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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20221206BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018150253
(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公開番号】P2020026966
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】石澤 直也
(72)【発明者】
【氏名】小林 遼
(72)【発明者】
【氏名】上野 太郎
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/012429(WO,A1)
【文献】特開2013-148191(JP,A)
【文献】特開平08-082580(JP,A)
【文献】特開2007-038058(JP,A)
【文献】国際公開第2016/153000(WO,A1)
【文献】特開2004-042231(JP,A)
【文献】特開2011-004608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 - 35/10
G01N 37/00
F16K 7/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体デバイス内の流路に流れる流体を制御する制御装置であって、
前記流体デバイスは、前記流体の流れを切り替え可能な区画バルブ、および前記流路内の前記流体を移送するポンプバルブを有しており、
前記区画バルブに接続する複数の管路、および複数の前記管路にそれぞれ配置される複数の電磁弁を有し、複数の前記電磁弁の開閉、および複数の前記管路に付与する気体の圧力の制御により前記区画バルブを開閉する圧力供給ユニットと、
回転する動力を生じさせる駆動部、および前記駆動部と前記ポンプバルブとに接触して前記ポンプバルブを押圧可能な押圧部材を有し、前記駆動部の駆動にあわせて前記押圧部材の位置移動を機械的に制御するポンプ駆動ユニットと、
複数の前記電磁弁よりも前記ポンプ駆動ユニットの近くに配置され、前記流体に含まれる検出対象を電気的に検出する検出部と、
を備える、
制御装置。
【請求項2】
前記流体デバイスは、前記ポンプバルブとして複数のバルブを有し、
前記ポンプ駆動ユニットは、
それぞれ前記バルブと一端側で接触する複数の前記押圧部材と、
複数の前記押圧部材と前記押圧部材の他端側で接触するカムと、を有する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記カムは、前記押圧部材との接触面に凸部または凹部を有し、前記駆動部の回転駆動を前記押圧部材の軸線方向の駆動に変換する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記凸部又は前記凹部は、前記カムの軸線の周方向に沿って配置される一対の凸部又は凹部である、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記押圧部材の前記軸線方向において、前記駆動部の位置と前記流体デバイスの位置とが互いに重なる、
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記ポンプ駆動ユニットは、前記駆動部の動力を前記カムに伝える動力伝達部を有し、
前記動力伝達部は、前記押圧部材の前記軸線方向に延びるギヤ軸を中心として回転する複数のギヤを有する、
請求項3~5の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記圧力供給ユニットは、1つの前記電磁弁を有する1つの主路から分岐した複数の分岐路を介して、複数の前記管路に接続される、
請求項1~6の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記流体デバイスは、前記流路中に設けられ前記流体と接触して前記流体を処理する処理部を有し、
前記処理部は、前記流体デバイス中の流体中の検出対象を検出する前記検出部である、請求項1~7の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記押圧部材の軸線方向において、複数の前記電磁弁の位置と前記流体デバイスの位置とが互いに重なる、
請求項1~8の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記流路中の前記流体を加熱する温度調整ユニットを備え、
前記温度調整ユニットは、
ヒータと、
前記ヒータにより加熱される熱媒と、
前記熱媒を循環させる熱媒循環流路と、を有する、請求項1~9の何れか一項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、体外診断分野における試験の高速化、高効率化、および集積化、又は、検査機器の超小型化を目指したμ-TAS(Micro-Total Analysis Systems)の開発などが注目を浴びており、世界的に活発な研究が進められている。
【0003】
μ-TASは、少量の試料で測定、分析が可能なこと、持ち運びが可能となること、低コストで使い捨て可能なこと等、従来の検査機器に比べて優れている。
更に、高価な試薬を使用する場合や少量多検体を検査する場合において、有用性が高い方法として注目されている。
【0004】
μ-TASの構成要素として、ループ状流路と、該流路上に配置されるポンプとを備えたデバイスが報告されている(非特許文献1)。このデバイスでは、該ループ状の流路へと複数の溶液を注入し、ポンプを作動させることで、複数の溶液をループ状流路内で混合する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Jong Wook Hong, Vincent Studer, Giao Hang, W French Anderson and Stephen R Quake,Nature Biotechnology 22, 435 - 439 (2004)
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、流体デバイス内の流路に流れる流体を制御する制御装置であって、前記流体デバイスは、前記流体の流れを切り替え可能な区画バルブ、および前記流路内の前記流体を移送するポンプバルブを有しており、前記区画バルブに接続する複数の管路、および複数の前記管路にそれぞれ配置される複数の電磁弁を有し、複数の前記電磁弁の開閉、および複数の前記管路に付与する気体の圧力の制御により前記区画バルブを開閉する圧力供給ユニットと、回転する動力を生じさせる駆動部、および前記駆動部と前記ポンプバルブとに接触して前記ポンプバルブを押圧可能な押圧部材を有し、前記駆動部の駆動にあわせて前記押圧部材の位置移動を機械的に制御するポンプ駆動ユニットと、複数の前記電磁弁よりも前記ポンプ駆動ユニットの近くに配置され、前記流体に含まれる検出対象を電気的に検出する検出部と、を備える、制御装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態の流体デバイスの断面模式図である。
図2図2は、一実施形態の流体デバイス1の平面図である。
図3図3は、一実施形態の制御装置の斜視図である。
図4図4は、一実施形態の制御装置の構造部の分解斜視図である。
図5図5は、一実施形態の圧力供給ユニットの模式図である。
図6図6は、一実施形態のプッシャーピンユニットおよびカムの底面図である。
