(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】液晶性化合物、液晶組成物および液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
C07C 43/225 20060101AFI20221206BHJP
C09K 19/06 20060101ALI20221206BHJP
C09K 19/12 20060101ALI20221206BHJP
C09K 19/14 20060101ALI20221206BHJP
C09K 19/18 20060101ALI20221206BHJP
C09K 19/20 20060101ALI20221206BHJP
C09K 19/30 20060101ALI20221206BHJP
C09K 19/32 20060101ALI20221206BHJP
C09K 19/34 20060101ALI20221206BHJP
C09K 19/42 20060101ALI20221206BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
C07C43/225 C CSP
C09K19/06
C09K19/12
C09K19/14
C09K19/18
C09K19/20
C09K19/30
C09K19/32
C09K19/34
C09K19/42
G02F1/13 500
(21)【出願番号】P 2018098194
(22)【出願日】2018-05-22
【審査請求日】2021-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】311002067
【氏名又は名称】JNC株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596032100
【氏名又は名称】JNC石油化学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】後藤 泰行
(72)【発明者】
【氏名】奥村 一雄
(72)【発明者】
【氏名】高田 章博
(72)【発明者】
【氏名】小林 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】澤田 道子
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102992971(CN,A)
【文献】国際公開第2016/132998(WO,A1)
【文献】特開昭57-122080(JP,A)
【文献】特表2016-517895(JP,A)
【文献】特表2013-518977(JP,A)
【文献】特開2017-019767(JP,A)
【文献】Database REGISTRY,2012年,RN 1394968-69-4, RN 1395039-53-8, Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 7 December 2021
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C09K
G02F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1-1)で表される化合物。
式(1-1)において、
R
1は、炭素数1から10のアルキル
、炭素数2から9のアルコキシアルキル、
または炭素数2から10のアルケニルであり、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
R
2は、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた分岐鎖を有する炭素数3から10のアルキル、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた分岐鎖を有する炭素数3から9のアルコキシアルキル、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた分岐鎖を有する炭素数3から10のアルケニル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から10の直鎖のアルキル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から9の直鎖のアルコキシアルキル、または
1つまたは2つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から10の直鎖のアルケニルであり;
L
1およびL
2は独立して、フッ素または-OCF
3であり;
X
1およびX
2は独立して、酸素である。
【請求項2】
式(1-6)で表される、請求項1に記載の化合物。
式(1-6)において、
R
1は、炭素数1から10のアルキル、炭素数2から9のアルコキシアルキル、炭素数2から10のアルケニルであり;
R
2は、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から10の直鎖のアルキル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から9の直鎖のアルコキシアルキル、または
1つまたは2つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から10の直鎖のアルケニルであり;
L
1およびL
2は独立して、フッ素または-OCF
3である。
【請求項3】
式(1-6)において、
R
1は、炭素数1から6のアルキル、炭素数2から6のアルコキシアルキル、炭素数2から6のアルケニルであり;
R
2は、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から6の直鎖のアルキル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から6の直鎖のアルコキシアルキル、または
1つまたは2つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から6の直鎖のアルケニルであり;
L
1およびL
2はフッ素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式(1-1)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物および式(2)から式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する液晶組成物。
式(1-1)において、
R
1は、炭素数1から10のアルキル
、炭素数2から9のアルコキシアルキル、
または炭素数2から10のアルケニルであり、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
R
2は、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた分岐鎖を有する炭素数3から10のアルキル、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた分岐鎖を有する炭素数3から9のアルコキシアルキル、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた分岐鎖を有する炭素数3から10のアルケニル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から10の直鎖のアルキル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から9の直鎖のアルコキシアルキル、または
1つまたは2つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から10の直鎖のアルケニルであり;
L
1およびL
2は独立して、フッ素または-OCF
3であり;
X
1およびX
2は独立して、酸素であり;そして
式(2)から式(4)において、
R
11およびR
12は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの-CH
2-は-O-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
環B
1、環B
2、環B
3、および環B
4は独立して、1,4-シクロヘキシレン、1,4-フェニレン、2-フルオロ-1,4-フェニレン、2,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン、またはピリミジン-2,5-ジイルであり;
Z
11、Z
12、およびZ
13は独立して、単結合、-COO-、-CH
2CH
2-、-CH=CH-、または-C≡C-である。
【請求項5】
式(5)から式(13)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項4に記載の液晶組成物。
式(5)から式(13)において、
R
13、R
14、およびR
15は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの-CH
2-は-O-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく、そしてR
15は、水素またはフッ素であってもよく;
環C
1、環C
2、環C
3、および環C
4は独立して、1,4-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキセニレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4-フェニレン、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、またはデカヒドロナフタレン-2,6-ジイルであり;
環C
5および環C
6は独立して、1,4-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキセニレン、1,4-フェニレン、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、またはデカヒドロナフタレン-2,6-ジイルであり;
Z
14、Z
15、Z
16、およびZ
17は独立して、単結合、-COO-、-CH
2O-、-OCF
2-、-CH
2CH
2-、または-OCF
2CH
2CH
2-であり;
L
11およびL
12は独立して、フッ素または塩素であり;
S
11は、水素またはメチルであり;
Xは、-CHF-または-CF
2-であり;
j、k、m、n、p、q、r、およびsは独立して、0または1であり、k、m、n、およびpの和は、1または2であり、q、r、およびsの和は、0、1、2、または3であり、tは、1、2、または3である。
【請求項6】
式(21)から式(23)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項4または5に記載の液晶組成物。
式(21)から式(23)において、
R
16は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの-CH
2-は-O-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
X
11は、フッ素、塩素、-CF
3、-CHF
2、-CH
2F、-OCF
3、-OCHF
2、-OCF
2CHF
2、または-OCF
2CHFCF
3であり;
環D
1、環D
2、および環D
3は独立して、1,4-シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4-フェニレン、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、またはピリミジン-2,5-ジイルであり;
Z
18、Z
19、およびZ
20は独立して、単結合、-COO-、-CH
2O-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH
2CH
2-、-CH=CH-、-C≡C-、または-(CH
2)
4-であり;
L
13およびL
14は独立して、水素またはフッ素である。
【請求項7】
式(24)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項4から6のいずれか1項に記載の液晶組成物。
式(24)において、
R
17は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの-CH
2-は-O-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
X
12は-C≡Nまたは-C≡C-C≡Nであり;
環E
1は、1,4-シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4-フェニレン、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、またはピリミジン-2,5-ジイルであり;
Z
21は、単結合、-COO-、-CH
2O-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH
2CH
2-、または-C≡C-であり;
L
15およびL
16は独立して、水素またはフッ素であり;
iは、1、2、3、または4である。
【請求項8】
請求項4から7のいずれか1項に記載の液晶組成物を含む液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶性化合物、液晶組成物、および液晶表示素子に関する。さらに詳しくは、2,3-二置換-1,4-フェニレンを有し、誘電率異方性が負の液晶性化合物、この化合物を含有する液晶組成物、およびこの組成物を含む液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子において、液晶分子の動作モードに基づいた分類は、PC(phase change)、TN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(optically compensated bend)、IPS(in-plane switching)、VA(vertical alignment)、FFS(fringe field switching)、FPA(field-induced photo-reactive alignment)などのモードである。素子の駆動方式に基づいた分類は、PM(passive matrix)とAM(active matrix)である。PMは、スタティック(static)、マルチプレックス(multiplex)などに分類され、AMは、TFT(thin film transistor)、MIM(metal insulator metal)などに分類される。
【0003】
この素子には液晶組成物が封入される。この組成物の物性は、素子の物性に関連する。組成物における物性の例は、熱や光に対する安定性、ネマチック相の温度範囲、粘度、光学異方性、誘電率異方性、比抵抗、弾性定数などである。組成物は多くの液晶性化合物を混合して調製される。化合物に必要な物性は、水、空気、熱、光などの環境に対する高い安定性、液晶相の広い温度範囲、小さな粘度、適切な光学異方性、大きな誘電率異方性、適切な弾性定数、他の液晶性化合物との良好な相溶性などである。ネマチック相の高い上限温度を有する化合物は好ましい。ネマチック相、スメクチック相などの液晶相において低い下限温度を有する化合物は好ましい。小さな粘度を有する化合物は素子の短い応答時間に寄与する。光学異方性の適切な値は素子の動作モードの種類に依存する。低い電圧で素子を駆動するには正または負に大きな誘電率異方性を有する化合物が好ましい。組成物を調製するには他の液晶性化合物との良好な相溶性を有する化合物が好ましい。素子を氷点下の温度で使うこともあるので、低い温度で良好な相溶性を有する化合物が好ましい。
【0004】
これまでに、数多くの液晶性化合物が合成されてきた。新しい液晶性化合物の開発は今でも続けられている。新規な化合物には、従来の化合物にはない良好な物性が期待されるからである。新規な化合物が組成物における少なくとも2つの物性に適切なバランスを付与することもあるからである。
【0005】
国際公開第2011/098224号公報は、化合物(I-6A-9)を10頁に開示する。
【0006】
特開2017-19767号公報は、化合物(1-1-3)を43頁に開示する。
【0007】
中国公開第105218328号公報は、1頁に化合物(A)を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2011/098224号公報
【文献】特開2017-19767号公報
【文献】中国公開第105218328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
第一の課題は、熱や光に対する高い安定性、ネマチック相の高い上限温度、高い透明点、液晶相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、負に大きな誘電率異方性、適切な弾性定数、他の液晶性化合物との良好な相溶性などの物性の少なくとも1つを充足する液晶性化合物を提供することである。この課題は、類似の化合物と比較して、上限温度を有する化合物を提供することでもある。第二の課題は、この化合物を含有し、熱や光に対する高い安定性、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、負に大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、適切な弾性定数などの物性の少なくとも1つを充足する液晶組成物を提供することである。この課題は、少なくとも2つの物性に関して適切なバランスを有する液晶組成物を提供することである。第三の課題は、この組成物を含み、素子を使用できる広い温度範囲、短い応答時間、大きな電圧保持率、低いしきい値電圧、大きなコントラスト比、小さなフリッカ率、および長い寿命を有する液晶表示素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
式(1)で表される化合物。この化合物を含有する液晶組成物、およびこの組成物を含む液晶表示素子に関する。式(1)における記号の定義は、下に記載した項1を参照のこと。
【発明の効果】
【0011】
第一の長所は、熱や光に対する高い安定性、ネマチック相の高い上限温度、高い透明点、液晶相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、負に大きな誘電率異方性、適切な弾性定数、他の液晶性化合物との良好な相溶性などの物性の少なくとも1つを充足する液晶性化合物を提供することである。この長所は、類似の化合物と比較して、上限温度を有する化合物を提供することでもある(比較例1を参照のこと)。第二の長所は、この化合物を含有し、熱や光に対する高い安定性、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、負に大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、適切な弾性定数などの物性の少なくとも1つを充足する液晶組成物を提供することである。この長所は、少なくとも2つの物性に関して適切なバランスを有する液晶組成物を提供することである。第三の長所は、この組成物を含み、素子を使用できる広い温度範囲、短い応答時間、大きな電圧保持率、低いしきい値電圧、大きなコントラスト比、小さなフリッカ率、および長い寿命を有する液晶表示素子を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この明細書における用語の使い方は、次のとおりである。「液晶性化合物」、「液晶組成物」、および「液晶表示素子」の用語をそれぞれ「化合物」、「組成物」、および「素子」と略すことがある。「液晶性化合物」は、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物、および液晶相を有しないが、上限温度、下限温度、粘度、誘電率異方性のような組成物の物性を調節する目的で添加する化合物の総称である。この化合物は、1,4-シクロヘキシレンや1,4-フェニレンのような六員環を有し、その分子構造は棒状(rod like)である。「液晶表示素子」は液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。「重合性化合物」は、組成物中に重合体を生成させる目的で添加する化合物である。アルケニルを有する液晶性化合物は、その意味では重合性ではない。
【0013】
液晶組成物は、複数の液晶性化合物を混合することによって調製される。この組成物に、物性をさらに調整する目的で添加物が添加される。重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、色素、および消泡剤のような添加物が必要に応じて添加される。液晶性化合物の割合(含有量)は、添加物を添加した場合であっても、添加物を含まない液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)で表される。添加物の割合は、添加物を含まない液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)で表される。すなわち、液晶性化合物や添加物の割合は、液晶性化合物の全重量に基づいて算出される。重量百万分率(ppm)が用いられることもある。重合開始剤および重合禁止剤の割合は、例外的に重合性化合物の重量に基づいて表される。
【0014】
「透明点」は、液晶性化合物における液晶相-等方相の転移温度である。「液晶相の下限温度」は、液晶性化合物における固体-液晶相(スメクチック相、ネマチック相など)の転移温度である。「ネマチック相の上限温度」は、液晶性化合物と母液晶との混合物または液晶組成物におけるネマチック相-等方相の転移温度であり、「上限温度」と略すことがある。「ネマチック相の下限温度」を「下限温度」と略すことがある。「誘電率異方性を上げる」の表現は、誘電率異方性が正である組成物のときは、その値が正に増加することを意味し、誘電率異方性が負である組成物のときは、その値が負に増加することを意味する。「電圧保持率が大きい」は、素子が初期段階において室温だけでなく上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を有し、そして長時間使用したあと室温だけでなく上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を有することを意味する。組成物や素子の物性が経時変化試験によって検討されることがある。
【0015】
式(1)で表される化合物を化合物(1)と略すことがある。式(1)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物を化合物(1)と略すことがある。「化合物(1)」は、式(1)で表される1つの化合物、2つの化合物の混合物、または3つ以上の化合物の混合物を意味する。これらのルールは、他の式で表される化合物についても適用される。例えば、式(2)から(13)において、六角形で囲んだB1、C1などの記号はそれぞれ環B1、環C1などの環に対応する。六角形は、シクロヘキサンやベンゼンのような六員環を表す。六角形がナフタレンのような縮合環や、アダマンタンのような架橋環を表すことがある。
【0016】
成分化合物の化学式において、末端基R11の記号を複数の化合物に用いた。これらの化合物において、任意の2つのR11が表す2つの基は同一であってもよく、または異なってもよい。例えば、化合物(2)のR11がエチルであり、化合物(3)のR11がエチルであるケースがある。化合物(2)のR11がエチルであり、化合物(3)のR11がプロピルであるケースもある。このルールは、R12、R13、Z11などの記号にも適用される。化合物(24)において、iが2のとき、2つの環E1が存在する。この化合物において2つの環E1が表す2つの基は、同一であってもよく、または異なってもよい。iが2より大きいとき、任意の2つの環E1にも適用される。このルールは、他の記号にも適用される。
【0017】
「少なくとも1つの‘A’」の表現は、‘A’の数が任意であることを意味する。「少なくとも1つの‘A’は、‘B’で置き換えられてもよい」の表現は、‘A’の数が1つのとき、‘A’の位置は任意であり、‘A’の数が2つ以上のときも、それらの位置は制限なく選択できることを意味する。このルールは、「少なくとも1つの‘A’が、‘B’で置き換えられた」の表現にも適用される。「少なくとも1つの‘A’が、‘B’、‘C’、または‘D’で置き換えられてもよい」という表現は、任意の‘A’が‘B’で置き換えられた場合、任意の‘A’が‘C’で置き換えられた場合、および任意の‘A’が‘D’で置き換えられた場合、さらに複数の‘A’が‘B’、‘C’、および/または‘D’の少なくとも2つで置き換えられた場合を含むことを意味する。例えば、「少なくとも1つの-CH2-が-O-または-CH=CH-で置き換えられてもよいアルキル」には、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニル、アルコキシアルケニル、アルケニルオキシアルキルが含まれる。なお、連続する2つの-CH2-が-O-で置き換えられて、-O-O-のようになることは好ましくない。アルキルなどにおいて、メチル部分(-CH2-H)の-CH2-が-O-で置き換えられて-O-Hになることも好ましくない。
