(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】光変調器および光送信装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/03 20060101AFI20221206BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G02F1/03 505
H05K1/02 N
(21)【出願番号】P 2018142555
(22)【出願日】2018-07-30
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 利夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 圭
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-172683(JP,A)
【文献】特開2010-060580(JP,A)
【文献】特開2011-070026(JP,A)
【文献】特開2016-180779(JP,A)
【文献】特開2007-123741(JP,A)
【文献】特開2018-017761(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0147128(US,A1)
【文献】特開2017-004988(JP,A)
【文献】特開2013-172128(JP,A)
【文献】特開2014-082455(JP,A)
【文献】特開2016-194600(JP,A)
【文献】特開2016-181543(JP,A)
【文献】特開2006-050580(JP,A)
【文献】特開2010-191346(JP,A)
【文献】特開2003-233043(JP,A)
【文献】特開2017-181674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
G02F 1/21-7/00
H05K 1/00-1/02
H05K 1/11
H05K 3/40-3/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に光変調素子を収容した光変調器本体と、
基板に伝送線路が形成され、前記伝送線路を介して前記光変調素子と外部回路基板の電極とを接続するフレキシブル回路基板と、を備え、
前記フレキシブル回路基板の前記伝送線路は、
マイクロストリップ線路と、該マイクロストリップ線路に連続し前記外部回路基板の前記電極に半田付けで接続されるコプレーナ線路と、を含み、
前記マイクロストリップ線路の接地電極および前記コプレーナ線路の接地電極のいずれか一方、または、前記マイクロストリップ線路の接地電極および前記コプレーナ線路の接地電極に、切欠きが形成されることによって前記コプレーナ線路の接地電極の線路幅より狭くなるように線路幅が減少した線路幅減少部が設けられて
おり、
前記線路幅減少部は、前記マイクロストリップ線路と前記コプレーナ線路との接続領域に設けられており、
前記コプレーナ線路の接地電極の線路幅a、前記線路幅減少部における線路幅b、前記マイクロストリップ線路の接地電極の線路幅cの関係が、c>a>bであることを特徴とする光変調器。
【請求項2】
前記切欠きは、前記接地電極のみを削除することで形成されていることを特徴とする請求項
1に記載の光変調器。
【請求項3】
前記切欠きは、前記接地電極および前記基板の双方を削除することで形成されていることを特徴とする請求項1
または2に記載の光変調器。
【請求項4】
前記コプレーナ線路は、前記基板における前記外部回路基板に対向する裏面、および該裏面とは反対側の表面、の両面に形成されており、
前記マイクロストリップ線路の接地電極は前記基板の前記表面に形成され、前記マイクロストリップ線路の信号電極は前記基板の前記裏面に形成されており、
前記線路幅減少部は、前記基板の前記表面側に形成された前記コプレーナ線路の前記接地電極に設けられていることを特徴とする請求項1~
3のいずれかに記載の光変調器。
【請求項5】
前記コプレーナ線路は、前記基板における前記外部回路基板に対向する裏面、および該裏面とは反対側の表面、の両面に形成されており、
前記マイクロストリップ線路の接地電極は前記基板の前記表面に形成され、前記マイクロストリップ線路の信号電極は前記基板の前記裏面に形成されており、
前記基板の前記裏面側に形成された前記コプレーナ線路の前記接地電極は、前記基板の前記裏面側に形成された前記コプレーナ線路の前記接地電極の全長にわたって、前記基板の前記表面側に形成された前記コプレーナ線路の前記接地電極の線路幅より狭くなるように線路幅が減少していることを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載の光変調器。
【請求項6】
前記マイクロストリップ線路および前記コプレーナ線路は、該マイクロストリップ線路および該コプレーナ線路の信号電極を対称中心とする左右対称に設けられ、
前記線路幅減少部は、前記マイクロストリップ線路の前記接地電極および前記コプレーナ線路の前記接地電極のいずれか一方、または、前記マイクロストリップ線路の前記接地電極および前記コプレーナ線路の前記接地電極に左右対称の状態に設けられていることを特徴とする請求項1~
5のいずれかに記載の光変調器。
【請求項7】
前記コプレーナ線路は、少なくとも2つの前記接地電極の間に信号電極を配置した構造が、該コプレーナ線路の信号電極を対称中心とする左右対称に設けられ、
前記線路幅減少部は、前記コプレーナ線路の前記接地電極における前記信号電極側、および前記コプレーナ線路の前記接地電極における前記信号電極側とは反対側、のうちの少なくともいずれか一方に設けられていることを特徴とする請求項
6に記載の光変調器。
【請求項8】
前記フレキシブル回路基板の前記基板は、複数の基板材料が重ねられて接着された複層構造を有することを特徴とする請求項1~
7のいずれかに記載の光変調器。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれかに記載の光変調器と、
当該光変調器に光を入射する光源と、
当該光変調器に変調動作を行わせるための電気信号を出力する変調信号生成部と、を備えることを特徴とする光送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調器および当該光変調器を用いた光送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信システムを構築する光送信装置には、筐体内に導波路型の光変調素子を組み込んだ光変調器が用いられている。なかでも、LiNbO3を光変調素子の基板に用いたいわゆるLN光変調器は、光の損失が少なく、かつ広帯域な光変調特性を実現し得ることから、例えば100Gbps超といったデジタルコヒーレント伝送方式の光ファイバ通信システムに広く用いられている。ところで、このような光変調器には、光送信装置の小型化を図るために小型化が要求されている。そのために、光変調器の筺体に設けられていた従来のプッシュオン型同軸コネクタに代えて、バイアス電極のインタフェースと同様のリードピンを採用し、このリードピンと、トランスポンダを構成する外部回路基板とをフレキシブル回路基板(FPC:Flexible Printed Circuits)で接続する面実装インタフェースが提案され、実用化が進んでいる。
【0003】
このような面実装インタフェースによる光変調器によれば、筐体にプッシュオン型同軸コネクタを設ける必要がないため、筐体の小型化が図られる。また、同軸コネクタを構成する同軸ケーブルの余長処理を行う必要がないため、光変調器の実装スペースを縮小することができるという利点がある。
【0004】
また、従来の光変調器に用いられるFPCとして、柔軟性を有する誘電体からなるポリイミド等の薄い樹脂を基板として用いたものが知られている(特許文献1等参照)。この特許文献1に開示された光変調器は、その基板に、Auからなる導電材料によって伝送線路のパターンが例えば10μm厚程度の薄膜で形成されている。特許文献1に開示された光変調器におけるFPCは、その一部が筐体と外部回路基板との間に挿入され、その挿入部分の伝送線路に上述したリードピンが接続されており、筐体から外部に出ている部分の伝送線路の電極が、半田付けによって外部回路基板の電極に直接接続されるようになっている。