図7図7は、一実施形態のポンプ駆動ユニットの断面図である。
図8図8は、一実施形態のポンプ駆動ユニットの断面模式図である。
図9図9は、変形例1の温度調整ユニットの模式図である。
図10図10は、変形例2の温度調整ユニットの模式図である。
図11図11は、変形例3のポンプ駆動ユニットの底面図である。
図12図12は、図11のXII-XII線に沿うポンプ駆動ユニットの断面模式図である。
図13図13は、変形例4の圧力供給ユニットの一部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係る制御装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0009】
<流体デバイス>
まず、図1および図2を基に本実施形態の制御装置2によって制御される流体デバイス1について説明する。
図1は、本実施形態の流体デバイス1の断面模式図である。図2は、流体デバイス1を模式的に示した平面図である。なお、図2においては、第1基板6を透明であるとし、第1基板6の下側に配置された各部を透過させた状態として図示する。なお、図1は、あくまで模式図であり、図2における特定の部位の断面図ではない。
【0010】
本実施形態の流体デバイス1は、検体試料に含まれる検出対象である試料物質を免疫反応および酵素反応などにより検出するデバイスを含む。試料物質は、例えば、核酸、DNA、RNA、ペプチド、タンパク質、細胞外小胞体などの生体分子である。
【0011】
図1に示すように、流体デバイス1は、基材5と複数の区画バルブVと、複数のポンプバルブPeと、を備える。複数のポンプバルブPeは、流路内ポンプPを構成する。また、複数の区画バルブVは、定量バルブVqと、導入バルブViと、排出バルブVoと、に分類される(図2参照)。
【0012】
基材5は、板厚方向に積層された3つの基板(第1基板6、第2基板9および第3基板第3基板8)を有する。第1基板6、第3基板8および第2基板9は、樹脂材料から構成される。第1基板6、第3基板8および第2基板9を構成する樹脂材料としては、ポリプロピレン、ポリカーボネイト等が例示される。なお、第1基板6、第3基板8および第2基板9を構成する材料は、限定されない。
【0013】
以下の説明においては、第1基板6、第3基板8および第2基板9は水平面に沿って配置され、第1基板6は第2基板9の上側に配置され、第3基板8は第2基板9の下側に配置されるものとして説明する。第1基板6、第2基板9、第3基板8は、それぞれ、上板6、基板9、下板8と言い換えてもよい。ただし、これは、説明の便宜のために水平方向および上下方向を定義したに過ぎず、本実施形態に係る流体デバイス1の使用時の向きを限定しない。
【0014】
第1基板6、第2基板9および第3基板8は、水平方向に沿って延びる板材である。第1基板6、第2基板9および第3基板8は、上下方向に沿ってこの順で積層されている。
なお、以下の説明において、第1基板6、第2基板9および第3基板8を積層させる方向を単に積層方向と呼ぶ。本実施形態において、積層方向は、上下方向である。また、本実施形態において、積層方向は、基板(第1基板6、第2基板9および第3基板8)の板厚方向である。
【0015】
第1基板6の下面は、第2基板9の上面と積層方向に対向し接触し、接着等の接合手段により互いに接合されている。同様に、第3基板8の上面は、第2基板9の下面と積層方向に対向し接触し、接着等の接合手段により互いに接合されている。
【0016】
基材5は、3つの基板(第1基板6、第2基板9および第3基板8)を積層して構成され、板状である。したがって、流体デバイス1は、板状である。流体デバイス1は、板厚方向(すなわち、3つの基板の積層方向)を向く第1面1aと第2面1bとを有する。第1面1aは、第1基板6の上面である。また、第2面1bは、第3基板8の下面である。
【0017】
基材5には、リザーバー29と、流路11と、廃液槽7と、空気孔35と、供給孔39と、が設けられている。
【0018】
リザーバー29は、第2基板9の下面に設けられた溝部9bの内壁面と第3基板8とによって囲まれたチューブ状に形成された空間である。本実施形態の基材5には、複数のリザーバー29が設けられる。すなわち、リザーバー29は、第2基板9に設けられた溝部9bを第3基板8によって覆うことで構成される。リザーバー29には、流体(溶液)Sが収容される。複数のリザーバー29は、互いに独立して流体を収容する。リザーバー29の一端は、リザーバー29内の流体を流路に供給する供給孔39に繋がる。また、図示を省略するが、リザーバー29の他端は、リザーバー29内に流体を注入するための注入孔が繋がる。
【0019】
流路11には、流体が流れる。流路11は、第2基板9の上面に設けられた溝部9aの内壁面と第1基板6とによって囲まれたチューブ状に形成された空間である。すなわち、流路11は、第2基板9に設けられた溝部9aを第1基板6によって覆うことで構成される。
流路11の各部に関しては、図2を基にして後段において詳細に説明する。
【0020】
供給孔39は、第2基板9に設けられている。供給孔39は、第2基板9を板厚方向に貫通する。供給孔39は、リザーバー29と流路11とを繋ぐ。リザーバー29に貯留された流体は、供給孔39を介して流路11に供給される。
【0021】
廃液槽7は、流路11中の流体を廃棄する為に基材5に設けられる。廃液槽7は、流路11に接続される。廃液槽7は、第2基板9の上面側に設けられた凹部7cの内壁面と、凹部7cの上側を向く開口を覆う第1基板6に囲まれた空間に構成される。図2に示すように、本実施形態の基材5には、2つの廃液槽7が設けられる。2つの廃液槽7は、接続流路7aを介して互いに繋がっている。
【0022】
図1に示すように、空気孔35は、第1基板6に設けられる。空気孔35は、一方の廃液槽7の直上に位置する。空気孔35は、廃液槽7を外部に繋げる。廃液槽7は、空気孔35を介して外部に開放される。
【0023】
次に、流路11について、より具体的に説明する。
図2に示すように、流路11は、2つの循環流路10(第1循環流路10Aおよび第2循環流路10B)と、複数の導入流路12と、複数の排出流路13と、を含む。
【0024】
第1循環流路10Aおよび第2循環流路10Bは、それぞれ積層方向から見て、ループ状に構成される。第1循環流路10Aと第2循環流路10Bとは、一部の流路(共有流路10c)を共有する。すなわち、共有流路10cは、第1循環流路10Aの一部でもあり、第2循環流路10Bの一部でもある。第1循環流路10Aと第2循環流路10Bとは、区画バルブVの開閉によって互いに切り替えられる。
【0025】
共有流路10cには、流路内ポンプPが配置されている。
流路内ポンプPは、流路11内の流体を圧送する。流路内ポンプPは、流路中に並んで配置された3つのポンプバルブPeから構成されている。
【0026】
流路内ポンプPは、3つのポンプバルブPeを順次開閉することにより、循環流路10内において液体を圧送する。流路内ポンプPを構成するポンプバルブPeの数は、3以上であればよく、4以上であってもよい。流路内ポンプPは、共有流路10cに設けられるため、第1循環流路10Aおよび第2循環流路10Bにおいて、それぞれ、流体を循環させることができる。
【0027】
ポンプバルブPeは、圧力におり変形する弾性材で構成される。ポンプバルブPeを構成する弾性材としては、例えば、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマーを例示することができる。
【0028】
図1に示すように、ポンプバルブPeは、第1基板6に設けられた第1固定孔6aに固定されている。第1固定孔6aは、第1基板6を上下方向に貫通する。ポンプバルブPeは、流体デバイス1の第1面1aにおいて露出する。ポンプバルブPeは、例えば、第1基板6とともに二色成形することで形成される。ポンプバルブPeは、上側から応力を付与されることで下側に凹む。これにより、ポンプバルブPeは、流路11を狭める又は閉塞する。
