モードでは第2の表示制御(
図7参照)により面積が大きい背景領域を透過領域(
図9の(b)部分における白表示部分)とし、面積が小さい情報表示領域を遮光領域(
図9の(b)部分において黒表示部分)とする(ステップS40,S44)。このような表示制御により、照射モードでの角度(視認方向)による色味変化は
図10((a)部分は左下方向から視認した状態、(b)部分は右下方向から視認した状態;色味の相違を網掛けの相違で表す)のようになる。したがって照射モードにおいて視認方向による色味変化自体はあるが、上述した第2の表示制御により面積が小さい情報表示領域(文字部分)を遮光領域としており面積が大きい背景領域は白色光が透過しているため、色味の変化が目立たない。このような効果を、追加の光学部材等を用いず簡単な構成により得ることができる。
【0045】
なお、上述した第1,第2の表示制御では情報表示領域が遮光領域になり背景領域が透過領域になる場合もあるし、逆に情報表示領域が透過領域になり背景領域が遮光領域になる場合もある。
【0046】
動作状態情報等の情報は、
図9,10のように文字及び数字により表示するのではなく、図形、記号、グラフ等により表示してもよい。
図11は撮影画像のヒストグラムの例を示す図であり、横軸は撮影画像の明度、縦軸は画素数を示す。
図11の例では情報表示領域(ヒストグラムを表す曲線C1の下側)の面積が背景領域(曲線C1の上側)の面積よりも大きいので、非照射モードでは第1の表示制御により面積が大きい情報表示領域を遮光領域とし、面積が小さい背景領域を透過領域とする(
図11の(a)部分;白地に黒表示)。一方、照射モードでは非照射モードとは逆に面積が大きい情報表示領域を透過領域とし、面積が小さい背景領域を遮光領域とする(
図11の(b)部分;黒地に白表示)。このような表示制御によっても、
図8~10について上述したのと同様に照射モード(
図11の(b)部分)において視認方向による色味変化自体はあるが、面積が小さい背景領域を遮光領域としているので色味の変化が目立たない。
【0047】
<注目領域における表示制御の例>
図8~10に示す例では日付と撮影条件(動作状態情報)とで表示領域を分けず表示パターンも変えない場合について説明したが、日付と撮影条件とで表示領域を分け表示パターンを変えてもよい。例えば、
図12に示すように表示領域の一部に動作状態情報としての撮影条件を表示する注目領域ROIを設け、注目領域ROI以外の領域に日付(動作状態情報ではない情報)を表示する。そして注目領域ROIとそれ以外の領域とで表示パターン(例えば、情報表示領域と背景領域とのうちいずれを透過領域としいずれを遮光領域とするか、すなわち黒地に白表示とするか白地に黒表示とするか)を変える。例えば、注目領域ではバックライト非照射時に文字部分(情報表示領域)を透過領域とし、背景部分(背景領域)を遮光領域として表示し(黒地に白表示)、注目領域以外の領域では文字部分を遮光領域とし、背景部分を透過領域として表示する(白地に黒表示)。このように、表示領域を注目領域とそれ以外とに分け表示パターンを変えることにより、撮影中に内容が変化しユーザの注目が高い情報(撮影条件)が容易に視認できるようになる。
【0048】
上述した注目領域を設ける場合、注目領域における情報表示領域の比率に応じて第1、第2の表示制御を行うことができる。例えば、
図13では注目領域ROIにおいて情報表示領域(動作状態情報としての撮影条件が表示される;白部分)の面積よりも背景領域(黒部分)の面積の方が大きいので、注目領域ROIにおいて第1,第2の表示制御が行われる。具体的には、バックライト非照射時は注目領域ROIにおいて第1の表示制御が行われて
図13の(a)部分に示す表示状態になり、バックライト照射時は第2の表示制御が行われて
図13の(b)部分に示す表示状態になる。したがってバックライト照射時の視認方向による色味変化の様子は
図14((a)部分は左下から見た状態、(b)部分は右下から見た状態;色味の相違を網掛け状態の相違で表す)のようになり、視認方向による色味変化を目立たなくすることができる。
【0049】
<色味変化の許容値に応じたしきい値の設定>
上述した構成の撮像装置100において、以下の例のように色味変化の許容値を考慮してしきい値を設定し、設定したしきい値に基づいて表示制御を行ってもよい。
【0050】
図15はバックライト照射時における遮光領域の面積比率Sbと色味変化量との関係を示す概念図である。
