(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】送信装置、伝送システム、伝送方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
H04N1/00 C
H04N1/00 J
(21)【出願番号】P 2018144276
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】岡本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】一貫坂 洋明
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-023150(JP,A)
【文献】特開2006-115271(JP,A)
【文献】特開2004-112331(JP,A)
【文献】特開2003-309710(JP,A)
【文献】特開2006-287300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮種別ごとの、全体のファックス送信の回数に対する、ファックス送信の対象データについて正常に圧縮処理をし
、送信先へ圧縮された該対象データを正常に送信し
、かつ前記送信先で圧縮された該対象データについて正常に伸張処理が行われた回数の割合であるファックス送信の成功率を示す第1送信成功率情報を記憶する記憶部と、
データがファックス送信される際に、ファックス送信先の受信装置から、全体のファックス受信の回数に対する、送信元でファックス受信の対象データが正常に圧縮処理され、該送信元から前記受信装置へ圧縮された該対象データが正常に送信され、かつ該受信装置で圧縮された該対象データについて正常に伸張処理が行われた回数の割合であるファックス受信の成功率を示す受信成功率情報を取得する第1取得部と、
前記データがファックス送信される際に、ネットワークを介して接続された他の伝送装置から、圧縮種別ごとの、全体のファックス送信の回数に対する、前記他の伝送装置でファックス送信の対象データが正常に圧縮処理され
、該他の伝送装置から送信先へ圧縮された該対象データが正常に送信され
、かつ前記送信先で圧縮された該対象データについて正常に伸張処理が行われた回数の割合であるファックス送信の成功率を示す第2送信成功率情報を取得する第2取得部と、
前記記憶部に記憶された前記第1送信成功率情報と、前記第1取得部により取得された前記受信成功率情報と、前記第2取得部により取得された前記第2送信成功率情報と、に基づいて、前記データの圧縮種別を判断する判断部と、
前記判断部により判断された圧縮種別による圧縮方式により、前記データを圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部により圧縮された前記データを、前記受信装置へ送信する送信部と、
を備えた送信装置。
【請求項2】
前記送信部により、圧縮された前記データが送信された結果に基づいて、前記第1送信成功率情報を更新する更新部を、さらに備えた請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記判断部は、前記第2取得部により取得された前記第2送信成功率情報で示される成功率が所定率以上の圧縮種別のうち、前記第1取得部により取得された前記受信成功率情報で示される成功率が最も高い圧縮種別を、前記データの圧縮種別として判断する請求項1または2に記載の送信装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記第1取得部により取得された前記受信成功率情報で示される成功率が所定率以上の圧縮種別のうち、前記第2取得部により取得された前記第2送信成功率情報で示される成功率が最も高い圧縮種別を、前記データの圧縮種別として判断する請求項1または2に記載の送信装置。
【請求項5】
前記判断部は、前記第1取得部により取得された前記受信成功率情報、および前記第2取得部により取得された前記第2送信成功率情報の双方の成功率が所定率以上である圧縮種別のうち、最も圧縮率が高い圧縮種別を、前記データの圧縮種別として判断する請求項1または2に記載の送信装置。
【請求項6】
送信装置と、受信装置と、を備えた伝送システムであって、
前記送信装置は、
圧縮種別ごとの、全体のファックス送信の回数に対する、ファックス送信の対象データについて正常に圧縮処理をし
、送信先へ圧縮された該対象データを正常に送信し
、かつ前記送信先で圧縮された該対象データについて正常に伸張処理が行われた回数の割合であるファックス送信の成功率を示す第1送信成功率情報を記憶する第1記憶部を備え、
前記受信装置は、
圧縮種別ごとの、全体のファックス受信の回数に対する、送信元でファックス受信の対象データが正常に圧縮処理され、該送信元から前記受信装置へ圧縮された該対象データが正常に送信され、かつ該受信装置で圧縮された該対象データについて正常に伸張処理が行われた回数の割合であるファックス受信の成功率を示す受信成功率情報を記憶する第2記憶部と、
前記送信装置からのファックス送信の発呼に従って、前記第2記憶部に記憶された前記受信成功率情報を通知する通知部と、
を備え、
前記送信装置は、
データがファックス送信される際に、前記通知部から通知された前記受信成功率情報を取得する第1取得部と、
前記データがファックス送信される際に、ネットワークを介して接続された他の伝送装置から、圧縮種別ごとの、全体のファックス送信の回数に対する、前記他の伝送装置でファックス送信の対象データが正常に圧縮処理され
、該他の伝送装置から送信先へ圧縮された該対象データが正常に送信され
、かつ前記送信先で圧縮された該対象データについて正常に伸張処理が行われた回数の割合であるファックス送信の成功率を示す第2送信成功率情報を取得する第2取得部と、
前記第1記憶部に記憶された前記第1送信成功率情報と、前記第1取得部により取得された前記受信成功率情報と、前記第2取得部により取得された前記第2送信成功率情報と、に基づいて、前記データの圧縮種別を判断する判断部と、