【0029】
複数のポンプバルブPeは、積層方向に延びる軸線Cを中心とする輪帯上の領域に間隔をあけて配置されている。例えば、複数のポンプバルブPeは、図2に示すように、積層方向に延びる軸線Cを中心とする同一円周上に間隔をあけて配置されている。流路11の一部は、互いに隣り合うポンプバルブPe同士を繋ぐように平面視でV字状の経路で形成されている。
【0030】
なお、本実施形態では、3つのポンプバルブPeが、平面視で軸線Cを中心とする同一円周上に千鳥状に配置される場合を例示するが、このような配置はあくまで一例である。本実施形態において、3つのポンプバルブPeが千鳥状に配置されるのは、ポンプバルブPeを押圧するプッシャーピン62の軸部62a(図6参照)が平面視で千鳥状に配置されるためである。後段の変形例3(図11など)において説明するように、プッシャーピン62、362の軸部62a、362aが平面視で直線状に配置される場合には、複数のポンプバルブPeはこれに合わせて平面視で直線状に配置される。また、プッシャーピンがその他の配置構成である場合には、複数のバルブポンプは、その配置に合わせて配置される。
【0031】
共有流路10cには、一次捕捉部25が配置されている。
一次捕捉部25は、第1循環流路10Aから第2循環流路10Bに流体内の検出対象物を移送する為に設けられる。第1循環流路10A内で抽出された検出対象物は、一次捕捉部25で一旦、補足される。さらに、第2循環流路10Bにおいて、他の溶液(流体)と混合され、後段で説明する処理部20において処理される。
【0032】
第1循環流路10Aおよび第2循環流路10Bの経路中には、複数の定量バルブVqが設けられる。定量バルブVqは、第1循環流路10Aおよび第2循環流路10Bを区画する。これにより、第1循環流路10Aおよび第2循環流路10Bは、所定の容積となるように複数の領域に区画される。定量バルブVqは、循環流路10内の流体を流路内ポンプPによって循環させる場合に、開放される。
【0033】
定量バルブVqによって区画された領域には、それぞれ、導入流路12および排出流路13が接続されている。定量バルブVqによって区画された領域には、導入流路12を介してリザーバー29から流体が導入される。また、定量バルブVqによって区画された領域内の流体は、排出流路13を介して廃液槽7に排出される。
【0034】
第2循環流路10Bの経路中には、処理部20が設けられる。すなわち、処理部20は、流路11中に設けられる。本実施形態の処理部20は、流体中の検出対象を検出する検出部である。本実施形態の処理部20は、検出対象を電気化学に検出する。処理部20は、第1電極21、第2電極22および第3電極23を有する。第1電極21、第2電極22および第3電極23は、スクリーン印刷により成形されたカーボン電極であっても、スパッタリング等の成膜法により形成された金属製の電極であってもよい。
【0035】
処理部20は、流路11を流れる流体と接触して、流体に対して何らかの処理を施すものであればその機能は限定されない。処理部20が流体に施す処理としては、捕捉処理、検出処理、加熱処理、抗原抗体反応、核酸の交差結合、生体分子の相互作用などが例示できる。処理部20としては、DNAアレイチップ、電界センサ、加熱ヒータ、クロマトグラフィーを行う素子などが例示できる。また、処理部20は、カメラによって検出対象を光学的に検出するものであってもよい。さらに、処理部20は、検出対象を磁気的に検出するGMRセンサ(Giant Magneto Resistive Sensor)であってもよい。
【0036】
導入流路12は、循環流路10に流体を導入するための流路である。導入流路12は、一端側において供給孔39に接続される。また、導入流路12は、他端側において、循環流路10に接続される。導入流路12と循環流路10との境界部および導入流路12の経路中には、導入バルブViが設けられる。導入バルブViは、導入流路12を介して循環流路に流体を導入する際に開放される。
【0037】
排出流路13は、循環流路10内の流体を廃液槽7に排出するための流路である。排出流路13は、一端側において廃液槽7に接続される。また、排出流路13は、他端側において、循環流路10に接続される。循環流路10と排出流路13との境界部には、排出バルブVoが設けられる。排出バルブVoは、排出流路13を介して循環流路10に流体を導入する際に開放される。
【0038】
区画バルブVの構造は、ポンプバルブPeと略同じである。区画バルブVは、圧力により変形する弾性材で構成される。区画バルブVを構成する弾性材としては、ポンプバルブPeと同様に、例えば、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマーを例示することができる。
【0039】
図1に示すように、区画バルブV(定量バルブVq、導入バルブVi、排出バルブVo)は、第1基板6に設けられた第2固定孔6bに固定されている。第2固定孔6bは、第1基板6を上下方向に貫通する。区画バルブVは、流体デバイス1の第1面1aにおいて露出する。区画バルブVは、第1基板6とともに二色成形されている。区画バルブVは、第1基板6側から圧力を付与されることにより、第1基板6側から2基板9側に向かう方向に、凸状に変形する。すなわち、区画バルブVは、上側から陽圧を付与されることで下側に凹む。区画バルブVに加えられる圧力は、区画バルブVの弾性材と直接的に接触するものではなく、空圧・油圧等、流体の力を応用したものである。区画バルブVは、供給された流体の圧力や膨張力をエネルギー源として弾性変形する。これにより、区画バルブVは、流路11を閉塞し流路11を区画する。
【0040】
(リザーバーから流路に流体を供給する手順)
次に、流体デバイス1においてリザーバー29から流路11に流体Sを供給する手順について説明する。なお、以下に説明する流体デバイス1の制御は、後述する制御装置2によってなされる。
【0041】
図1に示すように、リザーバー29には、予め流体Sが充填されている。制御装置2は、リザーバー29内の流体Sを、循環流路10内の定量バルブVqによって区画された一区画(以下、定量区画18と呼ぶ)に導入する。この際に、制御装置2は、循環流路10の区画バルブVを開閉して、流体Sを所望の定量区画18に誘導する。ここでは、図2に示す第1循環流路10A内の定量区画18に流体を導入する場合について説明する。
【0042】
まず、制御装置2は、定量区画18の長さ方向両側に位置する一対の定量バルブVqを閉じる。さらに、制御装置2は、定量区画18に繋がる排出流路13の排出バルブVoを開くとともに、排出バルブVoを閉じる。また、制御装置2は、定量区画18に繋がる導入流路12の導入バルブViを開く。次いで、制御装置2は、空気孔35から廃液槽7内を負圧吸引する。これにより、制御装置2は、リザーバー29(図1参照)内の流体Sは、供給孔39を介して流路11側に移動する。
【0043】
(流路内の流体を混合する手順)
次に、流体デバイス1の流路に供給された流体を混合する手順について図2を基に説明する。なお、以下に説明する流体デバイス1の制御は、後述する制御装置2によってなされる。
【0044】
まず、上述したように循環流路10に流体を導入した状態で、制御装置2は、排出バルブVoおよび導入バルブViを閉じ、定量バルブVqを開く。さらに、制御装置2は、流路内ポンプPを駆動させ、循環流路10内の流体を圧送し循環させる。循環流路10を循環する流体は、流路内の流路壁面と流体の相互作用(摩擦)により、壁面周辺の流速は遅く、流路中央の流速は速くなる。その結果、流体の流速に分布ができるため、流体の混合および反応が促進される。このような工程を経た後に、制御装置2は、処理部20において、流体内の検出対象物を検出する。
