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特許7188054トナー残量検出装置、画像形成装置及びトナー残量検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】トナー残量検出装置、画像形成装置及びトナー残量検出方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20221206BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G03G15/08 322B
G03G21/00 386
G03G21/00 510
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018237761
(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公開番号】P2020101586
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】家入 雄二
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-160105(JP,A)
【文献】特開2006-146007(JP,A)
【文献】特開平05-061304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極を有し、前記一対の電極間の静電容量に基づいてトナー容器内のトナー残量を検出するトナー残量検出装置であって、
前記一対の電極間に前記トナー容器を配置しない非配置状態で、予め検出された前記一対の電極間の静電容量値を記憶する非配置情報記憶部と、
前記非配置情報記憶部に記憶された静電容量値と、前記非配置状態で検出された前記一対の電極間の静電容量値と、に基づいて前記トナー残量検出装置の異常を検知する異常検知部と、
前記一対の電極間の静電容量に基づき、予め取得された前記静電容量と前記トナー残量の関係を示す検量線を参照して取得されるトナー残量値を出力するトナー残量出力部と、
前記異常が検知された場合に、前記記憶された静電容量値と、前記非配置状態で検出された前記一対の電極間の静電容量値との差分値に基づき、前記検量線を補正する検量線補正部と、
前記異常が検知された場合に、前記異常を示す信号を出力する異常信号出力部と、
前記異常の原因の除去を指示する通知を表示する表示部と、
前記記憶された静電容量値と、前記非配置状態で検出された前記一対の電極間の静電容量値と、に基づき、前記検量線補正部、又は前記表示部の何れか一方に処理を実行させる切替部と、を有する
トナー残量検出装置。
【請求項2】
前記異常検知部は、前記記憶された静電容量値と、前記非配置状態で検出された前記一対の電極間の静電容量値との差分値が、予め定められた異常閾値以上か否かを判定する異常判定部を有する
請求項1に記載のトナー残量検出装置。
【請求項3】
前記切替部は、前記記憶された静電容量値と、前記非配置状態で検出された前記一対の電極間の静電容量値との差分値が、予め定められた切替閾値以上か否かを判定する切替判定部を有する
請求項1、又は2に記載のトナー残量検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至の何れか1項に記載のトナー残量検出装置を有する
画像形成装置。
【請求項5】
一対の電極を有し、前記一対の電極間の静電容量に基づいてトナー容器内のトナー残量を検出するトナー残量検出装置によるトナー残量検出方法であって、
前記一対の電極間に前記トナー容器を配置しない非配置状態で、予め検出された前記一対の電極間の静電容量値を記憶する非配置情報記憶工程と、
非配置情報記憶工程により記憶された静電容量値と、前記非配置状態で検出された前記一対の電極間の静電容量値と、に基づき、前記トナー残量検出装置の異常を検知する異常検知工程と、
前記一対の電極間の静電容量に基づき、予め取得された前記静電容量と前記トナー残量の関係を示す検量線を参照して取得されるトナー残量値を出力するトナー残量出力工程と、
前記異常が検知された場合に、前記記憶された静電容量値と、前記非配置状態で検出された前記一対の電極間の静電容量値との差分値に基づき、前記検量線を補正する検量線補正工程と、
前記異常が検知された場合に、前記異常を示す信号を出力する異常信号出力工程と、
前記異常の原因の除去を指示する通知を表示する表示工程と、
前記記憶された静電容量値と、前記非配置状態で検出された前記一対の電極間の静電容量値と、に基づき、前記検量線補正工程、又は前記表示工程の何れか一方の処理を実行させる切替工程と、を含む
トナー残量検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー残量検出装置、画像形成装置及びトナー残量検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置において、一対の電極を有し、一対の電極間の静電容量に基づいてトナー容器内のトナー残量を検出する装置が知られている。
【0003】