図15における「遮光領域の面積比率Sb」は、「バックライト照射時において、情報表示領域と背景領域とのうち面積が大きい方が表示領域全体(または注目領域)において占める比率」として上述した「情報表示領域が占める比率」と対応付けることができる。また、色味変化量は例えば特定の人数に対する官能評価において「色味が変化した」と感じる人の割合を数値化することにより得られ、色味変化量が許容値MAXを超える面積比率を遮光領域に対するしきい値とすることができる。
【0051】
しきい値が設定されたら、遮光領域の比率が設定されたしきい値を超えないように、情報表示領域と背景領域とのうちいずれを遮光領域としいずれを透過領域とするかを決定する(第3の表示制御)。例えば、情報表示領域と背景領域とのうち面積が大きい方の比率がしきい値より高い場合は、面積が大きい方を透過領域とし、小さい方を遮光領域とする(第3の表示制御)。面積が大きい方の比率がしきい値以下ならどちらの領域を遮光領域としてもよいが、例えば面積が大きい方を透過領域とし小さい方を遮光領域とすることができる。この場合、バックライト非照射時の画面デザイン(白黒表示のパターン)が維持されるように透過領域及び遮光領域を設定してもよい。
【0052】
なお、許容値及びしきい値は、複数の画面デザイン(例えば、情報表示領域の数、位置、形状のうち少なくとも一つが異なる複数の画面デザイン)でそれぞれ異なっていてもよい。例えば
図15では、デザイン1ではしきい値TH1,デザイン2ではしきい値TH2(デザイン1,2で色味変化の許容値MAXは同じであるとする)である。なお、デザインによってはユーザが注目する面積領域が表示領域全体でない場合があるので、上述した注目領域のように表示領域の一部に対してしきい値を設定してもよい。しきい値の数値は操作部220を介したユーザの指示入力(直接入力、選択等)により設定してもよいし、フラッシュROM226、ROM228、表示制御部210等に画面デザインとしきい値とを関連づけて記憶しておき、画面デザインに応じてしきい値を設定してもよい。
【0053】
<ヒステリシスを考慮した表示制御>
動作状態情報等の情報は撮像装置100の使用中に変化するので、遮光領域の占める比率がしきい値より高くなる場合も低くなる場合もあり得る。このような状況において、比率としきい値との関係(比率がしきい値より高いか低いか)が変化するごとに表示を切り替えてもよいが、撮像装置100の使用状況(表示させる情報の種類、撮影条件の設定等)によっては表示パターンが頻繁に変化して表示が見づらくなる可能性がある。そこで、以下に説明するように遮光領域が占める比率のヒステリシス(履歴)を考慮した表示制御を行うことができる。
【0054】
図16,17に示す例では面積比率Sbのしきい値Xに上限値(X+α)及び下限値(X-α)を設定しており、照射モードにおいて面積比率Sbが下限値(X-α)よりも小さい状態(Sb<(X-α))から大きくなって(例えば、単調増加して)上限値(X+α)を超える(Sb>(X+α))と表示を反転する(白地に黒表示から黒地に白表示へ;第4の表示制御)。
図17では、時刻t1,t3における変化がこのようなケースに該当する。同様に、面積比率Sbが上限値(X+α)よりも大きい状態(Sb>(X+α))から小さくなって(例えば、単調減少して)下限値(X-α)を下回る(Sb<(X-α))と表示を反転する(黒地に白表示から白地に黒表示へ;第5の表示制御)。
図17の例では、時刻t2における変化がこのようなケースに該当する。これらの条件を満たさない場合(例えば、時刻t4,t5における変化)は、面積比率Sbとしきい値との関係が変化しても表示を切り換えない。このような表示制御により、視認方向による色味変化を目立たなくしつつ、表示パターンの頻繁な変化を抑制して見やすい表示にすることができる。
【0055】
<本発明の他の態様>
上述した第1から第9の態様に加え、以下に説明する第10から第16の態様も本発明に含まれる。なお第10から第16の態様において、第1から第9の態様と同様の記載は同様の構成を意味するものとする。
【0056】
<第10の態様>
第10の態様に係る液晶表示装置は、TN型液晶を用いた半透過型の液晶表示パネルと、2以上の波長帯域の光を含むバックライトを照射する照射モード、またはバックライトを照射しない非照射モードに設定されるバックライト部と、バックライト及び外部入射光を遮る遮光領域と、バックライト及び外部入射光を透過させる透過領域と、のうち一方を情報表示領域とし、他方を背景領域とすることにより液晶表示パネルに情報を表示させる表示制御部であって、非照射モードでは情報表示領域と背景領域とのうち面積が大きい方を遮光領域とし、小さい方を透過領域として設定する第1の表示制御を行い、照射モードでは、情報表示領域と背景領域とのうち面積が大きい方が液晶表示パネルの総表示領域に占める比率がしきい値よりも高い場合は、面積が大きい方を透過領域とし、面積が小さい方を遮光領域として設定する第3の表示制御を行う表示制御部と、を備える。