【0018】
「R11およびR12は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの-CH2-は-O-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよい」の表現が使われることがある。この表現において、「これらの基において」は、文言どおりに解釈してよい。この表現では、「これらの基」は、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシなどを意味する。すなわち、「これらの基」は、「これらの基において」の用語よりも前に記載された基の総てを表す。この常識的な解釈は、「これらの一価基において」や「これらの二価基において」の用語にも適用される。例えば、「これらの一価基」は、「これらの一価基において」の用語よりも前に記載された基の総てを表す。
【0019】
ハロゲンはフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を意味する。好ましいハロゲンは、フッ素および塩素である。さらに好ましいハロゲンはフッ素である。液晶性化合物のアルキルは直鎖状または分岐状であり、環状アルキルを含まない。直鎖状アルキルは、一般的に分岐状アルキルよりも好ましい。これらのことは、アルコキシ、アルケニルなどの末端基についても同様である。1,4-シクロヘキシレンに関する立体配置は、上限温度を上げるためにシスよりもトランスが好ましい。2-フルオロ-1,4-フェニレンは、下記の2つの二価基を意味する。化学式において、フッ素は左向き(L)であってもよいし、右向き(R)であってもよい。このルールは、テトラヒドロピラン-2,5-ジイルのような、環から水素を2つ除くことによって生成した非対称な二価基にも適用される。
【0020】
本発明は、下記の項などである。
【0021】
項1. 式(1)で表される化合物。
式(1)において、
R
1は、炭素数1から15のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの-CH
2-は-O-または-S-で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH
2CH
2-は-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、または-OCO-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
R
2は、分岐鎖を有する炭素数3から15のアルキル、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた分岐鎖を有する炭素数3から15のアルキル、または1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から15の直鎖のアルキルであり、これらのアルキルにおいて、少なくとも1つの-CH
2-は-O-または-S-で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH
2CH
2-は-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、または-OCO-で置き換えられてもよく;
A
1およびA
2は独立して、1,2-シクロプロピレン、1,2-シクロプロペニレン、1,3-シクロプロペニレン、1,3-シクロブチレン、1,3-シクロブテニレン、1,3-シクロペンチレン、1,3-シクロペンテニレン、1,4-シクロペンテニレン、または3,5-シクロペンテニレンであり;
Z
1およびZ
2は独立して、単結合または炭素数1から15のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの-CH
2-は-O-または-S-で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH
2CH
2-は-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、または-OCO-で置き換えられてもよく、これらの二価基において、少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
L
1およびL
2は独立して、フッ素、塩素、-OCF
3、または-OCH
2Fであり
;
X
1およびX
2は独立して、酸素または硫黄であり;
aは0または1であり、bは0または1であり、aとbの和は0、1、または2であり;
aが1であるときR
1は水素であり、bが1であるときR
2は水素である。そしてbが1であるとき、X
1は単結合であってもよい。
【0022】
項2. 式(1)において、
R1は、炭素数1から15のアルキルであり、このアルキルにおいて、1つまたは2つの-CH2-は-O-で置き換えられてもよく、1つまたは2つの-CH2CH2-は-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、または-OCO-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
R2は、分岐鎖を有する炭素数3から15のアルキル、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた分岐鎖を有する炭素数3から15のアルキル、または1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から15の直鎖のアルキルであり、これらのアルキルにおいて、1つまたは2つの-CH2-は-O-で置き換えられてもよく、1つまたは2つの-CH2CH2-は-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、または-OCO-で置き換えられてもよく;
A1およびA2は独立して、1,2-シクロプロピレン、1,3-シクロブチレン、または1,3-シクロペンチレンであり;
Z1およびZ2は独立して、単結合または炭素数1から15のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、1つまたは2つの-CH2-は-O-または-S-で置き換えられてもよく、1つまたは2つの-CH2CH2-は-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、または-OCO-で置き換えられてもよく、これらの二価基において、少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
L1およびL2は独立して、フッ素、塩素、-OCF3、または-OCH2Fであり
;
X1およびX2は独立して、酸素または硫黄であり;
aは0または1であり、bは0または1であり、aとbの和は0、1、または2であり;
aが1であるときR1は水素であり、bが1であるときR2は水素であり、そしてbが1であるとき、X1は単結合であってもよい、項1に記載の化合物。
【0023】
項3. 式(1-1)から式(1-5)のいずれか1つで表される、項1または2に記載の化合物。
式(1-1)から式(1-5)において、
R
1は、炭素数1から15のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの-CH
2-は-O-で置き換えられてもよく、1つまたは2つの-CH
2CH
2-は-CH=CH-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
R
2は、分岐鎖を有する炭素数3から15のアルキル、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた分岐鎖を有する炭素数3から15のアルキル、または1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から15の直鎖のアルキルであり、これらのアルキルにおいて、少なくとも1つの-CH
2-は-O-で置き換えられてもよく、1つまたは2つの-CH
2CH
2-は-CH=CH-で置き換えられてもよく;
A
1およびA
2は独立して、1,2-シクロプロピレン、1,3-シクロブチレン、または1,3-シクロペンチレンであり;
Z
1およびZ
2は独立して、単結合または炭素数1から15のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、1つまたは2つの-CH
2-は-O-で置き換えられてもよく、1つまたは2つの-CH
2CH
2-は-CH=CH-で置き換えられてもよく、これらの二価基において、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;
L
1およびL
2は独立して、フッ素、塩素、-OCF
3、または-OCH
2Fであり
;
X
1およびX
2は独立して、酸素または硫黄である。
【0024】
項4. 式(1-1)から(1-5)において、
R1は、炭素数1から10のアルキル、炭素数1から9のアルコキシ、炭素数2から9のアルコキシアルキル、炭素数2から10のアルケニル、または炭素数2から9のアルケニルオキシであり、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
R2は、分岐鎖を有する炭素数3から10のアルキル、分岐鎖を有する炭素数3から9のアルコキシアルキル、分岐鎖を有する炭素数3から10のアルケニル、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた分岐鎖を有する炭素数3から10のアルキル、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた分岐鎖を有する炭素数3から9のアルコキシアルキル、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた分岐鎖を有する炭素数3から10のアルケニル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から10の直鎖のアルキル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から9の直鎖のアルコキシアルキル、または1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から10の直鎖のアルケニルであり;
A1およびA2は、1,2-シクロプロピレン、1,3-シクロブチレン、または1,3-シクロペンチレンであり;
Z1およびZ2は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレン、1つまたは2つの-CH2-が-O-で置き換えられた炭素数1から10のアルキレン、または1つまたは2つの-CH2CH2-が-CH=CH-で置き換えられた炭素数2から10のアルキレンであり、これらの二価基において、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
L1およびL2は独立して、フッ素または-OCF3であり;
X1およびX2は独立して、酸素または硫黄である、項3に記載の化合物。
【0025】
項5. 式(1-6)で表される、項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
式(1-6)において、
R
1は、炭素数1から10のアルキル、炭素数2から9のアルコキシアルキル、炭素数2から10のアルケニルであり;
R
2は、分岐鎖を有する炭素数3から10のアルキル、分岐鎖を有する炭素数3から9のアルコキシアルキル、分岐鎖を有する炭素数3から10のアルケニル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から10の直鎖のアルキル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から9の直鎖のアルコキシアルキル、または1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から10の直鎖のアルケニルであり;
L
1およびL
2は独立して、フッ素または-OCF
3である。
【0026】
項6. 式(1-6)において、
R1は、炭素数1から6のアルキル、炭素数2から6のアルコキシアルキル、炭素数2から6のアルケニルであり;
R2は、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から6の直鎖のアルキル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から6の直鎖のアルコキシアルキル、または1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から6の直鎖のアルケニルであり;
L1およびL2はフッ素である、項5に記載の化合物。
【0027】
項7. 式(1-7)から式(1-12)のいずれか1つで表される、項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
式(1-7)から式(1-12)において、
R
1は、炭素数1から10のアルキル、炭素数2から9のアルコキシアルキル、炭素数2から10のアルケニルであり;
Z
2は、単結合または炭素数1から6のアルキレン、1つの-CH
2-が-O-で置き換えられた炭素数1から6のアルキレン、または1つまたは2つの-CH
2CH
2-が-CH=CH-で置き換えられた炭素数2から6のアルキレンであり;
L
1およびL
2は独立して、フッ素または-OCF
3である。
【0028】
項8. 式(1-7)から式(1-12)において、
R1は、炭素数1から6のアルキル、炭素数2から6のアルコキシアルキル、炭素数2から6のアルケニルであり;
Z2は、単結合または炭素数1から6のアルキレン、または1つの-CH2CH2-が-CH=CH-で置き換えられた炭素数2から6のアルキレンであり;
L1およびL2はフッ素である、項7に記載の化合物。
【0029】
項9. 式(1-12)から式(1-29)のいずれか1つで表される、項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
式(1-12)から式(1-29)において、
Z
1およびZ
2は、単結合または炭素数1から6のアルキレン、1つの-CH
2-が-O-で置き換えられた炭素数1から10のアルキレン、または1つまたは2つの-CH
2CH
2-が-CH=CH-で置き換えられた炭素数2から10のアルキレンであり;L
1およびL
2は独立して、フッ素または-OCF
3である。
【0030】
項10. 式(1-12)から式(1-29)において、
Z1およびZ2は、単結合または炭素数1から6のアルキレン、または1つの-CH2CH2-が-CH=CH-で置き換えられた炭素数2から6のアルキレンであり;L1およびL2は、フッ素である、項9に記載の化合物。
【0031】
項11. 式(1)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物および式(2)から式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する液晶組成物。
式(1)において、
R
1は、炭素数1から15のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの-CH
2-は-O-または-S-で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH
2CH
2-は-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、または-OCO-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
R
2は、分岐鎖を有する炭素数3から15のアルキル、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた分岐鎖を有する炭素数3から15のアルキル、または1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から15の直鎖のアルキルであり、これらのアルキルにおいて、少なくとも1つの-CH
2-は-O-または-S-で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH
2CH
2-は-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、または-OCO-で置き換えられてもよく;
A
1およびA
2は独立して、1,2-シクロプロピレン、1,2-シクロプロペニレン、1,3-シクロプロペニレン、1,3-シクロブチレン、1,3-シクロブテニレン、1,3-シクロペンチレン、1,3-シクロペンテニレン、1,4-シクロペンテニレン、または3,5-シクロペンテニレンであり;
Z
1およびZ
2は独立して、単結合または炭素数1から15のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの-CH
2-は-O-または-S-で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH
2CH
2-は-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、または-OCO-で置き換えられてもよく、これらの二価基において、少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
L
1およびL
2は独立して、フッ素、塩素、-OCF
3、または-OCH
2Fであり
;
X
1およびX
2は独立して、酸素または硫黄であり;
aは0または1であり、bは0または1であり、aとbの和は0、1、または2であり;
aが1であるときR
1は水素であり、bが1であるときR
2は水素である。そしてbが1であるとき、X
1は単結合であってもよく;そして
式(2)から式(4)において、
R
11およびR
12は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの-CH
2-は-O-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
環B
1、環B
2、環B
3、および環B
4は独立して、1,4-シクロヘキシレン、1,4-フェニレン、2-フルオロ-1,4-フェニレン、2,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン、またはピリミジン-2,5-ジイルであり;
Z
11、Z
12、およびZ
13は独立して、単結合、-COO-、-CH
2CH
2-、-CH=CH-、または-C≡C-である。
【0032】
項12. 式(5)から式(13)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項11に記載の液晶組成物。
式(5)から式(13)において、
R
13、R
14、およびR
15は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの-CH
2-は-O-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく、そしてR
15は、水素またはフッ素であってもよく;
環C
1、環C
2、環C
3、および環C
4は独立して、1,4-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキセニレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4-フェニレン、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、またはデカヒドロナフタレン-2,6-ジイルであり;
環C
5および環C
6は独立して、1,4-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキセニレン、1,4-フェニレン、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、またはデカヒドロナフタレン-2,6-ジイルであり;
Z
14、Z
15、Z
16、およびZ
17は独立して、単結合、-COO-、-CH
2O-、-OCF
2-、-CH
2CH
2-、または-OCF
2CH
2CH
2-であり;
L
11およびL
12は独立して、フッ素または塩素であり;
S
11は、水素またはメチルであり;
Xは、-CHF-または-CF
2-であり;
j、k、m、n、p、q、r、およびsは独立して、0または1であり、k、m、n、およびpの和は、1または2であり、q、r、およびsの和は、0、1、2、または3であり、tは、1、2、または3である。
【0033】
項13. 式(21)から式(23)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項11または12に記載の液晶組成物。
式(21)から式(23)において、
R
16は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの-CH
2-は-O-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
X
11は、フッ素、塩素、-CF
3、-CHF
2、-CH
2F、-OCF
3、-OCHF
2、-OCF
2CHF
2、または-OCF
2CHFCF
3であり;
環D
1、環D
2、および環D
3は独立して、1,4-シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4-フェニレン、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、またはピリミジン-2,5-ジイルであり;
Z
18、Z
19、およびZ
20は独立して、単結合、-COO-、-CH
2O-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH
2CH
2-、-CH=CH-、-C≡C-、または-(CH
2)
4-であり;
L
13およびL
14は独立して、水素またはフッ素である。
【0034】
項14. 式(24)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項11から13のいずれか1項に記載の液晶組成物。
式(24)において、
R
17は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの-CH
2-は-O-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
X
12は-C≡Nまたは-C≡C-C≡Nであり;
環E
1は、1,4-シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4-フェニレン、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、またはピリミジン-2,5-ジイルであり;
Z
21は、単結合、-COO-、-CH
2O-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH
2CH
2-、または-C≡C-であり;
L
15およびL
16は独立して、水素またはフッ素であり;
iは、1、2、3、または4である。
【0035】
項15. 項11から14のいずれか1項に記載の液晶組成物を含む液晶表示素子。
【0036】
本発明は、次の項も含む。(a)少なくとも1つの光学活性化合物および/または重合性化合物をさらに含有する、上記の組成物。(b)少なくとも1つの酸化防止剤および/または紫外線吸収剤をさらに含有する、上記の組成物。
【0037】
本発明は、次の項も含む。(c)重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、色素、および消泡剤の群から選択された1つ、2つ、または少なくとも3つの添加物をさらに含有する、上記の組成物。(d)ネマチック相の上限温度が70℃以上であり、波長589nmにおける光学異方性(25℃で測定)が0.08以上であり、そして周波数1kHzにおける誘電率異方性(25℃で測定)が-2以下である、上記の組成物。
【0038】
本発明は、次の項も含む。(e)上記の組成物を含有し、そしてPC、TN、STN、ECB、OCB、IPS、VA、FFS、FPA、またはPSAのモードを有する素子。(f)上記の組成物を含むAM素子。(g)上記の組成物を含む透過型の素子。(h)上記の組成物を、ネマチック相を有する組成物としての使用。(i)上記の組成物に光学活性な化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用。
【0039】
化合物(1)の態様、化合物(1)の合成、液晶組成物、および液晶表示素子について順に説明する。
【0040】
1.化合物(1)の態様
化合物(1)において、末端基(R
1およびR
2)、脂肪族環(A
1およびA