前記判断部により判断された圧縮種別による圧縮方式により、前記データを圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部により圧縮された前記データを、前記受信装置へ送信する送信部と、
をさらに備えた伝送システム。
【請求項7】
前記送信装置は、
前記送信部により、圧縮された前記データが送信された結果に基づいて、前記第1送信成功率情報を更新する第1更新部を、さらに備えた請求項6に記載の伝送システム。
【請求項8】
前記受信装置は、
前記送信部から送信された圧縮された前記データを受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記データを伸張する伸張部と、
前記伸張部による伸張結
果に基づいて、前記受信成功率情報を更新する第2更新部と、
をさらに備えた請求項6または7に記載の伝送システム。
【請求項9】
送信装置と、受信装置と、を備えた伝送システムの伝送方法であって、
前記送信装置からのファックス送信の発呼に従って、圧縮種別ごとの、全体のファックス受信の回数に対する、送信元でファックス受信の対象データが正常に圧縮処理され、該送信元から前記受信装置へ圧縮された該対象データが正常に送信され、かつ該受信装置で圧縮された該対象データについて正常に伸張処理が行われた回数の割合であるファックス受信の成功率を示す受信成功率情報を通知する通知ステップと、
前記送信装置からデータがファックス送信される際に、前記通知ステップで通知された前記受信成功率情報を取得する第1取得ステップと、
前記送信装置から前記データがファックス送信される際に、ネットワークを介して接続された他の伝送装置から、圧縮種別ごとの、全体のファックス送信の回数に対する、前記他の伝送装置でファックス送信の対象データが正常に圧縮処理され
、該他の伝送装置から送信先へ圧縮された該対象データが正常に送信され
、かつ前記送信先で圧縮された該対象データについて正常に伸張処理が行われた回数の割合であるファックス送信の成功率を示す第2送信成功率情報を取得する第2取得ステップと、
前記送信装置に記憶された圧縮種別ごとの、全体のファックス送信の回数に対する、ファックス送信の対象データについて正常に圧縮処理をし
、送信先へ圧縮された該対象データを正常に送信し
、かつ前記送信先で圧縮された該対象データについて正常に伸張処理が行われた回数の割合であるファックス送信の成功率を示す第1送信成功率情報と、前記受信成功率情報と、前記第2送信成功率情報と、に基づいて、前記データの圧縮種別を判断する判断ステップと、
判断した圧縮種別による圧縮方式により、前記データを圧縮する圧縮ステップと、
圧縮した前記データを、前記受信装置へ送信する送信ステップと、
を有する伝送方法。
【請求項10】
コンピュータに、
データがファックス送信される際に、ファックス送信先の受信装置から、全体のファックス受信の回数に対する、送信元でファックス受信の対象データが正常に圧縮処理され、該送信元から前記受信装置へ圧縮された該対象データが正常に送信され、かつ該受信装置で圧縮された該対象データについて正常に伸張処理が行われた回数の割合であるファックス受信の成功率を示す受信成功率情報を取得する第1取得ステップと、
前記データがファックス送信される際に、ネットワークを介して接続された他の伝送装置から、圧縮種別ごとの、全体のファックス送信の回数に対する、前記他の伝送装置でファックス送信の対象データが正常に圧縮処理され
、該他の伝送装置から送信先へ圧縮された該対象データが正常に送信され
、かつ前記送信先で圧縮された該対象データについて正常に伸張処理が行われた回数の割合であるファックス送信の成功率を示す第2送信成功率情報を取得する第2取得ステップと、
圧縮種別ごとの、全体のファックス送信の回数に対する、ファックス送信の対象データについて正常に圧縮処理をし
、送信先へ圧縮された該対象データを正常に送信し
、かつ前記送信先で圧縮された該対象データについて正常に伸張処理が行われた回数の割合であるファックス送信の成功率を示す第1送信成功率情報を記憶する記憶部に記憶された前記第1送信成功率情報と、取得した前記受信成功率情報と、取得した前記第2送信成功率情報と、に基づいて、前記データの圧縮種別を判断する判断ステップと、
判断した圧縮種別による圧縮方式により、前記データを圧縮する圧縮ステップと、
圧縮した前記データを、前記受信装置へ送信する送信ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置、伝送システム、伝送方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ファックス機能により相手先へ画像データを送信する場合、通信量を抑え、通信時間を短縮するために、通常、画像データを圧縮して送信する。ファックス機能による送信(以下、単に「ファックス送信」と称する場合がある)における画像データの圧縮方式としては、JBIG(Joint Bi-level Image Experts Group)、MMR(Modified Modified Read)、MR(Modified Read)、およびMH(Modified Huffman)等の方式がある。ただし、ファックス送信時において、画像データを圧縮した際、その圧縮処理に不具合があり、正しく圧縮がされておらず、その結果、受信側の伸張処理でエラーとなり、送信が失敗となる場合がある。
【0003】