【0045】
<制御装置>
図3は、上述の流体デバイス1を制御する制御装置2の斜視図である。
制御装置2は、流体デバイス1内の流体の流動を制御する。また、制御装置2は、流体デバイス1内の流体の温度を制御する。さらに、制御装置2は、流体デバイス1の処理部20を制御し、検出対象を検出する。
【0046】
以下の説明において、制御装置2に流体デバイス1を収容する際の方向を基に上下方向を規定して、制御装置2の各部を説明する。本明細書における上下方向(上側および下側)並びに水平方向は、本実施形態の制御装置2を使用する際の姿勢の一例であって、制御装置2の使用時の姿勢を限定するものではない。
【0047】
制御装置2は、ケース2aと、構造部2bと、制御部2cと、を有する。ケース2aは、構造部2bおよび制御部2cを収容する。また、構造部2bの内部には、流体デバイス1が収容される。
【0048】
ケース2aは、略直方体である。ケース2aは、上下方向から見て、矩形状である。ケース2aは、水平方向を向く側面2aaを有する。側面2aaには、把手2abが設けられる。制御装置2を使用する作業者は、把手2abを把持して制御装置2を持ち運ぶことができる。
なお、図3において図示を省略するが、ケース2aは、構造部2bおよび制御部2cの上側を覆う上カバーを有している。
【0049】
制御部2cは、操作パネル2caと、制御装置2の各部を制御する制御基板(図示略)と、制御装置2の電源としてのバッテリーパック(図示略)と、を有する。
操作パネル2caは、ケース2aの上カバー(図示略)に設けられた窓部から外部に露出する。操作パネルは、制御装置2による検査結果を表示する液晶パネルである。また、操作パネル2caは、いわゆるタッチパネルとなっている。制御装置2は、操作パネル2caを介する作業者の操作によって動作する。
【0050】
図4は、構造部2bの分解斜視図である。なお、図4を含む各図において、動力伝達を担う歯車形状の図示を省略する。
【0051】
構造部2bは、流体デバイス1を収容する収容部40と、流体デバイス1の区画バルブVに圧力を供給する圧力供給ユニット50と、流体デバイス1の流路内ポンプPを駆動させるポンプ駆動ユニット60と、流体デバイス1の温度を調整する温度調整ユニット80と、を有する。すなわち、制御装置2は、収容部40、圧力供給ユニット50、ポンプ駆動ユニット60および温度調整ユニット80を有する。なお、図4において図示を省略するが、構造部2bは、流体デバイス1の処理部20において検出対象を検出する検出ユニットを有する。
【0052】
(収容部)
収容部40は、収容トレイ41と、ローディングユニット42と、を有する。
収容トレイ41は、流体デバイス1を収容する。流体デバイス1は、区画バルブVおよびポンプバルブPeを上側に向けた姿勢で収容トレイ41に収納される。収容トレイ41は、ローディングユニット42によって駆動させられる。
【0053】
ローディングユニット42は、収容トレイ41を水平方向に駆動させる水平駆動部と、収容トレイ41を上下に駆動させる鉛直駆動部と、を有する。
【0054】
ローディングユニット42の水平駆動部は、収容トレイ41を、水平方向に沿ってケース2aの内部から外部へ、又はケース2aの外部から内部へ、移動させる。ケース2aの外部に移動された収容トレイ41は、ケース2aの側面2aaから水平方向に突出して、上面を露出させる。作業者は、収容トレイ41が露出された状態で、流体デバイス1を収容トレイ41に搭載させる。さらに、水平駆動部が、収容トレイ41を内部に移動させることで、流体デバイス1は、ケース2aの内部に収容される。
【0055】
ローディングユニット42の上下駆動部は、流体デバイス1が搭載されケース2aの内部に位置する収容トレイ41を上側に移動させる。これにより、ローディングユニット42は、流体デバイス1を、圧力供給ユニット50の管路部材57に押し付ける。
【0056】
(温度調整ユニット)
温度調整ユニット80は、主に板状である。温度調整ユニット80は、収容部40に設けられる。より具体的には、温度調整ユニット80は、収容トレイ41の上面の全体に配置される。温度調整ユニット80は、収容トレイ41の上面と、収容トレイ41に搭載される流体デバイス1との間に介在する。
【0057】
温度調整ユニット80は、板状の上プレート、フィルムヒータおよび断熱シートが上下方向にこの順で積層されて構成される。フィルムヒータによって生じた熱は上プレートにおいて一様とされ流体デバイスに伝わる。また、温度調整ユニット80は、処理部20の温度を測定する温度センサと、フィルムヒータに電流を供給するヒータ制御基板と、を有していてもよい。
【0058】
(圧力付与ユニット)
圧力供給ユニット50は、収容部40に収容された流体デバイス1の区画バルブVに圧力を供給する又は圧力の供給を解除することで、区画バルブVの開閉を行う。
【0059】
図5は、圧力供給ユニット50の模式図である。
圧力供給ユニット50は、陽圧ポンプ(圧力付与ポンプ)53と、負圧ポンプ54と、管路部材57と、複数の陽圧電磁弁(電磁弁)55と、負圧電磁弁56と、を有する。
【0060】
陽圧ポンプ53および負圧ポンプ54は、それぞれ、モータと、シリンジ部と、モータによりシリンジ内を往復運動するプランジャ部と、有する。陽圧ポンプ53は、プランジャの往復動作によりシリンジ内の圧力を高めることで陽圧を発生させる。一方で、負圧ポンプ54は、プランジャの往復運動により、シリンジ内の圧力を低くすることで負圧を発生させる。陽圧ポンプ53は、複数の陽圧電磁弁55に接続されている。一方で、負圧ポンプ54は、負圧電磁弁56に接続されている。
【0061】
管路部材57には、陽圧ポンプ53を流体デバイス1の区画バルブVに繋ぐ陽圧用管路58と、負圧ポンプ54を流体デバイス1の空気孔35に繋ぐ負圧用管路59と、が設けられる。すなわち、圧力供給ユニット50は、陽圧用管路58と負圧用管路59とを有する。
【0062】
図4に示すように、管路部材57は、水平方向に沿って延びる板状である。管路部材57は、収容部40に収容された流体デバイス1の直上に位置する。管路部材57の下面は、流体デバイス1の上面に押し付けられる。これにより、流体デバイス1の区画バルブVは、管路部材57の下面に密着する。
【0063】
管路部材57には、上下方向に貫通する窓部57aが設けられる。窓部57aは、軸方向から見て矩形状である。窓部57aは、収容部に収容された流体デバイス1の流路内ポンプPの直上に位置し、流路内ポンプPを上側に露出させる。また、窓部57aには、後段に説明するポンプ駆動ユニット60のプッシャーピンユニット61が上側から挿入される。
【0064】
管路部材57は、上下方向に沿って積層される第1の管路基板51および第2の管路基板52を有する。第1の管路基板51は、第2の管路基板52に対して上側に位置する。第1の管路基板51と第2の管路基板52とは、互いに対向する面において接触し、互いに固定される。
【0065】
第2の管路基板52の上面には、複数の凹溝が設けられる。凹溝の上側の開口は、第1の管路基板51の下面によって覆われる。凹溝の内壁面と第1の管路基板51とで囲まれた空間には、チューブ状の陽圧用管路(管路)58および負圧用管路59が構成される。本実施形態において、複数の凹溝のうち1つのみが負圧用管路59を構成し、他の複数の凹溝が陽圧用管路58を構成する。
【0066】
図5に示すように、複数の陽圧用管路58の経路中には、それぞれ陽圧電磁弁55が配置される。複数の陽圧用管路58の一端は、陽圧ポンプ53に繋がる。複数の陽圧用管路58の他端は、それぞれ第2の管路基板52の下面に開口する。複数の陽圧用管路58の他端の開口は、それぞれ流体デバイス1の異なる区画バルブVの直上に位置する。すなわち、複数の陽圧用管路58は、それぞれ、陽圧ポンプ53と区画バルブVとを繋ぐ。