2)、結合基(Z
1およびZ
2)、二価基(X
1およびX
2)、側方基(L
1およびL
2)、および添え字(aおよびb)の好ましい例は、以下のとおりである。化合物(1)において、これらの基を適切に組み合わせることによって、物性を任意に調整することが可能である。化合物の物性に大きな差異がないので、化合物(1)は、
2H(重水素)、
13Cなどの同位体を天然存在比の量より多く含んでもよい。
【0041】
式(1)において、R1は、炭素数1から15のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの-CH2-は-O-または-S-で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH2CH2-は-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、または-OCO-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。なお、aが1であるときR1は水素である。
【0042】
好ましいR1は、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アルキルチオ、アルキルチオアルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルケニルオキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルキニル、およびアルキニルオキシである。これらの基において、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられてもよい。この例は、少なくとも2つの水素がフッ素および塩素の両方で置き換えられた基を含む。少なくとも1つの水素がフッ素だけで置き換えられた基はさらに好ましい。R1は、分岐鎖よりも直鎖の方が好ましい。R1が分岐鎖であっても光学活性であるときは好ましい。さらに好ましいR1はアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニル、モノフルオロアルキル、ポリフルオロアルキル、モノフルオロアルコキシ、およびポリフルオロアルコキシである。
【0043】
式(1)において、R2は、分岐鎖を有する炭素数3から15のアルキル、分岐鎖を有し少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数3から15のアルキル、または1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から15の直鎖のアルキルであり、これらのアルキルにおいて、少なくとも1つの-CH2-は-O-または-S-で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH2CH2-は-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、または-OCO-で置き換えられてもよい。なお、bが1であるときR2は水素であり、そしてbが1であるとき、X1は単結合であってもよい。
【0044】
好ましいR2の例は、分岐鎖アルキル、分岐鎖アルコキシ、分岐鎖アルコキシアルキル、分岐鎖アルコキシアルコキシ、分岐鎖アルキルチオ、分岐鎖アルキルチオアルコキシ、分岐鎖アルケニル、分岐鎖アルケニルオキシ、分岐鎖アルケニルオキシアルキル、分岐鎖アルコキシアルケニル、分岐鎖アルキニル、および分岐鎖アルキニルオキシである。これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。
【0045】
好ましいR2の例は、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた直鎖アルキル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた直鎖アルコキシ、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた直鎖アルコキシアルキル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた直鎖アルコキシアルコキシ、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた直鎖アルキルチオ、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた直鎖アルキルチオアルコキシ、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた直鎖アルケニル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた直鎖アルケニルオキシ、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた直鎖アルケニルオキシアルキル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた直鎖アルコキシアルケニル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた直鎖アルキニル、および1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた直鎖アルキニルオキシである。
【0046】
さらに好ましいR2の例は、分岐鎖アルキル、分岐鎖アルコキシ、分岐鎖アルコキシアルキル、分岐鎖アルケニル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた分岐鎖アルキル、分岐鎖ポリフルオロアルキル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた分岐鎖アルコキシ、分岐鎖ポリフルオロアルコキシ、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた直鎖アルキル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた直鎖アルコキシ、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた直鎖アルコキシアルキル、1つから4つの水素がフッ素で置き換えられた直鎖アルケニルである。
【0047】
次に、具体的なR1を例示する。この基の命名には、ChemBioDraw v14(登録商標)を用いた。
【0048】
具体的なR1は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソプロピル、s-ブチル、ペンタン-2-イル、ヘキサン-2-イル、ヘプタン-2-イル、オクタン-2-イル、イソブチル、2-メチルブチル、2-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、2-メチルヘプチル、2-メチルオクチル、イソペンチル、3-メチルペンチル、3-メチルヘキシル、3-メチルヘプチル、3-メチルオクチル、4-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、4-メチルヘプチル、4-メチルオクチル、5-メチルヘキシル、5-メチルヘプチル、5-メチルオクチル、6-メチルヘプチル、6-メチルオクチル、ペンタン-3-イル、ヘキサン-3-イル、ヘプタン-3-イル、オクタン-3-イル、2-エチルブチル、2-エチルペンチル、2-エチルヘキシル、2-エチルヘプチル、3-エチルペンチル、3-エチルヘキシル、3-エチルヘプチル、4-エイルヘキシル、4-エチルヘプチル、ヘプタン-4-イル、オクタン-4-イル、2-プロピルペンチル、2-プロピルヘキシル、ノナン-5-イル、t-ブチル、t-ペンチル、2-メチルペンタン-2-イル、2-メチルヘキサン-2-イル、2-メチルヘプタン-2-イル、2-メチルオクタン-2-イル、ネオペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルヘプチル、2,2-ジメチルオクチル、3,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルヘプチル、3,3-ジメチルオクチル、4,4-ジメチルペンチル、4,4-ジメチルへキシル、4,4-ジメチルオクチル、5,5-ジメチルヘキシル、5,5-ジメチルヘプチル、5,5-ジメチルオクチル、6,6-ジメチルヘプチル、6,6-ジメチルオクチル、7,7-ジメチルオクチル、3-メチルブタン-2-イル、3-メチルペンタン-2-イル、3-メチルヘキサン-2-イル、3-メチルヘプタン-2-イル、3-メチルオクタン-2-イル、2,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,3-ジメチルヘプチル、2,3-ジメチルオクチル、3,4-ジメチルペンチル、3,4-ジメチルヘキシル、3,4-ジメチルヘプチル、3,4-ジメチルオクチル、4,5-ジメチルヘキシル、4,5-ジメチルヘプチル、4,5-ジメチルオクチル、5,6-ジメチルヘプチル、5,6-ジメチルオクチル、または6,7-ジメチルオクチルである。
【0049】
具体的なR1は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソプロポキシ、s-ブトキシ、ペンタン-2-イルオキシ、ヘキサン-2-イルオキシ、ヘプタン-2-イルオキシ、オクタン-2-イルオキシ、イソブトキシ、2-メチルブトキシ、2-メチルペンチルオキシ、2-メチルヘキシルオキシ、2-メチルへプチルオキシ、イソペンチルオキシ、3-メチルペンチルオキシ、3-メチルヘキシルオキシ、4-メチルペンチルオキシ、4-メチルヘキシルオキシ、5-メチルヘキシルオキシ、6-メチルヘプチルオキシ、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、プロポキシメチル、2-プロポキシエチル、ブトキシメチル、ペントキシメチル、1-メトキシエチル、1-エトキシエチル、1-プロポキシエチル、1-ブトキシエチル、1-ペンチルオキシエチル、1-ヘキシルオキシエチル、1-メトキシプロピル、1-エトキシプロピル、1-プロポキシプロピル、1-ブトキシプロピル、1-ペンチルオキシプロピル、1-メトキシブチル、1-エトキシブチル、1-プロポキシブチル、1-ブトキシブチル、1-ペンチルオキシブチル、1-メトキシペンチル、1-エトキシペンチル、1-プロポキシペンチル、1-ブトキシペンチル、1-メトキシヘキシル、1-エトキシヘキシル、1-プロポキシヘキシル、1-メトキシヘプチル、1-エトキシヘプチル、1-メトキシプロパン-2-イル、1-エトキシプロパン-2-イル、1-プロポキシプロパン-2-イル、1-ブトキシプロパン-2-イル、1-ペンチルオキシプロパン-2-イル、1-ヘキシルオキシプロパン-2-イル、1-ヘプチルオキシプロパン-2-イル、1-メトキシブタン-2-イル、1-エトキシブタン-2-イル、1-プロポキシブタン-2-イル、1-ブトキシブタン-2-イル、1-ペンチルオキシブタン-2-イル、1-ヘキシルオキシブタン-2-イル、1-メトキシペンタン-2-イル、1-エトキシペンタン-2-イル、1-プロポキシペンタン-2-イル、1-ブトキシペンタン-2-イル、1-ペンチルオキシペンタン-2-イル、1-メトキシへキサン-2-イル、1-エトキシヘキサン-2-イル、1-プロポキシヘキサンー2-イル、1-ブトキシヘキサン-2-イル、1-メトキシヘプタン-2-イル、1-エトキシヘプタン-2-イル、1-プロポキシヘプタン-2-イル、1-ブトキシヘプタン-2-イル、1-メトキシオクタン-2-イル、1-エトキシオクタン-2-イル、1-プロポキシオクタン-2-イル、または1-ブトキシオクタン-2-イルでもある。
【0050】
具体的なR1は、2-メトキシプロピル、2-エトキシプロピル、2-プロポキシプロピル、2-ブトキシプロピル、2-ペンチルオキシプロピル、2-ヘキシルオキシプロピル、2-ヘプチルオキシプロピル、2-メトキシブチル、2-エトキシブチル、2-プロポキシブチル、2-ブトキシブチル、2-ペンチルオキシブチル、2-ヘキシルオキシブチル、2-ヘプチルオキシブチル、2-メトキシペンチル、2-エトキシオキシペンチル、2-プロポキシペンチル、2-ブトキシペンチル、2-ペンチルオキシペンチル、2-ヘキシルオキシペンチル、2-ヘプチルオキシペンチル、2-メトキシヘキシル、2-エトキシヘキシル、2-プロポキシヘキシル、2-ブトキシヘキシル、2-ペンチルオキシヘキシル、2-ヘキシルオキシヘキシル、2-ヘプチルオキシヘキシル、2-メトキシヘプチル、2-エトキシヘプチル、2-プロポキシヘプチル、2-ブトキシヘプチル、2-ペンチルオキシヘプチル、3-メトキシブチル、3-エトキシブチル、3-プロポキシブチル、3-メトキシペンチル、3-エトキシペンチル、3-プロポキシペンチル、3-メトキシヘキシル、3-エトキシヘキシル、3-プロポキシヘキシル、3-メトキシヘプチル、3-エトキシヘプチル、または3-プロポキシヘプチルでもある。
【0051】
具体的なR1は、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、プロプ-1-エン-2-イル、ブト-1-エン-2-イル、ペント-1-エン-2-イル、ヘキシ-1-エン-2-イル、ヘプト-1-エン-2-イル、オクト-1-エン-2-イル、2-メチルプロピル-1-エン-1-イル、2-メチルブト-1-エン-1-イル、2-メチルペント-1-エン-1-イル、2-メチルヘキシ-1-エン-1-イル、2-メチルヘプト-1-エン-1-イル、2-メチルアリル、2-メチレンブチル、2-メチレンペンチル、2-メチレンヘキシル、2-メチレンヘプチル、3-メチルブト-1-エン-1-イル、3-メチルペント-1-エン-1-イル、3-メチルヘキシ-1-エン-1-イル、3-メチルヘプト-1-エン-1-イル、3-メチルブト-2-エン-1-イル、3-メチルペント-2-エン-1-イル、3-メチルヘキシ-2-エン-1-イル、3-メチルヘプト-2-エン-1-イル、3-メチルブト-3-エン-1-イル、3-メチルペント-3-エン-1-イル、3-メチルヘキシ-3-エン-1-イル、3-メチルヘプト-3-エン-1-イル、4-メチルペント-1-エン-1-イル、4-メチルヘキシ-1-エン-1-イル、4-メチルヘプト-1-エン-1-イル、4-メチルペント-2-エン-1-イル、4-メチルヘキシ-2-エン-1-イル、4-メチルヘプト-2-エン-1-イル、4-メチルペント-3-エン-1-イル、4-メチルヘキシ-3-エン-1-イル、4-メチルヘプト-3-エン-1-イル、4-メチルペント-4-エン-1-イル、4-メチルヘキシ-4-エン-1-イル、または4-メチルヘプト-4-エン-1-イルでもある。
【0052】
具体的なR1は、5-メチルヘキシ-1-エン-1-イル、5-メチルヘプト-1-エン-1-イル、5-メチルヘキシ-2-エン-1-イル、5-メチルヘプト-2-エン-1-イル、5-メチルヘキシ-3-エン-1-イル、5-メチルヘプト-3-エン-1-イル、5-メチルヘキシ-4-エン-1-イル、5-メチルヘプト-4-エン-1-イル、5-メチルヘキシ-5-エン-1-イル、5-メチルヘプト-5-エン-1-イル、6-メチルヘプト-1-エン-1-イル、6-メチルヘプト-2-エン-1-イル、6-メチルヘプト-3-エン-1-イル、6-メチルヘプト-4-エン-1-イル、6-メチルヘプト-5-エン-1-イル、6-メチルヘプト-6-エン-1-イル、ペント-1-エン-3-イル、ヘキシ-1-エン-3-イル、ヘプト-1-エン-3-イル、オクト-1-エン-3-イル、ノン-1-エン-3-イル、ペント-2-エン-3-イル、ヘキシ-2-エン-3-イル、ヘプト-2-エン-3-イル、オクト-2-エン-3-イル、ノン-2-エン-3-イル、ヘキシ-3-エン-3-イル、ヘプト-3-エン-3-イル、オクト-3-エン-3-イル、ノン-3-エン-3-イル、2-エチルブト-1-エン-1-イル、2-エチルペント-1-エン-1-イル、2-エチルへキシ-1-エン-1-イル、2-エチルヘプト-1-エン-1-イル、2-エチルブト-2-エン-1-イル、2-エチルペント-2-エン-1-イル、2-エチルへキシ-2-エン-1-イル、2-エチルヘプト-2-エン-1-イル、2-エチルブト-3-エン-1-イル、2-エチルペント-3-エン-1-イル、2-エチルへキシ-3-エン-1-イル、2-エチルヘプト-3-エン-1-イル、2-エチリデンペンチル、2-エチリデンヘキシル、または2-エチリデンヘプチルでもある。
【0053】
具体的なR1は、3-エチルペント-1-エン-1-イル、3-エチルへキシ-1-エン-1-イル、3-エチルヘプト-1-エン-1-イル、3-エチルペント-2-エン-1-イル、3-エチルへキシ-2-エン-1-イル、3-エチルヘプト-2-エン-1-イル、3-エチルペント-3-エン-1-イル、3-エチルへキシ-3-エン-1-イル、3-エチルヘプト-3-エン-1-イル、3-エチルペント-4-エン-1-イル、3-エチルへキシ-4-エン-1-イル、3-エチルヘプト-4-エン-1-イル、3-エチリデンヘキシル、3-エチリデンヘプチル、4-エチルヘキシ-1-エン-1-イル、4-エチルヘプト-1-エン-1-イル、4-エチルヘキシ-2-エン-1-イル、4-エチルヘプト-2-エン-1-イル、4-エチルヘキシ-3-エン-1-イル、4-エチルヘプト-3-エン-1-イル、4-エチルヘキシ-4-エン-1-イル、4-エチルヘプト-4r-エン-1-イル、4-エチルヘキシ-5-エン-1-イル、4-エチルヘプト-5-エン-1-イル、4-エチリデンヘプチル、4-ビニルヘプチル、ヘプト-1-エン-4-イル、オクト-1-エン-4-イル、ノン-1-エン-4-イル、デク-1-エン-4-イル、ヘプト-2-エン-4-イル、オクト-2-エン-4-イル、ノン-2-エン-4-イル、デク-2-エン-4-イル、ヘプト-3-エン-4-イル、オクト-3-エン-4-イル、ノン-3-エン-4-イル、デク-3-エン-4-イル、オクト-5-エン-4-イル、ノン-5-エン-4-イル、またはデク-5-エン-4-イルでもある。
【0054】
具体的なR1は、2-プロピルペント-4-エン-1-イル、2-アリルヘキシル、2-アリルヘプチル、2-プロピルペント-3-エン-1-イル、2-(プロプ-1-エン-1-イル)ヘキシル、2-(プロプ-1-エン-1-イル)ヘプチル、2-プロピルペント-2-エン-1-イル、2-プロピリデンヘキシル、2-プロピリデンヘプチル、2-プロピルペント-1-エン-1-イル、2-プロピルヘキシ-1-エン-1-イル、2-プロピルヘプト-1-エン-1-イル、2-プロピルヘキシ-2-エン-1-イル、2-プロピルヘプト-2-エン-1-イル、2-プロピルヘキシ-3-エン-1-イル、2-プロピルヘプト-3-エン-1-イル、2-メチルブト-3-エン-2-イル、2-メチルペント-3-エン-2-イル、2-メチルヘキシ-3-エン-2-イル、2-メチルヘプト-3-エン-2-イル、2-メチルオクト-3-エン-2-イル、2-メチルペント-4-エン-2-イル、2-メチルヘキシ-4-エン-2-イル、2-メチルヘプト-4-エン-2-イル、2-メチルオクト-4-エン-2-イル、2-メチルヘキシ-5-エン-2-イル、2-メチルヘプト-5-エン-2-イル、2-メチルオクト-5-エン-2-イル、2-メチルヘプト-6-エン-2-イル、2-メチルオクト-6-エン-2-イル、または2-メチルオクト-7-エン-2-イルでもある。
【0055】
具体的なR1は、2,2-ジメチルブト-3-エン-1-イル、2,2-ジメチルペント-3-エン-1-イル、2,2-ジメチルへキシ-3-エン-1-イル、2,2-ジメチルヘプト-3-エン-1-イル、2,2-ジメチルペント-4-エン-1-イル、2,2-ジメチルへキシ-4-エン-1-イル、2,2-ジメチルヘプト-4-エン-1-イル、2,2-ジメチルへキシ-5-エン-1-イル、2,2-ジメチルヘプト-5-エン-1-イル、2,2-ジメチルヘプト-6-エン-1-イル、3,3-ジメチルブト-1-エン-1-イル、3,3-ジメチルペント-1-エン-1-イル、3,3-ジメチルへキシ-1-エン-1-イル、3,3-ジメチルヘプト-1-エン-1-イル、3,3-ジメチルペント-4-エン-1-イル、3,3-ジメチルへキシ-4-エン-1-イル、3,3-ジメチルヘプト-4-エン-1-イル、3,3-ジメチルへキシ-5-エン-1-イル、3,3-ジメチルヘプト-5-エン-1-イル、3,3-ジメチルヘプト-6-エン-1-イル、4,4-ジメチルペント-1-エン-1-イル、4,4-ジメチルへキシ-1-エン-1-イル、4,4-ジメチルヘプト-1-エン-1-イル、4,4-ジメチルペント-2-エン-1-イル、4,4-ジメチルへキシ-2-エン-1-イル、4,4-ジメチルヘプト-2-エン-1-イル、4,4-ジメチルへキシ-5-エン-1-イル、4,4-ジメチルヘプト-5-エン-1-イル、4,4-ジメチルヘプト-6-エン-1-イル、5,5-ジメチルへキシ-1-エン-1-イル、5,5-ジメチルヘプト-1-エン-1-イル、5,5-ジメチルへキシ-2-エン-1-イル、5,5-ジメチルヘプト-2-エン-1-イル、5,5-ジメチルへキシ-3-エン-1-イル、5,5-ジメチルヘプト-3-エン-1-イル、または5,5-ジメチルヘプト-6-エン-1-イルでもある。
【0056】
具体的なR1は、3-メチルブト-1-エン-2-イル、3-メチルペント-1-エン-2-イル、3-メチルヘキシ-1-エン-2-イル、3-メチルヘプト-1-エン-2-イル、3-メチルオクト-1-エン-2-イル、3-メチルブト-2-エン-2-イル、3-メチルペント-2-エン-2-イル、3-メチルヘキシ-2-エン-2-イル、3-メチルヘプト-2-エン-2-イル、3-メチルオクト-2-エン-2-イル、3-メチルブト-3-エン-2-イル、3-メチルペント-3-エン-2-イル、3-メチルヘキシ-3-エン-2-イル、3-メチルヘプト-3-エン-2-イル、3-メチルオクト-3-エン-2-イル、3-メチルペント-3-エン-2-イル、3-メチルヘキシ-3-エン-2-イル、3-メチルヘプト-3-エン-2-イル、3-メチルオクト-3-エン-2-イル、3-メチルペント-4-エン-2-イル、3-メチルヘキシ-4-エン-2-イル、3-メチルヘプト-4-エン-2-イル、3-メチルオクト-4-エン-2-イル、3-メチルヘキシ-5-エン-2-イル、3-メチルヘプト-5-エン-2-イル、3-メチルオクト-5-エン-2-イル、3-メチルヘプト-6-エン-2-イル、3-メチルオクト-6-エン-2-イル、3-メチルオクト-7-エン-2-イル、2,3-ジメチルブト-1-エン-1-イル、2,3-ジメチルペント-1-エン-1-イル、2,3-ジメチルへキシ-1-エン-1-イル、2,3-ジメチルヘプト-1-エン-1-イル、3-メチル-2-メチレンブチル、3-メチル-2-メチレンペンチル、3-メチル-2-メチレンヘキシル、3-メチル-2-メチレンヘプチル、2,3-ジメチルブト-2-エン-1-イル、2,3-ジメチルペント-2-エン-1-イル、2,3-ジメチルへキシ-2-エン-1-イル、2,3-ジメチルヘプト-2-エン-1-イル、または2,3-ジメチルブト-3-エン-1-イルでもある。
【0057】
具体的なR1は、2-メチル-3-メチレンペンチル、2-メチル-3-メチレンヘキシル、2-メチル-3-メチレンヘプチル、2,3-ジメチルペント-3-エン-1-イル、2,3-ジメチルヘキシ-3-エン-1-イル、2,3-ジメチルヘプト-3-エン-1-イル、2,3-ジメチルペント-4-エン-1-イル、2,3-ジメチルヘキシ-4-エン-1-イル、2,3-ジメチルヘプト-4-エン-1-イル、2,3-ジメチルヘキシ-5-エン-1-イル、2,3-ジメチルヘプト-5-エン-1-イル、2,3-ジメチルヘプト-6-エン-1-イル、3,4-ジメチルペント-1-エン-1-イル、3,4-ジメチルへキシ-1-エン-1-イル、3,4-ジメチルヘプト-1-エン-1-イル、3,4-ジメチルペント-2-エン-1-イル、3,4-ジメチルへキシ-2-エン-1-イル、3,4-ジメチルヘプト-2-エン-1-イル、4-メチル-3-メチレンペンチル、4-メチル-3-メチレンヘキシル、4-メチル-3-メチレンヘプチル、3,4-ジメチルペント-3-エン-1-イル、3,4-ジメチルへキシ-3-エン-1-イル、3,4-ジメチルヘプト-3-エン-1-イル、3,4-ジメチルペント-4-エン-1-イル、3-メチル-4-メチレンヘキシル、3-メチル-4-メチレンヘプチル、3,4-ジメチルヘキシ-4-エン-1-イル、3,4-ジメチルヘプト-4-エン-1-イル、3,4-ジメチルヘキシ-5-エン-1-イル、3,4-ジメチルヘプト-5-エン-1-イル、3,4-ジメチルヘプト-6-エン-1-イル、4,5-ジメチルヘキシ-1-エン-1-イル、4,5-ジメチルヘプト-1-エン-1-イル、4,5-ジメチルヘキシ-2-エン-1-イル、4,5-ジメチルヘプト-2-エン-1-イル、4,5-ジメチルヘキシ-3-エン-1-イル、4,5-ジメチルヘプト-3-エン-1-イル、5-メチル-4-メチレンヘキシル、5-メチル-4-メチレンヘプチル、4,5-ジメチルヘキシ-4-エン-1-イル、4,5-ジメチルヘプト-4-エン-1-イル、4,5-ジメチルヘキシ-5-エン-1-イル、4-メチル-5-メチレンヘプチル、4,5-ジメチルヘプト-5-エン-1-イル、4,5-ジメチルヘプト-6-エン-1-イル、5,6-ジメチルヘプト-1-エン-1-イル、5,6-ジメチルヘプト-2-エン-1-イル、5,6-ジメチルヘプト-3-エン-1-イル、5,6-ジメチルヘプト-4-エン-1-イル、6-メチル-5-メチレンヘプチル、5,6-ジメチルヘプト-5-エン-1-イル、または5,6-ジメチルヘプト-6-エン-1-イルでもある。