このように、ファックス送信のエラーの発生を抑制して送信成功率を高める技術として、データの送信先の送信履歴を記憶しておき、送信の成功回数が多い方式を選択する技術が開始されている(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された技術のように、自身が記憶している送信履歴に基づいて方式を選択した場合でも、万一、選択した方式の圧縮処理に不具合があると、画像データが正しく圧縮できず、その結果、受信側で伸張エラーとなり、送信が失敗となる問題がある。また、同じ圧縮機能が実装された他の送信機において、同様な不具合がある可能性が高く、また、受信機に実装された圧縮機能の不具合によって受信画像の伸張で失敗する可能性もある。したがって、自身(送信機)の送信履歴のみで圧縮方式を決定する場合には、送信失敗とならない圧縮方式の決定精度が低くなるという問題もある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ファックス送信のエラーの発生をさらに抑制することができる送信装置、伝送システム、伝送方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、圧縮種別ごとの、全体のファックス送信の回数に対する、ファックス送信の対象データについて正常に圧縮処理をし、送信先へ圧縮された該対象データを正常に送信し、かつ前記送信先で圧縮された該対象データについて正常に伸張処理が行われた回数の割合であるファックス送信の成功率を示す第1送信成功率情報を記憶する記憶部と、データがファックス送信される際に、ファックス送信先の受信装置から、全体のファックス受信の回数に対する、送信元でファックス受信の対象データが正常に圧縮処理され、該送信元から前記受信装置へ圧縮された該対象データが正常に送信され、かつ該受信装置で圧縮された該対象データについて正常に伸張処理が行われた回数の割合であるファックス受信の成功率を示す受信成功率情報を取得する第1取得部と、前記データがファックス送信される際に、ネットワークを介して接続された他の伝送装置から、圧縮種別ごとの、全体のファックス送信の回数に対する、前記他の伝送装置でファックス送信の対象データが正常に圧縮処理され、該他の伝送装置から送信先へ圧縮された該対象データが正常に送信され、かつ前記送信先で圧縮された該対象データについて正常に伸張処理が行われた回数の割合であるファックス送信の成功率を示す第2送信成功率情報を取得する第2取得部と、前記記憶部に記憶された前記第1送信成功率情報と、前記第1取得部により取得された前記受信成功率情報と、前記第2取得部により取得された前記第2送信成功率情報と、に基づいて、前記データの圧縮種別を判断する判断部と、前記判断部により判断された圧縮種別による圧縮方式により、前記データを圧縮する圧縮部と、前記圧縮部により圧縮された前記データを、前記受信装置へ送信する送信部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ファックス送信のエラーの発生をさらに抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る画像伝送システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る画像伝送装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る画像伝送装置の機能ブロックの構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る画像伝送装置が記憶している送信成功率テーブルの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る画像伝送システムにおけるデータの送信処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、受信機側を優先して圧縮種別を判断する動作を説明する図である。
【
図7】
図7は、送信機側を優先して圧縮種別を判断する動作を説明する図である。
【
図8】
図8は、通信時間を優先して圧縮種別を判断する動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る送信装置、伝送システム、伝送方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0010】
(画像伝送システムの全体構成)
図1は、実施形態に係る画像伝送システムの全体構成の一例を示す図である。
図1を参照しながら、本実施形態に係る画像伝送システム1の全体構成について説明する。
【0011】
図1に示すように、画像伝送システム1(伝送システム)は、画像伝送装置10a~10cと、画像伝送装置20と、を含む。画像伝送装置10a~10cは、エリアA(例えば、特定の会社内)に配置されており、LAN(Local Area Network)2によってデータ通信可能に接続されている。画像伝送装置20は、エリアAとは異なるエリアB(例えば、エリアAの会社とは異なる会社内)に配置されている。
【0012】
画像伝送装置10aは、例えば、MFP(Multifunction Peripheral)であり、電話網3を介して、画像伝送装置20との間でファックス機能によるデータの送受信が可能となっている。ここで、MFPとは、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、およびファックス機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機を示す。ただし、画像伝送装置10aは、少なくともファックス機能を備えているものとする。画像伝送装置10b、10cは、画像伝送装置10aと同様の構成のMFPであるが、
図1では、電話網3を介してデータを伝送する構成の図示は、便宜上、省略している。
【0013】
なお、画像伝送装置10a~10cについて、任意の画像伝送装置を示す場合、または総称する場合、単に「画像伝送装置10」と称するものとする。また、画像伝送装置10a~10cは、MFPであるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、ファックス機能に特化したファックス装置であってもよいが、本実施形態では、MFPであるものとして説明する。
【0014】
画像伝送装置20は、例えば、MFPであり、電話網3を介して画像伝送装置10aとの間でファックス機能によるデータの送受信が可能となっている。なお、画像伝送装置20についても同様に、例えば、ファックス装置であってもよいが、本実施形態では、MFPであるものとして説明する。
【0015】
電話網3は、アナログ回線およびデジタル回線の少なくともいずれかを含む。
【0016】
(画像伝送装置のハードウェア構成)
