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特許7188018管理対象機器、機器管理システム、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】管理対象機器、機器管理システム、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/00 20220101AFI20221206BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20221206BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H04L67/00
B41J29/38
G06F3/12 304
G06F3/12 331
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018222216
(22)【出願日】2018-11-28
(65)【公開番号】P2020087096
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】福永 志樹
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-003069(JP,A)
【文献】特開2000-163177(JP,A)
【文献】特開2008-146437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
B41J 29/38
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して管理装置により管理される管理対象機器であって、
ネットワークに接続されたことを検知する接続検知部と、
前記接続検知部によりネットワークへの接続が検知される場合、他の機器に対して管理装置の情報を問い合わせる問い合わせ部と、
前記問い合わせ部により取得される管理装置の情報が複数ある場合、所定の条件に基づいて、いずれかの管理装置を選択する選択部と、
前記問い合わせ部により取得される前記管理装置の情報であって、前記選択部によって選択された当該管理装置の情報に基づいて、当該管理装置に対し登録要求を送信する登録要求部と、
を有する管理対象機器。
【請求項2】
前記問い合わせ部は、ブロードキャストにより問い合わせを行う、
請求項1に記載の管理対象機器。
【請求項3】
前記問い合わせ部は、前記問い合せに応じた前記管理装置の情報が取得されない場合、警告通知を行う、
請求項1又は2に記載の管理対象機器。
【請求項4】
管理対象機器と、管理対象機器に関する情報を登録して、ネットワークを介して当該管理対象機器を管理する管理装置とを有する機器管理システムであって、
前記管理対象機器は、
ネットワークへの接続が検知され場合、他の機器に対して管理装置の情報問い合わせをし
前記問い合わせによって取得される管理装置の情報が複数ある場合、所定の条件に基づいて、いずれかの管理装置の選択をし、
前記問い合わせに応じて取得される前記管理装置の情報であって、前記選択をされた当該管理装置の情報に基づいて、当該管理装置に対し登録要求を送信する、
前記管理装置は、
前記登録要求を受信すると、当該登録要求を送信した管理対象機器に関する情報を登録する、
機器管理システム。
【請求項5】
前記管理対象機器は、ブロードキャストにより問い合わせを行う、
請求項に記載の機器管理システム。
【請求項6】
前記管理対象機器は、前記問い合せに応じた前記管理装置の情報が取得されない場合、警告通知を行う、
請求項4又は5に記載の機器管理システム。
【請求項7】
前記管理装置は、管理対象機器に関する情報を登録すると、登録が完了したことを管理者に対し通知する、
請求項乃至のいずれか1項に記載の機器管理システム。
【請求項8】
ネットワークを介して管理装置により管理される管理対象機器が実行するプログラムであって、
ネットワークに接続されたことを検知し、
ネットワークへの接続が検知され場合、他の機器に対して管理装置の情報の問い合わせをし
前記問い合わせによって取得される管理装置の情報が複数ある場合、所定の条件に基づいて、いずれかの管理装置の選択をし、
前記問い合わせに応じて取得される前記管理装置の情報であって、前記選択をされた当該管理装置の情報に基づいて、当該管理装置に対し登録要求を送信する、
処理を、前記管理対象機器が実行するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して管理対象機器を管理サーバに登録する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続されたプリンタやMFP(Multifunction Peripheral)などの機器を、一元的に統括する管理サーバを設け、各機器の状態や設定値を取得し、各機器に対して設定の変更を統括的に行う機器管理システムが存在する。このような機器管理システムは、管理サーバに登録された管理対象の機器の情報(IPアドレスなど)をもとに、情報を収集・管理する機能を有している。