【0005】
特許文献1に開示された光変調器にあっては、外部回路基板の電極に対するFPCの電極の半田付けの際に、ポリイミド等からなるFPCの基板が熱の影響を受けやすい。このため、半導体分野等において一般的なリフロー炉を用いた半田付けを行うことができず、半田ゴテを用いた局所的な半田付けにより行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、FPCの伝送線路のパターンとしては、基板の一方の面に幅の広い接地電極を形成し、他方の面に短冊状の幅の狭い信号電極を形成したマイクロストリップ線路や、基板の片面あるいは両面に設けられ、信号電極を接地電極で挟んだ構成のコプレーナ線路等の高周波用伝送線路が用いられている。また、マイクロストリップ線路とコプレーナ線路とを連続して組み合わせた線路パターンは、上記LN光変調器に採用されている。
【0008】
このような、FPCの伝送線路が、上記のようにマイクロストリップ線路とコプレーナ線路とが混在しコプレーナ線路の電極が外部回路基板の電極に半田付けされる光変調器においては、半田付けの際の熱によりFPCの基板がダメージを受ける場合があった。これは、以下の理由による。
【0009】
すなわち、幅が広く面積が大きいマイクロストリップ線路の接地電極の方が、コプレーナ線路の接地電極よりも熱容量が大きく、この熱容量の差に起因して、半田付けの際の熱がコプレーナ線路の接地電極からマイクロストリップ線路の接地電極に移動する熱逃げという現象が生じる。この熱逃げが生じると、コプレーナ線路の接地電極の加熱に時間がかかってしまい、半田付けに要する時間が長くなる。その結果、半田付けの熱によるダメージを基板が受ける。熱による基板のダメージは、変形や溶融といった他に、基板が基板材料を2枚重ねた構成の場合には剥離が生じる。特に鉛フリーの半田を使用した場合には、溶融温度が比較的高いため、上記問題が起こりやすい。このように基板が半田付けの際の熱によってダメージを受けると光変調器として使用が不可能になるため、有効な対策が求められた。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、フレキシブル回路基板(FPC)の基板に熱によるダメージを与えることなくフレキシブル回路基板の電極を外部回路基板の電極に半田付けすることができる光変調器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る光変調器は、(1)筐体内に光変調素子を収容した光変調器本体と、基板に伝送線路が形成され、前記伝送線路を介して前記光変調素子と外部回路基板の電極とを接続するフレキシブル回路基板と、を備え、前記フレキシブル回路基板の前記伝送線路は、マイクロストリップ線路と、該マイクロストリップ線路に連続し前記外部回路基板の前記電極に半田付けで接続されるコプレーナ線路と、を含み、前記マイクロストリップ線路の接地電極および前記コプレーナ線路の接地電極のいずれか一方、または、前記マイクロストリップ線路の接地電極および前記コプレーナ線路の接地電極に、切欠きが形成されることによって前記コプレーナ線路の接地電極の線路幅より狭くなるように線路幅が減少した線路幅減少部が設けられており、前記線路幅減少部は、前記マイクロストリップ線路と前記コプレーナ線路との接続領域に設けられており、前記コプレーナ線路の接地電極の線路幅a、前記線路幅減少部における線路幅b、前記マイクロストリップ線路の接地電極の線路幅cの関係が、c>a>bであることを特徴とする。
【0012】
この構成により、本発明に係る光変調器は、線路幅減少部がコプレーナ線路の接地電極に設けられた場合、線路幅減少部が設けられたコプレーナ線路の接地電極の熱容量が、接地電極の面積の減少によって低減するので、コプレーナ線路の接地電極の加熱効率を増大させることができる。また、本発明に係る光変調器は、線路幅減少部がマイクロストリップ線路の接地電極に設けられた場合、マイクロストリップ線路の接地電極の熱容量が低減する。このため、コプレーナ線路の接地電極からマイクロストリップ線路の接地電極へ熱が伝達しにくくなり、熱逃げが抑えられる。その結果、コプレーナ線路の接地電極の加熱効率を増大させることができる。また、本発明に係る光変調器は、線路幅減少部がマイクロストリップ線路およびコプレーナ線路の接地電極の双方に設けられている場合、線路幅減少部が設けられたマイクロストリップ線路およびコプレーナ線路の接地電極の熱容量が、接地電極の面積の減少によって低減する。このため、コプレーナ線路の接地電極の加熱効率を増大させることができる。また、マイクロストリップ線路の接地電極の熱容量が低減することにより、コプレーナ線路の接地電極からマイクロストリップ線路の接地電極へ熱が伝達しにくくなり、熱逃げが抑えられる。このため、コプレーナ線路の接地電極の加熱効率を増大させることができる。
このように、本発明に係る光変調器は、コプレーナ線路の接地電極の加熱効率を増大させることができる。このため、コプレーナ線路の接地電極を外部回路基板の接地電極に半田付けする際に、コプレーナ線路の接地電極は従来と比較して短時間で十分に加熱され、半田付けに要する時間を短縮させることができる。
したがって、本発明の光変調器は、半田付けの際にフレキシブル回路基板の基板が加熱される時間が短くなり、その結果、フレキシブル回路基板の基板に熱によるダメージを与えることなく半田付けを完了させることができる。
また、この構成により、本発明に係る光変調器は、接地電極に切欠きが形成されることにより、切欠きが形成された接地電極の面積の減少によって該接地電極の熱容量が低減するため、コプレーナ線路の接地電極の加熱効率が増大する。したがって、本発明に係る光変調器は、コプレーナ線路の接地電極を外部回路基板の接地電極に半田付けする際に、コプレーナ線路の接地電極は従来と比較して短時間で十分に加熱されるので、半田付けに要する時間を短縮させることができる。この結果、本発明に係る光変調器は、半田付けの際にフレキシブル回路基板の基板が加熱される時間が短くなるので、フレキシブル回路基板の基板に熱によるダメージを与えることなく半田付けを完了させることができる。
また、この構成により、本発明に係る光変調器は、コプレーナ線路の接地電極からマイクロストリップ線路の接地電極への熱逃げが効果的に抑えられ、コプレーナ線路の接地電極の加熱効率がより増大し、半田付けに要する時間をさらに短縮させることができる。ここで、本発明に係る光変調器における接続領域とは、マイクロストリップ線路とコプレーナ線路との境界および該境界の周囲部分であってマイクロストリップ線路からコプレーナ線路へ伝送線路のパターンが変換する領域のことをいう。
【0015】
本発明に係る光変調器は、(3)前記切欠きは、前記接地電極のみを削除することで形成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成により、本発明に係る光変調器は、基板にマイクロストリップ線路およびコプレーナ線路を形成した後に接地電極を削除して切欠きを形成することにより、線路幅減少部を任意の位置に設けることができるため、設計の自由度の向上を図ることができる。
【0017】
本発明に係る光変調器は、(4)前記切欠きは、前記接地電極および前記基板の双方を削除することで形成されていることを特徴とする。
【0018】
この構成により、本発明に係る光変調器は、基板にマイクロストリップ線路およびコプレーナ線路を形成した後に、線路幅減少部を容易に設けることができる。
【0019】
本発明に係る光変調器は、(5)前記コプレーナ線路は、前記基板における前記外部回路基板に対向する裏面、および該裏面とは反対側の表面、の両面に形成されており、前記マイクロストリップ線路の接地電極は前記基板の前記表面に形成され、前記マイクロストリップ線路の信号電極は前記基板の前記裏面に形成されており、前記線路幅減少部は、前記基板の前記表面側に形成された前記コプレーナ線路の前記接地電極に設けられていることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る光変調器は、(6)前記コプレーナ線路は、前記基板における前記外部回路基板に対向する裏面、および該裏面とは反対側の表面、の両面に形成されており、前記マイクロストリップ線路の接地電極は前記基板の前記表面に形成され、前記マイクロストリップ線路の信号電極は前記基板の前記裏面に形成されており、前記基板の前記裏面側に形成された前記コプレーナ線路の前記接地電極は、前記基板の前記裏面側に形成された前記コプレーナ線路の前記接地電極の全長にわたって、前記基板の前記表面側に形成された前記コプレーナ線路の前記接地電極の線路幅より狭くなるように線路幅が減少していることを特徴とする。