【0058】
具体的なR1は、2-プロペニルオキシ、2-ブテニルオキシ、2-ペンテニルオキシ、1-プロピニル、1-ペンテニル、1-メトキシビニル、1-エトキシビニル、1-プロポキシビニル、1-ブトキシビニル、1-ペンチルオキシビニル、1-ヘキシルオキシビニル、1-メトキシアリル、1-エトキシアリル、1-プロポキシアリル、1-ブトキシアリル、1-ペンチルオキシアリル、1-ヘキシルオキシアリル、1-(ビニルオキシ)エチル、1-(プロプ-1-エン-1-イルオキシ)エチル、1-(ブト-1-エン-1-イルオキシ)エチル、1-(ペント-1-エン-1-イルオキシ)エチル、1-(アリルオキシ)エチル、1-(ブト-2-エン-1-イルオキシ)エチル、1-(ペント-2-エン-1-イルオキシ)エチル、1-(ブト-3-エン-1-イルオキシ)エチル、1-(ペント-3-エン-1-イルオキシ)エチル、または1-(ペント-4-エン-1-イルオキシ)エチルでもある。
【0059】
具体的なR1は、2-フルオロエチル、2-フルオロプロピル、3-フルオロプロピル、2-フルオロブチル、3-フルオロブチル、4-フルオロブチル、2-フルオロペンチル、3-フルオロペンチル、4-フルオロペンチル、5-フルオロペンチル、2-フルオロヘキシル、3-フルオロヘキシル、4-フルオロヘキシル、5-フルオロヘキシル、6-フルオロヘキシル、2-フルオロヘプチル、3-フルオロヘプチル、4-フルオロヘプチル、5-フルオロヘプチル、6-フルオロヘプチル、7-フルオロヘプチル、2-フルオロオクチル、3-フルオロオクチル、4-フルオロオクチル、5-フルオロオクチル、6-フルオロオクチル、7-フルオロオクチル、8-フルオロオクチル、1-フルオロプロパン-2-イル、2-フルオロブタン-2-イル、2-フルオロペンタン-2-イル、2-フルオロヘキサン-2-イル、2-フルオロヘプタン-2-イル、2-フルオロオクタン-2-イル、4-フルオロブタン-2-イル、4-フルオロペンタン-2-イル、4-フルオロヘキサン-2-イル、4-フルオロヘプタン-2-イル、4-フルオロオクタン-2-イル、5-フルオロペンタン-2-イル、5-フルオロヘキサン-2-イル、5-フルオロヘプタン-2-イル、5-フルオロオクタン-2-イル、6-フルオロヘキサン-2-イル、6-フルオロヘプタン-2-イル、または6-フルオロオクタン-2-イルでもある。
【0060】
具体的なR1は、3-フルオロ-2-メチルプロピル、3-フルオロ-2-メチルブチル、3-フルオロ-2-メチルペンチル、3-フルオロ-2-メチルヘキシル、3-フルオロ-2-メチルヘプチル、2-フルオロ-3-メチルブチル、2-フルオロ-3-メチルペンチル、2-フルオロ-3-メチルヘキシル、2-フルオロ-3-メチルヘプチル、4-フルオロ-2-メチルブチル、4-フルオロ-2-メチルペンチル、4-フルオロ-2-メチルヘキシル、4-フルオロ-2-メチルヘプチル、4-フルオロ-3-メチルブチル、4-フルオロ-3-メチルペンチル、4-フルオロ-3-メチルヘキシル、4-フルオロ-3-メチルヘプチル、3-フルオロ-4-メチルペンチル、3-フルオロ-4-メチルヘキシル、3-フルオロ-4-メチルヘプチル、5-フルオロ-3-メチルペンチル、5-フルオロ-3-メチルヘキシル、5-フルオロ-3-メチルヘプチル、3-フルオロ-5-メチルヘキシル、3-フルオロ-5-メチルヘプチル、4-フルオロ-3-メチルブタン-2-イル、5-フルオロ-3-メチルペンタン-2-イル、6-フルオロ-3-メチルヘキサン-2-イル、7-フルオロ-3-メチルヘプタン-2-イル、3-フルオロ-2-メチルブチル、4-フルオロ-2,3-ジメチルブチル、5-フルオロ-2,3-ジメチルペンチル、6-フルオロ-2,3-ジメチルヘキシル、7-フルオロ-2,3-ジメチルヘプチル、4-フルオロ-3-メチルペンチル、5-フルオロ-3,4-ジメチルペンチル、6-フルオロ-3,4-ジメチルヘキシル、または7-フルオロ-3,4-ジメチルヘプチルでもある。
【0061】
具体的なR1は、ジフルオロメチル、1,1-ジフルオロエチル、1,1-ジフルオロプロピル、1,1-ジフルオロブチル、1,1-ジフルオロペンチル、1,1-ジフルオロヘキシル、1,1-ジフルオロヘプチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジフルオロプロピル、2,2-ジフルオロブチル、2,2-ジフルオロペンチル、2,2-ジフルオロヘキシル、2,2-ジフルオロヘプチル、3,3-ジフルオロプロピル、3,3-ジフルオロブチル、3,3-ジフルオロペンチル、3,3-ジフルオロヘキシル、3,3-ジフルオロヘプチル、4,4-ジフルオロブチル、4,4-ジフルオロペンチル、4,4-ジフルオロヘキシル、4,4-ジフルオロヘプチル、5,5-ジフルオロペンチル、5,5-ジフルオロヘキシル、5,5-ジフルオロヘプチル、6,6-ジフルオロヘキシル、6,6-ジフルオロヘプチル、7,7-ジフルオロヘプチル、2,2-ジフルオロ-3-メチルブチル、2,2-ジフルオロ-3-メチルペンチル、2,2-ジフルオロ-3-メチルヘキシル、2,2-ジフルオロ-3,3-ジメチルブチル、2,2-ジフルオロ-3,3-ジメチルペンチル、2,2-ジフルオロ-3,3-ジメチルヘキシル、3,3-ジフルオロプロピル、3,3-ジフルオロブチル、3,3-ジフルオロペンチル、3,3-ジフルオロヘキシル、3,3-ジフルオロヘプチル、2,3-ジフルオロプロピル、2,3-ジフルオロブチル、2,3-ジフルオロペンチル、2,3-ジフルオロヘキシル、または2,3-ジフルオロヘプチルでもある。
【0062】
具体的なR1は、2,4-ジフルオロブチル、2,4-ジフルオロペンチル、2,4-ジフルオロヘキシル、2,4-ジフルオロヘプチル、2,5-ジフルオロペンチル、2,5-ジフルオロヘキシル、2,5-ジフルオロヘプチル、3,4-ジフルオロブチル、3,4-ジフルオロペンチル、3,4-ジフルオロヘキシル、3,4-ジフルオロヘプチル、3,5-ジフルオロペンチル、3,5-ジフルオロヘキシル、3,5-ジフルオロヘプチル、3,3、-ジフルオロ-4-メチルペンチル、3,3、-ジフルオロ-4-メチルヘキシル、3,3、-ジフルオロ-4-メチルヘプチル、3,3、-ジフルオロ-4,4-ジメチルペンチル、3,3、-ジフルオロ-4,4-ジメチルヘキシル、3,3、-ジフルオロ-4,4-ジメチルヘプチル、1,1-ジフルオロプロパン-2-イル、3,3-ジフルオロブタン-2-イル、3,3-ジフルオロペンタン-2-イル、3,3-ジフルオロヘキサン-2-イル、3,3-ジフルオロヘプタン-2-イル、3,3-ジフルオロオクタン-2-イル、3,3-ジフルオロ-4-メチルペンタン-2-イル、3,3-ジフルオロ-4-メチルヘキサン-2-イル、3,3-ジフルオロ-4-メチルヘプタン-2-イル、3,3-ジフルオロ-4-メチルオクタン-2-イル、4,4-ジフルオロ-3-メチルブタン-2-イル、4,4-ジフルオロ-3-メチルペンタン-2-イル、、4,4-ジフルオロ-3-メチルヘキサン-2-イル、、4,4-ジフルオロ-3-メチルヘプタン-2-イル、、4,4-ジフルオロ-3-メチルオクタン-2-イル、3,3-ジフルオロ-4,4-ジメチルペンタン-2-イル、3,3-ジフルオロ-4,4-ジメチルへキサン-2-イル、または3,3-ジフルオロ-4,4-ジメチルヘプタン-2-イルでもある。
【0063】
具体的なR1は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、5,5,5-トリフルオロペンチル、6,6,6-トリフルオロヘキシル、7,7,7-トリフルオロヘプチル、(トリフルオロメトキシ)メチル、2-(トリフルオロメトキシ)エチル、3-(トリフルオロメトキシ)プロピル、4-(トリフルオロメトキシ)ブチル、5-(トリフルオロメトキシ)ペンチル、6-(トリフルオロメトキシ)ヘキシル、7-(トリフルオロメトキシ)ヘプチル、2,2,3-トリフルオロプロピル、2,2,3-トリフルオロブチル、2,2,3-トリフルオロペンチル、2,2,3-トリフルオロヘキシル、2,2,3-トリフルオロヘプチル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル、2,2,3,3-テトラフルオロブチル、2,2,3,3-テトラフルオロペンチル、2,2,3,3-テトラフルオロヘキシル、2,2,3,3-テトラフルオロヘプチル、3,3,4,4-テトラフルオロブチル、3,3,4,4-テトラフルオロペンチル、3,3,4,4-テトラフルオロヘキシル、または3,3,4,4-テトラフルオロヘプチルでもある。
【0064】
具体的なR1は、2-フルオロビニル、2,2-ジフルオロビニル,2-フルオロ-2-ビニル、3-フルオロプロプ-1-エン-1-イル、3-フルオロアリル、2-フルオロプロプ-1-エン-1-イル、2-フルオロアリル、4-フルオロブト-1-エン-1-イル、4-フルオロブト-2-エン-1-イル、4-フルオロブト-3-エン-1-イル、2-フルオロブト-1-エン-1-イル、2-フルオロブト-2-エン-1-イル、2-フルオロブト-3-エン-1-イル、3-フルオロブト-1-エン-1-イル、3-フルオロブト-2-エン-1-イル、3-フルオロブト-3-エン-1-イル、5-フルオロペント-1-エン-1-イル、5-フルオロペント-2-エン-1-イル、5-フルオロペント-3-エン-1-イル、5-フルオロペント-4-エン-1-イル、2-フルオロペント-1-エン-1-イル、2-フルオロペント-2-エン-1-イル、2-フルオロペント-3-エン-1-イル、2-フルオロペント-4-エン-1-イル、3-フルオロペント-1-エン-1-イル、3-フルオロペント-2-エン-1-イル、3-フルオロペント-3-エン-1-イル、3-フルオロペント-4-エン-1-イル、4-フルオロペント-1-エン-1-イル、4-フルオロペント-2-エン-1-イル、4-フルオロペント-3-エン-1-イル、4-フルオロペント-4-エン-1-イル、6-フルオロヘキシ-1-エン-1-イル、6-フルオロヘキシ-2-エン-1-イル、6-フルオロヘキシ-3-エン-1-イル、6-フルオロヘキシ-4-エン-1-イル、6-フルオロヘキシ-5-エン-1-イル、2-フルオロヘキシ-1-エン-1-イル、2-フルオロヘキシ-2-エン-1-イル、2-フルオロヘキシ-3-エン-1-イル、2-フルオロヘキシ-4-エン-1-イル、2-フルオロヘキシ-5-エン-1-イル、3-フルオロヘキシ-1-エン-1-イル、3-フルオロヘキシ-2-エン-1-イル、3-フルオロヘキシ-3-エン-1-イル、3-フルオロヘキシ-4-エン-1-イル、3-フルオロヘキシ-5-エン-1-イル、4-フルオロヘキシ-1-エン-1-イル、4-フルオロヘキシ-2-エン-1-イル、4-フルオロヘキシ-3-エン-1-イル、4-フルオロヘキシ-4-エン-1-イル、4-フルオロヘキシ-5-エン-1-イル、5-フルオロヘキシ-1-エン-1-イル、5-フルオロヘキシ-2-エン-1-イル、5-フルオロヘキシ-3-エン-1-イル、5-フルオロヘキシ-4-エン-1-イル、または5-フルオロヘキシ-5-エン-1-イルでもある。
【0065】
具体的なR1は、2,2-ジフルオロブト-3-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-3-メチルブト-3-エン-1-イル、2,2-ジフルオロペント-3-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-3-メチルペント-3-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-4-メチルペント-3-エン-1-イル、2,2-ジフルオロペント-4-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-3-メチルペント-4-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-4-メチルペント-4-エン-1-イル、2,2-ジフルオロヘキサ-3-エン-1-イル、2,2-ジフルオロヘキサ-4-エン-1-イル、2,2-ジフルオロヘキサ-5-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-3-メチルヘキサ-3-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-4-メチルヘキサ-3-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-5-メチルヘキサ-3-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-3-メチルヘキサ-4-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-4-メチルヘキサ-4-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-5-メチルヘキサ-4-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-3-メチルヘキサ-5-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-4-メチルヘキサ-5-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-5-メチルヘキサ-5-エン-1-イル、3,3-ジフルオロプロプ-1-イル、3,3-ジフルオロブト-1-イル、3,3-ジフルオロペント-1-イル、3,3-ジフルオロヘキシ-1-イル、3,3-ジフルオロヘプト-1-イル、3,3-ジフルオロペント-4-エン-1-イル、3,3-ジフルオロヘキシ-4-エン-1-イル、3,3-ジフルオロヘプト-4-エン-1-イル、3,3-ジフルオロヘキシ-5-エン-1-イル、3,3-ジフルオロヘプト-5-エン-1-イル、または3,3-ジフルオロヘプト-6-エン-1-イルでもある。
【0066】
具体的なR1は、1,2-ジフルオロビニル、1,2-ジフルオロプロプ-1-エン-1-イル、1,2-ジフルオロブト-1-エン-1-イル、1,2-ジフルオロペント-1-エン-1-イル、1,2-ジフルオロヘキシ-1-エン-1-イル、1,2-ジフルオロヘプト-1-エン-1-イル、2,3-ジフルオロアリル、2,3-ジフルオロブト-2-エン-1-イル、2,3-ジフルオロペント-2-エン-1-イル、2,3-ジフルオロヘキシ-2-エン-1-イル、2,3-ジフルオロヘプト-2-エン-1-イル、3,4-ジフルオロブト-3-エン-1-イル、3,4-ジフルオロペント-3-エン-1-イル、3,4-ジフルオロヘキシ-3-エン-1-イル、3,4-ジフルオロヘプト-3-エン-1-イル、4,5-ジフルオロペント-4-エン-1-イル、4,5-ジフルオロヘキシ-4-エン-1-イル、4,5-ジフルオロヘプト-4-エン-1-イル、5,6-ジフルオロヘキシ-5-エン-1-イル、5,6-ジフルオロヘプト-5-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-3-メチルペント-3-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-3-メチルヘキシ-3-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-3-メチルヘプト-3-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-3-メチルヘキシ-4-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-3-メチルヘプト-4-エン-1-イル、2,2-ジフルオロ-3-メチルヘプト-5-エン-1-イル、3,3,3-トリフルオロプロプ-1-エン-1-イル、3,3,3-トリフルオロブト-1-エン-1-イル、または3,3,3-トリフルオロペント-1-エン-1-イルでもある。
【0067】
具体的なR1は、フルオロメトキシ、2-フルオロエトキシ、3-フルオロプロポキシ、4-フルオロブトキシ、5-フルオロペンチルオキシ、6-フルオロヘキシルオキシ、7-フルオロヘプチルオキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、
(フルオロメトキシ)メチル、2-(フルオロメトキシ)エチル、3-(フルオロメトキシ)プロピル、4-(フルオロメトキシ)ブチル、5-(フルオロメトキシ)ペンチル、6-(フルオロメトキシ)ヘキシル、(ジフルオロメトキシ)メチル、2-(ジフルオロメトキシ)エチル、3-(ジフルオロメトキシ)プロピル、4-(ジフルオロメトキシ)ブチル、5-(ジフルオロメトキシ)ペンチル、6-(ジフルオロメトキシ)ヘキシル、(トリフルオロメトキシ)メチル、2-(トリフルオロメトキシ)エチル、3-(トリフルオロメトキシ)プロピル、4-(トリフルオロメトキシ)ブチル、5-(トリフルオロメトキシ)ペンチル、または6-(トリフルオロメトキシ)ヘキシルでもある。
【0068】
好ましいR1は、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、プロポキシメチル、プロポキシエチル、ブトキシメチル、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、2-プロペニルオキシ、2-ブテニルオキシ、2-ペンテニルオキシ、-OCF3、-OCHF2、-OCH2F、-OCF2CF3、-OCF2CHF2、-OCF2CH2F、-OCF2CF2CF3、-OCF2CHFCF3、または-OCHFCF2CF3である。最も好ましいR1は、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチル、プロポキシメチル、ビニル、1-プロペニル、3-ブテニル、3-ペンテニル、-OCF3、-OCHF2、-CF3、-CHF2、-CH2F、-OCF2CHF2、または-OCF2CHFCF3である。
【0069】
式(1)において、A1およびA2は独立して、1,2-シクロプロピレン、1,2-シクロプロペニレン、1,3-シクロブチレン、1,3-シクロブテニレン、1,3-シクロペンチレン、または1,3-シクロペンテニレンである。
【0070】
好ましいA1またはA2は、1,2-シクロプロピレン、1,3-シクロブチレン、または1,3-シクロペンチレンである。
【0071】
式(1)において、Z1およびZ2は独立して、単結合または炭素数1から15のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの-CH2-は-O-または-S-で置き換えられてもよく、少なくとも1つの-CH2CH2-は-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、または-OCO-で置き換えられてもよく、これらの二価基において、少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。
【0072】
Z1またはZ2の具体的な例は、単結合、-COO-、-OCO-、-CH2O-、-OCH2-、-CF2O-、-OCF2-、-CH2CH2-、-CH=CH-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、-C≡C-、-CH2CO-、-COCH2-、-CH2SiH2-、-SiH2CH2-、-(CH2)4-、-(CH2)2COO-、-(CH2)2OCO-、-OCO(CH2)2-、-COO(CH2)2-、-(CH2)2CF2O-、-(CH2)2OCF2-、-OCF2(CH2)2-、-CF2O(CH2)2-、-(CH2)3O-、または-O(CH2)3-である。-CH=CH-、-CF=CF-、-CH=CH-CH2O-、および-OCH2-CH=CH-のような結合基の二重結合に関する立体配置はシスよりもトランスが好ましい。
【0073】
好ましいZ1またはZ2は、単結合、-COO-、-OCO-、-CH2O-、-OCH2-、-CF2O-、-OCF2-、-CH2CH2-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、および-(CH2)4-である。さらに好ましいZ1またはZ2は、単結合、-COO-、-OCO-、-CF2O-、-OCF2-、-CH=CH-、-CH2CH2-、および-C≡C-である。最も好ましいZ1またはZ2は単結合である。
【0074】
式(1)において、L1およびL2は独立して、フッ素、塩素、-OCF3、または-OCH2Fである。好ましいL1またはL2は、フッ素、-OCF3、または-OCH2Fである。さらに好ましいL1またはL2は、フッ素または-OCF3である。特に好ましいL1またはL2は、フッ素である。
【0075】
式(1)において、X1およびX2は独立して、酸素または硫黄である。好ましいX1またはX2は、酸素である。
【0076】
式(1)において、aは0または1であり、bは0または1であり、aとbの和は0、1、または2であり;aが1であるときR1は水素であり、bが1であるときR2は水素であり、そしてbが1であるとき、X1は単結合であってもよい。
【0077】
式(1)の下位式の例は、式(1-1)から式(1-5)である。化合物(1-1)は、2,3-二置換-1,4-フェニレン環を有する。化合物(1-5)は、2つの脂肪族環をさらに有する。すなわち、化合物(1)は、一環から三環を有する。化合物(1)が一環を有するときは、他の液晶性化合物との相溶性が良好であり、粘度が小さい。化合物(1)が二環を有するときは、粘度が小さい。化合物(1)が三環を有するときは、上限温度が高い。
【0078】
化合物(1)の末端基(R1およびR2)、脂肪族環(A1およびA2)、結合基(Z1およびZ2)、二価基(X1およびX2)、側方基(L1およびL2)、添え字(aおよびb)を適切に選択することによって、光学異方性、誘電率異方性などの物性を任意に調整することが可能である。末端基などの種類や化合物の対称性が、化合物(1)の物性に及ぼす効果を以下に説明する。
【0079】
化合物(1)において、R1またはR2が直鎖であるときは液晶相の温度範囲が広く、上限温度が高くそして粘度が小さい。R1またはR2が分岐鎖であるとき、他の液晶性化合物との相溶性が良好である。R1またはR2が光学活性基である化合物は、キラルドーパントとして有用である。この化合物を組成物に添加することによって、素子に発生するリバース・ツイスト・ドメイン(Reverse twisted domain)を防止することができる。R1またはR2が光学活性基でない化合物は、組成物の成分として有用である。R1またはR2の1つの水素がフッ素で置き換えられた化合物は、上限温度が高い。R1またはR2の2つから4つの水素がフッ素で置き換えられた化合物は、負に大きな誘電率異方性を有する。
【0080】
R1またはR2がアルケニルであるとき、-CH=CH-の好ましい立体配置は二重結合の位置に依存する。1-プロペニル、1-ブテニル、1-ペンテニル、1-ヘキセニル、3-ペンテニル、3-ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはトランス配置が好ましい。2-ブテニル、2-ペンテニル、2-ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはシス配置が好ましい。好ましい立体配置を有するアルケニル化合物は、高い上限温度または液晶相の広い温度範囲を有する。Mol. Cryst. Liq. Cryst., 1985, 131, 109およびMol. Cryst. Liq. Cryst., 1985, 131, 327に詳細な説明がある。
【0081】
A1またはA2が、1,2-シクロプロピレン、1,2-シクロプロペニレン、1,3-シクロブチレン、または1,3-シクロブテニレンであるとき、粘度が小さく、他の液晶性化合物との相溶性が良好である。A1またはA2が、1,3-シクロペンチレンまたは1,3-シクロペンテニレンであるとき、上限温度が高い。
【0082】
結合基Z1またはZ2が単結合、-CH2O-、-CF2O-、-OCF2-、-CH2CH2-、-CH=CH-、-CF=CF-、または-(CH2)4-であるとき、粘度が小さい。結合基が単結合、-OCF2-、-CF2O-、-CH2CH2-、または-CH=CH-であるときは粘度がより小さい。結合基が-CH=CH-であるとき、液晶相の温度範囲が広く、そして弾性定数比K33/K11(K33:ベンド弾性定数、K11:スプレイ弾性定数)が大きい。結合基が-C≡C-のとき、光学異方性が大きい。
【0083】
化合物(1)が左右対称のとき、上限温度が高い。化合物(1)が左右非対称のとき、他の液晶性化合物との相溶性が良好である。
【0084】
化合物(1)が一環または二環を有するときは粘度が小さい。化合物(1)が三環を有するときは上限温度が高い。以上のように、末端基、環、および結合基の種類、環の数を適当に選択することにより必要な物性を有する化合物を得ることができる。したがって、化合物(1)はPC、TN、STN、ECB、OCB、IPS、VAなどモードを有する素子に用いられる組成物の成分として有用である。
【0085】
2.化合物(1)の合成
化合物(1)の合成法を説明する。化合物(1)は、有機合成化学の方法を適切に組み合わせることによって合成できる。必要とする末端基、環および結合基を出発物に導入する方法は、「オーガニック・シンセシス」(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc.)、「オーガニック・リアクションズ」(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc.)、「コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス」(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、「新実験化学講座」(丸善)などの成書に記載されている。