【0003】
また、管理者がプリンタ装置の印刷設定をPC上から監視し、設定を変更することができる技術が開示されている(例えば特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の機器管理システムでは、管理対象の機器を新たに追加する際に、管理サーバに追加する機器に関する情報(IPアドレスなど)を手動で入力するか、もしくは追加する機器側で管理サーバに関する情報を手動で入力する必要がある。すなわち、対象とする機器を登録して管理サーバ側で有効に管理を行うには、人手を介する必要があり、管理者への負担となる。特に、新たに複数台の機器を導入する場合、管理者が手動で逐一設定すると、台数に応じて管理者の作業負担が増大する。
【0005】
更に、クラウド連携や、管理サーバと機器とがネットワークを介して連携するシステムにおいて、ネットワーク構成などの環境が変わった場合、管理者は、機器ごとに連携先の装置の設定を手動で行う必要がある。
【0006】
特許文献1の技術では、管理用のPCに管理対象の印刷装置が登録されていることが前提となっており、手動での設定が必要であるという問題は解消できていない。
【0007】
本発明は、ユーザの手動による操作の介在を抑制しつつ、管理対象機器を管理サーバに登録する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、ネットワークを介して管理装置により管理される管理対象機器であって、ネットワークに接続されたことを検知する接続検知部と、前記接続検知部によりネットワークへの接続が検知される場合、他の機器に対して管理装置の情報を問い合わせる問い合わせ部と、前記問い合わせ部により取得される管理装置の情報が複数ある場合、所定の条件に基づいて、いずれかの管理装置を選択する選択部と、前記問い合わせ部により取得される前記管理装置の情報であって、前記選択部によって選択された当該管理装置の情報に基づいて、当該管理装置に対し登録要求を送信する登録要求部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザの手動による操作の介在を抑制しつつ、管理対象機器を管理サーバに登録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の機器管理システムの構成を例示する図である。
図2】実施形態のMFPのハードウェア構成例を示す図である。
図3】従来の登録動作例を示すシーケンス図である。
図4】実施形態のMFPの構成例を示すブロック図である。
図5】実施形態の登録動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、管理対象機器、機器管理システム、プログラムについて説明する。また、以下の実施形態では、管理対象となる機器をMFP(Multifunction Peripheral)とし、MFPを統括管理する管理サーバに、新しいMFPを登録する態様について説明する。
【0012】
また本実施形態においては、新しいMFPがネットワークに接続した後、当該MFPは、同一ネットワーク(ローカルセグメント)内の他のMFPに対してブロードキャストを使って、「MFPを管理している管理サーバの情報」の問い合わせを行う。問い合わせを受けたMFPは、自機を管理している管理サーバの情報を応答する。この応答を受けて、新しくネットワークに接続したMFPは、管理サーバに対して自機を管理対象に登録するように要請を行う。
【0013】
実施形態の機器管理システム100の構成例を図1に示す。MFP1は、新しく追加する機器であり、MFP2A、2Bは、新規のMFP1と同じネットワークAに属する、既設のMFPである。MFP2A、2BのIPアドレスなどの情報は、既に管理サーバ3(管理装置)に登録されており、これによりMFP2A、2Bは、管理サーバ3の管理のもとで動作する。
【0014】
管理サーバ3は、機器管理ソフトウェアを実行することで、各MFPの状態や設定値を取得し、各MFPに対して設定の変更を統括的に行う。管理サーバ3は、MFP2C、2D、2Eとともに、ネットワークAとは別のローカルセグメントであるネットワークBに属している。
【0015】
ルータ4Aは、ネットワークA内の機器からIPパケットを受信して、他のネットワーク(例えばネットワークB)に中継する。またルータ4Aは、他のネットワークからネットワークA内の機器を宛先としたIPパケットを受信すると、ネットワークAに属している該当機器に中継する。ルータ4Bも同様に、ネットワークB内に属する機器と外部機器(例えばネットワークA内の機器)との間で、IPパケットの中継を行う。
【0016】
尚、上記のとおり、既設のMFP2A、2B、および新規に接続するMFP1と、管理サーバ3とは、それぞれ別のネットワークに属するものとしているが、同一ネットワークであってもよい。
【0017】
図2は、MFP1の内部構成例を示す図である。MFP1は、主制御部201、表示操作ユニット202、画像処理用ASIC(Application Specific Integrated Circuit)203、画像形成ユニット204、ネットワークI/F205(I/F:Interface)を有し、これらがバス207を介して接続している。