また、環境条件の変動に関わらず高精度にトナー残量を検出するために、装置本体内に設けられた環境センサで検出された温度と湿度に基づき、静電容量値を補正する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらに、プロセスカートリッジ内のトナー残量が少ない状態と、プロセスカートリッジが画像形成装置等に装着されていない状態とを見分けるために、感度の異なる2つの静電容量検出回路を用いる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2の技術では、検出対象ではない異物であって静電容量を変化させるもの(トナー容器からこぼれたトナー等)が一対の電極間に介在すると、静電容量を正確に検出できず、トナー残量を精度よく検出できなくなる場合があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、一対の電極間の静電容量に基づいてトナー容器内のトナー残量を検出する装置において、検出対象ではない異物であって静電容量を変化させるものが一対の電極間に介在する異常を検知することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術の一態様に係るトナー残量検出装置は、一対の電極を有し、前記一対の電極間の静電容量に基づいてトナー容器内のトナー残量を検出するトナー残量検出装置であって、前記一対の電極間に前記トナー容器を配置しない非配置状態で、予め検出された前記一対の電極間の静電容量値を記憶する非配置情報記憶部と、前記非配置情報記憶部に記憶された静電容量値と、前記非配置状態で検出された前記一対の電極間の静電容量値と、に基づいて前記トナー残量検出装置の異常を検知する異常検知部と、前記一対の電極間の静電容量に基づき、予め取得された前記静電容量と前記トナー残量の関係を示す検量線を参照して取得されるトナー残量値を出力するトナー残量出力部と、前記異常が検知された場合に、前記記憶された静電容量値と、前記非配置状態で検出された前記一対の電極間の静電容量値との差分値に基づき、前記検量線を補正する検量線補正部と、前記異常が検知された場合に、前記異常を示す信号を出力する異常信号出力部と、前記異常の原因の除去を指示する通知を表示する表示部と、前記記憶された静電容量値と、前記非配置状態で検出された前記一対の電極間の静電容量値と、に基づき、前記検量線補正部、又は前記表示部の何れか一方に処理を実行させる切替部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、一対の電極間の静電容量に基づいてトナー容器内のトナー残量を検出する装置において、検出対象ではない異物であって静電容量を変化させるものが一対の電極間に介在する異常を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を説明する図である。
図2】実施形態に係る作像部の構成の一例を説明する図である。
図3】実施形態に係るトナー補給部の構成の一例を説明する図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5】トナー容器収容部にトナー容器が設置された状態の一例を説明する斜視図である。
図6】実施形態に係る検量線の一例を説明する図である。
図7】実施形態に係る制御部のハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。
図8】一対の電極間に異物が介在する状態の一例を説明する図である。
図9】第1の実施形態に係る制御部の機能構成の一例を説明するブロック図である。
図10】第1の実施形態に係る検量線の補正方法の一例を説明する図である。
図11】第1の実施形態に係る制御部による異常の検知処理の一例を示すフローチャートである。
図12】第1の実施形態に係る制御部によるトナー残量の検出処理の一例を示すフローチャートである。
図13】第2の実施形態に係る制御部の機能構成の一例を説明するブロック図である。
図14】第2の実施形態に係る制御部による処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
実施形態における記録媒体は、用紙、又はプラスチックシート等である。以下では、記録媒体が用紙である場合を一例として説明する。また、実施形態に係るトナー残量検出装置を備える画像形成装置を一例として説明する。
【0012】
なお、実施形態の用語における画像形成、印刷、印字はいずれも同義語であるとする。
【0013】
<実施形態に係る画像形成装置の構成>
図1は、実施形態に係る画像形成装置100の構成の一例を説明する図である。
【0014】
画像形成装置100は、トナー容器収容部70と、中間転写ユニット15と、作像部6と、トナー補給部60とを有する。トナー容器収容部70には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナー容器32(Y,M,C,K)が着脱可能(交換可能)に設置されている。
【0015】
図1において、トナー容器収容部70の下方には中間転写ユニット15が設けられている。その中間転写ユニット15の中間転写ベルト8に対向するように、各色に対応した作像部6(Y,M,C,K)が並列して配置されている。
【0016】
また、トナー容器32(Y,M,C,K)の下方には、それぞれ、トナー補給部60(Y,M,C,K)が設けられている。そして、トナー容器32(Y,M,C,K)に収容されたトナーは、それぞれ、トナー補給部60(Y,M,C,K)によって、作像部6(Y,M,C,K)の現像部5内に供給(補給)される。
【0017】
各色に対応した4つのトナー容器32(Y,M,C,K)、作像部(Y,M,C,K)及びトナー補給部60(Y,M,C,K)は、使用するトナーの色が異なる点以外は同様の構成となっている。そのため、以下の説明及び図面では、使用するトナーの色を示す「Y」、「M」、「C」、「K」という添字は適宜省略して説明する。
【0018】
図2は、4つの作像部6のうちの1つの構成の一例を説明する図である。
【0019】
作像部6は、感光体1と、感光体1の周囲に設けられた帯電部4と、現像部5と、クリーニング部2と、除電部とを有する。そして、感光体1上で、作像プロセス、すなわち帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程が行われて、感光体1上に各色の画像が形成される。
【0020】
感光体1は、駆動モータによって図2の感光体1に示した矢印の方向(時計周り方向)に回転駆動する。そして、帯電部4の位置で、感光体1の表面が一様に帯電される(帯電工程)。その後、感光体1の表面は、露光部7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程)。
【0021】