【0067】
負圧用管路59の経路中には、負圧電磁弁56が配置される。負圧用管路59の一端は、負圧ポンプ54に繋がる。また、負圧用管路59の他端は、第2の管路基板52の下面に開口する。負圧用管路59の他端は、流体デバイス1の空気孔35に繋がる。すなわち、負圧用管路59は、それぞれ、負圧ポンプ54と空気孔35とを繋ぐ。
【0068】
図4に示すように、複数の陽圧電磁弁55および1つの負圧電磁弁56は、管路部材57の下側に位置し、管路部材57に固定される。上下方向から見て、負圧電磁弁56および複数の陽圧電磁弁55のうち幾つかは、流体デバイス1の水平方向一方側に位置し、他の複数の陽圧電磁弁55は、流体デバイスの水平方向他方側に位置する。
【0069】
本実施形態によれば、複数の陽圧電磁弁55は、水平面内の一方向において流体デバイス1を挟んで互いに反対側にそれぞれ配置されている。これにより、流体デバイス1の各区画バルブVと、当該区画バルブVの開閉を制御する陽圧電磁弁55との距離を近づけることができる。結果的に、陽圧用管路58の経路を短くして、使用する圧縮空気の量を少なくすることができる。また、陽圧用管路58内の圧力損失を低減できる。
【0070】
複数の陽圧電磁弁55および負圧電磁弁56は、上下方向(すなわち、流体デバイス1の板厚方向)において、流体デバイス1と重なる。すなわち、流体デバイス1の板厚方向において、複数の陽圧電磁弁55および負圧電磁弁56の位置と流体デバイス1の位置とが互いに重なる。このため、本実施形態によれば、制御装置2が、上下方向に肥大化することを抑制でき、制御装置2の小型化を実現できる。
【0071】
陽圧電磁弁55は、陽圧ポンプ53と陽圧用管路58との間に位置しこれらを繋ぐ。陽圧電磁弁55は、ONモードとOFFモードとを切り替えることができる。
【0072】
陽圧電磁弁55は、ONモードにおいて、陽圧ポンプ53において生じた陽圧を、陽圧用管路58の内部に付与する。陽圧用管路58の内部に陽圧が付与されることで、陽圧用管路58に繋がる流体デバイス1の区画バルブVは、下側に変形する。このため、陽圧電磁弁55のONモードにおいて、区画バルブVは、流体デバイス1の流路11(図1参照)を塞ぐ。すなわち、圧力供給ユニット50は、区画バルブVに圧力を付与して区画バルブVを変形させ流路11を区画させる。
【0073】
陽圧電磁弁55は、OFFモードにおいて、陽圧ポンプ53において生じた陽圧をせき止めて、陽圧用管路58側に陽圧を付与せず、陽圧用管路58の内部を大気圧に開放する。陽圧用管路58の内部が大気圧に開放された状態において、区画バルブVは、変形しない。このため、陽圧電磁弁55のOFFモードにおいて、区画バルブVは、流体デバイス1の流路11を塞ぐことなく開放させる。
【0074】
複数の陽圧電磁弁55のうち1つは、基幹陽圧電磁弁55Aである。すなわち、複数の陽圧電磁弁55には、基幹陽圧電磁弁55Aが含まれる。基幹陽圧電磁弁55Aは、陽圧ポンプ53と他の陽圧電磁弁55との間に配置される。基幹陽圧電磁弁55Aと他の陽圧電磁弁55との間において、陽圧用管路58は、分岐してそれぞれの陽圧電磁弁55に繋がる。
【0075】
基幹陽圧電磁弁55Aは、陽圧ポンプ53から付与される陽圧を他の全ての陽圧電磁弁55に対して付与するか否かを切り替える電磁弁である。したがって基幹陽圧電磁弁55AをONモードとすることで、他の全ての陽圧電磁弁55に対して陽圧が付与される。また、基幹陽圧電磁弁55AをOFFモードとすることで、他の全ての陽圧電磁弁55への陽圧の付与が停止される。
【0076】
負圧電磁弁56は、負圧ポンプ54と負圧用管路59との間に位置しこれらを繋ぐ。負圧電磁弁56は、ONモードとOFFモードとを切り替えることができる。
【0077】
負圧電磁弁56は、ONモードにおいて、負圧ポンプ54において生じた負圧を、負圧用管路59に付与する。負圧用管路59に負圧が付与されることで、負圧用管路59に繋がる流体デバイス1の空気孔35から空気が吸引される。このため、負圧電磁弁56のONモードにおいて、流体デバイス1の流路11に負圧が付与され、リザーバー29から流路11に流体が導入される。
【0078】
負圧電磁弁56は、OFFモードにおいて、負圧ポンプ54において生じた負圧をせき止めて、負圧用管路59側に負圧を付与せず、空気孔35を大気圧に開放する。
【0079】
本実施形態によれば、陽圧電磁弁55のONモードおよびOFFモードを切り替えることで、流体デバイス1の区画バルブVの開閉を制御し、流路11の構成を変化させることできる。また、本実施形態によれば、負圧電磁弁56のONモードおよびOFFモードを切り替えることで、流体デバイス1のリザーバー29から流路11に流体を導入できる。これにより、リザーバー29から流路11に導入された流体を流路11の好ましい領域に誘導できる。
【0080】
(ポンプ駆動ユニット)
ポンプ駆動ユニット60は、収容部40に収容された流体デバイス1の流路内ポンプPを駆動させ、流路内ポンプPにより流体デバイス1の流路11の流体を圧送させる。
【0081】
図4に示すように、ポンプ駆動ユニット60は、プッシャーピンユニット61と、カム66と、カム駆動用モータ67と、動力伝達部68と、支持板69と、を有する。支持板69は、プッシャーピンユニット61、カム66、カム駆動用モータ67および動力伝達部68を支持する。支持板69は、圧力供給ユニット50の管路部材57に固定される。
【0082】
カム駆動用モータ67は、カム66を回転させる動力を生じさせるモータである。カム駆動用モータ67は、支持板69の下側に位置する。したがって、カム駆動用モータ67は、支持板69に対して下側に突出して配置される。
【0083】
カム駆動用モータ67は、上下方向(すなわち、流体デバイス1の板厚方向)において、流体デバイス1と重なる。すなわち、流体デバイス1の板厚方向において、カム駆動用モータ67の位置と流体デバイス1の位置とが互いに重なる。このため、制御装置2が、上下方向に肥大化することを抑制でき、制御装置2の小型化を実現できる。
【0084】
カム駆動用モータ67の回転シャフト67aは、上下方向に沿って延びる。回転シャフト67aは、支持板69を貫通して支持板69の上側に突出する。回転シャフト67aの上端には、ピニオンギヤ67bが固定される。ピニオンギヤ67bは、支持板69の上側に位置し、上下方向に延びる回転中心軸を中心としてカム駆動用モータ67の動力により回転する。
【0085】
動力伝達部68は、カム駆動用モータ67の動力をカム66に伝える。動力伝達部68は、第1ギヤ68aと第2ギヤ68bと第3ギヤ68cとを有する。第1ギヤ68a、第2ギヤ68bおよび第3ギヤ68cは、水平方向に沿って延びる板状である。第1ギヤ68a、第2ギヤ68bおよび第3ギヤ68cは、それぞれ上下方向(すなわち、流体デバイス1の板厚方向)に延びる異なるギヤ軸を中心として回転する。
【0086】
第1ギヤ68aとカム駆動用モータ67のピニオンギヤ67bとは、互いに噛み合う。第1ギヤ68aと第2ギヤ68bとは、互いに噛み合う。第2ギヤ68bと第3ギヤ68cとは、互いに噛み合う。さらに第3ギヤ68cとカム66とは、互いに噛み合う。したがって、カム駆動用モータ67の動力は、第1ギヤ68a、第2ギヤ68bおよび第3ギヤ68cを介して、カム66に伝達される。
【0087】
本実施形態によれば、カム駆動用モータ67とカム66との間に、動力伝達部68が設けられる。これにより、カム66とカム駆動用モータ67とを離間して配置できる。カム66の直下には、流体デバイス1が配置される。カム駆動用モータ67とカム66とを離間して配置することで、流体デバイス1とカム駆動用モータ67との上下方向の位置を重ねて配置できる。結果的に、制御装置2を上下方向に小型化できる。