【0018】
主制御部201は、CPU(Central Processing Unit)211、RAM(Random Access Memory)212、ROM(Read Only Memory)213、HDD(Hard Disk Drive)214を有し、MFP1の内部ハードウェアを統括的に制御する。CPU211は、演算処理装置であり、MFP1の全体動作を制御する。RAM212は、データを高速に読み書きすることが可能な揮発的な記憶媒体であり、CPU211が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM213は、読み出し専用の不揮発的な記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD214は、データの読み書きが可能な不揮発的な記憶媒体である。HDD214は、OS(Operating System)や、コピー、スキャナ、プリント、FAX送受信などの機能を提供する各種制御プログラム、画面表示用のブラウザプログラムなどのアプリケーションプログラム等が格納される。これに加え、以降に説明する各機能を実行するためのプログラムや制御用のデータも格納されている。
【0019】
画像処理用ASIC203は、シート上に画像を形成する前段階として、印刷データや画像データに対して画像処理を行う。尚、主制御部201が画像処理用ASIC203で実施する処理の一部や全てを実行してもよい。
【0020】
表示操作ユニット202は、ユーザからコピー部数や濃度値などのパラメータの入力を受け付け、また動作状態や処理結果を表示するユーザインターフェイスである。表示操作ユニット202は、LCD(Liquid Crystal Display)221、および操作部222を含む。LCD221は、ユーザがMFP1の状態を確認するための表示装置である。操作部222は、物理キーやタッチパネルなど、MFP1に情報を入力するための入力装置である。表示操作ユニット202を介して、ユーザはログイン認証を行うとともに、ジョブについての詳細設定を行うことができる。
【0021】
画像形成ユニット204は、例えばユーザが使用する端末から送信される印刷データや、スキャナで読み取られた画像をシート上に形成する。ネットワークI/F205は、外部機器との通信の制御を担うインターフェイスボードを含む。
【0022】
MFP2A~3Eも、図2に示す各ハードウェアと同様の構成を有する。また管理サーバ3は、従前のコンピュータと同様の構成となっており、CPU、RAM、ROM、HDD、ネットワークI/Fなどを有している。管理サーバ3のHDDには、機器管理ソフトウェアが事前に格納されており、このプログラムがRAMに展開され、CPUにより実行されることで、以降に説明する機能を実現する。
【0023】
次に、MFPを管理サーバへ登録する従来の手法について、図3のシーケンス図を用いて説明する。尚、ここでは図1に示す装置構成や符号をそのまま流用して説明する。
【0024】
従来の管理サーバ3は、管理対象の機器に関する情報(IPアドレスやホスト名など)をリスト化して所持している。このリストに機器を登録することで、当該機器の状態や設定値を取得し、また設定の変更を行うことができる。また、従来の登録手法としては以下の2つがある。これらについて図3(A)、図3(B)を用いて説明する。
(従来手法a)管理者が、管理サーバ3に対して新しく導入するMFPのIPアドレスを入力する。
(従来手法b)管理者が、新しく導入するMFPに対して、管理サーバ3のIPアドレスを入力する。
【0025】
図3(A)は、上記の従来手法aのシーケンス図である。まず、新たに接続されるMFP1は、LANケーブルが挿入されてリンクアップを検出することで、ネットワークAに接続したと認識する(S301)。これにより、MFP1はネットワークAに所属することとなる。尚、MFP1の自機のIPアドレス、ゲートウェイ(=ルータ4AのIPアドレス)、ネットマスクなどのネットワーク設定は、既にMFP1内で設定済みか、もしくはDHCPサーバから取得するものとする。
【0026】
MFP1のネットワーク接続が完了すると、管理者31は、新規追加のMFP1についてのIPアドレスを、管理サーバ3に入力する(S302)。この際、管理者31は、MFP1がコピー、スキャナ、プリント、FAX送受信のいずれの機能を実行できるのかの情報、対応シートサイズ、カラー印刷可能か否かなどの設定情報も、あわせて入力してもよい。
【0027】
管理サーバ3は、管理者31からの入力を受け付けて、これを登録し(S303)、登録完了通知をMFP1に送信する(S304)。また管理サーバ3は、この通知とともに、管理サーバ3自体の情報(IPアドレスなど)を、MFP1に送信する。MFP1は、登録完了通知、および管理サーバ3の情報を受信し、当該情報を自機に登録、もしくは更新する(S304)。
【0028】
この一連の作業により、以降、MFP1は管理サーバ3の管理下となり、管理サーバ3からMFP1の管理および操作が可能となる。