【0057】
<第11の態様>
第11の態様は第10の態様において、表示制御部は、液晶表示パネルにおける情報表示領域の数、位置、及び形状のうち少なくとも1つが異なる複数の表示態様のそれぞれに対して異なるしきい値を設定する。
【0058】
<第12の態様>
第12の態様は、電子機器本体と、第10または第11の態様に係る液晶表示装置を備える電子機器であって、液晶表示装置は情報として電子機器本体の動作状態を示す動作状態情報を表示する。
【0059】
<第13の態様>
第13の態様は第12の態様において、表示制御部は、液晶表示パネルの表示領域の一部に設定され動作状態を示す動作状態情報が表示される注目領域において第1の表示制御及び第3の表示制御を行う。
【0060】
<第14の態様>
第14の態様に係る表示制御方法は、TN型液晶を用いた半透過型の液晶表示パネルと、2以上の波長帯域の光を含むバックライトを照射する照射モード、またはバックライトを照射しない非照射モードに設定されるバックライト部と、を備える液晶表示装置の表示制御方法であって、バックライト及び外部入射光を遮る遮光領域と、バックライト及び外部入射光を透過させる透過領域と、のうち一方を情報表示領域とし、他方を背景領域とすることにより液晶表示パネルに情報を表示させる表示制御部であって、非照射モードでは情報表示領域と背景領域とのうち面積が大きい方を遮光領域とし、小さい方を透過領域として設定する第1の表示制御を行い、照射モードでは、情報表示領域と背景領域とのうち面積が大きい方が液晶表示パネルの総表示領域に占める比率がしきい値よりも高い場合は、面積が大きい方を透過領域とし、面積が小さい方を遮光領域として設定する第3の表示制御を行う表示制御工程を有する。
【0061】
<第15,第16の態様>
第15の態様に係る表示制御プログラムは、第14の態様に係る表示制御方法を液晶表示装置に実行させる。第16の態様に係る非一時的記録媒体は、第15の態様に係る表示制御プログラムのコンピュータ読み取り可能なコードが記録された非一時的記録媒体である。
【0062】
以上で本発明の各態様に関して説明してきたが、本発明は上述した態様に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上述した撮像装置100ではバックライトの光源として白色LED280Aを用いる場合について説明したが、本発明は白色LEDに限らず2つ以上の波長帯域(例えば、赤色波長帯域と青色波長帯域)の光を照射する光源に対し適用することができる。このような光源では同じ角度(視認方向)でも波長により透過特性が異なり、その結果色味が変化して見えるが、本発明に係る表示制御により色味変化を目立たなくすることができる。
【符号の説明】
【0063】
100 撮像装置
200 撮像装置本体
201 撮像素子制御部
202 撮像素子
203 アナログ信号処理部
204 A/D変換器
205 画像入力コントローラ
206 デジタル信号処理部
208 圧縮/伸張処理部
210 表示制御部
212 背面モニタ
213 天面モニタ
214 メインCPU
220 操作部
220-1 レリーズボタン
220-2 ダイヤル
222 AF検出部
224 AE/AWB検出部
226 フラッシュROM
228 ROM
230 VRAM
232 SDRAM
234 メディア制御部
236 メモリカード
238 フラッシュ制御部
240 フラッシュ
242 バッテリ
244 電源制御部
246 マウント
247 端子
250 マウント通信部
260 液晶表示装置
270 液晶表示パネル
272 液晶セル
274 透過側偏光板
276 反射側偏光板
280 バックライト部
280A 白色LED
280B 導光板
300 レンズ装置
310 ズームレンズ制御部
320 フォーカスレンズ制御部
330 絞り制御部
340 レンズCPU
344 ROM
346 マウント
347 端子
F 絞り値
FL フォーカスレンズ
I 絞り
MAX 許容値
ROI 注目領域
S10~S44 表示制御方法の各ステップ
Sb 面積比率
SS シャッタースピード
X しきい値
ZL ズームレンズ