その後、感光体1の表面は、現像部5との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、各色のトナー像が形成される(現像工程)。その後、感光体1の表面は、中間転写ベルト8を挟んで一次転写ローラ9と対向する一次転写部で、感光体1上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(一次転写工程)。各色の感光体1上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写することで、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0022】
一次転写部を通過した感光体1の表面上には、僅かながら未転写トナーが残存する。その後、感光体1の表面は、クリーニング部2との対向位置に達して、感光体1上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって機械的に回収される(クリーニング工程)。最後に、感光体1の表面は、除電部との対向位置に達して感光体1上の残留電位が除去される。
【0023】
中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8と、4つの一次転写ローラ9(Y,M,C,K)と、二次転写バックアップローラ12と、複数のテンションローラと、中間転写クリーニング部とを有する。中間転写ベルト8は、複数の張架ローラによって張架され、支持されるとともに、ローラ部材のうちの二次転写バックアップローラ12の回転駆動によって、図1の中間転写ベルト8に示した矢印の方向(反時計周り方向)に無端移動する。4つの一次転写ローラ9(Y,M,C,K)は、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体1(Y,M,C,K)との間に挟み込んで一次転写ニップを形成している。
【0024】
そして、一次転写ローラ9(Y,M,C,K)に、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。中間転写ベルト8は、図1の中間転写ベルト8に示した矢印の方向に走行して、それぞれの一次転写ローラ9(Y,M,C,K)の一次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体1(Y,M,C,K)上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねられ、一次転写される。
【0025】
各色のトナー像が重ねられ、一次転写された中間転写ベルト8は、二次転写ローラ19と対向する二次転写部に達する。二次転写部では、二次転写バックアップローラ12と二次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで二次転写ニップが形成されている。中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、二次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に二次転写される。
【0026】
このとき、中間転写ベルト8には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部の位置に達し、中間転写ベルト8上の未転写トナーが回収される。こうして、中間転写ベルト8上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
【0027】
二次転写ニップの位置に搬送される記録媒体Pは、画像形成装置100の下方に設けられた給紙部26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。詳しくは、給紙部26には記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計周り方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0028】
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップで一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、記録媒体Pが二次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0029】
二次転写ニップでカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着部20に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。
【0030】
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。こうして、画像形成装置100における一連の画像形成プロセスが完了する。
【0031】
次に、作像部における現像部の構成及び動作について、さらに詳しく説明する。
【0032】
現像部5は、図2に示すように、ドラム状の感光体1に対向する現像ローラ51と、現像ローラ51に対向するドクターブレード52と、第一現像剤収容部53及び第二現像剤収容部54内に設けられた二つの搬送スクリュー55とを有する。また、第一現像剤収容部53の現像剤中のトナー濃度を検知するトナー濃度検知センサ56を有する。
【0033】
現像ローラ51は、内部に固定されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成されている。現像剤収容部(53,54)内には、キャリアとトナーとからなる二成分の現像剤Gが収容されている。第二現像剤収容部54は、その上方に形成された開口を介してトナー落下搬送経路64に連通している。
【0034】
現像ローラ51のスリーブは、図2で現像ローラ51に示した矢印の方向(反時計周り方向)に回転駆動する。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転に伴い現像ローラ51上を移動する。