【0029】
図3(B)は、上記の従来手法bのシーケンス図である。新規のMFP1のネットワーク接続が完了すると(S301)、管理者31は、MFP1に対して管理サーバ3のIPアドレスを入力する(S310)。そしてMFP1は、指定されたIPアドレス(=管理サーバ3のIPアドレス)に対して登録要求を送信する(S311)。この際、MFP1は、自機のIPアドレスを送信するとともに、実行可能機能や設定可能情報なども送信する。
【0030】
以降、登録要求を受信した後の登録処理(S303)、登録完了通知の処理(S304)、管理サーバ情報の更新処理(S305)については、上記の図3(A)のものと同様である。
【0031】
これらの従来手法a、従来手法bのいずれの手法においても、管理者による手動の設定が必要である。これら従来手法に対し、本実施形態の態様について、図4図5を用いて説明する。
【0032】
図4は、本実施形態のMFP1の内部構成例を示すブロック図である。MFP1は、接続検知部401、問い合わせ部402、選択部403、登録要求部404を有する。これら各ブロックは、CPU211が、HDD214に事前に格納されているプログラムを演算実行することで実現される。
【0033】
接続検知部401は、ネットワークI/F205を介して、ネットワークAに接続されたことを検知する。接続検知部401が、ネットワークAへ接続したことを検知すると、問い合わせ部402に対してその旨を通知する。なお、接続検知部401におけるネットワークAへの接続検知は、ネットワークAへの異なる種類に応じて検知処理によって実現される。例えば、ネットワークAが、いわゆる有線LAN(Local Area Network)であれば、ネットワークI/F205を構成するNIC(Network Interface card)に通信ケーブルが接続されて、リンクアップすることを検知し、通信接続が確立したことを検知する。また、ネットワークAがいわゆる無線LANで構成されルータ4Aがアクセスポイントであれば、ルータ4Aからの接続許可を受け取り、通信接続が確立したことを検知する。
【0034】
本実施形態において、ネットワークA及びネットワークBがTCP/IPネットワークを前提にしている。したがって、接続検知部401は、通信可能状態に移行するプロセスの一部において、DHCPによってIPアドレスが割り当てられたことを検知することで「通信可能状態」に移行したことを検知すればよい。なお、接続検知部401に対して事前にIPアドレスが設定されているときは、通信接続が確立した段階で、ネットワークAへの接続が検知されて、その旨が問い合わせ部402に通知される。
【0035】
問い合わせ部402は、同一ネットワークであるネットワークAに接続されている他の装置(MFP2A、2B)や、ルータ4Aを超えて接続されて他のネットワークであるネットワークBに接続されている他の装置(MFP2C、2D、2E)に対して、「管理装置の情報を問い合わせる」情報を通知する。問い合わせ部402における当該情報の通知は、例えば、ブロードキャスト方式によって行われる。また、他の装置に個別に順次通知する方式でもよい。問い合わせ部402は、他の装置への問い合わせの結果、取得した「管理装置の情報」を選択部403に通知する。
【0036】
選択部403は、問い合わせ部402が取得した「管理装置の情報」が複数あるとき、所定の条件に基づいて、一つの「管理装置の情報」を特定し、特定した「管理装置の情報」を登録要求部404に通知する。
【0037】
登録要求部404は、選択部403により選択された「管理装置の情報」に対応する管理サーバに対して、自身を管理対象に登録するよう要求を通知する。
【0038】
問い合わせ部402において、「管理装置の情報を問い合わせる」情報を通知した後に最初に取得した「管理装置の情報」を選択部403ではなく登録要求部404に通知するように構成してもよい。この場合、選択部403は不要となる。また、選択部403において、複数の「管理装置の情報」を取得したときには、その中で、最も早く取得した「管理装置の情報」を登録要求部404に通知してもよいし、取得された複数の「管理装置の情報」の中で、同じ情報の数が多かったものを選別して登録要求部404に通知してもよい。
【0039】
図5は、図4に示す構成を有するMFP1を新規に登録する際の動作例を示すシーケンス図である。MFP1の接続検知部401は、リンクアップを検出することで、もしくはDHCPサーバからIPアドレスが割り当てられたことを検出することで、ネットワークAに新しく接続されたことを認識する(S501)。
【0040】
ネットワークの接続が検出された場合、問い合わせ部402は、周辺の機器に対して、「機器管理サーバの情報を要求する信号」をブロードキャストで送信する(S502)。このブロードキャストは、ネットワークAの範囲内にのみ到達する。
【0041】
この要求信号を受けとったMFP2A、およびMFP2Bは、自機内に設定されている管理サーバ3の情報を、ブロードキャストの送信元であるMFP1に応答する(S503)。一方、MFP1の問い合わせ部402は、すべての応答を受信するため、一定時間待機する。