【0086】
2-1.結合基の生成
結合基(Z1またはZ2)を生成する方法に関して、最初にスキームを示す。次に、方法(1)から(11)でスキームに記載した反応を説明する。このスキームにおいて、MSG1(またはMSG2)は少なくとも1つの環を有する一価の有機基である。スキームで用いた複数のMSG1(またはMSG2)が表わす一価の有機基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。化合物(1A)から(1J)は化合物(1)に相当する。
【0087】
【0088】
【0089】
(1)単結合の生成
公知の方法で合成されるアリールホウ酸(31)とハロゲン化物(32)とを、炭酸塩およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのような触媒の存在下で反応させて化合物(1A)を合成する。この化合物(1A)は、公知の方法で合成されるハロゲン化物(33)にn-ブチルリチウムを、次いで塩化亜鉛を反応させ、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのような触媒の存在下でハロゲン化物(32)を反応させることによっても合成される。
【0090】
(2)-COO-の生成
ハロゲン化物(33)にn-ブチルリチウムを、続いて二酸化炭素を反応させてカルボン酸(34)を得る。公知の方法で合成される化合物(35)とカルボン酸(34)とをDDC(1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド)とDMAP(4-ジメチルアミノピリジン)の存在下で脱水させて化合物(1B)を合成する。
【0091】
(3)-CF2O-の生成
化合物(1B)をローソン試薬のような硫黄化剤で処理してチオノエステル(36)を得る。チオノエステル(36)をフッ化水素ピリジン錯体とNBS(N-ブロモスクシンイミド)でフッ素化し、化合物(1C)を合成する。M. Kuroboshi et al., Chem. Lett., 1992,827.を参照。化合物(1C)はチオノエステル(36)をDAST((ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド)でフッ素化しても合成される。W. H. Bunnelle et al., J. Org. Chem. 1990, 55, 768.を参照。Peer. Kirsch et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2001, 40, 1480.に記載の方法によってこの結合基を生成させることも可能である。
【0092】
(4)-CH=CH-の生成
ハロゲン化物(32)をn-ブチルリチウムで処理した後、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)と反応させてアルデヒド(38)を得る。公知の方法で合成されるホスホニウム塩(37)をカリウムt-ブトキシドのような塩基で処理してリンイリドを発生させる。このリンイリドをアルデヒド(38)に反応させて化合物(1D)を合成する。反応条件によってはシス体が生成するので、必要に応じて公知の方法によりシス体をトランス体に異性化する。
【0093】
(5)-CH2CH2-の生成
化合物(1D)をパラジウム炭素のような触媒の存在下で水素化することにより、化合物(1E)を合成する。
【0094】
(6)-(CH2)4-の生成
ホスホニウム塩(37)の代わりにホスホニウム塩(39)を用い、方法(4)の方法に従って-(CH2)2-CH=CH-を有する化合物を得る。これを接触水素化して化合物(1F)を合成する。
【0095】
(7)-CH2CH=CHCH2-の生成
ホスホニウム塩(37)の代わりにホスホニウム塩(40)を、アルデヒド(38)の代わりにアルデヒド(41)を用い、方法(4)の方法に従って化合物(1G)を合成する。反応条件によってはトランス体が生成するので、必要に応じて公知の方法によりトランス体をシス体に異性化する。
【0096】
(8)-C≡C-の生成
ジクロロパラジウムとハロゲン化銅との触媒存在下で、ハロゲン化物(33)に2-メチル-3-ブチン-2-オールを反応させたのち、塩基性条件下で脱保護して化合物(42)を得る。ジクロロパラジウムとハロゲン化銅との触媒存在下、化合物(42)をハロゲン化物(32)と反応させて、化合物(1H)を合成する。
【0097】
(9)-CF=CF-の生成
ハロゲン化物(33)をn-ブチルリチウムで処理したあと、テトラフルオロエチレンを反応させて化合物(43)を得る。ハロゲン化物(32)をn-ブチルリチウムで処理したあと化合物(43)と反応させて化合物(1I)を合成する。
【0098】
(10)-OCH2-の生成
アルデヒド(38)を水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤で還元して化合物(44)を得る。化合物(44)を臭化水素酸などで臭素化して臭化物(45)を得る。炭酸カリウムなどの塩基存在下で、臭化物(45)を化合物(46)と反応させて化合物(1J)を合成する。
【0099】
(11)-(CF2)2-の生成
J. Am. Chem. Soc., 2001, 123, 5414. に記載された方法に従い、ジケトン(-COCO-)をフッ化水素触媒の存在下、四フッ化硫黄でフッ素化して-(CF2)2-を有する化合物を得る。
【0100】
2-2.2,3-二置換-1,4-フェニレンの生成
次に、2,3-二置換-1,4-フェニレンに関する生成法を説明する。1,4-シクロヘキシレン、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、1,4-フェニレン、2-フルオロ-1,4-フェニレン、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン、ピリジン-2,5-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイルなどの環に関しては出発物が市販されているか、または生成法がよく知られている。そこで、下に示した化合物(67)および(70)について説明する。
【0101】
【0102】
2-フルオロ-3-トリフルオロメトキシフェニレンの構造単位は、Synlett, 2017, 28, 2281.に記載された方法で合成する。化合物(65)を塩基性条件化で二硫化炭素およびヨウ化メチルを作用させ化合物(66)を合成する。この化合物に、J. Am. Chem. Soc., 2010, 132 (51), 18199.に記載された方法にしたがい、フッ素化し化合物(67)を得る。この化合物は通常の方法によって化合物(1)に変換する。
【0103】
【0104】
2-フルオロ-3-フルオロメトキシフェニレンの構造単位は、J. Org. Chem. 2017, 82, 8604に記載された方法で合成する。化合物(68)を塩基性条件化でクロロ(メタンスルフィニル)メタンおよびヨウ化カリウムを作用させ化合物(69)を合成する。この化合物に、ヨウ化銅およびジエチルアミノサルファートリフルオリド(DAST)でフッ素化し、化合物(70)を得る。この化合物は通常の方法によって化合物(1)に変換する。
【0105】
3.液晶組成物
3-1.成分化合物
本発明の液晶組成物について説明をする。この組成物は、少なくとも1つの化合物(1)を成分(a)として含有する。この組成物は、2つまたは3つ以上の化合物(1)を含有してもよい。組成物の成分が化合物(1)のみであってもよい。組成物は、化合物(1)の少なくとも1つを1重量%から99重量%の範囲で含有することが、良好な物性を発現させるために好ましい。誘電率異方性が負である組成物において、化合物(1)の好ましい含有量は5重量%から60重量%の範囲である。誘電率異方性が正である組成物において、化合物(1)の好ましい含有量は30重量%以下である。
【0106】
【0107】
この組成物は、化合物(1)を成分(a)として含有する。この組成物は、表1に示す成分(b)から(e)から選択された液晶性化合物をさらに含有することが好ましい。この組成物を調製するときには、誘電率異方性の正負と大きさとを考慮して成分(b)から(e)を選択することが好ましい。この組成物は、成分(a)から(e)とは異なる液晶性化合物を含有してもよい。この組成物は、そのような液晶性化合物を含有しなくてもよい。
【0108】
成分(b)は、2つの末端基がアルキルなどである化合物である。成分(b)の好ましい例として、化合物(2-1)から(2-11)、化合物(3-1)から(3-19)、および化合物(4-1)から(4-7)を挙げることができる。これらの化合物において、R11およびR12は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの-CH2-は-O-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよい。
【0109】
【0110】
成分(b)は、小さな誘電率異方性を有する。成分(b)は中性に近い。化合物(2)は、粘度を下げるまたは光学異方性を調整する効果がある。化合物(3)および(4)は、上限温度を上げることによってネマチック相の温度範囲を広げる、または光学異方性を調整する効果がある。
【0111】
成分(b)の含有量を増加させるにつれて組成物の粘度は小さくなるが、誘電率異方性が小さくなる。そこで、素子のしきい値電圧の要求値を満たす限り、含有量は多いほうが好ましい。IPS、VAなどのモード用の組成物を調製する場合には、成分(b)の含有量は、液晶組成物の重量に基づいて、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上である。
【0112】
成分(c)は、化合物(5)から(13)である。これらの化合物は、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレンのように、ラテラル位が2つのハロゲンで置換されたフェニレンを有する。成分(c)の好ましい例として、化合物(5-1)から(5-9)、化合物(6-1)から(6-19)、化合物(7-1)および(7-2)、化合物(8-1)から(8-3)、化合物(9-1)から(9-3)、化合物(10-1)から(10-11)、化合物(11-1)から(11-3)、化合物(12-1)から(12-3)、および化合物(13-1)を挙げることができる。これらの化合物において、R13、R14、およびR15は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの-CH2-は-O-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく、そしてR15は、水素またはフッ素であってもよい。
【0113】
【0114】
【0115】
成分(c)は、誘電率異方性が負に大きい。成分(c)は、IPS、VA、PSAなどのモード用の組成物を調製する場合に用いられる。成分(c)の含有量を増加させるにつれて組成物の誘電率異方性が負に大きくなるが、粘度が大きくなる。そこで、素子のしきい値電圧の要求値を満たす限り、含有量は少ないほうが好ましい。誘電率異方性が-5程度であることを考慮すると、充分な電圧駆動をさせるには、含有量が40重量%以上であることが好ましい。
【0116】
成分(c)のうち、化合物(5)は二環化合物であるので、粘度を下げる、光学異方性を調整する、または誘電率異方性を上げる効果がある。化合物(6)および(7)は三環化合物であり、化合物(8)は四環化合物であるので、上限温度を上げる、光学異方性を上げる、または誘電率異方性を上げるという効果がある。化合物(9)から(13)は、誘電率異方性を上げるという効果がある。
【0117】
IPS、VA、PSAなどのモード用の組成物を調製する場合には、成分(c)の含有量は、液晶組成物の重量に基づいて、好ましくは40重量%以上であり、さらに好ましくは50重量%から95重量%の範囲である。成分(c)を誘電率異方性が正である組成物に添加する場合は、成分(c)の含有量は30重量%以下が好ましい。成分(c)を添加することにより、組成物の弾性定数を調整し、素子の電圧-透過率曲線を調整することが可能となる。
【0118】
成分(d)は、右末端にハロゲンまたはフッ素含有基を有する化合物である。成分(d)の好ましい例として、化合物(21-1)から(21-16)、化合物(22-1)から(22-116)、化合物(23-1)から(23-59)を挙げることができる。これらの化合物において、R16は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの-CH2-は-O-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよい。X11は、フッ素、塩素、-OCF3、-OCHF2、-CF3、-CHF2、-CH2F、-OCF2CHF2、または-OCF2CHFCF3である。
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
成分(d)は、誘電率異方性が正であり、熱や光に対する安定性が非常に良好であるので、IPS、FFS、OCBなどのモード用の組成物を調製する場合に用いられる。成分(d)の含有量は、液晶組成物の重量に基づいて1重量%から99重量%の範囲が適しており、好ましくは10重量%から97重量%の範囲、さらに好ましくは40重量%から95重量%の範囲である。成分(d)を誘電率異方性が負である組成物に添加する場合、成分(d)の含有量は30重量%以下が好ましい。成分(d)を添加することにより、組成物の弾性定数を調整し、素子の電圧-透過率曲線を調整することが可能となる。
【0127】
成分(e)は、右末端基が-C≡Nまたは-C≡C-C≡Nである化合物(24)である。成分(e)の好ましい例として、化合物(24-1)から(24-64)を挙げることができる。これらの化合物において、R17は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの-CH2-は-O-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよい。X12は-C≡Nまたは-C≡C-C≡Nである。
【0128】
【0129】
【0130】
成分(e)は、誘電率異方性が正であり、その値が大きいので、TNなどのモード用の組成物を調製する場合に用いられる。この成分(e)を添加することにより、組成物の誘電率異方性を上げることができる。成分(e)は、液晶相の温度範囲を広げる、粘度を調整する、または光学異方性を調整する、という効果がある。成分(e)は、素子の電圧-透過率曲線の調整にも有用である。
【0131】
TNなどのモード用の組成物を調製する場合には、成分(e)の含有量は、液晶組成物の重量に基づいて1重量%から99重量%の範囲が適しており、好ましくは10重量%から97重量%の範囲、さらに好ましくは40重量%から95重量%の範囲である。成分(e)を誘電率異方性が負である組成物に添加する場合、成分(e)の含有量は30重量%以下が好ましい。成分(e)を添加することにより、組成物の弾性定数を調整し、素子の電圧-透過率曲線を調整することが可能となる。
【0132】
上記の成分(b)から(e)から適切に選択された化合物と化合物(1)とを組み合わせることによって熱や光に対する高い安定性、高い上限温度、低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性(すなわち、大きな光学異方性または小さな光学異方性)、正または負に大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、適切な弾性定数(すなわち、大きな弾性定数または小さな弾性定数)などの物性の少なくとも1つを充足する液晶組成物を調製することができる。このような組成物を含む素子は、素子を使用できる広い温度範囲、短い応答時間、大きな電圧保持率、低いしきい値電圧、大きなコントラスト比、小さなフリッカ率、および長い寿命を有する。
【0133】
3-2.添加物
液晶組成物は公知の方法によって調製される。例えば、成分化合物を混合し、そして加熱によって互いに溶解させる。用途に応じて、この組成物に添加物を添加してよい。添加物の例は、重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、色素、消泡剤などである。このような添加物は当業者によく知られており、文献に記載されている。
【0134】
PSA(polymer sustained alignment;高分子支持配向)モードを有する液晶表示素子では、組成物が重合体を含有する。重合性化合物は、組成物中に重合体を生成させる目的で添加される。電極間に電圧を印加した状態で紫外線を照射して、重合性化合物を重合させることによって、組成物の中に重合体を生成させる。この方法によって、適切なプレチルトが達成されるので、応答時間が短縮され、画像の焼き付きが改善された素子が作製される。
【0135】
重合性化合物の好ましい例は、アクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、ビニルオキシ化合物、プロペニルエーテル、エポキシ化合物(オキシラン、オキセタン)、およびビニルケトンである。さらに好ましい例は、少なくとも1つのアクリロイルオキシを有する化合物および少なくとも1つのメタクリロイルオキシを有する化合物である。さらに好ましい例には、アクリロイルオキシとメタクリロイルオキシの両方を有する化合物も含まれる。
【0136】
さらに好ましい例は、化合物(M-1)から(M-18)である。これらの化合物において、R25からR31は独立して、水素またはメチルであり;R32、R33、およびR34は独立して、水素または炭素数1から5のアルキルであり、R32、R33、およびR34の少なくとも1つは炭素数1から5のアルキルであり;v、w、およびxは独立して、0または1であり;uおよびyは独立して、1から10の整数である。L21からL26は独立して、水素またはフッ素であり;L27およびL28は独立して、水素、フッ素、またはメチルである。
【0137】
【0138】
重合性化合物は、重合開始剤を添加することによって、速やかに重合させることができる。反応条件を最適化することによって、残存する重合性化合物の量を減少させることができる。光ラジカル重合開始剤の例は、BASF社のダロキュアシリーズからTPO、1173、および4265であり、イルガキュアシリーズから184、369、500、651、784、819、907、1300、1700、1800、1850、および2959である。
【0139】
光ラジカル重合開始剤の追加例は、4-メトキシフェニル-2,4-ビス(トリクロロメチル)トリアジン、2-(4-ブトキシスチリル)-5-トリクロロメチル-1,3,4-オキサジアゾール、9-フェニルアクリジン、9,10-ベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン混合物、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール混合物、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2,4-ジエチルキサントン/p-ジメチルアミノ安息香酸メチル混合物、ベンゾフェノン/メチルトリエタノールアミン混合物である。
【0140】
液晶組成物に光ラジカル重合開始剤を添加したあと、電場を印加した状態で紫外線を照射することによって重合を行うことができる。しかし、未反応の重合開始剤または重合開始剤の分解生成物は、素子に画像の焼き付きなどの表示不良を引き起こすかもしれない。これを防ぐために重合開始剤を添加しないまま光重合を行ってもよい。照射する光の好ましい波長は150nmから500nmの範囲である。さらに好ましい波長は250nmから450nmの範囲であり、最も好ましい波長は300nmから400nmの範囲である。
【0141】
重合性化合物を保管するとき、重合を防止するために重合禁止剤を添加してもよい。重合性化合物は、通常は重合禁止剤を除去しないまま組成物に添加される。重合禁止剤の例は、ヒドロキノン、メチルヒドロキノンのようなヒドロキノン誘導体、4-t-ブチルカテコール、4-メトキシフェノール、フェノチアジンなどである。
【0142】
光学活性化合物は、液晶分子にらせん構造を誘起して必要なねじれ角を与えることによって逆ねじれを防ぐ、という効果を有する。光学活性化合物を添加することによって、らせんピッチを調整することができる。らせんピッチの温度依存性を調整する目的で2つ以上の光学活性化合物を添加してもよい。光学活性化合物の好ましい例として、下記の化合物(Op-1)から(Op-18)を挙げることができる。化合物(Op-18)において、環Jは1,4-シクロヘキシレンまたは1,4-フェニレンであり、R28は炭素数1から10のアルキルである。*印は不斉炭素を表す。
【0143】
【0144】
酸化防止剤は、大きな電圧保持率を維持するために有効である。酸化防止剤の好ましい例として、下記の化合物(AO-1)および(AO-2);Irganox415、Irganox565、Irganox1010、Irganox1035、Irganox3114、およびIrganox1098(商品名;BASF社)を挙げることができる。紫外線吸収剤は、上限温度の低下を防ぐために有効である。紫外線吸収剤の好ましい例は、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、トリアゾール誘導体などであり、具体例として下記の化合物(AO-3)および(AO-4);Tinuvin329、TinuvinP、Tinuvin326、Tinuvin234、Tinuvin213、Tinuvin400、Tinuvin328、およびTinuvin99-2(商品名;BASF社);および1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)を挙げることができる。
【0145】
立体障害のあるアミンのような光安定剤は、大きな電圧保持率を維持するために好ましい。光安定剤の好ましい例として、下記の化合物(AO-5)、化合物(AO-6)、および化合物(AO-7);Tinuvin144、Tinuvin765、およびTinuvin770DF(商品名;BASF社);LA-77YおよびLA-77G(商品名;ADEKA社)を挙げることができる。熱安定剤も大きな電圧保持率を維持するために有効であり、好ましい例としてIrgafos168(商品名;BASF社)を挙げることができる。GH(guest host)モードの素子に適合させるために、アゾ系色素、アントラキノン系色素などのような二色性色素(dichroic dye)が組成物に添加される。消泡剤は、泡立ちを防ぐために有効である。消泡剤の好ましい例は、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどである。
【0146】
【0147】
化合物(AO-1)において、R40は炭素数1から20のアルキル、炭素数1から20のアルコキシ、-COOR41、または-CH2CH2COOR41であり、ここでR41は炭素数1から20のアルキルである。化合物(AO-2)および(AO-5)において、R42は炭素数1から20のアルキルである。化合物(AO-5)において、R43は水素、メチルまたはO・(酸素ラジカル)であり;環G1は1,4-シクロヘキシレンまたは1,4-フェニレンであり;化合物(AO-7)において、環G2は1,4-シクロヘキシレン、1,4-フェニレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4-フェニレンであり;化合物(AO-5)および(AO-7)において、zは、1、2、または3である。
【0148】
4.液晶表示素子
液晶組成物は、PC、TN、STN、OCB、PSAなどの動作モードを有し、アクティブマトリックス方式で駆動する液晶表示素子に使用できる。この組成物は、PC、TN、STN、OCB、VA、IPSなどの動作モードを有し、パッシブマトリクス方式で駆動する液晶表示素子にも使用することができる。これらの素子は、反射型、透過型、半透過型のいずれのタイプにも適用ができる。
【0149】
この組成物は、NCAP(nematic curvilinear aligned phase)素子にも適しており、ここでは組成物がマイクロカプセル化されている。この組成物は、ポリマー分散型液晶表示素子(PDLCD)や、ポリマーネットワーク液晶表示素子(PNLCD)にも使用できる。これらの組成物においては、重合性化合物が多量に添加される。一方、重合性化合物の割合が液晶組成物の重量に基づいて10重量%以下であるとき、PSAモードの液晶表示素子が作製される。好ましい割合は0.1重量%から2重量%の範囲である。さらに好ましい割合は、0.2重量%から1.0重量%の範囲である。PSAモードの素子は、アクティブマトリックス方式、パッシブマトリクス方式のような駆動方式で駆動させることができる。このような素子は、反射型、透過型、半透過型のいずれのタイプにも適用ができる。
【0150】