【0035】
現像部5内の現像剤Gは、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。現像部5内のトナー消費に応じて、トナー容器32に収容されているトナーが、トナー補給部60を介して第二現像剤収容部54内に補給される。トナー補給部60の構成、動作については、後で詳しく説明する。
【0036】
第二現像剤収容部54内に補給されたトナーは、二つの搬送スクリュー55によって、現像剤Gとともに混合、攪拌されながら、二つの現像剤収容部(53,54)を循環する。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51上に担持される。現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、図2で現像ローラ51に示した矢印の方向に搬送されて、ドクターブレード52の位置に達する。
【0037】
そして、現像ローラ51上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体1との対向位置(現像領域)まで搬送され、現像領域に形成された電界によって感光体1上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51上に残った現像剤Gはスリーブの回転に伴い第一現像剤収容部53の上方に達して、この位置で現像ローラ51から離脱される。
【0038】
次に、トナー補給部60及びトナー容器32について詳述する。
【0039】
図3は、4つのトナー補給部60のうちの1つの構成の一例を説明する図である。また、図4は、図3のA-A断面図であり、図5は、トナー容器収容部70にトナー容器32(Y,M,C,K)が設置された状態の一例を説明する斜視図である。
【0040】
画像形成装置100のトナー容器収容部70(図1参照)に設置されたトナー容器32内のトナーは、各色の現像部5内のトナー消費に応じて、トナー色ごとに設けられたトナー補給部60によって適宜に各色の現像部5内に補給される。
【0041】
画像形成装置100本体のトナー容器収容部70に対して、トナー容器32を図5中の矢印「Q」の方向へ移動することで、トナー容器収容部70にトナー容器32を装着することができる。
【0042】
トナー容器32は、図4に示す2つのガイド部72に支持されている。トナー容器32は、略円筒状のトナーボトルであって、図3に示すように、トナー容器収容部70に非回転で保持されるキャップ34と、ギヤ33cが一体的に形成された容器本体33と、を有する。
【0043】
容器本体33は、キャップ34に対して相対的に回転可能に保持され、ギヤ33cがトナー補給部60の駆動出力ギヤ81とかみ合うことができるようになっている。駆動モータ91が駆動出力ギヤ81を回転させることにより、容器本体33のギヤ33cに駆動力が伝達され、ガイド部72(図5参照)に外周面がガイドされながら、容器本体33は回転駆動することができる。
【0044】
容器本体33が回転することで、容器本体33の内周面に螺旋状に形成された螺旋状突起331によって、容器本体33の内部に収容されたトナーが容器本体33の長手方向に沿って図3中の左側から右側へ搬送される。
【0045】
搬送されたトナーは、トナー容器32から排出され、トナー補給部60のホッパ部61内に供給される。すなわち、駆動モータ91によってトナー容器32の容器本体33が適宜に回転駆動されることで、ホッパ部61にトナーが適宜に供給される。各色のトナー容器32(Y,M,C,K)は、それぞれ、寿命に達した時、例えば収容するトナーがほとんどすべて消費されて空になった時に、新品のものに交換される。
【0046】
図3に示すように、トナー補給部60は、ホッパ部61と、トナー搬送スクリュー62と、駆動モータ91とを有する。ホッパ部61には、トナー容器32から供給されたトナーが貯留されており、トナー搬送スクリュー62が設けられている。
【0047】
トナー濃度検知センサ56(図2参照)の検知結果に基づいて現像部5内のトナー濃度が低下したことを制御部が検知すると、トナー補給部60は、トナー搬送スクリュー62を所定時間回転させて現像部5Yへのトナー補給を行う。トナー搬送スクリュー62を回転してトナーの補給を行うるため、トナー搬送スクリュー62の回転数を検出することにより、現像部5へのトナー供給量を精度良く算出することもできる。
【0048】
ホッパ部61の壁面には、ホッパ部61に貯留されたトナーが所定量以下になったことを検知するトナーエンドセンサが設置されている。トナーエンドセンサとしては、圧電センサ等を用いることができる。トナーエンドセンサによってホッパ部61に貯留されたトナーが所定量以下になったことが検知(トナーエンド検知)されると、駆動モータ91が駆動する。そして、トナー容器32の容器本体33を所定時間回転駆動してホッパ部61へのトナー補給を行う。
【0049】
実施形態では、ホッパ部61を設けて、トナー容器32から排出されたトナーを一時貯留しているが、トナー容器32から排出されたトナーを、ダイレクトに現像部5へ供給してもよい。
【0050】
ここで、従来からトナー容器32のトナー残量を予測しユーザに通知等を行うものが知られている。トナー容器32のトナー残量を予測する方法としては、トナー搬送スクリュー62の累積駆動時間から予測する方法がある。トナー搬送スクリュー62のトナー搬送量はほぼ回転角度(回転時間)に比例するため、トナー搬送スクリュー62の総回転時間を記録していけばトナーの使用量が分かり、トナー容器32の初期充填量から減算すれば、トナー残量が分かる。しかしながら、トナー搬送スクリュー62の搬送量は、環境、駆動時間、補給頻度(補給間隔)等によってばらつくため、トナー残量予測もばらつきが大きい。
【0051】
また、別のトナー容器32のトナー残量を予測する方法としては、出力画像パターンにより予測する方法がある。プリント出力される画像に対して使用するトナー量(画像面積当たりの感光体に付着するトナーはほぼ一定)は算出可能であるため、累積の画像面積が分かれば使用トナー量が分かる。この方法においても、感光体に付着するトナーが種々の誤差によってばらつくため正確なトナー残量の把握は難しい。