【0088】
本実施形態によれば、動力伝達部68は、上下方向に延びるギヤ軸を中心として回転する複数のギヤ(第1ギヤ68a、第2ギヤ68bおよび第3ギヤ68c)を有する。本実施形態によれば、複数のギヤは、同一平面に沿って並ぶため、制御装置2を上下方向に小型化できる。
なお、本実施形態の動力伝達部68は、ギヤ機構により動力を伝達するが、動力伝達部68は、例えばベルト機構などの他の伝達機構によって動力を伝達するものであってもよい。
【0089】
図6は、プッシャーピンユニット61およびカム66の底面図である。図7は、カム66の軸線Cに沿うポンプ駆動ユニット60の断面図である。なお、図6において、支持板69の図示は省略されている。
【0090】
プッシャーピンユニット61は、3本のプッシャーピン(押圧部材)62と、3つのバネ65と、3つの小球64と、ピンホルダ63と、を有する。すなわち、ポンプ駆動ユニット60は、プッシャーピン62、バネ65、小球64およびピンホルダ63を有する。
【0091】
図7に示すように、ピンホルダ63は、支持板69の下面に固定される。ピンホルダ63には、上下に貫通する3つの段付き孔63aが設けられる。段付き孔63aは、上側を向く段差面63aaを有する。段付き孔63aは、段差面63aaより上側の直径が、段差面より下側の直径より大きい。段付き孔63aには、プッシャーピン62およびバネ65が収容される。これにより、ピンホルダ63は、プッシャーピン62およびバネ65を保持する。
【0092】
プッシャーピン62は、上下方向に沿って延びる軸状である。
図6に示すように、3本のプッシャーピン62は、上下方向から見て、軸線Cを中心とする同一円周上に間隔をあけて配置されている。3本のプッシャーピン62は、それぞれ、上下方向から見て、収容部40に収容された流体デバイス1のポンプバルブPeと重なる。すなわち、3本のプッシャーピン62の直下には、それぞれポンプバルブPeが配置される。
【0093】
図7に示すように、プッシャーピン62は、軸部62aと、軸部62aの上端から径方向外側に延びるフランジ部62bと、を有する。プッシャーピン62の下端は、半球状に形成されている。また、プッシャーピン62の上端面には、小球64の一部が収容される凹部62cが設けられる。
【0094】
プッシャーピン62は、ピンホルダ63の段付き孔63aに収容される。プッシャーピン62のフランジ部62bは、段差面63aaより上側に位置する。フランジ部62bの直径は、段付き孔63aの段差面63aaの上側の直径より小さく、段差面63aaの下側の直径より大きい。また、軸部の直径は、段付き孔63aの段差面63aaの下側の直径より小さい。軸部62aの直径は、流体デバイス1のポンプバルブPeの直径より小さい。プッシャーピン62は、段付き孔63aに収容された状態で上下方向に移動可能である。
【0095】
バネ65は、上下方向に沿って螺旋状に延びるコイルバネである。バネ65は、圧縮された状態でピンホルダ63の段付き孔63aに収容される。バネ65の上端は、プッシャーピン62のフランジ部62bの下面と接触する。また、バネ65の下端は、段付き孔63aの段差面63aaに接触する。バネ65は、プッシャーピン62に上側の応力をする。これにより、プッシャーピン62は、カム66の下面66abに押し当てられる。
【0096】
小球64は、プッシャーピン62の凹部に収容される。小球64の下端は、プッシャーピン62に接触する。また、小球64の上端は、カム66の下端面に接触する。小球64は、プッシャーピン62とカム66の下面66abとの間に介在する。
【0097】
カム66は、カム本体(円板部)66aと、カム本体66aの中央に挿入され固定されるカムシャフト66bと、を有する。カムシャフト66bは、上下方向(流体デバイス1の板厚方向)に延びる軸線Cを中心とする軸体である。カムシャフト66bは、支持板69に対して回転可能に支持される。すなわち、カム66は、支持板69に対して軸線Cを中心として回転可能である。
【0098】
カム本体66aは、軸方向から見て略円形の平板形状である。カム本体66aは、プッシャーピンユニット61の直上に位置する。また、カム本体66aは、収容部40に収容された流体デバイス1の上側(すなわち、第1面1a側)に位置する。カム本体66aは、外周に複数の歯面66aaが形成された歯車である。カム本体66aの歯面66aaには、動力伝達部68を介して伝わるカム駆動用モータ67の駆動力が伝わる。これにより、カム本体66aは、軸線Cを中心として回転する。
【0099】
図7に示すように、カム本体66aは、下面(対向面)66abを有する。カム本体66aの下面66abは、小球64と接触する。カム本体66aの下面66abは、流体デバイス1の第1面1aと上下方向に対向する。カム本体66aの下面66abと流体デバイス1の第1面1aとの間には、プッシャーピンユニット61が介在する。
【0100】
図6に示すように、カム本体66aの下面66abには、軸線Cの周方向に沿って並ぶ一対の凸部66cと、周方向において一対の凸部66c同士の間に位置する一対の谷部66dと、が設けられる。すなわち、カム本体66aは、軸線Cの周方向に沿って交互に並ぶ一対の凸部66cと、一対の谷部66dと、を有する。
【0101】
凸部66cは、谷部66dに対して流体デバイス1側に突出する。凸部66cは、軸線C周りの周方向に沿って延びる円弧状である。凸部66cの下面は、水平方向に沿って延びる平坦面である。凸部66cの周方向一方側の端部caには、周方向一方側に向かうに従い徐々に突出高さが低くなる斜面66caが設けられる。同様に、凸部66cの周方向他方側の端部には、周方向他方側に向かうに従い徐々に突出高さが低くなる斜面66caが設けられる。
【0102】
カム本体66aの下面66abは、凸部66c又は谷部66dにおいて、小球64に接触する。カム本体66aの凸部66c又は谷部66dは、小球64を介してプッシャーピン62に下向きの応力を付与する。
【0103】
図8は、軸線C周りに展開したポンプ駆動ユニット60および流体デバイス1の断面模式図である。
カム66が軸線C周りに回転すると、プッシャーピン62の直上に位置する凸部66cと谷部66dとが交互に切り替わる。これによって、プッシャーピン62は、周期的に、上下方向に往復運動する。すなわち、カム66は、プッシャーピン62を上下方向に駆動させる。
【0104】
プッシャーピン62の直上にカム66の凸部66cが位置する際に、凸部66cは、プッシャーピン62に接触し、プッシャーピン62に下向きの応力を付与する。プッシャーピン62に下向きの応力を付与されると、プッシャーピン62の下端は、ポンプバルブPeに接触し、ポンプバルブPeを下側に変形させる。すなわち、プッシャーピン62は、流路内ポンプPと接触し流路内ポンプを変形させる。ポンプバルブPeが下側に変形すると、ポンプバルブPeは、流路11を閉じる。
【0105】
プッシャーピン62の直上にカム66の谷部66dが位置する際に、プッシャーピン62は、バネ65によって上側に押し付けられて、ポンプバルブPeから離間する。これにより、ポンプバルブPeの変形が解除され、ポンプバルブPeは、流路11を開放する。
【0106】
3本のプッシャーピン62が、それぞれ、上下方向に往復運動すると、流路11の長さ方向に沿って並ぶ3つのポンプバルブPeは、流路11の長さ方向に沿って順番に流路11の開放と閉塞とを繰り返す。これにより、流路内ポンプPは、流路11内の流体を圧送する。
【0107】