【0021】
この構成により、本発明に係る光変調器は、線路幅減少部をマイクロストリップ線路とコプレーナ線路との接続領域に設けることができるとともに、線路幅減少部を設けた接地電極の熱容量を大幅に低減させることができる。このため、上述したフレキシブル回路基板の基板に熱によるダメージを与えることなく半田付けを完了させることができるといった本発明の効果を顕著に得ることができる。
【0022】
本発明に係る光変調器は、(7)前記マイクロストリップ線路および前記コプレーナ線路は、該マイクロストリップ線路および該コプレーナ線路の信号電極を対称中心とする左右対称に設けられ、前記線路幅減少部は、前記マイクロストリップ線路の前記接地電極および前記コプレーナ線路の前記接地電極のいずれか一方、または、前記マイクロストリップ線路の前記接地電極および前記コプレーナ線路の前記接地電極に左右対称の状態に設けられていることを特徴とする。
【0023】
この構成により、本発明の光変調器は、伝送線路を流れる信号の伝送効率に左右のアンバランスが発生することを抑制することができる。
【0024】
本発明に係る光変調器は、(8)前記コプレーナ線路は、少なくとも2つの前記接地電極の間に信号電極を配置した構造が、該コプレーナ線路の信号電極を対称中心とする左右対称に設けられ、前記線路幅減少部は、前記コプレーナ線路の前記接地電極における前記信号電極側、および前記コプレーナ線路の前記接地電極における前記信号電極側とは反対側、のうちの少なくともいずれか一方に設けられていることを特徴とする。
【0025】
この構成により、本発明に係る光変調器は、線路幅減少部が設けられてもコプレーナ線路に流れる信号の伝送効率に左右のアンバランスが発生することを抑制することができる。また、この構成により、本発明に係る光変調器は、接地電極に設けられる線路幅減少部が信号電極側とは反対側に設けられた場合、接地電極と信号電極との間隔に変化がないため、信号の伝送効率のロスを抑制することができる。
【0028】
本発明に係る光変調器は、(10)前記フレキシブル回路基板の前記基板は、複数の基板材料が重ねられて接着された複層構造を有することを特徴とする。
【0029】
この構成により、本発明に係る光変調器は、上述のように半田付けの時間が短縮されることにより、複数の基板材料の接着状態に変化は起こらず、このため基板が剥離するおそれを解消することができる。
【0030】
本発明に係る光送信装置は、(11)上記本発明に係る光変調器と、当該光変調器に光を入射する光源と、当該光変調器に変調動作を行わせるための電気信号を出力する変調信号生成部と、を備えることを特徴とする。
【0031】
この構成により、本発明に係る光送信装置は、フレキシブル回路基板の基板に熱によるダメージを与えることなく半田付けを完了させることができる光変調器を備えた光送信装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、フレキシブル回路基板の基板に熱によるダメージを与えることなくフレキシブル回路基板の電極を外部回路基板の電極に半田付けすることができる光変調器を提供することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る光変調器を用いた光送信装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る光変調器が外部回路基板に実装された状態を示す側断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る光変調器を構成するフレキシブル回路基板であって、(A):表面側の平面図、(B):裏面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るフレキシブル回路基板を構成する基板および伝送線路の各領域を網掛けの有無により区分けして示した(A):表面側の平面図、(B):裏面図である。
【
図5】(A):
図3(A)のa-a断面図、(B):
図3(A)のb-b断面図、(C):
図3(A)のc-c断面図、(D):
図3(A)のd-d断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る光変調器のフレキシブル回路基板と外部回路基板との接続構造を示す平面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係るフレキシブル回路基板のコプレーナ線路と外部回路基板の電極とを半田付けする方法の一例を示す正面断面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態の変更例を示すFPCの平面図である。
【
図9】本発明の第1実施形態の別の変更例を示すFPCの平面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る光変調器を構成するフレキシブル回路基板であって、(A):表面側の平面図、(B):裏面図である。
【
図11】(A):
図10(A)のa-a断面図、(B):
図10(A)のb-b断面図、(C):
図10(A)のc-c断面図、(D):
図10(A)のd-d断面図である。
【
図12】本発明に係る線路幅減少部の変更例を示すフレキシブル回路基板の平面図である。
【
図13】本発明に係る線路幅減少部の別の変更例を示すフレキシブル回路基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[第1実施形態]
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1実施形態を説明する。
まず、構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る光変調器1を用いた光送信装置6の構成を示しており、当該光送信装置6は、光変調器1と、当該光変調器1に光を入射する光源7と、光変調器1に変調動作を行わせるための電気信号を出力する変調信号生成部8と、を備えている。
【0036】
変調信号生成部8は、外部から入力された変調データに基づき、光変調器1に変調データに応じた光変調動作を行わせるための高周波信号である変調信号を生成して出力する電子回路を備えている。光送信装置6によると、変調信号生成部8で生成された変調信号が光変調器1に入力され、光源7から出力された光が、光変調器1により変調され変調光となって光変調器1から出力される。
【0037】
図2は、第1実施形態に係る光変調器1が外部回路基板9上に実装された状態の断面を示している。外部回路基板9は、上記光送信装置6の変調信号生成部8を構成するものであり、光変調器1に変調動作を行わせるための電子回路を備えている。上記光送信装置6は、この外部回路基板9を介して、変調信号生成部8で生成された変調信号が光変調器1に入力されるようになっている。
【0038】
第1実施形態に係る光変調器1は、筐体100内に光変調素子110を収容した光変調器本体10と、基板に伝送線路が形成され、その伝送線路を介して光変調素子110と外部回路基板9の電極とを接続するフレキシブル回路基板20(以下、FPC20という)と、を備えている。本実施形態のFPC20は、伝送経路として、後述するように光変調器本体10に接続されるマイクロストリップ線路300と、マイクロストリップ線路300に連続し外部回路基板9の電極に半田付けで接続される表面側コプレーナ線路400Aおよび裏面側コプレーナ線路400Bと、を含み、表面側コプレーナ線路400Aに形成された接地電極に、線路幅が減少した線路幅減少部が設けられている。
【0039】
図2に示すように、光変調器本体10は、筐体100と、筐体100内に収容されて気密封止された光変調素子110、中継基板120およびリードピン130と、を有する。筐体100は、ステンレス等の金属からなる直方体状の箱体101と、同じくステンレス等の金属からなる平板状の蓋体109と、を有する。筐体100内に収容された光変調素子110および中継基板120は、箱体101内の底部に所定間隔をおき並べて配置されている。筐体100を構成する箱体101は、