【0052】
<実施形態に係るトナー残量検出装置の構成>
そこで、実施形態では、図3及び図4に示すように、トナー容器32の外側から一対の平行平板電極65及び66で挟む構成とし、一対の平行平板電極65及び66でトナー容器32のほぼ全体を覆うようにしている。具体的には、平行平板電極の短手方向長さ(図4の左右方向の長さ)は、トナー容器32の直径よりも長くなっており、平行平板電極の長手方向長さ(図3の左右方向長さ)は、トナー容器の長さの半分以上になっている。
【0053】
平行平板電極65は、トナー容器32の上方からトナー容器32と対向する画像形成装置100の上壁面67に両面テープ等で固定されている。また、平行平板電極66は、トナー容器32の下方からトナー容器32と対向する画像形成装置100の下壁面68に両面テープ等で固定されている。平行平板電極65及び66は、任意の導電性部材でよく実施形態では鉄製の板材である。
【0054】
一対の平行平板電極65及び66の大きさは同一である。一対の平行平板電極65及び66の大きさを同一にすることで、平行平板電極間の電気力線の密度がばらつくのを抑制することができ、トナー容器32のトナーの偏在によって、同一のトナー量でも静電容量が異なるのを抑制することができる。
【0055】
図3に示すように、実施形態に係るトナー残量検出装置200は、「一対の電極」の一例である平行平板電極65及び66と、静電容量検出回路111と、制御部250と、表示部267とを有する。
【0056】
平行平板電極65及び66は、それぞれ静電容量検出回路111に電気的に接続されている。静電容量検出回路111から一対の平行平板電極65及び66に電力が印加されることで、平行平板電極間の静電容量が検出される。
【0057】
静電容量の検出方法は一般的な方法でよく、実施形態では充電法(定電圧または定電流を電極間に印加し、充電到達ポイントの時間と電圧または電流の関係から静電容量を検出する)により静電容量が検出される。静電容量検出回路111は、検出した静電容量値を示す信号を制御部250に出力する。
【0058】
検出される静電容量は平行平板電極65及び66間の誘電率により変化する。トナーは、空気よりも誘電率が高いため、平行平板電極間の電界の範囲のトナー量によって誘電率が変化する。そのため、外側から平行平板電極65及び66により挟まれたトナー容器32内のトナー残量によって静電容量が変化する。
【0059】
従って、制御部250は、静電容量検出回路111で検出された静電容量に基づき、予め取得された静電容量とトナー残量との関係を示す検量線を参照してトナー容器内32のトナー残量を取得することができる。なお、制御部250の機能構成の詳細は後述する。
【0060】
表示部267は、制御部250から入力したトナー残量値、及び異常の原因の除去を指示する通知の少なくとも一方を表示することができる。
【0061】
ここで、図6は、検量線の一例を説明する図である。図6の横軸はトナー残量を示し、縦軸は静電容量を示している。トナー残量検出装置200は、検量線201を取得する際、トナー容器32が空の時、すなわちトナー容器32内のトナー残量がゼロの時の静電容量C1と、トナー容器32が満杯の時の静電容量C2を、それぞれ検出する。そして、静電容量C1及びC2を含む一次式を求め、一次式に従って静電容量とトナー残量とを対応付けることで、検量線201を取得することができる。
【0062】
但し、検量線201を取得する際のトナー残量の状態は、トナー容器32が空の時と満杯の時に限られるものではない。トナー容器32内のトナー残量が2以上の既知の状態での静電容量から検量線201を取得してもよい。
【0063】
図7は、実施形態に係る制御部のハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。
【0064】
制御部250は、CPU(Central Processing Unit)251と、ROM(Read Only Memory)252と、RAM(Random Access Memory)253と、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)254と、操作パネルI/F(Inter/Face)255と、センサI/F256と、外部I/F257とを有する。それぞれが、システムバスBを介して相互に接続されている。
【0065】
CPU251は、トナー残量検出装置200の全体を制御し、ROM252に記憶された制御プログラム等に基づいて、システムバスBに接続される各種デバイスに対するアクセスを総括的に制御する。CPU251は、RAM253を作業領域としてROM252に記憶されている制御プログラムを実行することで、後述する各種機能を実現することができる。
【0066】
ROM252は、読み出し専用の不揮発性メモリであり、CPU251によって使用される制御プログラムや制御用データ等が格納される。RAM253は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性のメモリであり、記録データの展開や環境データの格納に用いられるワークフレームメモリとして利用される。NVRAM254は、読み書きが可能な不揮発性メモリであり、制御プログラムが利用するトナー残量検出装置に関する情報が格納されている。
【0067】
操作パネルI/F255は、CPU251と画像形成装置100に備えられた操作パネル258との間でデータ交換を行うインターフェースである。操作パネル258は、表示部及び入力部を備え、ユーザインタフェースとして機能する。
【0068】
センサI/F256は、静電容量検出回路111に電気的に接続され、静電容量検出回路111との間で信号やデータの交換を行うインターフェースである。外部I/F257は、画像形成装置100の備えるプリンタコントローラ等の外部装置との間で信号やデータの交換を行うインターフェースである。