素子を長時間使用すると、表示画面にフリッカ(flicker)が発生することがある。フリッカ率(%)は、(|正の電圧を印加したときの輝度-負の電圧を印加したときの輝度|)/平均輝度)×100、によって表すことができる。フリッカ率が0%から1%の範囲である素子は、素子を長時間使用しても、表示画面にフリッカ(flicker)が発生しにくい。このフリッカは、画像の焼き付きに関連し、交流で駆動させる際に正フレームと負フレームの間の電位差によって発生すると推定される。化合物(1)を含有する組成物は、フリッカの発生を低減させるのにも有用である。
【実施例】
【0151】
1.化合物(1)の実施例
実施例により本発明をさらに詳しく説明する。実施例は典型的な例であるので、本発明は実施例によって制限されない。化合物(1)は、下記の手順により合成した。合成した化合物は、NMR分析などの方法により同定した。化合物、組成物、および素子の物性は、下記の方法により測定した。
【0152】
NMR分析:測定には、ブルカーバイオスピン社製のDRX-500を用いた。1H-NMRの測定では、試料をCDCl3などの重水素化溶媒に溶解させ、室温、500MHz、積算回数16回の条件で測定した。テトラメチルシランを内部標準として用いた。19F-NMRの測定では、CFCl3を内部標準として用い、積算回数24回で行った。核磁気共鳴スペクトルの説明において、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、quinはクインテット、sextはセクステット、mはマルチプレット、brはブロードであることを意味する。
【0153】
ガスクロマト分析:測定には、島津製作所製のGC-2010型ガスクロマトグラフを用いた。カラムは、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB-1(長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いた。キャリアーガスとしてはヘリウム(1mL/分)を用いた。試料気化室の温度を300℃、検出器(FID)の温度を300℃に設定した。試料はアセトンに溶解して、1重量%の溶液となるように調製し、得られた溶液1μLを試料気化室に注入した。記録計には島津製作所製のGCSolutionシステムなどを用いた。
【0154】
ガスクロマトグラフ質量分析:測定には、島津製作所製のQP-2010Ultra型ガスクロマトグラフ質量分析計を用いた。カラムは、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB-1(長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いた。キャリアーガスとしてはヘリウム(1ml/分)を用いた。試料気化室の温度を300℃、イオン源の温度を200℃、イオン化電圧を70eV、エミッション電流を150uAに設定した。試料はアセトンに溶解して、1重量%の溶液となるように調製し、得られた溶液1μlを試料気化室に注入した。記録計には島津製作所製のGCMSsolutionシステムを用いた。
【0155】
HPLC分析:測定には、島津製作所製のProminence(LC-20AD;SPD-20A)を用いた。カラムはワイエムシー製のYMC-Pack ODS-A(長さ150mm、内径4.6mm、粒子径5μm)を用いた。溶出液はアセトニトリルと水を適宜混合して用いた。検出器としてはUV検出器、RI検出器、CORONA検出器などを適宜用いた。UV検出器を用いた場合、検出波長は254nmとした。試料はアセトニトリルに溶解して、0.1重量%の溶液となるように調製し、この溶液1μLを試料室に導入した。記録計としては島津製作所製のC-R7Aplusを用いた。
【0156】
紫外可視分光分析:測定には、島津製作所製のPharmaSpec UV-1700用いた。検出波長は190nmから700nmとした。試料はアセトニトリルに溶解して、0.01mmol/Lの溶液となるように調製し、石英セル(光路長1cm)に入れて測定した。
【0157】
測定試料:相構造および転移温度(透明点、融点、重合開始温度など)を測定するときには、化合物そのものを試料として用いた。ネマチック相の上限温度、粘度、光学異方性、誘電率異方性などの物性を測定するときには、化合物と母液晶との混合物を試料として用いた。
【0158】
外挿法:化合物を母液晶と混合した試料を用いた場合は、次のように測定した。化合物15重量%と母液晶85重量%とを混合して試料を調製した。この試料の測定値から、次の等式にしたがって外挿値を算出し、この値を記載した。〈外挿値〉=(100×〈試料の測定値〉-〈母液晶の重量%〉×〈母液晶の測定値〉)/〈化合物の重量%〉
【0159】
この割合で結晶(または、スメクチック相)が25℃で析出する場合には、化合物と母液晶との割合を10重量%:90重量%、5重量%:95重量%、1重量%:99重量%の順に変更をしていき、結晶(または、スメクチック相)が25℃で析出しなくなった割合で試料の物性を測定した。なお、特に断りのない限り、化合物と母液晶との割合は、15重量%:85重量%である。
【0160】
母液晶(A):化合物の誘電率異方性がゼロまたは正であるときは、下記の母液晶(A)を用いた。各成分の割合を、重量%で表した。
【0161】
母液晶(B):化合物の誘電率異方性がゼロまたは負であるときは、下記の母液晶(B)を用いた。各成分の割合を重量%で表した。
【0162】
測定方法:物性の測定は下記の方法で行った。これらの多くは、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA;Japan Electronics and Information Technology Industries Association)で審議制定されるJEITA規格(JEITA・ED-2521B)に記載されている。これを修飾した方法も用いた。測定に用いたTN素子には、薄膜トランジスター(TFT)を取り付けなかった。
【0163】
(1)相構造:偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP-52型ホットステージ)に試料を置いた。この試料を、3℃/分の速度で加熱しながら相状態とその変化を偏光顕微鏡で観察し、相の種類を特定した。
【0164】
(2)転移温度(℃):測定には、パーキンエルマー社製の走査熱量計、Diamond・DSCシステムまたはエスアイアイ・ナノテクノロジー社製の高感度示差走査熱量計、X-DSC7000を用いた。試料は、3℃/分の速度で昇降温し、試料の相変化に伴う吸熱ピークまたは発熱ピークの開始点を外挿により求め、転移温度を決定した。化合物の融点、重合開始温度もこの装置を使って測定した。化合物が固体からスメクチック相、ネマチック相などの液晶相に転移する温度を「液晶相の下限温度」と略すことがある。化合物が液晶相から液体に転移する温度を「透明点」と略すことがある。
【0165】
結晶はCと表した。結晶を二種類に区別できる場合は、それぞれをC1またはC2と表した。スメクチック相はS、ネマチック相はNと表した。スメクチックA相、スメクチックB相、スメクチックC相、およびスメクチックF相のような相の区別がつく場合は、それぞれSA、SB、SC、およびSFと表した。液体(アイソトロピック)はIと表した。転移温度は、例えば、「C 50.0 N 100.0 I」のように表記した。これは、結晶からネマチック相への転移温度が50.0℃であり、ネマチック相から液体への転移温度が100.0℃であることを示す。
【0166】
(3)化合物の相溶性:化合物の割合が、20重量%、15重量%、10重量%、5重量%、3重量%、または1重量%となるように母液晶と化合物とを混合した試料を調製した。試料をガラス瓶に入れ、-10℃または-20℃の冷凍庫で一定期間保管した。試料のネマチック相が維持されたか、または結晶(またはスメクチック相)が析出したかを観察した。ネマチック相が維持される条件を相溶性の尺度として用いた。必要に応じて化合物の割合や冷凍庫の温度を変更することもある。
【0167】
(4)ネマチック相の上限温度(NI;℃):試料は、ネマチック相を有する母液晶に化合物(1)を添加して調製した。偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。この測定値を化合物(1)の含有量に基づいて外挿し、化合物(1)の上限温度を算出した。試料が使用例に記載された組成物のときは、測定値をそのまま記載した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
【0168】
(5)ネマチック相の下限温度(TC;℃):ネマチック相を有する試料をガラス瓶に入れ、0℃、-10℃、-20℃、-30℃、および-40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が-20℃ではネマチック相のままであり、-30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、TCを<-20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
【0169】
(6)粘度(バルク粘度;η;20℃で測定;mPa・s):測定には、東京計器株式会社製のE型回転粘度計を用いた。
【0170】
(7)光学異方性(屈折率異方性;25℃で測定;Δn):測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率(n∥)は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率(n⊥)は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性(Δn)の値は、Δn=n∥-n⊥、の等式から計算した。
【0171】
(8)比抵抗(ρ;25℃で測定;Ωcm):電極を備えた容器に試料1.0mLを注入した。この容器に直流電圧(10V)を印加し、10秒後の直流電流を測定した。比抵抗は次の等式から算出した。(比抵抗)={(電圧)×(容器の電気容量)}/{(直流電流)×(真空の誘電率)}。
【0172】
(9)電圧保持率(VHR-1;25℃で測定;%):測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は5μmであった。この素子は試料を入れたあと紫外線で硬化する接着剤で密閉した。この素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積であった。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率で表した。
【0173】
(10)電圧保持率(VHR-2;80℃で測定;%):25℃の代わりに、80℃で測定した以外は、上記の方法で電圧保持率を測定した。得られた結果をVHR-2の記号で示した。
【0174】
(11)フリッカ率(25℃で測定;%):測定には横河電機(株)製のマルチメディアディスプレイテスタ3298Fを用いた。光源はLEDであった。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が3.5μmであり、ラビング方向がアンチパラレルであるノーマリーブラックモード(normally black mode)のFFS素子に試料を入れた。この素子を紫外線で硬化する接着剤を用いて密閉した。この素子に電圧を印加し、素子を透過した光量が最大になる電圧を測定した。この電圧を素子に印加しながらセンサ部を素子に近づけ、表示されたフリッカ率を読み取った。
【0175】
誘電率異方性が正の試料と負の試料とでは、物性の測定法が異なることがある。誘電率異方性が正であるときの測定法は、測定(12a)から測定(16a)に記載した。誘電率異方性が負の場合は、測定(12b)から測定(16b)に記載した。
【0176】
(12a)粘度(回転粘度;γ1;25℃で測定;mPa・s;誘電率異方性が正の試料):測定は、M. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995)に記載された方法に従った。ツイスト角が0度であり、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmであるTN素子に試料を入れた。この素子に16Vから19.5Vまで0.5V毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM.Imaiらの論文、40頁の等式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算で必要な誘電率異方性の値は、この回転粘度を測定した素子を用い、下に記載した方法で求めた。
【0177】
(12b)粘度(回転粘度;γ1;25℃で測定;mPa・s;誘電率異方性が負の試料):測定は、M. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995)に記載された方法に従った。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmのVA素子に試料を入れた。この素子に39Vから50Vまで1V毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM.Imaiらの論文、40頁の等式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算に必要な誘電率異方性は、下記の誘電率異方性の項で測定した。
【0178】
(13a)誘電率異方性(Δε;25℃で測定;誘電率異方性が正の試料):2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε∥)を測定した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε∥-ε⊥、の等式から計算した。
【0179】
(13b)誘電率異方性(Δε;25℃で測定;誘電率異方性が負の試料):誘電率異方性の値は、Δε=ε∥-ε⊥、の等式から計算した。誘電率(ε∥およびε⊥)は次のように測定した。
1)誘電率(ε∥)の測定:よく洗浄したガラス基板にオクタデシルトリエトキシシラン(0.16mL)のエタノール(20mL)溶液を塗布した。ガラス基板をスピンナーで回転させたあと、150℃で1時間加熱した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであるVA素子に試料を入れ、この素子を紫外線で硬化する接着剤で密閉した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε∥)を測定した。
2)誘電率(ε⊥)の測定:よく洗浄したガラス基板にポリイミド溶液を塗布した。このガラス基板を焼成した後、得られた配向膜にラビング処理をした。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、ツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。
【0180】
(14a)弾性定数(K;25℃で測定;pN;誘電率異方性が正の試料):測定には横河・ヒューレットパッカード株式会社製のHP4284A型LCRメータを用いた。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmである水平配向素子に試料を入れた。この素子に0Vから20V電荷を印加し、静電容量(C)および印加電圧(V)を測定した。これらの測定値を「液晶デバイスハンドブックク」(日刊工業新聞社)、75頁にある等式(2.98)、等式(2.101)を用いてフィッティングし、等式(2.99)からK11およびK33の値を得た。次に171頁にある等式(3.18)に、先ほど求めたK11およびK33の値を用いてK22を算出した。弾性定数Kは、このようにして求めたK11、K22、およびK33の平均値で表した。
【0181】
(14b)弾性定数(K11およびK33;25℃で測定;pN;誘電率異方性が負の試料):測定には株式会社東陽テクニカ製のEC-1型弾性定数測定器を用いた。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmである垂直配向素子に試料を入れた。この素子に20Vから0V電荷を印加し、静電容量(C)および印加電圧(V)を測定した。これらの値を、「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社)、75頁にある等式(2.98)、等式(2.101)を用いてフィッティングし、等式(2.100)から弾性定数の値を得た。
【0182】
(15a)しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V;誘電率異方性が正の試料):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が0.45/Δn(μm)であり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(32Hz、矩形波)は0Vから10Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧-透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が90%になったときの電圧で表した。
【0183】
(15b)しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V;誘電率異方性が負の試料):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであり、ラビング方向がアンチパラレルであるノーマリーブラックモード(normally black mode)のVA素子に試料を入れ、この素子を紫外線で硬化する接着剤を用いて密閉した。この素子に印加する電圧(60Hz、矩形波)は0Vから20Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧-透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が10%になったときの電圧で表した。
【0184】
(16a)応答時間(τ;25℃で測定;ms;誘電率異方性が正の試料):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5.0μmであり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に矩形波(60Hz、5V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%であるとみなした。立ち上がり時間(τr:rise time;ミリ秒)は、透過率が90%から10%に変化するのに要した時間である。立ち下がり時間(τf:fall time;ミリ秒)は透過率10%から90%に変化するのに要した時間である。応答時間は、このようにして求めた立ち上がり時間と立ち下がり時間との和で表した。
【0185】
(16b)応答時間(τ;25℃で測定;ms;誘電率異方性が負の試料):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が3.2μmであり、ラビング方向がアンチパラレルであるノーマリーブラックモード(normally black mode)のPVA素子に試料を入れた。この素子を紫外線で硬化する接着剤を用いて密閉した。この素子にしきい値電圧を若干超える程度の電圧を1分間印加し、次に5.6Vの電圧を印加しながら23.5mW/cm2の紫外線を8分間照射した。この素子に矩形波(60Hz、10V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%であるとみなした。応答時間は透過率90%から10%に変化するのに要した時間(立ち下がり時間;fall time;ミリ秒)で表した。
【0186】
【0187】
第1工程:化合物(T-2)の合成
公知の方法で合成した化合物(T-1)(36g、277mmol)とシクロプロパンメタノール(20g、277mmol)とトリフェニルホスフィン(109g、416mmol)をテトラヒドロフラン(200mL)に溶解させた。この溶液を0℃から15℃に保ちながら、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD、72g、413mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、メチルt-ブチルエーテルで抽出した。抽出液を10%水酸化ナトリウム水溶液および水にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製することにより、化合物(T-2)(36g、195mmol;70%)を無色液体として得た。
【0188】
第2工程:化合物(T-3)の合成
化合物(T-2)(36g、195mmol)をテトラヒドロフラン(200mL)に溶解させた。-70℃まで冷やし、-70℃でs-BuLi(1.05M;n-ヘキサン溶液、188ml、197mmol)を滴下した後、-70℃で2時間攪拌した。-70℃でほう酸トリメチル(33g、318mmol)を滴下した後、-70℃で1時間攪拌した。反応混合物を10%塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。ヘキサンで2回洗浄することにより、化合物(T-3)(27g、118mmol;61%)を無色固体として得た。
【0189】
第3工程:化合物(T-4)の合成
化合物(T-3)(27g、118mmol)をジクロロメタン(100mL)に溶解させ、30℃で27%過酸化水素水溶液(45g、357mmol)を加えた。35℃で3時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を亜硫酸ナトリウム水溶液および水にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。化合物(T-4)(19g、94.9mmol;80%)を無色固体として得た。
【0190】
第4工程:化合物(No.139)の合成
化合物(T-4)(14g、69.9mmol)とシクロプロパンメタノール(6g、83.2mmol)とトリフェニルホスフィン(28g、107mmol)をテトラヒドロフラン(150mL)に溶解させた。溶液を0℃から15℃に保ちながら、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD、18g、103mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、メチルt-ブチルエーテルで抽出した。抽出液を10%水酸化ナトリウム水溶液および水にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン)と再結晶(エタノール)で精製することにより、化合物(No.139)(9g、35.4mmol;51%)を無色液体として得た。
【0191】
1H-NMR(CDCl3;δppm):6.64-6.59(m,2H)、3.82(d,J=7.1Hz,1H)、1.31-1.23(m,2H)、0.68-0.59(m,4H)、0.38-0.29(m,4H).
【0192】
相転移温度:C 36.3 I.上限温度(NI)=-187℃;誘電率異方性(Δε)=-2.3;光学異方性(Δn)=-0.073;粘度(η)=53.0mPa・s.
【0193】
【0194】
第1工程:化合物(T-6)の合成
化合物(T-5)(50g、217mmol)をジクロロメタン(200mL)に溶解させ、30℃で27%過酸化水素水溶液(55g、437mmol)を加えた。35℃で3時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を亜硫酸ナトリウム水溶液および水にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。化合物(T-6)(34g、168mmol;77%)を無色固体として得た。
【0195】
第2工程:化合物(No.224)の合成
化合物(T-6)(20g、98.9mmol)とシクロプロパンメタノール(7g、97.1mmol)とトリフェニルホスフィン(35g、133mmol)をテトラヒドロフラン(100mL)に溶解させた。この溶液を0℃から15℃に保ちながら、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD、24g、138mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、メチルt-ブチルエーテルで抽出した。抽出液を10%水酸化ナトリウム水溶液および水にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン)と再結晶(エタノール)で精製することにより、化合物(No.224)(6g、23.4mmol;24%)を無色液体として得た。
【0196】
1H-NMR(CDCl3;δppm):6.65-6.59(m,2H)、3.98(t,J=6.6Hz,2H)、3.82(d,J=7.0Hz,2H)、1.77(quin,J=6.6Hz,2H)、1.49(sext,J=7.5Hz,2H)、1.31-1.23(m,1H)、0.97(t,J=7.5Hz,3H)、0.68-0.58(m,2H)、0.38-0.29(m,2H).