図2は、実施形態に係る画像伝送装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2を参照しながら、本実施形態に係る画像伝送装置10のハードウェア構成について説明する。なお、画像伝送装置20のハードウェア構成についても同様である。
【0017】
図2に示すように、本実施形態に係る画像伝送装置10は、コントローラ300と、操作表示部310と、FCU(Facsimile Control Unit)320と、プロッタ331と、スキャナ332とがPCI(Peripheral Component Interface)バスで接続された構成となっている。
【0018】
コントローラ300は、画像伝送装置10全体の制御、描画、通信、各種エンジンの制御および操作表示部210からの入力を制御する装置である。
【0019】
操作表示部310は、例えば、タッチパネル等であり、コントローラ300に対する入力を受け付ける(入力機能)と共に、画像伝送装置10の状態等を表示(表示機能)する装置であり、後述するASIC(Application Specific Integrated Circuit)306に直接接続されている。
【0020】
FCU320は、ファックス機能を実現する装置であり、例えば、PCIバスによってASIC206に接続されている。FCU220は、
図2に示す例では、アナログ回線に対応したG3ファックス送信機能、および、デジタル回線に対応したG4ファックス送信機能の双方を有する。
【0021】
プロッタ331は、印刷機能を実現する装置であり、例えば、PCIバスによってASIC306に接続されている。スキャナ332は、スキャナ機能を実現する機能であり、例えば、PCIバスによってASIC306に接続されている。
【0022】
コントローラ300は、CPU(Central Processing Unit)301と、システムメモリ(MEM-P)302と、ノースブリッジ(NB)303と、サウスブリッジ(SB)304aと、ネットワークI/F304bと、USB(Universal Serial Bus) I/F304cと、セントロニクスI/F304dと、ASIC306と、ローカルメモリ(MEM-C)307と、補助記憶装置308と、を有している。
【0023】
CPU301は、画像伝送装置10の全体制御を行うものであり、システムメモリ302、ノースブリッジ303およびサウスブリッジ304aからなるチップセットに接続され、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0024】
システムメモリ302は、プログラムおよびデータの格納用メモリ、プログラムおよびデータの展開用メモリ、ならびにプリンタの描画用メモリ等として用いるメモリであり、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを有している。このうち、ROMは、プログラムおよびデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAMは、プログラムおよびデータの展開用メモリ、ならびにプリンタの描画用メモリ等として用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0025】
ノースブリッジ303は、CPU301と、システムメモリ302、サウスブリッジ304aおよびAGP(Accelerated Graphics Port)バス305とを接続するためのブリッジであり、システムメモリ302に対する読み書き等を制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0026】
サウスブリッジ304aは、ノースブリッジ303と、PCIデバイスおよび周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。サウスブリッジ304aは、PCIバスを介してノースブリッジ303と接続されており、PCIバスには、ネットワークI/F304b、USB I/F304cおよびセントロニクスI/F304d等が接続されている。
【0027】
ネットワークI/F304bは、ネットワークを介して、他の装置との間でデータを通信するためのインターフェースである。ネットワークI/F304bは、例えば、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)に準拠したNIC(Network Interface Card)等である。
【0028】
USB I/F304cは、USB規格に対応した各種機器との間でデータを通信するためのインターフェースである。セントロニクスI/F304dは、プリンタ等を接続するためのパラレルインターフェースである。
【0029】
AGPバス305は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインターフェースである。AGPバス305は、システムメモリ302に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にするバスである。
【0030】
ASIC306は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス305、PCIバス、補助記憶装置308およびローカルメモリ307をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。ASIC306は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC306の中核をなすアービタ(ARB)と、ローカルメモリ307を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジック等により画像データの回転等を行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、プロッタ331およびスキャナ332との間でPCIバスを介したデータ転送を行うPCIユニットとから構成される。ASIC306には、例えば、PCIバスを介してFCU320、プロッタ331およびスキャナ332が接続される。また、ASIC306は、図示しないホストPC(Personal Computer)およびネットワーク等にも接続されている。