【0069】
なお、静電容量検出回路111の機能は、CPU251等によりソフトウェアで実現されてもよく、また、CPU251等により実現される後述の各種機能は、ASIC(application specific integrated circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0070】
[第1の実施形態]
実施形態に係るトナー残量検出装置において、平行平板電極65及び66に挟まれた空間には、検出対象であるトナー容器32内のトナーの他、空気やトナー容器32、トナー補給部60の一部等の検出対象でないものも含まれる。そのため、予め取得した検量線を利用することで、検出される静電容量から検出対象でないものによる静電容量の変化の影響を取り除いている。
【0071】
しかし、検量線を取得した後で、トナー残量検出装置による検出対象でない異物であって、静電容量を変化させるものが平行平板電極65及び66に挟まれた空間に介在すると、異物による静電容量の変化によりトナー残量の検出結果に誤差が生じる場合がある。
【0072】
図8は、一対の電極間に異物が介在する状態の一例を説明する図である。異物の具体例としては、トナー容器32からこぼれた漏洩トナー321や、画像形成装置100の下壁面68上に混入されたクリップやステープル等の金属片322が挙げられる。
【0073】
トナー容器32はトナー容器収容部70に対して着脱可能であるため、着脱時にトナー容器32内からトナーがこぼれる場合がある。このような漏洩トナー321は現像部5に補給されないため、漏洩トナー321をトナー残量に含めることはできない。しかし、漏洩トナー321は、平行平板電極65及び66間の誘電率を変化させるため、静電容量の検出誤差の要因となる。
【0074】
また、画像形成された記録媒体Pを綴じるために用いられるクリップやステープル等の金属片322が、誤って画像形成装置100の下壁面68上等に混入する場合がある。金属片322は、平行平板電極65及び66間の誘電率を変化させるため、静電容量の検出誤差の要因となる。
【0075】
そこで、本実施形態では、このような異物が平行平板電極65及び66間に介在する異常を検知する。具体的には、平行平板電極65及び66間にトナー容器32を配置しない非配置状態で、予めトナー残量検出装置200により静電容量を検出し、検出値である静電容量初期値を記憶部に記憶する。そして、画像形成装置100の点検時等に、非配置状態でトナー残量検出装置200により検出した静電容量の検出値である静電容量点検値と、静電容量初期値とに基づいて、一対の電極間に異物が介在する異常を検知する。
【0076】
なお、上述した非配置状態は、トナー容器収容部70に対して着脱可能なトナー容器32をトナー容器収容部70から取り外すことで、実現することができる。
【0077】
また、静電容量初期値は「記憶された静電容量値」の一例であり、静電容量点検値は「非配置状態で検出された一対の電極間の静電容量値」の一例である。
【0078】
上述した画像形成装置100の点検は、所定の期間毎に行う定期点検であってもよいし、トナー容器32の交換時等の任意の時期に行う不定期の点検であってもよい。
【0079】
<第1の実施形態に係るトナー残量検出装置の制御部の機能構成>
図9は、本実施形態に係る制御部の機能構成の一例を説明するブロック図である。なお、図9に示されている各機能ブロックの全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・結合して構成されてもよい。
【0080】
図9に示すように、制御部250は、静電容量入力部259と、検量線記憶部260と、トナー残量取得部261と、トナー残量出力部262と、異常検知部263と、非配置情報記憶部264とを有する。
【0081】
センサI/F256等により実現される静電容量入力部259は、静電容量検出回路111に電気的に接続され、静電容量の検出値を示す信号を入力し、トナー残量取得部261及び異常検知部263に出力する機能を有する。
【0082】
NVRAM254等で実現される検量線記憶部260は、予め取得された検量線のデータを記憶する。トナー残量取得部261は、静電容量入力部259から入力した静電容量の検出値に基づき、検量線記憶部260が記憶する検量線のデータを参照してトナー残量を取得する機能を有する。
【0083】
トナー残量取得部261は、取得したトナー残量を示す信号を、操作パネルI/F255等により実現されるトナー残量出力部262に出力し、トナー残量出力部262は入力したトナー残量を示す信号を、画像形成装置100の操作パネル258に出力する。これにより、操作パネル258の備える表示部267に、検出したトナー残量を表示させることができる。
【0084】
また、NVRAM254等で実現される非配置情報記憶部264には、平行平板電極65及び66間にトナー容器32を配置しない非配置状態で予め検出された静電容量初期値が記憶されている。
【0085】
異常検知部263は、非配置情報記憶部264から取得した静電容量初期値と、点検時等に静電容量検出回路111で検出された静電容量点検値とに基づき、検出対象ではない異物であって静電容量を変化させるものが、平行平板電極65及び66間に介在する異常を検知することができる。
【0086】
詳しくは、異常検知部263は異常判定部266を有し、異常判定部266は静電容量初期値と静電容量点検値を比較し、両者の差分値Sが予め定められた異常閾値以上か否かを判定する。異常検知部263は、差分値Sが異常閾値以上であると異常判定部266が判定した場合に、トナー残量検出装置200の異常を検知する。異常検知部263は、異常を検知した場合に、差分値Sを検量線補正部265に出力する。
【0087】
また、検量線補正部265は、異常検知部263から入力した差分値Sに基づき、検量線201を補正する機能を有する。
【0088】