図2中左側の下面に凹部102が形成されたものであり、この凹部102に、FPC20の一部が挿入されている。箱体101には、その底部に、凹部102から箱体101内に貫通する貫通孔103が形成されており、この貫通孔103には、該貫通孔103を気密封止する封止材104が設けられている。
【0040】
筐体100内に収容された中継基板120は、
図2中左側の端部が封止材104上にかかっており、この封止材104と、中継基板120およびFPC20に、リードピン130が貫通している。本実施形態に係るリードピン130としては、接地電極と信号電極が同軸的に配されるとともに絶縁性のガラスにより絶縁された構成のガラスリードピンが好適に用いられる。光変調器本体10は、光変調素子110と中継基板120、および中継基板120とリードピン130の上端部が、それぞれ金線等からなるワイヤボンディング141、142で接続された構成となっている。本実施形態のリードピン130は、その下端部が後述するようにFPC20のマイクロストリップ線路300に接続されている。
【0041】
本実施形態に係る光変調素子110は、100Gbps超といった高速・大容量光ファイバ通信システムに好適なものとして、LiNbO3からなる基板に光導波路や変調電極が形成されたLN光変調素子が用いられる。LN光変調素子は、マッハツェンダ型光導波路と、当該光導波路に変調信号である高周波信号を印加するためのRF電極と、当該光導波路における変調特性が良好に保たれるように種々の調整を行うためのバイアス電極とを備えた構成である。本実施形態に係る光変調器1は、光変調素子110の前記各電極が、ワイヤボンディング141、中継基板120、ワイヤボンディング142、リードピン130およびFPC20を介して、外部回路基板9に電気的に接続された構成となっている。
【0042】
図3(A)および
図4(A)はFPC20の表面を示し、
図3(B)および
図4(B)はFPC20の裏面を示している。また、
図5(A)~(D)は、
図3(A)のそれぞれa-a断面、b-b断面、c-c断面、d-d断面を示している。これら図に示すように、FPC20は、長方形状の基板200と、この基板200に形成された伝送線路としてのマイクロストリップ線路300、表面側コプレーナ線路400Aおよび裏面側コプレーナ線路400Bと、を有する。
【0043】
ここで、
図4は
図3を引用してFPC20を構成する基板200の領域と、伝送線路すなわちマイクロストリップ線路300、表面側コプレーナ線路400Aおよび裏面側コプレーナ線路400Bとの領域とをより明らかに区別して分かるように示した図である。同図では、基板200の領域を多数のドットによる網掛けを描いて示し、伝送線路としてのマイクロストリップ線路300、表面側コプレーナ線路400Aおよび裏面側コプレーナ線路400Bの電極を白抜きで示している。後述する第2実施形態や変更例で参照するFPC20の表面および裏面を示す図においても、基板200の領域と、マイクロストリップ線路300、表面側コプレーナ線路400Aおよび裏面側コプレーナ線路400Bの領域は、
図4に準じたものとなっている。
【0044】
FPC20の基板200は、柔軟性を有する誘電体からなるポリイミド等の薄い樹脂からなり、その厚さは、所望のインピーダンスが確保される厚さであって例えば100μm程度の厚さを有している。
図5に示すように、本実施形態の基板200は、2枚の基板材料201が重ねられて接着された複層構造を有する。基板材料201は厚さが50μm程度のもので、2枚の基板材料201が接着剤202によって貼り合わされて基板200が構成されている。接着剤202は、基板材料201に応じて選択され、例えばエポキシ系熱硬化樹脂等の接着剤が用いられる。ここで、本実施形態における基板200は前述のように2枚の基板材料201が重ねて接着したものであるが、本発明のFPCの基板はこれに限定されず、3枚以上の複数の基板材料を重ねて接着した構成のものであってよい。また、基板200としては複層構造ではなく、適宜厚さの1枚の基板材料からなるものを用いてもよい。
【0045】
本実施形態に係るFPC20は、
図3において上下方向が電気信号の伝送方向となっている。FPC20には、基板200におけるその伝送方向の概ね半分よりも上側の領域に、マイクロストリップ線路300が形成されている。また、基板200におけるその伝送方向の下側の領域に、表面側コプレーナ線路400Aおよび裏面側コプレーナ線路400Bが形成されている。
図3の破線は、マイクロストリップ線路300の形成領域と、表面側コプレーナ線路400Aおよび裏面側コプレーナ線路400Bの形成領域の境界を示している。マイクロストリップ線路300、表面側コプレーナ線路400Aおよび裏面側コプレーナ線路400Bは、いずれもAu、Cu等の導電材料による10μm厚程度の薄膜によって形成されており、その薄膜は、例えばメッキで構成することができる。
【0046】
本実施形態に係るマイクロストリップ線路300は、基板200の表面に形成された幅の広い矩形状の接地電極310と、基板200の裏面中央に形成された伝送方向に延びる短冊状の信号電極320と、を有する。マイクロストリップ線路300の接地電極310の長さ、すなわち
図3で上下方向の長さは、マイクロストリップ線路300の形成領域の全長にわたる長さを有している。また、マイクロストリップ線路300の接地電極310の幅は、基板200の幅よりもやや短く、これにより該接地電極310両端の側縁の外側には、基板200の露出部分が設けられている。一方、マイクロストリップ線路300の信号電極320は、基板200の裏面の幅方向中央に、伝送方向に延在するよう形成されている。この信号電極320の長さは、マイクロストリップ線路300の形成領域の全長にわたる長さを有している。本実施形態に係るマイクロストリップ線路300は、該マイクロストリップ線路300の信号電極320を対称中心とする左右対称に設けられている。
【0047】
本実施形態に係るFPC20が有するコプレーナ線路は、基板200における外部回路基板9に対向する裏面、および該裏面とは反対側の表面、の両面にそれぞれ形成されている。すなわち当該FPC20は、基板200の表面に形成された表面側コプレーナ線路400Aと、基板200の裏面に形成された裏面側コプレーナ線路400Bと、を有する。
【0048】
図3(A)に示すように、表面側コプレーナ線路400Aは、2つの短冊状の接地電極411、412の間に短冊状の信号電極421を配置した構造を有する。すなわち、表面側コプレーナ線路400Aは、2つの短冊状の第1の接地電極411および第2の接地電極412と、これら第1の接地電極411と第2の接地電極412との間に配置された短冊状の第1の信号電極421と、を有する。表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411および第2の接地電極412と、第1の信号電極421は、互いに平行であって、伝送方向に延びるように形成されている。
【0049】
表面側コプレーナ線路400Aを構成する第1の信号電極421は、基板200の幅方向中央に配置されており、この第1の信号電極421の両側に、第1の接地電極411および第2の接地電極412がそれぞれ配置されている。第1の接地電極411および第2の接地電極412は、同一の幅を有し、長さは表面側コプレーナ線路400Aの形成領域の全長にわたる長さをそれぞれ有している。また、表面側コプレーナ線路400Aを構成する第1の信号電極421は、
図3(A)において基板200の下端からマイクロストリップ線路300の接地電極310の方向に延びている。この第1の信号電極421は、表面側コプレーナ線路400Aの形成領域の長さよりも短く設定されている。これにより、第1の信号電極421のマイクロストリップ線路300側の先端とマイクロストリップ線路300の接地電極310との間には、間隔が設けられている。
【0050】
本実施形態に係る表面側コプレーナ線路400Aは、第1の信号電極421を対称中心とする左右対称のパターンに形成されている。したがって表面側コプレーナ線路400Aは、第1の信号電極421と第1の接地電極411との間隔および第1の信号電極421と第2の接地電極412との間隔が等しくなるように構成されている。
【0051】