本実施形態によれば、複数のプッシャーピン62が平面視で軸線Cを中心とする同一円周上に配置される。3つのプッシャーピン62は、軸線Cを中心として回転するカム66により応力が付与される。複数のプッシャーピン62を軸線C中心の同一円周上に配置することで、カム66がそれぞれのプッシャーピン62から受ける反力が等しくなり、カム66の回転を安定させることができ、結果的に流路内ポンプPの動作を安定させることができる。また、複数のプッシャーピン62を軸線C中心の同一円周上に配置することで、カム66の直径を小さくすることができ、結果的に制御装置2を小型化できる。加えて、それぞれのプッシャーピン62を軸線Cに近づけて配置できるため、プッシャーピン62を動作させるために要するカム66のトルクを小さくすることができる。これにより、カム66を駆動させるカム駆動用モータ67を小型化するとともに、消費電力を抑制することができる。
【0108】
本実施形態の制御装置2は、区画バルブVを開閉する圧力供給ユニット50と、流路内ポンプPを駆動させるポンプ駆動ユニット60と、を備える。圧力供給ユニット50は、区画バルブVに圧力を付することで、区画バルブVを開閉させる。一方で、ポンプ駆動ユニット60は、プッシャーピン62をポンプバルブPeに接触させ機械的に圧力を付与することで流路内ポンプPを駆動させる。すなわち、本実施形態によれば、区画バルブVは空気の圧力により駆動され、流路内ポンプPは機械的に駆動される。
【0109】
流体デバイス1の制御において、区画バルブVの開閉のタイミングは、複雑に構成される。このような区画バルブVの複雑な開閉は、陽圧電磁弁55を制御し区画バルブVに陽圧を付与することで容易に行うことができる。しかしながら、バルブに陽圧を付与することでバルブの開閉を行う場合、バルブを開放する際に圧力が抜ける音が発生する。このため、陽圧によるバルブの開閉は、区画バルブVのように開閉が頻繁ではないバルブの開閉には適するが、開閉を連続的に行うポンプバルブPeの制御には、静音性の観点で不向きである。また、流体デバイス1の処理部20において検出対象を電気的に検出する場合、ポンプバルブPeの開閉に陽圧を用いると電磁弁の駆動時の電気的なノイズが、処理部20における検出に影響を与える虞がある。さらに、ポンプバルブPeの開閉に陽圧を用いると、駆動周波数によっては圧縮空気が多く消費され、それに対応するためにより大きなポンプが必要となる。
【0110】
流路内ポンプPの駆動において、ポンプバルブPeの開閉は、規則的であり、また、連続的に頻繁に行われる。このため、本実施形態に示すように、ポンプバルブPeの開閉には、機械的な圧力を加えるポンプ駆動ユニット60を用いることが好ましい。
【0111】
本実施形態によれば、区画バルブVの駆動方法として陽圧の付与による駆動を採用し、流路内ポンプPの駆動方法として機械的な圧力の付与による駆動を採用した。これにより、流路内ポンプ駆動時の制御装置2の静音性を高め、電気的なノイズの発生を抑制し、圧縮空気の消費を抑えつつ、しかも区画バルブVにより複雑な流路11構成の制御を行うことができる。
【0112】
(変形例1(温度調整ユニット))
図9は、制御装置2に採用可能な、変形例1の温度調整ユニット180の模式図である。
なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0113】
温度調整ユニット180は、収容部40に収容された流体デバイス1の処理部20を加熱して処理部20の温度を調整する。温度調整ユニット180は、ヒータ181と、熱媒182と、熱媒循環流路183と、熱媒用ポンプ184と、温度センサ185と、を有する。
【0114】
熱媒循環流路183の内部には、熱媒182が流れる。熱媒循環流路183は、ループ状に延びる。すなわち、熱媒循環流路183は、熱媒182を循環させる。熱媒循環流路183の経路中には、ヒータ181および熱媒用ポンプ184が設けられる。ヒータ181は、熱媒循環流路183を流れる熱媒182を加熱する。熱媒用ポンプ184は、熱媒循環流路183内において熱媒182を圧送する。
【0115】
熱媒循環流路183は、測定部185aは、流体デバイス1の下面(図1に示す第2面1b)に接触する。熱媒循環流路183の一部は、上下方向(流体デバイス1の板厚方向)から見て、処理部20に重なる。これにより、熱媒循環流路183内の熱媒の熱を処理部20に効果的に伝えて、処理部20の温度を容易に高めることができる。
なお、熱媒循環流路183は、熱伝導性の高い部材を介して間接的に流体デバイス1の下面に接触していてもよい。
【0116】
温度センサ185は、測定部185aを有する。温度センサ185は、測定部185aにおける温度を測定する。測定部185aは、流体デバイス1の下面(図1に示す第2面1b)に接触する。また、測定部185aは、上下方向(流体デバイス1の板厚方向)から見て、処理部20に重なる。これにより、温度センサ185は、処理部20の温度を測定する。ヒータ181は、温度センサ185によって測定された温度に応じて熱媒182を加熱する。
【0117】
流体デバイス1は、処理部20において流路11内の流体に対して何らかの処理(例えば、検出対象の検出)を行う。このため、制御装置2において、流体デバイス1の処理部20の近傍には処理部20における処理のための装置が配置される。一例として、制御装置2において、処理部20の近傍には、処理部20に電圧を付与するプローブが配置される。一方で、処理部20における処理において、処理部20を処理に適正な温度とすることが求められる。しかしながら、処理部20の近傍には、処理部20を加熱するためのヒータを配置するスペースが制限される。
【0118】
本実施形態によれば、ヒータ181を処理部20から離間して配置し、熱媒循環流路183を流れる熱媒182を介してヒータ181の熱を処理部20に伝える。これにより、制御装置2において、処理部20の近傍の狭小なスペースを用いて、処理部20を効果的に冷却できる。
【0119】
(変形例2(温度調整ユニット))
図10は、制御装置2に採用可能な、変形例2の温度調整ユニット280の模式図である。
なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0120】
温度調整ユニット280は、収容部40に収容された流体デバイス1の処理部20を加熱して処理部20の温度を調整する。温度調整ユニット280は、ヒータ281と、熱媒282と、熱媒循環流路283と、熱媒用ポンプ284と、温度センサ185と、を有する。なお、温度センサ185は、上述の変形例1と同様の構成を有する。
【0121】
ヒータ281は、流体デバイス1の下面(図1に示す第2面1b)に接触する。ヒータ281は、上下方向(流体デバイス1の板厚方向)から見て、流体デバイス1の第2循環流路10Bに重なる。すなわち、ヒータ281は、流体デバイス1の第2循環流路10Bの直下に位置する。このため、ヒータ281は、第2循環流路10Bを流れる流体に熱を付与して流体の温度を高めることができる。
なお、ヒータ281は、熱伝導性の高い部材を介して間接的に流体デバイス1の下面に接触していてもよい。
【0122】
本変形例において、第2循環流路10Bを流れる流体は、熱媒282として機能する。すなわち、本変形例の温度調整ユニット280の熱媒282は、流体デバイス1内の流体である。
【0123】
本変形において、第2循環流路10Bは、熱媒循環流路283として機能する。すなわち、本変形例の温度調整ユニット280の熱媒循環流路283は、流体デバイス1の流路11の一部である。
【0124】
第2循環流路10Bを流れる流体は、流路内ポンプPによって圧送される。上述したように、本変形例において、第2循環流路10Bは、熱媒循環流路283として機能する。このため、本変形例の温度調整ユニット280において、流路内ポンプPは、熱媒用ポンプ284として機能する。
【0125】
第2循環流路10Bの経路中には、処理部20が配置されている。すなわち、本変形例の熱媒循環流路283の一部は、上下方向(流体デバイス1の板厚方向)から見て、処理部20と重なる。第2循環流路10Bを流れる流体が、処理部20を直接的に加熱する。ヒータ281は、温度センサ185によって測定された温度に応じて第2循環流路10B内の流体を加熱する。