平行平板電極65及び66間に漏洩トナー321等の異物が介在すると、検出される静電容量が増加し、差分値Sはこの増加分に該当する。そのため、検量線補正部265は、検量線記憶部260を参照して取得した検量線のデータの全部を、静電容量を増加させる方向に差分値Sだけシフトさせる。検量線を一次式で表す場合には、検量線補正部265は、1次式の傾きを維持したまま、差分値Sだけ切片を増加させる。
【0089】
図10は、検量線補正部265による検量線の補正方法の一例を説明する図である。図の見方は図6と同様であり、図10では、検量線201と検量線202が示されている。図10に示すように、検量線202は、検量線201に対して、静電容量が増加する方向に差分値Sだけシフトしている。
【0090】
図11は、本実施形態に係る制御部による異常検知処理の一例を示すフローチャートである。図11に示す処理に先立ち、トナー容器収容部70からトナー容器32が取り外され、非配置状態にされている。
【0091】
先ず、ステップS111において、静電容量入力部259は静電容量検出回路111から静電容量の検出値を静電容量点検値として入力し、静電容量点検値を示す信号を異常検知部263に出力する。
【0092】
続いて、ステップS112において、異常検知部263は、非配置情報記憶部264を参照して静電容量初期値を取得する。
【0093】
続いて、ステップS113において、異常判定部266は、静電容量点検値と静電容量初期値とを比較し、両者の差分値Sが異常閾値以上か否かを判定する。
【0094】
続いて、ステップS113で差分値Sが異常閾値以上と判定された場合は(ステップS113、Yes)、異常検知部263は、差分値Sを検量線補正部265に出力する。
【0095】
続いて、ステップS114において、検量線補正部265は、入力した差分値の分だけ、静電容量を増加させる方向に検量線をシフトさせる。これにより検量線が補正される。
【0096】
一方、ステップS113で差分値Sが異常閾値以上ではないと判定された場合は(ステップS113、No)、制御部250は、トナー残量検出装置200に異常はないと判断し、処理を終了する。
【0097】
このようにして、トナー残量検出装置200は、検出対象ではない異物であって静電容量を変化させるものが一対の電極間に介在することによる異常を検知することができる。そして、異物による静電容量の変化の影響を除去するために、検量線を補正することができる。
【0098】
次に、図12は、本実施形態に係る制御部によるトナー残量の検出処理の一例を示すフローチャートである。
【0099】
先ず、ステップS121において、静電容量入力部259は、静電容量検出回路111から静電容量の検出値を示す信号を入力し、トナー残量取得部261に出力する。
【0100】
続いて、ステップS122において、トナー残量取得部261は、入力した静電容量の検出値に基づき、検量線記憶部260を参照してトナー残量値を取得し、トナー残量値を示す信号をトナー残量出力部262に出力する。
【0101】
続いて、ステップS123において、トナー残量出力部262は、入力したトナー残量値を示す信号を操作パネル258に出力する。
【0102】
続いて、ステップS124において、操作パネル258の備える表示部267は、入力したトナー残量値を表示する。
【0103】
このようにして、トナー残量検出装置200は、トナー残量を検出し、表示部267に表示させることができる。なお、本実施形態では、画像形成装置100の操作パネル258が表示部267を備える例を示したが、制御部250が表示部267を備えてもよいし、表示部267の機能を備える表示装置を別途設けてもよい。
【0104】
<効果>
以上説明してきたように、本実施形態に係るトナー残量検出装置200は、非配置情報記憶部264と、異常検知部263とを有する。
【0105】
平行平板電極65及び66間に、漏洩トナー321や金属片322等の異物が介在すると、静電容量初期値と静電容量点検値との差分値が大きくなるため、異常検知部263は、差分値が予め定められた異常閾値以上か否かを判定することで、異物の介在を検知することができる。
【0106】
また、本実施形態では、トナー残量出力部262と、検量線補正部265とを有する。検量線を補正することで、異物による静電容量の変化の影響を取り除くことができる。また、ユーザが検量線のデータを取得し直す手間を省くことができるため、ユーザの手間や時間をかけることなく、平行平板電極65及び66間に異物が介在する場合にも、正確にトナー残量を検出することが可能となる。
【0107】
さらに、実施形態では、平行平板電極65及び66をトナー容器32の外側に設けることで、平行平板電極65及び66にトナーが固着するのを抑制し、正確なトナー残量を検出することができる。また、トナー容器32の部品点数を削減することができ、トナー容器32のコストダウンを図ることができる。さらに、トナー容器32の熱膨張の影響を受けることがなく、高温環境下でも正確なトナー残量を検出することができる。
【0108】
また、実施形態では、平行平板電極65及び66でトナー容器32のほぼ全体を覆っている。これにより、トナー容器32内のトナーのほぼ全部が1対の電極間の電気力線(電界)に含まれる。そのため、トナー容器32内でトナーの偏在があっても、正確にトナー容器32内のトナー残量を把握することができ、ユーザに正確なトナー残量を、報知することができる。
【0109】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係るトナー残量検出装置について説明する。なお、既に説明した実施形態と同一の構成部についての説明は省略する。
【0110】
漏洩トナー321と比較して、金属片322は誘電率が高く、金属片322による平行平板電極65及び66間の静電容量の変化は大きくなる。従って、平行平板電極65及び66間に金属片322が介在する場合には、検量線を補正するより金属片322を除去したほうが、より正常な検出環境に復旧でき、好ましい場合がある。
【0111】
そこで、本実施形態では、静電容量初期値と静電容量点検値の差分値Sが大きい場合は、金属片322等の誘電率が高い異物が平行平板電極65及び66間に介在していると判定し、ユーザが視認できるように、異物の除去を指示する通知を表示部267に表示する。そして、静電容量初期値と静電容量点検値の差分値Sが大きくない場合は、異物の除去は行わず、検量線を補正する。このように、差分値Sに応じて実行する処理を切替可能にしている。