図3(A)に示すように、表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411および第2の接地電極412は、マイクロストリップ線路300の接地電極310の両端部にそれぞれ接続されている。これら第1の接地電極411および第2の接地電極412は、それぞれ、第1の接地電極411の外側および第2の接地電極412の外側に基板200の露出部分を形成する外側の側縁を有する。それら外側の側縁は、マイクロストリップ線路300の接地電極310の側縁と揃い伝送方向に沿って一直線状に延びるように形成されている。FPC20の表面には、上記のように表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411および第2の接地電極412がマイクロストリップ線路300の接地電極310の両端部に接続されている。これにより、これら第1の接地電極411および第2の接地電極412と接地電極310とによる門型形状の連続した接地電極が構成されている。
【0052】
一方、
図3(B)に示すように、基板200の裏面に形成された裏面側コプレーナ線路400Bは、2つの短冊状の第3の接地電極413および第4の接地電極414と、第3の接地電極413と第4の接地電極414との間に配置された短冊状の第2の信号電極422と、を有する。第3の接地電極413は、表面側の第1の接地電極411に対応する位置に形成され、第4の接地電極414は、表面側の第2の接地電極412に対応する位置に形成され、第2の信号電極422は、表面側の第1の信号電極421に対応する位置に形成されている。裏面側コプレーナ線路400Bの第3の接地電極413および第4の接地電極414と、第2の信号電極422は、互いに平行であって、伝送方向に延びるように形成されている。
【0053】
図3(B)に示すように、裏面側コプレーナ線路400Bを構成する第2の信号電極422は、基板200の幅方向中央に配置されており、この第2の信号電極422の両側に、第3の接地電極413および第4の接地電極414がそれぞれ配置されている。第3の接地電極413および第4の接地電極414は、表面側コプレーナ線路400A側の第1の接地電極411および第2の接地電極412と同一の幅を有し、長さは裏面側コプレーナ線路400Bの形成領域の全長にわたる長さを有している。本実施形態の裏面側コプレーナ線路400Bは、第2の信号電極422を対称中心とする左右対称のパターンに形成されている。したがって裏面側コプレーナ線路400Bは、第2の信号電極422と第3の接地電極413との間隔および第2の信号電極422と第4の接地電極414との間隔が等しくなるように構成されている。
【0054】
図3(B)に示すように、裏面側コプレーナ線路400Bの第2の信号電極422は、裏面側コプレーナ線路400Bの形成領域の全長にわたる長さを有し、マイクロストリップ線路300の信号電極320に接続されている。FPC20の裏面には、上記のように裏面側コプレーナ線路400Bの第2の信号電極422とマイクロストリップ線路300の信号電極320とが接続されたことにより、これら第2の信号電極422および信号電極320による伝送方向に延びる一直線状に連続した信号電極が構成されている。
【0055】
図3(B)に示すように、本実施形態のFPC20においては、マイクロストリップ線路300の信号電極320は、裏面側コプレーナ線路400Bの第2の信号電極422よりも細く形成されている。そしてこの信号電極320は、裏面側コプレーナ線路400Bの第2の信号電極422への接続端部がテーパ状に広がって第2の信号電極422への接続端が該第2の信号電極422の幅と同一になるように構成されている。
【0056】
一般に、光変調器は、安定した特性インピーダンスを得るために、コプレーナ線路の接地電極の幅は信号電極の幅以上を有することが好ましい。本実施形態では、
図3(A)に示すように、表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411および第2の接地電極412の幅は、それぞれ第1の信号電極421の幅の2倍程度を有している。また、
図3(B)に示すように、裏面側コプレーナ線路400Bの第3の接地電極413および第4の接地電極414の幅は、それぞれ第2の信号電極422の幅の2倍程度を有している。このように本実施形態における各接地電極411、412、413、414においては、十分な幅が確保されている。
【0057】
また、コプレーナ線路においては、信号電極の幅や信号電極と接地電極との間隔がインピーダンスに影響を与えるため、必要とするインピーダンス値に応じてそれらの寸法が設定される。例えば、本実施形態において表面側コプレーナ線路400Aにおける第1の信号電極421の幅Wが350μmの場合には、第1の信号電極421と第1の接地電極411との間隔、および第1の信号電極421と第2の接地電極412との間隔は、それぞれ100μm程度が適正な間隔とされる。
【0058】
図3、
図4および
図5(D)に示すように、本実施形態に係るFPC20には、基板200を挟んで一対の状態に設けられた表面側コプレーナ線路400A側の電極と裏面側コプレーナ線路400B側の電極とをそれぞれ導通させる複数のスルーホールが形成されている。すなわち、表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411と裏面側コプレーナ線路400Bの第3の接地電極413とは、3つのスルーホール211a・211b・211cによって導通するようになっている。また、表面側コプレーナ線路400Aの第2の接地電極412と裏面側コプレーナ線路400Bの第4の接地電極414とは、3つのスルーホール212a・212b・212cによって導通するようになっている。また、表面側コプレーナ線路400Aの第1の信号電極421と裏面側コプレーナ線路400Bの第2の信号電極422とは、3つのスルーホール213a・213b・213cによって導通するようになっている。これらスルーホール211a~211c、212a~212c、213a~213cは、FPC20に貫通形成した円筒状の細孔の内面にCu等の導電材料をメッキすることで形成されている。
【0059】
本実施形態のスルーホール211a~211cは、表面側の第1の接地電極411および裏面側の第3の接地電極413の幅方向中央に、伝送方向に等間隔をおいて配置されている。また、本実施形態のスルーホール212a~212cおよびスルーホール213a~213cも、同様に配置されている。すなわち、スルーホール212a~212cは表面側の第2の接地電極412および裏面側の第4の接地電極414の幅方向中央に伝送方向に間隔をおいて配置されている。また、スルーホール213a~213cは表面側の第1の信号電極421および裏面側の第2の信号電極422の幅方向中央に伝送方向に間隔をおいて配置されている。本実施形態のFPC20は、前述のように表裏で一対とされる接地電極411・413、412・414、および信号電極421・422に、それぞれスルーホールが3つずつ形成されているが、それら表裏一対の接地電極411・413、412・414、および信号電極421・422に形成するスルーホールの数や形成箇所等は任意である。
【0060】
FPC20に形成されたスルーホール211a~211c、212a~212c、213a~213cは、後述するようにFPC20を外部回路基板9に半田付けする際に利用されるものである。その半田付けの際には、表面側コプレーナ線路400Aの上記各電極411、412、421、裏面側コプレーナ線路400Bの上記各電極413、414、422にそれぞれ半田が設置される。そしてこれら半田が溶融されると、溶融した該半田がスルーホール211a~211c、212a~212c、213a~213cに充満するようになっている。
【0061】
本実施形態に係るFPC20は、次のようにして光変調器本体10に接続される。すなわち
図2に示すように、マイクロストリップ線路300の接地電極310が設けられている表面を上に向けて、マイクロストリップ線路300が設けられた領域を筐体100の凹部102内に挿入する。次いで、リードピン130をマイクロストリップ線路300に接続する。
【0062】
図2に示すように、本実施形態に係る光変調器1は、リードピン130がFPC20を貫通している。そして、リードピン130が備える接地電極がマイクロストリップ線路300の接地電極310に半田付け等で接続され、リードピン130が備える信号電極がマイクロストリップ線路300の信号電極320に半田付け等の手段で接続されている。
【0063】