【0126】
本変形例によれば、熱媒282、熱媒循環流路283、熱媒用ポンプ284として流体デバイス1の構成を利用する。このため、制御装置2に熱媒、熱媒循環流路および熱媒用ポンプを、別途設ける必要がなく、制御装置2を小型化することができる。また、本変形例において、熱媒282は、直接的に処理部20に接触する。このため、本変形例の温度調整ユニット280によれば、素早くまた低電力で処理部20を所望の温度まで高めることができる。
【0127】
(変形例3(ポンプ駆動ユニット))
図11は、制御装置2に採用可能な、変形例3のポンプ駆動ユニット360の底面図である。図11は、上述の実施形態における図6に対応する図である。また、図12は、図11のXII-XII線に沿うポンプ駆動ユニット360の断面図である。
なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0128】
ポンプ駆動ユニット360は、プッシャーピンユニット361と、カム66を有する。また、ポンプ駆動ユニット360は、上述の実施形態と同様に、カム駆動用モータ67と、動力伝達部68と、支持板69と、を有する(図11図12において省略)。
【0129】
プッシャーピンユニット361は、2本の第1のプッシャーピン(押圧部材)62と、1本の第2のプッシャーピン(押圧部材)362と、3つのバネ65と、3つの小球64と、ピンホルダ363と、を有する。第1のプッシャーピン62は、上述の実施形態のプッシャーピン62と同様の構成を有する。
【0130】
ピンホルダ363には、2つの第1の段付き孔63aと、1つの第2の段付き孔363aと、が設けられる。第1の段付き孔63aおよび第2の段付き孔363aは、それぞれ上下方向に貫通する。
【0131】
2つの第1の段付き孔63aには、それぞれ第1のプッシャーピン62およびバネ65が収容される。第1の段付き孔63aは、上述の実施形態のピンホルダ63に設けられる段付き孔63aと同様の構成を有する。
【0132】
図12に示すように、第2の段付き孔363aには、第2のプッシャーピン362およびバネ65が収容される。第2の段付き孔363aは、第1段差面363aaと第2段差面363abとを有する。第1段差面363aaおよび第2段差面363abは、上側を向く。第1段差面363aaには、バネ65の下端部を支持する。第2段差面363abは、第1段差面363aaより上側に位置する。第2段差面363abは、径方向に沿って延びる。第2段差面363abは、第2のプッシャーピン362のフランジ部362bとの干渉を抑制するために設けられる。
【0133】
第2のプッシャーピン362は、上下方向に沿って延びる軸状である。第2のプッシャーピン362は、軸部362aと、軸部362aの上端に設けられるフランジ部362bと、を有する。軸部362aの下端は、半球状に形成されている。軸部362aの下端は、上下方向においてポンプバルブPeと対向する。
【0134】
第2のプッシャーピン362のフランジ部362bは、軸部362aの上端から径方向外側に延びる。フランジ部362bは、軸線Cの径方向内側に向かって長尺に延びる延長部362baを有する。延長部362baの上端面には、小球64が収容される凹部362cが設けられる。
【0135】
図11に示すように、2本の第1のプッシャーピン62および1本の第2のプッシャーピン362に保持される3個の小球64は、上下方向から見て、軸線Cを中心とする同一円周上に間隔をあけて配置されている。2本の第1のプッシャーピン62および1本の第2のプッシャーピン362は、それぞれ小球64を介して、カム66に設けられた凸部66cから応力を付与され、軸方向に駆動する。
【0136】
第1のプッシャーピン62の軸部62aおよび第2のプッシャーピン362の軸部362aは、第1のプッシャーピン62および第2のプッシャーピン362の駆動にともない、ポンプバルブPeを押圧して、ポンプバルブPeを駆動させる。
【0137】
本変形例において、2本の第1のプッシャーピン62の軸部62aと第2のプッシャーピン362の軸部362aとは、平面視で直線状に配置される。このため、本変形例によれば、流体デバイス1の3つのポンプバルブPeを直線状に配置することができる。結果的に、流路内ポンプPを通る流体デバイス1の流路を直線状とすることができ、流路をながれる流体の流れをスムーズにすることができる。
【0138】
本変形例では、第2のプッシャーピン362に、軸線Cの径方向に延びる延長部362baを設けることで、プッシャーピン62、362の軸部62a、362aを平面視で直線状に配置させる例を説明した。このように、プッシャーピンが軸線Cの径方向に延びる部分(本変形例の延長部362ba)を設けることで、プッシャーピンの軸部を平面視で自由に配置することができる。このような構成を採用することにより、流体デバイスの流路形状の制約に応じて、複数のポンプバルブPeの配置の自由度を高めることができる。
【0139】
(変形例4(圧力供給ユニット))
図13は、制御装置2に採用可能な、変形例4の圧力供給ユニット450の一部を示す模式図である。なお、図13において、流体デバイス1の構成を簡素化して示す。
本変形例の圧力供給ユニット450は、上述の実施形態と比較して、陽圧用管路(管路)458の構成が主に異なる。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0140】
上述の実施形態と同様に、本変形例の陽圧用管路458は、陽圧ポンプ53と陽圧ポンプ53と区画バルブVとを繋ぐ。また、陽圧用管路458の経路中には、陽圧電磁弁55が配置される。
【0141】
本変形例の陽圧用管路458は、陽圧電磁弁55から延びる主路458aと、主路458aから分岐しそれぞれ異なる区画バルブVに繋がる複数(本変形例では3つ)の分岐路458bと、を有する。陽圧電磁弁55は、ONモードにおいて、陽圧ポンプ53において生じた陽圧を陽圧用管路458の内部に付与する。これにより、陽圧用管路458の分岐路458bには、それぞれ等しく陽圧が付与され、分岐路458bにそれぞれ繋がる複数の区画バルブVは、下側に変形する。
【0142】
本変形例によれば、陽圧用管路458が分岐して複数の区画バルブVに繋がるため、1つの陽圧電磁弁55を用いて、複数の区画バルブVの開閉を同時に制御することができる。すなわち、同期させて動作させる複数の区画バルブVに、複数の分岐路458bを有する陽圧用管路458を接続させることで、制御装置2に設けられる陽圧電磁弁55の数を削減することができる。本変形例によれば、安価な制御装置2を提供することができる。
【0143】
以上に、本発明の実施形態およびその変形例を説明したが、実施形態および変形例における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0144】
1…流体デバイス、1a…第1面、1b…第2面、2…制御装置、10…循環流路、11…流路、20…処理部、50、450…圧力供給ユニット、53…陽圧ポンプ(圧力付与ポンプ)、55…陽圧電磁弁(電磁弁)、58、458…陽圧用管路(管路)、60、360…ポンプ駆動ユニット、62、362…プッシャーピン(押圧部材)、66…カム、66a…カム本体(円板部)、66c…凸部、67…カム駆動用モータ、68…動力伝達部、80,180,280…温度調整ユニット、181,281…ヒータ、182,282…熱媒、183,283…熱媒循環流路、C…軸線、P…流路内ポンプ、Pe…ポンプバルブ、S…流体、V…区画バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13