【0197】
相転移温度:C 6.1 I.上限温度(NI)=-155.7℃;誘電率異方性(Δε)=-4.1;光学異方性(Δn)=-0.053;粘度(η)=30.3mPa・s
【0198】
[合成例3]
化合物(No.994)の合成
第1工程:化合物(No.994)の合成
公知の方法で合成した化合物(T-6)(35g、173mmol)と1-ブロモ-4-フルオロブタン(30g、194mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(100mL)に溶解させ、138℃で5時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を10%水酸化ナトリウム水溶液および水にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン)および蒸留で精製することにより、化合物(No.994)(13g、47.1mmol;27%)を無色液体として得た。
【0199】
1H-NMR(CDCl3;δppm):6.65-6.60(m,2H)、4.59-4.57(m,1H)、4.48(t,J=5.7Hz,1H)、4.03(t,J=5.7Hz,2H)、3.98(t,J=6.6Hz,2H)、1.95-1.84(m,4H)、1.77(quin,J=6.6Hz,2H)、1.49(sext,J=7.5Hz,2H)、0.97(t,J=7.5Hz,3H).
【0200】
相転移温度:C1 -18.8 C2 -11.5 I.上限温度(NI)=-121.7℃;誘電率異方性(Δε)=-5.6;光学異方性(Δn)=0.0003;粘度(η)=29.9mPa・s.
【0201】
[合成例4]
化合物(No.993)の合成
第1工程:化合物(No.993)の合成
公知の方法で合成した化合物(T-6)(30g、148mmol)と1-フルオロ-3-ヨードプロパン(29g、154mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(100mL)に溶解させ、138℃で5時間攪拌した。その後室温まで冷まし、酢酸エチルで抽出した。抽出液を10%水酸化ナトリウム水溶液および水にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン)および蒸留で精製することにより、化合物(No.993)(15g、57.2mmol;39%)を無色液体として得た。
【0202】
1H-NMR(CDCl3;δppm):6.67-6.61(m,2H)、4.71(t,J=5.7Hz,1H)、4.62(t,J=5.7Hz,1H)、4.12(t,J=6.1Hz,2H)、3.98(t,J=6.6Hz,2H)、2.20(quin,J=5.9Hz,1H)、2.15(quin,J=5.9Hz,1H)、1.77(quin,J=6.6Hz,2H)、1.49(sext,J=7.5Hz,2H)、0.97(t,J=7.5Hz,3H).
【0203】
相転移温度:C -1.3 I.上限温度(NI)=-141.0℃;誘電率異方性(Δε)=-3.5;光学異方性(Δn)=-0.020;粘度(η)=30.6mPa・s.
【0204】
【0205】
第1工程:化合物(T-8)の合成
化合物(T-7)(30g、300mmol)をメタノール(90mL)に溶解させ、0℃まで冷やした。0-10℃で臭素(49g、307mmol)を加えた。室温で1時間攪拌した。反応混合物を亜硫酸ナトリウム水溶液に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣を蒸留で精製することにより、化合物(T-8)(52g、290mmol;97%)を無色液体として得た。
【0206】
第2工程:化合物(T-10)の合成
公知の方法で合成した化合物(T-9)(100g、463mmol)をジクロロメタン(500mL)に溶解させ、30℃で27%過酸化水素水溶液(126g、1.00mol)を加えた。35℃で3時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を亜硫酸ナトリウム水溶液および水にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。化合物(T-10)(80g、425mmol;92%)を無色固体として得た。
【0207】
第3工程:化合物(T-11)の合成
化合物(T-10)(80g、425mmol)をジクロロメタン(300mL)に溶解させた。室温で三臭化ホウ素(128g、511mmol)を加え、60℃で2時間攪拌した。その後室温まで冷まし、反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮し、化合物(T-11)(59g、404mmol;95%)を無色液体として得た。
【0208】
第4工程:化合物(T-12)の合成
化合物(T-11)(23g、157mmol)と炭酸カリウム(38g、275mmol)をアセトン(150mL)に溶解させた。第1工程で合成した化合物(T-8)(45g、251mmol)を室温で加え、4時間還流した。室温まで冷まし、炭酸カリウムをろ過にて取り除き、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)および再結晶(エタノール/ヘキサン)で精製することにより、化合物(T-12)(22g、64.3mmol;41%)を無色固体として得た。
【0209】
第5工程:化合物(No.1114)の合成
化合物(T-12)(20g、58.4mmol)をジクロロメタン(100mL)に溶解させ、室温でビス(2-メトキシエチル)アミノ硫黄トリフルオリド(BAST、54g、244mmol)を加え、室温で50時間攪拌した。反応混合物を15%水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン)および再結晶(エタノール/ヘキサン)で精製することにより、化合物(No.1114)(3g、7.76mmol;13%)を無色固体として得た。
【0210】
1H-NMR(CDCl3;δppm):6.75-6.70(m,2H)、4.28(t,J=13.3Hz,4H)、1.14(s,18H).
【0211】
相転移温度:C 50.8 I.上限温度(NI)=180.4℃;誘電率異方性(Δε)=-2.9;光学異方性(Δn)=-0.053;粘度(η)=104mPa・s.
【0212】
【0213】
第1工程:化合物(T-14)の合成
化合物(T-13)(43g、499mmol)をメタノール(90mL)に溶解させ0℃まで冷やした。0-10℃で臭素(80g、501mmol)を加えた。10℃で1時間攪拌した。反応混合物を亜硫酸ナトリウム水溶液に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣を蒸留で精製することにより、化合物(T-14)(50g、303mmol;61%)を無色液体として得た。
【0214】
第2工程:化合物(T-15)の合成
化合物(T-11)(25g、171mmol)と炭酸カリウム(52g、376mmol)をアセトン(150mL)に溶解させた。化合物(T-14)(50g、303mmol)を室温で加え、4時間還流した。室温まで冷まし、炭酸カリウムをろ過にて取り除き、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)および再結晶(エタノール/ヘキサン)で精製することにより、化合物(T-15)(15g、47.7mmol;28%)を無色固体として得た。
【0215】
第3工程:化合物(No.1104)の合成
公知の方法で合成した化合物(T-15)(15g、47.7mmol)をジクロロメタン(90mL)に溶解させ、室温でビス(2-メトキシエチル)アミノ硫黄トリフルオリド(BAST、43g、194mmol)を加え、室温で50時間攪拌した。反応混合物を15%水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ、ジクロロメタンで抽出し、有機層を水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン)および再結晶(エタノール/ヘキサン)で精製することにより、化合物(No.1104)(5g、14.0mmol;29%)を無色固体として得た。
【0216】
1H-NMR(CDCl3;δppm):6.73-6.68(m,2H)、4.19(t,J=12.0Hz,4H)、2.50-2.36(m,2H)、1.10(d,J=7.0Hz,12H).
【0217】
相転移温度:C 42.9 I.上限温度(NI)=-174.1℃;誘電率異方性(Δε)=-1.7;光学異方性(Δn)=-0.073;粘度(η)=84.3mPa・s.
【0218】
【0219】
第1工程:化合物(T-16)の合成
窒素雰囲気下、フッ化水素ピリジン(フッ化水素含量70%、41.5g)およびジクロロメタン(200ml)を反応器に入れ、0℃に冷却した。1,2-エポキシヘキサン(20.8g、207mmol)を滴下し、12時間攪拌を行なった。反応混合物を水に注ぎ、炭酸水素ナトリウムで中和し、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(体積比、酢酸エチル:ヘキサン=1:4)で精製し、さらに減圧蒸留(5.3kPa、115℃)で精製することにより、化合物(T-16)(9.80g、81.6mmol;39%)を得た。
【0220】
第2工程:化合物(T-18)の合成
窒素雰囲気下、化合物(T-17)(7.65g、36.6mmol)、化合物(T-16)(4.00g、33.3mmol)、トリフェニルホスフィン(9.60g、36.6mmol)、およびテトラヒドロフラン(70mL)を反応器に入れ氷浴上で冷却した。アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD、2.2M;トルエン溶液;16.6ml、36.5mmol)を加え、室温で8時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を水に注ぎ、水層をジエチルエーテルで抽出した。抽出液を食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(体積比、酢酸エチル:ヘキサン=1:9)で精製することにより、化合物(T-18)(6.28g、20.2mmol;57%)を得た。
【0221】
第3工程:化合物(T-19)の合成
窒素雰囲気下、塩化イソプロピルマグネシウム-塩化リチウム錯体(1.3M、THF溶液、18.6ml、24.2mmol)を反応器に入れ、0℃に冷却した。そこへ化合物(T-18)(6.28g、20.2mmol)のTHF(60ml)溶液をゆっくりと滴下し、化合物(T-18)が消失するまで攪拌した。次に、ホウ酸トリメチル(2.73g、26.3mmol)を加え、室温に戻し12時間攪拌した。室温で酢酸(1.82g、30.3)を加え、30分攪拌した後、過酸化水素水(30wt%;4.6g、40.6mmol)を加え1時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、水層を酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液水および食塩水にて洗浄した後、1N-水酸化ナトリウム水溶液にて逆抽出を行なった。この水溶液を1N塩酸にて中和し、酢酸エチルにて抽出した。抽出液を食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮することにより化合物(T-19)(4.39g、17.7mmol;84%)を得た。
【0222】
第4工程:化合物(No.1105)の合成
窒素雰囲気下、化合物(T-19)(4.39g、17.7mmol)、化合物(T-16)(2.34g、19.5mmol)、トリフェニルホスフィン(5.10g、19.4mmol)、およびテトラヒドロフラン(40mL)を反応器に入れ、氷浴上で冷却した。アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD、2.2M;トルエン溶液;8.8ml、19.4mmol)を滴下し、室温で8時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ、水層をジエチルエーテルで抽出した。抽出液を食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(体積比、酢酸エチル:ヘキサン=1:9)で精製し、さらにソルミックス(登録商標)A-11とメタノールとの混合溶媒(体積比、2:1)からの再結晶により精製して、化合物(No.1105)(2.05g、5.85mmol;33%)を得た。
【0223】
ソルミックスA-11は、エタノール(85.5%),メタノール(13.4%)とイソプロパノール(1.1%)の混合物であり、日本アルコール販売(株)から入手した。
【0224】
1H-NMR(CDCl3;δppm):6.70-6.65(m,2H)、4.89-4.75(m,2H)、4.15-4.04(m,4H)、1.84-1.63(m,4H)、1.55-1.34(m,4H)、0.93(t,J=7.1Hz,6H).
【0225】
相転移温度:C 40.9 I.上限温度(NI)=-88.7℃;誘電率異方性(Δε)=-9.2;光学異方性(Δn)=0.014;粘度(η)=78.7mPa・s.
【0226】
【0227】
化合物(No.1092)は、1,2-エポキシブタンから合成例7に記載した手順にしたがって合成した。全収率は2.7%であった。
【0228】
化合物(No.1092)の1H-NMR(CDCl3;δppm):6.70-6.66(m,2H)、4.82-4.69(m,2H)、4.17-4.05(m,4H)、1.88-1.69(m,4H)、1.05(t,J=7.4Hz,6H).
【0229】
相転移温度:C 23.1 I.上限温度(NI)=-111.0℃;誘電率異方性(Δε)=-8.6;光学異方性(Δn)=0.007;粘度(η)=62.6mPa・s.
【0230】
[比較例1]
比較のために、国際公開第2011/098224号の実施例1に開示された化合物(Ex-1)を選んで合成した。
【0231】
1H-NMR(CDCl3;δppm):6.62(dd,2H),3.98(t,4H),1.77(quin,4H),1.49(sex,4H),0.97(t,6H).
【0232】
転移温度:C -8.2 I.上限温度(NI)=-124.1℃;誘電率異方性(Δε)=-5.88;光学異方性(Δn)=-0.014;粘度(η)=15.7mPa・s.
【0233】
[比較例2]
比較のために、特開2017-19767号公報の43頁開示された化合物(1-1-3)を選んで合成した。
【0234】
1H-NMR(CDCl3;δppm):7.15(s,2H),3.99(t,4H),1.78(quin,4H),1.50(sex,4H),0.97(t,6H).
【0235】
転移温度:C 17.7 I.上限温度(NI)=-101.4℃;誘電率異方性(Δε)=-10.1;光学異方性(Δn)=-0.003;粘度(η)=55.7mPa・s.
【0236】
[比較実験]
化合物(No.1092)、比較化合物(Ex-1)、および比較化合物(1-1-3)を比較するために、測定(4)に従って上限温度(NI)を測定した。試料は、15重量%の化合物と85重量%の母液晶(B)とを混合して調製した。
【0237】
結果を表2にまとめた。化合物(No.1092)は、上限温度が比較化合物(Ex-1)より、35.4℃も高いことが分かった。化合物(No.1092)は、上限温度が比較化合物(1-1-3)より、12.7℃も高いことも分かった。したがって、化合物(1)は、類似の化合物と比較して優れていると結論できる。
【0238】
【0239】
合成例に記載された方法や、「2.化合物(1)の合成」の項を参考にしながら、以下に示す化合物を合成する。
【0240】
【0241】
【0242】
【0243】
【0244】
【0245】
【0246】
【0247】
【0248】
【0249】
【0250】
【0251】
【0252】
【0253】
【0254】
【0255】
【0256】
【0257】
【0258】
【0259】
【0260】
【0261】
【0262】
【0263】
【0264】
【0265】
【0266】
【0267】
【0268】
【0269】
【0270】
【0271】
【0272】
【0273】
【0274】
【0275】
【0276】
【0277】
【0278】
【0279】
【0280】
【0281】
【0282】
【0283】
【0284】
【0285】
【0286】
2.組成物の実施例
実施例により本発明をさらに詳しく説明する。実施例は典型的な例であるので、本発明は実施例によって制限されない。例えば、本発明は、使用例の組成物に加えて、使用例1の組成物と使用例2の組成物との混合物を含む。本発明は、使用例の組成物の少なくとも2つを混合することによって調製した混合物をも含む。使用例における化合物は、下記の表3の定義に基づいて記号により表した。表3において、1,4-シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。使用例において記号の後にあるかっこ内の番号は、化合物が属する化学式を表す。(-)の記号は、成分(a)から(e)とは異なる液晶性化合物を意味する。液晶性化合物の割合(百分率)は、添加物を含まない液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)である。最後に、組成物の物性値をまとめた。物性は、先に記載した方法にしたがって測定し、測定値を(外挿することなく)そのまま記載した。
【0287】
【0288】
[使用例1]
6(2F)O-B(2F,3F)-O6(2F) (1105) 10%
1-BB-3 (2-8) 5%
1-BB-5 (2-8) 7%
2-BTB-1 (2-10) 3%
3-HHB-1 (3-1) 7%
3-HHB-O1 (3-1) 5%
3-HHB-3 (3-1) 12%
3-HHB-F (22-1) 4%
2-HHB(F)-F (22-2) 6%
3-HHB(F)-F (22-2) 6%
5-HHB(F)-F (22-2) 6%
3-HHB(F,F)-F (22-3) 5%
3-HHEB-F (22-10) 4%
5-HHEB-F (22-10) 4%
2-HB-C (24-1) 4%
3-HB-C (24-1) 12%
NI=79.8℃;η=23.5mPa・s;Δn=0.100;Δε=3.4.
【0289】
[使用例2]
4(2F)O-B(2F,3F)-O4(2F) (1092) 10%
3-HH-4 (2-1) 11%
7-HB-1 (2-5) 3%
5-HB-O2 (2-5) 4%
5-HBB(F)B-2 (4-5) 10%
5-HBB(F)B-3 (4-5) 8%
3-HB-CL (21-2) 10%
3-HHB(F,F)-F (22-3) 3%
3-HBB(F,F)-F (22-24) 21%
5-HBB(F,F)-F (22-24) 20%
NI=70.4℃;η=25.9mPa・s;Δn=0.115;Δε=3.5.
【0290】
[使用例3]
4O-B(2F,3F)-O5(4Me) (966) 10%
1V2-HH-1 (2-1) 2%
1V2-HH-3 (2-1) 3%
7-HB(F,F)-F (21-4) 1%
2-HHB(F)-F (22-2) 10%
3-HHB(F)-F (22-2) 12%
5-HHB(F)-F (22-2) 12%
2-HBB-F (22-22) 4%
3-HBB-F (22-22) 5%
5-HBB-F (22-22) 3%
2-HBB(F)-F (22-23) 6%
3-HBB(F)-F (22-23) 9%
5-HBB(F)-F (22-23) 15%
3-HBB(F,F)-F (22-24) 2%
5-HBB(F,F)-F (22-24) 6%
NI=71.0℃;η=25.0mPa・s;Δn=0.100;Δε=4.6.
【0291】
[使用例4]
h-Cpr1OB(2F,3F)-O4 (224) 10%
2-HH-3 (2-1) 3%
3-HH-4 (2-1) 10%
1O1-HBBH-5 (4-1) 2%
5-HB-CL (21-2) 15%
3-HHB-F (22-1) 3%
3-HHB-CL (22-1) 2%
4-HHB-CL (22-1) 4%
3-HHB(F)-F (22-2) 9%
4-HHB(F)-F (22-2) 8%
5-HHB(F)-F (22-2) 8%
7-HHB(F)-F (22-2) 7%
5-HBB(F)-F (22-23) 5%
3-HHBB(F,F)-F (23-6) 2%
4-HHBB(F,F)-F (23-6) 3%
5-HHBB(F,F)-F (23-6) 3%
3-HH2BB(F,F)-F (23-15) 3%
4-HH2BB(F,F)-F (23-15) 3%
NI=88.1℃;η=20.9mPa・s;Δn=0.077;Δε=3.0.
【0292】
[使用例5]
4O-B(2F,3F)-O3(3F) (993) 10%
V-HBB-2 (3-4) 9%
1O1-HBBH-4 (4-1) 4%
1O1-HBBH-5 (4-1) 4%
3-HHB(F,F)-F (22-3) 7%
3-H2HB(F,F)-F (22-15) 8%
4-H2HB(F,F)-F (22-15) 8%
5-H2HB(F,F)-F (22-15) 8%
3-HBB(F,F)-F (22-24) 7%
5-HBB(F,F)-F (22-24) 17%
3-H2BB(F,F)-F (22-27) 10%
5-HHBB(F,F)-F (23-6) 3%
3-HH2BB(F,F)-F (23-15) 3%
5-HHEBB-F (23-17) 2%
NI=85.8℃;η=32.2mPa・s;Δn=0.109;Δε=6.8.