図3(A)に示すように、本実施形態のFPC20は、表面側のコプレーナ線路400Aの、第1の接地電極411に線路幅が減少した第1の線路幅減少部261が設けられ、第2の接地電極412に線路幅が減少した第2の線路幅減少部262が設けられている。これら線路幅減少部261、262は、マイクロストリップ線路300と、表面側コプレーナ線路400Aおよび裏面側コプレーナ線路400Bとの接続領域220における第1の接地電極411および第2の接地電極412にそれぞれ形成されたスリット251、252によって設けられている。本実施形態に係るスリット251、252は、本発明の切欠きを構成する。
【0064】
本発明に係る線路幅減少部とは、当該線路幅減少部が設けられた接地電極のうち、他の部分と比較して線路幅が減少している部分をいう。すなわち本実施形態においては、接地電極411、412のうちのスリット251、252が形成されていない部分が、接地電極411、412における他の部分である。また、線路幅減少部261、262は、スリット251、252が形成されたことによって、スリット251、252が形成されていない部分よりも線路幅が減少させられた部分をいう。
【0065】
図3(A)において二点鎖線は、前述したマイクロストリップ線路300と、表面側コプレーナ線路400Aおよび裏面側コプレーナ線路400Bとの接続領域220を示している。この接続領域220は、マイクロストリップ線路300と表面側コプレーナ線路400Aおよび裏面側コプレーナ線路400Bとの破線で示す境界および該境界の周囲部分であってマイクロストリップ線路300から表面側コプレーナ線路400Aおよび裏面側コプレーナ線路400Bへ伝送線路のパターンが変換する領域のことをいう。
【0066】
図3(A)に示すように、本実施形態のFPC20は、表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411にスリット251が形成され、第2の接地電極412にスリット252が形成されている。これらスリット251、252は、マイクロストリップ線路300と表面側コプレーナ線路400Aとの境界に臨む部分の内側、すなわち第1の信号電極421側に形成されている。本実施形態のスリット251は、マイクロストリップ線路300の接地電極310および表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411の縁の内側で囲まれる矩形状の空白部分をいう。また、本実施形態のスリット252は、マイクロストリップ線路300の接地電極310および表面側コプレーナ線路400Aの第2の接地電極412の縁の内側で囲まれる空白部分をいう。なお、以下の変更例や第2実施形態で説明するスリットも、マイクロストリップ線路やコプレーナ線路の電極の縁の内側に形成される空白部分をいうものとする。
【0067】
表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411には、スリット251が形成されたことにより線路幅減少部261が設けられ、表面側コプレーナ線路400Aの第2の接地電極412には、スリット252が形成されたことにより線路幅減少部262が設けられている。線路幅減少部261、262は、それぞれ第1の接地電極411、第2の接地電極412の外側、すなわち第1の信号電極421側とは反対側に配置され、左右対称の状態に設けられている。スリット251、252は、左右方向に延びる矩形状であって、左右方向の長さは第1の接地電極411および第2の接地電極412の幅の1/2程度を有し、したがって線路幅減少部261、262の幅は、第1の接地電極411および第2の接地電極412の1/2程度を有している。ここで、第1の接地電極411に形成されるスリット251および第2の接地電極412に形成されるスリット252の寸法は、次のように設定される。例えば、100Gのデジタルコヒーレント通信に使用する最大周波数は、DC~32GHzである。これに基づいてFPC20にスリット251、252を形成することによる信頼性と損なわれる周波数成分を考慮すると、スリット251、252の寸法としては、その幅は100~250μm程度、その長さは100~250μm程度が好ましい。
【0068】
本実施形態の光変調器1においては、接地電極のみ、すなわち第1の接地電極411および第2の接地電極412を削除することによりスリット251、252を形成してもよく、基板200と第1の接地電極411および第2の接地電極412とを削除することによりスリット251、252を形成してもよい。
【0069】
前述のように第1の接地電極411および第2の接地電極412を削除することによりスリット251、252を形成する場合には、第1の接地電極411および第2の接地電極412をパンチング加工したりレーザトリミングしたりするといった手法により行うことができる。本実施形態の光変調器1においては、第1の接地電極411および第2の接地電極412を削除することによりスリット251、252を形成する場合には、線路幅減少部261、262を任意の位置に設けることができるため、設計の自由度の向上を図ることができるといった効果を得ることができる。
【0070】
また、前述のように基板200と第1の接地電極411および第2の接地電極412とを削除することによりスリット251、252を形成する場合には、抜き型を用いてFPC20に孔開け加工を施すことにより可能である。本実施形態の光変調器1においては、基板200と第1の接地電極411および第2の接地電極412とを削除することによりスリット251、252を形成する場合には、線路幅減少部261、262を容易に設けることができるといった効果を得ることができる。
【0071】
また、前述のパンチング加工やレーザトリミング、あるいは抜き型による孔開け加工といった後加工によらず、基板200にマイクロストリップ線路300、表面側コプレーナ線路400Aおよび裏面側コプレーナ線路400Bを形成する段階で、予めスリット251、252が形成された接地電極のパターンを形成するようにしてもよい。
【0072】
図2に示したように、本実施形態に係る光変調器1は、FPC20における表面側コプレーナ線路400Aおよび裏面側コプレーナ線路400Bが形成された領域が筐体100から外部に出されており、この筐体100から外部に出された領域が、外部回路基板9の電極に半田付けされ、外部回路基板9上に実装されるようになっている。
【0073】
図6および
図7に示すように、外部回路基板9は、FPC20の第1の接地電極411および第3の接地電極413に対応する接地電極911と、FPC20の第2の接地電極412および第4の接地電極414に対応する接地電極912と、FPC20の第1の信号電極421および第2の信号電極422に対応する信号電極920と、を有する。FPC20は、第1の接地電極411および第3の接地電極413が接地電極911に半田付けされ、第2の接地電極412および第4の接地電極414が接地電極912に半田付けされ、第1の信号電極421および第2の信号電極422が信号電極920に半田付けされる。FPC20は、外部回路基板9に、例えば以下のような方法で半田付けされる。
【0074】
FPC20および外部回路基板9は、半田付けの際に
図7に示すようにセットされる。すなわちこのようにFPC20および外部回路基板9をセットするには、はじめに、外部回路基板9の接地電極911、912および信号電極920の上に、半田51、52、53をそれぞれ設置する。次に、FPC20を、半田51に第3の接地電極413が当接し、半田52に第4の接地電極414が当接し、半田53に第2の信号電極422が当接するように外部回路基板9上に戴置する。次いで、表面側コプレーナ線路400Aの、第1の接地電極411の上に半田54を設置し、第2の接地電極412の上に半田55を設置し、第1の信号電極421の上に半田56を設置する。
【0075】
第1および第3の接地電極411、413にそれぞれ設置される半田54、半田51は、第1の接地電極411から第3の接地電極413にわたって貫通形成された3つのスルーホール211a~211cを一括してカバーすることが可能な構成となっている。また、第2および第4の接地電極412、414にそれぞれ設置される半田55、52は、第2の接地電極412から第4の接地電極414にわたって貫通形成された3つのスルーホール212a~212cを一括してカバーすることが可能な構成となっている。また、第1および第2の信号電極421、422にそれぞれ設置される半田56、53は、第1の信号電極421から第2の信号電極422にわたって貫通形成された3つのスルーホール213a~213cを一括してカバーすることが可能な構成となっている。ここで、半田51~56は同種の半田とされ、溶融温度が例えば250℃程度のものが用いられる。