【0112】
図13は、本実施形態に係る制御部の機能構成の一例を説明するブロック図である。図13に示すように、制御部250aは、切替部268と、異常信号出力部269とを有する。
【0113】
切替部268は、異常検知部263から入力した静電容量初期値と静電容量点検値の差分値Sに基づいて、検量線補正部265、又は表示部267の何れか一方に処理を実行させることができる。
【0114】
詳しくは、切替部268は切替判定部270を有し、切替判定部270は静電容量初期値と静電容量点検値を比較して、両者の差分値Sが予め定めた切替閾値以上か否かを判定する。切替部268は、差分値Sが予め定められた切替閾値以上であると切替判定部270が判定した場合に、異常信号出力部269を介して、異常の原因の除去を指示する通知を示す信号を表示部267に出力する。そして、表示部267に通知を表示させる。
【0115】
一方、差分値Sが切替閾値以上ではないと切替判定部270が判定した場合には、切替部268は、検量線補正部265に差分値Sを示す信号を出力する。そして、検量線補正部265に検量線を補正させることができる。
【0116】
図14は、本実施形態に係る制御部による処理の一例を示すフローチャートである。図14に示す処理に先立ち、トナー容器収容部70からトナー容器32が取り外され、非配置状態にされている。また、ステップS141~S143は、図11のステップS111~113と同様であるため、説明を省略する。
【0117】
ステップS144において、切替判定部270は差分値Sが切替閾値以上か否かを判定する。
【0118】
ステップS144で差分値Sが予め定めた切替閾値以上ではないと判定された場合は、切替部268は検量線補正部265に差分値Sを示す信号を出力する。そして、ステップS145において、検量線補正部265は、入力した差分値Sの分だけ静電容量を増加させる方向に検量線をシフトさせ、検量線を補正する。
【0119】
一方、ステップS144で差分値Sが切替閾値以上であると判定された場合は、切替部268は異常信号出力部269を介して、異常の原因の除去を指示する通知を示す信号を表示部267に出力する。
【0120】
続いて、ステップS146において、表示部267は入力した通知を表示する。
【0121】
このようにして、異物の種類に応じて、より適切な処理を実行することができる。
【0122】
制御部250aによるトナー残量の検出処理は、図12を参照して説明したものと同様であるため、説明を省略する。
【0123】
以上説明してきたように、本実施形態では、切替部268を有する。そして、金属片322等の誘電率が高い異物が平行平板電極65及び66間に介在する場合には、異物の除去を指示する通知を表示する。また、漏洩トナー321等の誘電率が低い異物が平行平板電極65及び66間に介在した場合には、検量線を補正する。これにより、異物の種類に応じて、より適切な処理を実行することができる。
【0124】
なお、上述したもの以外の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
【0125】
また、本実施形態では、ユーザに異物の除去を指示する通知を表示する例を説明したが、サービスコール等の他の対応方法を指示する通知を表示してもよい。
【0126】
以上、実施形態に係る画像形成装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【0127】
また実施形態は、トナー残量検出方法も含む。例えば、トナー残量検出方法は、一対の電極を有し、前記一対の電極間の静電容量に基づいてトナー容器内のトナー残量を検出するトナー残量検出装置によるトナー残量検出方法であって、前記一対の電極間に前記トナー容器を配置しない非配置状態で、予め検出された前記一対の電極間の静電容量値を記憶する非配置情報記憶工程と、非配置情報記憶工程により記憶された静電容量値と、前記非配置状態で検出された前記一対の電極間の静電容量値と、に基づき、前記トナー残量検出装置の異常を検知する異常検知工程と、を含む。
【0128】
このようなトナー残量検出方法により、上述のトナー残量検出装置と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0129】
1 感光体
2 クリーニング部
4 帯電部
5 現像部
6 作像部
7 露光部
8 中間転写ベルト
9 一次転写ローラ
12 二次転写バックアップローラ
15 中間転写ユニット
19 二次転写ローラ
20 定着部
30 スタック部
32 トナー容器
33 容器本体
51 現像ローラ
52 ドクターブレード
53 第一現像剤収容部
54 第二現像剤収容部
55 搬送スクリュー
56 トナー濃度検知センサ
60 トナー補給部
61 ホッパ部
62 トナー搬送スクリュー
65、66 平行平板電極
70 トナー容器収容部
91 駆動モータ
100 画像形成装置
111 静電容量検出回路
200 トナー残量検出装置
250 制御部
251 CPU
252 ROM
253 RAM
254 NVRAM
255 操作パネルI/F
256 センサI/F
257 外部I/F
258 操作パネル
259 静電容量入力部
260 検量線記憶部
261 トナー残量取得部
262 トナー残量出力部
263 異常検知部
264 非配置情報記憶部
265 検量線補正部
266 異常判定部
267 表示部
268 切替部
269 異常信号出力部
270 切替判定部
321 漏洩トナー
322 金属片
G 現像剤
C、C1、C2 静電容量
R トナー残量
B システムバス
S 差分値
【先行技術文献】
【特許文献】
【0130】
【文献】特開2002-132038号公報
【文献】特開2004-093699号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14