【0042】
そして選択部403は、受信した情報の中から、管理サーバを1つ選択する。ここではMFP2A、MFP2Bの2つの応答の中から1つを選択することとなる。またMFP2A、MFP2Bのいずれも管理サーバ3の管理下にあることから、得られるサーバ情報は、管理サーバ3のものとなる。これに対し、ルータ4Aがブロードキャスト信号を外部に送出可能な設定となっている場合、その他のネットワークからの応答も想定され、且つ、管理サーバ3以外のサーバ情報が応答されることも想定される。すなわち、ブロードキャストを受け取った機器からの応答は、0~n個となる可能性があり、異なる複数の管理サーバの情報が応答される可能性がある。このような状態に対処するため、選択部403は次のような動作を行う。
(a)応答が0個の場合
この場合、本プロセスは終了し、機器の追加は行われない。管理サーバの情報を持つMFPが存在しない場合も、この動作となる。尚、応答が0個の場合、選択部403もしくは問い合わせ部402は、管理サーバとの接続ができない旨の警告通知を、管理者に対し行う。例えば選択部403は、MFP1の表示操作ユニット202を介してメッセージを表示したり、ブザー音などを発することで警告通知を行う。または、選択部403もしくは問い合わせ部402が、警告通知用のメッセージをブロードキャストで送信し、これを受信した管理者用の端末もしくはMFP2A、2Bが、当該メッセージを表示する、との実装でも構わない。このように、管理者に対し最終的に通知される形式であれば、その通知手法は問わない。
(b)応答が1個の場合
この場合、選択部403は、その応答に含まれる管理サーバの情報を採用して、以降のプロセスに進む。
(c)応答が2個以上の場合
この場合、選択部403は、以下に挙げる方法などをもとに、管理サーバを1つ決定し、以降のプロセスに進む。
(c-1)一番はじめに受信した応答に含まれる管理サーバ情報を採用する。
(c-2)多数決を取り、最も多くの応答に含まれている管理サーバ情報を採用する。
(c-3)全ての応答からランダムで1つ選択し、その管理サーバ情報を採用する。
尚、(c-2)については、管理サーバの負荷分散の観点から、応答の中で最も少なかった管理サーバ情報を採用してもよい。
【0043】
登録要求部404は、選択部403により選択された管理サーバに対して、自身を管理対象に登録するよう要求する(S505)。この要求を受信した管理サーバ3は、MFP1を管理対象に追加登録する(S506)。そして管理サーバ3は、送信元のMFP1に対して登録完了の通知とともに、管理サーバ3自体の情報を送信する(S507)。これを受信したMFP1は、自身の持つ管理サーバ情報を更新する(S508)。尚、管理サーバ3は、ステップS507の登録完了通知をMFP1に対して送信する際、事前に登録されている管理者用の端末に同様の通知を行うことで、管理者に対して登録が完了したことを通知する。これにより、管理者は、MFP1の登録があったことを確認することができる。
【0044】
尚、ステップS506~S508は、図3のステップS303~S305と同様の動作である。すなわち、管理サーバの動作は、従前の動作と同じものである。
【0045】
以上のとおり、本実施形態の態様を適用することで、新規にMFPを追加する場合、管理者の手動による入力を抑制しつつ、MFPをサーバの管理下にすることができる。
【0046】
また、配置替えなどにより既存のMFPのIPアドレスが変わる場合も、本実施形態の態様を適用することができる。この場合、管理サーバ内のリストから、配置替えを行うMFPを削除し、配置替えを行うMFP内のサーバ情報を削除することで、管理サーバによる管理を一旦解除する。そして配置替え後(IPアドレス変更後)に、当該MFPをネットワークに接続することで、当該MFPは自らで問い合わせを行って、上記の手法のとおり登録される。
【0047】
一方で、管理サーバのIPアドレスが変わる場合についても、本実施形態の態様を適用することができる。この場合、管理サーバ内のリストを全件削除し、MFP側でもサーバ情報を削除する。そして管理サーバのIPアドレスを変更した後、1台のMFPについてのみ手動で登録して管理下にする。その他のMFPについては、自らで問い合わせを行って管理サーバの情報を取得して更新し、管理サーバも上記の手法により各MFPをリストに登録する。このように、本実施形態の態様を適用することで、MFPに対し1台ずつ管理者の手動で設定変更を行うよりも、管理者の作業負担が低減する。
【0048】
以上、本実施形態の態様により、ユーザの手動による操作の介在を抑制しつつ、管理対象機器を管理サーバに登録することができる。
【符号の説明】
【0049】
1:MFP(管理対象機器)
2A、2B、2C、2D、2E:MFP(他の機器)
3:管理サーバ(管理装置)
4A、4B:ルータ
100:機器管理システム
401:接続検知部
402:問い合わせ部
403:選択部
404:登録要求部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【文献】特開2003‐015852号公報
図1
図2
図3
図4
図5