【0031】
ローカルメモリ307は、コピー用画像バッファおよび符号バッファとして用いるメモリである。
【0032】
補助記憶装置308は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、SD(Secure Digital)カードまたはフラッシュメモリ等の記憶装置であり、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、およびフォームの蓄積等を行うためのストレージである。
【0033】
(画像伝送装置の機能ブロックの構成および動作)
図3は、実施形態に係る画像伝送装置の機能ブロックの構成の一例を示す図である。
図4は、実施形態に係る画像伝送装置が記憶している送信成功率テーブルの一例を示す図である。
図3および
図4を参照しながら、本実施形態に係る画像伝送装置10の機能ブロック構成について説明する。なお、画像伝送装置20の機能ブロック構成についても同様である。
【0034】
図3に示すように、本実施形態に係る画像伝送装置10は、ファックス送信部101(送信部)と、ファックス受信部102(受信部)と、通信部103と、送信成功率通知部104と、受信成功率通知部105(通知部)と、送信成功率取得部106(第2取得部)と、受信成功率取得部107(第1取得部)と、圧縮種別判断部108(判断部)と、成功率更新部109(更新部)と、画像圧縮部110(圧縮部)と、画像伸張部111(伸張部)と、記憶部112と、入力部113と、表示制御部114と、表示部115と、を有する。
【0035】
ファックス送信部101は、ファックス機能により画像データ等のデータを、送信先にファックス送信する機能部である。ファックス送信部101は、
図2に示すFCU320、およびCPU301によるプログラムの実行によって実現される。
【0036】
ファックス受信部102は、ファックス機能により画像データ等のデータを、送信元から受信(以下、単に「ファックス受信」と称する場合がある)をする機能部である。ファックス受信部102は、
図2に示すFCU320、およびCPU301によるプログラムの実行によって実現される。
【0037】
通信部103は、ネットワーク(例えば、
図1に示すLAN2)を介して、外部装置とデータ信を行う機能部である。具体的には、特定の画像伝送装置10の通信部103は、LAN2を介して、他の画像伝送装置10とデータ通信を行う。通信部103は、
図2に示すネットワークI/F304b、およびCPU301によるプログラムの実行によって実現される。
【0038】
送信成功率通知部104は、他の画像伝送装置10からの要求に応じて、自身である画像伝送装置10の他の画像伝送装置10へのファックス送信の送信成功率を記憶部112を参照して取得し、要求元の画像伝送装置10へ通信部103を介して通知する機能部である。送信成功率通知部104は、例えば、
図2に示すCPU301によるプログラムの実行によって実現される。
【0039】
受信成功率通知部105は、ファックスの送信元の画像伝送装置10からの発呼の通知に応じて、ファックス送信先である自身(例えば、画像伝送装置20)のファックス受信の受信成功率を記憶部112を参照して取得し、送信元の画像伝送装置10へファックス受信部102を介して通知する機能部である。受信成功率通知部105は、例えば、
図2に示すCPU301によるプログラムの実行によって実現される。
【0040】
送信成功率取得部106は、自身である画像伝送装置10と同一のネットワーク(例えば、
図2に示すLAN2)にある他の画像伝送装置10に対して、ファックス送信の送信成功率を取得して通知する要求(送信成功率取得要求)を、通信部103を介して送信する機能部である。そして、送信成功率取得部106は、他の画像伝送装置10から、送信成功率取得要求に応じて通知された送信成功率を、通信部103を介して取得する。送信成功率取得部106は、例えば、
図2に示すCPU301によるプログラムの実行によって実現される。
【0041】
受信成功率取得部107は、ファックスの送信元の画像伝送装置10から送信されたファックス受信の受信成功率を、ファックス送信部101を介して取得する機能部である。受信成功率取得部107は、例えば、
図2に示すCPU301によるプログラムの実行によって実現される。
【0042】
圧縮種別判断部108は、自身である画像伝送装置10のファックス送信の送信成功率と、送信成功率取得部106により取得された他の画像伝送装置10のファックス送信の送信成功率と、受信成功率取得部107により取得された送信先の画像伝送装置20のファックス受信の受信成功率と、に基づいて、最も成功率の高い、または、最も圧縮率の高い圧縮種別を判断する機能部である。圧縮種別判断部108は、例えば、
図2に示すCPU301によるプログラムの実行によって実現される。
【0043】
成功率更新部109は、ファックス送信部101によるファックス送信が行われた後、送信先の画像伝送装置20からの受信結果(受信成功または失敗等)に基づいて、記憶部112に記憶されている自身の画像伝送装置10としてのファックス送信の送信成功率を更新する機能部である。また、成功率更新部109は、ファックス受信部102によるファックス受信が行われた後、受信された画像データについて正常に伸張されたか否か等に基づいて、記憶部112に記憶されている自身の画像伝送装置10としてのファックス受信の受信成功率を更新する機能部である。成功率更新部109は、例えば、
図2に示すCPU301によるプログラムの実行によって実現される。
【0044】
画像圧縮部110は、圧縮種別判断部108により判断された圧縮種別(例えば、JBIG、MMR、MRまたはMH等)によってファックス送信する画像データを圧縮する機能部である。画像圧縮部110は、例えば、
図2に示すCPU301によるプログラムの実行によって実現される。
【0045】