【0076】
以上で半田付けのセットが完了し、続いて、露出する表面側の半田54、55、56に、半田51~56の溶融温度に応じた温度に加熱された半田ゴテ5を同時に当てる。半田ゴテ5による熱は、上側の半田54からスルーホール211a~211cを形成する導電材料を通じて下側の半田51に伝わり、半田54、51が溶融する。これと同様に、半田ゴテ5による熱は、上側の半田55からスルーホール212a~212cを形成する導電材料を通じて下側の半田52に伝わって半田55、52が溶融する。また、これとともに、上側の半田56からスルーホール213a~213cを形成する導電材料を通じて下側の半田53に伝わって半田56、53が溶融する。そして、溶融した上下の半田54、51がスルーホール211a~211cに充満し、溶融した上下の半田55、52がスルーホール212a~212cに充満し、溶融した上下の半田56、53がスルーホール213~213cに充満することにより、半田付けの完了となる。半田付けの完了は、予め得た加熱条件に基づいて判断される。加熱条件は、例えば半田51~56の溶融温度に応じた加熱温度と加熱時間の組み合わせといったものである。
【0077】
次に、作用について説明する。
本実施形態に係る光変調器1を構成するFPC20は、伝送線路として、光変調器本体10側に接続されるマイクロストリップ線路300と、外部回路基板9側に接続される表面側コプレーナ線路400Aおよび裏面側コプレーナ線路400Bとを備えている。ここで、マイクロストリップ線路300の接地電極310と、この接地電極310に接続する表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411および第2の接地電極412とを比較すると、マイクロストリップ線路300の接地電極310の方が、表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411および第2の接地電極412よりも、幅が広く面積が大きい。このため、マイクロストリップ線路300の接地電極310の方が表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411および第2の接地電極412よりも熱容量が大きい。これに起因して従来では、前述した半田付けの際に、表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411および第2の接地電極412からマイクロストリップ線路300の接地電極310へ熱が移動する熱逃げが生じていた。
【0078】
しかし、本実施形態に係る光変調器1は、マイクロストリップ線路300と表面側コプレーナ線路400Aとの接続領域220における表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411に線路幅減少部261が設けられ、第2の接地電極412に線路幅減少部262が設けられている。本実施形態に係る光変調器1においては、これら線路幅減少部261、262が設けられたことにより、表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411および第2の接地電極412の熱容量が面積の減少によって低減するので、結果として第1の接地電極411および第2の接地電極412の加熱効率を増大させることができる。また、表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411および第2の接地電極412からマイクロストリップ線路300の接地電極310へ熱が伝達しにくくなり、第1の接地電極411および第2の接地電極412から接地電極310への熱逃げが抑えられる。その結果、表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411および第2の接地電極412の加熱効率を増大させることができる。
【0079】
このように、本実施形態に係る光変調器1は、表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411および第2の接地電極412の加熱効率を増大させることができる。このため、これら第1の接地電極411および第2の接地電極412は従来と比較して短時間で十分に加熱され、その結果、半田付けに要する時間を短縮させることができる。したがって本実施形態に係る光変調器1は、半田付けの際にFPC20の基板200が加熱される時間が短くなり、その結果、FPC20の基板200に熱によるダメージを与えることなく半田付けを完了させることができる。
【0080】
本実施形態の光変調器1を構成するFPC20の基板200は、2枚の基板材料201を接着剤202で接着した構成であり、半田付けの時間が長いと接着剤202が溶融して基板200が剥がれるおそれがある。しかし本実施形態では上記のように半田付けの時間が短縮されることにより、接着剤202に変質は起こらず、このため基板200が剥離するおそれを解消することができる。
【0081】
また、本実施形態に係る光変調器1は、マイクロストリップ線路300が信号電極320を対称中心とする左右対称に形成されている。また、表面側コプレーナ線路400Aおよび裏面側コプレーナ線路400Bが、それぞれ第1の信号電極421および第2の信号電極422を対称中心とする左右対称に形成されている。さらに、第1の接地電極411および第2の接地電極412にそれぞれ設けられた線路幅減少部261、262は、左右対称の状態に設けられている。この構成により本実施形態に係る光変調器1は、線路幅減少部261、262が設けられていても、表面側コプレーナ線路400Aの各接地電極411、412を流れる信号の伝送効率に左右のアンバランスが発生することを抑制することができる。
【0082】
(第1実施形態の変更例)
図8および
図9は、それぞれ第1実施形態において線路幅減少部を形成するスリットの位置を変更したFPCの変更例を示している。
【0083】
図8に示す変更例としてのFPC20は、表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411の外側にスリット253が形成され、表面側コプレーナ線路400Aの第2の接地電極412の外側にスリット254が形成された構成となっている。これらスリット253、254は、マイクロストリップ線路300と表面側コプレーナ線路400Aとの境界に臨む部分の外側、すなわち第1の信号電極421とは反対側に形成されている。そして、第1の接地電極411には、スリット253が形成されたことにより線路幅減少部263が設けられ、第2の接地電極412にはスリット254が形成されたことにより線路幅減少部264が設けられている。線路幅減少部263は、第1の接地電極411の内側に配置され、線路幅減少部264は、第2の接地電極412の内側に配置されており、したがって線路幅減少部263、264は、左右対称の状態に設けられている。
【0084】
この変更例では、第1の接地電極411と第1の信号電極421との間隔、および第2の接地電極412と第1の信号電極421との間隔が、全長にわたり変化がない構成となっている。このため、この変更例によれば、スリットが内側すなわち第1の信号電極421側に形成されている場合と比較すると、スリット253、254の影響による信号の伝送効率のロスが抑えられるという効果を得ることができる。
【0085】
図9に示す変更例としてのFPC20は、表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411に上記第1実施形態と同様にスリット251および線路幅減少部261が形成されているが、第2の接地電極412にはスリット256および線路幅減少部266が形成された構成となっている。第2の接地電極412のスリット256は、第1の接地電極411側のスリット251と同様の形状および寸法を有しているが、第1の接地電極411のスリット251に対して伝送方向にずれた位置、すなわち