【0293】
[使用例6]
h-Cp(1,3)1OB(2F,3F)O1Cp(1,3)-h (151)10%
5-HBBH-3 (4-1) 2%
3-HB(F)BH-3 (4-2) 3%
5-HB-F (21-2) 12%
6-HB-F (21-2) 9%
7-HB-F (21-2) 7%
2-HHB-OCF3 (22-1) 5%
3-HHB-OCF3 (22-1) 6%
4-HHB-OCF3 (22-1) 7%
5-HHB-OCF3 (22-1) 4%
3-HHB(F,F)-OCF2H (22-3) 3%
3-HHB(F,F)-OCF3 (22-3) 3%
3-HH2B-OCF3 (22-4) 4%
5-HH2B-OCF3 (22-4) 4%
3-HH2B(F)-F (22-5) 3%
3-HBB(F)-F (22-23) 9%
5-HBB(F)-F (22-23) 9%
【0294】
[使用例7]
6(2F)O-B(2F,3F)-O6(2F) (1105) 7%
2-HH-5 (2-1) 4%
3-HH-4 (2-1) 3%
5-B(F)BB-2 (3-8) 5%
5-HB-CL (21-2) 8%
3-HHB(F,F)-F (22-3) 8%
3-HHEB(F,F)-F (22-12) 10%
4-HHEB(F,F)-F (22-12) 3%
5-HHEB(F,F)-F (22-12) 4%
3-HBB(F,F)-F (22-24) 17%
5-HBB(F,F)-F (22-24) 14%
2-HBEB(F,F)-F (22-39) 3%
3-HBEB(F,F)-F (22-39) 4%
5-HBEB(F,F)-F (22-39) 3%
3-HHBB(F,F)-F (23-6) 7%
NI=70.6℃;η=27.9mPa・s;Δn=0.106;Δε=7.3.
【0295】
[使用例8]
4(2F)O-B(2F,3F)-O4(2F) (1092) 5%
V2-HHB-1 (3-1) 8%
3-HB-CL (21-2) 3%
5-HB-CL (21-2) 2%
3-HHB-OCF3 (22-1) 6%
5-HHB(F)-F (22-2) 6%
V-HHB(F)-F (22-2) 4%
3-H2HB-OCF3 (22-13) 5%
5-H2HB(F,F)-F (22-15) 4%
5-H4HB-OCF3 (22-19) 15%
5-H4HB(F,F)-F (22-21) 7%
3-H4HB(F,F)-CF3 (22-21) 8%
5-H4HB(F,F)-CF3 (22-21) 10%
2-H2BB(F)-F (22-26) 5%
3-H2BB(F)-F (22-26) 8%
3-HBEB(F,F)-F (22-39) 4%
NI=70.6℃;η=27.6mPa・s;Δn=0.095;Δε=7.1.
【0296】
[使用例9]
4O-B(2F,3F)-O5(4Me) (966) 5%
3-HH-4 (2-1) 8%
3-HH-5 (2-1) 5%
3-HB-O2 (2-5) 14%
3-HHB-1 (3-1) 10%
3-HHB-O1 (3-1) 8%
5-HB-CL (21-2) 13%
7-HB(F,F)-F (21-4) 2%
2-HHB(F)-F (22-2) 7%
3-HHB(F)-F (22-2) 7%
5-HHB(F)-F (22-2) 7%
3-HHB(F,F)-F (22-3) 6%
3-H2HB(F,F)-F (22-15) 4%
4-H2HB(F,F)-F (22-15) 4%
NI=70.8℃;η=16.1mPa・s;Δn=0.073;Δε=2.2.
【0297】
[使用例10]
h-Cpr1OB(2F,3F)-O4 (224) 5%
3-HH-4 (2-1) 8%
3-HH-5 (2-1) 10%
4-HH-V (2-1) 13%
5-HB-CL (21-2) 1%
7-HB(F)-F (21-3) 5%
2-HHB(F,F)-F (22-3) 4%
3-HHB(F,F)-F (22-3) 5%
3-HHEB-F (22-10) 10%
5-HHEB-F (22-10) 9%
3-HHEB(F,F)-F (22-12) 10%
4-HHEB(F,F)-F (22-12) 5%
3-GHB(F,F)-F (22-109) 4%
4-GHB(F,F)-F (22-109) 5%
5-GHB(F,F)-F (22-109) 6%
NI=70.4℃;η=18.1mPa・s;Δn=0.057;Δε=4.5.
【0298】
[使用例11]
4O-B(2F,3F)-O3(3F) (993) 5%
3-HH-VFF (2-1) 4%
5-HH-VFF (2-1) 25%
2-BTB-1 (2-10) 8%
3-HHB-1 (3-1) 4%
VFF-HHB-1 (3-1) 7%
VFF2-HHB-1 (3-1) 11%
3-H2BTB-2 (3-17) 5%
3-H2BTB-3 (3-17) 4%
3-H2BTB-4 (3-17) 4%
3-HB-C (24-1) 18%
1V2-BEB(F,F)-C (24-15) 5%
NI=71.8℃;η=12.5mPa・s;Δn=0.121;Δε=5.5.
【0299】
[使用例12]
h-Cp(1,3)1OB(2F,3F)O1Cp(1,3)-h (151) 5%
3-HH-V (2-1) 33%
3-HH-V1 (2-1) 4%
5-HH-V (2-1) 5%
3-HHB-1 (3-1) 4%
V-HHB-1 (3-1) 5%
2-BB(F)B-3 (3-6) 5%
3-HHEH-5 (3-13) 3%
1V2-BB―F (21-1) 3%
3-BB(F,F)XB(F,F)-F (22-97) 8%
3-BB(2F,3F)XB(F,F)-F (22-114) 3%
3-HHBB(F,F)-F (23-6) 3%
3-HBBXB(F,F)-F (23-32) 3%
5-HB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (23-41) 5%
3-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (23-47) 3%
4-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (23-47) 5%
5-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (23-47) 3%
【0300】
[使用例13]
6(2F)O-B(2F,3F)-O6(2F) (1105) 9%
3-HH-V (2-1) 28%
3-HH-V1 (2-1) 7%
V-HH-V1 (2-1) 5%
3-HHB-1 (3-1) 4%
V-HHB-1 (3-1) 5%
1-BB(F)B-2V (3-6) 4%
3-HHEH-5 (3-13) 3%
1V2-BB―F (21-1) 3%
3-BB(F,F)XB(F,F)-F (22-97) 2%
3-HHXB(F,F)-CF3 (22-100) 3%
3-GB(F,F)XB(F,F)-F (22-113) 3%
3-GB(F)B(F,F)-F (22-116) 3%
3-HHBB(F,F)-F (23-6) 3%
3-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (23-47) 3%
4-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (23-47) 7%
5-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (23-47) 3%
3-GB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (23-57) 5%
NI=70.7℃;η=18.9mPa・s;Δn=0.098;Δε=4.9.
【0301】
[使用例14]
4(2F)O-B(2F,3F)-O4(2F) (1092) 8%
3-HH-V (2-1) 32%
3-HH-V1 (2-1) 4%
3-HHB-1 (3-1) 4%
V-HHB-1 (3-1) 5%
3-HBB-2 (3-4) 5%
V2-BB(F)B-1 (3-6) 5%
3-HHEH-3 (3-13) 3%
3-HHEH-5 (3-13) 4%
1V2-BB―F (21-1) 2%
3-BB(F,F)XB(F,F)-F (22-97) 2%
3-GB(F,F)XB(F,F)-F (22-113) 1%
3-HHBB(F,F)-F (23-6) 3%
3-HBB(F,F)XB(F,F)-F (23-38) 3%
3-BB(F)B(F,F)XB(F)-F (23-46) 3%
4-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (23-47) 3%
5-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (23-47) 3%
3-GB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (23-57) 5%
4-GB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (23-57) 3%
5-GB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (23-57) 2%
NI=70.8℃;η=18.1mPa・s;Δn=0.085;Δε=3.9.
【0302】
[使用例15]
4O-B(2F,3F)-O5(4Me) (966) 8%
3-HH-V (2-1) 31%
3-HH-V1 (2-1) 4%
3-HHB-1 (3-1) 5%
V-HHB-1 (3-1) 4%
V2-BB(F)B-1 (3-6) 4%
3-HHEH-5 (3-13) 3%
3-HHEBH-3 (4-6) 4%
1V2-BB―F (21-1) 3%
3-BB(F)B(F,F)-F (22-69) 2%
3-BB(F,F)XB(F,F)-F (22-97) 3%
3-HHBB(F,F)-F (23-6) 3%
5-HB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (23-41) 4%
4-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (23-47) 5%
5-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (23-47) 3%
2-dhBB(F,F)XB(F,F)-F (23-50) 2%
3-dhBB(F,F)XB(F,F)-F (23-50) 3%
3-GBB(F)B(F,F)-F (23-55) 3%
4-GBB(F)B(F,F)-F (23-55) 3%
3-BB(F,F)XB(F)B(F,F)-F (23-56) 3%
NI=70.9℃;η=19.5mPa・s;Δn=0.091;Δε=4.1.
【0303】
[使用例16]
h-Cpr1OB(2F,3F)-O4 (224) 7%
3-HH-V (2-1) 33%
3-HH-V1 (2-1) 5%
3-HHB-1 (3-1) 4%
V-HHB-1 (3-1) 5%
V2-BB(F)B-1 (3-6) 5%
3-HHEH-5 (3-13) 3%
1V2-BB―F (21-1) 1%
3-BB(F)B(F,F)-CF3 (22-69) 2%
3-BB(F,F)XB(F,F)-F (22-97) 4%
3-HHXB(F,F)-F (22-100) 5%
3-GB(F,F)XB(F,F)-F (22-113) 1%
3-GB(F)B(F)-F (22-115) 3%
3-HHBB(F,F)-F (23-6) 4%
5-HB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (23-41) 3%
3-GB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (23-57) 3%
3-GBB(F,F)XB(F,F)-F (23-58) 3%
4-GBB(F,F)XB(F,F)-F (23-58) 3%
5-GBB(F,F)XB(F,F)-F (23-58) 3%
3-GB(F)B(F)B(F)-F (23-59) 3%
NI=71.4℃;η=17.3mPa・s;Δn=0.083;Δε=4.2.
【0304】
[使用例17]
4O-B(2F,3F)-O3(3F) (993) 8%
3-HH-4 (2-1) 4%
3-HB-O1 (2-5) 12%
3-HHB-1 (3-1) 6%
3-HB(2F,3F)-O2 (5-1) 10%
5-HB(2F,3F)-O2 (5-1) 10%
2-HHB(2F,3F)-1 (6-1) 12%
3-HHB(2F,3F)-1 (6-1) 12%
3-HHB(2F,3F)-O2 (6-1) 13%
5-HHB(2F,3F)-O2 (6-1) 13%
NI=73.9℃;η=36.8mPa・s;Δn=0.083;Δε=-3.5.
【0305】
[使用例18]
h-Cp(1,3)1OB(2F,3F)O1Cp(1,3)-h (151) 8%
2-HH-5 (2-1) 2%
3-HH-4 (2-1) 13%
3-HH-5 (2-1) 4%
3-HB-O2 (2-5) 10%
3-HHB-1 (3-1) 3%
3-HHB-3 (3-1) 4%
3-HHB-O1 (3-1) 3%
3-H2B(2F,3F)-O2 (5-4) 12%
5-H2B(2F,3F)-O2 (5-4) 15%
2-HBB(2F,3F)-O2 (6-7) 3%
3-HBB(2F,3F)-O2 (6-7) 9%
5-HBB(2F,3F)-O2 (6-7) 9%
3-HHB(2F,3CL)-O2 (6-12) 5%
【0306】
[使用例19]
6(2F)O-B(2F,3F)-O6(2F) (1105) 5%
2-HH-3 (2-1) 19%
3-HH-4 (2-1) 9%
3-HB-O2 (2-5) 2%
1-BB-3 (2-8) 7%
3-HHB-1 (3-1) 5%
3-HHB-O1 (3-1) 4%
5-B(F)BB-2 (3-8) 2%
3-BB(2F,3F)-O2 (5-3) 8%
5-BB(2F,3F)-O2 (5-3) 5%
2-HH1OB(2F,3F)-O2 (6-5) 13%
3-HH1OB(2F,3F)-O2 (6-5) 21%
NI=71.5℃;η=19.0mPa・s;Δn=0.092;Δε=-3.6.
【0307】
[使用例20]
4(2F)O-B(2F,3F)-O4(2F) (1092) 6%
2-HH-3 (2-1) 16%
7-HB-1 (2-5) 8%
5-HB-O2 (2-5) 8%
5-HBB(F)B-2 (4-5) 11%
5-HBB(F)B-3 (4-5) 10%
3-HB(2F,3F)-O2 (5-1) 15%
5-HB(2F,3F)-O2 (5-1) 13%
3-HHB(2F,3CL)-O2 (6-12) 3%
4-HHB(2F,3CL)-O2 (6-12) 3%
5-HHB(2F,3CL)-O2 (6-12) 2%
3-HH1OCro(7F,8F)-5 (10-6) 5%
NI=71.4℃;η=26.0mPa・s;Δn=0.102;Δε=-2.8.
【0308】
[使用例21]
4O-B(2F,3F)-O5(4Me) (966) 6%
3-HH-V (2-1) 25%
1-BB-3 (2-8) 7%
3-HHB-1 (3-1) 10%
5-B(F)BB-2 (3-8) 6%
3-BB(2F,3F)-O2 (5-3) 10%
2-HH1OB(2F,3F)-O2 (6-5) 21%
3-HH1OB(2F,3F)-O2 (6-5) 15%
NI=71.0℃;η=17.7mPa・s;Δn=0.098;Δε=-3.3.
【0309】
[使用例22]
h-Cpr1OB(2F,3F)-O4 (224) 9%
2-HH-3 (2-1) 5%
3-HH-V1 (2-1) 9%
1V2-HH-1 (2-1) 7%
1V2-HH-3 (2-1) 6%
4-HH-V (2-1) 2%
3-HHB-1 (3-1) 4%
3-HHB-3 (3-1) 2%
3-BB(2F,3F)-O2 (5-3) 4%
5-BB(2F,3F)-O2 (5-3) 2%
3-H1OB(2F,3F)-O2 (5-5) 5%
2-HH1OB(2F,3F)-O2 (6-5) 8%
3-HH1OB(2F,3F)-O2 (6-5) 19%
3-HDhB(2F,3F)-O2 (6-3) 7%
2-BB(2F,3F)B-3 (7-1) 11%
NI=70.9℃;η=22.0mPa・s;Δn=0.093;Δε=-4.2.
【0310】
[使用例23]
4O-B(2F,3F)-O3(3F) (993) 9%
3-HH-4 (2-1) 5%
3-HH-VFF (2-1) 3%
3-HB-O1 (2-5) 13%
1-BB-5 (2-8) 3%
3-HHB-1 (3-1) 6%
5-HB(2F,3F)-O2 (5-1) 10%
V-HB(2F,3F)-O2 (5-1) 2%
2-HHB(2F,3F)-1 (6-1) 11%
3-HHB(2F,3F)-1 (6-1) 12%
3-HHB(2F,3F)-O2 (6-1) 13%
5-HHB(2F,3F)-O2 (6-1) 13%
NI=72.4℃;η=33.9mPa・s;Δn=0.083;Δε=-3.1.
【0311】
[使用例24]
h-Cp(1,3)1OB(2F,3F)O1Cp(1,3)-h (151) 7%
2-HH-3 (2-1) 16%
7-HB-1 (2-5) 5%
5-HB-O2 (2-5) 7%
5-HBB(F)B-2 (4-5) 9%
5-HBB(F)B-3 (4-5) 10%
3-HB(2F,3F)-O2 (5-1) 11%
5-HB(2F,3F)-O2 (5-1) 12%
2-H1OB(2F,3F)-O2 (5-5) 2%
3-H1OB(2F,3F)-O2 (5-5) 3%
2O-B(2F,3F)B(F)-O2 (5-9) 3%
4O-B(2F,3F)B(F)-O2 (5-9) 3%
V-HHB(2F,3F)-O2 (6-1) 3%
V2-HHB(2F,3F)-O2 (6-1) 3%
5-HHB(2F,3CL)-O2 (6-12) 2%
3-HH1OCro(7F,8F)-5 (10-6) 4%
【0312】
[使用例25]
6(2F)O-B(2F,3F)-O6(2F) (1105) 9%
2-HH-5 (2-1) 3%
3-HH-4 (2-1) 13%
3-HH-5 (2-1) 4%
3-HB-O2 (2-5) 10%
3-HHB-1 (3-1) 3%
3-HHB-3 (3-1) 4%
3-HHB-O1 (3-1) 3%
3-DhB(2F,3F)-O2 (5-2) 2%
2-BB(2F,3F)-O2 (5-3) 7%
5-H2B(2F,3F)-O2 (5-4) 10%
3-HH2B(2F,3F)-O2 (6-4) 3%
3-HBB(2F,3F)-O2 (6-7) 9%
V-HBB(2F,3F)-O2 (6-7) 3%
5-HBB(2F,3F)-O2 (6-7) 9%
3-HHB(2F,3CL)-O2 (6-12) 5%
2O-B(2F,3F)B(F)H-3 (6-19) 3%
NI=71.3℃;η=28.3mPa・s;Δn=0.099;Δε=-4.8.
【0313】
[使用例26]
4(2F)O-B(2F,3F)-O4(2F) (1092) 12%
2-HH-3 (2-1) 5%
3-HH-V1 (2-1) 7%
1V2-HH-1 (2-1) 8%
1V2-HH-3 (2-1) 6%
V-HHB-1 (3-1) 3%
V2-HHB-1 (3-1) 3%
3-HHB-1 (3-1) 3%
3-HHB-3 (3-1) 2%
5-BB(2F,3F)-O2 (5-3) 3%
V2-BB(2F,3F)-O2 (5-3) 3%
3-H1OB(2F,3F)-O2 (5-5) 3%
3-HDhB(2F,3F)-O2 (6-3) 7%
3-HH1OB(2F,3F)-O2 (6-5) 19%
3-dhBB(2F,3F)-O2 (6-9) 3%
3-HchB(2F,3F)-O2 (6-18) 3%
2-BB(2F,3F)B-3 (7-1) 10%
NI=75.6℃;η=25.3mPa・s;Δn=0.100;Δε=-4.4.
【0314】
[使用例27]
4O-B(2F,3F)-O5(4Me) (966) 7%
2-HH-3 (2-1) 18%
3-HH-4 (2-1) 9%
3-HB-O2 (2-5) 2%
1-BB-3 (2-8) 3%
3-HHB-1 (3-1) 3%
3-HHB-O1 (3-1) 4%
V-HBB-2 (3-4) 3%
5-B(F)BB-2 (3-8) 4%
3-BB(2F,3F)-O2 (5-3) 5%
5-BB(2F,3F)-O2 (5-3) 5%
2-HH1OB(2F,3F)-O2 (6-5) 13%
3-HH1OB(2F,3F)-O2 (6-5) 15%
3-HB(2F,3F)B-2 (7-2) 4%
V-HH2BB(2F,3F)-O2 (8-3) 5%
NI=73.1℃;η=17.1mPa・s;Δn=0.091;Δε=-3.1.
【0315】
[使用例28]
h-Cpr1OB(2F,3F)-O4 (224) 11%
3-HH-V (2-1) 24%
1-BB-3 (2-8) 3%
3-HHB-1 (3-1) 10%
5-B(F)BB-2 (3-8) 6%
3-BB(2F,3F)-O2 (5-3) 6%
2-HH1OB(2F,3F)-O2 (6-5) 19%
3-HH1OB(2F,3F)-O2 (6-5) 15%
5-HFLF4-3 (13-1) 2%
3-H2BBB(2F,3F)-O2 (8-1) 4%
NI=71.9℃;η=22.1mPa・s;Δn=0.093;Δε=-3.5.
【産業上の利用可能性】
【0316】
本発明の液晶性化合物は、良好な物性を有する。この化合物を含有する液晶組成物は、モニター、テレビなどの液晶表示素子に広く利用できる。