画像伸張部111は、ファックス受信した圧縮され画像データを伸張する機能部である。具体的には、画像伸張部111は、圧縮された画像データをファックス受信する際に受信する送信モードの情報に含まれる圧縮種別に従って、画像データを伸張する。画像伸張部111は、例えば、
図2に示すCPU301によるプログラムの実行によって実現される。
【0046】
記憶部112は、ファックスで送受信するデータ、プログラム、およびファックスの送信成功率および受信成功率の情報等を記憶する機能部である。例えば、記憶部112は、送信成功率の情報として、
図4に示すような送信成功率テーブル1121を記憶し、受信成功率の情報として、後述する
図6~
図8に示すような受信成功率テーブル1122を記憶している。記憶部112は、
図2に示すシステムメモリ302、ローカルメモリ307または補助記憶装置308によって実現される。
【0047】
図4に示す送信成功率テーブル1121は、圧縮種別と、成功率(送信成功率)とをテーブル形式で対応付けており、例えば、圧縮種別がMMRに対応する送信成功率は、90%として記録されている。また、圧縮種別がMRの場合、標準解像度の時はKパラメータを4(K=4)とし、高解像度の時はKパラメータを2(K=2)として設定する。この場合、Kライン毎に一次元符号化され、残りの(K-1)ラインを二次元符号化される。また、受信成功率テーブル1122についても同様の形式で構成されている。なお、
図4に示す送信成功率テーブル1121および受信成功率テーブル1122は、テーブル形式の情報として説明したが、これに限定されるものではなく、圧縮種別と成功率とを対応付ける情報であれば形式は問わない。
【0048】
入力部113は、ユーザによりファックス送信の操作入力等を受け付ける機能部である。入力部113は、
図2に示す操作表示部310の入力機能によって実現される。
【0049】
表示制御部114は、表示部115の表示動作を制御する機能部である。表示制御部114は、
図2に示すASIC306、またはCPU301によるプログラムの実行によって実現される。
【0050】
表示部115は、表示制御部114の制御に従って情報を表示する機能部である。表示部115は、例えば、ファックス送信のための操作UIを表示したり、ファックス受信した場合の受信結果等を表示する機能部である。表示部115は、
図2に示す操作表示部310の表示機能によって実現される。
【0051】
なお、送信成功率通知部104、受信成功率通知部105、送信成功率取得部106、受信成功率取得部107、圧縮種別判断部108、成功率更新部109、画像圧縮部110および画像伸張部111の一部または全部は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(例えば、ASIC306)等のハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0052】
また、
図3に示す画像伝送装置10、20の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図3に示す画像伝送装置10、20で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図3に示す画像伝送装置10、20における1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0053】
(画像伝送システムにおけるデータの送信処理)
図5は、実施形態に係る画像伝送システムにおけるデータの送信処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図6は、受信機側を優先して圧縮種別を判断する動作を説明する図である。
図7は、送信機側を優先して圧縮種別を判断する動作を説明する図である。
図8は、通信時間を優先して圧縮種別を判断する動作を説明する図である。
図5~
図8を参照しながら、本実施形態に係る画像伝送システム1におけるデータの送信処理の流れについて説明する。なお、
図5の説明においては、ファックス送信元を画像伝送装置10a(送信装置の一例)とし、ファックス送信先を画像伝送装置20(受信装置の一例)とし、画像伝送装置10aと同一のネットワーク(LAN2)に画像伝送装置10b(他の伝送装置の一例)が存在するものとして説明する。
【0054】
<ステップS11>
画像伝送装置10aにおいて、ユーザによる入力部113を介したファックス送信の操作入力が行われると、ファックス送信部101は、電話網3を介して、画像伝送装置20に対して発呼を行う。なお、ファックス送信の対象となるのは、例えば、画像伝送装置10aのスキャナ332により読み込まれた画像データである。
【0055】
<ステップS12>
画像伝送装置20のファックス受信部102は、電話網3を介して、画像伝送装置10aから発呼を受けると、その通知(発呼通知)を受信成功率通知部105へ送る。
【0056】
<ステップS13~S15>
画像伝送装置20の受信成功率通知部105は、発呼通知を受け取ると、記憶部112(第2記憶部)(例えば、受信成功率テーブル1122)を参照し、自身(画像伝送装置20)の各圧縮種別に対応するファックス受信の受信成功率(受信成功率情報)を読み出す。受信成功率通知部105は、読み出した受信成功率を、ファックス受信部102を介して、画像伝送装置10aへ通知する。
【0057】
<ステップS16、S17>
画像伝送装置10aのファックス送信部101は、画像伝送装置20から受信成功率を受信し、受信成功率取得部107は、ファックス送信部101から当該受信成功率を取得する。そして、受信成功率取得部107は、取得した受信成功率と共に、圧縮種別の判断を要求するための圧縮種別判断要求を、圧縮種別判断部108へ送る。
【0058】
<ステップS18、S19>
画像伝送装置10aの圧縮種別判断部108は、画像伝送装置20の受信成功率と共に、圧縮種別判断要求を受け取ると、記憶部112(第1記憶部)(例えば、送信成功率テーブル1121)を参照し、自身(画像伝送装置10a)の各圧縮種別に対応するファックス送信の送信成功率(第1送信成功率情報)を読み出す。そして、圧縮種別判断部108は、画像伝送装置10bからファックス送信の送信成功率を取得するための送信成功率取得指令を、送信成功率取得部106に送る。