図9で下方にずれた位置に形成されている。したがってスリット256によって設けられた線路幅減少部266は、第1の接地電極411側の線路幅減少部261に対して伝送方向にずれた位置に配置されている。このように伝送方向にスリットがずれている形態は、
図8に示したスリット253、254を外側に形成した形態にも適用することができる。
【0086】
図9に示した変更例では、第1の接地電極411に形成するスリットと第2の接地電極412に形成するスリットの位置を伝送方向において同じ位置に形成した場合と比較して、伝送方向のスリット形成位置におけるスリットの幅が半減している。このため、
図9に示した変更例によれば、スリット251、256の影響による信号の伝送効率のロスが抑えられるといった効果を得ることができる。
【0087】
[第2実施形態]
次に、
図10および
図11を参照しつつ、上記第1実施形態を基本構成とする第2実施形態を説明する。第2実施形態においては、コプレーナ線路は第1実施形態と同様に基板200の表面に表面側コプレーナ線路400Aが形成され、基板200の裏面に裏面側コプレーナ線路400Bが形成されている。また、第2実施形態においては、後述するように、裏面側コプレーナ線路400Bの第3の接地電極413に線路幅減少部271が設けられ、裏面側コプレーナ線路400Bの第4の接地電極414に線路幅減少部272が設けられている。裏面側コプレーナ線路400Bに設けられたこれら線路幅減少部271、272は、当該線路の全長にわたって設けられている。
【0088】
図10(B)および
図11(B)~(D)に示すように、FPC20の裏面側コプレーナ線路400Bの第3の接地電極413および第4の接地電極414は、上記第1実施形態の場合よりも全長にわたって幅が狭く形成されている。これによって第3の接地電極413自体が線路幅減少部271を構成し、第4の接地電極414自体が線路幅減少部272を構成している。本実施形態の第3の接地電極413および第4の接地電極414は、外側、すなわち第2の信号電極422とは反対側の側部が削除されて構成されている。したがって第3の接地電極413と第2の信号電極422との間隔は全長にわたり一定で変化はなく、同様に第4の接地電極414と第2の信号電極422との間隔も全長にわたり一定で変化はない。
【0089】
ここで、第3の接地電極413および第4の接地電極414の外側部分を削除するにあたってその削除幅は、例えば次のように設定される。すなわち
図10(B)に示すスルーホール211a~211c、212a~212cの径がφ200μm、FPC20の寸法公差が50μm、FPC20の使用周波数が32GHzという条件の場合、上述の削除幅は最大170μm程度に設定することが好ましい。また、第3の接地電極413および第4の接地電極414の外側を削除する幅は同一の幅で有り、裏面側コプレーナ線路400Bの左右対称の形態は保持されることが好ましい。
【0090】
第2実施形態に係る光変調器1によれば、全長にわたり幅が狭く形成された裏面側コプレーナ線路400Bの第3の接地電極413および第4の接地電極414は、熱容量が低減したものとなる。このため第1実施形態と同様に、FPC20を外部回路基板9に半田付けする際に、第3の接地電極413および第4の接地電極414は十分に加熱されて半田付けに要する時間を短縮させることができる。その結果、FPC20の基板200に熱によるダメージを与えることなく半田付けを完了させることができるといった効果を得ることができる。また、第2実施形態に係る光変調器1においては、線路幅減少部を第3の接地電極413および第4の接地電極414の全長にわたり設けている。このため、線路幅減少部をマイクロストリップ線路300と裏面側コプレーナ線路400Bとの接続領域に設けることができる。またこれとともに、第3の接地電極413および第4の接地電極414の熱容量を大幅に低減させることができ、このため、基板200に対する熱ダメージの抑制効果を顕著に得ることができる。
【0091】
なお、本発明に係る光変調器は、次の形態を含むものである。すなわち、基板の両面にコプレーナ線路が形成されたFPCにおいて、第2実施形態に係る光変調器のように基板の裏面側のコプレーナ線路の接地電極に線路幅減少部を設ける形態を含む。また、第1実施形態に係る光変調器のように基板の表面側のコプレーナ線路の接地電極に線路幅減少部を設ける形態を含む。また、基板の両面の接地電極に線路幅減少部を設けてもよい。例えば、上記第1実施形態に係るFPC20と第2実施形態に係るFPC20とを組み合わせ、表面側の接地電極はスリットを形成することにより線路幅減少部を設け、一方、裏面側は接地電極の幅を狭くして接地電極自体を線路幅減少部として構成するようにしてもよい。
【0092】
(他の変更例)
本発明は、以下の変更例を採用することができる。
上記第1実施形態に係る光変調器および第2実施形態に係る光変調器は、線路幅減少部を表面側コプレーナ線路400Aや裏面側コプレーナ線路400Bの接地電極に設けた構成としているが、線路幅減少部をマイクロストリップ線路300の接地電極310に設けた構成としてもよい。
図12は、前述のように線路幅減少部をマイクロストリップ線路300に設けた構成のFPC20の例を示している。この場合のFPC20は、マイクロストリップ線路300と表面側コプレーナ線路400Aとの接続領域220におけるマイクロストリップ線路300側の接地電極310に、左右方向に長い矩形状のスリット273、274をそれぞれ形成している。そしてこれらスリット273、274が形成されたことにより、マイクロストリップ線路300側に線路幅減少部283、284が設けられている。この場合、スリット273は、マイクロストリップ線路300の接地電極310と第1の接地電極411との境界に臨む部分の内側に形成されており、スリット274は、マイクロストリップ線路300の接地電極310と第2の接地電極412との境界に臨む部分の内側に形成されている。
【0093】
また、本発明に係る光変調器は、線路幅減少部を、マイクロストリップ線路の接地電極およびコプレーナ線路の接地電極の双方にわたって設けた構成であってもよい。
図13は前述のように線路幅減少部をマイクロストリップ線路の接地電極およびコプレーナ線路の接地電極の双方にわたって設けた構成のFPC20を示している。この場合のFPC20は、マイクロストリップ線路300の接地電極310と表面側コプレーナ線路400Aの第1の接地電極411との境界部分の内側に、スリット275が形成されている。そして、スリット275が形成されたことにより、該スリット275の外側に、線路幅減少部285が設けられている。一方、マイクロストリップ線路300の接地電極310と表面側コプレーナ線路400Aの第2の接地電極412との境界部分の内側に、スリット276が形成されている。そして、スリット276が形成されたことにより、該スリット276の外側に、線路幅減少部286が設けられている。
【0094】
以上説明した各実施形態および各変更例で示したコプレーナ線路は、1つの信号電極の両側に接地電極を1つずつ配した「接地電極・信号電極・接地電極」という線路構造である。ここで本発明に係るコプレーナ線路はこのような構造に限定されず、例えば、並列する2つの信号電極の両側に接地電極を1つずつ配した「接地電極・信号電極・信号電極・接地電極」という差動線路の構造を有するコプレーナ線路を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、フレキシブル回路基板を用いて外部回路基板に実装する形式の光変調器および当該光変調器を用いた光送信装置として有用である。
【符号の説明】
【0096】
1 光変調器
6 光送信装置
7 光源
8 変調信号生成部
10 光変調器本体
20 フレキシブル回路基板(FPC)
51、52、53、54、55、56 半田
100 筐体
110 光変調素子
200 基板
220 接続領域
251、252、253、254、256、273、274、275、276 スリット(切欠き)
261、262、263、264、266、271、272、283、284、285、286 線路幅減少部
300 マイクロストリップ線路
310 接地電極
320 信号電極
400A 表面側コプレーナ線路
400B 裏面側コプレーナ線路
411 第1の接地電極
412 第2の接地電極
413 第3の接地電極
414 第4の接地電極
421 第1の信号電極
422 第2の信号電極
911、912 外部回路基板の接地電極
920 外部回路基板の信号電極