【0059】
<ステップS20~S22>
画像伝送装置10aの送信成功率取得部106は、送信成功率取得指令を受け取ると、画像伝送装置10bに対して、ファックス送信の送信成功率を取得して通知する要求(送信成功率取得要求)を、通信部103を介して送信する。画像伝送装置10bの通信部103は、画像伝送装置10aから送信成功率取得要求を受信すると、当該送信成功率取得要求を送信成功率通知部104へ送る。
【0060】
<ステップS23~S25>
画像伝送装置10bの送信成功率通知部104は、送信成功率取得要求を受け取ると、記憶部112(例えば、送信成功率テーブル1121)を参照し、自身(画像伝送装置10b)の各圧縮種別に対応するファックス送信の送信成功率(第2送信成功率情報)を読み出す。送信成功率通知部104は、読み出した送信成功率を、通信部103を介して、画像伝送装置10aへ通知する。
【0061】
<ステップS26、S27>
画像伝送装置10aの通信部103は、画像伝送装置10bから送信成功率を受信すると、当該送信成功率を圧縮種別判断部108へ送る。
【0062】
<ステップS28>
画像伝送装置10aの圧縮種別判断部108は、自身である画像伝送装置10aのファックス送信の送信成功率と、送信成功率取得部106により取得された画像伝送装置10bのファックス送信の送信成功率と、受信成功率取得部107により取得された送信先の画像伝送装置20のファックス受信の受信成功率と、に基づいて、ファックス送信する画像データに対する圧縮処理の圧縮種別を判断する。
【0063】
圧縮種別判断部108は、例えば、受信機(画像伝送装置20)を優先して圧縮種別を判断する場合、
図6に示すように、送信側(画像伝送装置10a、10b)の送信成功率が所定率(例えば、80%)以上の圧縮種別の中から、受信側の受信成功率が最も高い圧縮種別を採用する。この場合、各圧縮種別の送信成功率は、例えば、画像伝送装置10a、10bの各圧縮種別での送信成功率の平均値、加重平均、最小値または最大値等とすればよい。
図6に示す例では、送信側(画像伝送装置10a、10b)の送信成功率が80%以上の圧縮種別は、送信成功率テーブル1121(当該テーブルに示す成功率は、上述のように平均値、加重平均、最小値または最大値等であるものとする)に示すように、JBIG、MR(Kパラメータ:4)、MR(Kパラメータ:2)およびMHである。このうち受信側(画像伝送装置20)の受信成功率が最も高い圧縮種別は、画像伝送装置20の受信成功率テーブル1122から、MHであると判断できる。
【0064】
また、圧縮種別判断部108は、例えば、送信機(画像伝送装置10a)を優先して圧縮種別を判断する場合、
図7に示すように、受信側(画像伝送装置20)の受信成功率が所定率(例えば、80%)以上の圧縮種別の中から、送信側(画像伝送装置10a、10b)の送信成功率が最も高い圧縮種別を採用してもよい。この場合、各圧縮種別の送信成功率は、例えば、画像伝送装置10a、10bの各圧縮種別での送信成功率の平均値、加重平均、最小値または最大値等とすればよい。
図7に示す例では、受信側(画像伝送装置20)の受信成功率が80%以上の圧縮種別は、受信成功率テーブル1122に示すように、MMR、MR(Kパラメータ:4)、MR(Kパラメータ:2)およびMHである。このうち送信側(画像伝送装置10a、10b)の送信成功率が最も高い圧縮種別は、画像伝送装置10a、10bの送信成功率テーブル1121(当該テーブルに示す成功率は、上述のように平均値、加重平均、最小値または最大値等であるものとする)から、MMRであると判断できる。
【0065】
また、圧縮種別判断部108は、例えば、ファクス送信の通信時間を優先して圧縮種別を判断する場合、
図8に示すように、受信側(画像伝送装置20)および送信側(画像伝送装置10a、10b)双方の成功率が所定率(例えば、80%)以上の圧縮種別の中から、最も圧縮率が高い圧縮種別を採用してもよい。この場合、各圧縮種別の送信成功率は、例えば、画像伝送装置10a、10bの各圧縮種別での送信成功率の平均値、加重平均、最小値または最大値等とすればよい。
図8に示す例では、受信側および送信側双方の成功率が80%以上の圧縮種別は、受信成功率テーブル1122および送信成功率テーブル1121(当該テーブルに示す成功率は、上述のように平均値、加重平均、最小値または最大値等であるものとする)に示すように、JBIG、MMR、MR(Kパラメータ:4)、MR(Kパラメータ:2)およびMHである。また、
図8に示すように、各圧縮種別の圧縮率は、高い順でJBIG、MMR、MMR、MR(Kパラメータ:4)、MR(Kパラメータ:2)、MHとなっている。受信側および送信側双方の成功率が80%以上の圧縮種別のうち、最も圧縮率が高い圧縮種別は、JBIGであると判断できる。
【0066】
なお、上述のように、圧縮種別判断部108による圧縮種別の判断方法として、受信機を優先する場合、送信機を優先する場合、および通信時間を優先する場合の3つについて説明したが、例えば、予めいずれかの判断方法に設定されているものとしてもよい。また、判断方法としては、上述の3つの方法に限定されるものではなく、他の判断方法によって圧縮種別を判断するものとしてもよい。
【0067】
<ステップS29~S31>
画像伝送装置10aの圧縮種別判断部108は、判断した圧縮種別を、画像圧縮部110およびファックス送信部101へ通知する。画像圧縮部110は、通知された圧縮種別による圧縮方式によって、ファックス送信の対象となる画像データを圧縮する。そして、画像圧縮部110は、圧縮した画像データをファックス送信部101へ送る。
【0068】
<ステップS32>
画像伝送装置10aのファックス送信部101は、圧縮された画像データをファックス送信する前に、まず、通知された圧縮種別、解像度、および通信レート等の情報を含む送信モードを、電話網3を介して、画像伝送装置20へ送信する。
【0069】
<ステップS33>
画像伝送装置10aのファックス送信部101は、圧縮された画像データを、電話網3を介して画像伝送装置20へファックス送信する。
【0070】
<ステップS34>
画像伝送装置20のファックス受信部102は、受信した送信モード(少なくとも圧縮種別)、および圧縮された画像データを、画像伸張部111へ送る。
【0071】
<ステップS35、S36>
画像伝送装置20の画像伸張部111は、受け取った送信モードに含まれる圧縮種別に基づいて、圧縮された画像データを伸張する。そして、画像伸張部111は、画像データの伸張の結果等を受信結果として、ファックス受信部102および成功率更新部109へ送る。
【0072】
<ステップS37>
画像伝送装置20の成功率更新部109(第2更新部)は、ファックス受信部102から受け取った受信結果に基づいて、記憶部112に記憶されている受信成功率テーブル1122において、対応する圧縮種別の受信成功率を更新する。
【0073】
<ステップS38、S39>
画像伝送装置20のファックス受信部102は、受け取った受信結果を、電話網3を介して、画像伝送装置10aへ送信する。画像伝送装置10aのファックス送信部101は、画像伝送装置20から受信した受信結果を、成功率更新部109へ送る。
【0074】
<ステップS40>
画像伝送装置10aの成功率更新部109(第1更新部)は、ファックス送信部101から受け取った受信結果に基づいて、記憶部112に記憶されている送信成功率テーブル1121において、画像圧縮部110による画像データの圧縮の圧縮種別の送信成功率を更新する。
【0075】
以上のようなステップS11~S40の流れで、画像伝送システム1におけるデータの送信処理が行われる。
【0076】
なお、上述の
図5で説明したように、ファックス送信側である画像伝送装置10aは、当該ファックス送信の成功または失敗を送信成功率に反映して更新し、ファックス受信側の画像伝送装置20は、当該ファックス受信の成功または失敗を受信成功率に反映して更新するものとしている。この場合、ファックス送信およびファックス受信が成功であるか失敗であるかという基準は、例えば、以下のような判断基準で規定できる。送信側で正常に圧縮処理がされ、送信側から受信側へ圧縮された画像データが正常に送信され、受信側で正常に伸張処理が行われた場合、送信側では送信成功と判断され、かつ、受信側では受信成功と判断されるものとすればよい。また、送信側で正常に圧縮処理がされ、送信側から受信側へ圧縮された画像データが正常に送信され、受信側で伸張処理に失敗した場合、送信側では送信成功と判断され、かつ、受信側では受信失敗と判断されるものとすればよい。また、送信側で正常に圧縮処理がされ、送信側から受信側へ圧縮された画像データの送信に失敗した場合、送信側では送信失敗と判断され、かつ、受信側では受信失敗(例えば、受信したデータが破損していた場合)と判断されるものとすればよい。また、送信側で圧縮処理に失敗した場合、送信側で送信失敗と判断されるものとすればよい。ただし、送信側で圧縮処理に失敗した画像データがそのまま受信側へ送信され、結果的に、受信側で伸張処理に失敗した場合、送信側で受信失敗と判断されると共に、送信側でも送信失敗と判断されるものとしてもよい。なお、上述の判断基準は一例であり、その他の基準によってファックス送信およびファックス受信が成功であるか失敗であるかが判断されるものとしてもよい。
【0077】
以上のように、本実施形態では、ファックス送信する場合に、自身の送信成功率のみならず、同じネットワーク内の画像伝送装置10の送信成功率、および、ファックスの送信先の受信成功率を取得して、これらに基づいて画像データの圧縮種別を判断するものとしている。これによって、ファックス送信のエラーの発生をさらに抑制することができる。
【0078】
なお、上述の実施形態において、画像伝送装置10、20の各機能部の少なくともいずれかがプログラムの実行によって実現される場合、そのプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また、上述の実施形態において、画像伝送装置10、20で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk-Recordable)、またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、画像伝送装置10、20で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、画像伝送装置10、20で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、画像伝送装置10、20で実行されるプログラムは、上述した各機能部のうち少なくともいずれかを含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPUが上述の記憶装置からプログラムを読み出して実行することにより、上述の各機能部が主記憶装置上にロードされて生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0079】
1 画像伝送システム
2 LAN
3 電話網
10、10a~10c 画像伝送装置
20 画像伝送装置
101 ファックス送信部
102 ファックス受信部
103 通信部
104 送信成功率通知部
105 受信成功率通知部
106 送信成功率取得部
107 受信成功率取得部
108 圧縮種別判断部
109 成功率更新部
110 画像圧縮部
111 画像伸張部
112 記憶部
113 入力部
114 表示制御部
115 表示部
300 コントローラ
301 CPU
302 システムメモリ(MEM-P)
303 ノースブリッジ(NB)
304a サウスブリッジ(SB)
304b ネットワークI/F
304c USB I/F
304d セントロニクスI/F
305 AGP
306 ASIC
307 ローカルメモリ(MEM-C)
308 補助記憶装置
310 操作表示部
320 FCU
331 プロッタ
332 スキャナ
1121 送信成功率テーブル
1122 受信成功率テーブル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】